(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高分子化合物のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、1,000〜2,000,000である請求項1記載の導電性組成物。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(以下、CNTとも略記する)は、高い導電性が期待できる材料であり、ナノテクノロジーの有力な素材として、広範な分野で応用の可能性が検討されている。
このCNTを実際に使用するにあたっては、より少量で高い導電性を達成させるため、マトリックス材となるポリマー中などにCNTを均一に分散させる必要がある。
分散方法としては、カーボンナノチューブ自体を修飾してマトリックス材中に分散し易くする方法と、界面活性剤やポリマーなどの分散剤を用いる方法に大別できる。
中でも、導電性を維持しながら均一に高分散できることから、分散剤を用いる方法が一般に用いられている。
【0003】
分散剤としては、低分子から高分子まで様々なものが検討されているが、低分子分散剤は、一般的に分散性が低く、耐熱性も悪いという問題がある。
一方、高分子分散剤は、溶解性が低いことからイオン性官能基が積極的に導入され、さらにCNTとの相互作用を高めるために芳香環を有するものが多い。
また、化学処理や熱処理等によってCNT自体に官能基を導入する手法が試みられているが、その際、CNTの断片化や共役系の切断による導電特性低下という新たな問題が生じる。
【0004】
分散剤開発における別の視点として、導電性高分子などの共役系分散剤と、絶縁性の非共役系分散剤という分類が挙げられる。
導電性高分子を用いた場合、得られる組成物の導電特性は向上するものの、分散剤の光吸収による透明性の低下や、色味という問題がある。
一方、非共役系分散剤の場合は、それ自体絶縁体であるため、CNTの接点抵抗を上昇させる原因となり、CNT本来の導電特性が十分に発揮されないという問題がある。
【0005】
一方、CNTは、無機酸、有機酸、塩化チオニルなどでドーピングすることで、導電性が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、CNTの分散液にこれらのドーパントを添加した場合、分散液のpHが変化したり、ドーパントがCNT、分散剤、分散媒と相互作用したりすることで、CNTの分散状態が不安定となる場合がある。
【0006】
そのため、CNTの分散液から分散媒を除去した導電性組成物をドープする検討も広く行われている。
しかし、その場合はドーパントが内部まで十分に浸透しないという問題の他、プロセス面でのコスト費用の増加や、ドーパントの反応性が高く用いる基材に高い化学的安定性が求められるといった問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る導電性組成物は、カーボンナノチューブと、カーボンナノチューブ分散剤と、ドーパント前駆体と、を含み、上記分散剤が、芳香環を繰り返し単位として有する非共役系の高分子化合物であり、上記ドーパント前駆体が、光および/または熱によりカチオンを発生する酸発生剤であることを特徴とする。
ここで、カーボンナノチューブ(CNT)は、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法で得られたものでもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT(以下、SWCNTと記載)と、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT(以下、DWCNTと記載)と、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNT(以下、MWCNTと記載)とがあるが、本発明においては、SWCNT、DWCNT、MWCNTをそれぞれ単体で、または複数を組み合わせて使用できる。
【0013】
上記の方法でSWCNT、DWCNTやMWCNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成し、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物の除去、精製を必要とする場合がある。不純物の除去には、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理が有効である。しかし、硝酸、硫酸などによる酸処理ではCNTを構成するπ共役系が破壊され、CNT本来の特性が損なわれてしまう可能性があるため、適切な条件で精製して使用することが望ましい。
【0014】
また、分散剤としては、CNTとのπ−π相互作用や、ファンデルワールス力および立体的コンフォメーションに由来するCNTとの絡み合いによって優れた分散性を発現させる芳香環を繰り返し単位として有し、得られる導電性複合体の光透過率を良好にする非共役系の分子鎖を有する高分子化合物を用いる。
さらに、CNTの分散性を高めるため、分散剤として用いる高分子化合物としては、カルボキシル基やスルホ基等のイオン性官能基を有しないものがより好適である。
【0015】
上記高分子化合物の平均分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量が1,000〜2,000,000であることが好ましい。当該高分子化合物の重量平均分子量が1,000未満であると、CNTの分散能が著しく低下する、または分散能を発揮しなくなる虞がある。一方、重量平均分子量が2,000,000を超えると、分散処理における取り扱いが極めて困難となる虞がある。重量平均分子量が2,000〜1,000,000の高分子化合物がより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトフラフィーによる測定値(ポリスチレン換算)である。
【0016】
