(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931063
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20160526BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20160526BHJP
C23C 16/511 20060101ALI20160526BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101D
H01L21/31 C
C23C16/511
H05H1/46 B
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-522022(P2013-522022)
(86)(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-501027(P2014-501027A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2011006391
(87)【国際公開番号】WO2012066779
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年11月14日
(31)【優先権主張番号】61/458,153
(32)【優先日】2010年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】野沢 俊久
(72)【発明者】
【氏名】デン サイチュウ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝
(72)【発明者】
【氏名】三原 直輝
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】茂山 和基
(72)【発明者】
【氏名】吉川 潤
【審査官】
溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−346226(JP,A)
【文献】
特開平09−115880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/511
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置するための載置台を備える処理容器と、
第1のガスの導入口を介して前記処理容器内に第1のガスを供給するように構成された第1のガス供給ユニットと、
前記第1のガスの導入口を介して供給された前記第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させるように構成された第1のプラズマ発生ユニットと、
第2のガスの導入口を介して前記処理容器内に第2のガスを供給するように構成された第2のガス供給ユニットと、
前記第2のガスの導入口を介して供給された前記第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるように構成された第2のプラズマ発生ユニットと、
を具備し、
前記第2のプラズマは、前記第1のプラズマとは別個に前記第2のプラズマ発生ユニットを用いて生成されるプラズマであり、
前記載置台からの前記第2のガスの導入口の高さが、前記載置台からの前記第1のガスの導入口の高さよりも低く、
前記第1のガスの導入口は、前記載置台に対して垂直上方において前記処理容器の上側部分に位置し、前記載置台に向けて開口しており、前記第1のプラズマ発生ユニットによって生成される前記第1のプラズマを、前記載置台に対して垂直な方向に拡散するよう構成されており、
前記第2のガスの導入口は、前記処理容器の側壁部に位置し、前記処理容器の内方側に向けて開口しており、前記第2のプラズマ発生ユニットによって生成される前記第2のプラズマを、前記載置台に平行な方向に拡散するよう構成されている、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第2のプラズマ発生ユニットは、前記第2のガスが前記処理容器内に進入した直後に、前記第2のガスの少なくとも一部を前記第2のプラズマへと転化させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のプラズマ発生ユニット及び前記第2のプラズマ発生ユニットが、互いに分離している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のプラズマ発生ユニットが、第1のマイクロ波を発生するように構成された第1の機構を備え、前記第2のプラズマ発生ユニットが、第2のマイクロ波を発生するように構成された第2の機構を備え、前記第1のマイクロ波及び前記第2のマイクロ波の周波数が、互いに異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のガス及び前記第2のガスの量比を調節するための制御装置を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のガスが、臭化水素を含有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のプラズマ発生ユニットが、
マイクロ波を発生するように構成された機構と、
