(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
<背景技術の課題>
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度が安定した熱風により熱収縮性フィルムを良好に収縮させるともに、熱収縮性フィルムを被包装体に確実に位置決めした状態で装着することができ、より高い外観品質が得られるシュリンク装置及びシュリンク方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<請求項1の内容>
このような目的を達成するため、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明は、筒状の熱収縮性フィルムを熱収縮させて被包装体に装着するシュリンク装置であって、前記熱収縮性フィルムの周囲を相対的に昇降可能な環状体と、前記環状体の内部に形成され、前記環状体の周方向に沿って熱風を流す環状流路と、前記熱風を前記環状流路から前記環状体の径方向内向きに吹き出し可能な吹出し口と、前記熱風を前記環状流路から前記熱収縮性フィルムに向く方向とは異なる方向に排出可能な排出口と、前記熱収縮性フィルムに対する前記環状体の高さ位置に応じて、前記熱風の出口を前記吹出し口又は前記排出口のいずれか一方に切り替える出口切替え手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
<請求項2の内容>
(2)本発明は、上記(1)に記載のシュリンク装置において、前記環状体が、前記環状流路を有する外側環状部と、前記外側環状部の内側に上下方向に移動可能に嵌合される内側環状部とを備える二重管構造であり、前記内側環状部が、前記外側環状部に対して上下方向に移動することにより、前記吹出し口及び前記排出口を選択的に開閉する弁体として機能することを特徴とする。
【0009】
<請求項3の内容>
(3)本発明は、上記(1)に記載のシュリンク装置において、前記環状体が、前記環状流路を有する環状筐体と、前記環状筐体に対して移動可能に設けられるバルブ構造と、を備え、前記バルブ構造が、前記環状筐体に対して移動することにより、前記吹出し口及び前記排出口を選択的に開閉する弁体として機能することを特徴とする。
【0010】
<請求項4の内容>
(4)本発明は、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシュリンク装置において、さらに、前記被包装体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送速度を測定する速度測定手段とを備え、前記環状体が、前記速度測定手段によって測定された前記搬送速度に追従するよう制御されることを特徴とする。
【0011】
<請求項5の内容>
(5)本発明は、筒状の熱収縮性フィルムを熱収縮させて被包装体に装着するシュリンク方法であって、前記熱収縮性フィルムの周囲を昇降可能でかつ径方向内向きに熱風を吹き出し可能な環状体を用い、前記環状体を下降させ、前記熱収縮性フィルムの上端部の高さ位置では前記熱風を前記熱収縮性フィルムに向く方向とは異なる方向に排出し、前記熱収縮性フィルムの少なくとも位置決め部位の高さ位置では前記熱風を前記熱収縮性フィルムに吹き付ける工程(A)と、前記環状体を上昇させ、前記被包装体の少なくとも前記上端部の高さ位置では前記熱風を前記熱収縮性フィルムに吹き付けて前記熱収縮性フィルムを前記被包装体の全体に装着させる工程(B)と、を備えることを特徴とする。
【0012】
<請求項6の内容>
(6)本発明は、上記(5)に記載のシュリンク方法において、前記位置決め部位が、前記熱収縮性フィルムの下端よりも上方位置であり、かつ、前記被包装体の側面部であって前記環状体の昇降方向と実質的に平行となる部分のうち前記被包装体の外径が最大となる部分であることを特徴とする。
【0013】
<請求項7の内容>
(7)本発明は、上記(5)又は(6)に記載のシュリンク方法において、前記被包装体が、搬送手段によって搬送され、前記環状体が、前記搬送手段によって搬送される前記被包装体を追従しながら、上昇又は下降することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、温度が安定した熱風により熱収縮性フィルムを良好に収縮可能であり、熱収縮性フィルムを被包装体に確実に位置決めした状態で装着することができ、より高い外観品質が得られるシュリンク装置及びシュリンク方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0017】
