特許第5936338号(P5936338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936338
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】口腔衛生具用収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20160609BHJP
   B65D 43/02 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B65D77/20 D
   B65D43/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-265320(P2011-265320)
(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公開番号】特開2013-116756(P2013-116756A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 義幸
【審査官】 西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−001379(JP,A)
【文献】 特表2003−506268(JP,A)
【文献】 特開平07−101461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部及び前記頭部から延びる把持部を有する口腔衛生具が上下1段で収納され、前記口腔衛生具の背面側に開口面を有する容器本体と、
前記容器本体の開口面を開閉可能に閉じる蓋体と、
を備え、
前記容器本体は、前記頭部を収納する第1の収納部と、前記把持部を収納するとともに、少なくとも一部の底壁が前記第1の収納部の底壁よりも前記開口面寄りに位置し前記把持部の前面に近接する第2の収納部と、を有しており、
前記蓋体は、前記口腔衛生具の背面の少なくとも一部に近接するよう前記容器本体側に突出する凸部が形成されている、口腔衛生具用の収納容器。
【請求項2】
頭部及び前記頭部から延びる把持部を有する口腔衛生具が収納され、前記口腔衛生具の背面側に開口面を有する容器本体と、
前記容器本体の開口面を開閉可能に閉じる蓋体と、
を備え、
前記容器本体は、前記頭部を収納する第1の収納部と、前記把持部を収納するとともに、少なくとも一部の底壁が前記第1の収納部の底壁よりも前記開口面寄りに位置し前記把持部の前面に近接する第2の収納部と、を有しており、
前記蓋体は、前記口腔衛生具の背面の少なくとも一部に近接するよう前記容器本体側に突出する凸部が形成され、
前記第2の収納部は、側壁の少なくとも一部が前記把持部の側面に近接するよう内側に突出している口腔衛生具用の収納容器。
【請求項3】
前記第2の収納部は、側壁の少なくとも一部が前記把持部の側面に近接するよう内側に突出している、請求項1に記載の収納容器。
【請求項4】
前記第2の収納部は、前記口腔衛生具の頭部を上側にして当該収納容器を自立させるための脚部を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の収納容器。
【請求項5】
前記容器本体は、前記開口面が形成された基台部をさらに有し、
当該基台部が、肩部を介して前記第1及び第2の収納部と接続されている、請求項1〜のいずれかに記載の収納容器。
【請求項6】
前記蓋体は、凸状周縁部が、前記肩部に沿うとともに前記肩部と前記第1の収納部との境界を越えて延びるように形成されている、請求項に記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔衛生具用の収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、フロスピックや歯ブラシといった口腔衛生具は、収納容器に収納された状態で運搬され、また、店舗において陳列及び販売されている。この口腔衛生具用の収納容器としては、いわゆるブリスター容器が広く用いられており、このブリスター容器は、一般的に、口腔衛生具を収納した容器本体、及び容器本体を保持する台紙を備えており、内部の口腔衛生具を視認することができるよう、容器本体が透明の合成樹脂で形成されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−213475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような収納容器は、特に口腔衛生具に沿う方向の押圧力に対する強度が十分でなく、運搬又は携帯された際に変形してしまうことがあるという問題があった。