(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<式[1]で表されるジアミン化合物>
本発明のジアミン化合物(以下、特定ジアミン化合物と称することもある。)は、下記式[1]で表される
【化5】
式中、X
1は単結合、−CH
2O−、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、又は−CONH−を表す。
X
2は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。
X
3は−O−、−NH−、又は−N(R
1)−を表す。
X
4は単結合、−O−、−S−、又は−NH−を表す。
X
5は単結合又は下記式[X
5−1]〜[X
5−5]の群から選択される炭素環を表す。
X
6は炭素数1〜18の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。
X
7は水素原子、−R
2、−OR
3、−NHR
4、−N(R
5)
2、又は−SR
6を表す。ここでR
1〜R
6は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表す。
nは1又は2の整数を表す。
【化6】
上記式[X
5−1]〜[X
5−5]の炭素環構造においては、任意の水素原子はCH
3にて置換されていてもよい。
【0011】
式[1]における二つのアミノ基(−NH
2)の結合位置は限定されない。具体的には、側鎖の結合基(X
1)に対して、ベンゼン環上の2,3の位置、2,4の位置、2,5の位置、2,6の位置、3,4の位置、又は3,5の位置が挙げられる。これらのなかでも、ポリアミド酸を合成する際の反応性、及びジアミン化合物を合成する際の容易性の観点から、二つのアミノ基の結合位置が2,4の位置、2,5の位置、又は3,5の位置が特に好ましい。
【0012】
本発明のジアミン化合物は、垂直配向用の液晶配向膜として利用した場合、紫外線の照射によりプレチルト角を付与することを目的としており、式[1]に含まれている下記式[2]で表される部分がプレチルト角の発現を決定する部分である。この構造を最適化することにより、好ましいプレチルト角の大きさを得ることができる。
【化7】
式[2]中、X
1は単結合、−CH
2O−、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、又は−CONH−の結合基であり、X
2は炭素数1〜3のアルキレン基である。
X
2のアルキレン鎖の長さが、少ない照射量でプレチルト角を発現するためには重要であり、このアルキレン鎖が長すぎると、プレチルト角を発現するまでの照射量が多くなってしまう。これは垂直配向用の液晶配向膜を形成する重合体中に含有されるアミンの側鎖(上記式[2]のX
3に結合したカルボニル基からの部位)の根元の部位で光反応が起こることで、光反応による異方性が側鎖全体に影響し、側鎖が液晶へ与える配向規制力が大きくなるためである。この結果、少ない照射量でも液晶のプレチルト角を発現させることが可能となる。
【0013】
式[2]中、X
3は−O−、−NH−、又は−N(R
1)−を表し、X
4は単結合、−O−、−S−、又は−NH−を表す。
R
1は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
X
3、及びX
4は光反応性部分の結合基であり、光反応性基の光吸収波長の長さや合成の容易性から、X
3、及びX
4は−O−が特に好ましい。
式[2]中、X
5は単結合又は下記式[X
5−1]〜[X
5−5]の群から選択される炭素環であり、X
6は炭素数1〜18の直鎖又は分岐状のアルキル基である。
X
5及びX
6は、液晶を垂直に配向させるために重要であり、X
5が単結合の場合、垂直配向能の点から、X
6は長鎖アルキル基であることが好ましい。この場合の、X
6の炭素数は、好ましくは6〜18であり、より好ましくは8〜12である。
また、X
5が下記式[X
5−1]〜[X
5−5]の群から選択される炭素環である場合、垂直配向能が向上するため、X
4はやや短いアルキル基が好ましい。この場合の、X
4の炭素数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは3〜8である。
【0014】
【化8】
式[2]中、X
7は水素原子、−R
2、−OR
3、−NHR
4、−N(R
5)
2、又は−SR
6を表す。ここで、R
2〜R
6は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表す。 nは1又は2の整数を表す。
X
7及びnは、光反応性基の感光波長を決定するために重要であり、X
7に電子供与性の置換基を用いると、光反応性基の吸収波長が長波長化する。また、nが2であると、同様の効果が得られる。X
7及びnは、光反応性基の感光波長を好ましい波長にすることができる。
【0015】
垂直配向用の液晶配向膜として使用した場合の感光波長及び光反応性の感度の観点から、式[1]におけるX
1〜X
7の好ましい具体的な組み合わせを以下に示す。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
上記に例示するジアミン化合物に記載のC
nH
2n+1部分において、nは1〜18の整数を表す。
【0016】
<特定ジアミン化合物の合成方法>
製法1
ジニトロ体1から得られるアクリルエステル体2と脱離性官能基であるYを持つベンゼン誘導体3との反応で、桂皮酸部位を側鎖に持つジニトロ体4を製造する。得られたジニトロ体4は、側鎖の2重結合部分に影響のない還元方法を選択し実施することで、目的のジアミン5へ変換することが可能である。
【化27】
【0017】
化合物1の製法
<X
1が単結合の場合(mは1〜3の整数であり、X
3は−O−、−NH−、又は−NR
1−を表す。)>
幾つかの原料については市販品として購入することが可能である。市販品としての入手が難しい場合は、化合物6に示したようなカルボン酸に対してボラン還元剤で還元反応を行うと、X
3が−O−に対応する原料を合成することができる。また、化合物6のカルボン酸部分がシアノ基である化合物、すなわち、化合物7にボラン還元剤を作用させれば、X
3が−NH−であるジアミン化合物の原料を合成できる。
【化28】
X
3が−O−である化合物1a’の水酸基を、ハロゲンやスルホン酸エステルなどの脱離基に変換した後、アジ化物と反応させて得られる、対応するアジド誘導体を還元しても、X
3が−NH−である化合物1a’’を得ることができる。また、脱離基に変換後に、コハク酸イミドやフタルイミドと反応させた後、生成したN-アルキルイミドをヒドラジンで分解する、いわゆる、ガブリエル合成によるアミンの合成でも、X
3が−NH−である化合物1a’’を得ることができる。
X
3が−NH−である化合物1a’’に対して、アルキルハライドやアルキルスルホン酸エステルを塩基の共存下で反応させて、X
3が−NR
1(R
1は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)である化合物1a’’得ることができる。また、アルデヒド化合物を作用させて対応するイミン化合物とし、そのイミン部分をボラン系の還元剤などで還元する、いわゆる、還元的アミノ化反応を利用することで、X
3が−NR
1(R
1は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)である化合物1a’’’を得ることができる。前者のアルキル化の場合は、アルキル基が複数個導入された副生成物が得られるが、後者の方法では副生成物がなく、アルキル基の導入に有効である。
【0018】
<X
1が−O−の場合(mは1〜3の整数であり、X
3は−O−、−NH−、又は−NR
1−を表す。)>
市販品として入手できるジニトロフェノール8の、保護基Pを持つ化合物9によるアルキル化で、側鎖を持つジニトロ体10を得る。ジニトロ体10に含まれる保護基Pを脱保護することにより、ジニトロ中間体1bを製造できる。
【化29】
化合物9において、YはF、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、又はメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニル基などのスルホン酸エステル類を表す。
保護基であるPは、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのエステル系の保護基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフリル基などのアセタール系の保護基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ(イソプロピル)シリル基、トリフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、クミルジフェニルシリル基などのシリル系の保護基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジロキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などの炭酸エステル系の保護基が挙げられる。副反応を制御する観点から、アセタール系又はシリル系の保護基が好ましい。
化合物8と化合物9からジニトロ体10を得る反応の際に塩基を共存させるが、使用する塩基としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、ジ(イソプロピル)エチルアミンなどのアミン類などが使用できる。本反応を行う際に、反応を円滑に進行させるために、ヨウ化ナトリウム, ヨウ化カリウム、又はテトラ−n−ブチルアンモニウムヨーダイドを添加するのが好ましい。
【0019】
化合物10の脱保護の反応には、使用している保護基に適した脱保護の条件を選択して実施する。エステル系もしくは炭酸エステル系の保護基を使用している場合は、酸性、アルカリ性のどちらの液性の加水分解反応も有効である。また、低級アルコールとのエステル交換反応を利用しても脱保護できる。アセタール系の保護基を使用している場合は、鉱酸や蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸などの有機酸を触媒量使用した脱保護反応が好ましい。シリル系の保護基を使用している場合には、アセタール系の保護基の脱保護と同様な条件下において、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドなどのフッ化物を利用した脱保護が好ましい。
上記で得られたX
3が−NH−の化合物に対して、還元的なアミノ化反応を実施することで、X
3が−NR
1(R
1は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)に対応する化合物1bを合成できる。
また、上記の化合物8と化合物9のOH基とY基を入れ替えた化合物、すなわち、化合物8の水酸基の部分がフッ素や塩素であり、化合物9のYがOH基である化合物を、塩基の存在下で反応させても化合物10を得ることが可能である。
【0020】
<X
1が−COO−、又は−CONH−の場合(mは1〜3の整数であり、X
3は−O−、−NH−、又は−NR
1−を表す。)>
カルボン酸もしくはその誘導体11と保護基Pを持つ化合物12との反応で、側鎖を持つジニトロ−エステル体13(Q=O)、もしくは、ジニトロ−アミド体13(Qは−NH−である。)を得る。ジニトロ−エステル体13(Qは−O−である。)、もしくは、ジニトロ−アミド体13(Qは−NH−である。)中に含まれる保護基を脱保護することにより、エステル結合基を持つジニトロ中間体1cを製造できる。
【化30】
化合物11において、HalはOH基、もしくは、ハロゲン原子を示すが、安定性を考えると、OH基又はクロロ基である化合物11を使用することが好ましい。
化合物12中の保護基Pは、好ましい保護基についても前記と同義である。
化合物12中のZは、水酸基、アミノ基、ハロゲン、又はスルホニル基を表す。
【0021】
化合物13中のQは、−O−、又は−NH−を表す。使用する化合物11のHalの部分の構造を考慮して、化合物12中のZで表される官能基を選択する。例えば、HalがOH基であり、ZとしてOH基又はNH
2基を選択した場合は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾールなどの縮合剤を用いて反応を行うと、エステル(Qは−O−である。)又はアミド結合(Qは−NH−である。)を持つ化合物13が得られる。HalがOH基であり、Zとしてハロゲン、又はスルホニル基を選択した場合は、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、ジ(イソプロピル)エチルアミンなどのアミン類を利用して反応させると、エステル化合物13(Qは−O−である。)が得られる。反応を円滑に進行させるために、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、又はテトラ−n−ブチルアンモニウムヨーダイドを添加することも有効である。
【0022】
Halがクロロ基に代表されるハロゲン原子の場合、化合物12中のZが水酸基又はアミノ基であるものを使用して、エステル化合物13(Qは−O−である。)又はアミド化合物13(Qは−NH−である。)が得られる。この反応では、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類を塩基として添加する。
得られた化合物13の保護基Pを脱保護することで化合物1cを得ることができるが、脱保護の条件としては、上記の化合物10の脱保護の条件と同様である。
X
3が−NH−である化合物1a’’に対して、アルキルハライドやアルキルスルホン酸エステルを塩基の共存下で反応させて、X
3がNR
1(R
1は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)である化合物1cを得ることができる。また、アルデヒド化合物を作用させて対応するイミン化合物とし、そのイミン部分をボラン系の還元剤などで還元する、いわゆる、還元的アミノ化反応を利用することで、X
3がNR
1(R
1は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)である化合物1cを得ることができる。前者のアルキル化の場合は、アルキル基が複数個導入された副生成物が得られるが、後者の方法では副生成物がなく、アルキル基の導入に有効である。
