(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1〜第4の方位角全てにおける−60°〜−74°及び+60°〜+74°の視角の範囲の輝度の中の最大値に対して、前記第1〜第4の方位角全てにおける−40°〜+40°の視角の範囲における全ての輝度が、15%以下である、
請求項1記載のバックライト装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るバックライト装置を示す。本発明の一実施形態に係るバックライト装置11は、光偏向層16と光源13と導光板12と反射板14と光拡散層9とを備える。光源13と導光板12と反射板14とは、面状の光を生成する面発光部15を構成する。
図1に示した構成では、光出射面12aが面発光部15の光出射面15aに対応する。導光板12と光偏向層16とは、導光板12から出射された面状の光が光偏向層16に入射するように、所定方向に沿って配置されている。光偏向層16と光拡散層9とは、光偏向層16から出射された面状の光が光拡散層9に入射するように、所定方向に沿って配置されている。説明の便宜のため、上記「所定方向」をZ軸方向(第1の方向)と称し、Z軸方向に直交する2つの方向をX軸方向(第2の方向)及びY軸方向(第3の方向)と称す。X軸方向及びY軸方向は直交する。
【0021】
導光板12は、透光性材料から構成される。透光性材料の例には、メタアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが含まれる。導光板12の表面には、光出射面12aから出射される光の光量の面内分布を調整するために、ドット印刷、線状のV溝などが形成されてもよい。
【0022】
光源13は、導光板の端面12b,12cに配置される。光源13は、線状光源及び点状光源のいずれであってもよい。例えば、光源13として、冷陰極管や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などが用いられ得る。LEDを光源13として用いる場合は、例えば、赤色、青色及び緑色のそれぞれの色を発光する3つのLEDチップを備えた1つの白色発光のLEDでもよいし、又は、赤色、青色及び緑色のそれぞれの色を発光する3つのLEDを接続して一体化したLEDでもよい。更には、LEDは、青色発光LEDチップ又は近紫外発光LEDチップと蛍光体との組合せにより白色発光するLEDでもよい。
【0023】
光偏向層16は、導光板12の光出射面15a側に配置される。光偏向層16の例は、プリズムシートである。プリズムシートとしての光偏向層16は、バックライト装置11の長方形である発光面において光源が配置されている辺と平行な方向(
図1に示すY軸方向)に延在すると共に、延在方向と直交する方向(
図1に示すX軸方向)に並列配置された多数のプリズム部(第1プリズム部)16aを有する。多数のプリズム部16aは、バックライト装置11の長方形である発光面において光源が配置されている辺と垂直な面(プリズム部16aの延在方向(Y軸方向)に直交する面)で光偏向層16を切断したときの断面は、複数の三角形が連なった形状を有する。換言すれば、プリズム部16aの延在方向におけるプリズム部16aの断面形状は三角形状であり、複数のプリズム部16aは、断面における底辺が直線上に並ぶように連なっている。プリズムシートとしての光偏向層16は、プリズム部16aの延在方向に直交するプリズム部16aの断面において、三角形の前記底辺上に無い頂点16bを導光板12側に向けて設置されている。
【0024】
プリズムシートとしての光偏向層16では、プリズム部16aが形成された光入射側とは反対側の面16cに、複数のプリズム部(第2プリズム部)が形成されてもよい。この複数のプリズム部は、バックライト装置11の長方形である発光面において光源13が配置されている辺と垂直な方向(
図1に示すX軸方向)に延在すると共に、延在方向と直交する方向(
図1に示すY軸方向)に並列して配置され得る。
【0025】
バックライト装置11において、導光板12、光源13及び反射板14によって構成される面発光部15は、Z軸方向に直交する面内における、光源13から導光板12に向かう方向(X軸方向)に対する4つの所定の方位角Ψ全部について、導光板12の光出射面12aから出射される光が測定された際、導光板12から出射される光の輝度が所定の条件を満たすように、構成されている。
【0026】
