特許第5938258号(P5938258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5938258油中水型エマルション及びそれを用いたマイクロカプセルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938258
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】油中水型エマルション及びそれを用いたマイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/07 20060101AFI20160609BHJP
   B01J 13/02 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   C08J3/07CER
   C08J3/07CEZ
   B01J13/02
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-92347(P2012-92347)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-221053(P2013-221053A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年1月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成23年10月25日 http:/www.jstage.jst.go.jp/browse/jos/60/11/_contents/−char/ja/を通じて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】阿部 正彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 保
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】関田 彩紗
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 みゆき
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−272698(JP,A)
【文献】 特開2010−024161(JP,A)
【文献】 特開2007−044664(JP,A)
【文献】 Hideki Sakai et al.,「Preparation and Properties of Nanosized Biodegradable Polymer Capsules」,Journal of Oleo Science,2011年,Vol. 60,p569-573
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00− 3/28
99/00
B01J 13/00−13/22
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気毛管乳化法により水相を非水系有機相中に導入して油中水型エマルションを製造する工程において、水相に下記の一般式(1)で表される界面活性剤が配合されていることを特徴とする油中水型エマルションの製造方法。
【化1】
(式中、x及びzはそれぞれ20〜150の数を表し、yは20〜100の数を表す。ただし、ポリオキシエチレン鎖の分子量の総和が全分子量の60〜90質量%でなければならない。)
【請求項2】
一般式(1)で表される界面活性剤の重量平均分子量が5000〜20000であり、一般式(1)におけるポリオキシエチレン鎖の分子量の総和が、一般式(1)で表される界面活性剤の分子量の70〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型エマルションの製造方法。
【請求項3】
水相中の一般式(1)で表される界面活性剤の濃度が、0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型エマルションの製造方法。
【請求項4】
非水系有機相が、1種又は2種以上の有機溶媒からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油中水型エマルションの製造方法。
【請求項5】
非水系有機相が、1種又は2種以上の融点が40〜100℃の非水溶性有機ポリマーと1種又は2種以上の有機溶媒からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油中水型エマルションの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られたエマルションを、更に水相中に添加して得ることを特徴とする、水中油中水型エマルションの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法で得られたエマルションを、更に水相中に添加して得ることを特徴とする、水中油中水型エマルションの製造方法。
