【実施例】
【0010】
本方法は、非シリコン半導体デバイスをシリコンプロセスに統合し、半導体デバイスのシリコン回路が標準のシリコンプロセスによって形成されることを可能にする。この統合能力は、シリコンプロセスで低バンド幅または高バンド幅の半導体材料を用いてp-n接合およびp-i-n構造を有する半導体デバイスを製造する際に非常に重要となる。
【0011】
本方法は、例えばトレンチパターニングプロセス(例えば標準のCMOS STIプロセス)によってパターニングされたトレンチ構造、またはシャロートレンチアイソレーションの様な(STI-like)トレンチパターン構造(patterned structure)などのトレンチ構造にART結晶構造を形成することも可能にする。アスペクト比トラッピング構造上またはアスペクト比トラッピング構造内に形成された半導体デバイスは、最新のアスペクト比トラッピング技術では、実質的にアスペクト比の必要条件またはプロセス制限のない、任意の所望の横寸法および/または縦寸法を有することができる。説明と簡易化のために、本方法は、いくつかの実施例において、シャロートレンチアイソレーションプロセスのトレンチ構造上にアスペクト比トラッピング結晶構造が形成された、選択された例に関連して述べられる。以下に述べられる例示的な方法は、他のタイプのトレンチにアスペクト比トラッピング構造を形成するように実行されることもできることが当業者に認識されるであろう。
【0012】
アスペクト比トラッピング(ART)は、欠陥低減およびヘテロエピタキシー成長の技術である。本明細書中で用いられるように、“ART”または“アスペクト比トラッピング”は、一般的に、ヘテロエピタキシー成長中に欠陥を非結晶の、たとえば誘電体側壁で終了させる技術を意味し、側壁は、欠陥の全てではないがほとんどをトラップするように、成長領域のサイズに対して十分に高い。アスペクト比トラッピングは、例えばトレンチまたはホールなどの高アスペクト比の開口を用いて転位をトラップし、転位がエピタキシャル層の表面に到達するのを防いで、アスペクト比トラッピング開口内の表面の転位密度を大きく低減する。本発明の例示的なアスペクト比トラッピング装置およびアスペクト比トラッピング技術の更なる詳細は、2006年5月17日に出願された米国特許出願番号第11/436、198号、2006年7月26日に出願された第11/493、365号、および2007年9月7日に出願された第11/852、078号に述べられており、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0013】
また、カスタマイズされたアスペクト比トラッピングの成長パラメータを用いて、強化されたエピタキシー横方向過度成長(lateral epitaxy overgrowth; ELO)モードを、例えば開口が形成された領域などのトレンチのある領域を超えて拡張されたエピタキシーに実現することができる。このモードは、最初のトレンチのシード層上の中心に大面積の“フリースタンディング”の高品質材料を形成する。よって、アスペクト比トラッピングとエピタキシー横方向成長とを組合わせた技術は、例えばシリコン基板などの基板上の品質および格子不整合材料の品質および適用できる膜表面積を大きく増大させる。この比較的簡単なプロセスは、信頼性の高い再現可能な結果を達成することができる。
【0014】
本方法は、シャロートレンチアイソレーションプロセスのトレンチの存在下で大型のアスペクト比トラッピング構造を形成することを更に可能にし、これによって、所望の横寸法または縦寸法を有する半導体デバイスまたは半導体デバイスの構成要素を形成することを可能にする。特に、大型の真性半導体領域を、大型のアスペクト比トラッピング構造内に形成することができる。
【0015】
本方法は、半導体結晶基板上に配置された緩衝層上に半導体デバイスまたは半導体デバイスの構成要素を形成することを可能にし、緩衝層は、傾斜状(grad)であり得る。緩衝層は、誘電体層に形成された開口内に配置されるか、または結晶基板に形成されたトレンチに配置されることができる。
【0016】
本方法は、異方性または等方性のエピタキシャル横方向成長領域を形成することも可能にし、半導体素子または半導体デバイスがその領域上、または領域内に形成されることができる。
【0017】
本方法は、隣接したアスペクト比トラッピング構造間の結合領域内に半導体デバイス、または半導体デバイスの構成要素を形成することも可能にする。
【0018】
本方法は、アスペクト比トラッピング構造上またはアスペクト比トラッピング構造内に半導体デバイスの横方向のp-nおよびp-i-n構造を形成することも可能にする。
【0019】
特定の実装例では、本方法は、アスペクト比トラッピング構造上またはアスペクト比トラッピング構造内に形成された光検出器を備える相補型金属酸化膜半導体デバイスを有する半導体デバイスを形成するように用いられることができる。他の非シリコンまたはシリコンベースの回路も光検出器とともに形成されることができる。
【0020】
本方法およびこの方法で形成された半導体デバイスは、選択された実施例とともに以下に述べられる。以下は説明のためで、本発明を限定するものと理解されるべきはないことが当業者に認識されるであろう。本発明の範囲内の他の変形例も、適用可能である。
【0021】
図面を参照して、
図1a〜1dは、アスペクト比トラッピング(ART)技術を用いてエピタキシャル構造を製造する例示的な方法を図示している。
図1aを参照して、例えばシリコン基板などの半導体結晶基板であり得る基板100が提供される。誘電材料を備えた誘電体層102は、基板100上に堆積される。誘電材料は、任意の適切な材料であり得、例えば酸化ケイ素(SiO
x)および窒化ケイ素(SiN
x)の半導体素子の酸化物または窒化物であることが必要ではないが望ましい。例えば、金属元素、金属合金、またはセラミック材料の酸化物または窒化物などの他の材料も適用可能である。
【0022】
スクリーン層104は、誘電体層102上に堆積される。スクリーン層は、基板100をエッチングするために用いられるエッチングプロセスに対して選択性が高い材料を含む。例えば、スクリーン層104は、基板100にトレンチを形成するためにドライエッチングプロセスが実行される場合、窒化チタン(TiN
x)を含み得る。
【0023】
基板100は、例えば
図1bの開口106のような開口を形成するために、選択的なエッチングプロセスによってエッチングされ得る。エッチングプロセスに対してスクリーン層104に選択性があることから、基板100のトレンチ(例えば106)は、以下のアスペクト比トラッピング成長のために所望のアスペクト比を維持しつつ、より大きな深さまたは幅を有し得る。一例では、開口106は、100ナノメータ以上、200ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、例えば1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、3ミクロン以上、または5ミクロン以上の深さを有し得る。開口106は、20ナノメータ以上、100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、例えば1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、3ミクロン以上、または5ミクロン以上の幅を有し得る。開口106のアスペクト比は、0.5以上、例えば1以上、1.5以上であり得る。
【0024】