輝度の測定方法の一例では、X軸方向が鉛直方向に一致するように、面発光部15が配置される。例えば、端面12bから端面12cに向かう方向(換言すれば、端面12b側の光源13から導光板12に向かう方向)が鉛直方向において上方向になるように面発光部15が配置される。この場合、上記4つの所定の方位角Ψは、鉛直方向(X軸方向)における上方向を0°の方位角としたときに、上方向とのなす角度が0°である第1の方位角Ψ1、上方向とのなす角度が45°である第2の方位角Ψ2、上方向とのなす角度が90°である第3の方位角Ψ3及び上方向とのなす角度が135°である第4の方位角Ψ4である。X軸方向を鉛直方向としたとき、Z軸方向は実質的に水平方向である。
【0027】
導光板12から出射される光の測定では、第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てに対して導光板12から出射される光の、光出射面12a内の測定対象点から一定距離の輝度が、光出射面12aの法線の方向(Z軸方向)に対して−40°〜+40°の視角の範囲において測定されると共に、−60°〜−74°及び+60°〜+74°の視角の範囲においても測定される。導光板12における上記所定の条件は、上記第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てにおける−60°〜−74°及び+60°〜+74°の視角の範囲の輝度の中の最大値に対して、上記第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てにおける−40°〜+40°の視角の範囲におけるすべての輝度が、40%以下である。好ましくは、前記第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てにおける−60°〜−74°及び+60°〜+74°の視角の範囲の輝度の中の最大値に対して、第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てにおける−40°〜+40°の視角の範囲におけるすべての輝度が、15%以下である。
【0028】
図3は、上記所定の条件を満たす導光板12からの出射光の輝度の角度分布の一例である。
図3は、第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4において導光板12から出射された光を測定した結果を示す。
図3の横軸は、光出射面12aの法線の方向(Z軸方向)に対する視角を表す角度(°)であり、縦軸は輝度(cd/m
2)である。輝度の測定結果を示す曲線のうち、実線は方位角が0°(実線は、
図3のグラフの左方では方位角が45°及び90°の場合をそれぞれ示す太実線及び点線と一部重なっている。)、太実線は方位角が45°(太実線は、
図3のグラフの左方では方位角が0°及び90°の場合をそれぞれ示す実線及び点線と一部重なっている。)、点線は方位角が90°(点線は、
図3のグラフの右方では方位角が135°の場合を示す破線と一部重なり、
図3のグラフの左方では方位角が0°及び45°の場合をそれぞれ示す実線及び太実線と一部重なっている。)、破線は方位角が135°(破線は、
図3のグラフの右方では方位角が90°の場合を示す点線と一部重なっている。)における測定結果を示す。
図3の左右端に記載された二点鎖線で描かれた長方形は−60°〜−74°及び+60°〜+74°の視角の範囲を示す。
図3の中央下付近の一点鎖線で描かれた長方形は−40°〜+40°の視角の範囲を示す。
【0029】
図3に示した輝度の測定結果では、−74°〜−60°及び+60°〜+74°の視角の範囲の輝度の中の最大値は方位角0°(第1の方位角Ψ1)において現われており、
図3の縦軸の単位で、最大値は、1.4×10
4である。前記第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てにおける−40°〜+40°の視角の範囲における全ての輝度は、
図3の縦軸の単位で1.5×10
3以下である。従って、第1〜第4の方位角Ψ1〜Ψ4全てにおける−40°〜+40°の視角の範囲における全ての輝度は、上記最大値である1.4×10
4の40%(5.6×10
3)以下であり、15%(2.1×10
3)以下でもある。
【0030】
導光板12の好ましい実施形態は、断面が台形の板である導光板である。断面が台形である導光板12では、端面12b,12cは、それぞれ台形の上底(短い方の辺)と下底(長い方の辺)に対応する端面である。従って、端面12bから端面12cに向けて厚さが減少する。一実施形態において、光出射面12aと、端面12b,12cそれぞれとは、略直交する。断面が台形の板である導光板12は、例えば、導光板12の光出射面12aと反対側における面(反射板14側の面)のZ軸方向との交差角度を調整すること、及び/又は、前述したように、導光板12の表面に印刷ドット、V溝などを形成することによって、上記条件を満たすように設計され得る。
【0031】
