特許第5938417号(P5938417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938417
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】一液型エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20160609BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20160609BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20160609BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20160609BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   C08G59/40
   C08L63/00 C
   C08K5/09
   C08K3/00
   H01L23/30 R
   H01L21/60 311S
   H01L21/56 E
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-547072(P2013-547072)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2012078109
(87)【国際公開番号】WO2013080732
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-260004(P2011-260004)
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】加納 明美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏行
(72)【発明者】
【氏名】山田 和義
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−160642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/40
C08K 3/00
C08K 5/09
C08L 63/00
H01L 21/56
H01L 21/60
H01L 23/29
H01L 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)液状エポキシ樹脂、(b)酸無水物系硬化剤またはフェノール系硬化剤、(c)潜在性硬化促進剤、(d)5−ヒドロキシイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸たはそれらの混合物、を含み、前記(c)潜在性硬化促進剤が、アミンアダクト化合物をコアとするマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、または、アミンアダクト型潜在性硬化剤である、一液型エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記(c)潜在性硬化促進剤が常温で固形である、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記(c)および前記(d)の質量比((d)/(c))が0.01〜5である、請求項1または2に記載の一液型エポキシ樹脂組成物
【請求項4】
さらに無機充填材を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の一液型エポキシ樹脂組成物
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の一液型エポキシ樹脂組成物からなるアンダーフィル材
【請求項6】
フリップチップボンディング方式により配線基板に半導体チップが実装された半導体装置の製造方法であって、
配線基板を加熱して60℃〜120℃に保持する工程、
前記配線基板上に請求項5に記載のアンダーフィル材を塗布する工程、
前記配線基板の前記アンダーフィルが塗布された部位に、半導体チップを位置合わせして圧接する工程、および、
150℃〜200℃で前記アンダーフィル材を硬化させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法
【請求項7】
フリップチップボンディング方式により配線基板に半導体チップが実装された半導体装置の製造方法であって、
配線基板に半導体チップを接続する工程、
前記配線基板を加熱して60℃〜120℃に保持する工程、
前記配線基板と前記半導体チップとの間隙に請求項5に記載のアンダーフィル材を充填する工程、および、150℃〜200℃で前記アンダーフィル材を硬化させる工程を含む半導体装置の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ実装体向けのアンダーフィル材として用いられる一液型エポキシ樹脂組成物に関し、特に、先供給型のアンダーフィル材としての使用に適したエポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ実装体では、バンプ電極を介して基板上の電極部と、半導体素子としてのチップまたはパッケージと、が接続された構造を有しており、両者の接続部位はアンダーフィルで補強されている。アンダーフィル材の供給方法としては、チップまたはパッケージと、基板上の電極部と、を接続させた後、チップまたはパッケージの外周に沿って後供給型のアンダーフィル材を塗布(ディスペンス)し、毛細管現象を利用して、両者の間隙にアンダーフィル材を充填するキャピラリーフローと、フリップチップボンダー装置を使用して基板上のアンダーフィル材で補強する部位(具体的には、基板上の電極部およびその周辺)に、あらかじめ先供給型のアンダーフィル材を塗布(ディスペンス)しておき、その上からチップまたはパッケージを圧接させることにより、チップまたはパッケージを基板に接続するコンプレッションフローがある。いずれの場合であっても、アンダーフィル材を加熱硬化させることで両者の接続部位を補強する。