続いて開口は、その後の開口内のアスペクト比トラッピング成長のために開口の側壁108を覆うように、選択された誘電材料で充填され得る。一例では、開口の側壁の誘電体層108は、酸化物(例えば酸化ケイ素)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、または他の適切な材料を含み得る。別の例では、開口の側壁の誘電体層108は、窒化チタンまたは窒化チタンの表面自由エネルギーと実質的に同じか、またはそれ以上の表面自由エネルギーを有する材料を含み得る。
【0025】
開口106の側壁を覆った後、
図1cに図示されるように、誘電体層は、開口の底部110の誘電材料を除去して下方の基板100を露出するようにエッチングされ得る。
【0026】
図1cに示されるような形成された開口106では、アスペクト比トラッピングプロセスが実行され、
図1dに図示されるようにエピタキシャル材料112が形成され得る。アスペクト比トラッピングプロセスの例示的な方法は、2006年5月17日に出願された米国特許出願番号第11/436、198号、2006年7月26日に出願された第11/493、365号、および2007年9月7日に出願された第11/852、078号に記述されており、これらの全ては引用によって本願に援用される。アスペクト比トラッピング構造は、半導体材料を含む。例えば、アスペクト比トラッピング構造は、IV族元素もしくは化合物、III−VもしくはIII−N化合物、またはII−VI化合物を含み得る。IV族元素の例は、ゲルマニウム、シリコンを含み、IV族化合物の例は、シリコンゲルマニウムを含む。III−V化合物の例は、リン化アルミニウム(AIP)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ化アルミニウム(AIAs)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化アルミニウム(AISb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、アンチモン化インジウム(InSb)、ならびにそれらの三元および四元化合物を含む。III−N化合物の例は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、ならびにそれらの三元および四元化合物を含む。II−VI化合物の例は、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、ならびにそれらの三元および四元化合物を含む。
【0027】
上述のアスペクト比トラッピングのエピタキシャル構造の形成方法、およびその方法で製造されたエピタキシャルアスペクト比トラッピング構造は、さまざまな利点を有する。例えば、基板がシリコン基板である場合、例えばゲルマニウムまたは他の半導体材料などの非シリコン結晶材料を基板のトレンチに形成することができる。よって、非シリコン半導体デバイスを、例えば、ゲルマニウムベースのp-nまたはp-i-n構造などの非シリコン結晶のアスペクト比トラッピング材料上、またはアスペクト比トラッピング材料内に形成することができる。よって、半導体デバイスの他のシリコン回路を、標準のシリコンプロセスを用いてシリコン基板内、またはシリコン基板上に形成することができる。この例は
図5を参照して後述する。
【0028】
別の例では、上述の方法は、光検出器の画素がシリコンプロセスに統合されるのを可能にする。光検出器の画素は、p-nまたはp-i-n構造、および例えば信号変換回路などの関連回路を含む。いくつかの用途では、例えばGe、InGaAs、SiGe、およびInPなどの低バンドギャップ材料を用いてp-nまたはp-i-n構造を形成し、赤外光を検出することが望ましい。いくつかの他の例では、例えばGaNおよびInPなどの高バンドギャップ半導体材料で構成されたp-n接合が、紫外光を検出するのに望ましい。非シリコン半導体素子(例えばp-n接合またはp-i-n構造)は、例えばGeおよびInGaAsなどの非シリコン半導体材料を備えたアスペクト比トラッピングのエピタキシャル構造上、または構造内に形成され得る。光検出器の他の回路は、例えば、標準のCMOSプロセスなどの標準のシリコンプロセスを用いることによって形成され得る。光検出器が、例えば2ミクロン以上、または2〜5ミクロンなどの臨界しきい値より大きなサイズを有することが望ましい場合、シリコン基板の開口は、例えば2ミクロン以上、または2〜5ミクロンの光検出器の所望の大きさ以上の幅を有するように形成され得る。開口に形成されたアスペクト比トラッピングのエピタキシャル結晶構造は、よって、光検出器の所望の大きさ以上の幅を有し得る。また、所望のアスペクト比も同時に維持され得る。
【0029】
基板の幅広開口内にアスペクト比トラッピングのエピタキシャル結晶構造を形成するだけでなく、大寸法を有するアスペクト比トラッピングを、
図2に図示されるように、過度の成長(overgrowing)によって代替的に得ることができる。
図2を参照して、幅W
bを有
する開口は、例えばシャロートレンチアイソレーション技術を用いて、基板に形成される。開口内にアスペクト比トラッピング結晶構造114を過度成長させることによって、過度成長結晶部116を得ることができる。過度成長結晶部116は、基板に形成された開口の高さの1.5倍以上、2倍以上、5倍以上、10倍以上、または5〜10倍の高さHを有し得る。過度成長結晶部116は、基板に形成された開口の幅W
bの1.5倍以上、2倍以上、5倍以上、10倍以上、または5〜10倍の幅Wを有し得る。
【0030】
過度成長部116の大きな横方向寸法は、エピタキシャル横方向過度成長からも得ることができる。エピタキシャル横方向過度成長は、異方性または等方性であり得る。過度成長部116の平坦面を得るために、化学機械研磨(CMP)プロセスが実行され得る。過度成長部116はさらに、例えばフォトリソグラフィープロセスを用いて所望の寸法(横寸法および縦寸法および/または形状)を得るようにパターニングされ得る。
【0031】
次に、大きなサイズ(例えば2ミクロン以上)を有する半導体デバイスまたは半導体デバイスの構成要素が、過度成長結晶部116に形成され得る。例えば、100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、または10ミクロン以上、または5〜10ミクロンのサイズのp-nまたはp-i-n構造が過度成長結晶部116上、または過度成長結晶部116内に形成され得る。
【0032】
大きなアスペクト比トラッピング結晶構造は代替的に、
図3に図示されるように、基板に形成された大きなトレンチ内にアスペクト比トラッピング結晶構造を形成することによって得ることもできる。
図3を参照して、例えば、100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または100ミクロン以上、およびより望ましくは100ナノメータ〜20ミクロン、およびより望ましくは2〜5ミクロンの大きな幅を有する開口が、例えばシリコン基板などの半導体結晶基板であり得る基板100に形成される。例えば誘電側壁101ならびに誘電アイソレータ(dielectric isolators)120および124などの誘電パターンが開口に形成され得る。誘電パターンは、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造118、122、126、および128を形成するためのその後のアスペクト比トラッピングプロセスを可能にするために提供される。具体的には、誘電パターン101および120は、パターン101と120との間の開口にアスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造を形成するのに必要なアスペクト比と同じアスペクト比を有する開口を規定する。誘電パターン120および124は、パターン120と124との間の開口にアスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造を形成するのに必要なアスペクト比と同じアスペクト比を有する開口を規定する。誘電パターン124および103は、パターン124と103との間の開口にアスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造を形成するのに必要なアスペクト比と同じアスペクト比を有する開口を規定する。このような誘電パターンは、複数層(例えば垂直に3つ以上積層された)に形成され得る。
