特許第5941637号(P5941637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5941637置換2−(クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール及び医薬としてのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941637
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】置換2−(クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール及び医薬としてのその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/12 20060101AFI20160616BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20160616BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20160616BHJP
   A61K 31/427 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/428 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/437 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/438 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/444 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/496 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/497 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/506 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/538 20060101ALN20160616BHJP
   A61K 31/55 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 9/04 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 9/06 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 9/10 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 9/12 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20160616BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20160616BHJP
【FI】
   C07D417/12CSP
   C07D417/14
   C07D487/04 137
   C07D487/04 139
   C07D471/04 108A
   C07D513/04 331
   C07D513/04 355
   C07D487/08
   C07D471/04 101
   C07D471/10 101
   !A61K31/427
   !A61K31/428
   !A61K31/4439
   !A61K31/437
   !A61K31/438
   !A61K31/444
   !A61K31/4545
   !A61K31/496
   !A61K31/497
   !A61K31/506
   !A61K31/519
   !A61K31/5377
   !A61K31/538
   !A61K31/55
   !A61P43/00 111
   !A61P9/04
   !A61P9/06
   !A61P9/10
   !A61P9/12
   !A61P25/28
   !A61P13/12
   !A61P43/00
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】132
(21)【出願番号】特願2011-198083(P2011-198083)
(22)【出願日】2011年9月12日
(65)【公開番号】特開2013-60371(P2013-60371A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年9月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルンガルト・ツェッヒティツキー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウェストン
(72)【発明者】
【氏名】ニールス・ラッケルマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ポーデシュヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ペートラ・アルント
(72)【発明者】
【氏名】クラオス・ヴィルト
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ・ゲーゲライン
(72)【発明者】
【氏名】オラフ・リッツェラー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・クラフト
(72)【発明者】
【氏名】パトリス・ベルヴェルギュ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー・マコート
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−199941(JP,A)
【文献】 特表2006−509939(JP,A)
【文献】 特表2014−531429(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/006452(WO,A1)
【文献】 特表2006−516271(JP,A)
【文献】 特表2009−521471(JP,A)
【文献】 Database REGISTRY,2011年 4月14日,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 6 August 2015, RN 1279890-12-8, 1279890-09-3, 1279889-90-5, 1279877-68-7, 1279877-62-1, 1279854-03-3, 1279853-98-3, 1279853-96-1, 1279853-94-9, 1279853-92-7, 1279853-89-2, 1279853-83-6, 1279850-74-6, 1279850-69-9, 1279850-63-3, 1279850-59-7, 1279850-55-3, 1279850-49-5, 1279845-94-1, 1279842-97-5, 1279839-59-6, 1279836-51-9, 1279834-79-5, 1279832-35-7, 1279832-01-7, 1279831-64-9, 1279828-61-3, 1279828-55-5, 1279825-35-2, 1279825-18-1, 127982
【文献】 Database REGISTRY,2011年 4月12日,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 6 August 2015, RN 1279038-00-4, 1279036-20-2, 1279036-05-3, 1279035-96-9
【文献】 日本化学会,実験化学講座,日本,丸善,1992年,第4版,20巻,P282
【文献】 日本化学会,実験化学講座,日本,丸善,1992年,第4版,22巻,P125, 138, 144, 148, 151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D401/00−421/14
C07D471/00−471/22
C07D487/00−491/22
C07D498/00−498/22
C07D513/00−521/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の式I:
【化1】
[式中、
Arは、フェニル及び5員又は6員の単環式芳香族へテロ環から成る系列から選択され、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており、上記において、該へテロ環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の、同一又は相異なる環へテロ原子を含み、そして環炭素原子を介して結合しており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル、Het1、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−、フェニル−O−、Het1−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から選択され、
そしてAr中の隣接する環炭素原子に結合する二つの基R1は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環を形成することができ、該環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして、該環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−、R5−N(R6)−CH2−、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−
