(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、港湾で荷役作業を行う岸壁クレーンなどには、走行を停止して作業を行うときや、夜間などの休業中に走行レール上を逸走しないように突風時逸走防止装置として、レールクランプを備えたクレーンがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、従来のレールクランプを備えたクレーンについて
図17を参照しながら説明する。ここで
図17は、クレーン1Xの下部構造を示し、また、海側又は陸側の一方を示している。クレーン1Xの下部構造は、上部構造を支える脚部2a及び2bと、そのそれぞれを接合するシルビーム3と、岸壁Gに敷設された走行レールR上を走行する走行装置4a及び4bとを備える。
【0004】
このクレーン1Xは、連結部10Xによりシルビーム3とレールクランプ20とを連結され、この連結部10Xは、シルビームコラム(支柱)11Xと連結ピン12Xとを備える。この連結ピン12Xはレールクランプ20の連結部23とシルビームコラム11Xとを連結する。また、レールクランプ20は、装置内の機構を稼働させて走行レールRを把持するクランプ21とレールガイド付き(つば付き)の走行輪22とを備える。
【0005】
このレールクランプ20は、突風を岸壁クレーンが受けても作業ができるように、さらに突風を受けてもクレーン1Xが逸走しないように突風対策としての役割も持つ。
【0006】
例えば、クレーン1Xの走行方向であるx方向から、35m/s程度の突風をクレーン1Xが受け場合に、x方向に約50tもの荷重がかかり、その荷重を海側脚部と陸側脚部とに分散し、レールクランプ20や走行装置4aのブレーキなどで支えている。その内、一方のレールクランプ装置20は約20tの荷重を支えることになる。
【0007】
ところが、クレーン1Xの稼働中や停止中に地震が発生した場合に、レールクランプ20の走行レールRを把持する力(約20tの荷重を把持する力)によって、クレーン1Xの上部に大きい水平力が働いてクレーン1Xの走行装置4a及び4bの車輪が走行レールRから浮き上がり、脱輪や損傷を生じる恐れがあった。
【0008】
その地震が発生した場合に働く水平力を吸収するために、さまざまな免震装置を備えた免震クレーンがある。この免震クレーンは、免震クレーンの横行方向、及び走行方向の揺れに対して効果がある。しかしながら、この免震クレーンの逸走を防止するために、レールクランプを備えると、前述した脱輪や損傷を生じるという問題が発生する。
【0009】
そこで、免振型レールクランプ装置のレールクランプ台車と免振型クレーンのトラックとの間に、これらの間隔を所定間隔範囲内で接近離間動作可能に接続する遊動接続部と、前記間隔を前記所定間隔内の一定位置に拘束保持し、かつ設定された剪断強度を有するシアーピンとが設けられている構成を有し、レールの延在方向の外力振動を安全に吸収することができる装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
この装置は、地震が発生するとシアーピンが破断して、免震型クレーンがレールの延在方向に接近離間動作を行うことで、振動を吸収している。しかし、この装置は、地震後に
破断したシアーピンの復旧に時間がかかってしまうという問題や、シアーピンの破断荷重のコントロールの困難性から、突風などでもシアーピンが破断してしまうという問題がある。
【0011】
また、港湾で作業する機器への耐震性の基準は高くなっている。地震の振幅時間として約300秒間、また、地震の振幅として±300mm以上に耐えうる構造が必要である。これはクレーンの走行方向にも適応されるため、地震波が長周期で、エネルギーの吸収時間が長い場合への対応が必要である。そのため、特許文献2に記載の装置の構成では、長時間且つ長周期の地震の振幅には耐えることができないという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、走行を停止して作業しているときや、夜間などの休業時、又は暴風時で突風を受けているときに、地震が発生した場合に、港湾荷役機器の逸走を防止する逸走防止装置の把持力を逃がして、車輪の浮き上がりを防止することができる港湾荷役機器とその免震方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を解決するための本発明の港湾荷役機器は、
脚構造物と、この脚構造物の下方に設置されていてレール上を走行する走行装置と、前記脚構造物または前記走行装置に連結部を介して連結されていて前記レール上を移動する突風時逸走防止装置とを備えた港湾荷役機器において、前記連結部
が、
一端を前記突風時逸走防止装置に固定されていて前記港湾荷役機器の走行方向に延設されるスライドアームと、このスライドアームの他端に固定されていて前記レール上を移動する別の前記突風時逸走防止装置または挟持装置と、前記脚構造物または前記走行装置に設置されていて前記スライドアームを挿通され前記スライドアームに沿って摺動可能に構成されているスライド部材とを備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、地震が発生したときに、その振幅によって港湾荷役機器が揺れ、その揺れと共に、スライド部材がスライドアームの長手方向又は幅方向を往復することができる。そのため、突風時逸走防止装置の把持力を走行方向に逃がすことでき、突風時逸走防止装置の把持力が港湾荷役機器に伝わらないため、港湾荷役機器の走行装置の車輪の浮き上がりを防ぐことができる。また、突風時逸走防止装置と港湾荷役機器とが常に連結した状態を保ち、地震発生後も突風時逸走防止装置が自立した状態を保つことができる。そのため、地震発生後の復旧を容易に行うことができる。