【0033】
誘電パターンは、さまざまな方法で形成され得る。一例では、例えば、シャロートレンチアイソレーションプロセスによって基板100に大きなトレンチを形成した後、誘電パターンのための誘電材料を有する誘電層が大きな開口内に堆積される。堆積された誘電体層は、大きな開口の底部からパターニングされた誘電体層の上面にかけて測定される深さH
dを有するようにパターニングされ得る。深さH
dは、任意の適当な値を有し得、この値は好ましくは、開口(例えば誘電パターン101と120との間の開口)に形成されたアスペクト比トラッピングエピタキシャル構造が転位欠陥を有するしきい値高さ(threshold height)以上である。
【0034】
大きな開口内のパターニングされた誘電体層はさらにパターニングされて、誘電パターン101、120、124、および103を形成し得る。誘電パターン101と120との間、120と124との間、および124と103との間の開口の底部は除去されて、基板100を露出する。
【0035】
大きな開口に形成された誘電パターンを用いて、アスペクト比トラッピングプロセスは、アスペクト比トラッピングエピタキシャル構造118、122、および126を形成するように実行され得る。アスペクト比トラッピング構造118、122、および126を過度成長させることによって、大きなサイズの過度成長結晶部128を得ることができる。過度成長結晶部128は、基板100に形成された大きな開口の幅と実質的に等しい幅W
inを有し得る。例えば、過度成長結晶部128は、100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または20ミクロン以上、およびより好ましくは、2〜5ミクロンの幅W
inを有し得る。所
望の大きなサイズ(例えば、100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または20ミクロン以上、およびより好ましくは、2〜5ミクロン)を有する半導体デバイスまたは半導体デバイスの構成要素はしたがって、過度成長結晶部128上、または過度成長結晶部128内に形成され得る。
【0036】
上述のトレンチ、凹部、開口などを用いることによって基板に形成された開口は、任意の所望の形状またはレイアウトを有することができ、その例は、
図4の上面図に図示されている。
図4を参照して、開口は、例えば開口130のような90°の角度形状(90°angle shape)などの他の形状を有することができる。当然ながら、開口は、例えば、円形、ドーナツ形、多角形、およびその他のさまざまな可能な形状などの他の形状を有することができる。任意の所望のレイアウトを用いて、複数の開口を形成することができる。例えば、長方形の開口134および132は、垂直もしくは平行であり得るか、またはその間に任意の所望の角度を有するように配置され得る。
【0037】
図1a〜
図1dまたは
図2に関連した上述の例示的な方法は、非シリコン半導体デバイスのシリコンプロセスへの統合を可能にすることができる。説明のために、
図5は、例の1つを図示している。
図5を参照して、シャロートレンチアイソレーションプロセスを用いることによって、シリコン基板100に開口が形成される。ゲルマニウム(またはInGaAsまたは例えばIII−V族半導体材料などの他の半導体材料)のアスペクト比トラッピング結晶構造138および140は、シリコン基板100のシャロートレンチアイソレーション開口に形成される。ゲルマニウムベース(またはInGaAsまたは例えばIII−V族半導体材料などの他の半導体材料ベース)の半導体デバイス146および150、例えば光検出器は、アスペクト比トラッピング構造138および140に形成される。緩衝層(例えば10〜100nm)は、接合、接着、またはデバイス特性改善のために、基板100とART結晶構造138および140との間に存在し得る。シリコンベースのデバイスまたは
半導体デバイス144、148、および152の構成要素は、例えばCMOSプロセスなどの標準のシリコンプロセスを用いて基板100のパターンに形成される。よって、非シリコンベースの半導体デバイスの構成要素の非シリコン半導体デバイスは、シリコンプロセスに統合(例えば同一平面上に形成)される。
【0038】
例えばシリコン基板などの基板に形成されたシャロートレンチアイソレーショントレンチにアスペクト比トラッピングエピタキシャル構造を形成する例では、例えば開口の周りのシリコンパターンなどの基板パターンが処理され得る。例えば、基板パターンは、基板パターンおよびART構造を保護するために意図的に不動態化され得る。これは、基板およびアスペクト比トラッピング構造の熱および/または機械的性質が適合しない場合に非常に重要であり得、この不適合により、アスペクト比トラッピング構造および/または基板パターンに対して物理的および/または化学的損傷を招く可能性があり得る。例えば、アスペクト比トラッピング構造および基板パターンの熱膨張係数(coefficient-of-thermal-expansion; CET)が適合しない場合、アスペクト比トラッピング構造および/または基板パターンに物理的損傷が生じる可能性がある。一例では、基板パターンは酸化または窒化によって不動態化されて、基板パターンの露出表面上、または基板パターンとアスペクト比トラッピング構造との間の界面上に保護層を形成し得る。
【0039】
図2に関連した上述の方法および構造の例示的な実現例として、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造に形成されたp-i-n構造を有する例示的な構造が
図6に図示される。
図6を参照して、シャロートレンチアイソレーショントレンチ107は、シリコン基板または他の半導体基板であり得る半導体基板100に形成される。分離パターン(isolation patterns)154および155は、シャロートレンチアイソレーショントレンチ107内に形成され、その間に開口157を規定する。開口157は、実質的に限界高さと等しい、または限界高さより大きい高さを有し得、限界高さよりも小さいと、開口157内に形成されたアスペクト比トラッピング結晶構造は転位欠陥を有し、限界高さよりも大きいと、アスペクト比トラッピング結晶構造には実質的に転位欠陥がない。アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造は、開口157内に成長させることができる。開口157にアスペクト比トラッピング構造を過度成長させることによって、大きなアスペクト比トラッピング過度成長部156が得られる。
【0040】
p型領域158、真性領域160、およびn型領域162を有するp-i-n構造が、過度成
長結晶部156に形成される。p型領域158およびn型領域162は、ドーピングによって得ることができる。過度成長結晶部160は、例えば100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または20ミクロン以上、より好ましくは2〜5ミクロンの大きなサイズ有し得るため、真性i領域160は、例えば100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、より好ましくは2〜5ミクロンの大きいサイズを有し得る。
