(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記RGB三色画素部が、色材として、R画素部中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、G画素部中にハロゲン化金属フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
G画素部中にAl、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn及びPbからなる群から選ばれる金属を中心金属として有するハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、その中心金属が三価の場合には、その中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているか、又はオキソ又はチオ架橋しており、その中心金属が四価金属の場合には、その中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているハロゲン化金属フタロシアニン顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
R画素部中にC.I.Solvent Red 124を、G画素部中にC.I.Solvent Blue 67とC.I.Solvent Yellow 82又は同162との混合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
R画素部中にC.I.Pigment Red 254を、G画素部中に、C.I.Pigment Green 7、同36及び同58から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
カラーフィルタが、ブラックマトリックスとRGB三色画素部とY画素部とから構成され、色材として、Y画素部に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Yellow 21、82、同83:1、同33及び同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色有機染顔料を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
前記強誘電性液晶組成物層が、重合性化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物を重合してなる重合体により構成される請求項1〜11のいずれか一項に記載の強誘電性液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の液晶表示装置の一例を
図2、
図3に示す。配向膜(4)を有する第一の基板(1a)の配向膜と基板の間に、透明電極層(3)及び特定の染料及び/又は顔料を含有するカラーフィルタ層(2a)を備え、配向膜(4)を有する第二の基板(1b)の配向膜と基板の間に透明電極層(3)を備え、これらの基板を配向膜同士が対向するように配置し、その間に強誘電性液晶組成物を含有する液晶層(5a)を挟持して構成されている。
前記表示装置における2枚の基板は、周辺領域に配置されたシール材及び封止材によって貼り合わされていて、多くの場合その間には基板間距離を保持するために粒状スペーサーまたはフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されている。
【0018】
(液晶層)
本発明の液晶表示装置における液晶層は、下記の一般式(LC−0)
【0020】
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はシアノ基で置き換えられていてもよく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R
a)−、−N(R
a)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R
a)−又は−N(R
a)−CO−におけるR
aは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表し、
Aは各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基又はインダンジイル基は環内の2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH
2−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、NO
2基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、nは1、2、3、4又は5である。)で表される1種又は2種以上の液晶性化合物を含有する強誘電性液晶組成物から構成される。
【0021】
液晶性化合物(LC−0)としては、下記の一般式(LC−I)〜(LC−III)
【0023】
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はシアノ基で置き換えられていてもよく、Rは各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R
a)−、−N(R
a)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R
a)−又は−N(R
a)−CO−におけるR
aは水素原子、又は炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表し、
Yは各々独立に単結合、又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
Xは各々独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3を表し、nは各々独立に0〜4の整数を表し、n
1、n
2、n
3及びn
4は、各々独立に0又は1を表すが、n
1+n
2+n
3+n
4=1〜4であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよく、炭素原子数は3または6が好ましい)で表される液晶性化合物が好ましい。
【0024】
液晶性を発現するためには、環に対して1,4−置換であることが好ましい。すなわち該液晶性化合物に含まれる環式2価基が1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2,5−ピリミジンジイル基などであることが好ましい。
例えば下記一般式(LC−Ia)〜(LC−IIIa)
【0026】
(式中、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表すが、R
11とR
12が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はシアノ基で置き換えられていてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
X
11〜X
22は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、CF
3基又はOCF
3基を表し、
L
11〜L
14は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
a
1、b
1、c
1及びd
1は各々独立に0又は1の整数を表すが、a
1+b
1+c
1+d
1は1、2又は3であり、a
1が0の場合はd
1は0であり、a
1が1の場合はc
1は0であり、c
1が1の場合はa
1は0であり、b
1=c
1=1の場合はa
1=d
1=0であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよく、炭素原子数は3または6が好ましい)で表される液晶性化合物が好ましい。
【0029】
(式中、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表すが、R
11とR
12が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はシアノ基で置き換えられていてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
環A
1は各々独立に1〜4つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
環B
1は各々独立に1〜4つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基を表し、
環C
1は各々独立に1〜4つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−シクロヘキシレン基を表し、
Lは各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
a
1は0、1又は2を表し、b
1、及びc
1は0、1又は2の整数を表し、a
1、b
1及びc
1の合計は1、2又は3を表す。)で表される液晶性化合物、一般式(LC−V)
【0031】
(式中、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表すが、R
21とR
22が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子又はシアノ基で置き換えられていてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
X
21〜X
27は各々独立に水素原子、フッ素原子、−CF
3、又は−OCF
3を表し、
L
21〜L
24は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、Yの定義は式(LC−IV)におけるのと同じであり、
a
2、b
2、c
2及びd
2は各々独立に0又は1の整数を表すが、a
2+b
2+c
2+d
2は1、2又は3であり、a
2が0の場合はd
2は0であり、a
2が1の場合はc
2は0であり、b
2=c
2=1の場合はa
2=d
2=0である。)で表される液晶性化合物が好ましい。特に、(LC−V)は、環構造に窒素、酸素、硫黄などの極性となる原子を含まない化合物であるため、カラーフィルタにおける特定の顔料との組み合わせた場合に、電圧保持率(VHR)が高く、焼き付きが生じないために、特にTFT駆動に用いられることが好ましい。
【0032】
フェニルピリミジン系化合物のうち、強誘電性の発現に必要な傾いたスメクチック相を得るため、あるいは、分子の傾き角を大きくするため、もしくは融点を低下させるためには分子の環の部分に置換基として、少なくとも1つ以上のフッ素原子、CF
3基、あるいはOCF
3基が導入されることが好ましい。置換基としては形状の小さなフッ素を導入することが、液晶相を安定に保ち、また、高速応答性も保持する面で好ましい。置換基の数は1〜3が好ましい。
【0033】
粘度が低く高速応答するため、環をつなぐ連結基(−Z−Y−Z−、又は−Y−L−Y−)としては、単結合、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、又は、−C≡C−からなる基より選択されることが好ましく、特に、単結合であることが好ましい。分子の局部的な分極を抑制しスイッチング挙動への悪影響を少なくする面でも単結合が好ましい。一方、層構造の安定性を保つための材料としては粘度が高い方が好ましく、その場合には、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−からなる基より選択されることが好ましく、特に、−CO−O−、−O−CO−が好ましい。
【0034】
一方、融点を低下させる効果を大きくするという点では、側鎖(R、R
11、R
12、R
21、R
22)の一方または両方に水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアルキルオキシカルボニルオキシ基を用いることが好ましい。
【0035】
Δnを大きくするのに適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式(LC−VI)
【0037】
(式中、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子、又はフッ素原子を表し、
該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
X
21〜X
24は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3を表し、
環A
1は各々独立にフェニレン基又はシクロヘキシレン基を示し、
Lは各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、Yの定義は式(LC−IV)におけるのと同じであり、
a
1は0、1又は2を表し、b
1及びc
1は0、1又は2の整数を表し、a
1+b
1+c
1の合計は1又は2を表し、a
1=1のときc
1=0であり、c
1=1のときa
1=0である)で表される液晶性化合物が好ましい。
【0038】
上記一般式(LC−I)〜(LC−VI)におけるYは、好ましくは、各々独立に単結合又は炭素原子数1〜7のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、各々独立に単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、より好ましくは、各々独立に単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。 TFT駆動に適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式(LC−VII)
【0040】
(式中、e
1は0又は1を表し、X
21〜X
26は各々独立に水素原子又はフッ素原子基を表すが、e
1が0のときX
21〜X
24の少なくとも1つはフッ素原子で、e
1が1のときX
21〜X
26の少なくとも1つはフッ素原子であり、
R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の1つの−CH
2−基が−O−で置き換えられてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
L
25は単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
環Aはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表す。)で表される液晶性化合物が特に好ましい。
【0041】
本発明の液晶表示装置における強誘電性液晶組成物に用いられる液晶性化合物は、上記の(LC−0)、(LC−I)〜(LC−III)、(LC−IV)、(LC−V)、(LC−VI)、(LC−VII)等のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
【0042】
本発明の液晶表示装置における強誘電性液晶組成物は、キラル化合物を含有してもよい。
キラル化合物としては、不斉原子をもつ化合物、軸不斉をもつ化合物、面不斉をもつ化合物のいずれでもよく、該キラル化合物は重合性基を有していても、重合性基を有していなくてもよく、該キラル化合物は1種又は2種以上用いてもよい。
これらのキラル化合物としては不斉原子をもつ化合物又は軸不斉をもつ化合物が好ましく、不斉原子をもつ化合物が特に好ましい。不斉原子をもつ化合物において、不斉原子は不斉炭素原子であると立体反転が起こりにくく好ましいが、ヘテロ原子が不斉原子となっていてもよい。不斉原子は鎖状構造の一部に導入されていても、環状構造の一部に導入されていてもよい。螺旋誘起力が強いことを特に要求される場合には軸不斉をもつ化合物が好ましい。
【0043】
不斉原子をもつ化合物としては、側鎖部分に不斉炭素を持つ化合物、環構造部分に不斉炭素を持つ化合物及びその両方を持つ化合物が挙げられる。具体的には一般式(Ch−I)で表される化合物が挙げられる。
【0045】
R
100およびR
101は互いに独立して、水素原子、シアノ基、NO
2、ハロゲン、OCN、SCN、SF
5、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基又は環構造を含むキラルな基を表すが、該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないCH
2基は互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−または−C≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は互いに独立して、ハロゲン又はシアノ基によって置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖状であっても、分岐していても又は環構造を含んでいてもよい。
【0046】
キラルなアルキル基としては、以下の式(R
a)〜(Rk)が好ましい。
【0050】
R
3及びR
5は、各々独立に炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、又は水素原子を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはシアノ基で置き換えられていてもよく、重合性基をもっていてもよい。重合性基としては、下記の式(R−1)〜(R−15)で表される構造が好ましい。
【0052】
これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)がより好ましい。環構造を含むキラルな基において環構造は芳香族であっても脂肪族であってもよい。アルキル基が取り得る環構造としては単環構造、縮合環構造またはスピロ(spirocyclic)環構造をとることができ、また1個または2個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0053】
また、X
3及びX
4は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、フェニル基(該フェニル基の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF
3、−OCF