【0016】
なお、ここでいう突風時逸走防止装置とは、走行を停止して作業するとき、夜間などの休業時、又は暴風時で突風を受けたときに、港湾荷役機器の走行路であるレールを把持して、港湾荷役機器の逸走を防止する装置のことである。
【0017】
スライドアームの両端をもう1台の突風時逸走防止装置、又はレールを狭持する狭持装置により、固定することができる。横行方向の揺れにより、前述した免震機構を備えた支柱が振れると、突風時逸走防止装置を連結したスライドアームにレール直角方向の水平力が作用し、そのスライドアームに作用するモーメントによって、突風時逸走防止装置が外れることを防ぐことができる。この狭持装置は、レールガイドや、ガイドローラなどのフランジによってレールを狭持するものを用いることができる。
【0018】
スライド部材が、スライドアームに外嵌された筒状体で構成されている構成にすることができる。
【0019】
スライド部材とスライドアームとの間に配置されているガイドシューを備える構成にすることができる。
【0020】
連結部が、脚構造物とスライド部材との間に連結され、走行方向を横断する横行方向に揺動可能に構成されているシルビームコラムを備える構成にすることができる。
【0021】
スライド部材を
スライドアームに設けられた中立位置に保持する中立位置保持機構を備える構成にすることができる。
この構成によれば少なくとも地震の発生時にスライドアームに設けた地震時の振幅の中立位置から、地震の振幅に合せてスライド部材が往復することができる。スライド部材が地震時の振幅の中立位置から振幅することにより、地震の振幅を吸収することができる。
【0022】
中立位置保持機構
が、スライドアームの中立位置に設けた第1貫通孔と、スライド部材に設けた第2貫通孔
と、第1貫通孔および第2貫通孔に対して抜き差し可能に構成される固定ピンとを備える構成にすることができる。この構成によればスライドアームの長手方
向を港湾荷役機器の走行方向に向け、その長手方向にスライド部材が往復することができる。また、固定ピンによって、スライド部材を地震時の振幅の中立位置に保持することができる。そのため、地震の振幅に合せて、その中立位置を中心にスライド部材がスライドアーム上を往復することができる。
【0023】
また、従来、突風時逸走防止装置は、クレーンの休業時や、突風対策として、クレーンをレールに把持する役割を持つ。この構成によれば、固定ピンを固定ピン用孔に差し込むと、スライド部材とスライドアームが一体に固定され、スライド部材がスライドアーム上を往復することができない。そのため、地震発生時以外のときは、固定ピンを固定ピン用孔に差し込むことで、その役割を十分に果たすことができる。
【0024】
中立位置保持機構が、第1貫通孔および第2貫通孔に対して固定ピンを
抜き差しする抜き差し装置
と、地震の発生を検知する
地震検知手段と、
この地震検知手段が地震を検知したときに
第1貫通孔および第2貫通孔から
抜き差し装置により固定ピンを抜き出す
制御を行なう制御装置
とを備える
構成にすることができる。この構成によれば固定ピンを固定ピン用孔から抜き差しするだけで、地震発生時の免震効果と、それ以外の逸走防止効果を得ることができる。そのため、従来の免震クレーンのように、破断したピンの復旧が不必要で、地震発生後の突風時逸走防止装置の復旧作業を容易に行うことができる。また、剪断ピンの破断荷重のコントロールは難しく、例えば、クレーンが突風を受けた時にも破断してしまう可能性があった。しかし、上記の構成によれば、剪断ピン自体を不必要としているため、そのような問題が起きない。
【0025】
また、抜き差し装置としては、油圧や電動などのジャッキやシリンダなどを用いることができる。加えて、
地震検知手段としては、地震速報、又は地震計を用いることができる。また、地震速報と地震計の両方から地震の発生を検知することもできる。
【0026】
中立位置保持機構
が、スライドアーム
に形成され走行方向を長手方向
とする長穴である移動ピン用孔と、
この移動ピン用孔を貫通するとともにスライド部材に固定される移動ピンと、この移動ピンを
走行方向に付勢
して中立位置に保持する付勢装置
とを備える構成にすることができる。この構成によればスライドアームの長手方向を港湾荷役機器の走行方
向に向け、その長手方向にスライド部材が往復することができる。
【0027】
また、地震発生時には、スライド部材がスライドアーム上を往復するが、それ以外の場合は、移動ピンの両側から移動ピンを付勢する付勢装置によって、移動ピンをスライドアームに設けた地震時の振幅の中立位置に保持することができる。また、地震発生の検知を必要とせず、地震が発生してから別段装置を稼働させなくても、スライド部材をスライド可能な状態にできる。加えて、地震発生後も突風時逸走防止装置を解除するだけで、もとの中立位置に戻るため、復旧作業を容易にすることができる。
【0029】