<シュリンク装置の全体構成の説明>
まず、実施形態に係るシュリンク装置の構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、シュリンク装置10は、筒状の熱収縮性フィルム11を熱収縮させて被包装体20に装着する装置である。このシュリンク装置10は、駆動手段12と、駆動手段12によって昇降する移動体13と、移動体13の昇降をガイドするガイド手段15と、を備える。また、シュリンク装置10は、移動体13に取り付けられる熱風供給手段30と、熱風供給手段30に基部41が固定される支持体40と、支持体40の基部41とは反対側の先端部側に設けられる環状体50と、これら移動体13、支持体40及び環状体50に取り付けられる出口切替え手段70と、を備える。さらに、シュリンク装置10は、被包装体20を製造ライン上で搬送する被包装体搬送手段80と、搬送手段80の搬送速度を測定する速度測定手段81と、駆動手段12を被包装体20の搬送に追従させる追従手段82と、駆動手段12、追従手段82、出口切替え手段70及び速度測定手段81に接続される制御部90と、を備える。
【0018】
<被包装体の説明>
被包装体20は、各種の容器などから選択可能である。この例では、括れ部21を胴部に有する筒状の容器本体22と、容器本体22の上端部を封止するキャップ23とからなる被包装体20を示す。
【0019】
<熱収縮性フィルムの説明>
熱収縮性フィルム11は、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂からなるシュリンクラベルであり、筒状に形成される。熱収縮性フィルム11は、被包装体20に上方から被せられた後、環状体50から吹き出される熱風により収縮して、被包装体20の側面部(外周面)に装着される。
【0020】
<シュリンク装置の各部の構成の説明>
次に、シュリンク装置10の各部の構成を
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0021】
<駆動手段の説明>
図1に示すように、駆動手段12は、各種の駆動源から選択可能である。ここでは、油圧又は空圧のシリンダユニットを駆動手段12として用いる。駆動手段12は、固定部材12aを介して固定されるシリンダ12bと、シリンダ12bによって昇降するロッド12cとを備え、ロッド12cの上端部には、ガイド手段15に摺動可能に支持されるスライダー12dが設けられる。
また、駆動手段12は、追従手段82によって、搬送手段80の搬送方向と平行に移動できる。移動手段は、各種の駆動源から選択可能であるが、ここでは、電動式スライダーユニットを追従手段82として用いる。
【0022】
<移動体の説明>
移動体13は、上部及び下部のそれぞれに上側取付け部材13a及び下側取付け部材13bを有する。上側取付け部材13aには、熱風供給手段30が固定され、下側取付け部材13bには、出口切替え手段70が取付け片13cを介して固定される。
【0023】
<環状体の昇降手段の説明>
なお、この例では、駆動手段12、移動体13及び支持体40を例示したが、環状体50を昇降させる手段は、この例に格別に限定されるものではなく、被包装体20の高さ方向に沿って環状体50を上下方向に移動させることができる手段であれば、任意である。
【0024】
<熱風供給手段の説明>
熱風供給手段30は、上部が上側取付け部材13aに固定される一方、下端部が支持体40に支持される。
【0025】
<搬送手段の説明>
搬送手段80は、製造ライン上において被包装体20を搬送する手段であれば任意であるが、例えば、搬送手段80には、複数の被包装体20を線状に搬送可能なコンベアや、製造ラインの途中に介在されて複数の被包装体20を周方向に搬送可能な回転体などを用いることができる。
【0026】
<制御部の説明>
制御部90は、速度測定手段81によって得られた搬送手段80の搬送速度に追従するように、追従手段82、駆動手段12及び出口切替え手段70を駆動制御し、環状体50の動作を制御する。
