特許第5938904号(P5938904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5938904基板支持部材、基板搬送装置、基板搬送方法、露光装置及びデバイス製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5938904
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】基板支持部材、基板搬送装置、基板搬送方法、露光装置及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
【請求項の数】37
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-546081(P2011-546081)
(86)(22)【出願日】2010年12月9日
(86)【国際出願番号】JP2010072135
(87)【国際公開番号】WO2011074474
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年11月26日
(31)【優先権主張番号】特願2009-285412(P2009-285412)
(32)【優先日】2009年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-285413(P2009-285413)
(32)【優先日】2009年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正紀
(72)【発明者】
【氏名】戸口 学
【審査官】 溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−114570(JP,A)
【文献】 特開2008−081269(JP,A)
【文献】 特開2001−100169(JP,A)
【文献】 特開平10−064982(JP,A)
【文献】 特開2004−273702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持部材であって、
前記基板が載置される載置部と、
前記載置部に設けられ、前記載置部に載置された前記基板を支持する複数の支持部と、を備え、
前記基板が前記載置部に載置されたときに前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さくなるように、前記複数の支持部のうち第1部分の支持部と第2部分の支持部は、前記載置部に対する高さが相互に異なっている基板支持部材。
【請求項2】
前記複数の支持部は、前記基板が前記載置部に載置された状態において、前記基板をほぼ平坦に支持する請求項1に記載の基板支持部材。
【請求項3】
前記第1部分の支持部と前記第2部分の支持部とは、前記基板が載置された状態における前記載置部の撓み量に対応して、前記載置部に対する高さが相互に異なる請求項1または2に記載の基板支持部材。
【請求項4】
前記第1部分の支持部は、前記第2部分の支持部に比して、前記載置部の撓み量が大きい位置に設けられ、
前記第1部分の支持部の前記高さは、前記第2部分の支持部の前記高さに比して高い請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板支持部材。
【請求項5】
前記載置部の被支持部の近傍に配置された前記支持部の前記高さは、その他の位置に配置された前記支持部の前記高さよりも低い請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板支持部材。
【請求項6】
前記複数の支持部は、前記載置部の両側部の中間部に対して対称的に配置される請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板支持部材。
【請求項7】
前記載置部に対する前記複数の支持部の配置及び前記高さは、前記載置部の材質、形状及び被支持部の位置に基づいて決定される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の基板支持部材。
【請求項8】
前記支持部の前記基板と当接する面が凸曲面である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の基板支持部材。
【請求項9】
基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板を支持する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の基板支持部材と、
前記基板支持部材を保持して移動する搬送部と、
を備える基板搬送装置。
【請求項10】
前記搬送部は、前記載置部の両側部を保持する請求項9に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記搬送部は、前記基板を保持する基板ホルダに向けて前記基板支持部材を移動させて、該基板支持部材が支持する前記基板を前記基板ホルダに受け渡す請求項9又は請求項10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記搬送部は、前記基板支持部材を前記基板ホルダに受け渡す請求項11に記載の基板搬送装置。
【請求項13】
前記搬送部は、前記基板ホルダのうち前記基板が載置されるホルダ部に前記基板を受け渡し、前記基板ホルダのうち前記ホルダ部と異なる部分に前記基板支持部材を受け渡す請求項12に記載の基板搬送装置。
【請求項14】
前記搬送部は、前記基板ホルダのうち前記ホルダ部に対して溝状に設けられた溝部に前記基板支持部材を受け渡す請求項13に記載の基板搬送装置。
【請求項15】
前記基板を支持する複数の支持ピンを備え、
前記基板支持部材は、前記複数の支持ピンが挿通される複数の挿通孔を有し、
前記搬送部は、前記複数の支持ピンのうち少なくとも一部の支持ピンが前記複数の挿通孔に挿通された前記基板支持部材を上昇移動させ、前記複数の支持ピンに支持された前記基板を前記基板支持部材に支持させる請求項9から請求項14のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項16】
前記複数の支持ピンは、前記基板をほぼ水平面に沿った状態で支持し、
前記搬送部は、前記基板支持部材の前記支持部に前記基板をほぼ水平面に沿った状態で支持させる請求項15に記載の基板搬送装置。
【請求項17】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の基板支持部材を支持することと、
前記基板支持部材の前記載置部に前記基板を載置させることと、
前記基板を前記載置部から基板ホルダに受け渡すことと、
を含む基板搬送方法。
【請求項18】
前記基板支持部材を支持した後、前記載置部に前記基板を載置させ、前記基板の撓み量が、前記載置部の撓み量よりも小さくなるように前記支持部により前記基板の一部を支持する請求項17に記載の基板搬送方法。
【請求項19】
前記基板支持部材の両側部を支持した後、前記載置部に前記基板を載置させ、前記支持部により前記基板をほぼ水平面に沿った状態で支持する請求項18に記載の基板搬送方法。
【請求項20】
基板ホルダが保持する基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置であって、
前記基板ホルダに前記基板を搬送する請求項9から請求項16のいずれか一項に記載の基板搬送装置を備える露光装置。
【請求項21】
請求項20に記載の露光装置を用いて、前記基板を露光することと、
露光された前記基板を露光結果に基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項22】
基板支持部材の載置部に載置された基板を前記基板支持部材とともに搬送する基板搬送方法であって、
前記基板支持部材の所定の被支持部を支持することと、
