特許第5940091号(P5940091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940091
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】着色複合舗装構造
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/30 20060101AFI20160616BHJP
   E01C 7/32 20060101ALI20160616BHJP
   E01C 19/46 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   E01C7/30
   E01C7/32
   E01C19/46
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-547410(P2013-547410)
(86)(22)【出願日】2010年12月29日
(65)【公表番号】特表2014-501344(P2014-501344A)
(43)【公表日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】US2010062433
(87)【国際公開番号】WO2012091707
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ヒックス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ケイ. バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ハンドロス
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−293326(JP,A)
【文献】 特開2007−285045(JP,A)
【文献】 特開2003−267953(JP,A)
【文献】 特開平11−080304(JP,A)
【文献】 特表2008−502773(JP,A)
【文献】 特開2007−132020(JP,A)
【文献】 特開平10−102444(JP,A)
【文献】 特開2002−021011(JP,A)
【文献】 特開平04−001309(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/014815(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00−23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色複合舗装構造の製造方法であって、以下の工程:
第1の色を有する着色剤を提供する工程;
ポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分を提供する工程;
ポリマー結合剤組成物の第1成分の一部として希釈剤を提供する工程;
100質量部の着色剤濃縮物を基準として、約10〜約35質量部の着色剤を有する着色剤濃縮物を提供するために着色剤と希釈剤とを組み合わせる工程;
100質量部の着色ポリマー結合剤組成物を基準として、約0.1〜約10質量部の着色剤を有する着色ポリマー結合剤組成物を提供するために着色剤濃縮物とポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分とを組み合わせる工程;
1/16インチ〜約1/2インチの範囲の直径のガラスアグリゲート粒子を提供する工程;
ガラスアグリゲート粒子と着色ポリマー結合剤組成物とを混合する工程;
着色複合舗装構造を提供するためにポリマー結合剤組成物を、ガラスアグリゲート粒子と反応させ、結合させ、且つ硬化させる工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
トップコーティングを着色複合舗装構造の上に塗布する工程であって、該トップコーティングが第1の色を有する無機顔料粉末を含む、前記工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
着色剤濃縮物とポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分とを組み合わせる工程が、着色剤濃縮物と第1成分とを組み合わせて着色第1成分を提供し、次いで該着色第1成分と第2成分とを組み合わせることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー結合剤組成物の第1成分と第2成分を提供する工程が、ポリマーイソシアネート成分を含む第1成分とイソシアネート反応性成分を含む第2成分を提供することを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ガラスアグリゲート粒子を提供する工程がシリル化ガラスを提供することを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
