特許第5930865号(P5930865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930865
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】検出装置および生体試料分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20160526BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   G01N35/02 C
   G01N35/02 A
   G01N33/48 H
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-140352(P2012-140352)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-6094(P2014-6094A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】中川 樹生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大賀 博
(72)【発明者】
【氏名】山形 俊樹
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−037322(JP,A)
【文献】 特開2011−247635(JP,A)
【文献】 特開2010−107399(JP,A)
【文献】 特開2003−307448(JP,A)
【文献】 特開2012−011230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの容器に収納され、2つ以上の成分から構成される試料に対して検出を行う検出装置であって、
前記容器に貼られたラベルのエッジの位置を検知する検知部と、
前記容器に光を照射する照射部と、
前記容器を透過した光を受光する受光部と
前記容器を回転させる回転部と、を備え、
前記回転部は、前記検知部の情報に基づいて、前記容器のうち前記受光部側に前記ラベルのエッジが向くとする場合に、前記容器のうち光が透過する部分に前記エッジが来ないように前記容器を回転させることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記検知部で前記ラベルのエッジが検知された場合には、前記回転部で前記容器を回転させ、再度前記検知部で前記ラベルのエッジを検知する動作を、前記検知部で前記ラベルのエッジが検出されなくなるまで繰り返すことを特徴とする検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検出装置において、
前記エッジの前記容器内での位置に基づいて、前記回転部が前記容器を回転させる角度を決定することを特徴とする検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検出装置において、
前記光の波長は、650nmから1200nmの範囲であることを特徴とする検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の検出装置において、
前記受光部と前記検知部が、前記容器に対して同じ側に配置されることを特徴とする検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の検出装置において、
前記成分は、血清、分離剤、および血餅を含み、
前記分離剤と前記血餅の境界面の位置を検出することを特徴とする検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検出装置を備える生体試料分析装置であって、
前記位置の情報を用いて、前記血清を分注し、
前記血清の分析を行うことを特徴とする生体試料分析装置。
【請求項8】
1つの容器に収納され、2つ以上の成分から構成される試料に対して検出を行う検出装置であって、
前記容器に貼られたラベルのエッジの位置を検知する検知部と、
前記容器に光を照射する照射部と、
前記容器を透過した光を受光する受光部と、
前記受光部からの信号を元に前記成分の境界面の位置を算出する計算部と、を備え、
前記計算部は、前記検知部の情報に基づいて、前記容器のうち前記受光部側に前記ラベルのエッジが向くとする場合に、前記境界面の位置算出する際の閾値を高くすることを特徴とする検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出装置および生体試料分析装置に関する。より具体的には、複数の成分により構成される試料に対し当該成分の境界面の位置を検出する検出装置、および、係る検出装置を有する生体試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から生体試料を用いて当該生体試料を構成する成分を分析する技術が提供されてきた。この技術には、専用の容器が用意されており、患者から採取した生体試料は、当該容器で処理される。例えば、試料が血液の場合、採取した血液を、予め分離剤が収納されている採血管に投入する。その後、その中で当該採血管に対し遠心分離を施すことで、血液から血餅と血清とを分離し、分析に必要な成分である血清を抽出している。
