特許第5940046号(P5940046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940046
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】電子用途のためのアザピレン
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/70 20060101AFI20160616BHJP
   C07D 471/06 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 487/06 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 487/16 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C07D239/70CSP
   C07D471/06
   C07D401/04
   C07D487/06
   C07D487/16
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2013-260460(P2013-260460)
(22)【出願日】2013年12月17日
(62)【分割の表示】特願2011-517842(P2011-517842)の分割
【原出願日】2009年6月23日
(65)【公開番号】特開2014-94944(P2014-94944A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年1月16日
(31)【優先権主張番号】08160714.5
(32)【優先日】2008年7月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アイヒェンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ バードン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア リッチ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア チェボタレヴァ
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許第00566474(DE,B)
【文献】 A.V.Aksenov,A.S.Lyahovnenko,I.V.Aksenova,O.N.Nadein,Novel three-component peri-annelation reactions of carbocyclic and pyridine rings with perimidines-s,Tetrahedron Letters,2008年 1月15日,49,1808-1811
【文献】 RIEHM T,TETRAAZAPYRENES A NEW CLASS OF MULTIFUNCTIONAL CHROMOPHORES,CHEMISTRY A EUROPEAN JOURNAL,2007年,V13,P7317-7329
【文献】 A.Edel,P.A.Marnot,J.P.Sauvage,Unexpected Synthesis of 2-Methyl 1,3-Diazapyrene from 1,8-Diamino Naphthalene,Tetrahedron Letters,1985年,26(6),727-728
【文献】 T. Vaidyanathan et al.,Nucleophilic Substitution Reactions on 3-Bromo- and 3-Nitrobenzanthrones,Dyes and Pigments,1984年,5(6),p. 431-436
【文献】 Dawans, F. et al.,2,7-Disubstituted 1,3,6,8-Tetraazopyrene and Related Polymers,Journal of Polymer Science: Part A,1964年,2(11),p. 5005-5016
【文献】 Aksenova, I. V. et al.,Synthesis of 1,3-diazapyrenes from benzo[f]quinazolines,Chemistry of Heterocyclic Compounds,2008年,44(2),p. 197-199
【文献】 Aksenova, I. V. et al.,Unexpected result of the reaction of perimidines with 1,3,5-triazine in the presence of sodium nitrite,Chemistry of Heterocyclic Compounds,2008年,44(6),p. 765-766
【文献】 Aksenov, A. V. et al.,Unexpected result of the reaction of 2-ethoxynaphthalene with 2,4,6-trimethyl-1,3,5-triazine,Chemistry of Heterocyclic Compounds,2008年,44(6),p. 767-768
【文献】 Aksenov, A. V. et al.,Reaction of 6(7)-acyl-and 6(7)-formylperimidines with 1,3,5-triazines in poly-phosphoric acid,Chemistry of Heterocyclic Compounds,2008年,44(7),p. 868-871
【文献】 STN International,Pyrimido[4,5,6-gh]perimidine, 4-chloro-2,7-dimethyl-,file REGISTRY [online],1984年11月16日,[平成26年11月21日検索],CAS Registry No. 23605-42-7
【文献】 STN International,Pyrimido[4,5,6-gh]perimidine, 2,7-bis(phenylmethyl)-,file REGISTRY [online],1984年11月16日,[平成26年11月21日検索],CAS Registry No. 23542-64-5
【文献】 STN International,Pyrimido[4,5,6-gh]perimidine, 2,7-dicyclohexyl-,file REGISTRY [online],1984年11月16日,[平成26年11月21日検索],CAS Registry No. 23542-63-4
【文献】 STN International,Pyrimido[4,5,6-gh]perimidine, 2,7-dipropyl-,file REGISTRY [online],1984年11月16日,[平成26年11月21日検索],CAS Registry No. 23542-62-3
【文献】 STN International,Pyrimido[4,5,6-gh]perimidine, 2,7-diethyl-,file REGISTRY [online],1984年11月16日,[平成26年11月21日検索],CAS Registry No. 23542-61-2
【文献】 BOROLVLEV I V,HETEROCYCLIC ANALOGS OF PLEIADENE 71 SYNTHESIS OF 1 3-DIAZAPYRENE,CHEMISTRY OF HETEROCYCLIC COMPOUNDS,2002年,V38 N8,P968-973
【文献】 AKSENOVA I V,UNEXPECTED RESULT FROM THE INTERACTION OF 1 8-DIAMINO-NAPHTHALENE 以下備考,CHEMISTRY OF HETEROCYCLIC COMPOUNDS,NE,KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS-CONSULTANTS BUREAU,2007年 5月 1日,V43 N5,P665-666,WITH AROMATIC NITRILES IN POLYPHOSPHORIC ACID
【文献】 JIE HU,RUTHENIUM(III)CHLORIDE CATALYZED OXIDATION OF PYRENE AND 2 7-DISUBSTITUED 以下備考,JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,2004年12月16日,V70 N16,P707-708,PYRENES AN EFFICIENT ONE-STEP SYNTHESIS OF PYRENE-4 5-DIONES AND PYRENE-4 5 9 10-TETRAONES
【文献】 AKSENOV,A NEW METHOD FOR[C D]PYRIDINE PERI-ANNELATION SYNTHESIS OF AZAPYRENES 以下備考,TETRAHEDRON LETTERS,ELSEVIER,2008年 1月 4日,V49 N4,P707-709,FROM PHENALENES AND THEIR DIHYDRO DERIVATIVES
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
[式中、
1は、NまたはCHであり、
Yは、OまたはNR25であり、ここで
25は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
206、R207、およびR210は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシあるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C7〜C25アラルキル、CNまたは−CO−R28であり、
28は、H;C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1、R2、およびR3は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、
【化2】
【化3】
、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、
【化4】
または−L1−NR25’26’であり、
2’およびR3’は、
【化6】
【化7】
、または−L1−NR25’26’であり、
4'は、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリールであり、
[式中、
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、またはGで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであり;
1は、単結合、
【化9】
であり、
Dは、−O−;または−NR25−であり、
Eは、−OR29;−NR2526;−CN;またはFであり、
25およびR26は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
29は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
Gは、E、C1〜C18アルキル、Dで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C1〜C18アルコキシ、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシである]であり、
25’およびR26’は、互いに独立して
【化10】
であり、またはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に複素芳香族環系
【化11】
を形成し;m’は、0、1または2であり;
mは、各出現において同一または異なってよく、且つ0、1、2または3であり;
m1は、各出現において同一または異なってよく、且つ0、1、2、3または4であり、
41は、各出現において同一または異なってよく、且つCl、F、CN、N(R452、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C1〜C25アルコキシ基であるが、ここで互いに隣接しない1個以上の炭素原子は、−NR45−、−O−、−S−または−C(=O)−O−で置換されてよく、および/または1個以上の水素原子は、F、C6〜C24アリール基またはC6〜C24アリールオキシ基で置換されてよいが、ここで1個以上の炭素原子は、O、SまたはNで置換されてよく、および/またはそれは、1個以上の非芳香族基R41で置換されてよく、あるいは
2個以上の基R41は、環系を形成し;
45は、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基であり、ここで互いに隣接しない1個以上の炭素原子は、−NR45’’−、−O−、−S−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−O−で置換されてよく、および/または1個以上の水素原子は、F、C6〜C24アリール基またはC6〜C24アリールオキシ基で置換されてよく、ここで1個以上の炭素原子は、O、SまたはNで置換されてよく、および/またはそれは、1個以上の非芳香族基R41で置換されてよく、および
45’’は、C1〜C25アルキル基またはC4〜C18シクロアルキル基であり、
216、R217、R116、R117およびR117’は、互いに独立してH、ハロゲン、−CN、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’で置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、−C(=O)−R127、−C(=O)OR127または−C(=O)NR127126であり、あるいは
置換基R116、R117およびR117’は、互いに隣接して、環を形成してよく、
316およびR317は、R116の意味を有し、
119およびR120は、互いに独立してC1〜C12アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C12アルキル、C6〜C14アリール、Gで置換されたC6〜C14アリールであり、あるいは
119およびR120は、C1〜C8アルキルで場合により置換されてよい4ないし8員環を一緒に形成し、
119’およびR120’は、互いに独立してC1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’によって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニルまたはC7〜C25アラルキルであり、あるいは
119’およびR120’は、式=CR121’122’
[式中、
121’およびR122’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、またはC2〜C20ヘテロアリール、またはG’で置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の基を一緒に形成し、あるいは
119’およびR120’は、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’で置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキルまたは−C(=O)−R127で場合により置換されてよい5または6員環を一緒に形成し、および
126およびR127は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
D’は、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR65−、−SiR7071−、−POR72−、−CR63=CR64−または−C≡C−であり、および
E’は、−OR69、−SR69、−NR6566、−COR68、−COOR67、−CONR6566、−CNまたはハロゲンであり、
G’は、E’またはC1〜C18アルキルであり、
63およびR64は、互いに独立してH;C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
65、R65’およびR66は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;または
65およびR66は、5または6員環を一緒に形成し、
67およびR68は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
69は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
70およびR71は、互いに独立してC1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、またはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールであり、
72は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリールまたはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールである]の化合物。
【請求項2】
式IIb
[式中、
5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1、R2’およびR3’は、互いに独立して、基
【化18】
、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、
【化19】
または−L1−NR25’26’であり、
1は、単結合、
【化20】
であり、
m1は、0または1であり;
4’は、基
【化21】
であり、
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’
【化22】
であり、
25’およびR26’は、互いに独立して
【化23】
であるか、または
25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と基
【化24】
[式中、
41は、HまたはC1〜C8アルキルである]を一緒に形成し、および
116およびR117は、互いに独立してH、−O−もしくはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェニル、または−O−もしくはフェニルで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルで場合により置換されてよいピリジンであり;および
119’およびR120’は、互いに独立してC1〜C25アルキル、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C25アルキルであり、
216およびR217は、互いに独立してH、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり、
316およびR317は、R116の意味を有し、
Dは、−O−;または−NR25−であり、
Eは、−OR29;−NR2526;−CNまたはFであり;
29;R25およびR26は、請求項1において定義された通りである]の、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化43】
[式中、
1は、NまたはCHであり、
Yは、OまたはNR25であり、
1は、C6〜C24アリール、Gまたは式
【化44】
