特許第5941588号(P5941588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941588
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】接合材およびそれを用いた接合方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 7/08 20060101AFI20160616BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20160616BHJP
   C22C 9/00 20060101ALI20160616BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20160616BHJP
   B22F 9/24 20060101ALN20160616BHJP
【FI】
   B22F7/08 E
   B22F1/00 L
   C22C9/00
   B23K20/00 340
   !B22F9/24 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-168573(P2015-168573)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-53216(P2016-53216A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-176724(P2014-176724)
(32)【優先日】2014年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 圭一
(72)【発明者】
【氏名】三好 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】本村 公一
(72)【発明者】
【氏名】栗田 哲
【審査官】 川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/034893(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00− 8/00
B22F 9/00− 9/30
C22C 9/00− 9/10
B23K 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径0.1〜1μmの銅粉とアルコール系溶剤を含む銅ペーストからなる接合材において、銅粉の含有量が80〜95質量%、アルコール系溶剤の含有量が5〜20質量%であり、アルコール系溶剤がモノアルコール、ジオールまたはテルペン系アルコールとトリオールとを含むことを特徴とする、接合材。
【請求項2】
前記銅粉中に含まれる炭素の含有量が0.3質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の接合材。
【請求項3】
前記接合材の粘度をレオメーターにより25℃において5rpmで測定したときの粘度が150Pa・s以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の接合材。
【請求項4】
前記接合材を被接合物間に介在させて加熱することにより、前記接合材中の銅を焼結させて銅接合層を介して被接合物同士を接合したときに、銅接合層の接合面の面積に対してボイドが占める面積の割合が10%以下であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の接合材。
【請求項5】
前記接合材を被接合物間に介在させて加熱することにより、前記接合材中の銅を焼結させて銅接合層を介して被接合物同士を接合したときに、シア強度が6MPa以上であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の接合材。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載の接合材を被接合物間に介在させて加熱することにより、接合材中の銅を焼結させて銅接合層を形成し、この銅接合層により被接合物同士を接合することを特徴とする、接合方法。
【請求項7】
前記被接合物間に圧力を加えながら前記加熱を行うことを特徴とする、請求項に記載の接合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合材およびそれを用いた接合方法に関し、特に、銅粉を含む銅ペーストからなる接合材およびそれを用いて被接合物同士を接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属粒子として銀微粒子を含む銀ペーストからなる接合材を使用し、被接合物間に接合材を介在させ、被接合物間に圧力を加えながら所定時間加熱して、接合材中の銀を焼結させて、被接合物同士を接合することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような接合材を使用して金属基板上にSiチップなどの電子部品を固定する場合、銀微粒子が溶媒に分散した銀ペーストを基板上に塗布した後、加熱して溶媒を除去することにより、基板上に予備乾燥膜を形成し、この予備乾燥膜上に電子部品を配置した後、電子部品に圧力を加えながら加熱することにより、銀接合層を介して電子部品を基板に接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−80147号公報(段落番号0014−0020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の接合材では、金属粒子として銀微粒子を使用しており、高価な接合材であるため、銀微粒子よりも安価な金属粒子を使用した接合材が望まれている。