【0003】
近年、血清を用いて測定できる検査項目が多様化している。その結果、自動分析装置の数も増加しており、検体数の増加も顕著となっている。これらの状況を受け、生体試料を自動分析装置に投入する前に行う処理(前処理)や、自動分析装置への検体の搬送処理を自動で行うシステムへの要求が高まっている。
【0004】
前処理の第1の例として、血清と分離剤との境界面を検出する処理がある。例えば、血清の液量が少ない検体を自動分析装置で分析する場合、分注時にプローブが分離剤に突き刺さり、詰まりエラーを生じる原因となるため、このような前処理が必要とされる。ここで、検査室における実際の運用方法の1つに、採血管の表面に患者ID・個人情報・装置運用に必要なパラメータ、などの重要情報が記載されたバーコードラベルが貼付されるという事実がある。採血管種とラベルの大きさによっては、採血管の管壁の全体が被覆されるというケースもある。また、通常使用する市販の採血管には、購入時に既にラベルが貼付されていることも多く、運用の都合上、この上に幾重にも重ねてラベルを貼付するという場面もある。
【0005】
このように、血清と分離剤との境界面を検出する前処理に関し、特にバーコードラベルによる誤差を排除する先行技術として、特許文献1がある。特許文献1においては、回転機構により採血管を回転させつつ光沢センサにより光沢を測定することで、ラベル無し領域を特定する。そして、センサ出力からラベルなし領域を光照射領域に選定し、血清層と分離剤層の境界面を求めている。
【0006】
前処理の第2の例として、遠心分離の影響を排除する処理がある。遠心分離の結果として、血清と分離剤の境界面が傾斜することが知られており、この傾斜の影響を排除する先行技術として、特許文献2および3がある。特許文献2においては、血清と分離剤の境界面が傾斜している場合に、傾斜の最上位および最下位の高さを算出し、この中間値を境界面としている。また、特許文献3においては、採血管が斜めに固定される特殊な遠心分離機を用い、採血管にも特殊な基準形状を設けることによって、分離剤の傾斜方向を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−037322号
【特許文献2】特開2011−247635号
【特許文献3】特開2008―191070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1に、ラベルによる誤差を排除する前処理について検討する。特許文献1では、ラベル無し領域から光を照射している。しかしながら、発明者らは、採血管に貼りつけられたラベルによる支配的な誤差とは、ラベルによる単純な反射による誤差ではなく、受光センサ側のラベルのエッジが光る事による液面位置の計測誤差であることを見出した。この、ラベルエッジが光る事による計測誤差は、ラベルエッジについて何ら検討していない特許文献1に記載の技術では、回避できるものではない。この詳細は図3および4にて後述する。
【0009】
第2に、遠心分離による液面の傾きを排除する前処理について検討する。特許文献2のように、液面が傾いた場合に、複数の方向から計測することでその誤差を低減する方法では、複数回計測を行う必要があるため、計測に時間を要し、処理速度が低下するという問題がある。また、図9において後述する通り、遠心分離機には通常液面の傾きについて、採血管の場所依存性があるため、境界面の検出に際しても、係る場所依存性を考慮する必要がある。しかし、特許文献2では、係る場所依存性については何ら検討されていない。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術は、特定の形状の遠心分離器および特殊な形状の採血管を用いているため、複数の方向から計測する必要がなく、計測に時間を要するという問題はない。しかしながら、特許文献3に記載の技術は、特定の形状の遠心分離機のみに適用可能な技術であり、採血管を格子状に配置し、一度に多数の採血管の遠心分離を行うような、一般の前処理システムの遠心分離機において採用しうるものではない。また、特別な採血管を用いているため、一般に用いられる円柱状の採血管と比較し、コストが増加してしまう課題もある。また、上述した場所依存性について検討されていない点は、特許文献2と同様である。
【0011】
以上を踏まえ、本発明の目的は、複数の成分により構成される生体試料に対し、それぞれの成分の境界面の位置をより高精度または低コストに検出する検出装置を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0014】
第1に、1つの容器に収納され、2つ以上の成分から構成される試料に対して検出を行う検出装置であって、容器に貼られたラベルのエッジの位置を検知する検知部と、容器に光を照射する照射部と、容器を透過した光を受光する受光部と、容器を回転させる回転部と、を備え、回転部は、検知部からの情報に基づいて、容器のうち光が透過する部分にエッジが来ないように採血管を回転させることを特徴とする。
【0015】
第2に、1つの容器に収納され、2つ以上の成分から構成される試料に対して検出を行う検出装置であって、容器に貼られたラベルのエッジの位置を検知する検知部と、容器に光を照射する照射部と、容器を透過した光を受光する受光部と、受光部からの信号を元に成分の境界面の位置を算出する計算部と、を備え、計算部は、検知部からの情報に基づいて、位置の算出方法を変えることを特徴とする。