【0027】
<支持体の説明>
図2に示すように、支持体40は、水平方向一側に基部41を有し、水平方向他側に環状筐体42を有する。基部41の内部には、熱風供給手段30の流路31に一端が連通するとともに環状筐体42に向けて水平に延びる流路43が形成される。
【0028】
<出口切替え手段の説明−1>
出口切替え手段70は、熱収縮性フィルム11に対する環状体50の高さ位置に応じて、熱風の出口を後述する吹出し口55又は排出口53のいずれか一方に切り替える機能を有する。出口切替え手段70は、支持体40の上面に第1の回動軸71を介して揺動可能に支持されるレバー72と、レバー72の一端部に第2の回動軸73を介して接続される駆動手段75(
図1参照)と、を備える。レバー72の他端部は、二股に分かれるように形成され、環状体50の内側環状部52(後述)を挟むようにして第3の回動軸76を介して内側環状部52に取り付けられる。
【0029】
<出口切替え手段の説明−2>
図1に戻る。
図1に示すように、駆動手段75は、油圧又は空圧のシリンダユニットなどで構成可能であり、この例では、下側取付け部材13bに取付け片13cを介して固定されるシリンダ75aと、シリンダ75aから下方に延びるロッド75bとより、駆動手段75を構成する。ロッド75bの下端部は、レバー72の一端部に第2の回動軸73を介して固定される。
【0030】
<出口切替え手段の説明−3>
なお、この例では、本発明に係る「出口切替え手段」の一例として、出口切替え手段70を例示したが、本発明に係る「出口切替え手段」は、この出口切替え手段70に格別に限定されるものではなく、弁体を動作させて熱風の出口を吹出し口又は排出口のいずれか一方に切り替えることができる手段であれば、任意である。
【0031】
<環状体の説明>
図2に示すように、環状体50は、外側環状部51及び内側環状部52を備える二重管構造である。環状体50には、熱風を排出可能な排出口53及び熱風を吹き出し可能な吹出し口55が設けられる。外側環状部51は、環状筐体42の上端部に嵌合される環状の上側弁座56と、環状筐体42の下端部に嵌合される環状の下側弁座57と、環状筐体42と内側環状部52の間には、流路43からの熱風を環状体50の周方向に沿って流す環状流路61が形成される。さらに、環状筐体42と内側環状部52の間には、嵌合部材58が介在している。
【0032】
<排出口の説明>
図3に示すように、排出口53は、上側弁座56を上下方向に貫通する孔であって、上側弁座56に複数設けられる。複数の排出口53は、上側弁座56の周方向に均等に配置される。
【0033】
<嵌合部材の説明>
図4に示すように、嵌合部材58には、嵌合部材58を上下方向に貫通する複数の貫通孔58aが設けられる。複数の貫通孔58aは、嵌合部材58の周方向に、支持体40側の熱風の通過抵抗が高くなるよう配置される。ここで、熱風の通過抵抗が高くなるとは、具体的には、貫通孔58aの径を小さくしたり、貫通孔58a同士の間隔を拡げたりすることである。
【0034】
<下側弁座の説明>
図5に示すように、下側弁座57は、平面視において、内側環状部52と重なるように傾斜した座面57aを有し、座面57aは、下側弁座57の周方向に沿って環状に形成される。
【0035】
<吹出し口の説明>
吹出し口55は、内側環状部52の下端部と座面57aとの間に形成される環状の隙間であり、傾斜した座面57aによって、熱風を環状体50の径方向内向きに吹き出し可能である。
【0036】
<内側環状部の説明−1>
図2に戻る。
図2に示すように、内側環状部52は、嵌合部材58の内径部に昇降可能に嵌合されており、その外周面に鍔部52aを有する。制御部90により駆動手段75を制御してロッド75bを下降させることで、レバー72の第3の回動軸76側の端部が上昇することにより、内側環状部52が持ち上げられて、鍔部52aが排出口53の座面56aに当接する。これにより、排出口53が閉じる。このとき、内側環状部52の下端部が下側弁座57の座面57aよりも高い位置にあるため、吹出し口55が形成される(開く)。このように内側環状部52がその鍔部52aによって排出口53を閉じた状態(以下、「吹き付け状態」と称する)では、環状流路61及び貫通孔58aを介して流路43と吹出し口55とが連通するため、流路43からの熱風が吹出し口55から環状体50の径方向内向きに吹き出し、熱収縮性フィルム11に吹き付けられる(矢印(1))。これにより、熱収縮性フィルム11において熱風が吹き付けられた部分は、収縮して被包装体20の外周面に沿うように形成される。
