(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結合剤(a)は、少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(a2)だけである、請求項1から6までのいずれか1個に記載の多層リグノセルロース含有成形体。
結合剤(a)は、各々純粋な非希釈物質の(a1)及び(a2)の合計に対して、成分(a1)を70〜99.9質量%の範囲で、及び成分(a2)を0.1〜30質量%の範囲で含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の多層リグノセルロース含有成形体。
結合剤(b)は、各々純粋な非希釈物質の(I)及び(II)の合計に対して、成分(I)を30〜90質量%の範囲で、及び成分(II)を10〜70質量%の範囲で含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の多層リグノセルロース含有成形体。
請求項1から10までのいずれか1項に記載の多層リグノセルロース含有成形体の製造方法において、1層以上の中間層A)のためのリグノセルロース粒子を結合剤(a)と接触させ、1層以上の被覆層B)のためのリグノセルロース粒子を結合剤(b)と接触させ、所望の順序に従って互いに積層させ、かつ高められた温度で加圧する前記方法。
家具及び家具部材、包装材料の製造のための、住宅建築における又は内装における又は自動車における、請求項1から11までのいずれか1項に記載の多層リグノセルロース含有成形体の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項に定義されているような多層リグノセルロース含有成形体に関する。
【0002】
更に本発明は、多層リグノセルロース含有成形体の製法、及びあらゆる種類の対象物の製造のための及び建築範囲における、及び家具及び家具部分の、包装材料の製造のための、住宅建築における又は内装における又は自動車における多層リグノセルロース含有成形体の使用に関する。
【0003】
リグノセルロースをベースとする材料は公知である。リグノセルロース含有物質の重要な例は、木材部分、例えば、木質層、木材細片、木材チップ又は木材繊維であり、この際、木材繊維は、場合により、木材繊維含有植物、例えば、亜麻、麻、ヒマワリ、キクイモ又はナタネから由来してもよい。そのような木材部分又は木材粒子の出発材料は、通例、間伐材、工業廃棄木材及び使用済木材及び木材繊維含有植物である。
【0004】
所望のリグノセルロース含有物質、例えば、木材粒子への処理は、公知方法、例えば、M. Dunky, P. Niemt, Holzwerkstoffe und Leime, S. 91-156, Springer Verlag Heidelberg, 2002により行われる。
【0005】
木材の場合にはリグノセルロースとして木質材料も挙げられる、リグノセルロース含有成形体は、経費的に有利で無垢材に対する資源保護的な選択であり、殊に家具建築において及び建築材料としてますます重要になってきている。木質材料の出発物質として、通例、異なった木材製の異なった強度の木質層、木材細片、木材チップ又は木材繊維が用いられる。そのような木材部分又は木材粒子は、高められた温度で、天然及び/又は合成の結合剤を用いて、及び場合により更なる添加剤の添加下に、ボード状物状又はストランド状の木質材料に圧縮される。そのようなリグノセルロース含有成形体又は木質材料の例は、中密度の繊維ボード(MDF)、木材チップ材料、例えば、チップボード及び粗チップボード(OSB、配向性ストランドボード)、合板、例えば、ベニヤ合板及び集成材である。
【0006】
結合剤として、通例、ホルムアルデヒド含有結合剤、例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン含有尿素ホルムアルデヒド樹脂が使用される。樹脂は、ホルムアルデヒドと尿素及び/又はメラミンとの重縮合によって製造される。このようなホルムアルデヒド樹脂の使用により、完成した木質材料中に遊離ホルムアルデヒドが存在することになる。重縮合物の加水分解により、付加的なホルムアルデヒドが遊離され得る。木質材料中に含有される遊離ホルムアルデヒド及び木質材料の寿命中に加水分解によって遊離されるホルムアルデヒドは周囲に放出され得る。
【0007】
ホルムアルデヒドは、一定の限度以上で、ヒトにおいて、アレルギー、皮膚刺激、気道刺激又は目刺激を引き起こし得る。従って、建築部分、特に内部範囲におけるホルムアルデヒド放出の軽減が重要な挑戦である。
【0008】
公知技術水準から、木質材料からのホルムアルデヒド放出を軽減するための又は阻止するための次の手段が公知である:
− 少量のホルムアルデヒドを用いて製造されたアミノプラスト接着剤(-Leim)の使用
− アミノプラスト接着剤用のホルムアルデヒド捕捉体、例えば、尿素及び/又はメラミンの使用
− 完成した木質材料の、いわゆるホルムアルデヒド捕捉体、例えば、アミン基含有化合物での後処理
【0009】
しかし、このような手段はまだ完全には満足していない。少量のホルムアルデヒドを用いるアミノプラスト接着剤の製造又はアミノプラスト接着剤へのホルムアルデヒド捕捉体の添加により、接着剤は徐々に硬化し、このことは熱圧縮中の滞在時間を延長させ、そうして木質材料製造の経済性を悪化させる。
【0010】
WO2010/031718A1(BASF SE)は、中間層及び被覆層からの多層リグノセルロース含有成形体を記載し、この中で、中間層の結合剤は、ホルムアルデヒド樹脂及び/又は有機イソシアネートであり、かつ被覆層の結合剤は、エチレン系不飽和カルボン酸と更なるエチレン系不飽和モノマーとの(コ)ポリマー及び一定の前提下にホルムアルデヒド捕捉体を含有する。WO2010/031718A1は、被覆層の結合剤の成分として、有機イソシアネートを明らかにしていない。
【0011】
公知技術水準で記載された多層成形体は、機械的負荷容量(例えば、例中に挙げられた相応する試験規定による層の横引張強度、引剥強度)及び耐湿性(例えば、例中に挙げられた相応する試験規定又は試験規則に依る24時間膨潤又は吸水)の点で未だ改善の余地を残す。
【0012】
従って、本発明の課題は、公知技術水準で示された欠点を克服することであった。殊に、そのホルムアルデヒド放出が軽減され又は実際に存在すべきでない多層リグノセルロース含有成形体が示されるべきであって、かつその際、多層リグノセルロース含有成形体は、良好な機械特性を有するべきであった。
【0013】
この課題は、
A)結合剤(a)の使用により得られる、リグノセルロース含有粒子を含有する1層以上の中間層及び
B)結合剤(b)の使用により得られる、リグノセルロース含有粒子を含有する1層以上の被覆層
からの多層リグノセルロース含有成形体によって解明され、
この際、結合剤(a)は、(a1)ホルムアルデヒド樹脂及び(a2)少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネートからなる群から選択される;
この際、結合剤(b)は、次の成分を含有する:
次の成分を含有する水性成分(I):
(i)次のモノマーから構成されているポリマーA:
a)少なくとも1種のエチレン系不飽和モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸(1種以上のモノマーA1)80〜100質量%及び
b)モノマーA1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーA2)0〜20質量%、
場合により、
(ii)ヒドロキシ、カルボン酸及びその誘導体、一級、二級及び三級アミン、エポキシ、アルデヒドの群から選択される少なくとも2個の官能基を有する低分子架橋結合剤、
成分(II)として、少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、
及び場合により、次のモノマーから構成されている1種以上のポリマーMを含有する水性分散液としての成分(III):
a)少なくとも1つのエポキシド基及び/又は少なくとも1つのヒドロキシアルキル基を含有する、少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM1)0〜50質量%及び
b)モノマーM1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM2)50〜100質量%)、
及び場合により、成分(IV)としての通例の添加剤、
及び場合により、結合剤(b)は、ホルムアルデヒド捕捉体を含有する。
【0014】
リグノセルロースの概念は当業者に公知である。リグノセルロースの重要な例は、木材、樹皮、コルク、バガス、藁、亜麻、竹、アルファ草(ハネガヤ)、籾殻、サイザル麻繊維及びココヤシ繊維である。この際、原料は、顆粒、ストランド、チップ、繊維又は粉末の形で存在してよい。リグノセルロース含有粒子の好適な例は、木材部分、例えば、木質層、木材細片、木材チップ、又は木材繊維であり、この際、木材繊維は、場合により、木材繊維含有植物、例えば、亜麻、麻、ヒマワリ、キクイモ又はナタネから由来してもよい。
【0015】
リグノセルロース含有粒子として、木材粒子、亜麻粒子、殊に木材繊維又は木材チップ及び亜麻繊維又は亜麻チップが有利であり、後者は一般に亜麻剥屑として表示される。
【0016】
前記のリグノセルロースは、前記の形で、当然、混合物として、例えば、木材繊維と亜麻繊維とを含む又は木材チップと亜麻剥屑とを含む混合物として使用されてもよい。
【0017】
結合剤(a)は、ホルムアルデヒド樹脂、有利にアミノプラスト樹脂(a1)及び/又は少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(a2)を含有する。
【0018】
結合剤(a)がアミノプラスト樹脂を含有する場合には、結合剤(a)は、通例、アミノプラストについて当業者に公知の一般に使用され、通例、硬化剤として表示される物質、例えば、硫酸アンモニウム又は硝酸アンモニウム又は無機又は有機酸、例えば、硫酸、蟻酸、又は酸生成物質、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムを、各々通例、少量で、例えば、結合剤(a)中のアミノプラスト樹脂の全量に対して、0.1質量%〜6質量%の範囲で含有する。
【0019】
この場合には、ホルムアルデヒド樹脂として、少なくとも1個の、場合により部分的に有機基で置換されたカルバミド基(このカルバミド基はカルボキシアミド基とも称される)を有す化合物及びアルデヒド、有利にホルムアルデヒドからの重縮合生成物が解される;この樹脂はアミノプラスト樹脂とも称される。この際、更に、ホルムアルデヒド樹脂として、フェノールホルムアルデヒド樹脂(PF樹脂)が解される。
【0020】