つまり、上記のような口腔衛生具は、例えば、図9に示すように、頭部hが把持部gから突出した形状をしており、それを収納するブリスター容器は、当該形状に沿うように凹凸が形成されることが多い。そのため、凹部と凸部との境界に力がかかりやすく、当該境界において容器が変形しやすいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、変形が生じにくい口腔衛生具用の収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る口腔衛生具用の収納容器は、上記課題を解決するためになされたものであり、頭部及び前記頭部から延びる把持部を有する口腔衛生具が収納され、前記口腔衛生具の背面側に開口面を有する容器本体と、前記容器本体の開口面を開閉可能に閉じる蓋体と、を備え、前記容器本体は、前記頭部を収納する第1の収納部と、前記把持部を収納するとともに、少なくとも一部の底壁が前記第1の収納部の底壁よりも前記開口面寄りに位置し前記把持部の前面に近接する第2の収納部、を有しており、前記蓋体は、前記口腔衛生具の背面の少なくとも一部に近接するよう前記容器本体側に突出する凸部が形成されている。
【0007】
上記収納容器は、第2の収納部の底壁及び蓋体の凸部が口腔衛生具の前面及び背面にそれぞれ近接するよう設けられているため、口腔衛生具に沿う方向の押圧力がこの収納容器に作用し容器本体及び蓋体が撓んだ場合、第2の収納部の底壁及び蓋体の凸部が口腔衛生具に当接する。これにより、口腔衛生具によって容器本体及び蓋体が支持されるため、容器本体及び蓋体が変形するのを抑制することができる。また、上記収納容器は、第2の収納部の少なくとも一部の底壁が第1の収納部の底壁よりも開口面寄りに位置することによって容器本体の底面に凹凸が形成されているが、この容器本体の凹部と凸部との境界に力が掛かった場合も、内部の口腔衛生具が容器本体及び蓋体を支持するため、容器本体及び蓋体が変形するのを抑制することができる。
【0008】
また、上記収納容器において、第2の収納部は、側壁の少なくとも一部が内側に突出していてもよい。この構成によれば、当該突出部を口腔衛生具の把持部の側面に近接させることで、第2の収納部の側壁によって容器本体内で口腔衛生具が移動するのを規制することができ、容器本体内で口腔衛生具がばらつくのを抑制できる。これにより、口腔衛生具の剛性を利用して第2の収納部を補強でき、容器本体及び蓋体が変形するのを抑制することができる。
【0009】
また、上記収納容器において、第2の収納部は、収納容器を自立させるための脚部を有することができる。これにより、店頭等において、台紙等を用いて吊り下げなくても、口腔衛生具の頭部を上側にし、収納容器を自立させて陳列することができる。
【0010】
また、上記収納容器において、容器本体は、開口面が形成された基台部をさらに有し、当該基台部は、肩部を介して第1及び第2の収納部と接続されていてもよい。この構成によれば、口腔衛生具に沿う方向の押圧力が収納容器に作用した場合であっても、肩部によって第1及び第2の収納部が外側に膨らむのを防ぐことができるため、第1及び第2の収納部、特に第1及び第2の収納部の境界付近が変形するのを抑制することができる。
【0011】
各収納部が肩部を介して基台部と接続されている場合、蓋体は、凸状周縁部が肩部に沿うとともに、肩部と第1の収納部との境界を越えて延びるように形成されていることが好ましい。この構成によれば、蓋体の凸状周縁部により、肩部と第1の収納部との境界、さらに第1の収納部と第2の収納部との境界が支持されることとなるため、これらの境界で収納容器が変形するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、口腔衛生具用の収納容器の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る収納容器の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る収納容器における容器本体の正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る収納容器における容器本体の平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る収納容器における容器本体の右側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