【0037】
<内側環状部の説明−2>
一方、
図6に示すように、吹き付け状態から、制御部90により駆動手段75を制御してロッド75bを上昇させることでレバー72が揺動し、レバー72の第3の回動軸76側の端部が下降すると、内側環状部52が下降してその下端部が座面57aに当接する。これにより、吹出し口55が閉じる。このとき、内側環状部52の鍔部52aは、上側弁座56の座面56aから下方に離間するため、排出口53が開く。このように内側環状部52がその鍔部52aによって排出口53を開けた状態(以下、「排気状態」と称する)では、吹出し口55が閉じて排出口53が開くため、流路43からの熱風は、熱収縮性フィルム11には吹き付けられず、排出口53から上方(本発明にいう「熱収縮性フィルムに向く方向とは異なる方向」に相当)に向けて排出される(矢印(2))。この場合、熱風が熱収縮性フィルム11に当たる心配がないため、熱風の供給は継続しつつ、熱収縮性フィルム11を収縮させないことが可能になる。
【0038】
<内側環状部の説明−3>
このように、内側環状部52は、上側弁座56及び下側弁座57に対して上下方向に移動することにより、吹出し口55及び排出口53を選択的に開閉する弁体として機能する。
【0039】
<環状体を含む構成の説明>
なお、以上のように構成される環状体50は、
図2に示される構成に格別に限定されるものではなく、任意に変更可能である。また、環状体50を構成する複数の部材では、溶接やねじ止め、接着など各種の固定手段によって構成部材同士が適宜固定される。
【0040】
<実施形態に係るシュリンク方法の説明−1>
続いて、シュリンク装置10を用いて熱収縮性フィルム11を被包装体に装着するシュリンク方法について説明する。このシュリンク方法は、環状体50を下降させ、熱収縮性フィルム11の上端部の高さ位置では熱風を排出口53から排出し、熱収縮性フィルム11の少なくとも位置決め部位の高さ位置では熱風を熱収縮性フィルム11に吹き付ける工程(A)と、環状体50を上昇させ、被包装体20の少なくとも上端部の高さ位置では熱風を熱収縮性フィルム11に吹き付けて熱収縮性フィルム11を被包装体の全体に装着させる工程(B)と、を備える。また、シュリンク方法において、搬送手段80によって搬送される被包装体を、追従手段82で追従しながら、環状体50を上昇又は下降させることができる。
【0041】
<実施形態に係るシュリンク方法の説明−2>
以下、このシュリンク方法の具体的な実施例を
図7〜
図11に基づいて説明する。なお、
図7〜
図11において、破線の矢印は、排気状態(吹出し口55から熱風が出ていない状態)で移動する環状体50の軌跡を示し、実線の矢印は、吹き付け状態(熱風が吹出し口55から吹き出している状態)で移動する環状体50の軌跡を示す。また、白抜きの矢印は、位置決め部位において熱風を熱収縮性フィルム11に吹き付ける様子を模式的に示している。また、以下の各実施例において、環状体50の上昇・下降は、制御部90(
図1参照)により制御される駆動手段12(
図1参照)によってなされる。
【0042】
<シュリンク方法の実施例1の説明−1>
図7において、被包装体20では、容器本体22の括れ部21に設けた凹部を位置決め部位25として設定する。
【0043】
<シュリンク方法の実施例1の説明−2>
図7に示すように、このシュリンク方法の実施例1では、まず、熱風の供給は行いつつ、環状体50を被包装体20の上方から位置決め部位25まで排気状態(
図6参照)で下降させる(破線の矢印)。次に、位置決め部位25において、内側環状部52を上昇させて排気状態(
図6参照)から吹き付け状態(
図2参照)に切替え、吹出し口55から熱風を吹き出して熱収縮性フィルム11を部分的に収縮させて被包装体20に位置決めする(矢印(3))。さらに、環状体50を吹き付け状態に維持したまま、環状体50を容器本体22の下部付近まで下降させ、容器本体22における位置決め部位25より下方部分において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着する(矢印(4))。そして、吹き付け状態を継続しつつ、環状体50を一気に容器本体22の上端まで上昇させ、容器本体22における位置決め部位25より上方部分及びキャップ23において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着し、熱収縮性フィルム11全体を被包装体20に装着してシュリンクが完了する(矢印(5))。
