(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、基板貼り合わせ装置10の全体構成図である。基板貼り合わせ装置10は、2枚の基板90、90を貼り合わせて、貼り合わせ基板95を製造する。尚、基板貼り合わせ装置10が、一度に3枚以上の基板90を貼り合わせて、貼り合わせ基板95を製造してもよい。
【0011】
図1に示すように、基板貼り合わせ装置10は、大気環境部14と、真空環境部16と、制御部18とを備える。
【0012】
大気環境部14は、環境チャンバ12と、複数の基板カセット20と、基板ホルダラック22と、ロボットアーム24と、プリアライナ26と、アライナ28と、ロボットアーム30とを有する。環境チャンバ12は、大気環境部14を囲むように形成されている。
【0013】
基板カセット20は、基板貼り合わせ装置10において貼り合わされる基板90及び貼り合わせ基板95を収容する。基板貼り合わせ装置10によって貼り合わされる基板90は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されていてもよい。
【0014】
基板ホルダラック22は、重ね合わせ基板92及び貼り合わせ基板95を上下方向から保持する複数対の基板ホルダ94を収容する。尚、重ね合わせ基板92とは、貼り合わされる前の重ね合わされた一対の基板90のことである。基板ホルダ94は、基板90を静電吸着により保持する。
【0015】
ロボットアーム24は、基板カセット20に装填されている基板90をプリアライナ26に搬送する。ロボットアーム24は、プリアライナ26の基板90を、後述するアライナ28の移動ステージ38に載置された基板ホルダ94へと搬送する。ロボットアーム24は、貼り合わされた後、移動ステージ38まで搬送された貼り合わせ基板95を基板カセット20の何れかに搬送する。
【0016】
プリアライナ26は、アライナ28に基板90を装填する場合に、高精度であるがゆえに、狭いアライナ28の調整範囲にそれぞれの基板90が装填されるように、個々の基板90の位置を仮合わせする。これにより、アライナ28における基板90の位置決めが、迅速且つ正確にできる。
【0017】
アライナ28は、ロボットアーム24とロボットアーム30との間に配置されている。アライナ28は、枠体34と、固定ステージ36と、移動ステージ38と、一対のシャッタ40及びシャッタ42とを有する。
【0018】
枠体34は、固定ステージ36及び移動ステージ38を囲むように形成されている。枠体34の基板カセット20側の面と、真空環境部16側の面には、基板90、重ね合わせ基板92及び貼り合わせ基板95を搬入及び搬出可能に、開口が形成されている。
【0019】
固定ステージ36の下面は、基板90を保持した状態で、ロボットアーム30により移動ステージ38から搬送される基板ホルダ94を真空吸着する。
【0020】
移動ステージ38の上面は、基板90及び基板ホルダ94を真空吸着する。移動ステージ38は、枠体34の内部で水平方向及び鉛直方向に移動する。これにより、移動ステージ38が移動することによって、固定ステージ36に保持された基板90及び基板ホルダ94と、移動ステージ38に保持された基板90及び基板ホルダ94とが位置合わせされ、重ね合わされた状態で仮接合される。基板90と基板90は、接着剤によって仮接合してもよく、プラズマによって仮接合してもよい。尚、基板90と基板90は、単に重ね合わせただけでもよい。
【0021】
シャッタ40は、枠体34の基板カセット20側の開口を開閉する。シャッタ42は、枠体34の真空環境部16側の開口を開閉する。枠体34及びシャッタ40、42に囲まれた領域は、空気調整機等に連通されて、温度管理される。これにより、基板90と基板90との位置合わせの精度が向上する。
【0022】
ロボットアーム30は、基板ホルダラック22に収容されている基板ホルダ94を移動ステージ38へと搬送する。ロボットアーム30は、移動ステージ38上に載置され、基板90を保持する基板ホルダ94を、裏返して固定ステージ36へと搬送する。ロボットアーム30は、移動ステージ38によって位置合わせされた一対の基板90を含む基板ホルダ94を真空吸着して、真空環境部16へと搬送する。ロボットアーム30は、貼り合わせ基板95を真空環境部16から移動ステージ38へと搬送する。
【0023】
真空環境部16は、基板貼り合わせ装置10の貼り合わせ工程において、高温且つ真空状態に設定される。真空環境部16は、ロードロック室48と、一対のアクセスドア50及びゲートバルブ52と、ロボットアーム54と、3個の収容室55と、3個の加熱加圧装置56と、ロボットアーム58と、冷却室60とを備える。尚、加熱加圧装置56の個数は、3個に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0024】
