(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1実施例
図1〜
図3を参照して、以下に本発明によるマイクロリソグラフィのための光学結像装
置101で使用する本発明による光学装置の好ましい実施形態を説明する。
【0022】
説明を簡単にするために、
図1、
図2Aおよび
図2Bに示したXYZ-座標系を参照し、重
力はZ-軸線に対して平行に作用するものと仮定する。しかしながら、本発明の他の変化態
様では、場合によっては結像装置101の構成素子は異なる配向としてもよい。
【0023】
図1は、193nmの波長を有するUV領域の光で作動するマイクロリソグラフィ装置
101の形態の本発明による光学結像装置の好ましい実施形態を示す。
【0024】
マイクロリソグラフィ装置101は、照明系102と、マスクテーブル103の形態の
マスク装置と、(z-方向に延在する)光軸104.1を有する対物レンズ104の形態の
光学投影系と、ウェーハテーブル103.1の形態の基板装置とを備える。照明系102
は、波長193nmの投影光束(詳述しない)によってマスクテーブル103に配置され
たマスク103.1を照明する。マスク103.1には投影パターンが位置し、この投影
パターンは、投影光束によって、対物レンズ104に配置された光学素子を介してウェー
ハテーブル105に配置したウェーハ105.1の形態の基板に投影される。
【0025】
照明系102は、図示しない光源の他に、光学的に有効な構成素子の第1グループ10
6を備え、第1グループ106はとりわけ光学素子106.1を備える。対物レンズ10
4は光学的に有効な光学素子の第2グループ107を備え、第2グループ107は、とり
わけ一連の光学素子、例えば光学素子107.1を備える。第2グループ107の光学的
に有効な構成素子は、対物レンズ104のハウジング104.2の内部に保持されている
。193nmの作動波長により、光学素子106.1または107.1はそれぞれ屈折性
光学素子、すなわち、レンズなどであってよい。しかしながら、本発明の他の変化態様で
は、他の任意の光学素子、例えば屈折性または回折性光学素子を使用することもできる。
同様に、これらの光学素子の任意の組み合わせを使用することももちろんできる。
【0026】
対物レンズ104は、結合装置108によって支持構造部109に結合されており、し
たがって、支持構造部109で支持されており、対物レンズ104、結合装置108およ
び支持構造部109は、本発明では光学装置101.1の構成素子である。
【0027】
結合装置108は、支持構造部109に対して対物レンズ104を固定し、対物レンズ
104の重量を支持構造部109に伝達する。結合装置108は、このために同一に構成
され、対物レンズ104の周方向Uに一様に分配された3つの結合ユニット110を備え
る。
【0028】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ1つの部分的に断面した結合ユニット110を、調整
状態で(
図2A)または組付け状態で(
図2B)で示す概略的な斜視図である。
図2Aか
らわかるように、結合ユニット110は第1結合部110.1(モジュール結合部)と第
2結合部110.2(構造部結合部)とを備える。第1結合部110.1は、支持構造部
109に向いていない方の端部で対物レンズ104のハウジング104.2に(適宜な方
法で)堅固に結合されており、第2結合部110.2は、対物レンズ104に向いていな
い方の端部で、支持構造部109に(適宜な方法で)堅固に固定されている。それぞれの
結合部は任意の適宜な方法(摩擦接続、形状接続、材料接続またはこれら任意の組み合わ
せ)で構成されていてよい。特にそれぞれ1つのモノリシック構成を選択してもよい。
【0029】
支持構造部109に向いた端部に、第1結合部110.1は第1接触面110.3を備
え、第2結合部110.2は、対物レンズ104に向いた端部に第2接触面110.4を
備える。第2接触面110.4は第1接触面110.3に適合されており、両面は同一の
主曲率を有している。
【0030】
第1接触面110.3および第2接触面110.4は、本実施例ではそれぞれ単純な湾
曲した円筒面である。第1接触面110.3は(第1)主曲率K
1−1を有し、第2接触
面110.4は(第2)主曲率K
2−1を有し、これらについて
K
1−1=K
2−1≠0 (1)
が成り立つ。
【0031】
主曲率K
1−1は、対物レンズ104の半径方向Rに(xy-平面に平行に)延在する(
第1)主曲率軸線AK
1−1を規定するように選択される。同様に主曲率K
2−1は、対
物レンズ104の半径方向Rに(xy-平面に平行に)延在する(第2)主曲率軸線AK2
−1を規定する。
【0032】
さらに第1接触面110.3は別の曲率K
1−2を有し、第2接触面110.4は別の
曲率K
2−2を有し、これらには、
K
1−2=K
2−2=0 (2)
が成り立つ。
【0033】
主曲率K
1−2は、対物レンズ104の周方向Uに対して平行に(xy-平面に平行に)
延在する別の無限遠に位置する主曲率軸線AK
1−2を規定するように選択されている。
同様に主曲率K
2−2は、同様に対物レンズ104の周方向Uに対して平行に(xy-平面
に平行に)延在する別の無限遠に位置する主曲率軸線AK
2−2を規定する。
【0034】
しかしながら、本発明の他の変化態様では、第1および第2接触面は複数回湾曲した面
として構成してもよいし、または平坦な面として構成してもよい。さらに、(第1)主曲
率軸線AK
1−1は、取付けの際にセルフセンタリングが得られるように、対物レンズ1
04の半径方向平面(xy-平面)に対してわずかに傾斜して延在していてもよいことは自
明である。この場合、傾斜角は、所望のセンタリング作用に応じで、有利には0mrad〜1
0mradの範囲であってよい。これにより、結合装置の全ての主曲率軸線が相互に平行に延
在することを防止することができ、所望のセンタリング効果が得られる。
【0035】
第1接触面110.3および第2接触面110.4のこのような構成により、
図2Bに
示した組付け状態ではこれら接触面は相互に全面で接触し、第1結合部110.1と第2
結合部110.2との間に安定的な機械的結合が確保される。
【0036】
第1結合部110.1と第2結合部110.2との間(第1および第2接触面110.
3,110.4の領域)に堅固な機械的結合を形成するために、基本的に任意の適宜な手
段を用いることができる。したがって、結合部の(着脱可能または着脱不能な)固定を形
状接続、摩擦接続、材料接続またはこれらの任意の組み合わせによって達成することがで
きる。
【0037】
図2Aおよび
図2Bからさらにわかるように、第1結合部110.1はさらに第1結合
素子110.5および第2結合素子110.6を備える。第1結合素子110.5は、支
持構造部109に向いていない方の端部で(適宜な方法で)対物レンズ104のハウジン
グ104.2に堅固に結合されており、第2結合素子110.6は、対物レンズ104に
向いていない方の端部で第1接触面110.3を構成している。
【0038】
支持構造部109に向いた端部に、第1結像素子110.5は第3接触面110.7を
有し、第2結合素子110.6は、対物レンズ104に向いた端部に第4接触面110.