【0016】
第3に、1つの容器に収納され、遠心分離機により2つ以上の成分に分離された試料に対して検出を行う検出装置であって、容器に光を射する照射部と、容器を透過した光を受光する受光部と、遠心分離機内で容器が設置された場所の情報に基づいて、容器を回転する角度を算出する算出部と、容器を角度分回転させる回転部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
第4に、1つの容器に収納され、遠心分離機により2つ以上の成分に分離された試料の、2つ以上の成分の境界面を検出する検出装置であって、容器に光を照射する照射部と、容器を透過した光を受光する受光部と、受光部からの信号を元に成分の境界面の位置を算出する計算部と、を備え、計算部は、遠心分離機内で容器が設置された場所の情報に基づいて、境界面の位置を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、複数の成分により構成される生体試料に対し、それぞれの成分の境界面の位置をより高精度または低コストに検出する検出装置、および、係る検出装置を有する生体試料測定装置を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明第1の実施例に係る前処理システムの構成図である。
図2】本発明第1の実施例に係る液面検出ユニットの構成図である。
図3】採血管と、光源および受光センサとの向きの関係を示す説明図である。
図4】採血管を異なる向きから測定した場合の透過光強度の例を示す説明図である。
図5】本発明第1の実施例に係る液面検出ユニットの構成図である。
図6】本発明第1の実施例に係る液面検出の動作フローである。
図7】本発明第2の実施例に係る液面検出の動作フローである。
図8】本発明第3の実施例に係る遠心分離機の構成図である。
図9】本発明第3の実施例に係る遠心分離機の遠心分離中の様子の説明図である。
図10】採血管を異なる向きから測定した場合の液面位置の測定結果例を示す説明図である。
図11】本発明第3の実施例に係る液面検出ユニットの構成図である。
図12】本発明第3の実施例に係る液面検出の動作フローである。
図13】本発明第4の実施例に係る液面検出の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
本発明第1の実施例に係る生体試料の分析装置を、図1ないし図6を用いて説明する。図1は、本発明第1の実施例に係る生体試料の分析装置の全体構成を示す構成図である。患者から採取した生体試料(血液)を前処理して、自動分析装置で分析する構成を示している。本生体試料の分析装置は、搬送ライン101、投入モジュール102、遠心分離モジュール103、開栓モジュール104、バーコードなどのラベラ105、分注モジュール106、閉栓モジュール107、分類モジュール108、収納モジュール109を基本要素とする複数のモジュールからなる前処理システム100と、前処理システム全体を制御する制御用PC110と、その先に接続された生体試料の成分を分析する自動分析装置111とから構成される。そして、遠心分離モジュールの近隣には、本実施の形態の特徴となる液面検出ユニット112が配置されている。
【0021】
投入モジュール102では、検体を生体試料の分析装置内に投入し、遠心分離モジュール103では、投入された検体に対して遠心分離を行う。開栓モジュール104では、遠心分離された検体の栓を開栓し、分注モジュール106では、遠心分離された検体を、自動分析装置などで分析するために小分けする。ラベラ105では、その小分けの容器にバーコードを貼り付ける。閉栓モジュール107では、検体に栓を閉栓し、収納モジュール109では、閉栓された検体を収納する。分類モジュール108では、分注された検体容器の分類を行う。
【0022】
検体の分析フローは以下の通りである。まず、採血管を用いて患者血液(全血)を採取する。当採血管は、前処理システム100の投入モジュール102に投入される。なお、採血と投入はユーザーのマニュアル作業で行い、以後の作業は前処理システムによる自動作業となる。
【0023】
また、搬送作業は搬送ライン101が担う。投入された採血管は遠心分離モジュール103に運ばれ、そこで遠心分離が行われる。採血管には予め分離剤が入っており、遠心分離により、相対的に比重の大きい血餅の層と、相対的に比重が小さく、血液分析に使用する血清の層に分離される。なお、分析項目によっては、分離剤のない採血もある。
【0024】
遠心分離された検体は、血清、分離剤、血餅の3つの層に分離される。各層の液面位置の情報は、血清量の計算に用いる事ができる。血清量がわかれば、測定項目の優先順位付けが行えるほか、血清量が少ない場合に異常として処理する事ができるなど、従来人手で行っていたことの自動化が可能となる。また、血清を分注する際に、分離剤に分注プローブを挿入してしまい、分離剤を吸引してしまうことを回避できる。このため、各層の液面位置の計測が重要である。
【0025】
