(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも2種の異なる材料を含み、そのうち少なくとも1種の材料が電子伝導性である電子輸送層を含むことを特徴とする、請求項8から11又は13のいずれか1項に記載のOLED。
電子輸送層が、少なくとも1種のフェナントロリン誘導体と少なくとも1種のアルカリ金属−ヒドロキシキノラト錯体を含むことを特徴とする、請求項15に記載のOLED。
請求項8から11又は請求項13から16のいずれか1項に記載の少なくとも1つのOLEDを含む、照明エレメント、定置式ディスプレイ及び可搬式ディスプレイからなる群から選択される装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルベン結合を介して中心金属原子に結合されたフェニルイミダゾール単位又はフェニルトリアゾール単位と、窒素−金属結合を介して中心原子に結合されているフェニルイミダゾール配位子とを含むヘテロレプティックな錯体、かかるヘテロレプティックな錯体を含むOLED、かかるヘテロレプティックな錯体を少なくとも1つ含む発光層、かかるOLEDを含む、照明エレメント、定置式ディスプレイ及び可動式ディスプレイからなる群から選択される装置、かかるヘテロレプティックな錯体をOLEDにおいて、例えば発光体として、マトリクス材料として、電荷輸送材料として及び/又は電荷ブロッカーとして用いる使用に関する。
【0002】
有機発光ダイオード(
Organic
Light
Emitting
Diode、OLED)においては、電流によって励起された場合に光を放出する材料の特性が用いられる。OLEDは、特に陰極線管及び液晶ディスプレイの代替として、平面ディスプレイの製造のために関心が持たれている。そのコンパクトな構造及び本来より低い電流消費に基づいて、OLEDを含む装置は、特に可搬用途、例えば携帯機器、ラップトップなどで使用するために適している。更に、白色OLEDは、今まで知られている照明技術に対して大きな利点を、特に、極めて高い効率を提供する。
【0003】
従来技術においては、電流による励起に際して光を発する数多くの材料が、特に中心金属原子としてイリジウムを有するヘテロレプティックな錯体が提案されている。
【0004】
WO2006/121811号A1においては、カルベン配位子を含む、燐光性のヘテロレプティックな金属錯体が開示されている。WO2006/121811号A1に挙げられる錯体、例えばイリジウム錯体は、例外なく、カルベン配位子として、ベンゾイミダゾールカルベン(ベンゾイミダゾリリデン)を有する。イミダゾールカルベン(イミダゾリリデン)もしくはトリアゾールカルベン(トリアゾリリデン)を配位子として有する化合物は、WO2006/121811号A1に開示されていない。
【0005】
WO2006/067074号A1は、同様に、カルベン配位子を有する、電界発光性のヘテロレプティックな錯体を開示している。非カルベン配位子としては、とりわけ、アリールピリジン、アリールピラゾール及びアリールトリアゾールが使用される。2−フェニル−1H−イミダゾール類を非カルベン配位子として使用することは、WO2006/067074号A1には開示されていない。
【0006】
WO2007/115981号は、カルベン配位子も複素環式の非カルベン配位子も含むヘテロレプティックな金属錯体、該錯体の製造方法並びに前記化合物をOLEDにおいて用いる使用を開示している。WO2007/115981号に例示的に開示された化合物は、2−フェニル−1H−イミダゾール配位子と、イミダゾールカルベン(イミダゾリリデン)配位子もしくはトリアゾールカルベン(トリアゾリリデン)配位子との組み合わせを含まない。
【0007】
JP2009057505号は、発光波長を調整でき、発光効率が高く、かつ寿命が長い化合物を含む、光電子素子を開示している。前記文献による素子は、2つの場合により互いに結合された配位子の他に、少なくとも1つの配位子を含み、該配位子が、一方でカルベン結合を介して金属原子に、他方で非カルベン結合を介して金属原子に結合されている、金属錯体を含む。2−フェニル−1H−イミダゾール配位子と、イミダゾールカルベン(イミダゾリリデン)配位子もしくはトリアゾールカルベン(トリアゾリリデン)配位子との組み合わせは開示されていない。
【0008】
電磁線スペクトルの可視領域で、特に赤色、緑色及び特に青色領域で電界発光を示す化合物、例えばイリジウム錯体は既に知られているものの、高い量子収量を有し、かつ長いダイオード寿命を示す代替の提供が望まれている。本発明の範囲においては、電界発光とは、電界蛍光も、電界燐光も、いずれも表している。
【0009】
従って、本発明の課題は、電磁線スペクトルの可視領域での、特に青色、赤色及び緑色の領域での電界発光に適した代替的なイリジウム錯体及び白金錯体であって、それによりフルカラーディスプレイ及び白色OLEDの製造が可能となる錯体を提供することである。更に、本発明の課題は、ホスト化合物(マトリックス材料)との混合物として又はそのままで(in Substanz)、すなわちホスト物質の不在下で、OLED中の発光層として使用できる相応の錯体を提供することである。更に、一つの課題は、高い量子収量並びにダイオード中での高い安定性を有する相応の錯体を提供することである。該錯体は、OLED中で、発光体として、マトリクス材料として、電荷輸送材料として、特に正孔輸送材料として又は電荷ブロッカーとして使用できるべきである。
【0010】
前記課題は、本発明によれば、一般式(I)
【化1】
[式中、M、A
1、A
2、n、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、以下の意味を有する:
Mは、Ir及びPtからなる群から選択される金属原子を意味し、
A
1、A
2は、互いに独立して、N又はCを意味し、
n、mは、互いに独立して、1又は2を意味し、その際、MがPtである場合に、n及びmの合計は2であり、又はMがIrである場合に、n及びmの合計は3であり、
R
1は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、場合により少なくとも1つの官能基を有する、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
R
2、R
3は、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、場合により少なくとも1つの官能基を有する、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
R
4、R
5、R
6、R
7は、互いに独立して、水素、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、場合により少なくとも1つの官能基を有する、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
又は、R
4及びR
5又はR
5及びR
6及び/又はR
6及びR
7は、一緒になって、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の、全体で5〜30個の炭素原子もしくはヘテロ原子を有する炭素環を形成し、
R
8、R
9は、互いに独立して、A
1もしくはA
2がNである場合又はA
1もしくはA
2がCである場合に、非共有電子対を、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、場合により少なくとも1つの官能基を有する、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
R
10は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、場合により少なくとも1つの官能基を有する、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
R
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立して、水素、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する置換基、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、場合により少なくとも1つの官能基を有する、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
又は、R
11及びR
12又はR
12及びR
13及び/又はR
13及びR
14は、一緒になって、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の、全体で5〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する炭素環を形成し、
及び/又は、R
1及びR
14は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されており、
及び/又は、A
1がCである場合に、R
7及びR
8は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されている]のヘテロレプティックな錯体によって解決される。
【0011】
本発明の範囲において、アリール残基、アリール単位もしくはアリール基、ヘテロアリール残基、ヘテロアリール単位もしくはヘテロアリール基、アルキル残基、アルキル単位もしくはアルキル基及びシクロアルキル残基、シクロアルキル単位もしくはシクロアルキル基は、別の意味が示されていない限りは、以下の意味を有する:
アリール残基もしくはアリール基とは、6〜30個の炭素原子、有利には6〜18個の炭素原子の基本骨格を有する基であって、1つの芳香族環又は複数の縮合された芳香族環から構成されている基を表す。好適な基本骨格は、例えばフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル又はフェナントレニルである。前記の基本骨格は、非置換であってよい、すなわち、置換可能な全ての炭素原子は水素原子を有するか、又は基本骨格の1つ、複数又は全ての置換可能な位置は置換されていてよい。好適な置換基は、例えば、アルキル基、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル基、エチル基、i−プロピル基もしくはt−ブチル、アリール基、好ましくはC
6−アリール基(前記基は、更に置換されていてよく又は非置換であってもよい)、ヘテロアリール基、好ましくは、少なくとも1つの窒素原子を有するヘテロアリール基、特に好ましくはピリジル基、アルケニル基、好ましくは1つの二重結合を有するアルケニル基、特に好ましくは、1つの二重結合及び1〜8個の炭素原子を有するアルケニル基又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基である。ドナー作用を有する基とは、+I効果及び/又は+M効果を有する基を表し、かつアクセプター作用を有する基とは、−I効果及び/又は−M効果を有する基を表す。ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する好適な基は、ハロゲン基、好ましくはF、Cl、Br、特に好ましくはF、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、アミン基、アミド基、CH
2F基、CHF
2基、CF
3基、CN基、チオ基又はSCN基である。殊に好ましくは、アリール基は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、F、Cl アリールオキシ、アミン、チオ基及びアルコキシからなる群から選択される置換基を有するか、又はアリール基は非置換である。好ましくは、アリール残基又はアリール基は、C
6−アリール基であり、該アリール基は、場合により上述の置換基の少なくとも1つで置換されている。特に好ましくは、C
6−アリール残基は、上述の置換基を有さないか、1個、2個、3個もしくは4個の上述の置換基を有する。
【0012】
ヘテロアリール残基又はヘテロアリール基とは、5〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する基であって、アリール基の基本骨格において少なくとも1つの炭素が1つのヘテロ原子によって交換されている点で前記のアリール基と異なる前記基を表す。好ましいヘテロ原子は、N、O及びSである。殊に好ましくは、アリール基の基本骨格の1個の又は2個の炭素原子は、ヘテロ原子によって交換されている。特に好ましくは、該基本骨格は、電子リッチな系、例えばピリジル、ピリミジル、ピラジル及びトリアゾリル並びに5員の複素芳香族化合物、例えばピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾール及びチアゾールから選択される。該基本骨格は、その基本骨格の1つ、複数又は全ての置換可能な位置で置換されていてよい。好適な置換基は、既にアリール基に関して挙げたのと同じ置換基である。
【0013】
アルキル残基又はアルキル基とは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に好ましくは1〜8個の炭素原子を有する基を表すべきである。前記のアルキル基は、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよく、かつ場合により1又は複数のヘテロ原子、好ましくはN、O又はSによって中断されていてよい。更に、前記のアルキル基は、アリール基に関して挙げた置換基1又は複数で置換されていてよい。同様に、該アルキル基は、1もしくは複数のアリール基を有することも可能である。この場合に、前記のアリール基の全てが適している。特に有利には、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、i−ブチル、n−ブチル、t−ブチル、s−ブチル、i−ペンチル、n−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル及びs−ヘキシルからなる群から選択されるアルキル基である。殊に好ましくは、メチル、i−プロピル、t−ブチルである。
【0014】
シクロアルキル残基又はシクロアルキル基とは、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子、特に好ましくは3〜8個の炭素原子を有する環式基を表すべきである。このシクロアルキル基は、場合により、1もしくは複数のヘテロ原子、好ましくはN、OもしくはSで中断されていてよい。更に、前記シクロアルキル基は非置換であっても又は置換されていてもよい、すなわちアリール基に関して上述した1もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。同様に、該シクロアルキル基は、1もしくは複数のアリール基を有することも可能である。この場合に、前記のアリール基の全てが適している。
【0015】
アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基に関して述べたものは、本発明によれば、互いに独立して、本願で挙げた基、特にR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14に当てはまり、その際、R
8及びR
9は、A
1及び/又はA
2がNである場合については非共有電子対を意味し、すなわち前記の環窒素原子には上述の基から選択される置換基は存在しない。A
1及び/又はA
2がCである場合については、R
8及びR
9として、互いに独立して、水素及び/又は上述の置換基が存在する。
【0016】
好ましい一実施態様においては、M、A
1、A
2、n、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、以下の意味を有する:Mは、本発明によれば、Ir又はPt、好ましくはIrを意味する。Irは、本発明によるヘテロレプティックな錯体において、酸化数+3で存在する。Ptは、本発明によるヘテロレプティックな錯体において、酸化数+2で存在する。
【0017】
A
1及びA
2は、本発明によれば、互いに独立して、C又はNを意味する。本発明によれば、以下の実施形態が好ましい:
1. A
1もA
2もいずれもCを意味する、すなわち本発明によるヘテロレプティックな錯体は、金属−カルベン結合を介して結合された少なくとも1つのフェニルイミダゾール単位を含む。
2. 更なる好ましい一実施態様においては、A
1及びA
2は、N又はCを意味し、その際、A
2がCの場合にA
1がNであるか又はA
2がNの場合にA
1がCである、すなわちA
1とA
2からの一方がNであり、もう一方がCである。この実施態様においては、本発明によるヘテロレプティックな錯体は、金属−カルベン結合を介して結合された少なくとも1つのフェニルトリアゾール単位を含む。
【0018】
n及びmは、互いに独立して、1又は2を意味し、その際、MがPtである場合に、nとmの合計は2であり、又はMがIrである場合に、nとmの合計は3である。従って、MがPtである場合には、n及びmは、それぞれ1である。MがIrである場合には、nが2であり、かつmが1であることが好ましい。
【0019】
R
1は、好ましい一実施態様においては、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味する。
【0020】
特に好ましくは、R
1は、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基であり、殊に好ましくは、置換された、特にオルト,オルト′位でもしくはオルト,オルト′,パラ位で置換された又は非置換のフェニル基である。該置換基は、好ましくは1〜10個の、特に1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルである。殊に好ましい基R
1は、フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、2,6−ジイソプロピル−フェニル又は2,4,6−トリメチルフェニル、すなわちメシチルである。
【0021】
従って、本発明は、特に、本発明によるヘテロレプティックな錯体であって、その式中、R
1が、6〜30個の炭素原子を有するアリール基であり、前記基は、オルト,オルト′位でそれぞれ、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基により置換されている前記錯体に関する。
【0022】
R
2、R
3は、好ましい一実施態様においては、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味する。
【0023】
R
4、R
5、R
6、R