前記載置部に設けられ、前記載置部に対する高さが相互に異なる複数の支持部によって前記基板を支持することで前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態となるように、前記被支持部が支持された前記基板支持部材上に前記基板を載置することと、
前記基板が載置されている前記基板支持部材の前記被支持部又は該被支持部の近傍を保持し、前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態で該基板支持部材を移動させることと、を含む基板搬送方法。
【請求項23】
基板支持部材の載置部に載置された基板を前記基板支持部材とともに搬送する基板搬送装置であって、
前記基板支持部材の所定の被支持部を支持する支持機構と、
前記載置部に設けられ、前記載置部に対する高さが相互に異なる複数の支持部によって前記基板を支持することで前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態となるように、前記被支持部が支持された前記基板支持部材上に前記基板を載置する載置機構と、
前記基板が載置されている前記基板支持部材の前記被支持部又は該被支持部の近傍を保持し、前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態で該基板支持部材を移動させる搬送機構と、を備える基板搬送装置。
【請求項24】
前記支持機構は、前記基板支持部材の撓み形状が、前記搬送機構によって保持される際の該基板支持部材の撓み形状と同等の形状となるように、前記基板支持部材の前記被支持部を支持する請求項23に記載の基板搬送装置。
【請求項25】
前記被支持部は、少なくとも前記基板支持部材の両側部に設けられている請求項23又は請求項24に記載の基板搬送装置。
【請求項26】
前記搬送機構は、前記基板を保持する基板ホルダに向けて前記基板支持部材を移動させて、該基板支持部材が支持する前記基板を前記基板ホルダに受け渡す請求項23から請求項25のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項27】
前記搬送機構は、前記基板支持部材を前記基板ホルダに受け渡す請求項26に記載の基板搬送装置。
【請求項28】
前記搬送機構は、前記基板ホルダのうち前記基板が載置されるホルダ部に前記基板を受け渡し、前記基板ホルダのうち前記ホルダ部と異なる部分に前記基板支持部材を受け渡す請求項27に記載の基板搬送装置。
【請求項29】
前記搬送機構は、前記基板ホルダのうち前記ホルダ部に対して溝状に設けられた溝部に前記基板支持部材を受け渡す請求項28に記載の基板搬送装置。
【請求項30】
前記基板を支持する複数の支持ピンを備え、
前記基板支持部材は、前記複数の支持ピンが挿通される複数の挿通孔を有し、
前記載置機構は、前記複数の支持ピンのうち少なくとも一部の支持ピンが前記複数の挿通孔に挿通された状態で前記支持機構が支持する前記基板支持部材を上昇移動させ、前記複数の支持ピンに支持された前記基板を前記基板支持部材に載置させる請求項23から請求項29のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項31】
前記複数の支持ピンは、前記基板をほぼ水平面に沿った状態で支持し、
前記載置機構は、前記基板支持部材に前記基板を支持させる際に、前記基板支持部材に設けられ、前記基板の一部を支持する支持部に、前記基板をほぼ水平面に沿った状態で支持させる請求項30に記載の基板搬送装置。
【請求項32】
前記支持機構は、前記基板支持部材の前記被支持部を支持する保持アームを備え、
前記載置機構は、前記複数の支持ピンが支持する前記基板と前記保持アームとを相対移動させて前記基板を前記基板支持部材に載置させ、
前記搬送機構は、前記基板支持部材を保持する前記保持アームを移動させる請求項23から請求項31のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項33】
前記支持機構は、前記基板支持部材の前記被支持部を支持する複数の第2支持ピンを備え、
前記載置機構は、前記複数の支持ピンが支持する前記基板と前記複数の第2支持ピンとを相対移動させて前記基板を前記基板支持部材に載置させ、
前記搬送機構は、前記複数の第2支持ピンが支持する前記基板支持部材の前記被支持部又は該被支持部の近傍を保持して移動する搬送アームを備える請求項23から請求項31のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項34】
前記複数の第2支持ピンは、前記基板支持部材を上昇移動させ、前記基板を前記基板支持部材に載置する請求項33に記載の基板搬送装置。
【請求項35】
前記搬送アームは、前記複数の第2支持ピンが挿通される切欠き部を有し、前記基板が前記基板支持部材に載置された後、前記被支持部を保持して上昇移動する請求項33に記載の基板搬送装置。
【請求項36】
基板ホルダが保持する基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置であって、
前記基板ホルダに前記基板を搬送する請求項23から請求項35のいずれか一項に記載の基板搬送装置を備える露光装置。
【請求項37】
請求項36に記載の露光装置を用いて、前記基板を露光することと、
露光された前記基板を露光結果に基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持部材、基板搬送装置、基板搬送方法、露光装置及びデバイス製造方法に関するものである。
本願は、2009年12月16日に、日本に出願された特願2009−285412号及び特願2009−285413号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ等の電子デバイスの製造工程においては、露光装置や検査装置等の大型基板の処理装置が用いられている。これらの処理装置を用いた露光工程、検査工程では、大型基板(例えばガラス基板)を処理装置に搬送する下記特許文献に開示されるような搬送装置が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−273702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載の上述の大型基板の搬送装置においては、基板支持部材に基板を載置して基板支持部材により基板を支持した後、基板支持部材を例えば搬送アーム等によって保持して搬送する。そのため、基板支持部材の支持方法によっては、搬送時に基板支持部材が自重で下方に撓む場合がある。また、基板を基板支持部材によって支持したときに、基板と基板支持部材とが密着し、これらの間で滑りが生じにくい状態になる場合がある。この場合、基板支持部材が下方に撓むと、基板に応力が発生して基板が歪む場合がある。
【0005】
例えば露光装置では、このように歪んだ状態の基板が露光用の基板ホルダに受け渡されると、基板上の適正な位置に所定の露光を行うことができなくなる等の露光不良の問題が生じる。
本発明の態様は、基板の受け渡し時に生じる基板の歪みを抑制できる基板支持部材、基板搬送装置、基板搬送方法、露光装置及びデバイス製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、基板を支持する基板支持部材であって、前記基板が載置される載置部と、前記載置部に設けられ、前記載置部に載置された前記基板を支持する複数の支持部と、を備え、前記基板が前記載置部に載置されたときに前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さくなるように、前記複数の支持部のうち第1部分の支持部と第2部分の支持部は、前記載置部に対する高さが相互に異なっている基板支持部材が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、基板を搬送する基板搬送装置であって、前記基板を支持する上記の基板支持部材と、前記基板支持部材を保持して移動する搬送部と、を備える基板搬送装置が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様に従えば、上記の基板支持部材を支持することと、前記基板支持部材の前記載置部に前記基板を載置させることと、前記基板を前記載置部から基板ホルダに受け渡すことと、を含む基板搬送方法が提供される。