着色剤を提供する工程が、少なくとも約29の太陽光反射指数(SRI)を有する着色複合舗装生成物を得るのに十分な量で着色剤を提供することを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのアグリゲート、第1成分及び該第1成分と反応性の第2成分を含む2成分のポリマー結合剤組成物、並びに着色剤濃縮物を含む着色複合材料を製造するための混合システムであって、
アグリゲートを保持するためのアグリゲート容器;
着色剤濃縮物を保持するための第1容器;
ポリマー結合剤組成物の第1成分を保持するための第2容器;
ポリマー結合剤組成物の第2成分を保持するための第3容器;
第1成分、第2成分、及び着色剤濃縮物を一緒に混合して着色ポリマー結合剤組成物を形成するための第1容器、第2容器、及び第3容器と流体連通したミキサー;
着色ポリマー結合剤組成物を任意の塗布速度でアグリゲート上に適用するように構成され且つ配置されている塗布器;及び
アグリゲート容器及び塗布器と連通した混合装置であって、混合装置が、ガラスアグリゲート粒子と着色ポリマー結合剤組成物とを混合して任意の生産速度で着色複合材料を提供するように配置されている、前記混合装置
を含む、前記混合システム。
【請求項8】
ミキサーがスタティックミキサー又は衝突ミキサーであり、その際、混合装置がハウジング内に回転可能に配置されるオーガーを含む、請求項7に記載の混合システム。
【請求項9】
アグリゲートをアグリゲート容器から混合装置へ任意の輸送速度で輸送するように配置されている運搬システム;
第1容器及びミキサーと流体連通している第1ポンプ;
第2容器及びミキサーと流体連通している第2ポンプ;
第3容器及びミキサーと流体連通している第3ポンプ;及び
第1ポンプ、第2ポンプ、第3ポンプ、及び第1の混合装置の操作を制御するための制御装置であって、着色ポリマー結合剤組成物の塗布速度と着色複合材料の生産速度を制御するためのものである前記制御装置;
を更に含み、
その際、第1ポンプが着色剤濃縮物を第1容器から第2容器に送達するように配置されている、請求項7又は8に記載の混合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国を除く全ての国を指定する出願人のReynolds Consumer Products, Inc.(米国国際企業)、及びBASF Corporation(米国国際企業)、並びに米国のみを指定する出願人のSteven Hicks(米国市民)、David K. Bower(米国市民)、及びWilliam Handlos(米国市民)の名前でPCT国際特許出願として、2010年12月29日に出願されている。
【0002】
技術分野
本開示は、複合舗装構造、並びにシリル化ガラスアグリゲート及び着色ポリマー結合剤組成物を含む複合舗装構造を製造するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
背景
廃ガラス又はリサイクルガラスは、一般に広範にわたるリサイクル計画による二次使用をもたらす。このようなこのタイプのガラスの二次使用の1つが、舗装構造内の構成要素として、例えば、駐車表面である。しかしながら、リサイクルガラスを含む舗装構造の潜在的な用途は制限され得るが、その際、特定の構造的な基準を満たさなければならず且つ舗装の特定の色又は美的な情動が特定されている。アグリゲートの舗装構造の改善が望ましい。
【0004】
概要
着色複合舗装構造の製造方法が開示されている。この方法は、着色剤、例えば、第1の色を有する無機顔料粉末を提供し、且つポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分を提供する工程を含んでよい。着色剤は、希釈剤、例えば、ポリマー結合剤組成物の第1成分の一部と組み合わせて、100質量部の着色剤濃縮物を基準として、約10〜約35質量部の着色剤を有する着色剤濃縮物を提供する。次に、着色剤濃縮物が、ポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分と組み合わされて、100質量部の着色ポリマー結合剤組成物を基準として約0.1〜約10質量部の着色剤粉末を有する着色ポリマー結合剤組成物を提供する。シリル化ガラスアグリゲート粒子も、約1/16インチ〜約1/2インチの範囲の直径で提供されてよく、その際、ガラスアグリゲート粒子は着色ポリマー結合剤組成物と混合される。その後、ポリマー結合剤組成物は、ガラスアグリゲート粒子と反応し且つ結合して着色複合材を提供することができ、これは、その後、硬化して着色複合舗装構造を形成する。