る収納容器における蓋体の平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る収納容器における蓋体の右側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る収納容器の右側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る収納容器における収容袋の平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る口腔衛生具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る口腔衛生具用の収納容器の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態に係る収納容器10は、図1に示すように、複数のフロスピックP(口腔衛生具)が収納された容器本体1と、容器本体1の開口面を開閉可能に閉じる蓋体2と、を備えている。なお、本実施形態においては、説明の便宜上、図9に示すように、フロスピックPにおいて、頭部hが突出している側(図9では左側)を「前面」、その反対側を「背面」と称し、また、収納容器10において、フロスピックPの軸方向に沿う方向を「縦幅方向」、縦幅方向に直交する方向を「横幅方向」と称することとする。
【0016】
容器本体1は、図2に示すように、フロスピックPの頭部hを収納する第1の収納部12と、フロスピックPの把持部gを収納する第2の収納部13と、開口面141が形成された基台部14と、を備えている。第1の収納部12は、頭部hに沿うような形状に形成され、図2に示すように、底壁121と、前壁122及び、この前壁122に対向し第2の収納部13に向けて傾斜する後壁123と、対向する一対の側壁124と、を備えている。
【0017】
第2の収納部13は、図2及び図3に示すように、第1の収納部12に隣接する隣接部131と、脚部132と、により構成されている。隣接部131は、第1の収納部12の後壁123と連続して設けられる底壁1311と、対向する一対の側壁1312と、を備えている。隣接部131の底壁1311は、第1の収納部12の底壁121よりも開口面141寄り(図2では上方)に位置しており、把持部gの前面に近接している。隣接部131の側壁1312は、第1の収納部12の側壁124よりも内側に突出しており、複数収納されたフロスピックPがばらつかないよう、両端のフロスピックPの把持部gの側面に近接している。この隣接部131において、底壁1311と把持部gの前面との間隔は、通常0〜3mm、好ましくは0〜1mmとすることができ、また、側壁1312と把持部gの側面との間隔は、通常0〜7mm、好ましくは0〜3mmとすることができる。
【0018】
脚部132は、収納容器10を自立させるためのものであり、図2に示すように、隣接部131の底壁1311と連続して設けられる前壁1321と、この前壁1321と対向する後壁1322と、底壁1323と、対向する一対の側壁1324と、を備えている。脚部132の前壁1321は、第1の収納部12の後壁123とは反対側に向けて傾斜する傾斜面となっており、側壁1324は、隣接部131の側壁1312よりも外側に突出し、第1の収納部12の側壁124とほぼ同じ面上に位置している。また、底壁1323は、隣接部131の底壁1311よりも図2において下方に位置している。この脚部132及び基台部14を合わせた高さH1は、フロスピックPの形状や重量、及び収納容器10の縦幅方向の長さによって異なり、容器を自立させることができるのであれば特に限定されないが、収納容器10の自立時に収納容器10が倒れないよう、第1の収納部12及び基台部14を合わせた高さH2の30%以上に設定されることが好ましい。また、脚部132は、後壁1322に補助支持部1325が突設されている。この補助支持部1325は、収納容器10をほぼ垂直に自立させることができるよう、先端部1326の縦幅方向の位置が、後述する基台部14の第1のフランジ142の先端部とほぼ同じであることが好ましく、具体的には、縦幅方向において、先端部1326は、第1のフランジ142の先端部の内側7mm〜外側5mmに位置していることが好ましい。なお、フロスピックPの両端側における第1及び第2の収納部12,13の角部16は、接触により潰れて容器本体1が変形することを防止できる点から、面取りされていることが好ましい。
【0019】