上記の問題を解決するための港湾荷役機器の免震方法は、
脚構造物と、この脚構造物の下方に設置されていてレール上を走行する走行装置と、前記脚構造物または前記走行装置に連結部を介して連結されていて前記レール上を移動する突風時逸走防止装置とを備えた港湾荷役機器の免震方法において、
前記港湾荷役機器の走行方向に延設されるスライドアームの一端に前記突風時逸走防止装置を固定して、他端に前記レール上を移動する別の前記突風時逸走防止装置または挟持装置を固定して、前記スライドアームを挿通され前記スライドアームに沿って摺動可能とするスライド部材を前記脚構造物または前記走行装置に設置して、地震が発生したときに、
前記スライド部材を前記港湾荷役機器とともに前記スライドアームに沿って摺動させることを特徴とす
る。
【0030】
この方法によれば、スライド部材がスライドアームを往復して、突風時逸走防止装置の把持力を港湾荷役機器に伝えることがない。そのため、地震時に車輪が走行方向に動くことができ、車輪の浮き上がりを防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、走行を停止して作業するとき、夜間などの休業時、又は暴風時で突風を受けたときに、地震が発生した場合に、港湾荷役機器の逸走を防止する突風時逸走防止装置の把持力を逃がして、車輪の浮き上がりを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の実施の形態の港湾荷役機器とその免震方法について、図面を参照しながら説明する。なお、
図17と同様の構成については、同一符号を用い、その説明を省略する。
【0034】
本発明の実施の形態は、港湾荷役機器として、コンテナターミナルなどの港湾で使用されるコンテナターミナルなどの港湾で使用される橋形クレーン、門型のヤードクレーン、ゴライアスクレーン、及び移動型のジブクレーンなどに適用することができる。好ましくは、上記の港湾荷役機器に、地震の振動を吸収するように免震装置を設けた装置に適用すると効果的である。よって、実施の形態の説明では免震クレーンとして説明する。
【0035】
また、突風時逸走防止装置としてレールクランプを用いているが、レールクランプは、
周知の技術のレールクランプを用いることができる。例えば、レールの把持を走行レールの両側に設けたクランピングジョーをホルダで挟み込むくさび形や、鋏型に形成したクランプアームと弾性体を組み合わせ、油圧シリンダなどで弾性体をクランプアームに近接離間させて、走行レールを把持、又は開放する押し付け型などを用いることができる。また、レールクランプの代わりに、岸壁にアンカーピンを打ち込み、逸走を防止する装置でもよい。さらに、走行輪を設けた台車型のレールクランプを用いたが、走行レール上を移動できれば、台車型でなくともよい。
【0036】
最初に本発明に係る第1の実施の形態の港湾荷役機器について、
図1〜
図6を参照しながら説明する。ここで、免震クレーン(港湾荷役機器)1の走行方向をx方向、免震クレーン1の横行方向をy方向、上下方向をz方向とする。
図1に示すように、免震クレーン1の下部構造は、免震連結部10、レールクランプ(突風時逸走防止装置)20、中立位置保持機構30、及びガイドローラ(狭持装置)40を備える。
【0037】
免震連結部10はシルビーム3とレールクランプ20とを連結し、また、レールクランプ20とレールガイド30とを連結する。この免震連結部10は、スライドアーム11、スライド部材12、接合部13、及びシルビームコラム(支柱)14を備える。
【0038】
スライドアーム11は、x方向に長手方向を有し、その一端をレールクランプ20と固定し、他端をガイドローラ40に接合する。このスライドアーム11の長手方向の長さは、免震クレーン1の免震に必要なストローク分の長さを有し、好ましくは500mm〜2000mmの長さを有し、より好ましくは1200mm〜1500mmの長さを有する。
【0039】
このスライドアーム11上を往復可能に設けられたスライド部材12は、
図2に示すように、スライドアーム11を挿通できるように中空状に形成され、スライドアーム11を囲むように、上面12a、下面12b、及び側面12cと12dを備える。また、上面12aは接合部13を介してシルビームコラム14と接合されており、免震クレーン1と一体にスライドアーム11上を動くことができる。
【0040】
スライド部材12をスライドアーム11を囲むように形成することで、y方向、又はz方向の揺れを受けてもスライド部材12がスライドアーム11から外れることを防止することができる。
【0041】
上記のスライドアーム11とスライド部材12は、スライド部材12がスライドアーム上を往復可能であれば、上記の構成に限定しない。
【0042】
シルビームコラム14は、スライド部材接合部14a、第1回動部14b、メインコラム14c、第2回動部14d、及びシルビーム接合部14eを備える。この第1回動部14bと第2回動部14dはx方向に回転軸方向を持つ。免震機構として、ここでは、シルビームコラム14を、
図3に示すように、同様の構成をy方向に2本並べた、平行リンク機構として形成する。
【0043】
このシルビームコラム14は、少なくとも免震クレーン1の横行方向であるy方向の揺れを吸収することができればよく、上記の構成に限定しない。例えば、平行リンク機構の代わりに周知の積層ゴムによる免震機構を備えてもよい。