8を有している。
【0039】
第4接触面110.8は第3接触面110.7に、これら接触面が同一の主曲率を有す
るように適合されている。
【0040】
第3接触面110.7および第4接触面110.8は、本実施例ではそれぞれ平坦な面
である。したがって、第3接触面110.7は、(いずれの垂線部分でも)(第3)主曲
率K
3−1を有し、第4接触面110.8は、(いずれの垂線部分でも)(第4)主曲率
K
4−1を有し、これらには、
K
3−1=K
4−1=0 (3)
が成り立つ。
【0041】
したがって、主曲率K
3−1は、無限遠に位置しxy-平面に対して平行な主曲率軸線A
K
3−1を規定し、主曲率K
4−1は、無限遠に位置しxy-平面に対して平行な別の主曲
率軸線AK
4−1を規定する。
【0042】
したがって、ここでも本発明の他の変化態様では、第3および第4接触面は一回または
複数回湾曲された面であってもよい。
【0043】
ここでも第3接触面110.7および第4接触面110.8のこのような構成により、
図2Bに示した組付け状態でこれらの接触面は相互に全面で接触し、第1結合素子110
.5と第2結合素子110.6との間に安定的な機械的結合が確保される。
【0044】
第1結合素子110.5と第2結合素子110.8との間(第1および第2接触面11
0.7,110.8の領域)に堅固な機械的結合を形成するために、ここでも基本的には
任意の適宜な手段を用いることができる。したがって、結合部の(着脱可能または着脱不
能な)固定を形状接続、摩擦接続、材料接続またはこれらの任意の組み合わせによって達
成することができる。
【0045】
図2Bに示したような組付け状態を形成する場合、すなわち、対物レンズ104と支持
構造部109との間の結合部を形成する場合には、従来の装置では複数の作用因子により
接合相手(第1および第2結合部または第1および第2結合素子)間に摩擦に伴う不都合
な相対移動が生じる場合がある。
【0046】
したがって、支持構造部109への対物レンズ104の降下がz-軸線に沿って正確に行
われた場合に結合ユニット110自体の構成素子の形状および/または位置許容差によっ
て結合ユニット110のそれぞれの接触面が異なる時点で相互に接触することがある。同
様のことが、支持構造部への対物レンズ104の降下がz-軸線に沿って正確に行われなか
った場合、および/またはz-軸線に対して傾斜して行われた場合には、結合ユニット11
0の構成素子の位置および形状が理想的であっても生じる。
【0047】
これらいずれの場合にも、従来の構成では、例えば、接触面間で少なくとも1つの別の
結合ユニット110がまだ接触していない場合に接触面がいずれかの結合ユニット110
に既に接触することになる。これら他の結合ユニット110についてまだ得られていない
接触を行う場合に、既に接触している接触面の領域に強制的に摩擦に伴う相対移動が生じ
、このような相対移動は、対物レンズ104への不都合な寄生応力の導入をもたらす。
【0048】
対物レンズ104と支持構造部109との間に結合部を形成する場合に、関連した接合
相手間にこのような摩擦に伴う相対移動が生じることを少なくとも広範囲に防止するため
に、本発明による光学装置101.1は位置決め装置111を備える。その構造および機
能について以下に説明する。
【0049】
位置決め装置111は、流体源111.1を有する力発生装置を備え、流体源111.
1は、第1流体管111.2によって、第2結合部110.2の第2接触面110.4に
形成された第1流入開口111.3に接続されている。流体管111.2によって、流体
源111.1は、所定流量の流体(すなわち、ガスおよび/または液体)を第1接触面1
10.3および第2接触面110.4の領域に供給する。流体が流体管111.2によっ
て十分な量で、および十分な圧力で供給された場合、第1接触面110.3を介して、十
分に大きい力が対物レンズ104に加えられ、第1接触面110.3は第2接触面110
.4から持ち上げられ、第1接触面110.3と第2接触面110.4との間には寸法S
1の狭い第1間隙111.4が形成される。
【0050】
換言すれば、第1接触面110.3および第2接触面110.4の領域でもハイドロス
タティックまたはエアロスタティック式支承部を形成し、あらかじめ規定可能な寸法S2
の狭い第1間隙111.4を設けることができる。
【0051】
作動流体としては、基本的にそれぞれの用途に適したあらゆる任意の適宜な流体を使用
することができる。好ましくは、本実施例では、クリーンルーム・圧縮空気(すなわち、
対応して純化または処理した空気)を使用し、できるだけわずかな汚染物質しかシステム
に入り込まないようにしている。しかしながら、本発明の他の変化態様では、任意の他の
ガス、特に不活性ガスを作動流体として使用することもできる。
【0052】
第1間隙111.4の関連寸法S1は、基本的に任意の方法で規定してよい。本実施例
では、第1接触面110.3と第2接触面110.4との間で重力の方向(z-方向)に測
定した距離である。しかしながら、本発明の他の変化態様では、第1間隙の寸法S1は、
異なるように規定してもよい。例えば、第1接触面と第2接触面との間における第1接触
面に対して垂直方向に測定した距離を用いてもよい。
【0053】
第1流体管111.2によって供給される流体の流体力学的な状態(圧力および流体速
度)に応じて、第1間隙111.4の寸法S1を設定してもよい。寸法S1の第1間隙1
11.4を正確に規定して設定するために、位置決め装置111は第1センサ装置111
.5を備え、第1センサ装置は実際の寸法S1を表す大きさを検出し、位置決め装置11
1の制御装置111.6に伝達する。
【0054】
センサ装置111.5は、実際の寸法S1を表す大きさを検出するために基本的に任意
の適宜な方法で構成してよい。この場合、センサ装置111.5は、さらに任意の作動原
理(例えば、電気式、磁気式、光学式、または流体力学式の作動原理ならびにこれらの任
意の組み合わせ)で作動する。本実施例では、特に簡単に容量センサを接触面110.3
および110.4の領域で実装することができる。同様に、間隙111.4の領域におけ
る流体の1つ以上の流体力学的大きさを検出する流体力学式センサを特に簡単に実装する
ことができる。例えば、間隙111.4の領域で流体の圧力を簡単に検出することができ
、この圧力から、実際の寸法S1を推定することができる。
【0055】
制御手段111.6は、第1間隙111.4の寸法について実際の寸法S1と目標値S
1
Sとを比較し、適宜な第1制御信号を流体源111.1に伝達する。この第1制御信号
に関連して、次いで流体源111.1は第1流体管111.2によって供給した流体流の