図4に示すように、基台部14は肩部15を介して第1及び第2の収納部12,13と接続されている。この基台部14の周縁から第1の収納部12までの距離D1は、長すぎると、フロスピックPに沿う方向(縦幅方向)の押圧力が収納容器10に作用した場合に、第1及び第2の収納部12,13が外側に膨らむのを肩部15によって防ぐ効果が弱まってしまうため、0.1〜20mmとすることが好ましく、0.1〜3mmとすることがより好ましい。また、基台部14の周縁から第2の収納部13の隣接部131までの距離D2も距離D1と同様に大きすぎないことが好ましく、0.1〜25mmとされることが好ましく、0.1〜10mmとすることがより好ましい。また、基台部14は、図2及び図3に示すように、蓋体2により閉じられる開口面141が形成されており、この開口面141の周縁部には第1のフランジ142が設けられている。また、基台部14は、その内側面の角部に、後述する蓋体2の被嵌合凹部221に嵌合する嵌合凸部143が形成されている。
【0020】
蓋体2は、容器本体1の開口面141を開閉可能に閉じるものであり、図5図7に示すように、平面部21と、平面部21の周縁のほぼ全周に亘って平面部21の板面から容器本体1側に突出するよう設けられた凸状周縁部22と、第2のフランジ23と、を備えている。蓋体2は、この凸状周縁部22が容器本体1の開口面141に嵌合することで、容器本体1に着脱自在に取り付けられる。すなわち、凸状周縁部22の角部には被嵌合凹部221が形成されており、蓋体2が容器本体1に取り付けられた際、この被嵌合凹部221に容器本体1の嵌合凸部143が嵌合することで、蓋体2が容器本体1から容易に外れないようになっている。
【0021】
凸状周縁部22は、蓋体2が容器本体1に取り付けられたとき、図7に示すように、その下面が容器本体1の肩部15に近接するとともに、容器本体1の側壁においては、肩部15に沿って縦幅方向に延びている。また、凸状周縁部22は、肩部15と第1の収納部12及び脚部132との境界17を横幅方向に越えて延びる、つまり、第1の収納部12の側壁124及び後壁123の境界と肩部15との交点Sを横幅方向に越えて延びるように、その幅D3が設定されている(図5)。凸状周縁部22の周囲には、第2のフランジ23が設けられており、この第2のフランジ23には蓋体2を開ける際に把持されるつまみ部231が形成されている。
【0022】
蓋体2は、図5に示すように、第1の部分24及び第2の部分25に分けられており、凸状周縁部22も、第1の部分24に設けられている部分と、第2の部分25に設けられている部分と、に分割されている。第1の部分24と第2の部分25との間に、蓋体2の縦幅方向に沿って延びるとともに両端が凹状となったヒンジ部26を形成させることで、蓋体2は、このヒンジ部26の中央線を軸にして第1の部分24だけが容器本体1に対して開閉する。また、ヒンジ部26の中央線には、破線状の切り込みが形成されているため、第1の部分24の開閉が容易となっている。なお、第2の部分25は、容器本体1に接着等により固定されているのが好ましい。これにより、第2の部分25が容器本体1から外れないようになるため、凸状周縁部22が境界17等を確実に支持し、容器本体1が折れ曲がるのをより一層抑制することができる。
【0023】
第1及び第2の部分24,25は、図5及び図7に示すように、蓋体2の横幅方向に沿って延びるとともに容器本体1側に突出する第1及び第2の凸部241,251が設けられている。この第1及び第2の凸部241,251は、凸状周縁部22と一体的に形成されており、フロスピックPの両端側の背面に近接している。この第1及び第2の凸部241,251とフロスピックPの背面との間隔は、通常0〜3mm、好ましくは0〜1mmとすることができる。これにより、容器本体1内でフロスピックPが移動するのを規制し、容器本体1内でばらつくのを抑制できることから、収納部全体をフロスピックPの剛性を利用して補強でき、容器本体1及び蓋体2の変形を防ぐことができる。また、第1及び第2の凸部241,251と肩部15との間隔は、通常0〜7mm、好ましくは0〜3mmとすることができる。
【0024】