【請求項8】
前記のエマルションが添加される水相が、下記一般式(2)で表される界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項7に記載の水中油中水型エマルションの製造方法。
【化2】
(式中、x及びzはそれぞれ20〜150の数を表し、yは20〜100の数を表す。)
【請求項9】
前記一般式(2)で表される界面活性剤のポリオキシエチレン鎖の分子量の総和が全分子量の60〜90質量%であることを特徴とする、請求項8に記載の水中油中水型エマルションの製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法で得られたエマルションから連続相である水相及び有機溶媒を除去することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られたエマルションに、融点が40〜100℃の非水溶性有機ポリマーを添加することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気毛管乳化法を利用することにより、粒径の小さな油中水型エマルションあるいは水中油中水型エマルションを得ることができる乳化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水と油を乳化して様々なエマルションを得る研究が多数なされている。エマルションには油中水型(W/O)や水中油型(O/W)の基本的な形態のエマルションから、水中油中水型(W/O/W)や油中水中油型(O/W/O)、油中油中水型(W/O/O)等のエマルションがあり、これらのエマルションに薬効成分や帯電防止剤等の機能性物質を含有させることで、食品、化粧品、医薬品、潤滑剤、帯電防止剤等の様々な分野に応用されている。また、エマルションと同様に各種の機能性物質を含有させたマイクロカプセルについても各種の用途に利用され、特に、生体機能性物質を含有したマイクロカプセルは、化粧品や医薬品用途への利用が期待されている。
【0003】
エマルションやマイクロカプセルの用途の中でも、皮膚等に使用する化粧品ではエマルションの粒径が小さいほど、皮膚等への浸透に優れて効果を発揮しやすい。また、生体機能性物質運搬剤等の医薬品においてはマイクロカプセルが利用できるが、マイクロカプセルの粒径が小さいほど、細胞への悪影響が少なく、生体の免疫拒絶反応が起こりにくい。こうしたことから、平均粒径がなるべく小さなエマルションやマイクロカプセルを製造する方法の開発が望まれている。
【0004】
エマルションを製造する方法としては、高速ホモミキサーや高速ホモジナイザー等で強制的に乳化する方法がよく知られているが、より小さなエマルション粒子を製造できる方法として電気毛管乳化法が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。電気毛管乳化法は、機械的撹拌を一切行わず、油あるいは水の界面に適当な電圧を印加することによりエマルションを調整する方法である。例えば、油中に負極の電極を入れて直流電圧をかけ、そこに水溶液等を導入することで、機械的な撹拌なしでW/Oエマルションを製造することができる。また、これらのエマルションを利用することで、極小粒径のマイクロカプセルを製造することも可能である。
【0005】
このように電気毛管乳化法を使用すれば、極小粒径のエマルションやマイクロカプセルを容易に得ることができる。一方、市場からは、各種用途において今まで以上の効果向上を期待されており、今までの電気毛管乳化法等によって得られるエマルションより、更に粒径が小さく、保存安定性が良好なエマルションやマイクロカプセルを求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−272698号公報
【特許文献2】特開2007−044664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、既知の電気毛管乳化法と比較して、更に粒径が小さく、保存安定性が良好なエマルションが得られる乳化方法およびそれを利用したマイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者等は鋭意検討し、電気毛管乳化法における最適な乳化剤及び乳化剤の添加方法を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、電気毛管乳化法により水相を非水系有機相中に導入して油中水型エマルションを製造する工程において、水相に下記の一般式(1)で表される界面活性剤が配合されていることを特徴とする油中水型エマルションの製造方法である。