特許第5939914号(P5939914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939914
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】切替装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/93 20060101AFI20160609BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20160609BHJP
   G11B 27/10 20060101ALI20160609BHJP
   G11B 27/34 20060101ALI20160609BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H04N5/93 Z
   H04N5/91 Z
   G11B27/10 A
   G11B27/34 S
   G11B20/10 321Z
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-159897(P2012-159897)
(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公開番号】特開2014-22951(P2014-22951A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月1日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 勝
(72)【発明者】
【氏名】山田 一郎
【審査官】 松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−026966(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043358(WO,A1)
【文献】 特開2011−234301(JP,A)
【文献】 特開2004−153551(JP,A)
【文献】 特開2010−166154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B20/10−20/16
27/10−27/34
H04N5/76
5/765
5/80−5/91
5/915
5/92
5/922
5/928−5/93
5/937−5/94
5/95−5/956
7/10
7/14−7/173
7/20−7/56
21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシーンにより構成されているコンテンツをシーンごとに順次再生して表示部に出力する再生処理部と、
外部からの信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された信号が、前記表示部に表示されているシーンに関連付けられた映像素材である関連シーンの表示を指示するものである場合、前記表示部に表示されているシーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部から取得する対応リスト取得部であって、前記対応リストは予め映像素材間において、どちらの映像素材がより詳細であるかを記述した詳細度リンクにより前記映像素材が関連付けられ、前記映像素材を含むシーンに前記詳細度リンクを対応付けた、前記対応リスト取得部と、
前記対応リストに基づいて、前記関連シーンを関連シーン格納部から取得する関連シーン取得部とを備え、
前記再生処理部は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得部により取得した前記関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示する切替装置。
【請求項2】
前記対応リスト取得部は、前記表示部に関連シーンが表示されている状態において、前記受信部により受信された信号が、当該関連シーンに関連する関連シーンの表示を指示するものである場合、前記表示部に表示されている関連シーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部から取得し、
前記関連シーン取得部は、前記対応リストに基づいて、関連シーンに関連する関連シーンを関連シーン格納部から取得し、
前記再生処理部は、前記表示部に表示されている関連シーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに関連する関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示する請求項1記載の切替装置。
【請求項3】
前記再生処理部は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示し、当該関連シーンの表示が終了した場合には、切り替えたシーンに続くシーンを前記表示部に表示する請求項1記載の切替装置。
【請求項4】
前記対応リスト取得部は、前記表示部に表示されているシーンが前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えられた場合、当該シーンに続く次のシーンの対応リストを前記対応リスト格納部から取得し、
前記関連シーン取得部は、前記対応リストに基づいて、前記次のシーンの関連シーンを関連シーン格納部から取得し、
前記再生処理部は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示し、当該関連シーンの表示が終了した場合には、前記次のシーンの関連シーンを前記表示部に表示する請求項1記載の切替装置。
【請求項5】
前記再生処理部は、前記表示部にシーン又は関連シーンを表示している状態において、当該シーン又は関連シーンに関連する関連シーンがある場合には、その旨の情報を前記表示部に表示する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の切替装置。
【請求項6】
複数のシーンにより構成されているコンテンツをシーンごとに順次再生して表示部に出力する再生処理工程と、
外部からの信号を受信する受信工程と、
前記受信工程により受信された信号が、前記表示部に表示されているシーンに関連付けられた映像素材である関連シーンの表示を指示するものである場合、前記表示部に表示されているシーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部から取得する対応リスト取得工程であって、前記対応リストは予め映像素材間において、どちらの映像素材がより詳細であるかを記述した詳細度リンクにより前記映像素材が関連付けられ、前記映像素材を含むシーンに前記詳細度リンクを対応付けた、前記対応リスト取得工程と、