ロードロック室48は、大気環境部14と真空環境部16とを連結する。ロードロック室48は、真空状態及び大気圧に設定できる。ロードロック室48の大気環境部14側及び真空環境部16側には、一対の基板ホルダ94に保持された一対の基板90を含む重ね合わせ基板92及び貼り合わせ基板95を搬送可能に開口が形成されている。
【0025】
アクセスドア50は、ロードロック室48の大気環境部14側の開口を開閉する。ゲートバルブ52は、ロードロック室48の真空環境部16側の開口を開閉する。ロボットアーム54は、ロボットアーム30によりロードロック室48に搬入された重ね合わせ基板92を何れかの加熱加圧装置56へと搬入する。
【0026】
収容室55は、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。収容室55は、重ね合わせ基板92及び貼り合わせ基板95を搬入及び搬出するために、ゲートバルブ57を開閉する。
【0027】
3個の加熱加圧装置56は、ロボットアーム54を中心として放射状に配置されている。加熱加圧装置56は、重ね合わせ基板92を挟みつつ加熱及び加圧して貼り合わせる。加熱加圧装置56は、ロードロック室48から搬入された重ね合わせ基板92を貼り合わせることができる。
【0028】
ロボットアーム58は、ロボットチャンバ53の中心に回動可能に配置されている。これにより、ロボットアーム58は、貼り合わせ基板95を加熱加圧装置56から冷却室60へと搬送できる。また、ロボットアーム58は、貼り合わせ基板95を冷却室60からロードロック室48へと搬送できる。
【0029】
冷却室60は、冷却機能を有する。これにより、冷却室60は、ロボットアーム58によって結合された高温の貼り合わせ基板95を冷却できる。冷却室60は、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。制御部18は、基板貼り合わせ装置10の全体の動作を制御する。
【0030】
図2から
図5は、基板貼り合わせ装置10による貼り合わせ基板95の貼り合せ工程を説明する図である。貼り合わせ工程では、まず、
図2に示すように、ロボットアーム30が、基板ホルダラック22から基板ホルダ94を移動ステージ38へと搬送する。ロボットアーム24は、基板カセット20の何れかからプリアライナ26を経由させて基板90を、移動ステージ38に載置された基板ホルダ94上に載置する。
【0031】
ロボットアーム30は、基板90を保持する基板ホルダ94を移動ステージ38から固定ステージ36へと裏返して搬送する。
図3に示すように、固定ステージ36は、基板90とともに基板ホルダ94をロボットアーム30から受け取った後、基板ホルダ94を真空吸着により保持する。
【0032】
次に、同様の動作によって、ロボットアーム30が移動ステージ38に基板ホルダ94を搬送した後、ロボットアーム24が移動ステージ38上の基板ホルダ94に基板90を搬送する。移動ステージ38は、基板90及び基板ホルダ94を保持しつつ、基板90及び基板ホルダ94を保持する固定ステージ36の下方へと移動する。これにより、移動ステージ38の基板90と、固定ステージ36の基板90とが互いに位置決めされる。
【0033】
次に、
図4に示すように、移動ステージ38が、上方へと移動して、移動ステージ38の基板90の上面と固定ステージ36の基板90の下面とが合わされる。この後、ロボットアーム30が、移動ステージ38上の重ね合わせ基板92をロードロック室48へと搬送する。この後、ロボットアーム54が、重ね合わせ基板92をロードロック室48から加熱加圧装置56へと搬入する。
【0034】
次に、貼り合わせ段階において、加熱加圧装置56は、重ね合わせ基板92を結合温度まで加熱した後、結合温度を維持しつつ、重ね合わせ基板92を上下方向から加圧する。これにより、重ね合わせ基板92の基板90、90が、貼り合わされて貼り合わせ基板95となる。この後、貼り合わせ基板95を、一定の温度まで冷却した後、ロボットアーム58が、貼り合わせ基板95を冷却室60へと搬入する。冷却室60は貼り合わせ基板95を更に冷却する。ロボットアーム58は冷却された貼り合わせ基板95を基板ホルダ94とともに、冷却室60からロードロック室48へと搬送する。
【0035】
次に、ロボットアーム30が、貼り合わせ基板95をロードロック室48から移動ステージ38へと搬送する。
