(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び有機金属化合物(M)を含む。
着色剤(A)は、式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)を含み、さらに、顔料(A1)を含むことが好ましい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに、溶剤(E)を含むことが好ましい。
また、本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、化合物(1)とは異なる染料(以下「染料(A2)」という場合がある)、重合開始助剤(D1)及び界面活性剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
尚、本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0011】
<化合物(1)>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤として化合物(1)を含むことにより、高明度なカラーフィルタを製造できる。化合物(1)としては、その互変異性体であってもよい。
[式(1)中、R
1及びR
2は、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
R
3及びR
4は、互いに独立に、炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基で置換されていてもよく、前記飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−CO−又は−NR
11−で置き換わっていてもよい。
R
1及びR
3は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R
2及びR
4は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
R
5は、−OH、−SO
3H、−SO
3-Z
+、−CO
2H、−CO
2-Z
+、−CO
2R
8、−SO
3R
8又は−SO
2NR
9R
10を表す。
R
6及びR
7は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
5は同一でも異なってもよい。
R
8は、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
Z
+は、
+N(R
11)
4、Na
+又はK
+を表す。
R
9及びR
10は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基を表し、R
9及びR
10は、互いに結合して窒素原子を含んだ3〜10員環の複素環を形成していてもよい。
R
11は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。]
【0012】
R
8、R
9、R
10及びR
11における炭素数1〜20の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基及びイコシル基等の炭素数1〜20の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及び2−エチルヘキシル基等の炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びトリシクロデシル基等の炭素数3〜20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。
【0013】
−OR
8としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基及びイコシルオキシ基等が挙げられる。
【0014】
−CO
2R
8としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基及びイコシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0015】
−SR
8としては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、デシルスルファニル基及びイコシルスルファニル基等が挙げられる。
−SO
2R
8としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基及びイコシルスルホニル基等が挙げられる。
−SO
3R
8としては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロポキシスルホニル基、tert−ブトキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基及びイコシルオキシスルホニル基等が挙げられる。
【0016】
−SO
2NR
9R
10としては、例えば、スルファモイル基;
N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−(1−エチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,1−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(2,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1−メチルブチル)スルファモイル基、N−(2−メチルブチル)スルファモイル基、N−(3−メチルブチル)スルファモイル基、N−シクロペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−(1,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−(3,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−ヘプチルスルファモイル基、N−(1−メチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,4−ジメチルペンチル)スルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,5−ジメチル)ヘキシルスルファモイル基、N−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN−1置換スルファモイル基;
N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−エチルメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−プロピルメチルスルファモイル基、N,N−イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N−tert−ブチルメチルスルファモイル基、N,N−ブチルエチルスルファモイル基、N,N−ビス(1−メチルプロピル)スルファモイル基、N,N−ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N−2置換スルファモイル基等が挙げられる。
【0017】
R
9及びR
10は、互いに結合して窒素原子を含んだ3〜10員環の複素環を形成していてもよい。該複素環としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0018】
R
3及びR
4における炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基としては、R
8の飽和炭化水素基として挙げたもののうち炭素数1〜10のものが挙げられる。
【0019】
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これら炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子が置換されていてもよい基のうち、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換された飽和炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、トルイルメチル基、トルイルエチル基、トルイルプロピル基、トルイルブチル基、メトキシフェニルメチル基、メトキシフェニルエチル基、メトキシフェニルプロピル基、メトキシフェニルブチル基等が挙げられる。