前記対応リストに基づいて、関連シーンを関連シーン格納部から取得する関連シーン取得工程とをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記再生処理工程は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得工程により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーンを切り替える切替装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクレコーダ等の録画再生機の普及により、事前に録画した番組コンテンツを、好きな時間に楽しむといった視聴方法が普及している。このような視聴方法では、放送されたコンテンツをリアルタイムに視聴する場合と違い、ユーザの操作に応じて、特定の部分(例えば、興味のある部分)だけを再生し、それ以外の部分(例えば、興味のない部分)を早送りで飛ばす、ことが可能になった。
【0003】
また、最近の録画再生機は、2倍速再生等の機能を備えているものも多い。さらに、タイムシフト機能等を備えたホームサーバ機器等では、放送中の番組コンテンツを録画している最中に、その録画を継続しつつ、録画済みの部分に時間的に遡って再生することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−125174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、新しい視聴方法として、既に知っている内容は飛ばして、知らない情報のみを見たい、といったようなユーザの要望も想定できる。
このような要望に関して、早送り等の操作で自分の見たい部分を正確に取り出すことは困難である。
【0006】
また、より深く内容を知りたいユーザに対して、データ放送等を利用した付加情報の提供、及び番組コンテンツに関連したWebサイトでの関連情報の表示、といったサービスが一般的になっている。しかし、これらのサービスでも、各ユーザの要求のレベルをすべて満たすことは難しい。
つまり、多くのユーザの要求に応えるための番組コンテンツの視聴方法というものは実現されていない。
【0007】
例えば、特許文献1では、ビデオコンテンツの構造的情報の中から、実際にビデオの内容展開による意味のある話の単位構造を基にして、ビデオの全体内容に対する要約的な理解と、ユーザが所望する部分への速い移動を可能にしたビデオスキミングシステムを提供している。
【0008】
しかし、特許文献1では、各ショットに含まれる重要部分を特定し、それをつなげて再生することでユーザが全体の内容を理解できる手法を提案しているに過ぎず、番組コンテンツの意味内容や、詳細度といった概念を取り入れてはいない。
【0009】
つまり、特許文献のような要約技術、及びスキミング技術では、ユーザの要求に細かく合わせた要約生成が不可能であり、理解度が異なる様々なリクエストに応えることは難しい。また、番組コンテンツの内容に関する詳細な情報をリクエストされた場合にも、番組コンテンツ自体に含まれない情報を利用することができないため、対応することが難しい。
【0010】
本発明では、個々のユーザの要望に応じて、詳細度の異なる番組コンテンツの再生を行うことができる切替装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る切替装置は、複数のシーンにより構成されているコンテンツをシーンごとに順次再生して表示部に出力する再生処理部と、外部からの信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された信号が、関連シーンの表示を指示するものである場合、前記表示部に表示されているシーンに関連する関連シーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部から取得する対応リスト取得部と、前記対応リストに基づいて、関連シーンを関連シーン格納部から取得する関連シーン取得部とを備え、前記再生処理部は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示する構成である。
【0012】
かかる構成によれば、切替装置は、コンテンツをシーンごとに順次再生しているときに、あるシーンに関連する関連シーンの表示が指示された場合、当該シーンに対応する関連シーンを取得し、関連シーンに切り替えて表示するので、シーンに関連し、詳細度の異なる関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示することができる。
【0013】
また、切替装置では、前記対応リスト取得部は、前記表示部に関連シーンが表示されている状態において、前記受信部により受信された信号が、当該関連シーンに関連する関連シーンの表示を指示するものである場合、前記表示部に表示されている関連シーンに関連する関連シーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部から取得し、前記関連シーン取得部は、前記対応リストに基づいて、関連シーンを関連シーン格納部から取得し、前記再生処理部は、前記表示部に表示されている関連シーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示する構成でもよい。
【0014】
かかる構成によれば、切替装置は、ある関連シーンを表示しているときに、当該関連シーンに関連する関連シーンの表示が指示された場合、指示された関連シーンを取得し、取得した関連シーンを表示する。例えば、切替装置は、あるシーンから、当該シーンを詳細に説明する関連シーンに切り替えて表示しているときに、当該関連シーンをさらに詳細に説明する関連シーンを表示させたい場合、その旨の指示を行うことにより、関連シーンよりも詳細な関連シーンを適宜表示するので、シーンに関連し、詳細度の異なる様々な関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示することができる。
【0015】
また、切替装置では、前記再生処理部は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示し、当該関連シーンの表示が終了した場合には、切り替えたシーンに続くシーンを前記表示部に表示する構成でもよい。
【0016】
かかる構成によれば、切替装置は、あるシーンから関連シーンに切り替え、関連シーンの表示が終了したときに、切り替えたシーンに続くシーンを表示するので、途切れることなく、シームレスにコンテンツの視聴を継続することができる。
【0017】