図5に示すように、移動ステージ38上にて、ロボットアーム30により、貼り合わせ基板95が基板ホルダ94から分離される。この後、ロボットアーム24が、貼り合わせ基板95を基板カセット20の何れかに搬出する。これにより、基板貼り合わせ装置10による貼り合わせ工程が終了して、貼り合わせ基板95が完成する。この後、
図5に示す点線に沿って、貼り合わせ基板95が個片化されて積層半導体装置96が完成する。
【0036】
図6は、加熱加圧装置56の全体構造を示す正面図である。
図6に示すように、加熱加圧装置56は、床面側に配置される下部モジュール62と、天井側に配置される上部モジュール64とを有する。
【0037】
下部モジュール62は、昇降部66と、下部圧力制御部68と、下部加熱モジュール70と、下部トッププレート72とを有する。
【0038】
昇降部66は、一対の基板ホルダ94及び基板90とともに、下部加熱モジュール70、下部圧力制御部68及び下部トッププレート72を昇降させる。また、昇降部66は、上部モジュール64の下面に基板ホルダ94が接触した後、一対の基板90を加圧して貼り合わせる。
【0039】
下部圧力制御部68は、昇降部66によって加圧される基板90の加圧力のうち面方向の分布を制御する。
【0040】
下部加熱モジュール70は、下部圧力制御部68の上部に配置されている。下部加熱モジュール70は、一対の基板90を加熱または冷却可能に構成されている。
【0041】
下部トッププレート72は、下部加熱モジュール70の上面に配置されている。下部トッププレート72は、基板90よりも直径の大きい円板状に形成されている。下部トッププレート72の上面は、積層された一対の基板90を保持する。下部トッププレート72は、昇降部66によって往復移動される。
【0042】
上部モジュール64は、上部圧力制御部74と、上部加熱モジュール76と、上部トッププレート78とを有する。上部加熱モジュール76及び上部圧力制御部74は、それぞれ下部加熱モジュール70及び下部圧力制御部68と略同様の構成である。上部トッププレート78は、下部トッププレート72と対向する位置に配置され、下部トッププレート72との協働によって一対の基板90を加圧する。
【0043】
図7は、下部圧力制御部68及び下部加熱モジュール70の内部構造を示す断面図である。
図7に示すように、下部圧力制御部68は、中空加圧部102と、複数のロードセル104と、複数の支柱部106とを有する。
【0044】
中空加圧部102は、ゴムシート等により構成される袋状に形成されている。中空加圧部102の内部には、空気、水、オイル等の流体が充填されている。中空加圧部102の内部の流体の量は、供給管108を介して供給または排出される流体により調整される。これにより、中空加圧部102の上面は、平面、周縁部または中心部が突出した面等に変化させて、面方向の圧力分布を制御する。
【0045】
複数のロードセル104は、中空加圧部102の上面に設けられている。複数のロードセル104は、平面視において、下部トッププレート72の中心または中心軸を挟み対称に配置することが好ましい。ロードセル104は、中空加圧部102と支柱部106との間に作用する圧力を検出する。
【0046】
複数の支柱部106の上端は、後述するフレーム114に連結されている。複数の支柱部106の下端は、ロードセル104の上端部と連結されている。これにより、支柱部106は、中空加圧部102の上面の形状に対応して、フレーム114へと昇降部66の圧力を伝達する。
【0047】
下部加熱モジュール70は、複数の熱反射板110と、遮熱板112と、フレーム114と、下部ヒートブロック116、118、120と、複数の下流体管路122と、複数の下熱移動部123とを有する。下部ヒートブロック116、118、120と、複数の下流体管路122と、複数の下熱移動部123は、温調部100の構成の一部である。
【0048】
複数の熱反射板110は、板状であって、下部トッププレート72の上面と略平行に配置されている。複数の熱反射板110には、支柱部106を貫通させる貫通穴が形成されている。熱反射板110は、アルミニウム等の金属板によって形成される。熱反射板110の下部トッププレート72側の面には、下部トッププレート72の目標加熱温度近傍の輻射線の波長を反射する多層膜が形成されている。下部トッププレート72の目標加熱温度は、基板90を接合する場合、例えば400℃である。
【0049】
遮熱板112は、板状であって、下部トッププレート72の上面と略平行に配置されている。遮熱板112には、支柱部106を貫通させる貫通穴が形成されている。遮熱板112は、熱反射板110よりも上方であって、上下方向における支柱部106の中央部に配置されている。遮熱板112は、下部ヒートブロック116、118、120によって発生した熱の下方への伝達を遮断する。これにより、下部トッププレート72を挟み基板90と反対側の領域である、下部トッププレート72の下方の領域は、遮熱板112の上方の高温領域124と、遮熱板112の下方の低温領域126とに分割される。低温領域126は、高温領域124よりも低温であって、高温領域124よりも下部トッププレート72から離間している。