3で置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、−CF
3、又は−OCF
3であることが好ましい。ただし、一般式(Rc)及び(Rh)において、アステリスク*を付した位置が不斉原子となるためには、X
4はX
3と異なる基が選択される。
【0054】
また、n
3は0〜20の整数であり、n
4は0または1であり、
一般式(Rd)及び(Ri)におけるR
5は、水素原子又はメチル基が好ましく、
一般式(Re)及び(Rj)におけるQは、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基などの二価の炭化水素基が挙げられ、
一般式(Rk)におけるkは、0〜5の整数であり、
より好ましくは、R
3=C
4H
9,C
6H
13,C
8H
17などの炭素原子数4〜8の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基が挙げられる。また、X
3としては、F、CF
3、CH
3が好ましい。
中でも特に、
【0056】
(式中、oは0または1であり、nは2〜12、好ましくは3〜8、より好ましくは4、5または6の整数であり、アステリスク*は、キラルな炭素原子を表す。)が好ましい。
【0057】
Z
100及びZ
101は互いに独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−N(R
a)−、−N(R
a)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R
a)−又は−N(R
a)−CO−におけるR
aは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表すが、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CF
2−、−CF=CF−、−COO−、−OCO−、−CH
2−CH
2−、−C≡C−又は単結合であるのが好ましい。
【0058】
A
100及びA
101は互いに独立して、
(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は互いに独立して−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい。)又は
(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これら(c)群の基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は互いに独立して−O−又は−S−に置き換えられてもよく、これら(c)群の基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は窒素原子に置き換えられてもよい。)からなる群より選ばれる基を表すが、これらの全ての基は、非置換であるか、ハロゲン、シアノ基、NO
2又は、1個若しくは2個以上の水素原子がF若しくはClにより置換されていてもよい炭素原子数1〜7個のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル若しくはアルコキシカルボニル基で一置換若しくは多置換されていてよい。
【0059】
一般式(Ch−I)におけるA
100及びA
101は、1,4−フェニレン又はトランス−1,4−シクロヘキシレンが好ましいが、これらの環が、非置換であるか、あるいは1〜4位において、F、Cl、CNあるいは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニルで置換されているのが好ましい。
【0060】
n
11は0又は1を表し、n
11が0のとき、m
12は0であり、かつm
11は0、1、2、3、4又は5であり、n
11が1のとき、m
11とm
12は各々独立に0、1、2、3、4または5であり、n
11が0のとき、R
100およびR
101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基、重合性基または環構造を含むキラルな基である。
n
11及びm
12が0のとき、m
11は1、2又は3であるのが好ましく、n
11が1のとき、m
11及びm
12は各々独立に1、2又は3であるのが好ましい。
Dは、式(D1)〜(D3)
【0062】
(式中、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルキル基またはアルコキシ基の水素原子は任意にフッ素原子に置換されていてもよく、また該アルキル基またはアルコキシ基中のメチレン基は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−または−C≡C−により、酸素原子または硫黄原子が互いに直接結合しないように置換されていてもよい。)で表される。)で表される置換基である。
【0063】
一般式(Ch−I)における部分構造、−(A
100−Z
100)m
11−(D)n
11−(Z
101−A
101)m
12−においてn
11が0である場合には、該部分構造は以下の構造が好ましい。
【0066】
(但し、これらの式においてベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF
3、−OCF
3で置換されていてもよく、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の炭素原子は、窒素原子に置換されていてもよく、これらの置換基および窒素原子の導入は結晶性の低下および誘電異方性の向きや大きさを制御するのに好ましい。Zの定義は式(Ch−I)におけるZ
100及びZ
101と同じである。)が挙げられる。信頼性の面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環よりもベンゼン環やシクロヘキサン環の方が好ましい。誘電率異方性を大きくするという面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物を使うことが良いが、その場合には化合物の持つ分極性が比較的大きく、結晶性を低下させ液晶性を安定化するために好ましく、ベンゼン環やシクロヘキサン環等の炭化水素環である場合には、化合物の持つ分極性が低い。このため、キラル化合物の分極性に応じて、適切な含有量を選択することが好ましい。
【0067】
n
11及びm
12が0のとき、一般式(Ch−I)で表される化合物の好ましい形態は、以下のようである。
【0073】
式中、R
100、R
101及びZ
100は、一般式(Ch−I)におけるR
100、R
101及びZ
100と同じ意味を表し、R
100及びR
101の少なくとも一つはキラルな基を表し、L
100〜L
105は各々独立に水素原子又はフッ素原子を表す。
n
11が1を表すとき、一般式(Ch−I)で表される化合物は環構造部分に不斉炭素を持つ構造となるが、キラルな構造Dは式(D2)が好ましい。
【0074】
Dが式(D2)を表す場合の一般式(Ch−I)で表される化合物は、具体的には以下の式(D2−1)〜(D2−8)
【0077】
(R
dは各々独立して、炭素数3〜10のアルキルであり、このアルキル中の環に隣接する−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH
2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよい。)で表される化合物が好ましい。
【0078】
軸不斉化合物としては、一般式(IV−d4)、(IV−d5)、(IV−c1)及び(IV−c2)で表される化合物が好ましい。ここで軸不斉の軸は、(IV−d4)、(IV−d5)、(IV−c2)の場合、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合であり、(IV−c1)の場合、2つのベンゼン環を結ぶ単結合である。
【0081】
一般式(IV−d4)及び(IV−d5)中、R
71及びR
72は各々独立に、水素、ハロゲン、シアノ(CN)基、イソシアネート(NCO)基、イソチオシナネート(NCS)基又は炭素数1〜20のアルキル基を表すが、このアルキル基中の任意の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、
A
71及びA
72は各々独立に、芳香族性あるいは非芳香族性の3、6ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表すが、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素原子数1〜3のアルキル基又はハロアルキル基で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH
2−は−O−、−S−、又は−NH−で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、
Z
71及びZ
72は各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すが、任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、
X
71及びX
72は各々独立に単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、又は−CH
2CH
2−を表し、
m
71及びm
72は各々独立に1〜4の整数を表す。ただし、一般式(IV−d5)におけるm
71及びm
72のいずれか一方は0でもよい。
R
kは、水素原子、ハロゲン原子、または−X
71−(A
71−Z
71)−R
71と同じ意味を表す。
【0082】
一般式(IV−c1)及び(IV−c2)中、X
61とY
61、X
62とY
62は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X
61、X
62、Y
61、Y
62は、各々独立にCH
2、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。また、N、P、B、Siである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合されていてもよい。
【0083】
E
61及びE
62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。
【0084】
また、一般式(IV−c1)において、R
61及びR
62は、各々独立に、アルキル基、アルコキシル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基を表し、
R
63、R
64、R
65、R
66、R
67及びR
68は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、又はジアルキルアミノ基を示し、R
63、R
64及びR
65のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖、又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよく、R
66、R
67及びR
68のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖、又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよい。
ただし、R
65とR
66が共に水素原子の場合は除く。
螺旋誘起力が強いことを特に要求される場合には一般式(IV−d4)及び(IV−d5)、で表される化合物が特に好ましい。
【0085】
軸不斉化合物は、具体的には以下の式(E−1)〜(E−3)
【0087】
(R
eは独立して、炭素原子数3〜10のアルキル基であり、このアルキル基中の環に隣接する−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH
2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよい。)で表される化合物が好ましい。ここで軸不斉の軸は、(E−1)、(E−2)、(E−3)の場合、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合である。
【0088】
面不斉化合物としては、例えば下記に示すヘリセン(Helicene)誘導体
【0090】
(式中、X
61とY
61、X
62とY
62は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X
61、X
62、Y
61、Y
62は、各々独立にCH
2、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。また、N、P、B、Siである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合されていてもよい。
E
61及びE
62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。)
が好ましい。このようなヘリセン誘導体においては、前後に重なり合う環の前後関係が自由に変換することができないため、環が右向きの螺旋構造をとる場合と左向きの螺旋構造をとる場合とが区別され、キラリティーを発現する。
【0091】
本発明の液晶表示装置における強誘電性液晶組成物は、重合性化合物を1種又は2種以上含有してもよい。重合性化合物としては、シクロヘキサン骨格やベンゼン骨格等の環構造(メソゲン性支持基)を有する重合性化合物及びメソゲン性支持基を有しない化合物を用いることができる。
【0092】
メソゲン性支持基を有する重合性化合物としては、一般式(PC1)
【0094】
(式中、P
1は重合性基を表し、Sp
1は炭素原子数0〜20のスペーサー基を表し、Q
1は単結合、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CO−、−OCOO−、−NH−、−NHCOO−、−OCONH−、−OCOCH
2−、−CH
2OCO−、−COOCH
2−、−CH
2COO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−CH=CCH
3−COO−、−COO−CCH
3=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−C≡C−、−CF
2O−及び−OCF
2−を表し、n
11、n
12は各々独立に1、2又は3を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、
R
10は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜25のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−より置き換えられていても良く、あるいはR
10はP
2−Sp
2−Q
2−(式中、P
2、Sp
2、Q
2はそれぞれ独立してP
1、Sp
1、Q
1と同じ意味を表す。)を表す。)で表される重合性化合物であるのが好ましい。
【0095】
一般式(PC1)においてMGが以下の構造
【0097】
(式中、C
1〜C
3はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン2,7−ジイル基又はフルオレン2,7−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン2,7−ジイル基及びフルオレン2,7−ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、−CONH−、−NHCO−又は単結合を表し、n
13は0、1又は2を表す。)で表されるのが好ましく、
Sp
1及びSp
2がそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキレン基を表すのが好ましく、該アルキレン基に存在する1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ独立してハロゲン原子、シアノ基、メチル基又はエチル基により置換されていても良く、この基中に存在する1つ又は2つ以上のCH
2基は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良く、P
1及びP
2がそれぞれ独立して以下の式(R−1)〜一般式(R−15)
【0099】
で表される構造であるのが好ましい。これらの重合基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)がより好ましい。
メソゲン性支持基を有する一般式(PC1)で表される重合性化合物は、重合性基を分子内に1個有する一般式(PC1)−0を取り得る。
【0101】
式中、R
11は水素原子又はメチル基を表し、6員環T
1、T
2及びT
3はそれぞれ独立的に、
【0103】
のいずれか(ただしmは1から4の整数を表す。)を表し、n
14は0又は1の整数を表し、
Y
0、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して単結合、−O−、−OCH
2−、−OCH
2−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CO−、−OCOO−、−NH−、−NHCOO−、−OCONH−、−OCOCH
2−、−CH
2OCO−、−COOCH
2−、−CH
2COO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−CH=CCH
3−COO−、−COO−CCH
3=CH−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−C≡C−、−CF
2O−及び−OCF
2−を表し、Y
3は単結合、−O−、−COO−、又は−OCO−を表し、
R
12は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数1から20のアルケニル基、炭素原子数1から20のアルコキシ基、又は炭素原子数1から20の炭化水素基を表す。
【0104】
メソゲン性支持基を有する一般式(PC1)で表される重合性化合物は、重合性基を分子内に2個以上有する一般式(PC1)−1又は一般式(PC1)−2を取り得る。
【0106】
式中、P
1、Sp
1、Q
1、P
2、Sp
2、Q
2及びMGは一般式(PC1)と同じ意味を表し、n
3及びn
