特許第5931920号(P5931920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5931920洗剤及び清浄剤における、アルコールアルコキシレートの場合によって酸化されたチオエーテルの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931920
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】洗剤及び清浄剤における、アルコールアルコキシレートの場合によって酸化されたチオエーテルの使用
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/755 20060101AFI20160526BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20160526BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20160526BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   C11D1/755
   C11D1/72
   C11D1/722
   C11D17/06
【請求項の数】31
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-548840(P2013-548840)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公表番号】特表2014-502665(P2014-502665A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】EP2012050421
(87)【国際公開番号】WO2012095481
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2015年1月8日
(31)【優先権主張番号】11150875.0
(32)【優先日】2011年1月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(72)【発明者】
【氏名】マイトロ−フォーゲル,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】トロプシュ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】シュピーグラー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】レーター,ロマン ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】ビットナー,クリスティアン
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−063936(JP,A)
【文献】 特開2006−052396(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02512462(CA,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0020144(US,A1)
【文献】 特開2006−117664(JP,A)
【文献】 特開平04−226908(JP,A)
【文献】 米国特許第05275755(US,A)
【文献】 米国特許第03288858(US,A)
【文献】 特表2002−536545(JP,A)
【文献】 国際公開第00/046423(WO,A1)
【文献】 特公昭51−018000(JP,B1)
【文献】 米国特許第03906048(US,A)
【文献】 特表2003−503581(JP,A)
【文献】 米国特許第06425959(US,B1)
【文献】 特表2014−503664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/755
C11D 1/72
C11D 1/722
C11D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用又は清浄用組成物における、式I
R-O-[CH2CH(R1)-O]l-[CH2CH2-O]m-[CH2CH(R2)-O]n-CH2CH2-S(O)x-R' (I)
[式中、
RはC8〜C24-アルキルであり、
R'はC6〜C18-アルキルであり、
R1及びR2は、それぞれ独立にそれぞれの場合C1〜C5-アルキルであり、
mは、10から100であり、
l及びnは、それぞれ独立に0から15であり、
xは、0、1又は2である]
の化合物の使用。
【請求項2】
洗浄用及び清浄用組成物が食器洗浄用組成物から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
洗浄用及び清浄用組成物が食器洗浄機用組成物から選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
洗浄用及び清浄用組成物が、リンス補助機能を有する食器洗浄用組成物から選択される、請求項2又は3に記載の使用。
【請求項5】
洗浄用及び清浄用組成物が固体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
洗浄用及び清浄用組成物がゲルの形態である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
化合物Iが界面活性剤として使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
化合物Iがリンス補助界面活性剤として使用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
RがC10〜C15-アルキルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
R'が、C10〜C14-アルキルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
R1及びR2が、それぞれ独立にそれぞれの場合メチルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
mが25から50である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
l及びnがそれぞれ0である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
xが0又は1である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
化合物Iの融点が、少なくとも35℃である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
なくとも1種の式I
R-O-[CH2CH(R1)-O]l-[CH2CH2-O]m-[CH2CH(R2)-O]n-CH2CH2-S(O)x-R' (I)
[式中、
RはC8〜C24-アルキルであり、
R'はC6〜C18-アルキルであり、
R1及びR2は、それぞれ独立にそれぞれの場合C1〜C5-アルキルであり、
mは、10から100であり、
l及びnは、それぞれ独立に0から15であり、
xは、0、1又は2である]
の化合物を含む洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項17】
RがC10〜C15-アルキルであり、
R'がC10〜C14-アルキルであり、
R1及びR2が、それぞれ独立にそれぞれの場合メチルであり、
mが25から50であり、
l及びnがそれぞれ0であり、
xが0又は1である、
請求項16に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項18】
食器洗浄用組成物である、請求項16又は17に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項19】
食器洗浄機用組成物である、請求項18に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項20】
リンス補助機能を有する食器洗浄用組成物である、請求項18又は19に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項21】
室温で固体である、請求項16〜20のいずれか1項に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項22】
以下の成分:
a)少なくとも1種の式Iの化合物、
b)少なくとも1種のビルダ
含む、請求項1921のいずれか1項に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項23】
以下の成分:
洗浄用又は清浄用組成物の総重量に基づき、
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から20重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から80重量%
含む、請求項22に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項24】
以下の成分:
洗浄用又は清浄用組成物の総重量に基づき、
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:20から80重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%
含む、請求項22又は23に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項25】
以下の成分:
洗浄用又は清浄用組成物の総重量に基づき、
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:20から80重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:5から25重量%
含む、請求項2224のいずれか1項に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項26】
使用される成分b)が、少なくとも2種の以下の成分:少なくとも1種の炭酸塩、少なくとも1種のケイ酸塩、少なくとも1種のカルボン酸基含有ポリマー化合物又は少なくとも1種のすべて又は一部が中和された形態で存在するカルボン酸基を含有するポリマー化合物、少なくとも1種の(ポリ)ヒドロキシカルボン酸又はその塩、少なくとも1種のアミノポリカルボン酸又はその塩、少なくとも1種のホスホン酸、少なくとも1種のリン酸塩を含む異なるビルダーの混合物である、請求項2225のいずれか1項に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項27】
室温でゲルの形態である、請求項16〜20及び2226のいずれか1項に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項28】
以下の成分:
a)少なくとも1種の式Iの化合物、
b)少なくとも1種のビルダー、
e1)水、
e2)少なくとも1種の増粘
含む、請求項27に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項29】
