(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体を制御又は測定する流体機器が接続される第1ポートと、ユーザ用情報処理装置が接続される第2ポートとを具備し、前記流体を制御又は測定するためのデータである流体関連データを、前記第1ポートを介して前記流体機器から受信するとともに、前記第2ポートを介して前記ユーザ用情報処理装置に送信する、又は、前記流体関連データを前記第2ポートを介して前記ユーザ用情報処理装置から受信するとともに、前記第1ポートを介して前記流体機器に送信する中継器であって、
前記流体機器の動作状態を診断する診断用装置が接続される第3ポートをさらに具備し、
前記動作状態を診断する診断用データを、前記第1ポートを介して前記流体機器から受信するとともに、前記第3ポートを介して前記診断用装置に送信するものであり、
前記第1ポートに、前記流体関連データを通信する第1通信ラインと前記診断用データを通信する第2通信ラインとが接続されることを特徴とする中継器。
前記各流体機器が、扁平形状をなすケーシングを有し、該ケーシングの面板部同士を互いに対向させることにより、互いに隣り合う前記流体機器を隙間なく配設できるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体制御システム用中継器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべく、流体機器とユーザ用情報処理装置との間に介在する中継器に着目してなされたものであって、流体機器を小型化しながらも、流体機器の動作状態を診断できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る中継器は、流体を制御又は測定する流体機器が接続される第1ポートと、ユーザ用情報処理装置が接続される第2ポートとを具備し、前記流体を制御又は測定するためのデータである流体関連データを、前記第1ポートを介して前記流体機器から受信するとともに、前記第2ポートを介して前記ユーザ用情報処理装置に送信する、又は、前記流体関連データを前記第2ポートを介して前記ユーザ用情報処理装置から受信するとともに、前記第1ポートを介して前記流体機器に送信する中継器であって、前記流体機器の動作状態を診断する診断用装置が接続される第3ポートをさらに具備し、前記動作状態を診断する診断用データを、前記第1ポートを介して前記流体機器から受信するとともに、前記第3ポートを介して前記診断用装置に送信することを特徴とするものである。
【0009】
このような中継器によれば、診断用装置が接続されて、流体機器から出力される診断用データを前記診断用装置に送信するための第3ポートを具備しているので、診断用装置と流体機器とをケーブル接続することなく、診断用データを診断用装置に送信することができる。
これにより、従来であれば各流体機器に設けられていたケーブル接続用のポートを不要にすることができ、各流体機器の小型化を図りながらも、各流体機器の動作状態を診断することが可能になる。
【0010】
流体関連データを所定の規格で通信する場合に、この通信を阻害することなく診断用データを診断用装置に送信するためには、前記各第1ポートに、前記流体関連データを通信する第1通信ラインと前記診断用データを通信する第2通信ラインとが接続されることが好ましい。
これならば、ユーザに設定された流体関連データを通信する第1通信ラインとは別に、第2通信ラインによって診断用データを通信するので、流体機器の診断に必要な診断用データをユーザの設定に関わらず取得することができ、柔軟に流体機器を診断することができる。すなわち、ユーザの設定を変更することなく、診断用データを設定することができ、後付した診断用装置を用いて流体機器の診断を行うことができる。
【0011】
各流体機器の更なる小型化を図るためには、複数の前記流体機器を識別するための識別子を前記各流体機器に付す識別子付与部と、前記識別子付与部により付された各流体機器の識別子を表示する表示部とを有することが好ましい。
これならば、従来のように流体機器に識別子付与部や表示部を設ける必要がなく、各流体機器を更に小型にすることができる。
そのうえ、流体機器が、例えばユーザの手の届かない場所、あるいは目の行き届かない場所に配置されたとしても、中継器さえ操作可能な場所に配置しておけば、該中継器の識別子付与部及び表示部により各流体機器の接続状態等を確認することができ、作業性を向上させることができる。
【0012】