4はそれぞれ独立して1、2又は3を表す。
【0107】
一般式(PC1)−1としては、一般式(PC1)−3から一般式(PC1)−11
【0110】
(式中、P
1、P
2、Sp
1、Sp
2、Q
1及びQ
2は一般式(PC1)と同じ意味を表し、W
1はそれぞれ独立してF、CF
3、OCF
3、CH
3、OCH
3、炭素原子数2〜5のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、COOW
2、OCOW
2又はOCOOW
2を表し(式中、W
2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐鎖アルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表す。)、n
21はそれぞれ独立して1、2又は3を表し、n
22はそれぞれ独立して1、2又は3を表し、n
6はそれぞれ独立して0、1、2、3又は4を表し、同一環上におけるn
21+n
6及びn
22+n
6は5以下である。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の重合性化合物であるのが好ましい。
【0111】
一般式(PC1)−3から一般式(PC1)−11においてSp
1、Sp
2、Q
1、及びQ
2は単結合であるのが好ましい。n
21+n
22は1〜3が好ましく、1又は2が好ましい。P
1及びP
2は式(R−1)又は(R−2)であるのが好ましい。W
1はF、CF
3、OCF
3、CH
3又はOCH
3であるのが好ましい。n
6は1、2、3又は4が好ましい。
【0112】
具体的には次に記載する化合物が好ましい。
【0114】
また、さらに上記(PC1−3a)〜(PC1−3i)のベンゼン環の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
【0115】
また、一般式(PC1)−1としては一般式(II−a)
【0117】
(式(II−a)中、R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
C
4及びC
5はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
Z
3及びZ
5はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z
4は、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−CH
2CH
2COO−、−OCOCH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−、−COO−又は−OCO−を表し、n
2は、0、1又は2を表す。ただし、n
2が2を表す場合、複数あるC
4及びZ
4は同じであっても異なっていても良い。)、及び一般式(II−b)
【0119】
(式(II−b)中、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
C
6は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
C
7はベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、
Z
6及びZ
8はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z
7は、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−CH
2CH
2COO−、−OCOCH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−、−COO−又は−OCO−を表し、n
3は、0、1又は2を表す。ただし、n
3が2を表す場合、複数あるC
6及びZ
7は同じであっても異なっていても良い。)からなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上の重合性化合物であるのも好ましい。
【0120】
一般式(II−a)で表される化合物としては、一般式(II−d)及び(II−e)
【0122】
(式(II−d)及び(II−e)中、m
1は、0又は1を表し、
Y
11及びY
12はそれぞれ独立して単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Y
13及びY
14はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、Y
15及びY
16はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、r及びsはそれぞれ独立して2〜14の整数を表す。式中に存在する1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)のいずれかで表される化合物を用いると、機械的強度や耐熱性に優れた光学異方体が得られるので好ましい。
【0123】
一般式(II−a)で表される化合物の具体例としては、以下の式(II−1)から(II−10)で表される化合物を挙げることができる。
【0125】
式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜14の整数を表す。
【0126】
また、一般式(II−d)及び(II−e)のいずれかで表される化合物の具体例としては、以下の式(II−11)〜(II−20)で表される化合物を挙げることができる。
【0128】
式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜14の整数を表す。
【0129】
メソゲン性支持基を有さない重合性化合物としては、一般式(PC2)
【0131】
(式中、Pは重合性基を表し、A
2は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
Z
a、Z
bは単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
A
3及びA
6はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から30のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
A
4及びA
7はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、kは0から40を表し、
B
1、B
2及びB
3は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い)、又は−A
8−P(式中、A
8は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB
1、B
2及びB
3のうち前記−A
8−Pで表される基となるものの個数は0〜3個である。)で表される重合性化合物であることが好ましく、一般式(PC2)で表されるものの中で、主鎖長やアルキル側鎖長の異なるものを複数含有させても良い。
【0132】
一般式(PC2)で表される重合性化合物の好ましい構造として、下記一般式(PC2)−1
【0134】
(式中、Pは重合性基を表し、A
12及びA
18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていても良い。)を表し、
A
13及びA
16はそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表し、
A
14及びA
17はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)を表し、
A
15は炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)を表す。)で表される化合物、一般式(PC2)−2
【0136】
(式中、Pは重合性基を表し、aは、6〜22の整数を表す。)で表される化合物、一般式(PC2)−3
【0138】
(式中、Pは重合性基を表し、b及びcはそれぞれ独立して1〜10の整数を表し、dは1〜10の整数を表し、eは0〜6の整数を表す。)で表される化合物、及び一般式(PC2)−4
【0140】
(式中、Pは重合性基を表し、m,n,p及びqはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、式(PC2)−1で表される化合物を含むことが好ましい。
【0141】
重合性基Pとしては、以下の式(R−1)〜一般式(R−15)
【0143】
を取り得るが、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)がより好ましい。更に、式(R−1)が重合速度がより速くなる点で特に好ましい。
【0144】
A
12及びA
18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基であることが好ましい。二つの重合性基間距離は、A
12及びA
18とA
15とで独立的にそれぞれ炭素数の長さを変えて調整することができる。一般式(PC2)−1で表される化合物の特徴は、重合性官能基間の距離(架橋点間の距離)が長いことであるが、この距離があまりに長いと重合速度が極端に遅くなって相分離に悪い影響が出てくるため、重合性官能基間距離には上限がある。一方、A
13及びA
16の二つの側鎖間距離も主鎖の運動性に影響がある。すなわちA
13及びA
16の間の距離が短いと側鎖A
13及びA
16がお互いに干渉するようになり、運動性の低下をきたす。従って、一般式(PC2)−1で表される化合物において重合性官能基間距離はA
12、A
18、及びA
15の和で決まるが、このうちA
12とA
18を長くするよりはA
15を長くした方が好ましい。
一方、側鎖であるA
13,A
14,A
16,A
17においては、これらの側鎖の長さが次のような態様を有することが好ましい。
【0145】
一般式(PC2)−1において、A
13とA
14は主鎖の同じ炭素原子に結合しているが、これらの長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA
13と呼ぶものとする(A
13の長さとA
14の長さが等しい場合は、いずれが一方をA
13とする)。同様に、A
16の長さとA
17の長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA
16と呼ぶものとする(A
16の長さとA
17の長さが等しい場合は、いずれが一方をA
16とする)。
【0146】
このようなA
13及びA
16は、本願においてはそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)とされているが、
好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数2から18の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数3から15の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
【0147】
側鎖は主鎖に比べて運動性が高いので、これが存在することは低温での高分子鎖の運動性向上に寄与するが、前述したように二つの側鎖間で空間的な干渉が起こる状況では逆に運動性が低下する。このような側鎖間での空間的な干渉を防ぐためには側鎖間距離を長くすること、及び、側鎖長を必要な範囲内で短くすることが有効である。
【0148】
さらにA
14及びA
17については、本願においてはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていても良い。)とされているが、好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から7のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から5のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、さらに好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
【0149】
このA
14及びA
17についても、その長さが長すぎることは側鎖間の空間的な干渉を誘起するため好ましくない。この一方でA
14及びA
17が短い長さを持ったアルキル鎖である場合、高い運動性を持った側鎖になり得ること、及び隣接する主鎖同士の接近を阻害する働きを有することが考えられ、高分子主鎖間の干渉を防ぐ作用があり主鎖の運動性を高めているものと考えられ、アンカリングエネルギーが低温で増加して行くことを抑制することができ、高分子安定化液晶光学素子の低温域における特性を改善する上で有効である。
二つの側鎖間に位置するA
15は、側鎖間距離を変える意味からも、架橋点間距離を広げてガラス転移温度を下げる意味からも、長い方が好ましい。しかしながらA
15が長すぎる場合は一般式(PC2)−1で表される化合物の分子量が大きくなりすぎ液晶組成物との相溶性が低下してくること、及び重合速度が遅くなりすぎて相分離に悪影響が出ること等の理由から自ずとその長さには上限が設定される。
【0150】
よって、本願発明においてA
15は、炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であることが好ましい。
すなわち、本願発明においてA
15のアルキレン鎖長は炭素原子数9から16であることが好ましい。A
15は構造上の特徴として、アルキレン基中の水素原子が炭素原子数1から10のアルキル基で置換された構造を有する。アルキル基の置換数は1個以上5個以下であるが、1個から3個が好ましく、2個又は3個置換されていることがより好ましい。置換するアルキル基の炭素原子数は、1個から5個が好ましく、1個から3個がより好ましい。
【0151】
例えば、一般式(PC2)−1において、A
14及びA
17が水素である化合物は、エポキシ基を複数有する化合物と、エポキシ基と反応し得る活性水素を有するアクリル酸やメタクリル酸等の重合性化合物とを反応させ、水酸基を有する重合性化合物を合成し、次に、飽和脂肪酸と反応させることにより得ることができる。
更に、複数のエポキシ基を有する化合物と飽和脂肪酸とを反応させ、水酸基を有する化合物を合成し、次に水酸基と反応し得る基を有するアクリル酸塩化物等の重合性化合物とを反応させることにより得ることができる。
またラジカル重合性化合物が、例えば、一般式(PC2)−1のA
14及びA
17がアルキル基であり、A
12及びA
18が炭素原子数1であるメチレン基である場合は、オキセタン基を複数有する化合物と、オキセタン基と反応し得る脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法や、オキセタン基を一つ有する化合物と、オキセタン基と反応し得る多価の脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法等により得ることができる。
また、一般式(PC2)−1のA
12及びA
18が炭素原子数3であるアルキレン基(プロピレン基;−CH
2CH
2CH
2−)の場合は、オキセタン基の代わりにフラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。更に、一般式(PC2)−1のA
12及びA
18が炭素原子数4であるアルキレン基(ブチレン基;−CH
2CH
2CH
2CH
2−)の場合は、オキセタン基の代わりにピラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。
【0152】
本発明の液晶表示装置における強誘電性液晶組成物に用いられる重合性化合物としては、上述のようなアキラルな物質に限らず、カイラルな物質を用いてもよい。カイラル性を示す光重合性化合物としては、例えば、下記の一般式(II−x)、又は(II−y)で表される重合性化合物を用いることができる。
【0154】
上記一般式(II−x)及び(II−y)において、Xは水素原子又はメチル基を表す。また、n
10は0又は1の整数を表し、n
11は、0、1又は2の整数を表す。ただし、n
11が2を表す場合、複数あるT
14及びY
14は同じであっても異なっていても良い。
また、6員環T
11,T
12,T
13,T
14は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基等の6員環構造を有する置換基を表す。ただし、6員環T
11,T
12,T
13は、これらの置換基にのみ限定されるものではなく、下記構造
【0156】
を有する置換基のうち、何れか一種の置換基を有していればよく、互いに同じであっても異なっていても構わない。なお、上記置換基において、mは1〜4の整数を示す。
【0157】
また、一般式(II−y)におけるT
15は、ベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基などの環式3価基を表す。
また、一般式(II−x)及び(II−y)におけるY
11、Y
12、及びY
14は、それぞれ独立して、炭素原子数が1〜10である直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基であり、この基中に存在する1個のCH
2基又は隣接していない2個のCH
2基は、−O−、−S−、−CO−O−又は−O−CO−により置き換えられていてもよく、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH=CHCH
2CH
2−、又は−CH
2CH
2CH=CH−を含んでいてもよい。また、不斉炭素原子を含んでいてもよく、含まなくても良い。すなわち、Y
11及びY
12は、上記したいずれかの構造を有していれば、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
また、Y
10及びY
13は、単結合、−O−、−OCO−、−COO−を表す。
Z
11は、不斉炭素原子を持ちかつ分枝鎖構造を含む炭素原子数3〜20のアルキレン基を表す。
Z
12は、炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、不斉炭素原子を含んでいてもよく、含まなくても良い。
【0158】
また、重合性化合物は下記一般式(PC1)−9で表される円盤状液晶化合物
【0160】
(式中、R
7はそれぞれ独立してP
1−Sp
1−Q
1又は一般式(PC1−e)の置換基を表し(式中、P
1、Sp