7は、好ましい一実施態様において、水素を意味し、又はR
4及びR
5又はR
5及びR
6又はR
6及びR
7は、特にR
5及びR
6又はR
6及びR
7は、一緒になって、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の、全体で6〜30個の炭素原子を有する炭素環を形成する。
【0024】
本発明によるヘテロレプティックな錯体の殊に好ましい一実施態様においては、R
4及びR
5又はR
5及びR
6又はR
6及びR
7は、一緒になって、一般式(IIa)又は(IIb)
【化2】
の環を形成する。
【0025】
R
8、R
9は、更なる好ましい一実施態様においては、互いに独立して、A
1もしくはA
2がNであるか又はA
1もしくはA
2がCである場合には非共有電子対を意味し、水素又は直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基又は置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基、殊に好ましくはフェニル基を意味する。
【0026】
R
10は、好ましい一実施態様においては、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有する、特に好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有する、特に好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリール基を意味する。R
10に関して特に好ましいアルキル基のための例は、メチル、エチル、プロピル、特にイソプロピル、ブチル、特にt−ブチル又はペンチルである。R
10に関して特に好ましいアリール基のための例は、非置換のフェニル又は置換されたフェニル、好ましくはオルト位で、例えば1〜6個の炭素原子を有するアルキルによって、例えばメチル、エチルもしくはプロピルによって、特にイソプロピルによって置換されたフェニルである。
【0027】
R
11、R
12、R
13、R
14は、好ましい一実施態様においては、互いに独立して、水素又は直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくは水素を意味する。
【0028】
本発明によるヘテロレプティックな錯体の更なる一実施態様においては、R
1及びR
14は、一緒になって、飽和のもしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を含む、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環が、好ましくは6員の芳香族環が縮合されている。殊に好ましくは、R
1及びR
14は、2個の炭素原子を有する不飽和の架橋を形成し、前記架橋には、6員の芳香族環が縮合されており、前記環は、非置換であるか、又は1もしくは2個の、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチルもしくはエチルで置換されている。
【0029】
本発明によるヘテロレプティックな錯体の更なる一実施態様においては、A
1がCである場合に、R
7及びR
8は、一緒になって、飽和のもしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を含む、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環が、好ましくは6員の芳香族環が縮合されている。殊に好ましくは、R
7及びR
8は、2個の炭素原子を有する不飽和の架橋を形成し、前記架橋には、6員の芳香族環が縮合されており、前記環は、非置換であるか、又は1もしくは2個の、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチルもしくはエチルで置換されている。
【0030】
特に好ましくは、本発明は、一般式(I)で示され、その式中、M、A
1、A
2、n、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、以下の意味を有する:
Mは、Irを意味し、
A
1、A
2は、Cを意味し、
n、mは、互いに独立して、1又は2を意味し、その際、n及びmの合計は3であり、好ましくは、nは2であり、かつmは1であり、
R
1は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、好ましくは、R
1は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
R
2、R
3は、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、好ましくは、R
2及びR
3は、水素を意味し、
R
4、R
5、R
6、R
7は、水素を意味し、
又は、R
4及びR
5又はR
5及びR
6又はR
6及びR
7は、一緒になって、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の、全体で5〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する環を形成し、
R
8、R
9は、水素を意味し、
R
10は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を意味し、
R
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立して、水素又は直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
及び/又は、R
1及びR
14は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されており、
及び/又は、R
7及びR
8は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されている、本発明によるヘテロレプティックな錯体に関する。
【0031】
上述の好ましい及び特に好ましい実施態様は、相応のことが当てはまる。
【0032】
更に、本発明は、好ましくは、一般式(I)で示され、その式中、M、A
1、A
2、n、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、以下の意味を有する:
Mは、Irを意味し、
A
1、A
2は、N又はCを意味し、その際、A
2がCの場合にA
1はNであり、かつA
2がNの場合にA
1はCであり、
n、mは、互いに独立して、1又は2を意味し、その際、n及びmの合計は3であり、好ましくは、nは2であり、かつmは1であり、
R
1は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、好ましくは、R
1は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
R
2、R
3は、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、好ましくは、R
2及びR
3は、水素を意味し、
R
4、R
5、R
6、R
7は、水素を意味し、
又は、R
4及びR
5又はR
5及びR
6又はR
6及びR
7は、一緒になって、場合により少なくとも1つのヘテロ原子によって中断された、飽和の、不飽和のもしくは芳香族の、全体で5〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する環を形成し、
R
8、R
9は、互いに独立して、A
1もしくはA
2がNである場合又はA
1もしくはA
2がCである場合に、非共有電子対を、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
R
10は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を意味し、
R
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立して、水素又は直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
及び/又は、R
1及びR
14は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されており、
及び/又は、R
7及びR
8は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されている、本発明によるヘテロレプティックな錯体に関する。
【0033】
上述の好ましい及び特に好ましい実施態様は、相応のことが当てはまる。
【0034】
また、本発明は、好ましくは、一般式(I)で示され、その式中、M、A
1、A
2、n、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、以下の意味を有する:
Mは、Irを意味し、
A
1は、Cを意味し、
A
2は、N又はCを意味し、
n、mは、互いに独立して、1又は2を意味し、その際、n及びmの合計は3であり、好ましくは、nは2であり、かつmは1であり、
R
1は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、好ましくは、R
1は、置換もしくは非置換のアリール基であり、
R
2、R
3は、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、好ましくは、R
2及びR
3は、水素を意味し、
R
4、R
5、R
6は、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を意味し、
R
7及びR
8は、一緒になって、C
2架橋を形成し、前記架橋には、置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環が縮合されていてよく、
R
9は、A
2がNである場合又はA
2がCである場合に、非共有電子対を、水素、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基、置換もしくは非置換の、5〜18個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するヘテロアリール基を意味し、
R
10は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換もしくは非置換の、6〜30個の炭素原子を有するアリール基を意味し、
R
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立して、水素又は直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
及び/又は、R
1及びR
14は、一緒になって、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝鎖状の、場合によりヘテロ原子、芳香族単位、複素芳香族単位及び/又は官能基を有する、全体で1〜30個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有する架橋を形成し、前記架橋には、場合により置換もしくは非置換の、5員ないし8員の、炭素原子及び/又はヘテロ原子を含む環、好ましくは6員の芳香族環が縮合されている、本発明によるヘテロレプティックな錯体に関する。
【0035】
最後に挙げた実施態様は、以下の一般式(Ib)
【化3】
に相当する。
【0036】
一般式(I)の殊に好ましい本発明によるヘテロレプティックな錯体は、第1表に示された配位子を、特に好ましくは示された組み合わせで有する:
第1表
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
【表11】
【0047】
【表12】
【0048】
【表13】
【0049】
【表14】
【0050】
【表15】
【0051】
【表16】
【0052】
それぞれ、Mは、Irであり、nは、2であり、かつmは、1である。
【0053】
本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体中に存在する金属Mの配位数と、使用されるカルベン配位子及び非カルベン配位子の数に応じて、相応のヘテロレプティックな金属錯体の種々の異性体が、同じ金属Mの場合に、かつ使用されるカルベン配位子及び非カルベン配位子の同じ性質の場合に存在する。
【0054】
例えば、2つの非カルベン配位子と1つのカルベン配位子を有する八面体のイリジウム(III)錯体については、それぞれ2つのエナンチオマー(a及びb)の形で存在しうる以下の異性体S1ないしS4が可能である:
【化4】
【0055】
本願においては、両方の2−フェニル−1H−イミダゾール配位子の配置に基づき、異性体S1a/S1b及びS2a/S2bは、擬メリディオナル(pseudo−meridional)な異性体と呼ばれ、かつ異性体S3a/S3b及びS4a/S4bは、擬フェイシャル(pseudo−facial)な異性体と呼ばれる。
【0056】
驚くべきことに、本発明によれば、異性体S3及びS4は、OLEDで使用する場合に、一般に、ダイオードで使用する場合の効率及び寿命に関して特に良好な結果をもたらすことが判明した。従って、異性体S3a/S3b及びS4a/S4b、すなわち擬フェイシャルな異性体は、本発明によれば特に好ましい。従って、特に好ましくは、一般式(I)の本発明による錯体であって、2つの非カルベン配位子と1つのカルベン配位子とを含む錯体は、擬フェイシャルな異性体として存在する。
【0057】
1つの非カルベン配位子と2つのカルベン配位子を有するイリジウム(III)錯体については、ここでも2つのエナンチオマー(a及びb)の形で存在しうる以下の異性体T1ないしT4が可能である:
【化5】
【0058】
本願においては、両方のフェニル−カルベン配位子の配置に基づき、異性体T1a/T1b及びT2a/STbは、擬メリディオナル(pseudo−meridional)な異性体と呼ばれ、かつ異性体T3a/T3b及びT4a/T4bは、擬フェイシャル(pseudo−facial)な異性体と呼ばれる。
【0059】
驚くべきことに、本発明によれば、異性体T3及びT4は、OLEDで使用する場合に、一般に、ダイオードで使用する場合の効率及び寿命に関して特に良好な結果をもたらすことが判明した。従って、異性体T3a/T3b及びT4a/T4b、すなわち擬フェイシャルな異性体は、本発明によれば特に好ましい。従って、特に好ましくは、一般式(I)の本発明による錯体であって、1つの非カルベン配位子と2つのカルベン配位子とを含む錯体は、擬フェイシャルな異性体として存在する。
【0060】
1つのカルベン配位子と1つの非カルベン配位子を有する平方平面型の白金(II)錯体では、両方の異性体U1及びU2が可能である:
【化6】
【0061】
一般に、式(I)のヘテロレプティックな金属錯体の種々の異性体は、当業者に公知の方法に従って、例えばクロマトグラフィー、昇華もしくは結晶化によって分離することができる。種々の異性体は、一般に、好適な反応条件(例えばpH値)によって、熱的に又は光化学的に、互いに変換されうる。
【0062】
本発明は、式(I)のヘテロレプティックな錯体のそれぞれ個々の異性体もしくはエナンチオマーにも、種々の異性体もしくはエナンチオマーのあらゆる任意の混合比での混合物にも関する。
【0063】
従って、本発明は、特に好ましい一実施態様においては、M、A
1、A
2、n、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14についての上述の一般的な意味を有する及び好ましい意味を有する、本発明によるヘテロレプティックな錯体に関し、その際、該錯体は、以下の立体配置IIIa、IIIb、IVaもしくはIVbの一つを示す:
【化7】
【0064】
【化8】
【0065】
本発明は、更に、一般式(I)による本発明によるヘテロレプティックな錯体の製造方法であって、
金属Mと一般式(I)の錯体中で非カルベン結合を介してMに結合されている少なくとも1つの配位子とを含む少なくとも1種の前駆体化合物と、一般式(I)の錯体中で少なくとも1つのカルベン結合を介してMに結合されている少なくとも1種の配位子もしくはその配位子前駆体、例えば相応のイミダゾリウム塩などの前駆体とを接触させることによって行うか、又は
金属Mと一般式(I)の錯体中で少なくとも1つのカルベン結合を介してMに結合されている配位子とを含む少なくとも1種の前駆体化合物と、一般式(I)の錯体中で非カルベン結合を介してMに結合されている少なくとも1つの配位子とを接触させることによって行う、前記方法に関する。
【0066】
本発明による方法の好ましい一実施態様においては、相応の非カルベン配位子を、相応の金属M、好ましくはイリジウムに結合させて含み、かつ相応のカルベン配位子を、好ましくは脱プロトン化された形で遊離のカルベンとして又は保護されたカルベンの形で含む錯体を、例えば銀カルベン錯体として接触させる。好適な前駆体化合物は、一般式(I)の錯体中に存在すべき相応の置換基R
1〜R
14を含む。
【0067】
相応の非カルベン配位子を、相応の金属M、好ましくはイリジウムに結合させて含む相応の錯体は、当業者に公知である。一般式(I)の錯体中に存在する非カルベン配位子の他に、前駆体化合物として使用される前記錯体は、当業者に公知の更なる配位子、例えばハロゲニド、好ましくはクロリドを含んでよい。更なる好適な配位子は、例えば1,5−シクロオクタジエン(COD)、ホスフィン、シアニド、アルコレート、擬ハロゲニド及び/又はアルキルである。
【0068】
相応の非カルベン配位子を、相応の金属Mに結合させて含む特に好ましい錯体は、例えば一般式(VI)
【化9】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
11、R
12、R
13及びR
14については上述の意味を有し、その際、Yは、互いに独立して、F、Cl、Br、I、メトキシ又はカルボキシレートであってよい]の化合物である。
【0069】
一般式(I)の錯体中で使用されるカルベン配位子のための前駆体化合物として特に好ましいものは、例えば一般式(VII)又は(VIII)
【化10】
[式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10及びAについては上述の意味を有し、その際、Zは、F、Cl、Br、I、BF
4、PF
6、ClO
4又はSbF
6であってよい]に相当する。
【0070】
カルベン配位子前駆体の、好ましくは反応前の、脱プロトン化は、例えば当業者に公知の塩基性化合物、例えばメタレート、塩基性金属アセテート、−アセチルアセトネートもしくは−アルコキシレート又は塩基、例えばKO
tBu、NaO
tBu、LiO
tBu、NaH、シリルアミド、Ag