各層の液面位置を計測する際には、光の透過光強度を計測し算出する。図2に光透過光強度を計測する構成を示す。光源201、受光センサ202、採血管ホルダ203、上下移動機構204、および、計測対象である採血管205で構成される。採血管205にはラベル206が貼付されている。
【0026】
採血管ホルダ203に設置された採血管205の側面に光源201で光を照射し、採血管205を挟んで光源201と逆側に設置した受光センサ202で透過光強度を計測する。上下移動機構204により、光源201および受光センサ202と、採血管205との相対的な位置を変えながら透過光強度を計測することにより、採血管205の位置に対応する透過光強度プロファイルが得られる。このプロファイルから液面の位置を算出する方法である。
【0027】
ここで、採血管には、バーコードラベルが添付されている。バーコードラベルが貼付されている場合、光が反射、減衰されるため、透過光強度プロファイルに影響が生じ、液面位置計算の誤差と成り得る。従来、光源からの光が採血管表面のラベルで反射されるのを防ぐため、ラベルの隙間から光を当てる方法などが知られている。この方法では、光源からの光がラベルにより反射するのを防ぐ事ができる。しかしながら、発明者らは、ラベルの隙間から光を当てる、当てないに依存せず、受光センサ側にラベルのエッジが向いた場合に、液面位置の検出誤差が生じる場合があることを見出した。以下これについて詳細を説明する。
【0028】
図3に光源、受光センサと採血管に貼られたラベルの向きとの関係図を示す。上半分が上面図、下半分が受光センサ側からみた図であり、ラベルと、光源および受光センサとの位置関係について、典型的な4つの例を示している。図3(a)は、採血管205aにラベルが貼られていないものである。採血管内は血清301、分離剤302、血餅303の3つの層に分離されている。図3(b)は採血管205bに貼られたラベル206bが光源側に向いており、受光センサ側にはラベルが貼られていない状態である。図3(c)は、採血管205cに貼られたラベル206cが受光センサ側を向いており、光源側にはラベルが貼られていない状態である。図3(d)は、採血管205dに貼られたラベル206dのエッジが受光センサ側を向いている場合である。なお、添え字のa,b,c,・・・は同一の構成要素であることを示し、特に必要のない場合は省略する。
【0029】
図3(a)〜(d)に示す状態で、光源からの光の透過光を受光センサで受信した際に得られる透過光強度プロファイルの例を図4(a)〜(d)にそれぞれ示す。ここでは、血清301、分離剤302をある程度透過し、血餅303によりほぼ遮断される光について考える。図4(a)では、血清、分離剤部分では、空気の部分よりは透過光強度が小さくなるが、大部分の光が透過し、受光センサで検出される。血餅部分では、光が遮断されるため、透過光強度は小さく、センサや計測システムのノイズレベルとなる(401a)。
【0030】
ここでは特に、分離剤302と血餅303の境界面に注目する。血餅の吸光度は高いため光が透過しにくい。一方、分離剤の吸光度は血餅の吸光度に比べて小さく、血清の吸光度に近い。従って、透過光強度の差は、血餅と分離剤との境界面で大きくなる。このため、本実施例では、吸光度の違いが大きい、血餅303と分離剤302との境界面の検出を考える。
【0031】
図4(a)のようにラベルが貼られていない場合、血餅303と分離剤302との境界面402aは吸光度の違いが明確であるため、その境界面位置を検出する事ができる。
【0032】
また、図4(c)のように、採血管205cにラベルが貼られており、ラベル206cが光源201側にある場合、光源からの光がラベル206cにより反射され、ラベル206cが貼付されている範囲で透過光強度が弱くなる。しかしながら、血餅303部分では元々血餅が光を遮断するため、ラベル206cが貼られている部分でも透過光強度はノイズレベルとなる(401c)。その結果、血餅部分は光を遮断するのに対し、分離剤部分は、ラベル206cにより透過光強度が弱くなってはいるものの光を透過するため、透過光強度がノイズレベルよりも大きくなる位置が血餅303と分離剤302の境界面であると判断することで、血餅303と分離剤302との境界面402cを検出することができる。
【0033】
また、図4(b)のように採血管205bのラベルが受光センサ202側にある場合も、ラベル206bにより光強度が弱くなるが、ラベルが光源側に貼付されている場合とほぼ同様の強度プロファイルとなる。よってこの場合も、図4(c)の場合と同様に、境界面402bを検出することができる。
【0034】
一方、図4(d)のようにラベル206dのエッジが受光センサ202側を向いている場合、ラベル206dのエッジが光ることにより、分離剤302、血餅303の境界面の位置を計測する際に誤差を生じることがあることを、発明者らは見出した。血餅部分では光を遮断するが、採血管壁面での乱反射などが原因で、ラベルのエッジが光る現象が生じる。この場合、本来光を遮断する血餅部分で光が透過したかのように見える(401d)。このため、ラベルの下端部分(403d)を、分離剤と血餅との境界面と誤認識したり、算出した分離剤、血餅境界面の位置に誤差が生じたりする。このような現象は、受光センサ側にエッジが来ることが問題であるため、従来のようにラベルの隙間から光を当てたとしても防ぐ事ができるものではない。そこで、本発明の第1の実施例では、以下の構成によりラベルのエッジが光る事による境界面の誤認識や液面位置の計測誤差を抑制する。