の基で置換されたC6〜C24アリールであり、
2およびR3は、互いに独立してC6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリールであり、
25は、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリールであり、
206およびR207は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、あるいは
206およびR207は、式
【化45】
[式中、
205およびR208は、Hであり、
206’およびR208’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、GまたはCNで置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の基を一緒に形成し、
210は、C6〜C24アリール、Gまたは式
【化46】
の基で置換されたC6〜C24アリールであり、
ここで
Dは、−O−;または−NR25−であり
Eは、−OR29;−NR2526;−CN;またはFであり;および
Gは、E、C1〜C18アルキル、Dで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C1〜C18アルコキシ、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシであり、
25およびR26は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
29は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
25’およびR26’は、互いに独立して
【化47】
であるか、あるいはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に式
【化48】
の基を形成し、
116およびR117は、互いに独立してH、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;
BUは、
【化49】
[式中、
41は、各出現において同一または異なってよく、且つ−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;m1は、0、1または2である]である]の、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
以下の
【表4】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
、請求項1記載の化合物。
【請求項5】

【化50】
[式中、
1は、CHまたはNであり、
5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1’、R2、R3は、互いに独立して
【化51】
であり、
116およびR117は、互いに独立してH、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり、
mは2であり、ならびに
Qは、式
【化52】
[式中、
141は、各出現において同一または異なってよく、且つ−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;m6は、0、1または2である]の基である]の化合物。
【請求項6】
以下の
【表13】
【表14】
【表15】
、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】

【化60】
[式中、
1は、NまたはCHであり、
1、R2、およびR3は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、
【化61】
【化62】
、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、
【化63】
または−L1−NR25’26’であり、
[式中、
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、またはGで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであり;
1は、単結合、
【化64】
であり、
Dは、−O−;または−NR25−であり、
Eは、−OR29;−NR2526;−CN;またはFであり、R25およびR26は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
29は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
Gは、E、C1〜C18アルキル、Dで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C1〜C18アルコキシ、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシである]であり、
25’およびR26’は、互いに独立して
【化65】
であり、またはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に複素芳香族環系
【化66】
を形成し;m’は、0、1または2であり;
mは、各出現において同一または異なってよく、且つ0、1、2または3であり;
m1は、各出現において同一または異なってよく、且つ0、1、2、3または4であり、
41は、各出現において同一または異なってよく、且つCl、F、CN、N(R452、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C1〜C25アルコキシ基であるが、ここで互いに隣接しない1個以上の炭素原子は、−NR45−、−O−、−S−または−C(=O)−O−で置換されてよく、および/または1個以上の水素原子は、F、C6〜C24アリール基またはC6〜C24アリールオキシ基で置換されてよいが、ここで1個以上の炭素原子は、O、SまたはNで置換されてよく、および/またはそれは、1個以上の非芳香族基R41で置換されてよく、あるいは
2個以上の基R41は、環系を形成し;
45は、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基であり、ここで互いに隣接しない1個以上の炭素原子は、−NR45’’−、−O−、−S−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−O−で置換されてよく、および/または1個以上の水素原子は、F、C6〜C24アリール基またはC6〜C24アリールオキシ基で置換されてよく、ここで1個以上の炭素原子は、O、SまたはNで置換されてよく、および/またはそれは、1個以上の非芳香族基R41で置換されてよく、および
45’’は、C1〜C25アルキル基またはC4〜C18シクロアルキル基であり、
216、R217、R116、R117およびR117’は、互いに独立してH、ハロゲン、−CN、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’で置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、−C(=O)−R127、−C(=O)OR127または−C(=O)NR127126であり、あるいは
置換基R116、R117およびR117’は、互いに隣接して、環を形成してよく、
316およびR317は、R116の意味を有し、
119およびR120は、互いに独立してC1〜C12アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C12アルキル、C6〜C14アリール、Gで置換されたC6〜C14アリールであり、あるいは
119およびR120は、C1〜C8アルキルで場合により置換されてよい4ないし8員環を一緒に形成し、
119’およびR120’は、互いに独立してC1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’によって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニルまたはC7〜C25アラルキルであり、あるいは
119’およびR120’は、式=CR121’122’
[式中、
121’およびR122’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、またはC2〜C20ヘテロアリール、またはG’で置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の基を一緒に形成し、あるいは
119’およびR120’は、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’で置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキルまたは−C(=O)−R127で場合により置換されてよい5または6員環を一緒に形成し、および
126およびR127は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
D’は、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR65−、−SiR7071−、−POR72−、−CR63=CR64−または−C≡C−であり、および
E’は、−OR69、−SR69、−NR6566、−COR68、−COOR67、−CONR6566、−CNまたはハロゲンであり、
G’は、E’またはC1〜C18アルキルであり、
63およびR64は、互いに独立してH;C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
65、R65’およびR66は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;または
65およびR66は、5または6員環を一緒に形成し、
67およびR68は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
69は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
70およびR71は、互いに独立してC1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、またはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールであり、
72は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリールまたはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールである]の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけリン光エミッタ、電子輸送材料またはエミッタ材料のためのホストとしてのアザピレンを含む電子デバイス、とりわけエレクトロルミネッセントデバイスに関する。前記ホストは、リン光材料によって機能して、エレクトロルミネッセントデバイスの向上された効率、安定性、製造容易性または分光特性を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
アザピレンおよびその合成は、例えば、以下の刊行物:A.V.Aksenov et al.,Tetrahedron Letters(2008)1808−1811;A.V.Aksenov et al.,Tetrahedron Letters(2008)707−709;I.V.Aksenova,et al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2007)665−666;Till Riehm et al.,Chemistry−A European Journal (2007)7317−7329;I.V.Borovlev et al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2002)968−973および(2003)1417−1442において記載されている。
【0003】
US2004076853は、基板と、前記基板の上に配置される陽極および陰極と、陽極と陰極との間に配置されるルミネッセント層とを含む有機発光デバイスであって、前記ルミネッセント層が、ホストおよび少なくとも1種のドーパントを含む、有機発光デバイスに関する。ルミネッセント層のホストは、少なくとも2種の成分の混合物を含む固体有機材料を含むように選択されるが、前記成分の内の1種は、モノマー状態と凝集状態との両方を形成することが可能である。ルミネッセント層の第1ホスト成分のための材料としての好ましい複素環式化合物の一覧は、とりわけ、ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン(2,7−ジアザピレン):
【化1】
を含む。
【0004】
JP2255789は、陽極および陰極上に正孔注入および輸送層、発光層、場合により正孔阻害層を連続して有する有機エレクトロルミネッセンス素子を開示するものであって、前記電極の内の少なくとも1つが透明であり、400〜800nmの最大蛍光波長を有するナフタレン誘導体
【化2】
[例えば、4,5−ジメトキシナフタレン−1,8−ジカルボン酸(2’プロピル)ペンチルイミド、1,5−ジシアノナフタレン−4,8−ジカルボン酸イソブチルエステル]が発光層として使用される有機エレクトロルミネッセンス素子を開示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/076853号明細書
【特許文献2】特開平02−255789号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A.V.Aksenov et al.,Tetrahedron Letters(2008)1808−1811
【非特許文献2】A.V.Aksenov et al.,Tetrahedron Letters(2008)707−709
【非特許文献3】I.V.Aksenova,et al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2007)665−666
【非特許文献4】Till Riehm et al.,Chemistry−A European Journal (2007)7317−7329
【非特許文献5】I.V.Borovlev et al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2002)968−973
【非特許文献6】I.V.Borovlev et al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2003)1417−1442
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの開発にもかかわらず、新規な電子輸送材料、発光材料および/またはホスト材料、ならびに、とりわけリン光材料によって機能して、エレクトロルミネッセントデバイスの向上された効率、安定性、製造容易性および/または分光特性を提供するホストを含むELデバイスの必要性が残る。
【0008】
従って、本発明は、式
【化3】
[式中、
1、Y2、Y3、Y4、X1、X2およびX3は、互いに独立してNまたはCR4であるが、
基X1、X2およびX3の内の少なくとも1つが基CR4であり、
1は、水素、F、−SiR100101102または有機置換基であり、
1’およびR4は、互いに独立して水素、F、−SiR100101102または有機置換基であり、または
前記置換基R1’、R1およびR4の内のいずれかは、互いに隣接して、場合により置換されてよい芳香族もしくは複素芳香族環または環系を一緒に形成し、
mは、1〜6の整数であり、および
100、R101およびR102は、互いに独立して、場合により置換されてよいC1〜C8アルキル基、C6〜C24アリール基またはC7〜C12アラルキル基であり、ならびにQは、連結基であるが;式IIIの化合物において、前記置換基R1’またはR4の内の少なくとも1つが基Qである]の化合物を含む電子デバイスを提供するものである。
【0009】
式Iの化合物は、とりわけ、式
【化4】
[式中、
1は、NまたはCR4であり、
1は、水素、F、−SiR100101102または有機置換基であり、
2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、互いに独立して水素、F、−SiR100101102または有機置換基であり、または
前記置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8の内のいずれかは、互いに隣接して、場合により置換されてよい芳香族もしくは複素芳香族環または環系を一緒に形成し、ならびにR100、R101およびR102は、上記で定義される通りである]の化合物である。
【0010】
本発明の電子デバイスは、好ましくはエレクトロルミネッセント(EL)デバイスである。式IまたはIIIの化合物は、発光材料および/または電子輸送材料としてのリン光化合物のためのホストとして有機発光ダイオード(OLED)において使用され得る。本発明の化合物は、有機発光デバイスに適用されるものと同様の原理に従って、有機太陽電池と有機光伝導体と有機トランジスタとを含む有機電子デバイスにおいて機能することができる。有機発光デバイスの他に、多くの他の種類の半導体デバイスがある。1種以上の半導体材料の存在は、全てに共通である。半導体デバイスは、例えば、S.M.Szeによって、Physics of Semiconductor Devices,2nd edition,John Wiley and Sons,New York(1981)において記載されている。かかるデバイスとしては、整流器、トランジスタ(pnp型トランジスタ、npn型トランジスタおよび薄膜トランジスタを含む、多くの種類がある)、光伝導体、電流制限器、サーミスタ、pn接合、電界効果ダイオード、ショットキーダイオード等が挙げられる。各半導体デバイスにおいて、半導体材料を、1種以上の金属または絶縁体と組み合わせて前記デバイスを形成する。半導体デバイスは、例えば、Peter Van ZantによってMicrochip Fabrication,Fourth Edition,McGraw−Hill,New York(2000)において記載されるもの等の公知の方法によって作製または製造され得る。特に有用な種類のトランジスタデバイス(本発明の材料が使用され得る薄膜トランジスタ(TFT))は、一般に、ゲート電極、ゲート電極上のゲート誘電体、ゲート誘電体に隣接したソース電極およびドレイン電極、ならびにゲート誘電体に隣接し、且つソース電極とドレイン電極とに隣接した半導体層を含む(例えば、S.M.Sze,Physics of Semiconductor Devices,2nd edition,John Wiley and Sons,page492,New York(1981)参照)。これらの部品は、種々の構成において組み立てられ得る。例えば、有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、有機半導体層を有する。かかるデバイスの例は、WO2007/118799およびWO2009/047104において記載されている。
【0011】