好適なホルムアルデヒド樹脂として、当業者に公知の、有利に木質材料の製造に公知の全てのホルムアルデヒド樹脂を使用することができる。このような樹脂及びその製造は、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 4., 改訂及び増訂版、Verlag Chemie, 1973, 403-424頁、"Aminoplaste"及びUllmann's Encyklopedia of Industrial Chemistry, Vol. A2, VCH Verlagsgesellschaft, 1985, 115-141頁, "Amino Resins" 及びM. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime, Springer 2002, 251-259頁(UF-Harze)及び303-313頁(MUF及び少量のメラミンを有するUF、後者はメラミン強化UF樹脂(UFm)とも称される)に記載されている。フェノールホルムアルデヒド樹脂(PF樹脂)も、好適なホルムアルデヒド樹脂である。
【0021】
有利なホルムアルデヒド樹脂は、少なくとも1個の、また部分的に有機基で置換されたカルバミド基を有する化合物及びホルムアルデヒドからの重縮合生成物である。
【0022】
特に有利なホルムアルデヒド樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)、メラミンホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)又はメラミン含有の尿素ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂及びUFm樹脂)及びメラミン尿素フェノールホルムアルデヒド樹脂(MUPF樹脂)である。
【0023】
極めて特に有利なホルムアルデヒド樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)及びメラミンホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂及びUFm樹脂)、例えば、Firma BASF SEのKaurit(登録商標)又はKauramin(登録商標)Leim-Typenである。
【0024】
前記の慣例的な極めて高いホルムアルデヒド:アミノ基のモル比を有するホルムアルデヒド樹脂の他に、ホルムアルデヒド:アミノ基のより低いモル比を有するホルムアルデヒド樹脂を使用することもできる。
【0025】
このような好適なホルムアルデヒド樹脂、殊にアミノプラスト樹脂は、少なくとも1個の、また部分的に有機基で置換されたアミノ基を有する化合物及びアルデヒドからの重縮合生成物であり、ここで、アルデヒド:場合により部分的に有機基で置換されたアミノ基のモル比は、0.3〜1.0、有利に0.3〜0.6、特に有利に0.4〜0.5の範囲である。
【0026】
更なるこのような好適なホルムアルデヒド樹脂、殊にアミノプラスト樹脂は、少なくとも1個のアミノ基−NH
2を有する化合物及びホルムアルデヒドからの重縮合生成物であり、ここで、ホルムアルデヒド:−NH
2基のモル比は、0.3〜1.0、有利に0.3〜0.6、特に有利に0.4〜0.5の範囲である。
【0027】
更なるこのような好適なホルムアルデヒド樹脂、殊にアミノプラスト樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)又はメラミン含有の尿素ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂及びUFm樹脂)であり、ここで、ホルムアルデヒド:−NH
2基のモル比は、0.3〜1.0、有利に0.3〜0.6、特に有利に0.4〜0.5の範囲である。
【0028】
更なるこのような好適なホルムアルデヒド樹脂、殊にアミノプラスト樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)であり、ここで、ホルムアルデヒド:−NH
2基のモル比は、0.3〜1.0、有利に0.3〜0.6、特に有利に0.4〜0.5の範囲である。
【0029】
前記の慣例的なかつホルムアルデヒドの少ないホルムアルデヒド樹脂、殊にアミノプラスト樹脂は、通例は液状で、大抵は液状の懸濁化剤中に懸濁して、有利に水性懸濁液中で使用されるが、固体としても使用され得る。
【0030】
ホルムアルデヒド樹脂懸濁液、有利に水性懸濁液の固体含量は、通例、25〜90質量%、有利に50〜70質量%である。
【0031】
水性懸濁液中のホルムアルデヒド樹脂の代表としてのアミノプラスト樹脂の固体含量は、例えば、Guenter Zeppenfeld, Dirk Grunwald, Klebstoffe in der Holz-und Moebelindustrie, 2.版, DRW-Verlag, 268頁により測定され得る。アミノプラスト接着剤の固体含量の測定のために、アミノプラスト接着剤1gを秤量皿中に正確に秤量して入れ、床に微分配し、かつ乾燥箱中120℃で2時間乾燥させる。デシケーター中で室温に調温した後に、残渣を秤量し、かつ秤量分の百分率として計算する。
【0032】
アミノプラスト樹脂は、公知方法により(前記のUllmann-Literatur "Aminoplaste"及び"Amino Resins"及び前記の文献Dunky et al.参照)、カルバミド基含有化合物、有利に尿素及び/又はメラミンとアルデヒド、有利にホルムアルデヒドとを、カルバミド基:アルデヒドの所望のモル比で、溶剤として有利に水中で反応させることによって製造される。
【0033】
アルデヒド、有利にホルムアルデヒド:場合により部分的に有機基で置換されたアミノ基の所望のモル比の調整は、−NH
2基を有するモノマーを、比較的高い含量のホルムアルデヒドを有する既製の、有利に商業的なアミノプラスト樹脂へ添加することによって行うこともできる。NH
2基を有するモノマーは、有利に尿素、メラミン、特に有利に尿素である。
【0034】
結合剤(a)の任意成分(次から(a2)と称する)及び結合剤(b)の必須成分(次から(II)と称する)は、少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネートである。
【0035】
好適な有機イソシアネート(a2)及び/又は(II)として、当業者に公知の、有利に木質材料又はポリウレタンの製造に公知の、全ての有機イソシアネートを使用することができる。このような有機イソシアネート及びその製造及び使用は、例えば、Becker/Braun, Kunststoffe Handbuch, 3. 改訂版、第7巻、"Polyurethane", Hanser 1993, 17-21頁、76-88頁及び665-671頁に記載されている。
【0036】
有利な有機イソシアネート(a2)及び/又は(II)は、2〜10、有利に2〜8個のモノマー単位及びモノマー1単位当たり平均して少なくとも1個のイソシアネート基を有するオリゴマーのイソシアネートである。
【0037】
特に有利な有機イソシアネート(a2)及び/又は(II)は、オリゴマーの有機イソシアネートPMDI("ポリマーのメチレンジフェニレンジイソシアネート")であり、これは、ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合及び縮合の際に生じる異性体及びオリゴマーのホスゲン化によって得られる(例えば、Becker/Braun, Kunststoffe Handbuch, 3. 改訂版、第7巻、"Polyurethane", Hanser 1993、18頁最終節-19頁、第二節及び76頁、第五節参照)。
【0038】
有機イソシアネート(a2)及び/又は(II)は、例えば、(i)乳化剤、例えば、ポリエチレングリコール、接着剤、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドの添加により又は(ii)一官能性ポリエチレンオキソド誘導体での変性化によって又は燐酸又はスルホン酸の添加によって得られる、水性乳化可能な形で存在してもよい。
【0039】
本発明の意において、極めて好適なPMDI生成物(a2)及び/又は(II)は、BASF SEのLUPRANAT(登録商標)型系列の製品、殊にBASF Polyurethanes GmbHのLUPRANAT(登録商標)M 20 FB又はBASF Polyurethanes GmbHのELASTAN(登録商標)型系列の水性乳化可能な形である。
【0040】
前記の有機イソシアネートの混合物を使用することもでき、この際、混合比率は、目下の知識状況によって絶対的ではない。
【0041】
結合剤(a)は、成分(a1)及び(a2)を全ての任意の混合比で又は単独でも含有することができる。
【0042】
有利な1実施態様で、結合剤(a)は、成分(a1)、有利にアミノプラスト樹脂、特に有利にUF樹脂及び/又はMUF樹脂及び/又はUFm樹脂だけを含有する。
【0043】
もう1つの有利な実施態様で、結合剤(a)は成分(a2)、有利にPMDIだけを含有する。
【0044】
もう1つの有利な実施態様で、結合剤(a)は、各々純粋な非希釈物質の(a1)及び(a2)の合計に対して、成分(a1)、有利にアミノプラスト、特に有利にUF樹脂及び/又はUFm樹脂及び/又はMUF樹脂を70〜99.9質量%の範囲で、及び成分(a2)、有利にPMDIを0.1〜30質量%の範囲で含有する。
【0045】
極めて特に有利な1実施態様で、結合剤(a)は、各々純粋な非希釈物質の(a1)及び(a2)の合計に対して、UF樹脂を70〜99.9質量%の範囲で、かつPMDIを0.1〜30質量%の範囲で含有する。
【0046】
結合剤(a1)及び(a2)を、既に混合して使用することができるが、結合剤(a1)及び(a2)を、通例は先ず混合させずに、普通は別々の段階で、リグノセルロース含有粒子と接触させることもできる。
【0047】
結合剤(a1)、有利にUF樹脂の全量は、純粋な非希釈物質として、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子の乾燥質量に対して、3〜50質量%、有利に5〜15質量%、特に有利に6〜12質量%の範囲にある。
【0048】
結合剤(a2)、有利にPMDIの全量は、純粋な非希釈物質として、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子の乾燥質量に対して、0.5〜30質量%、有利に1〜10質量%、特に有利に2〜6質量%の範囲にある。
【0049】
結合剤(a)が(a1)及び(a2)から組成する場合には、結合剤(a)の全量は、純粋な非希釈物質として、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子の乾燥質量に対して、0.5〜30質量%、有利に1〜15質量%、特に有利に2〜12質量%の範囲にある。
【0050】
結合剤(b)は、次の成分を含有する:
次の成分を含有する水性成分(I):
(i)次のモノマーから構成されているポリマーA:
a)少なくとも1種のエチレン系不飽和モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸(1種以上のモノマーA1)70〜100質量%及び
b)モノマーA1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーA2)0〜30質量%、
場合により、
(ii)ヒドロキシ、カルボン酸及びその誘導体、一級、二級及び三級アミン、エポキシ、アルデヒドの群から選択される少なくとも2個の官能基を有する低分子架橋結合剤、