本願発明の効果がより顕著となる実施態様としては、前記各流体機器が、扁平形状をなすケーシングを有し、該ケーシングの面板部同士を互いに対向させることにより、互いに隣り合う前記流体機器を隙間なく配設できるように構成されているものが挙げられる。
【0013】
また、本発明に係る流体制御・測定システムは、流体を制御又は測定する流体機器と、情報処理装置と、前記流体機器が接続される第1ポートと、前記ユーザ用情報処理装置が接続される第2ポートとを有し、前記流体を制御又は測定するためのデータである流体関連データを、前記第1ポートを介して前記流体機器から受信するとともに、前記第2ポートを介して前記ユーザ用情報処理装置に送信する、又は、前記流体関連データを前記第2ポートを介して前記ユーザ用情報処理装置から受信するとともに、前記第1ポートを介して前記流体機器に送信する中継器とを具備する流体制御・測定システムであって、前記中継器が、前記流体機器の動作状態を診断する診断用装置が接続される第3ポートをさらに具備し、前記動作状態を診断する診断用データを、前記第1ポートを介して前記流体機器から受信するとともに、前記第3ポートを介して前記診断用装置に送信することを特徴とするものである。
このような流体制御・測定システムによれば、上述した中継器と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、流体機器を小型化しながらも、流体機器の動作状態を診断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明に係る流体制御・測定システムについて図面を参照して説明する。
【0017】
前記流体制御・測定システム100は、
図1に示すように、例えば、半導体製造システム成膜用の各種ガスをガス供給源からそれぞれ導入し、それらを混合して半導体の成膜チャンバ(図示しない)に供給するために用いられるものであり、各ガスの流路L(以下、ガス流路ともいう。)を形成する流路形成部材と、各ガス流路Lにそれぞれ設けられて該ガス流路Lを流れるガスの流量を独立して制御する流体機器たる流量制御装置101と、各流量制御装置101と通信可能なユーザ用情報処理装置102と、流量制御装置101とユーザ用情報処理装置102との間に介在する中継器103と、各流量制御装置101の動作状態を診断する、つまり各流量制御装置101が正常に動作しているかを診断する診断用装置104とを具備する。
なお、流体機器としては、流体の圧力、流量、温度粘性等の物性を制御する流体制御装置や、前記物性を測定する流体測定装置などが挙げられる。
【0018】
次に、この流体制御・測定システム100の各部をより具体的に説明する。
【0019】
前記流路形成部材は、図示しないが、例えば、複数のブロック体を平面的に連設することでパネル上に構成されたものである。各ブロック体には、内部流路が設けてあり、それらを適宜連設して各ブロック体の内部流路を繋げることによって、上述したように、複数の並列したガス流路Lが形成されるようにしてある。ブロック体には、圧力センサやバルブ、あるいは後述する流量制御装置101等の流体関連機器を搭載可能なものや、分岐流路が形成されたものなど、種々のタイプが用意されている。このようなブロック体によって流路形成部材を構成しているのは、隙間なく密に配設できるうえ、その上部に一体的に前記流体関連機器を搭載できることから、小型化を図れ、その結果、流路を短くできてデッドスペースを小さくしたり応答性を向上させたりできるからである。なお、流路形成部材として、一般的な配管部材を用いても構わない。
【0020】
前記流量制御装置101は、
図2〜
図4に示すように、流量制御装置搭載用ブロック体1(以下、単にブロック体ともいう。)に搭載された圧力センサ2A、2B、流体抵抗素子3、流量調整バルブ4、電気回路基板5及びこれらを収容するケーシング6とを具備したものである。
なお、本実施形態では、特に
図2に示すように、前記ケーシング6は扁平形状をなすものであり、該ケーシング6の面板部同士を互いに対向させることにより、互いに隣り合う流量制御装置101が隙間なく配設されるように構成されている。これにより、流体制御・測定システム100全体をコンパクト化することが可能になる。
【0021】
ブロック体1は、細長い直方体状をなすものであり、その長手方向に対して直交するように形成された前後各端面1bには、それぞれガスの導入ポート及び導出ポートが設けられ、それら各ポートを繋ぐように、平面視、長手方向に沿ってガスが流れる内部流路1aが設けてある。
【0022】