さらに好ましい実施形態の導光板12は、断面が台形の2枚の板121,121が、台形の上底(短い方の底)を共有するように接して一体化した形状を有する(
図1)。2枚の板121,121が、上記のように一体化した形状を有する導光板12では、光出射面12aは、板121,121のそれぞれの台形状の断面における一側辺に対応する平面で構成される。導光板12の端面12b,12cは、各板121,121の断面における下底に対応する面である。従って、板121,121が結合した構成の導光板12では、
図1に例示するように、端面12b、12cから中央部に向けて厚さが減少する。2枚の板121,121のそれぞれは、導光板12の光出射面12aとz軸方向とが実質的に直交するように、配置される。板121,121が結合した導光板12では、例えば、導光板12を構成する2枚の板121,121それぞれの光出射面12aと反対側における面(反射板14側の面)のZ軸方向との交差角度を調整すること、及び/又は、導光板12の表面に印刷ドット、V溝などを形成することによって、上記条件を満たすように設計され得る。
【0032】
光偏向層16の材料の例には、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが含まれる。プリズムフィルムは、異形押出法、プレス成形法、射出成形法、ロール転写法、レーザーアブレーション法、機械切削法、機械研磨法、及びフォトポリマープロセスなどの公知の方法で製造され得る。
【0033】
フォトポリマープロセスで製造される際は、材料として、いわゆる電離放射線硬化型樹脂と呼ばれるものが用いられ得る。電離放射線硬化型樹脂に例には、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエステルなどから合成されるような多官能のウレタンアクリレートなどが含まれる。これらの方法は、それぞれ単独で使用されてもよいし、あるいは2種以上の方法が組み合わされてもよい。光偏向層16の厚みは、通常、0.05〜5mmであり、好ましくは0.1〜2mmである。各プリズム部(第1プリズム部)16aの稜線間の距離Lは、通常、10〜500μmの範囲であり、好ましくは30〜200μmの範囲である。
【0034】
反射板14は、導光板12の下面12d側(出射面とは反対側)に設置される。この反射板14は、導光板12の下面から12dから出射された光(洩れた光)を導光板12側に戻す。反射板14としては、白色シート又はミラータイプのシートなどが用いられる。白色シートは、ポリエステルなどの樹脂フィルムの中にフィラーを添加したり、添加したフィラーと基材樹脂との間に空隙を持たせたりすることにより光を拡散させる、シートである。ミラータイプのシートは、ポリエステルなどの樹脂フィルムの表面に、アルミニウムや銀などの金属を蒸着することにより正反射成分を強くした、シートである。高い正面輝度を得られるという点で、ミラータイプの方が好ましい。ミラータイプのシートとしては、反射光が拡散反射成分を持たず、正反射成分のみであり、微細な凹凸のない平滑な金属蒸着表面を有するシートなどが例示される。ミラータイプの反射板の一例は、表面に鏡面加工が施されたシートである。
【0035】
光拡散層9は、ヘイズ値が86%以下の光拡散層である。光拡散層9を備えるバックライト装置が用いられた液晶表示装置では、光拡散層9のヘイズ値を86%より大きくしても、カラーシフトは小さくならない。カラーシフトの抑制効果を考慮すると、光拡散層9のヘイズ値は10%以上86%以下が好ましく、20%以上86%以下がより好ましく、30%以上86%以下がさらに好ましい。
【0036】
光拡散層9は、例えば基材となる樹脂フィルムに、拡散剤がバインダー樹脂に分散された塗料を塗布することにより得られる。光拡散層9の基材となる材料の例には、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、メタクリル酸−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート、ポリイミドなどが含まれる。
【0037】
バインダー樹脂は、光透過性の高い樹脂であればよく、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、あるいは電離放射線硬化型樹脂などが用いられる。バインダー樹脂に混合分散させる拡散剤の例には、バインダー樹脂となる材料と屈折率が異なる物質からなる微粒子が含まれる。拡散剤の具体例には、バインダー樹脂の材料とは異なる種類の有機微粒子や無機微粒子などがある。有機微粒子の例には、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体などが含まれる。無機微粒子の例には炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスなどが含まれる。上述した拡散剤の中の1種又は2種類以上が混合されて使用される。また、有機重合体のバルーンやガラス中空ビーズも拡散剤として使用され得る。拡散剤の平均粒径は0.5μm〜30μmの範囲が好適である。拡散剤の形状としては、球状のみならず偏平状、板状及び針状であってもよい。