【0020】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン原子で置換された飽和炭化水素基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びクロロブチル基等が挙げられる。
【0021】
R
3及びR
4としては、無置換の炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の1価の飽和炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜3の1価の飽和炭化水素基がさらに好ましい。
【0022】
R
6及びR
7における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基及びネオペンチル基等が挙げられる。
【0023】
R
11における炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基及びフェニルブチル基等が挙げられる。
【0024】
Z
+は、
+N(R
11)
4、Na
+又はK
+であり、好ましくは
+N(R
11)
4である。
前記
+N(R
11)
4としては、4つのR
11のうち、少なくとも2つが炭素数5〜20の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、4つのR
11の合計炭素数は20〜80が好ましく、20〜60がより好ましい。
【0025】
R
1及びR
2を表すフェニル基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、−R
8、−OH、−OR
8、−SO
3H、−SO
3-Z
+、−CO
2H、−CO
2R
8、−SR
8、−SO
2R
8、−SO
3R
8及び−SO
2NR
9R
10が挙げられる。これらの置換基の中でも、−R
8が好ましく、炭素数1〜10の1価の飽和炭化水素基がより好ましい。この場合の−SO
3-Z
+としては、−SO
3-+N(R
11)
4が好ましい。
置換基を有するフェニル基としては、トルイル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、メチルスルファニルフェニル基、メチルスルホニルフェニル基等が挙げられる。中でも、窒素との結合手に対してオルト位に置換基を有するフェニル基が好ましい。
R
1及びR
2は、互いに独立に、炭素数1〜4の1価の飽和炭化水素基を有するフェニル基であることが好ましく、トルイル基又はジメチルフェニル基であることがより好ましく、o−トルイル基又は2,6−ジメチルフェニル基であることがさらに好ましい。
【0026】
R
1及びR
3は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R
2及びR
4は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。該窒素原子を含む環としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0027】
R
5としては、−SO
3H、−SO
3-Z
+及び−SO
2NR
9R
10が好ましい。
R
6及びR
7としては、水素原子、メチル基及びエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
mは、0〜2の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0028】
化合物(1)としては、式(2)で表される化合物が好ましい。
[式(2)中、R
21、R
22、R
23及びR
24は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p及びqは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。pが2以上である場合、複数のR
23は同一でも異なってもよく、qが2以上である場合、複数のR
24は同一でも異なってもよい。]
【0029】
R
21、R
22、R
23及びR
24を表す炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
R
21及びR
22は、互いに独立に、炭素数1〜3の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。R
23及びR
24は、メチル基が好ましい。
p及びqは、0〜2の整数が好ましく、1又は2であることが好ましい。
【0030】
化合物(1)としては、式(3)で表される化合物が好ましい。
が好ましい。
[式(3)中、R
31及びR
32は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
R
33、R
34、R
35及びR
36は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
R
31〜R
36を表す炭素数1〜4のアルキル基としては、前記と同じものが挙げられる。R
31及びR
32は、互いに独立に、炭素数1〜3の1価の飽和炭化水素基であることが好ましい。R
33〜R
36は、互いに独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0031】
化合物(1)としては、例えば、式(1−1)〜式(1−15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。中でも、有機溶媒への溶解性に優れる点で、式(1−1)、式(1−2)又は式(1−5)〜式(1−12)で表される化合物が好ましい。
【0035】
化合物(1)の製造方法としては、式(1a)で表される化合物と、式(1b)で表される化合物及び式(1c)で表される化合物とを、有機溶媒の存在下又は無溶媒で反応させる方法が挙げられる。収率の点から、無溶媒で反応させることが好ましい。反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、3時間〜8時間がより好ましい。
【0036】
[式(1b)及び式(1c)中、R
1〜R
4は、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0037】
前記有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;1−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒;等が挙げられる。
【0038】
式(1b)で表される化合物及び式(1c)で表される化合物の使用量は、式(1a)で表される化合物1モルに対して、それぞれ好ましくは1モル以上8モル以下であり、より好ましくは1モル以上5モル以下である。それぞれ段階的に反応させてもよいし、同時に反応させてもよい。
化合物(1)の製造が容易であるという点で、式(1b)で表される化合物と式(1c)で表される化合物とが同じ構造であることが好ましい。
【0039】
反応混合物から目的化合物である化合物(1)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物を酸(例えば、酢酸等)と共に混合し、析出した結晶を濾取することができる。前記酸は、予め酸の水溶液を調製してから、反応混合物を前記水溶液に添加することが好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、好ましくは10℃以上50℃以下である。また、この後、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0040】
本発明の着色硬化性樹脂組成物における化合物(1)の含有量は、固形分の総量に対して、0.025質量%以上48質量%以下が好ましく、0.08質量%以上42質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
また、着色剤(A)が顔料(A1)及び/又は染料(A2)を化合物(1)とともに含む場合、化合物(1)の含有量は、着色剤(A)の総量に対して、0.5質量%以上80質量%以下が好ましく、1質量%以上70質量%以下がより好ましく、1質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。
【0041】
<顔料(A1)>
顔料(A1)としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、175、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60、80などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料等が挙げられる。