【0009】
本発明の第4の態様に従えば、基板ホルダが保持する基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置であって、前記基板ホルダに前記基板を搬送する上記の基板搬送装置を備える露光装置が提供される。
【0010】
本発明の第5の態様に従えば、上記の露光装置を用いて、前記基板を露光することと、露光された前記基板を露光結果に基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0011】
本発明の第6の態様に従えば、基板支持部材の載置部に載置された基板を前記基板支持部材とともに搬送する基板搬送方法であって、 前記基板支持部材の所定の被支持部を支持することと、 前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態となるように、前記被支持部が支持された前記基板支持部材上に前記基板を載置することと、 前記基板が載置されている前記基板支持部材の前記被支持部又は該被支持部の近傍を保持し、前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態で該基板支持部材を移動させることと、を含む基板搬送方法が提供される。
【0012】
本発明の第7の態様に従えば、基板支持部材の載置部に載置された基板を前記基板支持部材とともに搬送する基板搬送装置であって、前記基板支持部材の所定の被支持部を支持する支持機構と、前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態となるように、前記被支持部が支持された前記基板支持部材上に前記基板を載置する載置機構と、前記基板が載置されている前記基板支持部材の前記被支持部又は該被支持部の近傍を保持し、前記基板の撓み量が前記載置部の撓み量よりも小さい状態で該基板支持部材を移動させる搬送機構と、を備える基板搬送装置が提供される。
【0013】
本発明の第8の態様に従えば、基板ホルダが保持する基板に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置であって、前記基板ホルダに前記基板を搬送する上記の基板搬送装置を備える露光装置が提供される。
【0014】
本発明の第9の態様に従えば、上記の露光装置を用いて、前記基板を露光することと、露光された前記基板を露光結果に基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第10の態様に従えば、上記の基板搬送方法を用いて、前記基板を搬送することと、前記基板を露光することと、露光された前記基板を露光結果に基づいて処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、基板の受け渡し時に生じる基板の歪みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】露光装置の全体概略を示す断面平面図である。
図2】搬送ロボットの外観斜視図である。
図3】搬送ロボットの動作を説明するための斜視図である。
図4A】搬出入部の概略構成を示す側面図である。
図4B】搬出入部と搬送ロボットとの関係を示す斜視図である。
図5A】トレイの平面構造を示す平面図である。
図5B】載置部の載置面近傍の拡大断面図である。
図6】トレイが基板ホルダの溝部に収容された状態を示す部分側断面図である。
図7A】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図7B】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図7C】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図8A】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図8B】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図9A】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図9B】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図9C】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図9D】第1実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図10】従来の基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図11】従来の基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図12A】第2実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図12B】第2実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図12C】第2実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図13A】第2実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図13B】第2実施形態に係る基板受け渡し工程を説明する模式図である。
図14】本発明の実施形態に係るデバイス製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれに限定されることはない。以下では、本発明に係る基板搬送装置を備え、感光剤を塗布された基板に対して液晶表示デバイス用パターンを露光する露光処理を行う露光装置について説明するとともに、本発明に係る基板支持部材、デバイス製造方法、及び基板搬送方法の一実施形態についても説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の露光装置の概略構成を示す断面平面図である。露光装置1は、基板に液晶表示デバイス用パターンを露光する露光装置本体3と、搬送ロボット(搬送部、搬送機構)4、搬出入部(搬送部)5及びトレイ(基板支持部材)Tと、を有する基板搬送装置7を備えており、これらは高度に清浄化され、且つ所定温度に調整されたチャンバ2内に収められている。本実施形態において、基板は、大型のガラスプレートであり、その一辺のサイズは、例えば500mm以上である。
【0020】
図2は、露光装置本体3、及びこの露光装置本体3に基板Pを搬送する搬送ロボット4の外観斜視図である。露光装置本体3は、マスクMを露光光ILで照明する不図示の照明系と、液晶表示デバイス用パターンが形成されたマスクMを保持する不図示のマスクステージと、このマスクステージの下方に配置された投影光学系PLと、投影光学系PLの下方に配置されたベース8上を2次元的に移動可能に設けられた基板ホルダ9と、基板ホルダ9を保持するとともにその基板ホルダ9を移動させる移動機構33とを備えている。すなわち、露光装置本体3は、基板ホルダ9と移動機構33とを備えたステージ装置が設けられている。
【0021】
なお、以下の説明においては、ベース8に対する基板ホルダ9の2次元的な移動が水平面内で行われるものとし、この水平面内で互いに直交する方向にX軸およびY軸を設定している。基板Pに対する基板ホルダ9の保持面は、基準の状態(例えば、基板Pの受け渡しを行う時の状態)において水平面に平行とされる。また、X軸およびY軸と直交する方向にZ軸を設定しており、投影光学系PLの光軸はZ軸に平行とされている。なお、X軸、Y軸およびZ軸まわりの各方向を、それぞれθX方向、θY方向およびθZ方向と呼ぶ。
