(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分が、ケイ素原子に結合した一価の脂肪族不飽和基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(但し、前記脂肪族不飽和基と前記水素原子の少なくとも一方は、一分子中に少なくとも3個存在する)との付加反応物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の水分散液。
(A)体積累積90%径(D90)0.3〜20μmを有するシリコーンゴム粒子の表面に(B)HLB値が12.8〜15.1であり、炭素数18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくとも1種が付着して成り、(D)ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレートから選択される少なくとも1種をさらに有する、物質。
(A)成分が、ケイ素原子に結合した一価の脂肪族不飽和基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(但し、前記脂肪族不飽和基と前記水素原子の少なくとも一方は、一分子中に少なくとも3個存在する)との付加反応物である、請求項5〜7のいずれか1項記載の物質。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0018】
[シリコーンゴム粒子の水分散液]
本発明の第一の態様は、(A)シリコーンゴム粒子、(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および(C)水を含有する、シリコーンゴム粒子の水分散液である。
【0019】
(A)シリコーンゴム粒子
本発明において(A)成分であるシリコーンゴム粒子の形状は特に限定されないが、球状が好ましい。ここで「球状」とは、粒子の形状が、真球であるだけでなく、最長軸の長さ/最短軸の長さ(アスペクト比)が平均して1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.6であり、更には、1〜1.4の範囲にある変形した球であってもよいことを意味する。後記のように、液状シリコーンを、界面活性剤を用いて水に乳化分散させた後で架橋する方法によってエマルションを製造する場合、得られる粒子の形状は球状となる。該シリコーンゴム粒子の形状は、水分散液の場合は粒子の粒径がおよそ1μm以上であれば光学顕微鏡にて観察することにより確認することができる。また、水を除去すれば、1μm以下の粒径であっても、電子顕微鏡にて観察することにより形状を確認することができる。
【0020】
本発明においてシリコーンゴム粒子の体積累積90%径(D90)は、0.3〜20μmの範囲であり、より好ましくは3〜15μmである。体積累積90%径(D90)が上記上限値より大きいと、化粧料のなめらかさが低下し、またざらつき感が出る場合があり、光拡散性も低下する。該シリコーンゴム粒子は、好ましくは、体積平均粒径0.2〜15μm、より好ましくは1〜10μm、特には2〜9μmを有する。体積平均粒径が上記下限値未満であると、なめらかさや光拡散性の効果を化粧料に十分付与することができない恐れがある。また、体積平均粒径が上記上限値より大きいと、化粧料のなめらかさが低下し、またざらつき感が出る場合があり、光拡散性も低下する恐れがある。なお、体積平均粒径および体積累積90%径(D90)は、シリコーンゴムの粒径に合わせ、1μm以上は電気抵抗法にて、1μm未満はレーザー回折/散乱法にて測定される。
【0021】
シリコーンゴム粒子はべたつきがないことが好ましい。ゴム硬度が、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で、5〜90の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜80の範囲である。ゴム硬度が上記下限値未満であるとなめらかさが低下するおそれがあり、また上記上限値を超えると、柔らかな感触が乏しくなるおそれがある。
【0022】
上記シリコーンゴムは、式−(R
12SiO
2/2)
n−で示される線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化物から成るのがよい。ここで、式中のR
1は、置換又は非置換の、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、nは5〜5,000の正の整数である。
【0023】
上記R
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
【0024】
前記シリコーンゴム粒子は、硬化性液状シリコーンを硬化することにより得られるものであり、架橋構造(即ち、三次元網状構造)を有する。硬化性液状シリコーンを硬化してシリコーンゴム粒子を得る方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、白金族金属系触媒存在下で、ケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基、例えば、ビニルシリル基(≡SiCH=CH
2)を有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子、即ち、ヒドロシリル基(≡SiH)を有するオルガノ(ポリ)シロキサンとを付加反応させて製造する方法が使用できる。
【0025】
上記シリコーンゴム粒子は、より詳細には、平均式R
2aR
3bSiO
(4−a−b)/2で示され一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、平均式R
4cH
dSiO
(4−c−d)/2で示され一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(以下、SiH基という)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる液状シリコーン混合物から製造することができる。または、上記シリコーンゴム粒子は、平均式R
2aR
3bSiO
(4−a−b)/2で示され一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、平均式R
4cH
dSiO
(4−c−d)/2で示され一分子中にSiH基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる液状シリコーン混合物から製造することができる。前記液状シリコーン混合物において、1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノ(ポリ)シロキサンとオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンの配合量は、1価オレフィン性不飽和基1個に対しSiH基が0.5〜2個となるような量であるのがよい。
【0026】
上記式中のR
2は、脂肪族不飽和基を除く、置換又は非置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、R
3は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基である。a、bは、0<a<3、0<b≦3、及び0.1≦a+b≦3を満たす正数であり、好ましくは0<a≦2.295、0.005≦b≦2.3、及び0.5≦a+b≦2.3を満たす正数である。R
4は、脂肪族不飽和基を除く、置換又は非置換の炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。c、dは0<c<3、0<d≦3、及び0.1≦c+d≦3を満たす正数であり、好ましくは0<c≦2.295、0.005≦d≦2.3、及び0.5≦c+d≦2.3を満たす正数である。
【0027】
R
2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられるが、工業的には全R
2基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0028】
R
3としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、工業的にはビニル基であることが好ましい。
【0029】
R
4としては、R
2と同じものが例示される。
【0030】
オルガノ(ポリ)シロキサン及びオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンは、25℃における動粘度100,000mm
2/s以下を有することが好ましく、より好ましくは10,000mm