上記高分子化合物としては特に限定されるものではないが、アリールアミン骨格を繰り返し単位として有する高分子化合物が好ましく、CNTの分散能に優れることから、トリアリールアミン骨格を繰り返し単位として有する高分岐ポリマーがより好ましく、トリアリールアミン化合物と、アルデヒド化合物および/またはケトン化合物とを、酸触媒の存在下で縮合重合することで得られる高分岐ポリマーがより一層好ましい。
【0017】
より具体的には、トリアリールアミン骨格を分岐点として含有する、上記(1)または(2)で示される高分岐ポリマーが好適である。
上記式(1)および(2)において、Ar
1〜Ar
3は、それぞれ独立して、上記式(3)〜(7)で表されるいずれかの二価の有機基を表すが、式(3)で示される置換または非置換のフェニレン基が好ましく、R
5〜R
8が全て水素原子のフェニレン基がより好ましい。
【0018】
上記式(2)〜(7)において、R
1〜R
38は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基、またはカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、もしくはそれらの塩を表す。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基等が挙げられる。
カルボキシル基、スルホ基、リン酸基およびホスホン酸基の塩としては、ナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩;マグネシウム,カルシウムなどのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;プロピルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブチルアミン,トリ−n−ペンチルアミン,トリ−n−ヘキシルアミン,トリ−n−ヘプチルアミン,トリ−n−オクチルアミン,トリ−n−ノニルアミン,トリ−n−デシルアミン等のトリ炭素原子数1〜10アルキルアミン、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン塩;イミダゾリン、ピペラジン、モルホリンなどの環式アミン塩;アニリン、ジフェニルアミンなどの芳香族アミン塩;ピリジニウム塩等が挙げられる。
【0019】
また、上記式(1)および(2)において、Z
1およびZ
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または上記式(8)〜(11)で表されるいずれかの一価の有機基を表す(ただし、Z
1およびZ
2が同時に上記アルキル基となることはない。)が、Z
1およびZ
2としては、それぞれ独立して、水素原子、2−または3−チエニル基、下記式(8′)で示される基が好ましく、特に、Z
1およびZ
2のいずれか一方が水素原子で、他方が、水素原子、2−または3−チエニル基、下記式(8′)で示される基、特にR
41がフェニル基の4−ビフェニル基およびR
41がメトキシ基の4−メトキシフェニル基がより好ましい。
なお、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基としては、上記で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0021】
上記式(8)〜(11)および(8′)において、R
39〜R
62は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいハロアルキル基、フェニル基、OR
63、COR
63、COOR
63、NR
63R
64(これらの式中、R
63およびR
64は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいハロアルキル基、またはフェニル基を表す。)、またはカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、もしくはそれらの塩を表す。
ここで、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいハロアルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、3−ブロモ−2−メチルプロピル基、4−ブロモブチル基、パーフルオロペンチル基等が挙げられる。
なお、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、並びにカルボキシル基、スルホ基、リン酸基およびホスホン酸基の塩としては、上記式(2)〜(7)で例示した基と同様のものが挙げられる。
【0022】
上記高分岐ポリマーは、下記スキーム1に示されるように、例えば、下記式(A)で示されるような、上述したトリアリールアミン骨格を与え得るトリアリールアミン化合物と、例えば下記式(B)で示されるようなアルデヒド化合物および/またはケトン化合物とを、酸触媒の存在下で縮合重合して得られる。
なお、アルデヒド化合物として、例えば、テレフタルアルデヒド等のフタルアルデヒド類のような、二官能化合物(C)を用いる場合、スキーム1で示される反応が生じるだけではなく、下記スキーム2で示される反応が生じ、2つの官能基が共に縮合反応に寄与した、架橋構造を有する高分岐ポリマーが得られる場合もある。
【0023】
【化5】
(式中、Ar
1〜Ar
3、およびZ
1〜Z
2は、上記と同じ意味を表す。)
【0024】
【化6】
(式中、Ar
1〜Ar
3、およびR
1〜R
4は、上記と同じ意味を表す。)
【0025】