そして、該内部流路1a上に、上流側から順に流量調整バルブ4、第1圧力センサ2A、流体抵抗素子3、第2圧力センサ2Bが設けてある。また、このブロック体1の上面1c(すなわち、このブロック体1の長手方向と平行で前記端面1bと垂直な面)は部品取付面として設定してあり、この部品取付面に後述する流量調整バルブ4や圧力センサ2A、2Bのハウジングが設けてある。
【0023】
流量調整バルブ4は、内部流路1a上に設けられた弁本体(図示しない)とこれを開閉するアクチュエータ(図示しない)とを具備したものである。このアクチュエータは、例えば厚み方向に伸縮する積層ピエゾ素子を利用したものであり、前記部品取付面に取り付けられた筒状ハウジングに収容されている。そして、該アクチュエータの伸縮動作によって弁本体の弁開度を調整できるようにしてある。
【0024】
圧力センサ2A、2Bは、扁平形状をなすハウジングと、そのハウジング内に内蔵した圧力検知素子とを具備するものである。そして、このハウジングを、その面板部(扁平面)が前記部品取付面から垂直でなおかつブロック体1の長手方向と平行、すなわち平面視、流体の流れ方向と略平行となるように、該部品取付面に取り付けてある。
【0025】
流体抵抗素子3は、内部流路1aに設けられた狭隘な通路部分を形成するものであり、ここでは、ブロック体1の内部に埋め込んである。
【0026】
電気回路基板5には、CPU、メモリ、通信回路などのデジタル回路、及び、増幅器、バッファなどのアナログ回路が形成されており、各回路が協働することによって、機能的にいえばガス流路L(ブロック体1の内部流路1aであるガス流路)を流れるガスの流量を測定する流量測定部及び該流量測定部で検知されたガス流量を所定の目標流量となるように制御する流量制御部としての機能を発揮する。
【0027】
流量測定部は、ここでは、流体抵抗素子3の上流及び下流に設けられた圧力センサ2A、2Bで測定されたガス流路Lの圧力に基づいて、当該ガス流路Lを流れるガス流量を算出するものである。このようにして算出したガス流量(以下、測定流量ともいう。)は、流量制御部に測定流量信号として出力される。
【0028】
流量制御部は、目標流量信号及び前記測定信号を受け付け、それらが示す目標流量と前記測定流量とを比較し、その偏差が小さくなるように、流量調整バルブ4を駆動するための動作信号を出力するものである。なお、この流量制御部には、バルブ開閉信号も受け付けられるようになっており、バルブ開閉信号を受け付けた場合には、目標流量信号の値にかかわらず、流量調整バルブ4を強制的に全開または全閉させる。
【0029】
このように構成された流量制御装置101は、ケーシング6の上板部に設けられたコネクタ7を介して、ユーザ用情報処理装置102にケーブル接続される。
【0030】
ユーザ用情報処理装置102は、複数の流量制御装置101がケーブル接続され、各流量制御装置101と通信可能に構成されたものであり、具体的にはCPU、メモリ、入出力インターフェイス、AD変換器等を備えた汎用乃至専用のコンピュータである。
【0031】
より詳細にこのユーザ用情報処理装置102は、本実施形態では、流体関連データとして流体の流量を制御するためのデータを各流量制御装置101との間で送受信するものである。具体的にこの流体関連データとは、半導体製造装置のレシピで使われるデータであり、ユーザ用情報処理装置102によるデータ処理に必要なものである。つまり、この流体関連データは、ユーザ用情報処理装置102が必要としている(定義している)データである。
ユーザ用情報処理装置102から流量制御装置101に送信される流体関連データとしては、目標流量を示す前記目標流量信号や流量調整バルブ4を強制的に開閉させる前記バルブ開閉信号などがある。一方、各流量制御装置101からユーザ用情報処理装置102に送信される流体関連データとしては、測定流量を示す前記測定流量信号、各圧力センサ2A、2Bが測定した圧力を示す測定圧力信号、流量調整バルブ4の開度(バルブ4に印加している電圧)を示すバルブ開度信号、流体の温度を示す流体温度信号などがある。
なお、このユーザ用情報処理装置102は、上述した流体関連データの中から、ユーザにより予め設定された1又は複数種類のデータを各流量制御装置101との間で送受信するように構成されている。
【0032】
ここで、本実施形態の流体制御・測定システム100は、
図5及び
図6に示すように、上述した複数の流量制御装置101とユーザ用情報処理装置102との間に介在し、これらの間で前記流体関連データを中継する中継器103を具備している。
なお、説明の便宜上、
図5では中継器103の外周面に設けられた各構成の記載を省略しており、