前記マイクロ波の偏波特性を変更するように構成された部材と、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記部材が、
第1の誘電体窓及び第2の誘電体窓と、
複数のスロットを備え、前記第1の誘電体窓と前記第2の誘電体窓との間に位置する導体と、
を具備する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のプラズマ発生ユニットが、誘導結合プラズマを発生するように構成されたコイルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のガスが、異なる解離定数を有する少なくとも2つのガスを含有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
基板を載置するための載置台を備える処理容器内において実施されるプラズマ処理方法であって、
第1のガスの導入口から前記処理容器内に第1のガスを供給する工程と、
第1のプラズマ発生ユニットを用いて、前記第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させる工程と、
第2のガスの導入口から前記処理容器内に第2のガスを供給する工程と、
前記第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させる工程と、
を含み、
前記第2のプラズマは、前記第1のプラズマとは別個に第2のプラズマ発生ユニットを用いて生成されるプラズマであり、
前記載置台からの前記第2のガスの導入口の高さが、前記載置台からの前記第1のガスの導入口の高さよりも低く、
前記第1のガスの導入口は、前記載置台に対して垂直上方において前記処理容器の上側部分に位置し、前記載置台に向けて開口しており、前記第1のプラズマ発生ユニットによって生成される前記第1のプラズマを、前記載置台に対して垂直な方向に拡散するよう構成されており、
前記第2のガスの導入口は、前記処理容器の側壁部に位置し、前記処理容器の内方側に向けて開口しており、前記第2のプラズマ発生ユニットによって生成される前記第2のプラズマを、前記載置台に平行な方向に拡散するよう構成されている、
方法。
【請求項12】
前記第2のガスの少なくとも一部は、前記第2のガスが前記処理容器内に進入した直後に、前記第2のプラズマへと転化される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のガスが、臭化水素を含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のガスが、プラズマ発生ユニットにより転化され、前記ユニットが、
マイクロ波を発生するように構成された機構と、
前記マイクロ波の偏波特性を変更するように構成された部材と、
を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のガスが、プラズマ発生ユニットにより転化され、前記ユニットが、誘導結合プラズマを発生するように構成されたコイルを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のガスが、異なる解離定数を有する少なくとも2つのガスを含有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]本出願は、2010年11月17日に出願された米国特許仮出願第61/458,153号の優先権を主張するものであり、同仮出願の内容を、その全体において参照することにより本明細書に援用するものである。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
[0003]LSI(Large Scale Integrated circuit:大規模集積回路)及びMOS(Metal Oxide Semiconductor:金属酸化物半導体)等の半導体素子は、半導体ウエハ及びガラス基板等の基板に対して、エッチング、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)、及びスパッタリング等の処理を施すことにより製造される。ここで、プラズマは、かかる処理のためのエネルギー源として使用し得る。かかるプラズマ処理の例には、プラズマエッチング、プラズマCVD、プラズマALD、プラズマスパッタリング、プラズマドーピングが含まれる。
【0004】
[0004]半導体素子の製造においては、基板を面内均一に処理することが求められている。しかし、かかる均一性を妨げる多数の偏りが存在する。これらの偏りは、装置の機差又は装置内におけるプラズマ分布の非均一性に起因し得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明の一態様によれば、プラズマ処理装置が提供される。この装置は、基板を載置するための載置台を備える処理容器と、処理容器内に第1のガスを供給するように構成された第1のガス供給ユニットと、第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させるように構成された第1のプラズマ発生ユニットと、処理容器内に第2のガスを供給するように構成された第2のガス供給ユニットと、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるように構成された第2のプラズマ発生ユニットと、を具備する。この装置においては、載置台からの第2のガスの導入口の高さは、載置台からの第1のガスの導入口の高さよりも低い。