【0035】
図5に本発明第1の実施例の液面検出ユニット112の構成を示す。光源501、光源用のドライバ505、受光センサ502、受光回路506、採血管ホルダ503、カメラ508、画像処理エンジン509、光源および受光センサの上下移動機構504、および上下制御ドライバ507、回転機構510、回転制御ドライバ511、コントローラ512、入出力インタフェース513、ユーザインタフェース514、データバス515から構成される。
【0036】
照射部である光源501は、採血管205の側面に光を照射する。光源としては、強度が強く、指向性のよい光であるレーザー光源などを用いる。波長は、血清301、分離剤302を透過し、血餅303により吸収される領域を用いる。具体的には、例えば、830nmなどの近赤外光であるが、これに限るものではなく、可視光の赤色レーザーであってもよい。波長の範囲はおおよそ、650nmから1200nm程度であることが望ましい。
【0037】
光源501を駆動するためには電源などのドライバ505を用いる。光源501から照射され、採血管205を透過した光は、受光部である受光センサ502で受光される。受光センサとしては、はフォトダイオードなどの光を電気に変換するセンサを用いる。受光回路506では、受光センサ502からの信号を増幅、フィルタリングなどを行い、アナログ−デジタル変換し、デジタルデータとして透過光強度プロファイルを保持する。
【0038】
カメラ508では採血管205全体の2次元画像を撮像する。画像処理エンジン509ではカメラ508で撮像された画像からエッジ抽出処理などの画像処理を行い、ラベル206のエッジの有無を認識する。以上のカメラ508および画像処理エンジン509が、採血管205に貼られたラベルのエッジ位置を検知する検知部となる。上下移動機構504は、光源501および受光センサ502を鉛直方向に移動させ、採血管205と、光源501および受光センサ502の相対位置を変える。上下の移動は上下制御ドライバ507で制御される。
【0039】
回転機構510は、採血管ホルダ503を回転させ、採血管205に光を当てる方向を変えるために用いる。回転機構510は回転制御ドライバ511で制御される。以上の回転機構510および回転制御ドライバ511が、採血管205を回転させる回転部として機能する。コントローラ512は、光源用ドライバ501や受光センサ502、移動機構の制御のほか、取得した透過光強度プロファイルから液面位置を算出する。入出力インタフェース513はユーザインタフェース514とのインタフェースとして用いられ、算出した液面位置の表示やデータの伝送、液面位置の算出などに用いられるパラメータなどを入力する際に用いる。
【0040】
図6に本実施例の液面検出ユニットの動作フローを示す。まずラベルの貼られた採血管205を採血管ホルダ503にセッティングする(601)。その後、カメラ508で採血管205全体の画像を撮像する(602)。画像処理エンジン509により採血管に貼られたラベル206のエッジを抽出する(603)。ラベル206のエッジが抽出された場合、採血管を所定の角度だけ回転させ(605)、再度撮像し、エッジ抽出を行う。ラベルのエッジが抽出されなくなるまでこの動作を繰り返す。ラベルのエッジが抽出されなければ、ラベルのエッジのない面を受光センサ側に向ける。
【0041】
この処理は、例えば、受光センサとカメラが90°異なる方向に設置されている場合は、90°回転させる。なお、受光センサとカメラの設置角度のずれは90°である必要はなく、受光センサとカメラを採血管の同じ側に設置してもよい。この場合、ラベルのエッジが抽出されなくなった後に、さらに採血管を回転させる必要はない。また、受光センサとカメラを採血管の同じ向きに設置し、回転させるのではなく、移動させる制御を行ってもよい。以上の動作により、回転部は、検知部からの情報に基づいて、採血管205のうち光が透過する部分にラベルのエッジが来ないように採血管を回転させる。
【0042】
その後、光源501および受光センサ502を鉛直方向に動かしながら透過光強度を計測する(606)。透過光強度データを、受光回路506からコントローラ512に伝送し(607)、コントローラ512で液面位置を計算する(608)。
【0043】
ここで、ラベル206のエッジが抽出された場合に、採血管205を回転させる角度は一定値でもよいし、抽出されたエッジの位置から定めてもよい。具体的には、例えば、ラベルエッジの位置が光軸と直交する位置に配置されるように、回転角を求め、回転させる。また、ラベルのエッジが1つ検出された場合には、典型的なラベルの大きさから、もう1つのエッジが採血管のどのあたりにあるかを計算することができる。従って、画像で直接検出されていないエッジの位置を推定することで、回転によりそのエッジをも避けることができる。また、この回転角度の計算を採血管の直径によって変更することにより、より正確にラベルエッジを避けることができる。これらの一連の情報は制御用PC110に送られ、制御用PC110を介して前処理システム100は制御される。
【0044】
