(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に切削加工を施す切削ブレード及び該切削ブレードに切削液を供給するノズルを有する加工手段と、該チャックテーブルに保持された該被加工物の表面を撮像する撮像手段とを備えた切削装置において、
該撮像手段は、該チャックテーブルに保持された該被加工物の表面と対向する対物レンズを備えた顕微鏡と、該顕微鏡の周囲を覆い、かつ一部に撮像用開口が形成された底部を有する顕微鏡ボックスと、遮蔽時と撮像時とで該撮像用開口を選択的に開閉するシャッター手段と、からなり、
該シャッター手段は、該顕微鏡ボックス内の底部上面に配設されたシリンダ部および該シリンダ部によって該底部に沿って移動するピストンとからなるエアシリンダ機構と、該ピストンに連結され該遮蔽時において該撮像用開口を閉じる遮蔽板とを備え、
該遮蔽板は、該底部と平行な平面で該遮蔽時に該撮像用開口を覆う板状部と、該板状部から該底部に向かって突起し、かつ該底部と点接触あるいは線接触して該遮蔽板を支持する複数の突起部と、該板状部の外周から該底部に向かって延在し、かつ該突起部によって形成された該板状部と該底部との間隔をわずかな隙間を持ってほぼ遮蔽するスカート部と、からなり、
該複数の突起部は、該ピストンから離れた、遮蔽時において該撮像用開口を間に挟む位置と、該ピストンの軸線上の該ピストン側の位置とで、該遮蔽板を支持し、
該スカート部は、遮蔽時において該撮像用開口を囲う該板状部の外周に形成され、遮蔽時において該撮像用開口を囲って、該顕微鏡ボックス内に外部の切削液を含む雰囲気が侵入することを抑制する、
ことを特徴とする切削装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る切削装置の構成例を示す図である。
図2は、撮像手段の構成例を示す図である。
図3は、シャッター手段の構成例を示す図である。
図4は、シャッター手段の構成例を示す図である。
図5は、シャッター手段の動作説明図である。なお、
図3は、顕微鏡ボックス内の顕微鏡およびシャッター手段を側面から見た図である。また、
図4および
図5は、顕微鏡ボックス内のシャッター手段を上面から見た図であり、
図4が遮蔽時、
図5が撮像時を示す図である。
【0011】
本実施形態に係る切削装置は、撮像手段により撮像した画像に基づいて加工手段に対するアライメント調整を行った後の被加工物を保持したチャックテーブルと、切削ブレードを有する加工手段とを相対移動させることで、被加工物を切削加工するものである。
図1に示すように、切削装置1は、チャックテーブル10と、加工手段20と、撮像手段30とを含んで構成されている。なお、本実施形態に係る切削装置1は、さらに図示しないX軸移動手段と、Y軸移動手段40と、Z軸移動手段50と、カセットエレベータ60、仮置き手段70と、洗浄・乾燥手段80と、制御手段90とを含んで構成されている。
【0012】
チャックテーブル10は、被加工物Wを保持するものである。チャックテーブル10は、表面を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、表面に載置された被加工物Wを吸引することで保持するものである。なお、チャックテーブル10は、テーブル移動基台2に着脱可能に固定されている。また、チャックテーブル10の周囲には、図示しないクランプ部11が設けられており、クランプ部がエアーアクチュエータにより駆動することで、被加工物Wの周囲のフレームFを挟時する。
【0013】
ここで、被加工物Wは、切削装置1により加工される加工対象であり、本実施形態ではシリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする半導体ウエーハや、ガラス、樹脂等からなる板状部材である。被加工物Wは、デバイスが複数形成されているデバイス側の表面と反対側の裏面がダイシングテープTに貼着され、被加工物Wに貼着されたダイシングテープTがフレームFに貼着されることで、フレームFに固定される。
【0014】