また、第1及び第2の部分24,25は、図5に示すように、それぞれ、凸状周縁部22の内側において、容器本体1側に突出し概ね蓋体2の縦幅方向に沿って延びる第3及び第4の凸部242,252が形成されている。この第3の凸部242と第4の凸部252との間には、フロスピックPを収容するための収容袋Bがヒンジ部26を跨るように配置され(図8)、第3及び第4の凸部242,252によって、収納容器10内における収納袋Bの動きを規制することができる。この収容袋Bにより、例えば、収納容器10を自立させたり、収納部を上面にして置いたりしたときに、容器本体1内においてヒンジ部26に対応する位置にあるフロスピックPが、ヒンジ部26の凹状の溝内に落下するのを防止することができる。なお、第3及び第4の凸部242,252も、第1及び第2の凸部241,251と同様、フロスピックPの背面に近接していることが好ましい。また、第3及び第4の凸部242,252は、概ね蓋体2の縦幅方向に沿って延びるように形成されることから、蓋体2の縦幅方向の押圧力に対する強度を高め、容器本体1及び蓋体2を嵌合したときの収納容器10が変形するのを抑制することができる。
【0025】
容器本体1及び蓋体2は、収納容器10内のフロスピックPを外部から視認することができるよう、透明または半透明であることが好ましい。容器本体1及び蓋体2の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。
【0026】
上記構成の収納容器10を使用する場合、まず、容器本体1を手で保持した状態でつまみ部231を上方へと引き、容器本体1の開口面141と蓋体2の第1の部分24との嵌合を解除する。さらにつまみ部231を引いて第1の部分24を開き、容器本体1内からフロスピックPを必要な数だけ取り出した後、第1の部分24を容器本体1側に押し付けて、第1の部分24を開口面141に再び嵌合させる。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る収納容器10は、容器本体1における第2の収納部13の底壁1311がフロスピックPの把持部gの前面に近接するとともに、蓋体2の第1及び第2の凸部241,251がフロスピックPの背面に近接している。また、第2の収納部13の隣接部131の側壁1312は、第1の収納部12の側壁124よりも内側に突出しており、両端のフロスピックPの把持部gの側面に近接している。このため、収納容器10に縦幅方向の押圧力が作用し収納容器10が撓んだ場合でも、容器本体1及び蓋体2がフロスピックPに当接して支持されるとともに、フロスピックPを複数収納した場合に、収納容器10内においてフロスピックPがばらつくのを抑制できるため、フロスピックPの剛性を利用して収納部を補強でき、容器本体1及び蓋体2が変形するのを抑制することができる。ここで、底壁1311とフロスピックPの把持部gの前面との距離、ならびに蓋体2の第1及び第2の凸部241,251とフロスピックPの背面との距離が小さいほど、収納容器10とフロスピックPとの一体性が生まれ、より直接的にフロスピックの剛性を利用できるため、容器本体1及び蓋体2の変形を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、力がかかりやすい、第1の収納部12と第2の収納部13との境界、及び第2の収納部13の隣接部131と脚部132との境界の両方を、フロスピックPの把持部gの前面上に近接させることで、より優れた変形防止効果が得られる。
【0029】
また、本実施形態に係る収納容器10においては、肩部15を介して基台部14と第1及び第2の収納部12,13が接続されているため、口腔衛生具に沿う方向(縦幅方向)の押圧力が収納容器に作用した場合であっても、肩部15によって第1及び第2の収納部が外側に膨らむのを防ぐことができ、第1及び第2の収納部、特に第1及び第2の収納部の境界付近が変形するのを抑制することができる。
【0030】
本実施形態に係る収納容器10においては、蓋体2の凸状周縁部22が肩部15と第1の収納部12及び脚部132との境界17を横幅方向に越えて延びるような形状とされており、第1の収納部12の側壁124,後壁123,及び基台部14の交点S、並びに脚部132の側壁1324,前壁1321,及び基台部14の交点Sを凸状周縁部22で支持することができるため、第1の収納部12と第2の収納部13との境界、及び第2の収納部13の隣接部131と脚部132との境界で収納容器10が折れ曲がるのを抑制することができる。
【0031】
また、縦幅方向に延び両端部が凹状のヒンジ部26を設けることで、縦幅方向に延びる側壁261,262が形成されるため、当該部位において、蓋体2が縦幅方向に折れ曲がりにくくなる。このため、容器本体1及び蓋体2を嵌合したときの収納容器10の変形防止効果をさらに高めることができる。
【0032】