前記のように、成分(II)として少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、
及び場合により、次のモノマーから構成されている1種以上のポリマーMを含有する水性分散液としての成分(III):
a)少なくとも1個のエポキシド基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシアルキル基を含有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM1)0〜50質量%、及び
b)モノマーM1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM2)50〜100質量%、
及び場合により、成分(IV)としての通例の添加剤、
及び場合により、結合剤(b)は、ホルムアルデヒド捕捉体を含有する。
【0051】
ポリマーAは、次のモノマーから構成されている:
a)少なくとも1種のエチレン系不飽和モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸(1種以上のモノマーA1)70〜100質量%及び
b)モノマーA1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーA2)0〜30質量%。
【0052】
ポリマーAの製造は当業者に周知であり、殊に、例えば、水中又は有機溶剤中でのラジカル的に重合開始される溶液重合によって行われる(例えば、A. Echte, Handbuch der Technischen Polymerchemie, Kapitel 6, VCH, Weinheim, 1993又はB. Vollmert, Grundriss der Makromolekularen Chemie, Band 1, E. Vollmert Verlag, Karlsruhe, 1988参照)。
【0053】
モノマーA1として、殊に3〜6個のC原子を有するα,β−モノ−エチレン系不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、その可能な無水物及びその水溶性塩、殊にそのアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、又はその無水物、例えば、無水マレイン酸、及び前記の酸のナトリウム塩又はカリウム塩が該当する。アクリル酸、メタクリル酸及び/又は無水マレイン酸が特に有利であり、この際、アクリル酸及びアクリル酸及び無水マレイン酸又はアクリル酸及びマレイン酸を含む2成分組合せが殊に有利である。
【0054】
1種以上のモノマーA2として、簡単な方法で、1種以上のモノマーA1とラジカル共重合可能なエチレン系不飽和化合物、例えば、エチレン、C
3〜C
24α−オレフィン、例えば、プロペン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン;ビニル芳香族モノマー、例えば、スチロール、α−メチルスチロール、о−クロルスチロール又はビニル−トルオール;ビニルハロゲニド、例えば、ビニルクロリド又はビニリデンクロリド;ビニルアルコール及び1〜18個のC原子を有するモノカルボン酸からのエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニル−n−ブチレート、ビニルラウレート及びビニルステアレート;有利に3〜6個のC原子を有するα,β−モノエチレン系不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、例えば、殊にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸と、一般に1〜12、有利に1〜8及び殊に1〜4個のC原子を有するアルカノールからのエステル、例えば、特にアクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル、アクリル酸イソブチルエステル、アクリル酸ペンチルエステル、アクリル酸ヘキシルエステル、アクリル酸ヘプチルエステル、アクリル酸オクチルエステル、アクリル酸ノニルエステル、アクリル酸デシルエステル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、及びメタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸−n−ブチルエステル、メタクリル酸イソブチルエステル、メタクリル酸ペンチルエステル、メタクリル酸ヘキシルエステル、メタクリル酸ヘプチルエステル、メタクリル酸オクチルエステル、メタクリル酸ノニルエステル、メタクリル酸デシルエステル及びメタクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、フマル酸ジメチルエステル及びマレイン酸ジメチルエステル又はフマル酸−ジ−n−ブチルエステル及びマレイン酸−ジ−n−ブチルエステル;α,β−モノエチレン系不飽和カルボン酸のニトリル、例えば、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、フマル酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル及びC
4〜8共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエン(ブタジエン)及びイソプレンが該当する。前記のモノマーは、通例、主モノマーを形成し、これは、モノマーA2の全量に対して、≧50質量%、有利に≧80質量%及び殊に有利に≧90質量%の割合を合一し、又はむしろモノマーA2の全量を成す。全般に、これらのモノマーは、水中で標準条件(20℃、1atm(絶対))で中庸〜僅少な溶解性を示すだけである。
【0055】
当然、前記の条件下に高められた水溶性を有する更なるモノマーA2は、少なくとも1個のスルホン酸残基及び/又はその相応する陰イオンか、又は少なくとも1個のアミノ基、アミド基、ウレイド基又はN−複素環基及び/又はその窒素でプロトン化又はアルキル化されたアンモニウム誘導体を含有するモノマーである。例として、アクリルアミド及びメタクリルアミド;更にビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸、スチロールスルホン酸及びその水溶性塩及びN−ビニルピロリドン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン;2−ビニルイミダゾール;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−t−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド及び2−(1−イミダゾリン−2−オニル)エチルメタクリレートが挙げられる。
【0056】
前記の水溶性モノマーA2は、通例、変性化モノマーとしてだけで、モノマーA2の全量に対して、≦10質量%、有利に≦5質量%及び殊に有利に≦3質量%の量で含有される。
【0057】
通常、ポリマーマトリックスの被膜の内部強度を高める更なるモノマーA2は、通例、少なくとも1個のエポキシ基、ヒドロキシ基、N−メチロール基又はカルボニル基、又は少なくとも2個の非共役エチレン系不飽和二重結合を有する。その例は、2個のビニル基を有するモノマー、2個のビニリデン基を有するモノマー及び2個のアルケニル基を有するモノマーである。この際、2価のアルコールとα,β−モノエチレン系不飽和モノカルボン酸(その内で、アクリル酸及びメタクリル酸が有利である)とのジエステルが特に有利である。このような2個の非共役エチレン系不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリレート及びアルキレングリコールジメタクリレート、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート及びエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート及びジビニルベンゾール、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリレート、トリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートである。これに関連して、メタクリル酸−C
1〜C
8−ヒドロキシアルキルエステル及びアクリル酸−C
1〜C
8−ヒドロキシアルキルエステル、例えば、n−ヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート又はn−ヒドロキシブチルアクリレート及びn−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルメタクリレート又はn−ヒドロキシブチルメタクリレート及び例えば、ジアセトンアクリルアミド及びアセチルアセトキシエチルアクリレート又はアセチルアセトキシエチルメタクリレートのような化合物も重要である。
【0058】
前記の架橋結合モノマーA2は、各々モノマーA2の全量に対して、しばしば≦10質量%の量で、しかし有利に≦5質量%の量で使用される。しかし、ポリマーAの製造には、このような架橋結合モノマーA2を使用しないことが殊に有利である。
【0059】
本発明により、ポリマーA中のモノマーA2の加入重合割合は、≦10質量%又は≦5質量%であることが有利である。
【0060】
ポリマーAは、加入重合されるモノマーA2を含有しないことが殊に有利である。
【0061】
有利なポリマーAは、モノマーA1だけ、特に有利にアクリル酸65〜100質量%、極めて特に有利に70〜90質量%と、特に有利にマレイン酸又は無水マレイン酸0〜35質量%、極めて特に有利に10〜30質量%とのラジカル重合開始溶液重合によって得られる。
【0062】
ポリマーAは、質量平均分子量Mwを1000g/モル〜500000g/モル、有利に10000g/モル〜300000g/モル、特に有利に30000g/モル〜120000g/モルの範囲で有することが有利である。
【0063】
ポリマーAの製造の際の質量平均分子量Mwの調整は当業者に周知のことであり、ラジカル連鎖移動化合物、いわゆるラジカル連鎖調整剤が存在するラジカル重合開始水性溶液重合によって有利に行われる。質量平均分子量Mwの測定も当業者に周知のことであり、例えば、ゲル透過クロマトグラフィーによって行われる。
【0064】
ポリマーAの好適な市販製品は、例えば、BASF SEのSokalan(登録商標)製品であり、これは、例えば、アクリル酸及び/又はマレイン酸をベースとしている。他の好適なポリマーは、WO99/02591Aに記載されている。
【0065】
場合により、成分(I)は、ヒドロキシ、カルボン酸及びその誘導体、一級、二級及び三級アミン、エポキシ、アルデヒドの群から選択される、少なくとも2個の官能基を有する低分子架橋結合剤(ii)を含有する。
【0066】