から成る系列から選択され、;
R4は、水素であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル、フェニル、Het1及びHet2から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、
又は、
基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該へテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されており;
R7は、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニル、Het2及びHet3から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換され、そしてフェニル及びHet3は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択され;
R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択され;
R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から選択され、そしてR7中の隣接する環炭素原子に結合している二つの置換基R13は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環を形成することができ、該環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含み、そして該環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2、3又は4個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い、同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル−(C1−C4)−アルキル−及びHet1−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル−(C1−C4)−アルキル−及びHet1−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって4員〜7員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R19は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル−(C1−C4)−アルキル−及びHet1−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R18−O−C(O)−N(R17)−、NC−、R18−C(O)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択され;
Het1は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員又は6員の単環式芳香族へテロ環であり、該へテロ環は、非置換であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
Het2は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、4員〜10員の単環式又は二環式の、飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環であり;
Het3は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員〜10員の、単環式又は二環式の芳香族ヘテロ環であり;
nは、0、1及び2から成る系列から選択され、上記において、数nは、すべて、互いに独立しており;
上記において、別途明記しない限り、フェニル基は、すべて、非置換であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び−O−(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
上記において、シクロアルキル及びビシクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル又はビシクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい]
の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Arは、フェニル、チオフェニル、ピリジニル及びピラジニルから成る系列から選択され、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−、R5−N(R6)−CH2−、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、
又は、
基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該へテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されており;
R7は、(C1−C6)−アルキル、Het2及びHet3から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そしてHet3は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され;
R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され;
R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から選択され;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2又は3個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該環
は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該ヘテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R19は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から選択され;
Het2は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環であり;
Het3は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員〜10員の、単環式又は二環式の芳香族ヘテロ環であり;
nは、0、1及び2から成る系列から選択され、上記において、数nは、すべて、互いに独立しており;
上記において、シクロアルキル及びビシクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル又はビシクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい、
任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1に記載の式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Arは、フェニル、チオフェニル、ピリジニル及びピラジニルから成る系列から選択され、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−、R5−N(R6)−CH2−、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−
シクロアルキルから成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、
又は、
基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式又は二環式飽和ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素及び酸素から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該ヘテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されており;
R7は、(C1−C6)−アルキル及びHet3から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そしてHet3は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され;
R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、HOS(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から選択され;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2又は3個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該ヘテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R19は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2
P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から選択され;
Het3は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員〜10員の、単環式又は二環式芳香族ヘテロ環であり;