【0050】
フレーム114は、平面視において、下部トッププレート72と略同形状に形成されている。フレーム114は、複数の支柱部106の上端によって支持されている。
【0051】
下部ヒートブロック116、118、120は、加熱部の一例である。下部ヒートブロック116、118、120は、フレーム114の上面に配置されている。下部ヒートブロック116、118、120の上面には、下部トッププレート72が載置されている。各下部ヒートブロック116、118、120は、電熱ヒータ128を有する。下部ヒートブロック116、118、120は、電熱ヒータ128の加熱より生じた熱を下部トッププレート72へと伝達させる。
【0052】
複数の下流体管路122は、流体が流れる中空の管状に形成されている。流体の一例は、水である。複数の下流体管路122は、複数の下部ヒートブロック116、118、120の下面と間隔をあけて配置されている。下流体管路122は、下給排管130と連結されている。下流体管路122は、下給排管130を介して、流体が供給されるとともに、流体を排出する。
【0053】
下熱移動部123は、冷却部の一例である。複数の下熱移動部123は、各下部ヒートブロック116、118、120のいずれかの下面と下流体管路122との間に設けられている。これにより、下熱移動部123は、各下部ヒートブロック116、118、120と下流体管路122とを熱的に接続する。下熱移動部123の一例は、ペルチェ素子である。下熱移動部123は、下部ヒートブロック116、118、120と下流体管路122との間で熱を移動させる。例えば、基板90を冷却する場合、下熱移動部123は、下部ヒートブロック116、118、120から下流体管路122へと熱を移動させる。一方、基板90を加熱する場合、下流体管路122から下部ヒートブロック116、118、120へと熱を移動させる。
【0054】
図8は、下部加熱モジュール70の上面図である。
図8に示すように、下部ヒートブロック116は、円形状に形成されている。下部ヒートブロック116の中心は、下部トッププレート72の中心に合わせて配置されている。下部ヒートブロック118は、扇形状に形成されている。下部ヒートブロック118は、下部ヒートブロック116の外周側に配置されている。下部ヒートブロック120は、下部ヒートブロック118よりも半径の大きい扇形状に形成されている。下部ヒートブロック120は、下部ヒートブロック120の外周側に配置されている。下部ヒートブロック118、120の扇形の内周及び外周は、下部ヒートブロック116と同心の円弧に形成されている。それぞれの下部ヒートブロック116、118、120は、間隔をあけて配置されている。これにより、下部ヒートブロック116、118、120が加熱により膨張しても、互いが接触することを防止できる。
【0055】
各下流体管路122は、複数の下熱移動部123及び複数の下部ヒートブロック116、118、120の下方を通るように配置されている。
【0056】
各下熱移動部123は、下部ヒートブロック116、118、120のいずれかと対応付けて配置されている。ここで、下熱移動部123は、支柱部106と重複する個所においては、支柱部106を避けるように形成されている。尚、1個の下部ヒートブロック116、118、120に対して、複数の下熱移動部123を配置してもよい。
【0057】
図9は、温調部100の概略構成図である。温調部100は、加熱加圧装置56に配されて加圧されている複数の基板90の面方向における複数の領域のそれぞれにおいて、複数の基板90の間の温度差が予め定められた範囲になるように、複数の基板90の複数の領域のそれぞれを個別に加熱または冷却する。尚、複数の基板90間の温度差の予め定められた範囲は、少なくとも基板90の外周部分のバンプ同士が完全に外れる変形量(=バンプの径以上の大きさ)で基板90が変形しない温度範囲である。例えば、温度差の予め定められた範囲は、±5℃である。複数の領域の一例は、複数の下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144によって区切られた領域である。
図9に示すように、温調部100は、下部ヒートブロック116、118、120と、複数の下流体管路122と、複数の下熱移動部123と、下給排管130と、下ポンプ132と、下部流体冷却部134と、下部流体加熱部136と、加熱部の一例である上部ヒートブロック140、142、144と、複数の上流体管路146と、冷却部の一例である複数の上熱移動部148と、上給排管150と、上ポンプ152と、上部流体冷却部154と、上部流体加熱部156とを有する。