以下の成分:
洗浄用又は清浄用組成物の総重量に基づき、
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から20重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から80重量%、
e1)水:10から90重量%、
e2)少なくとも1種の増粘剤:0.1から8重量%
含む、請求項28に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項30】
以下の成分:
洗浄用又は清浄用組成物の総重量に基づき、
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から60重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
e1)水:10から90重量%、
e2)少なくとも1種の増粘剤:0.1から6重量%
含む、請求項28又は29に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【請求項31】
以下の成分:
洗浄用又は清浄用組成物の総重量に基づき、
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から40重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
e1)水:20から80重量%、
e2)少なくとも1種の増粘剤:0.3から50重量%
含む、請求項2830のいずれか1項に記載の洗浄用又は清浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用及び清浄用組成物、特に食器洗浄用組成物における、アルコールアルコキシレートの(酸化)チオエーテルの使用、及びアルコールアルコキシレートの(酸化)チオエーテルを含む洗浄用及び清浄用組成物、特に食器洗浄用組成物に関する。これらの(酸化)チオエーテルは、リンス補助機能を有する界面活性剤(リンス補助界面活性剤)として特に適している。「酸化された」は、スルホキシド(SO)又はスルホニル(SO2)として酸化された形態で存在できるチオエーテル中の硫黄原子に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、界面張力を低下させることができる物質である。典型的には、界面活性剤は、特徴的な構造を有し、少なくとも1個の親水性官能基及び少なくとも1個の疎水性官能基を有する。分子の二つの部分が互いに平衡状態にある場合、この物質は界面に集まり、配列する、即ち、親水基は例えば水相に向いており、疎水基は他の固相、液相又は気相の方向に向いている。界面活性剤の他の特徴は、ミセルとして知られているより高度な会合体の形成である。この中で、界面活性剤分子は、極性基が例えば球形の表面を形成するように配列される。これは、汚れ粒子等の物質がミセルを形成して水溶液中に可溶化される効果を有する。したがって、界面活性剤は、洗浄用組成物中の添加剤として、特に表面を清浄化するのに適している。
【0003】
疎水性ブロック及び親水性ブロックを有する界面活性剤が、広く普及している。しかし、その発泡する傾向が、多くの用途に対して不適当であるか、又は限定された程度でのみ適しているようにしている。したがって、強い発泡が望ましくない用途に対して、泡量を制限する、第2の疎水性ブロックを有する非イオン性界面活性剤が開発されている。
【0004】
第2の疎水性ブロックは、例えば脂肪アルコールから誘導することができる。しかし、このような界面活性剤を含む食器洗浄用組成物、特に食器洗浄機用の食器洗浄用組成物の使用は、それによって清浄された食器類上に残存する残留物を生じることが多い(付着物の形成、即ちしみ状の付着物形成の場合は「スポッティング(spotting)」、被膜状付着物の場合は「フィルミング(filming)」と呼ばれる)。
【0005】
第2の疎水性ブロックは、代替的に脂肪酸から誘導することができる。このような界面活性剤を含む食器洗浄用組成物の場合、付着物形成の問題はさほど大きくはないが、これらの界面活性剤は、エステル基に起因して加水分解の影響を受けやすく、これにより、アルカリ性配合物中で比較的高温において、特に長時間の洗浄処理においてその使用可能性が大幅に制限される。
【0006】
アルコールアルコキシレートのチオエーテル及びその酸化された形態(即ち、スルホキシド及びスルホン)は原則として、例えばUS 3,627,845で知られている。この文献は、生物活性組成物、例えば殺菌剤、殺ダニ剤及び駆虫剤として、並びに農薬製剤及びコーティング組成物中の界面活性物質としてのこのような化合物の使用を記載している。洗浄用又は清浄用組成物としての使用は言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 3,627,845
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の界面活性剤の欠点を有さない化合物を提供することである。より詳細には、その化合物は、発泡する傾向があったとしても、強い傾向を有するべきでなく、これらは、それによって洗浄された食器類上に残る残留物、特にスポッティング残留物がより低いレベルであるべきであり、これらは、加水分解不安定性があったとしても、少なくとも脂肪酸エステルベースの界面活性剤より低くあるべきである。しかし、さらに特定すると、その化合物は、それらを固体の洗浄用及び清浄用組成物中に配合することもできるような最大の融点を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、洗浄用又は清浄用組成物、特に食器洗浄用組成物における、式I
R-O-[CH2CH(R1)-O]l-[CH2CH2-O]m-[CH2CH(R2)-O]n-CH2CH2-S(O)x-R' (I)
[式中、
RはC8〜C24-アルキルであり、
R'はC6〜C18-アルキルであり、
R1及びR2は、それぞれ独立にそれぞれの場合C1〜C5-アルキルであり、
mは、10から100であり、
l及びnは、それぞれ独立に0から15であり、
xは、0、1又は2である]
の化合物の使用によって達成される。
【0010】
本発明は、少なくとも1種の上記で定義された式Iの化合物を含む洗浄用又は清浄用組成物、特に食器洗浄用組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、C1〜C5-アルキルは、1から5個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。これらの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル及びこれらの位置異性体である。
【0012】
C6〜C18-アルキルは、6から18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。これらの例は、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、2-プロピルヘプチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル及びこれらの位置異性体である。
【0013】
C8〜C24-アルキルは、8から24個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。これらの例は、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、2-プロピルヘプチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル及びこれらの位置異性体である。
【0014】
分枝C8〜C24-アルキルは、2-エチルヘキシル等のオクチルの位置異性体、n-ノニルの位置異性体、2-プロピルヘプチル等のn-デシルの位置異性体、n-ウンデシルの位置異性体、n-ドデシルの位置異性体、n-トリデシルの位置異性体、n-テトラデシルの位置異性体、n-ペンタデシルの位置異性体、n-ヘキサデシルの位置異性体、n-ヘプタデシルの位置異性体、n-オクタデシルの位置異性体、n-ノナデシルの位置異性体、n-エイコシルの位置異性体、n-ヘンエイコシルの位置異性体、n-ドコシルの位置異性体、n-トリコシルの位置異性体及びn-テトラコシルの位置異性体である。
【0015】
C10〜C14-アルキルは、10〜14個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。これらの例は、デシル、2-プロピルヘプチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル及びこれらの位置異性体である。
【0016】
分枝C10〜C14-アルキルは、2-プロピルヘプチル等のn-デシルの位置異性体、n-ウンデシルの位置異性体、n-ドデシルの位置異性体、n-トリデシルの位置異性体及びn-テトラデシルの位置異性体である。
【0017】
C10〜C15-アルキルは、10から15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。これらの例は、デシル、2-プロピルヘプチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル及びこれらの位置異性体である。
【0018】
分枝C10〜C15-アルキルは、2-プロピルヘプチル等のn-デシルの位置異性体、n-ウンデシルの位置異性体、n-ドデシルの位置異性体、n-トリデシルの位置異性体、n-テトラデシルの位置異性体及びのn-ペンタデシル位置異性体である。
【0019】
C8〜C15-アルキルは、8から15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である。これらの例は、C10〜C15-アルキルに対して上述した基、並びにオクチル、2-エチルヘキシル、ノニル及びこれらの位置異性体である。
【0020】
分枝C8〜C15-アルキルは、2-エチルヘキシル等のオクチルの位置異性体、n-ノニルの位置異性体、2-プロピルヘプチル等のn-デシルの位置異性体、n-ウンデシルの位置異性体、n-ドデシルの位置異性体、n-トリデシルの位置異性体、n-テトラデシルの位置異性体及びn-ペンタデシルの位置異性体である。
【0021】
C12-アルキルは、ドデシル及びこの位置異性体である。
【0022】
以下の好ましい実施形態に関する、特に化合物I、その使用及びこれらを含む組成物の好ましい実施形態に関する言及は、単独で又は任意の考えうる互いの組合せで適用される。逆の言及がなければ、前記言及は、本発明の使用及び本発明の洗浄用及び清浄用組成物の両方に適用される。
【0023】
本発明により使用される化合物Iは、化学的に純粋な物質又は異なる化合物Iの混合物であってもよい。一般に、その製造方法及びそこで使用される反応物(工業グレードの製品又は製品の混合物であってもよい)により、異なる化合物Iの混合物が含まれ、これは、例えば、可変物R、R'、l、m、n及び/又はxの定義が異なる。
【0024】
化合物Iにおいて、Rは、好ましくはC8〜C15-アルキル、より好ましくはC10〜C15-アルキル、特にC10〜C14-アルキルである。特定の実施形態では、アルキル基Rは分枝である。Rの具体例は、2-プロピルヘプチル、トリデシル及びイソトリデシル(即ち、分枝トリデシル基及びその混合物)等のこの位置異性体、n-ドデシル(ラウリル)、n-テトラデシル(ミリスチル)及びこれらの混合物である。