【0041】
例えば、ソース164、ゲート166、およびドレイン168を有するトランジスタ、ソース170、ゲート172、およびドレイン174を有するトランジスタ、ならびにソース178、ゲート180、およびドレイン182を有するトランジスタなどの他の回路が、パターニングされた半導体基板100上に形成され得る。トランジスタのソース、ゲート、およびドレインは、例えばCMOSプロセスなどの標準のシリコンプロセスによって形成され得る。例えば、トランジスタのソースおよびドレインはドーピングによって形成され得、トランジスタのゲートは標準のシリコンベースのリソグラフィープロセスによって形成され得る。他の特徴も基板100に形成され得る。例えば、分離ユニット176が、トランジスタ同士を分離するように、トランジスタ同士の間に形成され得る。一例では、アスペクト比トラッピング構造上に形成された半導体デバイス(例えば156)は、基板100上の1つ以上の他の半導体デバイス(例えばトランジスタ)と実質的に同一平面上にあり得る。例えば、デバイス156のp型領域158、真性領域160、およびn型領域162の上面は、基板100上に形成されたトランジスタと実質的に同一平面上にあるように形成され得る。
【0042】
図3に関連した上述の方法および構造の例示的な実現例として、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造に形成されたp-i-n構造を有する例示的な構造が
図7に図示される。
図7を参照して、シャロートレンチアイソレーショントレンチ109は、シリコン基板または他の半導体基板であり得る半導体基板100に形成される。例えば誘電パターン154などの複数の分離パターン(multiple isolation patterns)は、例えば、
図3に関連した上述の方法(ここでは繰り返されない)を用いて、シャロートレンチアイソレーショントレンチ109内に形成される。開口184、186、および188は、分離パターンによって規定される。
【0043】
アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶成長が、開口184、186、および188で実行され得る。開口184、186、および188のアスペクト比トラッピング構造の過度の成長によって、または過度の成長とエピタキシャル横方向成長部の結合との組合わせによって、過度成長結晶部196が得られる。過度成長結晶部196は、例えば、100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、好ましくはは2〜5ミクロンの横寸法および/または縦寸法の大寸法を有し得る。
【0044】
p型領域192、真性領域190、およびn型領域194を有するp-i-n構造が、過度成長結晶部196に形成される。p型領域192およびn型領域194は、ドーピングによって得ることができる。過度成長結晶部196は大きいサイズを有し得るため、真性i領域190は、例えば100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、より好ましくは100ナノメータ〜200ミクロン、望ましくは2〜5ミクロンの大きいサイズを有し得る大。
【0045】
例えば、ソース164、ゲート166、およびドレイン168を有するトランジスタなどの他の回路が、パターニングされた半導体基板100上に形成され得る。トランジスタのソース、ゲート、およびドレインは、例えばCMOSプロセスなどの標準のシリコンプロセスによって形成され得る。例えば、トランジスタのソースおよびドレインはドーピングによって形成され得、トランジスタのゲートは標準のシリコンベースのリソグラフィープロセスによって形成され得る。他の特徴も基板100に形成され得る。例えば、分離ユニット176が、トランジスタ同士を分離するように、トランジスタ同士の間に形成され得る。一例では、アスペクト比トラッピング構造上に形成された半導体デバイス(例えば196)は、基板100上の1つ以上の他の半導体デバイス(例えばトランジスタ)と実質的に同一平面上にあり得る。例えば、デバイス196のp型領域192、真性領域190、およびn型領域194の上面は、基板100上に形成されたトランジスタと実質的に同一平面上にあるように形成され得る。
【0046】
図6および
図7に示される例に見られるように、横方向のp-i-n構造またはp-n接合は、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶半導体構造に形成され得、この半導体構造は、非シリコン材料を含み得る。例えば、横方向のp-i-nまたはp-n接合のp領域からn領域までのキャリアチャネルは、基板100の主表面に平行であるか、またはアスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶材料が形成される方向に対して実質的に垂直である。
【0047】
半導体デバイスの製造方法は、p-i-n構造のアレイを備えた光検出器の画素を生成する際に非常に重要であり得る。説明のために、
図8〜
図14は、上述の例示的な方法によって形成された光検出器の画素のアレイの一部を図示している。特に、非半導体デバイス(例えば非シリコン半導体センサ214)は、上述の方法を用いてシリコン半導体デバイス(例えばシリコントランジスタ208、209、202、および204)に統合され得る。
図8を参照して、簡単にするために、光検出器アレイの4つの光検出器の画素が示されている。一般的に、光検出器アレイは、任意の所望の数の光検出器の画素を含み得、これは光検出器アレイのネイティブ解像度と称される。一例では、光検出器アレイのネイティブ解像度は、640×480(VGA)以上、例えば、800×600(SVGA)以上、1024×768(XGA)以上、1280×1024(SXGA)以上、1280×720以上、1400×1050以上、1600×1200(UXGA)以上、および1920×1080以上、またはこれらの解像度の整数の倍数および分数であり得る。当然ながら、その他の解像度も特定の用途に基づいて適用可能である。
【0048】
各光検出器は、500ナノメータ未満、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、例えば1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または5〜10ミクロンなどの特性サイズを有し得る。アレイの隣接した光検出器同士の間の距離と称されるピッチは、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、例えば1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または5〜10ミクロンなどの任意の適当な値であり得る。
【0049】
例示的な光検出器アレイ200の一部は、トランジスタ202、204、206、208、209、210、212、218、220、224、226、230、および232、ならびに光センサ214、216、222、および228を含む。光センサは、光エネルギーを電圧信号に変換し、トランジスタのグループは、電圧信号を増幅する(そして必要ならば、増幅された電圧信号をデジタル信号に変換する)。列(column)アドレス指定/読み取り信号および行(row)アドレス指定/読み取り信号によってアレイの列および行の個別の光検出器の画素の出力をアドレス指定し、読み出すための別のグループのトランジスタが提供され得る。
【0050】