好適なこのような架橋結合剤は、30〜10000g/モルの範囲の(質量平均)分子量を有するそれである。例えば、次のものが挙げられる:アルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン;カルボン酸、例えば、クエン酸、酒石酸、ブタンテラカルボン酸;アルコール、例えば、グルコース、サッカロース又は他の糖、グリセリン、グリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン;エポキシド、例えば、ビスフェノール−A又はビスフェノール−F及びそれをベースとする樹脂及び更にポリアルキレンオキシドグリシジルエーテル又はトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル。本発明の有利な1実施態様で、使用される低分子架橋結合剤(ii)の分子量は、30〜4000g/モルの範囲、特に有利に30〜500g/モルの範囲にある。
【0067】
ポリマーMは、次のモノマーから構成されている:
a)少なくとも1個のエポキシド基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシアルキル基含有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM1)0〜50質量%及び
b)モノマーM1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM2)50〜100質量%。
【0068】
ポリマーMは、相応するモノマーM1及び/又はM2の水性媒体中でのラジカル重合開始乳化重合によって得られる。ポリマーMは単相又は多相で存在していてよく、コア/シェル構造を有し得る。
【0069】
水性媒体中でのエチレン系不飽和モノマーのラジカル重合開始乳化重合の実施は、多様に以前から記載されていて、従って、当業者には十分公知である(例えば、次を参照:Emulsionspolymerisation in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol.8, 659頁以降(1987);D. C. Blackley, in High Polymer Latices, Vol. 1, 35頁以降(1966);H. Warson, The Applications of Synthetic Resin Emulsions, Kapitel 5,246頁以降(1972);D. Diederich, Chemie in unserer Zeit 24, 135-142頁(1990);Emulsion Polymerisation, Interscience Publishers, New York (1965);DE−A4003422及びDispersionen synthetischer Hochpolymerer, F. Hoelscher, Springer-Verlag, Berlin(1969))。
【0070】
ラジカル重合開始水性乳化重合反応は、通例、エチレン系不飽和モノマーを、分散助剤の併用下に、水性媒体中で、モノマー小滴の形で分散的に分配し、かつラジカル重合開始剤を用いて重合させることによって行われる。
【0071】
1種以上のモノマーM1として、殊にグリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレート及びC
2〜C
10ヒドロキシアルキル基、殊にC
2〜C
4ヒドロキシアルキル基及び有利にC
2〜C
3ヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート及び/又は4−ヒドロキシブチルメタクリレートがこれに該当する。1種以上、有利に1種又は2種の次のモノマーM1を使用することが特に有利である:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート。
【0072】
本発明により、場合により、モノマーM1の一部分又は全量を重合容器中に前もって装入することが可能である。しかし、モノマーM1の全量又は場合により残留する残量を重合反応の間に添加することも可能である。この際、モノマーM1の全量又は場合により残留する残量を、重合容器に、不連続的に1回以上に分けて、又は連続的に一定の流量で又は流量を変化させて添加することができる。モノマーM1の供給を、重合反応の間に、連続的に一定の流量で、殊に水性モノマーエマルジョンの成分として行うことが殊に有利である。
【0073】
1種以上のモノマーM2として、簡単な方法で、1種以上のモノマーM1とラジカル共重合可能なエチレン系不飽和化合物、例えば、エチレン;ビニル芳香族モノマー、例えば、スチロール、α−メチルスチロール、о−クロル−スチロール又はビニルトルオール;ビニルハロゲニド、例えば、ビニルクロリド又はビニリデンクロリド;ビニルアルコール及び1〜18個のC原子を有するモノカルボン酸からのエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニル−n−ブチレート、ビニルラウレート及びビニルステアレート;有利に3〜6個のC原子を有するα,β−モノエチレン系不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、例えば、殊にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸と、一般に1〜12、有利に1〜8及び殊に1〜4個のC原子を有するアルカノールからのエステル、例えば、特にアクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル、アクリル酸イソブチルエステル、アクリル酸ペンチルエステル、アクリル酸ヘキシルエステル、アクリル酸ヘプチルエステル、アクリル酸オクチルエステル、アクリル酸ノニルエステル、アクリル酸デシルエステル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、及びメタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸−n−ブチルエステル、メタクリル酸イソブチルエステル、メタクリル酸ペンチルエステル、メタクリル酸ヘキシルエステル、メタクリル酸ヘプチルエステル、メタクリル酸オクチルエステル、メタクリル酸ノニルエステル、メタクリル酸デシルエステル及びメタクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、フマル酸ジメチルエステル及びマレイン酸ジメチルエステル又はフマル酸−ジ−n−ブチルエステル及びマレイン酸−ジ−n−ブチルエステル;α,β−モノエチレン系不飽和カルボン酸のニトリル、例えば、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、フマル酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル及びC
4〜8共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエン(ブタジエン)及びイソプレンが該当する。前記のモノマーは、通例、主モノマーを形成し、これは、モノマーA2の全量に対して、≧50質量%、有利に≧80質量%及び殊に有利に≧90質量%の割合を合一する。全般に、これらのモノマーは、水中で標準条件(20℃、1atm(絶対))で中庸〜僅少な溶解性を示すだけである。
【0074】
前記の条件下に高められた水溶性を有するモノマーM2は、少なくとも1個の酸残基及び/又はその相応する陰イオン又は少なくとも1個のアミノ基、アミド基、ウレイド基又はN−複素環基及び/又は窒素でプロトン化又はアルキル化されたそのアンモニウム誘導体を含有するモノマーである。例として、3〜6個のC原子を有するα,βモノエチレン系不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸及びそのアミド、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリルアミド及びメタクリルアミド;更にビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチロールスルホン酸及びその水溶性塩及びN−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−t−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(1−イミダゾリン−2−オニル)エチルメタクリレート及びウレイドメタクリレートが挙げられる。通例では、前記の水溶性モノマーM2は、変性化モノマーとしてだけで、モノマーM2の全量に対して、≦10質量%、有利に≦5質量%及び殊に有利に≦3質量%の量で含有される。
【0075】
通例、ポリマーマトリックスの被膜の内部強度を高めるモノマーM2は、通常少なくとも1個のN−メチロール基又はカルボニル基又は少なくとも2個の非共役エチレン系不飽和二重結合を有する。その例は、2個のビニル基を有するモノマー、2個のビニリデン基を有するモノマー及び2個のアルケニル基を有するモノマーである。この際、2価のアルコールとα,β−モノエチレン系不飽和モノカルボン酸(その内で、アクリル酸及びメタクリル酸が有利である)とのジエステルが特に有利である。このような2個の非共役エチレン系不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリレート及びアルキレングリコールジメタクリレート、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート及びエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート及びジビニルベンゾール、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリレート、トリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートである。これに関連して、例えば、ジアセトンアクリルアミド及びアセチルアセトキシエチルアクリレート又はアセチルアセトキシエチルメタクリレートのような化合物も重要である。前記の架橋結合モノマーM2は、各々モノマーA2の全量に対して、しばしば≦10質量%の量で、有利に≦5質量%の量で及び特に有利に≦3質量%の量で使用される。しかし、しばしば、このような架橋結合モノマーM2は使用されない。
【0076】
本発明により、場合により、モノマーM2の一部分又は全量を重合容器中に前もって装入することが可能である。しかし、モノマーM2の全量又は場合により残留する残量を重合反応の間に添加することも可能である。この際、モノマーM2の全量又は場合により残留する残量を、重合容器に、不連続的に1回以上に分けて、又は連続的に一定の流量で又は流量を変化させて添加することができる。モノマーM2の供給を、重合反応の間に、連続的に一定の流量で、殊に水性モノマーエマルジョンの成分として行うことが殊に有利である。
【0077】
