特許第5940346号(P5940346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940346
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】膨化大豆外皮及びそれを利用した飲食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/00 20160101AFI20160616BHJP
   A23L 2/38 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   A23L11/00 Z
   A23L11/00 C
   A23L2/38 D
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-83991(P2012-83991)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-212071(P2013-212071A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年9月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】木下 恵美子
【審査官】 大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/109404(WO,A1)
【文献】 特開昭60−041454(JP,A)
【文献】 特開昭58−067157(JP,A)
【文献】 チェンバービントン,2015年 6月29日,http://www.toresabi.info/toresabi/fukazawa/ilist306.html参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/00
A23L 2/00
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆から脱皮または除去した大豆外皮を、0.15MPa〜0.60MPaの圧力、135℃以上230℃未満の温度、及び5〜12秒の加熱処理時間で、処理後の大豆外皮のL値が60以上となる条件で加熱処理し、処理後の大豆外皮を大気圧下で放置する、膨化大豆外皮の製造方法。
【請求項2】
当該加熱処理条件は、当該膨化大豆外皮のa値が10未満となる条件である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該加熱処理条件は、当該膨化大豆外皮のb値が21.01未満となる条件である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
当該温度条件及び圧力条件は、当該大豆外皮の膨化処理前のL値と膨化処理後のL値の差が26.51未満となる条件である、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
当該温度は、150℃以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
当該圧力は、0.40MPa以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
当該処理後の大豆外皮のL値が70以上となる条件で加熱処理する、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
当該加熱処理を水蒸気中で行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
大豆から脱皮または除去した大豆外皮を、0.15MPa〜0.60MPaの圧力、135℃以上230℃未満の温度、及び5〜12秒の加熱処理時間で、処理後の大豆外皮のL値が60以上となる条件で加熱処理し、処理後の大豆外皮を大気圧下で放置して得られる膨化大豆外皮のみを大豆成分として含む、飲食品素材又は飲食品。
【請求項10】
当該膨化大豆外皮のL値と膨化処理前の大豆外皮のL値との差(前‐後)が26.51未満である、請求項9に記載の飲食品素材又は飲食品。
【請求項11】
当該膨化大豆外皮のa値が10未満である、請求項9又は10に記載の飲食品素材又は飲食品。
【請求項12】
当該処理後の大豆外皮のL値が70以上である、請求項9〜11の何れか1項に記載の飲食品素材又は飲食品。
【請求項13】
当該加熱処理は、水蒸気中で行われる、請求項9〜12の何れか1項に記載の飲食品素材又は飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気で加圧加熱した後、大気圧下に放出する膨化処理を行うことによって得られる風味の改善された膨化大豆外皮及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆外皮とは、大豆の外側の皮であり、種実の7〜8%を占め、組織が子葉部に比べて硬く、疎剛であり、色調は黄褐色を呈し、なかには黒褐色を呈するものもある。大豆外皮は大豆加工品の品質や食味を損なうので、あらかじめ脱皮したり、製造工程中に除去されることが多い(例えば、非特許文献1参照。)。豆乳及び豆腐を製造する工程においても大量に発生する副産物である。大豆外皮は、ミネラル及び食物繊維を豊富に含む有用な食品素材であるにも関わらず、その独特の大豆臭により、一部畜産業における飼料に用いられているのみで、食用にほとんど活用されていない。