状態パラメータを適宜に調節し、第1間隙111.4の実際の寸法を目標値S1
Sに近づ
ける。
【0056】
本実施例では、調整状態で、まず第1間隙111.4は約10μmの寸法S1に設定さ
れる。しかしながら、本発明の他の変化態様では、他の寸法を選択することもできること
は自明である。有利には、寸法S1は5μm〜15μmの範囲である。
【0057】
この調整状態では、したがって第1結合部110.1と第2結合部110.2との間に
非接触状態が得られ、換言すれば、第1接触面110.3および第2接触面110.4の
領域には一種の流体支承部(本実施例ではエアロスタティック支承部)が形成される。こ
の状態で、支持構造部109と対物レンズ104との間において著しい力およびモーメン
トを伝達する機械的結合なしに、第1結合部110.1と第2結合部110.2との間の
第1間隙111.4を保持する力が非接触に加えられる。この状態で、第1接触面110
.3と第2接触面110.4との間に摩擦に伴う相対移動が生じることなしに第1結合部
110.1と第2結合部110.2との間で補償のための移動を行うことができる。
【0058】
第1間隙111.4の領域に供給される流体は、本実施例ではガスである。このことは
、ガスは粘性が小さく、したがって内部摩擦が小さいことにより、第1接触面110.3
と第2接触面110.4との間では概して無視できる程度の特にわずかな剪断力のみが伝
達され得るという利点を有する。しかしながら、本発明の他の変化態様では、粘性による
影響が無視できる程度である場合には液体またはガスと液体との混合物を使用することも
できる。
【0059】
この場合、第1間隙111.4の領域には、2つの自由度で無制限の補償のための移動
、すなわち、第1接触面110.3における対物レンズ104の半径方向Rに整列された
(第1)主曲率軸線AK
1−1を中心とした回転移動(ここでは旋回移動)と、この主曲
率軸線AK
1−1に沿った並進運動が可能である(これは第1接触面110.3における
無限遠に位置する別の主曲率軸線AK
1−2を中心とした移動による特別な場合である)
。
【0060】
狭い第1間隙111.4を保持することは、対物レンズ104と支持構造部109との
間の結合を形成する場合に(製造時に生じる接合運動の理想線の不正確さおよび/または
ずれによって)個々の結合ユニット110の接合相手間に生じ得る上記相対移動が、接触
面110.3,110.4の間に(著しい)摩擦を伴う相対移動をもたらさないという利
点を有する。
【0061】
半径方向Rに整列された主曲率軸線AK
1−1を中心とした補償のための移動は、摩擦
に伴う相対移動によりこの半径方向Rに生じる寄生的なモーメントが概して特に不都合な
寄生応力を対物レンズにもたらし、特に不都合な作用を対物レンズの結像品質にもたらす
という事態が回避されるという利点を有する。
【0062】
図2Aおよび2Bかわわかるように、位置決め装置111はさらに第2流体管111.
7を備え、この第2流体管111.7を介して流体源111.1は第2第1接続素子11
0.5の第3接触面110.7に形成された流入開口111.8に接続されている。第2
流体管111.7を介して、流体源111.1は、所定の第2流量の流体(すなわち、ガ
スおよび/または液体)を第3接触面110.7および第4接触面110.8の領域に供
給する。流体が流体管111.2によって十分な量で、および十分な圧力で供給された場
合、第3接触面110.7を介して、十分に大きい力が対物レンズ104に加えられ、第
3接触面110.7は第4接触面110.8から持ち上げられ、第3接触面110.7と
第4接触面110.8との間には寸法S2の狭い第2間隙111.9が形成される。
【0063】
第2間隙111.9の関連寸法S2はここでも、基本的に任意の方法で規定してよい。
本実施例では、第3接触面110.7と第4接触面110.8との間で重力の方向(z-方
向)に測定した距離である。しかしながら、本発明の他の変化態様では、第2間隙の寸法
S2は、ここでも(第1間隙の場合のように)異なるように規定してもよい。
【0064】
第2流体管111.7によって供給される流体の流体力学的な状態(圧力および流体速
度)に応じて、第2間隙111.7の寸法S2を設定してもよい。寸法S2の第2間隙1
11.7を正確に規定して設定するために、位置決め装置111は第2センサ装置111
.10を備える。第2センサ装置は、実際の寸法S2を表す大きさを検出し、位置決め装
置111の制御装置111.6に伝達する。第2センサ装置111.10は、第1センサ
装置と同様に構成してもよい。したがって、構成に関しては上記説明を参照されたい。
【0065】
制御手段111.6は、第2間隙111.8の寸法について実際の寸法S2と目標値S
2
Sとを比較し、適宜な第2制御信号を流体源111.1に伝達する。この第2制御信号
に関連して、流体源111.1は次いで第2流体管111.7によって供給した流体流の
状態パラメータを適宜に調節し、第2間隙111.9の実際の寸法を目標値S2
Sに近づ
ける。
【0066】
本実施例では、調整状態で、第1間隙111.4の他に第2間隙111.9も約10μ
mの寸法S2に設定される。しかしながら、本発明の他の変化態様では、他の寸法を選択
することもできることは自明である。有利には、寸法S2も5μm〜15μmの範囲であ
る。
【0067】
この調整状態では、したがって第1結合部110.5と第2結合部110.6との間に
非接触状態が得られ、換言すれば、第3接触面110.7および第4接触面110.8の
領域には一種の流体支承部(本実施例ではエアロスタティック支承部)が形成される。こ
の状態で、支持構造部109と対物レンズ104との間において著しい力およびモーメン
トを伝達する機械的結合なしに、第1結合部110.5と第2結合部110.6との間の
第2間隙111.9を保持する力が非接触に加えられる。この状態で、第3接触面110
.7と第4接触面110.8との間に摩擦に伴う相対移動が生じることなしに第1結合部
110.5と第2結合部110.6との間で補償のための移動を行うことができる。
【0068】
第2間隙111.9の領域に供給される流体は、本実施例ではここでもガスである。こ
のことは、ガスは粘性が小さく、したがって内部摩擦が小さいことにより、第3接触面1
10.7と第4接触面110.8との間では概して無視できる程度の特にわずかな剪断力
のみが伝達され得るという利点を有する。しかしながら、本発明の他の変化態様では、粘
性による影響が無視できる程度である場合には液体またはガスと液体との混合物を使用す
ることもできる。
【0069】
この場合、第2間隙111.9の領域には、3つの自由度で限定的でない補償のための
