特許第5938297号(P5938297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938297
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20160609BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20160609BHJP
【FI】
   B24B7/04 A
   B24B41/06 L
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-179706(P2012-179706)
(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公開番号】特開2014-37021(P2014-37021A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】現王園 二郎
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−354962(JP,A)
【文献】 特開2013−154443(JP,A)
【文献】 特開2006−123074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/00 − 7/30
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤中心を軸に回転可能に配設されるターンテーブルと、該ターンテーブルに配設され板状ワークを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルが保持する板状ワークを研削する研削手段と、を少なくとも備える研削装置であって、
該ターンテーブルに配設される該チャックテーブルは、該ターンテーブルの回転中心を中心に均等な角度で配置され、該ターンテーブルを上から見た時、隣り合う該チャックテーブルが重なって配設されたことを特徴とする研削装置。
【請求項2】
重なって配設される複数の該チャックテーブルは、複数の段を備えていて、該チャックテーブルの上面と該ターンテーブルの上面を略平行に配設されたことを特徴とする請求項1記載の研削装置。
【請求項3】
重なって配設される複数の該チャックテーブルは、該チャックテーブルの回転軸を傾けて配設されたことを特徴とする請求項1記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークなどの被研削面を研削する研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削手段を複数備える研削装置においては、各研削手段に対して板状ワークを保持するチャックテーブルが位置づけられる。この場合、複数のチャックテーブルは、ターンテーブル上に間隔を均等にあけて、上面が略同じ高さとなるように、回転可能に配置される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−200545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のチャックテーブルを、間隔を均等にあけて、上面が略同じ高さとなるようにターンテーブル上に配置する構成では、ターンテーブル上に配置するチャックテーブルの数が増えるほどターンテーブルの面積は増大し、これに伴って研削装置全体の床面積も増大してしまう。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ターンテーブルの面積を増大することなくターンテーブル上にチャックテーブルを増設することができる研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の研削装置は、円盤中心を軸に回転可能に配設されるターンテーブルと、該ターンテーブルに配設され板状ワークを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルが保持する板状ワークを研削する研削手段と、を少なくとも備える研削装置であって、該ターンテーブルに配設される該チャックテーブルは、該ターンテーブルの回転中心を中心に均等な角度で配置され、該ターンテーブルを上から見た時、隣り合う該チャックテーブルが重なって配設されたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、チャックテーブルは、ターンテーブルの回転中心を中心に均等な角度で配置され、ターンテーブルを上から見た時、隣り合うチャックテーブルが重なって配設されることにより、ターンテーブル上に複数のチャックテーブルを配置する場合であっても、ターンテーブル上におけるチャックテーブルの占有面積を、チャックテーブルの合計面積(チャックテーブルの面積×個数分)よりも小さくすることができるため、ターンテーブルの面積を増大することなくターンテーブル上にチャックテーブルを増設することが可能となる。
【0008】
上記研削装置において、重なって配設される複数の該チャックテーブルは、複数の段を備えていて、該チャックテーブルの上面と該ターンテーブルの上面を略平行に配設されてもよい。
【0009】