2O並びにホスファゼン塩基によって行われる。更なる好ましい一実施態様においては、カルベンの遊離は、揮発性物質、例えば低級アルコール、例えばメタノール、エタノールを、例えば高められた温度で及び/又は低減された圧力で、カルベン配位子の前駆体化合物から除去することによっても行うことができる。相応の方法は、当業者に公知である。
【0071】
接触は、好ましくは溶剤中で行われる。好適な溶剤は、当業者に自体公知であり、かつ好ましくは芳香族のもしくは脂肪族の溶剤、例えばベンゼンもしくはトルエン、環式のもしくは非環式のエーテル、アルコール、エステル、アミド、ケトン、ニトリル、ハロゲン化化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましい溶剤は、トルエン、キシレン、ジオキサン及びTHFである。
【0072】
使用される金属−非カルベン錯体対使用されるカルベン配位子前駆体のモル比は、一般に1対10〜10対1、好ましくは1対1〜1対5、特に好ましくは1対2〜1対4である。
【0073】
接触は、一般に、20〜200℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜130℃の温度で行われる。
【0074】
反応時間は、所望のカルベン錯体に依存し、一般に0.02〜50時間、好ましくは0.1〜24時間、特に好ましくは1〜12時間である。
【0075】
反応後に得られる一般式(I)の錯体は、場合により当業者に公知の方法に従って、例えば洗浄、結晶化又はクロマトグラフィーに従って精製でき、かつ場合により当業者に同様に公知の条件下で、例えば熱的に又は光化学的に異性体化することができる。
【0076】
上述のヘテロレプティックな錯体及びそれらの混合物は、有機発光ダイオード(OLED)中の発光体分子として傑出して適している。配位子の変更によって、電磁スペクトルの赤色領域、緑色領域並びに特に青色領域で電界発光を示す相応の錯体を調製することが可能である。本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、従って発光体物質として傑出して適している。それというのも、前記錯体は、電磁スペクトルの可視領域において、例えば400〜800nmで、好ましくは400〜600nmで発光(電界発光)を有するからである。本発明によるヘテロレプティックな錯体によって、電磁スペクトルの赤色領域、緑色領域並びに青色領域で電界発光を示す化合物を調製することが可能である。従って、本発明によるヘテロレプティックな錯体を発光体物質として用いて工業的に使用できるOLEDを提供することが可能である。
【0077】
更に、本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、マトリクス材料として、電荷輸送材料として、特に正孔輸送材料及び/又は電荷ブロッカーとして使用することができる。
【0078】
好ましくは、本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、発光体として及び/又は正孔輸送材料として、特に発光体として使用される。
【0079】
本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体の特定の特性は、OLEDで使用した場合の特に良好な効率と寿命である。
【0080】
従って、本願の更なる対象は、少なくとも1種の一般式(I)の本発明によるヘテロレプティックな錯体を含むOLEDである。一般式(I)の本発明によるヘテロレプティックな錯体は、OLEDにおいて、好ましくは発光体、マトリクス材料、電荷輸送材料、特に正孔輸送材料及び/又は電荷ブロッカーとして、特に好ましくは発光体及び/又は正孔輸送材料として、殊に好ましくは発光体として使用される。
【0081】
本願の更なる対象は、また、一般式(I)のヘテロレプティックな錯体を、OLEDにおける発光層として、好ましくは発光体、マトリクス材料、電荷輸送材料、特に正孔輸送材料及び/又は電荷ブロッカーとして、特に好ましくは発光体及び/又は正孔輸送材料、殊に好ましくは発光体として用いる使用である。
【0082】
有機発光ダイオードは、基本的に、複数の層:
− アノード(1)
− 正孔輸送層(2)
− 発光層(3)
− 電子輸送層(4)
− カソード(5)
から構成されている。
【0083】
しかしながら、OLEDは、上記の層の全てを有さなくてもよく、例えば層(1)(アノード)、(3)(発光層)及び(5)(カソード)を有するOLEDも同様に適しており、その際、層(2)(正孔輸送層)及び層(4)(電子輸送層)の機能は、隣接する層によって担われる。層(1)、(2)、(3)及び(5)もしくは層(1)、(3)、(4)及び(5)を有するOLEDは、同様に適している。
【0084】
一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、好ましくは発光層(3)において、発光体分子及び/又はマトリクス材料として使用される。本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、また、発光層(3)において発光体分子及び/又はマトリクス材料として使用するのに加えて又は発光層で使用する代わりに、正孔輸送層(2)又は電子輸送層(4)中で電荷輸送材料として及び/又は電荷ブロッカーとして使用することができ、その際、正孔輸送層(2)中での電荷輸送材料(正孔輸送材料)としての使用が好ましい。
【0085】
従って、本願の更なる対象は、一般式(I)の本発明によるヘテロレプティックな錯体少なくとも1種を、好ましくは発光体分子として含む発光層である。一般式(I)の好ましいヘテロレプティックな錯体は、既に上述したとおりである。
【0086】
本発明により使用される一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、そのままで、すなわち更なる添加剤を用いずに、発光層中に存在してよい。しかしながら、本発明により使用される一般式(I)のヘテロレプティックな錯体の他に、発光層中に更なる化合物が存在することも可能である。例えば、発光体分子として使用されるヘテロレプティックな錯体の発光色を変更するために、蛍光性色素が存在してよい。更に、希釈材料(マトリクス材料)を使用してよい。この希釈材料は、ポリマー、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)又はポリシランであってよい。しかしながら、希釈材料は、同様に、小分子、例えば4,4′−N,N′−ジカルバゾールビフェニル(CDP)又は第三級芳香族アミンであってよい。希釈材料が使用される場合に、本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体の発光層中での割合は、一般に、40質量%未満、好ましくは3〜30質量%である。好ましくは、本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体はマトリクス中で使用され、従って発光層は、好ましくは少なくとも1種の一般式(I)の本発明によるヘテロレプティックな錯体と、希釈材料としての少なくとも1種のマトリクス材料とを含有する。
【0087】
マトリクス材料としては、上述の希釈材料の他に、基本的に、以下に正孔輸送材料及び電子輸送材料として挙げる材料並びにカルベン錯体、例えば一般式(I)のカルベン錯体又はWO2005/019373号に挙げられるカルベン錯体が適している。特に適しているのは、カルバゾール誘導体、例えば4,4′−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2′−ジメチル−ビフェニル(CDBP)、4,4′−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(mCP)並びに以下の出願:WO2008/034758号、WO2009/003919号に挙げられるマトリクス材料である。
【0088】
更なる好適なマトリクス材料(それは、小分子又は前記小分子の(コ)ポリマーであってよい)は、以下の刊行物: WO2007108459号のH−1ないしH−37、好ましくはH−20ないしH−22及びH−32ないしH−37、殊に好ましくはH−20、H−32、H−36、H−37、WO200803557号A1のHost1ないしHost6、JP2010135467号の化合物1ないし46及びHost−1ないしHost39及びHost−43、WO2009008100号の化合物番号1ないし番号67、好ましくは、番号3、番号4、番号7ないし番号12、番号55、番号59、番号63ないし番号67、特に好ましくは番号4、番号8ないし番号12、番号55、番号59、番号64、番号65及び番号67、WO2009008099号の化合物番号1ないし番号110、WO2008140114号の化合物1−1ないし1−50、WO2008090912号の化合物OC−7ないしOC−36及びMo−42ないしMo−51のポリマー、JP2008084913号のH−1ないしH−70、WO2007077810号の化合物1ないし44、好ましくは化合物1、2、4〜6、8、19〜22、26、28〜30、32、36、39〜44、WO201001830号のモノマー1−1ないし1−9のポリマー、好ましくはモノマー1−3、1−7及び1−9のポリマー、WO2008029729号の化合物1−1ないし1−36(のポリマー)、WO20100443342号のHS−1ないしHS−101及びBH−1ないしBH−17、好ましくはBH−1ないしBH−17、JP2009182298号のモノマー1ないし75をベースとする(コ)ポリマー、JP2009170764号、JP2009135183号のモノマー1−14をベースとする(コ)ポリマー、WO2009063757号の好ましくはモノマー1−1ないし1−26をベースとする(コ)ポリマー、WO2008146838号の化合物a−1ないしa−43及び1−1ないし1−46、JP2008207520号のモノマー1−1ないし1−26をベースとする(コ)ポリマー、JP2008066569号のモノマー1−1ないし1−16をベースとする(コ)ポリマー、WO2008029652号のモノマー1−1ないし1−52をベースとする(コ)ポリマー、WO2007114244号のモノマー1−1ないし1−18をベースとする(コ)ポリマー、JP2010040830号の化合物HA−1ないしHA−20、HB−1ないしHB−16、HC−1ないしHC−23並びにモノマーHD−1ないしHD−12をベースとする(コ)ポリマー、JP2009021336号、WO2010090077号の化合物1ないし55、WO2010079678号の化合物H1ないしH42、WO2010067746号、WO2010044342号の化合物HS−1ないしHS−101並びにPoly−1ないしPoly−4、JP2010114180号の化合物PH−1ないしPH−36、US2009284138号の化合物1ないし111及びH1ないしH71、WO2008072596号の化合物1〜45、JP2010021336号の化合物H−1ないしH−38、好ましくはH−1、WO2010004877号の化合物H−1ないしH−60、JP2009267255号の化合物1−1ないし1−105、WO2009104488号の化合物1−1ないし1−38、WO2009086028号、US2009153034号、US2009134784号、WO2009084413号の化合物2−1ないし2−56、JP2009114369号の化合物2−1ないし2−40、JP2009114370号の化合物1ないし67、WO2009060742号の化合物2−1ないし2−56、WO2009060757号の化合物1−1ないし1−76、WO2009060780号の化合物1−1ないし1−70、WO2009060779号の化合物1−1ないし1−42、WO2008156105号の化合物1ないし54、JP2009059767号の化合物1ないし20、JP2008074939号の化合物1ないし256、JP2008021687号の化合物1ないし50、WO2007119816号の化合物1ないし37、WO2010087222号の化合物H−1ないしH−31、WO2010095564号の化合物HOST−1ないしHOST−61、WO2007108362号、WO2009003898号、WO2009003919号、WO2010040777号、US2007224446号及びWO06128800号に挙げられている。
【0089】
特に好ましい一実施態様においては、以下に挙げられる一般式(X)の1もしくは複数種の化合物がマトリクス材料として使用される。一般式(X)の化合物の好ましい実施態様は、同様に以下に挙げられている。
【0090】
上述のマトリクス材料並びに以下に挙げられる一般式(X)の化合物は、発光層におけるマトリクス材料として使用できるのみならず、OLEDの他の層、例えば電子輸送層及び/又は正孔輸送層におけるマトリクス材料としても使用できる。同様に、上述の材料及び/又は一般式(X)の以下に挙げられる化合物の2種以上の異なるものをマトリクス材料として使用することができる。
【0091】
前記のOLED層の各々は、更に2以上の層から構成されていてよい。例えば、正孔輸送層は、電極から正孔が注入される層と、正孔が正孔注入層から発光層へと輸送される層とから構成されていてよい。電子輸送層は、同様に、複層からなっていてよく、例えば電子が電極を通じて注入される層と、電子注入層から電子が得られ、そして発光層中に輸送される層とから成ってよい。これらの前記の層は、エネルギー準位、耐熱性及び電荷担体移動度並びに前記の層と有機層又は金属電極とのエネルギー差のような要素に応じてそれぞれ選択される。当業者は、OLEDの構造を、本発明により発光物質として使用される本発明によるヘテロレプティックな錯体に最適に適合されるように選択することができる。
【0092】
特に効率的なOLEDを得るためには、正孔輸送層のHOMO(最高占有分子軌道)をアノードの仕事関数に合わせることが望ましく、かつ電子輸送層のLUMO(最低非占有分子軌道)をカソードの仕事関数に合わせることが望ましい。
【0093】
本願の更なる対象は、本発明による少なくとも1つの発光層を有するOLEDである。OLED中の更なる層は、通常はかかる層で使用され、かつ当業者に公知の任意の材料から構成されていてよい。
【0094】
上述の層(アノード、カソード、正孔注入材料及び電子注入材料、正孔輸送材料及び電子輸送材料及び正孔阻止材料及び電子阻止材料、マトリクス材料、蛍光発光体及び燐光発光体)に適した材料は、当業者に公知であり、かつ例えばH.Meng、N.HerronによるOrganic Small Molecule Materials for Organic Light−Emitting Devices in Organic Light−Emitting Materials and Devices,Ed.:Z.Li,H.Meng,Taylor & Francis,2007,Chapter 3,第295〜441頁に挙げられている。
【0095】
アノードは、正の電荷担体を提供する電極である。該電極は、例えば、金属、種々の金属の混合物、金属合金、金属酸化物又は種々の金属酸化物の混合物を含有する材料から構成されてよい。選択的に、アノードは導電性ポリマーであってよい。好適な金属は、元素の周期系の第11族、第4族、第5族及び第6族の金属並びに第8族ないし第10族の遷移金属を含む。アノードが光透過性であることが望ましい場合に、一般に元素の周期系の第12族、第13族及び第14族の混合金属酸化物、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)が使用される。同様に、アノード(1)は、有機材料、例えばポリアニリンを含有することができ、これらは例えばNature,Vol.357,第477頁〜第479頁(1992年6月11日)に記載されている。少なくともアノード又はカソードのいずれかは、形成された光を出力結合できるために、少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0096】
本発明によるOLEDの層(2)のために適した正孔輸送材料は、例えばKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版、第18巻、第837〜第860頁、1996に開示されている。正孔輸送性の分子もポリマーも、正孔輸送材料として使用することができる。通常使用される正孔輸送性分子は、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1′−(3,3′−ジメチル)ビフェニル]−4,4′−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル)(4−メチル−フェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン(TTB)、フルオレン化合物、例えば2,2′,7,7′−テトラ(N,N−ジ−トリル)アミノ−9,9−スピロ−ビフルオレン(Spiro−TTB)、N,N′−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N′−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−NPB)及び9,9−ビス(4−(N,N−ビス−ビフェニル−4−イル−アミノ)フェニル−9H−フルオレン、ベンジジン化合物、例えばN,N′−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N′−ビス(フェニル)−ベンジジン及びポルフィリン化合物、例えば銅フタロシアニンからなる群から選択される。通常使用される正孔輸送性ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニル−メチル)ポリシラン及びポリアニリンからなる群から選択される。同様に、正孔輸送性ポリマーは、ポリマー、例えばポリスチレン及びポリカーボネート中に正孔輸送性分子をドープすることによって得ることができる。好適な正孔輸送性分子は、既に前記に挙げた分子である。
【0097】
更に、一実施態様においては、カルベン錯体が正孔伝導性材料として使用でき、その際、少なくとも1種の正孔伝導性材料のバンドギャップは、一般に、使用される発光体材料のバンドギャップよりも大きい。その際、バンドギャップとは、本願の範囲では、三重項エネルギーを表すべきである。好適なカルベン錯体は、例えば一般式(I)の本発明によるカルベン錯体、WO2005/019373号A2、WO2006/056418号A2、WO2005/113704号、WO2007/115970号、WO2007/115981号及びWO2008/000727号に記載されるカルベン錯体である。好適なカルベン錯体のための一例は、式:
【化11】
を有するIr(DPBIC)
3である。
【0098】