【0023】
<X
1が−OCO−、又は−NHCO−の場合(mは1〜3の整数であり、X
3は−O−、−NH−、又は−NR−を表す。)>
ジニトロフェノール(Qは−O−である。)又はジニトロアニリン(Qは−NH−である。)14と保護基Pを持つカルボン酸誘導体15との反応で、エステル化又はアミド化を行い、エステルもしくはアミド側鎖を持つジニトロ体16とした後、ジニトロ体16に含まれる保護基を脱保護することにより、エステル結合又はアミド結合を持つジニトロ中間体1dを製造できる。
【化31】
化合物14とジニトロ体16とジニトロ中間体1d中のQは、−O−又は−NH−を表す。
カルボン酸誘導体15において、HalはOH基、もしくは、ハロゲン原子を示すが、安定性を考えるとOH基又はクロロ基である化合物15を使用することが好ましい。 保護基Pは、好ましい保護基についても前記と同義である。
【0024】
HalがOH基である、すなわち、カルボン酸15とジニトロフェノール14(Qは−O−である。)又はジニトロアニリン14(Qは−NH−である。)を反応させる時は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾールなどの縮合剤を利用するのが一般的である。さらに、触媒量の酸又はN,N−ジメチルアミノピリジンを添加するのが、反応の進行に好ましい。Halがクロロ基などに代表される酸ハライド誘導体を使用して反応を実施する方法も好ましく、この時は、トリエチルアミン、ピリジンといったアミン類などの塩基を添加して反応を行う。
得られた化合物16の保護基であるPを脱保護することでジニトロ中間体1dを得ることができるが、脱保護の条件としては、上記の化合物10の脱保護条件と同様である。
【0025】
化合物2の製法
化合物2は、対応するジニトロベンジルアルコールなどの原料1とアクリル酸誘導体との間のエステル化で製造することが可能である。
アクリル酸誘導体としては、アクリル酸塩化物、アクリル酸臭化物などの酸ハライド類、アクリル酸無水物などの使用が好ましい。
エステル化反応においては、塩基として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、NaH、KaHなどの無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどのアミン類、tert−ナトリウムブトキシド、tert−カリウムブトキシドなどの有機塩基が使用できる。
【0026】
溶媒としては、当該反応条件下において不活性で、安定な、反応を妨げないものであれば、適宜選択することが可能である。例えば、アミン類、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド, ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル, ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル, テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応条件や反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃から使用する溶媒の沸点の範囲が好ましく、−50〜150℃の範囲がより好ましい。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物2は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、活性炭などで精製してもよい。
また、化合物2は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステルとジニトロベンジルアルコールのエステル交換反応や、アクリル酸とジニトロ塩化ベンジル、ジニトロ臭化ベンジルなどのジニトロベンジルハライドとの反応でも合成することができる。
【0027】
化合物3の製法
【化32】
上記化合物17と化合物18において、UはF、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、−OH、−SH、又は−NH
2を表し、X
5は単結合又は前記[X
5−1]〜[X
5−5]の群から選択される炭素環を表し、X
6は炭素数1〜18の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。
X
7は水素原子、−R
2、−OR
3、−NHR
4、−N(R
5)
2、又は−SR
6を表す。ここで、R
2〜R
6は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表す。
nは1又は2の整数を表す。
Y及びLは、それぞれ独立してハロゲン又は擬ハロゲン基であり、例えば、F、Cl、Br、I、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニル基などのアルキルスルホニルオキシ基、又は芳香族スルホニルオキシ基を示す。
化合物3の製法は、例えば17で示した化合物と18で示した化合物との反応により製造することができる。また、化合物17と化合物18の幾つかは容易に市販品として入手することが可能である。
【0028】
<X
4が−O−、−S−、又は−NH−の場合>
化合物17の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−1]〜[X
5−5]の群から選択される炭素環である場合は、塩基の存在下で両化合物を反応させ、化合物3が得られる。使用する塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、トリエチルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの有機脂肪族、芳香族、及び複素環の有機塩基などである。これら塩基の混合物も使用することができる。特に好ましいのは、炭酸カリウムである。
溶媒としては、当該反応条件下において安定であって、不活性で反応を妨げないものであれば、適宜選択することが可能である。例えば、ケトン系溶媒(アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトンなど)、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点が好ましく、より好ましくは−50〜150℃の範囲である。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物3は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製することが出来る。
【0029】
化合物17の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が単結合、又は[X
5−5]である場合は、適当な塩基存在下、金属錯体と配位子を触媒として、カップリング反応を利用して化合物3を合成することができる。金属錯体としては、銅錯体、パラジウム錯体、又は、ニッケル錯体を使用するのが好ましい。特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価錯体の使用が好ましい。また、反応系中で、容易にゼロ価錯体に変換される適当な前駆体を用いることもできる。さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と、3級ホスフィンや3級ホスファイトを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生させることもできる。
【0030】
配位子である3級ホスフィン又は3級ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、これらの配位子の2種以上を混合して含む錯体も好適に用いられる。触媒としては3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まない銅錯体又はパラジウム錯体が用いられる。また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含む錯体と、前記した配位子とを組み合わせて用いることも好ましい。上記配位子との組み合わせで用いられる、三級ホスフィンや3級ホスファイトを含まない錯体としては、銅触媒では、CuCl、CuBr、CuI、Cu
2O、CuCN、CuOなどであり、パラジウム触媒では、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化パラジウム-アセトニトリル錯体、パラジウム−活性炭などである。また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含む錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。触媒としての銅錯体、パラジウム錯体、ニッケル錯体などの使用量は、いわゆる触媒量で良く、一般的には、反応させる化合物の20モル%以下で十分であり、通常10モル%以下である。
【0031】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジンなどのアミン類等の他、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウムなども使用できる。
【0032】
溶媒としては、当該反応条件下において安定であって、不活性で反応を妨げないものあれば、適宜選択することが可能である。例えば、水、アルコール類、アミン類、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が挙げられる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、−50〜150℃の範囲が好ましい。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物3は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよい。
【0033】
<X
4が単結合の場合>
化合物17の置換基Uが、F、Cl、Br、又はIであり、化合物3のX
4が、単結合の場合は、適当な塩基存在下、金属錯体と配位子を触媒としたカップリング反応を利用して、化合物3は合成することができる。金属錯体としては、鉄錯体、パラジウム錯体、又は、ニッケル錯体が好ましい。特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価錯体の使用が好ましい。また、反応系中で、容易にゼロ価錯体に変換される適当な前駆体を用いることもできる。さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と、3級ホスフィンや3級ホスファイトを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生させることもできる。
配位子である3級ホスフィン又は3級ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、これらの配位子の2種以上を混合して含む錯体も好適に用いられる。触媒としては、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まない鉄錯体又はパラジウム錯体が用いられる。また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含む錯体と、前記した配位子とを組み合わせて用いることも好ましい。上記配位子と組み合わせて用いられる、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まない錯体としては、鉄触媒では、FeBr
3、FeBr
2,FeCl
3、FeCl
2、FeF
3、FeF
2、Fe(アセチルアセトナート)
3、Fe(アセチルアセトナート)
2などであり、パラジウム触媒では、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化パラジウム-アセトニトリル錯体、パラジウム−活性炭などである。また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含む錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。触媒としての鉄錯体、パラジウム錯体、ニッケル錯体などの使用量は、いわゆる触媒量で良く、一般的には、反応させる化合物の20モル%以下で十分であり、通常10モル%以下である。
【0034】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基やN,N−ジメチルエチレンジアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジンなどのアミン類の他、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウムなども使用できる。
溶媒としては、当該反応条件下において安定であり、不活性で反応を妨げないものであれば、適宜選択することが可能である。例えば、水、アルコール類、アミン類、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、−50〜150℃の範囲が好ましい。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物3は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製しても良い。
【0035】
化合物4の製法
化合物4は、化合物2と化合物3を金属錯体触媒、配位子、及び塩基の共存下で、ヘック反応などのカップリング反応により合成することができる。
化合物3中のYとしては、脱離能力のある置換基であれば良く、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニル基などのアルキルスルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基などが用いられ、反応性を考えると、Br、I、又はトリフルオロメタンスルホニル基が好ましい。
カップリング反応は、金属錯体と配位子とを触媒として使用するのが好ましい。通常、金属錯体としては、パラジウム錯体、ニッケル錯体などが使用される。