1及びQ
1は般式(PC1)と同じ意味を表し、R
81及びR
82はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R
83は炭素原子数1〜20アルコキシ基を表し、該アルコキシ基中の少なくとも1つの水素原子は前記式(R−1)〜(R−15)で表される置換基で置換されている。)であることも好ましい。
【0161】
これらの重合性化合物の使用量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
前記液晶組成物は前記用途に単独で使用することもでき、さらに酸化防止剤を1種又は2種以上含有することもでき、さらにUV吸収剤を1種又は2種以上含有することもできる。
【0162】
本発明の液晶表示装置における強誘電性液晶組成物が重合性化合物を含有する場合の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
【0163】
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
【0164】
強誘電性液晶組成物の応答速度の向上、配向安定性の向上、閾値電圧の低下、低温での応答速度低下の改善、レイヤー構造の安定化等の目的として、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子等のナノ粒子を添加することもできる。有機粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシアクリレート、ジビニルベンゼン等のポリマー粒子が挙げられる。無機粒子としては、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の酸化物や、Au、Ag、Cu、Pd等の金属が挙げられる。有機粒子や無機粒子は、表面を他の材料でコーティングしたハイブリッド粒子であってもよく、無機粒子の表面を有機材料でコーティングした有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。無機粒子の表面に付与する有機物が液晶性を示すと、周囲の液晶分子が配向しやすくなり、好ましい。
【0165】
その他、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、非反応性のオリゴマーや無機充填剤、有機充填剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、シランカップリング剤等を適宜添加しても良い。また、二軸性化合物や、イオン及び極性化合物のトラップ材料等を含有するものとすることもできる。
【0166】
二軸性化合物において二軸性を示す分子構造としては、板状構造、円盤と棒を組み合わせた構造、半円版と棒を組み合わせた構造、バナナ型液晶などの折れ曲がった構造、Lateral connection(分子側鎖で連結した構造)などが好ましく、具体的な二軸性化合物としてはJ. Mater. Chem., 2010, 20, 4263、The Chemical Record, Vol. 4, 10 (2004)などの文献に記載されている化合物などが挙げられる。
TFT駆動での信頼性を高めるためには、イオン性化合物や極性化合物を含有せず液晶組成物の純度が高いことが好ましく、強誘電性液晶組成物は不純物等を除去したり、又は比抵抗値を更に高くしたりする目的で、シリカ、アルミナ等による精製処理を施しても良い。強誘電性液晶組成物の比抵抗値としては、THTで駆動するためには、10
11Ω・cm以上が好ましく、10
12Ω・cm以上がより好ましく、10
13Ω・cm以上がより好ましく、10
14Ω・cm以上が最も好ましい。また、液晶組成物中に不純物として存在するカチオンの影響を防止する方法として、クラウンエーテル、ポダンド、コロナンド、又はクリプタンド等のカチオン包接化合物を添加することもできる。
【0167】
比抵抗の他に強誘電性液晶組成物の純度を示す指標として電圧保持率が90%以上となることが好ましく、より好ましくは95%以上が好ましく、98%以上が特に好ましい。電圧保持率を高めるためには、強誘電性液晶組成物に使用される化合物の中にエステル結合、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環などの極性の高い構造を含まないことが好ましく、具体的には(LC−I)、(LC−III)、(LC−Ia)、(LC−IIIa)、(LC−V)、(LC−VII)を用いることが好ましく、これらの化合物が組成物中に占める含有量は50%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、98%以上であることが好ましく、100%が最も好ましい。使用するキラル化合物においてもエステル結合を含有するよりはエーテル結合を含有した構造が好ましい。強誘電性液晶組成物の保持率が不足している場合には、TFTに補助容量を付与して駆動させることが好ましい。
液晶表示素子を製造する工程において、液晶を配向欠陥無く基板間に充填するためには、ネマチック相、あるいはキラルネマチック相を示すことが好ましい。キラルネマチック相の場合は、螺旋ピッチは発散していることが好ましい。あるいは、キラルネマチック相の螺旋ピッチをなるべく長くすることも配向性を高めるために好ましい。キラルネマチック相の螺旋ピッチを発散、あるいは螺旋ピッチを長くするためには、掌性が異なる2種類以上の複数のキラル化合物を組み合わせ用いて、ピッチをキャンセルすることにより螺旋ピッチを発散、あるいは螺旋ピッチを長くするのがよい。また、このようなピッチキャンセルを行わなくても十分良い配向が得られるようなキラル化合物を選ぶことも好ましい。また、温度によるピッチの変化を抑制する添加剤を加えることも好ましい。良好な配向を得る目的では、キラルネマチック相の温度範囲はなるべく広い方が好ましく、5℃以上が好ましく、10℃以上が好ましく、15℃以上が好ましく、20℃以上が好ましい。
【0168】
液晶を配向欠陥無く基板間に充填させるためには、ネマチック相あるいはキラルネマチック相からスメクチックA相に転移する相系列を有することが好ましい。この場合、ネマチック相より高温側にブルー相(BP)、TGB相等の他の相を発現してもよい。ネマチック相からスメクチックA相に転移する相系列を有する例として、等方性液体−キラルネマチック相−スメクチックA相−キラルスメクチックC相(ISO−N
*−SmA−SmC
*)が最も好ましい。
【0169】
液晶組成物のチルト角を大きくする観点からは、SmC
*相へ相転移する場合は、二次転移よりも一次転移にできるかぎり近いことが好ましい。このためには、SmAを示す温度範囲が狭いことが好ましく、10℃以下が好ましく、5℃以下が好ましく、2℃以下が好ましく、1℃以下が好ましい。チルト角を大きくするためには、一次転移によってSmC
*になることが最も好ましい。一次転移する具体例としては、INC(ISO−N
*−SmC
*)又はIC(ISO−SmC
*)の相系列が挙げられる。
また、チルト角を大きくするためには、SmC
*の上限温度は高いことが好ましく、50℃以上が好ましく、60℃以上が好ましく、70℃以上が好ましく、80℃以上が好ましい。
螺旋ピッチ、自発分極を調整する目的で、掌性、螺旋ピッチが異なる2種類以上の複数のキラル化合物を組み合わせ用いて螺旋ピッチを調整すること、自発分極の向き、または自発分極の大きさが異なる2種類以上のキラル化合物を組み合わせて自発分極を調整することも好ましい。その場合は、キラルスメクチックC相に転移した際に、自発分極がキャンセルしないように同一の符号をもつものを選ぶか、あるいは、自発分極の符号が逆であっても、自発分極の大きなものと、小さなものの組み合わせで、差し引き十分な自発分極が得られるようにすることが好ましく、目的とする螺旋ピッチと自発分極の大きさに応じて、キラルネマチック相あるいはキラルスメクチックC相の螺旋の向き、自発分極の向きを考慮して2つ以上のキラルを適切に組み合わせることが好ましい。
【0170】
低温環境下でも液晶光学素子の性能を維持できるようにするため、強誘電性液晶組成物が低温保存安定性を有することが好ましい。強誘電性液晶組成物の低温保存安定性は、0℃以下、24時間以上の環境でSmC
*を維持することが好ましく、より好ましくは−20℃以下、500時間以上、さらに好ましくは−30℃以下、700時間以上の環境でSmC
*を維持することが好ましい。
【0171】
(カラーフィルタ)
本発明におけるカラーフィルタは、ブラックマトリックス及び少なくともRGB三色画素部から構成されるが、RGB三色画素部は、色材として、B画素部中に下記一般式(1)
【0173】
(式中、R
1〜R
6は各々独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R
1〜R
6が置換基を有していてもよいアルキル基を表す場合、隣接するR
1とR
2、R
3とR
4、R
5とR
6が結合して環構造を形成してもよい。X
1及びX
2は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を示す。Z
−は(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6で表され、y=0、1、2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、(SiMoW
11O
40)
4−/4であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンから選ばれる少なくとも一種のアニオンである。1分子中に複数の式(1)が含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。)で表されるトリアリールメタン顔料を含有する。また、RGB三色画素部は、色材として、R画素部中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、G画素部中にハロゲン化金属フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのが好ましい。
【0174】
(G画素部)
G画素部中には、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのが好ましい。ハロゲン化金属フタロシニアン顔料としては、Al、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn及びPbからなる群から選ばれる金属を中心金属として有するハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、その中心金属が三価の場合には、その中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているか、又はオキソ又はチオ架橋しており、その中心金属が四価金属の場合には、その中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているハロゲン化金属フタロシアニン顔料が好ましい。該ハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、次の2つの群のハロゲン化金属フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0175】
(第一群)
Al、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn及びPbからなる群から選ばれる金属を中心金属として有し、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、その中心金属が三価の場合には、その中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基(−SO3H)のいずれかが結合しており、中心金属が四価金属の場合には、その中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
【0176】
(第二群)
Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO2−)からなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
該ハロゲン化金属フタロシアニン顔料において、ベンゼン環に結合するハロゲン原子は、全て同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。また、ひとつのベンゼン環に異なるハロゲン原子が結合していてもよい。
【0177】
ここで、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子のうち9〜15個の臭素原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、黄味を帯びた明るい緑色を呈し、カラーフィルタの緑色画素部への使用に最適である。該ハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、水や有機溶媒に不溶または難溶である。該ハロゲン化金属フタロシアニン顔料には、後述する仕上げ処理が行われていない顔料(粗顔料とも呼ばれる)も、仕上げ処理が行われた顔料も、いずれも包含される。
前記第一群および第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、下記一般式(PIG−1)で表すことが出来る。
【0179】
第一群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において、次の通りである。
一般式(PIG−1)において、X
1〜X
16は、水素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。ひとつのベンゼン環に結合した4個のXの原子は同一でも異なっていても良い。4個のベンゼン環に結合したX
1〜X
16のうち、8〜16個は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。Mは中心金属を表す。後述するY及びそれの個数mが同一であるハロゲン化金属フタロシアニン顔料の範囲において、16個のX
1〜X
16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8未満の顔料は青色であり、同様に16個のX
1〜X
16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8以上の顔料で前記合計値が大きいほど黄味が強くなる。中心金属Mに結合するYはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子、酸素原子、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる一価原子団であり、mは中心金属Mに結合するYの数を表し、0〜2の整数である。
【0180】
中心金属Mの原子価により、mの値が決定される。中心金属Mが、Al、Sc、Ga、Y、Inの様に原子価が3価の場合、m=1であり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の一つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Si、Ti、V、Ge、Zr、Snの様に原子価が4価の場合は、m=2であり、酸素の一つが中心金属に結合するか、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の二つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Zr、Sn、Pbの様に原子価が2価の場合は、Yは存在しない。
また、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において次の通りである。
前記一般式(PIG−1)において、X
1〜X
16については、前記定義と同義であり、中心金属MはAl、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を表し、mは1を表す。Yは次の原子団を表す。
【0182】
なお、原子団Yの化学構造中、中心金属Mは前記した定義と同義であり、X
17〜X
32については、一般式(PIG−1)において前記したX
1〜X
16の定義と同義である。Aは、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO2−)からなる群から選ばれる二価原子団を表す。一般式(PIG−1)中のMと原子団YのMとは、二価原子団Aを介して結合していることを表す。
即ち、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、ハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これらが前記二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体である。
【0183】
一般式(PIG−1)で表わされるハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、具体的には、次の(1)〜(4)が挙げられる。
(1) ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、ハロゲン化錫フタロシアニン顔料、ハロゲン化ニッケルフタロシアニン顔料、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の様な、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、Zr、Sn及びPbからなる群から選ばれる二価金属を中心金属として有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。なお、この中で、塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、C.I.Pigment Green 58であり、特に好ましい。