上記高分岐ポリマーの製造に用いられるアルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクチルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、3−メチル−2−ブチルアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒドなどの飽和脂肪族アルデヒド類;アクロレイン、メタクロレインなどの不飽和脂肪族アルデヒド類;フルフラール、ピリジンアルデヒド、チオフェンアルデヒドなどのヘテロ環式アルデヒド類;ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、トリフルオロメチルベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、アセトキシベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、アセチルベンズアルデヒド、ホルミル安息香酸、ホルミル安息香酸メチル、アミノベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N,N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アントリルアルデヒド、フェナントリルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類等が挙げられる。特に芳香族アルデヒド類を用いることが好ましい。
【0026】
また、ケトン化合物としては、アルキルアリールケトン、ジアリールケトン類であり、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジフェニルケトン、フェニルナフチルケトン、ジナフチルケトン、フェニルトリルケトン、ジトリルケトン等が挙げられる。
【0027】
上記縮合重合反応では、トリアリールアミン化合物のアリール基1当量に対して、アルデヒド化合物および/またはケトン化合物を0.1〜10当量の割合で用いることができる。
上記酸触媒としては、例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸などの鉱酸類;p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物などの有機スルホン酸類;ギ酸、シュウ酸などのカルボン酸類等を用いることができる。
酸触媒の使用量は、その種類によって種々選択されるが、通常、トリアリールアミン類100質量部に対して、0.001〜10,000質量部、好ましくは、0.01〜1,000質量部、より好ましくは0.1〜100質量部である。
【0028】
上記の縮合反応は無溶媒でも行えるが、通常溶媒を用いて行われる。溶媒としては反応を阻害しないものであれば全て使用することができ、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等が挙げられる。これら溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。特に、環状エーテル類が好ましい。
また、使用する酸触媒が、例えばギ酸のような液状のものであるならば、酸触媒に溶媒としての役割を兼ねさせることもできる。
【0029】
縮合時の反応温度は、通常40〜200℃である。反応時間は反応温度によって種々選択されるが、通常30分間から50時間程度である。
以上のようにして得られる重合体の重量平均分子量Mwは、通常1,000〜2,000,000、好ましくは、2,000〜1,000,000である。
【0030】
本発明の導電性組成物は、ドーパント前駆体として、光および/または熱によりカチオンを発生する酸発生剤を含む。
酸発生剤としては、外部刺激によって酸を発生する物質であれば制限はなく、高分子化合物でも低分子化合物でもよい。
光によりカチオンを発生する光酸発生剤の具体例としては、公知のものから適宜選択して用いればよく、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩やヨードニウム塩などのオニウム塩誘導体を用いることができる。
その具体例としては、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4′−ビス(ジフェニルスルホニオ)フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4′−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4′−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4−[4′−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4′−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0031】
これらのオニウム塩は市販品を用いてもよく、その具体例としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、UVI−6992(以上、ユニオンカーバイド社製)、CPI−100P、CPI−100A、CPI−101A、CPI−200K、CPI−200S(以上、サンアプロ(株)製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(以上、(株)ADEKA製)、イルガキュア 261(BASF社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(以上、(株)三和ケミカル製)、PI2074(ローディアジャパン(株)製)等が挙げられる。
以上説明した光酸発生剤は、それぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
熱によりカチオンを発生する熱酸発生剤としては、公知のものから適宜選択して用いればよく、例えば、強非求核性酸の、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルアリールスルホニウム塩、ジアリールアルキルスルホニウム塩;強非求核性酸の、アルキルアリールヨードニウム塩、ジアリールヨードニウム塩; 強非求核性酸の、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
また、コバレント(covalent)熱酸発生剤を用いることもでき、例えば、アルキルまたはアリールスルホン酸の2−ニトロベンジルエステルや、熱により分解して遊離のスルホン酸を与えるスルホン酸のその他のエステル等が挙げられる。
【0033】
