【文献】
GIAN F. LORUSSO,FLARE IN EXTREME ULTRAVIOLET LITHOGRAPHY: METROLOGY, OUT-OF-BAND RADIATION, 以下備考,JOURNAL OF MICRO/NANOLITHOGRAPHY, MEMS AND MOEMS,2009年 1月 1日,V8 N4,P041505,FRACTAL POINT-SPREAD FUNCTION, AND FLARE MAP CALIBRATION
【文献】
MYERS A M,EXPERIMENTAL VALIDATION OF FULL-FIELD EXTREME ULTRAVIOLET LITHOGRAPHY FLARE 以下備考,JOURNAL OF VACUUM SCIENCE AND TECHNOLOGY: PART B,米国,AMERICAN VACUUM SOCIETY,2008年12月 1日,V26 N6,P2215-2219,AND SHADOWING CORRECTIONS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システム固有の効果は、マスクの黒枠からの反射によるフレア効果、露光スリットを画定する1つ以上のレチクルマスキングブレードからの反射によるフレア効果、オーバースキャンによるフレア効果、動的ガスロック(DGL)機構のガスロックサブアパーチャからの反射によるフレア効果、及び他の近接露光フィールドからの寄与による特定の露光フィールド内のフレア効果のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
前記PSFは、異方性で、以下の効果、すなわち、マスクの黒枠からの反射によるフレア効果、露光スリットを画定する1つ以上のレチクルマスキングブレードからの反射によるフレア効果、オーバースキャンによるフレア効果、動的ガスロック(DGL)機構のガスロックサブアパーチャからの反射によるフレア効果、及び他の近接露光フィールドからの寄与による特定の露光フィールド内のフレア効果のうち1つ以上をシミュレートする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
前記密度マップは、光学的エンハンスメントフィーチャ(OEF)によって修正された後の前記設計レイアウトの表現を含む、請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の方法。
前記PSFは、周波数ドメイン内のフラクタル形式で、又はPSF値を対応する離散的距離に関連付ける空間ドメイン内に作表された形式で表現される、請求項1乃至請求項12のうち何れか1項に記載の方法。
実行されると、コンピュータに設計レイアウトに対応するファイルを生成させる命令を備え、前記設計レイアウトは、請求項1乃至請求項13のうち何れか1項に従ってリソグラフィシステムによって生成されるフレアの効果を低減するように修正される、コンピュータプログラム。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICその他のデバイス及び/又は構造の製造の主要なステップの1つとして広く認知されている。しかし、リソグラフィを用いて製造されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは小型IC又はその他のデバイス及び/又は構造を製造可能にするさらにクリティカルな要素になりつつある。
【0005】
[0005] 上記フォトリソグラフィマスクは、シリコンウェーハ上に集積する回路コンポーネントに対応する幾何学パターンを含む。このようなマスクを作成するのに使用するパターンは、このプロセスが多くの場合EDA(電子設計オートメーション)と呼ばれるCAD(コンピュータ支援設計)プログラムを用いて生成される。大半のCADプログラムは、機能マスクを作成するために一組の所定の設計ルールに従う。これらのルールは、処理及び設計の制限によって設定される。例えば、設計ルールは、回路デバイス(ゲート、コンデンサなど)又は相互接続線間の空間許容範囲を定義して、回路デバイス又は線が好ましくない形で相互動作しないようにする。設計ルールの限界は、通常、「クリティカルディメンション」(CD)とも呼ばれる。回路のクリティカルディメンションは、線若しくは穴の最小幅又は2本の線若しくは2つの穴の間の最小空間として定義することができる。それ故、CDは、設計された回路の全体のサイズと密度とを決定する。もちろん、集積回路の製作の目標の1つは、元の回路設計をウェーハ上に(マスクを介して)忠実に再現することである。
【0006】
[0006] パターン印刷の限界の理論的な推定値は方程式(1)に示すようなレイリーの解像基準によって得られる。
[0007]
【数1】
[0008] 但し、λは使用される放射の波長、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数、k1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷される特徴のフィーチャサイズ(すなわちクリティカルディメンション)である。方程式(1)から、特徴の印刷可能な最小サイズの縮小は3つの方法で達成できることが分かる。すなわち、露光波長λの短縮によるもの、開口数NAの増加によるもの、又はk1の値の減少によるものである。
【0007】
[0009] 一般に、k
1が小さくなると、特定の電気的機能及び性能を達成するために回路設計者によって計画された形状及び寸法に類似したウェーハのパターンを再現することは困難になる。これらの困難を克服するために、照明源、投影システムだけでなくマスク設計に最先端の微調整工程が適用される。これらの工程は、例えば、NA及び光学コヒーレンス設定の最適化、カスタム化された照明方式、位相シフトマスクの使用、サブ解像度アシストフィーチャ(SRAF)の使用を含むマスクレイアウト内の光近接効果補正(OPC)、又は一般に「解像度向上技術」(RET)と定義されるその他の方法を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0008】
[0010] 上記のように、露光波長を短くして最小印刷可能サイズを低減するために、深紫外線(DUV)又は極端紫外線(EUV)レジームに波長を有する放射源の使用が提案される。DUV波長レジームはすでに市場で活用されているが、EUV波長レジームはDUVレジームと比較しても波長が短いという明らかな理由から急速に魅力的な商用技術になっている。EUV放射は5nm〜20nm、例えば、13nm〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。波長が10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなどの5nm〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射の使用が提案されている。そのような放射は、極端紫外線放射又は軟x線放射と呼ばれる。可能な放射源は、例えば、レーザ生成プラズマ源、放出プラズマ源、又は電子蓄積リング(特にx線波長用の)によって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源を含む。
【0009】
[0011] しかし、EUVリソグラフィシステムは、リソグラフィシミュレーションのために考慮すべき幾つかの一意的な特性を有する。EUV投影リソグラフィシステムは、3次元トポロジーの反射光学要素とマスクに依存する必要があり、また通常、画像形成に斜め照明を使用するため、リソグラフィプロセスに克服すべき幾つかの不要なシャドーイングとフレア効果が発生する。
【0010】
[0012] フレアは、一般に光路内の光学表面の粗さによる光の散乱によって引き起こされる不要な背景光(すなわち、雑音)として定義される。フレアは、画像平面の画像のコントラストを劣化させる。したがって、可能な限りフレアを低減することが望ましい。
【0011】
[0013] 「フレア付き空間像」は、点像分布関数(PSF)プラス散乱で畳み込み演算した「フレア無し空間像」に等しい。これは以下のように表される。
【数2】
ここで、I
noflareはフレア無し空間像、I
flareはフレア付き空間像、c
0はエネルギー保存を確保する正規化定数である。
【0012】
[0014] 画像コントラストへの悪影響に加えて、フレアはスキャンスリットにわたって不均一に分布し、露光フィールドと一様でない。これによって、フィールド内のCD変動が引き起こされる。したがって、フィーチャを保護し背景迷光を低減することがますます重要になる。背景迷光の効果を低減又は解消する方法の問題は、露光ツールの波長が低減するにつれてますます重要になっている。
【0013】
[0015] 現在、演算リソグラフィベースのシミュレーションモデル内のターゲット設計レイアウトからフレアマップが生成されている。フレアマップは、露光フィールド内のフレアの分布を定義する。フレアマップは、ターゲット設計レイアウトをマスクのための修正設計レイアウトに修正するのに必要な補正項を計算するために生成される。しかし、コンピュータリソグラフィにおけるフレアマップ生成の精度と効率とを改善する余地があり、フレアマップは、光学近接効果及びその他の可能なリソグラフィシステム固有の効果を抑えるのに必要なマスク修正(設計レイアウト内のフレア低減アシストフィーチャの追加及び/又はフィーチャエッジの再配置など)の効果を包括的に組み込む必要がある。これによってフレア分布を修正できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.概要