成分(II)の水性分散液の製造のために、しばしば分散助剤が併用され、これは、モノマー小滴も、ラジカル重合開始重合によって得られるポリマー小滴も、水相中で分散的に分配保持しかつそうして生成する水性ポリマー組成物の安定性を保証する。そのような分散助剤として、ラジカル水性乳化重合の実施のために通例使用される保護コロイドも乳化剤もこれに該当する。
【0078】
好適な保護コロイドは、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体又はビニルピロリドン含有又はアクリル酸含有の共重合体、例えば、ここで成分I(i)として定義されているものである。好適な更なる保護コロイドの詳細な記述は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Band XIV/1, Makromolekulare Stoffe, 411-420頁, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961に見出される。
【0079】
当然、乳化剤及び/又は保護コロイドを含む混合物を使用することもできる。分散助剤として、排他的に、その相対分子量が保護コロイドと違って通例1000以下である乳化剤がしばしば使用される。これは陰イオン性、陽イオン性であっても、又は非イオン性であってもよい。界面活性物質の混合物を使用する場合には、当然、個々の成分は互いに相容性であるべきであり、このことは、疑わしき場合には、僅かな予備試験で検査することができる。一般に、陰イオン性乳化剤は互いに、及び非イオン性乳化剤と相容性である。同様のことは、陽イオン乳化剤についても当てはまり、一方で、陰イオン性及び陽イオン性乳化剤は、大抵は互いに非相容性である。
【0080】
慣用の乳化剤は、例えば、エトキシル化モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C
4〜C
12)、エトキシル化脂肪アルコール(EO度:3〜50、アルキル基:C
8〜C
36)及びアルキルスルフェート(アルキル基:C
8〜C
12)の、エトキシル化アルカノール(EO度:3〜30、アルキル基:C
12〜C
18)及びエトキシル化アルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C
4〜C
12)の硫酸半エステルの、アルキルスルホン酸(アルキル基:C
12〜C
18)の、及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C
9〜C
18)のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。好適な更なる乳化剤は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Band XIV/1, Makromolekulare Stoffe, 192-208頁, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961に見出される。
【0081】
本発明による方法には、非イオン性及び/又は陰イオン性の乳化剤を使用することが有利である。
【0082】
使用される分散助剤、殊に乳化剤の量は、各々モノマー混合物Mの全量に対して、通例0.1〜5質量%、有利に1〜3質量%である。保護コロイドが単独の分散助剤として使用される場合には、その使用量は明らかにより高い;分散助剤は、各々モノマー混合物Mの全量に対して、通例5〜40質量%、有利に10〜30質量%が使用される。
【0083】
本発明により、場合により、分散助剤の一部分又は全量を重合容器中に前もって装入することが可能である。しかし、分散助剤の全量又は場合により残留する残量を重合反応の間に添加することも可能である。この際、分散助剤の全量又は場合により残留する残量を、重合容器に、不連続的に1回以上に分けて、又は連続的に一定の流量で又は流量を変化させて添加することができる。分散助剤の供給を、重合反応の間に連続的に一定の流量で、殊に水性モノマーエマルジョンの成分として行うことが殊に有利である。
【0084】
有利なポリマーMは、a)少なくとも1個のエポキシド基及び/又は少なくとも1個のヒドロキシアルキル基を含有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー(1種以上のモノマーM1)0.01〜50質量%及びb)モノマーM1と異なっている少なくとも1種の他のエチレン系飽和モノマー(1種以上のモノマーM2)50〜99.99質量%を含有する。
【0085】
特に有利なこのようなポリマーMは、C
1〜8アルコール(有利にメタノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール)とのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル10〜30質量%、有利に15〜22質量%の、スチロール40〜70質量%、有利に55〜65質量%との、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び/又はグリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレート5〜50質量%、有利に20〜30質量%のラジカル重合開始溶液重合によって得られ、この際、成分の合計は100質量%となる。
【0086】
更なる有利なポリマーMは、1種以上のモノマーM1を含有せず、かつC
1〜8アルコール(有利にメタノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール)とのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル80〜99質量%、有利に85〜95質量%の、ウレイドメタクリレート0〜5質量%、有利に1〜3質量%との、及び3〜6個のC原子を有するα,β−モノエチレン系不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸(有利にアクリル酸、メタクリル酸)及び/又はこれらの酸のアミド0.5〜5質量%、有利に1〜4質量%のラジカル重合開始溶液重合によって得られ、この際、成分の合計は100質量%となる。
【0087】
更なる有利なポリマーMは、例えば、EP1240205A又はDE19991049592Aに記載されている、1種以上のポリ(アクリル酸)をベースとする分散助剤の使用によって得られる。
【0088】
このようなポリマーは、有利にコア/シェル構造(相の等方性分布、例えば鱗茎シェル状)又はヤヌス構造(相の異方性分布)を有する。
【0089】
本発明により、当業者には、モノマーM1及びM2の種類及び量を照準的に変化させることによって、そのポリマーMがガラス転移温度T
g又は融点を−60〜270℃の範囲で有する水性ポリマー組成物を製造することが可能である。
【0090】
ポリマーMのガラス転移温度T
gは、10℃〜120℃の範囲及び有利に30℃〜90℃の範囲にあることが有利である。
【0091】
ガラス転移温度T
gとは、G. Kanig (Kolloid-Zeitschrift & Zeitschrift fuer Polymere, Bd. 190, 1頁, 式1) により、ガラス転移温度が分子量が増加するとともに傾向するガラス転移温度の極限値が解される。ガラス転移温度又は融点は、DSC法によって測定される(Differential Scanning Calorimetry, 20K/min, midpoint-Messung, DIN 53765)。
【0092】
大抵のモノマーのホモ重合体のT
g値は公知であり、例えば、Ullmann's Encylopedia of Industrial, Bd. 5, Vol. A21, 169頁, VCH Weinheim, 1992 に示されている;ホモ重合体のガラス転移温度についての他の出典は、例えば、J. Brandrup, E. H. Immergut, Polymer Handbook, 1
st Ed., J. Wiley, New York 1966, 2
nd Ed. J. Wiley, New York 1975, 及び3
rd Ed. J. Wiley, New York 1989 である。
【0093】
本発明による成分(I)及び(III)は、各水性成分(I)又は(II)に対して、通例、≧10及び≦70質量%、しばしば≧20及び≦65質量%及び頻繁に≧40及び≦60質量%のポリマー固体含量(ポリマーAの全量又はポリマーMの全量)を有する。
【0094】
準弾性的光の散乱(ISO-Norm 13321)を介して調べられる、水性成分(III)中のポリマーMの数平均粒径(累積率z−平均)は、通例10〜2000nm、しばしば20〜1000nm及び頻繁に50〜700nm又は80〜400nmである。
【0095】
結合剤(b)の成分、有利に成分(I)及び(III)は、既に前もって混合して使用することができるが、結合剤(b)の成分を、通例、先ず混合させずに、通例、別々の段階で、リグノセルロース含有粒子と接触させることも可能である。
【0096】
純粋な非希釈物質としての結合剤(b)の成分(I)及び(III)の全量は、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子の乾燥質量に対して、0.5〜50質量%、有利に0.75〜12質量%、特に有利に1〜6質量%の範囲にある。
【0097】
純粋な非希釈物質としての結合剤(b)の成分(I)の全量は、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子の乾燥質量に対して、0.5〜30質量%、有利に1〜10質量%、特に有利に1.5〜6質量%の範囲にある。
【0098】
純粋な非希釈物質としての結合剤(b)の成分(III)の全量は、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子の乾燥質量に対して、0.5〜30質量%、有利に0.75〜10質量%、特に有利に1〜6質量%の範囲にある。
【0099】
純粋な非希釈物質としての結合剤(b)の成分(I):成分(III)の質量比は、10:1〜1:10、有利に5:1〜1:5、特に有利に3:1〜1:3の範囲にある。
【0100】
結合剤(b)のpH値は、0〜5の範囲、有利に2〜4の範囲にある。所望される結合剤BのpH値は、通例、成分(I)及び(III)及び場合により成分(IV)及び/又はホルムアルデヒド捕捉体の組み合わせによって生じる。
【0101】
しかし、作用場所での結合剤(b)のpH値は、通例、無機又は有機酸及び/又はその塩、例えば、鉱酸、例えば、硫酸、塩酸、燐含有酸、例えば、燐酸、亜硫酸又は次亜燐酸及びその塩、例えば、燐酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム;有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸;カルボン酸、例えば、蟻酸又は酢酸又は蟻酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は無機又は有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム(水性又はそのもので)、酸化カルシウム又は炭酸カルシウム(各々水性又はそのもので)又はアンモニアを、水性又は物質として添加することによって、0〜5の範囲、有利に2〜4の範囲で所望の値に調整され得る。
