(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液晶配向処理剤中に、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基及びシクロカーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を有する請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0029】
本発明は、液晶に熱や紫外線照射により重合する重合性化合物を混合した液晶材料を用いて、液晶層に電圧を印加しながらそれを重合させて得られるポリマーで、駆動時の液晶の配向方向を制御する方法により得られる液晶表示素子に用いる液晶配向処理剤、該液晶配向処理剤を用いて得られる液晶配向膜、更には、該液晶配向膜を有する液晶表示素子である。
【0030】
本発明における液晶配向処理剤は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド前駆体、及び、該ポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミドから選ばれる少なくとも1種(総称して重合体ともいわれる)を含有する。
【0031】
本発明の重合体、すなわち、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミドから選ばれる少なくとも1種は、下記の式[1]で示される側鎖(特定側鎖構造ともいわれる)を有する。
【0033】
(式[1]中、X
1は−O−、−CH
2O−、−COO−、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−OCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−又は単結合より選ばれる2価の有機基であり、X
2は単結合、又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)より選ばれる2価の有機基であり、X
3は単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−、又は−N(CH
3)CO−より選ばれる2価の有機基であり、X
4はベンゼン環、シクロへキシル環、又は複素環から選ばれる2価の環状基、又は、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基を示し、前記環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、又は炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子から選ばれるもので置換されていても良く、X
5はシクロへキシル環、ベンゼン環、又は複素環から選ばれる2価の環状基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子から選ばれるもので置換されていても良く、nは0〜4の整数であり、X
6は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基又は水素原子である)。
【0034】
本発明の特定側鎖構造は、側鎖部分にベンゼン環、シクロへキシル環、複素環から選ばれる環状基、又はステロイド骨格を有する。これにより、熱や紫外線照射による側鎖部分の安定性が向上する。そのため、側鎖成分の分解に伴う電圧保持率の低下が抑制される。よって、本発明の液晶配向処理剤を用いることによって、熱や紫外線照射においても、電圧保持率が低下しない液晶配向膜を得ることができ、この液晶配向膜を有する液晶表示素子は信頼性に優れたものとなる。
【0035】
<特定側鎖構造>
本発明の特定側鎖構造は、下記の式[1]で示される構造である。
【0037】
式[1]中、X
1は単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−、又は−N(CH
3)CO−より選ばれる2価の有機基である。なかでも、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CONH−、−CH
2O−、又は−COO−は、側鎖構造を合成しやすいので好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CONH−、−CH
2O−、又は−COO−である。更に好ましくは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、又は−COO−である。
【0038】
式[1]中、X
2は単結合、又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)より選ばれる2価の有機基である。なかでも、単結合、又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
【0039】
式[1]中、X
3は単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−、又は−N(CH
3)CO−より選ばれる2価の有機基である。なかでも、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−、又は−OCO−は、合成しやすいので好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−、又は−OCO−である。
【0040】
式[1]中、X
4はベンゼン環、シクロへキシル環、又は複素環から選ばれる2価の環状基、又は、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子から選ばれるもので置換されていても良い。なかでも、ベンゼン環、シクロへキシル環、すなわち、フェニレン基、シクロへキシレン基、又はステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基が好ましい。
【0041】
式[1]中、X
5はベンゼン環、シクロへキシル環、又は複素環から選ばれる2価の環状基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子から選ばれるもので置換されていても良い。なかでも、ベンゼン環、又はシクロへキシル環が好ましい。
【0042】
式[1]中、X
6は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。更に好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基、又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
【0043】
式[1]中、nは0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。
【0044】
式[1]におけるX
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、nの好ましい組み合わせは、下記の表1〜表42に示す1−1〜1−629の通りである。
【0087】
<特定ジアミン化合物>
本発明の重合体、すなわち、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミドから選ばれる少なくとも1種に特定側鎖構造を導入する方法としては、下記の式[1a]で示されるジアミン化合物(特定ジアミン化合物ともいわれる)を原料の一部に用いることが好ましい。
【0089】
式[1a]中、X
1は単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−、又は−N(CH
3)CO−より選ばれる2価の有機基である。なかでも、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CONH−、−CH
2O−、又は−COO−は、側鎖構造を合成しやすいので好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CONH−、−CH
2O−、又は−COO−である。更に好ましくは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、又は−COO−である。
【0090】
式[1a]中、X
2は単結合、又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)より選ばれる2価の有機基である。なかでも、単結合、又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
【0091】
式[1a]中、X
3は単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−NH−、−N(CH
3)−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CON(CH
3)−、又は−N(CH
3)CO−より選ばれる2価の有機基である。なかでも、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−、又は−OCO−は、合成しやすいので好ましい。より好ましくは、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−、又は−OCO−である。
【0092】
式[1a]中、X
4はベンゼン環、シクロへキシル環、又は複素環から選ばれる2価の環状基、又は、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子から選ばれるもので置換されていても良い。なかでも、ベンゼン環、シクロへキシル環又はステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基が好ましい。
【0093】
式[1a]中、X
5はベンゼン環、シクロへキシル環、又は複素環から選ばれる2価の環状基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子から選ばれるもので置換されていても良い。なかでも、ベンゼン環、又はシクロへキシル環が好ましい。