【0025】
R'は、好ましくはC10〜C14-アルキル、特にC12-アルキル(ドデシル)、特にn-ドデシルである。
【0026】
R1及びR2は、好ましくはそれぞれ独立にメチルである。
【0027】
mは、好ましくは20から50、より好ましくは25から50、さらに好ましくは25から45及び特に25から40である。
【0028】
l及びnは、好ましくはそれぞれ独立に0から5、より好ましくは0、1、2又は3である。さらに特定すると、l及びnは、それぞれ0である。
【0029】
指数l又はnの少なくとも一つが0ではない場合、エチレンオキシ繰返し単位(-CH2-CH2-O-)並びに異なる繰返し単位(-CH2-CH(R1)-O-)及び/又は(-CH2-CH(R2)-O-)は、ランダムに又はブロックで配列されていてもよい。これらは好ましくはブロックで配列され、換言すると、ブロックを形成して存在し得るすべてのl個の繰返し単位-CH2-CH(R1)-O-に、エチレンオキシブロック(-CH2-CH2-O-)mが続き、ブロックで存在してもよいすべてのn個の繰返し単位-CH2-CH(R2)-O-がこれに続く。
【0030】
xは、好ましくは0又は1である。
【0031】
化合物Iは、比較的高い融点で注目される。融点は、好ましくは少なくとも35℃、例えば35から50℃、好ましくは35から47℃、特に35から45℃であり、より好ましくは少なくとも38℃、例えば38から50℃、好ましくは38から47℃、特に38から45℃であり;及び特に少なくとも40℃、例えば40から50℃、好ましくは40から47℃、特に40から45℃である。
【0032】
化合物Iを調製する方法は、例えばUS 3,627,845から原則として知られている。例えば、lが0ではない場合、アルコールR-OHをエポキシド
【化1】
【0033】
と、次いで、エチレンオキシドと反応させることができる。
【0034】
nが0ではない場合、得られた生成物を、次いでエポキシド
【化2】
【0035】
と反応させる。
【0036】
これに続いて、メルカプトエタノールR'-S-CH2CH2-OHとの反応によって、化合物Iを得る。xが1又は2であるべき場合は、得られたチオエーテルを引き続いて酸化する。
【0037】
エポキシドとの反応は、好ましくは塩基触媒作用下、無水媒体中で実施される。反応は、好ましくは、窒素又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施される。反応は、好ましくはバルクで、即ち、他の溶媒を用いないで実施される。適した塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、アルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、或いはアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム等の無機塩基である。水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。反応温度は、好ましくは50から200℃、より好ましくは100から150℃である。反応は、好ましくは高圧下、例えば1.1から10バール又は1.2から5バール(これは、不活性ガス及び/又はエポキシド(特にエチレンオキシド)によって高められる)で実施される。好ましい実施形態では、エポキシドの導入に先行して、不活性ガス、通常窒素で初期圧力が高められる。この初期圧力は、好ましくは1.1から5バール、より好ましくは1.2から3バール、特に1.2から2バールの範囲である。エポキシド(特にエチレンオキシド)の添加は、通常、その結果さらなる圧力増加をもたらす。実際の反応の間の圧力は、好ましくは1.2から10バール、より好ましくは2から8バールの範囲である。変換が完了すると、得られた生成物の混合物を所望により中和することができる。
【0038】
メルカプトエタノールとの縮合は、好ましくは酸性触媒作用下で実施される。適した酸は、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸及び酸性イオン交換体である。反応の間、形成された反応水は、例えば共沸蒸留又は不活性ガスによるストリッピングによって好ましくは除去される。反応水が共沸蒸留で除去される場合、縮合は、有利にはトルエン又はキシレン等の、水と最小限の共沸混合物を形成する溶媒中で実施される。変換が完了すると、得られた生成物の混合物を所望により中和することができる。
【0039】
得られたチオエーテル中の硫黄原子を、通例の酸化剤、例えば、過酸化水素、二酸化マンガン、過マンガン酸塩、m-クロロ過安息香酸又は過塩素酸塩によってスルホキシド(x=1)又はスルホン(x=2)まで酸化することができる。酸化がスルホキシドまで進行するか、それともスルホンまで進行するかは、酸化剤の選択、その濃度及び反応温度を含めた要因によって決定され得る。
【0040】
化合物Iは、本発明によれば、その調製において得られる溶液の形態で使用することができる。しかし、これらは、好ましくは通例の方法によって単離され、所望により精製される。
【0041】
式Iの化合物は、原則として、あらゆる一般的な洗浄用及び清浄用組成物中で使用可能である。
【0042】
本発明において、「洗浄用組成物」は、高い吸収性を有する柔軟な材料、例えば繊維特性を有する材料の清浄化に使用される組成物を意味するものと理解され、本発明における「清浄用組成物」は、連続的な表面を有する、即ち、あったとしても少数の小さな細孔しか有さず、その結果、あったとしても低い吸収性しか有さない材料の清浄化に使用される組成物を意味するものと理解される。
【0043】
高い吸収性を有する柔軟な材料の例は、天然、合成又は半合成の繊維材料を含む或いはそれから構成されており、したがって通常少なくとも部分的に繊維特性を有するものである。繊維状の材料、又は繊維からなるものは、原則として使用時又は製造及び加工時に起こる任意の形態で存在し得る。例えば、繊維は、ステープル又は集合体の形態の不規則な形態で、繊維、ヤーン、スレッドの形態又は不織布、ローデン若しくはフェルト、織物、ニット等の布地の形態の規則的な形態で、考え得るすべての結合型で存在し得る。繊維は、未処理の繊維又は任意の処理段階の繊維であってもよい。例には、羊毛、絹、綿、サイザル、ヘンプ又はココナツ繊維等の、天然のタンパク質又はセルロース繊維、或いは合成繊維、例えば、ポリエステル、ポリアミド又はポリアクリロニトリル繊維がある。
【0044】
あったとしても少数の小さな細孔しか有さず、あったとしても低い吸収性しか有さない材料の例には、金属、ガラス、エナメル質又はセラミックがある。これらの材料から作られた典型的な対象は、例えば、金属の流し、カトラリー、ガラス及び磁器食器類、バスタブ、洗面台、タイル、敷石、硬化合成樹脂、例えば台所家具上の装飾用メラミン樹脂面、又は仕上げ金属面、例えば冷蔵庫及び自動車車体、プリント回路基板、マイクロチップ、下塗り又はワニス塗りした木材、例えば、寄木張り又は壁のパネル用材、窓枠、ドア、PVCで作られた床仕上げ材などのプラスチック被覆剤又は硬質ゴム、或いは実質的に連続的な表面を有する硬質又は軟質発泡体がある。
【0045】
化合物Iを含む清浄用組成物の例は、手動食器洗浄用組成物又は食器洗浄機用組成物(=食器洗浄機のための食器洗浄用組成物)等の食器洗浄用組成物、金属脱脂剤、ガラスクリーナー、床クリーナー、万能クリーナー、高圧クリーナー、中性クリーナー、アルカリ性クリーナー、酸性クリーナー、スプレー脱脂剤、酪農クリーナー、工業用台所クリーナー、産業用設備クリーナー(特に化学工業において)、自動車洗浄用クリーナー、並びに家庭用万能クリーナーを含む。
【0046】
化合物Iは、好ましくは食器洗浄用組成物に使用される。これらは、より好ましくは食器洗浄機用組成物に使用される。これらの中でも食器洗浄用組成物、特にリンス補助機能を有する食器洗浄機用組成物が好ましい。
【0047】
化合物Iを含む洗浄用及び清浄用組成物は、室温 (20℃)で好ましくは固体である。
【0048】
固体の洗浄用及び清浄用組成物は、粉末状又は錠剤化製品(「錠剤(tab)」)であってもよい。これらは好ましくは錠剤化製品(「錠剤」)である。より好ましくは、これらは錠剤化された食器洗浄用組成物、特に錠剤化された食器洗浄機用組成物である。
【0049】
錠剤化された食器洗浄用組成物は、単一錠剤(tab)又はいわゆる「2イン1」、「3イン1」、「5イン1」、「7イン1」製品等(多機能製品、一般に「xイン1」製品(ここでx=整数))である。これらの配合物のさらなる詳細は、Hermann G. Hauthal, G. Wagner (eds.)、 Reinigungs-und Pflegemittel im Haushalt [Domestic Cleaning and Care Compositions]、 Verlag fur chemische Industrie、 H. Ziolkowsky GmbH、 Augsburg 2003、 chapter 4.2、pages 161〜184中に見出すことができる。「2イン1」製品は、通例の食器洗浄機用組成物の成分の外にさらにリンス助剤(rinse aid)も含む。「3イン1」製品は、硬水軟化剤も含む。「5イン1」製品は、通常、ガラス保護剤及びリンス能増強剤も含む。「7イン1」製品は、貴金属光沢剤及び付着物除去剤も含む。
【0050】
化合物Iは、好ましくは錠剤化された多機能食器洗浄機用組成物に使用され、この場合、組成物は、通例のリンス助剤を完全に又は部分的に置換する。
【0051】
化合物Iは、界面活性剤として及びリンス助剤としての両方の効果を有する。したがって、本発明は、化合物Iの界面活性剤として及び/又はリンス助剤としての使用にも関する。さらに特定すると、本発明は、化合物Iのリンス補助効果を有する界面活性剤として又はリンス補助界面活性剤としての使用に関する。
【0052】
本発明により使用される化合物Iは、食器洗浄機のリンスサイクルに使用する場合、優れた付着物抑制作用に関して特に注目される。これらは、無機付着物及び有機付着物の両方に対する抑制作用を有する。無機付着物は、特にリン酸カルシウム及びリン酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウム及び/又はホスホン酸カルシウム及びホスホン酸マグネシウムであり、これらは水及び通例の食器洗浄用組成物中に存在するビルダーに存在するカルシウム及びマグネシウム塩から生じる。有機付着物は、特にリンス液からの汚れ成分、例えば、タンパク質、デンプン及びグリースの付着物である。本発明により使用される化合物Iは、持ち越し付着物と呼ばれるもの(これは、食器洗浄機の底における水の残量から生じ、とりわけ、食器洗浄用組成物の残留物及び場合によっては、食器洗浄機の先の洗浄サイクルからの汚れ残留物を含む)に対しても有効である。
【0053】
本発明は、少なくとも1種の式Iの化合物を含む洗浄用又は清浄用組成物をさらに提供する。適した洗浄用又は清浄用組成物に関しては、上記の通りである。
【0054】
洗浄用及び清浄用組成物は、好ましくは食器洗浄用組成物であり、中でも食器洗浄機用組成物が好ましい。これらは、特にリンス補助機能を有する食器洗浄用組成物、特に食器洗浄機用組成物である。
【0055】
本発明の洗浄用及び清浄用組成物は、好ましくは室温(20℃)で固体である。適した好ましい固体の洗浄用及び清浄用組成物に関しては、上記の通りである。より詳細には、本発明の洗浄用及び清浄用組成物は、錠剤化された多機能食器洗浄機用組成物である。化合物Iは、その中のリンスコアに存在してもよいが、好ましくは錠剤化された食器洗浄用組成物中に固体として存在してもよい。