また、切替装置では、前記対応リスト取得部は、前記表示部に表示されているシーンが前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えられた場合、当該シーンに続く次のシーンの対応リストを前記対応リスト格納部から取得し、前記関連シーン取得部は、前記対応リストに基づいて、前記次のシーンの関連シーンを関連シーン格納部から取得し、前記再生処理部は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得部により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示し、当該関連シーンの表示が終了した場合には、前記次のシーンの関連シーンを前記表示部に表示する構成でもよい。
【0018】
かかる構成によれば、切替装置は、あるシーンの関連シーンを表示している状態において、次のシーンに関連シーンがある場合には、その関連シーンを取得しておき、あるシーンの関連シーンの表示が終了したときには、自動的に次のシーンの関連シーンの表示を行うので、操作性の向上を図ることができる。
【0019】
また、切替装置では、前記再生処理部は、前記表示部にシーン又は関連シーンを表示している状態において、当該シーン又は関連シーンに関連する関連シーンがある場合には、その旨の情報を前記表示部に表示する構成でもよい。
【0020】
かかる構成によれば、切替装置は、関連シーンがある箇所において、その旨の情報を表示するので、関連シーンに興味を持っているユーザに対して、注意喚起を行うことができる。
【0021】
本発明に係るプログラムは、複数のシーンにより構成されているコンテンツをシーンごとに順次再生して表示部に出力する再生処理工程と、外部からの信号を受信する受信工程と、前記受信工程により受信された信号が、関連シーンの表示を指示するものである場合、前記表示部に表示されているシーンに関連する関連シーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部から取得する対応リスト取得工程と、前記対応リストに基づいて、関連シーンを関連シーン格納部から取得する関連シーン取得工程とをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記再生処理工程は、前記表示部に表示されているシーンを前記関連シーン取得工程により取得した関連シーンに切り替えて、前記表示部に表示するものである。
【0022】
かかる構成によれば、プログラムは、コンテンツをシーンごとに順次再生しているときに、あるシーンに関連する関連シーンの表示が指示された場合、当該シーンに対応する関連シーンを取得し、関連シーンに切り替えて表示するので、シーンに関連し、詳細度の異なる関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、シーンに関連し、詳細度の異なる関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】切替装置の構成を示すブロック図である。
図2】対応リスト(詳細度リンク)の構成を示す図である。
図3】詳細度リンクについての説明に供する図である。
図4】複数の映像素材を編集して番組を制作する手順についての説明に供する図である。
図5】リモコンを利用して切替装置を操作する手順についての説明に供する図である。
図6】取得した関連シーンを再生する手順についての説明に供する図である。
図7】詳細度の程度に応じて複数の階層に映像素材(関連シーン)が関連付けられている様子を模式的に示す図である。
図8】同じ階層の映像素材をスキップする手順についての説明に供する図である。
図9】切替装置の動作についての説明に供する図である。
図10】リモコンのノブがスイッチ機構の場合における、切替装置の動作の流れについての説明に供するフローチャートである。
図11】上位階層と下位階層にそれぞれシーンが関連付けられている様子を模式的に示す図である。
図12】リモコンのノブがフィーダー機構の場合における、切替装置の動作の流れについての説明に供するフローチャートである。
図13】ニュース番組を視聴しているときのシーンの切り替え手順についての説明に供する図である。
図14】シーンの再生途中で、シーンを切り替える手順についての説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の一例について図1を参照しながら説明する。
切替装置1は、図1に示すように、再生処理部11と、受信部12と、対応リスト取得部13と、関連シーン取得部14とを備える。
【0026】
切替装置1では、予め番組制作時に、コンテンツを構成するシーンに関連シーンを対応付けておき、ユーザの操作に応じて、シーンと関連シーンとを自在に切り替えることにより、ユーザの要望及び興味に応じたコンテンツ再生を行うことができる。
【0027】
再生処理部11は、複数のシーンにより構成されているコンテンツをシーンごとに順次再生して表示部2に出力する。
例えば、コンテンツは、ニュース番組、ドキュメント番組等が該当する。また、コンテンツは、放送波によって送信されてきてもよいし、インターネット等の通信網を介して、外部のコンテンツサーバから取得するものでもよい。
【0028】
また、放送又は通信によって取得したコンテンツは、切替装置1の内部ストレージに格納されてもよい。このような場合には、再生処理部11は、ユーザの操作によって、内部ストレージに格納されている一のコンテンツが選択された場合に、当該コンテンツを読み出して再生処理する。
また、コンテンツは、DVD等のパッケージメディアに格納されていてもよい。このような場合には、再生処理部11は、パッケージメディアを再生する機能を有する。
【0029】
受信部12は、外部からの信号を受信する。例えば、受信部12は、リモコンRから送信された信号(赤外線信号)を受信する構成でもよいし、スマートフォン等の電子通信機器から送信された信号を受信する構成でもよい。
【0030】
対応リスト取得部13は、受信部12により受信された信号が、関連シーンの表示を指示するものである場合、表示部2に表示されているシーンに関連する関連シーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部3から取得する。
例えば、対応リスト取得部13は、インターネット等の通信網を介して、対応リスト格納部3にアクセスし、対応リストを取得する。
【0031】
具体的には、対応リスト取得部13は、シーンに固有に付与されているシーンIDに基づいて、対応リスト格納部3に対して対応リストの送信をリクエストする。対応リスト格納部3は、対応リスト取得部13からのリクエストに応じて、シーンIDに対応した対応リストを対応リスト取得部13に送信する。
【0032】
ここで、対応リストは、詳細度リンクともよばれ、1対の映像素材を関連付けておき、どちらの映像素材がより詳細であるかを記述した情報である。例えば、図2(a)に示すように、映像素材Aと映像素材Bがあって、映像素材Aは、シーンの一部であって、詳細度が低く、映像素材Bは、当該シーンの関連シーン(解説シーン)であって、詳細度が高い場合には、詳細度リンクの記述は、Link(Start(リンクの始点):素材A、End(リンクの終点):素材B、Attribute(属性の種類):解説、Value(属性値):10)となる。図2(a)に示す対応リストは、映像素材Aと映像素材Bの関係の種類及びその度合を記述している。