触媒としては、種々の構造のものを用いることができるが、いわゆる低原子価のパラジウム錯体又はニッケル錯体を用いることが好ましく、特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価錯体が好ましい。また、反応系中で容易にゼロ価錯体に変換される適当な前駆体を用いることもできる。さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と、3級ホスフィンや3級ホスファイトとを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価錯体を発生させることもできる。
【0036】
配位子である3級ホスフィン又は3級ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、これらの配位子の2種以上を混合して含む錯体も好適に用いられる。触媒として、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム錯体及び/又は3級ホスフィンや3級ホスファイトを含む錯体と、前記した配位子と、を組み合わせて用いることも好ましい態様である。上記配位子に組み合わせて用いられる、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まない錯体としては、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、パラジウム−活性炭等が挙げられる。また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含む錯体としては、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらパラジウム錯体の使用量は、いわゆる触媒量で良く、一般的には、反応させる化合物の20モル%以下で十分であり、通常10モル%以下である。
【0037】
塩基としては、無機塩基やメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジンなどのアミン類の他、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウムなども使用できる。
溶媒としては、当該反応条件下において安定であって、不活性で反応を妨げないものであれば、適宜選択することが可能である。例えば、水、アルコール類、アミン類、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応条件や反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、この場合、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物4は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、活性炭などで精製しても良い。
【0038】
化合物5の製法
上記で得られたジニトロ体4は、側鎖の2重結合を損なわないような還元反応条件を選択し、ニトロ基の還元を行い、目的物であるジアミン化合物5に変換することができる。
側鎖の二重結合をそのままにしたニトロ基の還元には、Fe、Sn、Znなどの金属、もしくはこれらの金属塩をプロトン源と共に使用することが好ましい。金属と金属塩は単体もしくは共同で使用しても良い。
プロトン源としては、塩酸などの酸、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、メタノール、エタノールなどのプロトン性溶媒が使用できる。
溶媒は、還元的雰囲気下の環境に耐えられるものであれば良く、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応条件や反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり。好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物5は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、活性炭などで精製しても良い。
【0039】
製法2
ジニトロ体1と、アクリル酸誘導体19、又は酸ハロゲン化物である化合物20との反応で、桂皮酸部位を側鎖に持つジニトロ体4を製造することができる。得られたジニトロ体4は、側鎖の2重結合部分に影響のない還元方法を選択し、実施することで、目的物であるジアミン化合物5へ変換することが可能である。
【化33】
【0040】
化合物20の製法
【化34】
化合物19と化合物20において、XはハロゲンのF、Cl、Br、又はIを表し、X
4は単結合、−O−、−S−、又は−NH−を表す。
X
5、X
6、X
7、及びnは前記と同義である。
化合物20の製法は、化合物19と酸ハロゲン化剤とを反応する方法である。Xは試薬の入手性、反応性の観点から、Cl、又はBrが好ましい。使用される酸ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、オギザリルクロライド、ホスゲン、塩素、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、N−クロロコハク酸イミド、三塩化ホウ素、臭化チオニル、オギザリルブロミド、臭素、オキシ臭化リン、三臭化リン、五臭化リン、N−ブロモコハク酸イミドなどが挙げられる。好ましくは、塩化チオニル、又は臭化チオニルが用いられる。酸ハロゲン化剤としては、化合物19に対して、通常2〜100倍モル、好ましくは2〜30倍モル、より好ましくは2〜3倍モル使用される。
上記の反応は、塩化チオニルなどの酸ハロゲン化剤中でも行うことができるが、必要に応じて溶媒を使用することができる。
【0041】
溶媒は反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド, ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル, ジイソプロピルエーテル、テトラブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル, テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
【0042】
また、上記の反応は、触媒なしでも進行するが、触媒を添加することで塩素化剤の使用量を減らすことができ、かつ反応の進行を早くすることができる。触媒としては特に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、キノリン、N、N−ジメチルアニリン、ジメチルホルムアミドなどの有機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド又はカリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド類が挙げられる。好ましくは、トリエチルアミンピリジン、ジメチルホルムアミドが挙げられる。また、より好ましくは、ピリジンが挙げられる。これら触媒は、酸ハロゲン化物に対して通常0〜100倍モル、好ましくは0.01〜10倍モル使用される。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は通常0.1〜1,000時間である。
また、上記のようにして得られた化合物20は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの操作にて精製しても良い。
【0043】
化合物19の製法−1
【化35】
化合物21において、Aはアルキル基、シリル基又は水素を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、シリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシ基、ビニル基等である。
上記反応は、化合物3と21を金属錯体触媒、配位子及び塩基の共存下、ヘック反応などのカップリング反応により、化合物19を合成できる。反応条件は、製法1の化合物4の合成法で示した方法と同様である。
Aがアルキル基、又はシリル基の場合は、反応後、酸、又は塩基存在下、エステル基−COOAを水により加水分解することで、対応する化合物19へと誘導することができる。用いる酸としては、希硫酸などの鉱酸や、p-トルエンスルホン酸、蟻酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。また、塩基としては、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、リン酸二水素ナトリウムやリン酸二水素カリウム等のリン酸塩類、酢酸ナトリウムや酢酸カリウム等のカルボン酸塩類、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類、水素化ナトリウム等の金属水素化物類等が挙げられる。
【0044】
加水分解は反応を円滑に進めるために、水と混ざる溶媒中で行ってもよく、用いられる溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性有機溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類、ピリジンなどの有機弱塩基性溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類が挙げられる。また加熱することにより、反応をより速やかに行うことができる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は通常0.1〜1,000時間である。
また、上記のようにして得られた化合物19は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの操作にて精製しても良い。
【0045】
化合物19の製法−2
【化36】
化合物22と化合物23において、X
4、X
5、X
6、X
7、n、及びAは前記と同義である。また、Aの例示の基についても、前記と同様である。
化合物19の製法は、例えば、Aがアルキル基、又はシリル基の場合は、化合物22と化合物23とを塩基の存在下、脱水縮合させた後、ジエステル部分を加水分解し、脱炭酸させる方法である。また、Aが水素の場合は、化合物22と化合物23とを塩基の存在下、脱水縮合させた後、脱炭酸させる方法である。
Aが水素の場合、特に限定されないが、例えばピリジン溶媒中、ピペリジン存在下、60〜100℃にて反応させることにより、アルデヒド基とマロン酸を脱水縮合させ、その後、100〜150℃に加熱することで、脱炭酸反応を進行させて、化合物19を得ることができる。
【0046】
脱水縮合反応に使用する塩基は、反応を円滑に進行させる塩基の強さ(塩基度)を有する塩基を用いればよく、特に限定されない。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドのようなアルカリ金属アミド、リチウムヒドリド、ナトリウムヒドリド、カリウムヒドリドのようなアルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属、ナトリウムやカリウムの、メチラート、エチラート、n−プロピラート、イソプロピラート、n−ブチラート、sec−ブチラート、tert−ブチラート、2−メチル−2−ブチラート、2−メチル−2−ペンチラート、3−メチル−3−ペンチラート、3−エチル−3−ペンチラートのような一級、二級もしくは三級の炭素数1〜10の脂肪族アルコールから誘導されるアルカリ金属アルコラート、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロリジン、ピペリジンなどの、有機脂肪族、芳香族、複素環の窒素塩基である。これらの塩基は、混合物としても使用することができる。塩基としては、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウムが好ましい。塩基の使用量は、通常、化合物22に対して0.1〜10倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0047】
溶媒は、化合物22よび化合物23と反応しない溶媒であれば使用することができる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類、ピリジン、キノリンなどの有機弱塩基性溶媒などが使用できる。また、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類も使用することが可能である。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
水による加水分解の条件は、化合物19の製法−1で示した方法と同様である。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は通常、0.1〜1,000時間である。
また、上記のようにして得られた化合物19は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの操作にて精製しても良い。
【0048】
化合物22の製法
【化37】
化合物24において、U、及びnは前記と同義である。
化合物22の製法は、例えば、化合物24と化合物18とを反応する方法である。また、化合物24と化合物18の幾つかは、容易に市販品として入手することが可能である。
化合物24の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−1]〜[X
5−4]の群から選択される炭素環である場合は、塩基の存在下で、化合物24と化合物18を反応させることで化合物22が得られる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
5が前記[X
5−1]〜[X
5−4]の群から選択される構造である場合の方法を適用することができる。
化合物24の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−5]の炭素環である場合は、塩基の存在下、金属錯体と配位子を触媒としたカップリング反応により合成することができる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
5が前記[X
5−5]である場合の方法を適用することができる。