【0056】
本発明の食器洗浄用組成物は、好ましくは以下の成分を含む:
a)少なくとも1種の式Iの化合物、
b)少なくとも1種のビルダー(金属イオン封鎖剤、構造物質、錯化剤、キレート剤、キレート化剤又は軟化剤とも称される)、
c)場合によって、少なくとも1種の酵素、
d)場合によって、少なくとも1種の漂白剤、
e)場合によって、少なくとも1種の、好ましくは、a)以外の界面活性剤、塩基、腐食抑制剤、消泡剤、染料、芳香剤、充填剤、打錠助剤、崩壊剤、増粘剤、可溶化剤、有機溶媒及び水から選択される他の添加剤。
【0057】
これらの成分は、好ましくは以下の比率で、本発明の食器洗浄用組成物中に存在する:
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から20重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から80重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0から8重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:0から30重量%、
e)少なくとも1種の他の添加剤:0から50重量%
重量百分率は、食器洗浄用組成物の総重量に基づく。a)からe)の重量は、合計100重量%になる。
【0058】
本発明の食器洗浄用組成物は、より好ましくは少なくとも1種の酵素を含む。
【0059】
より好ましくは、前述の成分は、以下の比率で本発明の食器洗浄用組成物中に存在する:
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:20から80重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:0から30重量%、
e)少なくとも1種の他の添加剤:0から50重量%
重量百分率は、食器洗浄用組成物の総重量に基づく。a)からe)の重量の合計は100重量%になる。
【0060】
さらにより好ましくは、本発明の食器洗浄用組成物は、少なくとも1種の漂白剤も含む。
【0061】
さらにより好ましくは、前述の成分は、以下の比率で本発明の食器洗浄用組成物中に存在する:
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:20から80重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:5から25重量%、
e)少なくとも1種の他の添加剤:0から50重量%
重量百分率は、食器洗浄用組成物の総重量に基づく。aからe)の重量の合計は100重量%になる。
【0062】
適した好ましい化合物Iに関しては、上記の通りである。
【0063】
ビルダー(金属イオン封鎖剤、構造物質、錯化剤、キレート剤、キレート化剤又は軟化剤とも称されることもある)は、沈殿することなく、アルカリ土類金属及び他の水溶性金属塩と結合する。これらは、汚れを分解するのを助け、汚れ成分を分散させ、汚れを剥離するのを助け、場合によりそれ自体が洗浄効果を有する。さらに、ビルダーが固体であり、粉末配合物中で使用される場合、粉末の自由な流動を保持する。
【0064】
適したビルダーは、事実上有機又は無機のいずれであってもよい。例には、アルミノケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩及びポリリン酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボキシレート、ヒドロキシカルボン酸、ホスホン酸、例えばヒドロキシアルキルホスホン酸、ホスホネート、アミノポリカルボン酸及びその塩、並びにカルボン酸基含有ポリマー化合物及びその塩がある。
【0065】
適した無機ビルダーは、例えば、ゼオライト等のイオン交換性を有する結晶性又は非晶質アルミノケイ酸塩である。様々なタイプのゼオライト、特に、そのナトリウムの形態又はNaがLi、K、Ca、Mg若しくはアンモニウム等の他のカチオンで部分的に交換されている形態のゼオライトA、X、B、P、MAP及びHSが適している。適したゼオライトは、例えばUS-A-4,604,224に記載されている。ビルダーとして適している結晶性ケイ酸塩は、例えば、二ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩、例えば、5-Na2Si2O5又はB-Na2Si2O5(SKS 6又はSKS 7)である。ケイ酸塩は、そのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩の形態で、好ましくはケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム及びケイ酸マグネシウムとして使用することができる。非晶質ケイ酸塩、例えば、ポリマー構造を有するメタケイ酸ナトリウム、又は非晶質二ケイ酸塩(Britesil(登録商標)H 20、製造者 Akzo)は、同様に使用可能である。これらの中でも、二ケイ酸ナトリウムが好ましい。
【0066】
炭酸塩ベースの適した無機ビルダー物質は、炭酸塩及び炭酸水素塩である。これらは、そのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩の形態で使用することができる。ナトリウム、リチウム及びマグネシウムの炭酸塩又はナトリウム、リチウム及びマグネシウムの炭酸水素塩、特に炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0067】
無機ビルダーとして使用される通例のリン酸塩は、アルカリ金属オルトリン酸塩及び/又はアルカリ金属ポリリン酸塩、例えば三リン酸五ナトリウムである。
【0068】
適した有機ビルダーは、例えば、C4〜C30-ジ-、-トリ-及び-テトラカルボン酸、例えば、コハク酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、及びC2〜C20-アルキル又は-アルケニル基を含むアルキル-及びアルケニルコハク酸である。
【0069】
適した有機ビルダーはまた、ヒドロキシカルボン酸及びポリヒドロキシカルボン酸(糖酸)である。これらには、C4〜C20-ヒドロキシカルボン酸、例えば、リンゴ酸、酒石酸、グルトン酸、粘液酸、乳酸、グルタル酸、クエン酸、タルトロン酸、グルコヘプトン酸、ラクトビオン酸、及びスクロースモノ-、-ジ-及び-トリカルボン酸が含まれる。これらの中で、クエン酸及びその塩が好ましい。
【0070】
適した有機ビルダーはまた、ホスホン酸、例えば、ヒドロキシアルキルホスホン酸、アミノホスホン酸及びそれらの塩である。これらには、例えば、ホスホノブタントリカルボン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラエチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、モルホリノメタンジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸等の1-ヒドロキシ-C1〜C10-アルキル-1,1-ジホスホン酸が含まれる。これらの中で、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸及びその塩が好ましい。
【0071】
適した有機ビルダーは、さらにアミノポリカルボン酸、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ一酢酸ジプロピオン酸、ニトリロトリプロピオン酸、β-アラニン二酢酸(β-ADA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3-プロピレンジアミン四酢酸、1,2-プロピレンジアミン四酢酸、N-(アルキル)エチレンジアミン三酢酸、N-(ヒドロキシアルキル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン三酢酸、シクロヘキシレン-1,2-ジアミン四酢酸、イミノ二コハク酸、エチレンジアミン二コハク酸、セリン二酢酸、イソセリン二酢酸、L-アスパラギン二酢酸、L-グルタミン二酢酸、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、及び前述のアミノポリカルボン酸の塩である。これらの中で、L-グルタミン二酢酸、メチルグリシン二酢酸及びそれらの塩が好ましい。
【0072】
適した有機ビルダーはさらに、アクリル酸ホモポリマー等のカルボン酸基含有ポリマー化合物である。これらは、好ましくは800から70000g/モル、より好ましくは900から50000g/モル、特定すると1000から20000g/モル、特に1000から10000g/モルの範囲の数平均分子量を有する。「アクリル酸ホモポリマー」という用語は、一部又はすべてのカルボン酸基が中和された形態で存在するポリマーも含む。これらには、一部又はすべてのカルボン酸基がアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態で存在するアクリル酸ホモポリマーが含まれる。カルボン酸基がプロトン化された、又は一部又はすべてのカルボン酸基がナトリウム塩の形態であるアクリル酸ホモポリマーが好ましい。
【0073】
適したカルボン酸基含有ポリマー化合物はまた、例えば、EP-A 451 508及びEP-A 396 303に記載されているようにオリゴマレイン酸である。
【0074】
適したカルボン酸基含有ポリマー化合物はまた、不飽和C4〜C8-ジカルボン酸のターポリマーであり、ここで、重合されたコモノマーは、最大95重量%までの量の以下に明示された(i)グループからの、最大60重量%までの量の(ii)グループからの、及び最大20重量%までの量の(iii)グループからのモノエチレン性不飽和モノマーを含んでいてもよい。これに関連して、適した不飽和C4〜C8-ジカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸である。マレイン酸が好ましい。(i)グループは、モノエチレン性不飽和C3〜C8-モノカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びビニル酢酸を含む。(i)グループは、アクリル酸及びメタクリル酸を使用することが好ましい。(ii)グループは、モノエチレン性不飽和C2〜C22-オレフィン、C1〜C8-アルキル基を有するビニルアルキルエーテル、スチレン、C1〜C8-カルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンを含む。(ii)グループからは、C2〜C6-オレフィン、C1〜C4-アルキル基を有するビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルを用いるのが好ましい。(ii)グループのポリマーが、ビニルエステルを重合された形態で含む場合、これらは、部分的に又は完全にビニルアルコール構造単位に加水分解されて存在してもよい。適したコポリマー及びターポリマーが、例えば、US-A 3,887,806及びDE-A 4313909で知られている。(iii)グループは、C1〜C8-アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、C1〜C8-アミンの(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド及びN-ビニルイミダゾールを含む。
【0075】