[0042] 当業者が本発明を実施することができるように、本発明の例示的な例として提供される図面を参照して以下に本発明を詳述する。特に、以下の図及び例は本発明の範囲を1つの実施形態に限定するものではなく、下記又は図示の要素の一部又は全部を入れ替えることで別の実施形態も可能である。さらに、既知のコンポーネントを用いて本発明の特定の要素を部分的に又は完全に実施することができる場合、本発明を分かりにくくしないように、本発明の理解に必要な既知のコンポーネントのそれらの部分のみを記述し、それら既知のコンポーネントのその他の部分の詳細な記述は省略する。ソフトウェアで実施される実施形態はそれに限定されてはならず、特に断りのない限り、当業者には明らかなように、ハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの組合せで実施される実施形態を含むことができ、またその逆の場合も同様である。本明細書では、単一のコンポーネントを示す実施形態は限定的と考えてはならず、特に本明細書で断りのない限り、複数の同じコンポーネントを含む別の実施形態を包含し、またその逆の場合も同様である。さらに、特に断りのない限り、出願人らは明細書又は特許請求の範囲のいかなる用語にも一般的でない又は特殊な意味を与えることはない。さらに、本発明は、本明細書の図で参照する既知のコンポーネントの現在及び将来の既知の同等物を含む。
【0024】
[0043] 本明細書ではICの製造における本発明の使用を特に参照できるが、本発明は、多数の他の可能な用途を有することを明確に理解されたい。例えば、集積光学系、磁気ドメインメモリ用の案内及び検出パターン、液晶表示パネル、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用することができる。当業者であれば、このような別の用途の場合、本明細書における「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語のいかなる使用もより一般的な用語である「マスク」、「基板」及び「ターゲット部分」という用語にそれぞれ置き換えることができることを理解することができるだろう。
【0025】
[0044] 本明細書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、EUV(極端紫外線、例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むが、これに限定されないあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0026】
[0045] また、本発明では、「光学的エンハンスメントフィーチャ」(OEF)は、光近接効果補正(OPC)と、サブ解像度フィーチャの印刷忠実度を拡大するマスクのための修正設計レイアウト内の配置されたサブ解像度アシストフィーチャ(SRAF)の両方を網羅する。以下に詳述するように、マスクのポストOEF修正設計レイアウトをさらに修正してフレア及び/又はシャドー効果を補正できる。本発明はフレア効果の補償に注目する。幾つかの実施形態では、統合リソグラフィシミュレーションモデル内でシャドー効果とフレア効果が考慮され、別の実施形態では、フレア効果が別に補正され、シャドー効果はフレアの補正の後又は前に既知の技術を用いて補償できる。シャドー効果は「システム固有の効果」又は「機械固有の効果」という用語に含むことができるが、一般的には、本発明は、マスクの枠(「黒枠」と呼ばれる)からの反射、露光フィールド内の露光スリットを画定するレチクルマスキングブレード(ReMaブレード)からの反射、動的ガスロック(DGL)のガスロックサブアパーチャからの反射、フィールドオーバースキャン、近接フィールドからの寄与などを含むが、これらに限定されない要因によって引き起こされるシステム固有のフレア効果に注目する。これらの要因は、通常、EUVシステムモデル(例えば、それぞれ
図8、
図9及び
図10の810、910及び1010)内に構築されないが、ある特定の実施形態では、システム固有の効果をEUVシステムモデル内に統合することができる。
図11及び
図12は、システム固有のフレア効果の発生源の幾つかを概略的に示す。上記のシステム固有の効果の幾つかは、近接フィールドがない「孤立」露光フィールドにも適用可能であることに留意されたい。例えば、ReMaブレード、DGLガスロックサブアパーチャ及び黒枠からの反射、並びにオーバースキャン効果は孤立フィールドにも適用可能である。ReMaブレード及び黒枠からの反射によるフレア、並びにオーバースキャンによるフレアをまとめて「フィールドエッジ効果」と呼ぶことができる。近接フィールドが存在するときには、フィールド間効果も特定の露光フィールド内のフレア効果に寄与する要因である。言い換えれば、後続のフィールドが順次露光を用いてウェーハ全体をカバーするためにスキャンされるときに、近接フィールドの存在のためにフィールドエッジ効果がさらに増強されることがある。また、フィールドエッジ効果は、孤立フィールド内の様々な位置をスキャンする露光スリットから発生することがある。
【0027】
2.本発明の例示的実施形態を実施するリソグラフィシステム内の一般的な環境
A.例示的リソグラフィツール
[0046] 本項では、例示的リソグラフィツール、特に例示的EUVリソグラフィツールについて説明する。
【0028】
[0047]
図1は、本発明の一実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。この装置は、
[0048] 放射ビームB(例えば、EUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0049] パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
[0050] 基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
[0051] 基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSと、を備える。
【0029】
[0052] 話を簡単にするために、これ以降、投影システムを「レンズ」と呼んでもよい。しかし、この用語は、屈折光学系、反射光学系及び反射屈折システムを含む様々なタイプの投影システムを含むものと広義に解釈しなければならない。放射システムも、放射投影ビームを誘導、整形又は制御する上記の任意のデザインタイプに従って動作するコンポーネントを含むことができ、以下に、集合的に又は単独で「レンズ」と呼ぶことができる。「レンズ」という用語は、文脈が許すならば、様々なタイプの屈折、反射、磁気、電磁、及び静電型光学コンポーネントのいずれか又は組合せを指すことができる。さらに、リソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」デバイスでは、追加のテーブルを並列に使用でき、又は1つ以上のテーブル上で準備ステップを実行する間に1つ以上の別のテーブルを露光に使用できる。
【0030】
[0053] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでもよい。
【0031】
[0054] 支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにできる。
【0032】
[0055] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0033】
[0056] 投影システム及び照明システムは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、磁気光学システム、電磁光学システム、静電光学システム等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。ガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を与えてもよい。
【0034】
[0057] 本明細書に示すように、装置は(例えば、反射マスクを用いた)反射型である。大半の物質はEUV波長範囲内に吸収されるため、マスクは、例えば、モリブデンとシリコンとの多重スタックを含む多層リフレクタを有していてもよいことに留意されたい。一例では、多重スタックリフレクタは、各層の厚さが波長の4分の1であるモリブデンとシリコンとの40個の層のペアを有する。X線リソグラフィではこれより短い波長を生成できる。大半の物質はEUV及びx線波長に吸収されるため、マスクのトポグラフィ上のパターニングされた吸収材料の薄片(例えば、多層リフレクタ上のTaN吸収体)がフィーチャの印刷部分(正レジスト)又は非印刷部分(負レジスト)を画定する。
【0035】
[0058]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受光する。EUV光を生成する方法は、物質を少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム又はスズを有し、EUV範囲の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態に変換するステップを含むが、これに限定されない。多くの場合、レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれるそのような1つの方法では、必要な輝線放出元素を有する物質の液滴、ストリーム又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することで必要なプラズマを生成できる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(