【0038】
光拡散層9は、各々の構成成分や必要に応じて他の成分が配合され、これを適当な溶媒に溶解又は分散されて調製された塗布液が基材に塗布され、乾燥された後、適宜必要な硬化方法を用いて硬化させることにより形成され得る。塗布液は、ロールコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法などの公知の方法により、基材に塗布される。あるいは、溶融混練により、基材樹脂の中に拡散剤を直接分散させてもよい。光拡散層9の厚みは、光拡散層9を取り扱う上で、支障のない厚みであればよく、特に限定されるものではない。光拡散層9の厚みは、例えば10〜250μm程度、好ましくは、12〜100μmである。
【0039】
ヘイズ値は、拡散剤となる粒子の種類、添加量及び表面形状などを調整することによって86%以下にすることができる。ヘイズ値は、JIS−K−7136に準拠し、ヘイズコンピュータ(スガ試験機社製HZ−2)を用いて測定され得る。光拡散層9は、「オパルスPBS−632L」(恵和株式会社製)、「LSEタイプ」(株式会社きもと製)などの市販のものが利用され得る。
【0040】
導光板12から出射される光を測定した場合に上記の条件に合致する導光板12と光拡散層9とを含むバックライト装置11に、工業生産において通常用いられる液晶セルを組合せることにより、カラーシフトが小さい液晶表示装置1が与えられる。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態に係るバックライト装置を備える液晶表示装置を模式的に示した図である。液晶表示装置1は、液晶セル装置20と、バックライト装置11とを備える。液晶セル装置20は、一対の透明基板22a,22bの間に液晶層23が設けられた液晶セル21と、液晶セル21の光入射側に配置される(バックライト装置11と液晶セル21との間に配置される)第1偏光板41と、液晶セル21の光出射側に配置される第2偏光板52と、を有する。液晶表示装置1は、バックライト装置11側から順に、第1偏光板41、液晶セル21、及び第2偏光板52が配置される。
【0042】
本発明の一実施形態に係るバックライト装置11を用いて製造された液晶表示装置で使用される液晶セル21は、所定距離を隔てて対向配置された一対の透明基板22a,22bと、この一対の透明基板22a,22bの間に液晶を封入されてなる液晶層23とを有する。一対の透明基板22a,22bには、それぞれ透明電極や配向膜が積層形成されており、透明電極間に表示データに基づいた電圧が印加されることによって液晶が配向する。液晶セル21の表示方式は、TN方式、IPS方式、VA方式などの表示方式が採用され得る。
【0043】
第1偏光板41としては、通常、偏光子の両面に支持フィルムを貼り合わせたものが使用される。偏光子の例には、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の偏光子基板に、二色性染料又はヨウ素が吸着配向されたもの、及び、分子的に配向したポリビニルアルコールフィルム中に、ポリビニルアルコールの二色性脱水生成物(ポリビニレン)の配向した分子鎖が含有されたポリビニルアルコール/ポリビニレンコポリマーなどが含まれる。ポリビニルアルコール系樹脂の偏光子基板に二色性染料又はヨウ素が吸着配向されたものが偏光子として好適に使用される。偏光子の厚さは一般には偏光板の薄型化等を目的に、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは10〜50μmの範囲であり、更に好ましくは25〜35μmの範囲である。
【0044】
偏光子を支持・保護する支持フィルムとしては、好ましくは、低複屈折性で、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性などに優れるポリマーからなるフィルムである。
【0045】
このようなフィルムの例には、TAC(トリアセチルセルロース)などのセルロースアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体のようなフッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂もしくはポリアミド系樹脂等の樹脂をフィルム状に成形加工したものが含まれる。