【0033】
また、図2(b)に示すように、映像素材Aと映像素材Bがあって、映像素材Aは、シーンの一部であって、詳細度が低く、映像素材Bは、当該シーンの関連シーン(拡大図)であって、詳細度が高い場合には、詳細度リンクの記述は、Link(Start:素材A、End:素材B、Attribute:ズーム)となる。図2(b)に示す対応リストは、リンクの重み(関係の強さ)等は記述せず、始点と終点に指定された映像素材の関係のみを記述している。
【0034】
関連シーン取得部14は、対応リストに基づいて、関連シーンを関連シーン格納部4から取得する。例えば、関連シーン取得部14は、インターネット等の通信網を介して、関連シーン格納部4にアクセスし、関連シーンを取得する。
【0035】
具体的には、関連シーン取得部14は、関連シーンに固有に付与されている関連シーンIDに基づいて、関連シーン格納部4に対して関連シーンの送信をリクエストする。関連シーン格納部4は、関連シーン取得部14からのリクエストに応じて、関連シーンIDに対応した関連シーンを関連シーン取得部14に送信する。
【0036】
再生処理部11は、表示部2に表示されているシーンを関連シーン取得部14により取得した関連シーンに切り替えて、表示部2に表示する。
【0037】
切替装置1は、コンテンツをシーンごとに順次再生しているときに、あるシーン(親シーン)に関連する関連シーン(子シーン)への切り替えの指示が行われた場合、関連シーン格納部4から取得した関連シーン(子シーン)に切り替えて表示する。
【0038】
例えば、コンテンツが複数のテーマで構成されているニュースであり、テーマごとに専門家の解説が対応付けられている場合を想定して以下に説明する。なお、切り替えの操作がなければ、テーマ(シーン)のみが順次表示され、解説(関連シーン)は表示されないものとする。
【0039】
ユーザは、例えば、経済がテーマのニュースを視聴しているときに、当該ニュースの解説の映像(関連シーン)を見たいと思ったときに、例えば、リモコンRを操作する。
【0040】
切替装置1は、リモコンRから送信されてきた信号が、現在表示しているニュースの映像から解説の映像に切り替えるものである場合には、当該ニュースの映像に固有に付与されているIDに基づいて、対応リスト格納部3に対して対応リストの送信をリクエストする。
【0041】
切替装置1は、対応リストに基づいて、解説の映像(関連シーン)を関連シーン格納部4から取得する。切替装置1は、表示部2に表示されているニュースの映像(シーン)を解説の映像(関連シーン)に切り替えて、表示部2に表示する。
【0042】
このようにして、切替装置1は、あるシーンに関連し、詳細度の異なる関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示することができる。
【0043】
なお、上述では、関連シーンは、対応するシーンをより詳細に説明するものとして説明したがこれに限らず、シーンのダイジェスト的な内容であってもよい。このような場合には、再生時間は、関連シーンの方がシーンよりも短くなる。
【0044】
対応リスト取得部13は、表示部2に関連シーンが表示されている状態において、受信部12により受信された信号が、当該関連シーンに関連する関連シーンの表示を指示するものである場合、表示部2に表示されている関連シーンに関連する関連シーンが対応付けられている対応リストを対応リスト格納部3から取得する構成でもよい。
【0045】
関連シーン取得部14は、対応リストに基づいて、関連シーンを関連シーン格納部4から取得する。
再生処理部11は、表示部2に表示されている関連シーンを関連シーン取得部14により取得した関連シーンに切り替えて、表示部2に表示する。
【0046】
よって、切替装置1は、ある関連シーンを表示しているときに、当該関連シーンに関連する関連シーンの表示が指示された場合、指示された関連シーンを取得し、取得した関連シーンを表示する。
【0047】
例えば、コンテンツが複数のテーマで構成されているニュースであり、テーマごとに専門家の解説が対応付けられており、さらにその解説を掘り下げた情報が各解説に対応付けられている場合を想定して以下に説明する。なお、切り替えの操作がなければ、テーマの映像(シーン)のみが表示され、解説の映像(関連シーン)及び解説を掘り下げた映像(関連シーン)は表示されないものとする。
【0048】
ユーザは、あるテーマの映像(親シーン)から、そのテーマの解説の映像(子シーン)に切り替えて視聴しているときに、解説を掘り下げた映像(孫シーン)を見たいと思ったときに、例えば、リモコンRを操作する。
【0049】
切替装置1は、リモコンRから送信されてきた信号が、現在表示している解説の映像から解説を掘り下げた映像に切り替えるものである場合には、当該解説の映像に固有に付与されているIDに基づいて、対応リスト格納部3に対して対応リストの送信をリクエストする。
【0050】
切替装置1は、対応リストに基づいて、解説を掘り下げた映像(孫シーン)を関連シーン格納部4から取得する。切替装置1は、表示部2に表示されている解説の映像(子シーン)を、解説を掘り下げた映像(孫シーン)に切り替えて、表示部2に表示する。
【0051】
このようにして、切替装置1は、あるシーンに関連し、詳細度の異なる様々な関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示することができる。
【0052】
なお、本実施例では、あるテーマの映像(親シーン)には、当該テーマの解説の映像(子シーン)が対応付けられ、さらに、当該テーマの解説の映像には、当該解説を掘り下げた映像(孫シーン)が対応付けられているものとして説明したが、これに限られない。例えば、当該解説を掘り下げた映像に関連する映像(曾孫シーン)が対応付けられていてもよい。つまり、あるシーンに対して、複数の階層にそれぞれ関連シーンが関連付けられている。
【0053】
再生処理部11は、表示部2に表示されているシーンを関連シーン取得部14により取得した関連シーンに切り替えて、表示部2に表示し、当該関連シーンの表示が終了した場合には、切り替えたシーンに続くシーンを表示部2に表示する構成でもよい。
【0054】
例えば、コンテンツが複数のテーマで構成されているニュースであり、テーマごとに専門家の解説が対応付けられている場合を想定して以下に説明する。なお、切り替えの操作がなければ、テーマ(シーン)のみが順次表示され、解説(関連シーン)は表示されないものとする。
【0055】
ユーザは、例えば、経済がテーマのニュースを視聴しているときに、当該ニュースの解説の映像(関連シーン)を見たいと思ったときに、例えば、リモコンRを操作する。
