(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933429
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】流体混合素子
(51)【国際特許分類】
B01F 5/00 20060101AFI20160526BHJP
B01F 3/02 20060101ALI20160526BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20160526BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20160526BHJP
C23C 16/455 20060101ALN20160526BHJP
【FI】
B01F5/00 D
B01F3/02
B01F5/00 G
H01L21/205
H01L21/31 B
!C23C16/455
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-287129(P2012-287129)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-128755(P2014-128755A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】安田 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】林 繁之
【審査官】
▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第01603090(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0087056(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/052416(WO,A1)
【文献】
実開平03−041846(JP,U)
【文献】
実開昭56−129820(JP,U)
【文献】
実公昭47−013657(JP,Y1)
【文献】
国際公開第2012/130254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 5/00
B01F 3/02
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流れる主流路の途中に、前記第1流体よりも流量の小さい第2流体が流れる副流路が接続されて第1流体と第2流体とが混合するように構成された配管部材に配設される流体混合素子であって、
一端部の端面に始端が開口する前流路及びこの前流路の終端から分岐するとともに他端部の端面に終端が開口する複数の後流路とを有する第1内部流路と、前記一端部及び他端部の間の中間部の側周面に始端が開口するとともに前記他端部の端面に終端が開口する第2内部流路とが形成してあり、
前記副流路との接続部位よりも上流側の主流路に前記一端部が嵌合するとともに、同接続部位よりも下流側の主流路に前記他端部が嵌合して、前記第2内部流路の始端開口が前記副流路の終端開口に臨むように配設されており、
前記後流路が、第1内部流路の中心軸に対して斜め外側に向かって延伸していることを特徴とする流体混合素子。
【請求項2】
前記第1内部流路又は第2内部流路のうちの少なくともいずれかの終端部分の延伸方向が、前記主流路の軸線方向に対して斜め方向に設定してある請求項1記載の流体混合素子。
【請求項3】
第2内部流路の終端部分が、複数本設けてある請求項1記載の流体混合素子。
【請求項4】
第1内部流路及び第2内部流路の終端部分が、それぞれ複数本設けてあり、各終端部分の開口が、該流体混合素子の他端部端面に交互に配設してある請求項1記載の流体混合素子。
【請求項5】
前記第2内部流路が、前記中間部の側周面に周回するように設けた周回溝と、該周回溝流路内に始端が開口するとともに前記他端部端面に終端が開口する1以上の連通孔とからなるものである請求項1記載の流体混合素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体製造プロセスで用いられる複数の材料ガス等を混合する流体混合素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体プロセスチャンバーなどに複数の材料ガスを混合して供給する場合、主流路に複数の副流路を上流側から順に接続し、その主流路を数m延伸して、プロセスチャンバに接続している。このような構成によって、各流路から流れてきた材料ガスが主流路内で自然に混合してプロセスチャンバに供給される。