図1には示さず)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として得られるプラズマは、放射源コレクタモジュール内に配置された放射コレクタを用いて収集される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。レーザ及び放射源コレクタモジュールは、例えば、CO
2レーザを用いて燃料励起のためのレーザビームを提供するときのように、独立した構成要素であってもよい。
【0036】
[0059] そのような例では、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成するとは考えられず、例えば、好適な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いて放射ビームはレーザから放射源コレクタモジュールへ渡される。別の例では、放射源は、例えば放射源が多くの場合DPP放射源と呼ばれる放電生成プラズマEUV生成装置であるときのように、放射源コレクタモジュールの一体化部分であってもよい。
【0037】
[0060] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0038】
[0061] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAに反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0039】
[0062] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0063] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
[0064] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
[0065] 3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0040】
[0066] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0041】
[0067]
図2は、放射源コレクタモジュールSOと、照明システムILと、投影システムPSと、を含む装置100を詳細に示す。放射源コレクタモジュールSOは、真空環境を放射源コレクタモジュールSOの包囲構造220内に維持できるように構築され配置される。プラズマ210を放出するEUV放射が放電生成プラズマ源によって形成できる。EUV放射は、ガス又は蒸気、例えば、Xeガス、Li蒸気又はSn蒸気によって生成でき、その内部に超高温のプラズマ210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲の放射を放出する。超高温のプラズマ210は、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを発生させる放電によって生成される。例えば、Xe、Li、Sn蒸気又はその他の好適なガス又は蒸気の10Paの分圧が、放射を効率よく発生させるために必要になることがある。ある実施形態では、励起されたスズ(Sn)のプラズマを提供してEUV放射が生成される。
【0042】
[0068] 高温プラズマ210が発する放射は、放射源チャンバ211の開口内又は開口の後ろに配置されたオプションのガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合によっては汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して放射源チャンバ211からコレクタチャンバ212内へ送られる。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含んでもよい。また、汚染物質トラップ230は、ガスバリア又はガスバリアとチャネル構造の組合せを含んでもよい。本明細書に示す汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、当技術分野で知られているように、チャネル構造を少なくとも含む。
【0043】
[0069] コレクタチャンバ212は、いわゆるかすめ入射コレクタであってもよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251と、下流放射コレクタ側252と、を有する。コレクタCOを横切る放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射されて一点鎖線「O」で示される光軸に沿った仮想放射源点IFに合焦できる。仮想放射源点IFは、一般に中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールは、中間焦点IFが包囲構造220の開口221に、又はその付近に位置するように配置される。仮想放射源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0044】
[0070] その後、放射は、パターニングデバイスMAでの放射ビーム21の所望の角度分布と、パターニングデバイスMAでの放射強度の所望の均一性と、を提供するように構成されたファセット型フィールドミラーデバイス22とファセット型瞳ミラーデバイス24とを含んでもよい照明システムILを横切る。支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム21が反射すると、パターン付ビーム26が形成され、パターン付ビーム26は、投影システムPSによって反射要素28、30を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0045】
[0071] 照明光学装置IL及び投影システムPS内には一般に図示するよりも多くの要素が存在してもよい。リソグラフィ装置のタイプによっては、格子スペクトルフィルタ240がオプションとして存在してもよい。さらに、図に示すよりも多くのミラーが存在してもよい。例えば、投影システムPS内には、
図2に示す他に1〜6個の追加の反射要素があってもよい。
【0046】
[0072]
図2に示すコレクタ光学系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)のほんの一例として、かすめ入射リフレクタ253、254及び255を有する入れ子状コレクタとして示されている。かすめ入射リフレクタ253、254及び255は、光軸O周りに軸対象に配置され、このタイプのコレクタ光学系COは、好ましくは、多くの場合、DPP源と呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて用いられる。
【0047】
[0073] あるいは、放射源コレクタモジュールSOは、
図3に示すように、LPP放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料内にレーザエネルギーを堆積し、数十eVの電子温度を有する高度にイオン化されたプラズマ210を生成するように構成されている。これらのイオンの脱励起及び再結合中に生成されるエネルギー放射がプラズマから放出され、略垂直入射コレクタ光学系COによって収集され、包囲構造220の開口221上に合焦される。
【0048】
[0074] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、上記及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0049】
[0075] 以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきたが、本発明は上記の方法以外でも実施できることを理解されたい。例えば、本発明は、上記の方法を記述する機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はそのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとってもよい。上記の説明は例示的であって限定的ではない。したがって、下記の特許請求の範囲から逸脱することなく上記の本発明を様々に修正できることは当業者には明らかであろう。特にシステム固有のフレア効果に寄与するEUVリソグラフィシステムの別の具体的な構造的コンポーネントについては、
図11及び
図12に関連して説明する。
【0050】
B.例示の一般的なリソグラフィシミュレーション環境
[0076] 本項では、コンピュータリソグラフィシミュレーションを含む設計及び結像プロセス全体について説明する。本明細書に開示する概念は、サブ波長フィーチャの結像のためのあらゆる汎用結像システムをシミュレートするか、又は数学的にモデル化することができ、EUV波長を含むますます微小化するサイズの波長を生成できる新興の結像技術で特に有用である。
【0051】