【0042】
顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料及びC.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料が好ましく、C.I.ピグメントブルー15:3、15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23がより好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6がさらに好ましい。前記の顔料を含むことで、特に、本発明の着色硬化性樹脂組成物を青色着色硬化性樹脂組成物として調製する場合に透過スペクトルの最適化が容易であり、カラーフィルタの耐光性及び耐薬品性が良好になる。
【0043】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
顔料は、粒径が均一であることが好ましい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0044】
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)などが挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料(A1)に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲内にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0045】
着色剤(A)が顔料(A1)を含む場合、顔料(A1)の含有量は、着色剤(A)の総量に対して、20質量%以上99.5質量%以下が好ましく、30質量%以上99質量%以下がより好ましい。
【0046】
<染料(A2)>
染料(A2)としては、化合物(1)と異なるものであれば特に限定されず公知の顔料を使用することができ、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、媒染染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料(ピグメント以外で、かつ色相を有するもの)に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクワリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0047】
具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、162;
C.I.ソルベントレッド45、49、125、130、218;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;
C.I.ソルベントブルー4、5、37、67、70、90;
C.I.ソルベントグリーン1、4、5、7、34、35等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、30、102;
C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、22、29、42、59、60、62、70、72、74、82、83、86、87、90、92、93、100、102、103、104、113、117、120、126、130、131、142、147、151、154、158、161、166、167、168、170、171、184、187、192、199、210、229、234、236、242、243、256、259、267、285、296、315、335;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、50、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、41、57、71、76、78、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー54,76等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、10;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、24、25、26、28、29、40、41、54、58、59、64、65、66、67、68;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、4、9、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、9、12、13、15、16、19、20、21、22、26、30、31、39、40、41、43、44、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、26、29、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1等のC.I.バット染料等が挙げられる。
【0048】
これらの染料は、所望するカラーフィルタの分光スペクトルに合わせて適宜選択すればよい。中でも、青色染料、バイオレット色染料及び赤色染料が好ましい。
【0049】
着色剤(A)が染料(A2)を含む場合、染料(A2)の含有量は、着色剤(A)の総量に対して、0.5質量%以上35質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0050】
着色剤(A)としては、化合物(1)及び顔料(A1)からなる着色剤、並びに、化合物(1)、顔料(A1)及び染料(A2)からなる着色剤が好ましい。
着色剤(A)が化合物(1)及び顔料(A1)からなる着色剤である場合、これらの含有量は、着色剤(A)の総量に対して、それぞれ、
化合物(1);0.5質量%以上80質量%以下
顔料(A1);20質量%以上99.5質量%以下
が好ましく、
化合物(1);1質量%以上50質量%以下
顔料(A1);50質量%以上99質量%以下
がより好ましい。
【0051】
着色剤(A)が化合物(1)、顔料(A1)及び染料(A2)からなる着色剤である場合、これらの含有量は、着色剤(A)の総量に対して、それぞれ、
化合物(1);0.5質量%以上79.5質量%以下
顔料(A1);20質量%以上99質量%以下
染料(A2);0.5質量%以上35質量%以下
が好ましく、
化合物(1);1質量%以上50質量%以下
顔料(A1);49質量%以上98質量%以下
染料(A2);1質量%以上30質量%以下
がより好ましい。
【0052】
着色剤(A)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。着色剤(A)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)や重合性化合物(C)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。
【0053】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K3](a)と(c)との共重合体;
樹脂[K4](a)と(c)との共重合体に(b)を反応させた樹脂;
樹脂[K5](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させた樹脂;
樹脂[K6](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂。
【0054】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0055】
(b)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0056】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(a1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0057】
(b1)は、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
【0058】
(b1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0059】
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0061】
[式(I)及び式(II)中、R
51及びR
52は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