2/s以下である。動粘度が上記上限値を超えると、後記の製造方法において、分布の狭い粒子を得ることが難しくなる。また、オルガノ(ポリ)シロキサン及びオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンの構造は、直鎖状、環状、分岐状いずれであっても良いが、特に直鎖状が好ましい。なお、本発明において動粘度はオストワルド粘度計による測定値である。
【0031】
液状シリコーン混合物において、オルガノ(ポリ)シロキサンに結合している1価オレフィン性不飽和基と、オルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンに結合している−SiH基の少なくとも一方が、その分子中に少なくとも3個存在することが好ましい。どちらかが分子中に少なくとも3個存在しないと、得られるエラストマー硬化物はべたつきのあるものとなる。
【0032】
白金族金属系触媒は、ヒドロシリル化反応に用いられる公知又は周知の触媒であればよい。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H
2PtCl
4・kH
2O、H
2PtCl
6・kH
2O、NaHPtCl
6・kH
2O、KHPtCl
6・kH
2O、Na
2PtCl
6・kH
2O、K
2PtCl
4・kH
2O、PtCl
4・kH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・kH
2O(但し、式中、kは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。
【0033】
白金族金属系触媒の配合量は、ヒドロシリル化反応を促進するための有効量でよい。触媒の量を多くしすぎると、後記する界面活性剤のポリエーテル部分が酸化し臭気が発生する恐れがあるため好ましくない。特には、液状シリコーン混合物の合計質量に対する触媒中の白金族金属の質量換算量が0.1〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppm、更に好ましくは1〜30ppmとなる量であるのがよい。
【0034】
本発明のシリコーンゴム粒子は、例えば、下記式で示されるオルガノポリシロキサンと、
【化1】
(式中、pは、該オルガノ(ポリ)シロキサンの25℃における動粘度が100,000mm
2/s以下、好ましくは10,000mm
2/s以下となる数であり、R
2は互いに独立に上記の通りである)
下記式で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【化2】
(式中、q及びq’は、該オルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンの25℃における動粘度が100,000mm
2/s以下、好ましくは10,000mm
2/s以下となる数であり、q’≠0であり、R
4は互いに独立に上記の通りである)
とからなる液状シリコーン混合物を、上記白金族金属系触媒の存在下で反応させて得ることができる。
【0035】
または、本発明のシリコーンゴム粒子は、下記式で示されるオルガノポリシロキサンと、
【化3】
(式中、p及びp’は、該オルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が100,000mm
2/s以下、好ましくは10,000mm
2/s以下となる数であり、p’≠0であり、R
2及びR
3は互いに独立に上記の通りである)
下記式で示されるオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサン
【化4】
(式中、q及びq’は、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における動粘度が100,000mm
2/s以下、好ましくは10,000mm
2/s以下となる数であり、R
4は互いに独立に上記の通りである。)
とからなる液状シリコーン混合物を、上記白金族金属系触媒の存在下で反応させて得ることができる。
【0036】
本発明のシリコーンゴム粒子は、その粒子中に、シリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末等を含有してもよい。その配合量は従来公知のシリコーンゴム粒子に従い適宜選択すればよい。
【0037】
またシリコーンゴム粒子は、後述する(B)成分や(D)成分の酸化を防止する目的で、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、p−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、テトラジブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、エトキシキン等が挙げられる。
【0038】
水分散液中のシリコーンゴム粒子の量は、水分散液の全質量に対して5〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。シリコーンゴム粒子の量が上記下限値より少ないと、シリコーンゴム粒子あたりの生産性が低くなるし、また、化粧料に添加する水分散液の量が増加するために非効率であり好ましくない。また、シリコーンゴム粒子の量が上記上限値より多いと、水分散液の粘度が高くなり取り扱いが困難となる。
【0039】
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、水分散液や化粧料におけるシリコーンゴム粒子の分散剤として機能する。また、後述するように、シリコーンゴム粒子の水分散液の製造において液状シリコーンの乳化剤としても機能する。本発明のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル基の炭素数が18である。炭素数が18より小さいと肌への刺激性が高くなる。また炭素数が18より大きいと、液状シリコーンが乳化できない恐れがある。また、分布の狭い粒子を得ることが難しくなる。あるいは、水分散液の安定性が低下するといった問題が生じる。
【0040】
本発明において、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基は直鎖状、または分岐状である。アルキル基が直鎖状であるポリオキシエチレンアルキルエーテルとは、下記式(1)
【化5】
で示されるポリオキシエチレンステアリルエーテルである。
また、アルキル基が分岐を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルは、例えば、下記式(2)
【化6】
で示される化合物である。これらの1種を単独でまたは2種以上を併用することができる。上記式中のmは、エチレンオキサイドの付加モル数を意味する。mは2〜50の整数、好ましくは8〜30の整数、特には10〜18の整数であり、これらの1種を単独でまたは、異なる数のmを有する2種以上を併用することができる。特には、アルキル基が直鎖状である、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが好ましい。
【0041】
本発明において、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値は12.8〜15.1であり、好ましくは13.2〜14.9である。HLB値が上記下限値より低い、または上記上限値より高いと、製造段階において液状シリコーンの乳化ができないおそれがあり、また、分布の狭い粒子を得ることが難しくなる。または、水分散液の安定性が低下するという問題も生じる。なお、本発明におけるHLB値は、下記式
HLB=[ポリオキシエチレン部分の分子量/ポリオキシエチレンアルキルエーテルの分子量]×20
で示されるGriffin式で算出された値である。HLB値の異なる2種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを組み合わせて使用する場合は、上記HLB値は質量平均値となる。
【0042】
水分散液中のポリオキシエチレンアルキルエーテルの量は、水分散液の全質量に対して0.01〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、特には0.1〜3質量%である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの量が上記下限値より少ないと、製造段階において液状シリコーンの乳化ができなくなったり、分布の狭い粒子を得ることが難しくなる。また、水分散液の安定性が低下するおそれもある。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの量を上記上限値より多くしても、得られるシリコーンゴム粒子の粒径を小さくできることはなく、またシリコーンゴム粒子の水分散性能を高くできることもない。それどころか、肌への刺激性が増大する恐れがあるため好ましくない。
【0043】
(C)水