化合物24の置換基Uが、ハロゲンF、Cl、Br、又はIであり、化合物22のX
4が、単結合の場合は、塩基の存在下、金属錯体と配位子を触媒としたカップリング反応により合成することができる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
4が単結合の場合の方法を適用することができる。
【0049】
化合物19の製法−3
【化38】
化合物25において、Aは前記と同義であり、例示の基についても、前記と同様である。
化合物19の製法は、例えば、化合物22と化合物25とを塩基の存在下、脱水縮合反応させた後、エステル基−COOAを水によって加水分解する方法である。
上記反応に使用する塩基は、反応を円滑に進行させる塩基の強さ(塩基度)を有する塩基を用いればよく、特に限定されない。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドのようなアルカリ金属アミド、リチウムヒドリド、ナトリウムヒドリド、カリウムヒドリドのようなアルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属、ナトリウムやカリウムの、メチラート、エチラート、n−プロピラート、イソプロピラート、n−ブチラート、sec−ブチラート、tert−ブチラート、2−メチル−2−ブチラート、2−メチル−2−ペンチラート、3−メチル−3−ペンチラート、3−エチル−3−ペンチラートのような一級、二級もしくは三級の炭素数1〜10の脂肪族アルコールから誘導されるアルカリ金属アルコラート等である。これらの塩基は、混合物としても使用することができる。塩基としては、ナトリウムエトキシド、ナトリウムヒドリドが好ましい。これらの塩基は、通常、化合物22に対して0.1〜10倍モル、好ましくは0.1〜5倍モル使用される。
【0050】
溶媒は、化合物22及び化合物25と反応しない溶媒であれば、使用することができる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類、ピリジン、キノリンなどの有機弱塩基性溶媒などが使用できる。また、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類も使用することができる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また、場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
水による加水分解の条件は、化合物19の製法−1で示した方法と同様である。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は通常、0.1〜1,000時間である。
また、上記のようにして得られた化合物19は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの操作により精製しても良い。
【0051】
化合物19の製法−4
【化39】
化合物26において、Aは前記と同義であり、例示の基についても、前記と同様である。Wは、トリフェニルホスフィン、又はホスホン酸エステルである。
化合物19の製法は、例えば、化合物22と化合物26とをウィティッヒ反応、又はHorner−Wadsworth−Emmons反応させた後、エステル基−COOAを加水分解する方法である。反応は、溶媒中で、塩基を使用して行なうことが好ましい。
反応に使用する塩基は、ホスホニウムイリドを円滑に発生させる強さの塩基を用いるのが好ましい。塩基として、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのようなアルキルリチウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドのようなアルカリ金属アミド、リチウムヒドリド、ナトリウムヒドリド、カリウムヒドリドのようなアルカリ金属水素化物、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドのようなアルカリ金属ジシラジド類、アルカリ土類金属、ナトリウムやカリウムの、メチラート、エチラート、n−プロピラート、イソプロピラート、n−ブチラート、sec−ブチラート、tert−ブチラート、2−メチル−2−ブチラート、2−メチル−2−ペンチラート、3−メチル−3−ペンチラート、3−エチル−3−ペンチラートのような一級、二級もしくは三級の炭素数1〜10の脂肪族アルコールから誘導されるアルカリ金属アルコラート、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロリジン、ピペリジンなどの、有機脂肪族、芳香族、複素環の窒素塩基などが使用できる。特には、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムが好ましい。
【0052】
溶媒としては、化合物22及び化合物26と反応しない溶媒であれば使用することができる。例えば、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラブチルメチルエーテル, シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド, N−メチルピロリドンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
水による加水分解の条件は、化合物19の製法−1で示した方法と同様である。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は0.1〜1,000時間である。
また、上記のようにして得られた化合物19は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの操作にて精製しても良い。
【0053】
化合物19の製法−5
【化40】
化合物27と化合物28において、X
4、X
5、X
6、X
7、及びnは前記と同義である。
MはLi、MgCl、MgBr、又はMgIの有機金属反応剤である。
Aは前記と同義であり、例示の基についても、前記と同様である。
化合物19の製法は、例えば、溶媒中、化合物27と、銅塩、亜鉛塩、又はジアルキル亜鉛を混合させ、銅キュプラート、もしくはジアリール亜鉛化合物を調製し、化合物28で示した化合物との1,4−付加反応を行った後、エステル基−COOAを水によって加水分解する方法である。
この反応に使用する銅塩、亜鉛塩、又はジアルキル亜鉛は、単独で使用しても良く、また、これらの銅塩、亜鉛塩、ジアルキル亜鉛を組み合わせて使用しても良い。
【0054】
反応に使用する銅塩の例としては、CuCl、CuBr、CuI、CuCN、又はCuCl
2とLiClの混合塩などであり、特にCuIが好ましい。
また、反応に使用する亜鉛塩の例としては、ZnCl
2、ZnBr
2、又はZnI
2であり、特にZnCl
2が好ましい。
反応に使用するジアルキル亜鉛の例としては、ジブチル亜鉛、ジエチル亜鉛、又はジブテニル亜鉛であり、特にジエチル亜鉛が好ましい。
【0055】
溶媒ついては、有機金属反応剤と反応しない溶媒であれば使用することができる。
例えば、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
水による加水分解の条件は、化合物19の製法−1で示した方法と同様である。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は0.1〜1,000時間である。
また、上記のようにして得られた化合物10は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの操作にて精製しても良い。
【0056】
化合物27の製法
【化41】
化合物29と化合物30において、U、X、X
4、X
5、X
6、X
7、及びnは前記と同義である。
化合物27の製法は、例えば、化合物29と化合物18との反応により化合物30を合成し、その後、化合物30と金属マグネシウム、又はリチオ化剤とを反応させる方法である。化合物29と化合物18の幾つかは、容易に市販品として入手することが可能である。
化合物29の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−1]〜[X
5−4]の群から選択される炭素環である場合は、塩基の存在下で、化合物29と化合物18とを反応させることで化合物30が得られる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
5が前記[X
5−1]〜[X
5−4]の群から選択される炭素環である場合の方法を適用することができる。
化合物29の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−5]の炭素環である場合は、塩基の存在下、金属錯体と配位子を触媒としたカップリング反応により合成することができる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
5が前記[X
5−5]である場合の方法を適用することができる。
化合物29の置換基Uが、ハロゲンF、Cl、Br、又はIであり、化合物27のX
4が単結合の場合は、塩基の存在下、金属錯体と配位子を触媒としたカップリング反応により合成することができる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
4が単結合の場合の方法を適用することができる。
得られた化合物30に、エーテル溶媒中、金属Mgを加えて反応させ、グリニャール反応に用いることのできる化合物27(M=MgF、MgCl、MgBr、MgI)を得る。また、溶媒中、金属リチウムを反応させて、MがLiの化合物27を得ることができる。
【0057】
化合物19の製法−6
【化42】
化合物31において、U、及びnは前記と同義である。
化合物19の製法は、例えば、化合物31と化合物18とを反応させ、反応後、エステル基−COOAを水によって加水分解する方法である。また、化合物31と化合物18の幾つかは容易に市販品として入手することが可能である。
化合物31の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−1]〜[X
5−4]の群から選択される炭素環である場合は、塩基の存在下で、化合物31と化合物18とを反応させ、反応後、化合物19の製法−1で示した水による加水分解を行い、化合物19が得られる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
5が前記[X
5−1]〜[X
5−4]の群から選択される炭素環である場合の方法を適用することができる。
化合物31の置換基Uが、−OH、−SH、又は−NH
2であり、化合物18のX
5が、単結合、又は前記[X
5−5]である場合は、塩基の存在下、金属錯体と配位子を触媒としてカップリング反応させ、反応後、化合物19の製法−1で示した水による加水分解を実施することにより、化合物19が得られる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
5が前記[X
5−5]である場合の方法を適用することができる。
化合物31の置換基Uが、ハロゲンF、Cl、Br、又はIであり、化合物19のX
4が単結合の場合は、塩基の存在下、金属錯体と配位子を触媒としてカップリング反応させ、反応後、化合物19の製法−1で示した水による加水分解を実施することにより、化合物19が得られる。反応条件は、製法1の化合物3の合成法における、X
4が単結合の場合の方法を適用することができる。
【0058】
化合物4の製法
化合物4は、溶媒中、化合物1とアクリル酸誘導体の化合物19、又は化合物20とのエステル化反応により製造することが可能である。
特に、化合物20のような、酸ハロゲン化物と化合物1との反応においては、酸ハロゲン化物が酸塩化物、酸臭化物などの酸ハライド類であることが好ましく、さらには、塩基の存在下で反応を行うことが、円滑に反応が進行するので好ましい。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどのアミン類、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどの有機塩基が使用できる。
【0059】
溶媒としては、当該反応条件下において安定であって、不活性で反応を妨げないものであれば、適宜選択することが可能である。例えば、アミン類、非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド, ジメチルアセトアミド, N−メチルピロリドンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル, ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)が使用できる。これらの溶媒は、反応条件や反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いることもできる。
反応温度は−100℃〜使用する溶媒の沸点であり、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は0.1〜1,000時間が好ましい。
上記のようにして得られた化合物4は、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、活性炭などで精製しても良い。
また、化合物19と化合物1との反応においては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾールなどの縮合剤を使用するのが一般的である。この時、触媒量の酸やN,N−ジメチルアミノピリジンの添加が、反応の進行に効果があり、好ましい。
【0060】
化合物5の製法
化合物4を用いた化合物5の製造は、製法1で述べた方法により行うことができる。
<ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド>