【0006】
また、接合材により被接合物同士を接合した際に接合面にボイドが存在すると、被接合物同士が所望の接合力で接合していたとしても、繰り返しの冷熱サイクルが加えられると、ボイドの部分に応力が加わって、ボイドから接合層に亀裂が入り、接合の信頼性に欠ける。そのため、接合材により被接合物同士を良好に接合するためには、接合部にボイドが発生するのを抑える必要があり、ボイドの要因となる溶剤(分散媒)の添加量を抑える(金属粒子の含有量を高くする)必要がある。一方、メタルマスクを使用してスクリーン印刷により接合材を良好に塗布するためには、接合材の粘度を下げる必要がある。しかし、接合材の粘度を下げると接合材中の金属の含有量が低下し、一方、接合材中の金属の含有量を高くすると接合材の粘度が高くなり、接合材の粘度と接合材中の金属の含有量はトレードオフの関係にある。
【0007】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、被接合物に印刷し易く且つ被接合物同士の接合部にボイドが発生するのを抑制することができる、安価な接合材およびそれを用いた接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、平均粒径0.1〜1μmの銅粉とアルコール系溶剤を含む銅ペーストからなる接合材において、銅粉の含有量を80〜95質量%、アルコール系溶剤の含有量を5〜20質量%にすることにより、被接合物に印刷し易く且つ被接合物同士の接合部にボイドが発生するのを抑制することができる、安価な接合材およびそれを用いた接合方法を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明による接合材は、平均粒径0.1〜1μmの銅粉とアルコール系溶剤を含む銅ペーストからなる接合材において、銅粉の含有量が80〜95質量%、アルコール系溶剤の含有量が5〜20質量%であることを特徴とする。
【0010】
この接合材において、銅粉中に含まれる炭素の含有量が0.3質量%以下であるのが好ましい。また、アルコール系溶剤がモノアルコール、ジオールまたはテルペン系アルコールであるのが好ましく、トリオールを含んでもよい。また、接合材の粘度をレオメーターにより25℃において5rpmで測定したときの粘度が150Pa・s以下であるのが好ましい。さらに、接合材を被接合物間に介在させて加熱することにより、接合材中の銅を焼結させて銅接合層を介して被接合物同士を接合したときに、銅接合層の接合面の面積に対してボイドが占める面積の割合が10%以下であるのが好ましく、シア強度が6MPa以上であるのが好ましい。
【0011】
また、本発明による接合方法は、上記の接合材を被接合物間に介在させて加熱することにより、接合材中の銅を焼結させて銅接合層を形成し、この銅接合層により被接合物同士を接合することを特徴とする。この接合方法において、被接合物間に圧力を加えながら加熱するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被接合物に印刷し易く且つ被接合物同士の接合部にボイドが発生するのを抑制することができる、安価な接合材およびそれを用いた接合方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による接合材の実施の形態は、平均粒径0.1〜1μmの銅粉とアルコール系溶剤を含む銅ペーストからなる接合材において、銅粉の含有量が80〜95質量%、アルコール系溶剤の含有量が5〜20質量%である。
【0014】
銅粉の平均粒径は、0.1〜1μmであり、0.2〜0.8μmであるのが好ましく、0.3〜0.5μmであるのがさらに好ましい。また、銅粉は、略球状の銅粉であるのが好ましく、銅粉中に含まれる炭素の含有量は、0.3質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0015】
アルコール系溶剤は、モノアルコール、ジオールまたはテルペン系アルコールであるのが好ましく、トリオールを含んでもよい。モノアルコールとしては、デカノールやドデカノールを使用するのが好ましく、2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールなどを使用してもよい。ジオールとしては、ヘキサンジオールやオクタンジオールを使用するのが好ましく、テルペン系アルコールとしては、テルピネオールを使用するのが好ましく、2−(1−メチル−1−(4−メチル−3−シクロヘキシル)エトキシ)エタノールやイソボニルシクロヘキサノールなどを使用してもよい。トリオールとしては、メチル−ブタントリオールやグリセリンを使用するのが好ましい。なお、これらのアルコール系溶剤を混合して使用してもよい。
【0016】
銅ペースト中の(好ましくは炭素の含有量が0.3質量%以下の)銅粉の含有量は80〜95質量%(好ましくは80〜90質量%)、アルコール系溶剤の含有量は5〜20質量%であり、(好ましくは炭素の含有量が0.3質量%以下の)銅粉とアルコール系溶剤の合計が100質量%であるのが好ましい。この銅ペーストは、銅粉とアルコール系溶剤を混合して混練し、アルコール溶剤中に(好ましくは炭素の含有量が0.3質量%以下の)銅粉のみが分散した状態にするのが好ましい。
【0017】
また、接合材の粘度をレオメーターにより25℃において5rpmで測定したときの粘度が150Pa・s以下であるのが好ましく、100Pa・s以下であるのが好ましい。
【0018】