【0022】
移動機構33は、移動機構本体35と、移動機構本体35上に配置され、基板ホルダ9を保持するプレートテーブル34とを有する。移動機構本体35は、気体軸受によって、ガイド面8a(ベース8の上面)に非接触で支持されており、ガイド面8a上をXY方向に移動可能である。露光装置本体3は、基板Pを保持した状態で、光射出側(投影光学系PLの像面側)において、ガイド面8aの所定領域内を移動可能である。
【0023】
移動機構本体35は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む粗動システム(移動機構)の作動により、ガイド面8a上でXY平面内を移動可能である。プレートテーブル34は、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータを含む微動システムの作動により、移動機構本体35に対してZ軸、θX、θY方向に移動可能である。プレートテーブル34は、粗動システム及び微動システムを含む基板ステージ駆動システムの作動により、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、およびθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0024】
搬送ロボット4は、露光装置本体3及び搬出入部5に対して基板Pを搬送するためのものである。搬送ロボット4は、トレイTを保持し、トレイTに載置された基板PをトレイTとともに移動させることで基板Pを搬送し、露光装置本体3及び搬出入部5に対して基板Pを受け渡す。
【0025】
露光装置1は、上記の基板ホルダ9上に長方形の基板Pが載置された状態でステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、マスクMに形成されたパターンが基板P上の複数、例えば4つの露光領域(パターン転写領域)に順次転写されるようになっている。すなわち、この露光装置1では、照明系からの露光光ILにより、マスクM上のスリット状の照明領域が照明された状態で、不図示のコントローラによって不図示の駆動系を介して、マスクMを保持するマスクステージと基板Pを保持する基板ホルダ9とを同期して所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に移動させることにより、基板P上の1つの露光領域にマスクMのパターンが転写される、すなわち走査露光が行われる。なお、本実施形態に係る露光装置1は、投影光学系PLが複数の投影光学モジュールを有し、上記照明系が複数の投影光学モジュールに対応する複数の照明モジュールを含む、所謂マルチレンズ型スキャン露光装置を構成するものである。
【0026】
この1つの露光領域の走査露光の終了後に、基板ホルダ9を次の露光領域の走査開始位置まで所定量X方向に移動するステッピング動作が行われる。そして、露光装置本体3では、このような走査露光とステッピング動作を繰り返し行うことにより、順次4つの露光領域にマスクMのパターンが転写される。
【0027】
図2に示すように、搬送ロボット4は、例えば水平関節型構造を有するものであり、垂直な関節軸を介して連結された複数部分からなるアーム部10と、このアーム部10の先端に連結される搬送ハンド(保持アーム)12と、駆動装置13と、を備えている。アーム部10は、駆動装置13により例えば上下方向(Z軸方向)に移動可能となっている。駆動装置13は、不図示の制御装置により、その駆動が制御されている。
【0028】
搬送ハンド12は、先端部が開放された略U型の形状(図2において、Z軸方向から見て+X方向が開放された略U字の形状)に設けられ、トレイTの長手方向(基板Pの長辺方向)の両側部(被保持部)18,18をトレイTの長辺と平行な支持方向に支持することで、トレイTを介して基板Pを保持可能になっている。
【0029】
図3は搬送ロボット4の動作を説明するための斜視図である。図2及び図3に示すように、搬送ロボット4は、搬送ハンド12の長手方向(基板Pの長辺方向)を露光装置本体3の基板ホルダ9側に向けるように搬送ハンド12の向きを変えることができるようになっている。これにより、搬送ロボット4は基板Pを基板ホルダ9に受け渡すようになっている。
【0030】
なお、この搬送ロボット4は、図2及び図3には便宜上図示していないが、搬送ハンド12の下方に設けられ、この搬送ハンド12と同様の機構を有し、且つ独立駆動可能な搬送ハンドを備えたダブルアーム構造になっている。また、搬送ロボット4は、水平関節型構造のロボットに限定されるものではなく、公知のロボット(一般には搬送機構)を適宜採用もしくは組み合わせて実現可能なものである。
【0031】
図4Aは、搬出入部5の概略構成を示す側面図である。搬出入部5は、露光装置1に隣接配置されたコータ・デベロッパ(不図示)において感光剤が塗布されて搬送されてきた基板Pが受け渡されるようになっている。搬出入部5は、基板Pを支持する基板支持部51と、トレイTを支持するトレイ支持部52とを備えている。基板支持部51は、平板状の第1支持部51aと、この第1支持部51a上に立設され、基板Pの下面の異なる箇所をそれぞれ支持する複数の基板支持ピン(支持ピン)51bとを備えている。
【0032】
本実施形態において基板支持ピン51bは例えば30本設けられ、基板Pをほぼ水平面に沿った状態で支持するようになっている。ここで、ほぼ水平面に沿った状態とは、例えば基板支持ピン51bに支持されたことによる基板Pの撓み、基板支持ピン51bの位置決め誤差、基板Pの許容公差等を無視したときに、基板Pの基板面が水平面と平行になることをいう。
【0033】
基板支持ピン51bの各々は、下端部が第1支持部51aに固定され、上端部(上端面)が基板Pを支持可能に設けられている。基板支持ピン51bの上端面には不図示の真空ポンプに接続された吸着孔が設けられ、基板Pを吸着して保持することができるようになっている。また、基板支持ピン51bの上端部には、基板支持ピン51bに基板Pが載置されているか否かを検出する不図示の基板検出部が設けられている。
【0034】
基板支持部51は、連結部材53を介して駆動部54に接続されている。駆動部54は、例えば、粗動システム及び微動システムを含む駆動システムの作動により、ベース部55上でXY平面、及びθZ方向に移動可能になっている。これにより、搬出入部5は、基板支持ピン51bに支持された基板Pの位置補正をしたり、基板Pを90度回転させることができるようになっている。
【0035】
トレイ支持部52は、枠状の第2支持部52aと、この第2支持部52a上に立設され、トレイTの下面の異なる箇所をそれぞれ支持する複数のトレイ支持ピン(第2支持ピン)52bとを備えている。
【0036】
トレイ支持ピン52bの各々は、下端部が第2支持部52aに固定され、上端部がトレイTを支持可能に設けられている。トレイ支持ピン52bは基板支持部51の第1支持部51aよりも外側に配置されている。また、トレイ支持ピン52bの上端部には、トレイ支持ピン52bにトレイTが載置されているか否かを検出する不図示のトレイ検出部が設けられている。
【0037】
トレイ支持部52は、不図示の駆動部の作動により、ガイド部56に沿ってZ軸方向に移動可能に設けられている。ガイド部56は、基板支持部51の駆動部54及びベース部55の外側に設けられている。また、基板支持部51の第1支持部51a、連結部材53及び駆動部54は、枠状の第2支持部52aの内側に配置されている。これらトレイ支持部52、ガイド部56及び不図示の駆動部により、トレイTを支持してトレイTを基板Pに対して相対的に移動させる支持機構が構成されている。
【0038】
トレイ支持部52は、基板支持部51の第1支持部51a、連結部材53及び駆動部54と干渉することなく、Z軸方向に移動できるようになっている。また、トレイ支持部52は、Z軸正方向に上昇することで、トレイ支持ピン52bに支持されたトレイTをZ軸正方向に上昇させ、基板支持部51の基板支持ピン51b上に支持された基板Pを、トレイTに載置させるようになっている。また、トレイ支持部52は、トレイ支持ピン52bにより支持されたトレイTを、搬送ロボット4の搬送ハンド12に受け渡すようになっている。