(2) ハロゲン化クロロアルミニウムフタロシアニンの様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属として有し、中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(3) ハロゲン化オキシチタニウムフタロシアニン、ハロゲン化オキシバナジウムフタロシアニンの様な、Si、Ti、V、Ge、Zr及びSnからなる群から選ばれる四価金属を中心金属として有し、中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(4) ハロゲン化されたμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体、ハロゲン化されたμ−チオ−アルミニウムフタロシアニン二量体の様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
【0184】
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、具体的には、C.I.Pigment Green 7、同36及び同58から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Green 36及び同58から選ばれる1種又は2種がより好ましい。フタロシアニン系緑色染料としては、具体的には、C.I.Solvent Green 4、同5、同7及び同28から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。フタロシアニン系青色染料としては、具体的には、C.I.Solvent Blue 4、同5、同25、同35、同36、同38、同58、同59、同67及び同70から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Blue 25、同38、同67及び同70から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。アゾ系黄色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Yellow 2、同4、同14、同16、同18、同21、同56、同72、同124、同162及び同163から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Yellow 82及び同162から選ばれる1種又は2種がより好ましい。
【0185】
(R画素部)
R画素部中には、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を含有するのが好ましい。ジケトピロロピロール顔料としては、具体的にはC.I.Pigment Red 254、同255、同264、同272、Orange 71及び同73から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Red 254、同255、同264及び同272から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、C.I.Pigment Red 254が特に好ましい。アニオン性赤色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Red 124、Acid Red 52及び同289から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、C.I.Solvent Red 124が特に好ましい。
【0186】
(B画素部)
B画素部中には、下記一般式(1)
【0188】
(式中、R
1〜R
6は各々独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R
1〜R
6が置換基を有していてもよいアルキル基を表す場合、隣接するR
1とR
2、R
3とR
4、R
5とR
6が結合して環構造を形成してもよい。X
1及びX
2は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を示す。Z
−は(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6で表され、y=0、1、2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、(SiMoW
11O
40)
4−/4であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンから選ばれる少なくとも一種のアニオンである。1分子中に複数の式(1)が含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。)で表されるトリアリールメタン顔料を含有する。
【0189】
一般式(1)において、R
1〜R
6は同一でも異なるものであってもよい。従って、−NRR(RRは、R
1R
2、R
3R
4、及びR
5R
6のいずれかの組み合わせを表す。)基は対称であっても非対称であってもよい。
【0190】
隣接するR(RはR
1〜R
6のいずれかを表す。)が結合して環を形成する場合、これらはヘテロ原子で架橋された環であってもよい。この環の具体例として、例えば以下のものが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。
【0192】
又、R
1〜R
6は、化学的安定性の点から、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。
【0193】
中でも、R
1〜R
6は、各々独立して水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基のいずれかであることがより好ましい。
【0194】
R
1〜R
6は、アルキル基又はアリール基を示す場合、該アルキル基又はアリール基は更に任意の置換基を有していてもよい。そのアルキル基又はアリール基が更に有していてもよい任意の置換基としては、例えば、下記[置換基群Y]が挙げられる。
【0195】
[置換基群Y]
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など炭素原子数1〜8のアルコキシ基;アミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アセチルアミノ基など置換基を有していてもよいアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;等が挙げられる。
【0196】
R
1〜R
6としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基が更に好ましく、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2‐エチルヘキシル基など無置換のアルキル基;2‐メトキシエチル基、2‐エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2‐アセチルオキシエチル基等のアシルオキシ基;2‐シアノエチル基等のシアノアルキル基;2,2,2‐トリフルオロエチル基、4,4,4‐トリフルオロブチル基等のフルオロアルキル基、などが挙げられる。
【0197】
X
1及びX
2は、上記アルキル基である場合、更に任意の置換基を有していてもよい。これらの置換基として、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、などが挙げられる。X
1及びX
2として、具体的には、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等のハロアルキル基;メトキシメチル基等のアルコキシアルキル基、などが挙げられる。
【0198】
X
1及びX
2としては、水素原子、メチル基、塩素原子又はトリフルオロメチル基などねじれに影響を与えない程度の適度な立体障害を有する置換基であることが好ましい。X
1及びX
2は、色調および耐熱性の点から水素原子、メチル基又は塩素原子であることが最も好ましい。
【0199】
Z
−は、(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6で表され、y=0、1、2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、(SiMoW
11O
40)
4−/4で表されるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンから選ばれる少なくとも一種のアニオンのトリアリールメタン化合物である。欠損ドーソン型リンタングステン酸として具体的には、耐久性の観点から1欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオン(P
2W
17O
61)
10−/10が好ましい。
【0200】
前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料の具体例としては、例えば、以下の表1〜7に記載した化合物があげられるが、本発明はその主旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
【0208】
前記RGB三色画素部は、色材として、R画素部中にC.I.Solvent Red 124を、G画素部中に、C.I.Solvent Blue 67とC.I.Solvent Yellow 82または同162との混合物を、B画素部中に前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料を含有するのが好ましい。
【0209】
また、前記RGB三色画素部は、色材として、R画素部中にC.I.Pigment Red 254を、G画素部中に、C.I.Pigment Green 7、同36及び同58から選ばれる1種又は2種以上を、B画素部中に前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料を含有するのも好ましい。
【0210】
前記RGB三色画素部は、色材として、R画素部中に更に、C.I.Pigment Red 177、同242、同166、同167、同179、C.I.Pigment Orange 38、同71、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Red 89、C.I.Solvent Orange 56、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33及び同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
【0211】
前記RGB三色画素部は、色材として、G画素部中に更に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1及び同33からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
【0212】
前記RGB三色画素部は、色材として、B画素部中に更にC.I.Pigment Violet 23、C.I.Basic Violet 10、C.I.Acid Blue 1、同90、同83、C.I.Direct Blue 86、C.I.Pigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4及び同15:6からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
【0213】
また、カラーフィルタが、ブラックマトリックスとRGB三色画素部とY画素部とから構成され、色材として、Y画素部に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Yellow 21、82、同83:1、同33及び同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色有機染顔料を含有するのも好ましい。
【0214】
カラーフィルタは、従来公知の方法でカラーフィルタ画素部を形成することができる。画素部の形成方法の代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
【0215】
R画素、G画素、B画素、必要に応じてY画素等の他の色の画素ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置にR画素、G画素、B画素、Y画素の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0216】
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
【0217】
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
【0218】
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルタが完成する。
【0219】
本発明のカラーフィルタ用色材は、本発明の液晶組成物と用いることで、液晶層の電圧保持率(VHR)の低下、イオン密度(ID)の増加を防止し、白抜け、配向むら、焼き付けなどの表示不良の問題を解決する液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0220】
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明のカラーフィルタ用染料及び/又は顔料組成物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルタの画素部を形成するための顔料分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
【0221】
ここで用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸プロピルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。
【0222】
ここで用いられる分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、LP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等の分散剤や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノール等のロジン誘導体等の、室温で液状かつ水不溶性の合成樹脂を含有させることが出来る。これら分散剤や、樹脂の添加は、フロッキュレーションの低減、顔料の分散安定性の向上、分散体の粘度特性を向上にも寄与する。
【0223】
また、分散助剤として、有機顔料誘導体の、例えば、フタルイミドメチル誘導体、同スルホン酸誘導体、同N−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、同N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体等も含有することも出来る。もちろん、これら誘導体は、異なる種類のものを二種以上併用することも出来る。
【0224】
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
【0225】
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
【0226】
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、BASF社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
【0227】
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0228】
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
【0229】
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明のカラーフィルタ用染料及び/又は顔料組成物100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、1〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記染顔料液を得ることができる。次いでこの顔料分散液に、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることができる。
【0230】
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ画素部の製造方法について詳記したが、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物を使用して調製されたカラーフィタ画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で各色画素部を形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
【0231】
(配向膜)
本発明の液晶表示装置において、第一の基板と、第二の基板上の液晶組成物と接する面には液晶組成物を配向させるため、配向膜を必要とする液晶表示装置においてはカラーフィルタと液晶層間に配置するものであるが、配向膜の膜厚が厚いものでも100nm以下と薄く、カラーフィルタを構成する顔料等の色素と液晶層を構成する液晶化合物との相互作用を完全に遮断するものでは無い。
又、配向膜を用いない液晶表示装置においては、カラーフィルタを構成する顔料等の色素と液晶層を構成する液晶化合物との相互作用はより大きくなる。
【0232】
配向膜材料としては、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ペンゾシクロブテンポリマー)、ポリビニルアルコールなどの透明性有機材料を用いることができ、特に、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフエニルメタンなどの脂肪族または脂環族ジアミン等のジアミン及びブタンテトラカルボン酸無水物や2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物から合成されるポリアミック酸をイミド化した、ポリイミド配向膜が好ましい。この場合の配向付与方法は、ラビングを用いることが一般的であるが、垂直配向膜等に使用する場合は配向を付与しないで使用することもできる。
【0233】
配向膜材料としては、カルコン、シンナメート、シンナモイル又はアゾ基等を化合物中に含む、材料を使用することができ、ポリイミド、ポリアミド等の材料と組み合わせて使用してもよく、この場合配向膜はラビングを用いてもよく光配向技術を用いてもよい。