【0058】
下給排管130及び下流体管路122は、循環可能な環状に形成されている。尚、下給排管130及び下流体管路122の経路上に、流体を溜めるタンク等を設けてもよい。
【0059】
下ポンプ132は、下給排管130または下流体管路122の途中部に設けられている。下ポンプ132は、下給排管130及び下流体管路122に充填されている流体を循環させる。
【0060】
下部流体冷却部134は、下流体管路122を流れる流体を冷却する。下部流体加熱部136は、下流体管路122を流れる流体を加熱する。
【0061】
上部ヒートブロック140、142、144、複数の上流体管路146、複数の上熱移動部148、上給排管150、上ポンプ152、上部流体冷却部154及び上部流体加熱部156は、下部ヒートブロック116、118、120、複数の下流体管路122、複数の下熱移動部123、下給排管130、下ポンプ132、下部流体冷却部134及び下部流体加熱部136と同様の構成である。
【0062】
図10は、温調部100の制御系を説明するブロック図である。
図10に示すように、温調部100は、更に、複数の下温度センサ160と、複数の上温度センサ162と、温調制御部164とを有する。
【0063】
下温度センサ160には、熱電対型センサ、赤外線により温度を検出するパイロセンサ等を適用できる。下温度センサ160は、各下部ヒートブロック116、118、120に1個ずつ設けられている。下温度センサ160は、各下部ヒートブロック116、118、120により区切られた複数の領域の温度を検出して、検出した温度を温度情報として温調制御部164へと出力する。同様に、上温度センサ162は、各上部ヒートブロック140、142、144に1個ずつ設けられ、各上部ヒートブロック140、142、144のより区切られた複数の領域の温度情報を温調制御部164へと出力する。
【0064】
温調制御部164は、温調部100の制御全般を司る。温調制御部164は、制御部18が兼ねてもよい。温調制御部164は、下温度センサ160及び上温度センサ162から取得した温度情報に基づいて、平面視における同じ領域の複数の基板90間の温度差が予め定められた範囲であるか否かを判定する。具体的には、温調制御部164は、同じ領域の下温度センサ160により検出された温度と、上温度センサ162により検出された温度との差を算出して、温度差が予め定められた範囲であるか否かを判定する。温度差を判定する閾値の一例は、2℃以上である。温調制御部164は、温度情報及び温度差に基づいて、下部ヒートブロック116、118、120、上部ヒートブロック140、142、144、下熱移動部123、上熱移動部148を複数の領域のそれぞれに対応させて個別に制御して、基板90の複数の領域を個別に加熱及び冷却する。これにより、温調制御部164は、同じ領域の複数の基板90の間の温度差が予め定められた範囲となるようにして、温度差を小さくする。以下、温調制御部164による温調部100の加熱処理及び冷却処理について説明する。
【0065】
まず、加熱処理について説明する。温調制御部164は、複数の基板90を貼り合わせる場合に、複数の基板90を下部トッププレート72及び上部トッププレート78の間で加圧しつつ、加熱処理を実行する。
【0066】
加熱処理では、温調制御部164は、各下部ヒートブロック116、118、120及び各上部ヒートブロック140、142、144をオンにして、下部トッププレート72及び上部トッププレート78の間で加圧されている複数の基板90を加熱する。この後、温調制御部164は、下温度センサ160及び上温度センサ162から温度情報を取得して、同じ領域の複数の基板90間の温度差を検出する。温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲を超えていると判定すると領域ごとに、当該温度差が小さくなるように温度を調整する。
【0067】
例えば、温調制御部164は、温度差が生じている領域において、上側の基板90の温度が低いと判定すると、温度差が予め定められた範囲となるように、当該領域を加熱している下部ヒートブロック116、118、120の加熱温度を低くして、温度差を小さくする。
【0068】