工程時間を短縮したりボイドを減少させたりするなどの目的で、いずれの方法の場合であっても予め加熱した(例えば60℃〜120℃)基板上にアンダーフィル材をディスペンスすることから、アンダーフィル材には60℃〜120℃の中温域での安定性が求められる。
【0003】
先供給型および後供給型のいずれの場合においても、アンダーフィル材としては、保管や取り扱いが容易であることから一液型エポキシ樹脂組成物が通常用いられる。
しかしながら、一液型エポキシ樹脂組成物は、中温域での安定性が低いことから、基板上にアンダーフィル材をディスペンスする際に硬化反応が進行するおそれがあり、フリップチップ実装時の作業性に問題があった。
【0004】
一液型エポキシ樹脂組成物の速硬化性を維持しつつ、常温域での保存安定性を改善する目的で、該エポキシ樹脂組成物に含有させる硬化促進剤の潜在化が試みられている。その手段としては、硬化促進剤のマイクロカプセル化(特許文献1参照)、硬化促進剤の包接化合物化(特許文献2、3参照)等が提案されている。しかしいずれも、60℃〜120℃の中温域での安定性を高めると速硬化性は損なわれる。たとえば、該エポキシ樹脂組成物の硬化性を制御して、60℃〜120℃の中温域での安定性を高めるために、硬化促進剤の含有量を減らした場合、硬化に要する時間が長くなり、速硬化性は損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−344046号公報
【特許文献2】特開2007−39449号公報
【特許文献3】特開2010−180337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解決するため、150℃以上での速硬化性を維持すると共に60℃〜120℃の中温域で高い安定性を有する一液型エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、(a)液状エポキシ樹脂、(b)酸無水物系硬化剤またはフェノール系硬化剤、(c)潜在性硬化促進剤、(d)5−ヒドロキシイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸たはそれらの混合物、を含み、前記(c)潜在性硬化促進剤が、アミンアダクト化合物をコアとするマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、または、アミンアダクト型潜在性硬化剤である、一液型エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0008】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、前記(c)潜在性硬化促進剤が常温で固形であることが好ましい。
【0010】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、前記(c)および前記(d)の質量比((d)/(c))が0.01〜5であることが好ましい。
【0011】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、さらに無機充填材を含んでいてもよい。
【0012】
また、本発明は、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物からなるアンダーフィル材を提供する。
【0013】
また、本発明は、フリップチップボンディング方式により配線基板に半導体チップが実装された半導体装置の製造方法であって、
配線基板を加熱して60℃〜120℃に保持する工程、
前記配線基板上に本発明のアンダーフィル材を塗布する工程、
前記配線基板の前記アンダーフィルが塗布された部位に、半導体チップを位置合わせして圧接する工程、および、
150℃〜200℃で前記アンダーフィル材を硬化させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、フリップチップボンディング方式により配線基板に半導体チップが実装された半導体装置の製造方法であって、
配線基板に半導体チップを接続する工程、
前記配線基板を加熱して60℃〜120℃に保持する工程、
前記配線基板と前記半導体チップとの間隙に本発明のアンダーフィル材を充填する工程、および、150℃〜200℃で前記アンダーフィル材を硬化させる工程を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、150℃以上で速硬化性を有しており、かつ、60℃〜120℃の中温域で高い安定性を有していることから、フリップチップ実装時のアンダーフィル材として好適である。本発明の一液型エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として使用することで、フリップチップ実装時の作業性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、以下に示す(a)〜(d)成分を必須成分として含有する。
【0017】
(a)成分:液状エポキシ樹脂
(a)成分の液状エポキシ樹脂は、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物の主剤をなす成分である。
本発明において、液状エポキシ樹脂とは常温で液状のエポキシ樹脂を意味する。