【0006】
[0006]本発明の第2の態様によれば、プラズマ処理装置が提供される。この装置は、基板を載置するための載置台を備える処理容器と、処理容器内に第1のガスを供給するように構成された第1のガス供給ユニットであって、その第1のガスの導入口が処理容器の上側部分に位置する、該第1のガス供給ユニットと、第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させるように構成された第1のプラズマ発生ユニットと、処理容器内に第2のガスを供給するように構成された第2のガス供給ユニットであって、その第2のガスの導入口が処理容器の側壁部に位置する、該第2のガス供給ユニットと、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるように構成された第2のプラズマ発生ユニットと、を具備する。
【0007】
[0007]本発明の第3の態様によれば、プラズマ処理方法が提供される。この処理は、基板を載置するための載置台を備える処理容器内において実施される。この方法は、第1の導入口から処理容器内に第1のガスを供給するステップと、第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させるステップと、第2の導入口から処理容器内に第2のガスを供給するステップと、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるステップとを含む。この方法においては、載置台からの第2の導入口の高さは、載置台からの第1の導入口の高さよりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008] 本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図である。
【
図2】
図1に示す装置のスロットアンテナ板の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一変形例の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一変形例の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一変形例の断面図である。
【
図6A】本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図である。
【
図6B】
図6Aに示す装置の第2のガス供給ユニットの概略図である。
【
図7A】本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図である。
【
図11】酸素ガス濃度と酸化速度又は酸素発光との間の関係の一例を示すグラフである。
【0009】
[0009]以下、本発明の好ましい例示的な実施形態を示す添付の図面を参照として、本発明の実施形態を説明する。以下の説明は、本開示の範囲、適用性、又は構成を限定するように意図されていない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の説明は、本開示の好ましい例示的な実施形態の実装を可能にするための説明を当業者に与えるものである。本発明は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、異なる形態において具現化し得る点に留意されたい。
【0010】
[0010]
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図を示している。装置201は、処理容器12と、処理容器12内に第1のガス流F
1を供給するように構成された第1のガス供給ユニット61と、第1のマイクロ波発生器15Aを備える第1のプラズマ発生ユニットと、処理容器12内に第2のガス流F
2を供給するように構成された第2のガス供給ユニット202と、第2のマイクロ波発生器15Bを備える第2のプラズマ発生ユニットと、を具備する。処理容器12は、基板Wを載置するための載置台14を備える。第1のガスの導入口66A及び第2のガスの導入口66Bは、載置台14からの高さが異なる。より具体的には、載置台14からの第2のガスの導入口66Bの高さは、載置台14からの第1のガスの導入口66Aの高さよりも低い。
図1に示す装置201においては、第1のガスの導入口66Aは、処理容器12の上側部分に位置し、第2のガスの導入口66Bは、処理容器12の側壁部に位置する。
【0011】
[0011]装置201は、処理容器12の内部の排気を行うための排気装置36を備える。また、排気装置36は、処理容器12内の圧力を所望の圧力へと調節するための圧力調節手段として機能する。載置台14においては、RF(radio frequency:高周波)バイアス用の高周波電源37が、マッチングユニット38を介して載置台14の電極に電気的に接続されている。バイアス電源手段としての高周波電源37は、基板Wに引き込むイオンのエネルギーを制御するのに適した一定の周波数、例えば13.56MHzの高周波を出力する。この周波数は、所定のパワーで出力され、載置台14に供給される。マッチングユニット38は、高周波電源37のインピーダンスと負荷側のインピーダンスとの整合をとるためのインピーダンス整合ボックスを収容している。この負荷側には、電極、プラズマ、処理容器12、等が主に含まれる。このインピーダンス整合ボックスの内部には、自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれる。また、図示しないが、基板Wを支持するための支持機構、及び温度を調整するための温度調節機構を設けることが可能である。