上記研削装置において、重なって配設される複数の該チャックテーブルは、該チャックテーブルの回転軸を傾けて配設されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ターンテーブルの面積を増大することなくターンテーブル上にチャックテーブルを増設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る研削装置の一例を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る研削装置のターンテーブルとチャックテーブルと研削ホイールとのXY平面における位置関係を示す模式図である。
図3】第1の実施の形態に係る研削装置のターンテーブルとチャックテーブルと研削ホイールとのZ軸方向における位置関係を示す模式図である。
図4】第2の実施の形態に係る研削装置の一例を示す斜視図である。
図5】第2の実施の形態に係る研削装置のターンテーブルとチャックテーブルと研削ホイールとのXY平面における位置関係を示す模式図である。
図6】第2の実施の形態に係る研削装置のターンテーブルとチャックテーブルと研削ホイールとのZ軸方向における位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る研削装置の一例を示す斜視図である。図1に示すように、研削装置1は、チャックテーブル4と研削ユニット(研削手段)5A,5Bとを相対回転させることにより、チャックテーブル4が保持する板状ワークWを研削するように構成されている。なお、研削装置1において、2つの研削ユニット(研削ユニット5A,5B)を有する場合について説明するが、研削ユニットの数はこれに限定されるものではない。
【0013】
研削装置1は、略直方体形状の基台2を有している。基台2の上面には、複数(図1において4つ)のチャックテーブル4が配置されたターンテーブル3と、研削ユニット5A,5Bをそれぞれ支持するコラム6と、が設けられている。
【0014】
ターンテーブル3は、円盤形状を有し、円盤中心を軸に回転可能に設けられている。ターンテーブル3の外径は、チャックテーブル4の外径よりも大径に構成されている。
【0015】
チャックテーブル4は、ターンテーブル3の上面に回転可能に設けられている。チャックテーブル4は、隣り合うチャックテーブル4の上面が異なる高さに位置するとともに、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置されている。すなわち、チャックテーブル4は複数の段を備えるように配置されている。また、チャックテーブル4は、各チャックテーブル4の上面とターンテーブル3の上面とが略平行になるように配置されている。なお、ターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の配置については詳細を後述する。
【0016】
チャックテーブル4の上面には、たとえばポーラスセラミック材で構成され、図示しない吸引源に接続された保持面4aが設けられている。この構成により、板状ワークWがチャックテーブル4に載せ置かれた場合には、保持面4aの中央で板状ワークWが吸引保持される。
【0017】
コラム6は、基台2の隣り合う2辺に沿って、それぞれ設けられている。コラム6には、研削ユニット5A,5Bを上下移動させる研削ユニット移動機構61が設けられている。研削ユニット移動機構61は、コラム6の前面に配置されたZ軸方向に平行な一対のガイドレール61aと、一対のガイドレール61aにスライド可能に設置されたモータ駆動のZ軸テーブル61bと、を含んで構成される。Z軸テーブル61bの前面には、研削ユニット5A,5Bが支持されている。
【0018】
Z軸テーブル61bの背面側には、図示しないナット部が形成され、このナット部にボールねじ61cがねじ込まれている。そして、ボールねじ61cの一端部に連結された駆動モータ61dが回転駆動されることで、研削ユニット5A,5Bがガイドレール61aに沿ってZ軸方向に移動される。
【0019】
研削ユニット5A,5Bは、同様に構成されるため、共通の符号を付して説明する。研削ユニット5A,5Bは、円筒状のスピンドル51と、スピンドル51の下端に設けられたホイールマウント52と、ホイールマウント52の下面に取り付けられた研削ホイール53と、研削ホイール53の下面に配列された複数の研削砥石54と、を含んで構成される。
【0020】
研削砥石54は、たとえば、ダイヤモンド砥粒をメタルボンドやレンジボンドなどの結合剤で固めたダイヤモンド砥石で構成される。研削砥石54は、スピンドル51の駆動に伴ってZ軸まわりに高速回転する。そして、研削ホイール53と板状ワークWとが平行な状態で、高速回転する研削砥石54が板状ワークWの表面に接触することにより、板状ワークWの表面が研削される。なお、たとえば、研削ユニット5Aを構成する研削砥石54は粗研削用のもの、研削ユニット5Bを構成する研削砥石54は仕上げ研削用のもの、といった使い分けをすることもできる。
【0021】
また、基台2内には、研削装置1の各部を統括制御する制御部7が設けられている。制御部7は、各種処理を実行するプロセッサや、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を含んで構成される。
【0022】
続いて、ターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の配置について詳細に説明する。図2は、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのXY平面における位置関係を示す模式図である。図3は、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのZ軸方向における位置関係を示す模式図である。図2Aはチャックテーブル4を3つ設置する場合、図2Bはチャックテーブル4を4つ設置する場合、図2Cはチャックテーブル4を5つ設置する場合、図2Dはチャックテーブル4を6つ設置する場合、をそれぞれ示している。また、図3Aはチャックテーブル4を4つ設置する場合、図3Bはチャックテーブル4を6つ設置する場合、をそれぞれ示している。