【0046】
これらの中でも、偏光特性や耐久性などの点から、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムやノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムが好ましく使用され得る。ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムは、フィルムが熱や湿熱からの良好なバリアーとなるので偏光板41の耐久性が大幅に向上するとともに、吸湿率が少ないため寸法安定性が大幅に向上する。そのため、ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムは、特に好適に使用され得る。
【0047】
フィルム状への成形加工は、キャスティング法、カレンダー法、押出法といった従来公知の方法が用いられ得る。支持フィルムの厚さに限定はない。しかしながら、偏光板41の薄型化等の観点から、支持フィルムの厚さは、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは5〜300μmの範囲であり、さらに好ましくは5〜150μmの範囲である。
【0048】
第2偏光板52は、液晶セル21の背面側に配置された第1偏光板41と対となるものである。第2偏光板52としては、第1偏光板41で例示したものがここでも好適に使用され得る。ただし、第2偏光板52は、その偏光面が、第1偏光板41の偏光面と直交するように配置される。
【0049】
微小なフィラーを分散させた樹脂溶液を、第2偏光板52上に塗布し、塗布膜厚を調整してフィラーが塗布膜表面に現れるようにして、微細な凹凸を基材表面に形成することにより、防眩層53が第2偏光板52上(第2偏光板の光出射側)に設けられてもよい。
【0050】
防眩層53の表面には、通常、細かな凹凸があるが、細かな凹凸はなくてもよい。微小なフィラーを用いずに、防眩層53としての基材フィルムの表面に微細な凹凸が形成されていてもよい。基材フィルムの表面に微細な凹凸を形成するには、サンドブラスト及びエンボス賦形加工等によって基材フィルムを表面加工する方法や、凹凸を反転させた金型面を有する鋳型やエンボスロールを用いて、基材フィルムの作製工程において微細な凹凸を形成する方法等を用いられればよい。
【0051】
防眩層53は、内部拡散(内部ヘイズ)だけによる光拡散機能を有してもよいし、内部拡散(内部ヘイズ)と表面拡散(外部ヘイズ及び凹凸)との両方による光拡散機能を有してもよいし、表面拡散(外部ヘイズ及び凹凸)だけによる光拡散機能を有してもよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係るバックライト装置11を備えて製造された液晶表示装置は、その他の機能を有する光学機能性フィルムを有していてもよい。
【0053】
このような光学機能性フィルムの例には、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面にランダムな凹凸形状を有する拡散機能付きフィルム、及び表面にプリズム部やレンチキュラーレンズなどの凹凸形状を有する偏向機能付きフィルムなどが含まれる。ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品の例には、「DBEF」(3M社製、日本では住友スリーエム株式会社から入手できる)などが含まれる。拡散機能付きフィルムに相当する市販品の例には、「オパルス」(恵和株式会社製)などが含まれる。また、偏向機能付きフィルムに相当する市販品の例には、「BEF」(3M社製、日本では住友スリーエム株式会社から入手できる)などが含まれる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
SONY製、32型液晶テレビKDL−32EX700に使用されているバックライト装置に、SONY製、16.4型ノートPC VGN-FW73JGBに組み込まれている導光板を、32型液晶テレビKDL−32EX700に使用されているバックライト装置にもともと組み込まれていた導光板と入れ替えて本実施例のバックライト装置11を構成した。16.4型ノートPC VGN-FW73JGBに組み込まれている導光板の断面形状は台形であった。
【0056】