加工手段20は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wを切削加工するものである。加工手段20は、切削ブレード21と、スピンドル22、ハウジング23と、ノズル24とを含んで構成されている。切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石であり、回転することで被加工物Wに切削加工を施すものである。切削ブレード21は、スピンドル22に着脱自在に装着される。スピンドル22は、円筒形状のハウジング23に回転自在に支持され、ハウジング23に連結されている図示しないブレード駆動源に連結されている。切削ブレード21は、ブレード駆動源により発生した回転力により回転駆動する。ノズル24は、切削ブレード21に切削液を供給するものであり、本実施形態では、Y軸方向において切削ブレード21を挟み込むように対に配設されている。ノズル24には、図示しない切削液供給源からの切削液が供給され、ノズルには、図示しない複数の噴射孔が形成されており、切削液が複数の噴射孔から切削ブレード21および切削ブレード21が切削する被加工物Wの切削箇所に向かって噴射される。
【0015】
撮像手段30は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wの表面を撮像するためのものである。撮像手段30は、
図2および
図3に示すように、顕微鏡31と、顕微鏡ボックス32と、シャッター手段33と、エアブロー34とを含んで構成されている。なお、撮像手段30は、加工手段20に対して所定の位置関係となるように、加工手段20が支持されている支持部3に取り付けられている。また、エアブロー34は、撮像手段30により被加工物Wの表面を撮像する際に、図示しない気体供給装置から供給された気体を後述する撮像用開口32bを介して被加工物Wの表面に噴射することで、被加工物Wの表面に付着した切削液を除去し、被加工物Wの表面のうち、撮像手段30によって撮像する撮像範囲に存在する鮮鋭な画像の取得を妨げる要因を取り除くものである。
【0016】
顕微鏡31は、
図2に示すように、チャックテーブル10に保持された被加工物Wの表面と対向する対物レンズ31aを有している。顕微鏡31は、被加工物Wの表面からの反射光が対物レンズ31aを介して、図示しない撮像素子に入射されることで、保持された被加工物Wの表面の画像データを生成し、制御手段90が生成された画像データに基づいて、加工手段20と被加工物Wとの相対位置を調整するアライメント調整を行うために用いられる。
【0017】
顕微鏡ボックス32は、
図1に示すように、顕微鏡31の周囲を覆うものであり、顕微鏡ボックス32内に外部の雰囲気が侵入することを抑制するものである。顕微鏡ボックス32は、
図2に示すように、保持された被加工物Wの表面を顕微鏡31が撮像するための撮像用開口32bが一部に形成された底部32aを有する。撮像用開口32bは、
図4に示すように、Z軸方向において顕微鏡31と対向する位置において、被加工物Wの表面に対する顕微鏡31の撮像範囲を狭くしない程度に、円状に形成されている。
【0018】
シャッター手段33は、
図3〜
図5に示すように、遮蔽時と撮像時とで撮像用開口32bを選択的に開閉するものであり、顕微鏡ボックス32内に収容されている。シャッター手段33は、
図3に示すように、エアシリンダ機構35と、遮蔽板36と、ガイド部材37とを含んで構成されている。ここで、遮蔽時とは、
図4に示すように、遮蔽板36により撮像用開口32bを覆うことで撮像用開口32bを遮蔽、すなわち閉じた状態をいう。また、撮像時とは、
図5に示すように、遮蔽板36により撮像用開口32bが覆われず、撮像用開口32bが顕微鏡31により被加工物Wの表面を撮像可能となるように開放、すなわち開いた状態をいう。
【0019】
エアシリンダ機構35は、
図3に示すように、遮蔽板36を底部32aに沿って、すなわち本実施形態ではY軸方向に移動させるものであり、シリンダ部35aと、ピストン35bと、フランジ部35cとを含んで構成されている。シリンダ部35aは、顕微鏡ボックス32内の底部32a上面に配設されており、図示しない気体供給経路を介して図示しない気体供給装置と接続されている。シリンダ部35aは、気体供給装置から供給された気体により、ピストン35bを底部32aに沿って、すなわち本実施形態ではY軸方向に移動させるものである。ピストン35bは、