X
51及びX
52は、単結合、−R
53−、*−R
53−O−、*−R
53−S−又は*−R
53−NH−を表す。
R
53は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0062】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
R
51及びR
52としては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0063】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
X
51及びX
52としては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH
2−O−及び*−CH
2CH
2−O−が挙げられ、より好ましくは単結合、*−CH
2CH
2−O−が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0064】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)又は式(I−11)〜式(I−15)で表される化合物が挙げられる。より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)又は式(I−15)で表される化合物が挙げられる。
【0067】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)又は式(II−11)〜式(II−15)で表される化合物が挙げられる。より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)又は式(II−15)で表される化合物が挙げられる。
【0070】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(I):式(II)で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0071】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0072】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0073】
(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1−2)がより好ましい。
【0074】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
【0075】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(b)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(b)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及びカラーフィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0076】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0077】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、着色硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0078】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、製造工程を簡略化することができる。
【0079】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜45モル%
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5〜40モル%
(b)に由来する構造単位;5〜80モル%
(c)に由来する構造単位;5〜60モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0080】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0081】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(c)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(c)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0082】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
【0083】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲にすることにより、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0084】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10〜90モル%
(c)に由来する構造単位;10〜90モル%
であることがより好ましい。
【0085】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5〜80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0086】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
【0087】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0088】
中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]、樹脂[K2]及び樹脂[K4]が好ましい。
【0089】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が前記の範囲内にあると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0090】
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0091】
樹脂(B)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0092】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、熱、あるいは、重合開始剤(D)から発生する活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0093】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0094】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250〜1,500以下である。
【0095】
重合性化合物(C)の含有量は、固形分の総量に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲内にあると、パターン形成時の残膜率及びパターンの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0096】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O−アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0097】
O−アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
O−アシルオキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0098】
アルキルフェノン化合物は、式(d2)で表される部分構造又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0099】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、907及び379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0100】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0101】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0102】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0103】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0104】
酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、ベンジル(4−アセトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0105】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため生産性が向上する。
【0106】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)は通常、重合開始剤(D)とともに用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0107】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチル−p−トルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0108】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0109】
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0110】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0111】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その使用量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲にあると、さらに高感度でパターンを形成することができ、パターンの生産性が向上する傾向にある。
【0112】
<有機金属化合物(M)>
有機金属化合物(M)は、可視光領域(波長380nm〜780nm)におけるモル吸光係数εの最大値(以下「ε
M」という場合がある。)が、化合物(1)のε
Mよりも小さい有機金属化合物である。該有機金属化合物は、金属原子又は金属イオンを中心にして陰性、中性又は陽性の配位子が配位した有機金属錯体、あるいは、有機酸の金属塩である。中でも、有機溶剤に溶解するものが好ましい。
【0113】
有機金属化合物(M)のε
Mは、有機金属化合物(M)0.1gを乳酸エチルで0.250Lに希釈して溶液を調整し、該溶液を紫外可視分光光度計で可視光領域の吸収スペクトルを測定し、Lambert−Beerの法則を用いて算出することで求められる。
本発明の着色硬化性樹脂組成物に2種以上の化合物(1)が含まれる場合、最も小さいε
Mを有する化合物(1)を基準とする。
有機金属化合物(M)のε
Mは、化合物(1)のε
Mより小さく、好ましくは1000以下であり、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下、さらにより好ましくは80以下であり、特に好ましくは60以下である。ε
Mが前記の範囲内であると、カラーフィルタの明度が高くなる傾向にあるため好ましい。尚、本発明の着色硬化性樹脂組成物が2種以上の化合物(1)を含む場合、有機金属化合物(M)のε
Mは、最も小さいε
Mを有する化合物(1)のε
Mよりも小さい。また、本発明の着色硬化性樹脂組成物が2種以上の有機金属化合物(M)を含む場合、最も大きいε
Mを有する有機金属化合物(M)のε
Mは、化合物(1)のε
Mよりも小さい。
【0114】
有機金属化合物(M)の金属原子又は金属イオンを構成する金属としては、典型金属及び遷移金属が挙げられる。
典型金属としては、例えば、周期表の第1族元素(アルカリ金属)、第2族元素(アルカリ土類金属)、第12族元素(亜鉛族)、第13族元素(ホウ素族)、第14族元素(炭素族)、第15族元素(窒素族)に含まれる金属元素の原子が挙げられる。
具体的には、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、フランシウム(Fr)、ラジウム(Ra)等の原子が挙げられる。
中でも、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)が好ましく、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、バリウム(Ba)の原子がより好ましく、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)の原子がさらに好ましい。
【0115】
遷移金属としては、例えば、周期表の第3族元素(スカンジウム族)、第4族元素(チタン族)、第5族元素(バナジウム族)、第6族元素(クロム族)、第7族元素(マンガン族)、第4周期第8〜10族元素(鉄族)及び第5〜6周期第8〜10族元素(白金族)に含まれる金属元素の原子が挙げられる。
具体的には、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、等が挙げられる。
中でも、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等、第一系列(即ち第4周期)に属するものが好ましく、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)がより好ましい。
【0116】
有機金属化合物(M)が有機金属錯体である場合の配位子としては、特に限定されず、単座配位子でも多座配位子でもよい。前記配位子1個の分子量は、20以上500以下が好ましい。
配位子としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、オキサラト、アセタト、エタノラト、1−ブタンチオラト、チオフェノラト、2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート、2,4−ペンタンジオナト、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト、トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト、ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト、エチルアセトアセタト、ジメチルアミン、ジエチルアミン、テトラエチルアンモニウム、ピペリジン、N−メチルアニリン、ピリジン、2−フェニルピリジン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、エチレンジアミンテトラアセタト、1,4,8,11− テトラアザシクロテトラデカン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、ベンゼン、ナフタレン、アリル等が挙げられる。
【0117】
上記配位子の好ましいものとしては、配位子内に芳香環を含有しないものが好ましく、アセタト、アセチルアセトナト、ヘキサフルオロアセチルアセトナト、ジエチルジチオカルバメート、ジ−n−ブチルジチオカルバメートがより好ましい。
【0118】
前記有機金属錯体が有機化合物に由来する配位子を少なくとも1つ有していれば、それ以外の配位子を有していてもよい。このような配位子としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキソ、アクア、オキソ、ペルオキソ、カルボニル、カルボナト、シアノ、アミン、スルファト、ニトロ、ニトリト、ホスファト、チオシアナト、イソチオシアナト等が挙げられる。
【0119】
有機金属化合物(M)が有機酸の金属塩である場合、該有機酸1個の分子量は、20以上500以下が好ましい。
有機酸としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸、N,N−ジベンジルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸、2−ヒドロキシプロパン酸、ステアリン酸、洒石酸、しゅう酸等が挙げられる。
【0120】
有機金属化合物(M)としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシプロパン酸)アルミニウム、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、ビス(2−スルファニルピリジン−N−オキシド)亜鉛、ビス(2−ヒドロキシプロパン酸)亜鉛、ビス(2−ヒドロキシプロパン酸)バリウム、ビス(ステアリン酸)バリウム、洒石酸バリウム、しゅう酸バリウム、特開2011−118365号公報及び特開2004−295116号公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0121】