【0023】
まず、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのXY平面における位置関係について説明する。なお、図2A図2Dにおける研削ホイール53の数は、一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0024】
図2Aに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を3つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、120°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0025】
図2Bに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を4つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、90°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0026】
図2Cに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を5つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、72°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0027】
図2Dに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を6つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、60°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0028】
図2A図2Dにおいて、研削ホイール53の回転中心O(53)は、ターンテーブル3の回転中心O(3)とチャックテーブル4の回転中心O(4)とを結ぶ直線上に位置し、かつ、研削ホイール53の円周がチャックテーブル4の回転中心(4)を通るように配置される。このように、研削ホイール53はチャックテーブル4(板状ワークW)と部分的に重なっていればよく、研削ホイール53を上述のように配置することにより、研削工程において、板状ワークWの表面を削り残しなく均一に研削することができる。
【0029】
図2A図2Dに示すように、ターンテーブル3上に配置されるチャックテーブル4の数が多くなるほど、チャックテーブル4の重なり量は大きくなる。また、図2A図2Cにおいて、各チャックテーブル4はターンテーブル3の回転中心O(3)上に配置されているが、図2Dにおいては、ターンテーブル3の回転中心O(3)近傍をあけて各チャックテーブル4が配置されている。このようにターンテーブル3の回転中心O(3)近傍をあけてチャックテーブル4を配置することで、さらに多くのチャックテーブル4をターンテーブル3上に配置することができる。
【0030】
次に、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのZ軸方向における位置関係について説明する。
【0031】
図3Aに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を4つ配置する場合、チャックテーブル4は、隣り合うチャックテーブル4の上面が異なる高さに位置するように、Z軸上の2つの座標平面上に交互に配置される。すなわち、チャックテーブル4は、2つの段を備えて配置される。このとき、異なる段に配置された、隣り合うチャックテーブル4の一部は重なるように配置される。
【0032】
図3Bに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を6つ配置する場合、チャックテーブル4は、隣り合うチャックテーブル4の上面が異なる高さに位置するように、Z軸上の3つの座標平面上に順に配置される。すなわち、チャックテーブル4は、3つの段を備えて配置される。このとき、異なる段に配置された、隣り合うチャックテーブル4の一部は重なるように配置される。
【0033】
図3A図3Bにおいて、各チャックテーブル4の上面は、ターンテーブル3の上面と略平行になるように配置されている。これにより、各チャックテーブル4の回転軸はZ軸に平行に構成される。各研削ホイール53は、研削ユニット移動機構61によってZ軸上を上下移動され、対向するチャックテーブル4に合わせて研削に適した位置に位置している。
【0034】
以上説明したように、チャックテーブル4を、ターンテーブル3の回転中心を中心として均等な角度間隔で配置するとともに、隣り合うチャックテーブル4の上面が異なる高さに位置するように配置し、さらに、隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置することにより、ターンテーブル3上に複数のチャックテーブル4を配置する場合であっても、ターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の占有面積を、チャックテーブル4の合計面積(チャックテーブル4の面積×個数分)よりも小さくすることができるため、ターンテーブル3の面積の増大を抑制し、さらには、研削装置1全体の床面積の増大を抑制することが可能となる。