移動、すなわち、重力の方向(z-方向)に延在する軸線を中心とした回転移動と、この軸
線に対して垂直方向の平面(xy-平面)における2つの並進方向の移動が可能である。(
これは第3接触面110.7における無限遠に位置する別の主曲率軸線を中心とした移動
による特別な場合である)。
【0070】
2つの並進移動は、第1間隙111.4の領域でも可能なように、対物レンズ104の
半径方向Rの補償移動を含む。したがって、本発明の他の変化態様では、第1間隙または
第2間隙の領域で、半径方向Rに作用するスカート(
図2Bに破線輪郭112によって示
唆したように)などによってこの自由度が制限される。
【0071】
狭い第2間隙111.9を保持することは、対物レンズ104と支持構造部109との
間の結合部を形成する場合に(製造時に生じる接合運動の理想線の不正確さおよび/また
はずれによって)個々の結合ユニット110の接合相手間に生じ得る上記相対移動が、接
触面110.7,110.8の間に(著しい)摩擦を伴う相対移動をもたらさないという
利点を有する。
【0072】
図2Aおよび
図2Bからさらにわかるように、それぞれの結合ユニット110の第2結
合部110.2は、対物レンズ104の半径方向Rに弾性的な板ばね素子110.9の形
態の減結合部を有する。板ばね素子は、主長さ平面が対物レンズ104の周方向Uに対し
て接線方向に延在するように整列されている。これにより、組付け状態(
図2B)で、一
方では、対物レンズ104の位置を(支持構造部109)に対して正確に規定する十分に
堅固な結合が対物レンズ104との間で確保される。他方では、減結合部は、既知の方法
で半径方向Rの変形(
図2Bに破線輪郭113で示唆したように)によって、対物レンズ
104と支持構造部109との間の異なる熱膨張の補償を可能にする。
【0073】
減結合部110.9の別の利点は、周方向Uに対して接線方向に延在する軸線を中心と
して第1結合部110.1と第2結合部110.2との間における摩擦のない補償のため
の移動が可能となり、これにより、第1結合部110.1と第2結合部110.2との間
に場合によって生じるこの平面における嵌合の不正確さを同様に有利に補償することがで
きることである。
【0074】
上記構成の利点は、(z-軸線に沿った接合方向とは関係なしに)それぞれの結合ユニッ
ト110の領域で対物レンズ104と支持構造部109との間に結合部を形成する場合に
、それぞれ非接触に得られる間隙111.4または111.9が提供された調整状態(図
2A)で、他の全ての自由度で全ての製造許容差の補償を可能にする摩擦を伴わない補償
のための移動が可能であり、これにより、後の組付け状態(
図2B)で接合相手間に不都
合な応力負荷状態、ひいては対物レンズ104への寄生応力の導入は生じない。
【0075】
対物レンズ104と支持構造部109との間の結合部を形成する場合、以下に
図1〜図
3を参照して説明するように様々に異なる措置を取ることができる。
図3は、光学モジュ
ールを支持構造部に結合するための本発明による方法の好ましい実施形態により対物レン
ズ104と支持構造部109との間の結合部を形成するプロセスを示す図である。
【0076】
まずステップ114.1で方法プロセスを開始する。次いでステップ114.2で、図
1に示したマイクロリソグラフィ装置101の構成素子、特に支持構造部109および対
物レンズ104を準備する。
【0077】
続いてステップ114.3で
図2Aに示したように、寸法S1を有する第1間隙110
.4と寸法S2を有する第2間隙110.9とを備える構成が生じるように対物レンズ1
04と支持構造部109とを相互に位置決めする。
【0078】
この場合、様々に異なる措置をとることができる。したがって、第1変化態様ではまず
第1部分ステップで位置決め装置111を作動せずに、全ての結合ユニット110が全て
の相互に対応した接触面110.3および110.4または110.7および110.8
が相互に接触したまず
図2Bに示した状態をとることができるように対物レンズ104を
支持構造部109に載置することができる。支持構造部109に対物レンズ104を載置
した場合、まず上述の摩擦を伴う相対移動が、対応した接触面110.3および110.
4または110.7および110.8の間に生じる。
【0079】
第2部分ステップで、全ての結合ユニット110のために位置決め装置111を作動し
、
図2Aに示したようにそれぞれの第1間隙110.4および第2間隙110.9を当該
結合ユニット110において構成する。この場合、支持構造部109と対物レンズ104
との間の非接触の力作用により、接合相手間に上述の補償のための移動が生じる。換言す
れば、まず形成された、場合によっては対物レンズ104に導入される著しい寄生力およ
びモーメントを伴った状態が取り除かれる。
【0080】
第2変化態様では、対物レンズ104を支持構造部109に近づける場合にすぐに位置
決め装置111を作動することができ、これにより、個々の間隙110.4および110
.9をすぐに構成し、したがって、接合相手間に初期の接触は生じない。
【0081】
さらに、これら2つの変化態様の組み合わせた形態を選択することもできることは自明
であり、この場合、1つ以上の結合ユニット110を第1変化態様にしたがって位置決め
し、1つ以上の結合ユニット110を第2変化態様にしたがって位置決めする。
【0082】
次いでステップ114.4で、それぞれの結合ユニット110において位置決め装置1
11によってそれぞれ第1間隙111.4および第2間隙111.9の寸法S1またはS
2の設定を行う。この場合、それぞれの間隙111.4または111.9について上記の
ようにして実際の寸法S1またはS2を検出し、制御装置111.6でそれぞれの目標値
S1
SまたはS2
Sと比較し、流体源111.1によって所望のように制御し、それぞれ
の目標値に適合させる。
【0083】
続いてステップ114.5で、それぞれの間隙110.4または111.9の変更を行
うべきか否かをチェックする。行うべきである場合、ステップ114.6でそれぞれの目
標値S1SまたはS2Sを規定値に適合させ、次いでステップ114.4に戻る。
【0084】
これにより、有利には結合ユニット110のためにそれぞれの間隙110.4または1
11.9の寸法S1またはS2を相互に同期的に縮小することが可能である。特にこれに
より、全ての結合ユニット110のそれぞれの接触面110.3および110.4または
110.7および110.8を相互に同じ時点で接触させることができる。このほぼ同時
の接触により、結合ユニット110の接触面110.3および110.4または110.