【0056】
切替装置1は、リモコンRから送信されてきた信号が、現在表示しているニュースの映像から解説の映像に切り替えるものである場合には、当該ニュースの映像に固有に付与されているIDに基づいて、対応リスト格納部3に対して対応リストの送信をリクエストする。
【0057】
切替装置1は、対応リストに基づいて、解説の映像(関連シーン)を関連シーン格納部4から取得する。切替装置1は、表示部2に表示されているニュースの映像(シーン)を解説の映像(関連シーン)に切り替えて、表示部2に表示する。
【0058】
切替装置1は、解説の映像が終了した場合、経済の次のテーマである政治のニュースを表示する。
【0059】
このようにして、切替装置1は、あるシーンから関連シーンに切り替え、関連シーンの表示が終了したときに、切り替えたシーンに続くシーンを表示するので、途切れることなく、シームレスにコンテンツの視聴を継続することができる。
【0060】
対応リスト取得部13は、表示部2に表示されているシーンが関連シーン取得部14により取得した関連シーンに切り替えられた場合、当該シーンに続く次のシーンの対応リストを対応リスト格納部3から取得する構成でもよい。
【0061】
関連シーン取得部14は、対応リストに基づいて、次のシーンの関連シーンを関連シーン格納部4から取得する。
再生処理部11は、表示部2に表示されているシーンを関連シーン取得部14により取得した関連シーンに切り替えて、表示部2に表示し、当該関連シーンの表示が終了した場合には、次のシーンの関連シーンを表示部2に表示する。
【0062】
例えば、コンテンツが複数のテーマで構成されているニュースであり、テーマごとに専門家の解説が対応付けられている場合を想定して以下に説明する。なお、切り替えの操作がなければ、テーマ(シーン)のみが順次表示され、解説(関連シーン)は表示されないものとする。
【0063】
ユーザは、例えば、経済がテーマのニュースを視聴しているときに、当該ニュースの解説の映像(関連シーン)を見たいと思ったときに、例えば、リモコンRを操作する。
【0064】
切替装置1は、リモコンRから送信されてきた信号が、現在表示しているニュースの映像から解説の映像に切り替えるものである場合には、当該ニュースの映像に固有に付与されているIDに基づいて、対応リスト格納部3に対して対応リストの送信をリクエストする。
【0065】
切替装置1は、対応リストに基づいて、解説の映像(関連シーン)を関連シーン格納部4から取得する。切替装置1は、表示部2に表示されているニュースの映像(シーン)を解説の映像(関連シーン)に切り替えて、表示部2に表示する。
【0066】
また、切替装置1は、経済の次のテーマである政治のニュースの対応リストを対応リスト格納部3から取得する。切替装置1は、対応リストに基づいて、解説の映像(関連シーン)を関連シーン格納部4から取得する。
切替装置1は、経済のニュースの解説の映像が終了した場合、政治のニュースの解説の映像を表示部2に表示する。
【0067】
かかる構成によれば、切替装置1は、あるシーンの関連シーンを表示している状態において、次のシーンに関連シーンがある場合には、予めその関連シーンを取得しておき、あるシーンの関連シーンの表示が終了したときには、自動的に次のシーンの関連シーンの表示を行うので、操作性の向上を図ることができる。
【0068】
再生処理部11は、表示部2にシーン又は関連シーンを表示している状態において、当該シーン又は関連シーンに関連する関連シーンがある場合には、その旨の情報を表示部2に表示する構成でもよい。その旨の情報は、例えば、表示部2の隅の方に表示される所定のアイコンが該当する。
【0069】
よって、切替装置1は、関連シーンがある箇所において、その旨の情報を表示するので、関連シーンに興味を持っているユーザに対して、注意喚起を行うことができる。
【0070】
ここで、放送局等のコンテンツプロバイダは、時間軸に沿った一次元的な番組の制作のみを行うのではなく、制作過程、取材過程で得られる様々な映像素材を得ている。本実施例では、これらの映像素材を有効に利用することを一つの目的にしている。
具体的には、映像素材間に対応関係(詳細度リンク)を付与しておく。
詳細度リンクは、1対の映像素材を関連付けておき、どちらの映像素材がより詳細であるかを記述した情報である(図3を参照)。
【0071】
「映像Aより映像Bの方が詳細度が高い」という定義としては、様々なものを利用することができる。例えば、あるオブジェクトObjを俯瞰で撮影したものが映像Aであり、そのオブジェクトObjをズームアップして撮影したものが映像Bだと考えることができる。
【0072】
また、あるオブジェクトObjを撮影したものが映像Aであり、映像Aについて解説者が行なっている解説の映像を映像Bと考えることもできる。
これらの判断は、詳細度リンクを付与する担当者(番組制作ディレクター等)が判断するが、映像処理、又は映像素材に付与されたメタデータを利用して詳細度リンクを自動的に付与してもよい。
【0073】
映像Aの視聴中に、ユーザがリモコンRの所定キーを操作することにより、映像Bの再生を開始させることができる。
このようにして視聴番組の流れを変化させ、ユーザが時間をかけて番組を詳細に掘り下げて楽しんだり、逆に、短時間でコンテンツの概要を掴んだりすること可能となる。
【0074】
リモコンRの所定キーとは、シーンから関連シーンへ切り替える際に、直感的に操作ができるようなキーであれば好ましい。具体的には、リモコンRの所定キーは、ボリュームのノブで構成されている。例えば、ノブを右に回すと詳細度が高くなり、左に回すと詳細度が低くなるようにすると、直感的な操作が可能になる。
【0075】
また、リモコンRの所定キーは、スライドで構成されていてもよい。例えば、スライドを奥に滑らせると詳細度が高くなり、手前に滑らすと詳細度が低くなるようにすると、直感的な操作が可能になる。また、リモコンRでなくても、スマートフォンであってもよい。
【0076】
つぎに、切替装置1の具体的な実施例について説明する。
なお、以下の実施例では、放送局のようなコンテンツプロバイダにおいて、ある番組PR1を制作する際に、番組PR1のワンシーンである映像素材PE1を、映像素材PE2〜PE5を編集することで制作していた場合を想定して説明する(図4を参照)。
【0077】
テレビ番組の制作において、一般的に、制作者は、番組テーマに関連する映像素材PE2〜PE5を撮影後、番組の放送時間(尺)に合わせるために、映像素材PE2〜PE5を編集して、映像素材PE1にまとめる。
【0078】
つまり、映像素材PE1は、映像素材PE2〜PE5のダイジェスト的な映像素材であると位置付けることができる。また、映像素材PE2〜PE5は、映像素材PE1の詳細な映像素材と位置付けることもできる。
【0079】