[0077] リソグラフィシミュレーションシステムでは、これらの主要システムコンポーネントを例えば
図4に示すように別々の機能モジュールによって記述することができる。
図4を参照すると、機能モジュールは、様々なターゲットパターンを有するターゲット設計を定義する設計レイアウトモジュール426と、結像プロセスで使用するマスクを定義するマスクレイアウトモジュール428と、シミュレーションプロセス中に使用するマスクレイアウトのモデルを定義するマスクモデルモジュール430と、リソグラフィシステムの光学コンポーネントの性能を定義する光学モデルモジュール432と、所与のプロセスで使用されているレジストの性能を定義するレジストモデルモジュール434とを含む。知られているように、シミュレーションプロセスの結果は、例えば、結果モジュール436内に予測輪郭及びCDを生成する。
【0052】
[0078] より詳細には、照明及び投影光学系の特性が、NA−シグマ(σ)設定と、任意の特定の照明源の形状(例えば、環状、四重極、及び二重極などの軸外光源など)を含むがこれらに限定されない光学モデル432内で捕捉されることに留意されたい。基板上にコーティングされたフォトレジスト層の光学特性、すなわち、屈折率、膜厚、伝搬及び偏光効果も光学モデル432の一部として捕捉できる。マスクモデル430は、レチクルの設計フィーチャを捕捉し、マスクの詳細な物理特性の表現を含むこともできる。例えば、EUV反射マスクでは、マスクモデルがマルチスタックリフレクタ、吸収パターン、及びマスク内のその他の材料の特性を考慮することができる。最後に、レジストモデル434は、例えば、基板ウェーハ上に形成されるレジストフィーチャの輪郭を予測するために、露光、ポスト露光ベーク(PEB)及び現像中に生起する化学プロセスの効果を説明する。このシミュレーションの目的は、例えばエッジの配置及びCDを正確に予測することであり、次に、これをターゲット設計と比較することができる。ターゲット設計は、一般にプレOPC又はプレ光学的エンハンスメントフィーチャ(プレOEF)マスクレイアウトとして定義され、GDSII又はOASISなどの標準化されたデジタルファイル形式で提供される。
【0053】
[0079] リソグラフィプロセスを最適化すべきターゲット設計レイアウトは、メモリ、テストパターン及び論理を含んでもよい。一実施形態では、演算の負荷を低減するために、この設計レイアウトからターゲットパターン(クリップ)の初期セットを識別することができる。特定の例では、設計レイアウト内のすべての複雑なパターンを表すクリップのフルセットが抽出される(通常、約50〜1000クリップであるが、任意の数のクリップを使用できる)。当業者には明らかなように、これらのパターン又はクリップは設計の小さい部分(すなわち、回路、セル又はパターン)を表し、特に、クリップは特定の注意及び/又は検証が必要な小さい部分を表す。しかし、本発明では、大半の部分については、幾つかの代表的なクリップを使用するのではなく、フルマスクレイアウト(すなわち、全露光フィールド内のマスク設計レイアウト)がフレア補正に使用されていることを前提とする。
【0054】
3.本発明の例示的方法及び実施形態
[0080] 典型的な高性能設計では、ほとんどすべてのフィーチャエッジが、ターゲット設計レイアウトに十分に近い印刷パターンを達成するのに何らかの修正を必要とする。これらの修正は、エッジ位置又は線幅のシフト又はバイアス及びそれら自体の印刷は意図しないが、関連付けられた主要フィーチャの特性に影響する「アシスト」フィーチャの適用を含んでもよい。さらに、照明源に適用される最適化技術は、様々なエッジ及びフィーチャに様々な影響を与える可能性がある。照明源の最適化は、照明源の照明を選択された光のパターンに制限する瞳の使用を含んでもよい。次に、最適化された照明源を用いてマスクが(例えば、OEF及びLMCを用いて)最適化される。本発明は、フレア補正を設計レイアウトの修正に組み込むことでリソグラフィモデル化の拡張を提供する。
【0055】
[0081]
図5のフローチャート500は、本発明のある実施形態によるフレア補正方法の幾つかの主要なステップを示す例示的フローチャートである。
図5に示す方法は例示的ステップのみを示していることは当業者には明らかであろう。すべての実施形態に全ステップを含ませる必要はなく、追加の中間/最終ステップを適宜本方法に含ませてもよい。ステップのシーケンスを変更することもできる。
【0056】
[0082] ステップ502で、設計レイアウトが入手される。この設計レイアウトは、プレOEFレイアウトである。フレアマップ生成の単一ステージ方法と呼ばれるフレア補正の従来の方法では、基準フレア値を適用することなくこのプレOEF設計レイアウトからフレアマップが生成される。本発明では、マルチステージ補正方法が採用される。ステップ502に示す第1のステージ(ステージ1)では、OEF及び/又は以前の実験から知られる基準フレア値の適用を含むことができる既知の補正パラメータを適用して設計レイアウトが修正される。リソグラフィ機械はポストOEF及び/又はポスト基準フレア補正設計レイアウト用に較正できる。したがって、第1のステージでは、フレアマップが生成されて較正されたリソグラフィ機械に適合される。本出願で説明する例には2つのステージしか示されていないが、正確なフレアマップを生成するために任意の数のステージを使用できる。
【0057】
[0083] ステップ502で使用できる基準フレア値は、露光フィールド全体にわたる基準フレア値であってもよい。例えば、特定のリソグラフィツール及び特定のターゲットパターンについて、x%の平均フレア値(xは任意の数)は妥当な推定値であり、設計レイアウトを修正するために適用される。設計レイアウトのOEF修正は、以前の経験に基づいて設計レイアウトのフィーチャに既知のバイアスを適用するステップ(すなわち、フィーチャのエッジセグメントを既知の平行移動量だけ移動させるステップ)、又は光学的シミュレーション(
図9及び
図10にさらに記述する)で予測されたOEFを適用するステップを含んでいてもよい。既知のバイアスを適用する一例は、EUVマスクトポロジーから生まれるシャドー効果を克服するために適用される一定の水平−垂直(H−V)バイアスである。OEFと基準フレア補正は両方共ステージ1で実行でき、又はその片方をステージ1で実行してもよい。マスクの設計レイアウトの最終補正はステージ2で実行される。ステージ1に組み込まれる補正量が多いほど、設計レイアウトを修正するために使用される位置依存型補正項の計算に使用される中間フレアマップの精度は上がる。しかし、精度と演算負荷の間にはトレードオフがあり、シミュレーション実行者はステージ1とステージ2にどのタイプの補正を組み込むか決定できる。さらに、本発明は、ステップ502で1つ以上の既知の補正パラメータを適用するか否かによって限定されないことは当業者には明らかであろう。本発明は未修正の元の設計レイアウトにも使用できる(
図8に示す従来のフレアマップ生成プロセスに似ている)。ここで、すべての設計レイアウトの修正は後続ステージで扱われ、最初のステージでは扱われない。
【0058】
[0084] ステップ504で、設計レイアウトから密度マップが作成される。密度マップは、露光フィールドでの設計レイアウトの表現である。ステップ502に記載するように、密度マップは、元のターゲット設計レイアウト、又はOEF及び/又はステージ1で適用される基準フレア補正項によって修正された設計レイアウトから作成できる。式(2)で、項I
noflareを密度マップで置き換えられることは当業者には明らかであろう。演算を低減するために、OEFを生成するためにはるかに細かい格子ではなく、例えば0.5μmなどの比較的粗い格子上で設計レイアウト(元の、又はOEF及び/又は基準フレア値によって修正された設計レイアウト)を再構成することで作成できる。また、第2のステージで、はるかに細かい格子を用いてポストOEF空間像又はポストOEF設計レイアウトを生成して補正項を計算することができる。
【0059】
[0085] ステップ506で、密度マップ及びPSFが数学的に組み合わされる。フレアマップは通常、PSFと密度マップの畳み込みとして導出される。EUV内のPSFは約数万ミクロンの範囲にすら達する極めて長いテールを有するため、これには天文学的な量の演算時間が必要である。したがって、様々な演算最適化技術が、フレアマップの精度を犠牲にすることなく、フレアモデル化を簡単にするために適用される。例えば、PSFのテール部分がより長いことは飽和パターン密度に依存する固定DCフレアレベルで近似でき、ショートレンジPSFを用いてロングテールPSFに置き換えることができる。
【0060】
[0086] ステップ507で、システム固有のフレア効果が組み込まれてフレアマップが生成される。ステップ506及び507は2つの異なるステップとして示されているが、それらは単一のステップであってもよく、ステップ506及び507の動作シーケンスを入れ替えてもよいことに留意されたい。例えば、システム固有の効果を組み込んで畳み込み演算前にPSF自体を変更してもよい。システム固有のフレア効果を導入する様々な可能性について、
図9及び
図10に関連して説明する。ステップ506及び507によって作成されたフレアマップは、元の設計レイアウト(従来技術の)から作成されたフレアマップより改良されている。この理由は少なくとも以下の1つである。すなわち、(1)ステップ502で、幾つかの改良点は、OEF補正及び/又は基準フレア補正を組み込む形ですでに導入されている、(2)ステップ506及び507で、特定の露光フィールドの位置に応じて変動するEUVのシステム固有の効果を組み込むことでフレアマップがさらに改良される。