その具体例としては、ジアリールヨードニウムパーフルオロアルキルスルホネート、ジアリールヨードニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ジアリールヨードニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ジアリールヨードニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、ジアリールヨードニウム第四アンモニウムパーフルオロアルキルスルホネート;2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレートなどのベンゼントシレート類;パラトルエンスルホン酸シクロヘキシル、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネートなどのベンゼンスルホネート類;フェニル4−メトキシベンゼンスルホネートなどのフェノール性スルホネートエステル類;第四アンモニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチド;第四アルキルアンモニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド;10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの有機酸のアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0034】
さらに、様々な芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩を用いることもでき、その具体例としては、米国特許第3,474,054号明細書、米国特許第4,200,729号明細書、米国特許第4,251,665号明細書、米国特許第5,187,019号明細書に記載のスルホン酸アミン塩などが挙げられる。
以上説明した熱酸発生剤は、それぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明の組成物は、さらに上記分散剤の溶解能を有する有機溶媒を含んでいてもよい。
このような有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)などのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類;n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類等が挙げられ、これら有機溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
特に、CNTの孤立分散の割合を向上させ得るという点から、NMP、DMF、THF、イソプロパノールが好ましく、さらに組成物の成膜性をも向上し得るための添加剤として、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類等を、少量含むことが望ましい。
【0036】
本発明の導電性組成物の調製法は任意であり、分散剤が液状の場合には、当該分散剤とCNTおよびドーパント前駆体とを適宜混合し、分散剤が固体の場合には、これを溶融させた後、CNTおよびドーパント前駆体と混合して調製することができる。
また、有機溶媒を用いる場合には、分散剤、CNT、ドーパント前駆体、有機溶媒を任意の順序で混合して組成物を調製すればよい。
この際、分散剤、CNT、ドーパント前駆体および有機溶媒からなる混合物を分散処理することが好ましく、この処理により、CNTの孤立分散の割合をより向上させることができる。分散処理としては、機械的処理である、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどを用いた湿式処理や、バス型やプローブ型のソニケータを用いる超音波処理が挙げられる。
分散処理の時間は任意であるが、1分間から10時間程度が好ましく、5分間から5時間程度がより好ましい。
なお、高分岐ポリマー型の分散剤は、CNTの分散能に優れているため、分散処理前等に加熱処理を施さなくとも、CNTが高濃度で孤立分散した組成物を得ることができるが、必要に応じて加熱処理を施しても構わない。
【0037】
さらに、分散処理後に遠心分離してもよい。遠心分離することによって、未分散のCNTや、過剰量の分散剤、CNTに含まれる不純物などが沈殿するので、遠心上清を回収することで組成物中に分散しているCNTを採取することができる。
この処理によって、CNTの再凝集を防止でき、組成物の安定性がより一層向上する。
遠心分離時の遠心力は、特に限定されるものではなく、100〜2,000,000Gで適宜設定すればよい。
【0038】
本発明の導電性組成物における、分散剤とCNTとの混合比率は、質量比で1,000:1〜1:100程度とすることができる。
また、有機溶媒を使用した組成物中における分散剤の濃度は、CNTを有機溶媒に分散させ得る濃度であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、組成物中に0.001〜30質量%程度とすることが好ましく、0.002〜20質量%程度とすることがより好ましい。
さらに、この組成物中におけるCNTの濃度は、少なくともCNTの一部が孤立分散する限りにおいて任意であるが、本発明においては、組成物中に0.0001〜20質量%程度とすることが好ましく、0.001〜10質量%程度とすることがより好ましい。
【0039】
また、ドーパント前駆体の配合量は、特に限定されるものではないが、十分なドーピング効果を発揮させることを考慮すると、CNTとの混合比として、質量比でCNT:ドーパント前駆体=10,000:1〜1:10程度が好ましく、1,000:1〜1:5程度がより好ましい。
以上のようにして調製された本発明の組成物中では、分散剤がCNTの表面に付着して複合体を形成しているものと推測される。
【0040】
本発明の組成物では、上述した有機溶媒に可溶な汎用合成樹脂と混合し、これと複合化させたものでもよい。