また、別の方法として、温調制御部164は、下ポンプ132及び上ポンプ152を駆動させて流体を循環させた状態で、温度差が予め定められた範囲を超えている領域のうち、温度が高い方の下熱移動部123または上熱移動部148を駆動させる。例えば、温調制御部164は、上側の基板90の温度が高いと判定すると、上熱移動部148を駆動させる。これにより、温度差が予め定められた範囲を超えている領域において、温調制御部164は、温度の高い上側の基板90の熱を上熱移動部148により上流体管路146を流れる流体へと移動させる。この結果、温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲となるように、上側の基板90を冷却して、当該領域の温度差を小さくする。
【0069】
更に、別の方法として、温調制御部164は、下部流体加熱部136及び上部流体加熱部156を駆動させて流体を加熱しつつ、下ポンプ132及び上ポンプ152を駆動させて流体を循環させる。この状態で、温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲を超えている領域のうち、温度が低い方の下熱移動部123または上熱移動部148を駆動させる。例えば、下側の基板90の温度が低いと判定すると、下熱移動部123を駆動させる。これにより、温度差が予め定められた範囲を超えている領域において、温調制御部164は、下熱移動部123により、下流体管路122を流れる加熱された流体の熱を下側の基板90に移動させる。この結果、温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲となるように、下側の基板90を加熱して、当該領域の温度差を小さくする。
【0070】
尚、加熱処理において、温調制御部164は、同じ領域の複数の基板90間の温度差が予め定められた範囲を超えていないと判定した場合、全ての下熱移動部123及び上熱移動部148を駆動させて、下流体管路122及び上流体管路146の流体から各下部ヒートブロック116、118、120及び各上部ヒートブロック140、142、144へと熱を移動させてもよい。この場合、温調制御部164は、下部流体加熱部136及び上部流体加熱部156を駆動させて流体を加熱しつつ、下ポンプ132及び上ポンプ152を駆動させて、流体を下流体管路122及び上流体管路146内部で循環させることが好ましい。
【0071】
次に、冷却処理について説明する。温調制御部164は、複数の基板90を加圧及び加熱することによって貼り合わせた後に、冷却処理を実行する。尚、冷却処理は、複数の基板90が、下部トッププレート72及び上部トッププレート78の間で加圧された状態で実行される。
【0072】
冷却処理では、まず、温調制御部164は、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144をオフに切り替える。温調制御部164は、下部流体冷却部134及び上部流体冷却部154を駆動させて、流体を冷却するとともに、下ポンプ132及び上ポンプ152を駆動させて、流体を下流体管路122及び上流体管路146に循環させる。次に、温調制御部164は、下熱移動部123及び上熱移動部148を駆動させて、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144の熱を下流体管路122及び上流体管路146の流体へと移動させる。これにより、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144が冷却されることによって、基板90が冷却される。
【0073】
この状態で、温調制御部164は、下温度センサ160及び上温度センサ162から温度情報を取得して、同じ領域の複数の基板90間の温度差を検出する。温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲を超えていると判定すると領域ごとに温度を調整して、温度差を小さくする。
【0074】
例えば、温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲を超えている領域において、下の基板90の温度が低いと判定すると、下熱移動部123を停止させて、下の基板90から下流体管路122への熱の移動を停止する。これにより、温度差が予め定められた範囲を超えている領域において、温度の低い基板90の熱の移動が低減されるので、温度差が小さくなる。この後、温調制御部164は、同じ領域の複数の基板90間の温度差が予め定められた範囲を超えていないと判定すると、停止させた下熱移動部123または上熱移動部148の駆動を再開させる。
【0075】
また、温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲を超えている領域において、下の基板90の温度が低いと判定すると、温度差が予め定められた範囲を超えている領域の上部ヒートブロック140、142、144を駆動させて、温度差が予め定められた範囲となるように、上の基板90を加熱して、温度差を小さくしてもよい。