【0061】
[0087] PSFが数学関数、又はデータテーブルフォーマットなどの任意の形式であってもよいことは当業者には明らかであろう。数学的形式は、空間周波数ドメイン内のスペクトル形式であってもよい。空間周波数ドメイン内でPSFは電力スペクトル密度(PSD)とも呼ばれる。Bruls他に対して発行済みの同一所有の特許US7,199,863号は、PSDに関する幾つかの数学的詳細を記載する。PSFのデータテーブルフォーマットバージョンでは、PSFの局所振幅が画像平面内の基準位置からの距離に対して作表される。一般に、ステップ506及びステップ507の適用後に生成される結果として得られるフレアマップは正確なフレアマップと呼ばれる。本発明の1つの追加のターゲットは、フレアマップ生成の実行時間を加速する技術を用いて正確なフレアマップを生成することであることに留意されたい。単一チップ設計レイアウトの使用から開始する上記技術の1つを、
図10を参照しながら後述する。
【0062】
[0088] フレア補正の現在のマルチステージ実施態様のいわゆるステージ2(又は任意の以前のステージの後続ステージ)であるステップ508で、ステップ506で得た正確なフレアマップを用いて既知の補正パラメータによって修正された設計レイアウトの位置依存型フレア補正が計算される。ステップ508で、ポストOEF設計レイアウトを補正項が適用される基準レイアウトとして使用できる。言い換えれば、基準設計レイアウト内にすでに含まれる既知の補正パラメータは、本格的な光学シミュレーションモデルによって予測されるOEFを含む。また、基準フレア補正もポストOEF基準設計レイアウト内に組み込むことができる。必要な追加の補正は、正確なフレアマップから計算されるフレア補正項である。一実施形態では、先のステップ506で未修正のPSFを使用し、最終ステージ508でポスト補正技術としてシステム固有のフレア効果補正のみを導入することができることに留意されたい。すなわち、ステップ507はステップ508で他の補正が実行された後に生起する。
【0063】
[0089]
図6は、フレアマップの精度が適当な補正を組み込むことで漸進的に改善できるかを示す例示的な一例を示す。
図6で、ブロック602、604、606及び608は補正フローを示し、ブロック610、612、614、及び616は例示的なフレアの差を示す。フレアマップA(ブロック610)は、従来技術と同様に、元のターゲット設計レイアウト(ブロック602)から導出される。フレアマップB(ブロック612)は、本発明のある実施形態によるステージ1の元のターゲット設計レイアウト(ブロック604)に3%の平均フレア及びOEFを適用することで生成される。さらに、システム固有の効果をフレアマップ(ブロック618)に組み込むことでフレアマップB(ブロック612)をさらに改善できる。例えば、PSF自体にシステム固有の効果を考慮できる(
図15参照)。代替実施形態では、PSF自体は修正されず、未修正のPSFとの密度マップの畳み込み後に、中間密度マップが生成され、この中間密度マップはシステム固有の効果を導入することでさらに改善される。フレアマップC(ブロック614)は、フレアマップBから計算した補正項で設計レイアウトをさらに補正した後にステージ2で生成される。このステップはブロック606として示される。出力としてマップA、B、及びCの各々を生成する必要がないことは当業者には明らかであろう。フレアマップ生成は、設計レイアウトに適用してマスクを製造する補正項を計算するのに使用する中間演算ステップであってもよい。フレアマップAとフレアマップCとの間のフレアの強度差は1%程度であってもよいことが分かる。この差は、システム固有の効果がフレアマップBの生成に組み込まれるときに増加する傾向がある。したがって、フレアマップB及びフレアマップCは、露光フィールド内のフレア分布の漸進的に正確な表現である。フレアマップBとフレアマップCとの間の強度差は、OEFがステージ1とステージ2の両方に適用された場合でも、フレアマップのモデル化の精度を、以前の経験から得た平均フレア値を使用するよりも改良型フレアマップBを用いて高めることが可能であることを示す。最後に、本発明では具体的に述べないが、フレア分布の精度は点線内に示すフレアマップD(ブロック616)を生む光学モデル化にシャドーイング補正(ブロック608)を組み込むことによってさらに改善できることは当業者には明らかであろう。アルファデモンストレーション(ADT)と呼ばれるデモバージョンのリソグラフィツールを用いて、1%のフレア強度差がパターンフィーチャエッジ内の約1.3nmのバイアスに相当することが示されている。言い換えれば、1%の追加フレア効果を補償するために1.3nmのバイアスをパターンフィーチャに適用しなければならない。これはフレア感度の尺度である。
【0064】
[0090]
図7は、様々なターゲットパターン714(この例ではテストパターン)を示す密度マップ708がPSFに畳み込まれ、フレアマップ710が生成される一例を示す。フレアマップ710は、システム固有の効果を導入することでさらに改善できる。密度マップ708は強度が実質的に一定であるが、フレアマップ710内では、背景領域712内のフレア強度分布(密度マップ内にターゲットパターン714がない)は一定ではなく、PSFに寄与する近接パターンからの背景領域内の点の距離に応じて変動することに留意されたい。
【0065】
[0091]
図8は、元のターゲット設計レイアウトからのフレアマップ生成の従来のプロセスフローを示す。ステップ802で、完全なフィールドレイアウトが得られるか、又はチップ及びジョブデック(すなわち、フィールド内のチップの位置に関する情報を含むデータベース)データが得られる。ステップ804でプレOEF密度マップが作成される。ステップ806で、フレアPSFが得られる。ステップ808で、密度マップとフレアPSFが畳み込まれてフルフィールドフレアマップA(
図8内の要素820、
図6にも記載)が生成される。ステップ814で、ステップ808から得たフレアマップを用いてOEFによって修正された設計レイアウトのための補正項が計算される。ステップ812で光学モデルからOEFが計算される。OEFモデル化ステップ812は、EUVシステム特性のベースラインモデルも組み込むことができる(ステップ810)。ステップ814は、この単一ステージプロセスフローでフレア補正を適用する唯一のステージと考えられる。上記ステップは一般に(点線822で上に示すように)すべて光学モデル化ドメイン内で実行される。以下に点線822で示すように、物理マスクの最終設計レイアウト内のさらなる補正をマスクショップに組み込むことができる。ステップ816で、シャドーイング補正及び光学的な追加のマスクプロセス補正(MPC)を導入できる。ステップ818で、物理マスクの最終設計レイアウトが実際のマスク製造から導出される。シャドーイング及びMPC補正を光学モデル自体に含めることができることは当業者には明らかであり、点線は1つの可能性のみを例示している。
【0066】
[0092]
図9は、本発明の2ステージプロセスの一実施形態を示す。この図のステップの多くは
図8の相当ステップと同様であるため、
図8と
図9のプロセスフローの主要な差だけをここで説明する。1つの主要な差は、ステップ2で、フレア補正の第1のステージが実行されるということである。このステージでは、基準フレア値(ステップ901)とOEFモデル出力(ステップ912)の少なくとも一方などの既知のパラメータを用いて、フルフィールドレイアウト/チップ−ジョブデックデータが修正される。基準フレア値は、EUVシステムモデルの一部であってもよい(ステップ901)。したがって、ステップ904の密度マップは、既知のパラメータによって修正された設計レイアウトから作成される。ステップ906、908、914、910、912、916及び918はそれぞれ、ステップ806、808、814、810、812、816及び818と実質的に同一である。ステップ906で(
図15に示すように)PSFを修正するか、又はステップ908でフレアマップをさらに改良するためにシステム固有の効果907が導入される。システム固有のフレア効果によって修正されていないステップ908で得たフレアマップを用いてマスク設計レイアウト補正のレベルがすでに実行されているステップ914で、追加の補正として、システム固有の効果のためのマスク補正を導入することができる。言い換えれば、補正プロセスは、全補正プロセスの様々なステージでのシステム固有のフレア効果を扱える程度に柔軟である。PSFレベルのシステム効果補正は、実線で示すように、最も一般的な手順である。その他の可能性は一点鎖線で示す。
【0067】
[0093]
図10は、ステージ1のフレア補正がフルフィールド設計レイアウト全体ではなく単一のチップのレイアウトの補正に基づく本発明の別の実施形態を示す。これによって、ジョブデック情報と相俟って、演算の負荷が低減され、ステップ1004で単一チップの修正設計レイアウトを容易に複製してフルフィールドの密度マップを再作成できる。ステップ1001で、単一チップの設計レイアウトが得られる。この実施態様では、通常、(例えば、経験から既知の、又はEUVシステムモデル1010によって供給できる平均フレア値を用いた)基準フレア補正と単一チップのOEF出力との両方が第1のレベルのフレア補正に使用されるが、本発明の範囲は適用されるこのタイプの第1のレベルの補正に限定されない。例えば、ジョブデック1003を用いて単一チップの元のプレOEFプレ基準フレア設計レイアウトを複製することで密度マップを再作成できる。ステップ1006のフレアPSFはフィールドの位置に依存しない(