本発明における液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約400以下のもの;p−グリシジルオキシフェニルジメチルトリスビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの;ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンのような脂環式エポキシ樹脂;3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジグリシジルオキシビフェニルのようなビフェニル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルのようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ならびに1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインのようなヒダントイン型エポキシ樹脂;ナフタレン環含有エポキシ樹脂が例示される。また、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのようなシリコーン骨格をもつエポキシ樹脂も使用することができる。さらに、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグルシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルのようなトリエポキシド化合物等も例示される。
中でも好ましくは、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、液状アミノフェノール型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂である。さらに好ましくは液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサンである。
(a)成分としての液状エポキシ樹脂は、単独でも、2種以上併用してもよい。
また、常温で固体のエポキシ樹脂であっても、液状のエポキシ樹脂と併用することにより、混合物として液状を示す場合は用いることができる。
【0018】
(b)成分:酸無水物系硬化剤またはフェノール系硬化剤
(b)成分は、(a)成分のエポキシ樹脂の硬化剤である。
本発明では、常温での保存安定性、アンダーフィル材として使用する際の流動性、硬化性、および、硬化物物性のバランスに優れるため、エポキシ樹脂の硬化剤として、酸無水物系硬化剤またはフェノール系硬化剤を用いる。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルバン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)―4―シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物が挙げられる。
これらの中でも、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)―4―シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、およびそれらの混合物が好ましい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、フェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えば、フェノールノボラック樹脂およびそのアルキル化物またはアリル化物、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、組成物を低粘度化できることからアリルフェノールノボラック樹脂が好ましい。
なお、上記の硬化剤のうち、いずれか1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(b)成分としての硬化剤は、要求される特性に応じて適宜選択することができる。酸無水物系硬化剤は、組成物の低粘度化が容易なため、アンダーフィル材として使用する際に注入性に優れる。フェノール系硬化材は応力の低い硬化物を得ることができる。
【0019】
(b)成分の硬化剤の含有量は、(a)成分の液状エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基に対する当量比で決定される。
酸無水物硬化剤の場合、(a)成分の液状エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が、0.6〜1.2当量であることが好ましく、0.7〜1.0当量であることがより好ましい。
フェノール系硬化剤の場合、(a)成分の液状エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が0.6〜1.2当量であることが好ましく、0.7〜1.1当量であることがより好ましい。
ここで、酸無水物系硬化剤およびフェノール系硬化剤を併用する場合、個々の硬化剤の当量の合計が、液状エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.6〜1.2当量であることが好ましく、0.7〜1.1当量であることがより好ましい。
【0020】
(c)成分:潜在性硬化促進剤
本発明では、速硬化性を有し、かつ、60℃〜120℃の中温域で高い安定性を有する一液型エポキシ樹脂組成物とするため、エポキシ樹脂の硬化促進剤として、潜在性硬化促進剤を用いる。
【0021】
(c)成分としての潜在性硬化促進剤は、常温で固形であることが、常温での保存安定性に優れるため好ましい。
【0022】