本発明において(C)成分である水は上記(A)シリコーンゴム粒子の分散媒である。また、製造段階においては液状シリコーンの分散媒となり、例えばイオン交換水を用いることができる。水の量は、水分散液中に19〜94質量%、好ましくは30〜80質量%である。
【0044】
(D)ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート
(D)成分であるポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタントリステアレートは、後述のシリコーンゴム粒子の分散液の製造において示すように、白金族金属系触媒の分散媒として使用される。白金族金属系触媒の分散媒としては(B)成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテルでもよいが、白金族金属系触媒に使用される溶媒と溶解しやすいポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートやポリオキシエチレンソルビタントリステアレートを使用することが好ましい。より好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートである。
【0045】
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタントリステアレートのステアリル基は、直鎖状、または分岐状であり、またエチレンオキサイドの付加モル数は2〜50である。これらの1種を単独でまたは付加モル数の異なる2種以上を併用することができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートとしては、例えば、付加モル数が6個のポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、付加モル数が20個のポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、付加モル数が20個のポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレートが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートとしては、例えば、付加モル数が6個のポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、付加モル数が20個のポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、付加モル数が20個のポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレートが挙げられる。これらの1種を単独でまたは付加モル数の異なる2種以上を併用することができる。(D)成分の配合量は、水分散液中に0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%であるのがよい。
【0046】
・その他の成分
本発明の水分散液には、粒子の分散性を向上させる目的等で、水溶性高分子を含んでいてもよい。水溶性高分子は特に限定されず、非イオン性水溶性高分子、アニオン性水溶性高分子、カチオン性水溶性高分子、および両イオン性水溶性高分子が挙げられるが、特には非イオン性水溶性高分子が好ましい。
【0047】
非イオン性水溶性高分子としては、例えば、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体、アクリルアミドの重合体、ビニルピロリドンの重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ポリエチレングリコール、イソプロピルアクリルアミドの重合体、メチルビニルエーテルの重合体、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、キタンサンガム等が挙げられる。
【0048】
アニオン性水溶性高分子としては、例えば、アクリル酸ナトリウムの重合体、アクリル酸ナトリウムとマレイン酸ナトリウムとの共重合体、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドの共重合体、スチレンスルホン酸ナトリウムの重合体、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムとスチレンとの共重合体、ナフタレンスルホン酸ナトリウムの重合体、カルボキシメチルデンプン、リン酸デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0049】
カチオン性水溶性高分子としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体、ビニルイミダゾリンの重合体、メチルビニルイミダゾリウムクロライドの重合体、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、エピクロルヒドリン/ジメチルアミン重合体、エチレンイミンの重合体、エチレンイミンの重合体の4級化物、アリルアミン塩酸塩の重合体、ポリリジン、カチオンデンプン、カチオン化セルロース、キトサン、及びこれらに非イオン性基やアニオン性基を持つモノマーを共重合して得られる誘導体等が挙げられる。
【0050】
両イオン性水溶性高分子としては、例えば、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドの共重合体、メタアクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドの共重合体、アクリルアミドの重合体のホフマン分解物等が挙げられる。
【0051】
本発明の水分散液は、防菌防腐剤や抗菌剤を含んでいてもよい。防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0052】
・シリコーンゴム粒子の水分散液の製造方法
シリコーンゴム粒子の水分散液は、上述した硬化性液状シリコーンに(B)成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび(C)成分である水を添加し、撹拌してエマルションとした後、白金族金属系触媒を添加し、必要に応じて上記(D)成分を添加し、さらに攪拌して硬化性液状シリコーンを硬化することによって製造できる。
【0053】
本発明の水分散液中のシリコーンゴム粒子は体積累積90%径(D90)0.3〜20μm、好ましくは3〜15μmを有する。上述した通り、体積累積90%径(D90)が上記範囲内にあることにより、化粧料の使用感、例えば、なめらかさやざらつき感が良好になる。本発明の水分散液中のシリコーンゴム粒子は、好ましくは、体積平均粒径0.2〜15μm、好ましくは2〜10μmを有する。シリコーンゴム粒子の上記粒径は、本発明のHLB値を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの量及び乳化工程で配合する水の量を、乳化方法に応じて上記範囲内で調整することにより得ることができる。例えば、ホモミキサーを用いて乳化する場合、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが多いほど粒径は小さくなる傾向にあり、乳化工程で配合する水が少ないほど粒径は小さくなる傾向にあり、また攪拌速度が速いほど粒径は小さくなる傾向にある。
【0054】
シリコーンゴム粒子中に、シリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末や酸化防止剤を含有させる場合には、予め硬化性液状シリコーンとこれらを混合しておけばよい。これらの成分の配合量は、得られるシリコーンゴム粒子の体積平均粒径及び体積累積90%径が上記範囲内となるように適宜選択すればよい。
【0055】
乳化は一般的な乳化分散機を用いて行えればよい。該乳化分散機としては、例えば、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモミキサー等の高速回転剪断型攪拌機、ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機、コロイドミル、超音波乳化機等が挙げられる。
【0056】
白金族金属系触媒は前記したものを使用すればよい。また、白金族金属系触媒は、前記した通り硬化性液状シリコーンのエマルションに添加してもよいし、予め硬化性液状シリコーンに溶解させておいてもよい。白金族金属系触媒をエマルションに添加する場合には、溶媒に溶解して添加してもよい。また、水に対する分散性が悪い場合には、白金族金属系触媒を(D)成分であるポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートまたはポリオキシエチレンソルビタントリステアレートに溶解した状態で添加することがよい。白金族金属系触媒を予め硬化性液状シリコーンに溶解させておく場合には、乳化工程が終了するまでの間に硬化反応が起こらないように、例えば5℃以下の低温に冷却しておくのがよい。硬化性液状シリコーンの硬化反応は、常温、例えば15〜20℃で行うことができる。反応が完結しない場合には、100℃未満の加熱下で行ってもよい。硬化の為の攪拌時間は特に制限さないが、通常、1〜24時間である。