適したカルボン酸基含有ポリマー化合物はまた、モノエチレン性不飽和C3〜C8-モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びビニル酢酸、特にアクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー、ジカルボン酸のコポリマー、例えば、1000から150000のモル質量を有する、10:90から95:5の重量比、より好ましくは30:70から90:10の重量比のマレイン酸とアクリル酸のコポリマー;マレイン酸、アクリル酸及びC1〜C3-カルボン酸のビニルエステルのターポリマー(10(マレイン酸);90(アクリル酸+ビニルエステル)から95(マレイン酸);10(アクリル酸+ビニルエステル)の重量比(ここで、アクリル酸対ビニルエステルの重量比は、30:70から70:30の範囲内で変化し得る)で);40:60から80:20のモル比のマレイン酸とC2〜C8-オレフィンとのコポリマー、50:50のモル比のマレイン酸とエチレン、プロピレン又はイソブテンのコポリマーが特に好ましい。
【0076】
適したカルボン酸基含有ポリマー化合物はまた、例えば、EP-A-0877002に記載されているように、50から98重量%のエチレン性不飽和弱カルボン酸と2から50重量%のエチレン性不飽和スルホン酸とのコポリマーである。適したエチレン性不飽和弱カルボン酸は、特に、アクリル酸及びメタクリル酸等のC3〜C6-モノカルボン酸である。適したエチレン性不飽和スルホン酸は、2-アセチルアミドメチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピルアクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド及びこれらの酸の塩である。コポリマーは、0から30重量%の(マレイン酸等の)エチレン性不飽和C4〜C8-ジカルボン酸、及び0から30重量%の、前述のモノマーと共重合可能な少なくとも1種のモノマーを共重合された形態で含んでいてもよい。後者は、例えば、(メタ)アクリル酸のC1〜C4-アルキルエステル、(メタ)アクリル酸のC1〜C4-ヒドロキシアルキルエステル、アクリルアミド、アルキル置換アクリルアミド、N,N-ジアルキル置換アクリルアミド、ビニルホスホン酸、酢酸ビニル、アリルアルコール、スルホン化アリルアルコール、スチレン及び他のビニル芳香族化合物、アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイミダゾール又はN-ビニルピリジンである。これらのコポリマーの重量平均分子量は、3000から50000の範囲内である。特に適したコポリマーは、約77重量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和C3〜C6-モノカルボン酸及び約23重量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和スルホン酸を有するものである。
【0077】
低分子量炭水化物又は水素化炭水化物上への不飽和カルボン酸のグラフトポリマー(US-A 5,227,446、DE-A 4415623及びDE-A 4313909参照)も同様に適している。これに関連して、適した不飽和カルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びビニル酢酸並びにアクリル酸とマレイン酸の混合物であり、グラフト化される成分に対して40から95重量%の量でグラフトされる。修飾について、グラフト化される成分に基づき、最大30重量%以下のさらなるモノエチレン性不飽和モノマーが、重合された形態でさらに存在することが可能である。適した修飾モノマーは、前述の(ii)及び(iii)グループのモノマーである。適したグラフトベースは、分解多糖、例えば、酸分解又は酵素分解デンプン、イヌリン又はセルロース、タンパク質加水分解物及び還元された(水素化又は水素化アミノ化された)分解多糖、例えば、マンニトール、ソルビトール、アミノソルビトール及びN-アルキルグルカミン、並びにMw=5000以下のモル質量を有するポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド若しくはエチレンオキシド/ブチレンオキシド又はエチレンオキシド/プロピレンオキシド/ブチレンオキシドブロックコポリマー及びアルコキシ化一価又は多価C1〜C22-アルコール(US-A-5,756,456参照)である。
【0078】
同様に適したものは、例えば、EP-B-001004、US-A-5,399,286、DE-A-4106355及びEP-A-656914に記載されているポリグリオキシル酸である。ポリグリオキシル酸の末端基は、異なる構造を有していてもよい。
【0079】
さらに適したものは、ポリアミドカルボン酸及び修飾されたポリアミドカルボン酸である。これらは、例えば、EP-A-454126、EP-B-511037、WO-A-94/01486及びEP-A-581452で知られている。
【0080】
ポリアスパラギン酸又はアスパラギン酸と他のアミノ酸との共縮合物、C4〜C25-モノ-若しくは-ジカルボン酸及び/又はC4〜C25-モノ-若しくは-ジアミンも、カルボン酸基含有ポリマー化合物として使用することができる。リン酸中で調製され、C6〜C22-モノ-若しくは-ジカルボン酸で、又はC6〜C22-モノ-若しくは-ジアミンで修飾されたポリアスパラギン酸を用いるのが特に好ましい。
【0081】
カルボン酸基含有ポリマー化合物の中で、部分的に又は完全に中和された形態も含めて、ポリアクリル酸が好ましい。
【0082】
適した有機ビルダーはまた、イミノ二コハク酸、オキシ二コハク酸、アミノポリカルボキシレート、アルキルポリアミノカルボキシレート、アミノポリアルキレンホスホネート、ポリグルタメート、疎水性に修飾されたクエン酸、例えばアガル酸、ポリ-α-ヒドロキシアクリル酸、ラウロイルエチレンジアミン三酢酸塩等のN-アシルエチレンジアミン三酢酸塩及びEDTA獣脂アミド等のエチレンジアミン四酢酸のアルキルアミドである。
【0083】
さらに、有機ビルダーとして酸化デンプンを使用することも可能である。
【0084】
成分b)として、異なるビルダーの混合物を用いるのが好ましい。
【0085】
異なるビルダーの混合物は、好ましくは少なくとも2種の以下の成分を含む:少なくとも1種の炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム)、少なくとも1種のケイ酸塩(例えば二ケイ酸ナトリウム)、少なくとも1種のカルボン酸基含有ポリマー化合物又は少なくとも1種のすべて又は一部が中和された形態で存在するカルボン酸基を含有するポリマー化合物(例えばポリアクリル酸)、少なくとも1種の(ポリ)ヒドロキシカルボン酸又はその塩(例えば、クエン酸又はシトラート)、少なくとも1種のアミノポリカルボン酸又はその塩(例えば、メチルグリシン二酢酸又はその塩、例えばそのナトリウム塩)、少なくとも1種のホスホン酸(例えば、1-ヒドロキシエタン-1-(1,1-ジホスホン酸)、HEDP)、少なくとも1種のリン酸塩。より好ましくは、前記混合物は、少なくとも1種の炭酸塩、少なくとも1種のケイ酸塩及び少なくとも1種の場合によって(部分的に)中和されたカルボン酸基含有ポリマー化合物、並びに場合によって少なくとも1種の以下の成分:少なくとも1種の(ポリ)ヒドロキシカルボン酸又はその塩、少なくとも1種のホスホン酸、少なくとも1種のリン酸塩を含む。前記混合物は、特に、少なくとも1種の炭酸塩、少なくとも1種のケイ酸塩、少なくとも1種の場合によって(部分的に)中和されたカルボン酸基含有ポリマー化合物、少なくとも1種の(ポリ)ヒドロキシカルボン酸又はその塩、及び少なくとも1種のホスホン酸、及び場合によって少なくとも1種のリン酸塩を含む。
【0086】
このような混合物中で、前記成分は、好ましくは以下の量で存在する:
b1)少なくとも1種の炭酸塩:10から50重量%、
b2)少なくとも1種のケイ酸塩:1から10重量%、
b3)少なくとも1種の場合によって(部分的に)中和されたカルボン酸基含有ポリマー化合物:5から20重量%、
b4)少なくとも1種の(ポリ)ヒドロキシカルボン酸又はその塩:0から50重量%、
b5)少なくとも1種のアミノポリカルボン酸又はその塩:0から60重量%、
b6)少なくとも1種のホスホン酸:0.2から1重量%、
b7)少なくとも1種のリン酸塩:0から60重量%
重量百分率は、ビルダーの総重量に基づく。b1)からb7)の重量は、合計100重量%になる。
【0087】
前記酵素は、好ましくはヒドロラーゼ、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、グルコシダーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、他のグリコシルヒドロラーゼ、及び前述の酵素の混合物から選択される。これらのすべてのヒドロラーゼは、タンパク質-、グリース-又はデンプンを含有する汚れ(stain)からの汚れの溶解及び除去に寄与する。漂白に関しては、オキシドレダクターゼを使用することも可能である。特に適したものは、細菌菌株又は菌(fungus)、例えば,枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyceus griseus)及びフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から得られる活性酵素成分である。
【0088】
適したヒドロラーゼは、例えば、α-グルコシダーゼ(EC番号3.2.1.20)、プロテアーゼ(Ovozyme(登録商標)(Novozymes製)、EC番号3.2.1.20)、アミラーゼ[Purastar(登録商標)(Genencor製)、Termamyl(登録商標)(Novozymes製)、Stainzyme(登録商標)(Novozymes製)、Duramyl(登録商標)(Novozymes製)]、マンナナーゼ[Purabrite(登録商標)(Genencor製)、Mannastar(登録商標)(Genencor製)、Mannaway(登録商標)(Novozymes製)]及びセルラーゼ[Carezyme(登録商標)(Novozymes製)、Celluzyme(登録商標)(Novozymes製)、endolase、Puradax(登録商標)(Genencor製)]である。適したアミラーゼには、特にα-アミラーゼ(EC番号3.2.1,1)、イソ-アミラーゼ、プルラナーゼ及びペクチナーゼが含まれる。使用されるセルラーゼは、好ましくは、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ及びβ-グルコシダーゼ(これは、セロビアーゼとも称される)、又はこれらの混合物である。異なるセルラーゼのタイプは、そのCMCase活性及びアビセラーゼ活性が異なるので、セルラーゼの制御された混合物を用いて所望の活性を確立することが可能である。
【0089】
適したリパーゼは、Lipex及びLipolase等のエステラーゼである。脂肪分解的に活性な酵素の例は、知られているクチナーゼである。
【0090】
ペルオキシダーセ又はオキシダーゼは、場合により適していることが見出されている。
【0091】
本発明の食器洗浄用組成物は、好ましくは少なくとも1種のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼを含む。
【0092】
本発明の食器洗浄用組成物は、好ましくは酵素混合物を含む。
【0093】