【0094】
式[1a]中、X
6は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。更に好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基、又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
【0095】
式[1a]中、nは0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。
【0096】
式[1a]におけるX
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、nの好ましい組み合わせは、式[1]と同様に、表1〜表42に示す通りである。
【0097】
式[1a]中、mは1〜4の整数である。好ましくは、1〜2の整数である。
【0098】
具体的には、例えば下記の式[1a−1]〜式[1a−32]で示される構造である。
【0100】
(式[1a−1]及び式[1a−2]中、R
1は、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−を示し、R
2は炭素数1以上22以下のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である)。
【0102】
(式[1a−3]〜式[1a−5]中、R
3は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、又は−CH
2−を示し、R
4は炭素数1以上22以下のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基、又はフッ素含有アルコキシ基である)。
【0104】
(式[1a−6]及び式[1a−7]中、R
5は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−、−O−、又は−NH−を示し、R
6はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である)。
【0106】
(式[1a−8]及び式[1a−9]中、R
7は、炭素数3以上12以下のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である)。
【0108】
(式[1a−10]及び式[1a−11]中、R
8は、炭素数3以上12以下のアルキル基であり、1,4-シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である)。
【0110】
(式[1a−12]中、A
4は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基であり、A
3は、1,4−シクロへキシレン基、又は1,4−フェニレン基であり、A
2は、酸素原子、又は−COO−*(ただし、「*」を付した結合手がA
3と結合する)であり、A
1は、酸素原子、又は−COO−*(ただし、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2と結合する)である。また、a
1は、0又は1の整数であり、a
2は2〜10の整数であり、a
3は0又は1の整数である)。
【0116】
<その他ジアミン化合物>
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定ジアミン化合物以外のその他のジアミン化合物を、ジアミン成分として併用することができる。その具体例を以下に挙げる。
【0117】
p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−(4−アミノフェノキシ)ドデカン、1,12−(3−アミノフェノキシ)ドデカンなどの芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミン。
【0118】
また、ジアミン側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基を有するジアミンを挙げることができ、具体的には、下記の式[DA1]〜式[DA12]で示されるジアミンを例示することができる。
【0120】
(式[DA1]〜式[DA5]中、A
1は、炭素数1以上22以下のアルキル基、又はフッ素含有アルキル基である)。
【0122】
(式[DA6]〜式[DA11]中、A
2は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−、又は−NH−を示し、A
3は炭素数1以上22以下のアルキル基、又はフッ素含有アルキル基を示す)。
【0124】
(式[DA12]中、pは1〜10の整数である)。
【0125】
上記その他ジアミン化合物は、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0126】
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明の重合体を得るためには、下記の式[2]で示されるテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二無水物ともいわれる)を原料の一部に用いることが好ましい。
【0128】
式[2]中、Y
1は炭素数4〜13の4価の有機基であり、かつ、炭素数4〜6の非芳香族環状炭化水素基を含有する。
【0129】
Y
1は、具体的には、例えば下記の式[2a]〜式[2j]で示される4価の基である。
【0131】
式[2a]中、Y
2〜Y
5は水素原子、メチル基、塩素原子、又はベンゼン環から選ばれる基であり、それぞれ、同じであっても異なっても良く、式[2g]中、Y
6及びY
7は水素原子、又はメチル基であり、それぞれ、同じであっても異なっても良い。
【0132】
式[2]中、Y
1の特に好ましい構造は、重合反応性や合成の容易さから、式[2a]、式[2c]、式[2d]、式[2e]、式[2f]、又は式[2g]である。
【0133】
<その他テトラカルボン酸二無水物>
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特定テトラカルボン酸二無水物以外のその他のテトラカルボン酸二無水物を併用することができる。その具体例は以下の化合物の二無水物である。
【0134】
ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸。
【0135】
上記その他テトラカルボン酸二無水物は、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0136】
<重合体>
本発明で用いる重合体は、上述したように、上記式[1]で示される特定側鎖構造を有するポリイミド前駆体や、該ポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られるポリイミドである。
【0137】
本発明の重合体を合成する方法は特に限定されないが、一般的なポリイミド前駆体(例えば、ポリアミド酸)又はポリイミドの合成方法と同様に、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法を用いることができる。その際、テトラカルボン酸又はテトラカルボン酸ジハライドなどのテトラカルボン酸誘導体を用いることもできる。
【0138】
本発明の重合体を得る際、ジアミン成分として、上記の式[1a]で示される特定ジアミン化合物を用いることが好ましい。
【0139】
本発明の重合体を用いて得られる液晶配向膜は、上記ジアミン成分における特定ジアミン化合物の含有割合が多くなるほど、熱や紫外線照射においても、電圧保持率が低下しない液晶配向膜を得ることができ、この液晶配向膜を有する液晶表示素子は信頼性に優れたものとなる。
【0140】
上記した特性を高める目的では、ジアミン成分の1モル%以上が特定ジアミン化合物であることが好ましい。更には、ジアミン成分の5モル%以上が特定ジアミン化合物であることが好ましく、より好ましくは10モル%以上である。また、ジアミン成分の100モル%が特定ジアミン化合物であってもよいが、液晶配向処理剤を塗布する際の均一塗布性の観点から、特定ジアミン化合物はジアミン成分の80モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下である。
【0141】
また、本発明の重合体を得るためには、テトラカルボン酸二無水物として上記の式[2]で示される特定テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。その際、テトラカルボン酸二無水物の1モル%以上が特定テトラカルボン酸二無水物であることが好ましい。更には、テトラカルボン酸二無水物の5モル%以上が特定テトラカルボン酸二無水物であることが好ましく、より好ましくは10モル%以上である。また、テトラカルボン酸二無水物の100モル%が特定テトラカルボン酸二無水物であってもよい。
【0142】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応により、本発明のポリイミド前駆体を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。一般的には、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる方法である。ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0143】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリイミド前駆体が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
【0144】