同様に、正孔輸送層において、混合物を、特に正孔輸送層の電気的p型ドーピングをもたらす混合物を使用することができる。p型ドーピングは、酸化性材料の混加によって達成される。前記混合物は、例えば以下の混合物:上述の正孔輸送材料と少なくとも1種の金属酸化物、例えばMoO
2、MoO
3、WO
x、ReO
3及び/又はV
2O
5、好ましくはMoO
3及び/又はReO
3、特に好ましくはReO
3とからなる混合物又は上述の正孔輸送材料と、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F
4−TCNQ)、2,5−ビス(2−ヒドロキシ−エトキシ)−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ビス(テトラ−n−ブチル−アンモニウム)テトラシアノジフェノキノジメタン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、11,11,12,12−テトラシアノ−ナフト−2,6−キノジメタン、2−フルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ジシアノメチレン−1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロ−6H−ナフタレン−2−イリデン)−マロノニトリル(F
6−TNAP)、Mo(tfd)
3(Kahn et al.,J.Am.Chem.Soc.2009,131(35),12530−12531による)、EP1988587号及びEP2180029号に記載される化合物並びにEP09153776.1号に挙げられているキノン化合物から選択される1種以上の化合物を含む混合物であってよい。
【0099】
本発明によるOLEDの層(4)に適した電子輸送性材料は、オキシノイド化合物とキレート化された金属、例えばトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq
3)、フェナントロリンを基礎とする化合物、例えば2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA=BCP)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)もしくはEP1786050号もしくはEP1097981号に開示されているフェナントロリン誘導体並びにアゾ化合物、例えば2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)及び3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)を含む。この場合に、層(4)は、電子輸送の軽減のためにも、OLEDの層の境界面での励起子の消光を回避するために緩衝層又は障壁層として使用することができる。有利には、層(4)は、電子の移動度を改善し、そして励起子の消光を低減させる。
【0100】
同様に、少なくとも2種の材料の混合物であって、少なくとも1種の材料が電子伝導性である混合物を電子輸送層で使用することが可能である。好ましくは、かかる混合された電子輸送層において、少なくとも1種のフェナントロリン化合物が使用される。特に好ましくは、混合された電子輸送層において、少なくとも1種のフェナントロリン化合物の他に、付加的にアルカリ金属−ヒドロキシキノレート錯体、例えばLiqなどの錯体が使用される。更に、電子輸送層の電気的n型ドーピングをもたらす混合物を使用することができる。n型ドーピングは、還元性材料の混加によって達成される。前記混合物は、例えば、上述の電子輸送材料と、アルカリ(土類)金属又はアルカリ(土類)金属塩、例えばLi、Cs、Ca、Sr、Cs
2CO
3とからなる混合物、上述の電子輸送材料と、アルカリ金属錯体、例えば8−ヒドロキシキノラト−リチウム(Liq)とからなる混合物並びに上述の電子輸送材料と、Y、Ce、Sm、Gd、Tb、Er、Tm、Yb、Li
3N、Rb
2CO
3、フタル酸二カリウム、EP1786050号によるW(hpp)
4とからなる混合物又はEP1837926号B1に記載されている化合物とからなる混合物であってよい。
【0101】
従って、本発明は、また、電子輸送層を含む本発明によるOLEDであって、少なくとも2種の異なる材料を含み、そのうち少なくとも1つの材料が電子伝導性であるべき前記OLEDに関する。
【0102】
好ましい一実施態様においては、本発明は、電子輸送層が少なくとも1種のフェナントロリン誘導体を含む本発明によるOLEDに関する。
【0103】
更なる好ましい一実施態様においては、本発明は、電子輸送層が少なくとも1種のフェナントロリン誘導体及び少なくとも1種のアルカリ金属−ヒドロキノレート錯体を含む本発明によるOLEDに関する。
【0104】
更なる好ましい一実施態様においては、本発明は、電子輸送層が少なくとも1種のフェナントロリン誘導体及び8−ヒドロキシキノラト−リチウムを含む本発明によるOLEDに関する。
【0105】
前記に、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料として挙げた材料によって、幾つかの複数の機能を満たすことができる。例えば、電子輸送性材料の幾つかは、該材料が低いところにあるHOMOを有する場合には、同時に正孔ブロッキング性材料である。
【0106】
電荷輸送層は、使用される材料の輸送特性を改善させるために、一方で、層厚を大規模に構成するために(ピン正孔/短絡の回避)、そして他方で、デバイスの駆動電圧を低減させるために、電子ドーピングされていてもよい。例えば、正孔輸送材料を電子受容体でドープしてよく、例えばフタロシアニンもしくはアリールアミン、例えばTPD又はTDTAをテトラフルオロ−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)でドープしてよい。電子ドーピングは、当業者に公知であり、例えばW.Gao、A.Kahn著のJ.Appl.Phys.,第94巻、第1号、2003年7月1日(p型ドープされた有機層);A.G.Werner、F.Li、K.Harada、M.Pfeiffer、T.Fritz、K.Leo著のAppl.Phys.Lett.,第82巻、第25号、2003年6月23日及びPfeiffer他著のOrganic Electronics 2003,4,89−103及びK.Walzer,B.Maennig,M.Pfeiffer,K.Leo,Chem.Soc.Rev.2007,107,1233に開示されている。
【0107】
カソード(5)は、電子又は負の電荷担体の供給に用いられる電極である。カソードは、アノードより低い仕事関数を有するあらゆる金属又は非金属であってよい。カソードに適した材料は、元素の周期系の第1族のアルカリ金属、例えばLi、Cs、第2族のアルカリ土類金属、第12族の金属からなり、希土類金属及びランタノイド及びアクチノイドを含む群から選択される。更に、アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム及びマグネシウムのような金属並びにそれらの組合せ物を使用することができる。更に、リチウムを含む有機金属化合物、例えば8−ヒドロキシキノラト−リチウム(Liq)もしくはLiF又は以下の化合物Cs
2CO
3、KF、CsFもしくはNaFの少なくとも1つは、作動電圧(Operating Voltage)を下げるために、有機層と、電子注入層としてのカソードとの間に施与することができる。
【0108】
本発明によるOLEDは、付加的に、当業者に公知の更なる層を有してよい。例えば、層(2)と発光層(3)との間に、正電荷の輸送を軽減させ、かつ/又は層の互いのバンドギャップを整合させる層を適用することができる。選択的に、前記の更なる層は保護層としても用いることができる。同様に、発光層(3)と層(4)との間に、負電荷の輸送を軽減させ、かつ/又は層間の互いのバンドギャップを整合させるために付加的な層が存在してよい。選択的に、前記の層は保護層としても用いることができる。
【0109】
有利な一実施態様においては、本発明によるOLEDは、層(1)〜(5)の他に、以下に挙げられる更なる層:
− アノード(1)と正孔輸送層(2)との間の正孔注入層;
− 正孔輸送層(2)と発光層(3)との間の電子についての障壁層;
− 発光層(3)と電子輸送層(4)との間の正孔についての障壁層;
− 電子輸送層(4)とカソード(5)との間の電子注入層
の少なくとも1つを有する。
【0110】
既に上述のように、しかしながら、OLEDは、上記の層(1)ないし(5)の全てを有さなくてもよく、例えば層(1)(アノード)、(3)(発光層)及び(5)(カソード)を有するOLEDも同様に適しており、その際、層(2)(正孔輸送層)及び層(4)(電子輸送層)の機能は、隣接する層によって担われる。層(1)、(2)、(3)及び(5)もしくは層(1)、(3)、(4)及び(5)を有するOLEDは、同様に適している。
【0111】
これらの層を(例えば電気化学的調査に基づいて)好適な材料を選択せねばならないことは当業者に公知である。個々の層について適当な材料は、当業者に公知であり、例えばWO00/70655号に開示されている。
【0112】
更に、層(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)の幾つか又は全ては、電荷担体輸送の効率を高めるために表面処理されていてよい。前記の層の各々についての材料の選択は、有利には、高い効率を有するOLEDが得られるようになされる。
【0113】
本発明によるOLEDの製造は、当業者に公知の方法に従って行うことができる。一般に、該OLEDは、個々の層を好適な基体上に連続的に蒸着させることによって製造される。好適な基体は、例えばガラス、無機材料、例えばITOもしくはIZO又はポリマーフィルムである。蒸着のためには、通常の技術、例えば熱的蒸発、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)などを使用することができる。
【0114】
代替法では、好適な溶剤中の溶液又は分散液から有機層を被覆することができ、その際、当業者に公知の被覆技術が使用される。好適な被覆技術は、例えばスピンコート、キャスティング法、ラングミュア・ブロジェット("LB")法、インクジェット印刷法、ディップコート、凸版印刷、スクリーン印刷、ドクターブレード印刷、ローラ印刷、逆ローラ印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、輪転印刷、吹き付け被覆、刷毛による被覆又はパッド印刷などである。上述の方法のうち、上述の蒸着の他には、スピンコート、インクジェット印刷法及びキャスティング法が好ましい。それというのも、それらは、特に簡単にかつ費用をかけずに行えるからである。それらのOLEDの層がスピンコート法、キャスティング法又はインクジェット印刷法によって作製される場合については、被覆は、組成物を0.0001〜90質量%の濃度で好適な有機溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド及びそれらの混合物中に溶解させることによって製造された溶液を使用して得ることができる。
【0115】
それらのOLEDの層は、全て同じ被覆法で製造することが可能である。更に、同様に、それらのOLEDの層の製造のために、2種以上の異なる被覆法を実施することができる。
【0116】
一般に、種々の層は、以下の厚さ:アノード(2)500〜5000Å(オングストローム)、好ましくは1000〜2000Å;正孔輸送層(3)50〜1000Å、好ましくは200〜800Å;発光層(4)10〜1000Å、好ましくは100〜800Å、;電子輸送層(5)50〜1000Å、好ましくは200〜800Å;カソード(6)200〜10000Å、好ましくは300〜5000Åを有する。本発明によるOLED中の正孔と電子の再結合領域の位置、従ってOLEDの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。つまり、電子輸送層の厚さは、好ましくは、電子/正孔の再結合領域が発光層中にあるように選択されるべきである。OLED中の各層の層厚の比率は、使用される材料に依存する。場合により使用される付加的な層の層厚は、当業者に公知である。
【0117】
好ましい一実施態様においては、本発明は、また、一般式(I)の少なくとも1種の本発明によるヘテロレプティックな錯体と、一般式(X)
【化12】
[式中、
Tは、NR
57、S、O又はPR
57、好ましくはS又はO、特に好ましくはOを意味する;
R
57は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する;
Q′は、−NR
58R
59、−P(O)R
60R
61、−PR
62R
63、−S(O)
2R
64、−S(O)R
65、−SR
66又は−OR
67、好ましくは−NR
58R
59、特に好ましくは
【化13】
(式中、
R
68、R
69は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール、好ましくはメチル、カルバゾリル、ジベンゾフリル又はジベンゾチエニルを意味する;
y、zは、互いに独立して、0、1、2、3又は4、好ましくは0又は1を意味する)を意味する;
R
55、R
56は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、SiR
70R
71R
72、基Q′又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基を意味する;
a′′は、0、1、2、3又は4を意味する;
b′は、0、1、2又は3を意味する;
R
58、R
59は、N原子と一緒になって、3〜10個の環原子を有する環式基を形成し、前記基は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよく、かつ/又は3〜10個の環原子を有する1もしくは複数の更なる環式基と縮合されていてよく、その際、縮合された基は、非置換であるか、又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよい;
R
70、R
71、R
72、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67は、互いに独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味するか、又は
一般式(X)の2つの単位は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、少なくとも1つのヘテロ原子によって場合により中断された1つの架橋を介して、1つの結合を介して又はOを介して互いに架橋されている]の少なくとも1種の化合物とを含むOLEDに関する。
【0118】
式(X)で示され、その式中、
Tは、S又はO、好ましくはOを意味し、かつ
Q′は、
【化14】
[式中、
R
68、R
69は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール、好ましくはメチル、カルバゾリル、ジベンゾフリル又はジベンゾチエニルを意味する;
y、zは、互いに独立して、0、1、2、3又は4、好ましくは0又は1を意味する]を意味する、化合物が好ましい。
【0119】
特に好ましい式(X)の化合物は、以下の式(Xa):
【化15】
[式中、記号及び係数Q′、T、R
55、R
56、a′′及びb′は、上述の意味を有する]を有する。
【0120】
殊に好ましい式(X)の化合物は、以下の式(Xaa):
【化16】
[式中、記号及び係数R
68、R
69、y、z、T、R
55、R
56、a′′及びb′は、上述の意味を有する]を有する。
【0121】
殊に好ましい一実施態様においては、式(Xaa)において:
Tは、O又はS、好ましくはOを意味する;
a′′は、1を意味する;
b′は、0を意味する;
y、zは、互いに独立して、0又は1を意味する;及び
R
68、R
69は、互いに独立して、メチル、カルバゾリル、ジベンゾフリル又はジベンゾチエニルを意味する;
R
55は、置換されたフェニル、カルバゾリル、ジベンゾフリル又はジベンゾチエニルを意味する。
【0122】
更なる好ましい一実施態様においては、式(X)の化合物は、式(XI)又は(XI
*):
【化17】
[式中、
Tは、NR
57、S、O又はPR
57を意味する;
R
57は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する;
Q′は、−NR
58R
59、−P(O)R
60R
61、−PR
62R
63、−S(O)
2R
64、−S(O)R
65、−SR
66又は−OR
67を意味する;
R
70、R
71、R
72は、互いに独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルを意味し、その際、基R
70、R
71、R
72の少なくとも1つは、少なくとも2つの炭素原子を含むか又はOR
73である;
R
55、R
56は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、基Q又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基を意味する;
a′、b′は、式(XI)の化合物については:互いに独立して0、1、2、3を意味する;式(XI
*)の化合物については:a′が0、1、2を意味し、かつb′が0、1、2、3、4を意味する;
R
58、R
59は、N原子と一緒になって、3〜10個の環原子を有する環式基を形成し、前記基は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよく、かつ/又は3〜10個の環原子を有する1もしくは複数の更なる環式基と縮合されていてよく、その際、縮合された基は、非置換であるか、又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよい;
R
73は、互いに独立して、SiR
74R
75R
76、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであって、場合により基OR
77で置換されたものを意味する;
R
77は、互いに独立して、SiR
74R
75R
76、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する;
R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
74、R
75、R
76は、互いに独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味するか、又は
一般式(XI)及び/又は(XI