【0057】
[シリコーンゴム複合物]
本発明はさらに、上記(A)成分であるシリコーンゴム粒子の表面に上記(B)成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが付着して成る物質(以下、シリコーンゴム複合物という)を提供する。該シリコーンゴム複合物は、上記方法により得られた水分散液から水を除去することにより製造することができる、粒子状の物質である。シリコーンゴム粒子に対するポリオキシエチレンアルキルエーテルの量は、シリコーンゴム粒子100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜5質量部、特には0.5〜2質量部であるのがよい。
【0058】
水分散液から水を除去する方法としては、例えば、揮発により除去する方法が使用できる。該方法は、常圧下又は減圧下に加熱することにより行えばよい。該工程において(B)成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテルは(A)成分であるシリコーンゴム粒子の表面に付着して残る。また、上述の通り白金族金属系触媒の分散媒として(D)成分であるポリオキシエチレンソルビタンステアレートやポリオキシエチレンソルビタントリステアレートを使用した場合には、該成分もシリコーンゴム粒子の表面に付着して残る。
【0059】
水を除去する方法として、より詳細には、分散液を加熱下に静置して水分を除去する方法、分散液を加熱下で撹拌流動させながら水分を除去する方法、スプレードライヤーのように熱風気流中に分散液を噴霧、分散させて水を除去する方法、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。なお、この操作の前処理として、遠心分離、デカンテーション等の方法で分散液を濃縮してもよい。また、分散液に塩やアルコール等を添加し分散状態を破壊させた上で、濾過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法で濃縮してもよい。
【0060】
水の除去を全量揮発によって行えば、揮発性でない(A)成分、(B)成分、及び(D)成分はシリコーンゴム複合物中にそのままの比率で残る。従って得られるシリコーンゴム複合物中の(A)成分に対する(B)成分の量は、水分散液中の(A)成分に対する(B)成分の量と同じになる。また、水分散液中に(D)成分を含有している場合には、シリコーンゴム複合物中の(A)成分に対する(D)成分の量も、水分散液中の(A)成分に対する(D)成分の量と同じになる。一方、遠心分離やデカンデーション等の方法で分散液を濃縮した場合は、除去される水には(B)成分及び(D)成分が溶解しているため、シリコーンゴム複合物中の(A)成分に対する(B)成分及び(D)成分の比率が変わる。
【0061】
本発明では、シリコーンゴム複合物の強固な凝集を生じないことから、熱風気流中に分散液を噴霧、分散させて水を除去する方法(即ち、噴霧乾燥法)が特に好ましい。
【0062】
[化粧料]
本発明はさらに、シリコーンゴム粒子の水分散液、または、上記シリコーンゴム複合物を含有する化粧料を提供する。
【0063】
本発明の水分散液及びシリコーンゴム複合物は、各種の化粧料に配合することができる。例えば、スキンケア製品、メークアップ製品、頭髪製品、制汗剤製品、紫外線防御製品等の、特に皮膚や毛髪に外用される化粧料に好適に使用される。水分散液及びシリコーンゴム複合物の配合割合は特に限定はなく、各製剤にあわせて適宜選択すればよい。特には、化粧料全体に対するシリコーンゴム粒子の質量が0.1〜50.0質量%となる範囲であるのがよい。
【0064】
シリコーンゴム粒子の平均粒子径は、感触の改善、ソフトフォーカス効果、及び皺毛穴隠し効果を付与する目的で、平均粒子径が2〜15μm程度のものが好ましい。皺毛穴隠しの目的で使用する場合、平均粒子径の異なるものを複数種選択して配合する事がある。
【0065】
該化粧料は、通常の化粧料に使用される種々の成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、(E)油剤、(F)アルコール性水酸基を有する化合物、(G)水溶性又は水膨潤性高分子化合物、(H)上記(A)シリコーンゴム粒子以外の粒子、(I)上記(B)成分及び(D)成分以外の界面活性剤、(J)架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物、(K)油溶性皮膜剤、(L)シリコーンワックス、及びその他の添加剤が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0066】
(E)油剤は、固体、半固体、液状のいずれであってもよい。例えば、天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、及びフッ素系油剤を使用することができる。
【0067】
天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、アボガド油、オリーブ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、精製キャンデリラロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、ホホバ油、水素添加ホホバ油、スクワラン、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカロウ、胚芽油、パーム油、パーム核油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、メドウフォーム油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、及び落花生油等が挙げられる。
【0068】
炭化水素油としては、直鎖状、分岐状、さらに揮発性の炭化水素油等が挙げられる。より詳細には、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、及び12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0069】
高級アルコールとしては、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、バチルアルコール、及びセラキルアルコール等が挙げられる。
【0070】
エステル油としては、アジピン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等のグリセライド油が挙げられる。
【0071】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、テトラキストリメチルシロキシシラン、メチルフェニルポリシロキサン,メチルヘキシルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ピロリドン変性オルガノポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、ステアロキシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0072】
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。(E)油剤の配合量は、剤型に依存して、化粧料全体の1〜98質量%の範囲から適宜選定すればよい。
【0073】
(F)アルコール性水酸基を有する化合物としては、エタノール等の低級アルコール、ソルビトール等の糖アルコール、グリセリン、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。配合量は、化粧料全体の0.1〜20質量%の範囲から適宜選定すればよい。
【0074】