本発明のジアミン化合物は、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸二無水物など、テトラカルボン酸又はその誘導体と反応させることで、側鎖に特定の構造を有するポリアミック酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸やその誘導体のほかに、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミン化合物との反応や、テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物を、縮合剤、塩基などの存在下、反応させることによりポリイミドの前駆体であるポリアミック酸エステルを得ることができる。更に、このポリアミック酸を脱水閉環させる、又はポリアミック酸エステルを高温で加熱し、脱アルコールを促し閉環させることにより、側鎖に特定の構造を有するポリイミドを得ることができる。
【0061】
<ポリアミック酸>
本発明のポリアミック酸は、式[1]で表されるジアミン化合物を含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミック酸である。
本発明のポリアミック酸エステルは、式[1]で表されるジアミン化合物を含有するジアミン成分とテトラカルボン酸ジエステルジクロリドを塩基の存在下で反応させる、又はテトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物を、縮合剤、塩基などの存在下、反応させる、ことによって得られるポリアミック酸エステルである。
本発明のポリイミドは、このポリアミック酸を脱水閉環させる、あるいはポリアミック酸エステルを加熱閉環させることにより得られるポリイミドである。
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのいずれも液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
【0062】
テトラカルボン酸二無水物との反応によりポリアミック酸を得るためのジアミン成分(以下、ジアミン成分ともいう)において、式[1]で表されるジアミン化合物の含有割合に制限はない。式[1]で表されるジアミン化合物の含有割合は、例えば、ジアミン成分の10モル%以上であり、好ましくは20モル%以上であり、より好ましくは30モル%以上である。ジアミン成分の100モル%が式[1]で表されるジアミン化合物であってもよい。式[1]で表されるジアミン化合物の含有割合が大きいほど、液晶配向膜とした場合に、液晶を垂直に立たせる能力は高くなり、かつ、光配向処理の効率が高くなる。式[1]で表されるジアミン化合物の側鎖の構造や、使用する液晶の垂直配向能によって光配向処理時のプレチルト角は変化するため、所望のプレチルト角を得るために、式[1]で表されるジアミン化合物の含有割合は、好ましい範囲内で選択することができる。
【0063】
ジアミン成分において、式[1]で表されるジアミン化合物が100モル%未満の場合に使用される、式[1]で表されるジアミン化合物以外のジアミン化合物(その他のジアミン化合物と称することがある。)は特に限定されないが、その具体例を挙げると、以下の通りである。
脂環式ジアミン類の例としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類の例としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、2,5−ジアミノ−p−キシレン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,4−ジアミノジフェニルアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,3−ジアミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7−ジアミノフルオレン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェニル)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェニル)デカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、ジ(4−アミノフェニル)プロパン−1,3−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ブタン−1,4−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)オクタン−1,8−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ノナン−1,9−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)デカン−1,10−ジオエート、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕オクタン、1,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、1,10−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕デカンなどが挙げられる。
【0064】
芳香族−脂肪族ジアミンの例としては、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノ−N−メチルベンジルアミン、4−アミノ−N−メチルベンジルアミン、3−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、3−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、4−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、3−(3−アミノプロピル)アニリン、4−(3−アミノプロピル)アニリン、3−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、4−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、3−(4−アミノブチル)アニリン、4−(4−アミノブチル)アニリン、3−(4−メチルアミノブチル)アニリン、4−(4−メチルアミノブチル)アニリン、3−(5−アミノペンチル)アニリン、4−(5−アミノペンチル)アニリン、3−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、4−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、2−(6−アミノナフチル)メチルアミン、3−(6−アミノナフチル)メチルアミン、2−(6−アミノナフチル)エチルアミン、3−(6−アミノナフチル)エチルアミンなどが挙げられる。
【0065】
複素環式ジアミン類の例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,7−ジアミノジベンゾフラン、3,6−ジアミノカルバゾール、2,4−ジアミノ−6−イソプロピル−1,3,5−トリアジン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
脂肪族ジアミン類の例としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルヘプタン、1,12−ジアミノドデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタンなどが挙げられる。
【0066】
側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、並びにそれらからなる大環状置換体を有するジアミン化合物を併用してもよい。具体的には、下記の式[DA−1]〜式[DA−26]で示されるジアミンを例示することができる。
【化43】
(R
6は、炭素数1〜22の、アルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【化44】
(S
5は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−、又は−NH−を示し、R
6は炭素数1〜22の、アルキル基又はフッ素含有アルキル基を示す。)
【0067】
【化45】
(S
6は、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−、又は−CH
2OCO−を示し、R
7は炭素数1〜22の、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【化46】
(S
7は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、又は−CH
2−を示し、R
8は炭素数1〜22の、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0068】
【化47】
(S
8は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−、−O−、又は−NH−を示し、R
9はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である。)
【化48】
(R
10は炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4−シクロへキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス体である。)
【0071】
一般式[1]で表されるジアミン化合物と同時に垂直配向能を補う目的で、上記[DA−1]〜[DA−26]のジアミン化合物を併用させることもできる。併用できるより好ましいジアミンとしては、電圧保持率や残留蓄積電圧などの点から、式[DA−10]〜[DA−26]が好ましく、より好ましくは[DA−10]〜[DA−16]のジアミン化合物である。これらのジアミン化合物の好ましい含有量は、特に限定はされないが、ジアミン成分中、5〜50モル%が好ましく、より好ましくは5〜30モル%である。
【0072】
また、以下のジアミン化合物を併用させても良い。
【化52】
(mは0〜3の整数であり、nは1〜5の整数である)。
[DA−27]や[DA−28]を含有させることにより、電圧保持率(VHR)を向上させることができ、[DA−29]〜[DA−34]は、蓄積電荷の低減に効果があるので好ましい。
【0073】
加えて、下記の式[DA−27]で示されるようなジアミノシロキサンなども、その他のジアミン化合物として挙げることができる。
【化53】
(mは、1から10の整数である。)
その他のジアミン化合物は、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0074】
本発明のポリアミド酸(ポリアミック酸)を得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物は特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.0
2,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.1
2,7.0
3,6.1
9,14.0
10,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0075】
上記脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物に加えて、芳香族テトラカルボン酸二無水物を使用すると、液晶配向性が向上し、かつ液晶セルの蓄積電荷を低減させることができるので好ましい。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0076】
本発明のポリアミド酸エステルを得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸ジアルキルエステルは特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
脂肪族テトラカルボン酸ジエステルとしては1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸ジアルキルエステル、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジアルキルエステル、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸ジアルキルエステル、トリシクロ[4.2.1.0
2,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−ジアルキルエステル、ヘキサシクロ[6.6.0.1
2,7.0
3,6.1
9,14.0
10,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−ジアルキルエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1,2−ジカルボンジアルキルエステルなどが挙げられる。
【0077】
芳香族テトラカルボン酸ジアルキルエステルとしては、ピロメリット酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルジアルキルエステル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジアルキルエステル、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。
【0078】
本発明のジアミン化合物を原料としてポリアミドを得るためにジアミン成分と反応させるジカルボン酸は特に限定されない。ジカルボン酸又はその誘導体の脂肪族ジカルボン酸の具体例として、マロン酸、蓚酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ムコン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライイン酸、セバシン酸、スベリン酸等のジカルボン酸を挙げることができる。
【0079】