ところで、コンパクト化の要請によって主流路の配管長を短くすると、上述した構成では材料ガスの十分な混合を図れない恐れがでてくる。
【0003】
例えば
図16に示すように、第1流体が層流に近い状態で流れている場合、中心が最も速く周辺に向かうに連れて速度は遅くなって管壁近傍ではその速度はほぼ0になるが、ここに流れ込む第2流体の流量が第1流体の流量に比べて小さいと、該第2流体は管壁近傍に沿って第1流体の周囲をゆっくりと流れるだけとなり第1流体と混ざるまでに時間と配管長が必要となる。
【0004】
そこで、特許文献1に示されているように、主流路において副流路との接続部位よりも下流側に螺旋板を溶接するといったことが行われている。このような構成であれば、この螺旋板による撹拌作用によって第1流体と第2流体との混合を促進でき、配管長も短くすることができる。
【0005】
しかしながら、このような螺旋板を配管に接合するのは手間や費用がかかる。また、例えば、
図15に示すように、主流路の第1流体が乱流となって流れている場合は、圧力差によって副流路に第1流体が逆流して入り込み、第2流体が主流路に流れ込みにくくなるので、螺旋板の機能が十分に発揮されないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−279466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであって、簡単な構成でありながら、主流路を流れる第1流体に、副流路を流れる第2流体を確実かつ短配管長で混合できる流体混合素子を提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る流体混合素子は、第1流体が流れる主流路の途中に、
前記第1流体よりも流量の小さい第2流体が流れる副流路が接続されて第1流体と第2流体とが混合するように構成された配管部材に配設される流体混合素子であって、一端部の端面に始端が開口する
前流路及びこの前流路の終端から分岐するとともに他端部の端面に終端が開口する
複数の後流路とを有する第1内部流路と、前記一端部及び他端部の間の中間部の側周面に始端が開口するとともに前記他端部の端面に終端が開口する第2内部流路とが形成してあり、前記副流路との接続部位よりも上流側の主流路に前記一端部が嵌合するとともに、同接続部位よりも下流側の主流路に前記他端部が嵌合して、前記第2内部流路の始端開口が前記副流路の終端開口に臨むように配設されており、
前記後流路が、第1内部流路の中心軸に対して斜め外側に向かって延伸していることを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、前記主流路を流れてきた第1流体が前記第1内部流路を通ってこの流体混合素子よりも下流側の主流路に流れ込む一方、前記副流路を流れてきた第2流体が前記第2内部流路を通ってこの流体混合素子よりも下流側の主流路に流れ込むこととなるが、その後、第1流体及び第2流体の双方が、流体混合素子の他端部端面から共通して、主流路の下流に向かって吹き出すため、主流路の管壁近傍に第2流体が停滞したり、第1流体が副流路に入り込んで第2流体の主流路への流入を阻害したりすることなく、各流体を短配管長で確実に混合させることができる。
【0010】
また、主流路にスライド挿入するだけでこの流体混合素子を取り付けることができるので施工が容易で、しかも既存の配管にも無理なく取り付けることができる。
【0011】
混合をさらに促進するには、前記第1内部流路又は第2内部流路のうちの少なくともいずれかの終端部分の延伸方向が、前記主流路の軸線方向に対して斜め方向に設定してあるものを挙げることができる。このようなものであれば、流体混合素子を出た直後の流体の進行ベクトルに径方向成分が含まれることとなるので、主流路の中心付近流れと内側面付近の流れが混ざり合い、各流体の混合がより促進されることとなる。なお、斜め方向とは、捻れ方向のように、径方向成分の他に円周接線方向が含まれていても良い。
【0012】
混合をさらに促進させるための他の具体的態様としては、第1内部流路又は第2内部流路のうちの少なくともいずれかの終端部分が、複数本設けてあるものを挙げることができる。特に、第1内部流路及び第2内部流路の終端部分が、それぞれ複数本設けてあり、各終端部分の開口が、該流体混合素子の他端部端面に交互に配設してあれば、各流体が予め複数に分流してそれらが互いに混ざり合うことになるので、さらに短時間、短配管長での混合が可能となる。
【0013】