例えば、映像素材PE1が「ある植物Sの紹介映像」である場合であって、映像素材PE1を制作するために、制作者は、映像素材PE2(植物Sの遠景映像)、映像素材PE3(植物Sのアップ映像)、映像素材PE4(植物Sの種の映像)、及び映像素材PE5(植物Sと昆虫の関係)といった複数の映像を撮影した後、映像素材PE2、映像素材PE4及び映像素材PE5に対して切り出し編集を行って、映像素材PE1を制作する(図4を参照)。
【0080】
つぎに、制作者は、映像素材PE1と、映像素材PE2〜PE5との間に、詳細度リンク(対応リスト)を付与する。なお、詳細度リンクは、必ずしも映像素材PE1に採用された映像素材のみに付与するものではなく、詳細度の関連があれば、どのような映像素材(本実施例では、採用されなかった映像素材PE3)にも付与することができる。
制作者は、複数の映像素材の間に、詳細度の違いを利用してリンクを多数付与し、映像アーカイブ(関連シーン格納部4)に保存する。なお、詳細度リンクは、映像処理技術、又は言語処理技術等を用いて、自動生成してもよい。
【0081】
また、詳細度リンクは、映像素材間において、1対1(例えば、映像素材PE1と、映像素材PE2との間)で付与してもよいし(図3を参照)、映像素材間において、1対他(例えば、映像素材PE1と、映像素材PE2〜PE5との間)で付与してもよい(図4を参照)。
【0082】
つぎに、以下では、放送中の番組PR1を視聴しているときに、又はレコーダ等に録画していた番組PR1を再生して視聴いるときに、映像素材PE1に該当するシーン(ある植物Sの紹介映像)において、ユーザが植物Sについてより詳しく知りたくなった場合を想定して説明する。
【0083】
ユーザは、図5に示すように、映像素材PE1に該当するシーンにおいて、リモコンRのノブ(図5中のK)を回し、その映像素材PE1に関連したより詳細なコンテンツの表示を指示する。
【0084】
なお、ノブは、テレビシステムのリモコンR上に物理的に設置されているとして説明したが、これに限られず、切替装置1と連携するスマートフォン、又はタブレットのような端末上に仮想的に設置されていてもよい。
【0085】
切替装置1は、リモコンRを介したユーザの指示に基づいて、映像素材PE1の詳細リンクが付加された映像素材PE2〜PE5を、インターネット等のネットワークを利用して映像アーカイブ(関連シーン格納部4)から取得する。
【0086】
切替装置1は、図6に示すように、映像素材PE1に該当するシーンの再生後に、取得した映像素材を、映像素材PE2→映像素材PE3→映像素材PE4→映像素材PE5の順序で再生する。なお、切り替えるタイミングは、映像素材PE1に該当するシーンの終了後であってもよいし、映像素材PE1に該当するシーンの途中から切り替えてもよい。また、切替装置1は、徐々に映像が切り替わるように、フェードイン処理とフェードアウト処理を行ってもよい。
【0087】
なお、ある映像素材に該当するシーンの再生中にノブが操作された場合、一つ前のシーンに対応付けられている映像素材を取得して、再生してもよい。
【0088】
また、詳細度リンクは、詳細度の程度に応じて複数の階層(第1階層、第2階層、第3階層・・・)に映像素材が関連付けられていてもよい。例えば、詳細度リンクは、図7に示すように、基本となる映像素材(図7中のX)に対して、詳細度の程度に応じて第1階層(図7中のL1)、第2階層(図7中のL2)及び第3階層(図7中のL3)にそれぞれ映像素材が関連付けられている。また、第1階層L1に近いほど、表示(再生)時間が短くて、情報量が少なく、一方、第3階層L3に近いほど、表示(再生)時間が長くて、情報量が多い傾向にある。
【0089】
ユーザは、コンテンツを視聴中に、所定のシーンにおいて、リモコンRのノブを操作することにより、各階層間に関連付けられている映像素材へ切り替えを行うことができる。
例えば、一段深い階層(第1階層→第2階層、又は第2階層→第3階層)の映像素材を視聴したければ、ノブを右に回す操作を行い、一段浅い階層(第2階層→第1階層、又は第3階層→第2階層)の映像素材を視聴したければ、ノブを左に回す操作を行う。
【0090】
また、コンテンツを構成するシーンに対しても、詳細度リンクを映像アーカイブ(関連シーン格納部4)の中で付与しておいてもよい。
例えば、映像素材PE7の次に再生(又は放送)される映像素材PE8の詳細度リンクには、映像素材PE7よりも詳細度が高いという情報が映像アーカイブ(関連シーン格納部4)の中で付与されているものとする。なお、詳細度の情報は、他の映像素材と比較した相対値ではなく、絶対値で示されていてもよい。
【0091】
切替装置1は、図8に示すように、映像素材PE7の再生中において、リモコンRのノブが回転されたこと(例えば、左回りの操作)を認識した場合には、次に再生(又は放送)予定の映像素材PE8のシーンを飛ばして、次の映像素材PE9のシーンを再生する。なお、本実施例では、映像素材PE7と映像素材PE9は、詳細度が同じである場合を想定している。
【0092】
このようにして、切替装置1は、ユーザの知識、要望又は興味に合わせて、詳細度の高い映像素材をじっくり視聴させたり、詳細度の高い映像素材をスキップして短時間に視聴させたりすることができ、詳細度の異なる映像素材を自在に切り替えることができる。
【0093】
本実施例は、放送と通信が連携したテレビシステム(例えば、「NHK技研、R&D NO.124/2010.11 Hybridcastの概要と技術」で紹介されているようなシステム)を利用することができる。例えば、放送、又はビデオ・オン・デマンドシステムにより番組コンテンツ(通常のテレビ番組)を提供し、インターネット等の通信により詳細度の高い関連シーンを送信する、といった利用方法が考えられる。
【0094】
また、各映像素材及び詳細度リンクは、ユーザの操作に応じて、個々にダウンロードする形態ではなく、予め、一括して各家庭にあるHDDレコーダ又はホームサーバにダウンロードする形態でもよい。また、映像素材は、ホームサーバ中に蓄積しておき、詳細度リンクのみをコンテンツプロバイダ等が保持していてもよい。
【0095】
つぎに、詳細度とリモコンRの関係について説明する。
例えば、ノブは、リモコンRの上に物理的に配置されており、左右に回転させることができ、回転させた状態で手を放すと、付勢機構により元の位置に戻る構成(以下、スイッチ機構という)が考えられる。
【0096】
ノブがスイッチ機構の場合、あるシーンでノブが回転操作されたあと、手が放されるとノブが付勢機構によりセンターに戻されるので、切替装置1は、あるシーンの詳細度よりも1段階詳細度が上がった映像素材を再生し、当該映像素材の再生が終了した場合、自動的に、詳細度が1段階下がった、すなわち、あるシーンと同じ詳細度のシーンの再生を行う。
【0097】
例えば、切替装置1は、図9(a)に示すように、シーン1を再生中にノブが右に回転操作された場合には、第1階層L1から階層を切り替えて、第2階層L2の映像素材PE1を再生する。切替装置1は、第2階層L2の映像素材PE2を再生中にノブが右に回転操作された場合には、階層を切り替えて、第3階層L3の映像素材PE13を再生する。