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどである。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリイミド前駆体を溶解させない溶媒であっても、生成したポリイミド前駆体が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリイミド前駆体を加水分解させる原因となるので、有機溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0145】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いても良い。また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
【0146】
その際の重合温度は−20℃〜150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5℃〜100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の共重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
【0147】
ポリイミド前駆体の重合反応においては、ジアミン成分の合成モル数とテトラカルボン酸二無水物の合計モル数の比は0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成するポリイミド前駆体の分子量は大きくなる。
【0148】
本発明のポリイミドは前記のポリイミド前駆体であるポリアミド酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
【0149】
本発明のポリイミドにおいて、アミド酸基の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
【0150】
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
【0151】
ポリイミド前駆体を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方が好ましい。
【0152】
ポリイミド前駆体の触媒イミド化は、ポリイミド前駆体の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
【0153】
ポリイミド前駆体又はポリイミドの反応溶液から、生成したポリイミド前駆体又はポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリマーは濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
【0154】
本発明の液晶配向処理剤に含有されるポリイミド前駆体又はポリイミドの分子量は、そこから得られる塗膜の強度及び、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
【0155】
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液である。ここで、前記の樹脂成分は、上記した本発明の重合体、すなわち、上記式[1]で示される特定側鎖構造を有するポリイミド前駆体及びポリイミドから選ばれる少なくとも一種の重合体を含む樹脂成分である。その際、樹脂成分の含有量は1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜15質量%、特に好ましくは3質量%〜10質量%である。
【0156】
本発明において、前記の樹脂成分は、全てが本発明の重合体であってもよく、本発明の重合体にそれ以外の他の重合体が混合されていてもよい。その際、樹脂成分中における本発明の重合体以外の含有量は0.5質量%〜15質量%、好ましくは1質量%〜10質量%である。
【0157】
かかる他の重合体としては、例えば、特定側鎖構造を有さないポリイミド前駆体又はポリイミドなどが挙げられる。
【0158】
本発明の液晶配向処理剤には、熱や紫外線照射においても、電圧保持率が低下しない液晶配向膜を得ることを目的に、重合体を架橋する化合物である架橋性化合物、具体的には、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、及びシクロカーボネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物や、重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を導入することが好ましい。なお、これら置換基や、重合性不飽和結合は、架橋性化合物中に、2個以上有する必要がある。
【0159】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えばビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノール等が挙げられる。
【0160】
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、下記の式[3]で示すオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【0162】
具体的には、下記の式[3a]〜式[3k]で示される架橋性化合物である。
【0166】
ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシル基又は低級アルコキシアルキル基を有するアミノ樹脂、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。なお、低級アルコキシアルキル基とは、例えば炭素数1〜4のアルコキシアルキル基である。
【0167】
この架橋性化合物は、例えば、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体及びベンゾグアナミン誘導体は二量体又は三量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0168】
このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル製)や、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド製)が挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル等、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
【0169】
ヒドロキシル基、又はアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物として、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
【0170】
より具体的には、下記の式[6−1]〜式[6−48]で示される架橋性化合物である。
【0176】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、さらに、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、加えて、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物が挙げられる。
【0177】
加えて、下記の式[4]で示される化合物を用いることもできる。
【0179】
(式[4]中、Z
1は、シクロヘキシル環、ビシクロヘキシル環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、又はフェナントレン環から選ばれるn価の基であり、Z
2は、下記の式[4a]、又は式[4b]から選ばれる基であり、nは1〜4の整数である)。
【0181】
上記化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の液晶配向処理剤に含有される架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
【0182】
本発明の液晶配向処理剤における、架橋性化合物の含有量は、ポリイミド前駆体又はポリイミドからなる上記本発明の重合体100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましく、架橋反応が進行し目的の効果を発現し、かつ液晶の配向性を低下させないために、より好ましくは0.1〜100質量部であり、特には、1〜50質量部である。
【0183】
本発明の液晶配向処理剤に用いる有機溶媒は、上述した樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドンや、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
【0184】
また、本発明の液晶配向処理剤には、貧溶媒が含まれることが好ましい。貧溶媒とは、液晶配向処理剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒を指す。貧溶媒の具体例としては次のものが挙げられる。
【0185】
例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などが挙げられる。
【0186】
これらの溶媒は1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。上記のような貧溶媒を用いる場合は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
【0187】
本発明の液晶配向処理剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向処理剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などである。
【0188】
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
【0189】
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0190】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物であるものが挙げられる。
【0191】
例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0192】