このように、本実施例に係る検出装置は、1つの容器(採血管205)に収納され、2つ以上の成分から構成される試料(血液等)に対して検出を行う検出装置であって、容器に貼られたラベルのエッジの位置を検知する検知部(508および509)と、容器に光を照射する照射部(501)と、容器を透過した光を受光する受光部(502)と容器を回転させる回転部(510および511)を、を備え、回転部は、検知部からの情報に基づいて、容器のうち光が透過する部分にエッジが来ないように採血管を回転させることを特徴とする。
【0045】
係る特徴により、本実施例に係る検出装置は、図3および4にて詳述した、ラベルのエッジが光る事による液面位置の誤認識、計算誤差を抑制する事ができる。
【0046】
上記では、ラベルのエッジが抽出されなくなるまでカメラによる撮像と画像処理を繰り返す事としたが、これに限るものではない。例えば、一度採血管を撮像して回転角度を算出し、計算された角度分回転させ、透過光強度プロファイルを取得して液面位置を計算してもよい。このように一度の撮影で回転角度を決めることにより処理時間が短縮され、処理のスループットを上げることが可能となる。
【0047】
このような方法により、血餅303と分離剤302の境界面を算出すれば、分離剤302の高さは採血管により決まっているため、血清301と分離剤302の液面位置を計算により求める事ができる。また、血清301と空気の液面位置を静電容量センサなどで計測すれば、血清301の上面と下面の位置がわかることとなり、血清の量を計算することができる。
【0048】
なお、本実施例では2次元カメラでラベルのエッジを抽出することを説明したが、2次元カメラの種類に依存するものではなく、例えば、CCD、CMOSカメラのいずれでもよい。また、2次元カメラで撮像する例を示したがこれに限るものではなく、光沢センサなどでラベルのエッジを計測してもよい。
【0049】
また、本液面検出ユニットは遠心分離モジュール付近に配置されるとして説明したがこれに限るものではない。
【0050】
なお、本実施の形態のユニットの機能は、液面位置測定という結果の値にバラツキが入り込みやすい分野である。そのため、自動で、定期的に既知分量・既知液面位置の検体を測定し、測定結果が正しいか否かのチェックと、必要ならば、チェック結果に基づいて、結果を補正する機能を備えたり、その結果を表示するなどの機能を備えたりすることが望ましい。
【実施例2】
【0051】
実施例1では、ラベルのエッジが受光センサ側に向く事を、採血管を回転させることにより避ける方法を説明したが、本実施例では採血管を回転させることなく、液面位置の誤検出を低減する方法を説明する。
【0052】
図7は本発明第2の実施例に係る動作フローである。まず採血管を採血管ホルダに設置する(701)。その後、カメラ508で採血管205の画像を撮像する(702)。画像処理エンジン509で、撮像した画像からラベル206のエッジを抽出する(703)。ラベルエッジの抽出結果を元に、液面位置計算に用いるパラメータを設定する。また、並行して、光源501および受光センサ502を鉛直方向に移動させながら透過光強度のプロファイルを取得する(705)。ラベルエッジの抽出結果および、透過光強度データはコントローラ512に伝送される(704、705)。コントローラ512では、ラベル206のエッジが抽出されたか、されなかったかによって、液面位置の算出方法を変更する。具体的には、例えば、ラベルエッジが抽出された場合は、エッジが光るため、透過光強度のプロファイルが血餅部分でもノイズレベルとならないことを考慮して液面位置を計算するように計算のパラメータを変更する(707)。より具体的には、例えば、液面位置の計算に用いる閾値を、エッジが検出された場合には高くする。これらのパラメータの変更においては、光源からの光の強度や受光センサのノイズレベルの値などが重要な要素となる。このような液面検出ユニットの特性を表すパラメータは、ユーザインタフェースを通じて入力する。
【0053】
このように、本実施例に係る検出装置は、1つの容器(採血管205)に収納され、2つ以上の成分から構成される試料(血液等)に対して検出を行う検出装置であって、容器に貼られたラベルのエッジの位置を検知する検知部(508および509)と、容器に光を照射する照射部(501)と、容器を透過した光を受光する受光部(502)と、受光部からの信号を元に成分の境界面位置(液面位置)を算出する計算部(コントローラ512)と、を備え、計算部は、検知部からの情報に基づいて、境界面位置の算出方法を変えることを特徴とする。算出方法を変える具体例としては、検知部でラベルのエッジが検出された場合に、計算部が、境界面の位置を算出する際の閾値を変える方法がある。
【0054】
係る特徴により、本実施例に係る検出装置は、エッジが受光センサ側にあった場合においても、液面位置の誤検出を抑制することができる。また、計算によりエッジの影響を除外するため、回転制御をする必要がなく、処理速度を向上することができる。また、画像処理と透過光強度プロファイルを同時に行うことが出来るため、スループットを上げることが可能となる。
【実施例3】
【0055】
本発明第3の実施例に係る装置の構成について図8ないし図11を用いて説明する。図8は本発明第3の実施例に係る遠心分離機の構成図の一例である。遠心分離機801は、スイングロータ802、および、複数のバケット803a,803b,・・・から構成される。なお、添え字のa,b,・・・は同一の構成要素であることを示し、特に必要のない場合は省略する。
【0056】