【0102】
一般に、前記のpH値範囲を有する既製混合の結合剤b)が使用され得る。例えば、前記した所望のpH値は、結合剤(b)の個々の成分及び前記の酸又は塩基を、別々にリグノセルロース含有基体に施すことによっても調整され得る。当業者は、結合剤(b)の成分のpH値及び添加される酸又は塩基の選択によって、所望のpH値がリグノセルロース含有基体に生じるようにそれらを組み合わせることができる。
【0103】
成分(IV)としての添加剤の概念には、当業者に公知の全ての添加剤、例えば、蝋、パラフィンエマルジョン、防炎剤、湿潤剤、塩、しかし又、無機又は有機酸及び塩基、例えば、鉱酸、例えば、硫酸、硝酸、燐含有酸、例えば、燐酸、亜燐酸又は次亜燐酸;有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸;カルボン酸、例えば、蟻酸又は酢酸又は無機又は有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム(水性又はそのもので)、酸化カルシウム又は炭酸カルシウム(各々水性又はそのもので)又はアンモニアが水性又はそのものとして解される。これらの添加剤は、リグノセルロース含有粒子、例えば、絶対乾燥(atro)木材の乾燥質量に対して、0〜20質量%、有利に0〜5質量%、殊に0〜2質量%の量で添加され得る。
【0104】
リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子、特に有利に木材チップ又は繊維は、通例、結合剤(a)又は(b)と接触させることによって接着される。このような、いわゆる接着法は、慣用のアミノプラスト樹脂を用いる慣例の木質材料の製造のために公知であり、例えば、"Taschenbuch der Spanplatten Technik" H.-J. Deppe, K. Ernst, 4版, 2000, DRW-Verlag Wein-brenner GmbH & Co., Leinfelden-Echter-dingen, Kapitel 3.3 に記載されている。
【0105】
結合剤(a)又は(b)は、リグノセルロース含有粒子、有利に木材粒子、特に有利に木材チップ又は繊維と様々な方法で、有利にリグノセルロース含有粒子への(a)又は(b)の噴霧によって接触されることができる。接着の場合には、通例、結合剤(a)又は(b)を前記のような量で使用する。結合剤(b)に関しては、成分(II)を、更なる成分(I)及び/又は(III)及び/又は(IV)と前もって混合させずに、リグノセルロース含有粒子と接触させることが有利である。この際、成分(II)を、時間的に他の前記の成分の前又はその後に、リグノセルロース含有粒子と接触させることができる。
【0106】
場合により、結合剤(b)は、ホルムアルデヒド捕捉体を含有する。
【0107】
結合剤(a)が前記のようなホルムアルデヒド樹脂を含有する場合には、結合剤(b)は、ホルムアルデヒド捕捉体を含有することが有利である。
【0108】
ホルムアルデヒド捕捉体とは、通例、ホルムアルデヒドと化学的に反応する遊離電子対を有する化学物質、要するに、ホルムアルデヒドを化学的に、通例実際に不可逆的に拘束する化学物質のことである。このような遊離電子対は、例えば、有機又は無機化合物の次の官能基にある:一級、二級及び三級アミノ基、ヒドロキシル基、スルフィット基、アミド、イミド。
【0109】
好適なホルムアルデヒド捕捉体は、例えば、次のものである:アンモニア、尿素、メラミン、有機性のC
1〜C
10アミン、少なくとも1個のアミノ基を有するポリマー、例えば、ポリアミン、ポリイミン、ポリ尿素、ポリリジン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン。特に有利なホルムアルデヒド捕捉体は尿素である。
【0110】
結合剤(b)中のホルムアルデヒド捕捉体の量は、リグノセルロース含有粒子、例えば、絶対乾燥(atro)木材及び純粋な非希釈ホルムアルデヒド捕捉体の乾燥質量に対して、0.1〜10質量%、有利に0.5〜7質量%の範囲にある。
【0111】
多層リグノセルロース含有成形体は、規則的又は不規則的立体形を有してよい。所望の形として、例えば、次のものがこれに該当する;全ての規則的な成形体、例えば、球状体、筒状体、直方体、ボード状体;全ての不規則な形、例えば、不規則な中空体、装飾体。
【0112】
有利な所望の形は、シート状であり、ボード状の形が特に有利である。
【0113】
更に有利な多層リグノセルロース含有成形体は、リグノセルロース含有粒子、有利に木材繊維、木材チップ、亜麻繊維、亜麻剥片を70質量%より多く含有する。
【0114】
多層リグノセルロース含有成形体の平均密度は、通例300kg/m
3〜950kg/m
3、有利に450kg/m
3〜850kg/m
3の範囲にある。
【0115】
本発明による多層リグノセルロース含有成形体は、リグノセルロース含有粒子及び結合剤(a)を含有する1層以上の中間層A)及びリグノセルロース含有粒子及び結合剤(b)を含有する1層又は2層の被覆層B)を有する。
【0116】
本発明の意における1層以上の中間層は、外層ではない全ての層である。
【0117】
本発明による多層リグノセルロース含有成形体の1層以上の外層は、ここで、1層以上の被覆層とも称される。
【0118】
有利な本発明による多層リグノセルロース含有成形体は、リグノセルロース含有粒子として、例えば、亜麻粒子及び/又は木材粒子、特に有利に木材チップ又は木材繊維を含有するシート状、有利にボード状の形であり、かつ3層を有する:中間層A)及びその上側及び下側上に各々1層の被覆層B)。
【0119】
多層リグノセルロース含有成形体、例えば、前記の3層のリグノセルロース含有成形体の製造のために、次の結合剤を各層に使用することが有利である:
好適な1実施態様で、例えば、次に変法1及び2に記載されているように、結合剤(b)は、低分子架橋結合剤(ii)を含有しないが、成分(III)を含有する。
【0120】
変法1:
1層以上の中間層A)については、結合剤(a)は、成分(a1)、有利にアミノプラスト樹脂、特に有利にUF樹脂及び/又はMUF樹脂だけを含有する。
【0121】
1層の被覆層又は2層の被覆層については、結合剤(b)が使用される;例えば、結合剤(b)は、アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、本発明によるポリマーAの水溶液を含有する。成分(I)は、更なる架橋結合剤成分を含有しない。結合剤(b)の成分(III)は、スチロール65質量%及びメチルメタクリレート5〜15質量%、n−ブチルアクリレート5〜15質量%、ヒドロキシエチルアクリレート10〜30質量%及びグリシジルメタクリレート2〜20質量%の水中でのラジカル重合開始乳化重合によって得られる、本発明によるポリマーMの水性分散液であり、この際、モノマーの合成は100質量%である。
【0122】
結合剤(b)は、更に、成分(II)を前に定義した量で、及び例えば、前に定義したホルムアルデヒド捕捉体を、例えば、そこで定義した量で含有する。
【0123】
変法2:
1層以上の中間層A)については、結合剤(a)は、成分(a1)、有利にアミノプラスト、特に有利にUF樹脂及び/又はMUF樹脂及び成分(a2)、有利にPMDIを、組合せ(a1)及び(a2)について前に定義した量で含有する。
【0124】
1層の被覆層B)又は2層の被覆層B)については、結合剤(b)を使用する;例えば、結合剤(b)は、アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、本発明によるポリマーAの水溶液を含有する。成分(I)は、更なる架橋結合剤成分を含有しない。結合剤(b)の成分(III)は、スチロール50〜65質量%及びメチルメタクリレート5〜15質量%、n−ブチルアクリレート5〜15質量%、ヒドロキシエチルアクリレート10〜30質量%及びグリシジルメタクリレート2〜20質量%の水中でのラジカル重合開始乳化重合によって得られる、本発明によるポリマーMの水性分散液であり、この際、モノマーの合成は100質量%である。
【0125】
結合剤(b)は、更に、成分(II)を前に定義した量で、及び例えば、前に定義したホルムアルデヒド捕捉体を、例えば、そこで定義した量で含有する。
【0126】
好適なもう1つの実施態様で、例えば、次に変法3〜5に記載されているように、結合剤(b)は低分子架橋結合剤(ii)を含有するが、成分(III)を含有しない。
【0127】
変法3:
1層以上の中間層A)については、結合剤(a)は、成分(a1)、有利にアミノプラスト樹脂、特に有利にUF樹脂及び/又はMUF樹脂だけを含有する。
【0128】
1層の被覆層B)又は2層の被覆層B)については、結合剤(b)を使用する;例えば、結合剤(b)は、アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、本発明によるポリマーAの水溶液を含有する。成分(I)は、付加的に、架橋結合剤1分子当たり、有利に2個よりも多い官能基を有する架橋結合剤成分(ii)、特に有利にトリエタノールアミンを含有する。
【0129】
結合剤(b)は、更に、成分(II)を前に定義した量で、及び例えば、前に定義したホルムアルデヒド捕捉体を、例えば、そこで定義した量で含有する。
【0130】
変法4:
1層以上の中間層A)については、結合剤(a)は、成分(a2)、有利にPMDIだけを含有する。
【0131】
1層の被覆層B)又は2層の被覆層B)については、結合剤(b)を使用する;例えば、結合剤(b)は、アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、本発明によるポリマーAの水溶液を含有する。成分(I)は、付加的に、架橋結合剤1分子当たり、有利に2個よりも多い官能基を有する架橋結合剤成分(ii)、特に有利にトリエタノールアミンを含有する。
【0132】
結合剤(b)は、更に、成分(II)を前に定義した量で含有するが、ホルムアルデヒド捕捉体を含有しない。
【0133】
変法5:
1層以上の中間層A)については、結合剤(a)は、成分(a1)及び成分(a2)、有利にPMDIを含有する。
【0134】
1層の被覆層B)又は2層の被覆層B)については、結合剤(b)を使用するが、成分(III)を含有しない;例えば、結合剤(b)は、アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、本発明によるポリマーAの水溶液を含有する。成分(I)は、付加的に、架橋結合剤1分子当たり、有利に2個よりも多い官能基を有する架橋結合剤成分(ii)、特に有利にトリエタノールアミンを含有する。
【0135】
結合剤(b)は、更に、成分(II)を前に定義した量で、かつ例えば、前に定義したホルムアルデヒド捕捉体を、例えば、そこで定義した量で含有する。
【0136】
好適なもう1つの実施態様で、例えば、次の変法6に記載されているように、結合剤(b)は低分子架橋結合剤(ii)も成分(III)も含有する。
【0137】