これら基板との密着させる化合物を使用する場合は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
【0193】
本発明の液晶配向処理剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0194】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶に熱や紫外線照射により重合する重合性化合物を混合した液晶材料を用いて、液晶層に電圧を印加しながら重合性化合物を重合させて得られるポリマーで、駆動時の液晶の配向方向を制御する方法により得られる液晶表示素子に用いられる液晶配向膜に適用することができる。
【0195】
この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。また、その基板上には、液晶駆動のためにITO、アルミなどの電極が形成された基板が用いられる。
【0196】
液晶配向処理剤の塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0197】
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレートなどの加熱手段により50〜300℃、好ましくは80〜250℃で溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。
【0198】
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、液晶セルを作製し、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合させ、液晶の配向を制御した液晶表示素子としたものである。
【0199】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
【0200】
また、この際に用いられる液晶は、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物を混合している。重合性化合物としては、アクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。重合性化合物が0.01質量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御できなくなり、10質量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなり、液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。
【0201】
液晶セルを作製した後、液晶セルに、交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射し、重合性化合物を重合させることで、液晶の配向を制御することができる。
【0202】
以上のようにして、本発明の液晶配向処理剤を用いて作製された液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用できる。
【実施例】
【0203】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。
【0204】
「本発明のポリイミド前駆体及びポリイミドの合成」
(テトラカルボン酸二無水物)
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
BODA:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
TCA:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸―1,4:2,3−二無水物
TDA:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
【0205】
【化35】
【0206】
(特定ジアミン化合物)
PCH7DAB:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロへキシル)フェノキシ〕ベンゼン
PBCH5DAB:1,3−ジアミノ−4−{4−〔トランス−4−(トランス−4−n−ペンチルシクロへキシル)シクロへキシル〕フェノキシ}ベンゼン
m−PBCH5DABz:1,3−ジアミノ−5−{4−〔4−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル〕フェノキシメチル}ベンゼン
ColDAB−1:下記の式で示される特定ジアミン化合物
ColDAB−2:下記の式で示される特定ジアミン化合物
【0207】
【化36】
【0208】
(その他ジアミン化合物)
p−PDA:p−フェニレンジアミン
m−PDA:m−フェニレンジアミン
DBA:3,5−ジアミノ安息香酸
AP18:1,3−ジアミノ−4−オクタデシルオキシベンゼン
【0209】
【化37】
【0210】
(架橋性化合物)
架橋性化合物(1):YH−434L(東都化成製)(エポキシ系架橋性化合物)
架橋性化合物(2):OXT−221(東亜合成製)(オキセタン系架橋性化合物)
架橋性化合物(3):サイメル303(三井サイテック製)(メトキシメチル化メラミン系架橋性化合物)
架橋性化合物(4):下記の式で示される架橋性化合物(ヒドロキシル化フェノール系架橋性化合物)
架橋性化合物(5):KAYARADDPHA−40H(日本化薬製)(不飽和結合基系架橋性化合物)
【0211】
【化38】
【0212】
(有機溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
【0213】
(ポリイミド前駆体及びポリイミドの分子量測定)
合成例におけるポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工製)、カラム(KD−803、KD−805)(Shodex製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)(東ソー製)、及びポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)(ポリマーラボラトリー製)。
【0214】
(イミド化率の測定)
合成例におけるポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード φ5(草野科学製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS(テトラメチルシラン)混合品)0.53mlを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5から10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0215】
<合成例1>
CBDA(4.90g,25.0mmol)、PCH7DAB(4.76g,12.5mmol)、p−PDA(1.35g,12.5mmol)をNMP(32.1g)中で混合し、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.5質量%のポリアミド酸溶液(1)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は27,900、重量平均分子量は76,900であった。
【0216】
<合成例2>
BODA(4.38g,17.5mmol)、PCH7DAB(4.76g,12.5mmol)、p−PDA(1.35g,12.5mmol)をNMP(19.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.47g,7.50mmol)とNMP(16.0g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.2質量%のポリアミド酸溶液(2)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は25,400、重量平均分子量は61,800であった。
【0217】
<合成例3>
BODA(5.25g,21.0mmol)、PCH7DAB(5.71g,15.0mmol)、DBA(2.28g,15.0mmol)をNMP(24.6g)中で混合し、80℃で4時間反応させた後、CBDA(1.76g,8.97mmol)とNMP(20.2g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液(3)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は22,400、重量平均分子量は59,200であった。
【0218】
<合成例4>
合成例3で得られた樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液(3)(20.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.49g)、ピリジン(1.91g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(4)を得た。このポリイミドのイミド化率は58%であり、数平均分子量は21,100、重量平均分子量は50,100であった。
【0219】
<合成例5>
BODA(4.00g,16.0mmol)、PCH7DAB(2.28g,6.00mmol)、DBA(2.13g,14.0mmol)をNMP(15.1g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(0.78g,4.00mmol)とNMP(12.4g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0220】
得られたポリアミド酸溶液(20.1g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.52g)、ピリジン(3.30g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(5)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は19,800、重量平均分子量は48,500であった。