*)の2つの単位は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、少なくとも1つのヘテロ原子によって場合により中断された1つの架橋を介して又はOを介して互いに架橋されおり、その際、一般式(XI)及び/又は(XI
*)中のこの架橋は、それぞれR
71の代わりにSi原子に結合されている]を有する。
【0123】
一般式(X)の化合物は、マトリクス(希釈材料)、正孔ブロッカー、励起子ブロッカー、電子輸送材料又は正孔輸送材料として、好ましくは発光体として用いられる本発明のヘテロレプティックな錯体と組み合わせて使用することができる。式(X)の少なくとも1種の化合物も式(I)の化合物も含んでいる、本発明によるOLEDは、特に良好な効率及び寿命を示す。どの機能に式(X)の化合物が使用されるかに応じて、該化合物は純粋にか又は種々の混合比で存在する。特に好ましい一実施態様においては、式(X)の1種以上の化合物は、発光層中でマトリクス材料として使用される。
【0124】
一般式(X)の化合物に関して、基R
55〜R
77については以下が当てはまる:
概念の、アリール残基もしくはアリール基、ヘテロアリール残基もしくはヘテロアリール基、アルキル残基もしくはアルキル基、シクロアルキル残基もしくはシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル残基もしくはヘテロシクロアルキル基、アルケニル残基もしくはアルケニル基、アルキニル残基もしくはアルキニル基及びドナー作用及び/又はアクセプター作用を有する基は、以下の意味を有する:
アリール残基(もしくはアリール基)とは、6〜30個の炭素原子、好ましくは6〜18個の炭素原子の基本骨格であって、1つの芳香環又は複数の縮合された芳香環から構成されている基本骨格を有する基を表す。好適な基本骨格は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル又はフェナントレニル、インデニル又はフルオレニルである。この基本骨格は非置換であってよいか(すなわち、置換可能な全ての炭素原子が水素原子を有する)又は該基本骨格の1つの、複数の又は全ての置換可能な位置が置換されていてよい。
【0125】
好適な置換基は、例えばジューテリウム、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルバゾイル基、シリル基、SiR
78R
79R
80(その際、好適なシリル基SiR
78R
79R
80は以下に挙げられるものである)、アルキル基、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル、エチル又はi−プロピル、アリール基、好ましくはC
6−アリール基(さらに置換もしくは非置換であってよい)、ヘテロアリール基、好ましくは少なくとも1つの窒素原子を有するヘテロアリール基、特に好ましくはピリジル基及びカルバゾリル基、アルケニル基、好ましくは1つの二重結合を有するアルケニル基、特に好ましくは1つの二重結合と1〜8個の炭素原子とを有するアルケニル基、アルキニル基、1つの三重結合を有するアルキニル基、特に好ましくは1つの三重結合と1〜8個の炭素原子とを有するアルキニル基又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基である。ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する好適な基は以下に挙げられるものである。殊に好ましくは、置換されたアリール基は、メチル、エチル、イソプロピル、アルコキシ、ヘテロアリール、ハロゲン、擬ハロゲン及びアミノ、好ましくはアリールアミノからなる群から選択される置換基を有する。好ましくは、アリール残基又はアリール基は、C
6〜C
18−アリール基、特に有利にはC
6−アリール基であり、該アリール基は、場合により上述の置換基の少なくとも1つもしくはそれ以上で置換されている。特に好ましくは、C
6〜C
18−アリール基、好ましくはC
6−アリール基は、上述の置換基を有さないか、1個、2個、3個もしくは4個の上述の置換基を有し、殊に好ましくは上述の置換基を有さないか、1個又は2個の上述の置換基を有する。
【0126】
ヘテロアリール残基又はヘテロアリール基とは、アリール基の基本骨格において少なくとも1つの炭素が1つのヘテロ原子によって交換されている点と、ヘテロアリール基の基本骨格が好ましくは5〜18個の環原子を有する点で前記のアリール基と異なる基を表す。好ましいヘテロ原子は、N、O及びSである。特に好ましくは好適なヘテロアリール基は、窒素含有のヘテロアリール基である。殊に有利には、基本骨格の1又は2つの炭素原子は、ヘテロ原子、好ましくは窒素によって交換されている。特に、ピリジン、ピリミジン及び5員の複素芳香族化合物、例えばピロール、フラン、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、トリアゾールなどの系から選択される基本骨格が好ましい。更に、ヘテロアリール基は、縮合された環系、例えばベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾピロリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基又はジアザカルバゾリル基であってよい。該基本骨格は、その基本骨格の1つ、複数又は全ての置換可能な位置で置換されていてよい。好適な置換基は、既にアリール基に関して挙げたのと同じ置換基である。
【0127】
アルキル残基又はアルキル基とは、1〜20個の炭素原子、有利には1〜10個の炭素原子、特に有利には1〜8個の炭素原子、殊に有利には1〜4個の炭素原子を有する基を表すべきである。前記のアルキル基は、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよく、かつ場合により1又は複数のヘテロ原子、有利にはSi、N、O又はS、特に好ましくはN、OもしくはSによって中断されていてよい。更に、前記のアルキル基は、アリール基に関して挙げた置換基1又は複数で置換されていてよい。更に、本発明により存在するアルキル基は、少なくとも1つのハロゲン原子、例えばF、Cl、Br又はI、特にFを有してよい。更なる一実施態様においては、本発明により存在するアルキル基は、完全にフッ素化されていてよい。同様に、該アルキル基は、1つ又は複数の(ヘテロ)アリール基を有することも可能である。本願の範囲では、例えばベンジル基は、従って置換されたアルキル基である。この場合に、前記の(ヘテロ)アリール基の全てが適している。特に、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル及びt−ブチルからなる群から選択されるアルキル基が好ましく、殊にメチル及びエチルが好ましい。
【0128】
シクロアルキル残基又はシクロアルキル基とは、3〜20個の炭素原子、有利には3〜10個の炭素原子、特に有利には3〜8個の炭素原子を有する基を表すべきである。前記の基本骨格は、非置換であってよい(すなわち、置換可能な全ての炭素原子は水素原子を有する)、又は基本骨格の1つ、複数又は全ての置換可能な位置は置換されていてよい。好適な置換基は、アリールに関して既に上述した基である。同様に、該シクロアルキル基は、1つ又は複数の(ヘテロ)アリール基を有することも可能である。好適なシクロアルキル基のための例は、シクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。
【0129】
ヘテロシクロアルキル残基又はヘテロシクロアルキル基とは、シクロアルキル基の基本骨格において少なくとも1つの炭素原子が1つのヘテロ原子によって交換されている点で前記のシクロアルキル基と異なる基を表す。好ましいヘテロ原子は、N、O及びSである。殊に有利には、シクロアルキル基の基本骨格の1又は2つの炭素原子は、ヘテロ原子によって交換されている。好適なヘテロシクロアルキル基のための例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、ジオキサンから誘導される基である。
【0130】
アルケニル残基又はアルケニル基とは、少なくとも2個の炭素原子を有する上述のアルキル基に相当するが、アルキル基の少なくとも1つのC−C単結合が1つのC−C二重結合によって交換されていることが異なる基を表すべきである。有利には、アルケニル基は、1又は2つの二重結合を有する。
【0131】
アルケニル残基又はアルケニル基とは、少なくとも2個の炭素原子を有する上述のアルキル基に相当するが、アルキル基の少なくとも1つのC−C単結合が1つのC−C二重結合によって交換されていることが異なる基を表すべきである。有利には、アルキニル基は、1又は2つの三重結合を有する。
【0132】
基SiR
78R
79R
80は、シリル基を表すべきであり、その式中、
R
78、R
79及びR
80は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はOR
73を意味する。
【0133】
基SiR
74R
75R
76は、シリル基を表すべきであり、その式中、
R
74、R
75及びR
76は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はOR
73を意味する。
【0134】
ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基もしくは置換基は、本発明の範囲では以下の基を表す:
ドナー作用を有する基とは、+I効果及び/又は+M効果を有する基を表し、かつアクセプター作用を有する基とは、−I効果及び/又は−M効果を有する基を表す。好ましい好適な基は、C
1〜C
20−アルコキシ、C
6〜C
30−アリールオキシ、C
1〜C
20−アルキルチオ、C
6〜C
30−アリールチオ、SiR
81R
82R
83、OR
73、ハロゲン基、ハロゲン化されたC
1〜C
20−アルキル基、カルボニル(−CO(R
81))、カルボニルチオ(−C=O(SR
81))、カルボニルオキシ(−C=O(OR
81))、オキシカルボニル(−OC=C(R
81))、チオカルボニル(−SC=O(R
81))、アミノ(−NR
81R
82)、擬ハロゲン基、アミド(−C=O(NR
81))、−NR
81C=O(R
83)、ホスホネート(−P(O)(OR
81)
2)、ホスフェート(−OP(O)(OR
81)
2)、ホスフィン(−PR
81R
82)、ホスフィンオキシド(−P(O)R
812)、スルフェート(−OS(O)
2OR
81)、スルホキシド(−S(O)R
81)、スルホネート(−S(O)
2OR
81)、スルホニル(−S(O)
2R
81)、スルホンアミド(−S(O)
2NR
81R
82)、NO
2、ボロン酸エステル(−OB(OR
81)
2)、イミノ(−C=NR
81R
82)、ボラン基、スタナン基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、オキシム基、ニトロソ基、ジアゾ基、ビニル基、スルホキシミン、アラン、ゲルマン、ボロキシム及びボラジンから選択される。
【0135】
上述のドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基において挙げられた基R
81、R
82及びR
83は、互いに独立して、置換もしくは非置換のC
1〜C
20−アルキル又は置換もしくは非置換のC
6〜C
30−アリールもしくはOR
76を意味し、その際、好適な及び好ましいアルキル基及びアリール基は、上述のものである。特に好ましくは、基R
81、R
82及びR
83は、C
1〜C
6−アルキル、例えばメチル、エチルもしくはi−プロピル又はフェニルを意味する。好ましい一実施態様においては、SiR
81R
82R
83の場合には、R
81、R
82及びR
83は、好ましくは互いに独立して、置換もしくは非置換のC
1〜C
20−アルキル又は置換もしくは非置換のアリール、好ましくはフェニルを意味する。
【0136】
ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する好ましい置換基は、C
1〜C
20−アルコキシ、好ましくはC
1〜C
6−アルコキシ、特に好ましくはエトキシもしくはメトキシ;C
6〜C
30−アリールオキシ、好ましくはC
6〜C
10−アリールオキシ、特に有利にはフェニルオキシ;SiR
81R
82R
83[式中、R
81、R
82及びR
83は、好ましくは互いに独立して、置換もしくは非置換のアルキル又は置換もしくは非置換のアリール、好ましくはフェニルを意味する;特に好ましくは、基R
81、R
82又はR
83の少なくとも1つは、置換もしくは非置換のフェニルであり、その際、好適な置換基は上述のとおりである];ハロゲン基、好ましくはF、Cl、特に好ましくはF、ハロゲン化されたC
1〜C
20−アルキル基、好ましくはハロゲン化されたC
1〜C
6−アルキル基、殊に好ましくはフッ素化されたC
1〜C
6−アルキル基、例えばCF
3、CH
2F、CHF
2もしくはC
2F
5;アミノ、好ましくはジメチルアミノ、ジエチルアミノもしくはジアリールアミノ、特に好ましくはジアリールアミノ;擬ハロゲン基、好ましくはCN、−C(O)OC
1〜C
4−アルキル、好ましくは−C(O)OMe、P(O)R
2、好ましくはP(O)Ph
2からなる群から選択される。
【0137】
ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する殊に好ましい置換基は、メトキシ、フェニルオキシ、ハロゲン化されたC
1〜C
4−アルキル、好ましくはCF
3、CH
2F、CHF
2、C
2F
5、ハロゲン、好ましくはF、CN、SiR
81R
82R
83[その際、好適な基R
81、R
82及びR
83は、既に挙げたものである]、ジアリールアミノ[NR
84R
85、その際、R
84、R
85は、それぞれC
6〜C
30−アリールを意味する]、−C(O)OC
1〜C
4−アルキル、好ましくは−C(O)OMe、P(O)Ph
2からなる群から選択される。
【0138】
ハロゲン基とは、好ましくはF、Cl及びBrを、特に好ましくはF及びClを、殊に好ましくはFを表すべきである。
【0139】
擬ハロゲン基とは、好ましくはCN、SCN及びOCNを、特に好ましくはCNを表すべきである。
【0140】
ドナー作用もしくはアクセプター作用を有する上述の基は、本願に挙げられる他の基及び置換基であって上述のドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基のリストで挙げられていないものが、ドナー作用もしくはアクセプター作用を有することを排除しない。
【0141】
アリール残基もしくはアリール基、ヘテロアリール残基もしくはヘテロアリール基、アルキル残基もしくはアルキル基、シクロアルキル残基もしくはシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル残基もしくはヘテロシクロアルキル基、アルケニル残基もしくはアルケニル基及びドナー作用及び/又はアクセプター作用を有する基は、上述のように、置換されていても、もしくは非置換であってもよい。非置換の基とは、本願の範囲においては、基の置換可能な原子が水素原子を有する基を表すべきである。置換された基とは、本願の範囲においては、1個以上の置換可能な原子が、少なくとも1箇所で水素原子の代わりに置換基を有する基を表すべきである。好適な置換基は、アリール残基もしくはアリール基に関して上述した置換基である。
【0142】
同じ番号を有する基が本願による化合物において多数存在する場合に、これらの基は、それぞれ互いに無関係に、上述の意味を有してよい。
【0143】
式(X)の化合物中の基Tは、NR
57、S、OもしくはPR
57、好ましくはNR
57、SもしくはO、特に好ましくはOもしくはS、殊に好ましくはOを意味する。
【0144】
基R
57は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル、好ましくはアリール、ヘテロアリールもしくはアルキル、特に好ましくはアリールを意味し、その際、上述の基は、非置換もしくは置換されていてよい。好適な置換基は、上述のとおりである。特に好ましくは、R
65は、フェニルを意味し、該フェニルは、上述の置換基で置換されていても又は非置換であってもよい。殊に好ましくは、R
57は、非置換のフェニルを意味する。
【0145】
式(X)の化合物中のQ′は、−NR
58R
59、−P(O)R
60R
61、−PR
62R
63、−S(O)
2R
64、−S(O)R
65、−SR
66もしくは−OR
67、好ましくはNR
58R
59、−P(O)R
60R
61もしくは−OR
67、特に好ましくは−NR
58R
59を意味する。
【0146】
基R
58ないしR
67及びR
74ないしR
76は、その際、以下の意味を有する:
R
58、R
59は、N原子と一緒になって、3〜10個の環原子を有する環式基を形成し、前記環は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよく、かつ/又は3〜10個の環原子を有する1もしくは複数の更なる環式基と縮合されていてよく、その際、前記縮合された基は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよい;
R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67、R
74、R
75、R
76は、互いに独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル、好ましくはアリールもしくはヘテロアリールを意味し、その際、前記基は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の基で置換されていてよく、特に好ましくは非置換もしくは置換されたフェニルを意味し、その際、好適な置換基は、上述のとおりであり、例えばトリル又は式
【化18】
[式中、T及び基R
70、R
71及びR
72は、互いに独立して、式(XI)もしくは(XI
*)の化合物に関して挙げた意味を有する]の基を意味する。
【0147】
殊に好ましくは、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66及びR
67は、互いに独立して、フェニル、トリル又は式
【化19】
[式中、Tは、NPh、SもしくはOを意味する]の基を意味する。
【0148】
好ましい好適な基−NR
58R
59の例は、ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−ピロリル、ピロリジニル、インドリル、インドリニル、イソインドリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ジアザカルバゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、1,3−オキサゾリル、1,3−チアゾリル、ピペリジル、モルホリニル、9,10−ジヒドロアクリジニル及び1,4−オキサジニルからなる群から選択され、その際、上述の基は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよく、好ましくは基−NR