【0098】
切替装置1は、第3階層L3の映像素材PE15を再生中にノブが左に回転操作された場合には、階層を第1階層L1に切り替えて、シーン2を再生する。切替装置1は、シーン2の再生中にノブが右に回転操作された場合には、階層を切り替えて、第2階層L2の映像素材PE3を再生する。切替装置1は、ノブの操作が行われなかった場合、第2階層L2の映像素材PE4を再生後、階層を第1階層L1に切り替えて、シーン3を再生する。
【0099】
また、他の構成として、ノブは、リモコンRの上に物理的に配置されており、左右に回転させることができ、回転させた状態で手を放すと、その状態を維持する構成(以下、フェーダー機構という)が考えられる。
【0100】
例えば、切替装置1は、図9(b)に示すように、シーン1を再生中にノブが右に回転操作された場合には、第1階層L1から階層を切り替えて、第2階層L2の映像素材PE1を再生する。切替装置1は、ノブが回転されたままなので、第2階層L2の映像素材PE2を再生した後、第2階層L2の映像素材PE3(シーン2の関連シーン)を再生する。
【0101】
切替装置1は、第2階層L2の映像素材PE3を再生中にノブが右に回転操作された場合には、階層を切り替えて、第3階層L3の映像素材PE15を再生する。切替装置1は、ノブが回転されたままなので、第3階層L3の映像素材PE16を再生し、その後、同じ第3階層L3の映像素材PE17、PE18(映像素材PE4の関連シーン)を再生する。
【0102】
切替装置1は、ノブが回転されたままであるが、シーン3に第3階層L3の映像素材がないので、自動的に、第1階層L1に切り替えて、シーン3の再生を行う。切替装置1は、ノブが回転されたままなので、シーン4の第3階層L3の映像素材PE19を再生する。
【0103】
また、ノブがスイッチ機構であっても、回転操作された位置で固定できる固定部材を設けることによって、フェーダー機構としての機能も併せ持つことができる。
【0104】
このようにして、切替装置1は、リモコンRの構成によって、映像素材の切り替え手順に変化を持たせることができる。
【0105】
リモコンRのノブがスイッチ機構の場合における、切替装置1の動作の流れについて、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の実施例では、上位階層L1にシーンAとシーンBが関連付けられており、シーンAの下位階層L2にシーンaとシーンbが関連付けられているものとする(図11を参照)。すなわち、同じ階層にあるシーン同士は、兄弟の関係にあり、上位階層L1と下位階層L2に関連付けられているシーンは、親子の関係にある。また、ノブが右に回転操作された場合には、現在の階層から下位の階層に切り替え、ノブが左に回転操作された場合には、現在の階層から上位の階層に切り替えるものとする。
【0106】
ステップST1において、切替装置1は、シーンAを再生する。
ステップST2において、切替装置1は、シーンAの再生中にリモコンRのノブが回転操作されたかどうかを判断する。ノブが回転操作されたと判断した場合(Yes)、ステップST3に進み、ノブが回転操作されていないと判断した場合(No)、ステップST4に進む。
【0107】
ステップST3において、切替装置1は、ノブの回転方向に応じて階層を切り替え、切り替えた階層に関連付けられているシーンの再生を行う。例えば、ノブが右に回転操作された場合には、下位階層L2に切り替えて、シーンaの再生を行う。また、ノブが左に回転操作された場合には、現在の階層よりも上位の階層がないため、現在のシーンAの再生を継続する。
【0108】
ステップST4において、切替装置1は、現在の階層に未再生のシーンがあるかどうかを判断する。未再生のシーンがある場合(Yes)、ステップST5に進み、未再生のシーンがない場合(No)、ステップST6に進む。
【0109】
ステップST5において、切替装置1は、同じ階層において、未再生のシーンを再生する。
ステップST6において、切替装置1は、現在の階層よりも上位の階層があるかどうかを判断する。上位の階層がある場合(Yes)、ステップST7に進み、上位の階層がない場合(No)、処理を終了する。
ステップST7において、切替装置1は、上位の階層に切り替え、切り替えた階層に関連付けられているシーンの再生を行う。
【0110】
リモコンRのノブがフェーダー機構の場合における、切替装置1の動作の流れについて、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0111】
ステップST11において、切替装置1は、シーンAを再生する。
ステップST12において、切替装置1は、シーンAの再生中にリモコンRのノブが回転操作されたかどうかを判断する。ノブが回転操作されたと判断した場合(Yes)、ステップST13に進み、ノブが回転操作されていないと判断した場合(No)、ステップST15に進む。
【0112】
ステップST13において、切替装置1は、現在の階層に未再生のシーンがあるかどうかを判断する。未再生のシーンがある場合(Yes)、ステップST19に進み、未再生のシーンがない場合(No)、ステップST14に進む。
【0113】
ステップST14において、切替装置1は、現在の階層よりも上位の階層があるかどうかを判断する。上位の階層がある場合(Yes)、ステップST18に進み、上位の階層がない場合(No)、処理を終了する。
【0114】
ステップST15において、切替装置1は、ノブの回転量に応じた階層にシーンが関連付けられているかどうかを判断する。シーンが関連付けられている場合(Yes)、ステップST16に進み、シーンが関連付けられていない場合(No)、ステップST17に進む。例えば、ノブの回転量を20度ごとに階層を一つ上位又は下位に切り替えるものとする。よって、ノブが右に40度回転されたら、二つ下の階層に切り替える。
【0115】
ステップST16において、切替装置1は、ノブの回転量に応じた階層のシーンを再生する。
ステップST17において、切替装置1は、ノブの回転量に応じて最も近い階層のシーンを再生する。
【0116】
ステップST18において、切替装置1は、上位の階層に切り替え、切り替えた階層に関連付けられているシーンの再生を行う。
ステップST19において、切替装置1は、同じ階層において、未再生のシーンを再生する。
【0117】
ステップST20において、切替装置1は、現在再生されているシーンがノブの回転量に応じた階層のものかどうかを判断する。ノブの回転量に応じた階層である場合(Yes)、ステップST11に戻り、ノブの回転量に応じた階層でない場合(No)、ステップST15に戻る。
【0118】
また、上述では、切替装置1は、放送波に重畳されてくる番組コンテンツ、又はビデオ・オン・デマンドシステムにより送信されてくる番組コンテンツを受信し、あるシーンを視聴しているときに、詳細度の高い映像素材の表示を要求された場合、関連シーン格納部4から対応する映像素材(関連シーン)を取得し、取得した映像素材に切り替えて表示するものとして説明したが、これに限られない。