図6では中継器103の内部の各構成の記載を省略している。
【0033】
以下、この中継器103について説明する。
【0034】
中継器103は、
図5及び
図6に示すように、前記流量制御装置101が接続されて、該流量制御装置101との間で前記流体関連データを送受信するための第1ポートP1と、前記ユーザ用情報処理装置102が接続されて、該ユーザ用情報処理装置102との間で前記流体関連データを送受信するための第2ポートP2とを具備している。
【0035】
より詳細にこの中継器103は、第1ポートP1を介して流量制御装置101から受信した流体関連データを第2ポートP2を介してユーザ用情報処理装置102に送信し、第2ポートP2を介してユーザ用情報処理装置102から受信した流体関連データを第1ポートP1を介して流量制御装置101に送信するように構成されている。
【0036】
本実施形態では、複数の第1ポートP1が、各流量制御装置101に対応して設けられており、各第1ポートP1及び第2ポートP2には、各流量制御装置101とユーザ用情報処理装置102との間で前記流体関連データを通信する第1通信ラインL1が接続されている。
【0037】
前記第1通信ラインL1は、差動伝送通信(本実施形態では、CAN通信)等の所定の規格で前記流体関連データを通信するものであり、具体的には一端が流量制御装置101に接続されるとともに、他端がユーザ用情報処理装置102に接続される第1通信ケーブルからなる。なお、この第1通信ケーブルは、各流量制御装置101、第1ポートP1、第2ポートP2及びユーザ用情報処理装置102それぞれに設けられている図示しない物理的なコネクタに接続される。なお、第1通信ケーブルは電線等の物理的なものをいう。
より詳細に本実施形態では、前記流体関連データをユーザ用情報処理装置102と中継器103間でDeviceNetにより通信し、中継器103と各流量制御装置101との間でCANにより通信するように構成されている。なお、DeviceNetの代わりに、EtherCATを用いても良い。
【0038】
本実施形態では、
図5に示すように、各第1ポートP1を介して各流量制御装置101に接続されている複数の第1通信ラインL1が、第1ポートP1と第2ポートP2との間で合流して、第2ポートP2を介してユーザ用情報処理装置102に接続されている。
なお、本実施形態では、例えば図示しないスイッチング素子などにより、ユーザ用情報処理装置102と通信可能な流量制御装置101を適宜切り替えられるように構成されている。また、本実施形態では、第1通信ラインL1にはリピータ等のCPUを設けられている。つまり、このリピータ等のCPUは、中継器103内に設けられて、第1通信ラインL1が接続されたものである。
【0039】
また、本実施形態の中継器103は、上述した第1通信ラインL1上に図示しないフォトカプラ等のアイソレータを有し、各流量制御装置101とユーザ用情報処理装置102とを絶縁するように構成されている。具体的にこのアイソレータは、上述した第1通信ラインL1における合流点よりユーザ用情報処理装置102側に設けられている。
【0040】
しかして、本実施形態の中継器103は、
図5及び
図6に示すように、流量制御装置101の動作状態を診断する診断用装置104が接続されて、前記動作状態を診断するためのデータである診断用データを該診断用装置104との間で送受信するための第3ポートP3を更に具備している。この診断用データには、上述した流体関連データに含まれていないデータを少なくとも含むデータであっても良い。
ここで、診断用データは、流量制御装置101の動作状態の診断に用いることができるデータであり、流量制御装置101により得られるデータである。具体的に診断用データとしては、目標流量を示す前記目標流量信号、流量調整バルブ4を強制的に開閉させる前記バルブ開閉信号、測定流量を示す前記測定流量信号、各圧力センサ2A、2Bが測定した圧力を示す測定圧力信号、流量調整バルブ4の開度(バルブ4に印加している電圧)を示すバルブ開度信号、各センサの生値を示す生信号、各センサのドリフトの積算値を示すドリフト積算信号、流量調整バルブ4を閉じた状態で得られる測定流量を用いた自己診断値(例えば国際公開番号WO2008/053839)を示す自己診断信号などがある。
なお、ユーザが全ての流体関連データを流量制御装置101とユーザ用情報処理装置102との間で送受信するように選択した場合は、流体関連データと診断用データとが一致する。
【0041】