【0234】
配向膜は、基板上に前記配向膜材料をスピンコート法などの方法により塗布して樹脂膜を形成することが一般的であるが、一軸延伸法、ラングミュア・ブロジェット法等を用いることもできる。
【0235】
(透明電極)
本発明の液晶表示装置において、透明電極の材料としては、導電性の金属酸化物を用いることができ、金属酸化物としては酸化インジウム(In
2O
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(In
2O
3―SnO
2)、酸化インジウム亜鉛(In
2O
3―ZnO)、酸化インジウム・ガリウム・亜鉛(IGZO)、ニオブ添加二酸化チタン(Ti
1-xNb
xO
2)、フッ素ドープ酸化スズ、グラフェン又は金属ナノワイヤー等が使用できるが、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(In
2O
3―SnO
2)、酸化インジウム・ガリウム・亜鉛(IGZO)、又は酸化インジウム亜鉛(In
2O
3―ZnO)が好ましい。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法やマスクを用いる方法などを使用することができる。
液晶表示装置はフレキシブル表示素子でもよく、その場合の電極基板は、プラスチック基板や薄膜ガラス基板等のフレキシブル基板を使用することが好ましい。電極としては、グラフェン(炭素の単原子層からなるシート)や有機半導体など、フレキシブルな電極材料を用いることが好ましい。
【0236】
有機TFTの構造は、トップコンタクト、ボトムコンタクトが好ましく、より好ましくはボトムゲート・ボトムコンタクト型が好ましく、中核となる有機半導体は、金属(Cu,Pb,Ni)フタロシアニン誘導体、金属ポルフィリン誘導体、ペンタセン誘導体、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、アントラジチオフェン誘導体、ヘキサベンゾコロネン誘導体、ルブレン誘導体などの多環芳香族化合物や、テトラシアノジキメタンなどの低分子化合物、ポリアセチレンやポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、ポリピロールなどのポリマー、ポリチオフェン誘導体、ペリレンテトラカルボキシルジイミド誘導体(PTCDI)、ペリレンテトラカルボン酸二無水物誘導体(PTCDA)、フッ素置換フタロシアニン誘導体、カーボンナノチューブ、ポリアニリン誘導体、グラフェン、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、クアテリレンテトラカルボニル化合物、フラーレン化合物、ヘテロ5員環化合物(オリゴチオフェン、TTF類縁体)などが好ましく、より好ましくはペンタセンが好ましい。またこれらの有機半導体にはドーピングすることが可能であり、ヨウ素をドーピングしたポリピロールや、ヨウ素をドープしたポリアセチレンなどが好ましい。有機半導体化合物の特性を向上させるためには、分子の配向性を高めることが好ましく、上記の化合物に液晶性を付与した有機半導体化合物を用いることが好ましい。これらの液晶性有機半導体化合物は、低分子系、高分子系、超分子系でもよく、電子やホールを輸送するためにはカラムナー構造やレイヤー構造をもつことが好ましい。
【0237】
グラフェン材料の製造は、トップダウンでもボトムアップでもよく、トップダウンでは、スコッチテープ法、Modified Hummers法、超臨界法でもよく、ボトムアップでは、熱CVD法、SiC上グラフェン成長法でもよく、グラフェンを利用したトランジスタの作製は、剥離・転写法、CVD・転写法、SiC表面熱分解法が好ましく、低温で製造する場合には、650℃と低い温度で絶縁基板上にグラフェンをCVD形成し、グラフェントランジスタを基板全面に直接形成する技術が好ましい(富士通研究所)。単層であり,かつキャリアのモビリティの高い大面積のグラフェンシートを得るためには、薄いCuフィルム上にCVDによるグラフェン膜を作り、それを他の基板に転写する方法が好ましく、具体的には、直径8インチ以上の円筒形の石英チューブ内にCuフィルムを貼付け,その上でCVDを行い取り出し,ポリマーフィルムと密着させた後に剥がす(ロール・ツー・ロール方式)という手法が好ましい(X. Li et al.,Science,324, 1312−1314(2010))。
【0238】
ゲート電極には金,ソースとドレイン電極には白金/金を,ゲート絶縁膜とパッシベーション膜にはポリマー材料が好ましく、パッシベーション膜を除いた全ての層を形成した後に,ペンタセン膜を蒸着によって形成することがより好ましい。有機TFTの性能向上には,ペンタセンと有機ゲート絶縁膜および電極との界面を制御することが重要であり,有機絶縁膜中にシランカップリング剤を添加して撥水性とすることによって移動度を高めたり,ソース・ドレイン電極とペンタセンの間の接触抵抗を下げるために積層構造の電極とするなどの工夫を加えることが好ましい。有機TFTをトップエミッション構造の有機ELと高精細に集積化することが表示素子として好ましい。
【0239】
さらに、有機半導体を用いた表示素子の作製方法は、印刷方式(プリンタブルエレクトロニクス)が好ましく、印刷方式によって作製されたグラフェンのトランジスタを用いることが好ましい。フレキシブル表示素子に用いる印刷配線には、ナノ銀粒子、ナノ銅粒子などの金属ナノ粒子材料を用いることも好ましい。また、アモルファスシリコンを超える有機半導体を得る印刷方式としては、有機半導体を溶かしたインクと、有機半導体の結晶化を促すインクの2種類を交互に滴下する「ダブルショット」印刷法も好ましく、この場合の半導体インクには、C8−BTBT(ジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェン)が好ましい(Nature 475,364−367,21 July 2011)。
【0240】
液晶表示装置は、偏光方式、視差バリア方式、インテグラルイメージング方式等のスペース分割、分光方式やアナグリフ等の波長分割、FPSモード等により、3D表示を行うことも可能である。表示方式としては、表面安定化強誘電性液晶(SSFLC:Surface−stabilized FLC)、ねじれ螺旋(あるいは変形螺旋)強誘電性液晶(DHFLC:Distorted(or Deformed)Helix FLC)を利用することが可能で、DHFLCはレイヤーノーマル(本発明においてレイヤーノーマルとは強誘電性液晶組成物が形成するスメクチックレイヤー(層)に対しての法線と定義する)が基板に対して水平となる水平DHFLC、またはレイヤーノーマルが基板に対して垂直となる垂直DHFLCでもよく、基板表面または強誘電性液晶層を高分子安定化した表示方式でもよい。高分子安定化した表示方式としては、例えばPSV−FLC(Polymer stabilized V−shaped FLC)などが利用できる。
【0241】
液晶表示装置の部品削減(コスト削減)や外部回路との接続箇所が減少することによる耐振動性や耐衝撃性を向上させるためには、SOG(System on Glass)が好ましい。ガラス基板に載せる回路としては、ICやLSIとして供給されているDACやパワーアンプ、論理回路、マイクロプロセッサ、メモリを載せたもの、液晶制御回路や電源回路、入出力インターフェイス回路、信号処理回路、パワーアンプなどを、1つのガラス基板上に載せることでシステム化した周辺回路をガラス基板上に形成したものなどが好ましい。
【0242】
液晶表示装置の光源は、特に限定されるものではないが、低消費電力であることからLEDが好ましい。LEDは液晶表示装置の長辺よりも短辺に設置することが好ましく、LEDの設置は2辺よりは1辺が好ましく、さらに液晶表示装置の角のみに設置することがより好ましい。さらに消費電力を抑制するため、点滅制御(暗い領域の光量を下げたり消灯したりする技術)や、マルチフィールド駆動技術(駆動周波数を、動画を表示する場合と静止画を表示する場合とで区別する技術)、屋内と屋外あるいは夜間と昼間で光量のモード切り替えを行う技術、液晶表示装置のメモリー性を利用して駆動を一時停止する技術等を用いることが好ましい。また、反射型表示素子では、機器に光源を備えなくとも外部の照明(日光や室内光など)を利用できるため、好ましい。光源の光のロスを防ぐためには、導光板やプリズムシートを用いることが好ましい。導光板やプリズムシートは同盟樹脂を用いることが好ましく、透明樹脂としては、例えばメタクリル樹脂(PMMA等)、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0243】
コントラストの向上に関しては、点滅制御(暗い領域の光量を下げたり消灯したりする技術)や、開口率が50%以上である素子、高配向性の配向膜やアンチグレア膜を用いたり、フィールドシーケンシャル方式(カラーフィルタを用いずにRGB3色のLEDを、人間の目の時間的分解能以下の短時間で順次点灯させ、色を認識させるカラー化方式)を用いることが好ましい。開口率を高くするためには能動素子を小さくすることが好ましく、600cm
2/Vs以上の移動度の高い半導体を用いることで能動素子を小さくすることが好ましい。
高速応答性のためには、オーバードライブ機能(階調を表現する際の電圧を、立ち上がり時に高く、立ち下がり時は低くする)を用いることが好ましい。
【0244】
本発明の液晶表示装置は、タブレットPC用途に用いるタッチパネル表示素子にも用いることが可能で、その場合には耐衝撃性、耐振動性、撥水・撥油性、防汚性、耐指紋性を有することが好ましく、ATM(自動預金支払機)、自動販売機、自動券売機、トイレ用モニター、コピー機、公衆電話など不特定多数の人が利用する用途や医療・介護・乳幼児用途ではインフルエンザウイルス、ノロウイルス、RSウイルスなどのウイルスに対する耐ウイルス性、サルモネラ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに対する抗菌性を有することが好ましく、より好ましくは表示素子の殺菌などの洗浄で目的に対する耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性を有することが好ましく、倉庫、運輸・流通、製造、整備工場、工事現場、海洋調査、消防や警察、救命(レスキュー)、防災などの用途では防塵性、防水性、耐塩性、防爆性、耐放射線の性能を有することが好ましく、より好ましくは欧州防爆規格(ATEX Zone2 Category3)、防水防塵規格(IP65)、米軍用規格(MIL−STD−810F)を満たすことが好ましい。
【0245】
耐衝撃性は、コンクリート上での3フィート落下をクリアする表示素子に用いることが好ましく、表示素子のケースには耐衝撃性マグネシウム合金またはマルチレイヤマグネシウム合金を用いることが好ましく、耐衝撃性・耐振動性の確保のため、ストレージにはSSDを用いることが好ましい。直射日光の屋外でも視認性を高めるためには、Dual−Mode AllVue(TM)Xtremeテクノロジーを用いることが好ましい。
【0246】
汚れによる表示品質の低下を抑制するため、撥水・撥油性、防汚性、耐指紋性、消指紋性などを有するフィルムを使用することが好ましく、フィルムの基材材料としては透明基材フィルムが好ましく、透明基材フィルムを形成する樹脂材料として具体的には、ポリ(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)・ジアセチルセルロース・セロファン等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)・ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、6−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン・ポリ塩化ビニル・ポリイミド・ポリビニルアルコール・ポリカーボネート・エチレンビニルアルコール等の有機高分子、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン等の共重合系樹脂等が挙げられる。それらの中でも、汎用性などの観点からトリアセテートセルロース(TAC)系樹脂及びポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂が好ましい。
【0247】
耐擦傷性を高めるため、フィルムにハードコート性あるいは自己修復性塗膜を付与することが好ましい。ハードコート層形成用組成物に含まれる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができるが、表面硬度を向上させることを考慮すると、電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましい。
【0248】
電離放射線硬化性樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタンアクリレート等が挙げられる。また、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。上記のうち、表面硬度を向上させることを考慮すると、多官能(メタ)アクリルモノマーを用いることが好ましい。ここで、多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、2個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物が好ましい。その他には、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものや、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートおよびポリエーテルアクリレートなどが挙げられる。 また、メラミンやイソシアヌル酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いることができる。また、本発明の多官能(メタ)アクリルモノマーは、オリゴマーであっても構わない。市販されている多官能アクリル系モノマーとしては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム”シリーズなど)、ナガセケムテックス株式会社;(商品名“デナコール”シリーズなど)、新中村化学工業株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、DIC株式会社;(商品名“UNIDIC”シリーズなど)、東亜合成株式会社;(商品名“アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
【0249】
また、他の電離放射線硬化性樹脂としては、重合性基を有する含フッ素化合物が挙げられる。ハードコート層形成用組成物が重合性基を有する含フッ素化合物を含むことにより、そのハードコート層形成用組成物により形成されたハードコート層表面に防汚特性を付与することができる。重合性基を有しないフッ素系添加剤を用いる場合、添加剤がハードコート層表面に浮いて存在する状態となるため、布等で拭くことでハードコート表面から取り去られてしまうこととなる。このことから、一度布等で表面を拭取ってしまうと、防汚性が無くなるという欠点を有している。そこで、防汚特性を有するフッ素化合物に重合性基を持たせることで、ハードコート層形成時にフッ素系添加剤も合せて重合することとなり、布等で表面を拭いても防汚特性が維持されるという利点を有している重合性基を有する含フッ素化合物として、さらに好ましくは、この重合性基が(メタ)アクリレート基を有する化合物である。これは、多官能(メタ)アクリレートモノマーと共重合することも可能となり、電離放射線によるラジカル重合によって高硬度化が図れるためである。重合性基を有する含フッ素化合物として、さらに好ましくは、この重合性基が(メタ)アクリレート基を有する化合物である。これは、多官能(メタ)アクリレートモノマーと共重合することも可能となり、電離放射線によるラジカル重合によって高硬度化が図れるためである。このような重合性基を有する含フッ素化合物としては、オプツールDAC(ダイキン工業(株)製)、SUA1900L10、SUA1900L6(新中村化学(株)製)、UT3971(日本合成(株)製)、ディフェンサTF3001、ディフェンサTF3000、ディフェンサTF3028(大日本インキ(株)製)、ライトプロコートAFC3000(共栄社化学(株)製)、KNS5300(信越シリコーン(株)製)、UVHC1105、UVHC8550(GE東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。重合性基を有する含フッ素化合物の使用量は、ハードコート層形成用組成物の多官能(メタ)アクリルモノマーに対して、0.01重量%以上10重量%以下が適当である。0.01重量%よりも少ない場合は、十分な防汚特性を発現せず、表面エネルギーも20mN/mよりも大きい値を示し、10重量%を超える場合は、重合性モノマー、溶剤との相溶性が良くないために、塗液の白濁化、沈殿発生が起こってしまい、塗液・ハードコート層の欠陥発生などの不都合を招く場合がある。
【0250】
ハードコート層形成用組成物は、上記電離放射線硬化型樹脂の重合反応を開始するための光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、電離放射線を照射することで、ラジカルを発生し、電離放射線硬化型樹脂の重合反応を開始する。光ラジカル重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤の使用量は、ハードコート層形成用組成物の上記電離放射線硬化型樹脂に対して、0.01重量%以上10重量%以下が適当である。0.01重量%よりも少ない場合は電離放射線を照射した際に十分な硬化反応が進行せず、10重量%を超える場合はハードコート層下部まで十分に電離放射線が届かなくなってしまう。
【0251】
ハードコート層形成用組成物は、必要に応じて、上述した各成分の他にも、電離放射線による反応を損なわない範囲内で、ハードコート層の特性を改良するための改質剤や、ハードコートフィルムの製造時の熱重合や、ハードコート層形成用組成物の貯蔵時の暗反応を防止するための熱重合防止剤を含有してもよい。改質剤としては、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これら改質剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物の固形分100重量%中、0.01重量%以上5重量%以下が好ましい。熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−t−ブチルハイドロキノンなどが挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物の固形分100重量%中、0.005重量%以上0.05重量%以下が好ましい。