汎用合成樹脂の例としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)などのポリオレフィン系樹脂;PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、MS(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)などのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの(メタ)アクリル樹脂;PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、PLA(ポリ乳酸)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペートなどのポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニン等の熱可塑性樹脂、並びに、フェノール樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0041】
また本発明の導電性組成物は、上述した有機溶媒に可溶な架橋剤を含んでいてもよい。
このような架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられ、これら架橋剤は、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。なお、好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、CYMEL(登録商標)、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メチロール化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メチロール化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メチロール化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、ブトキシメチル化チオ尿素、メチロール化チオ尿素等の化合物、およびこれらの化合物の縮合体が例として挙げられる。
【0042】
架橋剤の添加量は、使用する有機溶媒、使用する基材、要求される粘度、要求される膜形状などにより変動するが、CNT分散剤(高分岐ポリマー)に対して0.001〜80質量%、好ましくは0.01〜50質量%、さらに好ましくは0.05〜40質量%である。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、本発明の高分岐ポリマーと架橋反応を起こすものであり、高分岐ポリマー中に架橋性置換基が存在する場合はそれらの架橋性置換基により架橋反応が促進される。
本発明では、架橋反応を促進するための触媒として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物を添加してもよいが、分散性向上の観点から、光および/または熱によりカチオンを発生する酸発生剤を使用することが好ましい。なお、酸発生剤を触媒として添加する場合には、上記ドーパント前駆体と兼用でも、別々でも構わない。
触媒の添加量は分散剤に対して、0.0001〜20質量%、好ましくは0.0005〜10質量%、より好ましくは0.001〜3質量%である。
【0043】
本発明の組成物は、マトリックスとなる樹脂と混合し、溶融混練することにより複合化させたものでもよい。
マトリックスとなる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、その具体例としては、上記汎用合成樹脂で例示した熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられる。
この場合、組成物の調製は、分散剤、CNT、ドーパント前駆体、マトリックスとなる樹脂を、混練装置により溶融混練して複合化すればよい。混練装置としては、各種ミキサや、単軸または二軸押出機などが挙げられる。この際の混練温度、時間は任意であり、マトリックスとなる樹脂に応じて適宜選択される。
また、マトリックスとなる樹脂を用いた組成物中におけるCNT濃度は、要求される組成物の機械的、電気的、熱的特性などにおいて変化するため任意であるが、本発明においては、組成物中に0.0001〜30質量%程度とすることが好ましく、0.001〜20質量%とすることがより好ましい。
【0044】
本発明の導電性組成物(溶液)は、PET、ガラス、ITOなどの適当な基材上にスピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法などの適宜な方法により、塗布して成膜することが可能である。
得られた薄膜は、CNTの金属的性質を活かした帯電防止膜、透明電極等の導電性材料、光電変換素子および電界発光素子等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、試料の調製および物性の分析に用いた装置および条件は、以下のとおりである。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex KF−804L+KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
(2)プローブ型超音波照射装置(分散処理)
装置:Hielscher Ultrasonics社製 UIP1000
(3)小型高速冷却遠心機(遠心分離)
装置:(株)トミー精工製 SRX−201
(4)ホットプレート
装置:アズワン(株)製 ND−2
(5)エアブラシ
装置:アネスト岩田(株)製 Revolution HP−TR2
ノズル口径:0.5mm
ボトル容量:15mL
(6)スポット光源
装置:浜松ホトニクス(株)製 LC5
(7)紫外線積算光量計(照度測定)
装置:ウシオ電機(株)製 UIT−150
(8)紫外可視近赤外分光光度計(吸光度測定)
装置:(株)島津製作所製 SHIMADZU UV−3600
測定波長:400〜1650nm
(9)抵抗率計(表面抵抗率測定)
装置:三菱化学(株)製 ロレスタ−GP