【0044】
スライドアーム11とスライド部材12との間には、
図2に示すように、ガイドシュー15を設ける。このガイドシュー15は、スライド部材12の上面12aとスライドアーム11との間と、スライド部材12の側面12c及び12dとスライドアーム11との間に設ける。
【0045】
このスライドシュー15は、スライドアーム11とスライド部材12との摩擦抵抗を低くし、スライド部材12がスライドアーム11上を往復し易くするためと、スライド部材12の往復方向を、免震クレーン1の走行方向であるx方向に導く役割を有する。このガイドシュー15は周知の技術のガイドシューを用いることができ、また、配置場所や、配置個数などは限定しない。
【0046】
上記の構成によれば、レールクランプ20と免震クレーン1のシルビーム3との連結に、x方向及びy方向に免震効果を有する免震連結部10を設けることにより、地震の発生時にレールクランプ20の把持力を逃がすことができる。
【0047】
詳しく説明すると、免震クレーン1がx方向の地震の振幅を受けると、シルビーム3とシルビームコラム14を介して連結されたスライド部材12が、スライドアーム11上を、スライドアーム11の長手方向、つまり免震クレーン1の走行方向であるx方向に、その振幅に合せて往復できる。
【0048】
また、免震クレーン1がy方向の地震の振幅を受けると、平行リンク機構を有したシルビームコラム14がその振幅に合せて走行レールRを超えて振れる。これらにより、地震の振幅と共に免震クレーン1が揺れ動くので、地震の振幅を原因とする免震クレーン1の車輪の浮き上がりを防ぐことができる。
【0049】
加えて、レールクランプ20と免震クレーン1とが常に連結した状態を保ち、地震発生後もレールクランプ20が自立した状態を保つことができる。そのため、地震発生後の復旧を容易に行うことができる。
【0050】
上記のスライド部材12を地震の振幅に合せてスライドアーム11上を往復させるために、
図4に示すように、免震クレーン1は、スライドアーム11に地震時の振幅の中立位置CPを設け、スライド部材12を中立位置CPに固定する中立位置保持機構30を備える。中立位置保持機構30は、固定ピン31、固定ピン用孔32、油圧ジャッキ(抜き差し装置)33、及び制御装置34を備える。この中立位置保持機構30は、固定ピン31を固定ピン用孔32に差し込んだときに、スライドアーム11とスライド部材12とを一体に固定して、シルビーム3とレールクランプ20とを連結する。
【0051】
中立位置CPは、地震時の振幅の中立位置である。地震発生時に、スライド部材12は、この中立位置CPを中心にx方向の左右に往復する。この中立位置CPはスライドアーム11の長手方向の略真ん中に設けることが好ましいが、地震の振幅に合せて中立位置CPを中心にスライド部材12が往復することができれば、設ける位置を限定しない。
【0052】
固定ピン用孔32を、スライドアーム11に設けた第1貫通孔32aと、スライド部材12に設けた第2貫通孔32bとから構成する。第1貫通孔32aは、中立位置CPに設ける。また、固定ピン31は、固定ピン用孔32の長手方向の長さよりも長く形成する。これら固定ピン31と固定ピン用孔32は、固定ピン31が抜き差しできればよく、固定ピン用孔32の形状、大きさは固定ピン31に合せて形成する。例えば、固定ピン31を円筒状に形成すれば、固定ピン用孔32の断面形状は、円形となる。この形状は多角形などでもよい。
【0053】
固定ピン31の一端と接合される油圧ジャッキ33は、z方向に固定ピン31を抜き差しすることができればよく、周知の技術の油圧ジャッキを用いることができる。また、油圧ジャッキ33の代わりに油圧シリンダ、電動ジャッキ、又は電動シリンダなどを用いてもよい。また、地震発生時に固定ピン31を上方に抜くのではなく、下方に落とすよう構
成してもよい。加えて、固定ピン31、固定ピン用孔32、及び油圧ジャッキ33は上記の構成に限らず、y方向に固定ピン31を抜き差しする構成にしてもよい。
【0054】
制御装置34は、
図5に示すように、停止情報i1、気象情報i2、及び地震速報i3を受信できる受信部34a、免震クレーン1の受ける風の強さを検知する風力計34b、及び地震計34cを備える。停止情報i1は、免震クレーン1の走行が停止したか否かの情報である。また、気象情報i2は、風向きや風力などの情報である。
【0055】
この制御装置34は、停止情報i1を基に、免震クレーン1が走行を停止して作業を行う、又は休業中(夜間を含む)を判断する手段を有する。また、突風検知手段として、気象情報i2と風力計34bの情報を基にして、免震クレーン1が受ける風力を算出する手段と、その風力によって、免震クレーン1が逸走するか否かを判断する手段とを有する。加えて、地震検知手段として、地震速報i3と地震計34cの情報を基にして、免震クレーン1が受ける地震による振幅を判断する手段を有する。
【0056】
さらに、制御装置34は、上記の停止情報i1や、突風検知手段からレールクランプ20に走行レールRを把持させる手段と、地震検知手段から固定ピン31を固定ピン用孔32に抜き差しする手段を有する。
【0057】