前記第3ポートP3は、前記第2ポートP2と別に設けられており、本実施形態の中継器103は、第1ポートP1を介して各流量制御装置101から受信した前記診断用データを、第3ポートP3を介して診断用装置104に送信するように構成されている。
【0042】
本実施形態では、前記第3ポートP3には、各流量制御装置101と診断用装置104との間で前記診断用データを通信する第2通信ラインL2が接続されている。
【0043】
前記第2通信ラインL2は、一端が流量制御装置101に接続されるとともに、他端が診断用装置104に接続され、前記第1通信ケーブルとは異なる第2通信ケーブルからなるものである。なお、この第2通信ケーブルは、各流量制御装置101、第1ポートP1、第3ポートP3及び診断用装置104それぞれに設けられている図示しない物理的なコネクタに接続される。なお、第2通信ケーブルは電線等の物理的なものをいう。
【0044】
本実施形態では、
図5に示すように、各第1ポートP1を介して各流量制御装置101に接続されている複数の第2通信ラインL2が、第1ポートP1と第3ポートP3との間で合流して、第3ポートP3を介して診断用装置104に接続されている。
なお、各第1ポートP1は、前記第1通信ラインL1が接続される第1通信ライン用端子(図示しない)と前記第2通信ラインL2が接続される第2通信ライン用端子(図示しない)とが設けられており、流量制御装置101と中継器103との間で流体関連データと診断用データとを別個独立して送受信することができるように構成されている。
【0045】
また、本実施形態の中継器103は、
図6に示すように、複数の流量制御装置101を識別するための識別子を各流量制御装置101に付す識別子付与部11と、識別子付与部11により付された各流量制御装置101の識別子や動作状態等を表示する表示部12とを更に具備している。
【0046】
識別子付与部11は、ユーザ用情報処理装置102に接続された各流量制御装置101に対応して、例えば中継器103の外周面に設けられている。
具体的にこの識別子付与部は、例えばロータリースイッチ等のディップスイッチを用いたものであり、例えば各流量制御装置101を互いに異なる値に設定するように構成されている。
【0047】
表示部12は、各識別子付与部11に対応して、例えば中継器103の前記外周面に設けられている。
具体的にこの表示部は、例えばLED等を用いたものであり、対応する識別子付与部11により設定された各流量制御装置101の識別子(本実施形態では、各流量制御装置101の値)を表示するように構成されている。
【0048】
このように構成された本実施形態に係る流体制御・測定システム100によれば、中継器103が第3ポートP3を具備しており、この第3ポートP3を介して各流量制御装置101と診断用装置104とが接続されているので、診断用装置104と流量制御装置101とをケーブル接続することなく、診断用データを診断用装置104に送信することができる。
これにより、従来であれば各流量制御装置101に設けられていたケーブル接続用のポートを不要にすることができ、流量制御装置101の小型化を図りながらも、各流量制御装置101の動作状態を診断することができる。
さらに、従来のように各流量制御装置101それぞれを診断用装置104にケーブル接続する必要がないので、ケーブルの本数を格段に減らすことができる。
【0049】
また、第1ポートP1に所定の規格で流体関連データを通信する第1通信ラインL1と、前記第1通信ラインL1は別に診断用データを通信する第2通信ラインL2とが接続されているとともに、流量制御装置101にはこれら流体関連データと診断用データとを別個独立して送受信することができるように構成されているので、第1通信ラインL1における所定の規格での通信を阻害することなく、各流量制御装置101から出力される前記診断用データを診断用装置104に送信することができる。
ここで、半導体製造装置において、流体の制御や測定に遅れ等が生じると最終製品である半導体等の品質劣化を招く恐れがあり、このことから第1通信ラインL1は、通信速度を担保すべく、ユーザにより設定されたデータのみを通信するように構成されていることが多い。このような半導体製造装置において、上述した構成であれば、該第1通信ラインL1とは別の第2通信ラインL2によって診断用データを通信するように構成しているので、流量制御装置101の診断に必要な診断用データをユーザの設定に関わらず取得することができ、柔軟に流量制御装置101を診断することができる。
【0050】
さらに、中継器103が、識別子付与部11と表示部12とを具備しているので、従来のように流量制御装置101に識別子付与部11や表示部12を設ける必要がなく、各流量制御装置101を更に小型にすることができる。