6R
7は、カルバゾリル、ピロリル、インドリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アザカルバゾリル及びジアザカルバゾリルから選択され、その際、上述の基は、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよく、特に好ましくは、基−NR
58R
59は、カルバゾリルを意味し、該カルバゾリルは、非置換であるか又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基から選択される1もしくは複数の置換基で置換されていてよい。
【0149】
特に好ましい基−NR
58R
59は、
【化20】
[式中、
R
68、R
69は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール、好ましくはメチル、カルバゾリル、ジベンゾフリルもしくはジベンゾチエニルを意味する;
y、zは、互いに独立して、0、1、2、3もしくは4、好ましくは0もしくは1を意味する]であり、例えば
【化21】
【0150】
【化22】
である。
【0151】
特に好ましい基−P(O)R
60R
61は、
【化23】
である。
【0152】
特に好ましい基PR
62R
63は、
【化24】
である。
【0153】
特に好ましい基−S(O)
2R
64及び−S(O)R
65は、
【化25】
である。
【0154】
特に好ましい基−SR
66及び−OR
67は、
【化26】
である。
【0155】
式(X)の化合物中のR
55、R
56は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、更なる基A又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基を意味し、好ましくは互いに独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール又はドナー作用もしくはアクセプター作用を有する基を意味する。例えば、R
55又はR
56は、互いに独立して、
【化27】
を意味する。
【0156】
その際、式(X)の化合物において、
a′′個の基R
55が、及び/又はb′個の基R
56が存在してよく、その際、a′′及びb′は、以下の意味を有する:
a′′は、0、1、2、3もしくは4、好ましくは互いに独立して0、1もしくは2を意味する;
b′は、0、1、2もしくは3、好ましくは互いに独立して0、1もしくは2を意味する。
【0157】
殊に好ましくは、少なくともa′′又はb′は、0であり、特に殊に好ましくはa′′及びb′は、0であり、又はa′′は1を意味し、かつb′は0を意味する。
【0158】
R
73は、一般式(XI)の化合物において、一般に互いに独立して、SiR
74R
75R
76、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味し、それらは、場合により基OR
77で置換されている。
【0159】
R
77は、一般式(XI)の化合物において、一般に互いに独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する。
【0160】
場合により存在する置換基OR
77は、上記基において、一般に、当業者に好適と思われるあらゆる箇所に存在してよい。
【0161】
更なる一実施態様においては、一般式(XI)及び/又は(XI
*)の2つの単位は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、少なくとも1つのヘテロ原子によって場合により中断された架橋を介して又はOを介して互いに架橋されており、その際、一般式(XI)及び/又は(XI
*)中の前記架橋は、それぞれR
71に代わってSi原子に結合されている。
【0162】
好ましくは、前記架橋は、−CH
2−、−C
2H
4−、−C
3H
6−、−C
4H
8−、−C
6H
12−、−C
8H
16−、−C
9H
18−、−CH(C
8H
17)CH
2−、−C
2H
4(CF
2)
8C
2H
4−、−C≡C−、−1,4−(CH
2)
2−フェニル−(CH
2)
2−、1,3−(CH
2)
2−フェニル−(CH
2)
2−、−1,4−フェニル−、−1,3−フェニル−、−O−、−O−Si(CH
3)
2−O−、−O−Si(CH
3)
2−O−Si(CH
3)
2−O−、−O−からなる群から選択される。
【0163】
本願の好ましい一実施態様においては、一般式(X)の化合物は、一般式(XIa)、(XIb)、(XIc)、(XId)もしくは(XIe)を有する。すなわち前記化合物は、一般式(XI)もしくは(XI
*):
【化28】
[式中、残基及び基Q′、T、R
70、R
71、R
72、R
55、R
56並びにa′及びb′は、上述の意味を有する]の化合物の好ましい実施態様である。
【0164】
更なる本発明により好ましい一実施態様においては、一般式(XI)もしくは(XI
*)の化合物において、R
70、R
71又はR
72は、一般式(XIi)及び/又は(XIi
*)
【化29】
[式中、R
55、R
56、Q′、T、a′及びb′は、上述と同じ意味を示す]の芳香族単位を意味する。
【0165】
従って、本発明は、一実施態様においては、本発明によるOLEDであって、一般式(XI)又は(XI
*)の化合物において、R
70、R
71又はR
72は、一般式(XIi)及び/又は(XIi
*)
【化30】
[式中、R
55、R
56、Q′、T、a′及びb′は、上述と同じ意味を示す]の芳香族単位を意味する前記OLEDに関する。
【0166】
殊に好ましくは、本発明は、一般式(XI)又は(XI
*)の化合物が、以下の基:
【化31】
【0167】
【化32】
【0168】
【化33】
【0169】
【化34】
【0170】
【化35】
から選択されるOLEDに関する。
【0171】
前記の特に好ましい一般式(XI)又は(XI
*)の化合物においては、
Tは、S又はOを意味し、かつ
R′は、H又はCH
3を意味し、かつ
R
70、R
71、R
72は、フェニル、カルバゾリル、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンを意味する。
【0172】
更なる特に好適な一般式(XI)又は(XI
*)の化合物は、
【化36】
【0173】
【化37】
【0174】
【化38】
である。
【0175】
また、前記の特に好ましい一般式(XI)又は(XI
*)の化合物においては、Tは、O又はS、好ましくはOを意味する。
【0176】
一般式(XI)又は(XI
*)の更なる本発明による化合物は、以下の式(XII)
【化39】
に相当する。
【0177】
一般式(XII)において、R
70、R
71、R
72は、以下の意味を有する:
【表17】
【0178】
【表18】
【0179】
【表19】
【0180】
【表20】
【0181】
【表21】
【0182】
【表22】
【0183】
【表23】
【0184】
【表24】
【0185】
前記の表において、
【化40】
である。
【0186】
特に好ましい化合物であって、一般式(XI)及び/又は(XI
*)の2つの単位が、直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、少なくとも1つのヘテロ原子によって場合により中断された架橋を介して又はOを介して互いに架橋されており、その際、一般式(XI)及び/又は(XI
*)中の前記架橋が、それぞれR
71に代わってSi原子に結合されている前記化合物は、一般式(XIII)
【化41】
に相当する。
【0187】
式(XIII)において、U、R
70、R
71、R
72、R
87、R
88及びR
89は、以下の意味を有する:
【表25】
【0188】
【表26】
【0189】
【表27】
【0190】
前記の表において、
【化42】
である。
【0191】
式(XI)及び/又は(XI
*)の更なる好適な化合物を、以下に挙げる。それらにおいて、Rは、それぞれ互いに独立して、Me、フェニル又はR
86を意味し、その際、少なくとも1つの基Rは、R
86である:
【化43】
【0192】
殊に好ましい一実施態様においては、本発明は、一般式(I)の少なくとも1種のヘテロレプティックな錯体の他に、一般式(X)の少なくとも1種の化合物を含み、その際、式(X)の化合物が、殊に好ましくは、以下に挙げる化合物:
【化44】
【0193】
【化45】
【0194】
【化46】
の少なくとも1種であるOLEDに関する。
【0195】
上述の化合物において、Tは、O又はS、好ましくはOを意味する。1つより多くのTが分子中に存在する場合に、全ての基Tは同じ意味を有する。
【0196】
式(X)の化合物の他に、本発明によれば、また、架橋されたもしくはポリマーの材料であって、一般式(X)をベースとする繰返単位を、架橋された形で又は重合された形で、一般式(I)の少なくとも1種のヘテロレプティックな錯体と一緒に含む前記材料も使用できる。これらは、一般式(X)の化合物のように、好ましくはマトリクス材料として使用される。
【0197】
架橋された又はポリマーの材料は、有機溶剤中での優れた溶解性、優れた皮膜形成特性、そして比較的高いガラス転移温度を有する。更に、本発明による架橋された又はポリマーの材料を有機発光ダイオード(OLED)で使用した場合には、高い電荷担体移動度、高い発色安定性及び相応の素子の長い駆動時間を観察できる。
【0198】
該架橋された又は重合された材料は、被覆として又は薄膜において特に適している。それというのも、該材料は、熱的にかつ機械的に安定であり、かつ比較的欠陥を含まないからである。
【0199】
架橋された又は重合された、一般式(X)を基礎とする繰返単位を含む材料は、以下の工程(a)及び(b):
(a)一般式(X)で示され、その式中、a′′個の基R
55の少なくとも1つ又はb′個のR
56の少なくとも1つが、スペーサーを介して結合された架橋可能なもしくは重合可能な基を意味する架橋可能なもしくは重合可能な化合物を製造すること、及び
(b)工程(a)から得られた一般式(X)の化合物を架橋又は重合すること、
を含む方法によって製造できる。
【0200】
架橋された又は重合された材料は、ホモポリマーであってよい。すなわち一般式(X)の単位のみが、架橋された形で又は重合された形で存在する。前記材料はコポリマーであってもよい。すなわち、一般式(X)の単位に加えて、他のモノマー、例えば正孔伝導特性及び/又は電子伝導特性を有するモノマーが、架橋された形で又は重合された形で存在する。
【0201】
本発明によるOLEDの更なる好ましい一実施態様においては、該OLEDは、一般式(I)の本発明による少なくとも1種のヘテロレプティックな錯体と、式(X)による少なくとも1種のマトリクス材料と、場合により少なくとも1種の更なる正孔輸送性マトリクス材料とを含む発光層(Emissionschicht)を含む。
【0202】
本発明によるOLEDは、エレクトロルミネセンスが有用な全ての装置で使用することができる。好適な装置は、有利には、定置式ディスプレイ及び可搬式ディスプレイ並びに照明手段から選択される。従って、本発明は、本発明によるOLEDを含む、定置式ディスプレイ及び可搬式ディスプレイ並びに照明手段からなる群から選択される装置に関する。
【0203】
定置式ディスプレイは、例えばコンピュータ、テレビのディスプレイ、プリンタのディスプレイ、調理機器のディスプレイ並びに宣伝用ボード、照明及び標識板である。可搬式ディスプレイは、例えば携帯機器、ラップトップ、デジタルカメラ、mp3プレイヤー、スマートフォン、車両のディスプレイ並びにバス及び電車の目的地表示板である。
【0204】
更に、本発明による一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、逆構造を有するOLEDにおいて使用することができる。好ましくは、本発明による錯体は、この逆OLED中でも発光層中で使用される。逆OLEDの構造及びそこで通常使用される材料は当業者に公知である。
【0205】
本発明の更なる一つの対象は、一般式(I)の本発明による少なくとも1種のヘテロレプティックな錯体を含む白色OLEDである。好ましい一実施態様においては、一般式(I)のヘテロレプティックな錯体は、白色OLEDにおいて発光体材料として使用される。一般式(I)のヘテロレプティックな錯体の好ましい実施態様は、上述のとおりである。一般式(I)の少なくとも1種のヘテロレプティックな錯体の他に、該白色OLEDは、式(X)の少なくとも1種の化合物を含んでよい。式(X)の化合物は、好ましくはマトリクス材料として使用される。好ましい式(X)の化合物は、上述のとおりである。
【0206】
白色光を生成するために、OLEDは、スペクトルの全可視領域をカバーする光を生成せねばならない。しかしながら、通常は、有機発光体は、可視スペクトルの限られた一部でのみ発光を示し、従って有色である。白色光は、種々の発光体の組み合わせによって生成することができる。通常は、赤色、緑色及び青色の発光体が組み合わされる。しかしながら、先行技術において、白色OLEDの形成のための他の方法、例えば三重項収集(Triplett−Harvesting)アプローチも知られている。白色OLEDのための好適な構造もしくは白色OLEDの形成のための方法は、当業者に公知である。
【0207】
本発明は、更に、一般式(I)の少なくとも1種の本発明によるヘテロレプティックな錯体を含む、有機エレクトロニクス素子、好ましくは有機発光ダイオード(OLED)、有機光起電セル(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)又は発光電気化学セル(LEEC)に関する。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【
図1】
図1は、Em1−sの結晶構造を示している。
【
図2】
図2は、Em1−iの結晶構造を示している。
【
図3】
図3は、Em2−iの結晶構造を示している。
【0209】
実施例
以下の実施例、特に実施例に挙げられる方法、材料、条件、プロセスパラメータ、装置などは、本発明を支持するべきであるが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0210】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニルイミダゾールL1を、WO2006/121811号の例14と同様に合成する。5−メトキシ−1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾールC1の合成は、D.Enders,K.Breuer,G.Raabe,J.Runsink,J.H.Teles,J.−P.Melder,K.Ebel,S.Brode,Angew.Chem.1995,107,9,1119−1122もしくはD.Enders,K.Breuer,U.Kallfass,T.Balensiefer,Synthesis 2003,8,1292−1295に従って行われる。3−(2,6−ジメチルフェニル)−7−メチルイミダゾール[1,2−f]フェナントリジンL3は、WO2007/095118号の例10と同様に合成する。配位子前駆体の1−イソプロピル−1,2,4−トリアゾロ[4,3−f]フェナントリジニウムヨージドC3の合成は、WO2009/050281号に記載されるのと同様にして行われる。励起子と正孔のブロッカーである2,8−ビス(トリフェニルシリル)ジベンゾフランLB1の合成は、WO2009/003898号の合成例4gに開示されている。
【0211】
全ての実験は、保護ガス雰囲気中で行われる。
【0212】
実施例1:
μ−ジクロロダイマーD1:
【化47】
【0213】
3.50g(11.5ミリモル)の1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾールL1を、200mlの2−エトキシエタノール/水(比率3/1)中に装入し、そこに、1.84g(5.2ミリモル)の塩化イリジウム(III)三水和物を加える。該反応混合物を、18時間にわたり還流で加熱する。冷却した後に、50mlの蒸留水を添加する。沈殿物を濾別し、蒸留水で洗浄し、そして乾燥させる。3.50g(80%)のμ−ジクロロダイマーD1が黄色の粉末として得られる。
【0214】
【0215】
錯体Em1−s:
【化48】
【0216】
2.37g(7.2ミリモル)の5−メトキシ−1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾールC1を、18時間にわたり真空中で90℃に加熱する。室温に冷却した後に、まず、100mlの無水トルエンを、引き続き、3.00g(1.8ミリモル)のクロロダイマーD1と150mlの無水トルエンとからなる懸濁液を添加する。それを、2時間にわたり90℃に加熱する。生成した白色の沈殿物(1.15g、イミダゾリウムクロリドC1
*)を濾別する。濾液を、40mlの飽和NaHCO
3溶液で3回、そして40mlの蒸留水で1回洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。残留物を、50mlのメタノールで2回洗浄し、塩化メチレン/メタノールから再結晶化させ、引き続きニトロメタンから再結晶化させる。3.2gの錯体Em1−sが黄色の粉末として得られる(82%)。
【0217】
【化49】
【0218】
Em1−s: Em1−sの配置は、擬メリディオナルな異性体S1aもしくはS1bの配置に相当する。Em1−sは、ラセミ体として存在する。結晶構造は
図1を参照のこと。1つのエナンチオマーだけが描かれており、大きい球体は炭素であり、小さい球体は水素である。X線構造解析のための試料は、ニトロメタンから結晶化される(なおも結晶中にニトロメタンを含む)。
【0219】
【0220】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=460,490nm、CIE:(0.19;0.34)
【0221】
実施例2:
錯体Em1−i:
【化50】
【0222】
1.6gの錯体Em1−sを200mlの3−メトキシプロピオニトリル中に溶かした溶液を、室温で5時間にわたりブラックライト−ブルーランプで照射する(オスラム社、L18W/73、λ
max=370〜380nm)。溶剤を真空中で除去する。残留物を、メタノールで洗浄し、そして塩化メチレン/メタノールから再結晶化させる。1.2gのEm1−iがレモン色の粉末として得られる(75%)。
【0223】