上記の構成によれば、固定ピン31を固定ピン用孔32に差し込むことにより、スライド部材12をスライドアーム11に設けた地震時の振幅の中立位置CPに固定することができる。地震の発生時に固定ピン31を固定ピン用孔32から引き抜くことにより、スライド部材12を地震の振幅に合せて、スライドアーム11上を往復させることができる。
【0058】
また、固定ピン31を抜き差し装置33で容易に固定ピン用孔32から抜き差しすることができるので、地震の発生時のみスライド部材12を往復させて、それ以外の場合はスライドアーム11の中立位置CPに固定することができる。
【0059】
これにより、暴風雨などによる突風を免震クレーン1が受けるときは、レールクランプ20の把持力によって、免震クレーン1の逸走を防止することができる。また、地震による振幅を免震クレーン1が受けるときは、レールクランプ20の把持力を逃がすことによって、免震クレーン1の車輪の浮き上がりを防止することができる。
【0060】
ガイドローラ40は、
図6に示すように、ガイド車輪41、接合部42、及び車軸43を備える。ガイド車輪41は、走行レールRの両側を狭持するように、フランジ41a及び41bを備える。走行レールR直角方向であるy方向の水平力が作用すると、スライドアーム11に作用するモーメントによりレールクランプ20が走行レールRから外れる可能性がある。上記の構成によれば、ガイド車輪41のフランジ41aと41bにより走行レールRを狭持しているため、y方向の水平力が作用しても、レールクランプ20が走行レールRから外れることを防ぐことができる。
【0061】
次に、本発明に係る第1の実施の形態の免震クレーン1の免震方法S10について、
図7に示すフローチャート、及び、免震クレーン1の動作を示した
図8と
図9を参照しながら説明する。固定ピン31の状態は、免震クレーン1の作業時と休業時において、地震が発生していないときは、固定ピン用孔32に差し込まれた状態であり、免震クレーン1のシルビーム3とレールクランプ20は、スライド部材12がスライドアーム11上に固定された状態で連結している。
【0062】
まず、制御装置34は、免震クレーン1の稼働状況を判断するステップS11を行う。ステップS11では、停止情報i1を基に、免震クレーン1の稼働状況を判断し、走行を
停止して作業を行う場合や、夜間などで休業中の場合は、ステップS14へ進む。
【0063】
免震クレーン1が走行中や、走行を停止しないで作業中の場合は、次の、制御装置34の突風検知手段が、風力により免震クレーン1が逸走するか否かを判断するステップS12を行う。制御装置34は、気象情報i2と風力計34bを基に、免震クレーン1に対する風力を算出する。算出された風力により、免震クレーン1が逸走するか否かを判断する。次に、風力により逸走すると判断されると、走行装置4a及び4bを停止するステップS13を行う。
【0064】
次に、レールクランプ20が走行レールRを把持するステップS14を行う。このとき、免震クレーン1が暴風雨などによる突風を受けても、レールクランプ20が走行レールRを把持しているため、その把持力によって、免震クレーン1の逸走を防止することができる。
【0065】
次に、地震検知手段が地震速報i3を受信するステップS15を行う。地震速報i3が受信部34aで受信されると、次に、地震の予測震度が大きいか否かを判断するステップS16を行う。ここで、予測震度が大きいと判断されると、ステップS19へと進む。予測震度が大きくないと判断されると、次に、地震検知手段が地震計34cの揺れを検知するステップS17を行う。地震計34cが揺れを検知すると、次に、地震による震幅が大きいか否かを判断するステップS18を行う。ここで、地震による震幅が大きく無いと判断されると終了となる。
【0066】
ステップS16で地震の予測震度が大きいと判断されるか、ステップS18で地震による震幅が大きいと判断されると、次に、固定ピン31が固定ピン用孔32に差し込まれているか否かを判断するステップS19を行う。次に、制御装置34は油圧ジャッキ33を稼働させ、固定ピン31を固定ピン用孔32から引き抜くステップS20を行う。固定ピン31が固定ピン用孔32から引き抜かれると、スライド部材12の固定が開放されることになり、
図8に示すように、免震クレーン1が受けるx方向の水平力によって、スライド部材12は、スライドアーム11上を往復するステップS21を行う。
【0067】
ここで、レールクランプ20の停止位置をSP、スライドアーム11の中立位置CPからのスライド部材のストロークを±Lとする。地震による振幅を受けても、レールクランプ20は走行レールRを把持しているため、停止位置SPは変化しない。スライド部材12は、中立位置CPを中心に、免震クレーン1が受けるx方向の振幅により、スライドアーム11上を往復する。この往復のストローク±Lは、免震に必要なストロークであり、好ましくは±300mm〜±1000mmである。
【0068】
また、
図9に示すように、横行方向であるy方向の振幅に対しては、平行リンク機構のシルビームコラム14が、走行レールR上で振れるステップS22を行う。シルビームコラム14が振れると、スライドアーム11のモーメントにより、スライドアーム11のレールクランプ20の反対側の一端には大きな力が作用することになるが、ガイドローラ40のフランジ41a及び41bが走行レールRを狭持しているため、その力を受止めることができる。そのため、レールクランプ20にその力を作用させることを防ぎ、レールクランプ20が走行レールRから外れることを防ぐことができる。