接合材を被接合物間に介在させて、被接合物間に圧力を加えながら加熱することにより、接合材中の銅を焼結させて銅接合層を介して被接合物同士を接合したときに、銅接合層の接合面の面積に対してボイドが占める面積の割合が10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがさらに好ましく、また、シア強度(一方の被接合物を横方向から(水平方向に)押してその被接合物が他方の被接合物から剥がれたときの力)が6MPa以上であるのが好ましく、30MPa以上であるのがさらに好ましい。
【0019】
本発明による接合方法の実施の形態では、上記の接合材を被接合物間に介在させて(好ましくは被接合物間に圧力を加えながら)加熱することにより、接合材中の銅を焼結させて銅接合層を形成し、この銅接合層により被接合物同士を接合する。
【0020】
具体的には、上記の接合材を2つの被接合物の少なくとも一方に塗布し、接合材が被接合物間に介在するように配置させ、窒素雰囲気などの不活性雰囲気中において、被接合物間に好ましくは1〜20MPa(さらに好ましくは5〜10MPa)の圧力を加えながら、好ましくは60〜150℃(さらに好ましくは80〜130℃)で加熱することにより接合材を乾燥させた後、好ましくは200〜400℃(さらに好ましくは250〜370℃)で加熱することにより、銅ペースト中の銅を焼結させて銅接合層を形成し、この銅接合層によって被接合物同士を接合する。
【0021】
なお、本明細書中において、「平均粒径」とは、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)から算出される平均一次粒子径をいう。この「平均一次粒子径」は、銅粒子を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)により倍率2万倍で観察し、無作為に選んだ視野内で観察される銅粒子(一次粒子)の中で長径が測定可能な全ての銅粒子の総数が200〜500個程度になる正方形の測定範囲において、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マウンテック社製のMac−View Ver.4)を用いて、各々の銅粒子の最長の長さを測定し、個数基準の粒径分布の累積値が50%を示す50%粒径として算出することができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明による接合材およびそれを用いた接合方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、硝酸銅三水和物の濃度が50.2質量%の硝酸銅溶液1174.6gに純水486.9gを加えて希釈した硝酸銅水溶液と、クエン酸一水和物92.3gを純水687gに溶解させたクエン酸水溶液とを混合した混合溶液を用意した。また、苛性ソーダの濃度が48.7質量%の苛性ソーダ水溶液449.1gと純水678gを混合した後に5Lの反応槽内に入れて反応槽の上部から4.0L/分の流量で窒素を導入することにより窒素脱気した苛性ソーダ水溶液を用意するとともに、抱水ヒドラジン(大塚化学工業株式会社製の80%ヒドラジン水和物)26.6gを純水687gに溶解させたヒドラジン水和物溶液を用意した。
【0023】
次に、攪拌機を備えた5Lビーカー内に上記の苛性ソーダ水溶液を入れて液温を27℃に保持し、回転数350rpmで攪拌しながら上記の混合溶液を添加して水酸化銅を生成させ、その後、上記のヒドラジン水和物溶液を添加して70℃に昇温させた後、2時間保持して亜酸化銅を生成させることによって亜酸化銅スラリー溶液を作製した。
【0024】
このようにして得られた亜酸化銅スラリー溶液に抱水ヒドラジン(大塚化学工業株式会社製の80%ヒドラジン水和物)113.9gを添加した後、90℃に昇温して銅粉スラリー溶液を得た。この銅粉スラリー溶液を固液分離し、固形分を純水で十分に水洗した後、窒素雰囲気中において110℃で9時間乾燥させて銅粉を得た。このようにして得られた銅粉を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)(株式会社日立製作所製のS−4700)で観察したところ、略球状の粒子であり、平均粒径を算出すると、0.5μmであった。また、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA−220V)により、銅粉中の炭素含有量を求めたところ、炭素含有量は0.057質量%であった。
【0025】
次に、得られた銅粉20.666g(86.9質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)3.124g(13.1質量%)とを混合して得られた混合物をディスポカップに入れ、混練脱泡機(株式会社EME製のV−mini300型)を公転速度1400rpm、自転速度700rpmで30秒間混練する操作を2回行った後、別のディスポカップに入れ替えて同じ混練を2回行うことにより、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0026】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)の分散状態を目視により観察したところ、液分離がなく、分散状態は良好であった。また、この接合材(銅ペースト)の粘度をレオメーター(粘弾性測定装置)(Thermo社製のHAAKE Rheostress 600、使用コーン:C35/2°)により求めたところ、25℃において5rpmで42(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0027】
また、工業用アルコール(日本アルコール販売株式会社製のソルミックスAP7)で脱脂した後に10%の硫酸で処理した10mm×10mm×2mmの大きさの(無酸素銅C1020からなる)純銅板3枚と、Agめっきを施した3mm×3mm×0.3mmの大きさのSiチップ3つを用意した。