【0044】
<シュリンク方法の実施例2の説明−1>
図8において、被包装体120では、熱収縮性フィルム11の下端よりも上方位置で、かつ、被包装体120の側面部であって環状体50の昇降方向と実質的に平行となる部分のうち被包装体120の外径が最大となる部分(この例では、容器本体121の上部の側面部122)に、位置決め部位123を設定する。
【0045】
<シュリンク方法の実施例2の説明−2>
図8に示すように、このシュリンク方法の実施例2では、まず、熱風の供給を行いつつ、環状体50を被包装体120の上方から容器本体121の上部の位置決め部位123まで排気状態(
図6参照)で下降させる(破線の矢印)。次に、位置決め部位123において、内側環状部52を上昇させて排気状態(
図6参照)から吹き付け状態(
図2参照)に切替え、吹出し口55から熱風を吹き出して熱収縮性フィルム11を部分的に収縮させて被包装体120に位置決めする(矢印(6))。さらに、環状体50を吹き付け状態に維持したまま、環状体50を容器本体121の下部付近まで下降させ、容器本体121における位置決め部位123よりも下方部分において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着する(矢印(7))。そして、吹き付け状態を継続しつつ、環状体50を一気に容器本体121の上端まで上昇させ、容器本体121における位置決め部位123よりも上方部分及びキャップ23において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて、熱収縮性フィルム11全体を被包装体120に装着してシュリンクが完了する(矢印(8))。
【0046】
<シュリンク方法の実施例3の説明−1>
図9において、被包装体130の容器本体131は、括れ部がない形状を呈し、容器本体131の下部は、熱収縮性フィルム11の下端よりも上方位置において環状体50の昇降方向と実質的に平行となり、かつ、外径が最大となる側面部132を有する。この実施例3では、この側面部132の下部に位置決め部位133を設定する。
【0047】
<シュリンク方法の実施例3の説明−2>
図9に示すように、このシュリンク方法の実施例3では、まず、熱風の供給を行いつつ、環状体50を被包装体130の上方から容器本体131の側面部132の位置決め部位133まで排気状態(
図6参照)で下降させる(破線の矢印)。次に、位置決め部位133において、内側環状部52を上昇させて排気状態(
図6参照)から吹き付け状態(
図2参照)に切替え、吹出し口55から熱風を吹き出して熱収縮性フィルム11を部分的に収縮させて被包装体130に位置決めする(矢印(10))。そして、吹き付け状態を継続しつつ、環状体50を一気に容器本体131の上端まで上昇させ、容器本体131における位置決め部位133よりも上方部分及びキャップ23において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着し、熱収縮性フィルム11全体を被包装体130に装着してシュリンクが完了する(矢印(11))。
【0048】
<シュリンク方法の実施例4の説明−1>
図10において、被包装体140の容器本体141は、括れ部がない形状を呈し、容器本体141は、上側の側面部142と、上側の側面部142の下端に連なり下方に拡径するテーパ部143と、テーパ部143の下端から下方に形成される下側の側面部145とで構成される。上側の側面部142は、熱収縮性フィルム11の下端よりも上方位置において、環状体50の昇降方向と実質的に平行となり、かつ、外径が最大となる部分である。この実施例4では、このような上側の側面部142の略中央に位置決め部位146を設定する。
【0049】
<シュリンク方法の実施例4の説明−2>
図10に示すように、このシュリンク方法の実施例4では、まず、熱風の供給を行いつつ、環状体50を被包装体140の上方から容器本体141の上側の側面部142の位置決め部位146まで排気状態(