【0069】
次に、ステップS22から、ステップS17へ戻る。地震の振幅が大きい間は、ステップS18からステップS22までを繰り返す。
【0070】
ステップS18で地震の振幅が大きくない、すなわち地震の振幅が収まったと判断されると、レールクランプ20の把持を走行レールRから解除するステップS23を行う。次
に、レールクランプ20を移動し、第1貫通孔32aと第2貫通孔32bの位置を合せるステップS24を行う。ステップS24が完了すると固定ピン31を固定ピン用孔32へ差し込むステップS25を行い、完了する。
【0071】
上記の免震方法S10によれば、走行を停止して作業する場合や、夜間に停止している場合に、免震クレーン1が突風を受けても、レールクランプ20が走行レールRを把持しているため、免震クレーン1は逸走することがない。そして、地震が発生した場合は、免震連結部10の固定ピン31を固定ピン用孔32から引き抜くことで、スライド部材12がスライドアーム11上を免震クレーン1の走行方向であるx方向に往復することができる。これにより、地震の発生時に、レールクランプ20の把持力が免震クレーン1に伝わることがなく、地震の振幅による脱輪や故障を防ぐことができる。このように本発明では、突風時には作動し、地震時には開放するレールクランプ20のメカニズムを実現することができる。
【0072】
また、免震クレーン1の走行方向の振幅をスライド部材12の往復運動で吸収し、免震クレーン1の横行方向の振幅を平行リンク機構のシルビームコラム14で吸収することができるので、免震性を向上することができる。加えて、横行方向の振幅に対しても、レールクランプ20にかかる水平力をガイドローラ40が走行レールRを狭持して、低減することで、レールクランプ20が外れてしまうことを防止することができる。
【0073】
加えて、従来で用いられていたシアーピン(剪断ピン)を使用せずに免震効果を得ることができる。これにより、従来に比べて地震後の復旧を容易に行うことができる。さらに、剪断荷重のコントロールの問題により、暴風雨などの影響で剪断ピンが破断してしまうことがない。
【0074】
次に、本発明に係る第2の実施の形態の免震クレーン5について、
図10を参照しながら説明する。
図10の(a)に示すように、免震クレーン5はレールクランプ20、免震連結部50、中立位置保持機構60、及びレールガイド70を備える。免震クレーン5のシルビーム3とレールクランプ20との免震連結部50は、スライドアーム51、スライド部材52、及びシルビームコラム53を備える。スライドアーム51の内部を中空状に形成すること以外は、前述と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0075】
また、
図10(b)に示すように、中立位置保持機構60は、移動ピン61、移動ピン用孔62、バネ(弾性体)63aと63b、調節ボルト64aと64b、及び調節ナット65aと65bを備える。移動ピン61は、スライドアーム51の長手方向と直交する方向であるy方向に長手方向を有するように形成され、移動ピン61の両端を、
図10の(b)及び(c)に示すように、スライド部材52の側面52cと52dに接合する。
【0076】
移動ピン用孔62を、スライドアーム51の長手方向であるx方向に開口し、且つ、スライドアーム51を貫通するように形成する。この長穴の移動ピン用孔62の開口の長さは、中立位置CPを中心にして、免震に必要なストローク±Lの長さである。この移動ピン用孔62に前述の移動ピン61を挿通する。
【0077】
上記の移動ピン61と移動ピン用孔62は、移動ピン61が移動ピン用孔62をスライドアーム51の長手方向に移動可能であれば、上記の構成に限定しない。例えば、z方向に長手方向をもつ移動ピンと、z方向にスライドアーム51を貫通する移動ピン用孔で構成してもよい。
【0078】
バネ63aと63bを、
図10の(b)に示すように、それぞれが、移動ピン61を免震クレーン1の走行方向に付勢するように、スライドアーム51の内部の移動ピン61の
両側に配置する。バネ63aと63bの両端をそれぞれ、調節ボルト64aと64bと接合する。このバネ63aと63bのバネ力を、バネ63aと63bの付勢力により、移動ピン61が常に地震時の振幅の中立位置CPに保持されるように、レールクランプ20の走行抵抗以上に設定する。
【0079】
調節ボルト64aと64b、及び調節ナット65aと65bとから構成される調節機構は、移動ピン61と中空状に形成したスライドアーム51の内壁と、調節ボルト64aと64bの頭部との距離を調節ナット65aと65bで調節することにより、バネ63aと63bの付勢力を調節する。前述したように、バネ63aと63bのバネ力は移動ピン61を中立位置CPに保持するように設定されているが、バランスが微妙に崩れると位置がずれてしまうため、調節機構により調節することで、移動ピン61を中立位置CPに保持することができる。
【0080】
上記のバネ63aと63b、調節ボルト64aと64b、及び調節ナット65aと65bとからなる付勢装置は、移動ピン61を中立位置CPに保持することができれば、上記の構成に限定しない。例えば、調節機構として、電動のアクチュエータを用いることもできる。
【0081】
レールガイド70は、