ヘテロ接合型太陽電池(バルクヘテロ接合型太陽電池)について、活性(光活性)層は、p型有機半導体およびn型有機半導体の混合物を含む。活性層において、光によって誘起する電荷分離が起こる。式IまたはIIIの化合物は、好ましくは、かかるデバイスにおけるn型半導体として使用され得る。ヘテロ接合型太陽電池は、以下の順序:a)陰極(電極)、b)場合により移行層、例えば、アルカリハロゲン化物、とりわけフッ化リチウム、c)式IまたはIIIの化合物を含有する活性(光活性)層、d)場合により平滑化層、e)陽極(電極)、f)基板、において、更なる層を含む。かかるデバイスの例は、WO2008/000664およびWO2009/047104において記載されている。
【0012】
1、R1’、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、好ましくは水素または有機置換基である。
【0013】
連結基Qは、例えばアリーレン基またはヘテロアリーレン基である。
【0014】
より好ましくは、式II
[式中、
1は、NまたはCR4であり、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、−CO−R28、−CNまたは基−L1−NR25’26’
【化5】
または基−L1−NR25’26’
[式中、
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、またはGで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであり;
ここでR25’およびR26’は、互いに独立してC1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、または
25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に、場合により置換されてよい複素芳香族環または環系を形成し;
1は、単結合または架橋単位BUである]であり、
5およびR6ならびに/またはR7およびR8は、基
【化6】
[式中、
206’、R208’、R205、R206、R207、R208、R209およびR210は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシあるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C7〜C25アラルキル、CNまたは−CO−R28であり、
Yは、OまたはN−R25であり、
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−O−;−NR25−;−SiR3031−;−POR32−;−CR23=CR24−;または−C≡C−;および
Eは、−OR29;−SR29;−NR2526;−COR28;−COOR27;−CONR2526;−CN;またはハロゲンであり;
Gは、E、C1〜C18アルキル、Dで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C1〜C18アルコキシ、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシであり、ここで
23、R24、R25およびR26は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキル;または、
25およびR26は、一緒に5もしくは6員環または環系を形成し;
27は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
28は、H;C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
29は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
30およびR31は、互いに独立してC1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、またはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールであり、
32は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、またはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールである]を一緒に形成する]の化合物である。
【0015】
1は、単結合、−(CR47=CR48m2−、−(Ar3m3−、−[Ar3(Y1m5m4−、−[(Y1m5Ar3m4−または−[Ar3(Y2m5Ar4m4
[式中、
1は、−(CR47=CR48)−であり、
2は、NR49、O、S、C=O、C(=O)Oであり、ここでR49は、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで場合により置換されてよいC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
47およびR48は、互いに独立して水素、C1〜C20アルキル、またはGで場合により置換されてよいC6〜C24アリールであり、
m5は、1〜10の整数であり、m2は、1〜10の整数であり、m3は、1〜5の整数であり、m4は、1〜5の整数であり、
Ar3およびAr4は、互いに独立してアリーレン、または場合により置換されてよいヘテロアリーレンであり、ここでGは、上記で定義された通りである]である。
【0016】
好ましくは、L1は、単結合、または式
【化7】
の架橋単位BUである。
【0017】
更により好ましくは、式IまたはIII
[式中、
−L1−X1は、

【化8】
の基、NR25’26’または基
【化9】
であり、ここで、
25’およびR26’は、互いに独立して
【化10】
であるか、またはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に式
【化11】
の基を形成し、
116およびR117は、互いに独立して−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;
BUは、
【化12】
であり、ここでR41は、各出現において同一または異なってよく、且つ−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;m1は、0、1または2である]の化合物である。
【0018】
好ましくは、R116およびR117は、互いに独立してH、C1〜C12アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシルまたはn−ヘプチル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C12アルキル、例えば、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OCH2CH2OCH3または−CH2OCH2CH2OCH2CH3、C6〜C14アリール、例えば、フェニル、ナフチルまたはビフェニリル、C5〜C12シクロアルキル、例えば、シクロヘキシル、Gで置換されたC6〜C14アリール、例えば、−C64OCH3、−C64OCH2CH3、−C63(OCH32または−C63(OCH2CH32、−C64CH3、−C63(CH32、−C62(CH33または−C64tBuである。
【0019】
好ましくは、R119およびR120は、互いに独立してC1〜C12アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、オクチルまたは2−エチル−ヘキシル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C12アルキル、例えば、−CH2(OCH2CH2wOCH3(w=1、2、3または4)、C6〜C14アリール、例えば、フェニル、ナフチルまたはビフェニリル、Gで置換されたC6〜C14アリール、例えば、−C64OCH3、−C64OCH2CH3、−C63(OCH32、−C63(OCH2CH32、−C64CH3、−C63(CH32、−C62(CH33または−C64tBuであり、あるいはR119およびR120は、一緒に4〜8員環、とりわけ5または6員環、例えば、C1〜C8アルキルで場合により置換されてよいシクロヘキシルまたはシクロペンチルを形成する。
【0020】
Dは、好ましくは、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR25−であり、ここでR25は、C1〜C12アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチルもしくはsec−ブチル、またはC6〜C14アリール、例えば、フェニル、ナフチルもしくはビフェニリルである。
【0021】
Eは、好ましくは−OR29;−SR29;−NR2525;−COR28;−COOR27;−CONR2525;または−CNであり;ここでR25、R27、R28およびR29は、互いに独立してC1〜C12アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ヘキシル、オクチルもしくは2−エチル−ヘキシル、またはC6〜C14アリール、例えば、場合により置換されてよいフェニル、ナフチルもしくはビフェニリルである。
【0022】
Gは、Eと同じ好ましさを有し、またはC1〜C18アルキル、とりわけC1〜C12アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ヘキシル、オクチルもしくは2−エチル−ヘキシルである。
【0023】
25’およびR26’によって、それらが結合する窒素原子と一緒に形成される複素芳香族環または環系の例は、
【化13】
であり;
m’は、0、1または2であり、m1は、0、1または2である。
【0024】
【化14】
の例は、
【化15】
(m’=2)
[式中、
41は、HまたはC1〜C18アルキルである]である。
【0025】

【化16】
の例は、以下で示される:
【化17】
[式中、
41、R116、R117、R119、R120およびm1は、上記で定義された通りである]。
【0026】
更により好ましくは、式
【化18】
[式中、
5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1、R2、R3、R2’、R3’およびR4’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、例えば、
【化19】
【0027】
【化20】
、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、
【化21】
または−L1−NR25’26’
[式中、
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、またはGで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであり;
1は、単結合または架橋単位BU、例えば、
【化22】
であり、
Dは、−O−;または−NR25−であり、
Eは、−OR29;−NR2526;−CN;またはFであり;R29;R25およびR26は、上記で定義された通りであり;および
Gは、E、C1〜C18アルキル、Dで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C1〜C18アルコキシ、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシである]である]の化合物である。
【0028】
25’およびR26’は、互いに独立して、場合により置換されてよいフェニル、ナフチル、アントリル、ビフェニリル、2−フルオレニル、フェナントリルまたはペリレニル、例えば、
【化23】
であり、またはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に複素芳香族環または環系、例えば、
【化24】
を形成し;
m’は、0、1または2であり;
mは、各出現において同一または異なってよく、且つ0、1、2または3、とりわけ0、1または2、非常にとりわけ0または1であり;
m1は、各出現において同一または異なってよく、且つ0、1、2、3または4、とりわけ0、1または2、非常にとりわけ0または1であり、
41は、各出現において同一または異なってよく、且つCl、F、CN、N(R452、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C1〜C25アルコキシ基であるが、ここで互いに隣接しない1個以上の炭素原子は、−NR45−、−O−、−S−または−C(=O)−O−で置換されてよく、および/または1個以上の水素原子は、F、C6〜C24アリール基またはC6〜C24アリールオキシ基で置換されてよいが、ここで1個以上の炭素原子は、O、SまたはNで置換されてよく、および/またはそれは、1個以上の非芳香族基R41で置換されてよく、あるいは2個以上の基R41は、環系を形成し;
45は、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基であり、ここで互いに隣接しない1個以上の炭素原子は、−NR45’’−、−O−、−S−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−O−で置換されてよく、および/または1個以上の水素原子は、F、C6〜C24アリール基またはC6〜C24アリールオキシ基で置換されてよく、ここで1個以上の炭素原子は、O、SまたはNで置換されてよく、および/またはそれは、1個以上の非芳香族基R41で置換されてよく、および
45’’は、C1〜C25アルキル基またはC4〜C18シクロアルキル基であり、
216、R217、R116、R117およびR117’は、互いに独立してH、ハロゲン、−CN、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’で置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、−C(=O)−R127、−C(=O)OR127または−C(=O)NR127126であり、あるいは置換基R116、R117およびR117’は、互いに隣接して、環を形成してよく、
119’およびR120’は、互いに独立してC1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’によって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニルまたはC7〜C25アラルキルであり、あるいは
119’およびR120’は、式=CR121’122’
[式中、
121’およびR122’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、またはC2〜C20ヘテロアリール、またはG’で置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の基を一緒に形成し、あるいは
119’およびR120’は、C1〜C18アルキル、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、G’で置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、G’で置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、E’で置換されたおよび/またはD’で中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキルまたは−C(=O)−R127で場合により置換されてよい5または6員環を一緒に形成し、および
126およびR127は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
D’は、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR65−、−SiR7071−、−POR72−、−CR63=CR64−または−C≡C−であり、および
E’は、−OR69、−SR69、−NR6566、−COR68、−COOR67、−CONR6566、−CNまたはハロゲンであり、
G’は、E’またはC1〜C18アルキルであり、
63およびR64は、互いに独立してH;C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
65、R65’およびR66は、互いに独立してC6〜C18アリール;
1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;または
65およびR66は、5または6員環を一緒に形成し、
67およびR68は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
69は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり、
70およびR71は、互いに独立してC1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、またはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールであり、
72は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリールまたはC1〜C18アルキルで置換されたC6〜C18アリールである。
【0029】
D’、E’およびG’は、それぞれD、EおよびGと比べて同じ好ましさを有する。R119’およびR120’は、それぞれR119およびR120と比べて同じ好ましさを有する。
【0030】
式IIaおよびIIbの化合物において、R1、R2、R3、R2’およびR3’は、好ましくは、互いに独立してC6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、例えば、
【化25】
【0031】
【化26】
または基−L1−NR25’26’
[式中、
316およびR317は、R116の意味を有し、且つ好ましくは、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルである]である。
【0032】
4’は、水素、C6〜C24アリール、またはGで置換されたC6〜C24アリールである。
【0033】
最も好ましくは、式IIa
[式中、R5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1、R2およびR3は、互いに独立して、基
【化27】
、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、
【化28】
または−L1−NR25’26’であり、
1は、単結合、
【化29】
であり、
m1は、0または1であり;
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’
【化30】
であり、
215は、C1〜C25アルキルまたはC6〜C18アリールであり、
25’およびR26’は、互いに独立して
【化31】
であるか、または
25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に基
【化32】
[式中、
41は、HまたはC1〜C8アルキルである]を形成し、および
116およびR117は、互いに独立して−O−もしくはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェニル、または−O−もしくはフェニルで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルで場合により置換されてよいピリジンであり;および
316およびR317は、R116の意味を有し、且つ好ましくは、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり、