【0028】
次に、各々の銅板上に厚さ50μmのメタルマスクを配置し、上記の接合材(銅ペースト)を4mm×4mmの大きさで厚さ50μmになるように銅板上に塗布した。
【0029】
このようにして接合材が塗布された各々の銅板を接合装置(フリップチップボンダー)(ハイソル株式会社製のM90 DON−400)内に設置し、窒素雰囲気中において100℃で加熱して予備乾燥した後、25℃まで冷却して接合材上にSiチップを載せ、接合材とSiチップの間に荷重をかけながら、25℃から昇温速度10℃/sで焼成温度まで昇温させ、この焼成温度で5分間保持する焼成を行って、銅ペースト中の銅を焼結させて銅接合層を形成し、この銅接合層によってSiチップを銅板に接合した。なお、3枚の銅板には、それぞれ予備乾燥時間を10分間、荷重を5MPa、焼成温度を350℃とする第1の接合条件、予備乾燥時間を5分間、荷重を10MPa、焼成温度を300℃とする第2の接合条件、予備乾燥時間を5分間、荷重を10MPa、焼成温度を350℃とする第3の接合条件によって、Siチップを接合した。
【0030】
このようにして得られた接合体について、高精度超音波顕微鏡(C−SAM)(SONOS社製のD9500)を使用して50MHzで接合面の直径0.1mm以上のボイド(空孔)を観察し、接合面のボイド率(接合面の面積に対してボイドが占める面積の割合)を測定したところ、いずれもボイド率は0%と低く、良好であった。また、接合強度試験機(ボンドテスター)(DAGE社製のシリーズ4000)を使用して、シア強度(Siチップを横方向から(水平方向に)押してSiチップが銅板から剥がれたときの力)をシア高さ50μm、試験速度5mm/分で測定したところ、シア強度はそれぞれ84MPa、9MPaおよび100MPaと高く、良好であった。
【0031】
[実施例2]
まず、硝酸銅三水和物の濃度が50.1質量%の硝酸銅溶液1412.3gに純水249.2gを加えて希釈した硝酸銅水溶液と、クエン酸一水和物110.8gを純水684.3gに溶解させたクエン酸水溶液とを混合した後に5Lの反応槽内に入れて反応槽の上部から4.0L/分の流量で窒素を導入することにより窒素脱気した混合溶液を用意した。また、苛性ソーダの濃度が48.8質量%の苛性ソーダ水溶液538gと純水589gを混合した苛性ソーダ水溶液を用意するとともに、抱水ヒドラジン(大塚化学工業株式会社製の80%ヒドラジン水和物)31.9gを純水684.3gに溶解させたヒドラジン水和物溶液を用意した。
【0032】
次に、攪拌機を備えた5Lビーカー内に上記の硝酸銅水溶液を入れて液温を27℃に保持し、回転数350rpmで攪拌しながら上記の苛性ソーダ水溶液を添加して水酸化銅を生成させ、35℃に昇温させた後、上記のヒドラジン水和物溶液を添加して50℃に昇温させ、その後、2時間保持して亜酸化銅を生成させることによって亜酸化銅スラリー溶液を作製した。
【0033】
このようにして得られた亜酸化銅スラリー溶液に抱水ヒドラジン(大塚化学工業株式会社製の80%ヒドラジン水和物)136.9gを添加した後、90℃に昇温して銅粉スラリー溶液を得た。この銅粉スラリー溶液を固液分離し、固形分を純水で十分に水洗した後、窒素雰囲気中において110℃で9時間乾燥させて銅粉を得た。このようにして得られた銅粉を実施例1と同様の方法により観察したところ、略球状の粒子であり、平均粒径を算出すると0.4μmであった。また、銅粉中の炭素含有量を実施例1と同様の方法により求めたところ、炭素含有量は0.028質量%であった。
【0034】
次に、得られた銅粉19.9968g(86.4質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)3.1368g(13.6質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0035】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで37(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0036】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、いずれもボイド率は0%と低く、シア強度はそれぞれ87MPa、23MPaおよび22MPaと高く、いずれも良好であった。
【0037】
[実施例3]
まず、5Lの反応槽内に純水3800gを入れ、反応槽の下部から0.5L/分の流量で空気を吹き込み、反応槽内の攪拌棒を回転させた。次に、錯化剤としてクエン酸一水和物(扶桑化学工業株式会社製)5.33gを反応槽内に投入するとともに、亜酸化銅(日進ケムコ株式会社製のNC−301、平均粒径2.5μm)43.17gとを反応槽内に投入して、30℃で2時間反応させて錯体化処理を行った後、空気の供給を停止して反応槽の上部から2.0L/分の流量で窒素を導入した。次に、90℃まで昇温を行い、還元剤として抱水ヒドラジン(大塚化学工業株式会社製の80%ヒドラジン水和物)40.2gを反応槽内に投入して還元反応を行い1時間保持した後、攪拌を止め、洗浄し、乾燥させて、銅粉を得た。このようにして得られた銅粉を実施例1と同様の方法により観察したところ、略球状の粒子であり、平均粒径を算出すると0.2μmであった。また、銅粉中の炭素含有量を実施例1と同様の方法により求めたところ、炭素含有量は0.183質量%であった。
【0038】