【0005】
着色複合材舗装構造中で硬化し得る着色複合材を製造するための混合システムも開示されている。混合システムは、少なくとも1種のアグリゲート、第1成分及び第1成分と反応性の第2成分を含む2成分ポリマー結合剤、及び着色剤濃縮物を混合するためのものである。混合システムは、アグリゲートを保持するためのアグリゲート容器、着色剤濃縮物を保持するための第1容器、ポリマー結合剤組成物の第1成分を保持するための第2容器、及びポリマー結合剤組成物の第2成分を保持するための第3容器を含み得る。混合システムは、更に、第1成分、第2成分、及び着色剤濃縮物を一緒に混合して着色ポリマー結合剤組成物を形成するための第1、第2及び第3容器と流体連通したミキサーも含み得る。また、塗布器、例えば、噴霧アセンブリも提供されてよく、これは、着色ポリマー結合剤組成物を、任意の塗布速度でアグリゲート上に塗布するように構成され且つ配置されている。
【0006】
更に、アグリゲート容器及び塗布器と連通した混合装置も提供されてよく、これは着色ポリマー結合剤組成物とガラスアグリゲート粒子とを混合して、硬化性の着色複合材を舗装構造中に任意の生産速度で提供する。また、アグリゲート容器からアグリゲートを混合装置に輸送し、第1容器、第2容器及び第3容器のそれぞれからポンプを提供して、これらの容器からの液体を他の容器のうちの1つに又はミキサーにポンプ注入するための運搬システムを利用することも可能である。また、制御器も提供されてよく、これは着色ポリマー結合剤組成物のガラスアグリゲート上への塗布速度と着色複合舗装構造中に硬化性の着色複合材料の生産速度を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、着色複合舗装構造を提供するための方法を概略的に示す。
図2図2は、着色複合舗装構造を提供するためのシステムの第1の実施態様を概略的に示す。
図3図3は、着色複合舗装構造を提供するためのシステムの第2の実施態様を概略的に示す。
図4図4は、トップコーティングを有する着色複合舗装構造の断面を概略的に示す。
図5図5は、移動体プラットホーム上の着色複合舗装構造を提供するためのシステムを概略的に示す。
【0008】
発明の詳細な説明
本開示は、ガラスアグリゲート粒子、ポリマー結合剤組成物、及び着色剤を含む着色複合舗装構造の製造方法に関する。かかる方法の一例を図1に示す。
【0009】
本方法の一工程では、ガラスが提供され、その後、ガラスアグリゲート粒子に変性される。この開示が、複合舗装構造中にアグリゲートとしてガラスを使用することを記載しているが、当業者は、他のアグリゲート、例えば、岩石をガラスアグリゲートと組み合わせて又はそれの代わりに使用され得ることを評価する。ガラスが使用される場合、ガラスは、任意のタイプであってよく且つ透明で、色味付けられ、及び/又は着色されていてよい。好ましくは、ガラスは、全体的なコストと環境コストが最小限になるような使用済みの廃棄リサイクルガラスである。廃ガラスは、多様な方法で、例えば、Kaulによる米国特許出願公開第2009/0067924号及び同第2009/0067925号(両方とも本願明細書に援用されている)に記載された方法で改変され得る。ガラスアグリゲート粒子はガラスから形成されており、該ガラスはその端を丸めて非ガラス不純物を除去するために破砕され、タンブルされ且つ加熱される。好適なリサイクルガラスは、Arnottにより米国特許第7,041,221号に記載されており、これは本願明細書に援用されている。廃ガラスは、ガラスを、所望の寸法、例えば、1/16インチ〜約1インチ、好ましくは約1/4インチ〜約1/2インチ、更に好ましくは約3/8インチまで粉砕することによって製造される。ガラスの平均直径を小さくすることによって、一旦、設けられた、複合舗装構造からのアグリゲートのスポーリングを低減させると考えられる。ガラスは、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、コーンクラッシャー又はローラークラッシャーを用いて粉砕されてよい。好ましくは、より良好なオイル吸収が達成され得るので、リサイクルガラスはローラークラッシャーを用いて粉砕される。
【0010】