また、第3及び第4の凸部242,252が概ね蓋体2の縦幅方向に沿って延びていることで、第3及び第4の凸部242,252の側壁2421,2521が形成されるため、当該部位において、蓋体2が折れ曲がりにくくなる。(図1及び図5)。このため、容器本体1及び蓋体2を嵌合したときに、収納容器10のより優れた変形防止効果を得ることができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、容器本体1は、第1及び第2の収納部12,13が形成される基台部14が設けられていたが特にこれに限定されず、容器本体1が基台部14を有していなくてもよい。
【0034】
上記実施形態においては、第2の収納部13は、隣接部131の側壁1312がフロスピックPの側面に近接するように内側に突出していたが、隣接部131に加えて脚部132の側壁1324を内側に突出させてもよいし、隣接部131の側壁1312を内側に突出させなくてもよい。
【0035】
上記実施形態においては、第1の収納部12の後壁123及び脚部132の前壁1321は、底壁1311との境界を越えて開口面141に向けて傾斜しながら延びている。この構成によれば、隣接部131と、第1の収納部12および脚部132との境界に掛かる力を分散させることができるため好ましいが、当該後壁123及び前壁1321は、底壁1311との境界を越えさせなくても、傾斜させなくてもよい。
【0036】
また、第1の収納部12と第2の収納部13との境界、及び第2の収納部13の隣接部131と脚部132との境界の両方の境界が、フロスピックPの把持部gの前面上に位置していなくてもよく、どちらか一方の境界が把持部gの前面上に位置しているだけでもよい。
【0037】
上記実施形態においては、収納容器10を自立させられるよう第2の収納部13が脚部132を有していたが、この第2の収納部13が脚部132を有していなくてもよく、また、隣接部131が第2の収納部13の後端(図2における右側)まで延びていてもよい。また、隣接部131の底壁1311の少なくとも一部がフロスピッックPの把持部gの前面に近接していればよく、その他の第2の収納部の形状は特に限定されない。
【0038】
上記実施形態においては、第1の収納部12と第2の収納部13との境界、第2の収納部13の隣接部131と脚部132との境界、及び肩部15と第1の収納部12及び脚部132との境界は角をなしているが、当該境界は曲面で形成されていてもよい。
【0039】
上記実施形態においては、第1及び第2の凸部241,251は、蓋体2の凸状周縁部22と一体的に形成されていたが、凸状周縁部22とは別体として形成することもできる。また、第1及び第2の凸部241,251は、フロスピックPの頭部側及び把持部側に設けられていたが、フロスピックPの背面の少なくとも一部に蓋体の凸部を近接させることができれば凸部の位置は特に限定されない。さらに、蓋体2の平面部21はなくてもよく、蓋体2全体にわたって凸状に形成されていてもよい。
【0040】
上記実施形態においては、凸状周縁部22は、肩部15と第1の収納部12及び脚部132との境界17の縦幅方向全体に渡って延びているが、当該凸状周縁部22はなくてもよく、第1の収納部12の側壁124及び後壁123の境界と肩部15との交点Sを支持するように延びている程度でもよい。
【0041】
上記実施形態においては、ヒンジ部26の中央線を軸にして第1の部分24が開くように構成されていたが、蓋体2が開閉可能であれば特にヒンジ部26を設ける必要はない。
【0042】
上記実施形態においては、蓋体2は第3及び第4の凸部242,252を有していたが、蓋体2は当該構造を有していなくてもよい。
【0043】
上記実施形態においては、フロスピックPが、ヒンジ部26の凹状の溝内に落下するのを防止するための物品として収納袋Bを例示したが、素材は、紙や薄いフィルムなど、フロスピックPの背面と蓋体2との間に収納できるものであり、かつ当該効果を奏するものであれば特に限定されない。また、フロスピックPが、ヒンジ部26の凹状の溝内に落下するのを防止するための物品はなくてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、収納容器10内にフロスピックPが収納されていたが、本発明に係る収納容器内には、例えば、歯ブラシや歯間ブラシ等、種々の口腔衛生具を収納することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 収納容器
1 容器本体
12 第1の収納部
121 底壁
13 第2の収納部
1311 側壁
1312 底壁
14 基台部
15 肩部
17 境界
2 蓋体
22 凸状周縁部
241,251 凸部
P フロスピック(口腔衛生具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9