(G)水溶性又は水膨潤性高分子化合物としては、アラビアゴム、グアーガム、カラギーナン、寒天、クインスシード、デンプン、アルゲコロイド、トラガントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子化合物;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子化合物;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子化合物;メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのセルロース系高分子化合物;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子化合物;(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−C30))クロスポリマー、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子化合物;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子化合物、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネスー25)クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー等のアクリル系高分子化合物;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等他の合成水溶性高分子化合物、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の無機系水膨潤性鉱物が挙げられる。また、これらの水溶性高分子化合物には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤として使用される物も含まれる。配合量としては、化粧料全体の0.1〜20質量%の範囲が好適である。水系やO/W乳化系では、乳化安定化と増粘効果が容易に得られる為、ビニル系高分子化合物やアクリル系高分子化合物が使い易い。
【0075】
(H)上記(A)成分以外の粒子としては、通常の化粧料に用いられる粉体であればよい。その形状(球状、針状、板状、樹状、繊維状、不定形等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質、中空、中空多孔質等)を問わず、何れのものも使用することができる。このような粉体としては、例えば無機粉体、着色剤、有機粉体、金属石鹸、及び無機・有機複合粉体が挙げられる。
【0076】
無機粉体としては、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、劈開タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、シリカ、微粒子シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びチッ化ホウ素等の粒子が挙げられる。
【0077】
着色剤には顔料や染料がある。有色顔料の具体例としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、シリカ被覆鉄顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、雲母チタンや顔料被覆雲母チタン、酸化チタン等の白色顔料、合成金雲母などのパール顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。化粧料への分散性の向上と、化粧もちや、耐水性の向上の為、顔料は疎水化などの表面処理をして使われることが多い。
【0078】
有機粉体としては、ポリアミド、ポリアクリル酸・アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、テトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル等のポリメチルメタクリレート、セルロース、シルク、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリシリコーン−1クロスポリマー、ポリシリコーン−22等の粉体が挙げられる。これらの粉体は、感触(さらさら感ややわらかさ)や吸油性が異なる為、組み合わせて使用することも多い。
【0079】
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
【0080】
無機・有機複合粉体としては、化粧品に汎用の無機粉体表面が、公知公用の方法により有機粉体で被覆された複合粉体であってよい。
【0081】
(I)上記(B)成分及び(D)成分以外の界面活性剤は特に制限されるものではない。非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び両性の活性剤があるが、通常の化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。
【0082】
公知の界面活性剤の中でも、W/Oの乳化安定化のためや、粉体を油相へ分散するためには、シリコーン骨格を主鎖に持ち、分子中にポリオキシエチレン鎖を有する直鎖或いは分岐状のオルガノポリシロキサン、分子中にポリグリセリン鎖を有する直鎖或いは分岐状のオルガノポリシロキサン、或いはそれらのアルキル共変性オルガノポリシロキサンが好ましい。市販品としては、KF−6017、KF−6028、KF−6028P、KF−6038、KF−6100、KF−6104、及びKF−6105(何れも信越化学工業(株)製)等がある。特には、親水性であるポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基、又はポリグリセリン残基の量が、1分子中の5〜30質量%を占める界面活性剤が好ましい。該界面活性剤の配合量は、化粧料全体の0.1〜5質量%が好ましい。
【0083】
(J)架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物において、架橋型オルガノポリシロキサンは、自重以上の液状油を含んで膨潤することが好ましい。該液状油とは、例えば、液状のシリコーン油、炭化水素油、エステル油、天然植物油、半合成油等が挙げられる。詳細には、0.65mm
2/s(25℃)〜100.0mm
2/s(25℃)の低粘度シリコーン油、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、及びイソヘキサデカン等の炭化水素油、トリオクタノイン等のグリセライド油、イソノナン酸イソトリデシル、N−アシルグルタミン酸エステル、及びラウロイルサルコシン酸エステル等のエステル油、マカデミアナッツ油等の天然動植物油が挙げられる。該架橋型オルガノポリシロキサンは、分子中に二つ以上のビニル性反応部位を持つ化合物と、ケイ素原子に直接結合した水素原子を持つオルガノ(ポリ)シロキサンとが反応することにより架橋構造を形成することが好ましい。分子中に二つ以上のビニル性反応部位を持つ化合物としては、分子中に二つ以上のビニル基を有するオルガノポリシロキサン、分子中に二つ以上のアリル基を有するポリオキシアルキレン、分子中に二つ以上のアリル基を有するポリグリセリン、α、ω−アルケニルジエン等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン部分、ポリグリセリン部分、長鎖アルキル部分、アルケニル部分、アリール部分、及びフルオロアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1種を架橋分子中に含有する架橋型オルガノポリシロキサンを使用することもできる。架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物の配合量は、化粧料全体の0.1〜80質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜50質量%である。
【0084】
上記(J)成分としては、市販品である、KSG−15、KSG−16、KSG−18A、KSG−1610、USG−103、KSG−210、KSG−240、KSG−710、炭化水素油やトリグリセライド油でペースト状にしたUSG−106、KSG−41、KSG−42、KSG−43、KSG−44、KSG−310、KSG−320、KSG−330、KSG−340、KSG−810、KSG−820、KSG−830、KSG−840(何れも信越化学工業(株)製)等が使用できる。
【0085】
(K)油溶性皮膜剤は、たとえばアクリルシリコーン樹脂、シリコーン網状樹脂(代表的なものとしてトリメチルシロキシケイ酸)、シリコーン変性プルラン、シリコーン変性ポリノルボルネンなどがあげられる。それぞれ耐水性、耐油性、密着(付着)感、感触、硬さ、粉の分散性のコントロールのため、単独或いは組み合わせて使用される。(K)成分としては、市販品である、KP−541、KP−543、KP−545、KP−549、KP−550、KP−571、KP−575、KF−7312J、TSPL−30−D5、及びNBN−30−ID(何れも信越化学工業(株)製)等の溶解品が使用できる。(K)成分の配合量は、化粧料全体の0.1〜20質量%が一般的である。
【0086】