図4に示すように、先端部にフランジ部35cが形成され、例えば、ボルトとナットなどの固定手段F1,F2によりフランジ部35cに対して遮蔽板36の接続部36fを固定することで、遮蔽板36が連結されている。
【0020】
遮蔽板36は、遮蔽時において撮像用開口32bを閉じるものであり、板状部36aと、複数の突起部36b,36c,36dと、スカート部36eと、接続部36fとを含んで構成されている。
【0021】
板状部36aは、底部32aと平行な平面であり、遮蔽時に撮像用開口32bを覆うものである。板状部36aは、本実施形態では、長方形状であり、外周のうちY軸方向においてエアシリンダ機構35と対向する部分から上方に延在して接続部36fが形成されている。
【0022】
複数の突起部36b〜36dは、板状部36aから底部32aに向かって、すなわち板状部36aの底面から下方に向かって突起して形成されている。複数の突起部36b〜36dは、本実施形態では、ダボ出しやプレス加工等により、底部32aと点接触して遮蔽板36を支持できる形状に形成されている。例えば、複数の突起部36b〜36dは、Z軸を含む平面での断面形状が半円あるいは半楕円となるように形成されている。突起部36b、36cは、遮蔽時において撮像用開口32bが間に挟まれる位置で遮蔽板36を支持している。また、突起部36dは、ピストン35bの軸線上の位置で遮蔽板36を支持している。つまり、複数の突起部36b〜36dは、遮蔽板36を3点支持する。なお、複数の突起部36b〜36dは、底部32aと点接触する形状に限定されるものではなく、底部32aと線接触する形状に、例えば半円柱、半楕円柱、Z軸方向において頂点の1つが底部32aと対向する多角柱などに形成されていてもよい。
【0023】
スカート部36eは、板状部36aの外周から底部32aに向かって延在して形成されるものである。スカート部36eは、本実施形態では、折り曲げ加工等により、上記板状部36aの外周(4辺)のうち、上記接続部36fが形成された部分(1辺)を除く部分(3辺)から底部32aに向かって一体的に形成されている。スカート部36eは、
図2及び
図3に示すように、板状部36aから底部32aに向かって板状部36aの外側に広がるように形成されている。スカート部36eは、複数の突起部36b〜36dによって形成された板状部36aと底部32aとの間隔d2をわずかな隙間d1を持ってほぼ遮蔽するように形成されている。つまり、スカート部36eは、Z軸方向における板状部36aから底部32aに向かっての延在量が、板状部36aと底部32aとの間隔d2、すなわち複数の突起部36b〜36dの突起量よりも小さく設定されている。ここで、わずかな隙間d1とは、スカート部36eが底部32aと接触しない程度の若干の隙間(例えば数mm以下、好ましくは0.1mm程度)をいう。
【0024】
ガイド部材37は、エアシリンダ機構35による遮蔽板36の移動、本実施形態ではY軸方向への移動をガイドするものである。ガイド部材37は、顕微鏡ボックス32内の底部32a上面のX軸方向において遮蔽板36と対向し、かつ接触可能な位置に配設され、Y軸方向に延在して形成されている。ガイド部材37は、Y軸と直交する平面における断面形状がL字状であり、例えば、ボルトとナットなどの固定手段F3,F4により底部32aに固定されている。なお、ガイド部材37は、1つに限定されるものではなく、遮蔽板36を挟んで2つ配設されていてもよい。
【0025】
X軸移動手段は、切削ブレード21に対してチャックテーブル10に保持された被加工物WをX軸方向に相対移動させるものである。X軸移動手段は、装置本体4に設けられており、X軸ボールねじと、X軸パルスモータと、一対のX軸ガイドレールとを含んで構成されている。X軸ボールねじは、X軸方向に配設されており、テーブル移動基台2の下部に設けられた図示しないナットと螺合しており、一端にX軸パルスモータが連結されている。一対のX軸ガイドレールは、X軸ボールねじと平行に形成され、テーブル移動基台2がスライド可能に載置されている。X軸移動手段は、X軸パルスモータにより発生した回転力によりX軸ボールねじを回転駆動させることで、