【0003】
大豆外皮を有効利用する方法として、ヘミセルロースなど特定の成分を抽出又は分画して使用する方法が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。また大豆外皮を高繊維質の食品素材としてクッキー、マフィン、パンなどに添加して繊維分を強化する方法(例えば、非特許文献3参照。)や、大豆外皮を用いた食品ペーストを製造する方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。しかし、これらの方法では特定の成分を抽出して利用するか、食品の種類や使用量が限定された利用法であって、大量に発生する副産物を有効に利用する目的を達成させることはできない。
【0004】
大豆外皮を広く汎用的に食品に利用できる技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】千葉大学園芸学部学術報告38,9−18,1986−10−30
【非特許文献2】Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science 51(4),173−18,998−08−10
【非特許文献3】Seung−Ho Kim,Korea Food Research Institute,1995
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−130754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、大豆外皮における独特の大豆臭を除き、風味の優れた大豆外皮を提供することで、大豆外皮を幅広く食品へ利用する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、大豆外皮を圧力0.15MPa以上、230℃未満の温度の過熱水蒸気で加圧加熱した後、大気圧下に放出することで得られる膨化大豆外皮が、L値60以上となり、大豆外皮における独特の大豆臭が取り除かれることを知り、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に関する。
1)大豆外皮を膨化させて得られる膨化大豆外皮であって、当該膨化大豆外皮のL値が60以上であることを特徴とする膨化大豆外皮。
2)a値が10未満であることを特徴とする前記1)記載の膨化大豆外皮。
3)大豆外皮を膨化させて得られる膨化大豆外皮であって、当該大豆外皮の膨化処理前のL値と膨化処理後のL値の差が26.51未満となること特徴とする膨化大豆外皮。
4)大豆外皮を圧力0.15MPa以上、温度230℃未満で膨化処理して得られる膨化大豆外皮。
5)大豆外皮を圧力0.15MPa以上、温度230℃未満で膨化処理して得られる前記1)〜3)記載の膨化大豆外皮。
6)大豆外皮を膨化処理して得られる膨化大豆外皮であって、膨化処理における圧力(MPa)をx、温度(℃)をyとしたとき、下記式を満たす条件で膨化処理して得られる膨化大豆外皮。
y≧125x+125
0.15≦x≦0.6
y≦200
7)大豆外皮を膨化処理して得られる膨化大豆外皮であって、膨化処理における圧力(MPa)をx、温度(℃)をyとしたとき、下記式を満たす条件で膨化処理して得られる前記1)〜3)記載の膨化大豆外皮。
y≧125x+125
0.15≦x≦0.6
y≦200
8)前記1)〜7)記載の膨化大豆外皮を含有する飲食品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大豆外皮における独特の大豆臭を除くことができ、かつ、風味が改善された膨化大豆外皮を得ることができる。当該膨化大豆外皮は、幅広く汎用的に食品へ利用できるため、豆乳及び豆腐を製造する工程において大量に生じる副産物である大豆外皮を効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】圧力、温度と総合評価の相関を示す図である。縦軸は温度(℃)、横軸は圧力(MPa)を表す。
図2】大豆外皮に含まれる香気成分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の膨化大豆外皮及びその製造法について具体的に説明する。
【0013】
大豆外皮とは、大豆の外側の皮をいう。大豆の品種は特に限定されず、例えば、青丸くん、アキシロメ、アキセンゴク、アキヨシ、アソアオガリ、アソマサリ、アソムスメ、あやこがね、アヤヒカリ、いちひめ、いわいくろ、ウゴダイズ、エルスター、エンレイ、おおすず、大袖の舞、オオツル、オクシロメ、オクメジロ、オシマシロメ、オリヒメ、カリカチ、カリユタカ、カルマイ、キタコマチ、キタホマレ、キタムスメ、キヨミドリ、ギンレイ、ゴガク、コガネジロ、コガネダイズ、コケシジロ、コスズ、コマムスメ、サチユタカ、さやなみ、サヨヒメ、シロセンナリ、シロタエ、シロメユタカ、シンセイ、シンメジロ、すずおとめ、スズカリ、すずこがね、すずこまち、すずさやか、鈴の音、スズヒメ、スズマル、スズユタカ、タチコガネ、タチスズナリ、タチナガハ、タチユタカ、たまうらら、タマヒカリ、タマホマレ、タママサリ、タマムスメ、ダルママサリ、タンレイ、ツルコガネ、ツルセンゴク、ツルムスメ、デワムスメ、トカチクロ、トカチシロ、トモユタカ、トヨコマチ、トヨシロメ、トヨスズ、トヨホマレ、トヨムスメ、ナカセンナリ、ナガハジロ、ナスシロメ、ナンブシロメ、ニシムスメ、ネマシラズ、農林1号、農林2号、農林3号、農林4号、農林5号、ハタユタカ、ハツカリ、ハヤヒカリ、ヒゴムスメ、ヒメシラズ、ヒメユタカ、ヒュウガ、ふくいぶき、フクシロメ、フクナガハ、フクメジロ、フクユタカ、フジオトメ、フジミジロ、フジムスメ、ほうえん、ホウギョク、ホウライ、ホウレイ、ホッカイハダカ、ボンミノリ、ミスズダイズ、みすず黒、ミヤギオオジロ、ムツシラタマ、ムツメジロ、ユウヅル、ユウヒメ、ユキシズカ、ユキホマレ、ゆめみのり、ゆめゆたか、ライコウ、ライデン、リュウホウ、ワセコガネ、ワセシロゲ、ワセシロメ、ワセスズナリ等から1種又は2種以上を組み合わせて適宜使用することができる。