中でも、好ましくは−C(=O)−及び−C(=S)−からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含む有機金属化合物が好ましく、式(F1)で表される化合物、式(F2)で表される化合物及びこれらの水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である化合物がより好ましい。有機金属化合物(M)がこれらの化合物であると、有機溶剤への溶解性が向上する傾向があるため好ましい。
【0122】
[式(F1)中、W
1及びW
2は、互いに独立に、炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
M
1は、金属原子を表す。
xは、1〜3の整数を表し、xが2以上のとき、複数のW
1及びW
2は互いに同一でも異なってもよい。]
【0123】
[式(F2)中、W
3及びW
4は、互いに独立に、炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
M
2は、金属原子を表す。
yは、1〜3の整数を表し、yが2以上のとき、複数のW
3及びW
4は互いに同一でも異なってもよい。]
【0124】
W
1及びW
2における炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。水素原子がヒドロキシ基で置換されている炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。中でも、好ましくは、エチル基、ブチル基又は2−ヒドロキシエチル基である。
【0125】
W
1及びW
2における炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。水素原子がヒドロキシ基で置換されている炭素数6〜10の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシメチルフェニル基等が挙げられる。中でも、好ましくは、フェニル基又はベンジル基である。
【0126】
W
3及びW
4における炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基としては、W
1及びW
2におけるものと同じ基が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
水素原子がハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、クロロプロピル基、クロロブチル基、ブロモブチル基、ヨードブチル基等が挙げられる。中でも、好ましくはメチル基、tert−ブチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0127】
式(F1)で表される化合物としては、例えば、ビス[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸]亜鉛、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N,N−ジエチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N,N−ジブチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N,N−ジベンジルジチオカルバミン酸)亜鉛等の等が挙げられる。
【0128】
式(F2)で表される化合物としては、例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)、トリス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム(III)、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)、トリス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)インジウム(III)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)バリウム、ビス(ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)バリウム、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)バリウム、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(N,N−ジブチルジチオカルバミン酸)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)等が挙げられる。
【0129】
有機金属化合物(M)としては、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)、ビス(ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(N,N−ジブチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸]亜鉛及びこれらの水和物が好ましい。これらの化合物であると、高コントラストなカラーフィルタが得られ、かつ化合物の有機溶剤への溶解性が高い傾向があるため、異物発生の少ないカラーフィルタが得られる傾向があるため好ましい。
【0130】
有機金属化合物(M)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.5質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。有機金属化合物(M)の含有量が前記の範囲内にあると、明度及びコントラストが高いカラーフィルタが得られる。
【0131】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0132】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0133】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソールなどが挙げられる。
【0134】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0135】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロンなどが挙げられる。
【0136】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンなどが挙げられる。
【0137】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどが挙げられる。
【0138】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0139】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。溶剤(E)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン及びN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル及び3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0140】
溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0141】
<界面活性剤(F)>
界面活性剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0142】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS−718−K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0143】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0144】
これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤(F)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。尚、この含有量に、前記顔料分散剤の含有量は含まれない。界面活性剤(F)の含有量が前記の範囲内にあると、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0145】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0146】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、化合物(1)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び有機金属化合物(M)、並びに必要に応じて用いられる顔料(A1)、染料(A2)重合開始助剤(D1)、界面活性剤(F)、溶剤(E)及びその他成分を混合することにより調製できる。
顔料(A1)を含む場合、顔料(A1)を予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて樹脂(B)の一部又は全部、前記顔料分散剤を配合してもよい。得られた顔料分散液に、残りの成分等を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
化合物(1)、及び染料(A2)を含む場合の染料(A2)は、予め溶剤(E)の一部又は全部にそれぞれ溶解させて予め溶液を調製してもよい。該溶液を、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
混合後の着色硬化性樹脂組成物を、孔径0.01〜10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0147】
<カラーフィルタ及び液晶表示装置の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物からカラーフィルタの着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、本発明の着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、溶剤等の揮発成分を除去する等して乾燥させて組成物層を形成する。次いで、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。現像後、必要に応じて加熱することにより着色パターンを形成できる。前記着色パターンの形成方法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。かくして得られる着色パターン及び着色塗膜をカラーフィルタとすることができる。
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜6μmである。
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0148】
次に、薄膜トランジスタ(以下「TFT」という。)が形成されたガラス基板上に、パターンを形成する方法について説明する。
具体的には、フォトリソグラフィ技術等の公知の方法によって、ガラス基板21上に複数のTFT22を画素毎に形成する(
図1参照)。TFT22は、ガラス基板21上に例えばモリブデン(Mo)により形成されると共にゲート線の一部を構成するゲート電極22aと、このゲート電極22a上に形成された例えば窒化膜(SiN
x)と酸化膜(SiO
2)との積層膜からなるゲート絶縁膜22bと、このゲート絶縁膜22b上に形成された多結晶シリコン膜22cと、例えば酸化膜(SiO
2)と窒化膜(SiN
x)との積層膜により形成された保護膜22dとにより構成されている。多結晶シリコン膜22cのゲート電極22aに対向する領域がTFT22のチャネル領域、また、このチャネル領域の両側の領域がソース領域又はドレイン領域となっている。多結晶シリコン膜22cのソース領域は、保護膜22dに設けられた接続孔(コンタクトホール)を介して、例えばアルミニウム(Al)により形成された信号線27に電気的に接続されている。なお、多結晶シリコン膜22cのドレイン領域は、後述のように接続孔(コンタクトホール)201を介して画素電極24と電気的に接続されるようになっている。
【0149】
ガラス基板21上に複数のTFT22を画素毎に形成する際、ガラス基板21上にTFT22と同時にアライメントマーク(図示せず)を形成する。このアライメントマークは、後述するようにカラーフィルタ層23の形成工程における位置合わせの基準となる。なお、これらのアライメントマークは駆動基板と対向基板との貼り合わせの基準となるマークと兼用することもできる。アライメントマークは、TFT22の製造プロセスにおいて配線等の金属層や多結晶シリコン層を形成する際に、少なくともその一層を利用して同一工程で形成することができる。
【0150】
次に、TFT22およびアライメントマークが形成されたガラス基板21上に、本発明の着色硬化性樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、膜厚0.5〜5.0μm、例えば1.0μmの組成物層を形成する。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
【0151】
次に、フォトマスク(図示せず)を介して組成物層に対して紫外線を照射し、更に現像液により不要部(未露光部)を選択的に除去することにより、多結晶シリコン膜22cのドレイン領域に達する接続孔(コンタクトホール)201が形成された画素に成形された組成物層を得た後に水洗いする。
現像により、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0152】
その後、接続孔(コンタクトホール)201が形成された組成物層を再流動(リフロー)及び/又は硬化させるために、例えば150〜250℃の範囲、好ましくは160〜235℃の範囲の温度で、1〜120分間が好ましく、10〜60分間加熱する。かくして、着色硬化性樹脂組成物層23Aが形成される。この着色硬化性樹脂組成物層23Aが、本発明のカラーフィルタに対応している。
【0153】
この操作を繰り返し、赤色着色硬化性樹脂組成物、緑色着色硬化性樹脂組成物及び青色着色硬化性樹脂組成物からそれぞれ着色硬化性樹脂組成物層23Aを形成することにより、画素列毎に対応して赤色フィルタ23a、緑色フィルタ23b及び青色フィルタ23cを含むカラーフィルタ層23が形成される(
図2参照)。カラーフィルタ層23の各フィルタ間の領域は隣接する色の混合領域となるが、この領域は信号線27に対向した遮光領域であるため、特に品質上支障はない。なお、この各フィルタ間の領域は着色されないようにしてもよい。
【0154】
続いて、例えばスピンコート法によってカラーフィルタ層23を覆うように、例えば膜厚0.3〜2.0μmの保護膜としての感光性樹脂膜29を形成する。次いで、フォトマスク(図示せず)を介して感光性樹脂膜29に対して紫外線を照射し、更に現像液によって接続孔201に対応する領域および不要部を選択的に除去することにより、多結晶シリコン膜22cのドレイン領域に達する接続孔(コンタクトホール)202を形成した後に水洗いする。その後、感光性樹脂膜29の再流動(リフロー)のために、100〜300℃の範囲の温度、例えば200℃で加熱する。次いで、コンタクトホール202内に堆積した染料等の残渣および有機物を除去するために、酸素プラズマによるエッチングを行い、更に、酸素プラズマによって形成された酸化膜を除去するために、例えば希ふっ酸によりエッチングする。
【0155】
次に、感光性樹脂膜29上に例えばスパッタリング法により、透明導電材料、例えばITO(Indium-Tin Oxide:インジウムと錫の酸化物混合膜)を形成し、このITO膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチングによりパターニングして、透明の画素電極24を形成する(
図3参照)。なお、この画素電極24は作製するデバイスによってはアルミニウム(Al)や銀(Ag)等の金属により形成するようにしてもよい。その後は、既知の方法により配向膜を形成した後、この駆動基板と対向基板との貼り合わせを行うことにより液晶表示装置を製造することができる。
【0156】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、特に明度及びコントラストに優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0157】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
以下の合成例において、化合物は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)により同定した。