例えば、以下の酵素を含む又はそれから構成されている酵素混合物が好ましい:
-プロテアーゼ及びアミラーゼ、
-プロテアーゼ及びリパーゼ(又は脂肪分解的に活性な酵素)、
-プロテアーゼ及びセルラーゼ、
-アミラーゼ、セルラーゼ及びリパーゼ(又は脂肪分解的に活性な酵素)、
-プロテアーゼ、アミラーゼ及びリパーゼ(又は脂肪分解的に活性な酵素)、
-プロテアーゼ、リパーゼ(又は脂肪分解的に活性な酵素)及びセルラーゼ。
【0094】
プロテアーゼ及び/又はアミラーゼ含有混合物が特に好ましい。
【0095】
前述の混合物中で好ましいプロテアーゼは、サブチリシンタイプのプロテアーゼである(Savinase等、EC番号3.4.21.62)。
【0096】
酵素は、過度に早く分解しないように保護するために担体上に吸着させてもよい。
【0097】
場合によって、本発明の洗浄用及び清浄用組成物はまた、酵素安定剤、例えば、プロピオン酸カルシウム、ギ酸ナトリウム又はホウ酸若しくはその塩、及び/或いは酸化防止剤を含む。
【0098】
前記漂白剤d)は、好ましくは、漂白剤に加えて、場合によって漂白活性化剤、漂白触媒及び/又は漂白安定剤を含む漂白系である。
【0099】
適した漂白剤は、例えば、ペルカルボン酸、例えば、ジペルオキソドデカンジカルボン酸、フタルイミドペルカプロン酸又はモノペルオキソフタル酸若しくは-テレフタル酸、ペルカルボン酸の塩、例えば過炭酸ナトリウム、過酸化水素の無機塩への付加物、例えば過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水和物、炭酸ナトリウム過水和物又はリン酸ナトリウム過水和物、過酸化水素の有機化合物への付加物、例えば、尿素過水和物、又は無機ペルオキソ塩、例えば、アルカリ金属過硫酸塩又はペルオキソ二硫酸塩である。
【0100】
適した漂白活性化剤は、例えば、ポリアシル化糖、例えばペンタアセチルグルコース;アシルオキシベンゼンスルホン酸並びにそのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばナトリウムp-ノナノイルオキシベンゼンスルホネート又はナトリウムp-ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート;N,N-ジアシル化及びN,N,N',N'-テトラアシル化アミン、例えば、N,N,N',N'-テトラアシルメチレンジアミン及び-エチレンジアミン(TAED)、N,N-ジアセチルアニリン、N,N-ジアセチル-p-トルイジン又は1,3-ジアセチル-5,5-ジメチルヒダントイン等の1,3-ジアシル化ヒダントイン;N-アルキル-N-スルホニルカルボンアミド、
例えば、N-メチル-N-メシルアセトアミド又はN-メチル-N-メシルベンズアミド;N-アシル化環状ヒドラジド、アシル化トリアゾール又はウラゾール、例えばモノアセチルマレイン酸ヒドラジド;O,N,N-三置換ヒドロキシルアミン、例えばO-ベンゾイル-N,N-スクシニルヒドロキシルアミン、O-アセチル-N,N-スクシニルヒドロキシルアミン又はO,N,N-トリアセチルヒドロキシルアミン;N,N'-ジアシルスルフリルアミド、例えば、N,N'-ジメチル-N,N'-ジアセチルスルフリルアミド又はN,N'-ジエチル-N,N'-ジプロピオニルスルフリルアミド;アシル化ラクタム、例えば、アセチルカプロラクタム、オクタノイルカプロラクタム、ベンゾイルカプロラクタム又はカルボニルビスカプロラクタム;アントラニル誘導体、例えば2-メチルアントラニル又は2-フェニルアントラニル;トリアシルシアヌラート、例えば、トリアセチルシアヌラート又はトリベンゾイルシアヌラート;オキシムエステル及びビスオキシムエステル、例えば、O-アセチルラクトンオキシム又はビスイソプロピルイミノカルボナート;カルボン酸無水物、例えば、無水酢酸、安息香酸無水物、m-クロロ安息香酸無水物又は無水フタル酸;エノールエステル、例えばイソプロペニルアセテート;1,3-ジアシル-4,5-ジアシルオキシイミダゾリン、例えば1,3-ジアセチル-4,5-ジアセトオキシイミダゾリン;テトラアセチルグリコールウリル及びテトラプロピオニルグリコールウリル;ジアシル化2,5-ジケトピペラジン、例えば1,4-ジアセチル-2,5-ジケトピペラジン;アンモニウム置換ニトリル、例えばN-メチルモルホリニオアセトニトリルメチルスルフェート;プロピレン二尿素及び2,2-ジメチルプロピレン二尿素のアシル化生成物、例えばテトラアセチルプロピレン二尿素;α-アシルオキシポリアシルマロンアミド、例えばα-アセトキシ-N,N'-ジアセチルマロンアミド;ジアシルジオキソヘキサヒドロ-1.3.5-トリアジン、例えば1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1.3.5-トリアジン;2位にアルキル基(例えばメチル)又は芳香族基(例えばフェニル)を有するベンゾ-(4H)-1,3-オキサジン-4-オンである。
【0101】
漂白剤及び漂白活性化剤からなる漂白系は、場合によって漂白触媒を含んでいてもよい。適した漂白触媒は、例えば、四級化されたイミン及びスルホンイミンであり、これらは、例えば、US-A 5,360,569及びEP-A 453 003に記載されている。特に有効な漂白触媒は、例えば、WO-A 94/21777に記載されているマンガン錯体である。これらを洗浄用及び清浄用組成物中で使用する場合、このような化合物は、最大で1.5重量%まで、特に最大0.5重量%までの量で、及び非常に活性なマンガン錯体の場合は、最大0.1重量%までの量で加えられる。記載された、漂白剤、漂白活性化剤及び場合によって漂白触媒からなる漂白系に加えて、酵素的なペルオキシド放出を用いた系又は光活性化漂白系を本発明の洗浄用及び清浄用組成物に使用することも可能である。
【0102】
成分a)以外のe)グループの界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、双性イオン性又は非イオン性であり得る。
【0103】
適した非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコキシ化(有利にはエトキシ化)された、好ましくは8から18個の炭素原子及びアルコール1モル当たり平均1から20、好ましくは1から12モルのエチレンオキシド(EO)を有する特に第一級アルコールであり、この場合、アルコール基は、直鎖又は好ましくは2-メチルの分枝であってもよく、或いは、典型的にはオキソアルコール基中に存在するように、直鎖基とメチル分枝基を混合して含んでいてもよい。しかし、特に好ましいものは、12から18個の炭素原子を有する天然由来のアルコール(例えば、ココナツアルコール、パームアルコール、獣脂脂肪アルコール又はオレイルアルコール)から形成される直鎖基及びアルコールの1モル当たり平均2から8個のEOを有するアルコールエトキシレートである。好ましいエトキシ化アルコールには、例えば、3個のEO、4個のEO又は7個のEOを有するC12〜C14-アルコール、7個のEOを有するC9〜C11-アルコール、3個のEO、5個のEO、7個のEO又は8個のEOを有するC13〜C15-アルコール、3個のEO、5個のEO又は7個のEOを有するC12〜C18-アルコール及びこれらの混合物、例えば、3個のEOを有するC12〜C14-アルコールと7個のEOを有するC12〜C18-アルコールとの混合物が含まれる。規定されたエトキシ化度は、統計的平均値であり、特定の生成物に対して整数又は分数であり得る。さらに適したものは、狭い同族体分布を有するアルコールエトキシレート(狭い分布範囲のエトキシレート、NRE)である。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12個を超えるEOを有する脂肪アルコールを使用することも可能である。これらの例は、14個のEO、25個のEO又は30個のEOを有する獣脂脂肪アルコールである。分子中にEO及びPO基を共に含む非イオン性界面活性剤を使用することも可能である。この場合、EO-POブロック単位又はPO-EOブロック単位を有するブロックコポリマーだけでなく、EO-PO-EOコポリマー又はPO-EO-POコポリマーを使用することも可能である。EO及びPO単位がブロック状ではなく、ランダム分布である混合アルコキシ化非イオン性界面活性剤を使用することも可能であることが理解される。このような生成物は、脂肪アルコールへのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの同時作用によって得ることができる。
【0104】
さらに、使用される他の非イオン性界面活性剤は、一般式(1)のアルキルグリコシドであり得る。
【0105】
RaO(G)y (1)
(式中、Raは、8から22個、好ましくは12から18個の炭素原子を有する、第一級直鎖又はメチル分枝(特に2-メチル分枝)脂肪族基であり、Gは、5又は6個の炭素原子を有するグリコシド単位、好ましくはグルコースである。オリゴマー形成度y(これは、モノグリコシドとオリゴグリコシドの分布を示す)は、1から10の間の任意の数である。yは好ましくは1.2から1.4である)。
【0106】
単独の非イオン性界面活性剤として又は他の非イオン性界面活性剤と併用して使用することができる、他のクラスの適した非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化(好ましくは、エトキシ化又はエトキシ化及びプロポキシ化)された、好ましくはアルキル鎖中に1から4個の炭素原子を有する脂肪酸アルキルエステル、特に、例えば、特開昭58/217598に記載されており、或いはWO-A-90/1353に記載されている方法で調製された脂肪酸メチルエステルである。
【0107】
アミンオキシドタイプ、例えば、N-ココアルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド及びN-獣脂アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシド、及び脂肪酸アルカノールアミドタイプの非イオン性界面活性剤も適している可能性がある。これらの非イオン性界面活性剤の量は、好ましくはエトキシ化脂肪アルコールの量以下、特にその半分以下である。
【0108】
他の適した界面活性剤は、式(2)のポリヒドロキシ脂肪酸アミドである。
【化3】
【0109】
式中、RbC(=O)は、6から22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり、Rcは、水素、
1から4個の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基であり、[Z]は、3から
10個の炭素原子及び3から10個のヒドロキシル基を有する直鎖又は分枝ポリヒドロキシアルキル基である。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、典型的には還元糖のアンモニア、アルキルアミン又はアルカノールアミンによる還元的アミノ化、及びそれに続く脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル又は脂肪酸クロリドによるアシル化によって得ることができる既知の物質である。
【0110】
ポリヒドロキシ脂肪酸アミドのグループには、式(3)の化合物も含まれる。
【化4】
【0111】