図14のPSFのような)等方性PSFであってもよく、又は上記のように、また下記に詳述するように、EUV機械固有の効果から生起するフィールド位置依存型修正を含む(
図15のPSFのような)異方性PSFであってもよい。フルフィールドフレアマップ1008は精度が改良されているが、より少ない演算リソースを用いてより少ない時間で生成される。ステージ2(ステップ1014)で、ステップ1008で得たフレアマップを用いて設計レイアウトがさらに補正される。また、ステップ1012で得るジョブデック1003と本格的OEFモデルもステップ1014で使用される。上記のように、ステップ1016及び1018は、ステップ816及び818と実質的に同様である。
図9に関連して説明したように、補正プロセスは全補正プロセスの様々なステージ、すなわち、PSFレベル(ステップ1006)、フレアマップレベル(ステップ1008)、又はステージ2の最終補正レベル(ステップ1014)でのシステム固有のフレア効果1007を扱える程度に柔軟である。
【0068】
4.機械固有のフレア効果の様々な発生源
[0094]
図11は、フレア効果に寄与する様々な例示的要素を示すEUVリソグラフィシステムの一部の概略的形状を示す。EUVマスク1101は、パターンが存在しない黒枠(BB)領域1104によって囲まれたパターン領域1102を有する。黒枠は普通、不透明な領域である。BB領域1104は、2つの連続する露光フィールドの境界を定める役割を果たす。黒枠から反射する一部の迷光放射がフィールドエッジでフレア効果を生む。反射型EUVマスク1101のパターン領域1102が、投影システム1115を用いて、結像光1116を反射してウェーハ1120のターゲット部分上に導く。結像光1116はほとんどがEUV光であるが、残留DUV成分も有していることがある。投影システム内の散乱によって、EUV(及びDUV)フレア1114が生成され、フレアマップ生成の際に考慮される。さらに、結像光の入射部分1110はレチクルマスキング(ReMa)ブレード1106及び1108によって反射され(反射迷光1112)、フィールドエッジでフレア効果を生む。ReMaブレードは露光フィールド内に露光スリットを画定するが、露光フィールド内には1つ以上の(通常は複数の)露光スリットがある。ReMaブレードは通常、可動構造上に装着され、フィールドをスキャンして現在の露光スリットを画定し、さらに移動して次の露光スリットを画定できる。ReMaブレード1108はy方向に1対のブレードを有し、ReMaブレード1106は垂直x方向に1対のブレードを有する(x方向の対の1つのブレードだけがこの概略図に示されている)。ReMaブレードは黒枠からの迷光の反射の大半を防止するが、黒枠からの迷光の反射の一部は実際にウェーハに到達してフレア効果に寄与する。さらに、デモツールの幾つかのバージョンでは、1対のReMaブレード(x方向又はy方向の)が使用される。したがって、スリットの空いた方向からの黒枠の反射がフレアに寄与することがある。黒枠からのEUV(及び残りのDUV)反射を低減するために、マスクを特殊な方法で製作できる。すなわち、黒枠領域への吸収を実質的に増加させるか、又は黒枠領域内の反射型マルチスタックMoSi層及び最上部の金属層を追加のエッチングで除去する。黒枠反射制御についてのさらなる説明がKamo他による「Thin absorber EUV mask with light-shield border of etched multilayer and its lithographic performance」(Proc. Of SPIE vol 7748, pp. 774805-1〜774805-10)と題された論文に記載されている。マスクを修正して黒枠反射を変更する場合、フレアシミュレーションパラメータを好適に調整して黒枠領域からの修正マスク反射を表す必要がある。
【0069】
[0095] フレアマップの特にフィールドエッジに影響する2つのより可能な要因は、フィールド間効果とオーバースキャン効果である。フィールド間効果は近接フィールドでの寄与から生じ、これについては
図13に関連してさらに説明する。オーバースキャン効果は、フィールド内の順次露光中の、又は1つのフィールドから隣接するフィールドへの移動中のEUV露光ツールの移動コンポーネントの移動長さの可能なわずかな不正確さから生じる。
【0070】
[0096] フレアに寄与する
図11及び
図12に示す別の構造的コンポーネントは、動的ガスロック(DGL)機構1118である。
図12は、本発明の非限定的な実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。投影光学系システムPS用のチャンバ1210(例えば、真空チャンバ)と、基板テーブル又は「基板支持体」WT用のチャンバ1230(例えば、真空チャンバ)と、が
図12に示され、(アパーチャ絞りによって作成される)チャンバ間の共有「開口」1220、いわゆる動的ガスロック(DGL)の非限定的な概念が例示される。DGLで、ガスフローが維持されて汚染物質が開口を通して移動することが防止される。
図12で、リソグラフィツールのその他のコンポーネントは図を見やすくするために示していない。動的ガスロック(DGL)機構の詳細は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする2009年6月12日出願の、Loopstra他の「Lithographic Apparatus and Device Manufacturing Method」と題された共願の同一所有の特許出願US2010/0002207号に記載されている。
【0071】
[0061] 投影システムPSは、表面平坦度が原子レベルで制御される反射光学系(例えば、ミラー)から構成されてもよい。このような光学系は、微粒子が第1のチャンバ内に侵入して光学系の表面に付着した場合に容易に損傷する可能性がある。したがって、両方のチャンバは、通常、動作時に極めて高い真空レベルに置かれているが、投影システムPS用のチャンバは、通常、基板テーブルWT用のチャンバよりも高い圧力に維持されている。何故なら、これは、光学系ができるだけ清潔に保たれなければならない反面、基板用のチャンバは普通、不要な分子の汚染物質(例えば、レジストからのガス排出、ウェーハステージなどの可動部品によって生成された粒子)の発生源であるからである。実際、第1のチャンバをある種のガス(例えば、水素、窒素、ヘリウム又は二酸化炭素)でパージして(チャンバの圧力は極めて低いが)投影システムPS用の光学系を清潔に保つことができる。
【0072】
[0097] DGLはリソグラフィツールの動作にとって重要であるが、DGLの物理構造1118は正確なフレアマップを生成するために考慮すべきフレア効果に寄与する。
図16〜
図20は、DGLのガスロックサブアパーチャからの反射の効果がフレアマップのシミュレーションに組み込まれた様子を示す。
【0073】
[0098]
図13は、フィールド間効果のシミュレーションを示す。9つの隣接する露光フィールド(1つの例示的な露光フィールドが破線の矩形内に示されている)を含む任意の矩形領域1312(x及びy軸に沿った任意の長さのユニットを備えた)がシミュレートされた。デモツールの場合、個別のフィールドのフィールドサイズは設計によって固定されている(26mm×32mm)。上記のフィールドエッジ効果からのEUV及び残留DUV反射、及び迷光放射は特定の露光フィールド内に近接露光フィールドが寄与する特定の露光フィールド内に有意なレベルのフレアを引き起こす。例えば、全方向を他の露光フィールドで囲まれた露光フィールド1308の各コーナー領域1310(点線の円内に示す)は、フィールド間効果による増強されたフレア強度を示すことがある。周辺部に沿った、すなわち、少なくとも一方向の露光フィールドの場合、隣接する露光フィールド(例えば、フィールド1306及び1307)は存在せず、幾つかのコーナーは他のコーナーよりもフレア強度が増強されている、領域1312内の異なるパターンは異なる強度レベルを示す。
【0074】
[0099]
図14は、等方性条件、すなわち、フレア分布が露光フィールド全体にわたって均一に広がっているという前提でのPSF1400を示す。水平軸はマイクロメートル単位で、垂直軸は対数(底:10)スケールの任意の単位である。従来技術の大半の解決策は、より正確でないフレアマップ生成に至るこの条件を採用する。
図15は、本発明の実施形態によるフィールド内の位置依存型異方性フレア分布を用いて生成される修正PSF1500(対数スケールでのゲイン)を示す。
図14に対する
図15の輪郭図の形状の変化は著しい。これはリソグラフィツール内の実際の状況により近く、より正確なフレアマップ生成へと導く。
【0075】
5.フレアシミュレーションの例示的結果
[00100]
図16は、露光スリット1602の輪郭を示す。等方性フレア分布を前提とした場合(
図16の左上の図)、円と矢印の記号で示すように、点源からのフレア全体が全方向で同じである。これとは対照的に、本発明は、楕円形及び矢印の記号で示すように(
図16の右上の図)、点源からのフレアがフィールド又はスリット内の点源の特定の位置に応じて様々な方向で変化する異方性条件を前提とする。
図16に示す例では、DGLの効果は、フレア強度の差をDGL無しの等方性条件(フレアマップ1606)をDGL有りの異方性条件(フレアマップ1610)とで比較することで示される。任意の単位を示す強度バー1608は、強度差を視覚化する助けになる。フレアマップ1606と1610とのシミュレーションで、フィールド間効果だけが無視され、BBによるフレア効果、オーバースキャン、及びReMaブレードによるフレア効果などを含むその他のフィールドエッジ効果がフレアマップ内に表される隔離フィールドが前提されている。