7および110.8の間に摩擦に伴う相対移動は生じない。このことは、結合ユニット1
10接触面110.3および110.4または110.7および110.8が、別の結合
ユニット110の接触面110.3および110.4または110.7および110.8
がまだ相互に移動している間に既に相互に接触する上記のような配置が除外される(これ
により既に接触している接触面の領域に摩擦に伴う相互移動が生じる場合がある)。
【0085】
次いでステップ114.7で、それぞれの間隙111.4または111.9の上記制御
を終了すべきか否かをチェックし、全ての結合ユニットの相互に対応した全ての接触面1
10.3および110.4または110.7および110.8が相互に接触した場合にの
み制御を終了する。そうでない場合には、ステップ114.4に戻る。
【0086】
そうでなければ、ステップ114.8で、ステップ114.9で方法プロセスを終了す
る前に上記のようにそれぞれの結合装置110の固定を行う。
【0087】
本実施例では、流体作動原理にしたがって、対物レンズ104に作用する他の力(例え
ば対物レンズ104の重量)に起因するそれぞれの間隙111.4または11.9の減少
に反作用する力作用を支持構造部109と対物レンズ104との間に非接触に生成する位
置決め装置による支持構成を説明した。
【0088】
しかしながら、本発明の別の変化態様では、懸吊式の支持構造を設けてもよい。この場
合、流体原理にしたがって支持構造部109と対物レンズ104との間にそれぞれの間隙
111.4または11.9の拡大に反作用する力作用を非接触に生成する。この場合、例
えば、位置決め装置に流体源の代わりに、それぞれの接触面の領域で適宜な容積流を吸着
する吸着装置を設け、それぞれの間隙の大きさに反作用する吸着作用が得られるようにし
てもよい。
【0089】
第2実施例
以下に、
図1〜
図4を参照して本発明による光学装置201.1の別の好ましい実施形
態を説明する。
図1に示したマイクロリソグラフィ装置101で光学装置101.1の代
わりに光学装置201.1を使用することができる。光学装置201.1は、その構成お
よび機能において、第1実施例による光学装置101.1に基本的に対応しており、ここ
では主に相違点を説明する。特に同じ構成部分には100を加えた同じ符号を付す。以下
では特に述べない限り、これらの構成部分の特徴および機能に関しては上記説明を参照さ
れたい。
【0090】
光学装置201.1と光学装置101.1との相違点は、それぞれの結合装置210第
1結合部210.1が第2結合素子210.6を備え、第2結合素子がこの場合対物レン
ズ104に直接に機械的に結合されていることである。換言すれば、光学装置201.1
では、光学装置101.1に対して第1結合素子110.5のみが欠如している。したが
って、第2センサ装置および第2供給管も設けられていない。
【0091】
この構成では、
図4に示した調整状態で非接触に保持された間隙111.4によって2
つの自由度で無制限の補償のための移動、すなわち、第1接触面210.3における対物
レンズ104の半径方向Rに整列された(第1)主曲率軸線AK1−1を中心とした回転
移動(ここでは旋回移動)およびこの主曲率軸線AK1−1に沿った並進移動が可能であ
る(これは第1接触面210.3における無限遠に位置する別の主曲率軸線AK
1−2を
中心とした移動による特別な場合である)。
【0092】
さらに減結合部210.9は、周方向Uに対して接線方向に延在する軸線および接合方
向(z-軸線)に対して平行に延在する軸線を中心として第1結合部210.1と第2結合
部210.2との間に摩擦のない回転方向の補償のための移動を所定限度で可能とし、こ
れにより、第1結合部210.1と第2結合部210.2との間に場合によって生じた嵌
合の不正確さをこれらの自由度で、同様に有利に所定限度で補償することができる。
【0093】
最後に、(z-軸線に沿った接合方向とは関係なしに)それぞれの結合ユニット110の
領域で対物レンズ104と支持構造部109との間に結合部を形成する場合に、有利には
このような構成によって、非接触に得られる間隙111.4が提供された調整状態で、4
つの自由度で、製造許容差の大部分の補償を可能とする摩擦を伴わない補償のための移動
が可能となり、これにより、後の組付け状態(図示しない)で接合相手間に不都合な応力
負荷状態が広範囲に防止され、ひいては対物レンズ104への寄生応力の導入が広範囲に
低減される。
【0094】
光学装置101.1との別の相違は、位置決め装置211が電磁式の作動原理にしたが
って作動することである。このために、位置決め装置211は電気エネルギ源211.1
を備え、この電気エネルギ源は、第1エネルギ供給管211.2によって、第2結合部2
10.2の第2接触面210.4の領域に配置された第1電磁式装置21.3に接続され
ている。さらに、エネルギ源211.1は第2エネルギ供給管211.7によって、第2
結合素子210.6の第1接触面210.3の領域に配置された第2電磁式装置211.
8に接続されている。
【0095】
エネルギ供給管211.2によって、エネルギ源211.1は制御装置211.6によ
って制御されて所定量の電気エネルギを電磁式装置に供給し、これにより、反対の極性を
有する磁界が生成され、この磁界は対物レンズ104と支持構造部109との間で間隙1
11.4を保持する適宜な力作用を非接触に生成する。
【0096】
電磁式装置211.3および211.8のためのエネルギ供給およびこれにより生じる
それぞれの磁界強度に応じて、間隙111.4の寸法S1を設定することができる。寸法
S1の間隙111.4を正確に規定して設定するために、位置決め装置211はセンサ装
置211.5を備え、第1センサ装置は、実際の寸法S1を表す大きさを検出し、位置決
め装置211の制御装置211.6に伝達する。
【0097】
制御手段211.6は、第1間隙111.4の寸法について実際の寸法S1と目標値S
1
Sとを比較し、適宜な第1制御信号を流体源211.1に伝達する。この制御信号に関
連して、流体源211.1は次いでエネルギ供給を調整し、間隙111.4の実際の寸法
を目標値S1
Sに近づける。
【0098】
本実施例では、上記調整状態で、まず間隙111.4は約10μmの寸法S1に設定さ
れる。しかしながら、本発明の他の変化態様では、他の寸法(概して5μm〜200μm
の寸法)を選択することもできることは自明である。有利には、寸法S1は5μm〜15
μmの範囲である。
【0099】
この調整状態では、したがって第1結合部210.1と第2結合部210.2との間に
非接触状態が得られ、換言すれば、第1接触面210.3および第2接触面210.4の
領域には一種のエアロスタティック支承部が形成される。この状態で、支持構造部109
と対物レンズ104との間において著しい力およびモーメントを伝達する機械的結合なし
に、第1結合部210.1と第2結合部210.2との間の間隙111.4を保持する力
が非接触に加えられる。この状態で、第1接触面210.3と第2接触面210.4との
間に摩擦に伴う相対移動が生じることなしに第1結合部210.1と第2結合部210.