次に、得られた銅粉20.0471g(87.0質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)3.0047g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0039】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、凝集気味であったが、分散状態はほぼ良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで18(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0040】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第1の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は3%と低く、シア強度は38MPaと高く、いずれも良好であった。
【0041】
[比較例1]
亜酸化銅スラリー溶液に抱水ヒドラジンを添加する際にゼラチン類としてコラーゲンペプチド(新田ゼラチン株式会社製のコラーゲンペプチド800F)35.1gを添加した以外は、実施例2と同様の方法により、ゼラチン類で被覆された銅粉を得た。このようにして得られた(ゼラチン類で被覆された)銅粉を実施例1と同様の方法により観察したところ、略球状の粒子であり、平均粒径を算出すると約0.3μmであった。また、銅粉中の炭素含有量を実施例1と同様の方法により求めたところ、炭素含有量は0.347質量%であった。
【0042】
次に、得られた(ゼラチン類で被覆された)銅粉20.2517g(86.4質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)3.1805g(13.6質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法(の第1の接合条件)により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0043】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、若干プラズモンがあったが、分散状態はほぼ良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで59(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)はほぼ良好であった。
【0044】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第1および第3の接合条件)により接合体の作製を試みたところ、いずれもSiチップを銅板に接合することができなかった。また、荷重を10MPaと高くした以外は、実施例1と同様の方法により接合体の作製を試みたが、Siチップを銅板に接合することができなかった。
【0045】
[実施例4]
まず、硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)2.240kgを純水5.353kgに溶解させた硫酸銅水溶液と、苛性ソーダの濃度が48.4質量%の苛性ソーダ水溶液1.840kgに純水6.800kgを加えて希釈したアルカリ水溶液を用意した。
【0046】
次に、温度27.6℃に保持した上記のアルカリ水溶液に温度27.3℃の上記の硫酸銅水溶液を添加して、強撹拌した後、液温を36.0℃に昇温して保持し、液中に水酸化銅が析出した水酸化銅懸濁液を得た。なお、上記の硫酸銅水溶液に上記のアルカリ水溶液を添加したときの液中の銅に対する苛性ソーダの当量比は1.24である。
【0047】
次に、2.419kgのブドウ糖を純水3.433kgに溶解させたブドウ糖水溶液を、窒素雰囲気下において、上記の水酸化銅懸濁液に添加し、30分間で液温を70.6℃まで昇温した後、30分間保持した。
【0048】
この水酸化銅懸濁液中に2.26L/分の流量で空気を導入して200分間バブリングした後、窒素雰囲気下で1日間静置し、その後、上澄み液を除去して、沈殿物をほぼ全量採取し、この沈殿物に純水2.32kgを加えて、4.80kgの亜酸化銅懸濁液を得た。
【0049】
このようにして得られた亜酸化銅懸濁液を反応槽内に入れて撹拌しながら、45.0℃に保持して、抱水ヒドラジン(80.5%のヒドラジン一水和物)1.25当量(亜酸化銅を全て還元するために必要な化学量論の1.25倍の量)を添加した後、30分間で50.0℃まで昇温し、さらに70分間で85.0℃まで昇温して保持し、抱水ヒドラジン(80.5%のヒドラジン一水和物)0.600当量を分割して30分間で添加して、全ての亜酸化銅を銅に還元し、銅粉スラリー溶液を得た。この銅粉スラリー溶液を固液分離し、固形分を純水で十分に水洗した後、窒素雰囲気中において110℃で9時間乾燥させて銅粉を得た。このようにして得られた銅粉を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)(株式会社日立製作所製のS−4700)で観察したところ、略球状の粒子であり、平均粒径を算出すると、1.0μmであった。また、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA−220V)により、銅粉中の炭素含有量を求めたところ、炭素含有量は0.019質量%であった。
【0050】
次に、得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0051】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで32.0(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0052】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第1の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は14.6MPaと高く、いずれも良好であった。