(c)成分としては、エポキシ樹脂の潜在性硬化促進剤であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができるが、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤またはアミンアダクト型潜在性硬化剤が、(d)成分との組み合わせによって60℃〜120℃の中温域での安定性に優れる組成物を得ることができるため好ましい。
【0023】
本発明において、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤とは、1級、2級または3級アミノ基を有するアミン化合物、またはそれらのアミン化合物とエポキシ樹脂との反応により得られたアミンアダクト化合物をコアとして合成樹脂または無機酸化物からなるシェルによって被覆されている構造を有する硬化促進剤であり、好適な潜在性を示すことからアミン化合物はイミダゾール誘導体が好ましい。イミダゾール誘導体の例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールを挙げることができる。シェルとなる合成樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂を挙げることができ、これらの樹脂を複合して用いることもできる。シェルとなる無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアを挙げることができる。具体的には、イミダゾール誘導体をエポキシ樹脂等の反応物で被覆した潜在性硬化促進剤が液状エポキシ樹脂中に分散されている旭化成イーマテリアルズ株式会社製ノバキュアを挙げることができ、品番としてはHX−3721、HX−3742、HX−3088、HX−3921、HX−3941(いずれも商品名)などが例示される。
【0024】
本発明において、アミンアダクト型潜在性硬化促進剤とは、1級、2級または3級アミノ基を有するアミン化合物とエポキシ樹脂の反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)やアミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)、更には、これらの硬化剤の表面をイソシアネート化合物や酸性化合物で処理したものを指す。アミン化合物としてはイミダゾール誘導体が好ましく、具体的には、アミン−エポキシアダクト型である味の素ファインテクノ社製アミキュアPN−23、アミキュアPN−40、アミン−尿素アダクト型である富士化成工業社製フジキュアFX−1000、FXR−1121(いずれも商品名)などが例示される。
【0025】
(c)成分としての潜在性硬化促進剤は、(a)成分としての液状エポキシ樹脂100質量部に対して、0.5〜60質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。
【0026】
(d)成分:5−ヒドロキシイソフタル酸(HIPA)、5−ニトロイソフタル酸(NIPA)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTCA)またはそれらの混合物
本発明において、(d)成分としての5−ヒドロキシイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸またはそれらの混合物は、一液型エポキシ樹脂組成物の60℃〜120℃の中温域の安定性を向上させる成分である。
【0027】
特許文献2に記載の発明では、予めメタノール等の溶剤に溶解したイミダゾールと、同様に溶剤に溶解したイソフタル酸化合物を加熱・反応させて包接化合物としたものを硬化触媒(硬化促進剤)として用いることで、低温での硬化反応を抑制して、一液安定性の向上を図ると共に、加熱処理を施すことにより、効果的にエポキシ樹脂を硬化させることができるとしている。
【0028】
特許文献3に記載の発明では、5−ヒドロシキイソフタル酸と、2−エチル−4−メチルイミダゾールと、の包接錯体をエポキシ樹脂の硬化剤または硬化促進剤として用いることで、封止材の保存安定性を向上させるとともに、封止時の封止材の流動性を保ち、かつ、熱による効率的な封止材の硬化速度を実現できるとしている。
【0029】
特許文献2,3に記載の発明は、いずれも硬化促進剤としてのイミダゾールと、イソフタル酸化合物と、で包接化合物(または包接錯体)を形成することで、硬化促進剤の安定性を向上させるとともに、加熱時には包接が解離して速やかに硬化反応が起こることを意図したものであるが、包接化合物(または包接錯体)が安定に形成されると、加熱時に包接が解離され難くなることから、ゲルタイムが長くなり速硬化性が損なわれる。
したがって、150℃以上での速硬化性と60℃〜120℃の中温域での安定性との両立は図れていない。
【0030】
一方、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物では、(c)成分として潜在性硬化促進剤を使用し、かつ、(d)成分として、HIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物を使用することで、150℃以上での速硬化性と60℃〜120℃の中温域での安定性との両立を図ることができる。
【0031】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、(c)成分としての潜在性硬化促進剤と、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物と、が、包接化合物(または包接錯体)を形成しないと考えられる。
(c)成分としての潜在性硬化促進剤と、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物と、が、包接化合物(または包接錯体)を形成しないことは、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物の含有量が、後述するように少量であっても、意図した効果が発揮されることから推測できる。