変法6:
1層以上の中間層A)については、結合剤(a)は、成分(a1)、有利にアミノプラスト、特に有利にUF樹脂及び/又はMUF樹脂及び/又は成分(a2)、有利にPMDIを、組合せ(a1)及び(a2)について前に定義した量で含有する。
【0138】
1層の被覆層B)又は2層の被覆層B)については、結合剤(b)を使用する;例えば、結合剤(b)は、アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、本発明によるポリマーAの水溶液を含有する。成分(I)は、付加的に、架橋結合剤1分子当たり、有利に2個よりも多い官能基を有する架橋結合剤成分(ii)、特に有利にトリエタノールアミンを含有する。 結合剤(b)の成分(III)は、スチロール50〜65質量%及びメチルメタクリレート5〜15質量%、n−ブチルアクリレート5〜15質量%、ヒドロキシエチルアクリレート10〜30質量%及びグリシジルメタクリレート2〜20質量%の水中でのラジカル重合開始乳化重合によって得られる、本発明によるポリマーMの水性分散液であり、この際、モノマーの合成は100質量%である。
【0139】
結合剤(b)は、更に、成分(II)を前に定義した量で、かつ例えば、前に定義したホルムアルデヒド捕捉体を、例えば、そこで定義した量で含有する。
【0140】
本発明による多層リグノセルロース含有成形体、有利にボード状の成形体の厚さは、適用範囲で変化し、通例0.5〜300mmの範囲にある;4〜100mm、殊に6〜40mmの範囲の厚さを有する比較的に薄いボード状の成形体が有利である。
【0141】
本発明による多層リグノセルロース含有成形体、有利にボード状の成形体の厚比率は可変である。被覆層とも称される外層A)は、通例、それ自体で又は合計して、1層以上の中間層B)の1層以上の層よりも薄い。
【0142】
個々の被覆層の質量は、本発明による多層リグノセルロース含有成形体の全量の、通例5〜30質量%、有利に10〜25質量%の範囲である。
【0143】
有利な本発明による多層リグノセルロース含有成形体、有利にボード状の成形体において、1層以上の中間層B)の厚さは、本発明による多層リグノセルロース含有成形体、有利にボード状の成形体の全厚に対して、20%〜99%、有利に50%〜99%、特に有利に60〜99%の範囲である。
【0144】
本発明による多層リグノセルロース含有成形体、有利にその中のリグノセルロース含有粒子が木材粒子及び/又は亜麻粒子、特に有利に木材チップ又は木材繊維、亜麻チップ又は亜麻剥片であるその製造は、例えば、"Taschenbuch der Spanplatten Technik" H.-J. Deppe, K. Ernst, 4版, 2000, DRW-Verlag Wein-brenner GmbH & Co., Leinfelden-Echterdingen, Kapitel 3.3 に記載されている通例の方法で行われる。
【0145】
1層以上の中間層A)及び1層以上の被覆層B)のために、通例、先ず、リグノセルロース含有粒子、例えば、木材、亜麻、有利に、例えば、繊維、チップ、ベニヤ又はストランドの形の木材を、前記のように、各結合剤(a)(1層以上の中間層A)のために)又は(b)(1層以上の被覆層B)のために)と接触させる(接着とも称される)。
【0146】
その後に、そうして接着させたリグノセルロース含有粒子、例えば、木材、亜麻、有利に、例えば繊維、チップ、ベニヤ又はストランドの形の木材を、製造すべき多層リグノセルロース含有成形体の所望の順序に従って重ねあわせて積層させ、かつ常法により、多層リグノセルロース含有成形体、有利にその中のリグノセルロース含有粒子が、繊維、チップ、ベニヤ又はストランドの形である木材である成形体に、高められた温度で加圧する。
【0147】
このために、通例そうして接着させたリグノセルロース含有粒子、例えば、木材、亜麻(有利に木材、特に有利にチップ又は繊維の形の木材)を、支持体上へ撒くことによって、繊維マット/チップマットを生成させ、これを通例80℃〜250℃の温度及び5〜50バールの圧力で、本発明による多層リグノセルロース含有成形体に加圧する(例えば次を参照:"Taschenbuch der Spanplatten Technik" H.-J. Deppe, K. Ernst, 4版, 2000, DRW-Verlag Wein-brenner GmbH & Co., Leinfelden-Echterdingen, 232-254頁. "MDF-Mitteldichte Faserplatten" H.-J. Deppe, K. Ernst, 1996, DRW-Verlag Wein-brenner GmbH & Co., Leinfelden-Echterdingen, 93-104頁 )。
【0148】
ボード製造に必要な圧縮時間は、通例、"ボード厚1mm当たりの秒間"又はs/mmで挙げられる(しばしば、圧縮時間ファクターとしても表示される)。本発明による多層リグノセルロース含有成形体については、通例、例えば、急速ホルムアルデヒド樹脂について公知である圧縮時間ファクターが必要とされる:Siempelkamp実験室圧縮機(寸法520mm×520mm)上で、本発明による成形体については、通例、8〜10s/mmの圧縮時間ファクターが必要であり、アミノプラスト含有結合剤を用いるだけで製造されるボードについても同様である;ホルムアルデヒドを用いずに製造された成形体、例えば、BASF SEのAcrodur(登録商標)Produktpaletteの製品は、25s/mmよりも多い圧縮時間ファクターが必要である。
【0149】
特に有利な本発明による多層リグノセルロース含有成形体として、木材細片から製造される全て、例えば、ベニヤ板又は合板又は木材チップから製造される多層リグノセルロース含有成形体、例えば、パーティクルボード又はOSBボード、及び多層木材繊維材料、例えば、LDFボード、MDFボード及びHDFボードがこれに該当する。
【0150】
本発明による方法により、ホルムアルデヒドを含まない結合剤を含有する木質材料が有利に製造される。多層OSBボード、木材繊維ボード及びパーティクルボードが有利である。
【0151】
更に、本発明は、家具、包装材料の製造に、建築で、乾式壁構築で又は内装で、例えば、ラミネート、絶縁材、壁部材又は天井材として、又は自動車においても、本発明による多層リグノセルロース含有成形体、有利に本発明による多層木材含有成形体の使用に関する。
【0152】
本発明による多層リグノセルロース含有成形体は、ホルムアルデヒドの強く軽減された放出を示し又は実際にホルムアルデヒドの放出を示さず、かつ極めて短い圧縮時間で製造され得る。
【0153】
更に、本発明による多層リグノセルロース含有成形体は、被覆層の良好な引剥強度、良好な横引張強度及び良好な耐湿性を示す。
【0154】
例
概論
%atroでの量表示は、乾燥木材の正味質量に対する質量百分率である。この際、Atroは、"絶対乾燥木材"の略語であり、文献では乾燥窯乾燥状態としても表示される;英語では、略語O.D.(=oven dry)が使用される。
【0155】
測定法及び測定結果
ホルムアルデヒド放出の測定は、次の木質材料試験法により行われた(Bundesgesetzblatt 10/91, 488/489頁も参照):
穿孔器値:DIN EN 120, ISO 12460-5;
ガス分析:DIN EN 717-2;
試験室法(オプション 2:1m
3室):DIN EN 717-1;
デシケーター法:JIS A 1460。
【0156】
木質材料の機械特性の評価のために、次のパラメーターを測定した:
EN 311による引剥強度;
EN 319による横引張強度;
EN 317による耐水性又は"膨潤値"
及び後記の方法での"吸水性"。
【0157】
吸水性の測定は、DIN EN 317により行われ、この際、試験体の厚さの代わりに、その質量を、24時間の水浸漬の前及びその後に秤量することによって測定する点が違った。初期質量の百分率での各試験体の吸水WAは、次の式により計算されるべきである:WA=100×(m2−m1)/m1。
この際、
m1は、水浸漬前の試験体の質量(グラム)であり(0.01gまで測定)、
m2は、水浸漬後の試験体の質量(g)である(0.01gまで測定)。
吸水は小数第一位まで示される。
【0158】
木材湿度の測定は、DIN 52183により行われた。
【0159】
多層リグノセルロース含有成形体の製造、殊に、3層の実験室チップボードの製造
添加剤を加えた一定量の松材製のチップ(20℃及び空気湿度65%で調節)を、記載した量の結合剤又は結合剤成分と、レーディゲ(Loedige)ミキサー中で接着させた。結合剤としてイソシアネートを使用した場合の接着は2段階で行われ、そうでなければ、他の記載のない限り1段階で行われた。接着されたチップによってチップ湿度を測定した。被覆層及び中間層用のチップは、互いに別々に処理された。
【0160】
引き続いて、チップを手動で撒いてマットにした:先ず1層の被覆層、次いで中間層及び最後に第二被覆層を、被覆層チップ1部、次いで中間層チップ4部及び再び被覆層チップ1部の量比で。マットをホットプレス中210℃で、かつ例中に挙げた圧縮圧プロフィールで圧縮した。
【0161】
実験で製造した3層のリグノセルロース含有成形体を、前記の方法により、その特性について測定した。
【0162】
次の例で、本発明による結合剤を、しかも次のように使用した:
ポリマー混合物Aミックス
アクリル酸70質量%及び無水マレイン酸30質量%の水中でのラジカル重合開始溶液重合によって得られる、商慣習のポリマーB52の水溶液。質量平均分子量は、80000g/モルであった。このポリマー100部に、ポリマー溶液の固体含量に対して、架橋結合剤成分として、トリエタノールアミン30同等部を添加した。混合物の固体含量は50質量%であった。
より良好な追跡可能性のために、例の表中に、ポリマー混合物Bの個々の単一成分を挙げる。
【0163】
中間層結合剤
使用される中間層結合剤は、BASF SE製の製品群KAURIT(登録商標)(KL=Kaurit(登録商標)-Leim)の接着剤であった。
【0164】
例1
被覆層中のPMDIは、ホルムアルデヒド放出の軽減と共に、チップボードにおける機械特性を改善する(レベルF
****)。
【0165】
寸法56.5cm
*44.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度(Rohdichte)は680kg/m
3であった。
【0166】
圧縮圧プロフィール:4バールで65秒間、2バールで65秒間、1バールで90秒間。
【0167】
表1Aに、様々なボードの結合剤バッチを挙げる。明示された量単位のない量表示は質量部である。"MS"の欄は、中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0168】
表1A:製造パラメーター
【表1】
【0169】
結果(表1B中)
バッチ1及び2は、例えば、WO/2010/031718に記載されている公知技術水準に相応する慣用の比較ボードである。中間層中に使用される接着剤は、BASF製品KL337であった。
バッチ3は、被覆層がPMDIを含有する本発明によるチップボードである。本発明によるチップボード3は、1及び2に比べて明らかに、24時間(h)膨潤及び吸水性の軽減及び横引張強度及び引剥強度の上昇を有する。