【0014】
膨化大豆外皮は、生の大豆外皮を、過熱水蒸気で加圧加熱した後、大気圧下に放出することで得ることができる。これを一般に膨化処理という。
膨化処理のための装置や条件は特に限定されず、得られる膨化大豆外皮のL値が60以上となるよう、原料となる大豆外皮の種類により適宜設定すればよい。例えば、特公昭46−34747号公報記載の気流加熱方式による膨化装置及び特開2001−231490号公報に記載された装置などが挙げられる。
【0015】
例えば、特公昭46−34747号公報記載の気流式加熱方式による膨化装置を使用する場合、大豆外皮を連続的に投入し、細長い流路内を高速で流れる過熱水蒸気の流れに乗せ流路の壁面上に沈降滞留することのない程度の高速を以って数秒間、該流路内を流動させながら該過熱水蒸気によって加圧加熱する。次いで、加熱された該大豆外皮を連続的に急激に常圧下に放出して、大豆外皮を膨化させる。この場合、流路内の圧力は0.15MPa以上、使用する過熱水蒸気の温度はライン中の大豆外皮の品温が230℃未満となる温度に調整し、加熱時間は5〜12秒(投入〜排出)とすればよい。原料である大豆外皮をこのような条件で加熱加圧処理した後、急激に大気圧下に放出することで、目的となるL値が60以上の大豆臭が除かれ風味が改善した膨化大豆外皮を得ることができる。
【0016】
大豆特有の大豆臭が除去され、かつ、風味が良好な膨化大豆外皮を得るためには、L値が60以上となるよう膨化処理を行う必要がある。L値は、明度を表すものであって、値が低いほど明度は下がる。つまり、L値が60未満となると、膨化大豆外皮の明度が下がり、いわゆる焦げたような状態となる。このような膨化大豆外皮は、苦味が強く、食品利用には適さない。
【0017】
風味が良好な膨化大豆外皮を得るために、大豆外皮をL値が60以上となるよう膨化処理する必要があり、より好ましくは、70以上、更に好ましくは71.57以上、最も好ましくは74.42以上となるよう膨化処理する必要がある。
【0018】
また、前記の膨化大豆外皮は、a値が10未満となるよう膨化処理することが好ましい。
【0019】
あるいは、大豆外皮の膨化処理前のL値と膨化処理後のL値の差が26.51未満となるよう膨化処理することで、大豆臭が除去され、かつ、風味が良好な膨化大豆外皮を得ることができる。L値は、原材料の大豆の種類により変わる。そのため、膨化処理前の大豆外皮のL値が一般的な大豆外皮のL値である81.98を上回る場合、得られる膨化大豆外皮のL値が60以上であっても、焦げによる苦味が強くなる場合がある。また、膨化処理前の大豆外皮のL値が81.98を下回る場合、得られる膨化大豆外皮のL値が60未満であっても、十分に大豆臭が除去され、苦味もなく風味が良好な場合がある。このような場合は、大豆外皮の膨化処理前のL値と膨化処理後のL値の差を指標とすることができる。
【0020】
風味が良好な膨化大豆外皮を得るために、大豆外皮の膨化処理前のL値と膨化処理後のL値の差を26.51未満とする必要があり、より好ましくは、10.41以下、最も好ましくは7.56以下とする必要がある。
【0021】
大豆外皮及び膨化大豆外皮のL値及びa値は、一般の色差計、例えば、測色色差計ZE−2000(日本電色工業株式会社製)で測定することができる。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した粒度分布においてメディアン径が100μm未満であって、かつ、90%累積頻度径が200μm未満となるよう大豆外皮をミル等により微細化し得られる粉末のL値及びa値、必要によりb値を測定する。
【0022】
上記の色度を有する膨化大豆外皮は、大豆外皮を圧力0.15MPa以上、温度230℃未満で膨化処理することにより得られる。大豆外皮を、230℃以上で膨化処理すると、苦味が強くなり風味が悪くなる。また、いわゆる焦げた状態となるので、色が濃く、見た目にも好ましくない。苦味がなく、かつ、より良好な風味を有する膨化大豆外皮を得るためには、膨化処理における圧力(MPa)をx、温度(℃)をyとしたとき、下記式を満たす条件で膨化処理するのが好ましい。
y≧125x+125
0.15≦x≦0.6
y≦200
【0023】
上記の膨化処理により得た膨化大豆外皮の大豆臭が低減されたことは、当該膨化大豆外皮に含まれる香気成分であるヘキサナール、3−オクタノン又はヘキサノールの含有量を測定することにより確認することができる。
なお、ヘキサナール及び3−オクタノンは、青臭い、いわゆる「大豆臭」のもととなる香気成分である。
【実施例1】
【0024】
以下、実施例に則して本発明を具体的に記載するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって制限されるものではない。