2との間で補償のための移動を行うことができる。
【0100】
この実施例により、
図3に関連して示した方法を実施することが同様に可能である。特
にここでも制御装置によって制御されて全ての結合ユニット210において電磁式装置2
11.3および211.8へのエネルギ供給の適宜な低減によって、上記利点を有するそ
れぞれの第1接触面210.3および210.4がほぼ同時に接触するまで間隙111.
4を同期的に縮小する。
【0101】
ここでも、この実施例で使用した電磁式の作動原理を有する装置の代わりに懸吊式の装
置を用いることも可能であり、この場合、磁界によって対物レンズと支持部との間の2つ
の接触面間の間隙を拡大する力に反作用する力作用が可能となることは自明である。
【0102】
第3実施例
次に
図1〜
図5を参照して、本発明による光学装置301.1の別の好ましい実施例を
説明する。光学装置301.1は、
図1に示した光学装置101.1のマイクロリソグラ
フィ装置101で使用することができる。光学装置301.1は、その構成および機能に
おいて、第1実施例による光学装置101.1に基本的に対応おり、ここでは主に相違点
を説明する。特に同じ構成部分には200を加えた同じ符号を付す。以下では特に述べな
い限り、これらの構成部分の特徴および機能に関しては上記説明を参照されたい。
【0103】
光学装置301.1と光学装置101.1との相違点は、第1接触面310.3および
第2接触面310.4が本実施例ではそれぞれ2回湾曲した面であることである。したが
って、第1接触面310.3は(第1)主曲率K
1−1を有し、第2接触面310.4は
(第2)主曲率K
2−1を有し、方程式(1)にしたがって、
K
1−1=K
2−1≠0
が成り立つ。
【0104】
主曲率K
1−1は、対物レンズ104の半径方向Rに(xy-平面に平行に)延在する(
第1)主曲率軸線AK
1−1を規定するように選択される。同様に主曲率K
2−1は、対
物レンズ104の半径方向Rに(xy-平面に平行に)延在する(第2)主曲率軸線AK
2
−1を規定する。
【0105】
さらに第1接触面310.3は、別の主曲率K
1−2を有し、第2接触面310.4は
別の主曲率K
2−2を有し、これらには、方程式(2)にしたがって、
K
1−2=K
2−2≠0
が成り立つ。
【0106】
主曲率K
1−2は、対物レンズ104の周方向Uに対して平行に延在する別の主曲率軸
線AK
1−2を規定するように選択されている。同様に主曲率K
2−2は、同様に対物レ
ンズ104の周方向Uに対して平行に(xy-平面に平行に)延在する別の主曲率軸線AK
2−2を規定する。
【0107】
それぞれの接触面310.3または310.4の2つの主曲率は、異なる値を有してい
てもよい。本実施例では、それぞれの接触面310.3または310.4は球面であり、
したがって、
K
1−1=K
2−1=K
1−2=K
2−2
が成り立つ。
【0108】
この構成では、
図5に示した調整状態では、非接触に保持された間隙311.4によっ
て3つの自由度で、無制限で摩擦を伴わない補償のための移動、すなわち、3つの空間軸
線(x-,y-およびz-軸線)を中心とした回転移動が可能である。
【0109】
さらに減結合部110.9は、対物レンズ104の半径方向Rに付加的な摩擦のない並
進的な補償のための移動を所定限度で可能とし、これにより、第1結合部210.1と第
2結合部110.2との間に場合によって生じた嵌合の不正確さをこれらの自由度で、同
様に有利に所定限度で補償することができる。
【0110】
最後に、(z-軸線に沿った接合方向とは関係なしに)それぞれの結合ユニット310の
領域で対物レンズ104と支持構造部109との間に結合部を形成する場合に、有利には
このような構成によって、非接触に得られる間隙311.4が提供された調整状態で、4
つの自由度で、製造許容差の大部分の補償を可能とする摩擦を伴わない補償のための移動
が可能であり、これにより、後の組付け状態(図示しない)で接合相手間に不都合な応力
負荷状態広範囲に防止され、ひいては対物レンズ104への寄生応力の導入は広範囲に低
減される。
【0111】
光学装置101.1との別の相違点は、位置決め装置311の力発生部は結合ユニット
110に組み込まれているのではなく、結合ユニット310に対して動的に平行に配置さ
れた(
図5に極めて概略的にのみ示した)力発生装置311.3,311.8によって得
られる。
【0112】
力発生装置311.3は、ここでも電気式、磁気式、流体力学式の作動原理またはこれ
らの任意の組み合わせにしたがって作動する。力発生装置は、対物レンズ104と支持構
造部109との間に非接触に力作用を生成し、この力作用によって、第1接触面310.
3と第2接触面310.4との間の間隙311.4を保持する。
【0113】
この実施例によって、
図3に関連して示した方法を実施することが同様に可能である。
特にここでも制御装置311.6によって制御されて全ての結合ユニット310において
電磁式装置311.3および311.8へのエネルギ供給を適宜に低減することによって
、上記利点を有するそれぞれの第1接触面310.3および310.4がほぼ同時に接触
するまで間隙311.4を縮小する。
【0114】
ここでも、上記の不動の装置の代わりに懸吊式の装置を用いることも可能であり、この
場合、力発生装置によって対物レンズと支持部との間の2つの接触面間の間隙を拡大する
力に反作用する力作用が可能となることは自明である。
【0115】
第4実施例
次に
図6〜
図8Bを参照して、本発明による光学装置401.1を備える本発明による
マイクロリソグラフィ装置401の別の好ましい実施例を説明する。マイクロリソグラフ
ィ装置401は、その構成および機能において、第1実施例によるマイクロリソグラフィ
装置101に基本的に対応おり、光学装置401.1の構成におけるここでは主に相違点
を説明する。さらに光学装置401.1は、
図1によるマイクロリソグラフィ装置におい
ても光学装置101.1の代わりに使用することができる。光学装置401.1は、その
構成および機能形式において、第1実施例による光学装置101.1に基本的に対応おり
、ここでは主に相違点を説明する。特に同じ構成部分には300を加えた同じ符号を付す
。以下では特に述べない限り、これらの構成部分の特徴および機能に関しては上記説明を
参照されたい。
【0116】
光学装置401.1と光学装置101.1との相違点は、
図6から
図8Bからわかるよ
うに、支持構造部409における対物レンズ104の支持部の構成のみであり、マイクロ
リソグラフィ装置401はその他の点ではマイクロリソグラフィ装置101と同一に構成
されている。
【0117】
図6からわかるように、光学装置401.1はでは、対物レンズ104の懸吊式の支持
部が形成されており、対物レンズ104は、結合装置408によって下方から支持構造部
409に懸吊されており、これにより支持構造部409で支持されている。このために、
結合装置408は3つの同一に構成され、対物レンズ104の周方向Uに一様に分配され
た結合ユニット410を備える。
【0118】
図7、
図8Aおよび
図8Bは、それぞれ部分的に断面した結合ユニット410のそれぞ
れ組み付けられていない状態(
図7)、調整状態(
図8A)または組付け状態(
図8B)
を概略的な斜視図を示している。
図8Aからわかるように、結合ユニット410は第1結
合部410.1と第2結合部410.2と第3結合部410.10とを備える。
【0119】
この場合、それぞれの結合ユニット410の第1結合部410.1は、ここでも第2結
合素子410.6のみを備え、この場合、第2結合素子は対物レンズ104に直接に機械
的に結合されている。第3結合部410.10は、第2結合素子410.6と同一に構成
された別の結合素子410.11を備えているが、周方向(またはy-方向)に関して18
0°だけ回動されている。結合素子410.11は、本実施例では、支持構造部409に
直接に機械的に結合されている。それぞれの結合部は任意の適宜な形式(摩擦接続、形状
接続、材料接続またはこれら任意の組み合わせ)で構成されていてよい。特にそれぞれモ
ノリシックな構成を選択してもよい。
【0120】
支持構造部409に向いた端部では、第1結合部401.1はフォーク状に構成されて
おり、中央の切込み410.12によって2つの半部に分割された第1接触面410.3
を有し、この第1接触面は支持構造部409に向いていない。第2結合部410.2は、
支持構造部409に向いていない端部に、支持構造部409に向いた第2接触面410.