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、x及びzはそれぞれ20〜150の数を表し、yは20〜100の数を表す。ただし、ポリオキシエチレン鎖の分子量の総和が全分子量の60〜90質量%でなければならない。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果は、既知の電気毛管乳化法と比較して、更に粒径が小さく、保存安定性が良好なエマルションが得られる電気毛管乳化法による乳化方法およびそれを利用したマイクロカプセルの製造方法を提供したことにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の方法に使用される電気毛管乳化装置を模式的に示した図である。
図2】実施例の試験1の動的光散乱法(DLS)による結果を示した図である。
図3】実施例の試験2の動的光散乱法(DLS)による結果を示した図である。
図4】実施例の試験3の動的光散乱法(DLS)による結果を示した図である。
図5】実施例の試験4の動的光散乱法(DLS)による結果を示した図である。
図6】実施例の2−2における、マイクロカプセル2〜4の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示した図である。AがプルロニックF68(界面活性剤1)を用いたマイクロカプセル1、BがプルロニックF88(界面活性剤2)を用いたマイクロカプセル2、CがプルロニックF108(界面活性剤3)を用いたマイクロカプセル3、DがプルロニックF127(界面活性剤4)を用いたマイクロカプセル4を示している。
図7】実施例の2−2、2−3におけるマクロカプセル2、6及び7のSEM写真である。(a):マイクロカプセル2(界面活性剤2)、(b)マイクロカプセル5(界面活性剤5)(c):マイクロカプセル6(界面活性剤6)
図8】実施例の3のマイクロカプセル7〜9の透過型電子顕微鏡(TEM)写真およびDLSの結果を示した図である。
図9】実施例の4のマイクロカプセルにおけるSEM、TEMの観察結果である。PCL:PLGA=10:0のみSEMでの結果であり、残りは全てTEMでの結果である。また、右横のグラフがそれぞれの写真に対応したDLSの測定結果である。
図10】実施例の4において、1000V、1500Vおよび2000Vの電圧を用い、PCL:PLGA=5:5の混合系を用いたマイクロカプセルのTEMの観察結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の油中水型エマルションの製造方法における乳化方法は、電気毛管乳化法によるものである。電気毛管乳化法は公知の乳化方法であり、例えば、図1に示した装置を使用すればよい。図1中の1は容器、2はシリンジ、3は負極の電極、4は正極のニードル、5は電源、6はスターラー、Aは水相、Bは非水系有機相である。この装置を使用することで、油中水型エマルションを製造することができる。この装置では、非水系有機相Bを入れた容器1中にリング状の負極3を設けるとともに、水相Aをシリンジ2から導入するとともにその先端のニードル4を正極とし、この間に電源5により高圧の直流電圧を印加する機構となっている。そして、ニードル4から導入された水相Aは、負極3のリング内を通過する際に、油水界面に電圧がかかり極めて微細な油中水型エマルションとなる。
【0014】
直流電圧の大きさは、十分小さな油中水型エマルションが製造できれば特に限定はないが、500〜3000Vであることが好ましく、1000〜2000Vがより好ましく、1500〜2000Vが更に好ましい。
【0015】
水相Aを非水系有機相B中に添加する方法は特に限定はないが、小さな直径の油中水型エマルションを容易に作るために、水相Aをシリンジ2から撹拌されている非水系有機相B中に徐々に導入する方法が好ましい。この時の撹拌方法も特に限定はなく、スターラー6を使用する方法の他、通常の撹拌羽根を用いる方法等が挙げられる。本発明においては、回転数が大きい特殊な撹拌よりも、通常の撹拌羽根を用いたもの、マグネチックスターラー等の一般的な撹拌方法が、その効果を有効に生かせるので好ましい。
【0016】
本発明の油中水型エマルションの製造方法に使用する水相とは、水又は水に1種または2種以上の水溶性の化合物を含有させたものである。含有させる化合物は、下記で説明する一般式(1)で表される界面活性剤の他に、得られるエマルションの使用される用途により選択することが可能であり、例えば、医薬品に用いる水溶性の薬品や化粧品に用いる水溶性の化粧品基材等の機能性物質が挙げられる。また、炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機物を添加してもよい。なお、下記に挙げる非水系有機相自身が機能性物質の場合や、非水系有機溶剤に機能性物質が含有している場合であれば水相に機能性物質を含有させる必要はなく、例えば、非水系有機相に潤滑性があれば潤滑剤としての用途が期待できる。なお、当該水相はエマルションの内側に存在することになるので、以後「内水相」と呼ぶ。