図1に示すように、テーブル移動基台2(チャックテーブル10)を一対のX軸ガイドレールによりガイドしつつ装置本体4に対してX軸方向に移動させる。
【0026】
ここで、テーブル移動基台2は、装置本体4においてテーブル移動基台2の中心軸線を中心に回転自在に支持されている。テーブル移動基台2は、装置本体4に収納されている図示しない基台駆動源に連結されている。テーブル移動基台2は、基台駆動源により発生した回転力により任意の角度、例えば90度回転や連続回転することができ、チャックテーブル10を切削ブレード21に対してテーブル移動基台2の中心軸線を中心に任意の角度回転や連続回転などの回転駆動させることができる。
【0027】
Y軸移動手段40は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して切削ブレード21をY軸方向に相対移動させるものである。Y軸移動手段40は、装置本体4に設けられており、図示しないY軸ボールねじと、Y軸パルスモータ41と、図示しない一対のY軸ガイドレールとを含んで構成されている。Y軸ボールねじは、Y軸方向に配設されており、ブレード移動基台5の内部に設けられた図示しないナットとそれぞれ螺合しており、一端にY軸パルスモータ41が連結されている。一対のY軸ガイドレールは、Y軸ボールねじと平行に形成され、ブレード移動基台5がスライド可能に載置されている。Y軸移動手段40は、Y軸パルスモータ41により発生した回転力によりY軸ボールねじを回転駆動させることで、ブレード移動基台5を一対のY軸ガイドレールによりガイドしつつ装置本体4に対してY軸方向にそれぞれ移動させる。
【0028】
Z軸移動手段50は、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して切削ブレード21をZ軸方向に相対移動させるものである。Z軸移動手段50は、ブレード移動基台5に設けられており、Z軸ボールねじ51と、Z軸パルスモータ52と、一対のZ軸ガイドレール53a,53bとを含んでそれぞれ構成されている。Z軸ボールねじ51は、Z軸方向に配設されており、支持部3が連結されている腕部6の内部に設けられた図示しないナットと螺合しており、一端にZ軸パルスモータ52が連結されている。一対のZ軸ガイドレール53a,53bは、Z軸ボールねじ51と平行に形成され、腕部6がスライド可能に載置されている。Z軸移動手段50は、Z軸パルスモータ52により発生した回転力によりZ軸ボールねじ51を回転駆動させることで、腕部6を介して支持部3を一対のZ軸ガイドレール53a,53bによりガイドしつつ装置本体4に対してZ軸方向に移動させる。
【0029】
カセットエレベータ60は、被加工物Wを1枚ずつ収納する収納部がZ軸方向に複数形成されており、一度に複数の被加工物Wを収納するものである。カセットエレベータ60は、装置本体4の内部に形成された空間部をZ軸方向において昇降自在に構成されている。仮置き手段70は、一対のレール71を有し、一対のレール71上に加工前後の被加工物Wを一時的に載置するものである。洗浄・乾燥手段80は、スピンナテーブル81を有し、加工後の被加工物Wが載置され、保持される。スピンナテーブル81は、装置本体4に収納されているスピンナテーブル駆動源と連結されている。洗浄・乾燥手段80は、スピンナテーブル81に被加工物Wが保持されると、スピンナテーブル駆動源が発生する回転力により、被加工物Wを回転させ、図示しない洗浄液噴射装置から被加工物Wに対して洗浄液を噴射することで洗浄し、洗浄後の被加工物Wに対して図示しない気体噴射装置から気体を噴射することで乾燥させる。
【0030】
制御手段90は、切削装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。制御手段90は、被加工物Wに対する加工動作を切削装置1に行わせるものである。また、制御手段90は、撮像手段30により被加工物Wの表面を撮像する際に、エアシリンダ機構35を駆動することで、撮像用開口32bを閉じた状態から開いた状態に移行するものでもある。なお、制御手段90は、例えばCPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されており、加工動作の状態を表示する表示手段や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる操作手段と接続されている。