【0035】
続いて、このような研削装置1を用いた研削加工について説明する。
ここでは、研削ユニット5Aを構成する研削砥石54が粗研削用のもの、研削ユニット5Bを構成する研削砥石54が仕上げ研削用のものとして構成される場合の研削加工について説明する。なお、被加工物である板状ワークWの構成は特に限定されず、たとえば、サファイア基板、ガリウムヒ素(GaAs)基板、炭化ケイ素(SiC)基板などを用いることができる。
【0036】
まず、図1に示す研削装置1において、図示しない搬出入手段に最も近い位置にあるチャックテーブル4に板状ワークWが搬送され、チャックテーブル4の保持面4aで吸引保持される。その後、ターンテーブル3の回転により、チャックテーブル4に保持された板状ワークWが研削ユニット5Aの下方に位置づけされる。
【0037】
そして、チャックテーブル4を回転し、研削ユニット5Aの研削ホイール53を回転するとともに、研削ユニット移動機構61によって研削ユニット5Aを下降して、研削砥石54を板状ワークWの表面に接触させて粗研削加工が施される。
【0038】
粗研削加工終了後は、ターンテーブル3が回転することにより、粗研削加工が施された板状ワークWが研削ユニット5Bの下方に位置づけされる。そして、チャックテーブル4を回転し、研削ユニット5Bの研削ホイール53を回転するとともに、研削ユニット移動機構61によって研削ユニット5Bを下降して、研削砥石54を板状ワークWの表面に接触させて仕上げ研削加工が施される。
【0039】
仕上げ研削終了後は、ターンテーブル3が回転することにより、仕上げ研削加工が施された板状ワークWを保持するチャックテーブル4が、図示しない搬出入手段の近傍に位置づけされる。そして、搬出入手段によって、チャックテーブル4上の板状ワークWが搬送される。
【0040】
以上説明したように、研削装置1における研削加工においては、ターンテーブル3が回転することによりチャックテーブル4に保持された板状ワークWが移動しながら次々と研削加工が施される構成となっている。研削装置1によれば、生産性を阻害することなく省スペース化を図ることができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態で示した研削装置1とは異なる構造の研削装置10について説明する。研削装置10は、研削ユニット5A,5Bを支持するコラム6の構成およびターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の配置について第1の実施の形態に係る研削装置1と相違する。
【0042】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る研削装置の一例を示す斜視図である。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態に係る研削装置1と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
チャックテーブル4は、ターンテーブル3の上面に角度を有して配置される点で、第1の実施の形態に係る研削装置1と相違する。すなわち、各チャックテーブル4の上面は、ターンテーブル3の上面に対して斜めに配置され、ターンテーブル3の回転軸に対して、チャックテーブル4の回転軸は傾けて設けられている。なお、ターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の配置については詳細を後述する。
【0044】
研削ユニット5A,5Bは、研削ホイール53とチャックテーブル4上に保持される板状ワークWとが平行になるように、チャックテーブル4の傾きに応じて、基台2の上面に対して斜めに配置される。研削ユニット5A,5Bを基台2の上面に対して斜めに配置するためには、たとえば、研削ユニット5A,5Bを支持するコラム6を可動式として、コラム6を傾けることにより研削ユニット5A,5Bの傾きを調整可能な構成とすればよい。
【0045】
続いて、第2の実施の形態に係る研削装置10のターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の配置について詳細に説明する。図5は、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのXY平面における位置関係を示す模式図である。図6は、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのZ軸方向における位置関係を示す模式図である。図5Aはチャックテーブル4を3つ設置する場合、図5Bはチャックテーブル4を4つ設置する場合、図5Cはチャックテーブル4を5つ設置する場合、図5Dはチャックテーブル4を6つ設置する場合、をそれぞれ示している。また、図6Aはチャックテーブル4を4つ設置する場合、図6Bはチャックテーブル4を6つ設置する場合、をそれぞれ示している。
【0046】
まず、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのXY平面における位置関係について説明する。なお、図5A図5Dにおける研削ホイール53の数は、一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0047】
図5Aに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を3つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、120°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0048】