【0017】
内水相には、下記の一般式(1)で表される界面活性剤を必須成分として含有させる必要がある。
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、x及びzはそれぞれ20〜150の数を表し、yは20〜100の数を表す。ただし、ポリオキシエチレン鎖の分子量の総和が全分子量の60〜90質量%でなければならない。)
【0020】
一般式(1)で表される界面活性剤は、通常、プルロニックと呼ばれるブロックポリマー型の界面活性剤である。一般式(1)のyは20〜100の数を表すが、電気毛管乳化法の乳化剤としての性能に優れることから30〜70が好ましい。yの値が20未満になると乳化剤として十分に機能しなくなり、100を超えると一般式(1)で表される界面活性剤の製造が困難になる場合がある。
【0021】
一般式(1)のx及びzはそれぞれ20〜150の数を表すが、一般式(1)で表される界面活性剤の全分子量に対して、x及びyに係るポリオキシエチレン鎖の分子量の総和が60〜90質量%になるようにしなければならず、好ましくは75〜85質量%である。また、一般式(1)で表される界面活性剤の重量平均分子量は、5000〜20000が好ましく、8000〜15000がより好ましい。
【0022】
上記の界面活性剤を内水相に添加する際の濃度は特に規定されないが、極小粒径のエマルションが効果的に得られることから、内水相全量に対して0.01〜10質量%になるように添加することが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。0.01質量%未満では粒径の小さなエマルションが得られない場合があり、10質量%超えると添加量に見合った効果が得られない場合や、添加した界面活性剤が内水相中に完全に溶解しない場合がある。なお、その他の界面活性剤を使用すると、得られるエマルションの経時安定性が悪化する。
【0023】
本発明における非水系有機相とは、水に完全に相溶しない有機溶剤又は当該有機溶剤に1種又は2種以上の非水溶性化合物を溶解させた溶液をいうが、有機溶剤は実質的に水に不溶な有機溶剤が好ましい。水との相溶性が高いと、良好な油中水型エマルションが得られない場合があり、またこのような溶剤では、電気抵抗が低いために電圧降下が起こり、油水界面に効果的に電圧がかからない場合がある。非水系有機相としては、例えば、常温で液体の、炭化水素、含ハロゲン有機化合物、脂肪族カルボン酸アルキルエステル等が挙げられ、それらは1種又は2種以上を混合して用いられる。これらの中でも特に好ましいものは、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン等の炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジブロモメタン、トリブロモメタン、四臭化炭素、ジブロモエタン、トリブロモエタン等のハロゲン化有機化合物;ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル、あるいはこれらの混合物である。なお、下記で詳しく説明するが、「液中乾燥法」によりエマルションからマイクロカプセルを製造する場合には、カプセルの膜となる化合物を添加する必要がある。
【0024】
本発明の油中水型エマルションの製造方法は、電気毛管乳化法により、上記の界面活性剤を含有した内水相を非水系有機相中に導入して油中水型エマルションを製造する方法である。非水系有機相に対する内水相の量は特に規定されないが、非水系有機相100質量部に対して内水相を0.1〜30質量部導入することが好ましく、0.2〜10質量部がより好ましい。0.1質量部未満になると得られるエマルションの量が少なすぎて経済的に不利になり、30質量部を超えると内水相量が多すぎてエマルションが得られない場合や、粒径が大きくなってしまう場合がある。
【0025】
上記の乳化方法により得られるエマルションは、内水相の粒子が油中に分散している油中水型エマルションである。通常、ホモジナイザー等の機械的撹拌による乳化では1μm(1000nm)以下にすることはできず、粒径が小さなものでも通常、5〜10μmのエマルション粒径となる。また、電気毛管乳化法を使用しても、非水系有機相中に界面活性剤を添加し、内水相中に界面活性剤を添加しない場合は100〜800nm程度のエマルション粒径となる。更に、内水相中に本願に使用できる界面活性剤以外の界面活性剤を添加して電気毛管乳化法により乳化をすると、得られるエマルションが分離や沈殿してしまう場合や、粒径が20〜50nm程度のエマルションが得られても保存安定性が悪く、数時間で粒径が1μm程度になってしまう場合がある。一方、本発明の方法によって得られるエマルションの粒子系は20〜50nm程度の極小粒径であり、1週間保存しても粒径は変化せず、保存安定性が良好である。本発明の方法によって得られたエマルションは、例えば、クリーム等の化粧品等に使用することができる。