プローブ:三菱化学(株)製 直列4探針プローブ ASP(探針間距離:5mm)
(10)ヘイズメーター(全光線透過率測定)
装置:日本電色工業(株)製 NDH5000
(11)湿式ジェットミル(分散処理)
装置:(株)常光製 ナノジェットパル(登録商標)JN20
【0046】
また、実施例における略号の意味は下記のとおりである。
CNT−1:精製SWCNT[KH Chemicals社製 “KH Single−Walled Carbon Nanotubes” 外径1〜1.3nm]
CNT−2:精製SWCNT[Hanwha Nanotech社製 ASP−100F]
PTSA:パラトルエンスルホン酸一水和物[純正化学(株)製]
CPI:CPI(登録商標)−101A[サンアプロ(株)製]
PI:PI2074[ローディアジャパン(株)製]
PTSA−CH:パラトルエンスルホン酸シクロヘキシル[東京化成工業(株)製]
THF:テトラヒドロフラン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
CHN:シクロヘキサノン
【0047】
[合成例1]高分岐ポリマーPTPA−PBAの合成
窒素下、200mL四口フラスコに、トリフェニルアミン[東京化成工業(株)製]5.0g(20mmol)、4−フェニルベンズアルデヒド[三菱ガス化学(株)製]7.4g(41mmol(トリフェニルアミンに対して2.0eq))、PTSA1.2g(6.1mmol(トリフェニルアミンに対して0.3eq))、および1,4−ジオキサン10gを仕込んだ。この混合物を撹拌しながら100℃まで昇温して溶解させ、重合を開始した。45分間反応させた後、反応混合物を60℃まで放冷した。この反応混合物をTHF100gで希釈し、アセトン250g、メタノール250gおよび28質量%アンモニア水20gの混合溶液へ投入して再沈殿させた。析出した沈殿物をろ過し、得られた固体をTHF100gに再溶解させた。この溶液を、アセトン250gおよびメタノール250gの混合溶液へ投入して再度再沈殿させた。析出した沈殿物をろ過後、130℃で6時間減圧乾燥し、下記式[A]で表される繰り返し単位を有する高分岐ポリマーPTPA−PBA5.5gを得た。
得られたPTPA−PBAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは5,400、多分散度Mw/Mnは1.89であった(ここでMnは同条件で測定される数平均分子量を表す。)。
【0048】
【化7】
【0049】
[実施例1]光酸発生剤を含む導電性組成物および導電性複合体の作製1
[導電性組成物の作製]
分散剤として合成例1で合成したPTPA−PBA50mgをNMP50gに溶解させ、この溶液へSWCNTとしてCNT−1 50mgを添加した。この混合物に、プローブ型超音波照射装置を用いて室温(およそ25℃)で10分間超音波処理を行った。この混合物を室温(およそ25℃)で一晩静置した後、室温(およそ25℃)で10,000G、1時間の遠心分離により、黒色の上澄み液としてSWCNT含有分散液を回収した。
このSWCNT含有分散液の8gに、ドーパント前駆体として光酸発生剤であるCPI8mgを、濡れ剤としてCHN2gをそれぞれ添加し、導電性組成物を調製した。この組成物を室温(およそ25℃)で一晩静置した後、再度、室温(およそ25℃)で10,000G、1時間の遠心分離により、黒色の上澄み液として導電性組成物塗布液を得た。
この塗布液について、塗布液1gをNMP4.94gで希釈し、光路長1mmのガラスセルを用いて紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、半導体性S
11バンド(1,400〜1,000nm)、S
22バンド(1,000〜600nm)、および金属性バンド(600〜450nm)の吸収が明確に観察され、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。波長400nmにおける吸光度を表1に示す。
【0050】
[導電性複合体の作製]
上記で調製した塗布液を、エアブラシを用いて、230℃のホットプレートで加熱しているガラス基板[(株)東新理興製、5cm×5cm×1mm]上部全面に15〜20秒間スプレー塗布することで、均一な導電性複合体薄膜を作製した。なお、スプレーには圧力0.2MPaの窒素を使用し、被塗布基板の上方およそ20cmからスプレーした。続いて、得られた導電性複合体薄膜に対し、スポット光源を用いて10mW/cm
2(365nm換算)で10分間光照射を行った。
光照射前後の導電性複合体薄膜の表面抵抗率および全光線透過率を表1に併せて示す。なお、全光線透過率は、[基材を含む導電性複合体の全光線透過率]÷[基材の全光線透過率]により求めた。
【0051】
[実施例2]光酸発生剤を含む導電性組成物および導電性複合体の作製2
ドーパントを光酸発生剤であるPI8mgに変更した以外は、実施例1と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表1に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例1と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0052】
[実施例3]熱酸発生剤を含む導電性組成物および導電性複合体の作製1
ドーパントを熱酸発生剤であるPTSA−CH8mgに変更し、光照射を行わない以外は、実施例1と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表1に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例1と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0053】
[比較例1]酸発生剤を含まない導電性組成物および導電性複合体の作製1
ドーパント前駆体を添加しない以外は、実施例1と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表1に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例1と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0054】