【0025】
[大豆外皮の膨化処理]
大豆外皮(比較例1,L値:81.98,a値:0.60,b値:17.13)を、気流加熱方式による膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報に記載)を用いて、細長い流路内を高速で流れる過熱水蒸気の流れに3秒間流動させながら、表1記載の圧力及び処理温度で加圧加熱した。加圧加熱した大豆外皮を過熱水蒸気の流れから分離して捕集し、捕集した大豆外皮を大気圧下に放出して膨化し、膨化大豆外皮を得た。
【0026】
【表1】
【実施例2】
【0027】
[膨化大豆外皮粉末の調整]
大豆外皮(比較例1)及び実施例1で得た膨化大豆外皮(本発明1〜7,比較例2〜3)をターボミルT250(フロイントターボ社製)で粉砕した。1回粉砕された大豆外皮及び膨化大豆外皮を再びターボミルT250(フロイントターボ社製)に投入し、2回目の粉砕を行った。2回粉砕された大豆外皮及び膨化大豆外皮を更にターボミルT250(フロイントターボ社製)に投入し、3回目の粉砕を行った。3回の粉砕により、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した粒度分布においてメディアン径が100μm未満かつ90%累積頻度径が200μm未満の大豆外皮粉末及び膨化大豆外皮粉末を得た。
【0028】
[膨化大豆外皮粉末の色差測定]
実施例2で得た大豆外皮粉末(比較例1)及び膨化大豆外皮粉末(本発明1〜7,比較例2〜3)のLab値を測色色差計ZE−2000(日本電色工業株式会社製)で測定することにより求めた。その結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
[膨化大豆外皮の評価]
膨化大豆外皮粉末の色、香り、食味について、実際に観察・喫食して評価した。香り、食味は青臭さ、香ばしさ、こげ臭さについてカテゴリー尺度法を用いて5名のパネリストにより評価した。表2に膨化大豆外皮のL値、外観、香り、及び食味の評価を示す。また、圧力、温度と総合評価の相関を図1に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
香りの評価において、香りが弱く無臭に近いほど食品への応用において汎用性が高いため高評価とした。香ばしい香りは好ましいが、応用する食品との相性にもよるため汎用性の観点から次点の評価とした。
表2に示すとおり、L値が81.8を超える比較例1(L値81.98)の膨化大豆外皮は、外観は良いものの、生臭く、食味が悪いことが分かる。L値が55.5未満の比較例2(L値55.47)及び比較例3(L値53.26)の膨化大豆外皮は、色が黒ずんだこげ茶色で見栄えが悪く、食味もこげ臭さや苦味があり、よくないことが分かる。これに対し、L値55.5〜81.8である本発明1(L値81.19)、2(L値81.71)、3(L値77.55)、4(L値78.32)、5(L値72.44)、6(L値74.42)、及び7(L値71.57)の膨化大豆外皮は、生大豆外皮と比較してわずかに色が濃いか、少し茶色に色づく程度で見栄えがよく、香り、食味も良好であることが分かる。
図1に示すとおり、230℃以上の処理温度で加圧加熱した比較例2(処理温度230℃)及び比較例3(処理温度230℃)の膨化大豆外皮は総合評価が×であることが分かる。これに対し、230℃未満の処理温度で加圧加熱した本発明1(処理温度135℃)、2(処理温度150℃)、3(処理温度200℃)、4(処理温度150℃)、5(処理温度200℃)、6(処理温度175℃)、及び7(処理温度200℃)の膨化大豆外皮は総合評価が△、○、◎であり、良好であることが分かる。
【実施例3】
【0033】
[膨化大豆外皮の湿式微細化]
大豆外皮(比較例1)及び実施例1で得た膨化大豆外皮(本発明4、7)を固形分8%となるようにイオン交換水に分散し、スーパーマスコロイダーMKCA6−2(増幸産業株式会社製)にて湿式微細化した。
【実施例4】
【0034】
[膨化大豆外皮の香気成分の測定]
実施例3で得た「大豆外皮(比較例1)及び実施例1で得た膨化大豆外皮(本発明4、7)の湿式微細化物」について、以下の手法を用いて香気成分(ヘキサナール、3−オクタノン、ヘキサノール)の生成量(相対値)を測定した。
測定には、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー・マススペクトル法(Agilen
t社製)を用いた。20mlヘッドスペース用バイアルにサンプルの湿式微細化物を10g分注し、60℃、20分間バイアル中で気液平衡を行い、ガスクロマトカラムに供した。得られたトータルイオンクロマトグラムから香気成分のピーク面積値を算出した。大豆外皮(比較例1)の湿式微細化物中に含まれる香気成分のピーク面積値を100%とし、実施例1で得た膨化大豆外皮(本発明4、7)の湿式微細化物中に含まれる香気成分量を相対値として図2に示した。
【実施例5】
【0035】
[膨化大豆外皮を用いた食品の調整]
トマトペースト(Brix36)102.4g、冷凍人参濃縮汁(Brix40)52.5g、セルリーピューレ(Brix3)5.0g、レモン透明濃縮果汁(酸度31%)5.0g及び実施例2で得た膨化大豆外皮粉末(本発明1〜7)15.0gを混ぜ合わせ、活性炭処理水535.1gを加え、殺菌して膨化大豆外皮を用いた野菜ジュースを得た。
図1
図2