【0031】
次に、本実施形態に係る切削装置1の加工動作について説明する。まず、オペレータが加工内容情報を登録し、加工動作の開始指示があった場合に、加工動作を開始する。加工動作において、被加工物Wは、搬出入手段100によりカセットエレベータ60から仮置き手段70まで搬出され、仮置き手段70の一対のレール71上に載置された後、図示しない搬送手段によりチャックテーブル10まで搬送され、チャックテーブル10に保持される。
【0032】
次に、アライメント調整が行われる。アライメント調整は、まず、制御手段90は、被加工物Wを保持したチャックテーブル10を撮像位置までX軸方向に移動する。次に、制御手段90は、
図4に示すように、遮蔽板36により撮像用開口32bが閉じた状態から、エアシリンダ機構35により、遮蔽板36をY軸方向のうち、エアシリンダ機構35に遮蔽板36を接近させる接近方向(同図のA方向)に移動させ、
図5に示すように、撮像用開口32bが開いた状態とする。このとき、遮蔽板36が接近方向に移動する際にX軸方向に移動しようとしても、ガイド部材37によりX軸方向への移動が規制されるため、遮蔽板36は接近方向にスムーズに移動することができる。次に、制御手段90は、撮像手段30により保持された被加工物Wの表面を撮像し、撮像した画像に基づいて、保持された被加工物Wの加工手段20に対する相対位置を調整する。
【0033】
次に、制御手段90は、撮像位置の被加工物Wを保持したチャックテーブル10を加工位置までX軸方向に移動する。ここで、次に、制御手段90は、チャックテーブル10が加工位置まで移動して加工が実行される前までに、
図5に示すように、撮像用開口32bが開いた状態から、エアシリンダ機構35により、遮蔽板36をY軸方向のうち、エアシリンダ機構35から遮蔽板36を離間させる離間方向(同図のB方向)に移動させ、
図4に示すように、撮像用開口32bが閉じた状態とする。このとき、遮蔽板36が離間方向に移動する際にX軸方向に移動しようとしても、ガイド部材37によりX軸方向への移動が規制されるため、遮蔽板36は離間方向にスムーズに移動することができる。次に、制御手段90は、加工内容情報に基づいて、被加工物Wを分割予定ラインに沿って切削し後述する複数のデバイスをそれぞれ小片化するための分割加工や被加工物Wの外周を周方向に切削し、被加工物Wの外周の一部を除去する加工(以下、単に「除去加工」と称する)などを実行する。加工が行われた被加工物Wは、図示しない搬送手段によりチャックテーブル10から洗浄・乾燥手段80まで搬送され、洗浄・乾燥手段80により洗浄・乾燥された後、図示しない搬送手段により仮置き手段70まで搬送され、搬出入手段100により仮置き手段70からカセットエレベータ60に搬入される。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る切削装置1は、複数の突起部36b〜36dが板状部36aから底部32aに向かって突起し、かつ底部32aと点接触することで、遮蔽版36を底部32aに対して支持する。従って、遮蔽板36を底部32aに直接接触、すなわち面接触させる場合と比較して、底部32aに対する遮蔽板36の接触面積が減少する。従って、遮蔽板36と底部32a上面との間で、雰囲気中の切削液が乾いても、遮蔽板36が底部32aに固着することを抑制できる。これにより、遮蔽板36を底部32aに対して摺動し難くなることを抑制し、撮像用開口32aの開閉動作の不具合や、シャッター手段33の遮蔽板36を移動させるエアシリンダ機構35などの部品の損傷・破損などを抑制することができる。また、点接触では、面接触に対して顕微鏡ボックス32あるいは遮蔽板36の摩耗を抑制することができるので、摩耗による発塵を抑制することができ、顕微鏡ボックス32内を清浄に維持することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る切削装置1は、板状部36aの外周に形成されたスカート部36eにより、複数の突起部36b〜36dによって形成された遮蔽板36と底部32aとの隙間をスカート部36eが形成されていない場合と比較して遮蔽することができる。従って、遮蔽時に顕微鏡ボックス32内に外部の雰囲気、特に切削液を含む雰囲気が侵入することを抑制することができる。