図6参照)で下降させる(破線の矢印)。次に、位置決め部位146において、内側環状部52を上昇させて排気状態(
図6参照)から吹き付け状態(
図2参照)に切替え、吹出し口55から熱風を吹き出して熱収縮性フィルム11を部分的に収縮させて被包装体140に位置決めする(矢印(12))。さらに、環状体50を吹き付け状態に維持したまま、環状体50をテーパ部143の下端付近まで下降させ、上側の側面部142における位置決め部位146よりも下方部分及びテーパ部143において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着する(矢印(13))。そして、吹き付け状態を継続しつつ、環状体50を一気に容器本体141の上端まで上昇させ、上側の側面部142における位置決め部位146よりも上方部分及びキャップ23において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着し、熱収縮性フィルム11全体を被包装体140に装着してシュリンクが完了する(矢印(14))。
【0050】
<シュリンク方法の実施例5の説明−1>
図11において、被包装体150は、トレー状の容器本体151と、容器本体151の上端を塞ぐ蓋体152とからなる。被包装体150の上部には、鍔状の側面部153が形成されており、この鍔状の側面部153は、熱収縮性フィルム11の下端よりも上方位置において、環状体50の昇降方向と実質的に平行となり、かつ、外径が最大となる部分である。この実施例5では、このような鍔状の側面部153に位置決め部位155を設定する。なお、鍔状の側面部153は、トレー状の容器本体151の一部又は蓋体152の一部で形成される。
【0051】
<シュリンク方法の実施例5の説明−2>
図11に示すように、このシュリンク方法の実施例5では、まず、熱風の供給を行いつつ、環状体50を被包装体150の上方から鍔状の側面部153の位置決め部位155まで排気状態(
図6参照)で下降させる(破線の矢印)。次に、位置決め部位155において、内側環状部52を上昇させて排気状態(
図6参照)から吹き付け状態(
図2参照)に切替え、吹出し口55から熱風を吹き出して熱収縮性フィルム11を部分的に収縮させて被包装体150に位置決めする(矢印(15))。さらに、環状体50を吹き付け状態に維持したまま、環状体50を容器本体151の下端付近まで下降させ、容器本体151における位置決め部位155よりも下方部分において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着する(矢印(16))。そして、吹き付け状態を継続しつつ、環状体50を一気に容器本体151の上端まで上昇させ、蓋体152における位置決め部位155よりも上方部分において熱風により熱収縮性フィルム11を収縮させて装着し、熱収縮性フィルム11全体を被包装体150に装着してシュリンクが完了する(矢印(17))。
【0052】
<実施形態の効果−1>
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
本実施形態によれば、熱風の供給を停止することなく、熱収縮性フィルム11に対する環状体50の高さ位置に応じて、熱風の出口を吹出し口55又は排出口53のいずれか一方に切り替えることができるので、熱風の供給停止及び供給開始により生じる熱風の温度変化を防止することができる。また、熱収縮性フィルム11を位置決め部位25,123,133,146,155において確実に位置決めした状態で装着することができる。したがって、温度が安定した熱風により熱収縮性フィルム11を良好に収縮させることができ、熱収縮性フィルム11を被包装体に確実に位置決めした状態で装着することができるので、より高い外観品質が得られる。
【0053】
<実施形態の効果−2>
仮に、排出口が無く、出口切替え手段を備えない構成の場合、熱収縮性フィルムへの熱風の吹き付けを停止するには、大元のファンを一旦止める必要がある。この場合、大元のファンを再度動作させると、熱風の温度が安定するまで時間がかかってしまい、ヒーター・ファンをコントロールするなど、何らかの対策を講じる必要がある。この点、本実施形態では、熱風を排出状態に切り替えることが可能であり、大元のファンを止める必要がないため、温度が安定した状態の熱風が維持でき、ヒーター・ファンをコントロールするなどの対策を講じる必要もない。