本実施例のバックライト装置11の作製方法が具体的に説明される。本実施例1のバックライト装置11で使用する導光板12が、次のように作製された。すなわち、SONY製、16.4型ノートPC VGN−FW73JGBに組み込まれている導光板を導光板121と称した場合、2枚の導光板121,121を、その断面形状において台形の上辺に対応する導光板121,121の端面同士を溶剤接着することにより、いわゆるバタフライ形導光板12が作製された。このバタフライ形の導光板12を、SONY製、32型液晶テレビKDL−32EX700に使用されているバックライト装置にもともと組み込まれていた導光板と入れ替えて本実施例のバックライト装置11が作製された。SONY製、32型液晶テレビKDL−32EX700に使用されているバックライト装置に組み込まれていた反射板は、白色拡散タイプ(白色シート)の反射シートであった。
【0057】
輝度測定方法について説明する。
図4は、本実施例における輝度測定方法を示す図面である。輝度測定では、面発光部15からの光の輝度を測定するために、光偏向層16及び光拡散層9を取り外した状態での輝度が測定された。従って、輝度測定において、バックライト装置11の発光面は、面発光部15の光出射面15aである。面発光部15の光出射面15aは、導光板12の光出射面12aに対応する。
【0058】
図4に示すように、光偏向層16及び光拡散層9を組み込む前のバックライト装置11(
図1の状態から光偏向層16及び光拡散層9を取り外した構成に対応するバックライト装置11)の発光面が垂直になるようにバックライト装置11(バックライトモジュール)を立てて設置した。
図4では、バックライト装置11において、光偏向層16及び光拡散層9を組み込む前の状態を示している。換言すれば、導光板12に対して光源13を配置したユニットを筐体に組み込んだ状態を示している。発光面の法線と成す角度(z軸方向と成す角度)をθとし、所定の角度θの方角に輝度計70を設置し、発光面の中心(
図4において×で示される位置)から1cm上の部分(測定対象点)の輝度が測定された。発光面の中心から1cm上に測定点を外したのは、発光面の中心で測定した場合に生じ得る異常値を防止するためである。このとき、測定点と輝度計70との距離が40cmに設定され、測定角度θが−74°〜74°の範囲で、2度刻みで輝度が測定された。なお、輝度計70として、TOPCON社製BM−7が用いられ、輝度計70の測定角が1°に設定された。
【0059】
方位角Ψは、
図4における上方向を0°とし、0°、45°、90°、135°の4方向で、測定された。
【0060】
図5は、上記のように測定されたバックライト装置11からの角度分布を示す。
図5の横軸は、発光面の法線の方向(z軸方向)に対する視角、すなわち測定角度θを表す角度(°)であり、縦軸は輝度(cd/m
2)である。輝度の測定結果を示す曲線のうち、実線は方位角Ψが0°、太実線は方位角Ψが45°(太実線は、
図5のグラフの左方では方位角Ψが90°の場合を示す点線と一部重なっている。)、点線は方位角Ψが90°(点線は、
図5のグラフの右方では方位角Ψが135°の場合を示す破線と一部重なり、
図5のグラフの左方では方位角Ψが45°の場合を示す太実線と一部重なっている。)、破線は方位角Ψが135°(破線は、
図5のグラフの右方では方位角Ψが90°の場合を示す点線と一部重なっている。)における測定結果を示す。角度θが−40°〜40°における輝度の最大値と、角度θが−74°〜−60°及び60°〜74°における輝度の最大値は、次のとおりである。
−40°〜40°の輝度の最大値;Max1=1479cd/m
2(40°)
−74°〜−60°及び60°〜74°における輝度の最大値;Max2=13707cd/m
2(−74°)
その結果、
Max1/Max2= 11% < 40%
であった。
【0061】
色度座標測定方法について説明する。
図2は、本実施例の液晶表示装置の構成を示す図でもある。SONY製、32型液晶テレビKDL―32EX700に使用されているバックライト装置に、上記のバタフライ形導光板を、32型液晶テレビKDL―32EX700にもともと組み込まれていた導光板と入れ替えて、本実施例の面発光部15を構成した。この面発光部15の光出射面15a側に、光偏向層16と、光拡散層9と、上記液晶テレビの液晶セル装置20とを、面発光部15側からこの順番に配置して、本実施例の液晶表示装置1を構成した。
【0062】
実施例1のバックライト装置11の光偏向層16は、プリズムシートであった。プリズムシートとしての光偏向層16が有する多数のプリズム部(第1プリズム部)16aの断面形状は、頂角が65°の二等辺三角形であった。隣接するプリズム部16aの稜線間の距離Lは50μmであった。実施例1のバックライト装置11の光拡散層9は、拡散シートであった。拡散シートとしての光拡散層9のヘイズ値は、30.0%であった。
【0063】
光偏向層16は、
図1に示すように、プリズム部16aが形成されている側を光源13側に向け、プリズム部16aの稜線が、光源13が配置される端面12b、12cに平行な向きになるように設置された。換言すれば、プリズム部16aは、Y軸方向に延在する。