遠心分離を行う採血管は、バケット803に入れる。バケット803はスイングロータ802に固定されており、遠心分離時は遠心力によりバケット803が水平となる。採血管内の血液は、遠心力によって比重が比較的軽い血清成分と、比重が比較的重い血餅成分とに分離される。
【0057】
この遠心分離機のバケット803には、複数の採血管を入れる場所がある。このように複数の採血管を入れることができるバケットの場合、原理的に遠心分離時の液面は傾きが生じるものがある。図9は、バケットの場所により液面が傾く事を説明するための模式図である。バケット803に採血管205e,205f,205gが入れられている。採血管205fは遠心分離機の回転中心とバケットの中心を結ぶ直線901上に配置されている。一方、採血管205e,205gはこの直線901からずれた位置に配置されている。採血管205内の血液、および、分離剤にかかる遠心力は、回転中心を通る半径方向の力となる。回転中心とバケットの中心を結ぶ直線901上に置かれた採血管205fには、採血管の軸方向に遠心力がかかる。このため、遠心分離後の液面は、水平となる。一方、回転中心とバケットの中心を結ぶ直線901からずれた場所に設置された採血管205e、205gは、遠心力がかかる方向と、採血管の軸の方向とにずれが生じる。液面は遠心力のかかる方向に垂直な方向に形成されるため、このような採血管では、液面が水平に形成されず、傾きを持った液面が形成されることになる。
【0058】
図10に回転中心を通る直線上の採血管205fと、軸からずれた場所に設置した採血管205e,205gでの、液面位置測定結果1001の例を示す。横軸は、採血管のどの方向から光を当てたかを示す角度である。添え字のe,f,gがそれぞれ対応する。直線901上の採血管205fは、液面が水平であるため、どの方向から計測するかに依存せず、ほぼ一定の液面位置となる(1001f)。一方、軸からずれた場所に設置した採血管205e,205gでは、液面が傾いているため、液面位置が光を当てる方向に依存する(1001e,1001g)。このため、一方向から計測した場合は液面位置の計測誤差が生じる。
【0059】
本実施例では、遠心分離機のバケット内の採血管の位置の情報を、液面検出の制御に用いる事で液面位置の計測誤差を低減する。図11に本実施例の液面検出ユニットの構成を示す。光源501、光源用のドライバ505、受光センサ502、受光回路506、採血管ホルダ503、光源および受光センサの上下移動機構504、および上下制御ドライバ507、回転機構510、回転制御ドライバ511、採血管移動機構1101、採血管移動制御ドライバ1102、採血管位置情報管理メモリ1103、コントローラ1104、入出力インタフェース1105、ユーザインタフェース1106、データバス515から構成される。
【0060】
採血管移動機構は、遠心分離機801のバケット803に置かれ遠心分離された採血管205を、液面検出用の採血管ホルダ503に移動する。この移動機構1101の制御は移動制御ドライバ1102にて行う。バケット803内での採血管の位置情報は、採血管位置情報メモリ1103で、採血管のIDなどとともに管理される。コントローラ1104は、採血管の移動などの制御を行う。
【0061】
図12に、本実施例の液面検出ユニットの動作フローを示す。採血管移動機構1101により、遠心分離後の採血管205をバケット803から取り出し、採血管ホルダ503に移動する(1201)。この際、採血管が任意の方向に回転しないように、採血管を固定して移動する。コントローラ1104で、取り出した採血管205のバケット803内での位置情報から回転すべき角度を計算する(1202)。採血管を回転させる角度は、例えば、バケットの位置から、最上位の液面位置となる方向を計算する。あるいは、中間値となる方向を計算するなどが考えられるが、これに限るものではない。具体的には、液面は、回転中心とバケットの中心を結ぶ直線901側が低く、その逆側が高くなる。従って、例えば、直線901と平行な方向から光を当てることにより、液面の傾きの影響をなくした検出が可能となる。
【0062】
その後、計算した角度に基づき回転機構510を用いて採血管の向きを調整する(1203)。採血管の向きの調整後、光源501、受光センサ502を移動させながら透過光強度を計測する(1205)。計測した透過光強度データはコントローラ1104に伝送され(1205)、コントローラで液面位置の計算を行う(1206)。
【0063】
このように本実施例に係る検出装置は、1つの容器(採血管205)に収納され、遠心分離機(801)により2つ以上の成分に分離された試料(血液等)に対して検出を行う検出装置であって、容器に光を照射する照射部(501)と、容器を透過した光を受光する受光部(502)と、遠心分離機内で容器が設置された場所の情報に基づいて、容器を回転する角度を算出する算出部(コントローラ1104)と、容器を前記角度分回転させる回転部(510および511)と、を備えることを特徴とする。係る特徴によって、遠心分離のバケットの位置に依存せず、常に最上位、平均値などの液面位置を安定に測定することが可能となる。具体例には、前記角度を、遠心分離機の回転中心と前記バケットの中心を結ぶ直線と平行に前記照射部が配置される角度とするのが好適である。
【0064】