なお、(c)成分としての潜在性硬化促進剤と、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物と、が、包接化合物(または包接錯体)を形成しないのは、(c)成分としての潜在性硬化促進剤がマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤の場合は、被覆層によって硬化促進剤成分が覆われていることが理由であると考えられる。一方、(c)成分としての潜在性硬化促進剤がアミンアダクト型潜在性硬化促進剤の場合は、硬化促進剤成分が既に反応していることが理由であると考えられる。
なお、(c)成分としての潜在性硬化促進剤と、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物と、を使用することで、一液型エポキシ樹脂組成物の常温での保存安定性も向上する。
【0032】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、(c)としての潜在性硬化促進剤と、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物と、の質量比((d)/(c))が0.01〜5であることが、150℃以上での速硬化性と60℃〜120℃の中温域での安定性との両立を図るうえで好ましい。
両者の質量比((d)/(c))が0.01よりも小さい場合、(d)成分としてのHIPA、NIPAまたはそれらの混合物の含有量が、(c)成分としての潜在性硬化性促進剤の含有量に対して少ないことから、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物の添加による効果が十分発揮されず、一液型エポキシ樹脂組成物の60℃〜120℃の中温域での安定性が低下するおそれがある。また、一液型エポキシ樹脂組成物の常温での保存安定性が低下するおそれがある。
一方、両者の質量比((d)/(c))が5よりも大きい場合、(d)成分としてのHIPA、NIPA、BTCAまたはそれらの混合物の含有量が、(c)成分としての潜在性硬化性促進剤の含有量に対して多くなることから、一液型エポキシ樹脂組成物の150℃以上での速硬化性が損なわれるおそれがある。また、酸が硬化物中に残るため、一液型エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として用いて作製した半導体装置の耐湿信頼性に悪影響がでることが予想される。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、両者の質量比((d)/(c))が0.012〜1.5であることがより好ましく、0.015〜0.8であることがさらに好ましい。
【0033】
(e)成分:無機充填材
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物を、アンダーフィル材として使用する場合、(e)成分として、無機充填材を含有させることが好ましい。
(e)成分として、無機充填材を含有させることで、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として使用した場合に、封止した部位の耐湿性および耐サーマルサイクル性、特に耐サーマルサイクル性が向上する。無機充填材の使用により耐サーマルサイクル性が向上するのは、線膨張係数を下げることにより、サーマルサイクルによるアンダーフィル材の硬化物の膨張・収縮を抑制できるからである。
無機充填剤は、添加により線膨張係数を下げる効果を有するものである限り特に限定されず、各種無機充填剤を使用することができる。具体的には非晶質シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、チッ化ホウ素、チッ化アルミニウム、チッ化珪素等が挙げられる。
これらの中でも、シリカ、特に、非晶質の球状シリカが、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として使用した際に流動性に優れ、硬化物の線膨張係数を低減できることから望ましい。
なお、ここで言うシリカは、製造原料に由来する有機基、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基を有するものであってもよい。
非晶質の球状シリカとしては、製造容易性の点からコロイダルシリカが好ましい。
また、無機充填剤として用いるシリカとしては、特開2007−197655号公報に記載の製造方法によって得られたシリカ含有組成物を用いてもよい。
また、無機充填剤は、シランカップリング剤等で表面処理が施されたものであってもよい。表面処理が施された無機充填剤を使用した場合、無機充填剤の凝集を防止する効果が期待される。これにより、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物の保存安定性の向上が期待される。
【0034】
(e)成分としての無機充填材は、平均粒径が0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。
ここで、無機充填材の形状は特に限定されず、球状、不定形、りん片状等のいずれの形態であってもよい。なお、無機充填材の形状が球状以外の場合、無機充填材の平均粒径とは該無機充填材の平均最大径を意味する。
【0035】
(e)成分として、無機充填材を含有させる場合、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物における無機充填剤の含有量は30〜80質量%であることが好ましい。