【0039】
図4Bは、搬送ロボット4、搬出入部5及びトレイTとの関係を示す斜視図である。搬送ロボット4の搬送ハンド12は、図4Bに示すように、トレイTを保持するトレイ保持部12aに、複数のトレイ支持ピン52bが挿通される複数の切欠き部12bを有している。切欠き部12bは、トレイ保持部12aの端縁側が開放された矩形状に形成されている。これにより、搬送ハンド12をトレイTの側方の下側に両側部18,18に沿って配置した後、搬送ハンド12を移動させてトレイ保持部12aをトレイTの両側部18,18の下方に配置する際に、搬送ハンド12とトレイ支持ピン52bとが干渉しないようになっている。
【0040】
次に、トレイTの構造について詳述する。図5Aは、トレイTの平面構造を示す平面図である。図5Aに示すように、トレイTは、縦横に所定間隔で張り巡らされた複数本の線状部材19により格子状に形成された載置部20を備えている。すなわち、載置部20の線状部材19が配置されていない部分は、矩形状の開口部21となっている。トレイTは、載置部20の両側部18,18が、搬送ハンド12によって支持される被支持部となっている。ここで、トレイTの被保持部である両側部18,18は、トレイTの短手方向の端部に配置され、トレイTの長手方向に延在する線状部材19により設けられている。
【0041】
トレイTは、基板Pを搬送する際に、両側部18,18又はその近傍が支持された状態で、載置部20の所定位置に基板Pを載置し、基板Pを下方から支持するようになっている。なお、トレイTの形状は図5Aに示す形状に限定されることはなく、例えば開口部21が一つのみ形成された、基板Pの周縁部のみを支持する枠状の単一フレームであってもよい。
【0042】
図5Bは、トレイTの載置部20の基板Pを載置する載置面20aの近傍の拡大断面図である。載置部20には、載置部20に載置された基板Pの一部を支持する複数の支持部20bが設けられている。支持部20bは、載置部20の載置面20aから突出するように設けられ、載置部20に対する高さHが例えば載置部20の中央部と周辺部とで相互に異なっている。複数の支持部20bの各々の高さHは、トレイTの両側部18,18を支持し、載置部20に基板Pを載置した状態における載置部20の撓み量に対応して設定されている。
【0043】
すなわち、載置部20の撓み量が大きい部分では、支持部20bの高さHが高く設定され、載置部20の撓み量が小さい部分では、支持部20bの高さHが低く設定されている。一般的に、トレイTの両側部18,18が支持されたときの載置部20の撓み量は、両側部18,18の近傍において比較的小さくなり、両側部18,18の中間部分の近傍で最大となる傾向がある。そのため、一般的には、トレイTの両側部18,18(載置部20の周縁部)の近傍に配置された支持部20bの高さHは、その他の部分に配置された支持部20bの高さHと比較して、低くなる。換言すると、比較的撓み量の少ない両側部18,18の近傍に配置された支持部20bの高さHよりも、撓み量の多い部分、例えばトレイTの両側部18,18の中間部の近傍に配置された支持部20bの高さHは、高くなる。
【0044】
しかし、トレイTは、載置部20の構造や、基板Pの搬送時に支持される被支持部の位置によっては、上記の撓み量の傾向に反する部分が存在する場合がある。そのような場合には、予め両側部18,18が保持され基板Pが載置された載置部20の各部分の撓み量を計測しておき、載置部20の各部分の撓み量の大小に応じて、各部分に配置する支持部20bの高さHを設定する。すなわち、複数の支持部20bの各々の高さH及び配置は、載置部20の材質、形状、及び被支持部の位置を考慮して決定される。これにより、複数の支持部20bは、トレイTの被支持部である両側部18,18が支持され、載置部20に基板Pが載置された状態において、基板Pの撓み量が載置部20の撓み量よりも小さくなるように、基板Pを支持するようになっている。
【0045】
トレイTの形成材料としては、トレイTが基板Pを支持した際に基板Pの自重による撓みを抑制することが可能な材料を用いることが好ましく、例えば各種合成樹脂、あるいは金属を用いることができる。具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、繊維強化プラスチック、ステンレス鋼等が挙げられる。繊維強化プラスチックとしては、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic:ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック)やCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化熱硬化性プラスチック)が挙げられる。また、格子状に張り巡らされる線状部材19は、ワイヤー等の柔軟性に優れた部材を用いて形成してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、トレイTの載置部20に対する支持部20bの高さHは、載置部20の撓み量だけでなく、載置部20の載置面20aの凹凸等の形状や公差等を補償するように調整されている。そして、複数の支持部20bの各々の高さHは、トレイTの両側部18,18を支持し、載置部20に基板Pを載置したときに、基板Pと当接する支持部20bの上端が、水平面と平行な同一の仮想平面上にそれぞれ配置されるように調整されている。ここで、支持部20bの基板Pと当接する面は、基板Pと支持部20bとの密着による吸着状態を防止するために、基板P側に凸となる凸曲面状であることが好ましい。
【0047】
また、複数の支持部20bは、トレイTの両側部18,18の延在方向(図5Aの上下方向)と例えば垂直に交差する方向(図5A及び図5Bの左右方向)において、両側部18,18の中間部に対して対称的に配置される。この配置は、例えばトレイTの両側部18,18が支持されたときに、トレイTが両側部18,18の中間部に対して対称的に撓むことに対応している。
【0048】
以上の構成により、複数の支持部20bは、トレイTの両側部18,18が支持され、載置部20に基板Pが載置された状態において、基板Pを水平面に沿ってほぼ平坦に支持するようになっている。ここで、ほぼ平坦とは、基板Pが複数の支持部20b及び載置面20aによって支持されたことによる微小な撓みを無視したときに、基板Pが水平面に沿った起伏のない平板状になることをいう。
【0049】
基板Pは、長辺がトレイTの両側部18,18に平行になるように配置される。トレイTは、両側部18,18が搬送ロボット4の搬送ハンド12によって下方から支持された状態で、載置部20に基板Pを載置して搬送されるようになっている(図2及び図3参照)。
【0050】
このように、本実施形態における搬送ロボット4の搬送ハンド12は、トレイTの被支持部である両側部18,18を支持する支持機構として機能している。また、搬送ロボット4は、搬送ハンド12によりトレイTの両側部18,18を保持して移動させることで、トレイTの両側部18,18が支持されたトレイTに基板Pを載置する載置機構としても機能している。また、搬送ロボット4は、基板Pが載置されているトレイTの両側部18,18又はその近傍を保持してトレイTを移動させる搬送機構としても機能している。
【0051】
トレイTは、載置部20の下面が、図4Aに示す搬出入部5のトレイ支持部52の複数のトレイ支持ピン52bによって支持されるようになっている。また、トレイTは、図4Aに示すように載置部20の下面がトレイ支持ピン52bによって支持された状態で、基板支持部51の複数の基板支持ピン51bを、図5Aに示す複数の開口部21に挿通させるようになっている。
【0052】
搬送ロボット4は、図4Bに示すように、搬送ハンド12をトレイTの側方の下側に、トレイTの両側部18,18に沿って配置した後、搬送ハンド12を移動させてトレイ保持部12aをトレイTの両側部18,18の下方に配置するようになっている。