(L)シリコーンワックスは、アクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。市販品では、長鎖アルキル基を有するワックスとして、KP−561P、及びKP−562P(何れも信越化学工業(株)製)等がある。これらは人肌付近に融点を持つ為、独特のしっとりとした感触や肌への密着性を有する。
【0087】
本発明の化粧料の形態は、粉体、油性、油中水型エマルション、水中油型エマルション、非水エマルション、W/O/WやO/W/Oなどのマルチエマルション等が挙げられる。水相を連続相とする水性化粧料やO/W化粧料を調整する場合、シリコーンゴム粒子の水分散液を使用してもよいし、シリコーンゴム複合物をさらに界面活性剤を用いて水に分散させて調整してもよい。水の配合量は化粧料中に合計40%〜95%となる範囲で適宜選択して配合される。W/O化粧料を調整する場合、通常、シリコーンゴム複合物を油相中に分散させる。この場合、水の配合量は、化粧料中に合計0.1%〜70%となる範囲で適宜選択される。
【0088】
本発明の化粧料に配合できるその他の添加剤としては、油溶性ゲル化剤、制汗剤、紫外線吸収剤、紫外線吸収散乱剤、保湿剤、抗菌防腐剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類等が挙げられる。
【0089】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン;N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体;デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル;ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0090】
制汗剤としては、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ジルコニルヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等が挙げられる。
【0091】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸メチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリメチルシクロヘキシル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤;4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;フェニルベンズイミダゾールスルフォン酸、トリアジン誘導体等が挙げられ、紫外線吸収散乱剤としては微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粒子が挙げられ、これらの紫外線を吸収散乱する粒子をあらかじめ油剤に分散させた分散物を用いることもできる。
【0092】
保湿剤としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、及びスフィンゴリン脂質等が挙げられる。
【0093】
抗菌防腐剤としては、パラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン等が挙げられる。
【0094】
塩類としては無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等が挙げられる。また化粧品処方の中で使用される酸−アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0095】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等が挙げられ、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ、キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられ、清涼剤としては、L−メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸等が挙げられる。
【0096】
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、及びユキノシタ抽出物等の美白剤;ロイヤルゼリー、感光素、及びコレステロール誘導体等の細胞賦活剤;肌荒れ改善剤;ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、アセチルコリン、及びγ−オリザノール等の血行促進剤;酸化亜鉛、及びタンニン酸等の皮膚収斂剤;イオウ、及びチアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0097】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、及びパルミチン酸レチノール等のビタミンA類;リボフラビン、酪酸リボフラビン、及びフラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB
2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、及びピリドキシントリパルミテート等のビタミンB
6類、ビタミンB
12及びその誘導体、及びビタミンB
15及びその誘導体等のビタミンB類;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、及びL−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類;エルゴカルシフェロール、及びコレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、及びコハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類;ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、及びニコチン酸アミド等のニコチン酸類;ビタミンH、ビタミンP、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、及びアセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、及びビオチン等が挙げられる。
【0098】
アミノ酸類としては、セリン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン酸、シスチン、及びシステイン等が挙げられる。
【0099】
本発明の化粧料の例としては、化粧水、乳液、クリーム、クレンジング、パック、オイルリキッド、マッサージ料、美容液、美容オイル、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム、及びしわ隠し等のスキンケア化粧料、メークアップ下地、コンシーラー、白粉、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、油性ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、及び口紅等のメークアップ化粧料、シャンプ−、リンス、トリートメント、及びセット剤等の毛髪化粧料、制汗剤、日焼け止めオイルや日焼け止め乳液、及び日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料が挙げられる。
【0100】
化粧料の形状は特に制限されるものでない。例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレス状、多層状、ムース状、スプレー状、スティック状、及びペンシル状等、種々の形態を選択することができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記実施例中、動粘度はオストワルド粘度計により25℃において測定した値であり、濃度及び含有率を表す「%」は「質量%」を示す。
【0102】
[実施例1]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
下記式(3)で示される、動粘度が130mm
2/sのメチルビニルポリシロキサン250g、
【化7】
下記式(4)で示される、動粘度が600mm
2/sのメチルビニルポリシロキサン250g、
【化8】
および下記式(5)で示される、動粘度が30mm
2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン32g(上記式(3)及び(4)で示される化合物中のオレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が1.11個となる量)
【化9】