また、この構成により、流量制御装置101が、例えばユーザの手の届かない場所、あるいは目の行き届かない場所に配置されたとしても、中継器103さえ操作可能な場所に配置しておけば、該中継器103の識別子付与部11及び表示部12により各流量制御装置101の接続状態等を確認することができ、作業性を向上させることができる。
【0051】
加えて、各流量制御装置101にアイソレータを設けることなく、中継器103がアイソレータを備えているので、各流量制御装置101とユーザ用情報処理装置102とを絶縁するとともに、各流量制御装置101の更なる小型化を図れる。
また、前記アイソレータは、第1通信ラインL1における合流点よりユーザ用情報処理装置102側に設けられているので、各流量制御装置101に対応してアイソレータを設ける場合に比べて安価である。なお、この構成では、各流量制御装置101間は絶縁されていないが、流体関連データを差動伝送通信しているので、各流量制御装置101間のノイズを流体の制御又は測定に影響しない程度に抑えることができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0053】
例えば、前記実施形態では、各流量制御装置に接続された第1通信ライン及び第2通信ラインが同一の第1ポートに接続されているが、第1通信ラインと第2通信ラインとが互いに異なる第1ポートに接続されるように構成しても良い。
【0054】
また、前記実施形態の中継器は、第2ポートと別に設けられている第3ポートに診断用装置が接続されて、該診断用装置との間で診断用データを送受信するように構成されていたが、例えば第2ポートのコネクタと第3ポートのコネクタとを共通化しても良い。
【0055】
さらに、前記実施形態の第1通信ラインと第2通信ラインとは異なる通信ケーブルからなるものであったが、第1通信ラインの一部と第2通信ラインの一部とが共通の通信ケーブルからなるように構成しても良い。
【0056】
加えて、中継器は、第1ポートを介して流量制御装置との間で送受信される流体関連データ及び診断用データを、単一の通信ラインにより送受信するように構成されていても良い。
この場合、例えば中継器にCPU等を設け、このCPU等の設定により、前記単一の通信ラインにより通信される流体関連データを第2ポートを介してユーザ用情報処理装置との間で送受信し、診断用データを第3ポートを介して診断用装置との間で送受信するようにすれば良い。
【0057】
そのうえ、本実施形態の診断用装置は、流量制御装置の動作状態を診断するものであったが、例えば、各流量制御装置を補正又は校正するためのメンテナンスデータを、第3ポートを介して診断用装置から受信し、第1ポートを介して各流量制御装置に送信するように構成し、診断用装置が、各流量制御装置の動作状態を診断するとともに、各流量制御装置の補正又は校正等のメンテナンスを行うように構成しても良い。
なお、ここでいう診断には、補正や校正等が含まれている。
【0058】
加えて、前記実施形態のディップスイッチは、ロータリースイッチであったが、スライドスイッチやプッシュロックスイッチ等であっても良い。
【0059】
また、複数の流量制御装置が例えば互いにディージーチェーンにより接続されており、前記複数の流量制御装置のうち1又は複数の流量制御装置が中継器に接続されているようにしても良い。
【0060】
また、前記実施形態では、第1通信ラインにリピータ等のCPUが設けれているが、第2通信ラインに別途リピータ等のCPUを設けても構わないし、第1通信ラインと第2通信ラインとに共有して1又は複数のリピータ等のCPUを設けても構わない。
【0061】
さらに、前記実施形態の中継器は、複数の流量制御装置とユーザ用情報処理装置との間に介在するものであったが、各流量制御装置それぞれに対応して設けられていても良い。
【0062】
加えて、前記実施形態の流体制御・測定システムは、流量制御装置と情報用処理装置との間で流体関連データを送受信するように構成されていたが、流量制御装置からユーザ用情報処理装置へのみ、或いは、ユーザ用情報処理装置から流量制御装置へのみに流体関連データを送信するようしても良い。
【0063】
また、第3ポートは、流体関連データに含まれていないデータを少なくとも含む1又は複数のデータを送受信するためのものであれば良く、診断用データを送受信するためのものに限る必要はない。
【0064】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。