【0252】
また、ハードコート層形成用組成物は、ハードコート層に防眩性の機能を付与するために、各種粒子を含んでもよい。粒子としては、例えば、アクリル粒子、アクリルスチレン粒子、ポリスチレン粒子、ポリカーボネート粒子、メラミン粒子といった有機粒子や、シリカ粒子タルク、各種アルミノケイ酸塩、カオリンクレー、MgAlハイドロタルサイト、などの無機粒子から適宜選択される。上記粒子の平均粒子経としては、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、このときのハードコート層の平均膜厚は、2μm以上20μm以下であることが好ましい。粒子の平均粒子径が0.5μmに満たない場合、ハードコート層の表面に凹凸を形成することが困難となる。一方、粒子の平均粒子径が10μmを超えるような場合、得られるハードコートフィルムの質感が粗くなってしまい、高精細なディスプレイ表面に適さないハードコートフィルムとなってしまうことがある。また、ハードコート層の平均膜厚が2μmに満たない場合、ディスプレイ表面に設けられるだけの十分な耐擦傷性を得ることができなくなってしまうことがある。一方、ハードコート層の平均膜厚が20μmを超えるような場合、製造されるハードコートフィルムのカールの度合いが大きくなってしまい、取り扱いが困難となることがある。
【0253】
耐擦傷性の点では、自己修復機能をもつフィルムなどを付与することも好ましく、傷をつけてもフィルムの弾性によって自己修復することが好ましく、例えば「マジックフィルム」(サンクレスト)などが付与できる。
【0254】
抗ウイルス、抗菌性に対しては、光触媒やAg粒子を用いる手法が好ましく、光触媒は酸化チタンなどの無機粒子が好ましく、Ag粒子はナノ粒子であることがさらに好ましく、抗ウイルス性にはe
+(アースプラス)などのセラミックス複合材料で光分解能力をもつものが好ましく、これらの抗ウイルス、抗菌性を示すコーティングまたはフィルムは透明でない場合には表示部以外に付与することが好ましく、透明である場合には表示素子全体に付与することが好ましい。
【0255】
防指紋性に対しては、脂質をはじく性質をもった化合物をフィルム添加することが好ましく、パーフルオロポリエーテルアクリレート化合物などのフッ素置換あるいはパーフルオロ基をもつ化合物をフィルムに添加することが好ましい。あるいは「クリアタッチ」(日油化学)、消指紋(登録商標)Film(ツジデン)などの機能性フィルムを表示素子に付与することもできる。
【0256】
本発明の表示素子が具備する機能としては、3軸ジャイロ、加速度センサー、環境光センサー、Wi−Fi、3Gなどの携帯電話通信、デジタルコンパス、GPS機能を有することが好ましい。
【0257】
本発明の表示素子を用いたタブレットPCに用いるUPUとしては、低消費電力で発熱が少なく演算回数が多い方が好ましく、シングルコア、デュアルコアが好ましく、より好ましくは、クアッドコア、8−コア、16−コア、32−コア、64−コア、128−コア、256−コアが好ましい。
【0258】
また、本発明の表示素子は、エアコン、テレビ、洗濯機のパネル・計器、炊飯器のパネル・計器、コンポのパネル・計器、携帯型音楽プレーヤーのパネル・計器などの家電製品のパネル・計器、太陽電池のパネル・計器、燃料電池のパネル・計器、水力発電、風力発電などのパネル・計器、反応装置・攪拌装置・分散装置・乾燥装置・加熱装置・加圧装置・圧縮装置・破砕装置・遠心装置・延伸装置・フィルム作製装置・ディスプレイ作製装置・真空装置・ロケット・船舶・航空機・旋盤・UV照射装置・貼り合わせ装置・吸引装置・注入装置・振動装置などに使われるパネル・計器、バイク・原動機付自動車・自動車・ハイブリッド自動車・電機自動車のパネル・計器、介護用ロボットのパネル・計器、介護用ボディースーツのパネル・計器、地震、火災、水害、土砂崩れ、噴火、火砕流、土石流、ゲリラ豪雨、原子炉事故、原子炉事象などの災害時に使われるロボットまたは機械のパネル・計器、あるいは物理、化学、天文学、医学、病理学、生物学、生物化学、免疫学、気象学など各種の分析機器・観測機器・測定機器のパネル・計器などの表示に使用されることが好ましく、また、これら表示素子には通信機能を有することが好ましく、通信はWi−Fi、3G、第四世代通信、第五世代通信、第六世代通信などの無線LAN、高速通信網、電話回線、インターネット、ブルートゥース、赤外線によって行うことが好ましく、スマートグリッド、スマートシティ、スマートタウンなど、火力・原子力発電などの「集中型発電」と需要地の近くに分散配置して発電を行う「分散型発電」を最新のIT技術を駆使し効率的に管理する次世代送電システムなどをコントロールする機能をもつことが好ましく、火力発電、水力発電、原子力発電、風力発電、地熱発電、太陽電池発電、地熱発電、燃料電池発電、海流発電、波浪発電、圧電発電、再生可能エネルギーなどによって発電された電気と、この電気を使用して稼働する自動車、電車、工場、住宅、病院、学校、役所、照明、空調、機械、装置、家電製品などをいつでもどこでもコントロールするための情報末端として利用できることが好ましい。また、タブレットPC、電子書籍、電子教科書、電子カルテ、電子ノートなどに利用することも好ましく、これらの用途では指やペン入力など押圧力が加わるタッチパネル方式であることが最も好ましい。また、3Dディスプレイに使用されることが好ましい。
【0259】
本発明の表示素子は、デスクトップパソコンや、大中小型制御装置、自動販売装置など、据え置きタイプの表示素子に用いることができるが、この他にも、デジタルサイネージ(電子看板)、Point of purchase advertising(POP)、電子時刻表、電子掲示板、電子値札、電子黒板、計器表示などに利用することができ、表示面が片面、両面、sea−throughディスプレイでもよく、特に好ましくは指やペン入力など押圧力が加わるタッチパネル方式であることが最も好ましい。いつでもどこでも手軽に利用するためには、ノートパソコン、タブレットPCや携帯電話のような形態が好ましく、特に好ましくは、指やペン入力など押圧力が加わるタッチパネル方式である表示素子が最も好ましい。
【実施例】
【0260】
以下、実施例を挙げて本発明の最良の形態の一部を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
液晶組成物の物性として、以下のように表す。
d
gap:セルの第一基板と第二基板のギャップ(μm)
VHR :25℃における電圧保持率(%)
(セル厚3.5μmのセルに液晶組成物を注入し、5V印加、フレームタイム200ms、パルス幅1msの条件で測定した時の測定電圧と初期印加電圧との比を%で表した値。)
液晶表示装置の焼き付き評価は、表示エリア内に所定の固定パターンを1000時間表示させた後に、全画面均一な表示を行ったときの固定パターンの残像のレベルを目視にて以下の4段階評価で行った。
◎残像無し
○残像ごく僅かに有るも許容できるレベル
△残像有り許容できないレベル
×残像有りかなり劣悪
【0261】
[カラーフィルタの作成]
[着色組成物の調製]
[赤色染料着色組成物1]
赤色染料1(C.I.Solvent Red 124)10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し染料着色液を得た。 この染料着色液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色染料着色組成物1を得た。
【0262】
[赤色染料着色組成物2]
上記赤色染料着色組成物1の赤色染料1 10部に代え、赤色染料1(C.I.Solvent Red 124)8部と黄色染料1(C.I.Solvent Yellow 21)2部を用いて、上記と同様にして、赤色染料着色組成物2を得た。
【0263】
[赤色染料着色組成物3]
上記赤色染料着色組成物1の赤色染料1 10部に代え、赤色染料2(C.I.Solvent Red 1)10部を用いて、上記と同様にして、赤色染料着色組成物3を得た。
【0264】
[緑色染料着色組成物1]
上記赤色染料着色組成物1の赤色染料1 10部に代え、青色染料1(C.I.Solvent Blue 67)3部と黄色染料1(C.I.Solvent Yellow 162)7部を用いて、上記と同様にして、緑色染料着色組成物1を得た。
【0265】
[緑色染料着色組成物2]
上記緑色染料着色組成物1の黄色染料1 7部を、黄色染料1(C.I.Solvent Yellow 162)4部と黄色染料3(C.I.Solvent Yellow 82)3部に代えて、上記と同様にして、緑色染料着色組成物2を得た。
【0266】
[緑色染料着色組成物3]
上記緑色染料着色組成物1の青色染料1 3部と黄色染料1 7部に代え緑色染料1(C.I.Solvent Green 7)10部を用いて、上記と同様にして、緑色染料着色組成物3を得た。
【0267】
[青色染料着色組成物1]
上記赤色染料着色組成物1の赤色染料1 10部に代え、青色染料2(C.I.Solvent Blue 12)10部を用いて、上記と同様にして、青色染料着色組成物1を得た。
【0268】
[黄色染料着色組成物1]
上記赤色染料着色組成物1の赤色染料1 10部に代え、黄色染料1(C.I.Solvent Yellow 21)10部を用いて、上記と同様にして、黄色染料着色組成物1を得た。
【0269】
[黄色染料着色組成物2]
上記黄色染料着色組成物1の黄色染料1 10部に代え、黄色染料4(C.I.Solvent Yellow 2)10部を用いて、上記と同様にして、黄色染料着色組成物2を得た。
【0270】
[赤色顔料着色組成物1]
赤色顔料1(C.I.PigmentRed254、BASF社製「IRGAPHOR RED BT−CF」)10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)7.0部、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。 この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色顔料着色組成物1を得た。
【0271】
[赤色顔料着色組成物2]
上記赤色顔料着色組成物1の赤色顔料1 10部に代え、赤色顔料1 6部と赤色顔料2(C.I.Pigment Red 177 DIC株式会社製FASTOGEN SUPER RED ATY−TR)2部、黄色顔料2(C.I.Pigment Yellow 139)2部を用いて、上記と同様にして、赤色顔料着色組成物2を得た。
【0272】
[緑色顔料着色組成物1]
上記赤色顔料着色組成物1の赤色顔料1 10部に代え、緑色顔料1(C.I.Pigment Green 36、DIC株式会社製「FASTOGEN GREEN 2YK−CF」)6部と黄色顔料1(C.I.Pigment Yellow 150、BAYER社製FANCHON FAST YELLOW E4GN)4部を用いて、上記と同様にして、緑色顔料着色組成物1を得た。
【0273】
[緑色顔料着色組成物2]
上記緑色顔料着色組成物1の緑色顔料1 6部、黄色顔料1 4部に代え、緑色顔料2(C.I.Pigment Green 58、DIC株式会社製FASTOGEN GREEN A110)4部と黄色顔料3(C.I.Pigment YELLOW 138)6部を用いて、上記と同様にして、緑色顔料着色組成物2を得た。
【0274】
[青色顔料着色組成物1]
前記一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料(表1化合物No.2)1.80部、BYK―2164(ビックケミー社) 2.10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.10部、 0.3−0.4mmφセプルビーズをポリビンに入れ、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、顔料分散液を得た。この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP(ユニオンカーバイド社製)13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色顔料着色組成物1を得た。
【0275】
[青色顔料着色組成物2]
上記青色顔料着色組成物1のトリアリールメタン顔料に代え、一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料(表1化合物No.5)を用いて、上記と同様にして、青色顔料着色組成物2を得た。
【0276】
[青色顔料着色組成物3]
上記青色顔料着色組成物1のトリアリールメタン顔料に代え、一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料(表1化合物No.1)を用いて、上記と同様にして、青色顔料着色組成物3を得た。
【0277】
[青色顔料着色組成物4]
上記青色顔料着色組成物1のトリアリールメタン顔料に代え、一般式(1)で表されるトリアリールメタン顔料(表4化合物No.29)を用いて、上記と同様にして、青色顔料着色組成物4を得た。
【0278】
[黄色顔料着色組成物1]
上記赤色顔料着色組成物1の赤色顔料1 10部に代え、黄色顔料1(C.I.Pigment Yellow 150、LANXESS社製FANCHON FAST YELLOW E4GN)10部を用いて、上記と同様にして、黄色顔料着色組成物1を得た。
【0279】
[カラーフィルタの作製]
予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に、赤色着色組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。70℃で20分間乾燥の後、超高圧水銀ランプを備えた露光機にて紫外線をフォトマスクを介してストライプ状のパターン露光をした。アルカリ現像液にて90秒間スプレー現像、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、ストライプ状の着色層である赤色画素を透明基板上に形成した。
【0280】
次に、緑色着色組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布。乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。
次に、青色着色組成物についても同様にスピンコートにて膜厚2μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。これで、透明基板上に赤、緑、青の3色のストライプ状の画素を持つカラーフィルタが得られた。
必要に応じて、黄色着色組成物についても、同様にスピンコートにて膜厚2μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。これで、透明基板上に赤、緑、青、黄の4色のストライプ状の画素を持つカラーフィルタが得られた。
表8に示す染料着色組成物又は顔料着色組成物を用い、カラーフィルタ1〜4及び比較カラーフィルタ1を作成した。
【0281】
【表2】
【0282】
(実施例1〜4)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物1を真空注入法で注入し、実施例1〜4の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物1は、強誘電性液晶組成物LC−1a(65%)とキラル化合物(CH−1)(35%)とを配合して調製した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表9に示す。
【0283】
【化58】
【0284】
【化59】
【0285】
【表3】
【0286】
実施例1〜4の液晶表示装置は、高いVHR実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0287】
(実施例5〜8)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物2を真空注入法で注入し、実施例5〜8の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物2は、強誘電性液晶組成物LC−1(65%)とキラル化合物(CH−1)(35%)とを配合して調製した。液晶組成物2は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表10に示す。
【0288】
【化60】
【0289】
【表4】
【0290】
実施例5〜8の液晶表示装置は、高いVHR実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0291】
(実施例9〜12)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物3を真空注入法で注入し、実施例9〜12の液晶表示装置を作成した。液晶組成物3は、強誘電性液晶組成物LC−1a(90%)とキラル化合物(CH−1)(10%)とを配合して調製した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表11に示す。
【0292】
【表5】
【0293】
実施例9〜12の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0294】
(実施例13〜16)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物4を真空注入法で注入し、実施例13〜16の液晶表示装置を作成した。液晶組成物4は、強誘電性液晶組成物LC−1(90%)とキラル化合物(CH−1)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物4は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表12に示す。
【0295】
【表6】
【0296】
実施例13〜16の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0297】
(実施例17〜20)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に水平配向性の配向膜(配向膜RN−1199)を形成した後、d