脂環式構造のジカルボン酸としては、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ジフェニル−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ジフェニル−1,3−シクロブタンジカルボン酸、1−シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロブテン−3,4−ジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ジオキソ−1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、4,8−ジオキソ−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2,6−スピロ[3.3]ヘプタンジカルボン酸、1,3−アダマンタン二酢酸、カンファ−酸等を挙げることができる。
【0080】
芳香族ジカルボン酸としては、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラキノンジカルボン酸、2,5−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、1,5−ビフェニレンジカルボン酸、4,4"−タ−フェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ビベンジルジカルボン酸、4,4'−スチルベンジカルボン酸、4,4'−トランジカルボン酸、4,4'−カルボニル二安息香酸、4,4'−スルホニル二安息香酸、4,4'−ジチオ二安息香酸、p−フェニレン二酢酸、3,3'−p−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシ桂皮酸、p−フェニレンジアクリル酸、3,3'−[4,4'−(メチレンジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4'−[4,4'−(オキシジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4'−[4,4'−(オキシジ−p−フェニレン)]二酪酸、(イソプロピリデンジ−p−フェニレンジオキシ)二酪酸、ビス(p−カルボキシフェニル)ジメチルシラン等を挙げることができる。
複素環を含むジカルボン酸としては、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、4,5−チアゾールジカルボン酸、2−フェニル−4,5−チアゾールジカルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−3,4−ジカルボン酸、1,2,5−オキサジアゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0081】
上記の各種ジカルボン酸は、酸ジハライドあるいは無水物であってもよい。これらのジカルボン酸の中でも、特に直線的な構造のポリアミドを与えることが可能なジカルボン酸が、液晶分子の配向性を保つ上から好ましい。中でも、テレフタル酸、イソテレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、2,2−ビス(フェニル)プロパンジカルボン酸、4、4鋳タ−フェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸又はこれらの酸ジハライド等が好ましく用いられる。これらの化合物には異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。また、2種以上の化合物を併用してもよい。
なお、本発明に使用するジカルボン酸類は、上記の例示化合物に限定されるものではない。
【0082】
テトラカルボン酸二無水物は、液晶配向膜にした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上併用することができる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分との反応により、本発明のポリアミド酸を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。一般的にはテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0083】
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミド酸が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミド酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミド酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミド酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0084】
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いても良い。また、テトラカルボン酸二無水物又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
【0085】
その際の重合温度は−20〜150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5〜100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
上記の反応においては、テトラカルボン酸二無水物の合計モル数と、ジアミン成分の合計モル数の比は0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミド酸の分子量は大きくなる。
【0086】
本発明のポリイミドは、前記のポリアミド酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
本発明のポリイミドにおいて、アミド酸基の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
【0087】
<ポリイミド>
ポリアミド酸をイミド化させる方法としては、ポリアミド酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリアミド酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
ポリアミド酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100〜400℃、好ましくは120〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方法が好ましい。
ポリアミド酸の触媒イミド化は、ポリアミド酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。
塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは、反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。
酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると、反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
【0088】
<ポリアミック酸エステル>
ポリアミック酸エステルを合成する方法としては、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミン化合物との反応や、テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物を縮合剤、塩基などの存在下、反応させることによりポリイミドの前駆体の一種であるポリアミック酸エステルを得ることができる。又は、予めポリアミック酸を重合し、高分子反応を利用してアミック酸中のカルボン酸をエステル化することでも、ポリアミック酸エステルを得ることができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミン化合物とを塩基と有機溶剤の存在下で、−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4モル倍であることが好ましい。
【0089】
縮合剤の存在下で縮重合反応を行なう場合、縮合剤としては、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物などが使用できる。
また、縮合剤を用いる方法において、ルイス酸を添加剤として加えると、反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して0.1〜1.0モル倍であることが好ましい。
【0090】
溶媒としては、上記した、重合してポリアミック酸を得る際に用いられる溶媒が使用できるが、モノマー及び重合体の溶解性から、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが好ましい。これらの溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒は、できるだけ脱水されていることが好ましい。
テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミン成分の反応溶液中での合計濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
さらに、反応は窒素雰囲気中で行ない、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0091】
<ポリアミド>
ポリアミドもポリアミック酸エステルと同様にして合成することができる。
【0092】
<重合体の回収>
ポリアミド酸(ポリアミック酸)、ポリアミック酸エステル、ポリイミドなどの反応溶液から、生成したポリアミド酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミドなどを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して、重合体を沈殿させれば良い。沈殿に用いる貧溶媒としては、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの中から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明の液晶配向処理剤に含有されるポリアミド酸及びポリイミドの分子量は、得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性、及び塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量が、2,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは、5,000〜100,000である。
【0093】
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液である。ここで、前記の樹脂成分は、上記した本発明の重合体から選ばれる少なくとも一種の重合体を含む樹脂成分である。その際、樹脂成分の含有量は、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
本発明において、前記の樹脂成分は、全てが本発明の重合体であってもよく、本発明の重合体にそれ以外の他の重合体が混合されていてもよい。その際、樹脂成分中における本発明の重合体以外の他の重合体の含有量は、0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%である。
かかる他の重合体は、例えば、テトラカルボン酸ニ無水物成分と反応させるジアミン成分として、特定ジアミン化合物以外のジアミン化合物を使用して得られるポリアミド酸又はポリイミドなどが挙げられる。
【0094】
本発明の液晶配向処理剤に用いる有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0095】
本発明の液晶配向処理剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向処理剤を塗布した際の、膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒や化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などである。
【0096】
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒)の具体例としては、次のものが挙げられる。
例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1−ヘキサノール、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などが挙げられる。
これらの貧溶媒は、1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。上記のような溶媒を用いる場合は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
【0097】
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0098】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物などが挙げられる。
例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0099】
更に、基板と膜の密着性の向上に加え、バックライトによる電気特性の低下などを防ぐ目的で、以下のようなフェノプラスト系の添加剤を、液晶配向処理剤中に含有させても良い。具体的なフェノプラスト系添加剤を以下に示すが、この構造に限定されない。
【化54】
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、液晶配向処理剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。使用量が0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本発明の液晶配向処理剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的で、誘電体や導電物質、さらには、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的で、架橋性化合物を添加してもよい。