【0158】
〔合成例1〕
式(1a)で表される化合物20部とN−エチル−o−トルイジン(和光純薬工業(株)製)200部とを遮光条件下混合し、得られた溶液を110℃で6時間攪拌した。得られた反応液を室温まで冷却後、水800部、35%塩酸50部の混合液中に添加し室温で1時間攪拌したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過の残渣として取得後乾燥し、式(1−1)で表される化合物24部を得た。収率は80%であった。
【0159】
式(1−1)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H]
+603.4
Exact Mass: 602.2
【0160】
〔合成例2〕
N−エチル−o−トルイジンに代えてN−イソプロピル−2,6−ジメチルアニリンを用いる以外は合成例1と同様にして、式(1−6)で表される化合物を得た。
式(1−6)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z= [M+H]
+ 659.4
Exact Mass: 658.3
【0161】
〔合成例3〕
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式(A2−1a)で表される化合物及び式(A2−1b)表される化合物の混合物(商品名Chugai Aminol Fast Pink R;中外化成製)を15部、クロロホルム150部及びN,N−ジメチルホルムアミド8.9部を投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、塩化チオニル10.9部を滴下して加えた。滴下終了後、50℃に昇温し、同温度で5時間維持して反応させ、その後20℃に冷却した。冷却後の反応溶液を、攪拌下20℃以下に維持しながら、2−エチルヘキシルアミン12.5部及びトリエチルアミン22.1部の混合液を滴下して加えた。その後、同温度で5時間攪拌して反応させた。次いで得られた反応混合物をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、メタノールを少量加えて激しく攪拌した。この混合物を、イオン交換水375部の混合液中に攪拌しながら加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、イオン交換水でよく洗浄し、60℃で減圧乾燥して、染料(A2−1)(式(A2−1−1)〜式(A2−1−8)で表される化合物の混合物)11.3部を得た。
【0162】
【0163】
【0164】
〔合成例4〕
撹拌機、温度計、還流冷却器及び、滴下ロートを備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、乳酸エチル305部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)240部及び、乳酸エチル140部に溶解して溶液を調製し、該溶液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部を乳酸エチル225部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量Mwは、1.3×10
4、分子量分布が2.5、固形分35.4%、固形分換算の酸価は103mgKOH/gの樹脂B1溶液を得た。樹脂B1は下記に示す構造単位を有する。
【0165】
合成例で得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0166】
実施例1〜6及び比較例1
表1に示す組成となるように各成分を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0167】
【表1】
【0168】
表1中、各成分は以下のものを表す。
(A)着色剤:1−1:式(1−1)で表される化合物
(A)着色剤:1−6:式(1−6)で表される化合物
(A)着色剤:A1−1:C.I.ピグメント・ブルー15:6(顔料)
(A)着色剤:A2−1:染料(A2−1)
(B)樹脂:B−1:樹脂B1溶液
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製;KAYARAD(登録商標) DPHA)
(D)重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製)
(M)有機金属化合物:M−1:ビス(ジブチルジチオカルバミン酸)亜鉛
(M)有機金属化合物:M−2:ビス[ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸]亜鉛
(M)有機金属化合物:M−3:トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム
(M)有機金属化合物:M−4:トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム
(M)有機金属化合物:M−5:ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)
(M)有機金属化合物:M−6:ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)
(E)溶剤:E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E)溶剤:E−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
(E)溶剤:E−3:乳酸エチル
(F)界面活性剤:フッ素系界面活性剤(メガファック(登録商標)F554;DIC(株)製)
【0169】
〔モル吸光係数の算出〕
メスフラスコに、試料をそれぞれ0.1g量りいれ、次いで乳酸エチルで0.250Lになるように希釈した。この溶液について、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)で吸収スペクトルを測定し、Lambert−Beerの法則を用いて、可視光領域(380nm〜780nm)におけるモル吸光係数εの最大値〔ε
M〕を算出した。結果を表2に示す。
【0170】
【表2】
【0171】
〔着色パターンの形成〕
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色感光性組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして着色組成物層を得た。冷却後、着色組成物層が形成されたガラス基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cm
2の露光量(365nm基準)で光照射した。フォトマスクとしては、100μmラインアンドスペースパターンが形成されたものを使用した。光照射後、上記塗膜を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に23℃で80秒間浸漬現像し、水洗後、オーブン中、220℃で20分間ポストベークを行い着色パターンを得た。
【0172】
〔膜厚測定〕
得られた着色パターンについて、膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて測定した。結果を表3に示す。
【0173】
〔色度評価〕
得られたガラス基板上の着色パターンについて、測色機(OSP−SP−200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の等色関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)及び三刺激値Yを測定した。Yの値が大きいほど明度が高いことを表す。結果を表3に示す。
【0174】
〔コントラスト評価〕
フォトマスクの使用なしで露光する以外は着色パターンの形成と同様の操作を行い、ガラス基板上に着色塗膜を形成した。得られた塗膜について、コントラスト測色機(CT−1;壺坂電機社製、検出器;BM−5A、光源;F−10)を用いて、ブランク値を30000としてコントラストを測定した。着色塗膜を形成したガラス基板を、偏光フィルム(POLAX−38S;ルケオ社製)で挟んだものを測定サンプルとした。結果を表3に示す。
【0175】
【表3】
【0176】
実施例の結果から、本発明の着色硬化性樹脂組成物から得られた着色パターンは、高い明度の青色を示し、さらにコントラストも高いことが確認された。このことから、本発明の着色硬化性樹脂組成物から得られたパターンは、高明度なカラーフィルタとして有用であり、さらに、該カラーフィルタを含む表示装置は、表示特性に優れることがわかる。