を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)付加モル数=15モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(日本エマルション(株)製の商品名:エマレックス615、HLB=14.3)3gと水50gを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められた。更に、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水413gを加えたところ、均一な白色エマルションが得られた。
【0103】
上記エマルションを、錨型攪拌翼による撹拌装置を備えた容量1リットルのガラスフラスコに移し、15〜20℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとEO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールTS−30V)1gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌し、シリコーンゴム粒子の水分散液を得た(以下、水分散液−1という)。
【0104】
上記水分散液−1中のシリコーンゴム粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンゴム粒子の体積平均粒径および体積累積90%径(D90)を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は9μmであり、体積累積90%径(D90)は12μmであった。
【0105】
水分散液−1中のシリコーンゴム粒子のゴム硬度を以下のように測定した。上記式(3)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(4)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(5)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、および塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を上記実施例1と同じ配合割合で混合し、厚みが10mmになるようアルミシャーレに流し込んだ。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、シリコーンゴムを得た。シリコーンエラストマーのゴム硬度を、デュロメータA硬度計で測定したところ、34であった。
【0106】
シリコーンゴム複合物の調製
水分散液−1から、スプレードライヤー(日本ビュッヒ(株)製、型式:B−290、設定:入口温度=150℃、出口温度=約80℃、水分散液供給量=200g/hr)を用いて水分を揮発除去して粒状の物質(以下、シリコーンゴム複合物−1という)を得た。該シリコーンゴム複合物−1の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0107】
[実施例2]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
実施例1で使用したポリオキシエチレンステアリルエーテル3gの代わりに、EO付加モル数=13モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(花王(株)製の商品名:エマルゲン320P、HLB=13.6)6gを用いた他は実施例1を繰返して、シリコーンゴム粒子の水分散液(以下、水分散液−2という)を得た。
【0108】
水分散液−2中に含まれるシリコーンゴム粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンゴム粒子の体積平均粒径および体積累積90%径(D90)を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は6μmであり、体積累積90%径(D90)は8μmであった。
【0109】
シリコーンゴム複合物の調製
水分散液−2から、スプレードライヤー(日本ビュッヒ(株)製、型式:B−290、設定:入口温度=150℃、出口温度=約80℃、水分散液供給量=200g/hr)を用いて水分を揮発除去して粒状の物質(以下、シリコーンゴム複合物−2という)を得た。シリコーンゴム複合物−2の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0110】
[実施例3]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
実施例1で使用したポリオキシエチレンステアリルエーテル3gの代わりに、EO付加モル数=13モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(花王(株)製の商品名:エマルゲン320P、HLB=13.6)3g、およびEO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールBS−20、HLB=15.3)2gを用いた(混合物の質量平均HLB=14.7)他は実施例1を繰返し、シリコーンゴム粒子の水分散液(以下、水分散液−3という)を得た。
【0111】
水分散液−3中に含まれるシリコーンゴム粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンゴム粒子の体積平均粒径および体積累積90%径(D90)を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は7μmであり、体積累積90%径(D90)は10μmであった。
【0112】
シリコーンゴム複合物の調製
水分散液−3から、スプレードライヤー(日本ビュッヒ(株)製、型式:B−290、設定:入口温度=150℃、出口温度=約80℃、水分散液供給量=200g/hr)を用いて水分を揮発除去して、粒状の物質(以下、シリコーンゴム複合物−3という)を得た。シリコーンゴム複合物−3の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0113】
[実施例4]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
実施例1で使用したポリオキシエチレンステアリルエーテル3gの代わりに、EO付加モル数=15モルのポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(日本エマルション(株)製の商品名:エマレックス1815、HLB=14.3)6gを用いた他は実施例1を繰返し、シリコーンゴム粒子の水分散液(以下、水分散液−4という)を得た。
【0114】
水分散液−4中に含まれるシリコーンゴム粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンゴム粒子の体積平均粒径および体積累積90%径(D90)を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径は5μmであり、体積累積90%径(D90)は6μmであった。
【0115】
シリコーンゴム複合物の調製
水分散液−4から、スプレードライヤー(日本ビュッヒ(株)製、型式:B−290、設定:入口温度=150℃、出口温度=約80℃、水分散液供給量=200g/hr)を用いて水分を揮発除去して、粒状の物質(以下、シリコーンゴム複合物−4という)を得た。シリコーンゴム複合物−4の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0116】
[比較例1]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
実施例1で使用したポリオキシエチレンステアリルエーテル3gの代わりに、EO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールBS−20、HLB=15.3)3gを用いた他は実施例1を繰り返して、シリコーンゴム粒子の水分散液(以下、水分散液−5という)を得た。
【0117】
得られた水分散液−5中に含まれるシリコーンゴム粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンエラストマー粒子の体積平均粒径および体積累積90%径(D90)を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、体積平均粒径が10μmであり、体積累積90%径(D90)が21μmであった。
【0118】
シリコーンゴム複合物の調製