【0119】
例えば、切替装置1は、シーンの再生順序が記憶されているメモリと、メモリを参照し、番組コンテンツと関連シーンが格納されているコンテンツDBから必要なシーンを読み出し、読み出したシーンの再生を行う再生部と、リモコンRから送信された信号を受信する受信部と、リモコンRから送信されてきた信号に基づいて、現在再生されているシーンに対応する詳細度リンクを詳細度リンクDBから抽出し、メモリに記憶されている再生順序を変更する再生順序決定部を備える構成でもよい。なお、コンテンツDB及び詳細度リンクDBは、切替装置1の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。
【0120】
このように構成されても、切替装置1は、ユーザの知識、要望又は興味に合わせて、詳細度の高い映像素材をじっくり視聴させたり、詳細度の高い映像素材をスキップして短時間に視聴させたりすることができ、詳細度の異なる映像素材を自在に切り替えることができる。
【0121】
<ニュース番組の視聴時の動作>
つぎに、番組コンテンツがニュース番組である場合の切替装置1の動作について説明する。
図13は、ニュース番組視聴時の本発明の動作の様子を示したものである。通常、ニュース番組は話題ごとに複数の「ニュース項目」に分かれている。また、ニュース項目は、意味単位ごとのシーンに分かれているものとする。なお、図13中のA、a〜c、B、d〜f、C、gは、シーンを示している。
【0122】
本実施例では、ニュース項目1は、「政治」ジャンルの話題、ニュース項目2は、「社会」ジャンルの話題、ニュース項目3は、「エンターテイメント」ジャンルの話題であるとする。また、シーンbには、詳細度リンクで結ばれたシーンb1〜b3が関連付けられている。シーンeには、詳細度リンクで結ばれたシーンe1〜e3が関連付けられている。シーンgには、詳細度リンクで結ばれたシーンg1及びg2が関連付けられている。
【0123】
また、ユーザがニュース項目1のシーンbを視聴中に、このニュースについてもっと深く知りたくなった場合を想定して以下に説明する。
【0124】
ユーザは、シーンBを再生中に、リモコンRのノブを回転操作する(例えば、右に回転する)。切替装置1は、シーンbの再生後に、シーンb1〜b3を再生し、その再生が終わるとシーンcを再生する。
【0125】
なお、ユーザがリモコンRのノブを回転操作した時点では、目的とするシーンbから次のシーンcに切り替わっている場合がある。こういった場合を考慮し、切替装置1は、リモコンRのノブが回転されたことを認識したときには、現在再生しているシーンを含め、前後のシーンに関連付けられているシーンを再生してもよい。
【0126】
例えば、切替装置1は、以下に列挙する再生順序を採用しうる。
再生順序1:A→a→b(シーンbの再生途中で、リモコンRのノブが回転されたことを認識した)→b1→b2→b3→c→B・・・
再生順序2:A→a→b→c(シーンcの再生途中で、リモコンRのノブが回転されたことを認識した)→b1→b2→b3→c→B・・・
再生順序3:A→a(シーンaの再生途中で、リモコンRのノブが回転されたことを認識した)→b1→b2→b3→c→B・・・
【0127】
切替装置1は、条件に応じて、適宜、上述の再生手順を変更してもよいし、ユーザが任意に設定できてもよい。
また、詳細は後述するが、切替装置1は、シーンの再生途中で、リモコンRのノブが回転されたことを認識した場合に、再生中のシーンの残りの部分を再生し終わってから、関連付けられているシーンに切り替わってもよいし、リモコンRのノブが回転されたことを認識した時点で、再生中のシーンを中断して、関連付けられているシーンに切り替わってもよい。また、切替装置1は、関連付けられているシーンの再生が終了した場合に、中断していたシーンから再生してもよいし、次のシーンの冒頭から再生してもよい。
【0128】
ここで、シーンbの再生途中で、リモコンRのノブが回転されたことを認識した場合の切替装置1の動作について、図14を参照しながら説明する。
本実施例では、シーンbにおいて、リモコンRのノブが回転されたことを認識したときに、既に再生を行った映像区間を、bhとし、未だ再生を行っていない映像区間を、btとする。
【0129】
例えば、切替装置1は、以下に列挙する再生順序を採用しうる。
再生順序1:A→a→bh→b1→b2→b3→bt→c
再生順序2:A→a→bh→bt→b1→b2→b3→c
再生順序3:A→a→bh→b1→b2→b3→c
【0130】
切替装置1は、例えば、シーンbの下位の階層に相当するシーンb1、b2、b3に、btの映像が含まれていることが分かっている場合には、これを条件として、再生順序1ではなく再生順序3を採用する。このようにして、切替装置1は、時間を有効に使うことが可能となる。
切替装置1は、条件に応じて、適宜、上述の再生手順を変更するものとして説明したが、これに限られず、ユーザが任意に設定できてもよい。
【0131】
また、本実施例では、2階層の場合の処理について説明したが、3階層以上の多階層の場合にも、同様に処理を行うことができる。
【0132】
また、ニュース番組視聴中に、リモコンRのノブが左に回転された場合には、「ユーザはそのニュース項目にはあまり興味がない」と判断することもできる。例えば、切替装置1は、図13に示すように、シーンaを再生しているときに、リモコンRのノブが左に回転されたことを認識した場合、シーンaに上位シーンが存在しないため、兄弟シーンをすべて飛ばしてシーンBに移動する。
【0133】
こういった処理は、番組ジャンルごとに設定することができる。例えば、ニュース番組等は項目ごとに明確なシーン分けがなされているが、ドラマ等では、明確なシーン分けはされていない。明確なシーン分けがされている番組に関しては、「ユーザは興味がない」という判断をして、次のシーンに飛ばす処理を行ってもよい。
【0134】
なお、本実施例では、主に切替装置1の構成と動作について説明したが、これに限られず、各構成要素を備え、詳細度の異なる関連シーンを個々のユーザの要望及び興味に応じて、自在に切り替えて表示するための方法、及びプログラムとして構成されてもよい。
【0135】
さらに、切替装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0136】
ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0137】
さらに「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 切替装置
2 表示部
3 対応リスト格納部
4 関連シーン格納部
11 再生処理部
12 受信部
13 対応リスト取得部
14 関連シーン取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14