【0054】
<他の実施形態の説明−1>
(他の実施形態)
次に、他の実施形態に係るシュリンク装置を
図12、
図13に基づいて説明する。なお、前述したシュリンク装置(
図2参照)と共通する要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0055】
<他の実施形態の説明−2>
図12に示すように、シュリンク装置160では、環状体50が、環状流路61を有する環状筐体42と、環状筐体42に対して移動可能に設けられる円筒状のバルブ構造161と、を備える。環状流路61は、上下方向に並んで形成される複数の流路162a,162b,162cで構成されており、複数の流路162a,162b,162cは、上下方向に貫通する貫通孔163a,163bにより互いに連通している。最も下側の流路162cの下部には、吹出し口55が形成される。そして、バルブ構造161は、最も上側の流路162a内において、環状筐体42に対し上下方向に移動することにより、最も上側の貫通孔163a及び排出口53を選択的に開閉する弁体として機能する。なお、この例では、シリンダ75aを取付け部材165によって支持体40に取り付けている。
【0056】
<他の実施形態の説明−3>
シュリンク装置160の作用をより具体的に説明すると、ロッド75bを下降させることで、レバー72の第3の回動軸76側の端部が上昇することにより、バルブ構造161が持ち上げられて、バルブ構造161の鍔部161aが排出口53の座面56aに当接する。これにより、排出口53が閉じる。このとき、排出口53の下方に位置する最も上側の貫通孔163aが開放しているため、熱風が、貫通孔163a,163b及び流路162a,162b,162cを介して吹出し口55から環状体50の径方向内向きに吹き出し、熱収縮性フィルム11に吹き付けられる(矢印(18))。これにより、熱収縮性フィルム11において熱風が吹き付けられた部分は、収縮して被包装体20の外周面に沿うように形成される。
【0057】
<他の実施形態の説明−4>
一方、
図13に示すように、ロッド75bを上昇させることでレバー72が揺動し、レバー72の第3の回動軸76側の端部が下降すると、バルブ構造161が下降してその鍔部161aが最も上側の貫通孔163aの座面163a1に当接する。これにより、吹出し口55が閉じる。このとき、バルブ構造161の鍔部161aは、排出口53から下方に離間するため、排出口53が開く。結果、流路43からの熱風は、熱収縮性フィルム11には吹き付けられず、排出口53から上方に向けて排出される(矢印(19))。この場合、熱風が熱収縮性フィルム11に当たる心配がないため、熱風の流れの供給は継続しつつ、熱収縮性フィルム11を収縮させないことが可能になる。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
例えば、排出口と吹出し口を選択的に開閉する手段は、環状体において周環(例えば、水道ホースと蛇口との接続に用いる締め付け用クランプのような部材など)を曲げ伸ばしするなどして排出口と吹出し口を開閉したり、周方向に回転可能な円形孔の噛み合わせによって開閉したりする手段など、各種の手段から選択可能である。また、実施形態では、環状体を熱収縮性フィルムの周囲において昇降させる構成を例示したが、熱収縮性フィルム及び被包装体を環状体に対して昇降させる構成でもよく、環状体が熱収縮性フィルムの周囲を相対的に昇降可能な構成であれば任意である。
温度が安定した熱風により熱収縮性フィルムを良好に収縮可能であり、熱収縮性フィルムを被包装体に確実に位置決めした状態で装着することができ、より高い外観品質が得られるシュリンク装置及びシュリンク方法を提供する。
シュリンク装置10は、熱収縮性フィルム11の周囲を相対的に昇降可能な環状体50と、環状体50の内部に形成され、環状体50の周方向に沿って熱風を流す環状流路61と、熱風を環状流路61から環状体50の径方向内向きに吹き出し可能な吹出し口55と、熱風を環状流路61から熱収縮性フィルムに向く方向とは異なる方向に排出可能な排出口53と、熱収縮性フィルム11に対する環状体50の高さ位置に応じて、熱風の出口を吹出し口55又は排出口53のいずれか一方に切り替える出口切替え手段70と、を備える。