予備粉砕、予備スクリーニング、粉砕、洗浄及び乾燥の任意の順序を用いてよい。しかしながら、好ましい実施態様では、粉砕ガラスは、最初に予備粉砕され且つ予備スクリーニングされる。ガラスが清浄な場合、予備粉砕も予備スクリーニングも不要である。予備粉砕ガラスは、メッシュを通して予備スクリーニングされ、これは1インチのメッシュ、ダブル又はトリプルデッキスクリーンの組み合わせ又は少なくとも2つのメッシュを含み得る。一旦、メッシュを通して予備スクリーニングされると、好ましくは、ガラスはローラークラッシャーにより更に粉砕され、その後、粉砕ガラスを、洗浄後に、好ましくは少なくとも100°F、更に好ましくは、少なくとも350°Fの温度で乾燥させる。その後、粉砕ガラスは、好ましくは少なくとも40メッシュスクリーンを通して、又は更に好ましくは30メッシュスクリーンを通して、又は最も好ましくは20メッシュスクリーンを通してスクリーニングされる。上記の粉砕工程により、約50質量パーセントのガラスアグリゲート粒子と約50質量パーセントのガラス砂粒子が得られることに留意されたい。適した等級のガラスは、トマホーク(ウィスコンシン州)のGlass Plus Inc.より市販されている。
【0011】
廃ガラス又はリサイクルガラスが変性されてガラスアグリゲート粒子を形成すると、該粒子はカップリング剤に曝露され、その際、カップリング剤は、ガラスと反応し且つこれに結合して下塗されたガラスアグリゲート粒子を形成する。この用途で使用されるように、「下塗されたガラスアグリゲート粒子」との用語は、その外面が、外面と化学的に反応し且つそれに結合される物質によって少なくとも部分的に被覆されているガラスアグリゲート粒子を説明することを意図している。この用途で使用されるように、「カップリング剤」との用語は、ガラス及びポリマー結合剤組成物と化学的に反応し且つそれに結合して、ガラスとポリマー結合剤組成物との間に、ガラスとポリマー結合剤組成物との間の直接的な結合よりも強い結合を形成する物質を含むことを意図している。例示的なカップリング剤としては、ヒドロキシル、チオール、エポキシの官能基を有するシラン、及び/又は第1級及び第2級アミンが挙げられる。特に有用なカップリング剤の例は、プライマー処理されるべき、又は更に詳細には、シリル化又はシラン化されるべきガラスアグリゲート粒子をもたらすアミノシランである。シラン又はシラノール官能基が作用してガラスアグリゲート粒子をプライム処理又はシリル化することに留意されたい。しかしながら、アミノシランが容易に水に溶け、これは有機溶媒が要求されないことを意味するので、アミノシランが好ましい。従って、アミノシランを水溶液に用いる使用は、記載された工程の全費用を下げる。アミノシラン濃縮物は、オールバニ(ニューヨーク州)のMomentive Performance Materialsより市販されており、その例は、SILQUEST(登録商標)A−1100及びSILQUEST(登録商標)A−1120として販売されている。下塗又はシリル化処理は、種々の方法で、例えば、2010年12月1日に出願された特許協力条約出願PCT US10/58582号に記載された方法で実施されてよく、その全部が本願明細書に援用されている。処理された時点で、ガラスアグリゲート粒子は、様々な個別のコンテナ、例えば、スーパースタック(superstack)及びドラム内に貯蔵され得る。あるいは、粒子は、貨車及びタンカーの場合と同様に多量に保持され得る。
【0012】
シリル化ガラスアグリゲート粒子が、最終使用場所に運搬された時点で、アグリゲートは、ポリマー結合剤組成物と混合されて複合舗装構造を形成し得る。ポリマー結合剤組成物はさらに、後に詳細に記載されるように、着色されて着色複合舗装構造を形成し得る。ポリマー樹脂結合剤、及びそれらを、複合舗装構造を形成するためのアグリゲートとの混合に用いる使用は、2010年6月24日に出願された、特許協力条約出願PCT/EP2010/058989号に完全に記載されており、その全てが本願明細書に援用されている。かかる結合剤及びその使用は、Kaulによる米国特許出願公開第2009/0067924号及び同第2009/0067295号に更に記載されている。本発明の目的のための、他の適した結合剤組成物は、「エラストマー組成物」として米国仮特許出願第61/288,637号に開示されており、その開示はそのまま本願明細書に援用されている。
【0013】
ポリマー結合剤組成物の一例は、第1成分と第2成分を含む2部分の組成物の反応生成物である。従って、2成分との用語はこれらの成分を意味することが理解されるべきである。他の追加の成分も使用され得る。結合剤組成物は、当該技術分野では2Kシステムを意味し得る。第1成分と第2成分が混合されると、結合剤組成物の反応生成物を形成する。本願明細書で使用される反応生成物との用語は、反応生成物がアグリゲートと接触して複合材料を形成する時でも、第1成分と第2成分の反応生成物を含む、第1成分と第2成分との間の相互作用及び/又は反応の全段階を包含することが意図されている。一般的に、反応生成物は、第1成分と第2成分とが互いに接触する時に形成し始める。一実施態様では、反応生成物は、第1成分がイソシアネート成分であり、且つ第2成分がイソシアネート反応性成分であるポリウレタンである。以下の表Iは、開示されたシステム及び処理による使用に適したポリマー結合剤組成物の成分及び特性を示す:
【表1】
【0014】
上記の通り、ポリマー結合剤組成物は、第1の色を有する着色剤の使用により着色されて、着色複合舗装構造を提供し得る。「着色剤」との用語の使用は、任意の種類の着色剤、例えば、顔料、染料及びそれらの組み合わせを広く含むことを意味する。第1の色の非限定例は、赤色、青色、緑色、黄色、褐色、黒色、白色及びそれらの組み合わせである。着色ポリマー結合剤組成物の使用の利点は、複合舗装構造の高められた美的な魅力とポリマー結合剤組成物の更なる紫外線保護である。これらの利点は、以下の表IIに示す通り、複合舗装構造の太陽光反射指数(SRI)の有意な低下なしに達成され得る。
【表2】
【0015】
表Iに示す通り、複合舗装構造の着色された実施態様は、それぞれ、実質的に29よりも高い優れたSRI値を有する。表Iに挙げられた色以外の多くの色も可能である。従来技術のアスファルト及びコンクリートの舗装構造と比較する通り、ガラスアグリゲートベースの着色複合多孔質舗装構造は、改善された反射性を有する更に美的に望ましい舗装を提供し得る。表Iに示すSRI値は、ASTM E 1980に従って導かれた。
【0016】
着色ポリマー結合剤組成物を提供するために、無機着色剤が提供され得る。使用される場合、着色剤は、通常、顔料又は2種以上の顔料の顔料ブレンドである。顔料、又は顔料ブレンドは、複合材料に所望の色を付与するために使用される。異なる種類の顔料が、本開示の目的に使用され得る。例えば、複合材料に、白色を付与するために二酸化チタンが使用され、黒色を付与するためにカーボンブラックがそれぞれ使用され得るが、二酸化チタンとカーボンブラックとの種々のブレンドは、複合材料に種々の灰色の色相を付与するために使用され得る。本発明の目的のためのカーボンブラックと二酸化チタンとの適した色相の例は、マリエッタ(ジョージア州)のColumbian Chemicals Company及びウィルミントン(デラウェア州)のDuPont(登録商標)Titanium Technologiesから市販されている。他の顔料としては、限定されずに、赤色、緑色、青色、黄色、緑色及び褐色、及びこれらの顔料のブレンドが挙げられ、これらも、カーボンブラック及び/又は二酸化チタンに加えて又はそれの代わりに複合材料に色を付与するために使用され得る。本発明の目的に適した等級の顔料の例は、様々な会社、例えば、BASF Corporation及びハットフィールド(ペンシルベニア州)のPenn Color, Inc.から市販されている。前述の着色剤、例えば、顔料の種々のブレンドが使用されて、複合材料に様々な色、濃さ、及び色相を付与し得ることが理解されるべきである。
【0017】
複合材料中で使用される場合、着色剤は、通常、複合材料に所望の色、濃さ及び色相を付与するのに適した量で複合材料に存在するが、複合材料の物理的な特性に実質的に影響を与えない。着色剤を用いる一実施態様では、着色剤は、通常、100質量部の結合剤組成物を基準として、約0.1〜約10質量部、更に典型的には約0.1〜約5質量部の量でポリマー結合剤組成物中に存在する。
【0018】
使用される着色剤が、固体又は粉末、例えば、乾燥した顔料粉末である場合、着色剤と希釈剤とを組み合わせて、流動し且つ容易にポンプ注入可能な着色剤濃縮物を形成することが有用である。着色剤が無機顔料粉末であり、希釈剤が樹脂である場合、顔料は、100質量部の着色剤濃縮物を基準として、約10〜約35質量部、更に典型的には約32質量部の量で着色剤濃縮物中に存在する。幾つかの実施態様では、希釈剤は、ポリマー結合剤組成物の第1成分又は第2成分のうちの1つである。着色剤濃縮物の形成プロセスは、当該技術分野で、又は更に好ましくは、環境が更に注意深く制御され得る設備内で実施され得る。制御された環境で着色剤濃縮物を製造する利点は、正確さの向上と、風や他の現場条件によって生じる廃棄物の最小化である。
【0019】
形成された時点で、着色剤濃縮物は、ポリマー結合剤組成物中に導入され得る。一実施態様では、着色剤濃縮物は、最初にポリマー結合剤組成物の第1成分と組み合わされる。一実施態様では、着色剤濃縮物は、最初にポリマー結合剤組成物の第2成分と組み合わされる。一実施態様では、着色剤濃縮物並びにポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分は、同時に組み合わされる。希釈剤が、ポリマー結合剤組成物の第1成分又は第2成分に適合する場合、着色剤濃縮物は、通常、希釈剤に適合する成分又は両方の成分と同時に組み合わせた成分のいずれかと組み合わされる。更に、希釈剤が第1成分又は第2成分と適合する場合、濃縮物中に存在する希釈剤の量は、通常、第1成分及び第2成分が組み合わされる量を決定する際に検討される。組み合わされると、着色剤濃縮物並びに第1成分及び第2成分は、着色ポリマー結合剤組成物を形成する。