【0076】
[00101]
図17A〜
図17Bは、フィールドの中央を通る水平切断線1720に沿った強度グラフを示す。強度グラフ1706(等方性、DGLフレア効果無し)と1710(異方性、DGLフレア効果有り)とを比較すると、本発明の異方性シミュレーションで総フレア強度が低下すると結論できる。低減したフレア強度は、言い換えればより厳しいCD制御とより厳格でない設計レイアウト修正ということになる。
【0077】
[00102]
図18A〜
図18Bは、
図17に示す水平の中央線1720に沿った、同様の条件下での(すなわち、DGLの効果を示す孤立フィールド)2つの強度グラフ1806及び1810を示す。しかし、今回は、フィールド内にアクティブなチップがある。グラフ内に示すスパイクは、水平方向のチップ間のフレア変動の結果である。
【0078】
[00103]
図19A〜
図19Bは、フィールドの中央を通る垂直切断線1920に沿った強度グラフを示す。強度グラフ1906(等方性、DGLフレア効果無し)と1910(異方性、DGLフレア効果有り)とを比較すると、本発明の異方性シミュレーションで総フレア強度が低下すると結論できる。
【0079】
[00104]
図20A〜
図20Bは、
図19A〜
図19Bに示す垂直の中央線1920に沿った、同様の条件下(すなわち、DGLの効果を示す孤立フィールド)での2つの強度グラフ2006及び2010を示す。しかし、今回は、フィールド内にアクティブなチップがある。グラフ内に示すスパイクは、垂直方向のチップ間のフレア変動の結果である。
【0080】
[00105] DGLの効果を適正にモデル化することでほぼ1%のフレア低減が観察される。これは、DCのおよそ1nmの変動に相当し、適当なマスク設計レイアウトの修正が必要である。
【0081】
[00106]
図16〜
図20の上の例では、DGLによるフレア強度の低減のみが示されているが、BBからの反射、ReMaからの反射などのその他の寄与要因の各々を、他の寄与要因を一定に保つことで示すことができる。単一のフレアマップ内で2つ以上のシステム固有の効果の組合せの効果をシミュレートすることも可能である。
【0082】
[00107] 例えば、
図21では、フルフィールドフレアマップ2110(強度バー2108有り)が、組合せのフィールドエッジ効果(すなわち、黒枠、ReMaブレード及びオーバースキャンからのフレア寄与)及びフィールド間効果による例示的なDRAMポリ層におけるフレア分布を示す。EUV反射に加えて4%の残留DUV反射が前提されている。コーナー領域2115では、より高いフレアが観察される。
【0083】
[00108]
図22は、
図21のフレアマップ2110と、エッジ効果を考慮しないで生成された別のフレアマップ(図示せず)との間のフルフィールドフレアマップの差を示す。マップ2210、及びコーナー領域2215内では輪郭としてフレア差の値だけが描画されている。2208は強度バーである。両方のマップ(すなわち、エッジ効果有りのフレアマップとエッジ効果無しのフレアマップ)がDGLからの反射による同一のフレア寄与を前提とすることに留意されたい。コーナーでのほぼ12%のフレア差がフィールド間効果によって最も寄与される。
【0084】
[00109]
図23A〜
図23Bでは、フレアマップ2310と2315はそれぞれ、様々なシステム固有のフレア効果によるEUV及びDUVフレアの輪郭を示す。それぞれの強度バーは、任意の単位の相対強度を示す。
【0085】
[00110]
図24Aは、露光フィールド内に等方性PSFがあり、コーナー領域のフレア分布2415を拡大したフレアマップ2410を示す。
図24Bのフレアマップ2420及びコーナー領域の拡大されたフレア分布2425は、シミュレーションで異方性PSFが前提されているときにフレアマップが変動する様子を示す。
【0086】
[00111]
図25は、強度輪郭のよりよい可視化のためにコーナー領域のフレア分布2515を拡大したフルフィールドフレア差輪郭グラフ2510(すなわち、フレアマップ2410と2420との差)を示す。
【0087】
6.本発明の実施形態を実施するコンピュータシステムの詳細
[00112]
図26は、本明細書に開示する補正方法及びフローの実施を支援することができるコンピュータシステム2600を示すブロック図である。コンピュータシステム2600は、情報を通信するバス102又はその他の通信機構と、情報を処理するためのバス102に結合されたプロセッサ104と、を含む。コンピュータシステム2600は、また、情報及びプロセッサ104によって実行される命令を記憶するためのバス102に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又はその他のダイナミックストレージデバイスなどのメインメモリ106を含む。メインメモリ106は、また、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時的変数又はその他の中間情報を記憶するために使用することができる。コンピュータシステム2600は、さらに、プロセッサ104のために静的情報及び命令を記憶するためのバス102に結合された読取専用メモリ(ROM)108又はその他のスタティックストレージデバイスを含む。磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が提供され、バス102に結合され、情報及び命令を記憶する。
【0088】
[00113] コンピュータシステム2600は、バス102を介して、コンピュータユーザに対して情報を表示する陰極管(CRT)又はフラットパネル又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合することができる。英数字キー及びその他のキーを含む入力デバイス114がバス102に結合され、プロセッサ104へ情報と選択したコマンドを通信する。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ104へ方向情報と選択したコマンドを通信し、ディスプレイ112上でのカーソルの動きを制御するマウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御装置116である。この入力デバイスは、通常、第1軸(例えば、x)と第2軸(例えば、y)の2軸で自由度2を有し、これによってデバイスは平面内の位置を指定することができる。入力デバイスとしてタッチパネル(画面)ディスプレイも使用することができる。
【0089】
[00114] 本発明の一実施形態によれば、プロセッサ104によるメインメモリ106に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスの実行に応答してコンピュータシステム2600によって補正プロセスの一部を実行することができる。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込むことができる。メインメモリ106内に含まれる命令シーケンスを実行すると、プロセッサ104は本明細書に記載するプロセスステップを実行する。マルチ処理装置内の1つ以上のプロセッサを使用してメインメモリ106内に含まれる命令シーケンスを実行することができる。代替実施形態では、本発明を実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、又はそれと組み合わせてハードワイヤード回路を使用することができる。したがって、本発明の実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組合せに限定されない。
【0090】
[00115] 本明細書で使用する「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供するステップに加わる任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとることができるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などのダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バス102を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含む。また伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成される音波又は光波の形態をとることができる。コンピュータ可読媒体の一般形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の任意の磁気媒体、CD−ROM、DVD、その他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有するその他の任意の物理媒体、RAM、PROM,及びEPROM、フラッシュEPROM,その他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載する搬送波、又はコンピュータが読み取り可能なその他の任意の媒体を含む。
【0091】