【0100】
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本発明の液晶配向処理剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、又は垂直配向用途などでは、配向処理無しで液晶配向膜として、用いることができる。この際、用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、若しくはアクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。また、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
【0101】
液晶配向処理剤の塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレートなどの加熱手段により50〜300℃、好ましくは80〜250℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線照射などで処理する。
【0102】
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に、基板を貼り合わせて封止を行う方法、などが例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
以上のようにして、本発明の液晶配向処理剤を用いて作製された液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用できる。
【実施例】
【0103】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化55】
【0104】
<実施例1>
4−ヨードフェノール1(22.0g、0.100mol)と炭酸カリウム(20.7g、0.150mol)とジメチルホルムアミド130ml(ミリリットル)を四つ口フラスコへ加え、窒素雰囲気下で攪拌した後、80℃に昇温した。80℃に到達後、1−ブロモデカン(17.9g、0.0809mol)を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間攪拌した。GC(ガスクロマトグラフィー)により1−ブロモデカンの消失を確認した後、溶媒を留去し、トルエン120mlと純水150gを加えて、抽出を行い、水層を除去した。その後、有機層へ1N NaOH 100mlを入れて、抽出を行い、水層を除去した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、その後、硫酸マグネシウムをろ取して、得られた有機層を減圧下、溶媒を留去し、化合物2を得た(得量26.9g、0.0747mol、得率92.3%)。化合物2の構造は、
1H-NMR(核磁気共鳴)分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl
3):δ7.55-7.52(m, 2H, Ar-H), 6.69-6.65(m, 2H, Ar-H), 3.90(t, 2H, J=6.8Hz, Ar-O-CH
2), 1.79-1.72(m, 2H, Ar-O-CH
2-CH
2-), 1.47-1.27(m, 14H, Ar-O-CH
2-CH
2-C
7H
14-), 0.87(t, 3H, J=6.8Hz, -CH
2-CH
3)
【化56】
【0105】
<実施例2>
3,5−ジニトロベンジルアルコール3(39.6g、0.200mol)と、トリエチルアミン(26.3g、0.260mol)と、テトラヒドロフラン200mlを混合させた溶液を、窒素雰囲気下、0℃で攪拌し、その溶液へアクリル酸クロリド(21.7g、0.240mol)とテトラヒドロフラン40mlを混合した溶液を30分かけて滴下した。さらに、滴下後、4時間攪拌を行い、反応終了後、溶媒を留去して、得られた粗物に水を300g入れ、スラリー状態で、25℃で30分攪拌した。その後、反応液をろ過し、固形分を減圧下、70℃で3時間乾燥させ、化合物4を得た(得量48.7g0.193mol, 得率96.5%)。化合物4の構造は、
1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl
3):δ9.02 (t, 1H, J=2.4Hz, Ar-H), 8.58(m, 2H, Ar-H), 6.54(dd, 1H, J=17.6, 1.2Hz, -CH=CH
2), 6.27-6.20(m, 1H, -CH=CH
2), 5.99(dd, 1H, J=10.8Hz, 1.2Hz, -CH=CH
2 ), 5.40(s, 2H, Ar-CH
2-O)
【化57】
【0106】
<実施例3>
化合物2(25.3g、0.0702mol)と、化合物4(21.1g、0.0837mol)と、塩化パラジウム-アセトニトリル錯体(0.572g、2.21mmol)と、トリス(oートリル)ホスフィン(1.28g、4.21mmol)と、リン酸三カリウム(22.7g、0.107mol)と、ジメチルアセトアミド170gの懸濁液を、室温条件下、ダイヤフラムポンプで50Torrまで減圧させた後に、窒素により復圧させる動作を10回繰り返し、反応器内とジメチルアセトアミドに含まれる酸素を除去した。その後昇温し、窒素雰囲気下、110℃で3時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去し、水200g、及びクロロホルム250gで抽出した。分液した水層を、さらにクロロホルム250gで2回抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。硫酸マグネシウムを、ろ取して得られた有機層を減圧下、溶媒を留去し、得られた粗物をアセトニトリル170gで洗浄した。その後、結晶をろ過し、得られた固形分を減圧下、乾燥させることで化合物5を得た(得量32.5g、0.0671mol、得率95.6%)。化合物5の構造は、
1H−NMR分析にて確認した。
1H−NMR (CDCl
3):δ9.01(t, 1H, Ar-H), 8.61(d, 2H, J=1.6Hz, Ar-H), 7.74(d, 1H, J=16.0Hz, -CH=CH-Ar), 7.49(d, 2H, J=7.6Hz, Ar-H), 6.91(d, 2H, J=7.6Hz, Ar-H), 6.39(d, 1H, J=16.0Hz, -CH=CH-Ar), 5.42(s, 2H, Ar-CH
2-O), 3.99(t, 2H, J=6.4Hz, Ar-O-CH
2), 1.83-1.76(m, 2H, Ar-O-CH
2-CH
2-), 1.49-1.28(m, 14H, Ar-O-CH
2-CH
2-C
7H
14-), 0.89(t, 3H, J=6.4Hz, -CH
2-CH
3)
【化58】
【0107】
<実施例4>
塩化アンモニウム(9.9g、0.185mol) を純水90.0gで溶解させた溶液を55℃に加温し攪拌した。55℃に到達後、鉄粉(51.1g、0.915mol)を入れ、さらに80℃に昇温させた。80℃に到達後、80℃に加温した145gのトルエンで溶解させた化合物5(29.0g、0.0599mol)を滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌し、反応終了後、80℃の加温条件下で熱時ろ過を行い、得られた反応液を分液して、水層を除去した。得られた有機層に活性炭1.2gを入れ、80℃で加温条件下30分攪拌した。その後、80℃の加温条件下で熱時ろ過し、得られた有機層をあらかじめ80℃に温めておいた純水で2回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ取し、得られた有機層を減圧下、溶媒を留去し、化合物6を得た(得量18.7g、0.0440mol)得率73.5%)。化合物6の構造は、
1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl
3):δ7.67(d, 1H, J=16.0 Hz, -CH=CH-Ar), 7.45(d, 2H, J=8.4Hz, Ar-H), 6.88(d, 2H, J=8.4Hz, Ar-H), 6.34(d, 1H, J=16.0Hz, -CH=CH-Ar), 6.15(d, 2H, J=1.6Hz, Ar-H), 5.98(t, 1H, J=1.6Hz, Ar-H), 5.05(s, 2H, Ar-CH
2-O), 3.97(t, 2H, J=6.4Hz, Ar-O-CH
2), 3.62(b, 4H, NH
2), 1.82-1.76(m, 2H, Ar-O-CH
2-CH
2-), 1.46-1.27(m, 14H, Ar-O-CH
2-CH
2-C
7H
14-), 0.88(t, 3H, J=7.2Hz, -CH
2-CH
3)
【化59】
2、4−ジニトロフェニル酢酸(56.6g、250mmol)のテトラヒドロフラン(452g)溶液に、ボランジメチルスルフィド錯体(57.0g、750mmol)のテトラヒドロフラン(281g)溶液を1時間かけて滴下し、22時間室温で攪拌した。その後、水(112g)を0℃で2時間かけて滴下し、室温で2時間攪拌後、酢酸エチルと水で抽出を行い、水層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過で除去して、得られた有機層を濃縮し、得られた粗物を酢酸エチルとヘキサンから再結晶を行い、2,4―ジニトロフェニルエチルアルコール1を得た(42.1g、79%収率)。
1H-NMR (CDCl
3): δ 8.79 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 8.40 (dd, 1H, J=8.4, 2.4Hz, Ar-H), 7.70 (d, 1H, J=8.4Hz, Ar-H), 4.01 (dt, 2H, J=5.2, 6.0 Hz, CH
2-OH), 3.29 (t, 2H, J=6.0 Hz, Ar-CH
2), 1.63 (t, 1H, J=5.2Hz, -OH).
【化60】
【0108】
ヨードブタン(30.0g、163mmol)、4−ヨードフェノール(39.4g、179mmol)、及び炭酸カリウム(27.0g、196mmol)にジメチルホルムアミド(90.1g)を加え、85℃で2時間攪拌し、その後、ろ過により炭酸カリウムを除去した。次いで、トルエンと1規定の水酸化ナトリウム水溶液により抽出を行った。水層を分離し、得られた有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去した後、有機層を濃縮して、エーテル化合物2を得た(36.2g、81%収率)。
1H-NMR (CDCl
3): δ 7.53 (d, 2H, J=8.8 Hz, Ar-H), 6.66 (d, 2H, J=8.8 Hz, Ar-H), 3.90 (t, 2H, J=6.6 Hz, O-CH
2), 1.76 (m, 2H, O-CH
2-CH
2,), 1.47 (m, 2H, CH
2-CH
3), 0.96 (t, 3H, J =7.6 Hz, -CH
3).
【化61】
エーテル化合物2(36.2g、131mmol)、アクリル酸(13.0g、180mmol)、酢酸パラジウム(0.269g、1.20mmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(0.730g、2.40mmol)、及びトリブチルアミン(67.9g、366mmol)にジメチルアセトアミド(362g)を加え、140℃で2時間攪拌した。その後、酢酸エチルと水で抽出を行い、水層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除去して、得られた有機層を濃縮し、得られた粗物を酢酸エチルとヘキサンで再結晶を行い、桂皮酸誘導体3を得た(21.1g、73%収率)。
1H-NMR (DMSO): δ 12.2 (s, 1H, CO
2H), 7.62 (d, 2H, J=8.8 Hz, Ar-H), 7.54 (d, 1H, J=16.0 Hz, CO-CH=CH), 6.95 (d, 2H, J=8.8 Hz, Ar-H), 6.36 (d, 1H, J=16.0 Hz, CO-CH=CH), 4.01 (t, 2H,J=6.6 Hz, O-CH
2), 1.69 (m, 2H, O-CH
2-CH
2), 1.44 (m, 2H, CH
2-CH
3), 0.93 ( t, 3H, J=7.4 Hz, -CH
3).
【化62】
【0109】
桂皮酸化合物3(16.2g、73.5mmol)、2,4―ジニトロフェニルエチルアルコール1(15.6g、73.5mmol)、及びジメチルアミノピリジン(0.895g、7.32mmol)をテトラヒドロフラン(232g)に溶解し、1−エチル―3―(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(16.2g、84.5mmol)を0℃で加え、室温で15時間攪拌した。その後、酢酸エチルと水により抽出し、水層を分離して有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除去して、得られた有機層を濃縮し、得られた粗物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジニトロ化合物4を得た(19.9g、65%収率)。
1H-NMR (CDCl
3): δ 8.83 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 8.40 (dd, 1H, J=8.8, 2.4 Hz, Ar-H), 7.66 (d, 1H, J=8.8 Hz, Ar-H), 7.60 (d, 1H, J=16.0 Hz, CO-CH=CH), 7.46 (d, 2H,J=8.4 Hz, Ar-H), 6.89 (d, 2H, J=8.4 Hz, Ar-H), 6.21 (d, 1H, J=16.0 Hz, CO-CH=CH) 4.53 (t, 2H, J=6.4 Hz, CH
2-OCO), 4.00 (t, 2H, J=6.6 Hz, C
6H
4-O-CH
2),3.45 (m, 2H, J=6.4 Hz, Ar-CH
2), 1.78 (m, 2H, O-CH
2-CH
2), 1.52 (m, 2H, CH
2-CH
3), 0.98 ( t, 3H, J=7.4 Hz, -CH
3).