【0020】
着色ポリマー結合剤組成物が、ガラスアグリゲート粒子と混合される時に、ポリマー結合剤組成物がガラスと反応し且つ結合して着色複合材料を形成し、これが硬化されると、着色複合舗装構造になる。上記の通り、より高い構造強度が達成されるのは、シリル化ガラスアグリゲート粒子を使用する時である。複合材料が使用可能である間に、着色複合舗装構造は転圧面に施され、その後、敷きならされてコテ塗りされる。ポリマー結合剤組成物が完全に硬化すると、複合舗装構造は使える状態である。
【0021】
複合舗装構造が約1日で形成された後、図4に示す通り、任意のトップコーティングを構造の表面に適用してよい。一実施態様では、トップコーティング18は、2成分の変性脂肪族ポリウレアであり、これは水浸透性又は多孔質であってよい、着色複合舗装構造14の摩耗性能を向上させる。トップコーティング18は、透明であるか又は着色複合舗装構造14に使用される着色剤の第1の色に適合するように色味付けられてよい。色味付けられたトップコート18が使用される場合、複合舗装構造14の追加のUV保護が達成される。トップコーティングは、吹付け又はロール塗によって適用され得る。示した実施態様では、複合舗装構造は、約1ミル〜約10ミル、最も好ましくは約5ミル〜約6ミルの厚さ20を有する。複合舗装構造14が多孔質である場合、トップコーティングの厚さは正確に制御できず、上記の厚さは一般的な近似値であることに留意するべきである。本開示の目的に適したトップコーティングの例は、様々な会社、例えば、カンザスシティのVersaFlex Incorporated、カンザスから市販されている。複合舗装構造の厚さ16は、意図した用途に応じて大幅に変化し得る。約2.5インチ〜約3.5インチの厚さ16は多くの用途に適している。
【0022】
図2及び図3については、着色複合舗装構造に硬化する開示された着色複合材料を製造するための混合システム100が示されている。
【0023】
混合システム100の一態様はアグリゲート供給システム600である。アグリゲート供給システム600は、アグリゲート粒子601を貯蔵し、その後、混合システム100を通して輸送するためのものである。アグリゲート供給システム600の多くの実施態様が可能である。図2及び図3に示した例示的な実施態様では、アグリゲート供給システム600は、アグリゲート貯蔵容器602を含む。アグリゲートを保持するのに適した任意のタイプの容器602が使用できることが理解されるべきである。通常、アグリゲート容器602は、ホール602aを規定する。アグリゲート容器602は、また、通常、ホールに隣接しているゲート602bも含む。ゲート602bは、解放位置と閉鎖位置との間で操作可能であり、ゲート602bが閉鎖位置にある時にアグリゲートはアグリゲート容器602内に保持され、ゲートが解放位置にある時に、アグリゲートはホールを通してアグリゲート容器602を出て行く。アグリゲートは、本発明の要旨に逸脱することなく、当該技術分野で公知の他の方法によってアグリゲート容器602を出て行き得ることが理解されるべきである。追加成分が使用される場合、混合システム602は、追加成分を保持するための追加の容器(図示しない)を含み得る。あるいは、追加成分は、アグリゲート容器602の少なくとも1つに配置され得る。
【0024】
アグリゲート供給システム600も、コンベヤ装置604と混合装置606を有するものとして示される。コンベヤ604は、アグリゲート容器602から混合装置606に、610の方向に任意の送出速度でアグリゲート601を輸送するためのものである。示した特定の実施態様では、コンベヤ604は、ベルトタイプのコンベヤであるが、他のタイプのコンベヤもこの目的に適している。混合装置606は、着色ポリマー結合剤組成物とアグリゲートを混合するためのものである。示した特定の実施態様では、混合装置606は、オーガー610が回転可能に配置されるチャネルを規定するハウジング608を含むオーガー型システムである。オーガー610は、オーガー610の回転により、複合材料がハウジング608の長さに沿って方向612に動くような螺旋形態になるシャフトを含む。シャフトは、更なる混合のために1つ以上のピン又はフィンガーも含んでよい。複合材料がチャネル内を動く時に、オーガー610は、複合材料を混合して、ポリマー結合剤組成物の反応生成物に曝されるアグリゲートの表面積を増大させ、それによってアグリゲートをバインダー組成物の反応生成物で被覆する。オーガー610による複合材料の混合は、混合システム20によって生成される着色複合材料が均一且つ一定になることを保証する。複合材料がチャネルの端に到達する時に、複合材料は、任意の生産速度でハウジング608から分配される。当業者は、多くの他の種類のアグリゲート供給システム600が上記の目的に適していることを評価する。