【0012】
[0012]第1のガス供給ユニット61は、第1のガスの導入口66Aを備えており、第1のガスが第1のガスの導入口66Aを通って基板Wに向かって供給される。第2のガス供給ユニット202は、円形中空部材を備え、第2のガスの導入口66Bを備えており、第2のガスが第2のガスの導入口66Bを通って、径方向において処理容器12の内方側に向かって供給される。第1のガス供給ユニット61及び第2のガス供給ユニット202はそれぞれ、処理容器12の外部から処理容器12の内部にプラズマ処理用のガス等のガスを供給する。
【0013】
[0013]第1のプラズマ発生ユニットは、第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させるように構成されている。第1のプラズマ発生ユニットは、第1のマイクロ波を発生するように構成された第1のマイクロ波発生器15Aと、第1のマイクロ波の偏波特性を変更するように構成された部材と、を備えている。この部材は、第1の誘電体板28A、第1の誘電体窓16A、及び第1の誘電体板28Aと第1の誘電体窓16Aとの間に位置する第1のスロットアンテナ板30Aを備えている。
【0014】
[0014]先述のように、第1のマイクロ波発生器15Aは、第1のマイクロ波を発生するように構成されている。第1のマイクロ波発生器15Aにより発生される第1のマイクロ波は、第1の導波管23A及び第1の同軸導波管24Aを通って導かれ、第1の誘電体板28Aに到達する。第1の誘電体板28Aに伝播された第1のマイクロ波は、第1のスロットアンテナ板30Aに設けられた複数のスロットを通過する。これらのスロットから放射された第1のマイクロ波は、第1の誘電体窓16Aに伝播する。第1の誘電体窓16Aを通過した第1のマイクロ波は、第1の誘電体窓16Aの直下に電界を生じさせ、第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させる。第1の誘電体窓16Aの直下において生じた第1のプラズマは、第1の誘電体窓16Aから離れる方向、すなわち載置台14の方向に拡散し続ける。
【0015】
[0015]
図2は、
図1に示す装置のスロットアンテナ板の概略図を示している。
図2に示すスロットアンテナ板30Aは、導体から作製されるものであり、薄い円盤形状をなしている。板厚方向に貫通する複数のスロットが、スロットアンテナ板30に設けられる。各スロットは、ある方向に細長い第1の長尺スロット41と、第1の長尺スロット41に対して垂直な第2の長尺スロット42とが、互いに隣接し、対を形成するように、構成されている。具体的には、これらのスロットは、隣接し合う2つのスロットが対を成しT字状となるように、配置される。このように設けられたスロット対43は、内周側に配置された内周側スロット群44と、外周側に配置された外周側スロット群45とに大別される。内周側スロット群44においては、7対のスロット対43がそれぞれ、周方向に等間隔で配置されている。外周側スロット群45においては、28対のスロット対43がそれぞれ、周方向に等間隔で配置されている。また、貫通孔46が、スロットアンテナ板30の径方向の中央に設けられている。スロットアンテナ板30は、中心47を中心とした回転対称性を有する。スロットアンテナ板30に設けられるスロットの構成は、任意であり、
図2に示すものと異なることが可能である点に留意されたい。
【0016】
[0016]第1の誘電体窓16Aは、所定の板厚を有する略円形の板である。第1の誘電体窓16Aは、誘電体材料から構成されている。この誘電体材料としては、シリカ、石英、窒化アルミニウム、及びアルミナを例に挙げることが可能である。第1の誘電体窓16Aは、環状部材217の上に取り付けるように、装置201に対して気密的に封止固定される。第1の誘電体窓16Aは、板厚方向においてテーパ状の窪みを有する凹部27を有する。その結果、様々なプラズマ条件に応じて、第1の誘電体窓16Aの下方領域におけるプラズマの高い安定性を確保することが可能となる。
【0017】
[0017]同様に、第2のプラズマ発生ユニットは、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるように構成されている。第2のプラズマ発生ユニットは、第2のマイクロ波を発生するように構成された第2のマイクロ波発生器15Bと、第2のマイクロ波の偏波特性を変更するように構成された部材とを備えている。この部材は、第2の誘電体板28B、第2の誘電体窓16B、及び第2の誘電体板28Bと第2の誘電体窓16Bとの間に位置する第2のスロットアンテナ板30Bを備える。第2の誘電体板28B及び第2の誘電体窓16Bは、処理容器12の側壁部を囲むリング形状を有し得る。第2のスロットアンテナ板30Bは、複数のスロット孔を備える導体であってもよい。これらのスロット孔は、第2のスロットアンテナ板30Bに部分的に又はその全体に設けられてもよい。
【0018】