【0076】
上述したように、基板貼り合わせ装置10では、温調部100の温調制御部164が、同じ領域の複数の基板90間の温度差を検出すると、温度差が予め定められた範囲になるように、下部ヒートブロック116、118、120、上部ヒートブロック140、142、144、下熱移動部123、上熱移動部148を個別に制御する。これにより、当該温度差が小さくなるので、温度差により生じる基板90の伸縮量の差を低減できるので、複数の基板90間の剥離及び位置ずれ等に起因する破損を低減できる。
【0077】
上述した実施形態の構成の形状、配置、個数、機能、制御方法等は適宜変更してよい。
【0078】
例えば、温調制御部164が、温度差が予め定められた範囲となるように、領域ごとに圧力を制御することによって、温度差を小さくしてもよい。温調制御部164は、中空加圧部102の形状を制御することにより、領域ごとに圧力を制御できる。これにより、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144と、下部トッププレート72及び上部トッププレート78にとの間に作用する圧力が、面内で偏るので、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144と、下部トッププレート72及び上部トッププレート78との間で熱の伝達が偏る。この結果、温調制御部164は、温度差を低減できる。
【0079】
温調制御部164が、昇降部66を制御できるように構成してもよい。この場合、温調制御部164は、温度差が予め定められた範囲を超えている場合、複数の基板90間の圧力を低減させることにより、例えば、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144との間で生じている温度差に起因する複数の基板90間の温度差を低減することができる。
【0080】
上述の実施形態では、温調制御部164が、下熱移動部123及び上熱移動部148を駆動・停止で切り替える例を示したが、下熱移動部123及び上熱移動部148による熱の移動量を電圧によって制御するように構成してもよい。更に、温調制御部164は、下流体管路122及び上流体管路146に流れる流体によって、粗い温度の冷却を実行して、下熱移動部123及び上熱移動部148を制御する電圧によって、細かい温度の冷却を実行してもよい。
【0081】
上述の実施形態では、下流体管路122及び上流体管路146に流体を流したが、支柱部106に流体を流してもよい。この場合、支柱部106は、例えば、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144の内部にて互いに連結することが好ましい。
【0082】
また、上述の実施形態では、各下部ヒートブロック116、118、120及び各上部ヒートブロック140、142、144に1個ずつ下温度センサ160及び上温度センサ162を設けたが、各ヒートブロックに複数の温度センサを設けてもよい。
【0083】
上述の実施形態では、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144に電熱ヒータ128を設けたが、下部トッププレート72及び上部トッププレート78に電熱ヒータを更に設けてもよい。この場合、一方の電熱ヒータを補助的に使用することが好ましい。
【0084】
また、温調制御部164は、平面視における同じ領域の下温度センサ160及び上温度センサ162により検出された2つの温度の平均温度と等しくなるよう2つの温度を調整して、複数の基板90間の温度差を小さくしてもよい。この場合、温調制御部164は、下部ヒートブロック116、118、120及び上部ヒートブロック140、142、144のうち、平均温度よりも温度が低い側のヒートブロックをオン状態にして、温度差を小さくする。また、温調制御部164は、下熱移動部123及び上熱移動部148のうち、平均温度よりも温度が高い側の熱移動部を駆動させて、熱を流体に移動させることにより温度差を小さくしてもよい。更に、温調制御部164は、平均温度よりも温度が低い側の流体の流量を停止、流動のいずれかを適宜設定して、温度差を小さくしてもよい。
【0085】
上述の実施形態では、温調部100を加熱加圧装置56に設ける例を示したが、冷却室60に温調部100を設けてもよい。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0087】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。