例えば、センサ214は、受けた光度を電圧信号に変換する。アクティブ信号(列信号)が列デコーダ(図示せず)からトランジスタ204によってトランジスタ209に伝送されると、センサ214からの出力電圧信号は、トランジスタ208によって増幅される。行信号(行アクティブ信号)がトランジスタ230によってトランジスタ209のゲートに伝送されると、増幅された電圧信号V
DDは、トランジスタ208の出力によって読み出される。出力電圧信号V
DDは、例えばADCユニットなどの、図示されない他のデバイスによってデジタル化され得る。
【0051】
センサ214、216、222、および228は、
図9に図示されるようにそれぞれp-i-n構造であり得る。
図9を参照して、センサ214は、p領域234、i領域236、およびn領域238を含む。p-i-n構造214は、
図5、
図6、および
図7に関連した上述のようなさまざまな方法で形成され得る。p-i-n構造の電子伝送特性は、
図9および
図10に図示されるエネルギーバンド図によって解釈することができる。
【0052】
図9を参照して、p領域234、i領域236、およびn領域238の伝導(conductive)帯および共有結合(covalence)帯 は、外部電圧がない場合、実質的に平坦である。フェルミエネルギーE
fがp領域の共有結合帯に近接するため、p領域はホールリッチ(hole-rich)領域となる。i領域は真性半導体領域であるため、フェルミエネルギーE
fは、共有結合帯と伝導帯と間のギャップの中心の周りにある。フェルミエネルギーE
fはn領域の伝導帯に近接するため、n領域は電子リッチ(electron-rich)領域となる。
【0053】
図10に図示されるように、n領域およびp領域にそれぞれ印加される外部電圧V+およびV−がある場合、p領域の伝導帯および共有結合帯は上昇するが、n領域の伝導帯および共有結合帯は下降する。そのため、中間のi領域の伝導帯および共有結合帯は傾斜する。フェルミエネルギーE
fによって、i領域のエネルギーギャップも傾斜する。傾斜したフェルミエネルギーは、i領域の電子をn領域に向けて、i領域の正孔をp領域に向けて駆動する。この電子および正孔の伝送は、p領域とn領域を接続するキャリアチャネル内の電流を形成する。
【0054】
図8に示される光検出器のトランジスタおよびセンサは、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造に形成され得、これは
図11により詳細に示される。簡易化のために、
図11ではセンサ214およびセンサ214の周りのトランジスタが示される。センサ214とトランジスタの例示的な接続は、他のセンサおよびトランジスタにも適用可能である。
【0055】
図11を参照して、センサ214は、p、i、およびn領域を有し、非シリコン半導体デバイスであり得る。トランジスタ202、204、208、および209は、シリコンベースのトランジスタであり得る。p領域は接地され、トランジスタ202のドレインに接続される。トランジスタの202のソースは、リセット信号p領域V
RSTに接続される。センサ214のp領域は、トランジスタ208のゲートに接続される。トランジスタ208のソースは、増幅された電圧信号V
DDを出力するための出力となる。トランジスタ208のドレインは、トランジスタ209のソースに接続される。トランジスタ209のゲートは、行選択トランジスタ230のソースに接続され、行選択トランジスタ230のゲートは、行デコーダ(row decoder)からの行信号に接続される。トランジスタ230のドレインは、増幅された電圧信号V
DDに接続される。
【0056】
トランジスタ209のドレインは、列選択トランジスタ204のソースに接続され、列選択トランジスタ204のゲートは、列デコーダからの列信号に接続される。行選択トランジスタ204のドレインは、センス信号に接続される。
【0057】
図11のトランジスタは、任意の適当な構造を有することができる。特に、非シリコン半導体センサ214は、シリコンベースのトランジスタ(例えば202、208、209、204、および230)に統合されることができる。また、例えばトランジスタ202などのトランジスタは、
図12に示されるような例えばゲルマニウム(または他のシリコンもしくは非シリコン)ベースのトランジスタなどの、他のタイプのトランジスタであり得る。
図12を参照して、トレンチ235または開口がシリコン基板に形成される。トレンチの側壁は、例えば酸化物層243などの誘電体層で覆われる。側壁被覆層243は、さまざまな方法で形成され得る。例えば、側壁被覆層243は、トレンチに側壁被覆層を堆積または成長させ、続いてトレンチの底部表面上の被覆層を除去することによって形成され得る。或いは、トレンチを側壁被覆層で充填し、続いてパターニング/エッチングしてトレンチに所望の側壁被覆層を形成することもできる。ゲルマニウム(または他のシリコンもしくは非シリコン半導体材料)エピタキシャル結晶構造234は、例えば、
図6に関連した上述の方法を用いて、シリコン基板のトレンチに形成される。トランジスタのソース236およびドレイン238は、ドーピングによってゲルマニウムエピタキシャル結晶構造234に形成される。ゲート241は、酸化物層が間に積層された状態でゲルマニウム結晶構造上に形成される。
【0058】
図11のトランジスタの別の例示的な構造が、
図13に図示されている。
図13を参照して、トランジスタは、シリコン基板上に形成される。誘電パターン242は、シリコン基板上の開口を規定するように形成される。誘電パターンは、例えば窒化チタンなどの選択された誘電材料の層をシリコン基板上に堆積し、続いて堆積された誘電体層をパターニングすることによって形成され得る。
【0059】
誘電パターンによって規定された開口は、アスペクト比トラッピングの成長プロセスを開口内で行うことができるように、例えば、0.5以上、1以上、1.5以上、または3以上などの適当なアスペクト比を有する。ゲルマニウムエピタキシャル結晶構造148は、続いてアスペクト比トラッピングプロセスによって開口に形成され得る。ゲルマニウム結晶構造の部分をドーピングすることにより、真性領域がその間に積層されているソース236およびドレイン238を得ることができる。ゲート241は、酸化物層が間に積層された状態でゲルマニウムエピタキシャル結晶構造の上に形成され得る。
【0060】
図11に示される光検出器のセンサの例では、例えば、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または5〜10ミクロンの大面積が望ましく、センサのp-i-n構造は、
図1、
図2、または
図7などに関連した上述の方法を用いて形成され得る。説明のため、
図14は、センサのp-i-n構造とトランジスタの例示的な電気的接続を図示している。この接続方式は、他のセンサとトランジスタの接続にも適用可能である。
【0061】
図14を参照して、シャロートレンチアイソレーションプロセスのトレンチ構造(または他のタイプのトレンチ構造)244、246、248、250、および252のアレイがシリコン基板に形成される。シャロートレンチアイソレーションプロセスのトレンチ構造は、複数のパターニングプロセスによって形成され得る。例えば、パターニングプロセスは、シリコン基板の上面からシャロートレンチアイソレーションプロセスパターン214および254の上面までのシャロートレンチアイソレーションプロセスの開口を規定するように実行され得る。規定された開口内で別のパターニングプロセスを実行して、先の規定された開口214内にシャロートレンチアイソレーションプロセスパターン244、246、248、250、および252を規定してもよい。
【0062】