【0053】
図2に示すように、基板ホルダ9の上面には、トレイTを保持する溝部30が形成されている。溝部30は、トレイTのフレーム構造に対応して格子状に設けられている。また、基板ホルダ9の上面には、溝部30が形成されることにより、基板Pの保持部(ホルダ部)31が島状に複数設けられている。すなわち、溝部30は、基板ホルダ9の保持部31に対して溝状に設けられ、保持部31は、トレイTの開口部21に対応する大きさを有している。
【0054】
保持部31の上面は、基板Pに対する基板ホルダ9の実質的な保持面が良好な平面度を有するように仕上げられている。さらに、保持部31の上面には、基板Pをこの面に倣わせて密着させるための吸引孔Kが複数設けられている(図2参照)。各吸引孔Kは、不図示の真空ポンプに接続されている。
【0055】
図6は、トレイTが基板ホルダ9の溝部30に収容された状態を示す部分側断面図である。図6に示すように、トレイTの厚さは、溝部30の深さよりも小さくなっている。これにより、トレイTが溝部30内に挿入されて沈み込むことで、開口部21から保持部31が突出された状態となり、トレイT上に載置されている基板Pのみが保持部31に受け渡されるようになっている。
【0056】
トレイTの載置部20の下面側の四隅には円錐状の凹部41が形成され、溝部30内で各凹部41に対応する位置には、凹部41に係合する球状の凸部42が設けられている。トレイTは、載置部20が溝部30に挿入された際に載置部20の凹部41内に基板ホルダ9の凸部42が係合することで、溝部30に収容された際の位置ずれが防止されるようになっている。また、搬送ハンド12のトレイ保持部12aにも載置部20の凹部41と係合する同様の凸部12cが形成されている(図7A図7C参照)。
【0057】
次に、露光装置1の動作について説明する。具体的には、搬送ロボット4により、トレイTに載置された基板PをトレイTとともに搬送することで、基板Pを搬入及び搬出する基板搬送方法について説明する。ここでは、基板PをトレイTに載置し、このトレイTに載置された基板Pを露光装置本体3に対して搬入、搬出する手順について説明する。
【0058】
感光剤が塗布された基板Pは、コータ・デベロッパから図1に示す搬出入部5に搬送され、図4Aに示す基板支持部51の基板支持ピン51b上の所定の位置に位置決めされて載置され、基板支持ピン51bの上面に吸着保持される。これにより、基板Pは、ほぼ水平面と平行な状態で支持される。基板Pが基板支持ピン51bの上面に吸着保持されると、基板支持部51は、基板支持ピン51bの上面に基板Pを吸着保持した状態で、駆動部54を作動させ、トレイTに対して基板Pを位置合わせする。これにより、トレイTは、基板Pの下方に基板Pと対向してほぼ水平面と平行な状態で支持される。
【0059】
図7A図7C及び図8A図8Bは、トレイTに基板Pを載置する工程を示す工程図である。
基板搬送装置7は、基板PとトレイTとの位置合わせが終了すると、搬送ロボット4を駆動させ、図4Bに示すように、搬送ハンド12をトレイTの側方の下側に両側部18,18に沿って配置する。そして、図7Aに示すように、搬送ハンド12のトレイ保持部12aに設けられた凸部12cとトレイTの載置部20に設けられた凹部41とを位置合わせする。
【0060】
次に、基板搬送装置7は、搬送ロボット4を駆動させ、図7Bに示すように、搬送ハンド12を鉛直方向に沿って上昇移動させて、搬送ハンド12の凸部12cとトレイTの凹部41とを係合させる。その後、搬送ハンド12をさらに鉛直方向に沿って上昇移動させて、図7Cに示すように、搬送ハンド12により、トレイTの被支持部である両側部18,18を支持してトレイTを持ち上げていく。
【0061】
すると、トレイTは、載置部20の両側部18,18及びその近傍が上方に持ち上げられ、両側部18,18の中間部分が相対的に下方に撓んだ状態になり、両側部18,18の近傍からトレイ支持ピン52bと離れていく。搬送ハンド12をさらに鉛直方向に沿って上昇移動させると、やがてトレイTの両側部18,18の中間部分がトレイ支持ピン52bから離れる。これにより、トレイTと複数のトレイ支持ピン52bとが完全に離間し、トレイTは両側部18,18が搬送ハンド12によって支持された状態になる。
【0062】
この状態において、トレイTがほぼ水平面に沿って平坦に支持されていた状態からの載置部20の下方への撓み量は、両側部18,18の近傍において比較的小さくなり、両側部18,18の中間部分の近傍でほぼ最大となっている。この状態で、搬送ハンド12をさらに鉛直方向に沿って上昇移動させると、図8Aに示すように、トレイTの複数の支持部20bが基板Pの下面に当接する。
【0063】
ここで、複数の支持部20bの各々の高さHは、複数の支持部20bが配されるそれぞれの位置において、トレイTの両側部18,18を支持した際のトレイTの変形量(撓みの大きさ)に応じた高さに設定されている。具体的には、トレイTの両側部18,18を支持し、載置部20に基板Pを載置したときに、基板Pと当接する支持部20bの上端が、水平面と平行な同一の仮想平面上にそれぞれ配置されるように調整されている。したがって、基板Pが載置部20に載置されていない状態では、トレイTはやや上方に反ったような状態(トレイTの両側部18,18の中間部分に位置する支持部20bが、その他の部分に配置された支持部20bよりもやや上方まで突出した状態)となっている。または、基板Pが載置部20に載置されていない状態では、図5Bの視点で見て、支持部20bそれぞれの上端を滑らかな仮想曲線で結んだ時、その曲線におけるトレイTの中間部分が上方に湾曲(上方に凸を有する形状)したアーチ(弧状)となっている。
【0064】
そのため、搬送ハンド12を鉛直方向に沿って上昇移動させていくと、まず最初にトレイTの両側部18,18の中間部分またはその近傍に配置された支持部20bが基板Pの下面の一部に当接する。次いで、その支持部20bの両側部18,18側に配置された支持部20bが、順次、基板Pの下面の一部に当接していく。そして、基板PがトレイTの載置部20に載置され、図8Bに示すように、基板Pが基板支持ピン51bからトレイTへと受け渡される。
【0065】
このとき、トレイTの載置部20は、基板Pの自重により両側部18,18の中間部分が、さらに若干の撓み量、下方に撓む。これにより、基板Pの下面の一部と当接する複数の支持部20bの上端が、水平面と平行な同一の仮想平面上にそれぞれ配置される。そして、トレイTの載置部20に載置された基板Pが、複数の支持部20bによりほぼ水平面と平行に、ほぼ平坦に支持される。ここで、支持部20bの基板Pに当接する面が凸曲面状に形成されている場合には、支持部20bと基板Pとが吸着状態となることが防止され、基板PにトレイTの撓みによる応力が発生することをより確実に防止できる。
【0066】
このように、本実施形態では、まず、トレイTに基板Pを載置する前に、基板Pが載置されたトレイTの搬送時の被支持部である両側部18,18を支持し、トレイTの形状が基板Pが載置された状態で搬送される際のトレイTの形状と同等の形状になるようにしている。そして、トレイTを当該形状に撓ませた後に、トレイTに基板Pを載置している。
【0067】
続いて、搬送ロボット4は、図2に示す状態から、図3に示すように、搬送ハンド12の長手方向(基板Pの長辺方向)を露光装置本体3の基板ホルダ9側に向けるように搬送ハンド12の向きを変える。その後、搬送ハンド12を移動させ、基板Pを載置したトレイTを、基板ホルダ9の上方へ向けて搬送する。搬送ハンド12は、基板Pの表面と基板ホルダ9の保持部31とがほぼ平行になるように基板Pを搬送する。ここで、ほぼ平行とは、自重による基板Pの撓みを排除した場合に平行もしくは平行に近い状態であることを意味している。具体的には、搬送ハンド12は、トレイTによる基板Pの被保持部分と保持部31の基板載置面とがほぼ平行となるように基板Pを搬送する。
【0068】
図9A図9Dは、トレイTから露光装置1の基板ホルダ9に基板Pを受け渡す工程を説明する工程図である。