【0053】
[比較例2]
まず、硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)2.240kgを純水5.353kgに溶解させた硫酸銅水溶液と、苛性ソーダの濃度が48.4質量%の苛性ソーダ水溶液1.840kgに純水6.800kgを加えて希釈したアルカリ水溶液を用意した。
【0054】
次に、温度27.6℃に保持した上記のアルカリ水溶液に温度27.3℃の上記の硫酸銅水溶液を添加して、強撹拌した後、液温を36.0℃に昇温して保持し、液中に水酸化銅が析出した水酸化銅懸濁液を得た。なお、上記の硫酸銅水溶液に上記のアルカリ水溶液を添加したときの液中の銅に対する苛性ソーダの当量比は1.24である。
【0055】
次に、2.419kgのブドウ糖を純水3.433kgに溶解させたブドウ糖水溶液を、窒素雰囲気下において、上記の水酸化銅懸濁液に添加し、30分間で液温を70.6℃まで昇温した後、30分間保持した。
【0056】
この水酸化銅懸濁液中に2.26L/分の流量で空気を導入して200分間バブリングした後、窒素雰囲気下で1日間静置し、その後、上澄み液を除去して、沈殿物をほぼ全量採取し、この沈殿物に純水2.32kgを加えて、4.80kgの亜酸化銅懸濁液を得た。
【0057】
このようにして得られた亜酸化銅懸濁液を反応槽内に入れて撹拌しながら、45.0℃に保持して、抱水ヒドラジン(80.5%のヒドラジン一水和物)0.223当量(亜酸化銅を全て還元するために必要な化学量論の0.223倍の量)を添加した後、30分間で49.1℃まで昇温し、抱水ヒドラジン(80.5%のヒドラジン一水和物)0.668当量を分割して120分間で添加し、その後、140分間で84.1℃まで昇温して保持し、抱水ヒドラジン(80.5%のヒドラジン一水和物)1.055当量を分割して150分間で添加して、全ての亜酸化銅を銅に還元し、銅粉スラリー溶液を得た。この銅粉スラリー溶液を固液分離し、固形分を純水で十分に水洗した後、窒素雰囲気中において110℃で9時間乾燥させて銅粉を得た。このようにして得られた銅粉を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)(株式会社日立製作所製のS−4700)で観察したところ、略球状の粒子であり、平均粒径を算出すると、3.0μmであった。また、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA−220V)により、銅粉中の炭素含有量を求めたところ、炭素含有量は0.051質量%であった。
【0058】
次に、得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0059】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで5.7(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0060】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は20%と高く、シア強度は4.2MPaと低く、いずれも良好でなかった。
【0061】
[実施例5]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としての1−デカノール(和光純薬工業株式会社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0062】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで7.6(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0063】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は12.2MPaと高く、いずれも良好であった。
【0064】
[実施例6]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としての1−ドデカノール(東京化成工業株式会社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0065】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで16.8(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0066】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は14.7MPaと高く、いずれも良好であった。
【0067】
[実施例7]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)1.0g(6.5質量%)および2−メチルブタン−1,2,4−トリオール(日本テルペン化学株式会社製のIPLT−B)1.0g(6.5質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0068】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで96.4(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0069】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は11.6MPaと高く、いずれも良好であった。