[0018]第2のマイクロ波発生器15Bは、第2のマイクロ波を発生するように構成されている。第2のマイクロ波発生器15Bにより発生された第2のマイクロ波は、第2の導波管23B及び第2の同軸導波管24Bを通って導かれ、第2の誘電体板28Bに到達する。第2の誘電体板28Bに伝播された第2のマイクロ波は、第2のスロットアンテナ板30Bに設けられた複数のスロットを通過する。これらのスロットから放射された第2のマイクロ波は、第2の誘電体窓16Bに伝播する。第2の誘電体窓16Bを通過した第2のマイクロ波は、第2の誘電体窓16Bの直脇に電界を生じさせ、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させる。第2の誘電体窓16Bの直脇において生じた第2のプラズマは、第2の誘電体窓16Bから離れる方向に拡散し、次いで重力の作用により、第1のプラズマと共に載置台14の方向に拡散する。
【0019】
[0019]上述のように生じた第1のプラズマ及び第2のプラズマは、基板Wに対して協働的に作用する。したがって、基板14には、プラズマエッチング、プラズマCVD、プラズマスパッタリング、等々のプラズマ処理が施される。先述のように、載置台14からの第2のガスの導入口66Bの高さは、載置台14からの第1のガスの導入口66Aの高さよりも低い。したがって、第2のプラズマが発生する領域の高さは、第1のプラズマが発生する領域の高さよりも低い。本発明者らは、第1プラズマの電子温度が、載置台14に接近するにつれて、特に載置台14の外周部に対応する領域において、より低くなることを発見した。装置内におけるプラズマ分布のかかる非均一性は、基板の面内均一処理を妨げる一因となり得る。この知見から、本発明者らは、第1のプラズマを発生するためのユニットの下方に第2のプラズマを発生するためのユニットを導入することにより、プラズマ密度分布を補償することが可能となるという着想を抱いた。実際に、かかる構成の使用は、基板のプラズマ処理の面内均一性の改善に対して有意な効果を有することが判明している。
【0020】
[0020]装置201においては、プラズマ処理の面内均一性は、第1のプラズマ発生ユニットのパワー、第2のプラズマ発生ユニットのパワー、第1のガスの量、及び第2のガスの量の中の少なくとも1つを制御することにより調節することが可能である。例えば、装置201は、第1のプラズマ発生ユニット及び第2のプラズマ発生ユニットのパワー比を調節するための制御装置を更に備えていてもよい。別個に、又は追加的に、装置201は、第1のガス及び第2のガスの量比を調節するための制御装置を更に備えてもよい。これらの制御装置は、プラズマ処理の面内均一性のより精密な調節を可能とし得る。
【0021】
[0021]好ましくは、処理容器12の内側に対面する第2のプラズマ発生ユニットの境界面は、第2のガスの導入口66Bの付近に位置する。
図1に示す装置201においては、例えば、この境界面は、第2のガスの導入口66Bの直上に位置する。かかる構成の使用により、第2のプラズマ発生ユニットは、第2のガスが処理容器12に進入した直後に、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させることが可能となる。第2のガスが第2のプラズマへと即座に転化されることにより、プラズマ処理の面内均一性をより精密に制御することが可能となる。
【0022】
[0022]第1のガス及び第2のガスに関しては、プラズマへと転化され得るあらゆる種類のガスを使用することができる。したがって、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、臭化水素(HBr)、アンモニア(NH
3)、窒素(N
2)、トリフルオロメタン(CHF
3)、フッ化炭素(C
xF
y)、及びそれらの組合せを例として挙げることが可能である。第1のガスの種類及び第2のガスの種類は、同一であってもよく、又は互いに異なるものであってもよい点に留意されたい。
【0023】
[0023]本発明者らは、第1のガスが臭化水素(HBr)を含有し、第2のガスが使用されない場合には、プラズマ処理の面内均一性が比較的低いものとなることを発見した。したがって、第1のガスが、臭化水素(HBr)を含有する場合には、装置201において第2のプラズマにより第1のプラズマを補償することが、特に有効である。
【0024】
[0024]また、本発明者らは、アンモニア(NH
3)、窒素(N
2)、及びトリフルオロメタン(CHF
3)等のガスの解離には、臭化水素のようなガスの場合に比べてより高いエネルギーが必要となることを発見した。装置201においては、第2のガスの導入口66B付近の電子温度は、第2のプラズマ発生ユニットの存在に起因して高温となる。したがって、プラズマ処理の面内均一性は、アンモニア(NH
3)、窒素(N
2)、及びトリフルオロメタン(CHF
3)等のガスが第2のガスとして使用される場合であっても、容易に実現することが可能となる。
【0025】
[0025]さらに、プラズマ処理の面内均一性は、解離定数が異なる2つ以上のガスを第2のガスとして使用することによって改善することが可能である。解離定数の異なる2つ以上のガスの混合気の使用により、処理容器12における第2のプラズマの分布をより精密に制御することが可能となる。例えば、アンモニア(NH
3)は、1eVにて1×10
−13cm
2/sを上回る高い解離定数を有する。他方において、窒素(N
2)及びトリフルオロメタン(CHF
3)は、共に1eVにて1×10
−14cm
2/s未満のより低い解離定数を有する。高い解離定数を有するガス及び低い解離定数を有するガスを含有する2つ以上のガスの混合気を第2のガスとして使用することにより、並びに、それらのガスの量比を制御することにより、第2のプラズマの解離のより精密な制御を実現することが可能となる。
【0026】
[0026]