【0221】
<合成例6>
BODA(3.50g,14.0mmol)、PBCH5DAB(2.60g,6.00mmol)、p−PDA(1.51g,14.0mmol)をNMP(14.4g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.18g,6.02mmol)とNMP(11.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.2質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0222】
得られたポリアミド酸溶液(20.5g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.53g)、ピリジン(1.95g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(310ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(6)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は18,200、重量平均分子量は46,300であった。
【0223】
<合成例7>
BODA(3.00g,12.0mmol)、PBCH5DAB(3.46g,8.00mmol)、DBA(1.83g,12.0mmol)をNMP(16.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.57g,8.01mmol)とNMP(13.5g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が24.7質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0224】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)、ピリジン(3.30g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(330ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(7)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は17,300、重量平均分子量は46,300であった。
【0225】
<合成例8>
BODA(3.00g,12.0mmol)、m−PBCH5DABz(3.57g,7.99mmol)、DBA(1.83g,12.0mmol)をNMP(16.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.57g,8.01mmol)とNMP(13.5g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が24.9質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0226】
得られたポリアミド酸溶液(20.5g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.48g)、ピリジン(3.32g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(330ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(8)を得た。このポリイミドのイミド化率は81%であり、数平均分子量は18,200、重量平均分子量は47,900であった。
【0227】
<合成例9>
BODA(4.38g,17.5mmol)、ColDAB−1(2.61g,4.99mmol)、m−PDA(2.16g,20.0mmol)をNMP(17.5g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(1.47g,7.50mmol)とNMP(14.3g)を加え、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0228】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.51g)、ピリジン(1.97g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(9)を得た。このポリイミドのイミド化率は57%であり、数平均分子量は22,900、重量平均分子量は55,100であった。
【0229】
<合成例10>
BODA(3.50g,14.0mmol)、ColDAB−2(1.97g,4.00mmol)、DBA(2.43g,16.0mmol)をNMP(15.0g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(1.18g,6.02mmol)とNMP(12.3g)を加え、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0230】
得られたポリアミド酸溶液(20.1g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.50g)、ピリジン(1.95g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(10)を得た。このポリイミドのイミド化率は65%であり、数平均分子量は19,200、重量平均分子量は48,700であった。
【0231】
<合成例11>
TCA(4.48g,20.0mmol)、PCH7DAB(3.81g,10.0mmol)、DBA(1.52g,9.99mmol)をNMP(29.3g)中で混合し、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液(11)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は24,700、重量平均分子量は61,200であった。
【0232】
<合成例12>
TCA(4.48g,20.0mmol)、PCH7DAB(3.04g,8.00mmol)、m−PDA(1.30g,12.0mmol)をNMP(26.5g)中で混合し、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0233】
得られたポリアミド酸溶液(20.2g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.46g)、ピリジン(1.97g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(12)を得た。このポリイミドのイミド化率は52%であり、数平均分子量は25,900、重量平均分子量は63,200であった。
【0234】
<合成例13>
TCA(4.48g,20.0mmol)、PBCH5DAB(2.60g,6.01mmol)、DBA(2.13g,14.0mmol)をNMP(27.0g)中で混合し、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.4質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0235】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.51g)、ピリジン(1.95g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(13)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は23,100、重量平均分子量は60,100であった。
【0236】
<合成例14>
TCA(4.48g,20.0mmol)、ColDAB−1(1.57g,3.00mmol)、DBA(2.59g,17.0mmol)をNMP(25.7g)中で混合し、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.2質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0237】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.48g)、ピリジン(1.95g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(14)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は26,800、重量平均分子量は66,200であった。
【0238】
<合成例15>
BODA(4.38g,17.5mmol)、PCH7DAB(4.76g,12.5mmol)、DBA(1.90g,12.5mmol)をNMP(20.9g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、TCA(1.68g,7.49mmol)とNMP(17.1g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0239】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.42g)、ピリジン(1.92g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(15)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は20,200、重量平均分子量は49,900であった。
【0240】
<合成例16>