216およびR217は、互いに独立して−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルである]の化合物であり;ならびに
式IIb
[式中、
5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1、R2’およびR3’は、互いに独立して、基
【化33】
1〜C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシ、
【化34】
または−L1−NR25’26’であり、
1は、単結合、
【化35】
であり、
m1は、0または1であり;
4’は、水素または基
【化36】
であり、
uは、0または1であり;
vは、0または1であり;
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルであり、
Ar1は、−NR25’26’
【化37】
[式中、
215は、上記で定義された通りである]であり;
25’およびR26’は、互いに独立して
【化38】
であるか、または
25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と基
【化39】
[式中、
41は、HまたはC1〜C8アルキルである]を一緒に形成し、および
116およびR117は、互いに独立して−O−もしくはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキル、1−ナフチル、2−ナフチル、フェニル、または−O−もしくはフェニルで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルで場合により置換されてよいピリジンであり;
316およびR317は、R116の意味を有し、且つ好ましくは、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり、
119’およびR120’は、互いに独立してC1〜C25アルキル、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C25アルキルであり、
216およびR217は、互いに独立して−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり、
Dは、−O−;または−NR25−であり、および
Eは、−OR29;−NR2526;−CNまたはFであり;R29;R25およびR26は、上記で定義された通りである]の化合物である。
【0034】
式IIaの特に好ましい化合物の例は、請求項6において示される化合物A−1−A−19である。
【0035】
式IIbの特に好ましい化合物の例は、請求項6において示される化合物B−1−B−42である。
【0036】
別の好ましい一実施形態において、本発明は、式IIIの化合物、とりわけ式
【化40】
[式中、
m、R1’、R2、R3、X1、R5、R6、R7およびR8は、上記で定義された通りであり、ならびにQは、式
【化41】
[式中、
141は、各出現において同一または異なってよく、且つ−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;m6は、0、1または2である]の基である]の化合物を含む電子デバイスに関する。
【0037】
更により好ましくは、式IIIa、IIIbまたはIIIc
[式中、
1は、CHまたはNであり、
5、R6、R7およびR8は、水素であり、
1、R2、R3は、互いに独立して
【化42】
であり、
116およびR117は、互いに独立して−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり、ならびに
ならびにQおよびmは、上記で定義された通りである]の化合物である。
【0038】
式IIIaの特に好ましい化合物の例は、請求項9において示される化合物C1〜C7である。
【0039】
式IIIbの特に好ましい化合物の例は、請求項9において示される化合物D1〜D6である。
【0040】
別の好ましい実施形態において、本発明は
【化43】
[式中、
1は、NまたはCHであり、
Yは、OまたはNR25であり、
25は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;および
1、R2、R3、R206、R207、R210は、上記で定義された通りである]の化合物を含む電子デバイスに関する。
【0041】
式Iva、Ivb、Va、VbおよびVc
[式中、
1は、C6〜C24アリール、Gまたは式
【化44】
の基で置換されたC6〜C24アリールであり、
2およびR3は、互いに独立してC6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリールであり、
25は、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリールであり、
206およびR207は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、あるいは
206およびR207は、式
【化45】
[式中、
205およびR208は、Hであり、
206’およびR208’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、GまたはCNで置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の基を一緒に形成し、
210は、C6〜C24アリール、Gまたは式
【化46】
の基で置換されたC6〜C24アリールであり、
1は、NまたはCHであり、
Yは、OまたはNR25であり、ここで
Dは、−O−;または−NR25−であり
Eは、−OR29;−NR2526;−CN;またはFであり;および
Gは、E、C1〜C18アルキル、Dで中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C1〜C18アルコキシ、あるいはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1〜C18アルコキシであり、
25およびR26は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
29は、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;−O−で中断されたC1〜C18アルキルであり;
25’およびR26’は、互いに独立して
【化47】
であるか、あるいはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に式
【化48】
の基を形成し、
116およびR117は、互いに独立して−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;
BUは、
【化49】
[式中、
41は、各出現において同一または異なってよく、且つ−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルであり;m1は、0、1または2である]である]の化合物が、更により好ましい。
【0042】
1は、好ましくは、基
【化50】
である。
【0043】
2、R3およびR25は、好ましくは、基
【化51】
である。
【0044】
25’およびR26’は、互いに独立して
【化52】
であり、またはR25’およびR26’は、それらが結合する窒素原子と一緒に基
【化53】
[式中、
41は、HまたはC1〜C8アルキルである]を形成する。
【0045】
206およびR207は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、CNもしくはOで中断されたC1〜C18アルキルであるか、または
206およびR207は、式
【化54】
を一緒に形成する。
【0046】
210は、好ましくは、基
【化55】
である。
【0047】
116およびR117は、−O−、CNまたはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルである。
【0048】
216およびR217は、−O−またはC1〜C25アルコキシで場合により中断されてよいC1〜C25アルキルである。
【0049】
式Ivaの好ましい化合物は、請求項6において示される通りの化合物E−1〜E−8、F−1およびF−2である。
【0050】
式Ivbの好ましい化合物は、請求項6において示される通りの化合物G−1〜G−5、H−1およびH−2である。
【0051】
式Vbの好ましい化合物は、請求項6において示される通りの化合物I−1〜I−5およびJ−1〜J−4である。
【0052】
式Vcの好ましい化合物は、請求項6において示される通りの化合物K−1〜K−8、L−1およびL−2である。
【0053】
式Iva、Ivb、Va、VbおよびVcの化合物は、それぞれ出発材料として、式
【化56】
[式中、
1、R1、R2およびR3は、上記で定義された通りである]の化合物を使用して製造され得る。イミダゾール系の化合物は、アルデヒド、酢酸アンモニウム(場合により、芳香族アミンを添加することが可能であり、それは、置換生成物につながる)、適切な溶媒と還流下において式VIaまたはVibの化合物を撹拌することによって製造され得る。更に、ジアミンを、式VIaまたはVibの化合物に添加することができ、次いで酸性条件下で還流下において撹拌してピラジン系の化合物が製造され得る。更に、オキサゾール系の化合物は、酢酸アンモニウムおよび脂肪族アミンの存在下で式VIaまたはVibの化合物と適切なアルデヒドとを反応させることによって得られ得る。合成手法は、WO2006/097419において記載されている。
【0054】
式VIaおよびVibの化合物は、新規であり、且つ本発明の更なる対象を形成する。
【0055】
式VIaおよびVibの化合物は、J.Org.Chem.2005,70,707−708において記載される手法に従ってメチレンクロリドにおける三塩化ルテニウムの存在下で過塩素酸ナトリウムまたは過ヨウ素酸ナトリウムによって式II[式中、R5、R6、R7およびR8は、Hである]のアザピレンを酸化させることによって製造され得る。
【0056】
【化57】
【0057】
酸化剤の量と反応時間とに応じて、式VIaおよび/またはVibの化合物が得られる。
【0058】
式Iva、Ivb、Va、VbおよびVcの化合物は、有機電子デバイスにおいて、誘導体が、電子もしくは正孔注入および/または輸送の機能だけでなく、光発光の機能、例えば、単一発光材料の機能、適切なホストと一緒に発光ドーパントの機能、または適切なドーパントと一緒に青色発光ホストの機能を行うことができる基本構造を有する。ホストとして、蛍光エミッタ材料またはリン光エミッタ材料が使用され得る。有機電子デバイスにおいて式Iva、Ivb、Va、VbおよびVcの化合物を適用することによって、デバイスの効率、駆動電圧および安定性に関して優れた効果を達成することが可能である。
【0059】
本発明の化合物は、有機発光デバイスに適用されるものと同様の原理に従って有機太陽電池と有機光伝導体と有機トランジスタとを含む有機電子デバイスにおいて機能することができる。
【0060】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。
【0061】
可能な場合、C1〜C25アルキル(C1〜C18アルキル)は、典型的に直鎖状または分枝状である。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec.−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル、テトラコシルまたはペンタコシルである。C1〜C8アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec.−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシルである。C1〜C4アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec.−ブチル、イソブチル、tert.−ブチルである。
【0062】
1〜C25アルコキシ(C1〜C18アルコキシ)基は、直鎖状または分枝状アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシである。C1〜C8アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec.−ブトキシ、イソブトキシ、tert.−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシおよび2−エチルヘキシルオキシであり、好ましくは、C1〜C4アルコキシ、例えば、典型的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec.−ブトキシ、イソブトキシ、tert.−ブトキシである。「アルキルチオ基」という用語は、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置換されること以外はアルコキシ基と同じ基を意味する。
【0063】
2〜C25アルケニル(C2〜C18アルケニル)基は、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデカ−2−エニルまたはn−オクタデカ−4−エニル等の直鎖状または分枝状アルケニル基である。
【0064】
2-24アルキニル(C2-18アルキニル)は、直鎖状または分枝状であり、好ましくは、例えば、エチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イルまたは1−テトラコシン−24−イル等、非置換または置換されてよいC2-8アルキニルである。
【0065】
1〜C18ペルフルオロアルキル、とりわけC1〜C4ペルフルオロアルキルは、例えば、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3および−C(CF33等の分枝状または非分枝状の基である。
【0066】
「ハロアルキル、ハロアルケニルおよびハロアルキニル」という用語は、上述のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を、ハロゲン、例えばトリフルオロメチル等で部分的にまたは完全に置換することによって得られる基を意味する。「アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基およびアミノ基」としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基または複素環基で置換されるものが挙げられるが、ここでアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環基は、非置換または置換されてよい。「シリル基」という用語は、式−SiR262263264[式中、R262、R263およびR264は、互いに独立してC1〜C8アルキル基、特にC1〜C4アルキル基、C6〜C24アリール基またはC7〜C12アラルキル基である]の基、例えばトリメチルシリル基を意味する。「シロキサニル基」という用語は、式−O−SiR262263264[式中、R262、R263およびR264は、上記で定義された通りである]の基、例えばトリメチルシロキサニル基を意味する。
【0067】
「シクロアルキル基」という用語は、典型的にはC5〜C18シクロアルキル、とりわけC5〜C12シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、好ましくは、非置換または置換されてよいシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。「シクロアルケニル基」という用語は、1個以上の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基、例えば、非置換または置換されてよいシクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等を意味する。シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基は、C1〜C4−アルキル、ハロゲンおよびシアノで1〜3回置換されてよいフェニルによって1または2回縮合されてよい。
【0068】
かかる縮合シクロヘキシル基の例は:
【化58】
[式中、
51、R52、R53、R54、R55およびR56は、互いに独立してC1〜C8−アルキル、C1〜C8−アルコキシ、ハロゲンおよびシアノ、特に水素である]である。
【0069】
アリールは、通常、C6〜C30アリール、好ましくは場合により置換されてよいC6〜C24アリール、例えば、非置換または置換されてよいフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、とりわけ1−ナフチルもしくは2−ナフチル、ビフェニリル、テルフェニリル、ピレニル、2−もしくは9−フルオレニル、フェナントリル、アントリル、テトラシル、ペンタシル、ヘキサシルまたはクアデルフェニリルである。
【0070】
「アラルキル基」という用語は、典型的にはC7〜C25アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、ω−フェニル−オクタデシル、ω−フェニル−エイコシルまたはω−フェニル−ドコシル、好ましくはC7〜C18アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシルまたはω−フェニル−オクタデシル、および特に好ましいC7〜C12アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチルまたはω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチルであるが、ここで脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の両方は、非置換または置換されてよい。
【0071】
「アリールエーテル基」という用語は、典型的にはC6-24アリールオキシ基、即ち、例えばフェノキシまたは4−メトキシフェニル等のO−C6-24アリールである。「アリールチオエーテル基」という用語は、典型的にはC6-24アリールチオ基、即ち、例えばフェニルチオまたは4−メトキシフェニルチオ等のS−C6-24アリールである。「カルバモイル基」という用語は、典型的にはC1-18カルバモイル基、好ましくは、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルまたはピロリジノカルバモイル等、非置換または置換されてよいC1-8カルバモイル基である。
【0072】
アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アリールアミノ基およびジアリール基における「アリール」および「アルキル」という用語は、典型的には、それぞれC1〜C25アルキルおよびC6〜C24アリールである。
【0073】
アルキルアリールは、アルキルで置換されたアリール基、とりわけC7〜C12アルキルアリールを指す。例は、トリル、例えば3−メチルフェニルもしくは4−メチルフェニル、またはキシリル、例えば3,4−ジメチルフェニルもしくは3,5−ジメチルフェニルである。
【0074】
ヘテロアリールは、典型的にはC2〜C26ヘテロアリール(C2〜C20ヘテロアリール)、即ち5〜7個の環原子を有する環または縮合環系であるが、ここで窒素、酸素または硫黄は、可能なヘテロ原子であり、且つ典型的には少なくとも6個の共役π電子を有する5〜30個の原子を有する不飽和複素環基、例えば、非置換または置換されてよいチエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾ[b,d]チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニルまたはフェノキサジニルである。
【0075】
例えばそれぞれR25’およびR26’によって形成される5または6員環の例は、窒素、酸素および硫黄から選択される1個の更なるヘテロ原子を有してよい3〜5個の炭素原子を有するヘテロシクロアルカンまたはヘテロシクロアルケン、例えば、
【化59】
であり、これらは、二環系、例えば、
【化60】
の一部であってよい。
【0076】
上述の基の可能な置換基は、C1〜C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基またはシリル基であるが、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、シアノ基またはシリル基が好ましい。
【0077】
例えばR41等の置換基が、基の中において1回よりも多く出現する場合、それは、各出現が異なってよい。
【0078】
「Gで置換された」という表現は、1個または複数、とりわけ1〜3個の基Gが存在し得ることを意味する。
【0079】
上記で記載されるように、上述の基は、Eで置換されてよく、および/または所望によりDで中断されてよい。中断は、もちろん、単結合によって互いに結合する少なくとも2個の炭素原子を含む基の場合にのみ可能であり;C6〜C18アリールは、中断されず;中断されたアリールアルキルまたはアルキルアリールは、アルキル部分において単位Dを含む。1個以上のEで置換された、および/または1個以上の単位Dで中断されたC1〜C18アルキルは、例えば、(CH2CH2O)1-9−Rx[式中、Rxは、HまたはC1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルカノイル(例えば、CO−CH(C25)C49)である]、CH2−CH(ORy’)−CH2−O−Ry、[式中、Ryは、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、フェニル、C7〜C15フェニルアルキルであり、且つRy’は、Ryと同じ定義を包含するか、またはHである];C1〜C8アルキレン−COO−Rz、例えば、CH2COORz、CH(CH3)COORz、C(CH32COORz[式中、Rzは、H、C1〜C18アルキル、(CH2CH2O)1-9−Rxであり、且つRxは、上述した定義を包含する];CH2CH2−O−CO−CH=CH2;CH2CH(OH)CH2−O−CO−C(CH3)=CH2である。
【0080】
好ましいアリーレン基は、1,4−フェニレン、2,5−トリレン、1,4−ナフチレン、1,9アントラシレン、2,7−フェナントリレンおよび2,7−ジヒドロフェナントリレンである。
【0081】
好ましいヘテロアリーレン基は、2,5−ピラジニレン、3,6−ピリダジニレン、2,5−ピリジニレン、2,5−ピリミジニレン、1,3,4−チアジアゾール−2,5−イレン、1,3−チアゾール−2,4−イレン、1,3−チアゾール−2,5−イレン、2,4−チオフェニレン、2,5−チオフェニレン、1,3−オキサゾール−2,4−イレン、1,3−オキサゾール−2,5−イレンおよび1,3,4−オキサジアゾール−2,5−イレン、2,5−インデニレンおよび2,6−インデニレンである。
【0082】
式IおよびIIIの特定の化合物は、新規であり、且つ本発明の更なる対象を形成する。故に、本発明はまた、式
【化61】
[式中、
1、Y2、Y3、Y4、X1、X2およびX3は、互いに独立してNまたはCR4であるが、
基X1、X2およびX3の内の少なくとも1つが基CR4であり、
1は、F、−SiR100101102または有機置換基であり、
1’およびR4は、互いに独立して水素、F、−SiR100101102または有機置換基であり、または
前記置換基R1、R1’およびR4の内のいずれかは、互いに隣接して、場合により置換されてよい芳香族もしくは複素芳香族環または環系を一緒に形成し、
mは、1〜6の整数であり、および
100、R101およびR102は、互いに独立して、場合により置換されてよいC1〜C8アルキル基、C6〜C24アリール基またはC7〜C12アラルキル基であり、ならびにQは、連結基であるが;式IIIの化合物において、前記置換基R1またはR4の内の少なくとも1つが基Qであり、且つ以下の化合物1〜12:
【表1】
[R1は、好ましくはC6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、例えば、
【化62】
【0083】
【化63】
または基−L1−NR25’26’である]が除外される]の化合物を目的とするものである。
【0084】
式Iの化合物の合成は、公知の手法に従って、またはそれらと同様に行われ得る。例えば、A.V.Aksenov et. al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2003)1417が参照される。
【0085】
式IIaの化合物は、ポリリン酸(PPA)の存在下で式Xの化合物と式XIの化合物とを反応させることによって得られ得る(A.V.Aksenov et. al.,Tetrahedron Letters(2008)707および同書(2008)1808)。
【0086】
【化64】
【0087】
あるいは、式IIa[式中、R1=R2=R3]の化合物は、ポリリン酸(PPA)の存在下で式XIIIの化合物と式XIVの化合物とを反応させることによって得られ得る(A.V.Aksenov et. al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(2002)665)。
【0088】
【化65】
【0089】
式IIbの化合物は、ポリリン酸(PPA)の存在下で式Xの化合物と式XIIの化合物とを反応させることによって得られ得る(A.V.Aksenov et. al.,Chemistry of Heterocyclic Compounds(1997)1367および同書(2007)257)。
【0090】
【化66】
【0091】
式Xの化合物の合成は、A.L.Llamas−Saiz,J.Chem.Soc.Perkin.Trans.(1995)1389において記載されている手法に従って、またはそれと同様に行われ得る。
【0092】
式III[式中、Qは、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である]の化合物は、例えば、式Xaの化合物とPPAにおけるXIIとの反応によって製造され得る。
【0093】
【化67】
【0094】
式Xaの化合物は、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii(1980)96−100に記載されるように製造され得る。
【0095】
また、式III[式中、Qは、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である]の化合物を、XおよびXIIaから開始して製造することも可能である。
【0096】
【化68】
【0097】
式XIIaの化合物は、例えば、Synthetic Communications32(2002)3389に記載されるように製造され得る。
【0098】
【化69】
【0099】
あるいはまた、式IIIの化合物を、ボロン酸エステル官能基を担持するアザピレンとブロモアリールアザピレンとのSuzukiカップリングによって製造することも可能である。
【0100】
【化70】
【0101】
Suzuki反応は、WO04039786において記載されるように実施され得る。ArおよびAr’は、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、それらは、ボロン酸エステル官能基を担持するアザピレンとブロモアリールアザピレンとのSuzukiカップリングの後で架橋単位Qを一緒に形成する。
【0102】
本発明の電子デバイスは、好ましくはエレクトロルミネッセント(EL)デバイスである。式IまたはIIIの化合物は、発光および/または電子輸送材料として、リン光化合物用ホストとして有機発光ダイオード(OLED)において使用され得る。
【0103】
式II
[式中、
1、R2およびR3の内の少なくとも1つは、式
【化71】
の基である]の化合物は、とりわけホスト材料と組み合わせて蛍光エミッタとして使用され得る。式II
[式中、
1は、基
【化72】
であり、R2およびR3は、互いに独立してC6〜C24アリール、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C24アリールである]の化合物が好ましい。
【0104】
uは、0または1であり;
vは、0または1である。
【0105】
211、R211’、R212およびR212’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシである。
【0106】
213およびR214は、互いに独立してHまたはC1〜C18アルキルである。
【0107】
1は、NまたはCH、とりわけCHである。R5、R6、R7およびR8は、Hである。
【0108】
Ar1は、−NR25’26’、C6〜C24アリール、Gで置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、またはGで置換されたC2〜C20ヘテロアリール、好ましくは−NR25’26’
【化73】
[式中、
25’およびR26’は、上記で定義された通りである]である。
【0109】
かかる化合物の例は、請求項6において示される通りの化合物B−26〜B−32である。
【0110】
式II
【化74】
[式中、
5、R6、R7およびR8は、Hであり、
1は、NまたはCR4、とりわけN、CH、非常にとりわけCHであり、
1〜R4は、互いに独立してC6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシ、とりわけC1〜C8アルキルで置換されたC6〜C18アリール、C2〜C20ヘテロアリール、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシ、とりわけC1〜C8アルキルで置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の化合物が、蛍光エミッタ用ホスト材料として好ましい。
【0111】
かかる化合物の例は、請求項6において示される通りの化合物A−1、B−1、B−2、B−9、B−34、B−35およびB−36である。
【0112】
式IvbおよびVc
[式中、
1は、NまたはCR4、とりわけN、CH、非常にとりわけCHであり、
1〜R4は、互いに独立してC6〜C24アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシ、とりわけC1〜C8アルキルで置換されたC6〜C24アリール;C2〜C20ヘテロアリール、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシ、とりわけC1〜C8アルキルで置換されたC2〜C20ヘテロアリールであり;
206およびR207は、互いに独立してC6〜C24アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシ、とりわけC1〜C8アルキルで置換されたC6〜C24アリール;C2〜C20ヘテロアリール、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシ、とりわけC1〜C8アルキルで置換されたC2〜C20ヘテロアリール;またはCNであり;または
206およびR207は、式
【化75】
[式中、
209およびR208は、Hであり、
209’およびR208’は、互いに独立してH、C1〜C18アルキル、−O−で中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、C1〜C18ペルフルオロアルキル、C6〜C24アリール、C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されたC6〜C24アリール;C2〜C20ヘテロアリール、またはC1〜C18アルキルもしくはC1〜C18アルコキシで置換されたC2〜C20ヘテロアリールである]の基を一緒に形成する]の化合物が、電子用途における適切な電子輸送材料である。かかる化合物は、電子輸送または注入層におけるOLEDにおいて使用され得る。この場合、前記化合物は、単独で、またはドーパントと共に使用され得る。かかる化合物は、有機光起電力電池において電子受容性材料としても使用され得る。
【0113】
かかる化合物の例は、請求項6において示される通りの化合物G−1〜G−5、H−1、H−2、K−1〜K−8、L−1およびL−2である。
【0114】
適切なドーパントは、US2008/018237において記載される通りのLiF、NaF、KF、CsF、LiCl等のハロゲン化アルカリ;Li2O、K2O;Cs2O、CsCO3等のアルカリ金属カルゴニド、CaO、BaO等のアルカリ土類カルコゲニドである。1:1のモル比でLiをドープしたBphenを使用したnドープ電子輸送層の例は、US6,337,102において開示されている。WO2009000237は、有機ドーパントおよびかかる材料の使用を開示する。
【0115】
本発明の一実施形態において、ELデバイスは、陰極と、陽極と、それらの間のホスト材料およびリン光発光材料を含有する発光層とを含み、ここで前記ホスト材料は、式IまたはIIIの化合物である。
【0116】
本発明の別の実施形態において、ELデバイスは、陰極と陽極と電子輸送材料とを含み、ここで前記電子輸送材料は、式IまたはIIIの化合物であるか、またはそれを含む。
【0117】
本発明の別の実施形態において、ELデバイスは、陰極と陽極と発光層とを含み、ここで前記発光層は、式IまたはIIIの化合物から成るか、またはそれを含む。
【0118】
本発明の別の実施形態において、ELデバイスは、陰極と、陽極と、それらの間の式IまたはIIIの材料を含む発光層とを含み、ここで式IまたはIIIの化合物は、蛍光ホスト材料または蛍光発光材料として使用される。
【0119】
更に、本発明はまた、電子写真感光体、光電変換器、太陽電池、イメージセンサ、色素レーザおよびエレクトロルミネッセントデバイスのための式IまたはIIIの化合物の使用をも目的とする。
【0120】
適切には、OLEDデバイスの発光層は、ホスト材料と1種以上の発光用ゲスト材料とを含む。前記ホスト材料の内の1種は、式IまたはIIIの化合物であってよい。発光ゲスト材料は、通常ホスト材料の量より小さい量で存在し、典型的にはホストの最高15質量%、より典型的にはホストの0.1〜10質量%、一般にホストの2〜8%の量で存在する。便宜上、リン光複合ゲスト材料は、本明細書においてリン光材料と呼ばれ得る。発光性層は、輸送性および発光性を組み合わせた単一材料を含んでよい。発光性材料がドーパントであるにせよ、主要成分であるにせよ、発光性層は、発光性層の発光を調整するドーパント等の他の材料を含んでよい。発光性層は、組み合わせて所望の光のスペクトルを発し得る複数の発光性材料を含んでよい。
【0121】
リン光材料のための他のホスト材料
本発明において有用なホスト材料は、単独で、または他のホスト材料と組み合わせて使用され得る。他のホスト材料は、三重項励起子がホスト材料からリン光材料へ効率的にトランスファーされ得るように選択されるべきである。適切なホスト材料は、WO00/70655;01/39234;01/93642;02/074015;02/15645およびUS20020117662において記載されている。適切なホストとしては、特定のアリールアミン、トリアゾール、インドールおよびカルバゾール化合物が挙げられる。ホストの例は、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、2,2’−ジメチル−4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル、m−(N,N’−ジカルバゾール)ベンゼン、およびポリ(N−ビニルカルバゾール)であり、それらの誘導体を含む。
【0122】
所望のホスト材料は、連続膜を形成することが可能である。発光層は、デバイスの膜形態、電気的性質、光発光効率および寿命を向上させるために、1種より多いホスト材料を含有することができる。発光層は、良好な正孔輸送性を有する第1ホスト材料と良好な電子輸送性を有する第2ホスト材料とを含有することができる。
【0123】
リン光材料
リン光材料は、同一または異なる層のいずれかにおいて、単独で、または特定の場合において互いに組み合わせて使用され得る。リン光材料および関連の材料の例は、WO00/57676、WO00/70655、WO01/41512、WO02/15645、US2003/0017361、WO01/93642、WO01/39234、US6,458,475、WO02/071813、US6,573,651、US2002/0197511、WO02/074015、US6,451,455、US2003/0072964、US2003/0068528、US6,413,656、6,515,298、6,451,415、6,097,147、US2003/0124381、US2003/0059646、US2003/0054198、EP1239526、EP1238981、EP1244155、US2002/0100906、US2003/0068526、US2003/0068535、JP2003073387、JP2003073388、US2003/0141809、US2003/0040627、JP2003059667、JP2003073665およびUS2002/0121638において記載されている。
【0124】
緑色発光fac−トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)やビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトネート)等の種類IrL3およびIrL2L’のシクロメタル化Ir(III)錯体の発光波長は、シクロメタル化配位子L上の適切な位置における電子供与または吸引基の置換によって、またはシクロメタル化配位子Lについての異なる複素環の選択によってシフトされ得る。また、発光波長は、補助的配位子L’の選択によってシフトさせることもできる。赤色エミッタの例は、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’)イリジウム(EI)(アセチルアセトネート)およびトリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C)イリジウム(III)である。青色発光の例は、ビス(2−(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(ピコリネート)である。
【0125】
リン光材料としてビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−a]チエニル)ピリジナト−N,C3)イリジウム(アセチルアセトネート)[Btp2Ir(acac)]を使用する赤色エレクトロリン光が報告されている(Adachi,C.,Lamansky,S.,Baldo,M.A.,Kwong,R.C.,Thompson,M.E.,and Forrest,S.R.,App.Phys.Lett.,78,1622 1624(2001)。
【0126】