図1に示す装置201においては、同軸導波管が、マイクロ波を供給するために使用される。しかし、円形導波管又は矩形導波管等々の他の導波管を使用してもよい。
【0027】
[0027]
図1に示す装置201におけるように、好ましくは、第1のプラズマ発生ユニット及び第2のプラズマ発生ユニットは、互いに分離されている。かかる構成を使用することにより、マイクロ波の干渉及び共振を低減することができる。
【0028】
[0028]
図1に示す装置201においては、好ましくは、第1のマイクロ波の周波数及び第2のマイクロ波の周波数は、相互に異なる。かかる設定を使用することにより、マイクロ波の干渉及び共振を低減することができる。これら2つの周波数の差は、例えば周波数がより高いものを基準として2〜3%等に設定されてもよい。
【0029】
[0029]
図1に示す装置201においては、第2の誘電体板28Bは、第2の誘電体窓16Bの上部に設けられる。しかし、第2の誘電体板28B及び第2の誘電体窓16Bの位置的な関係は、任意である。
【0030】
[0030]
図3は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一変形例の断面図を示している。
図3に示す装置201においては、第2の誘電体板28Bは、第2の誘電体窓16Bに対して水平に設けられている。かかる構成によっても、プラズマ処理の面内均一性を改善することがやはり可能となる。図には示さないが、第2の誘電体板28Bは、第2の誘電体窓16Bの下方に設けることも可能である。
【0031】
[0031]
図1及び
図3に示す装置201においては、第1のプラズマ発生ユニット及び第2のプラズマ発生ユニットは共に、マイクロ波発生器を備えている。しかしながら、これらのユニットが双方共に、マイクロ波発生器を使用することによってプラズマを発生する必要はない。例えば、これらのユニットの少なくとも一方が、誘導結合プラズマ(ICP)を発生するように構成されたコイルといったように、マイクロ波発生器以外の別の機構を使用することによりプラズマを発生してもよい。
【0032】
[0032]
図4は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一変形例の断面図を示している。
図4に示す装置201においては、第2のプラズマ発生ユニットは、それを介して第2のガスが供給されるガス管301と、ガス管301の外側に配置されたコイル300と、を備えている。コイル300は、誘導結合プラズマ(ICP)機構により第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるための磁界を生成するように構成されている。かかる構成によっても、プラズマ処理の面内均一性を改善することが可能である。
【0033】
[0033]装置201は、プラズマ処理の面内均一性又は任意の他の特性を改善することが可能な追加の部品を更に備えていてもよい。
図5は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の一変形例の断面図を示している。
図5に示す装置201は、第2のプラズマ発生ユニット内に傾斜部品210を更に備える点を除けば、
図1に示す装置201と同一である。この傾斜部品210により、第2のマイクロ波によって生じた電界を第2のガスとより容易に相互作用させることを可能とすることによって、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させることをより容易とする。
【0034】
[0034]本発明の一実施形態に係るプラズマ処理方法は、典型的には装置201を使用する。この方法は、第1の導入口から処理容器内に第1のガスを供給するステップと、第1のガスの少なくとも一部を第1のプラズマへと転化させるステップと、第2の導入口から処理容器内に第2のガスを供給するステップと、第2のガスの少なくとも一部を第2のプラズマへと転化させるステップと、を含む。ここで、載置台からの第2の導入口の高さは、載置台からの第1の導入口の高さよりも低い。
【0035】
[0035]この方法により実現されるプラズマ処理の例には、プラズマエッチング、プラズマCVD、プラズマALD、プラズマスパッタリング、及びプラズマドーピングが含まれる。この方法は、プラズマエッチングに特に有用である。特に、多層膜のエッチング工程(例えば、SiARC/有機膜/SiN/Siの3層エッチング工程)においては、それぞれの被処理膜を処理する際に第1のマイクロ波及び第2のマイクロ波のパワー、及び/又は、第1のガス及び第2のガスの量を適切に調節することによって、面内均一な処理を実施することが可能となる。
【0036】
[0036]このプラズマ処理方法は、面内処理の均一性を改善することが可能である。したがって、好ましくは、この方法は、処理すべき基板のサイズが大きな場合に使用される。例えば、この方法は、450mm超の直径を有する半導体ウエハ又はガラス基板を処理する場合に、特に有用である。
【0037】
[0037]また、プラズマ処理の面内均一性を改善するために、他の実施形態を使用することも可能である。以降においては、プラズマエッチングの例を説明する。しかし、それらの実施形態は、プラズマCVD、プラズマALD、プラズマスパッタリング、及びプラズマドーピングを含む他のプラズマ処理に対しても適用することが可能である。
【0038】
[0038]
図6Aは、本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図を示している。
図6Bは、