4を有している。第2接触面410.4は中央に配置され、対物レンズ104の半径方向
Rに弾性的な板ばね素子410.9の形態の減結合部によって2つの半部に分割されてい
る。第2接触面410.4は、第1〜第3実施例に関連して説明した形で第1接触面41
0.3に適合されており、両者は同一の主曲率を有している。
【0121】
支持構造部409に向いた端部に、第2結合部410.2は、(支持構造部409に向
いた端部の構成と)同一の、しかしながら、周方向Uに関して180°回動された構成を
有し、相互に調整された接触面を相互に当接させることにより、類似の形式で第2結合部
410.2を第3結合部410.10に連結することができる。
【0122】
このような構成により、第2結合部410.2をまず第3結合部410.10に「懸吊
し」(したがって第2結合部410.2が共に支持構造部409に懸吊される)、次いで
第1結合部410.1を有する対物レンズ104を第2結合部410.2に「懸吊する」
(したがって対物レンズ104は共に第2結合部410.2によって支持構造部409に
懸吊される)。
【0123】
接線方向に整列された切込み410.2を有する結合部410.1および410.10
のフォーク状の構成は、周方向Uの回動によるそれぞれ簡単な接合または懸吊を可能とす
る。
【0124】
それぞれの第1結合部410.1およびそれぞれの第2結合部410.2の構成は、そ
の他の点では第1実施例に関連して上述した第1結合部110.1または第2結合部11
0.2の構成に対応している。特に第1接触面410.3および第2接触面410.4の
曲率は、第1接触面110.3または第2接触面110.4の構成と同一に構成されてい
る。しかしながら、ここでも本発明の他の変化態様では、第1および第2接触面は複数回
湾曲された面として構成してもよいし、平坦な面として構成してもよい。
【0125】
第1接触面410.3および第2接触面410.4の構成は、ここもでも
図8Bに示し
た組付け状態では全面で接触し、第1結合部410.1と第2結合部110.2との間、
または第2結合部110.2と第3結合部410.10との間に安定した機械的結合が確
保される。
【0126】
第1結合部410.1と第2結合部410.2との間の堅固な機械的結合部を(第1お
よび第2接触面410.3,410.4の領域に)形成するために、基本的に任意の適宜
な手段を用いることができる。したがって、結合部の(着脱可能または着脱不能な)固定
を形状接続、摩擦接続、材料接続またはこれらの任意の組み合わせによって達成すること
ができる。
【0127】
図8Bに示したような組付け状態を形成する場合、すなわち、対物レンズ104と支持
構造部109との間の結合部を形成する場合には、従来の装置では複数の作用因子により
接合相手(第1および第2結合部または第2および第3結合部)間に摩擦に伴う不都合な
相対移動が生じる場合がある。このような摩擦を伴う少なくとも広範囲に防止するために
、光学装置401.1はここでも(
図8Aにのみ示した)位置決め装置411を備え、そ
の構造および機能は上記変化態様、特に第1実施例による位置決め装置111に対応して
いる。
【0128】
本実施例では、第1実施例の場合に類似して、(
図8に示した)調整状態で、第1間隙
411.4の他に、約10μmの寸法S1=S2を有する間隙411.9が設定される。
しかしながら、本発明の別の変化態様では他の寸法を選択してもよい。有利には、S1ま
たはS2は、5μm〜15μmの範囲である。
【0129】
この調整状態では、したがって第2結合部410.2と第1結合部410.1または第
3結合部410.10との間に非接触状態が得られ、換言すれば、一種の流体支承部(本
実施例ではエアロスタティック支承部)が形成される。この状態で、著しい力およびモー
メントを伝達する機械的結合なしに支持構造部409と対物レンズ104との間に第1結
合部410.1と第2結合部410.2との間の第2間隙411.9を保持する力が非接
触に加えられる。この状態で、それぞれの接触面間に摩擦に伴う相対移動が生じることな
しに、第1結合素子410.5と第2結合素子110.6との間で、補償のための移動を
行うことができる。
【0130】
図7、
図8Aおよび
図8Bかわわかるように、それぞれの結合ユニット410の第2結
合部410.2は、対物レンズ104の半径方向Rに弾性的な板ばね素子410.9の形
態の減結合部を備える。板ばね素子は、ここでも主長さ平面が対物レンズ104の周方向
Uに対して接線方向に延在するように整列されており、これにより、組付け状態(
図8B
)で、一方では、対物レンズ104の位置を(支持構造部409)に対して正確に規定す
る十分に堅固な結合が対物レンズ104との間で確保される。他方では、減結合部は、既
知の方法で半径方向Rの変形(
図8Bに破線輪郭413で示唆したように)によって、対
物レンズ104と支持構造部109との間の異なる熱膨張の補償を可能にする。
【0131】
減結合部410.9の別の利点は、周方向Uに対して接線方向に延在する軸線を中心と
して第1結合部410.1または第3結合部410.10と第2結合部410.2との間
における摩擦のない補償のための移動が可能となり、これにより、第1結合部410.1
と第2結合部410.2との間に場合によって生じるこの平面における嵌合の不正確さを
同様に有利に補償することができることである。
【0132】
対物レンズ104と支持構造部109との間の結合部を形成する場合、
図3との関連で
既に上述したように様々に異なる措置を取ることができる。したがって、第1変化態様で
は、まず第1部分ステップで位置決め装置411を作動せずに、全ての結合ユニット41
0が全ての相互に対応した接触面410.3および410.4が相互に接触したまず
図2
Bに示した状態をとることができるように、対物レンズ104を支持構造部109に懸吊
することができる。
【0133】
第2部分ステップで、全ての結合ユニット410のために位置決め装置411を作動し