BODA(3.75g,15.0mmol)、PBCH5DAB(3.24g,7.49mmol)、DBA(2.66g,17.5mmol)をNMP(19.4g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、TCA(2.24g,9.99mmol)とNMP(15.9g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.2質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0241】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)、ピリジン(3.33g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(350ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(16)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は18,800、重量平均分子量は48,100であった。
【0242】
<合成例17>
BODA(4.38g,17.5mmol)、PBCH5DAB(3.24g,7.49mmol)、p−PDA(1.89g,17.5mmol)をNMP(18.2g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、TCA(1.68g,7.49mmol)とNMP(14.9g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.3質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0243】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.51g)、ピリジン(3.31g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(350ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(17)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は19,200、重量平均分子量は50,900であった。
【0244】
<合成例18>
TDA(1.80g,5.99mmol)、PCH7DAB(2.28g,5.99mmol)、DBA(2.13g,14.0mmol)をNMP(14.8g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(2.75g,14.0mmol)とNMP(12.1g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0245】
得られたポリアミド酸溶液(20.5g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.54g)、ピリジン(1.99g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(18)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は21,100、重量平均分子量は50,200であった。
【0246】
<合成例19>
TDA(1.80g,5.99mmol)、PBCH5DAB(2.60g,6.01mmol)、p−PDA(1.51g,14.0mmol)をNMP(14.3g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(2.75g,14.0mmol)とNMP(11.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0247】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)、ピリジン(3.30g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(350ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(19)を得た。このポリイミドのイミド化率は79%であり、数平均分子量は18,100、重量平均分子量は48,300であった。
【0248】
<合成例20>
TDA(1.80g,5.99mmol)、m−PBCH5DABz(2.68g,6.00mmol)、DBA(2.13g,14.0mmol)をNMP(15.6g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(2.75g,14.0mmol)とNMP(12.8g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が24.8質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0249】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.50g)、ピリジン(3.31g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(350ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(20)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は18,800、重量平均分子量は49,700であった。
【0250】
<合成例21>
TDA(1.80g,5.99mmol)、ColDAB−1(1.57g,3.00mmol)、DBA(2.59g,17.0mmol)をNMP(14.3g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(2.75g,14.0mmol)とNMP(11.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0251】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.55g)、ピリジン(1.95g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(21)を得た。このポリイミドのイミド化率は59%であり、数平均分子量は23,800、重量平均分子量は56,100であった。
【0252】
<合成例22>
CBDA(4.90g,25.0mmol)、AP18(4.71g,12.5mmol)、p−PDA(1.35g,12.5mmol)をNMP(32.9g)中で混合し、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液(22)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は28,100、重量平均分子量は78,100であった。
【0253】
<合成例23>
BODA(4.38g,17.5mmol)、AP18(4.71g,12.5mmol)、DBA(1.90g,12.5mmol)をNMP(20.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.47g,7.50mmol)とNMP(16.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液(23)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は24,200、重量平均分子量は61,100であった。
【0254】
<合成例24>
BODA(4.38g,17.5mmol)、AP18(4.71g,12.5mmol)、DBA(1.90g,12.5mmol)をNMP(20.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.47g,7.50mmol)とNMP(16.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.1質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0255】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.54g)、ピリジン(1.95g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(310ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(24)を得た。このポリイミドのイミド化率は60%であり、数平均分子量は18,800、重量平均分子量は46,500であった。
【0256】
<合成例25>
BODA(4.38g,17.5mmol)、AP18(3.77g,10.0mmol)、DBA(2.28g,15.0mmol)をNMP(19.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、CBDA(1.47g,7.50mmol)とNMP(15.9g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.2質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0257】
得られたポリアミド酸溶液(20.3g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.55g)、ピリジン(3.35g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(390ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(25)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は16,200、重量平均分子量は44,200であった。
【0258】
<合成例26>
TCA(5.60g,25.0mmol)、AP18(4.71g,12.5mmol)、DBA(1.90g,12.5mmol)をNMP(36.2g)中で混合し、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.2質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0259】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.50g)、ピリジン(1.90g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(26)を得た。このポリイミドのイミド化率は52%であり、数平均分子量は19,300、重量平均分子量は53,400であった。