図6Aに示す装置の第2のガス供給ユニットの概略図を示している。
図6A及び
図6Bにおいては、アウターガス供給ユニットが複数のゾーンに分割され、それぞれのゾーンに個別にガスを供給することが可能な、プラズマ処理装置が提供される。また、異なるガス流量にてそれぞれのゾーンに対してガスを供給するような構成をとることが可能である。
【0039】
[0039]ガスは、被処理基板の外周部からチャンバの中央に向かって、又は被処理基板の方向に供給される。また、アウターガス供給ユニットは、処理容器の側壁部の内部に設けられてもよく(図示せず)、また、
図6A及び
図6Bに示すように、壁部から突出するリング形状のガス供給ユニットであってもよい。
【0040】
[0040]各ガス供給ゾーンに対して、エッチングにおいて使用される混合ガス(希ガス、CF
xガス、等々)が、スプリッタにおいて分配され、供給される。また、スプリッタを使用することによりエッチングにおいて使用される混合ガスをセンターガス供給ユニット及びアウターガス供給ユニットに分配することが可能であり、スプリッタを使用することによりアウターガス供給ユニットに分配された混合ガスを各ガス供給ゾーンに分配してもよい。各ガス供給ゾーンに対して、異なる混合比のガスが、供給されてもよい。アウターガス供給ユニットは、例えば石英又はセラミック(例えばSiC)から作製される。複数のゾーンは、3〜10個の分割部分からなることが可能であり、4〜6個の分割部分からなる複数のゾーンが、好ましい。
【0041】
[0041]各ゾーンにガスを供給するための配管と処理容器への連結セクションとしての機能を好ましくは兼任する各支持セクションは、アウターガス供給ユニットが熱膨張した場合であっても、アウターガス供給ユニットに対してかかるストレスを回避し得るように、支持されてもよい。具体的には、それぞれの支持セクションが、自由に動くように支持され得る。
【0042】
[0042]周方向において異なる流量で又は異なる種類の混合ガスにてガスを供給することにより、周方向におけるプラズマ処理の均一性を改善及び調節することが可能となる。また、ガス流量に起因する径方向におけるプラズマの偏りを補正することが可能となる。また、素子間の機差若しくは組立誤差に起因する、又はバイアス電極の構造に起因する、偏りにより引き起こされる周方向におけるプラズマ処理の均一性を補正することが可能となる。
【0043】
[0043]
図7Aは、本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図を示している。
図7Bは、
図7Aに示す装置の載置台の概略図を示している。
【0044】
[0044]
図7A及び
図7Bは、ESC(electrostatic chuck:静電チャック)が載置台の上に連結された、プラズマ処理装置を示している。ESC内部の静電吸着用の電極(第1の電極)には、ESC用の電源及び第1のRF電源が重畳されている。リング形状の電極(第2の電極)が、ESCの内部周辺部に設置されており、RF電源は、この第2の電極に接続されている。第1の電極及び第2の電極を使用して被処理基板に対して印加されるバイアスは、径方向において調節される。
図7A及び
図7Bにおいては、ブロッキングコンデンサ及びマッチングユニットの記載が省略されている点に留意されたい。
【0045】
[0045]また、複数のリング形状電極を設けることが可能である。各電極は、それぞれに対応のRF電源に対して接続される。
図7Bにおいては、第2の電極及び第3の電極が、第1の電極の下部に設けられている。このように第1の電極の下部に第2の電極及び第3の電極を設けることにより、電極の存在しない領域(切れ目)が無くなる。電極の存在しない領域は、バイアスが印加されない領域であるため、基板処理の面内均一性に影響を及ぼす恐れがある。
【0046】
[0046]また、第1の電極に対して印加されるRFの周波数並びに第2の電極及び第3の電極に対して印加されるRFの周波数は、マッチングユニットに対する干渉を考慮して対応の異なる周波数を印加するように設定することが可能である。例えば、13.56MHzのRFが、第1の電極に印加される場合には、13.28MHzのRFが、第2の電極に印加され、13.83MHzのRFが、第3の電極に印加される。周波数は、2%〜10%だけ異なることが可能である。
【0047】
[0047]また、さらに、ESCが載置台上に連結され、ESCの電極が径方向において複数の部材に分割され、これらの電極のそれぞれに、電圧を個別に制御することが可能となるようにESC用の電源及びRFの電源の印加が重畳され、被処理基板に対して印加されるバイアスが径方向において調節され得る、プラズマ処理装置を構成することが可能である。
【0048】
[0048]被処理基板に対して印加されるバイアス電圧を径方向において調節することにより、被処理基板の中心から周辺部方向に変化するエッチングレート又は形状差を調節することが可能となる。好ましくは、この調節は、ポリシリコン、窒化シリコン、及び酸化シリコンのエッチングに対して使用することが可能である。また、レジストマスクのエッチングではバイアスの変化の影響が大きいため、レジストマスクを使用することが好ましい場合がある。
【0049】
[0049]
図8は、本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図を示している。
図9は、本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図を示している。
図8及び