この流体混合素子を、その軸周りの挿入角度を調整することなく、主流路に挿入して容易に取り付けられるようにするには、前記第2内部流路が、前記中間部の側周面に周回するように設けた周回溝と、該周回溝流路内に始端が開口するとともに前記他端部端面に終端が開口する1以上の連通孔とからなるものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
このような構成の本発明によれば、第1流体及び第2流体の双方が、流体混合素子の他端部端面から共通して、主流路の下流に向かって吹き出すため、主流路の管壁近傍に第2流体が停滞したり、第1流体が副流路に入り込んで第2流体の主流路への流入を阻害したりすることなく、各流体を短距離で確実に混合させることができる。
【0015】
また、主流路にスライド挿入するだけでこの流体混合素子を取り付けることができるので施工が容易で、しかも既存の配管にも無理なく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態における流体混合素子を配管構造体に装着した状態を示す断面斜視図。
【
図4】同実施形態における流体混合素子の他端部端面図。
【
図5】同実施形態における流体混合素子の縦断面図。
【
図6】本発明の第1実施形態における流体混合素子の縦断面図。
【
図7】同実施形態における流体混合素子の一端部端面図。
【
図8】同実施形態における流体混合素子の他端部端面図。
【
図10】本発明の他の実施形態における配管構造体及び流体混合素子を示す縦断面図。
【
図11】本発明のさらに他の実施形態における、流体混合素子を配管構造体に装着した状態を示す側面図。
【
図12】同実施形態における、流体混合素子を配管構造体に装着した状態を示す正面図。
【
図13】本発明のさらに他の実施形態における流体混合素子の斜視図。
【
図14】本発明のさらに他の実施形態における流体混合素子の斜視図。
【
図15】従来の本発明のさらに他の実施形態における流体混合素子の斜視図。
【
図16】本発明のさらに他の実施形態における流体混合素子の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
本実施形態に係る流体混合素子10は、
図1に示すように、主流路Aの途中に副流路Bが接続するように構成された配管構造体20に適用されて、主流路Aを流れる第1流体と副流路Bを流れる第2流体との混合を促進するものである。なお、ここでの第1流体及び第2流体は、例えば半導体プロセスに用いられる種類の異なるガスであって、第1流体の流量の方が第2流体の流量よりも大きくなるように設定してある。また、各流体は単一成分からなるものに限らず、複数の材料ガスが混合したものも含まれる。
【0018】
まず、配管構造体20について説明する。この実施形態での配管構造体20は、主流路Aを構成する筒状配管20aと副流路Bをそれぞれ構成する筒状配管20bとを一体に接続したものであり、ここでは、例えば既存のT字継手をそのまま利用している。具体的には、前記主流路Aは直線状をなしており、副流路Bがこの主流路Aの途中に略直角に交わって、その終端B1が、該主流路Aの内壁に開口するように構成してある。なお、例えば、ブロック体に穿孔するなどして主流路や副流路を形成した配管構造体でも構わない。
【0019】
次に流体混合素子10について説明する。この流体混合素子10は、
図2〜
図5に示すように、概略円柱状をなすものであって、その中間部12の側周面に周回溝41を設けることで、最大径部分がその前後の一端部11及び他端部13に形成されるようにしてある。そして、この流体混合素子10を主流路Aに略隙間なくスライドさせて挿入できるように、前記一端部11及び他端部13の外径を主流路Aの内径と略等しくなるように設定してある。
【0020】
この流体混合素子10の配置位置であるが、本実施形態では、
図1に示すように、前記一端部11を、副流路Bの終端開口B1、すなわち、副流路Bと主流路Aとの接続部位、よりも主流路Aの上流側に嵌合させるとともに、前記他端部13を、副流路Bの終端開口B1よりも主流路Aの下流側に嵌合させて、前記周回溝41が副流路Bの終端開口B1に臨むようにしてある。
当該流体混合素子10には、
図2〜
図5に示すように、さらに2種類の内部流路、すなわち、第1内部流路3と第2内部流路4とが設けてある。
【0021】
第1内部流路3は、
図3〜
図5等に示すように、前記一端部11の端面1aにその始端3aが開口し、他端部13の端面1cにその終端3bが開口するものである。そして、この流体混合素子10より上流側の主流路Aから流れてきた全ての第1流体は、この第1内部流路3を通過して、当該流体混合素子10より下流側の主流路Aに吐出される。