【0070】
[実施例8]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としての2,5ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0071】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで16.8(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0072】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は12.2MPaと高く、いずれも良好であった。
【0073】
[実施例9]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としての2−(2−ヘキシルオキシ)エトキシ)エタノール(日本乳化剤株式会社製のヘキシルジグリコール)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0074】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで10.1(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0075】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は19.0MPaと高く、いずれも良好であった。
【0076】
[実施例10]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としての2−(1−メチル−1−(4−メチル−3−シクロヘキシル)エトキシ)エタノール(日本テルペン化学株式会社製のテルソルブTOE−100)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0077】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで46.0(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0078】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は13.3MPaと高く、いずれも良好であった。
【0079】
[実施例11]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、溶剤としてのテルピネオール(和光純薬工業株式会社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0080】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで41.6(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0081】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は25.8MPaと高く、いずれも良好であった。
【0082】
[実施例12]
実施例2で得られた銅粉12.0g(80.0質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(和光純薬工業株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)3.0g(20.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得た。
【0083】
このようにして得られた接合材(銅ペースト)について、実施例1と同様の方法により、分散状態を観察したところ、分散状態は良好であった。また、実施例1と同様の方法により、粘度を求めたところ、粘度は25℃において5rpmで4.6(Pa・s)であり、印刷性(印刷適性)は良好であった。
【0084】
また、得られた接合材を用いて、実施例1と同様の方法(の第2の接合条件)により得られた接合体について、実施例1と同様の方法により、接合面のボイド率とシア強度を測定したところ、ボイド率は0%と低く、シア強度は22.0MPaと高く、いずれも良好であった。
【0085】
[比較例3]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、グリコールエーテル系溶剤としてのジブチルジグリコール(日本乳化剤株式会社社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得ることを試みたが、ペースト状にすることができなかった。
【0086】
[比較例4]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、炭素水素系溶剤としてのテトラデカン(東京化成工業株式会社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得ることを試みたが、ペースト状にすることができなかった。
【0087】
[比較例5]
実施例2で得られた銅粉13.1g(87.0質量%)と、グリコールエーテル系溶剤としての酢酸ブチルカルビトール(和光純薬工業株式会社製)2.0g(13.0質量%)とを混合して得られた混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅ペーストからなる接合材を得ることを試みたが、ペースト状にすることができなかった。