搬送ロボット4は、図9Aに示すように、搬送ハンド12により基板Pを基板ホルダ9の上方へ搬送し、トレイTと溝部30との位置合わせを行った後、図2に示す駆動装置13を駆動させ、搬送ハンド12を下降させる。すると、図9B及び図9Cに示すように、トレイTは基板ホルダ9の溝部30に収容され、基板Pは基板ホルダ9の保持部31上に載置される。このとき、トレイTの載置部20は、両側部18,18が支持され、両側部18,18の中間部が下方へ撓んだ状態となっているが、基板Pは支持部20bによって水平面とほぼ平行にかつ平坦に支持された状態で保持部31上に受け渡される。
【0069】
さらに搬送ハンド12を下降させると、図9Dに示すように、トレイTの凹部41が基板ホルダ9の溝部30の凸部42と係合して、トレイTが搬送ハンド12から基板ホルダ9の溝部30に受け渡される。基板ホルダ9への基板Pの受け渡しが完了すると、基板搬送装置7は搬送ロボット4を駆動させ搬送ハンド12を基板ホルダ9上から退避させる。基板ホルダ9に基板Pが載置された後、図2に示すマスクMは照明系により露光光ILで照明される。露光光ILで照明されたマスクMのパターンは、基板ホルダ9に載置されている基板Pに投影光学系PLを介して投影露光される。
【0070】
本実施形態の露光装置1では、上述のように基板Pの受け渡し時に基板Pが殆ど撓むことがなく、基板ホルダ9上に良好に(すなわち、歪みの発生を抑制した状態で)基板Pを載置することができる。そのため、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を実現できる。また、露光装置1では、上述のようにトレイT及び基板ホルダ9に対する基板Pの受け渡しを円滑に行うことができるため、基板Pに対する露光処理を遅延なく行うことができる。
【0071】
一方、従来の基板搬送方法では、図10及び図11に示す次のような問題があった。図10(a)〜図10(c)は、基板が載置されたトレイの両側部を搬送ハンドにより保持する工程を示す工程図である。図11(a)〜図11(c)は、基板及びトレイを基板ホルダに受け渡す工程を示す工程図である。
【0072】
従来の基板搬送方法では、まず、図10(a)に示すように、基板をトレイに載置した状態で、トレイを下方から複数の支持ピンにより支持する。次に、図10(b)に示すように、搬送ハンドを上昇移動させ、搬送ハンドによってトレイの両側部を保持する。次いで、図10(c)に示すように、搬送ハンドをさらに上昇移動させ、トレイを複数の支持ピンから離間させた後、搬送ハンドを基板ホルダに向けて移動させて基板を搬送する。
【0073】
しかし、図10(a)に示すように基板をトレイに載置させると、基板とトレイとが密着し、互いに滑りを生じにくい状態になる場合がある。この状態において、図10(b)に示すようにトレイの両側部を保持してトレイを持ち上げると、トレイの撓みが徐々に増加していく一方で、基板がトレイに対して矢印の方向に移動することができず、基板が両側部の中間部に向けて圧縮されるような状態になる。すると、図10(c)に示すように、基板の両側部の中間部が膨らむように歪んでしまう。このように歪んだ状態の基板を基板ホルダに受け渡す際に、基板ホルダの保持部と基板との間で十分に滑りが生じず、基板ホルダ上で基板の歪みが解消されなかった場合には、露光処理に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0074】
また、仮に、基板が載置されたトレイの両側部を搬送ハンドにより保持する際に、トレイと基板との間で滑りが生じて基板の歪みが解消された場合であっても、図11(a)に示すように、基板がトレイに沿って撓んでいるため、図の点線で示す基板の端部同士の距離は、平坦な状態の基板の端部同士の距離よりも小さくなっている。この状態で、図11(b)に示すように、トレイを下降させて基板を基板ホルダの保持部に受け渡す際に、基板ホルダの保持部と基板との間で十分に滑りが生じなかった場合、基板が基板ホルダの保持部に対して矢印の方向に移動できない場合がある。すると、図11(c)に示すように、基板ホルダの保持部に受け渡された基板の端部同士の距離は、図11(a)のように撓んだ状態の基板の端部間の距離とほぼ等しくなり、基板が両側部の中間部に向けて圧縮されて縮小した状態となってしまう。このように、基板が圧縮されて縮小した状態では、露光処理に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0075】
しかし、本実施形態のトレイTを備えた基板搬送装置7による基板搬送方法によれば、図8A図8Bに示すように、基板Pが載置されたトレイTを搬送ハンド12により保持して搬送する際に、基板Pが複数の支持部20bによって支持され、従来のように歪むことがない。また、図9A図9Dに示すように、ほぼ水平面に平行でかつ平坦な状態の基板Pを基板ホルダ9の保持部31に受け渡すことができる。したがって、図10(a)〜図10(c)に示す従来のような基板Pの歪みによる問題、図11(a)〜図11(c)に示す基板Pの圧縮による問題、又はこれらの組合せによる問題を、全て解消することができる。
【0076】
次に、露光処理終了後の基板ホルダ9からの基板Pの搬出動作について説明する。なお、以下の説明では搬送ハンド12が基板Pの搬出を行うように説明するが、ダブルハンド構造のうちのもう1つの搬送ハンドが搬出を行うようにしてもよい。
【0077】
露光処理が終了すると、搬送ロボット4は搬送ハンド12を駆動し、基板ホルダ9上に載置されたトレイTの下方で基板ホルダ9のX軸方向両側に搬送ハンド12を−Y方向側から挿入する。これに伴い、不図示の制御装置により真空ポンプによる吸引が解除され、基板ホルダ9による基板Pの吸着が解除される。
【0078】
次に、駆動装置13により搬送ハンド12が所定量上方に駆動されると、搬送ハンド12のトレイ保持部12aの凸部12cがトレイTの載置部20の両側部18,18の下面の凹部41に係合する。さらに上方に搬送ハンド12が駆動されると、基板ホルダ9の保持部31に載置された基板PがトレイTに受け渡される。なお、真空ポンプによる吸引(基板ホルダ9による基板Pの吸着)の解除は、凸部12cが凹部41に係合する前までに行なわれていればよい。このとき、本実施形態によれば上述のように、基板Pの一部が、載置部20に設けられた複数の支持部20bによって支持されるため、基板PをトレイTの載置部20上に従来よりも平坦な状態で載置することができる。さらに上方に搬送ハンド12が駆動されると、基板Pを支持するトレイTが基板ホルダ9の上方に持ち上げられ、載置部20が基板ホルダ9から離間する。
【0079】
この載置部20と基板ホルダ9とが離間する位置までトレイTが持ち上げられた時点で、基板Pを保持しているトレイTが搬送ハンド12によって基板ホルダ9上から退避される。このようにして、露光装置本体3に対する基板Pの搬出動作が完了する。
【0080】
次に、本発明の第2実施形態について、図1図6及び図9A図9Dを援用し、図12A図12C及び図13A図13Bを用いて説明する。本実施形態の基板搬送装置7Aは、搬出入部5AにおいてトレイTを支持する複数のトレイ支持ピン(第2支持ピン)52bが、トレイTの両側部18,18又はその近傍のみを支持するように設けられている点で、上述の第1実施形態の基板搬送装置7と異なっている。その他の点は第1実施形態の基板搬送装置7と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0081】
図12A図12C及び図13A図13Bは、トレイTに基板Pを載置する工程を示す工程図である。以下では、本実施形態における露光装置1の動作について説明する。具体的には、搬送ロボット4により、トレイTに載置された基板PをトレイTとともに搬送することで、基板Pを搬入及び搬出する基板搬送方法について説明する。ここでは、基板PをトレイTに載置し、このトレイTに載置された基板Pを露光装置本体3に対して搬入、搬出する手順について説明する。
【0082】