【0170】
表1B:結果
【表2】
【0171】
例2
被覆層中のPMDIは、ホルムアルデヒド放出の軽減と共に、チップボードでの機械特性を改善する(レベルCARB−2)。
【0172】
寸法56.5cm
*44.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度は680kg/m
3であった。
【0173】
圧縮圧プロフィール:4バールで65秒間、2バールで65秒間、1バールで90秒間。
【0174】
表2Aに、様々なボードの結合剤バッチを挙げる。明示された量単位のない量表示は質量部である。"MS"の欄は中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0175】
表2A:製造パラメーター
【表3】
【0176】
結果(表2B中)
バッチ1及び2は、例えば、WO/2010/031718に記載されている公知技術水準に相応する慣用の比較ボードである。中間層中に使用される接着剤は、BASF製品KL340であった。
バッチ3は、被覆層がPMDIを含有する本発明によるチップボードである。本発明によるチップボード3は、1及び2に比べて明らかに、24時間(h)膨潤及び吸水性の軽減及び横引張強度及び引剥強度の上昇を有する。
【0177】
表2B:結果
【表4】
【0178】
例3
被覆層中のPMDIは、ホルムアルデヒド放出の軽減と共に、チップボードでの機械特性を改善する(レベルCARB−2)。
【0179】
寸法56.5cm
*44.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度は680kg/m
3であった。
【0180】
圧縮圧プロフィール:4バールで65秒間、2バールで65秒間、1バールで90秒間。
【0181】
表3Aに、様々なボードの結合剤バッチを挙げる。明示された量単位のない量表示は質量部である。"MS"の欄は中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0182】
表3A:製造パラメーター
【表5】
【0183】
結果(表3B中)
バッチ1は、例えば、WO/2010/031718に記載されている公知技術水準に相応する慣用の比較ボードである。
バッチ2及び3は、被覆層が様々な量のPMDIを含有する本発明によるチップボードである。
本発明によるチップボード2及び3は、1に比べて明らかに、24時間(h)膨潤及び吸水性の軽減及び横引張強度及び引剥強度の上昇を有する。
【0184】
表3B:結果
【表6】
【0185】
例4
目標:被覆層中の成分(IV)として酸の添加による改善された機械特性
寸法56.5cm
*44.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度は670kg/m
3であった。
【0186】
圧縮圧プロフィール:4バールで65秒間、2バールで65秒間、1バールで90秒間。
【0187】
表4Aに、様々なボードの結合剤バッチを挙げる。明示された量単位のない量表示は質量部である。"MS"の欄は中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0188】
被覆層対中間層の量比は、例えば、DS:MS:DS=1:4:1である。層は手動で撒かれ、次いで、ホットプレス中210℃及び次の圧縮圧プロフィールで圧縮された;4バールで50秒間、2バールで50秒間、1バールで40秒間。
【0189】
表4A:製造パラメーター
【表7】
【0190】
結果(表4B中)
バッチ4は、例1からのボード2及び3に同等に本発明による比較ボードを構成する。バッチ1〜3において、被覆層中に付加的にメタンスルホン酸を添加混合させる。
【0191】
特にバッチ2及び3において、高められた横引張強度、軽減された膨潤値及びやや軽減されたホルムアルデヒド放出が見られる。全3例(1〜3)において、酸添加のないボード(4)に比べて、引剥強度が改善されている。
【0192】
表4B:結果
【表8】
【0193】
例5
改善された被覆可能性
寸法56.5cm
*44.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度は670kg/m
3であった。
【0194】
圧縮圧プロフィール:4バールで65秒間、2バールで65秒間、1バールで90秒間。
【0195】
表5Aに、様々なボードの結合剤バッチを挙げる。明示された量単位のない量表示は質量部である。"MS"の欄は中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0196】
表5A:製造パラメーター
【表9】
【0197】
そうして製造されたチップボードを装飾紙で被覆し、被覆の品質を試験した。結果を表5Bに挙げる。
【0198】
表5B:結果
【表10】
【0199】
左欄(表示1−A、2−A及び3−A):メラミン−短周期−被覆
ボードを、Firma DKB Dekor Kunststoffe GmbH(Erndtebrueck-Schameder)の既に予備含浸させた紙で被覆した。この際、層の配列は次のようであった:裏地→チップボード→装飾シート→上張り。
圧縮条件:180℃/2.5N/mm
2/40秒間
【0200】
右欄(表示1−B、2−B及び3−B):家具シートで積層(ホワイトグルーで接着)
総質量200g/m
2の未含浸装飾紙(明花崗岩装飾)上に、Kaurit(登録商標)-Traenksystemをベースとする液体バッチ(後記参照)を、ドクターナイフ"0/0"で塗布した(樹脂塗布48%)。そうして含浸させた紙を120℃で175秒間乾燥させ、そうして製造した家具シートの残留湿度は6.7%と測定された。試験すべきチップボードの両側上に同一の家具シートを被覆させた。
圧縮条件:95℃/0.5N/mm
2/4分間。
【0201】
液体バッチ
KTS820(=Kaurit(登録商標)-Traenksystem 820)100質量部
水60質量部
パラ−トルオールスルホン酸の60%の溶液2質量部
それから得られる液体は、約200秒間の100℃ゲル化時間を有する。
【0202】
家具シートの樹脂塗布及び残留湿度を、示差秤量(未含浸紙/前記の乾燥後の含浸紙/180℃/2分間での付加的な乾燥後の含浸紙)によって測定した。
【0203】
試験
鋸引については、被覆ボード中に約5cmの深さに丸鋸で各々3回挽く。掘削試験については、ボードを6mmドリルで上から下へ各々3回穿孔する。フライス試験では、6mm皿頭で、先に完成した穿孔の上側を削る。
【0204】
クロスカット試験については、カーペットナイフを用いて、被覆を貫通して木材にまで、正方格子の形で(4×4、間隔約1cm)切片を作る。引き続いて、接着テープ(Tesa/Scotch)を格子上に貼り、手で押し付け、かつ突然剥ぎ取る。試験の厳密化のために、引き続いて、切片の交差点を、付加的にナイフで機械的に処理することができる。
【0205】
試験系列Aは、例えば、WO/2010/031718に記載されているチップボードに相応する。試験系列Bは、結合剤(b)中にPMDIを有する本発明によるチップボードに相応する。試験系列Cは、完全にアミノプラスト樹脂と結合しているチップボードに相応する。
【0206】
家具シートを接着した試験体(表示1−B、2−B及び3−B)の間では、品質的な差は認められないが、短周期被覆試験体(表示1−A、2−A及び3−A)では、部分的に明らかな差が出現する:ホルムアルデヒドを含まずに結合された被覆層においてPMDIのない試験体1−Aに比べて、本発明による試験体2−Aの改善された品質が認められる;この品質は、慣用のアミノプラスト結合木質材料のそれと同等である(3−A参照)。
【0207】
例6
ホルムアルデヒド捕捉体の投与によるホルムアルデヒド放出の調整可能性
機械特性及びFA値の結果表
寸法51.0cm
*51.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度は650kg/m
3であった。ボードを圧縮時間ファクター14秒間/mmで製造した。
【0208】
表6Aに異なったボードの結合剤バッチを挙げる。"MS"の欄は中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0209】
被覆層対中間層の質量比は、例えば、DS:MS:DS=1:4:1である。層は手動で撒かれ、その後にホットプレス中210℃及び次の圧縮圧プロフィールで圧縮された:4バールで50秒間、2バールで50秒間、1バールで40秒間。
【0210】
表6A:製造パラメーター
【表11】
【0211】
結果(表6B中)
バッチ1は、例1からのボード2及び3と同等に本発明による比較ボードを構成する。バッチ2〜5において、被覆層中に付加的にホルムアルデヒド捕捉体として尿素の量を、バッチ1に比べて増加させる。
【0212】
全ボードの機械的特性が比較可能である。ホルムアルデヒド放出だけが、被覆層中の尿素の量が増加すると共に減少する。バッチ4でのホルムアルデヒド放出は、バッチ1の放出に比較して殆ど50%ほど減少している(F
****)。
【0213】
表6B:結果
【表12】
【0214】
例7
結合剤(b)中の混合比:成分Ivs.II
寸法51.0cm
*51.0cm
*16.0mmの多数の実験室チップボードを、異なった結合剤組成物を用いて製造した。ボードの目標とする総密度は650kg/m
3であった。ボードを圧縮時間ファクター14秒間/mmで製造した。
【0215】
表7Aに、様々なボードの結合剤バッチを挙げる。"MS"の欄は中間層の結合剤を表示し、"DS"の欄は被覆層のそれを表示する。
【0216】
被覆層対中間層の量比は、例えば、DS:MS:DS=1:4:1である。層は手動で撒かれ、次いで、ホットプレス中210℃及び次の圧縮圧プロフィールで圧縮された:4バールで50秒間、2バールで50秒間、1バールで40秒間。
【0217】
表7A:製造パラメーター
【表13】
【0218】
結果(表7B中)
バッチ1は、例1からのボード2及び3と同等に本発明による比較ボードを構成する。バッチ2〜4において、被覆層中で、結合剤中のイソシアネートの量が高められ、かつ同時にポリマーB52の量が減少される。
【0219】
全ボードの機械的特性が比較可能である。耐水性だけが、被覆層中でイソシアネートの量が増加すると共に増加する:膨潤値は、バッチ1からバッチ4まで減少する。
【0220】
表7B:結果
【表14】
【0221】
表中で使用された物質の略称は次の意味を有する:
KL 337又はKL 340又はKL 347:各々BASF SEのKaurit(登録商標)-Leim、各々UF樹脂の水溶液又は水性分散液;乾燥樹脂含量65〜70質量%。
KL 465:BASF SEのKaurit(登録商標)-Leim、UFm樹脂の水溶液又は水性分散液;乾燥樹脂含量65〜70質量%。
Hydrowax(登録商標) 560又はHydrowax(登録商標) Q:各々パラフィンをベースとするFirma Sasolの疎水化剤、各々水性エマルジョン;固体含量60%又は50%。
Lupranat(登録商標) M20 FB:BASF Polyuretanes GmbHのPMDI。