他の重要なリン光材料としては、シクロメタル化Pt(II)錯体、例えば、シス−ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)白金(II)、シス−ビス(2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’)白金(II)、シス−ビス(2−(2’−チエニル)キノリナト−N,C5’)白金(II)、または(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−NC2’)白金(II)アセチルアセトネートが挙げられる。2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(H)等のPt(II)ポルフィリン錯体もまた、有用なリン光材料である。
【0127】
有用なリン光材料の更に他の例としては、三価ランタニドの配位錯体、例えば、Th3+およびEu3+が挙げられる(J.Kido et al,Appl.Phys.Lett.,65,2124(1994))。
【0128】
他の重要なリン光材料は、WO06/000544および欧州特許出願第07102949.0号において記載されている。
【0129】
リン光材料の例は、WO08/101842において記載されている化合物A−1〜B−234、B−1〜B−234、C−1〜C−44、およびD−1〜D−234、ならびにPCT/EP2009/051109において記載されている化合物A1〜A144およびB1〜B144である。
【0130】
ブロッキング層
適当なホストに加えて、リン光材料を用いるOLEDデバイスは、励起子または電子正孔再結合中心を、ホストおよびリン光材料を含む発光層に閉じ込めるのを助けるために、または電荷担体(電子または正孔)の数を減少させるために、しばしば少なくとも1つの励起子または正孔ブロッキング層を必要とする。一実施形態において、かかるブロッキング層は、電子輸送層と発光層との間に配置される。この場合、ブロッキング層のイオン化電位は、ホストから電子輸送層内への正孔移動に対するエネルギー障壁があるようなものであるべきであり、他方、電子親和力は、電子が、電子輸送層から、ホストおよびリン光材料を含む発光層内へより容易に通過するようなものであるべきである。ブロッキング材料の三重項エネルギーは、リン光材料のそれよりも大きいことが更に望まれるが、絶対的に必要なわけではない。適切な正孔−ブロッキング材料は、WO00/70655およびWO01/93642において記載されている。有用な材料の2つの例は、バトクプロイン(BCP)およびビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BalQ)である。Balq以外の金属錯体もまた、US20030068528において記載されているように、正孔および励起子をブロックすることが知られている。US20030175553には、電子/励起子ブロッキング層におけるfac−トリス(1−フェニルピラゾラト−N,C2)イリジウム(III)(Irppz)の使用が記載されている。
【0131】
本発明の実施形態は、有利な特徴、例えば、作動効率、より高い輝度、色相、低駆動電圧、および向上した作動安定性を提供することができる。本発明において有用な有機金属化合物の実施形態は、(直接的に、または多色ディスプレイを提供するためのフィルタを介して)白色光の発光において有用なものを含む広範囲の色相を提供することができる。
【0132】
一般的なデバイス構成
本発明の化合物は、小分子材料、オリゴマー材料、ポリマー材料、またはそれらの組合せを使用して多くのOLEDデバイス構成において用いることが可能である。これらは、画素を形成するための陽極および陰極の直交配列から構成されるパッシブマトリックスディスプレイや、各画素が、独立して、例えば薄膜トランジスタ(TFT)により制御されるアクティブ−マトリックスディスプレイ等のより複雑なデバイスに対する単一の陽極および陰極を含む非常に単純な構造を含む。
【0133】
有機層の数多くの構成がある。OLEDの必須要件は、陽極、陰極、および前記陽極と陰極との間に位置する有機発光層である。後でより十分に記載されるように、更なる層を用いてよい。
【0134】
小分子デバイスで特に有用な典型的な構造は、基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、場合により正孔ブロッキング層または励起子ブロッキング層、電子輸送層および陰極から構成される。これらの層は、以下で詳細に記載される。基板は、代わりに、陰極に隣接させて位置させることができ、または基板は、現実的には陽極もしくは陰極を構成することができることに注意されたい。陽極と陰極との間の有機層は、便宜には、有機EL素子と呼ばれる。また、有機層の合計の合わせた厚みは、望ましくは500nm未満である。
【0135】
式IIaの化合物は、発光層(発光性層)におけるホストとして使用され得る。
【0136】
式IIaおよびIIbの化合物は、場合によりドーパントと組み合わせて、電子輸送層において使用され得る。
【0137】
好ましい実施形態において、前記デバイスは、ガラス基板、陽極(インジウムスズ酸化物(ITO))、正孔注入層(2−TNATA(4,4’,4’’−トリス(N−(ナフサ−2−イル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン;有機または無機ドーパントをドープしたα−NPD)、正孔輸送層(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD))、発光性層(アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)−4−フェニルフェノラト(BalQ)、α−NPD、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)またはイリジウム(III)ビス−(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)をドープしたCpd.A−1またはCpd.A−19)、電子輸送層(BalQ/AlQ3;AlQ3;A−1/AlQ3のCpd.;1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)/Cpd.A−1;TPBI/AlQ3;Cpd.B−38;Cs2CO3または有機ドーパントをドープしたBalQ/BCP;Cs2CO3または有機ドーパントをドープしたBalQ/Cpd.A−1;Cs2CO3または有機ドーパントをドープしたB−38のBalQ/Cpd.;Cpd.B−1;Cpd.B−39;B−1のBalQ/Cpd.)、および陰極LiF/AlまたはCs2CO3/Alを、この順序で含む。p−ドーパントの例は、例えば、K.Walzer,B.Maennig,M.Pfeiffer,and K.Leo,Chem.Rev.107(2007)1233−1271、EP1596445A1、WO2009/003455A1、DE100357044、WO2008/058525、WO2008/138580、US20080171228およびUS2008/0265216において記載されている。
【0138】
適切なn−ドーパントは、WO2008/018237において記載される通りのLiF、NaF、KF、CsF、LiCl等のハロゲン化アルカリ;Li2O、K2O;Cs2O、Cs2CO3等のアルカリ金属カルゴニド、CaO、BaO等のアルカリ土類カルコゲニドである。1:1のモル比でLiをドープしたBphenを使用したnドープ電子輸送層の例は、US6,337,102において開示されている。WO2009000237は、有機ドーパントおよびかかる材料の使用を開示する。
【0139】
基板
基板は、光発光の意図した方向に応じて、光伝達性であるか、または不透明のいずれかであり得る。光伝達性は、基板を通じてEL発光を観察するのに望ましい。透明ガラスまたはプラスチックは、かかる場合において通常用いられる。基板は、材料の複数層を含む複雑な構造であり得る。これは、典型的には、TFTがOLED層の下で提供されるアクティブマトリックス基板についての場合である。少なくとも発光性画素化領域において、基板は、ガラスまたはポリマー等のかなり透明な材料から構成される必要が更にある。EL発光が頂部電極を通して見える用途について、底部支持体の伝達特性は、重要でなく、従って、光伝達性、光吸収性、または光反射性であり得る。この場合における使用のための基板としては、限定されるものではないが、ガラス、プラスチック、半導体材料、ケイ素、セラミック、および回路基板材料が挙げられる。再度、基板は、アクティブマトリックスTFT設計において見出されるもの等の材料の複数の層を含む複雑な構造であり得る。これらのデバイス構成において、光透明頂部電極を提供する必要がある。
【0140】
陽極
所望のエレクトロルミネッセント光発光(EL)を、陽極を通して見る場合、陽極は、関心の対象の発光に対して透明であるか、または実質的に透明であるべきである。本発明において使用される通常の透明な陽極材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)およびスズ酸化物であるが、アルミニウムドープ亜鉛酸化物、マグネシウムインジウム酸化物およびニッケルタングステン酸化物を含むがこれらに限定されない他の金属酸化物が作用することができる。これらの酸化物に加えて、窒化ガリウム等の金属窒化物、およびセレン化亜鉛等の金属セレン化物、および硫化亜鉛等の金属硫化物が、陽極として使用され得る。EL発光が陰極を通してのみ見える用途について、陽極の伝達特性は重要ではなく、透明、不透明または反射性の任意の導電性材料を使用することができる。この用途のための導体の例としては、限定されるものではないが、金、イリジウム、モリブデン、パラジウムおよび白金が挙げられる。所望の陽極材料は、通常、蒸発、スパッタリング、化学蒸着または電気化学的手段等の任意の適切な手段によって蒸着される。陽極は、周知の光食刻法を使用してパターン形成され得る。場合により、陽極は、他の層の適用に先立って研磨して、ショートを最小化するか、または反射率を高めるように表面粗度を減少させることができる。
【0141】
陰極
光発光が陽極を通してのみ見える場合、本発明において使用される陰極は、ほとんど任意の導電性材料から構成され得る。所望の材料は、下にある有機層との良好な接触を確保するために良好な膜形成性を有し、低電圧での電子注入を促進し、良好な安定性を有する。有用な陰極材料は、しばしば、低い仕事関数の金属(<4.0eV)または金属合金を含む。1種の有用な陰極材料は、US−A−4,885,221に記載されているように、銀のパーセンテージが1〜20%の範囲内であるMg:Ag合金から構成される。陰極材料の別の適切なクラスは、陰極、および導電性金属のより厚い層でキャップされた有機層(例えば、電子輸送層(ETL))と接触した薄い電子注入層(EIL)を含む二重層を含む。ここで、EILは、好ましくは、低い仕事関数の金属または金属塩を含み、その場合、より厚いキャッピング層は、低い仕事関数を有する必要がない。1つのかかる陰極は、US−A−5,677,572に記載されているように、LiFの薄い層、続いてAlのより厚い層から構成される。アルカリ金属をドープしたETL材料、例えば、LiドープAlqは、有用なEILの別の例である。他の有用な陰極材料の集合としては、限定されるものではないが、US−A−5,059,861、5,059,862および6,140,763において開示されているものが挙げられる。
【0142】
光発光が陰極を通して見える場合、陰極は、透明、またはほとんど透明でなければならない。かかる用途について、金属は薄くなければならないか、または透明な導電性酸化物もしくはこれらの材料の組み合わせを使用しなければならない。光学的に透明な陰極は、US−A−4,885,211、5,247,190、JP3,234,963、米国特許第5,703,436号、第5,608,287号、第5,837,391号、第5,677,572号、第5,776,622号、第5,776,623号、第5,714,838号、第5,969,474号、第5,739,545号、第5,981,306号、第6,137,223号、第6,140,763号、第6,172,459号、EP1076368、US−A−6,278,236および6,284,3936においてより詳細に記載されている。陰極材料は、典型的には、蒸発、スパッタリングまたは化学蒸着等の任意の適切な方法によって蒸着される。必要な場合、パターン形成は、スルーマスク蒸着、US−A−5,276,380およびEP0732868において記載される通りの一体的シャドーマスキング、レーザーアブレーションおよび選択的化学蒸着を含むがこれらに限定されない多くの周知の方法を介して達成され得る。
【0143】
正孔注入層(HIL)
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層との間に提供され得る。正孔注入材料は、続く有機層の膜形成性を向上させ、正孔輸送層内への正孔の注入を容易にさせることができる。正孔注入層における使用ための適切な材料としては、限定されるものではないが、US−A−4,720,432において記載される通りのポリフィリン化合物、US−A−6,208,075において記載される通りのプラズマ蒸着フルオロカーボンポリマー、および幾つかの芳香族アミン、例えば、m−MTDATA(4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン)または2−TNATA(4,4’,4’’−トリス(N−(ナフサ−2−イル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)が挙げられる。報告によると有機ELデバイスにおいて有用な代わりの正孔注入材料は、EP0891121およびEP1029909において記載されている。
【0144】
正孔輸送層(HTL)
有機ELデバイスの正孔輸送層は、芳香族第三級アミン等の少なくとも1種の正孔輸送化合物を含み、後者は、少なくとも1個が芳香族環のメンバーである炭素原子のみに結合した少なくとも1個の三価窒素原子を含有する化合物であると理解される。1つの形態において、芳香族第三級アミンは、アリールアミン、例えば、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミンまたはポリマーアリールアミンであり得る。例示的なモノマートリアリールアミンは、US−A−3,180,730において示されている。1個以上のビニル基で置換され、および/または少なくとも1個の活性水素含有基を含む他の適切なトリアリールアミンは、US−A−3,567,450および3,658,520において開示されている。
【0145】
芳香族第三級アミンのより好ましいクラスは、US−A−4,720,432および5,061,569において記載される通りの少なくとも2個の芳香族第三級アミン部分を含むものである。かかる化合物としては、構造式
【化76】
[式中、
1およびQ2は、独立して、選択された芳香族第三級アミン部分であり、Gは、炭素間結合のアリーレン基、シクロアルキレン基またはアルキレン基等の連結基である]によって表されるものが挙げられる。一実施形態において、Q1またはQ2の内の少なくとも1つは、多環縮合環構造、例えばナフタレンを含む。Gがアリール基である場合、便宜上、それは、フェニレン部分、ビフェニレン部分またはナフタレン部分である。
【0146】
構造式(A)を満足し、かつ2個のトリアリールアミン部分を含有するトリアリールアミンの有用なクラスは、構造式
【化77】
[式中、
3およびQ4は、各々独立して水素原子、アリール基もしくはアルキル基を表し、またはQ3およびQ4は、シクロアルキル基を完成する原子を一緒に表し;ならびにQ5およびQ6は、各々独立して、構造式
【化78】
[式中、
7およびQ8は、独立して、選択されたアリール基である]によって示されるように、ジアリール置換アミノ基でも置換されたアリール基を表す]によって表される。一実施形態において、Q7またはQ8の内の少なくとも1つは、多環縮合環構造、例えばナフタレンを含有する。
【0147】
芳香族第三級アミンの別のクラスは、テトラアリールジアミンである。所望のテトラアリールジアミンは、アリーレン基を介して連結された、式Iによって示される通りの2個のジアリールアミノ基を含む。有用なテトラアリールジアミンとしては、式
【化79】
[式中、
各Areは、独立して、選択されたアリーレン基、例えば、フェニレン部分またはアントラセン部分であり、yは、1〜4の整数であり、ならびにAr、Q9、Q10およびQ11は、独立して、選択されたアリール基である]によって表されるものが挙げられる。典型的な実施形態において、Ar、Q9、Q10およびQ11の内の少なくとも1つは、多環縮合環構造、例えばナフタレンである。前述の構造式(A)、(B)、(C)、(D)の各種のアルキル部分、アルキレン部分、アリール部分およびアリーレン部位は、各々置換することもできる。典型的な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、およびハロゲン、例えばフッ化物、塩化物および臭化物が挙げられる。各種のアルキル部分およびアルキレン部分は、典型的には、約1〜6個の炭素原子を含有する。シクロアルキル部分は、3〜約10個の炭素原子を含有することができるが、典型的には、5、6または7個の環炭素原子を含有する(例えば、シクロペンチル環構造、シクロヘキシル環構造およびシクロヘプチル環構造)。アリール部分およびアリーレン部分は、通常フェニル部分およびフェニレン部分である。
【0148】
正孔輸送層は、芳香族第三級アミン化合物の単一物または混合物から形成され得る。具体的には、式(D)によって示されるように、テトラアリールジアミンと組み合わせた、式(B)を満足するトリアリールアミン等のトリアリールアミンを用いることができる。トリアリールアミンをテトラアリールジアミンと組み合わせて用いる場合、後者は、トリアリールアミンと電子注入および輸送層との間に置かれる層として位置する。以下のものが、有用な芳香族第三級アミンの例示的なものである。1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’’’−ジアミノ−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クアテルフェニルビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、1,4−ビス[2−[4−[N,N−ジ(p−トリ)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラ−1−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラ−2−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(TNB)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−テルフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、4,4’−ビス[N−(9−アンスリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(1−アンスリル)−N−フェニルアミノ]−p−テルフェニル、4,4’−ビス[N−(2−フェナンスリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(8−フルオロアンテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ナフタセニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(1−クロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’’−ジアミノ−p−テルフェニル、4,4’−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)−フェニル]アミノ}ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)、および4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)。正孔輸送層は、導伝性を高めるために使用され得る。α−NPDおよびTPDは、固有の正孔輸送層の例である。pドープ正孔輸送層の例は、US6,337,102またはDE10058578において開示される通りの、50:1のモル比でF4−TCNQをドープしたm−MTDATAである。