図5Bに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を4つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、90°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0049】
図5Cに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を5つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、72°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0050】
図5Dに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を6つ配置する場合、各チャックテーブル4は、ターンテーブル3の回転中心O(3)を中心として、60°間隔で配置される。このとき、チャックテーブル4は、上面視において隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置される。
【0051】
図5A図5Dにおいて、研削ホイール53の回転中心O(53)は、ターンテーブル3の回転中心O(3)とチャックテーブル4の回転中心O(4)とを結ぶ直線上に位置し、かつ、研削ホイール53の円周がチャックテーブル4の回転中心O(4)を通るように配置される。このように、研削ホイール53はチャックテーブル4(板状ワークW)と部分的に重なっていればよく、研削ホイール53を上述のように配置することにより、研削工程において、板状ワークWの表面を削り残しなく均一に研削することができる。
【0052】
次に、ターンテーブル3とチャックテーブル4と研削ホイール53とのZ軸方向における位置関係について説明する。
【0053】
図6Aに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を4つ配置する場合、チャックテーブル4は、それぞれターンテーブル3の上面に対して同一の角度θを有して配置される。なお、θは、0°≦θ≦45°の範囲であることが好ましい。このとき、隣り合うチャックテーブル4の一部は重なるように配置される。
【0054】
図6Bに示すように、ターンテーブル3上にチャックテーブル4を6つ配置する場合、チャックテーブル4は、それぞれターンテーブル3の上面に対して同一の角度θを有して配置される。なお、θは、0°≦θ≦45°の範囲であることが好ましい。このとき、隣り合うチャックテーブル4の一部は重なるように配置される。
【0055】
図6A図6Bにおいて、各チャックテーブル4は、チャックテーブル4の上面に対して垂直な回転軸を、ターンテーブル3の上面に対して傾けた状態で配置される。各研削ホイール53は、研削ユニット5A,5Bの傾きを調整することにより、対向するチャックテーブル4の上面と平行な位置に位置している。このとき、各研削ホイール53は高さが揃うので、研削ユニット5A,5BにおけるZ軸方向の位置合わせが容易である。
【0056】
以上説明したように、チャックテーブル4を、ターンテーブル3の回転中心を中心として均等な角度間隔で配置するとともに、各チャックテーブル4がターンテーブル3の上面に対して同一の角度θを有するように配置し、さらに、隣り合うチャックテーブル4の一部が重なるように配置することにより、ターンテーブル3上に複数のチャックテーブル4を配置する場合であっても、ターンテーブル3上におけるチャックテーブル4の占有面積を、チャックテーブル4の合計面積(チャックテーブル4の面積×個数分)よりも小さくすることができるため、ターンテーブル3の面積の増大を抑制し、さらには、研削装置1全体の床面積の増大を抑制することが可能となる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0058】
たとえば、上記第2の実施の形態においては、研削ユニット5A,5Bを支持するコラム6を傾けることにより研削ユニット5A,5Bの傾きを調整し、チャックテーブル4上に保持される板状ワークWと研削ユニット5A,5Bにおける研削ホイール53とが平行になるように調整する場合について説明しているが、板状ワークWと研削ホイール53とが平行になるように調整する構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。たとえば、研削ユニット5A,5Bに設けられた調節ねじによってスピンドル51の傾きを調整することにより、板状ワークWと研削ホイール53とが平行になるように調整する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明は、ターンテーブルの面積を増大することなくターンテーブル上にチャックテーブルを増設することができるという効果を有し、特に、研削手段を複数備える研削装置に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1,10 研削装置
2 基台
3 ターンテーブル
4 チャックテーブル
4a 保持面
5A,5B 研削ユニット
51 スピンドル
52 ホイールマウント
53 研削ホイール
54 研削砥石
6 コラム
61 研削ユニット移動機構
61a ガイドレール
61b Z軸テーブル
61c ボールねじ
61d 駆動モータ
7 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6