式中、Reは、7から12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝のアルキル又はアルケニル基であり、Rfは、2から8個の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環状アルキレン基或いは6から8個の炭素原子を有するアリーレン基であり、Rgは、1から8個の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環状のアルキル基又はアリール基又はオキシアルキル基であり、C1〜C4-アルキル又はフェニル基が好ましく、[Z]1は、そのアルキル鎖が少なくとも2個のヒドロキシル基で置換されている直鎖ポリヒドロキシアルキル基、又はこの基のアルコキシ化、好ましくはエトキシ化若しくはプロポキシ化誘導体である。[Z]1は、好ましくは糖、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース又はキシロースの還元的アミノ化によって得られる。次いで、N-アルコキシ-又はN-アリールオキシ置換化合物は、例えば、WO-A-95/07331に従って、触媒としてアルコキシドの存在下、脂肪酸メチルエステルとの反応によって所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに変換することができる。
【0112】
適したアニオン性界面活性剤は、例えば、スルホネート及びスルフェートタイプのものである。スルホネートタイプの有用な界面活性剤には、好ましくは、C9〜C13-アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、即ち、アルケン-及びヒドロキシアルケンスルホネートの混合物、並びに、例えば、末端又は内部二重結合を有するC12〜C18-モノオレフィンからガス状三酸化硫黄によるスルホン化及びそれに続くスルホン化生成物のアルカリ又は酸加水分解によって得られるジスルホネートが含まれる。さらに適したものは、C12〜C18-アルカンから、例えば、スルホ塩素化又はスルホ酸化、それに続く加水分解又は中和によって得られるアルカンスルホネートである。同様に適したものは、α-スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、水素化ココナツ脂肪酸、パーム核脂肪酸又は獣脂脂肪酸のα-スルホン化メチルエステルである。
【0113】
他の適したアニオン性界面活性剤は、スルホン化脂肪酸グリセリルエステルである。脂肪酸グリセリルエステルは、1から3モルの脂肪酸によるモノグリセロールのエステル化による調製で、又は0.3から2モルのグリセリンによるトリグリセリドエステル交換で得られる、モノ-、ジ-及びトリエステル及びこれらの混合物を意味するものと理解される。好ましいスルホン化脂肪酸グリセリルエステルは、6から22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のスルホン化生成物である。
【0114】
好ましいアルキル(アルケニル)スルフェートは、C12〜C18脂肪アルコール、例えば、ココナツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール又はステアリルアルコールの、或いはC10〜C20オキソアルコールの硫酸モノエステルのアルカリ金属塩(特にナトリウム塩)であり、並びにこれらの鎖長の第二級アルコールのモノエステルのものである。さらに好ましいものは、言及した鎖長のアルキル(アルケニル)スルフェートであり、これは、石油化学ベースで製造されており、脂肪化学的原材料ベースの等価の化合物と類似の分解挙動を有する合成直鎖アルキル基を含む。洗浄という観点からは、C12〜C16-アルキルスルフェート及びC12〜C15-アルキルスルフェート、並びにまたC14〜C15-アルキルスルフェートが好ましい。2,3-アルキルスルフェート(例えば、米国特許第3,234,258号及び同第5,075,041号に従って調製され、商品名DAN(登録商標)としてShell Oil Company製の市販品で入手可能である)はまた、適したアニオン性界面活性剤である。
【0115】
1から6モルのエチレンオキシドでエトキシ化されている直鎖又は分枝C7〜C21-アルコール、例えば、平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2-メチル-分枝C9〜C11-アルコールの、或いは1から4個のEOを有するC12〜C18脂肪アルコールの硫酸モノエステルも適している。その高い発泡量のために、これらは比較的少量、例えば1から5重量%の量で清浄用組成物中に使用される。
【0116】
他の適したアニオン性界面活性剤はまた、アルキルスルホコハク酸の塩であり、これは、スルホスクシネートとも又はスルホコハク酸エステルとも称され、スルホコハク酸のアルコール、好ましくは脂肪アルコール、特にエトキシ化脂肪アルコールとのモノエステル及び/又はジエステルである。好ましいスルホスクシネートは、C8〜C18脂肪アルコール基又はこれらの混合物を含む。特に好ましいスルホスクシネートは、エトキシ化脂肪アルコール由来の脂肪アルコール基を含む。同様に、その脂肪アルコール基が狭い同族体分布を有するエトキシ化脂肪アルコールに由来するスルホスクシネートが特に好ましい。同様に、アルキル(アルケニル)鎖中に、好ましくは8から18個の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)コハク酸、又はその塩を使用することも可能である。
【0117】
適したアニオン性界面活性剤はまた、石鹸である。飽和及び不飽和脂肪酸石鹸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素化)エルカ酸及びベヘン酸の塩、特に天然脂肪酸、例えば、ココナツ脂肪酸、パーム核脂肪酸、オリーブ油脂肪酸又は獣脂脂肪酸由来の石鹸混合物が適している。
【0118】
石鹸を含めて、アニオン性界面活性剤は、これらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩の形態で、或いはモノ-、ジ-又はトリエタノールアミン等の有機塩基の可溶性塩として存在していてもよい。アニオン性界面活性剤は、好ましくはそのナトリウム又はカリウム塩、特にナトリウム塩の形態である。
【0119】
カチオン性界面活性剤は、例えば、C8〜C16-ジアルキルジメチルハロゲン化アンモニウム、ジアルコキシジメチルハロゲン化アンモニウム等のアンモニウム塩又は長鎖アルキル基を有するイミダゾリニウム塩である。
【0120】
両性界面活性剤は、例えば、第二級又は第三級アミンの誘導体、例えば、C6〜C18-アルキルベタイン若しくはC6〜C15-アルキルスルホベタイン、又はアミンオキシド、例えば、アルキルジメチルアミンオキシドである。
【0121】
成分e)に存在する溶媒は、例えば、モノ-若しくは多価アルコール、アルカノールアミン又はグリコールエーテルの群に由来する。これらは好ましくは、エタノール、n-又はイソプロパノール、ブタノール、グリコール、プロパン-又はブタンジオール、グリセリン、ジグリコール、プロピル-又はブチルジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチル、エチル又はプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、メトキシ-、エトキシ-又はブトキシトリグリコール、イソブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールtert-ブチルエーテル及びこれらの溶媒の混合物から選択される。
【0122】
成分e)の有用な発泡抑制剤又は消泡剤は、例えば、石鹸、パラフィン又はシリコーン油であってもよく、これらは場合によって担体物質に適用してもよい。
【0123】
成分e)の適した塩基は、特にビルダーに対して上述した炭酸塩である。
【0124】
本発明の代替的に好ましい実施形態では、本発明の洗浄用及び清浄用組成物は、ゲルの形態である。洗浄用及び清浄用組成物ゲルは、好ましくは食器洗浄用組成物ゲルであり、その中でも食器洗浄機用組成物ゲルが特に好ましい。さらに特定すると、これらは、リンス補助機能を有する食器洗浄用組成物ゲル、好ましくは食器洗浄機用組成物ゲルである。
【0125】
洗浄用及び清浄用組成物ゲルは、室温(20℃)で水より高い粘度を有するが、通常の投与補助器具でなんら問題なく投与できる、十分自由に流動する液体組成物を意味するものと理解される。本発明の洗浄用及び清浄用組成物ゲルは、好ましくは20℃において0.5から100、より好ましくは0.5から50、特に1から30Pa・sの粘度を有する。
【0126】
本発明の食器洗浄用組成物ゲルは、好ましくは以下の成分を含む:
a)少なくとも1種の式Iの化合物、
b)少なくとも1種のビルダー(金属イオン封鎖剤、構造物質、錯化剤、キレート剤、キレート化剤又は軟化剤としても知られている)、
c)場合によって、少なくとも1種の酵素、
d)場合によって、少なくとも1種の漂白剤、
e1)水、
e2)少なくとも1種の増粘剤、
e3)場合によって、好ましくは、a)以外の界面活性剤、塩基、腐食抑制剤、消泡剤、染料、芳香剤、充填剤、可溶化剤及び有機溶媒から選択される少なくとも1種の他の添加剤。
【0127】
これらの成分は、好ましくは以下の比率で本発明の食器洗浄用組成物ゲル中に存在する:
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から20重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から80重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0から8重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:0から30重量%、
e1)水:10から90重量%、
e2)少なくとも1種の増粘剤:0.1から8重量%、
e3)少なくとも1種の他の添加剤:0から25重量%
重量百分率は、食器洗浄用組成物の総重量に基づく。a)からe3)の重量の合計は100重量%になる。
【0128】
本発明の食器洗浄用組成物は、より好ましくは少なくとも1種の酵素を含む。
【0129】
前述の成分は、より好ましくは以下の比率で本発明の食器洗浄用組成物ゲル中に存在する:
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から60重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:0から30重量%、
e1)水:10から90重量%、
e2)少なくとも1種の増粘剤:0.1から6重量%、
e3)少なくとも1種の他の添加剤:0から25重量%
重量百分率は、食器洗浄用組成物の総重量に基づく。a)からe3)の重量の合計は100重量%になる。
【0130】
前述の成分はさらに、好ましくは以下の比率で本発明の食器洗浄用組成物ゲル中に存在する:
a)少なくとも1種の式Iの化合物:0.1から10重量%、
b)少なくとも1種のビルダー:5から40重量%、
c)少なくとも1種の酵素:0.1から6重量%、
d)少なくとも1種の漂白剤:0から25重量%、
e1)水:20から80重量%、
e2)少なくとも1種の増粘剤:0.3から50重量%、
e3)少なくとも1種の他の添加剤:0から25重量%
重量百分率は、食器洗浄用組成物の総重量に基づく。a)からe3)の重量の合計は100重量%になる。
【0131】
増粘剤は、本発明の食器洗浄用組成物に所望の粘度を付与する機能を持つ。
【0132】
既知の任意の増粘剤(レオロジー調整剤)は、それが食器洗浄用組成物の効力に悪影響を及ぼさないことを条件として、原則的には適している。適した増粘剤は、天然起源又は合成性であってよい。