【0149】
有用な正孔輸送材料の別のクラスは、EP1009041において記載される通りの多環芳香族化合物を含む。オリゴマー材料を含む、2個より多いアミン基を有する第三級芳香族アミンが使用され得る。更に、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンや、PEDOT/PSSとも呼ばれるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)等のコポリマー等のポリマー正孔輸送材料が使用され得る。
【0150】
蛍光発光材料および層(LEL)
リン光材料に加えて、蛍光材料を含む他の発光材料が、OLEDデバイスにおいて使用され得る。式IおよびIIIの化合物は、蛍光発光材料として機能し得る。「蛍光」という用語は、任意の発光材料を記載するために通常は使用されるが、この場合、我々は、一重項励起状態から光を発する材料を指す。蛍光材料は、隣接する層において、隣接する画素において、または任意の組合せにおいて、リン光材料と同じ層において使用され得る。リン光材料の性能に悪影響を及ぼす材料を選択しないように注意しなければならない。当業者は、リン光材料と同じ層において、または隣接する層において材料の三重項励起状態エネルギーが、望ましくない消光を防止するように適切に設定されなければならないことを理解する。US−A−4,769,292および5,935,721においてより十分に記載されているように、有機EL素子の発光層(LEL)は、ルミネッセント蛍光またはリン光材料を含み、ここでエレクトロルミネッセンスが、この領域内における電子正孔対再結合の結果として生じる。発光層は、単一材料から構成され得るが、より通常には、1種または複数種のゲスト発光材料をドープしたホスト材料から構成され、ここで光発光は、主として発光材料から出現し、任意の色であり得る。発光層におけるホスト材料は、以下で定義される通りの電子輸送材料、上記で定義された通りの正孔輸送材料、または正孔電子再結合を支持する別の材料もしくは材料の組み合わせであり得る。蛍光発光材料は、典型的には、ホスト材料の0.01〜10質量%で組み込まれる。ホストおよび発光材料は、非ポリマー小分子またはポリマー材料、例えば、ポリフルオレンおよびポリビニルアリーレン(例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)、PPV)であり得る。ポリマーの場合、小分子発光材料は、分子的にポリマーホスト中に分散させることができるか、または微量成分をホストポリマーに共重合させることによって発光材料を加えることができる。膜形成、電気的性質、光発光効率、寿命、製造性を向上させるためにホスト材料を一緒に混合することができる。ホストは、良好な正孔輸送性を有する材料と、良好な電子輸送性を有する材料とを含むことができる。
【0151】
使用されることが知られているホストおよび発光材料としては、限定されるものではないが、US−A−4,768,292、5,141,671、5,150,006、5,151,629、5,405,709、5,484,922、5,593,788、5,645,948、5,683,823、5,755,999、5,928,802、5,935,720、5,935,721および6,020,078において開示されているものが挙げられる。
【0152】
8−ヒドロキシキノリンの金属錯体および同様の誘導体(式E)は、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト化合物の1つのクラスを構成し、500nmよりも長い波長の光の発光、例えば、緑色、黄色、橙色および赤色に特に適切である。
【0153】
【化80】
[式中、
Mは、金属を表し;vは、1〜4の整数であり;およびZZは、独立して、各出現において、少なくとも2個の縮合芳香族環を有する核を完成する原子を表す]。以上より、前記金属は、一価、二価、三価または四価金属であり得ることが明らかである。前記金属は、例えば、リチウム、ナトリウムもしくはカリウム等のアルカリ金属;マグネシウムもしくはカルシウム等のアルカリ土類金属;アルミニウムもしくはガリウム等の土類金属、または亜鉛もしくはジルコニウム等の遷移金属であり得る。
【0154】
一般に、有用なキレート化金属であることが知られている任意の一価、二価、三価または四価金属を用いてよい。ZZは、少なくとも1個がアゾール環またはアジン環である少なくとも2個の縮合芳香族環を含有する複素環核を完成する。脂肪族環および芳香族環を共に含む更なる環を、必要に応じて、2個の所要の環と縮合させることができる。機能に対する向上なしで分子バルクを加えることを回避するため、環原子の数は、通常18個以下に維持される。
【0155】
以下のものが、有用なキレート化オキシノイド化合物の例示的なものである。
CO−1:アルミニウムトリスオキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO−2:マグネシウムビスオキシン[別名、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム(II)]
CO−3:ビス[ベンゾ{f}−8−キノリノラト]亜鉛(II)
CO−4:ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)
CO−5:インジウムトリスオキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)インジウム]
CO−6:アルミニウムトリス(5−メチルオキシン)[別名、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO−7:リチウムオキシン[別名、(8−キノリノラト)リチウム(I)]
CO−8:ガリウムオキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)ガリウム(III)]
CO−9:ジルコニウムオキシン[別名、テトラ(8−キノリノラト)ジルコニウム(IV)]
有用な蛍光発光材料としては、限定されるものではないが、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルベレン、クマリン、ローダミンおよびキナクリドンの誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウムおよびチアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、ならびにカルボスチリル化合物が挙げられる。有用な材料の例示的な例としては、限定されるものではないが、US7,090,930B2において記載されている化合物L1〜L52が挙げられる。
【0156】
電子輸送層(ETL)
本発明の有機ELデバイスの電子輸送層を形成するのに用いられる好ましい薄膜形成材料は、金属キレート化オキシノイド化合物であり、(通常は8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)オキシン自体のキレートを含む。かかる化合物は、電子を注入し輸送するのを助け、共に高レベルの性能を示し、薄膜の形態で容易に製造される。考えられるオキシノイド化合物の例は、既に記載された構造式(E)を満足するものである。他の電子輸送材料としては、US4,356,429において開示される通りの各種ブタジエン誘導体およびUS4,539,507において記載される通りの各種複素環光学増白剤が挙げられる。構造式(G)を満足するベンザゾールもまた、有用な電子輸送材料である。トリアジンもまた、電子輸送材料として有用であることが知られている。ドーピングは、導伝性を高めるために使用され得る。Alq3は、固有の電子輸送層の例である。nドープ電子輸送層の例は、US6,337,102において開示される通りの、1:1のモル比でLiをドープしたBphenである。
【0157】
有機層の蒸着
上記の有機材料は、適切には、有機材料の形態に適切な任意の手段によって蒸着される。小分子の場合、便宜上、それらは、熱蒸発を通じて蒸着されるが、任意の結合剤と共に溶媒からのもの等の他の手段によって蒸着させて、膜形成を向上させることができる。前記材料が可溶、またはオリゴマー/ポリマー形態である場合、溶液処理、例えば、スピンコーティング、インクジェット印刷が、通常好ましい。デンドリマー置換基を使用して、溶液処理を受ける小分子の能力を高めることができる。パターン形成された蒸着は、シャドーマスク、一体化シャドーマスク(US5,294,870)、ドナーシートからの空間的に規定された感熱色素転写(US5,688,551、5,851,709および6,066,357)およびインクジェット方法(US6,066,357)を使用して達成され得る。
【0158】
カプセル化
ほとんどのOLEDデバイスは、湿気もしくは酸素、または両方に対して感受性があり、従って、それらは、通常、アルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、クレー、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩または金属ハロゲン化物および過塩素酸塩等の乾燥剤と共に、窒素またはアルゴン等の不活性雰囲気中において密閉される。カプセル化および乾燥のための方法としては、限定されるものではないが、US6,226,890において記載されているものが挙げられる。更に、SiOx、テフロンおよび交互の無機/ポリマー層等の障壁層は、カプセル化についての技術分野において知られている。
【0159】
本発明の実施態様に従って製造されるデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、テレビ、ビルボード、室内用ライトあるいは屋外照明および/または信号、完全に透明なディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダ、マイクロディスプレイ、ビヒクル、劇場またはスタジアムスクリーン、あるいはサインを含む多種多様な消費製品に組み込まれ得る。各種の制御メカニズムを使用して、パッシブマトリックスおよびアクティブマトリックスを含む本発明に従って製造されるデバイスを制御することができる。
【0160】
本発明の各種の特徴および態様は、続く実施例において更に示される。これらの実施例は、本発明の範囲内において作動する方法を当業者に示すために示されるが、それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、かかる範囲は、請求項において規定されるだけである。以下の実施例、ならびに明細書および請求項において特に明記しない限り、全ての部およびパーセンテージは質量基準であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または大気圧に近い圧力である。
【実施例】
【0161】
実施例
実施例1
【化81】
【0162】
Chemistry of Heterocyclic Compounds43(2007)665:に従って生成物を調製する。5.00g(31.6ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミンおよび16.3g(158ミリモル)のベンゾニトリルに50gのポリリン酸を添加する。反応混合物を、窒素下において180℃で18時間加熱する。加熱浴を除去し、50mLのエタノールを添加する。反応混合物を水に注ぎ、アンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水および1/1の水/エタノールによって洗浄する。生成物をトルエン中に溶解し、シリカゲルにおいて濾過する。溶媒を真空中において除去し、生成物をエチルアセテートによってソックスレー抽出する(収量:1.26g(9.2%))。融点:295.0〜296.0℃。
【0163】
実施例2
【化82】
【0164】
a)10.0g(63.2ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、12.9g(69.5ミリモル)の4−ブロモ−ベンズアルデヒド、および13.2g(69.5ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムを150mLのエタノール中に溶解する。反応混合物を窒素下において3時間還流し、25℃に冷却する。生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄する(収量:14.4g(71%))。
【0165】
【化83】
【0166】
b)実施例2aの1.00g(3.09ミリモル)の生成物および0.710gの(3.40ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを、10gのポリリン酸および5mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を、窒素下において90℃で6時間撹拌する。20mLのエタノールと30mLの水とを添加する。懸濁液を水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄する(収量:0.66g(42%))。
【0167】
【化84】
【0168】
c)実施例2bの3.00g(5.86ミリモル)生成物、1.41g(6.45ミリモル)のナフタレン−1−イル−フェニル−アミン、および620mg(6.45ミリモル)のtert−ブトキシドナトリウムを80mLのトルエン中に溶解する。
【0169】
反応混合物をアルゴンによって脱気する。66mg(0.29ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気する。119mg(0.59ミリモル)のトリ−tert−ブチル−ホスファンを添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気し、アルゴン下において90℃で3時間撹拌し、次いで25℃に冷却し、1%のシアン化ナトリウム水溶液によって洗浄する。有機相を分離し、溶媒を除去する。3/7のトルエン/ヘキサンによるシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィーによって、生成物が生じる(収量:870mg(23%))。融点:309.5℃。
【0170】
実施例3
【化85】
【0171】
a)50mLのエタノールを、3.60g(22.8ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、2.66g(25.0ミリモル)のベンズアルデヒド、および4.76g(25.0ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムに添加する。反応混合物を2.5時間還流する。生成物を濾別し、エタノールおよび水によって洗浄する(収率:89%)。
【0172】
【化86】
【0173】
b)20gのポリリン酸および10mLのトルエンを、実施例1aの2.00g(8.19ミリモル)の生成物および1.88g(9.01ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンに添加する。反応混合物を窒素下において80℃で18時間撹拌する。加熱浴を除去し、60mLの水を添加する。懸濁液を水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、エタノールによって洗浄し、酢酸エチルによってソックスレー抽出する(収量:1.10g(31%))。融点:273.0〜274.5℃。
【0174】
実施例4
【化87】
【0175】
20gのポリリン酸を、実施例2aの2.00g(6.19ミリモル)の生成物および2.55g(24.8ミリモル)のベンゾニトリルに添加する。反応混合物を窒素下において180℃で17時間撹拌する。加熱浴を除去し、20mLのエタノールおよび30mLの水を添加する。懸濁液を水に注ぎ、水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄し、酢酸エチルによってソックスレー抽出する(収量:1.83g(58%))。
【0176】
実施例5
【化88】
【0177】
a)100mLのエタノールを20.0g(126ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、21.7g(139ミリモル)のナフタレン−1−カルバルデヒドおよび26.4g(139ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムに添加する。反応混合物を窒素下において6時間還流する。生成物を濾別し、エタノールおよび水によって洗浄する(収量:25.6g(69%))。生成物を、次の反応ステップにおいて更なる精製なしで使用する。
【0178】
【化89】
【0179】
b)実施例5aの2g(6.79ミリモル)の生成物、1.56g(7.47ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを20gのポリリン酸および3mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を100℃で57時間加熱し、水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄し、酢酸エチルによって2回煎出し、酢酸エチルによってソックスレー抽出し、トルエンによってシリカゲルにおいて濾過し、ジエチルエーテルによって煎出する(収量:830mg(25%))。融点:260〜261℃。
【0180】
実施例6
【化90】
【0181】
a)300mLのエタノールを9.00g(56.9ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、11.6g(62.6ミリモル)の3−ブロモ−ベンズアルデヒドおよび11.9g(62.6ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムに添加する。反応混合物を窒素下において14時間還流し、熱時濾過する。固体をエタノールによって洗浄する。エタノール相を回収する。エタノールを部分的に蒸留し、エタノール溶液を水に注ぐ。生成物を濾別し、水によって洗浄する。次の反応ステップにおいて生成物を更なる精製なしで使用する(収量:17.0g(93%))。
【0182】
【化91】
【0183】
b)実施例6aの5g(15.5ミリモル)の生成物、3.54g(17.0ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを、50gのポリリン酸および2mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において100℃で22時間加熱して、水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄し、エタノールによって煎出する。収量3.82g(48%)。
【0184】
【化92】
【0185】