第1実施形態と同様に、感光剤が塗布された基板Pは、コータ・デベロッパから図1に示す搬出入部5と同様の搬出入部5Aに搬送され、図4Aに示す基板支持部51の基板支持ピン51b上の所定の位置に位置決めされて載置され、基板支持ピン51bの上面に吸着保持される。基板Pが基板支持ピン51bの上面に吸着保持されると、基板支持部51は、基板支持ピン51bの上面に基板Pを吸着保持した状態で、駆動部54を作動させ、トレイTに対して基板Pを位置合わせする。
【0083】
ここで、本実施形態では、図4Bに示すように、トレイTを支持する複数のトレイ支持ピン52bがトレイTの両側部18,18に沿って配置されている。そして、各々のトレイ支持ピン52bはトレイTの両側部18,18又はその近傍のみを支持するようになっている。これにより、トレイTは、載置部20に基板Pが載置されて搬送ハンド12により両側部18,18が支持されたときのトレイTの形状と同等の形状に、トレイTの自重によって撓んだ状態で、基板Pの下方に基板Pと対向して支持される。
【0084】
基板搬送装置7Aは、基板PとトレイTとの位置合わせが終了すると、図4Aに示すトレイ支持部(支持機構)52を不図示の駆動部によりガイド部56に沿って上昇移動させる。これにより、図12Aに示すように、トレイ支持ピン52bによって支持されたトレイTが、基板Pに近接するように上昇移動する。そして、図12Bに示すように、トレイTの載置部20に設けられた複数の支持部20bが、基板Pの下面に当接する。
【0085】
この状態でさらにトレイTを上昇移動させると、図12Cに示すように、基板Pが複数の基板支持ピン51bから離間してトレイTの載置部20に載置される。以上により、基板Pが基板支持ピン51bからトレイTに受け渡される。このように、本実施形態では、搬出入部5Aが、トレイTの所定の被保持部である両側部18,18を支持する支持機構として機能すると共に、両側部18,18が支持されたトレイTに基板Pを載置する載置機構として機能している。
【0086】
ここで、トレイTは、複数の支持部20bの各々の高さHが、トレイTの両側部18,18を支持し、載置部20に基板Pを載置したときに、基板Pと当接する複数の支持部20bの上端が、水平面と平行な同一の仮想平面上にそれぞれ配置されるように調整されている。これにより、第1実施形態と同様に、トレイTの載置部20に載置された基板Pが、複数の支持部20bによりほぼ水平面と平行でかつほぼ平坦に支持される。
【0087】
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、トレイTに基板Pを載置する前に、まず、基板Pが載置されたトレイTの搬送時の被支持部である両側部18,18を支持し、基板Pが載置される前のトレイTの形状が、基板Pが載置された状態で搬送される際のトレイTの形状と同等の形状になるようにしている。そして、トレイTを当該形状に撓ませた後に、トレイTに基板Pを載置している。
【0088】
次に、基板搬送装置7Aは、搬送ロボット4を駆動させ、図12Cに示すように、搬送ハンド12をトレイTの側方の下側に両側部18,18に沿って配置する。そして、図13Aに示すように、搬送ハンド12を移動させ、搬送ハンド12のトレイ保持部12aに設けられた凸部12cとトレイTの載置部20に設けられた凹部41とを位置合わせする。
【0089】
次に、基板搬送装置7Aは、搬送ロボット4を駆動させ、図13Bに示すように、搬送ハンド12を上昇移動させて、搬送ハンド12の凸部12cとトレイTの凹部41とを係合させる。その後、搬送ハンド12をさらに鉛直方向に沿って上昇移動させて、搬送ハンド12により、トレイTの被支持部である両側部18,18を支持してトレイTを持ち上げていく。
【0090】
続いて、搬送ロボット4は、第1実施形態と同様に、図2に示す状態から、図3に示すように、搬送ハンド12の長手方向を露光装置本体3の基板ホルダ9側に向けるように搬送ハンド12の向きを変える。その後、搬送ハンド12を移動させ、基板Pを載置したトレイTを、基板ホルダ9の上方へ向けて搬送する。次いで、図9A図9Dに示す第1実施形態と同様に、トレイTから露光装置1の基板ホルダ9に基板Pを受け渡す。
【0091】
以上説明したように、本実施形態のトレイTを備えた基板搬送装置7Aによる基板搬送方法によれば、図12A図12C及び図13A図13Bに示すように、基板Pが載置されたトレイTを搬送ハンド12により保持して搬送する際に、基板Pが従来のように歪むことがない。また、図9A図9Dに示すように、ほぼ水平面に平行でかつ平坦な状態の基板Pを基板ホルダ9の保持部31に受け渡すことができる。したがって、図10(a)〜図10(c)に示す従来のような基板Pの歪みによる問題、図11(a)〜図11(c)に示す基板Pの圧縮による問題、又はこれらの組合せによる問題を、全て解消することができる。
【0092】
なお、上述の実施形態では、トレイの被保持部が両側部に設けられている構成について説明したが、被支持部は例えば両側部の中間部等、両側部以外の部分に設けられていてもよい。また、上述の各実施形態では、基板をトレイに載置する際に、基板の下方に配置したトレイを基板に対して上昇移動させる場合について説明したが、トレイの上方に配置した基板をトレイに対して下降移動させてトレイに載置するようにしてもよい。
【0093】
また、上述の実施形態の基板Pとしては、ディスプレイデバイス用のガラス基板のみならず、半導体デバイス製造用の半導体ウエハ、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0094】
また、露光装置としては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを介した露光光ILで基板Pを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0095】
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0096】
また、本発明は、米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基板を保持せずに、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
【0097】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
【0098】
上述の実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。
各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0099】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図14に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板(感光剤)を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、ステップ204では、感光剤を現像することで、マスクのパターンに対応する露光パターン層(現像された感光剤の層)を形成し、この露光パターン層を介して基板を加工することが含まれる。
【0100】
なお、上述の実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0101】
1…露光装置、4…搬送ロボット(搬送部、載置機構、搬送機構)、5,5A…搬出入部(搬送部)、7,7A…基板搬送装置、9…基板ホルダ、12…搬送ハンド(保持アーム)、12b…切欠き部、18…両側部(被保持部、被支持部)、20…載置部、20b…支持部、21…開口部(挿通孔)、30…溝部、31…保持部、33…移動機構、51…基板支持部(載置機構)、51b…基板支持ピン(支持ピン)、52…トレイ支持部(支持機構)、52b…トレイ支持ピン(第2支持ピン)、53…連結部材(載置機構)、54…駆動部(載置機構)、56…ガイド部(支持機構)、H…高さ、IL…露光光、P…基板、T…トレイ(基板支持部材)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14