【0025】
混合システム100は、3つの送達システム、即ち、着色剤濃縮物送達システム200、第1成分の送達システム300、及び第2成分の送達システム400を更に含むものとして示される。送達システム200、300、400は、それぞれ、貯蔵し且つ貯蔵された成分を、後に記載される混合システム500に送達するためのものである。送達システム200、300、400の多くの実施態様は、本願明細書に記載されるコンセプトから逸脱することなく可能である。示される通り、送達システム200、300、400は、それぞれ、バルブ206、306、406及びポンプ208、308、408を含み、これらはそれぞれ、第1、第2、及び第3の貯蔵容器202、302、402から、ライン204、304、及び404を通して、混合システム500に成分を送達する。示された実施態様では、貯蔵容器202は、第1成分とは無関係に容器302に貯蔵され、第2成分とは無関係に容器402に貯蔵される、着色剤濃縮物システムを保持する。図2に示した実施態様では、着色剤濃縮物、ポリマー結合剤組成物の第1成分及び第2成分は、互いに無関係に、即ち、混合前に混合システム500に提供される。図3は、図2とは、着色剤濃縮物が容器202から、混合システム500ではなく容器302に直接送達される点で相違する。着色剤濃縮物並びに第1成分及び第2成分は、任意の適した方法によって容器202、302、及び402から分配され得ることが評価されるべきである。
【0026】
上記の通り、送達システム200、300、及び400は、それぞれ、容器202、302、402と流体連通するポンプ208、308、408を含んでよい。ポンプ208、308、408は、濃縮物並びに第1成分及び第2成分を、2成分ポリマー結合剤組成物の反応生成物を形成するのに要求される適切な比で分配する。ポンプ208、308、408が使用される場合、ポンプは、それぞれの成分の分配速度を制御するためにポンプを回転させるためのモーターを含んでよい。ポンプ208、308、408は、それぞれ、一体式及び/又は個別のモーターを有してよく、又はポンプは、例えば、鎖によって機械的に一緒に結合され、且つ単一のモーターによって駆動される。後者の場合、成分の望ましい出力比が達成されるように、係合のギアリングが改質され得る。
【0027】
上記の通り、送達システム200、300、400も、それぞれ、図2及び図3に示される通り、ミキサー502と流体連通するバルブを含んでよい。バルブ206、306、406は、解放位置と閉鎖位置との間で操作可能であり、且つ混合システム100が停止中に、空気がミキサー502中に導入されることを防止するためのものである。示された特定の実施態様では、バルブ206、306、406は、ミキサー502とバルブに関係する容器202、302、402との間に配置されている。濃縮物並びに第1成分及び第2成分が、バルブを通過する前にミキサー502によって混合されるように、単一のバルブはミキサー502の下流に配置され得ることが理解されるべきである。
【0028】
上記の通り、混合システム100は、着色ポリマー結合剤組成物を生成するために、着色剤濃縮物並びに第1成分及び第2成分を混合するための容器202、302、402と連通したミキサー502を有する混合システム500を更に含んでよい。当該技術分野でミキサーヘッドとも呼ばれるミキサー502は、着色剤濃縮物並びに第1成分及び第2成分を密に混合して結合剤組成物の反応生成物を生成する。ミキサー502は、機械式ミキサー及び非機械式ミキサーなどの、成分を混合するのに適した任意の種類のミキサーであってよい。例えば、一実施態様では、ミキサー502は、第1成分及び第2成分を混合して結合剤組成物の反応生成物を形成するためのスタティックミキサーである。
【0029】
混合システム500は、更に、図2及び図3に示す通り、ライン504を介してミキサー502と流体連通した塗布器506を含んでもよい。塗布器506は、結合剤組成物の反応生成物を、任意の塗布速度で混合装置606内に配置されたアグリゲートに塗布する。ミキサー502は塗布器506であってもよいことが理解されるべきである。例えば、ミキサー502は、衝突ミキサーであってよく、これは、濃縮物並びに第1成分及び第2成分を混合して結合剤組成物の反応生成物を形成し、それと同時に、結合剤組成物の着色反応生成物を適用するために、濃縮物並びに第1成分及び第2成分の別々の流れを一緒にするためのものである。あるいは、塗布器506は、図2及び図3に示される通り、噴霧器又はスプレーヘッドを含むマニホールドであってよい。塗布器506が噴霧器として構成される場合、圧縮空気は、流体吹付模様の形成を助けるために提供され得る。
【0030】