【0026】
本発明の水中油中水型エマルションの製造方法は、本発明の油中水型エマルションを水相中に添加して、水中油中水型エマルションを得る方法である。更に、本発明のマイクロカプセルの製造方法は、前記で得られた水中油中水型エマルションの最も外側にある溶媒である水相を除去することでマイクロカプセルを得る方法である。このマイクロカプセルを得る方法は通常「液中乾燥法」と呼ばれている。なお、当該水相は水中油中水型エマルションの最も外側に存在することになるので、以後「外水相」と呼ぶ。
【0027】
本発明の水中油中水型エマルションの製造方法において、外水相は水のみであってもよいが、水中油中水型エマルションを効率よく製造できることから、外水相にはプルロニック型界面活性剤を添加することが好ましく、一般式(1)で表される界面活性剤を添加した外水相であることがより好ましい。界面活性剤を外水相に添加する際の濃度は特に規定されないが、外水相全量に対して0.01〜10質量%になるように添加することが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0028】
水中油中水型エマルションを製造する際の、油中水型エマルションに対する外水相の量は特に規定されないが、水中油中水型エマルションを効率よく製造できることから、油中水型エマルション10質量部に対して外水相を10〜500質量部が好ましく、20〜300質量部がより好ましい。外水相が10質量部未満になると水中油中水型エマルションが製造できない場合があり、500質量部を超えると得られる水中油中水型エマルションの量が少なくなり非効率的となる。
【0029】
油中水型エマルションと外水相との混合方法は特に指定はなく、10〜60℃程度の温度で、撹拌羽やホモジナイザー、スターラー等で10分〜3時間程度撹拌してやればよい。
【0030】
液中乾燥法にてマイクロカプセルを製造する際には、カプセルの膜となる物質が必要となる。水中油中水型エマルションにおいて、粒子の外殻となる相は油相となるため、油中水型エマルションを作成する際に当該油相に膜となる物質を含有させなければならない。こうした化合物としては非水溶性有機ポリマーが挙げられるが、非水溶性有機ポリマーの融点は好ましくは40〜100℃、より好ましくは45〜90℃である。こうした非水溶性有機ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸アルキル(炭素数1〜8のアルキル)、ポリエチレン、ポリイプシロンカプトラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール、乳酸・グリコール酸コポリマー等が挙げられる。これらの中でも、環境や人体に対する負荷が低いことからポリイプシロンカプトラクトン、乳酸・グリコール酸コポリマー等の生分解性ポリマーを使用することが好ましい。
【0031】
これらの物質は油相に完全に溶解すればその添加量は特に規定されないが、油相100質量部に対して0.1〜50質量部添加するのが好ましく、0.3〜30質量部がより好ましく、0.5〜10質量部が更に好ましい。0.1質量部未満の場合はマイクロカプセルの膜がうまく形成されない場合があり、50質量部を超えるとこれらの物質が油相内で析出する場合や、得られるマイクロカプセルの粒径が大きくなってしまう場合がある。なお、乳酸・グリコール酸コポリマーを使用する場合は、乳酸とグリコールの比が乳酸/グリコール=2/8〜8/2(モル比)であることが好ましく、乳酸/グリコール=3/7〜7/3(モル比)がより好ましく、乳酸/グリコール=4/6〜6/4(モル比)が更に好ましい。
【0032】
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、上記の膜となる物質(非水溶性有機ポリマー)を含有した水中油中水型エマルションから連続相である外水相及び有機溶媒を除去することでマイクロカプセルを得る方法である。外水相及び有機溶媒を除去する方法は特に指定はないが、減圧で蒸留することが好ましい。その際、膜となる物質の融点以上の温度にすると、膜がうまく形成されずにマイクロカプセルが得られない場合があるため、蒸留する際の温度は膜となる物質の融点未満に制御する必要がある。
【0033】