上記において、シクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい、
任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1または2に記載の式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
式Ie:
【化2】
の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R2が、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R2が、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式Ie:
【化3】
[式中、
Arは、フェニルであり、該フェニルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
基R5及びR6の一方は、水素であり、そして基R5及びR6の他方は、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R11は、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2又は3個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の、単環式飽和ヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から選択され;
上記において、シクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい]
の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
式Ie:
【化4】
[式中、
Arは、フェニルであり、該フェニルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
基R5及びR6の一方は、水素であり、そして基R5及びR6の他方は、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており;
R10は、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R11は、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
又は
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の、単環式飽和ヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
上記において、シクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい]
の化合物である、請求項1〜5及び7のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
次の化合物:
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エチル]−アミド、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸シクロプロピルアミド、
2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−N−[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アセトアミド、
イソオキサゾール−5−カルボン酸[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
4−メチル−2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(イソオキサゾール−5−イルメチル)−アミド、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
リン酸モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−クロロ−ピリジン−4−イルメチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)−アミド、
1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド、
2−((R)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド及び
[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−ピリジン−4−イルメチル−アミン
から成る系列から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
式Iの化合物が、同時に、基Arが非置換のフェニル又は3−フルオロフェニルであり、基R3及びR4が水素であり、基R5及びR6の一方が水素であり、基R5及びR6の他方がR40−(C1−C4)−アルキル−であり、そしてR7がR40であるか又はR40−(C1−C4)−アルキル−であり、ここでR40が非置換であるか又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる(C1−C4)−アルキル置換基によって置換されてい
るピラゾリルであるという、化合物ではないという条件下であり、ならびに、これら除外された化合物が遊離化合物としておよびそれらの2,2,2−トリフルオロ酢酸塩の形態で除外されるという条件下である、任意の立体異性体形態の若しくは任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミドである、任意の立体異性体形態の若しくは任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項12】
2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミドである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項13】
イソオキサゾール−5−カルボン酸[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミドである、任意の立体異性体形態の若しくは任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミドである、任意の立体異性体形態の若しくは任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項15】
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミドである、任意の立体異性体形態の若しくは任意の比率の立体異性体形態の混合物の、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項16】
リン酸モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項17】
2−((R)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミドである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項18】
リン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル・二ナトリウム塩である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の式Iの化合物を製造する方法であって、
【化5】
式XVの化合物を式XVIの化合物に環化することと、式XVIの化合物を式IIの化合物に変換することと、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させ、式IVの化合物を生ぜしめることと、そして式IVの化合物を式Iの化合物に変換すること[上式で、式II、III、IV、XV及びXVIの化合物中の基Ar、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、式XVの化合物中の基G2は、ヒドロキシ基又は求核置換可能な脱離基であり、式XV及びXVIの化合物中の基G3は、臭素又は(C1−C4)−アルキル−O−であり、そして式III及びIVの化合物中の基Yは、R50−O−C(O)−、H−C(O)−又はNC−(上式で、R50は(C1−C4)−アルキルである)である]を含んでなる、上記方法。
【請求項20】
基Arを担持するキラル炭素原子が一様な立体配置で存在する、式Iqの化合物を製造する、請求項19に記載の方法であって、
【化6】
基Arを担持するキラル炭素原子が一様な立体配置で存在する式XVaの化合物を式XVIaの化合物に環化することと、式XVIaの化合物を式IIaの化合物に変換することと、式IIaの化合物を式IIIの化合物と反応させ、式IVdの化合物を生ぜしめることと、そして式IVdの化合物を式Iqの化合物に変換すること[上式で、式Iq、IIa、III、IVd、XVa及びXVIaの化合物中の基Ar、R2、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、式XVaの化合物中の基G2、式XVa及びXVIaの化合物中の基G3、及び式III及びIVdの化合物中の基Yは、請求項19に記載の式XV、XVI、III及びIVの化合物中の定義と同様である]を含んでなる、上記方法。
【請求項21】
医薬として使用するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項22】