なお、本発明では、採血管移動機構によりバケットから採血管ホルダに採血管を移動する構成としたが、採血管の向きが保存されればよいため、これに限るものではない。例えば、バケットから採血管を取り出しながらに液面位置を計測してもよい。この際は、光源と受光センサの向きをバケットの位置により調整し、液面検出を行う方向を調整すればよい。
【0065】
また、本実施例の液面検出ユニットは、遠心分離機内での採血管の位置情報を考慮して液面位置を計算するため、遠心分離モジュールとセットで用いるというのが特徴の1つである。
【0066】
また、採血管ホルダに爪があり、光源および受光センサの光路に爪がかかるような場合は、予め計算された回転角度と逆の角度分、採血管ホルダを回転させておき、採血管を設置したのち、元の角度に戻すという方法もよい。このように制御することで採血管ホルダの爪が光路にかかることをなくすことができる。
【実施例4】
【0067】
実施例3では、採血管を回転させることにより、バケット内での採血管の位置の影響を除外したが、本実施例では、計算により採血管の位置の影響を抑制する。すなわち、バケットの位置に基づき、測定された液面位置を補正し、出力を行う。
【0068】
図13に本実施例の液面検出ユニットの動作フローを示す。まず、採血管移動機構1101により、遠心分離後の採血管205をバケット803から取り出し、採血管ホルダ503に移動する(1301)。この際、採血管が任意の方向に回転しないように、採血管を固定して移動する。その後、光源501、受光センサ502を移動させながら透過光強度を計測する(1302)。計測した透過光強度データはコントローラ1104に伝送され(1303)、コントローラで液面位置の計算を行う(1304)。また、コントローラ1104では、バケット803内での採血管の位置情報から、計算した液面位置の補正値を計算する(1305)。この補正値を元に、最終的な液面位置を計算する(1306)。
【0069】
このように、本実施例に係る検出装置は、1つの容器(採血管205)に収納され、遠心分離機(801)により2つ以上の成分に分離された試料の、前記2つ以上の成分の境界面を検出する検出装置であって、容器に光を照射する照射部(501)と、容器を透過した光を受光する受光部(502)と、受光部からの信号を元に前記成分の境界面の位置を算出する計算部(コントローラ1104)と、を備え、計算部は、遠心分離機内で前記容器が設置された場所の情報に基づいて、前記境界面の位置を補正することを特徴とする。係る特徴によって、本実施例に係る検出装置は、採血管の位置に起因する液面傾きによる計測誤差を低減することができる。また、実施例3と比べて回転制御する必要はなく、一定の方向から光を当て液面位置を計測すればよく、演算のみでバケットの位置の影響を除外することができる。
【0070】
採血管には、様々な種類が存在し、各ユーザーがそれぞれの用途に応じて使い分けを行っている。形状も多種にわたっており、径が異なるもの(例えば直径16mm、13mm)、高さが異なるもの(例えば75mm、100mm)、異なる栓を持つものなどが混在して使用される。従って、計算により液面位置を補正する際は、この採血管の情報をパラメータとして用いる事で、補正の精度を上げることができる。採血管の情報は、入出力インタフェースを通じて入力するが可能である。また、カメラ等を用いて画像処理で採血管の直径や高さなどの情報を取得して、計算パラメータとして用いてもよい。
【実施例5】
【0071】
実施例3ないし実施例4で示した制御を行うと、受光センサ側にラベルのエッジが向く場合がある。実施例1で示したようにラベルエッジが受光センサ側に向くと液面位置の計測の誤差となる。これを回避するためにはバケット803に採血管205を入れる前にカメラにより画像を撮像し、ラベルエッジを認識する方法がある。ラベルエッジを認識し、液面位置計測時にラベルエッジが受光センサ側にこないような方向に採血管205を回転し、バケット803に入れる。このようにすることで、ラベルエッジが受光センサ側に向く事を回避でき、液面位置の誤検出の抑制、計測精度の向上が可能となる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
100…前処理システム、101…搬送ライン、102…投入モジュール、103…遠心分離モジュール、104…開栓モジュール、105…ラベラ、106…分注モジュール、107…閉栓モジュール、108…分類モジュール、109…収納モジュール、110…制御用PC、111…自動分析装置、112…液面検出ユニット、201,501…光源、202,502…受光センサ、203,503…採血管ホルダ、204,504…上下移動機構、205…採血管、206…ラベル、301…血清、302…分離剤、303…血餅、505…光源用ドライバ、506…受光回路、508…カメラ、509…画像処理エンジン、507…上下制御ドライバ、510…回転機構、511…回転制御ドライバ、512,1104…コントローラ、513,1105…入出力インタフェース、514,1106…ユーザインタフェース、データバス…515、801…遠心分離機、802…スイングロータ、803a,803b…バケット、1101…採血管移動機構、1102…採血管移動制御ドライバ、1103…採血管位置情報管理メモリ。
図1
図6
図7
図12
図13
図2
図3
図4
図5
図8
図9
図10
図11