【0022】
より具体的に説明すると、この第1内部流路3は、当該流体混合素子10の一端部端面1aに始端3aが開口し、そこから中心軸線Cに沿って延伸する前流路31と、この前流路31の終端から分岐する略一定径の複数の後流路32とからなるものである。前流路31は、一端部端面1aにおおよそ亘る円形の始端開口3aから徐々に内径が小さくなる円錐状部分311と、そこから延伸する一定径部分312とからなるものである。また、後流路32は、斜め外側に向かって捻れながら延伸し、その終端3bが、
図5に示すように、他端部端面1cの外周縁部において円周方向に等間隔に開口するようにしたものである。
【0023】
第2内部流路4は、
図3等に示すように、前記周回溝41と、該周回溝41に連通する複数の連通孔42とからなる。連通孔42は、この流体混合素子10の中心軸線Cと平行に延伸する略一定径のものであり、ここでは前記後流路32と同数が設けてある。そして、各連通孔42の始端42aが周回溝41の底部側面に開口し、その終端4bが、前記他端部端面1cの外周縁部に開口するようにしてある。また、前記終端4bは、
図5に示すように、前記各後流路32の終端開口3bと同一円周上に交互に等間隔に並ぶように構成してある。
【0024】
次に、かかる構成の流体混合素子10による作用を説明する。
主流路Aを上流から流れてきた第1流体は、その全てが流体混合素子10の第1内部流路3を通過するが、そのとき、流路断面積が小さくなる部分、つまり前流路31の円錐状部分311を通る際に流速が上がる。その後、この第1流体は、分流して各後流路32を通った際に、流れベクトルに円周方向成分が加わり、流体混合素子10の他端部端面1cから主流路Aの下流側に向かって捻れるように吹き出す。
【0025】
一方、副流路Bの上流側から流れてきた第2流体は、その全てが流体混合素子10の第2内部流路4を通過する。このとき、主流路Aの軸方向(延伸方向)と直交する方向から入ってきた第2流体は、周回溝41を通って連通孔42に分流するときに、その流れ方向ベクトルが主流路Aの延伸方向と平行となり、流体混合素子10の他端部端面1cから主流路Aに平行に流れ出す。
【0026】
ところで、前述したように、この流体混合素子10の他端部端面1cには、第1内部流路3の終端開口3bと、第2内部流路4の終端開口4bとが同じ円周上に交互に設けてあるため、第2内部流路4の終端開口4bから主流路Aと平行に流れ出した第2流体は、その流量の多寡を問わず、その隣から円周方向成分及び径方向成分を有して捻れるように吹き出す第1流体に巻き込まれて即座に強制的に混合されることとなる。
【0027】
また、流体混合素子10を出た直後の第1流体の進行ベクトルには径方向成分が含まれることとなるので、主流路Aの中心付近流れと内側面付近の流れが混ざり合い、各流体の混合がより促進されることとなる。
このように本実施形態によれば、短配管長、短時間での流体混合を実現できる。
【0028】
また、第1流体も第2流体も流体混合素子10の他端部端面1cから共通して吹き出すため、第1流体が副流路Bに入り込んで第2流体の主流路Aへの流入を阻害することもない。
【0029】
さらに、流体混合素子10は主流路Aと同径をなす円柱状のものであるため、主流路Aにスライド挿入するだけで簡単に設置でき、溶接や特別な加工などは不要である。特にこの実施形態では、第2内部流路4の入口が周回する周回溝41であることから、この流体混合素子10を、軸中心の角度を調整することなく主流路Aに挿入して位置合わせさえすれば、副流路Bの終端開口B1に第2内部流路4が接続されるため、設置が極めて容易となる。
【0030】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、
図6〜
図9を参照して説明する。
この流体混合素子10は、前記第1実施形態のものと類似するが、やや扁平なことと、内部流路の構成が異なる点で、前記第1実施形態とは相違する。
そこで、以下では、相違点である内部流路について特に詳述する。
【0031】
第1内部流路3は、流体混合素子10の一端部端面1aに始端が開口し、そこからこの流体混合素子10の中心軸線に平行に延伸する複数の前流路31と、該流体混合素子10の他端部端面1cに設けられた複数重の第1円環溝32とを具備するものである。各前流路31は、軸線方向から視て各第1円環溝32上に等間隔に並ぶように配設してあり、各前流路31の終端が、各第1円環溝32の底面(及び側面)に開口するように構成してある。なお、中心軸線C上には、1本の貫通路33が設けてあり、この貫通路33も第1内部流路3を構成する。
【0032】