【0133】
天然起源の増粘剤の例には、キサンタン、イナゴマメ粉末、グアー粉末、カラギーナン、寒天、トラガカント、アラビアゴム、アルギネート、ヒドロキシエチルデンプン、デンプンホスフェートエステル又はデンプンアセテート等の変性デンプン、デキストリン、ペクチン及びカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体がある。
【0134】
天然起源の増粘剤には、ポリケイ酸及び粘土鉱物(例えば層状ケイ酸塩)、並びにビルダーに対して言及したケイ酸塩等の無機増粘剤もある。
【0135】
合成増粘剤の例には、アクリル酸の(部分的に)架橋されたホモポリマー、例えば、スクロース又はペンタエリトリトールのアリルエーテルで、或いはプロピレンで架橋されているアクリル酸のホモポリマー(カルボマー)等のポリアクリル酸及びポリメタクリル酸化合物、例えば、BF Goodrich製、Carbopol(登録商標)(例えば、Carbopol(登録商標)676、940、941、934等)又は3V Sigma製、Polygel(登録商標)(例えば、Polygel(登録商標)DA)、エチレン性不飽和モノ-又はジカルボン酸のコポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸とメチルアクリレート又はエチルアクリレートと長鎖エトキシ化アルコール由来の(メタ)アクリレートとのターポリマー、例えば、Rohm & Haas製、Acusol(登録商標)(例えば、Acusol(登録商標)820又は1206A)、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのC1〜C4-アルキルエステルから選択される2種以上のモノマーのコポリマー、例えば、メタクリル酸、ブチルアクリレートとメチルメタクリレートのコポリマー又はブチルアクリレートとメチルメタクリレートのコポリマー、例えばRohm & Haas製、Aculyn(登録商標)及びAcusol(登録商標)(例えば、Aculyn(登録商標)22、28又は33及びAcusol(登録商標)810、823及び830)、或いは、架橋された高分子量アクリル酸コポリマー、例えば、C10〜C30-アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸及びそのC1〜C4-アルキルエステルから選択される1種以上のコモノマーとのコポリマーであって、スクロース又はペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されているコポリマー(例えば、Rohm & Haas製Carbopol(登録商標)ETD 2623、Carbopol(登録商標)1382又はCarbopol(登録商標)AQUA 30)がある。
【0136】
合成増粘剤の例はまた、マレイン酸ポリマーとエトキシ化長鎖アルコールとの反応生成物、例えば、Texaco Chemical Co.製Surfonic L系列又はISP製Gantrez AN-119;ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリイミン及びポリカルボン酸である。
【0137】
前述の増粘剤の混合物も適している。
【0138】
好ましい増粘剤は、キサンタン及び前述のポリアクリル酸化合物及びポリメタクリル酸化合物である。
【0139】
適した好ましい成分a)からd)及びe3)に関しては上記の通りである。
【0140】
本発明により使用される化合物Iは、通例の従来技術の界面活性剤と比較して高い融点に関して注目されるが、これは固体の洗浄用及び清浄用組成物におけるこの化合物の使用を可能にする。この化合物は、あったとしても発泡する強い傾向を持たず、これらは、それによって洗浄された食器類上で優れた付着物抑制作用(特にスポッティングに関して)を有し、これらは加水分解不安定性ではない。
【0141】
次に、以下の非限定的な実施例によって、用途をさらに例示する。
【実施例】
【0142】
1.合成実施例
一般的方法
1.1 アルキルオキシエチレングリコールドデシルメルカプトエタノールの調製
1.1.1 アルコールエトキシレートの調製
Mettler製2lオートクレーブ中で、アルコキシ化されるアルコール(イソトリデカノール、2-プロピルヘプタノール又はC12/C14-アルコール、1.0当量)を、50重量%のKOHを含むKOH水溶液と混合する。KOHの量は、調製する生成物の0.2重量%である。撹拌しながら、混合物を100℃及び20ミリバールで2時間脱水する。これに続いてN2で3回パージし、ほぼ1.3バールのN2の初期圧力を確立し、温度を120℃まで上昇させる。エチレンオキシド(nモル当量)を、温度が125から135℃の間のままであるようにして、計量供給する。これに続いて、125℃でさらに5時間N2でパージしながら撹拌を行ない、70℃まで冷却し、反応器から排出する。粗生成物をロータリーエバポレータで100℃(<20ミリバール)において2時間脱気する。この塩基性粗生成物を市販のケイ酸マグネシウムで脱イオン化することができ、引き続いてろ過して除く。或いは、酢酸を用いて中和を行うこともできる。淡色の生成物を、CDCl3中の1H NMRスペクトル、及びゲル浸透クロマトグラフィー、並びにOH価測定を用いて特性決定し、収率を決定する(>98%)。
【0143】
1.1.2ドデシルメルカプトエタノールとの反応
ウォータートラップを備えた500mlの装置に、実施例1.1.1からのアルコキシレート(1モル当量)、パラ-トルエンスルホン酸(0.005モル当量)及びトルエンを最初に充填する。反応混合物を加熱還流する。ドデシルメルカプトエタノール(xモル当量)を滴下で添加する。形成する水を一晩ウォータートラップによって除去する。反応混合物を冷却し、炭酸ナトリウム (0.005モル当量)で中和し、ろ過し、溶媒を100℃及び6ミリバールで完全に除去する。これは白色固体生成物を生じさせる。構造をTAI NMR(変換されたOH基%)によって決定した。トルエン(常に<0.5%)及びドデシルメルカプトエタノールの残留量をGCによって決定した。
【表1】
【0144】
1.2. 生成物Cの対応するスルホキシドDへの酸化
71.6gの上記生成物C(40mmol、1モル当量)を水中に入れ、70℃まで加熱し、250mlフラスコ中で溶融させた。過酸化水素(50%)(4.1g、60mmol、1.5モル当量)を滴下で添加した。反応混合物を70℃で2時間撹拌し、次いで冷却し、100℃、6ミリバールで濃縮した。これは69.2g(96収率%)の固体黄色生成物を生じさせた。IRを用いて、過酸化水素が存在しないことを確認し、1H NMRを用いて変換率(100%)を決定した。
【0145】
TAI NMRに関する方法の説明:
1H NMRスペクトルにおいて、重ね合わされた第一級及び/又は第二級アルコールのシグナルを(定量的に)測定することを可能にするために、CDCl3中の試料を過剰のTAI(トリクロロアセチルイソシアネート)と混合した。イソシアネートが直ちにアルコール基と反応して、カルバメートが得られる。1H NMRスペクトルにおいて、その中に存在する化合物Cl3CC(O)NHC(O)-OCH2R又はCl3CC(O)NHC(O)-OCH-RR'は、OCH2及びOCHRR'について異なる、典型的なシフトを有する。「第一級カルバメート」についての典型的なシフト範囲は4.0から4.5ppmであり、一方、「第二級カルバメート」については5.0から5.3ppmである。
【0146】
2 使用実施例
様々な界面活性剤を本用途で試験した。Aは比較のポリマーである。
【表2】
【0147】
2.1 融点測定
融点をDSC(示差走査熱量測定)によって測定した。
【表3】
【0148】
2.2 食器洗浄機における泡量
泡量を、食器洗浄機のスプレーアームの速度を介した発泡の測定によって間接的に決定した。この目的ために、強くかき混ぜた鶏卵10ml、基本食器洗浄用組成物(メタケイ酸ナトリウム×5H2O 48部、三リン酸ナトリウム45部、炭酸ナトリウム5部)19g及び界面活性剤(AからF)1gを食器洗浄機(Miele Desinfektor G 7735 CD MCU、プログラム可能な制御ユニットMCUバージョンS04.01)中に導入した。次いで、様々な温度でスプレーアームの回転数を測定した。スプレーアームは、高い発泡量において動きが鈍化し、低い発泡量において可能な最高速度で作動することができる(ほぼ125rpm)。泡が存在しない場合、食器洗浄機の最高速度は通常ほぼ125rpmである。生成物のより良好な区別を可能にするより広い範囲を得るために、食器洗浄機の最大速度を、本試験において人為的に(スプレーアーム上の口径、ノズルの位置によって)設定した。
【0149】
回転速度を40、50及び60℃において測定した。以下の表は、異なる温度におけるロータ速度をrpm単位で列挙する。
【表4】
【0150】
2.3 リンス補助試験
すべての実施例を、以下の組成物の基本配合物を用いて実施した。
【0151】
1重量部のプロテアーゼ(Ovozyme(登録商標)64 T)
0.2重量部のアミラーゼ(Stainzyme(登録商標)12 T)
3重量部の界面活性剤
10重量部の、4000g/モルのモル質量を有するポリアクリル酸(Sokalan(登録商標)PA 25 Cl)
10.5重量部の過炭酸ナトリウム
4重量部のテトラアセチルエチレンジアミン
2重量部の二ケイ酸ナトリウム(Britesil(登録商標)H 265 LC)
18.8重量部の炭酸ナトリウム
33重量部のクエン酸ナトリウム二水和物
15重量部のメチルグリシン二酢酸三ナトリウム塩(Trilon(登録商標)M)
0.5重量部の1-ヒドロキシエタン-(1,1-ジホスホン酸)(HEDP、Cublen(登録商標)K 8514 GR)。
【0152】
Ovozyme(登録商標)及びStainzyme(登録商標)は、Novozymesの商品名であり、Sokalan(登録商標)及びTrilon(登録商標)は、BASF SEの商品名であり、Britesil(登録商標)は、PQ Corp.の商品名であり、Cublen(登録商標)は、Zschimmer & Schwarz Mohsdorf GmbH & Co KGの商品名である。
【0153】
すべてのリンス補助試験を、Miele食器洗浄機(G1222 SCL)中で実施した。洗浄サイクルに対して50℃におけるプログラム(R time 2)を、リンスサイクルに対して65℃におけるプログラムを選択した。水の硬度21°dH (Ca/Mg):HCO3 (3:1):1.35を有する硬水を用いて試験を実施した。別個のリンス助剤は添加せず、加えられた水軟化剤(イオン交換体)は、再生化塩による再生はしなかった。前述の配合物をいずれの場合も21gの用量で使用した。各リンスサイクルに対して、100gのグリース、タンパク質及びデンプンからなるバラスト汚れを加えた。各清浄化サイクルにおける試験食器類は、Cromarganナイフ、青色メラミンの皿、グラス及び磁器の皿であった。リンスサイクルの間に、いずれの場合も1時間の待ち時間(ドア閉鎖で10分、ドア開放で50分)があった。
【0154】
第6回のリンスサイクルが終了した後、食器類を暗いチャンバー中で開口板の後方の光の下、視覚的に検査し、しみ、線条及び被膜の形態の付着物に関して、1(=重度の残留物)から10(=残留物なし)までの評価基準により評価した。
【表5】
【0155】
2.4 使用範囲にわたる安定性試験
2.2と類似の試験。回転速度を、最大温度(57℃〜70℃)で2時間にわたり測定した。以下の表に、回転速度をrpm単位で挙げた。回転速度の下に、正確な温度を角括弧中に挙げた。
【表6】