混合システム100は、混合システム100の成分を保持するためのプラットホーム800を更に含み得る。アグリゲート容器602、容器202、302、042、コンベヤ604、及び混合装置606のうち少なくとも1つは、通常、プラットホーム800に配置されている。要求されていないが、混合システム100は、混合システム100を運搬し、それによって現場間で持ち運び可能な混合システム100を作るためのプラットホームを含んでよい。混合システム100は、また、現場に運搬されて地上で組み立てられるか又は混合システム100が一般に持ち運びできないような別の構造によって支持されてよいことが理解されるべきである。図5に示される、プラットホーム800を使用する一実施態様では、送達システム200、300、400、600は、それぞれ、ホイール802を有する移動体プラットホーム800に配置されている。図5では、プラットホーム800は、車輪のついたトレーラーとして示される。プラットホーム800は、また、フラットベッドトラックの一部であるか又は他の方法で移動可能であってよい。
【0031】
混合システム100は、様々な電源源によって動かされ得る。例えば、ポンプ、コンベヤ及び混合装置は、発電機又は任意の他の電源によって動かされる電動機によって起動され得る。あるいは、装置は、エンジンのPTOシステムによって油圧駆動され得る。混合システム100に動力を供給するための多くの他の手段が可能である。
【0032】
一般に、アグリゲート601は、任意の送達速度で混合装置606に提供されて、着色ポリマー結合剤組成物の反応生成物は、一定の塗布速度で混合装置606内のアグリゲートに塗布されて複合材料を生成する。結合剤組成物の反応生成物がアグリゲートと接触すると、複合材料が生成されることが理解されるべきである。反応生成物は、アグリゲートとの接触前に、接触後に、又は接触と同時に、形成され得る。送達速度は、ある程度、混合システム100が生成するべき複合材料の量に依存する。同様に、反応生成物のアグリゲートへの塗布速度は、一般に、アグリゲートの混合装置606への送達速度に依存する。ポンプ208、308、408が使用される場合、ポンプは、ある程度、アグリゲートの送達速度に依存する結合剤組成物の反応生成物の塗布速度を変化させ得る。通常、反応生成物のアグリゲートへの塗布速度は、チャネル中に提供されるアグリゲート1立体フィート当り、典型的には約1〜約7ガロン、更に典型的には約1.8〜約5ガロンである。複合材料は、複合材料を望ましい構造に形成させるためのチャネルから分配されるままに柔軟であり、即ち、複合材料は分配後に十分な作業時間を有する。混合システム100は、約5秒〜約15秒以内に複合材料を製造し且つ分配することが可能である。この比較的短い製造時間は、複合材料が、ハウジング608から分配された後、幾らかの間、典型的には少なくとも約10分は柔軟であることを保証する。
【0033】
送達速度、塗布時間、製造時間、及び他の速度が最適であることを保証するために、制御システム700が提供されてよい。制御システム700は、機械的、電気機械的、及び/又は電子的であってよい。図2及び図3に示される実施態様では、制御システム700は、着色剤濃縮物、第1成分、第2成分、コンベヤ604上のアグリゲート、及び混合装置606上の複合材料の送達速度を、それぞれ、制御位置C1、C2、C3、C4、及びC5を介して監視及び/又は制御するように構成された制御装置702を含む。一実施態様では、制御装置702は、コンベヤ上のアグリゲートの送達速度を制御し且つ受けることができ、それによって、ポンプ208、308、及び608の出力を設定して塗布器506からの所望の塗布速度を達成する。制御装置702は、感知された又は指令された送達速度及び塗布速度に基づいて混合装置606の生産速度を制御し得る。当業者は、混合システム100の手動制御も可能であることも評価する。
【0034】
上記は原理の例である。多くの実施態様が可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 混合システム、 200 送達システム、 202 貯蔵容器、 204 ライン、 206 バルブ、 208 ポンプ、 300 送達システム、 302 貯蔵容器、 304 ライン、 306 バルブ、 308 ポンプ、 400 送達システム、 402 貯蔵容器、 404 ライン、 406 バルブ、 408 ポンプ、 500 混合システム、 502 ミキサー、 504 ライン、 506 塗布器、 600 アグリゲート供給システム、 601 アグリゲート、 602 アグリゲート貯蔵容器、 602a ホール、 602b ゲート、 604 コンベヤ、 606 混合装置、 608 ハウジング、 610 オーガー、 612 複合材料がハウジングに沿って動く方向、 700 制御システム、 702 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5