本発明の油中水型エマルションからマイクロカプセルを得る方法は、上記の液中乾燥法以外に「コアセルベーション法」と呼ばれる方法がある。このコアセルベーション法を利用した本発明のマイクロカプセルの製造方法は、本発明の油中水型エマルションに、融点が40〜100℃の非水溶性有機ポリマーを添加してマイクロカプセルを得る方法である。当該方法に使用する非水溶性有機ポリマーは常温では固体のため、有機溶媒に溶解して本発明の油中水型エマルションに添加することが好ましい。使用できる有機溶媒は、非水溶性有機ポリマーが溶解するものであれば種類は選ばず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ヘキサン、ペンタン、石油エーテル等のアルカン類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、ジメチルベンゼン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の含ハロゲン類が挙げられる。これらの有機溶媒に対する非水溶性有機ポリマーの添加量は特に規定されず、溶解して液状になればよいが、非水溶性有機ポリマーが0.5〜30質量%程度の濃度にすることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0034】
非水溶性有機ポリマーは融点が40〜100℃、好ましくは45〜90℃のものであればいずれの化合物も使用することができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸アルキル(炭素数1〜8のアルキル)、ポリエチレン、ポリイプシロンカプトラクトン、乳酸・グリコール酸コポリマー等が挙げられる。これらの中でも、環境や人体に対する負荷が低いことからポリイプシロンカプトラクトン、乳酸・グリコール酸コポリマー等の生分解性ポリマーを使用することが好ましい。
【0035】
有機溶媒に溶解させた非水溶性有機ポリマーは、油中水型エマルション内に添加される。添加量は特に規定されないが、油中水型エマルションに含まれる内水相100質量部に対して、非水溶性有機ポリマーが0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜20質量部が更に好ましい。0.1質量より少ないとマイクロカプセルが効率よく製造できない場合があり、50質量を超えると添加量に見合った効果が得られない場合や、マイクロカプセルの粒径が大きくなる場合がある。
【0036】
非水溶性有機ポリマーの添加方法としては、一度に全てを添加する方法や、2回以上に分割して添加する方法や、一定時間かけて導入する方法が挙げられるが、一定時間かけて導入する方法が好ましい。具体的には10分〜3時間程度の時間をかけて導入すればよい。また、そのときの油中水型エマルションはスターラー等で撹拌していることが好ましい。油中水型エマルションの温度は、非水溶性有機ポリマーの融点以上の温度であることが必要である。ただし、系内に水が存在するので、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることが更に好ましい。導入終了後、同温度で30分〜3時間程度撹拌し、その後冷却することでマイクロカプセルを得ることができる。
【0037】
コアセルベーション法によるマイクロカプセルの形成について更に詳しく説明する。油中水型エマルション内に導入した有機溶媒に溶解させた非水溶性有機ポリマーは、油中水型エマルションの油相中にいったん溶解するが、選択的にエマルションの界面に集まってエマルションの外殻に相を形成する(コアセルベート)。溶液内は融点以上の温度であるため、非水系有機ポリマーは液状であり、外観的には油中油中水型エマルションの形態を形成している。一定量の非水系有機ポリマーの添加後、冷却により非水系有機ポリマーが固化し、マイクロカプセルの膜部分を形成する。冷却方法に規定はないが、ゆっくり冷却したほうが均一な膜が得られることから、10〜25℃程度の温度環境下に放置して冷却することが好ましい。その後、ろ過や蒸留等で溶媒を除去することにより、溶媒のないマイクロカプセルを得ることも可能である。
【0038】
液中乾燥法あるいはコアセルベーション法により得られたマイクロカプセルは、特定の界面活性剤を使用した電気毛管乳化法により得られたエマルションを原料としているので、0.1〜20μm程度の極小粒径のマイクロカプセルとなる。なお、ホモジナイザー等の従来知られていた方法で製造されたエマルションからマイクロカプセルを製造することも可能であるが、この場合、粒径が30〜300μm程度のマイクロカプセルしか得られない。本発明のマイクロカプセルは、画像記録用素材、トイレタリー、化粧料、医薬品、食品等に応用可能であり、特に、極小粒径であるため細胞への悪影響が少なく、生体の免疫拒絶反応が起こりにくいことから、生体機能物質を送達(Drug Delivery System:DDS)するキャリヤー等の医薬品や化粧料に有益である。
【実施例】
【0039】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。
以下の実験装置及び化合物を利用して、エマルション及びマイクロカプセルを製造した。
【0040】
<実験装置>
電気毛管乳化装置は図1に示した。装置の詳細は以下の通りである。