Em1−iの配置は、擬フェイシャルな異性体S4aもしくはS4bの配置IVaもしくはIVbに相当する。Em1−iは、ラセミ体として存在する。結晶構造は
図2を参照のこと。X線構造解析のための試料は、シクロヘキサン/酢酸エチルエステルから結晶化させる(結晶中にまだシクロヘキサンを含有する)。
【0224】
【0225】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456,488nm、CIE:(0.21;0.37)
フェイシャルな異性体Em1−iの光ルミネッセンス量子収量は、メリディオナルな異性体Em1−sの量子収量の1.36倍の値を有する。
【0226】
実施例3:
4−ブロモジベンゾフラン
【化51】
【0227】
100.00g(99%、588.6ミリモル)のジベンゾフランを、800mlの無水THF中に溶解させ、そこに、−40℃で400ml(640.0ミリモル)のn−BuLi(ヘキサン中1.6M)を加える。冷浴を取り除く。反応溶液を、約30分以内で、水浴中で室温にさせ、引き続き2時間にわたり撹拌する。次いで、−78℃に冷却し、そして160.34g(99%、844.9ミリモル、73.55ml)の1,2−ジブロモエタンを80mlの無水THF中に溶かした溶液を滴加する。冷浴を取り除き、約30分以内で、水浴中で室温にさせ、引き続き更に2時間にわたり撹拌する。引き続き、慎重に、60mlの飽和の塩化ナトリウム溶液を添加する(軽い発熱反応、1〜2℃の温度上昇)。有機相を分離し、そして真空中で溶剤を除去する。油状の赤褐色の残留物を、900mlのジクロロメタン中に取り、連続して500mlのHCl溶液(1N)及び400mlの水で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。冷却に際して、帯黄色の固体が晶出し、その固体を乳鉢中で微細化し、フリット上で150mlのイソプロパノールで2回洗浄する。乾燥後に、120.36gのベージュ色の粉末が得られる(GC及びNMRによる:物質量比DBF/Br−DBF=10/90、111.93gのBr−DBF/76%の収率に相当する)。イソプロパノール溶液から、溶剤の除去後に、更に15.84gの、ジベンゾフラン及び4−ブロモジベンゾフランからなる混合物が得られる(更に約7.8g/5%のBr−DBFを含有する)。この混合物は、同様に更なる工程で使用することができる。
【0228】
【0229】
1−ジベンゾフラン−4−イル−1H−イミダゾール
【化52】
【0230】
119.00gの第一段階物(110.66g、447.9ミリモルの4−ブロモジベンゾフランを含有する)を、700mlのジメチルホルムアミド中に溶解させ、そこに連続的に37.15g(545.7ミリモル)のイミダゾール、15.80g(83.0ミリモル)のヨウ化銅(I)、そして83.20g(602.0ミリモル)の炭酸カリウムを加える。48時間にわたり150℃で撹拌し、その際、24時間後に更に3.75g(55.1ミリモル)のイミダゾールを、そして44時間後には更に1.93g(28.3ミリモル)のイミダゾールを添加する。次いで、室温に冷却させ、そして不溶性の成分を濾別する。その濾液を濃縮乾涸させる。残留物を、500mlの塩化メチレン中に取り、連続的に150mlのアンモニア溶液(25%)及び150mlの水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮させる。82.23gの粗生成物が得られ、それは更なる後精製をすることなく後続工程で使用される(78%の粗製収率)。
【0231】
3−ジベンゾフラン−4−イル−1−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム−ヨージドC2
【化53】
【0232】
82.03g(350.1ミリモル)の1−ジベンゾフラン−4−イル−1H−イミダゾール(粗生成物)を、1Lのテトラヒドロフラン中に溶解させ、そこに、ゆっくりと246.06g(1.733モル)のヨウ化メチルを加える。65時間にわたって室温で撹拌する。生成した沈殿物を濾別し、1Lのテトラヒドロフランで洗浄し、そして乾燥させる。98.41g(261.6ミリモル、75%)のベージュ色の粉末が得られる。
【0233】
【0234】
錯体Em2−s:
【化54】
【0235】
1.01g(2.7ミリモル)のイミダゾリウムヨージドC2及び0.31g(1.3ミリモル)のAg
2Oを、200mlの無水アセトニトリル中で18時間にわたって室温で撹拌する。次いで、溶剤を真空中で除去する。残留物を300mlの無水THF中に取り、そして1.50g(0.9ミリモル)のクロロダイマーD1を添加する。引き続き24時間にわたり還流で加熱する。冷却した後に、反応溶液を濾過する。濾液から、真空中で溶剤を除去する。残留物をメタノールで洗浄し、乾燥した後に、1.2gの錯体Em2−sが黄色の粉末として得られる(64%)。
【0236】
【0237】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=460,491nm、CIE:(0.18;0.33)
【0238】
実施例4:
錯体Em2−i:
【化55】
【0239】
0.90gの錯体Em2−sを200mlの3−メトキシプロピオニトリル中に溶かした溶液を、室温で3時間にわたりブラックライト−ブルーランプで照射する(オスラム社、L18W/73、λ
max=370〜380nm)。溶剤を真空中で除去する。残留物を、入念にメタノールで洗浄する。0.63gのEm2−iが黄色の粉末として得られる(70%)。
【0240】
Em2−iの配置は、擬フェイシャルな異性体S4aもしくはS4bの配置IVaもしくはIVbに相当する。Em2−iは、ラセミ体として存在する。結晶構造は
図3を参照のこと。X線構造解析のための試料は、テトラヒドロフラン/n−ヘプタンから結晶化させた。
【0241】
【0242】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=462,490nm、CIE:(0.17;0.29)
フェイシャルな異性体Em2−iの光ルミネッセンス量子収量は、異性体Em2−sの量子収量の1.44倍の値を有する。
【0243】
実施例5:
錯体Em3−s:
【化56】
【0244】
6.0g(15.5ミリモル)の1−イソプロピル−1,2,4−トリアゾロ[4,3−f]フェナントリジニウムヨージドC3及び2.9g(12.3ミリモル)のAg
2Oを、400mlのジオキサン中で40時間にわたって室温で撹拌する。引き続き、2.6g(1.6ミリモル)のクロロダイマーD1を添加し、そして該混合物を24時間にわたって加熱還流させる。室温に冷却した後に、沈殿物を濾別し、そしてジクロロメタンで洗浄する。一つにまとめた濾液を、濃縮乾涸させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)によって精製する。乾燥した後に、2.1gのEm3−sが黄色の粉末として得られる(64%)。
【0245】
【0246】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=457,489nm、CIE:(0.18;0.32)
【0247】
実施例6:
錯体Em3−i:
【化57】
【0248】
2.1gのEm3−sを2000mlのアセトニトリル中に入れた懸濁液を、室温で8時間にわたって水銀中圧浸漬ランプ(Tauchlaumpe)(デュランジャケット(Duranmantel)を有するTQ150)で照射する。引き続き、溶剤を真空中で除去する。残留物を、アセトンと一緒に2回撹拌し、濾過する。1.6gのEm3−iが黄色の粉末として得られる(76%)。
【0249】
【0250】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456,487nm、CIE:(0.19;0.32)
異性体Em3−iの光ルミネッセンス量子収量は、異性体Em3−sの量子収量の1.21倍の値を有する。
【0251】
実施例7:
4−メチル−1,3−ジフェニル−1H−[1,2,4]トリアゾリウムヨージドC4:
【化58】
【0252】
ステップ1: ベンゾニトリル(51.5g、0.50モル)に、エタノール(無水、25mL)を加える。そこに、2時間にわたって一定流のHClガスを導通させ、引き続き48時間にわたって室温で後撹拌し、その際に固体が生ずる。該反応混合物から、溶剤を減圧下で蒸発させる(95g)。
【0253】
ステップ2+3: 12gのステップ1(64.6ミリモル)を、改めてEtOH(120mL)中に溶解させ、そしてフェニルヒドラジン(9.4g、84ミリモル、1.3当量)を添加し、その際、固体が形成する。トリエチルアミン(22mL、162ミリモル、2.5当量)を添加し、その後に16時間にわたり室温で撹拌する。該反応混合物から、改めて溶剤を減圧下で室温において除去し、こうして生成したアミドラゾンはなおも湿って残留する。ギ酸(200mL)を添加した後に、3.5時間にわたって加熱還流させる。室温で更に48時間後に、慎重に、0℃に冷却した炭酸カリウム水溶液(44%、900mL)に入れる。CH
2Cl
2(500mL)を添加した後に、相が分離され、有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮する。試料は、ジクロロメタン/石油エーテルから再結晶化され、そこから軽く不純物を含む生成物(5.5g、40%)が得られる。母液をカラム濾過(CH
2Cl
2/n−ヘキサン)し、そこから更なる清浄な生成物のチャージが得られる(1.7g、12%)。
【0254】
ステップ4: 前駆物質のトリアゾール(1.5g、66ミリモル)をTHF(無水、40mL)中に溶解させ、そこに、MeI(14mL)を加え、そして5日間にわたり加熱還流させる。得られた固体を濾別し、複数回再結晶化させ(CH
2Cl
2/n−ヘキサン)、そして乾燥させる(780mg、32%)。
【0255】
【0256】
錯体Em4−s:
【化59】
【0257】
0.40g(1.1ミリモル)のイミダゾリウムヨージドC4及び0.13g(0.56ミリモル)のAg
2Oを、50mlの無水アセトニトリル中で18時間にわたって室温で撹拌する。次いで、0.61g(0.37ミリモル)のクロロダイマーD1を25mlの無水アセトニトリル中に溶かした溶液を添加する。引き続き、6時間にわたり加熱還流させ、その後に更に16時間にわたって室温で撹拌する。冷却した後に、反応溶液を濾過する。濾液から、真空中で溶剤を除去する。残留物をメタノールで洗浄した後に、0.2gの錯体Em4−sが黄色の粉末として得られる(26%)。
【0258】
【0259】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=458,488nm、CIE:(0.19;0.33)
【0260】
実施例8:
錯体Em4−i:
【化60】
【0261】
0.15gの錯体Em4−sを200mlの3−メトキシプロピオニトリル中に溶かした溶液を、室温で2時間にわたりブラックライト−ブルーランプで照射する(オスラム社、L18W/73、λ
max=370〜380nm)。溶剤を真空中で除去する。残留物を、入念にメタノールで洗浄する。0.05gのEm4−iが黄色の粉末として得られる(33%)。
【0262】
【0263】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456,488nm、CIE:(0.19;0.33)
異性体Em4−iの光ルミネッセンス量子収量は、異性体Em4−sの量子収量の1.40倍の値を有する。
【0264】
実施例9:
3,4−ジフェニル−1−o−トリル−4H−[1,2,4]−トリアゾリウムヨージドC5:
【化61】
【0265】
ステップ1: o−トリルヒドラジン塩酸塩(15g、97ミリモル)を塩化メチル(450ml)中に入れた懸濁液に、室温でNaHCO
3水溶液(5%、330g、190ミリモル、2.0当量)を添加する。30分の撹拌の後に、2相の溶液を相分離させる。有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、そこから溶剤を除去し、そして60℃で減圧下で乾燥させ、その際、トリルヒドラジンが淡黄色の固体として単離される(7.3g、62%)。
【0266】
ステップ2: 塩化ベンゾイル(8.4g、60ミリモル、1.0当量)をトルエン(無水、60mL)中で装入し、そして5℃に冷却する。そこに、アニリン(5.6g、60ミリモル、1.0当量)を添加し、該反応混合物を16時間にわたり加熱還流させ、引き続き48時間にわたり室温で後撹拌する。その後に、80℃に加熱し、この温度で塩化チオニル(21.4g、180ミリモル、3.0当量)を添加し、そして2時間にわたり後撹拌する。その後に、室温に冷却し、そして過剰の塩化チオニルを減圧下で除去する。該反応混合物に、THF(無水、180mL)及びトリエチルアミン(9.1g、90ミリモル、1.5当量)を加え、それを5℃に冷却し、そこにステップ1のトリルヒドラジン(7.3g、60ミリモル)をTHF(20mL)中に溶かして添加する。該混合物を、16時間にわたり室温で撹拌する。溶剤を除去した後に、残留物を酢酸(2%、150mL)から再結晶化させ、iPrOH(80mL、20mL)で洗浄し、そして乾燥させる(10.3g、57%)。
【0267】
ステップ3: トリエチルオルトホルミエート(9.0mL、8.1g、56ミリモル、5.6当量)及び3gのステップ2のヒドラゾン(10ミリモル)を装入し、ヨウ化アンモニウム(1.4g、10ミリモル、1.0当量)を添加し、そして該懸濁液を7時間にわたって加熱還流させる。冷却した後に、固体を吸引分離し、そしてn−ヘキサン並びに酢酸エステルで複数回洗浄し、そこからヨウ化物塩が灰色の粉末として得られる(3.2g、73%)。
【0268】
【0269】
錯体混合物Em5−s:
【化62】
【0270】
1.12g(2.5ミリモル)のイミダゾリウムヨージドC5を、100mlの無水トルエン中に懸濁する。0℃で、8.2ml(4.1ミリモル)のカリウム−ビス(トリメチルシリル)アミド(トルエン中0.5M)を5分以内で滴下する。生じた溶液を、10℃に加温させ、そこに、1.42g(0.85ミリモル)のクロロダイマーD1及び75mlの無水トルエンとからなる懸濁液を加える。該反応混合物を、90℃に加熱し、そしてこの温度で2時間にわたり撹拌する。冷却した後に、沈殿物を分離する。濾液を、連続的に、30mlのNaHCO
3水溶液で3回、30mlの水で1回洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。残留物を、カラムクロマトグラフィー(溶出剤:シクロヘキサン/アセトン=4/1)によって精製する。1.2g(63%)のEm5−sが2種のシクロメタル化異性体の混合物として得られる。
【0271】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=461,489nm、CIE:(0.19;0.33)
【0272】
実施例10:
錯体混合物Em5−i:
【化63】
【0273】
0.60gの錯体混合物Em5−sを200mlの3−メトキシプロピオニトリル中に溶かした溶液を、室温で7時間にわたりブラックライト−ブルーランプで照射する(オスラム社、L18W/73、λ
max=370〜380nm)。溶剤を真空中で除去する。残留物を、入念にメタノールで洗浄する。0.10gのEm5−iが淡黄色の粉末として得られる(17%、またしても2種のシクロメタル化異性体の混合物)。
【0274】
MS(Maldi):
m/e=1110(M+H)
+
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456,487nm、CIE:(0.20;0.34)
異性化された錯体混合物Em5−iの光ルミネッセンス量子収量は、錯体混合物Em5−sの量子収量の1.50倍の値を有する。
【0275】
実施例11:
1−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾールL2:
【化64】
【0276】
13.0g(90ミリモル)の2−フェニルイミダゾールを、600mlのDMF中に溶解させ、そこに、ゆっくりと4.0g(100ミリモル)の水素化ナトリウム(鉱油中60%)を加え、30分にわたって室温で撹拌する。次いで、14.0g(99ミリモル)のヨウ化メチルを添加する。該反応混合物を、1.5時間にわたって室温で撹拌し、次いでそこに、入念に350mlの水を加える。該混合物を、200mlの酢酸エチルエステルで2回抽出する。該抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮する。12.0g(84%)のL2が得られる。
【0277】
【0278】
μ−ジクロロダイマーD2:
【化65】
【0279】
合成は、D1と同様に実施する。得られた沈殿物を、ジクロロメタンで抽出する。該抽出物から、溶剤の除去後に、D2が36%の収率で得られる。
【0280】
【0281】
錯体Em6−s:
【化66】
【0282】
1.20g(3.6ミリモル)の5−メトキシ−1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾールC1を、20時間にわたり真空中で90℃に加熱する。室温に冷却した後に、まずは、1.2Lの無水トルエンを添加し、引き続き0.99g(0.9ミリモル)のクロロダイマーD2を添加する。8時間にわたり加熱還流させる。生じた沈殿物を濾別する。濾液を、約800mlに濃縮し、連続的に、500mlの飽和NaHCO
3溶液で3回、そして500mlの蒸留水で1回洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/アセトン=5/1)によって精製する。118mgの錯体Em6−sが得られる(8%)。
【0283】
【0284】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456,486nm、CIE:(0.21;0.33)
【0285】
実施例12:
錯体Em7−s:
【化67】
【0286】
0.67g(2.0ミリモル)の5−メトキシ−1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾールC1を、20時間にわたり真空中で90℃に加熱する。室温に冷却した後に、残留物を50mlの無水トルエン中に溶解させ、そして1.00g(0.9ミリモル)のクロロダイマーD2及び0.36g(1.9ミリモル)のAgBF
4からの1.2Lの無水トルエン中の懸濁液に添加する。8時間にわたり還流下で撹拌する。生じた沈殿物を濾別する。濾液を、約800mlに濃縮し、連続的に、500mlの飽和NaHCO
3溶液で3回、そして500mlの蒸留水で1回洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/アセトン=5/1)によって精製する。70mgの錯体Em7−sが得られる(5%)。
【0287】