第2内部流路4は、この流体混合素子10の中間部側周面に、第1実施形態同様に設けた周回溝41と、この周回溝41の底面から径方向に延び、そこから屈曲して軸線方向に平行に延びる複数の中間流路42と、該流体混合素子10の他端部端面1cに設けられた複数重の第2円環溝43とを具備するものである。中間流路42は、軸線方向から視て、円周方向に等間隔で設けられており、その終端が、第2円環溝43の底面に開口して該第2円環溝43と連通するようにしてある。第2円環溝43は、前記第1円環溝32と交互に設けられており、第1円環溝32より深さが浅いものである。
【0033】
このようなものであれば、第1実施形態の流体混合素子10のように捻じれ等による混合促進は望めないものの、その他の作用や効果については同様となる。また、第1実施形態の流体混合素子10のように斜めに穿孔する必要がないので、製造が容易となる。
【0034】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図10に示すように、配管構造体20を、主流路Aに上流側から順に副流路Bを複数連設したものにしてもよい。この図では、主流路Aと副流路Bの接続部位にそれぞれ第1実施形態の流体混合素子1を設け、かつ隣り合う流体混合素子1が略接触するように構成している。
【0035】
このような配管構造体20及び流体混合素子10を用いた応用例を、
図11、
図12に示す。この応用例では、複数のマスフローコントローラ100を略隙間無く並べて、その底面に前記配管構造体20を接続している。
【0036】
詳述すれば、マスフローコントローラ100は、内部流路や流体抵抗素子(図示しない)が内部に形成された本体ブロック101と、この本体ブロック101の上面に配置された圧力センサやバルブ(図示しない)を収容するケーシング部102とを具備したものであり、上面視(平面視)細長い長方形状をなすものである。そして、本体ブロック101の底面の一端部には流体の導入ポート(図示しない)が設けてあり、他端部には流体の導出ポート103が設けてある。
【0037】
そして、マスフローコントローラ100を、その長手方向に平行な外面同士を略密接させて複数並べ、各マスフローコントローラの導出ポート103が、配管構造体20に接続されるようにしてある。
【0038】
このようなものであれば、
図11、
図12に示すように、複数のマスフローコントローラ100を搭載した配管構造体20を、半導体プロセスチャンバの外壁(例えば上壁の蓋部)Wに直接搭載し、配管構造体20の主流路Aが、前記外壁を貫通して内部に材料ガスを供給するための流路W1に接続されるように構成することができるので、従来のように配管を介してマスフローコントローラ等を別置きしていた態様と比べ、飛躍的な小型化を図ることが出来る。また、マスフローコントローラと流路W1との距離が飛躍的に短くなるので、流体の流量制御の応答性を向上させることが出来る。さらにチャンバの蓋部に配管構造体を取り付けておけば、チャンバメンテナンスのときに蓋部Wを取り外すので、同時にメンテナンスができて好適である。
【0039】
また、例えば、
図13に示すように、流体混合素子10の外径を一定にして、中間部側周面に周回溝を設けない構成でもよい。この場合、中間部側周面の一部に第2内部流路4の始端開口4aが表れることとなるので、その開口4aが副流路の終端開口に合致するように、この流体混合素子10の角度を調整する必要がある。
【0040】
また、
図14に示すように、流体混合素子10の側周面に軸方向に延びる縦溝を設けて、これを第1内部流路3としても構わない。この場合も、流体混合素子10は主流路Aにガタ無く嵌合させる。
また、主流路において、流体混合素子よりも下流側にさらに別の撹拌素子を配置しても良い。
【0041】
また、第1内部流路や第2内部流路は、それぞれ1本ずつでも構わない。
また、副流路は、主流路に対して必ずしも直角に交わる必要はなく、斜めに交わっても良い。その場合、副流路の角度に制限はない。
図15、
図16に示す従来のものであると、副流路を斜めに取り付ける場合、主流路の上流側から該主流路に近づくように傾斜させなければならない(逆だと、主流路の第1流体が副流路に入り込む恐れが強くなる。)が、本発明であれば、その恐れがなく、前述したように、副流路の角度に制限はないので、配管の自由度が高くなるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0042】
10・・・流体混合素子
20・・・配管構造体(配管部材)
11・・・一端部
12・・・中間部
13・・・他端部
1a・・・一端部端面
1c・・・他端部端面
3・・・第1内部流路
4・・・第2内部流路
A・・・主流路
B・・・副流路