【0036】
〔実施形態の変形例〕
上記実施形態では、スカート部36eが、板状部36aの一部の外周から底部32aに向かって延在して形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図6は、シャッター手段の他の構成例を示す図である。
図7は、シャッター手段の他の構成例を示す図である。なお、
図6は、顕微鏡ボックス内の顕微鏡およびシャッター手段を側面から見た図である。また、
図7は、遮蔽時において顕微鏡ボックス内のシャッター手段を上面から見た図である。
【0037】
シャッター手段33は、
図6に示すように、エアシリンダ機構35と、遮蔽板38と、ガイド部材37と、接続部材39を含んで構成されている。遮蔽板38は、板状部38aと、複数の突起部38b,38c,38dと、スカート部38eとを含んで構成されている。なお、板状部38aおよび複数の突起部38b〜38dは、実施形態の板状部36a、複数の突起部36b〜36dと同様であるのでその説明は省略する。
【0038】
スカート部38eは、板状部38aの全外周から底部32aに向かって延在して形成されるものである。スカート部38eは、本実施形態では、折り曲げ加工等により、上記板状部38aの全外周から底部32aに向かって一体的に形成されている。スカート部38eは、
図7に示すように、板状部38aから底部32aに向かって板状部38aの外側に広がるように形成されている。スカート部38eは、複数の突起部38b〜38dによって形成された板状部38aと底部32aとの間隔d4をわずかな隙間d3を持ってほぼ遮蔽するように形成されている。
【0039】
接続部材39は、ピストン35bと遮蔽板38とを連結するものであり、L字形状に形成され、第1接続片39aと第2接続片39bとを含んで構成されている。第1接続片39aは、例えば、ボルトとナットなどの固定手段F1,F2によりフランジ部35cに固定されている。第2接続片39bは、例えば、ボルトとナットなどの固定手段F5,F6により、板状部38aの外周のうちY軸方向においてエアシリンダ機構35と対向する部分に固定されている。従って、板状部38aの外周に、ピストン35bと連結する部分を形成する必要がないため、板状部38aの全外周(4辺)から底部32aに向かってスカート部38eを形成することができる。これにより、複数の突起部38b〜38dによって形成された遮蔽板38と底部32aとの隙間をさらに遮蔽することができるので、遮蔽時に顕微鏡ボックス32内に外部の雰囲気、特に切削液を含む雰囲気が侵入することをさらに抑制することができる。
【0040】
なお、上記実施形態および変形例では、遮蔽板36,38を移動させる機構としてエアシリンダ機構35を用いたが、撮像用開口32bを開閉することができるアクチュエータであれば、ソレノイドなどいずれであっても良い。また、遮蔽板36,38をY軸方向に移動させることで、撮像用開口32bの開閉を行ったが、遮蔽板36,38をX軸方向に移動させてよいし、回転軸を中心に回転させても良い。この場合、複数の突起部36b〜36d,38b〜38dは、遮蔽板38の移動により、Z軸方向視において撮像用開口32bを通過しないように、板状部38aに形成されていることが好ましい。
【0041】
また、遮蔽板36,38は、長方形状に限定されるものではなく、円盤や楕円形状であっても良い。また、スカート部36e,38eは、板状部36a,38aから底部32aに向かって板状部36a,38aの外側に広がるように形成されているが、Z軸方向と平行に形成されていてもよく、板状部36a,38aから底部32aに向かって板状部36a,38aの内側に狭まるように形成されていてもよい。