gap=2.0μmの水平配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物5を真空注入法で注入し、実施例17〜20の液晶表示装置を作成した。液晶組成物5は、強誘電性液晶組成物LC−1a(95%)とキラル化合物(CH−1)(5%)とを配合して調製した。
【0298】
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表13に示す。
【0299】
【表7】
【0300】
実施例17〜20の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0301】
(実施例21〜24)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に水平配向性の配向膜(配向膜RN−1199)を形成した後、d
gap=2.0μmの水平配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物6を真空注入法で注入し、実施例21〜24の液晶表示装置を作成した。液晶組成物6は、強誘電性液晶組成物LC−1(95%)とキラル化合物(CH−1)(5%)とを配合して調製した。液晶組成物6は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表14に示す。
【0302】
【表8】
【0303】
実施例21〜24の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0304】
(比較例1〜3)
表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例1〜4と同様にして比較例1の液晶表示装置を作製した。また表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例9〜12と同様にして比較例2の液晶表示装置を作製した。さらに表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例17〜20と同様にして比較例3の液晶表示装置を作製した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表15に示す。
【0305】
【表9】
【0306】
比較例1〜3の液晶表示装置は、本願発明の液晶表示装置と比較して、VHRは低く、焼き付き評価においても残像の発生が認められ許容できるレベルではなかった。
【0307】
(比較例4〜7)
比較液晶組成物1を用いた以外は、実施例1〜4と同様にして比較例4〜7の液晶表示装置を作製した。
比較液晶組成物1は、強誘電性液晶組成物LC−2(65%)とキラル化合物(CH−1)(35%)とを配合して調製した。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表16に示す。
【0308】
【化61】
【0309】
【表10】
【0310】
比較例4〜7の液晶表示装置は、本願発明の液晶表示装置と比較して、VHRは低く、焼き付き評価においても残像の発生が認められ許容できるレベルではなかった。
【0311】
(実施例25〜28)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物7を真空注入法で注入し、実施例25〜28の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物7は、強誘電性液晶組成物LC−1a(90%)とキラル化合物(CH−2)(10%)とを配合して調製した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表17に示す。
【0312】
【表11】
【0313】
実施例25〜28の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0314】
(実施例29〜32)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物8を真空注入法で注入し、実施例29〜32の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物8は、強誘電性液晶組成物LC−1(90%)とキラル化合物(CH−2)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物8は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
【0315】
【化62】
【0316】
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表18に示す。
【0317】
【表12】
【0318】
実施例29〜32の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0319】
(実施例33〜36)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物9を真空注入法で注入し、実施例33〜36の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物9は、強誘電性液晶組成物LC−1a(合計90%)とキラル化合物(CH−3)(10%)とを配合して調製した。
【0320】
【化63】
【0321】
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表19に示す。
【0322】
【表13】
【0323】
実施例33〜36の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0324】
(実施例37〜40)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物10を真空注入法で注入し、実施例37〜40の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物10は、強誘電性液晶組成物LC−1(90%)とキラル化合物(CH−3)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物10は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表20に示す。
【0325】
【表14】
【0326】
実施例37〜40の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0327】
(実施例41〜44)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物11を真空注入法で注入した。
液晶組成物11は、液晶組成物1 96.94%と下記モノマー混合物1 3.06%とを配合して調製した。メタルハライドランプを光源とし、紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介して、紫外線の強度(365nm)5mW/cm
2の紫外線を液晶組成物11を挟持した液晶表示装置のカラーフィルタの形成していない第二の基板側より300秒間照射した。重合性化合物を重合させることにより、実施例41〜44の高分子分安定化液晶表示装置を作成した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表21に示す。
【0328】
【化64】
【0329】
【表15】
【0330】
実施例41〜44の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0331】
(実施例45〜48)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物12を真空注入法で注入した。
液晶組成物12は、液晶組成物3 96.94%と上記モノマー混合物1 3.06%とを配合して調製した。
メタルハライドランプを光源とし、紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介して、紫外線の強度(365nm)5mW/cm
2の紫外線を液晶組成物12を挟持した液晶表示装置のカラーフィルタの形成していない第二の基板側より300秒間照射した。重合性化合物を重合させることにより、実施例45〜48の高分子分安定化液晶表示装置を作成した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表22に示す。
【0332】
【表16】
【0333】
実施例45〜48の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0334】
(実施例49〜52)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(RN−1199)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物13を真空注入法で注入した。
液晶組成物13は、液晶組成物5 97.45%と下記モノマー混合物2 2.55%とを配合して調製した。±10V、1kHzの電界を印加しながら、メタルハライドランプを光源とし、紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介して、紫外線の強度(365nm)5mW/cm
2の紫外線を液晶組成物13を挟持した液晶表示装置のカラーフィルタの形成していない第二の基板側より300秒間照射した。重合性化合物を重合させることにより、実施例49〜52の高分子分安定化液晶表示装置を作成した。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表23に示す。
【0335】
【表17】
【0336】
実施例49〜52の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がなく、極めて良好な結果であった。
【0337】
【化65】
【0338】
(比較例8、9)
表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例25〜28と同様にして比較例8の液晶表示装置を作製した。
また、表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例33〜36と同様にして比較例9の液晶表示装置を作製した。
それぞれの液晶表示装置を製作した後、VHRを測定した。また、液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表24に示す。
【0339】
【表18】
【0340】
比較例8、9の液晶表示装置は、本願発明の液晶表示装置と比較して、VHRは低く、また、焼き付き評価においても残像の発生が認められ許容できるレベルではなかった。
【0341】
(実施例53〜56)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物14を真空注入法で注入し、実施例53〜56の液晶表示装置を作成した。液晶組成物14は、強誘電性液晶組成物LC−1a(45%)とLC−3(45%)とキラル化合物(CH−1)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物14は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表25に示す。
【0342】
【化66】
【0343】
【表19】
【0344】
実施例53〜56の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0345】
(実施例57〜60)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物15を真空注入法で注入し、実施例57〜60の液晶表示装置を作成した。液晶組成物15は、強誘電性液晶組成物LC−3(90%)とキラル化合物(CH−1)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物15は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表26に示す。
【0346】
【表20】
【0347】
実施例57〜60の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0348】
(実施例61〜64)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物16を真空注入法で注入し、実施例61〜64の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物16は、強誘電性液晶組成物LC−1a(45%)とLC−3(45%)とキラル化合物(CH−2)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物16は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表27に示す。
【0349】
【表21】
【0350】
実施例61〜64の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0351】
(実施例65〜68)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、ラビング処理を行い、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物17を真空注入法で注入し、実施例65〜68の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物17は、強誘電性液晶組成物LC−3(90%)とキラル化合物(CH−2)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物17は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表28に示す。
【0352】
【表22】
【0353】
実施例65〜68の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0354】
(実施例69〜72)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物18を真空注入法で注入し、実施例69〜72の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物18は、強誘電性液晶組成物LC−1a(45%)とLC−3(45%)とキラル化合物(CH−3)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物18は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表29に示す。
【0355】
【表23】
【0356】
実施例69〜72の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0357】
(実施例73〜76)
電極構造を第一及び第二の基板に作成したのち、第一の基板上に表8に示すカラーフィルタ1〜4を用いて、ストライプ状の画素を持つカラーフィルタを形成した。
各々の基板上に垂直配向性の配向膜(JALS−2096)を形成した後、d
gap=3.5μmの垂直配向FLCセルを作成した。この基板間に液晶組成物16を真空注入法で注入し、実施例73〜76の液晶表示装置を作成した。
液晶組成物19は、強誘電性液晶組成物LC−3(90%)とキラル化合物(CH−3)(10%)とを配合して調製した。液晶組成物19は、Iso−N
*−SmA−SmC
*の相系列を示した。
偏光顕微鏡で観察したところ、セルを回転させても完全な暗視野を維持し、変化が無く等方相と同等の黒さが得られており、配向欠陥による光抜けは観察されなかった。
得られた液晶表示装置のVHRを測定した。また、得られた液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表30に示す。
【0358】
【表24】
【0359】
実施例73〜76の液晶表示装置は、高いVHRを実現できた。また、焼き付き評価においても残像がないか、又はあってもごく僅かであり許容できるレベルであった。
【0360】
(比較例10〜12)
表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例41〜44と同様にして比較例10の液晶表示装置を作製した。
さらに、表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例45〜48と同様にして比較例11の液晶表示装置を作製した。
さらに、表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例49〜52と同様にして比較例12の液晶表示装置を作製した。
それぞれの液晶表示装置を製作した後、VHRを測定した。また、液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表31に示す。
【0361】
【表25】
【0362】
比較例10〜12の液晶表示装置は、本願発明の液晶表示装置と比較して、VHRは低く、また、焼き付き評価においても残像の発生が認められ許容できるレベルではなかった。
【0363】
(比較例13〜15)
表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例57〜60と同様にして比較例13の液晶表示装置を作製した。
さらに、表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例65〜68と同様にして比較例14の液晶表示装置を作製した。
さらに、表8に示す比較カラーフィルタ1を用いた以外は、実施例73〜76と同様にして比較例15の液晶表示装置を作製した。
それぞれの液晶表示装置を製作した後、VHRを測定した。また、液晶表示装置の焼き付き評価を行った。その結果を表32に示す。
【0364】
【表26】
【0365】
比較例13〜15の液晶表示装置は、本願発明の液晶表示装置と比較して、VHRは低く、また、焼き付き評価においても残像の発生が認められ許容できるレベルではなかった。
なお、LC−1a、LC−1、CH−1、CH−2、CH−3の式中で、C
4H
9、C
6H
13、C
6H
13、C
7H
15、C
8H
17、C
9H
19及びC
10H
21は、いずれも直鎖状のアルキル基を表す。