シャロートレンチアイソレーションパターン244、246、248、250、および252のアレイの隣接したシャロートレンチアイソレーションパターンは、その後のアスペクト比トラッピングプロセスに望ましいアスペクト比と同じアスペクト比をそれぞれ有する一連の開口を規定する。シャロートレンチアイソレーションパターン244、246、248、250、および252の間の一連の開口を用いて、ゲルマニウム(または例えば、InGaAsおよびIII−V族材料などの他の半導体材料)を用いてアスペクト比トラッピングプロセスが行われて、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造が形成される。
図1dまたは
図7に関連した上述のように、アスペクト比トラッピング構造を過度成長させることによって、または隣接したアスペクト比トラッピング構造のエピタキシャル横方向過度成長部を結合させることによって、大きなART部分を開口上およびシャロートレンチアイソレーションパターン上に形成することができる。成長プロセスに関係なく、アスペクト比トラッピング部264は、基板(例えばシリコン基板)と実質的に同一平面上にある上面を有し得るか、またはシリコン基板の上面よりも上にある上面をあり得る。よって、アスペクト比トラッピング構造(例えば264)上に形成された半導体デバイス(または構造)は、基板の上面に形成された別の半導体デバイス(例えばソース256、ゲート258、およびドレイン260を有するトランジスタ)と実質的に同一平面上にあり得る。続いて、p-i-n構造が、大きなアスペクト比トラッピング部に形成され得る。具体的には、p領域およびn領域は、適当なドーパントで真性の大きなアスペクト比トラッピング部分をドーピングすることによって得ることができる。真性i領域は、例えば1ミクロン以上、1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または5〜10ミクロンの大きなサイズを有し得る。
【0063】
絶縁構造254は、シャロートレンチアイソレーションプロセスによって形成され得る。ソース256、ゲート258、およびドレイン260を有するトランジスタは、例えばCMOSプロセスなどの標準のシリコンプロセスを用いることによってシリコン基板上に形成され得る。センサ214のp-i-n構造のp領域は、接地される。p-i-n構造のn領域は、トランジスタ208のゲートに接続される。
【0064】
例えば光検出器、トランジスタ、LED、またはレーザーなどの半導体デバイスをエピタキシャル結晶アスペクト比トラッピング構造の無転位領域上に形成する以外に、半導体デバイスは、隣接したアスペクト比トラッピング構造同士の間の結合領域上に代替的に形成され得、その例は、
図15に図示される。
図15を参照して、例えばシリコン基板などの半導体基板であり得る基板269が提供される。誘電体層270が基板上に堆積され、続いて誘電体層に開口を形成するようにパターニングされる。アスペクト比トラッピングプロセスが実行されて、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造280および282が形成され得る。アスペクト比トラッピング構造を過度成長させることによって、隣接したアスペクト比トラッピング構造280および282のエピタキシャル横方向過度成長部分は結合して、結合領域272を形成し得る。例えばp-i-n構造もしくはp-n接合などの半導体デバイス276、トランジスタ、または他の半導体デバイスが、結合領域272上、または結合領域272内に形成され得る。構成要素276は代替的に、例えばアスペクト比トラッピング構造280の非結合領域などの非結合アスペクト比トラッピング領域に形成され得る要素278を更に含む半導体デバイス274の一要素であり得る。
【0065】
図15に関連した上述のように誘電体パターンによって規定された開口に形成された隣接したアスペクト比トラッピング構造の結合領域上に半導体デバイスを形成する代わりに、半導体デバイスは、基板、トレンチ、シャロートレンチアイソレーショントレンチ、または開口に形成された隣接したアスペクト比トラッピング構造の結合領域上、または結合領域内に形成され得、その例は
図16に図示される。
【0066】
図16を参照して、アスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造286および288は、例えばシリコン基板などの半導体基板であり得る基板269のシャロートレンチアイソレーショントレンチから形成され、トレンチの側壁は、酸化物材料または他の適当な材料を含み得る誘電体層271および273によって覆われる。誘電体層は、
図12の誘電体層243と同じ方法で形成され得る。アスペクト比トラッピング構造286および288のエピタキシャル横方向過度成長部分は、結合して結合領域290になる。例えばp-i-n構造またはp-n接合などの半導体デバイス294、トランジスタ、または他の半導体デバイスは、結合領域290上、または結合領域290内に形成され得る。構成要素294は代替的に、例えばアスペクト比トラッピング構造286の非結合領域などの非結合アスペクト比トラッピング領域に形成され得る要素296を更に含む半導体デバイス292の一要素であり得る。
【0067】
上述の方法だけでなく、非シリコンベースの半導体デバイスのシリコンプロセスへの統合は、代替的に緩衝層を用いることで達成することができる。傾斜緩衝層は、例えばシリコン上のヘテロエピタキシャル成長などのヘテロエピタキシャル成長に非常に有用であり得る。例えば、傾斜緩衝層は、狭いトレンチ領域(例えばアスペクト比トラッピングの例のシャロートレンチアイソレーショントレンチ構造)と比べて、比較的大きい面積でのヘテロエピタキシー(例えばシリコン内)に用いられ得る。
図17は例を図示している。
図17を参照して、例えばゲルマニウム(または例えばInGaAsおよびIII−V族半導体材料などの他の半導体材料)半導体デバイス(例えばp-nまたはp-i-n構造)などの非シリコンベースの半導体デバイスをシリコン基板上に形成するために、選択された半導体材料を備えた傾斜緩衝層がシリコン基板上に堆積される。傾斜緩衝層は、例えば100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または100ミクロン以上、1ミリメータ以上、200ミリメータ以上、500ミリメータ以上、1センチメータ以上、または10ミクロン〜数センチ、例えば、10ミクロン〜500ミクロン、10ミクロン〜1ミリメータ、10ミクロン〜500ミリメータ、または10ミクロン〜1センチメータなどのサイズ(例えば横寸法または縦寸法)を有し得る。傾斜緩衝層は、他の例では、他の適当な横寸法/縦寸法を有し得る。
図17に示されるような特定の例では、例えば窒化チタンなどの選択された誘電材料の誘電パターン302がシリコン基板304上に形成され、開口を規定する。ゲルマニウムp-nダイオードをシリコン基板304に形成するために、ゲルマニウムの傾斜緩衝層298がシリコン基板304上の開口に堆積される。他の例では、緩衝層は、例えばヒ化ガリウム、III−V族半導体材料(例えば、シリコンゲルマニウム、インジウムガリウムヒ素、およびリン化インジウム)、またはヒ化ガリウム/リン化インジウム/インジウムガリウムヒ素の積層などの他の適当な材料を含み得る。傾斜緩衝層は、例えばエピタキシャル技術および他の適当な技術などのさまざまな方法で形成され得る。
【0068】
次に、ゲルマニウムp-nダイオード300がゲルマニウムの傾斜緩衝層298上に形成され得る。なお、シリコン基板304上に形成される異なる半導体デバイスに依存して、傾斜緩衝層は、その上に形成される半導体デバイスに適合する異なる材料を含み得る。
【0069】
傾斜緩衝層は、