シリンジ:1ml
容器:50mlビーカー
正極:ステンレスニードル(注射針)、内径0.1mm、外径0.3mm
負極:リング型電極、内径6mm、外径8mm
ニードルとリング型電極の位置
水平方向:リング型電極の中止に、ニードルが設置されるように設置。
垂直方向:リング型電極とニードル先端の間が3mmになるように設置。
【0041】
<使用化合物>
界面活性剤1:プルロニックF68(一般式(1)においてx=80、y=30、z=80、Mw=8800)(株式会社ADEKA製)
界面活性剤2:プルロニックF88(一般式(1)においてx=102、y=39、z=102、Mw=11250)(株式会社ADEKA製)
界面活性剤3:プルロニックF108(一般式(1)においてx=148、y=56、z=148、Mw=16300)(株式会社ADEKA製)
界面活性剤4:プルロニックF127(一般式(1)においてx=102、y=66、z=102、Mw=12800)(株式会社ADEKA製)
界面活性剤5:プルロニックL122(一般式(1)においてx=11、y=66、z=11、Mw=4800)(株式会社ADEKA製)
界面活性剤6:ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル
界面活性剤7:ソルビタンセスキオレート
PVA:ポリビニルアルコール(MP Biomedicals Inc.製、分子量22000)
PCL:ポリイプシロンカプトラクタム(シグマアルドリッチ社製、分子量14000)
PLGA:乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=1/1、分子量7000〜1700、シグマアルドリッチ社製)
界面活性剤1〜5に関し、全分子量に対するポリオキシエチレン鎖の分子量の総和は、界面活性剤1で80.2質量%、界面活性剤2で79.9質量%、界面活性剤3で80.1質量%、界面活性剤4で70.1質量%、界面活性剤5で20.3質量%である。
【0042】
1.分析機器
実施例で得られたエマルションやマイクロカプセルは、以下の機器を使用して分析を行った。
SEM:走査型電子顕微鏡S−510(日立製作所株式会社製)
観察方法:カーボンテープを貼った試料台にマイクロカプセル溶液を数滴滴下後、減圧乾燥し、白金蒸着したものを観察した。
TEM:透過型電子顕微鏡H−7650(日立ハイテクノロジーズ社製)
観察方法:マイクロカプセル溶液をグリッドに数滴滴下した後、減圧乾燥して観察した。
DLS:動的光散乱法Nicomp 380ZLS改良型(Particle Sizing Systems社製)
【0043】
1.エマルションの製造及び粒径確認試験
図1における非水系溶媒Bとして、ジクロロメタン50mlにPCLを0.5g溶解させたものを使用し、水相Aとして純水に界面活性剤を0.1質量%になるように溶解させた水相を使用し、25℃の液温にて、電圧は2000V、水相Aをシリンジから導入速度0.286μl/sで導入して電気毛管乳化を行った。試験は試験1〜試験4を行い、エマルション製造直後及び保存後のエマルションの状態を目視観察及びDLS測定した。
【0044】
試験1:界面活性剤2
試験2:界面活性剤5
試験3:界面活性剤6
試験4:界面活性剤7
試験5:界面活性剤6+PVA
*試験4は、界面活性剤6を0.1質量%及びPVAを0.1質量%添加している。
【0045】
(目視観察結果)
界面活性剤にプルロニックを使用した試験1及び試験2の1日後のエマルションの状態は、製造直後と同様に均一の白濁溶液であった。しかし試験3〜試験5はいずれも、1日後で完全に2層分離していた。なお、PVAは一般的にエマルションの状態を安定化させる作用があるとされるが、本試験では効果はなかった。
【0046】
(DLSの結果)
試験1〜試験4で得られたエマルションについて製造直後及び保存後のエマルションの粒径をDLSで測定した。なお保存時間は、試験1及び試験2は24時間、試験3は6時間、試験4は12時間であり、測定結果をそれぞれ図2図5に示した。
試験1及び試験2は24時間後でも粒径はまったく変化ないが、試験3は6時間で、試験4は12時間で粒径が大きくなることが確認された。試験3及び試験4は目視試験の結果いずれも2層分離しているが、粒径が大きくなって粒子が沈殿したと考えられる。
【0047】
2−1.マイクロカプセル1の製造:液中乾燥法
図1における非水系溶媒Bとしてジクロロメタン50mlにPCLを0.5g溶解させたものを使用し、水相A(内水相)として純水に界面活性剤1を0.1質量%になるように溶解させた水相を使用し、25℃の液温にて、電圧は1000V、水相Aをシリンジから導入速度0.286μl/sで200μl導入して電気毛管乳化を行った。得られたエマルションを、純水に界面活性剤1を0.1質量%になるように溶解させた溶液(外水相)が150ml入った200mlビーカー内に5分かけてゆっくり添加した。なお、添加中はスターラーを使用してビーカー内の純水を300rpmの回転速度で撹拌し、液温は25℃で一定に保ち、1時間撹拌を続けて水中油中水型エマルションを得た。その後、加熱して外水相を除去し、PCLが外殻となるマイクロカプセル1を得た。