[比較例2]有機酸を含む導電性組成物および導電性複合体の作製1
ドーパント前駆体を、有機酸であるPTSA(ドーパント)8mgに変更した以外は、実施例1と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表1に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例1と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、吸光度は測定波長域内においていずれもゼロであった。この結果より、導電性組成物中でSWCNTが安定に分散できず、凝集物を生じた結果、遠心分離により除去されていることが確認された。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示されるように、ドーパント前駆体を用いた実施例1〜3のCNT分散液から得られた薄膜は、ドーパント前駆体無添加の比較例1と比べ、表面抵抗率が低く、導電性の向上効果が見られている。
すなわち、光酸発生剤を用いた実施例1では、光照射後に表面抵抗率が1桁程度低下し、ドープによる導電性の向上効果が発揮されていることがわかる。
なお、実施例2で用いた光酸発生剤は、耐熱温度が比較的低いため、スプレー塗布時の熱で酸が発生している(熱酸発生剤として作用している)と考えられ、光照射後に表面抵抗率の低下が見られていないが、熱によるドープで実施例1と同程度の導電性向上効果が発揮されている。
熱酸発生剤を用いた実施例3でも、スプレー塗布時の熱によるドープで実施例1と同程度の導電性向上効果が発揮されていることがわかる。
また、有機酸ドーパントを用いた比較例2では、安定なCNT分散液を調製することができない結果、導電性複合体が得られていないことがわかる。
なお、実施例2において、光照射前後で表面抵抗率の若干の増加が見られているが、比較例1でも同様の傾向が見られているように、光照射によりCNTが劣化した結果であると推測される。
【0057】
[実施例4]光酸発生剤を含む導電性組成物および導電性複合体の作製3
[導電性組成物の作製]
分散剤として合成例1で合成したPTPA−PBA20mgをNMP50gに溶解させ、この溶液へSWCNTとしてCNT−2 10mgを添加した。この混合物に、湿式ジェットミル装置を用いて室温(およそ25℃)で、50MPa、20パスの分散処理を行った。この混合物を室温(およそ25℃)で一晩静置した後、室温(およそ25℃)で10,000G、1時間の遠心分離により、黒色の上澄み液としてSWCNT含有分散液を回収した。
このSWCNT含有分散液の8gに、ドーパント前駆体として光酸発生剤であるCPI8mg、およびNMP2gをそれぞれ添加し、導電性組成物を調製した。この組成物を室温(およそ25℃)で一晩静置した後、再度、室温(およそ25℃)で10,000G、1時間の遠心分離により、黒色の上澄み液として導電性組成物塗布液を得た。
この塗布液について、光路長1mmのガラスセルを用いて紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、半導体性S
11バンド、S
22バンド、および金属性バンドの吸収が明確に観察され、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。波長400nmにおける吸光度を表2に示す。
上記で調製した塗布液を用いて、実施例1と同様の操作で導電性複合体薄膜を作製し、評価した。結果を表2に併せて示す。
【0058】
[実施例5]熱酸発生剤を含む導電性組成物および導電性複合体の作製2
ドーパントを熱酸発生剤であるPTSA−CH8mgに変更し、光照射を行わない以外は、実施例4と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表2に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例4と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0059】
[比較例3]酸発生剤を含まない導電性組成物および導電性複合体の作製2
ドーパント前駆体を添加しない以外は、実施例4と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表2に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例4と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0060】
[比較例4]有機酸を含む導電性組成物および導電性複合体の作製2
ドーパント前駆体を、有機酸であるPTSA(ドーパント)8mgに変更した以外は、実施例4と同様に操作し、導電性組成物の調製および導電性複合体の作製、ならびに評価を行った。結果を表2に併せて示す。
得られた導電性組成物塗布液について、実施例4と同様に紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、吸光度は実施例4,5および比較例3で得られた導電性組成物塗布液のそれと比較して半分以下であった。この結果より、導電性組成物中でSWCNTが安定に分散できていないことが確認された。
【0061】
【表2】
【0062】
表2に示されるように、ドーパント前駆体を用いた実施例4,5のCNT分散液から得られた薄膜は、ドーパント前駆体無添加の比較例3と比べ、表面抵抗率が低く、導電性の向上効果が見られている。
すなわち、光酸発生剤を用いた実施例4では、光照射後に表面抵抗率が1/3程度に低下し、ドープによる導電性の向上効果が発揮されていることがわかる。
熱酸発生剤を用いた実施例5でも、スプレー塗布時の熱によるドープで実施例4以上の導電性向上効果が発揮されていることがわかる。
また、有機酸ドーパントを用いた比較例4では、安定なCNT分散液を調製することができない結果、遠心分離処理により多くのCNTが除去されていることがわかる。