【化63】
ジニトロ化合物4(19.9g、48.0mmol)、還元鉄(32.2g、583mmol)、及び塩化アンモニウム(15.4g、288mmol)を酢酸エチル(200g)と水(77.1g)に溶解し、70℃で14時間攪拌した。その後、70℃のままセライトを用いてろ過を行い、得られたろ液の有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除去して、得られた有機層を濃縮し、粗物を得た。得られた粗物をテトラヒドロフラン(200g)に溶解し、活性炭(2.00g)を加え、室温で18時間撹拌した。ろ過により活性炭を除去し、有機層を濃縮して目的物であるジアミン化合物5を得た(15.5g、91%収率)。
1H-NMR (CDCl
3): δ 7.65 (d, 1H, J=16.0 Hz, CO-CH=CH), 7.41 (d, 2H, J=8.4 Hz, Ar-H,), 6.89 (d, 2H,J=8.4 Hz, Ar-H), 6.85 (d, 1H, J=8.0 Hz, Ar-H), 6.30 (d, 1H, J=16.0 Hz, CO-CH=CH), 6.10 (dd, 1H, J=8.0, 2.4 Hz, Ar-H), 6.07 (d, 1H, J=2.4 Hz Ar-H), 4.30 (t, 2H, J=7.6 Hz, CH
2-OCO), 4.00 (t, 2H, J=6.4 Hz, C
6H
4-O-CH
2), 3.88 (br-s, 2H, NH
2), 3.56 (br-s, 2H, NH
2), 2.81 (m, 2H, J=7.6 Hz, Ar-CH
2), 1.78 (m, 2H, O-CH
2-CH
2), 1.49(m, 2H, CH
2-CH
3), 0.98 ( t, 3H, J=7.2 Hz, -CH
3).
【0110】
[ポリアミック酸の合成]
以下に、ポリアミック酸の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物などの略号を示した。
(テトラカルボン酸二無水物)
PMDA:ピロメリット酸二無水物
CBDA:1, 2, 3, 4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
(ジアミン化合物)
p−PDA:p−フェニレンジアミン
DA1:3, 5−ジアミノベンジル 3−(4−(4−デシロキシ)フェニル)アクリレート
【化64】
(有機溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ
【0111】
<ポリイミドの分子量測定>
ポリイミドの分子量は、センシュー科学社製の常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(SSC−7200)、及びShodex社製カラム(KD−803、KD−805)を用い、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)。
流速:1.0ml/分
検量線作成用の標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び重合体ラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0112】
<実施例5>
DA1(0.637g、1.50mmol)、及びp−PDA(0.162g、1.50mmol)をNMP(8.13g)中で混合し、室温で1時間攪拌して溶解させた後、PMDA(0.635g、2.91mmol)を加え、室温で12時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(9.56g)にNMP(9.56g)、及びBC(4.78g)を加え5時間攪拌することにより、6質量%の液晶配向処理剤(A)を得た。
このポリアミック酸の数平均分子量は7,000、重量平均分子量は17,000であった。
【0113】
<実施例6>
DA1(0.743g、1.75mmol)、及びp−PDA(0.081g、0.75mmol)をNMP(7.67g)中で混合し、室温で1時間攪拌して溶解させた後、PMDA(0.529g、2.43mmol)を加え、室温で12時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(9.02g)にNMP(9.02g)、及びBC(4.51g)を加え5時間攪拌することにより、6質量%の液晶配向処理剤(B)を得た。
このポリアミック酸の数平均分子量は6,500、重量平均分子量は16,000であった。
【0114】
<実施例7>
DA1(0.849g、2.0mmol)をNMP(7.21g)中で混合し、室温で1時間攪拌して溶解させた後、PMDA(0.424g、1.94mmol)を加え、室温で12時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(8.48g)にNMP(8.48g)、及びBC(4.24g)を加え5時間攪拌することにより、6質量%の液晶配向処理剤(C)を得た。
このポリアミック酸の数平均分子量は6,000、重量平均分子量は16,000であった。
【0115】
<実施例8>
DA1(0.509g、1.20mmol)、及びp−PDA(0.194g、1.80mmol)をNMP(7.22g)中で混合し、室温で1時間攪拌して溶解させた後、CBDA(0.571g、2.91mmol)を加え、室温で12時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(9.02g)にNMP(9.02g)、及びBC(4.51g)を加え5時間攪拌することにより、6質量%の液晶配向処理剤(D)を得た。
このポリアミック酸の数平均分子量は8000、重量平均分子量は21000であった。
【0116】
<実施例9>
DA1(0.637g、1.50mmol)、及びp−PDA(0.163g、1.50mmol)をNMP(7.76g)中で混合し、室温で1時間攪拌して溶解させた後、CBDA(0.571g、2.91mmol)を加え、室温で12時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(9.13g)にNMP(9.13g)、及びBC(4.57g)を加え5時間攪拌することにより、6質量%の液晶配向処理剤(E)を得た。
このポリアミック酸の数平均分子量は7000、重量平均分子量は19000であった。
【0117】
<実施例10>
実施例5で得られた液晶配向処理剤(A)を用いて、下記に示すような手順で液晶セルの作製を行った。
【0118】
[液晶セルの作製]
実施例5で得られた液晶配向処理剤(A)を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板のITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで90秒間乾燥した後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
この基板に対して、照射強度8.0mW/cm
2の313nmの直線偏光UVを100mJ照射した。入射光線の方向は、基板法線方向に対して40°傾斜していた。直線偏光UVは高圧水銀ランプの紫外光に313nmのバンドパスフィルターを通した後、313nmの偏光板を通すことで調整した。
上記の基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜上に6μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷した。次いで、2枚の基板の液晶配向面を対向させ、各基板への直線偏光UVの光軸の投影方向が逆平行となるように圧着し、150℃で105分かけてシール剤を熱硬化させた。この空セルにネガ形液晶(メルク社製、MLC−6608)を減圧注入法によって注入し、液晶セルを作製した。
上記の方法で、照射する偏光UVの露光量を、0mJ〜1000mJまで変え、同様の液晶セルを作製した。
【0119】
[液晶セルの評価]
液晶セルに対して、25℃において8Vの電圧を印加・解除したときの、異常ドメインの有無を偏光顕微鏡により観察し、異常ドメインのない場合を「液晶配向性良好」として評価した。上記で製造した液晶セルは、電圧無印加の状態で良好な垂直配向性を示し、電圧印加時における液晶配向性も良好であった。
【0120】
[プレチルト角の評価]
液晶セルのプレチルト角の測定は、Axo Metrix社製の「Axo Scan」を用いて、ミューラーマトリックス法により測定した。
【0121】
<実施例11>
液晶配向処理剤(A)を液晶配向処理剤(B)に変更した以外は、実施例10と同様に液晶セルを作製し、液晶の配向性、及びプレチルト角の測定を行った。
【0122】
<実施例12>
液晶配向処理剤(A)を液晶配向処理剤(C)に変更した以外は、実施例10と同様に液晶セルを作製し、液晶の配向性、及びプレチルト角の測定を行った。
【0123】
<実施例13>
液晶配向処理剤(A)を液晶配向処理剤(D)に変更した以外は、実施例10と同様に液晶セルを作製し、液晶の配向性、及びプレチルト角の測定を行った。
【0124】
<実施例14>
液晶配向処理剤(A)を液晶配向処理剤(E)に変更した以外は、実施例10と同様に液晶セルを作製し、液晶の配向性、及びプレチルト角の測定を行った。
上記液晶配向処理剤(A)〜(E)の製造で使用した酸二無水物及びジアミン化合物の各組成比率を表1に示す。表1中、( )内の%は、全酸二無水物成分中又は全ジアミン成分中の該当する酸二無水物又はジアミン化合物の含有割合(モル%)を示す。
また、各実施例で製造した液晶セルのプレチルト角を表2に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
表2の結果より、本発明の新規ジアミン化合物を用いて得られる液晶表示素子は、良好な垂直配向性を示し、また偏光の紫外線を照射することで100mJという少ない照射量でも、液晶を配向させ、大きなプレチルト角を発現させることが確認された。さらに、本発明の新規ジアミン化合物を使用した液晶配向膜は、紫外線の照射量によらずプレチルト角が一定に保たれることが確認された。このことは、バックライトなどの光に長時間暴露された後でも、プレチルト角を安定的に保つことができることを示している。
これらのことから、本発明の新規ジアミン化合物は、垂直配向方式の液晶表示素子用の液晶配向膜に使用することができ、紫外線照射によって液晶配向能を付与する光配向法においても好ましく用いることができる。
【0128】
<比較例1>
【化65】
【0129】
DA2を1.11g(2.70mmol)、及びDA3を0.11g(0.30mmol)をNMP(10.22g)中で混合し、室温で1時間攪拌して溶解させた後、CBDA0.58g(2.94mmol)を加え、室温で12時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液(12.0g)にNMP(9.0g)及びBC(9.0g)を加え5時間攪拌することにより、6質量%の液晶配向処理剤(F)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12000、重量平均分子量は29000であった。
上記実施例10において、液晶配向処理剤(A)を液晶配向処理剤(F)に変更した以外は、実施例10と同様に液晶セルを作製し、液晶の配向性、及びプレチルト角の測定を行った。
上記液晶配向処理剤(F)の合成で使用した酸二無水物及びジアミン化合物の各組成比率を表3に示す。また、比較例1で製造した液晶セルのプレチルト角を表4に示す。
【0130】
【表3】
【表4】