[00116] 様々な形態のコンピュータ可読媒体がプロセッサ104へ1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送して実行するステップに含まれる。例えば、命令は、最初リモートコンピュータの磁気ディスク上に記憶されていてもよい。リモートコンピュータは、命令をダイナミックメモリにロードし、モデムを用いて電話回線上で命令を送信することができる。コンピュータシステム2600側のモデムは電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換する。バス102に結合された赤外線検出器が赤外線信号で搬送されたデータを受信し、データをバス102上に配置することができる。バス102はデータをメインメモリ106へ搬送し、そこからプロセッサ104が命令を取り出して実行する。オプションとして、メインメモリ106によって受信された命令は、プロセッサ104による実行前又は後にストレージデバイス110に記憶することができる。
【0092】
[00117] また、コンピュータシステム2600は、バス102に結合された通信インターフェイス118を含むことが好ましい。通信インターフェイス118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120への双方向データ通信接続を提供する。例えば、通信インターフェイス118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供する総合デジタル通信サービス網(ISDN)カード又はモデムであってもよい。別の例として、通信インターフェイス118は、互換LANにデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。無線リンクも実施することができる。そのような任意の実施態様で、通信インターフェイス118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号又は光信号を送受信する。
【0093】
[00118] ネットワークリンク120は、通常、1つ以上のネットワークを通してデータ通信を他のデータデバイスに提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通してインターネットサービスプロバイダ(ISP)126が運用するホストコンピュータ124又はデータ装置に接続を提供することができる。次に、ISP126は、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク、現在の通称は「インターネット」128を通してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122とインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号又は光信号を使用する。デジタルデータをコンピュータシステム2600との間で移送する様々なネットワークを介した信号及びネットワークリンク120上の信号及び通信インターフェイス118を介した信号は、情報を移送する搬送波の例示的形態である。
【0094】
[00119] コンピュータシステム2600は、ネットワーク、ネットワークリンク120、及び通信インターフェイス118を通してメッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122及び通信インターフェイス118を通してサーバ130がアプリケーションプログラムのために要求されたコードを送信することができる。本発明によれば、そのような1つのダウンロードされたアプリケーションは、例えばこの実施形態の照明最適化を提供する。受信されたコードは、それが受信されるとプロセッサ104によって実行することができ、及び/又はストレージデバイス110又はその他の不揮発性記憶装置に記憶して後で実行することができる。このようにして、コンピュータシステム2600は、搬送波の形式でアプリケーションコードを入手することができる。
【0095】
[00120] 本発明について、以下の条項を用いてさらに説明する。
1.基板上に設計レイアウトを結像するリソグラフィシステムによって生成されるフレアの効果を低減する方法であって、
露光フィールドの前記設計レイアウトの密度マップと、点像分布関数(PSF)と、を数学的に組み合わせることで、前記リソグラフィシステムの前記露光フィールド内のフレアマップをシミュレートするステップであって、前記フレアマップ上のシステム固有の効果が前記シミュレーションに組み込まれる、ステップと、
決定された前記フレアマップを用いて前記設計レイアウトの位置依存型フレア補正を計算し、それによって前記フレア効果を低減するステップと、
を含む、方法。
2.前記露光フィールド内のフレアの均一性の所定の基準値を適用して前記設計レイアウトを修正するステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
3.光学及びマスク近接効果、フレア及びシャドーイングのうち1つ以上の効果についてレイアウトが補正されたレチクルを製造するステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
4.マスクは、条項1に従ってリソグラフィシステムによって生成されるフレアの効果を低減するように修正された設計レイアウトで製造される、デバイス製造方法。
5.基板上に設計レイアウトを結像するリソグラフィシステムによって生成されるフレアの効果を低減する方法であって、
前記露光フィールドの前記設計レイアウトの密度マップと、点像分布関数(PSF)と、を数学的に組み合わせることで、前記リソグラフィシステムの露光フィールド内の前記フレアマップをシミュレートするステップであって、極端紫外線(EUV)放射及び深紫外線(DUV)放射の一方又は両方の反射によるフレアマップ上のシステム固有の効果が前記シミュレーションに組み込まれる、ステップと、
前記決定されたフレアマップを用いて前記設計レイアウトの位置依存型フレア補正を計算し、それによって前記フレア効果を低減するステップと、
を含む、方法。
6.基板上に設計レイアウトを結像するリソグラフィシステムによって生成されるフレアの効果を低減する方法であって、
露光フィールドの前記設計レイアウトの密度マップと、点像分布関数(PSF)と、を数学的に組み合わせることで、前記リソグラフィシステムの前記露光フィールド内のフレアマップを決定するステップであって、前記密度マップは、光学的エンハンスメントフィーチャ(OEF)によって修正された後の前記設計レイアウトの表現を含む、ステップと、
前記決定されたフレアマップを用いて前記ポストOEF設計レイアウトの位置依存型フレア補正を計算し、それによって前記フレア効果を低減するステップと、
を含む、方法。
7.前記フレアマップの決定は、以下のシステム固有の効果、すなわち、マスクの黒枠からの反射によるフレア効果、露光スリットを画定する1つ以上のレチクルマスキングブレードからの反射によるフレア効果、オーバースキャンによるフレア効果、前記DGL機構のガスロックサブアパーチャからの反射によるフレア効果、及び他の近接露光フィールドからの寄与による特定の露光フィールド内のフレア効果のうち1つ以上を組み込む、条項6に記載の方法。
8.前記PSFは、異方性で、以下の効果、すなわち、マスクの黒枠からの反射によるフレア効果、露光スリットを画定する1つ以上のレチクルマスキングブレードからの反射によるフレア効果、前記DGL機構のガスロックサブアパーチャからの反射によるフレア効果、及び他の近接露光フィールドからの寄与による特定の露光フィールド内のフレア効果のうち1つ以上をシミュレートする、条項6に記載の方法。
9.基板上に設計レイアウトを結像するリソグラフィシステムによって生成されるフレアの効果を低減する方法であって、
前記露光フィールドの前記設計レイアウトの密度マップと、点像分布関数(PSF)と、を数学的に組み合わせることで、前記リソグラフィシステムの露光フィールド内のフレアマップをシミュレートするステップであって、前記密度マップが既知のフレア補正パラメータによって修正された後の前記設計レイアウトの表現を含む、ステップと、
決定された前記フレアマップを用いて前記設計レイアウトの位置依存型フレア補正を計算し、それによって前記フレア効果を低減するステップと、
を含む、方法。
10.前記密度マップは、光学的エンハンスメントフィーチャ(OEF)によって修正された後の前記設計レイアウトの表現を含む、条項9に記載の方法。
11.フレア補正は、前記ポストOEF設計レイアウトのために計算される、条項10に記載の方法。
12.前記既知のフレア補正パラメータは、シミュレーションベースのOEF、マスクトポロジー効果を克服する既知のフィーチャバイアス、及び既知の基準フレア値に対応する補正のうち1つ以上を含む、条項9に記載の方法。
【0096】
[00121] 本明細書に開示する概念はシリコンウェーハなどの基板上の結像に使用することができるが、開示された概念は、例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用される任意のタイプのリソグラフィ結像システムと共に使用することができることを理解されたい。
【0097】
[00122] 上記説明は例示的であって限定的ではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく上記本発明に修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。