図10の(d)に示すように、走行レールRを覆うように凹状に形成され、走行レールRを狭持する。このレールガイド70は、走行時に走行レールR上を移動可能で、且つ走行レールRの両側を狭持できれば、上記の構成に限定しない。
【0082】
上記の構成によれば、前述と同様に、スライド部材52がスライドアーム51上を、地震の振幅に合せて往復することができるため、レールクランプ20の把持力を逃がすことができる。また、スライドアーム51内を往復可能な移動ピン61と、長穴の貫通孔である移動ピン用孔62と、バネ63a及び63bとを設けて、バネ63a及び63bの付勢力で、スライド部材52を地震時の振幅の中立位置CPに保持することができる。そのため、複雑な制御を行わずに地震時には、スライド部材52が往復することができる。
【0083】
次に、本発明に係る第2の実施の形態の免震クレーン5の動作について、
図11を参照しながら説明する。夜間の休業中や、走行を停止して作業を行う場合に、バネ63aと63bの付勢力によって、移動ピン61を、スライドアーム51の中立位置CPに保持する。バネ63aと63bのバネ力はレールクランプ20の走行抵抗以上であるため、免震クレーン5を走行させた場合でも移動ピン61の位置を保持することができる。
【0084】
地震が発生したときは、
図11に示すように、バネ63aと63bが地震荷重によって互いに伸び縮みすることにより、移動ピン61が長穴の移動ピン用孔62内を往復する。つまり、免震クレーン5に走行方向であるx方向の水平力が加わると、免震クレーン5は、x方向に往復し、レールクランプ20の把持力の影響を受けることがないため、車輪の浮き上がりを防止することができる。
【0085】
また、免震クレーン5が突風を受けた場合にも、バネ63aと63bは風荷重によって、一方が伸び、他方が縮むが、風下側へ動いた後に移動ピン61が移動ピン用孔62のエンドで止まり、レールクランプ20の把持力が発揮され、逸走を防止することができる。
【0086】
上記の動作によれば、前述と同様の作用効果に加えて、地震の揺れが収まったときに、レールクランプ20の把持力を解除するだけで、バネ63aと63bの付勢力によってスライド部材52がスライドアーム51の中立位置CPに保持されるため、復旧を容易にすることができる。また、突発的な地震の場合でも、直ぐに地震の振幅に合せてスライド部材52がスライドアーム51上を往復することができる。
【0087】
また、バネ63aと63bの付勢力を調節する調節ボルト64aと64b、及び調節ナット65aと65bからなる調節機構によって、移動ピン61を中立位置CPに保持することができる。
【0088】
次に、本発明に係る第3の実施の形態の免震クレーン6について、
図12を参照しながら説明する。免震クレーン6はレールクランプ20、免震連結部80、及び中立位置保持機構90を備える。免震クレーン6のシルビーム3とレールクランプ20とを連結する免震連結部80は、スライドアーム81、スライド部材82、連結ピン83、及びシルビームコラム84を備える。
【0089】
スライドアーム81を岸壁Gの地面に向けて、鉛直方向であるz方向に延在させて、連結ピン83でレールクランプ20の連結部23と連結する。スライドアーム81の長手方向と直交する方向x方向の幅を、スライド部材82がスライドアーム81の幅方向に往復可能に幅広に形成する。
【0090】
シルビームコラム84と接合されるスライド部材82は、スライドアーム81の一端と中立位置保持機構90を設けられるように、内部に空間を有する。
【0091】
中立位置保持機構90は、第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、第4移動ピン91d、第1移動ピン用孔92a、第2移動ピン用孔92b、及びバネ(付勢装置)93a〜93dを備える。第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dを、前述の移動ピンと同様に形成し、第1移動ピン91aと第2移動ピン91bを第1移動ピン用孔92aに挿通し、第3移動ピン91cと第4移動ピン91dを第2移動ピン用孔92bに挿通する。
【0092】
各移動ピン用孔92aと92bに、少なくとも2本の移動ピンを設けることで、シルビームコラム84が傾くことを防止することができる。また、これらの移動ピン91aと91b、及び91cと91dを中立位置CPを跨ぐように配置する。この中立位置CPは、移動ピン91aと91b、及び91cと91dの間の略真ん中の位置であり、スライドアーム81のx方向の幅の略中心の位置である。
【0093】
第1移動ピン用孔92aと第2移動ピン用孔92bを、スライドアーム81のx方向に開口し、且つスライドアーム81を貫通する貫通孔で形成し、第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dをそれぞれx方向に往復可能に構成する。
【0094】
バネ93a〜93dは、それぞれスライド部材82の内部に設けられ、スライドアーム81をx方向に付勢する。ここでは、付勢装置としてバネのみを用いたが、第2の実施の形態と同様にバネと調節機構からなる付勢装置を用いても良い。
【0095】
上記の中立位置保持機構90は、第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dがスライドアーム11の長手方向に直交する方向であるx方向に移動可能であれば、上記の構成に限定しない。また、本実施例では、2つの移動ピンと2つの移動ピン用孔を設けたが、その数は限定しない。