図18に図示されるように、半導体基板に形成されるシャロートレンチアイソレーショントレンチなどのトレンチに半導体デバイスを形成するために用いることもできる。
図18を参照して、シャロートレンチアイソレーショントレンチがシリコン基板304に形成される。トレンチの側壁は、酸化物材料または他の適当な材料を含み得る誘電体層299によって覆われる。誘電体層は、
図12の誘電体層243と同じ方法で形成され得る。傾斜緩衝層298はシャロートレンチアイソレーショントレンチに堆積される。緩衝層およびシリコン基板上に形成される半導体デバイスに依存して、傾斜緩衝層は異なる材料を含み得る。ゲルマニウムp-nダイオードが形成される
図18に示される例では、傾斜緩衝層は、それに対応してゲルマニウムに適合する材料を含む。ゲルマニウムp-nダイオード300が緩衝層298上に形成される。
【0070】
傾斜緩衝層は、それ自体が実質的に欠陥(例えば転位欠陥)のない層(free layer)を含み得、半導体デバイス(例えば、トランジスタ、光検出器、太陽電池、または他のデバイス)を形成するためのデバイス層がこのような欠陥フリー層(defect free layer)上に形成され得る。傾斜緩衝層は、例えば100ナノメータ以上、500ナノメータ以上、1ミクロン以上、2ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、または100ミクロン以上、1ミリメータ以上、200ミリメータ以上、500ミリメータ以上、1センチメータ以上、または10ミクロン〜数センチ、例えば、10ミクロン〜500ミクロン、10ミクロン〜1ミリメータ、10ミクロン〜500ミリメータ、または10ミクロン〜1センチメータなどのサイズ(例えば横寸法または縦寸法)を有し得る。傾斜緩衝層は、他の例では、他の適当な横寸法/縦寸法を有し得る。傾斜緩衝層は、基板(例えばシリコン基板)上に、または基板に形成された例えばトレンチ(例えばシャロートレンチアイソレーショントレンチもしくは他のタイプのトレンチ)の領域に、または基板の上の誘電体もしくは絶縁体に形成され得る。
【0071】
図19aを参照して、光検出器の例示的なアレイの一部の断面図が図示されている。高濃度ドープp+領域がシリコン基板に形成される。続いてp+領域は、光検出器の下部コンタクトとして用いられ得る。この例では低温酸化物(LTO)材料を含む誘電体層が、シリコン基板上(例えばシリコン基板のp+領域上)に堆積される。堆積された低温酸化物層はパターニングされて開口を形成し、シリコン基板、特にシリコン基板のp+領域を露出する。例えばゲルマニウムまたはIII−V族半導体材料などの選択された材料のアスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶構造が開口内に形成される。アスペクト比トラッピング構造は、欠陥領域を通過するまで原位置(in-situ)ドーピングで成長され得る。原位置ドープされた欠陥領域はp型領域として形成され得る。アスペクト比トラッピングプロセスは、膜厚(例えばL)が、光検出器が検出するように設計されている可視光、紫外光、および/または赤外光などの入射光の所望の吸収レベルを可能にするのに十分となるまで継続し得る。続いて、アスペクト比トラッピング構造の上部が、n型領域を形成するのに適切な材料でドープされ得る。
【0072】
図19aの光検出器の上面図が
図19bに図示される。
図19bを参照して、簡易化と説明のために3つの光検出器が示される。上述のように、光検出器のアレイは任意の所望の数の光検出器を含み得る。
【0073】
図19aおよび
図19bの光検出器は、各光センサ(例えばp-i-n構造)のp、i、およびn領域がアスペクト比トラッピング構造の成長方向に沿って垂直に配列されるように構成されている。光検出の応用例では、検出される光は、センサの上部に向けられる。代替実施例では、検出される光は、
図20aに図示されるようにセンサの側面に沿って向けられ得る。
【0074】
図20aを参照して、高濃度ドープp+領域が真性シリコン基板に形成される。ゲルマニウムまたはIII−V族半導体材料を含むアスペクト比トラッピングエピタキシャル結晶材料が、例えば
図19aの低温酸化物材料を備えた誘電体層などの誘電体層の開口内に成長される。原位置(in-situ)注入により、p領域がアスペクト比トラッピング構造、特にアスペクト比トラッピング構造の欠陥領域に形成され得る。アスペクト比トラッピング構造は、真性領域を継続して形成する。原位置または他のドーピング技術により、n領域がアスペクト比トラッピング構造の上部領域に形成され得る。続いて、金属コンタクトがn領域上に、n領域と物理的に接触して形成され得る。
【0075】
光検出の応用例では、検出される光は、
図20aに図示されるように光検出器の側面から向けられている。この構成によって、光検出をシリコン基板と同一平面に生じさせることができる。また、これによって、アスペクト比トラッピング構造の膜厚成長が吸収深さから独立することができる。
【0076】
光検出器の上面図が
図20bに図示されている。
図20bを参照して、ゲルマニウム(または例えば、III−V族半導体材料などの他の半導体材料)のエピタキシャル結晶アスペクト比トラッピング構造が基板上(例えば、シリコン基板に形成された高濃度ドープp+領域上)に形成される。この例のゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造は、ゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造の長さ(上面図で)がシリコン基板の方向<110>に配列されるように配置されるが、本応用例は、これを限定するものではなく、他の配列方式も利用可能である。検出される入射光は、ゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造の側面に向けられる。
【0077】
図20aおよび
図20bに示されるような光検出器の電気的接続はさまざまな適切な構成を有することができ、その1つが
図21aおよび
図21bに図示される。
図21aを参照して、例示的な電気的接続方式が上面図に示される。n領域へのコンタクトおよびp領域へのコンタクトが提供される。各コンタクトは、特定のタイプ(例えばn型またはp型)の光検出器の実質的に全ての領域に及び、かつ実質的に全ての領域に電気的に接続される、少なくとも1つの延伸したコンタクトビーム(contact beam)を含む。例えば、n領域に接触する金属コンタクト310は、コンタクトビーム312を含む。コンタクトビーム312は、実質的に全てのアスペクト比トラッピング構造に及び、アスペクト比トラッピング構造のn領域に接続される。この接続は、金属コンタクトと光検出器のp-i-n構造のp領域およびn領域との接続を図示している
図21bにより良く示されている。
【0078】
金属コンタクト314は、例えばコンタクトビーム316などの少なくとも1つのコンタクトビームを含む。コンタクトビームは、実質的に全ての光検出器に及び、光検出器のp領域に電気的に接続される。この接続は、
図21bにより良く示されている。
【0079】
金属コンタクトとその指定領域と間の電気的接続の品質および信頼度を向上させるために、各コンタクトは、
図21aに図示されたように複数のコンタクトビームを含み得る。
図21aに示される例では、各金属コンタクトのコンタクトビームは、光吸収範囲L内で光検出器全体に均一に配置される。異なるコンタクトのコンタクトビームが交互に配置されてもよい。他の構成も適用可能である。例えば、1つの金属コンタクトの複数(例えば2つ以上)のコンタクトビームが、他のコンタクトの2つの隣接したコンタクトビーム同士の間に配置されてもよい。
【0080】