【0064】
そして、この液晶表示装置において、色度座標u’,v’を測定した。色度座標u’,v’の測定方法は、以下の点を除いて、上記輝度の測定方法と同様である。すなわち、輝度の測定では、
図4に示すように、光偏向層16及び光拡散層9を組み込む前のバックライト装置11(
図1の状態から光偏向層16及び光拡散層9を取り外した構成に対応するバックライト装置11)の発光面が垂直になるようにバックライト装置11(バックライトモジュール)を立てて設置したのに対し、色度座標u’,v’の測定では、
図6に示すように、光偏向層16及び光拡散層9を組み込んだ液晶表示装置1の発光面1a(防眩層53の出射面)が垂直になるように液晶表示装置1を立てて設置した。発光面の法線と成す角度(Z軸方向と成す角度)をθとし、所定の角度θの方角に色彩輝度計80を設置し、発光面の中心から1cm上の部分(測定対象点)の黒表示状態におけるCIE1976 UCS色度座標u’,v’が測定された。発光面の中心から1cm上に測定点を設定したのは、発光面の中心で測定した場合に生じうる異常値を防止するためである。このとき、測定点と色彩輝度計80との距離は40cmに設定され、測定角度θは−74°〜74°の範囲で、2°刻みで色度座標u’,v’が測定された。なお、色彩輝度計80としては、TOPCON社製BM−5ASが用いられ、色彩輝度計80の測定角が1°に設定された。
【0065】
また、方位角Ψは、
図6における上方向を0°とし、0°、45°、90°、135°の4方向で測定された。
【0066】
上記で測定したCIE1976 UCS 色度座標u’,v’の最も離れている点(u’1,v’1)と点(u’2,v’2)との距離をカラーシフト(ΔE)とした。カラーシフト(ΔE)は、次式(1)で表され、その値が小さいほどカラーシフトが小さくなる。
【数1】
その結果、黒表示状態におけるカラーシフト(ΔE)は、0.07381であった。
【0067】
(実施例2)
液晶表示装置1において、ヘイズ値が50.0%である拡散シートを用いた以外は、実施例1と同様にしてカラーシフト(ΔE)を求めた。
その結果、カラーシフト(ΔE)は、0.07703であった。
【0068】
(実施例3)
液晶表示装置1において、ヘイズ値が86.0%である拡散シートを用いた以外は、実施例1と同様にしてカラーシフト(ΔE)を求めた。
その結果、カラーシフト(ΔE)は、0.07622であった。
【0069】
(比較例1)
液晶表示装置1において、ヘイズ値が89.5%である拡散シートを用いた以外は、実施例1と同様にしてカラーシフト(ΔE)を求めた。
その結果、カラーシフト(ΔE)は、0.09033であった。
【0070】
(比較例2)
バックライト装置及び液晶表示装置として、市販されているSONY製、32型液晶テレビ「KDL−32EX700」を用いた以外は、実施例1と同様に、輝度とカラーシフト(ΔE)とを求めた。
−40°〜40°の最大値と、−60°〜−74°、60°〜74°における最大値は、次のとおりである。
−40°〜40°の最大値;Max1=1963cd/m
2(40°)
−60°〜−74°、60°〜74°の最大値;Max2=2868cd/m
2(−72°)
その結果、
Max1/Max2= 68% > 40%であった。
カラーシフト(ΔE)は、0.10019であった。
【0071】
上記実施形態及び上記実施例のバックライト装置は、簡便に構成することができ、このバックライト装置を用いれば、カラーシフトが小さく、黒表示時の視野角に依存したカラーシフトが小さい液晶表示装置が製造され得る。そのため、本実施例のバックライト装置は工業的に極めて有用である。また本実施例のバックライト装置を用いた液晶表示装置は、コントラストも高く、視認性のよいディスプレイとなる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態及び一実施例について説明したが、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、面発光部が、上述したように、4つの方位角Ψ1〜Ψ4において上述した所定の条件を満たせばよい。上記条件は、導光板12の構成によって調整されてもよいし、反射板14の反射状態によって調整されてもよい。面発光部15は、導光板12上に他の少なくとも一枚の光学シートが配置されてもよい。この場合、導光板12上の他の光学シートのうち光偏向層16側に一番近い光学シートの光出射面が、
図4を利用して説明した、輝度測定時のバックライト装置の発光面である。このように、面発光部15が光学シートを備える場合、光学シートにおける光学特性を利用して、上記所定の条件が満たされ得る。