、
図8Aに示したようにそれぞれの第1間隙410.4および第2間隙410.9を当該
結合ユニット410において構成する。この場合、支持構造部109と対物レンズ104
との間の非接触の力作用により、接合相手間に上述の補償のための移動が生じる。換言す
れば、まず形成された、場合によっては対物レンズ104に導入される著しい寄生力およ
びモーメントを伴った状態が取り除かれる。
【0134】
第2変化態様では、対物レンズ104を支持構造部409に近づける場合にすぐに位置
決め装置411を作動することができ、これにより、個々の間隙410.4および410
.9をすぐに構成し、したがって、接合相手間に初期の接触は生じない。さらに、これら
2つの変化態様の組み合わせた形態を選択することもできることは自明であり、この場合
、1つ以上の結合ユニット410を第1変化態様にしたがって位置決めし、1つ以上の結
合ユニット410を第2変化態様にしたがって位置決めする。
【0135】
次いでステップ414.4で、それぞれの結合ユニット410において位置決め装置4
11によってそれぞれ第1間隙411.4および第2間隙411.9の寸法S1またはS
2の設定を、第1実施例との関連で説明したように行い、これにより、特に有利には、結
合ユニット410のそれぞれの接触面410.3および410.4が同じ時点で接触する
ように、特にそれぞれの間隙411.4または411.9の寸法S1またはS2を相互に
同期的に低減することが可能である。
【0136】
しかしながら、本発明の他の変化態様では、それぞれの結合ユニット410においてま
ず第1間隙411.4または第2間隙411.9のみを接触面に当接するまで低減し、次
いではじめてそれぞれ別の間隙を接触面に当接するまで低減することもできることは自明
である。しかしながら、本発明の他の変化態様では、結合素子として、
図9Aに示したよ
うに、周方向Uに剪断剛性を有する板ばね410.9の代わりに単純なロッド素子415
を設けてもよいことは自明である。この場合、結合素子は長手方向にほぼ堅固に、または
高い剛性をもって構成してもよい。しかしながら、
図9Aに破線輪郭416で示したよう
に、同様に結合素子は少なくとも長手方向に軟性または弾性的な、長手方向に剛性が小さ
い部分を有していてもよい。
【0137】
本発明の他の変化態様では、第1または第3結合部のフォーク状の構成のかわりに、例
えば
図9Bに示したように、第1結合部510.1または第3結合部510.10の分割
されていない接触面を有する構成としてもよい。この場合、例えば(周方向Uに)側方に
配置された2つの結合素子517が設けられており、これらの結合素子は、第2結合部5
10.2の接触面を形成する2つの部分を結合する。これらの結合素子517は任意に構
成してよい。したがって、
図9Bに示したようにロッド状に構成してもよい。しかしなが
ら同様に板ばねを使用してもよい。
【0138】
これらの変化態様の変化形態では、第2結合部610.2の結合素子617の両端部は
、
図9Cに示したように、第1結合部510.1または第3結合部510.10に係合す
るようにフォーク状に形成してもよい。
【0139】
本発明の他の変化態様では、
図9Cに破線輪郭618で示したように、例えば第2結合
部の領域にアクチュエータ装置をさらに設けてもよい。このアクチュエータ装置618は
、第2結合部の寸法、例えば長さを能動的に調整する役割を果たしてもよい。
【0140】
続いて、本発明の他の変化態様では、
図9Dに示すように、第3結合部(または第1結
合部710.1)がなく、第2結合部710.2が(例えばバイポッドの形式で示唆した
2つの結合素子717によって)支持構造部709(または対物レンズ)に直接に結合さ
れているように構成してもよい。
【0141】
それぞれ3つの結合ユニットを設けた実施例に基づき本発明を説明した。しかしながら
、本発明の他の変化態様では他の個数の結合ユニットを設けてもよい。特に2つの結合部
の対応した構成では、2つのみの結合ユニットでも十分な場合もあり、この場合、これら
の結合ユニットは、有利には対物レンズの周方向Uに180°だけ相互にずらして配置さ
れる。このために、
図2A、
図4、
図5、
図7、
図9B、
図9Cおよび
図9Dに示したよ
うに、(適宜な構成で)半径方向Rの傾動モーメントを吸収する十分な能力を有する構成
が適している。
【0142】
支持構造部に支持された光学素子が対物レンズである実施例に基づいて本発明を説明し
たが、しかしながら、本発明の他の変化態様では、対応した支持構造部に他の光学モジュ
ールが支持されていてもよい。特に、光学モジュールは個々の光学素子のみによって単独
で、または場合によっては適宜な保持装置(例えば保持リングなど)と共に形成されてい
ることも可能である。
【0143】
さらに、接合方向が重力方向に延在する実施例に基づいて本発明を説明した。しかしな
がら、本発明の他の変化態様では、接合方向、ひいてはそれぞれの接触面の任意の他の(
特に重力の方向に対して傾斜した)配向を設けてもよいことは自明である。
【0144】
屈折光学素子のみを使用した実施例に基づき本発明を説明した。しかしながら、本発明
は、もちろん光学装置との関連で使用できる他の波長で結像する場合にも、単独または任
意の組合せで、屈折性、反射性または回折性の光学素子を備えていることにここでもう一
度指摘しておく。
【0145】
さらに、対物レンズが支持構造部に結合された実施例に基づいて本発明を説明した。し
かしながら、本発明は、結像装置の他の光学的に有効な構成素子、特に照明装置、マスク
装置および/または基板装置などの構成素子との関連で使用することもできることをここ
で指摘しておく。
【0146】
最後に、マイクロリソグラフィの分野の実施例に基づき本発明を説明したことに留意さ
れたい。しかしながら、本発明は任意の他の用途または結合方法でも、特に結像に使用す
る光の任意の波長で使用することができることは自明である。