【0260】
<合成例27>
BODA(4.38g,17.5mmol)、AP18(4.71g,12.5mmol)、DBA(1.90g,12.5mmol)をNMP(20.9g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、TCA(1.68g,7.49mmol)とNMP(17.1g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25.0質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0261】
得られたポリアミド酸溶液(20.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.42g)、ピリジン(1.92g)を加え、80℃で4時間反応させた。この反応溶液をメタノール(300ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(27)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、数平均分子量は20,900、重量平均分子量は50,200であった。
【0262】
<合成例28>
TDA(2.25g,7.49mmol)、AP18(2.82g,7.49mmol)、p−PDA(1.89g,17.5mmol)をNMP(17.3g)中で混合し、80℃で6時間反応させた後、CBDA(3.43g,17.5mmol)とNMP(14.2g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が24.8質量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0263】
得られたポリアミド酸溶液(20.2g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(4.45g)、ピリジン(3.28g)を加え、90℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(370ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(28)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は17,300、重量平均分子量は47,900であった。
【0264】
本発明のポリアミド酸及びポリイミドを表43、及び表44に示す。
【0265】
【表43】
【0266】
【表44】
【0267】
「本発明の液晶配向処理剤の製造」
下記する実施例1〜実施例31、及び比較例1〜比較例7では、液晶配向処理剤の製造例を記載するが、各液晶配向処理剤の評価のために使用される本発明の液晶配向処理剤を表45〜表47に示す。
【0268】
「液晶セルの作製」、「液晶の配向方向制御の評価」、及び「電気特性の評価」は、下記のとおりである。また、実施例1〜実施例31、及び比較例1〜比較例7で得られた各液晶配向処理剤の特性を、表48〜表53に示す。
【0269】
「液晶セルの作製」
液晶配向処理剤を、中心に10×10mmのパターン間隔20μmのITO電極付き基板と中心に10×40mmのITO電極付き基板のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて、80℃で5分間、熱循環型クリーンオーブン中にて、210℃で30分間加熱処理をして、膜厚100nmのポリイミド塗膜を得た。塗膜面を純水にて洗浄し、その後、熱循環型クリーンオーブン中にて、100℃で15分加熱処理をして、液晶配向膜付き基板を得た。
【0270】
この液晶配向膜付き基板を、液晶配向膜面を内側にして、6μmのスペーサーで挟み組合せ、シール剤で周囲を接着し、空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、MLC−6608(メルク・ジャパン製)に、下記の式で示される重合性化合物(1)を、MLC−6608の100質量%に対して重合性化合物を0.3質量%混合した液晶を注入し、注入口を封止して、液晶セルを得た。
【0271】
【化39】
【0272】
得られた液晶セルに、交流5Vの電圧を印加しながら、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、365nm換算で20J/cm
2の紫外線を照射し、液晶の配向方向が制御された液晶セルを得た。液晶セルに紫外線を照射している際の照射装置内の温度は、50℃であった。
【0273】
「液晶の配向方向制御の評価」
上記の「液晶セルの作製」で得られた紫外線照射前の液晶セルと紫外線照射後の液晶セルの液晶の応答速度を測定した。透過率が90%から10%まで変化するのにかかった時間(表中「T90→T10」と記載する。)を応答速度とした。液晶の配向方向が制御されたことは、紫外線照射前(表中「処理前」と記載する。)の液晶セルに比べて、紫外線照射後(表中「処理後」と記載する。)の液晶セルの応答速度が早くなったことで確認した。
【0274】
「電気特性の評価」
上記の「液晶セルの作製」で得られた紫外線照射前の液晶セルと紫外線照射後の液晶セルに、80℃の温度下で4Vの電圧を60μm印加し、16.67ms後及び1667ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。
【0275】
<実施例1>
合成例1で得られた樹脂固形分濃度25.5質量%のポリアミド酸溶液(1)(10.5g)、NMP(11.8g)、及びBCS(22.3g)を、25℃にて8時間混合して、液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0276】
<実施例2>
合成例2で得られた樹脂固形分濃度25.2質量%のポリアミド酸溶液(2)(10.0g)、NMP(11.0g)、及びBCS(21.0g)を、25℃にて8時間混合して、液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0277】
<実施例3>
合成例3で得られた樹脂固形分濃度25.1質量%のポリアミド酸溶液(3)(11.0g)、NMP(12.0g)、及びBCS(23.0g)を、25℃にて8時間混合して、液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0278】
<実施例4>
合成例4で得られたポリイミド粉末(4)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0279】
<実施例5>
合成例5で得られたポリイミド粉末(5)(2.51g)、NMP(22.6g)、及びBCS(16.7g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0280】
<実施例6>
合成例6で得られたポリイミド粉末(6)(2.48g)、NMP(18.2g)、及びBCS(20.7g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0281】
<実施例7>
合成例7で得られたポリイミド粉末(7)(2.50g)、NMP(22.5g)、及びBCS(16.7g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0282】
<実施例8>
合成例8で得られたポリイミド粉末(8)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0283】
<
参考例9>
合成例9で得られたポリイミド粉末(9)(2.51g)、NMP(24.7g)、及びBCS(14.6g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0284】
<
参考例10>
合成例10で得られたポリイミド粉末(10)(2.50g)、NMP(24.6g)、及びBCS(14.6g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0285】
<実施例11>
合成例11で得られた樹脂固形分濃度25.1質量%のポリアミド酸溶液(11)(10.5g)、NMP(11.5g)、及びBCS(22.0g)を、25℃にて8時間混合して、液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0286】
<実施例12>
合成例12で得られたポリイミド粉末(12)(2.51g)、NMP(22.6g)、及びBCS(16.7g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0287】
<実施例13>
合成例13で得られたポリイミド粉末(13)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0288】
<
参考例14>
合成例14で得られたポリイミド粉末(14)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0289】
<実施例15>
合成例15で得られたポリイミド粉末(15)(2.41g)、NMP(21.7g)、及びBCS(16.1g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0290】
<実施例16>
合成例16で得られたポリイミド粉末(16)(2.50g)、NMP(16.3g)、及びBCS(22.9g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(16)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0291】
<実施例17>
合成例17で得られたポリイミド粉末(17)(2.47g)、NMP(18.1g)、及びBCS(20.6g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(17)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0292】