【0048】
2−2.マイクロカプセル2〜4の製造:液中乾燥法
界面活性剤の種類を変えた以外は、マイクロカプセル1と同様の方法でマイクロカプセル2〜4を製造した。界面活性剤2を使用したものがマイクロカプセル2、界面活性剤3を使用したものがマイクロカプセル3、及び界面活性剤4を使用したものがマイクロカプセル4である。なお、内水相及び外水相に使用した界面活性剤はいずれも同一の界面活性剤に変えている。
【0049】
2−3.マイクロカプセル5及び6の製造:液中乾燥法
界面活性剤の種類を変えた以外は、マイクロカプセル1と同様の方法でマイクロカプセル5及び6を製造した。マイクロカプセル5は内水相に界面活性剤2を使用し、外水相に界面活性剤6を使用した。マイクロカプセル6は内水相及び外水相ともに界面活性剤6を使用した。
【0050】
(試験結果)
得られたマイクロカプセルをSEMによって観察した。マイクロカプセル1〜4の結果を図6に、マイクロカプセル2、5及び6の結果を図7に示した。
図6の結果から、いずれもPCLのカプセルが確認できるが、界面活性剤1及び2を使用したマイクロカプセル1及び2が良好であった。中でもマイクロカプセル2は粒径も小さく、多くの粒子がカプセル化している。
図7の結果から、マイクロカプセル2はきれいなカプセルができているが、マイクロカプセル5はカプセル化率が悪くスフィア状粒子が多数できていた。またマイクロカプセル6はカプセルや粒子がまったくできていなかった。界面活性剤にプルロニック型以外を使用すると、カプセル化に弊害が現れることが確認できた。
【0051】
3.マイクロカプセル7〜9の製造:コアセルベーション法
図1における非水系溶媒Bとしてn−ヘキサン50mlを使用し、水相Aとして純水に界面活性剤2を0.1質量%になるように溶解させた水相を使用し、25℃の液温にて、水相Aをシリンジから導入速度0.286μl/sで200μl導入して電気毛管乳化を行った。なお電圧は1000V、1500V及び2000Vの3種類で行った。次に、得られたエマルションを50℃に加温し、スターラーにて300rpmで撹拌しながら、PLGAが2質量%のジクロロメタン溶液10mlを1ml/分の流速で導入した。更に、50℃を保ちながら1.5時間撹拌を続けた後、放冷してマイクロカプセル7〜9を得た。電圧1000Vで行ったものがマイクロカプセル7、1500Vがマイクロカプセル8、2000Vがマイクロカプセル9である。
【0052】
(試験結果)
得られたマイクロカプセルをTEMで観察し、DLSで粒度分布を確認した。結果は図8に示した。
いずれのマイクロカプセルも1μm以下の粒子の大きさで、粒度分布も同様であり、電圧による変化はほとんどなかった。
【0053】
4.PCLとPLGAの比率を変えたマイクロカプセルの製造:液中乾燥法
図1における非水系溶媒Bとしてジクロロメタン50mlにPCLとPLGAを合計で0.5g溶解させたものを使用し、水相A(内水相)として純水に界面活性剤2を0.1質量%になるように溶解させた水相を使用し、25℃の液温にて、電圧は1000V、水相Aをシリンジから導入速度0.286μl/sで200μl導入して電気毛管乳化を行った。得られたエマルションを、純水に界面活性剤2を0.1質量%になるように溶解させた溶液(外水相)が150ml入った200mlビーカー内に5分かけてゆっくり添加した。なお、添加中はスターラーを使用してビーカー内の純水を300rpmの回転速度で撹拌し、液温は25℃で一定に保ち、1時間撹拌を続けて水中油中水型エマルションを得た。その後、加熱して外水相を除去してマイクロカプセルを得た。
【0054】
なお、PCLとPLGAの比率(質量比)は、PCL/PLGA=10/0、9/1、7/3、5/5、3/7、1/9、0/10の比率でそれぞれマイクロカプセルを製造した。SEM、TEM及びDLSの結果を図9に示す。
また、PCL/PLGA=5/5については、電圧1000Vの他に、1500V及び2000Vでもマイクロカプセルの製造を行った。TEMの結果を図10に示す。
【0055】
(試験結果)
図9より、PLGAの増加に伴い粒径が小さくなることが確認できた。また図10より、PCL及びPLGAの混合系(5:5)では、1000Vで50〜500nmの粒径であるのに対し、1500Vや2000Vでは50〜80nmと極めてサイズの整ったマイクロカプセルが確認できた。また電圧が上がるに従い粒径も小さくなっていった。
【符号の説明】
【0056】
1:容器、2:シリンジ、3:負極、4:ニードル(正極)、5:電源、6:スターラー、A:水相、B:非水系有機相
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10