MS(Maldi):
m/e=943(M+H)
+
【0288】
【0289】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=476,502nm、CIE:(0.22;0.37)
【0290】
実施例13:
錯体Em7−s*:
【化68】
【0291】
0.90g(2.7ミリモル)の5−メトキシ−1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾールC1を、20時間にわたり真空中で90℃に加熱する。室温に冷却した後に、まずは、800mlの無水トルエンを添加し、引き続き0.99g(0.9ミリモル)のクロロダイマーD2を添加する。3時間にわたり還流下で撹拌する。生じた沈殿物を濾別する。濾液を、連続的に、50mlの飽和NaHCO
3溶液で3回、そして50mlの蒸留水で1回洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/アセトン=2/1)によって精製する。50mgの錯体Em6−sの他に、150mgの錯体Em7−s
*が得られる。
【0292】
【0293】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=482,508nm、CIE:(0.24;0.40)
【0294】
実施例14:
μ−ジクロロダイマーD3:
【化69】
【0295】
合成は、D1と同様に実施する。収率:87%。
【0296】
【0297】
錯体Em8−s:
【化70】
【0298】
0.37g(1.1ミリモル)の5−メトキシ−1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾールC1を、18時間にわたり真空中で90℃に加熱する。室温に冷却した後に、まずは、120mlの無水トルエンを添加し、引き続き0.50g(0.28ミリモル)のクロロダイマーD3を添加する。それを、3時間にわたり75℃に加熱する。生じた白色の沈殿物を濾別する。濾液を、30mlの飽和NaHCO
3溶液で3回、そして30mlの蒸留水で1回洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、そして真空中で溶剤を除去する。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製する(シリカゲル、酢酸エチルエステル:シクロヘキサン=1:5)。0.19gの錯体Em8−sが得られる(28%)。
【0299】
【0300】
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456nm、CIE:(0.24;0.29)
【0301】
実施例15(比較例、本発明によるものではない):
錯体CEm1:
【化71】
【0302】
CEm1は、WO2006067074号の化合物(N−3)に相当する。
【0303】
合成は、WO2006067074号と同様に行われる。
λ
PL(PMMA):472nm,491nm、量子収量
PL:2%
【0304】
錯体CEm1は、その非常に低い燐光−量子収量に基づきOLEDにおける発光体としては適していない。
【0305】
実施例16(比較例、本発明によるものではない):
錯体CEm2:
【化72】
【0306】
CEm2は、WO2006121811号の化合物"化合物3"に相当する。合成は、WO2006121811号と同様に行われる。
【0307】
実施例17:
OLEDの製造 − 種々の発光体の比較
アノードとして使用されるITO基板を、まず慣用のLCD生産用の清浄剤(Deconex(登録商標)20NS及び中和剤25ORGAN−ACID(登録商標))で浄化し、引き続きアセトン/イソプロパノール混合物中で超音波浴において浄化する。可能性のある有機残留物の除去のために、その基板をオゾン炉中で更に25分間にわたり連続的なオゾン流にさらす。この処理によって、ITOの正孔注入特性も改善される。次に、正孔注入層であるPlexcore社のA20−1000もしくはH.C.Starck社のPEDT:PSS(CLEVIOS P Al 4083)を溶液からスピンコートする。
【0308】
次いで、以下に挙げる有機材料を、前記の清浄化された基板上に、約0.5〜5nm/分の速度で、約10
-7〜10
-9ミリバールにおいて蒸着させる。正孔伝導体及び励起子ブロッカーとして、Ir(DPBIC)
3を厚さ45nmで基板上に塗布する。そのうち最初の35nmは、導電性の向上のためにMoO
xでドープされている。
【化73】
(製造に関しては、出願PCT/EP/04/09269におけるIr錯体(7)を参照のこと)
【0309】
引き続き、発光体と化合物Ma1からなる混合物を厚さ40nmで塗布する。その際、後者の化合物はマトリクス材料として機能する。引き続き、材料Ma1を励起子ブロッカー及び正孔ブロッカーとして厚さ10nmで蒸着させる。
【化74】
【0310】
次に、電子輸送体であるBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を厚さ20nmで蒸着し、0.75nm厚のフッ化リチウム層を蒸着し、最後に100nm厚のAl電極を蒸着する。全ての素子を、不活性窒素雰囲気中でガラスカバーと貼り付ける。
【0311】
OLEDの特性決定のために、エレクトロルミネセンス−スペクトルを種々の電流もしくは電圧で記録する。更に、電流−電圧特性曲線を、放射された光量を組み合わせて測定する。光量は、輝度計を用いて較正することによって光度量に換算することができる。ダイオードの寿命t
1/2は、輝度がその初期値の50%に低下するまでにかかる時間によって定義されている。寿命の測定は、一定電流で実施される。
【0312】
上記のOLED構造における種々の発光体について、以下の電気化学的データが得られる:
【表28】
【0313】
実施例18:
発光体の種々の異性体の比較
例として、2つの事例で、種々の異性体のOLED出力に対する影響が示されている。上記のOLED構造における種々の発光体及び異性体について、以下の電気化学的データが得られる:
【表29】
【0314】
実施例19:
混合型の電子導電体層の影響
以下の例は、BCP電子伝導体層のLiqによるドーピングの影響を示している。
【化75】
【0315】
以下のOLED構造を使用する:
ITO − 40nmのAJ20−1000 − 35nmのIr(DPBIC)
3とMoO
xとを混合したもの − 10nmのIr(DPBIC)
3 − 40nmのMa1と20質量%のEm1−iとを混合したもの − 5nmのMa1 − 40nmの電子伝導体 − 1nmのLiq − 100nmのAl。該OLEDの製造は、例17と同様に行われる。
【0316】
【表30】
【0317】
実施例20:
錯体Em9−s:
【化76】
【0318】
イミダゾリウムヨージドC6は、WO2006056418号からの化合物"実施例1"の前駆物質に相当する。合成は、WO2006056418号からの化合物"実施例1"の合成と同様に行われる。
【0319】
2.0g(6.4ミリモル)のイミダゾリウムヨージドC6及び0.75g(3.2ミリモル)のAg
2Oを、170mlの無水アセトニトリル中で4時間にわたって50℃で撹拌する。次いで、溶剤を真空中で除去する。残留物を170mlの無水トルエン中に取り、そして3.6g(2.1ミリモル)のクロロダイマーD1を添加する。引き続き24時間にわたり加熱還流させる。冷却した後に、反応溶液を濾過する。濾液から、真空中で溶剤を除去する。残留物を塩化メチレン中に取り、水で洗浄し、乾燥により濃縮させ、そしてクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エステル)によって精製し、そこから0.26gのEm9−sが単離され(6%)、そして0.63gの錯体Em9−sと錯化されていないフェニルイミダゾール配位子との混合フラクションと0.10mgの逆の配位子化学量論比を有する更なる錯体が単離される。更に、1.3gのクロロダイマーD1(36%)を再単離する。
【0320】
【0321】
MS(Maldi):
m/e=979(M+H)
+
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=456,487nm、CIE:(0.20;0.30)
【0322】
実施例21:
錯体Em9−i:
【化77】
【0323】
0.17gの錯体Em9−sを2000mlのアセトニトリル中に溶かした溶液を、15℃で9.5時間にわたりブラックライト−ブルーランプで照射する(オスラム社、L18W/73、λ
max=370〜380nm)。溶剤を真空中で除去する。残留物をクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エステル)によって精製する。0.055gのEm9−i(32%、微量の更なる錯体を不純物として有する)が得られ、かつ0.075gの再単離されたEm9−s(44%)が再単離される。
【0324】
【0325】
MS(Maldi):
m/e=979(M+H)
+
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=457,485nm、CIE:(0.17;0.26)
異性体Em9−iの光ルミネッセンス量子収量は、異性体Em9−sの量子収量の1.14倍の値を有する。
【0326】
実施例22:
錯体Em10−s:
1,3−ジフェニル−4,5−ジ−o−トリル−イミダゾリウム−テトラフルオロボレートC7
【化78】
【0327】
ステップ1: 2−アニリノ−1,2−ジ−o−トリル−エタノンの製造
18.00g(74.91ミリモル)のo−トルオインの溶液を100mlの無水トルエン中に溶解させ、そして21.00g(224.9ミリモル)のアニリン及び0.2gの濃HClを室温で加える。該反応混合物を10時間にわたり沸点まで還流下に加熱する。その際、生じた水は循環させる。室温に冷却した後に、該反応溶液を100mlの酢酸エステルで希釈し、次いでそれぞれ70mlの1nのHClとともに2回揺り動かす。引き続き、有機相を100mlの水及び70mlの飽和塩酸溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして黄色の樹脂になるまで濃縮する。粗生成物を、シリカゲル上で塩化メチレンを溶出剤として用いてクロマトグラフィーによって精製する。溶剤を除去した後に、19.6g(83%)の黄色の油状物が得られる。
【0328】
ステップ2: N−(2−オキソ−1,2−ジ−o−トリル−エチル)−N−フェニル−ホルムアミドの製造
19.50g(58.7ミリモル)の2−アニリノ−1,2−ジ−o−トリル−エタノンを80mlのテトラヒドロフラン中に溶かした溶液に、7.80g(88.1ミリモル)のアセトホルミルアンヒドリドを加え、そして17時間にわたり室温で撹拌する。該反応溶液を、回転蒸発器上でシロップ状になるまで濃縮し、そしてシリカゲル上で石油エーテル・酢酸エステル溶液をまず比率10:1で、次いで1:1で溶出剤として用いて精製する。溶剤を除去した後に、18.4g(91%)のほぼ無色のシロップ状物が得られる。
【0329】
ステップ3: 3−フェニル−4,5−ジ−o−トリル−オキサゾリウム−テトラフルオロボレートの製造
9.80g(55.9ミリモル)の50%テトラフルオロホウ酸に、5〜10℃で、15分以内で、63gのトリフルオロ酢酸無水物を注射器を用いて計量供給する(発熱反応!)。冷却した溶液を、引き続き、20.00g(55.3ミリモル)のN−(2−オキソ−1,2−ジ−o−トリル−エチル)−N−フェニル−ホルムアミドを60gのトリフルオロ酢酸無水物中に入れた懸濁液に、室温で10分以内で滴下する。その際、温度は、28℃まで上昇する。該反応溶液を3時間にわたり20〜25℃で撹拌し、次いで油状物になるまで回転蒸発器上で濃縮する。100mlのジエチルエーテルを添加した後に、9.7g(55.3ミリモル)の50%テトラフルオロホウ酸を撹拌しながら滴下する。その際、沈殿物が形成される。1時間の撹拌の後に、沈殿物を吸引分離し、それぞれ10mlのジエチルエーテルで3回洗浄し、乾燥させる。22.55g(99%)の無色の粉末が得られる。
【0330】
ステップ4: 1,3−ジフェニル−4,5−ジ−o−トリル−イミダゾリウム−テトラフルオロボレートC7の製造
3.50g(8.47ミリモル)の3−フェニル−4,5−ジ−o−トリル−オキサゾリウム−テトラフルオロボレートを35mlのエタノール中に入れた懸濁液に、1.58g(16.9ミリモル)のアニリンを添加する。室温で45分間撹拌した後に、該溶液を橙色の樹脂になるまで濃縮し、引き続きそこに15mlの硫酸を加える。該溶液を2時間にわたり室温で撹拌する。該反応溶液を、300mlの氷水中に混ぜ入れる。その際、沈殿物が生ずる。該懸濁液を、更に1時間にわたり撹拌し、次いでヌッチェを介して濾過する。残留物を水で洗浄し、そして十分に吸引乾燥した。残留物を、エルレンマイヤーフラスコ中で40mlのジエチルエーテルで希釈し、吸引分離し、そして10mlのジエチルエーテルで洗浄する。ジエチルエーテルで希釈し、引き続き吸引分離することを、更に2回繰り返す。乾燥後に、3.10g(理論値の71%)の無色の粉末が得られる。
【0331】
錯体Em10−s:
【化79】
【0332】
1.61g(3.30ミリモル)の1,3−ジフェニル−4,5−ジ−o−トリル−イミダゾリウム−テトラフルオロボレートを25mlのトルエン中に入れた懸濁液を、アルゴン下で15分にわたり室温で撹拌し、次いで0℃に冷却する。12.6ml(6.29ミリモル)の0.5Mのカリウム−ビス(トリメチルシリル)アミドをトルエン中に入れたものを、1分以内で計量供給する。該反応溶液を、15分にわたり0〜12℃で撹拌し、引き続きそこに、2.50g(1.50ミリモル)のビス(イリジウム−μ−クロロ錯体)D1を加える。引き続き5mlのトルエンですすぐ。橙黄色の懸濁液を還流下で沸点まで加熱する。75分後に、該反応溶液を室温に冷却し、20mlの酢酸エステルで希釈し、次いで各20mlのリン酸緩衝液(pH7)とともに2回揺り動かす。橙色の相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次いで濃縮乾涸させる。該固体を、150mlのメタノール中で短時間還流下で沸点まで加熱する。該懸濁液を50℃まで冷却した後に、固体を吸引分離し、各10mlのメタノールで2回洗浄し、そして乾燥させる。2.52gの帯黄色の固体が得られる。濾液を40mlまで濃縮し、そして室温で一晩撹拌する。沈殿物を吸引分離し、少量のメタノールで洗浄し、そして乾燥させる。0.28gの帯黄色の固体が得られ、それを残留物と一緒にまとめる。従って、全体で2.80g(理論値の78%)の帯黄色の固体が得られ、それは282〜283℃で溶融する。
【0333】
MS(Maldi):
m/e=1197.4(M+H)
+
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=464,493nm、CIE:(0.19;0.35)
【0334】
実施例23:
錯体Em10−i及びEm10−i*:
【化80】
【0335】
0.50g(0.42ミリモル)のEm10−sを、300mlのアセトニトリル中に溶解させ、水銀中圧浸漬ランプTQ150(365nm、150W)で5.5時間にわたり照射する。該溶液から溶剤を除去する。残留物を30mlのメタノール中に高温で溶解させる。冷却した後に、沈殿物を吸引分離し、メタノールで洗浄し、そして乾燥させる。錯体異性体Em10−i[0.19g(38%)]が、黄色の粉末として得られ、それは316〜317℃で溶融する。
【0336】
MS(Maldi):
m/e=1196.7(M)
+
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=460,491nm、CIE:(0.18;0.32)
濾液を、濃縮乾涸させ、10mlのn−ペンタンとともに撹拌し、吸引分離し、ペンタンで洗浄し、そして乾燥させる。錯体異性体Em10−i
*[0.16g(32%)]が、黄土色の固体として得られ、それは207〜209℃で溶融する。
【0337】
MS(Maldi):
m/e=1197.8(M+H)
+
光ルミネッセンス(フィルム中、PMMA中で2%):
λ
max=458,490nm、CIE:(0.19;0.33)
【0338】
実施例24 − マトリクス材料の
Em1−sへの影響:
ダイオード構造:
ITO−PEDT:PSS − 35nmのIr(DPBIC)
3と10質量%MoO
xとを混合したもの − 10nmのIr(DPBIC)
3 − 40nmのマトリクス"MaX"と15質量%のEm1−sとを混合したもの − 10nmのLB1 − 20nmの電子伝導体BCP − 0.70nmのLiF − 100nmのAl。該ダイオードの製造は、例17と同様に行われる。
【0339】
励起子ブロッカー及び正孔ブロッカーLB1:
【化81】
【0340】
【表31】
【0341】
マトリクス"MaX"(=Ma2〜Ma6)の構造と、WO2010/079051でのその合成の記載:
【表32】
【0342】
実施例25 − マトリクス材料の
Em1−iへの影響:
構造A: ITO−AJ20−1000 − 35nmのIr(DPBIC)
3と50質量%MoO
3とを混合したもの − 10nmのIr(DPBIC)
3 − 40nmの"MaY"と20質量%のEm1−iとを混合したもの − 5nmの"MaY" − 40nmの電子伝導体BCP:Liq50質量% − 1nmのLiq − 100nmのAl。該ダイオードの製造は、例17と同様に行われる。
【0343】
構造B: ITO−AJ20−1000 − 35nmのIr(DPBIC)
3と10質量%MoO
3とを混合したもの − 10nmのIr(DPBIC)
3 − 40nmの"MaY"と15質量%のEm1−iとを混合したもの − 10nmのLB1 − 20nmの電子伝導体BCP − 0.70nmのLiF − 100nmのAl。該ダイオードの製造は、例17と同様に行われる。
【0344】
【表33】
【0345】
マトリクス"MaY"(=Ma7〜Ma9)の構造と、WO2010/079051でのその合成の記載:
【表34】
【0346】
実施例26 − マトリクス材料の
Em1−iへの影響:
ITO−AJ20−1000 − 10nmのMa1と10質量%MoO
xとを混合したもの − 10nmのMa10と15質量%のEm1−i及び15質量%のMa1とを混合したもの − 5nmのMa1 − 20nmの電子伝導体BCPと20質量%のMa1とを混合したもの − 1nmのCs
2CO
3 − 100nmのAl。該ダイオードの製造は、例17と同様に行われる。
【0347】
マトリクス材料Ma10の合成は、JP2009046408号の化合物B(段落[0039]、第13頁)に記載されている。
【化82】
【0348】
以下のCIE値:0.19;0.35(300ニットでの電圧(V):3.8)を有する発光ダイオードが得られる。