図9は、プラズマ処理容器内にリング形状部材を備え、リング形状部材に対してRF又はDCを印加し、リング形状部材をエッチング(スパッタリング)し、それによりプラズマ空間内のラジカル濃度を制御することを特徴とする、プラズマ処理装置を表わしている。
【0050】
[0050]処理容器の側壁部中にリング形状部材を設けることが可能である(
図8)。また、被処理基板の周辺にリング形状部材を設けることも可能である(
図9)。
【0051】
[0051]リング形状部材材料は、シリコン(Si)又は炭素(C)をベースとするものであってもよい。リング形状部材材料は、4族材料を含有する材料をベースとするものであってもよい。リング形状部材材料は、3族材料及び5族材料からなるものであってもよい。処理用に使用されるガスは、ハロゲンを含有してもよい。処理用に使用されるガスは、炭素(C)及びフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、又は水素(H)を少なくとも含有するガスであってもよい。
【0052】
[0052]リング形状部材をエッチングすることにより、プラズマ中のラジカル種及びイオン種の濃度を調節することが可能となり、被処理基板に対するエッチングにおける選択性及びエッチングレート等を向上させることが可能となる。具体的には、リング形状部材がSiであり、エッチングガスがCF
x及びArを含有する場合には、エッチングガスは、電離(プラズマへと転化)され、Fラジカルが、発生する。この際に、RFバイアスが、Siから作製されたリング形状部材に対して印加され、Siは、Arによりエッチングされる。その結果、ラジカル状態のSiが、処理容器内において発生し、SiF
4が、Si及びFの結合により形成される。Si及びFは、互いに容易に結合する。このように形成されたSiF
4は、排気され、その結果、処理容器内のFラジカルの個数が減少し得る。バイアスの大きさを変更することにより、Siのエッチング量を調節することが可能となり、また、例えば、除去されるFの量を調節することも可能となる。
【0053】
[0053]適切な結合を有するイオン及びラジカルが、所望のエッチングを実施するために必要とされるが、この構成を採用することにより、ラジカル種の濃度を制御することが可能となり、適正量のFイオン及びFラジカルを使用してSiO
2をエッチングする場合には、このエッチングは、Siに関するエッチング選択性を高めるといった効果を有する。
【0054】
[0054]リング形状部材がCから作製され、エッチングガスがCF
x及びArを含有する場合には、エッチングガスは、電離(プラズマに転化)され、Fラジカルが発生する。この際に、RFバイアスが、Cから作製されたリング形状部材に対して印加され、Cは、Arによりエッチングされる。その結果、ラジカル状態のCが発生し、Fと結合することによりCF
xを形成する。CF
xの堆積特性により、被処理基板上への堆積によって、被処理基板のエッチング量を制御することが可能となる。また、さらに、Fラジカルの個数を減少させることが可能となる。リング形状部材において使用されるCは、典型的にはグラス状カーボンである。
【0055】
[0055]
図10は、本発明の別の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例の断面図を示している。
図11は、酸素ガス濃度と酸化速度又は酸素ルミネッセンスとの間の関係の一例を示すグラフを示している。
【0056】
[0056]適量のラジカル及びイオンが、所望のエッチングを実施するために必要となるが、場合によっては、プラズマのみによる解離においてラジカル種の濃度を制御することは不可能であった。
図11の縦軸は、酸素(O)プラズマの発光強度及び酸化速度(エッチングの場合にはエッチングレートに相当する)を表し、横軸は、酸素(O
2)ガスの濃度を表す。酸素(O)プラズマの発光強度が高く、酸化速度がより速い領域(点線領域)は、不活性ガス(例えばAr)の濃度を基準とする酸素(O
2)ガス濃度が2%〜3%である領域である。この領域は、処理速度を加速させるためにスループットを高めるのに望ましい領域である。しかしながら、この領域においては、ラジカル濃度が、ガスの流量の変動により変化しやすいため、処理の再現性の問題又は素子間の機差により、制御が困難であった。
【0057】
[0057]
図10は、プラズマ処理において使用される一以上のガスを間欠的に(ON/OFF)供給するための、又は流量を反復的に変更するための、制御装置を有することを特徴とするプラズマ処理装置を示している。
【0058】
[0058]ガス流を増加した場合に凸形状又は凹形状において変化するピーク領域付近に位置する流量領域を反復することを目的として、ガスのON/OFF又は流量制御が実施される。これにより、これらの特徴が、平均化され、それにより、再現性及び素子間の機差の緩和が実現される。このガスに関して、ON/OFFは、典型的には、1秒当たり約0.5〜1の間隔で調節され、又は、流量は、1秒当たり約0.5〜1の間隔で調節することが可能である。
【0059】
[0059]特に、理想的には、このガスのON/OFF又は流量制御は、O
2又はハロゲンを含有するガスを使用するエッチング処理、アッシング処理、酸化処理、CVD処理、及びALD処理において、利用することが可能である。
【0060】
[0060]具体的な装置及び方法に関連して本開示の原理を上記において説明したが、この説明は、専ら例としてなされたものであり、本発明の範囲を限定するものではないことが、自明なものとして理解されよう。