【0096】
次に、本発明に係る第3の実施の形態の免震クレーン6の動作について、
図13を参照しながら説明する。夜間の休業中や、走行を停止して作業を行う場合に、バネ93a〜93dの付勢力によって、第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dを、中立位置CPに保持する。バネ93a〜93dのバネ力は
レールクランプ20の走行抵抗以上であるため、免震クレーン6を走行させた場合でも第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dの位置を保持することができる。
【0097】
地震が発生したときは、
図13に示すように、バネ93a〜93dが地震荷重によって互いに伸び縮みすることにより、第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dが、それぞれ第1移動ピン用孔92aと第2移動ピン用孔92b内を往復する。つまり、免震クレーン6に走行方向であるx方向の水平力が加わると、免震クレーン6はスライドアーム81の幅方向にスライド部材82と共に、x方向に往復し、レールクランプ20の把持力の影響を受けることがないため、車輪の浮き上がりを防止することができる。
【0098】
また、免震クレーン6が突風を受けた場合にも、バネ93a〜93dは風荷重によって、一方が伸び、他方が縮むが、風下側へ動いた後に第1移動ピン91a、第2移動ピン91b、第3移動ピン91c、及び第4移動ピン91dが、第1移動ピン用孔92aと第2移動ピン用孔92bのエンドで止まり、レールクランプ20の把持力が発揮され、逸走を防止することができる。
【0099】
上記の動作によれば、前述と同様の作用効果に加えて、スライドアーム81の長手方向が鉛直方向であるz方向に向くため、スライドアーム81のモーメントの作用を低減して、レールクランプ20が外れることを防止することができる。また、また、レールクランプ20に構成を追加しないため、従来のレールクランプ20を用いることができる。加えて、移動ピンを2つx方向に並列することで、シルビームコラム84の傾きを防止することができる。さらに、移動ピンを2つz方向に並列することで、移動ピンにかかる力を分散することができ、移動ピンへの負荷を低減することができる。
【0100】
次に、本発明に係る第4の実施の形態の免震クレーンについて、
図14を参照しながら説明する。前述した第2の実施の形態のレールガイド70に換えて、レールクランプ100を用いる。レールクランプ100も走行レールRを把持することができるため、シルビームコラム53が横行方向に揺れることによって発生するスライドアーム51のモーメントの作用を防止し、レールクランプ20が外れることを防ぐことができる。このレールクランプ10は、第1の実施の形態のガイドローラ40の代わりに使用することもできる。
【0101】
次に、本発明に係る第5の実施の形態の免震クレーンについて、
図15を参照しながら説明する。前述した第2の実施の形態のスライド部材52が、地震の振幅、又は突風を受けて、スライドアーム51の端部に移動したときに、その衝撃を緩和する、バッファ(緩衝装置)110aと110bをスライドアーム51の両端部に備える。
【0102】
この構成によれば、大きな地震荷重や、風荷重を受けて、スライド部材51がスライドアーム51上を移動しても、バッファ110aと110bがスライド部材51の衝撃を吸収することができる。そのため、免震連結部50の耐性を向上することができる。また、想定外の大きな振動などにも耐えうることができる。このバッファ110aと110bは、第1又は第3の実施の形態の免震クレーン1にも適用することができる。
【0103】
次に、本発明に係る第6の実施の形態の免震クレーンについて、
図16を参照しながら説明する。第1の実施の形態のシルビームコラム14に換えて、免震クレーン1の走行装置4aと接合した、走行装置コラム(支柱)16を備える。この走行装置コラム16と接合部13とを接合する。それ以外の構成は第1の実施の形態と同様である。この構成によれば、走行装置4a及び4bにレールクランプ20を設けても、前述と同様の作用効果を得ることができる。この構成は、第2、第3、第4、及び第5の実施の形態にも適用する
ことができる。
【0104】
なお、この上記の実施の形態では、シルビームコラム14を介してスライド部材12、52、82を脚構造物3と連結し、スライドアーム11、51、81をレールクランプ20と連結したが、例えば、シルビームコラム14を介してスライドアーム11、51、81をレールクランプ20と連結し、スライド部材12、52、82と脚構造物3とを直接連結してもよい。
【0105】
また、シルビームコラム14を用いずに、スライド部材12、52、82と脚構造物3を、また、スライドアーム11、51、81とレールクランプ20をそれぞれ連結してもよい。ただし、この場合は、横行方向であるy方向の地震の振幅を逃がすように、連結部に積層ゴムによる免震機構を備えるとよい。加えて、y方向に長手方向を有するスライドアーム11、51、81と、x方向に揺動するシルビームコラム14とを組み合わせてもよい。