ここで言う、無機充填剤の含有量とは、(a)〜(d)成分に加えて、後述する任意の成分まで含めた、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物含有成分全量に対する質量%である。
無機充填剤の含有量が30質量%未満だと、無機充填剤の添加により線膨張係数を下げる効果が不十分であり、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として使用した場合に、耐サーマルサイクル性を向上させる効果が不十分となるおそれがある。
一方、無機充填剤の含有量が80質量%超だと、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物を先供給型のアンダーフィル材として使用した場合の塗布性や、後供給型のアンダーフィル材として使用した場合の間隙への充填性や電気的接続性が低下するおそれがある。
【0036】
(その他の配合剤)
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、上記(a)〜(e)成分以外の成分を必要に応じてさらに含有してもよい。
このような成分の具体例としては、レベリング剤、着色剤、イオントラップ剤、消泡剤、難燃剤などを配合することができる。各配合剤の種類、配合量は常法通りである。また、オキセタン、アクリレート、ビスマレイミドなどの熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エラストマーなどを配合してもよい。
【0037】
(一液型エポキシ樹脂組成物の調製)
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、上記(a)〜(e)成分、および、さらに必要に応じて配合するその他の配合剤を混合し、攪拌して調製される。混合攪拌は、ロールミルを用いて行うことができるが、勿論、これに限定されない。
各成分を同時に混合しても、一部成分を先に混合し、残り成分を後から混合するなど、適宜変更しても差支えない。
【0038】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、以下に述べる特性を有しているため、先供給型のアンダーフィル材および後供給型のアンダーフィル材のいずれにも好適である。
【0039】
(初期粘度、レオメーター粘度2倍増粘時間)
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、初期粘度、具体的には、25℃における粘度が0.5〜200Pa・sである。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、初期粘度が上記範囲であることに加えて、後述する実施例に記載の手順で測定されるレオメーター粘度2倍増粘時間が20min以上であることから、60℃〜120℃の中温域での安定性が良好であり、先供給型および後供給型のアンダーフィル材として使用した際の作業性が良好である。
【0040】
また、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、常温での保存安定性が良好であり、ポットライフに優れている。具体的には、25℃、湿度50%の環境にて24Hr放置後の粘度上昇率が1.5倍以下である。
【0041】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、速硬化性に優れており、150〜200℃の温度で3秒〜2時間の加熱で硬化させることができる。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、後述する実施例に記載の手順で測定されるゲルタイムが5分以下であることが好ましい。
【0042】
本発明のアンダーフィル材は、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物からなる。
次に、本発明のアンダーフィル材の使用方法について説明する。
本発明のアンダーフィル材は、フリップチップボンディング方式により配線基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する際に、先供給型のアンダーフィル材または後供給型のアンダーフィル材として使用される。
【0043】
先供給型のアンダーフィル材として使用する場合、コンプレッションフローの手順にしたがって、半導体装置を製造することになる。
コンプレッションフローでは、まず始めに配線基板を加熱して60℃〜120℃に保持する。アンダーフィル材で補強する部位(具体的には、基板上の電極部およびその周辺)にアンダーフィル材を塗布するために、アンダーフィル材の塗布に適した温度まで配線基板を加熱するためである。
次に、配線基板上にアンダーフィル材を塗布する。具体的には、フリップチップボンダー装置を使用して基板上のアンダーフィル材で補強する部位(具体的には、基板上の電極部およびその周辺)に、アンダーフィル材を塗布(ディスペンス)する。
次に、アンダーフィルが塗布された部位に、半導体チップを位置合わせして圧接する。半導体の圧接時には、配線基板を200℃〜300℃に加熱する。これにより、アンダーフィル材が半硬化の状態になる。
次に、アンダーフィル材を完全に硬化させるために、ポストキュアの工程を実施する。具体的に、配線基板を150〜200℃に加熱してアンダーフィルを硬化させる。
【0044】
後供給型のアンダーフィル材として使用する場合、キャピラリーフローの手順にしたがって、半導体装置を製造することになる。
キャピラリーフローでは、まず始めに、配線基板に半導体チップを接続する。具体的には、配線基板上に設けられた電極部と、半導体チップのバンプ電極と、を接続する。一例を挙げると、両者をハンダ接続する場合、配線基板上に設けられた電極部上、若しくは、半導体チップのバンプ電極上、あるいはその両方にフラックスを塗布した後、該電極部上に該バンプ電極が位置するように基板上に半導体素子を仮置きし、その後、該基板を加熱してハンダを溶融させることにより、該電極部と該バンプ電極とを接続する。