水分散液−5から、スプレードライヤー(日本ビュッヒ(株)製、型式:B−290、設定:入口温度=150℃、出口温度=約80℃、水分散液供給量=200g/hr)を用いて水分を揮発除去して、粒状の物質(以下、シリコーンゴム複合物−5という)を得た。シリコーンゴム複合物−5の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0119】
[比較例2]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
実施例1で使用したポリオキシエチレンステアリルエーテル3gの代わりに、EO付加モル数=4モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールBS−4、HLB=7.9)1.2g、およびEO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンステアリルエーテル(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールBS−20、HLB=15.3)1.8gを用いた(混合物の質量平均HLB=12.3)他は実施例1を繰返した。メチルビニルポリシロキサンおよびメチルハイドロジェンポリシロキサンの溶解物に、EO付加モル数=4モルのポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびEO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンステアリルエーテルと水50gを加え、ホモミキサーを用いて撹拌したが、水中油滴型とならず、エマルションを得ることができなかった。
【0120】
[比較例3]
シリコーンゴム粒子の水分散液の調製
実施例1で使用したポリオキシエチレンステアリルエーテル3gの代わりに、EO付加モル数=10モルのポリオキシエチレンべへニルエーテル(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールBB−10、HLB=11.5)1g、およびEO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンべへニルエーテル(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールBB−20、HLB=13.6)2gを用いた(混合物の質量平均HLB=13.6)他は実施例1を繰り返して、均一な白色エマルションを得た。
【0121】
このエマルションを錨型攪拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、15〜20℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとEO付加モル数=20モルのポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(日光ケミカルズ(株)製の商品名:ニッコールTS−30V)1gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌したところ、多量の凝集粒が生成し、シリコーンゴム粒子の水分散液を得ることができなかった。
【0122】
実施例1〜4及び比較例1〜3における、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数、HLB値、及び水分散液全体中の質量%と、得られたシリコーンゴム粒子の体積平均粒径、体積累積90%径(D90)、及び水分散液全体中の質量%を表1にまとめた。
【0123】
【表1】
【0124】
[油性化粧料の使用感の評価(実施例5、比較例4)]
実施例1と比較例1で得たシリコーンゴム複合物を用い、下記に示す方法で油性化粧料を調製し、その付着性及び塗布性を下記に示す方法で評価した。
【0125】
<化粧料の調製>
A:表2に示す成分(1)〜(7)を均一に混合した。
B:3本ロールを用いてAを均一に混合して非水系コンシーラーを得た。
【0126】
(1)官能評価:付着性
予め洗浄した手の甲に試料を各1g塗布した。指で試料を塗り広げた際によれずに均一に塗り広げられるかを、専門パネリスト(10名)の目視により評価した。評価基準は、よれをほとんど感じない場合は5点、若干よれると感じた場合は3点、極めてよれると感じた場合は1点とし、その合計点を算出した。以下の指標に基づき結果を表2に記載する。
○:合計点が40点以上
△:合計点が21〜39点
×:合計点が20点以下
【0127】
(2)官能評価:塗布性
専門パネリスト(10名)により、各試料を顔に塗布したときの、試料の塗布のし易さを官能評価した。評価基準は、塗布し易いと感じた場合には5点、若干塗布しにくいと感じた場合には3点、極めて塗布しにくいと感じた場合には1点とし、その合計点を算出した。以下の指標に基づき結果を表2に記載する。
○:合計点が40点以上
△:合計点が21〜39点
×:合計点が20点以下
【0128】
【表2】
【0129】
上記表2に示す通り、本発明のシリコーンゴム複合物を含む化粧料は、付着性及び塗布性に優れた。また、皺隠し効果及び毛穴隠し効果も良好であった。これに対し比較例1のシリコーンゴム複合物を配合した化粧料は、付着性、塗布性のいずれも悪い結果となった。即ち、体積累積90%径が大きすぎるシリコーンゴム粒子を含むシリコーンゴム複合物を配合した化粧料は、よれやすく、塗布性が悪いなどの問題が生じ、化粧料としての効果を十分に得ることが出来ない。
【0130】
本発明の水分散液、又はシリコーンゴム複合物を配合した化粧料の例を以下実施例6〜11に示す。なお下記工程において混合はディスパーミキサー(T.K.HOMODISPER(プライミクス(株)製):以下、ディスパーと称す)を用いて行った。
【0131】
[実施例6、7]
非水系コンシーラー
<化粧料の調製>
A:表3に示す成分(1)〜(7)を均一に混合した。
B:表3に示す成分(8)をAに加え均一に混合して非水系コンシーラーを得た。
【0132】
【表3】
【0133】
本発明のシリコーンゴム複合物を含む非水系コンシーラーは、皺隠し効果、毛穴隠し効果が良好であった。実施例6は低粘度タイプ、実施例7は高粘度タイプであり、粘度の調整も可能である。
【0134】
[実施例8]
W/O乳液
<化粧料の調製>
A:表4に示す成分(1)〜(7)をディスパーで均一に混合した。
B:表4に示す成分(8)〜(11)を均一に混合し、Aに添加して乳化し、W/O乳液を得た。
【0135】
【表4】
【0136】
本発明のシリコーンゴム複合物を含むW/O乳液は、べたつきや油っぽさが少なく、皺隠し効果、毛穴隠し効果が良好であった。
【0137】
[実施例9]
サンカットローション(シェイキングタイプ)
<化粧料の調製>
A:表5に示す成分(1)〜(8)をディスパーで均一に混合した。
B:表5に示す成分(10)〜(14)を均一に溶解した。
C:BをAに添加して乳化し、成分(9)を加えて均一に混合し、シェイキングタイプのサンカットローションを得た。
【0138】
【表5】
【0139】
本発明のシリコーンゴム複合物を含むサンカットローションは、べたつきや油っぽさが少なく、使用感が良好であった。
【0140】
[実施例10、11]
乳化液状ファンデーション
<化粧料の調製>
A:表6に示す成分(1)〜(10)をディスパーで均一に混合した。
B:表6に示す成分(11)〜(14)を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、別に3本ローラーで分散した成分(15)〜(20)を加えて均一に混合し、乳化液状ファンデーションを得た。
【0141】
【表6】
【0142】
本発明のシリコーンゴム複合物を含む乳化液状ファンデーションは、べたつきや油っぽさが少なく、使用感が良好であった。粘度が出にくい処方では増粘剤としても使うことも出来る(実施例11)。
【0143】
[実施例12]
O/W乳液
<化粧料の調製>
A:表7に示す成分(1)〜(5)を均一に混合した。
B:表7に示す成分(6)〜(9)を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、成分(10)を加えて均一に混合し、O/W乳液を得た。
【0144】
【表7】
【0145】
本発明の水分散液を含むO/W乳液は、べたつきや油っぽさが少なく、使用感が良好であった。KSP−100のシリコーン粉体を用いると、アルコールを減らしてもサラサラな使用感を付与することが出来る(実施例13)。
【0146】
[実施例14]
パウダーファンデーション
<化粧料の調製>
A:表8に示す成分(1)〜(2)を均一に混合した。
B:表8に示す成分(3)〜(10)を均一に混合した。
C:AをBに添加し、ヘンシェルミキサーにて均一に混合した。得られた粉末を、メッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型してパウダーファンデーションを得た。
【0147】
【表8】
【0148】
本発明のシリコーンゴム複合物を含むパウダーファンデーションはやわらかさを有しており、使用感が良好であった。