c)実施例6bの2.00g(39.1ミリモル)の生成物、1.15g(4.69ミリモル)の1−ピレンボロン酸および2.84g(11.7ミリモル)のリン酸三カリウム一水和物をアルゴンによって脱気する。10mLの1,4−ジオキサン、40mLのトルエンおよび8mLの水を添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気する。96mg(0.24ミリモル)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(Sphos)および8.8mg(0.039ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加し、反応混合物をアルゴン下において4時間加熱する。溶媒を蒸留し、生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄する。7/3のトルエン/シクロヘキサンによるシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィーによって、生成物が生じ、それをジエチルエーテルによって煎出する(収量:820mg(33%))。融点:240℃。
【0186】
実施例7
【化93】
【0187】
a)50mLのエタノールを5.00g(31.6ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、3.72g(34.8ミリモル)のピリジン−4−カルバルデヒドおよび6.61g(34.8ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムに添加する。反応混合物を窒素下において17時間還流し、熱時濾過する。固体をエタノールによって洗浄する。エタノール相を回収する。エタノールを部分的に蒸留し、エタノール溶液を水に注ぐ。生成物を濾別し、水によって洗浄し、次の反応ステップにおいて精製なしで使用する(収量:7.33g(95%))。
【0188】
【化94】
【0189】
b)実施例8aの5g(20.4ミリモル)の生成物、4.67g(22.4ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを50gのポリリン酸および3mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において26時間100℃に加熱し、水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄する。トルエン/酢酸エチルによるシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィーによって、生成物が生じ、それをジエチルエーテルによってソックスレー抽出する(収量:2.00g(23%))。融点280〜284℃。
【0190】
実施例8
【化95】
【0191】
a)80mLエタノール中における5.00g(31.6ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、24.0g(126ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムおよび2.99g(14.2ミリモル)のビフェニル−4,4’−ジカルバルデヒドの混合物を、窒素下において22時間還流する。反応混合物を25℃に冷却し、生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄し、次の反応ステップにおいて更なる精製なしで使用する(収量:6.90g(100%))。
【0192】
【化96】
【0193】
b)実施例9aの1.50g(3.08ミリモル)の生成物、2.89g(13.9ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを20gのポリリン酸および5mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において100℃に94時間加熱し、水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄し、ブタン−2−オンによって煎出する。100/1のトルエン/酢酸エチルによるシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィーによって、生成物が生じる(収量:230mg(9%))。
【0194】
【0195】
実施例9
【化97】
【0196】
a)実施例3aの3.50g(14.3ミリモル)の生成物および6.29g(17.2ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを35gのポリリン酸および5mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において100℃で45時間加熱し、水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄し、クロロホルムによってソックスレー抽出する。ジエチルエーテルをクロロホルム層に加え、生成物を濾別する(収量:2.75g(33%))。
【0197】
【化98】
【0198】
b)実施例9aの2.00g(3.39ミリモル)の生成物、1.63g(7.45ミリモル)のナフタレン−1−イル−フェニル−アミン、および980mg(10.2ミリモル)のtert−ブトキシドナトリウムを50mLのトルエン中に溶解する。反応混合物をアルゴンによって脱気する。38mg(0.17ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気する。69mg(0.34ミリモル)のトリ−tert−ブチル−ホスファンを添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気し、アルゴン下において100℃で28時間撹拌する。生成物を濾別し、トルエン、エタノール、水および再度エタノールによって洗浄する(収量:2.65g(90%))。
【0199】
【0200】
実施例10
【化99】
【0201】
a)120mLのエタノール中における10.0g(63.2ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、361g(190ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムおよび3.82g(28.5ミリモル)のベンゼン−1,4−ジカルバルデヒドの混合物を窒素下において22時間還流する。反応混合物を25℃に冷却し、生成物を濾別し、エタノール、水およびエタノールによって洗浄する。エタノールによるソックスレー抽出によって、生成物が生じる(収量6.90g(100%))。
【0202】
【化100】
【0203】
b)実施例9aの5.70g(13.9ミリモル)の生成物および13.0g(62.5ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを、60gのポリリン酸および5mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において100℃で47時間加熱し、水に注ぐ。生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄する。水中における生成物の懸濁液をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄し、ブタン−2−オンによって煎出する。100/1のトルエン/酢酸エチルによるシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィーによって、生成物が生じる(収量:230mg(8%))。
【0204】
【0205】
実施例11
【化101】
【0206】
a)50mLのジクロロメタン、50mLのアセトニトリルおよび60mLの水中における実施例3bの5.00g(11.6ミリモル)の生成物、550mg(2.66ミリモル)の塩化ルテニウム(III)水和物(−41%Ru)、20.3g(94.9ミリモル)の過ヨウ素酸ナトリウムの混合物を、窒素下において60℃で15時間撹拌する。反応混合物を水に注ぐ。生成物を濾別し、水およびエタノールによって洗浄し、クロロホルムによってHyfloにおいて濾過し、次の反応ステップにおいて更なる精製なしで使用する(収量2.70g(48%))。
【0207】
【化102】
【0208】
b)実施例11aの2.70g(5.48ミリモル)の生成物および1.42g(13.2ミリモル)のベンゼン−1,2−ジアミンを、15mLのクロロホルムおよび30mLのエタノール中に溶解する。5滴の硫酸(97%)を添加する。反応混合物を16時間還流し、25℃に冷却する。生成物を濾別し、エタノール、水および再度エタノールによって洗浄する。ジクロロメタンによるシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィーは、10%の収率における生成物につながる。
【0209】
【0210】
実施例12
【化103】
【0211】
より多くの酸化剤およびより長い反応時間を第1反応ステップにおいて使用することを除いて、実施例11を繰り返す。
【0212】
【0213】
実施例13
【化104】
【0214】
a)100mLのエタノールを10.0g(63.2ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、3.34g(75.9ミリモル)のアセトアルデヒドおよび24.0g(126ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムに添加する。反応混合物を窒素下において40℃(油浴)で4時間撹拌し、水に注ぐ。水相をジクロロメタンによって抽出する。有機相を硫酸マグネシウムによって乾燥させ、溶媒を真空中において除去する(収量:6.55g(57%))。
【0215】
【化105】
【0216】
b)実施例13aの4.00g(22.0ミリモル)の生成物、5.03g(24.2ミリモル)の(E)−1,3−ジフェニル−プロペノンを、40gのポリリン酸(PPA)および3mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において100℃に31時間加熱し、水に注ぐ。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄する。水中における生成物の懸濁液をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、エタノールによって洗浄する(収量:2.12g(26%))。
【0217】
【0218】
実施例14
【化106】
【0219】
a)100mLのエタノールを7.00g(44.3ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミン、7.60g(48.7ミリモル)のナフタレン−2−カルバルデヒドおよび9.25g(48.7ミリモル)の二亜硫酸ナトリウムに添加する。反応を窒素下において17時間還流する。生成物を濾別し、エタノールおよび水によって洗浄する(収量:7.27g(56%))。生成物を次の反応ステップにおいて精製なしで使用する。
【0220】
【化107】
【0221】
b)実施例14aの5g(17.0ミリモル)の生成物、6.29g(20.4ミリモル)の(E)−1,3−ジ−ナフタレン−2−イル−プロペノンアーレを、50gのポリリン酸および2mLのトルエンの混合物に添加する。反応混合物を窒素下において100℃に28時間加熱し、水に注ぐ。水相をアンモニア水溶液によって中和する。生成物を濾別し、水、エタノールおよび再度水によって洗浄する。トルエンによる酢酸エチルおよび水によるソックスレー抽出によって生成物を得て、それを酢酸エチルによって煎出する(収量:2.16g(22%))。融点:267〜270℃。
【0222】
実施例15
【化108】
【0223】
2.94g(18ミリモル)のナフタレン−1,8−ジアミンおよび9.40g(63ミリモル)の4−(ジメチルアミノ)−ベンゾニトリルを83%の五酸化リンを含有する100gのポリリン酸中に撹拌する。反応混合物を180℃に加熱し、この温度で3時間維持する。90℃に冷却した後、反応塊を2.5Lの氷/水混合物に注ぎ、3時間激しく撹拌する。沈殿物を濾別し、200mLの水中においてスラリー化させ、懸濁液を、希釈した水酸化ナトリウム水溶液によってpH7に中和し、2時間撹拌し、濾過する。プレスケーキを減圧で15時間の間50℃で乾燥させる。よく粉砕した粉末を、5時間の間、150mLの酢酸エチルによってソックスレー抽出する。抽出物をわずかに減圧で回転蒸発器において60mLの体積に濃縮し、室温で18時間静置する。生成物を濾過によって単離し、300mLの沸騰している酢酸エチル中に再度溶解し、回転蒸発器においてわずかに減圧で30mLの体積に濃縮し、室温で24時間静置する。最終生成物を濾過によって単離する(収量:0.39g(4%))。
元素組成:76.28%C 5.95%H 13.50%N
37346×H2Oについての計算値:76.53%C 6.25%H 14.47%N
37346についての計算値:78.98%C 6.09%H 14.93%N
実施例16
【化109】
【0224】
実施例2bの3.00g(5.87ミリモル)の生成物、2.12g(5.57ミリモル)の4,4,5,5−テトラメチル−2−(10−フェニル−アンスラセン−9−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン、および2.84g(11.7ミリモル)のリン酸三カリウム一水和物をアルゴンによって脱気する。200mLの1,4−ジオキサン、50mLのトルエンおよび10mLの水を添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気する。145mg(0.35ミリモル)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(Sphos)および13mg(0.059ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加する。反応混合物をアルゴンによって脱気し、アルゴン下において100℃で4時間加熱する。実施例6cと同様に処理を行う(収量:1.47g;(17%))。
【0225】
【0226】
実施例17
【化110】
【0227】
実施例6cと同様に生成物を調製する。
【0228】
【0229】
用途例1
高真空(<10-6mbar)中において熱蒸発によってデバイスを製造する。陽極は、事前にガラス基板上に蒸着した約120nmのインジウムスズ酸化物(ITO)から成る。陰極は、1nmのLiFと、続く100nmのAlとから成る。全てのデバイスを、グローブボックスの窒素雰囲気(1ppm未満のH2OおよびO2)中においてカプセル化なしで調製の直後にテストする。
【0230】
有機スタックは、ITO表面から順に、正孔注入層(HIL)として60nmの2−TNATA(4,4’,4’’−トリス(N−(ナフサ−2−イル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、正孔輸送層として30nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、10%の赤色のエミッタをドープした30nmのビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(III)(BalQ)、発光性層としてビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)から成る。電子輸送層(ETL)の組成を、以下の表において示す。
【0231】
デバイス1−1、1−2および1−3について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に発光効率を以下の表において報告する。
【0232】
【表2】
【0233】
TPBI=1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン
用途例2
Balqの代わりにホストとして実施例2の化合物を使用し、且つ以下の表において示す電子輸送層の組成が異なることを除いて用途例1と同じ方法でデバイス2−1および2−2を製造する。
【0234】
デバイス2−1および2−2について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に発光効率を以下の表において報告する。
【0235】
【表3】
【0236】
用途例3
Balqの代わりにホストとして実施例1の化合物を使用し、且つ以下の表において示す電子輸送層の組成が異なることを除いてデバイス1−2と同じ方法でデバイス3−1を製造する。
【0237】
デバイス3−1について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に発光効率を以下の表において報告する。
【0238】
【表4】
【0239】
用途例4
高真空(<10-6mbar)中において熱蒸発によってデバイスを製造する。陽極は、事前にガラス基板上に蒸着した約120nmのインジウムスズ酸化物(ITO)から成る。陰極は、1nmのLiFと、続く100nmのAlとから成る。
【0240】
有機スタックは、ITO表面から順に、正孔注入/正孔輸送層としてMoOxをドープしたα−NPD(60nm)、電子ブロッキング層としてα−NPD(10nm)、10%の赤色のエミッタをドープしたα−NPD、発光性層としてビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(20nm)から成る。デバイス4−1について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に電子輸送層(ETL)の組成、発光効率を以下の表において報告する。
【0241】
【表5】
(NHT5およびNDP2は、Novaled AG,Dresdenによって提供された)
用途例5
陰極が100nmのAlから成り、且つα−NPDの代わりにホストとして実施例2の化合物を使用することを除いてデバイス4−1と同じ方法でデバイス5−1を製造する。デバイス5−1について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に電子輸送層(ETL)の組成、発光効率を以下の表において報告する。
【0242】
【表6】
【0243】
用途例6
エミッタとしてイリジウム(III)ビス−(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)を、ホストとしてα−NPDを使用することを除いてデバイス5−1と同じ方法でデバイス6−1および6−2を製造する。デバイス6−1および6−2について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に電子輸送層(ETL)の組成、発光効率を以下の表において報告する。
【0244】
【表7】
【0245】
用途例7
エミッタとしてイリジウム(III)ビス−(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)を使用することを除いてデバイス1−1と同じ方法でデバイス7−1、7−2および7−3を製造する。デバイス7−1、7−2および7−3について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に電子輸送層(ETL)の組成、発光効率を以下の表において報告する。
【0246】
【表8】
【0247】
実施例8
エミッタとしてイリジウム(III)ビス−(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)を使用することを除いてデバイス4−1と同じ方法でデバイス8−1、8−2および8−3を製造する。デバイス8−1、8−2および8−3について測定した開始電圧(@1000cd/m2)および最大輝度と共に電子輸送層(ETL)の組成、発光効率を以下の表において報告する。
【0248】
【表9】