次に、配線基板を加熱して60℃〜120℃に保持する。
この状態で、半導体チップの外周に沿ってアンダーフィル材を塗布(ディスペンス)し、毛細管現象を利用して、両者の間隙にアンダーフィル材を充填する。
次に、配線基板を150〜200℃に加熱してアンダーフィルを硬化させる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(実施例1〜、比較例1〜10)
下記表に示す成分を、表に示す量(質量部)で量り取り、各成分を混合した混合物を三本ロールミル混練し、均一な一液型エポキシ樹脂組成物を得た。
なお、表中の記号は、それぞれ以下を表わす。
液状エポキシ樹脂(a1):ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量140g/Eq)
液状エポキシ樹脂(a2):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160g/Eq)
硬化剤(b1):酸無水物系硬化剤(3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)―4―シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物)
硬化剤(b2):フェノール系硬化剤(アリルフェノールノボラック樹脂)(水酸基当量135g/Eq)
潜在性硬化促進剤(c1):マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤(ノバキュアHX3088、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂2質量部中に、イミダゾール誘導体をエポキシ樹脂等の反応物で被覆した潜在性硬化促進剤1質量部が分散されている混合物(エポキシ当量170g/Eq)(旭化成イーマテリアルズ株式会社製))
潜在性硬化促進剤(c2):アミンアダクト型潜在性硬化促進剤(アミキュアPN−40J(味の素ファインテクノ株式会社製))
潜在性硬化促進剤(c3):アミンアダクト型潜在性硬化促進剤(フジキュアFXR−1121(富士化成工業株式会社製))
(d1):HIPA
(d2):NIPA
(d3):BTCA
(d´1):HIPA−2MZ(HIPAとイミダゾールとの包接化合物)(日本曹達株式会社製)
(d´2):NIPA−2MZ(NIPAとイミダゾールとの包接化合物)(日本曹達株式会社製)
(d´3):5−アミノイソフタル酸
(d´4):イソフタル酸ジメチル
(d´5):5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチル
(d´6):p−トルイル酸
無機充填材(e1):球状シリカ(平均粒径0.6μm)
【0047】
上記の手順で得られた一液型エポキシ樹脂組成物の硬化性、注入性、該液状封止材の硬化物の外観、および耐サーマルサイクル性を下記方法により評価した。
【0048】
(ポットライフ、増粘倍率)
評価用試料として採取した1gの一液型エポキシ樹脂組成物の初期粘度を、HAAKE社製レオメーター(型番:MARS2)を用い、25℃で測定した後、該評価用試料を密閉容器に入れて25℃、湿度50%の環境にて24時間保管した時点における粘度を同様の手順で測定し、調製直後の粘度に対する倍率を算出した。
【0049】
(レオメーター粘度2倍増粘時間)
評価用試料の初期粘度を、HAAKE社製レオメーター(型番:MARS2)で測定した後、該評価用試料を80℃に保持した際に、該評価用試料の粘度が初期粘度の2倍になるまでに要した時間を測定した。実施例4、11、比較例1については、評価用試料を90℃、100℃に保持した場合についても同様の測定を実施した。
【0050】
(ゲルタイム)
150±2℃の熱板上に評価用試料を約5mmφの大きさに滴下し、糸引きがなくなるまでの時間を、ストップウォッチにより測定した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
実施例1〜の一液型エポキシ樹脂組成物は、いずれも初期粘度、ポットライフ、ゲルタイム、および、レオメーター粘度2倍増粘時間の評価結果がいずれも良好であった。
実施例1〜5の比較から明らかなように、(d)成分としてのHIPAの含有量を調節することによって、一液型エポキシ樹脂組成物の速硬化性と、中温域での安定性と、のバランスを調節することができる。
また、実施例6、7に示すように、潜在性硬化促進剤の種類を変えた場合でも意図した効果を発揮することができる。
また、実施例8に示すように、(d)成分として、NIPAを使用した場合でも意図した効果を発揮することができる。
また、実施例9に示すように、(b)成分として、フェノール系硬化剤を用いた場合でも意図した効果を発揮することができる
(d)成分を含有させなかった比較例1〜3、6はいずれもレオメーター粘度2倍増粘時間の評価結果が劣っていた。また、実施例4、比較例1と、の比較から明らかなように、(d)成分としてHIPA含有することにより、60〜100℃の中温域での安定性、特に80〜90℃の中温域での安定性が向上した。
また、(c),(d)成分の代わりに、HIPAまたはNIPAと、イミダゾールと、の包接化合物を使用した比較例4、5は、(d)成分を含有しない比較例1に比べると中温域の安定性が向上しているが、それに伴い速硬化性が低下した。
(d)成分の代わりに、HIPA、NIPAに類似した構造の化合物(5−アミノイソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチル、p−トルイル酸を使用した比較例7〜10はいずれもレオメーター粘度2倍増粘時間の評価結果が劣っていた。