<実施例18>
合成例18で得られたポリイミド粉末(18)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(18)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0293】
<実施例19>
合成例19で得られたポリイミド粉末(19)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(19)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0294】
<実施例20>
合成例20で得られたポリイミド粉末(20)(2.46g)、NMP(22.1g)、及びBCS(16.4g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(20)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0295】
<
参考例21>
合成例21で得られたポリイミド粉末(21)(2.50g)、NMP(18.3g)、及びBCS(20.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(21)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0296】
<実施例22>
合成例2で得られた樹脂固形分濃度25.2質量%のポリアミド酸溶液(2)(10.5g)、NMP(11.6g)、BCS(22.1g)、及び架橋性化合物(1)(0.27g)を、25℃にて12時間混合して、液晶配向処理剤(22)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0297】
<実施例23>
合成例2で得られた樹脂固形分濃度25.2質量%のポリアミド酸溶液(2)(10.0g)、NMP(11.0g)、BCS(21.0g)、及び架橋性化合物(4)(0.25g)を、25℃にて12時間混合して、液晶配向処理剤(23)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0298】
<実施例24>
合成例4で得られたポリイミド粉末(4)(2.50g)、NMP(18.3g)、BCS(20.8g)、及び架橋性化合物(2)(0.50g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(24)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0299】
<実施例25>
合成例4で得られたポリイミド粉末(4)(2.51g)、NMP(18.4g)、BCS(20.9g)、及び架橋性化合物(4)(0.50g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(25)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0300】
<実施例26>
合成例7で得られたポリイミド粉末(7)(2.50g)、NMP(18.3g)、BCS(20.8g)、及び架橋性化合物(2)(0.25g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(26)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0301】
<実施例27>
合成例7で得られたポリイミド粉末(7)(2.50g)、NMP(18.3g)、BCS(20.8g)、及び架橋性化合物(4)(0.25g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(27)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0302】
<実施例28>
合成例9で得られたポリイミド粉末(9)(2.50g)、NMP(18.3g)、BCS(20.8g)、及び架橋性化合物(1)(0.25g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(28)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0303】
<実施例29>
合成例9で得られたポリイミド粉末(9)(2.47g)、NMP(18.1g)、BCS(20.6g)、及び架橋性化合物(4)(0.47g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(29)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0304】
<実施例30>
合成例15で得られたポリイミド粉末(15)(2.50g)、NMP(18.3g)、BCS(20.8g)、及び架橋性化合物(3)(0.08g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(30)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0305】
<実施例31>
合成例17で得られたポリイミド粉末(17)(2.49g)、NMP(18.3g)、BCS(20.8g)、及び架橋性化合物(5)(0.08g)を、25℃にて15時間混合し、液晶配向処理剤(31)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0306】
<比較例1>
合成例22で得られた樹脂固形分濃度25.0質量%のポリアミド酸溶液(22)(10.5g)、NMP(11.4g)、及びBCS(21.9g)を、25℃にて8時間混合して、液晶配向処理剤(32)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0307】
<比較例2>
合成例23で得られた樹脂固形分濃度25.1質量%のポリアミド酸溶液(23)(10.0g)、NMP(10.9g)、及びBCS(20.9g)を、25℃にて8時間混合して、液晶配向処理剤(33)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0308】
<比較例3>
合成例24で得られたポリイミド粉末(24)(2.50g)、NMP(26.7g)、及びBCS(12.5g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(34)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0309】
<比較例4>
合成例25で得られたポリイミド粉末(25)(2.52g)、NMP(22.7g)、及びBCS(16.8g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(35)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0310】
<比較例5>
合成例26で得られたポリイミド粉末(26)(2.50g)、NMP(24.6g)、及びBCS(14.6g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(36)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0311】
<比較例6>
合成例27で得られたポリイミド粉末(27)(2.45g)、NMP(24.1g)、及びBCS(14.3g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(37)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0312】
<比較例7>
合成例28で得られたポリイミド粉末(28)(2.48g)、NMP(20.3g)、及びBCS(18.6g)を、25℃にて12時間混合し、液晶配向処理剤(38)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0313】
【表45】
【0314】
【表46】
【0315】
【表47】
【0316】
【表48】
【0317】
【表49】
【0318】
【表50】
【0319】
【表51】
【0320】
【表52】
【0321】
【表53】
【0322】
表48〜表50より、実施例1〜実施例
8、実施例11〜13、実施例15〜20、実施例22〜31、参考例9、10、14、21及び比較例1〜比較例7で得られた液晶セルは、紫外線照射により、液晶の配向方向が制御されたことが確認できた。
【0323】
上記の結果からわかるように、実施例1〜実施例
8、実施例11〜13、実施例15〜20、実施例22〜31、参考例9、10、14、21の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜では、紫外線照射を行っても電圧保持率の低下が抑制された。一方、比較例1〜比較例7の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜では、電圧保持率の低下が大きかった。
【0324】
また、実施例1〜実施例3、実施例11と比較例1、比較例2との比較、及び実施例4〜実施例
8、参考例9、10、実施例11〜20
、参考例21と比較例3〜比較例7との比較からして、実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、紫外線照射を行っても電圧保持率の低下が抑制された。これにより、これらの実施例の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、液晶表示素子の表示不良である線焼き付きが発生しない信頼性の高い液晶表示素子を得ることができる。
【0325】
加えて、実施例22〜実施例31より、架橋性化合物を含む液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、紫外線照射による電圧保持率の低下を、より抑制することができた。