別の例示的な構成では、金属コンタクトの接触ビームは、全ての光検出器ではないが、あるグループの光検出器に接続され得る。1つのコンタクトビームに電気的に接続されていない光検出器は、別のコンタクトビームに電気的に接続され得る。言い換えれば、金属コンタクトは、2つの異なるグループの光検出器に電気的に接続される少なくとも2つのコンタクトビームを有し得、2つの異なるグループは、少なくとも1つの異なる光検出器を有し得る。
【0081】
上述の方法は、アスペクト比トラッピング構造の欠陥領域が半導体デバイスの残りの部分から電気的に分離されていないアスペクト比トラッピング構造内に半導体デバイスを形成するのに適用可能である。例えば、
図22は、アスペクト比トラッピング構造内に形成されたn-p-n接合を有する例示的な光検出器の断面図を図示している。
【0082】
図22を参照して、この例ではゲルマニウム(またはIII−V半導体材料)である非シリコンのアスペクト比トラッピング材料がシリコン基板上の開口内に成長される。開口は、シリコン基板上に堆積された誘電体層のパターニングから形成され得るか、またはシリコントレンチ内に形成されたシャロートレンチアイソレーショントレンチであり得る。
【0083】
ゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造は、例えば、底部に転位欠陥を含む領域などの欠陥領域を有する。n領域およびp領域は、ゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造の転位欠陥のない上部に形成することができる。特に、n-p-n接合は、ゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造の上面に近接して形成することができる。この例では、ゲルマニウムアスペクト比トラッピング構造の底部欠陥領域は、n-p-n接合またはゲルマニウム真性領域から電気的に分離されていない。検出される光は、光検出器の側面から向けられる。
【0084】
なお、例えば、
図19a〜
図22に関連した上述の光検出器などの半導体デバイスは、シャロートレンチアイソレーショントレンチまたは他のタイプのトレンチなどのトレンチ構造に形成することができる。トレンチは、基板(例えば、必要ならば誘電体層がトレンチの側壁上に形成された)内に形成され得るか、または基板上の誘電体(または絶縁体)層に形成され得る。
【0085】
上述のように、本発明の教示内容にはさまざまな用途がある。アスペクト比トラッピング技術に限定されることなく、本発明の教示内容はアスペクト比トラッピング技術内でさまざまな用途がある。例えば、本発明に開示された方法の例は、半導体デバイスの光検出器(例えば赤外光、紫外光)を形成するのに用いることができる。また、本発明に開示された方法の例は、半導体デバイスのセンス領域(例えば赤外光、紫外光)にp-n接合またはp-i-n構造を用いてセンサを形成するのに用いることができる。本発明はさまざまなデバイスを含み得る。本発明はこれらのデバイスに限定されることなく、特に、混合信号応用例、電界効果トランジスタ、量子トンネル素子(quantum tunneling devices)、発光ダイオード、レーザーダイオード、共鳴トンネルダイオード、および光起電力デバイスに適用可能であり、特にアスペクト比トラッピング技術を用いる上述の素子に適用可能である。“Aspect Ratio Trapping for Mixed Signal Applications”と題された2007年9月18日に出願された出願番号第11/857、047号、“Tri-Gate Field-Effect Transistors formed by Aspect Ratio Trapping”と題された2007年9月26日に出願された出願番号第11/861、931号、“Quantum Tunneling Devices and Circuits with Lattice-mismatched Semiconductor Structures”と題された2007年9月27日に出願された出願番号第11/862、850号、“Light-Emitter-Based Devices with Lattice-mismatched Semiconductor Structures”と題された2007年10月19日に出願された出願番号第11/875、381号、および“Photovoltaics on Silicon”と題された2007年4月9日に出願された出願番号第12/100、131号は全て、本発明の態様が特に適用される実施例を提供するとして、引用によって本願に援用される。
【0086】
シリコンCMOSデバイスは、本発明の例より前に処理され得るので、CMOSデバイスに統合された本発明に基づいた例えば発光ダイオードまたは光起電力素子などのデバイスの例が製造され得る。また、開示された例に基づいた構造および/または方法は、次世代CMOSおよびさまざまな他の応用例に用いる非シリコンチャネルまたは活性領域の統合に用いることができる。
【0087】
本明細書中の“1つの実施例”、“一実施例”、“例示的な実施例”、“例”などのあらゆる言及は、実施例に関連して記述される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。明細書のさまざまな箇所に出現するこのような表現は、必ずしも全て同じ実施例を指すとは限らない。また、特定の特徴、構造、または特性がいずれかの実施例に関連して説明される時、それは当業者の範囲内にあると考えられ、他の実施例に関連したこのような特徴、構造、または特性に影響する。また、理解しやすいように、特定の方法の手順が別個の手順として記述される場合があるが、これらの別個に記述された手順は、それらの機能に依存して必要な順序であると解釈されるべきではない。即ち、いくつかの手順は、他の順序で、または同時に実行することができる。また、例示的な図は、本発明の実施例に基づいたさまざまな方法を示している。このような例示的な方法の実施例は、対応する装置の実施例を用いて説明され、且つそれに適用可能であるが、これらの方法の実施例は、これによって限定されることが意図されない。
【0088】
本発明のいくつかの実施例しか図示および説明されていないが、本発明の原理及び思想を逸脱することなくこれらの実施例に変更が加えることができることが当業者に認識されるであろう。よって、前述の実施例は、本明細書中に記述される発明を限定するものでなく、あらゆる局面において例示的であると考えられる。よって本発明の範囲は、前述の説明によってでなく、添付の請求の範囲によって示され、請求の範囲と等価な意義と範囲内にある全ての変更は、この中に含まれることが意図される。本明細書中に用いられるように、“好ましくは”という用語は、包括的であり、“好ましくは、しかしこれに限定されない”という意味である。請求の範囲における用語には、この明細書に記載したような一般的な発明の概念と一致する最も広義な解釈が与えられるべきである。例えば、“結合”および“接続”(およびその派生語)という用語は、直接および間接の接続/結合の両方の意味を含むとして用いられる。別の例として、“有する”および“含む(including)”、その派生語および類似の移行語または移行句は“備える(comprising)”(即ち、全て“非限定(open ended)”の用語として見なされる)と同義に用いられ、“〜から成る”および“実質的に〜から成る”という言い回しのみが“限定(close ended)”と見なされるべきである。請求項は、“〜のための手段”という言い回し、および関連機能が請求項に現れない限り、および請求項がそのような機能を実行するための十分な構造を記載していない限り、第112条第6項の下で解釈されることが意図されない。