ナトリウム・カルシウム交換輸送体(NCX)の阻害剤として、又は心不全、心不整脈、脳卒中、認知症、高血圧、心虚血、腎不全、ショック又は加齢性障害の処置において使用するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の、任意の立体異性体形態の、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物の、式Iの化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【化1】
[式中、Ar、R2、R3及びR4は、下記の定義と同様である]
の置換2−(クロマン−6−イルオキシ)−チアゾールに関する。
【0002】
式Iの化合物は、ナトリウム・カルシウム交換輸送体(sodium-calcium exchanger)(NCX)、殊にナトリウム・カルシウム交換輸送体サブタイプ1(NCX1)の阻害剤であり、細胞内カルシウムホメオスタシスが妨げられている、不整脈、心不全及び脳卒中(stroke)の処置に適切である。更に本発明は、式Iの化合物の製造方法、医薬としてのその使用、及びそれらを含んでなる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
過去10年間にわたって、心不全(HF)、すなわち、うっ血性心不全(CHF)を管理する主要な薬理学的進歩が達成されてきた。ベータブロッカー及びレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系の阻害剤は、CHFにおける死亡率及び症状の改善に関して好ましい作用を有することが見出されている(非特許文献1)。それにもかかわらず、罹患率及び死亡率は容認できないほどに高いままである。逆説的に言えば、部分的にはこうした処置の取り組みが成功しているために、CHF、特により重篤な種類のCHFに罹患している患者の数は一層増加している。すなわち、CHF転帰を改善し、そしてクオリティ・オブ・ライフを高めることに役立つことができる薬剤のニーズが依然としてある。細胞のカルシウム及びナトリウムレベルを調節することに関与している輸送タンパク質であるナトリウム・カルシウム交換輸送体(NCX)のブロッカー(blockers)は、CHFの予後及びクオリティ・オブ・ライフを改善する潜在力を有している。
【0004】
NCXの機能は、心筋細胞及びニューロンなどの他の種類の細胞内のカルシウムを押し出すことである。CHFでは、このNCXはアップレギュレートされることが確認されてきており、その結果、細胞内カルシウムが取り除かれ、更に心筋収縮力が減少する(非特許文献2;3)。CHFにおける心力不全は、不可逆的構造変化及び心筋の喪失によるのみならず、細胞内カルシウムホメオスタシスの障害を含む有害な機能的変化による。後者はNCXの阻害によって処置することができる。三つのサブタイプのNCXが述べられてきている。心臓ではサブタイプ1が主として発現される。
【0005】
NCXを介して、カルシウムはナトリウムと変換され、そして細胞外ナトリウムは交換輸送体の駆動力である。交換輸送体の化学量論は、3つのナトリウムイオンが1つのカルシウムイオンの押し出しのために細胞に入ることである。この化学量論によって、事実上脱分極される正の内部電流が生じる。この脱分極電流は、十分な大きさである場合は、遅延後脱分極(delayed after-depolarizations)(DADs)と呼ばれるあるタイプの不整脈を起こす(非特許文献4;5; 6)。このタイプの不整脈はまた、撃発活動(triggered activity)とも呼ばれる。NCX誘発脱分極電流から生じる期外収縮(premature beats)によって、頻脈の発現、心室粗動又は心室細動などのより複雑かつ不可逆性の不整脈が生じうる。
【0006】
心力不全、又は心不全を有している患者は、通例、不整脈及び不整脈死をこうむる。CHFにおける死亡数の約50%は不整脈死による。それ故、NCX遮断(blockade)は、心力不全及び関連する症状を改善し、並びに不整脈死を減少させる手段である。現在使用されている陽性変力性作用薬は、ホスフォジエステラーゼ阻害剤の場合のように死亡率を増加させるか、あるいは陽性変力作用による心力不全を改善することによって達成されるプラスの作用(positive effects)を消滅させる不整脈誘発作用と係わり合いを持っている(非特許文献7)。一方、いくつかの臨床的に有用な抗不整脈薬は、心不全の症状を悪化させる、心臓に対する陰性変力作用を有する。NCXブロッカー(NCX遮断剤:NCX blockers)は、CHFの2つの大きな問題、心力不全及び不整脈に対応することができるという点において治療的にユニークである。
【0007】
NCX遮断(NCX blockade)については、心不全のニューヨーク心臓協会の機能分類(the New York Heart Association Functional Classification of heart failure)に従ってナイハ(NYHA)分類III及びIVのようなCHFの進行した段階[この段階において、治療オプション、すなわち、ベータブロッカー、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系の阻害剤、利尿薬及び血管拡張剤が、すでに十分に利用されている]が、特に関心を起こさせる。末期HFに進行している高齢患者は、新たに出現しつつある集団となっている。この末期段階では、血圧がすでに心力不全の結果として低下しているので、血管拡張剤作用は、かなりの患者でもはや価値がない。陽性変力性作用薬としてのホスフォジエステラーゼ阻害剤は、不整脈誘発という欠点にのみならず血管拡張作用という困難に遭遇する。
【0008】
心房細動(AF)は最も頻発する不整脈である。米国及び欧州連合(European Union)で約680万人の患者がAFに冒されており、そして人口が高齢化していること並びに心筋梗塞、冠状動脈疾患及びうっ血性心不全には効果的である処置があることのために、AFの有病率は大きく上昇しつつある。AFによって、すべての発作のうちの約25%が生じ、死亡率が上昇する。また、AFではNCXのアップレギュレーションが示されている(非特許文献8)。NCXのアップレグレーションは、NCXの催不整脈作用によるAFの誘発及びその維持に関与する場合があり、それ故NCXブロッカーは、AFの治療及び予防において治療的に好都合な作用を有する。AFは、老齢化人口において増加している疾患であり、そして患者の約45%まででは心不全に高い頻度で係わりあっている(非特許文献9)ので、NCXブロッカーはAF及びCHFに罹患している患者に特に好都合であることになる。
【0009】
NCXブロッカーはまた、陽性変力作用を心房に働かせるので、そうしたものは心室充満が心室スティフニング(ventricular stiffening)の結果として深刻な問題である拡張期心不全び場合に特に好ましい可能性がある。より活発な心房収縮は拡張期心不全における心室充満を改善することになる。
【0010】
心臓の拍出量が減少すると、腎臓、脳及び心臓などの器官の灌流に有害な作用を及ぼすので、心臓の収縮力を増加させるNCXの阻害は、脳卒中、認知症及びアルツハイマー病、腎不全並びに心虚血の治療又は予防のために、脳、心臓及び腎臓の灌流を改善することができる。NCXはまた、食塩感受性高血圧に関与するので、その阻害はまた、高血圧の処置に適している。
【0011】
NCXの阻害剤はまた、心筋収縮力に影響を与える療法(ionotropic support)が、十分な血液供給のレベルを維持するのに必要である命にかかわる状態の処置及び予防に適している。これには、ショックの形態のすべて、血行動態ショック(hemodynamic shock)、心原性ショック及び敗血性ショックが含まれる。NCXブロッカーは、心拍数に対してニュートラルであり、そして他の心筋収縮力に影響を与える薬物の催不整脈性又は血管拡張又は血管収縮特性がないので、こうした状態を処置するのに特に適している。
【0012】
脳卒中では、脳卒中で生じる神経細胞低酸素状態では、このNCXは、その輸送方向を逆モードに転換させ、そしてカルシウムオーバーロードに導くカルシウムを細胞に供給するので、NCXブロッカーは予後を改善する可能性を有している。このことは、過剰の細胞内カルシウム濃度のために細胞死の加速を招く。更に、心臓拍出量が低下すると、脳卒中に好都合である脳虚血に繋がりうる。NCXブロッカーは、心臓拍出量を増加し、脳灌流を増大させることができる。それ故、NCXブロッカーは、脳卒中の治療及び予防における可能性を有する(非特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP 0978506
【特許文献2】JP 2008/189592
【特許文献3】WO 2004/000813
【特許文献4】WO 2004/063191
【特許文献5】WO 03/006452
【特許文献6】WO 02/32883
【特許文献7】WO 97/09306
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】K. Dickstein et al., Eur. J. Heart Fail. 10 (2008): 933-989
【非特許文献2】M. Flesch et al., Circulation 94 (1996): 992-1002
【非特許文献3】G. Hasenfuss et al., Circulation 99 (1999): 641-648
【非特許文献4】D. M. Bers et al., Ann. N. Y. Acad. Sci. 1080 (2006): 165-177
【非特許文献5】K. R. Sipido et al., Pflugers Arch. 430 (1995): 871-878
【非特許文献6】A. O. Verkerk et al., Circulation 104 (2001): 2728-2733
【非特許文献7】J. T. Parissis et al., Curr. Opin. Crit. Care 16 (2010): 432-441
【非特許文献8】U. Schotten et al., Cardiovasc. Res. 53 (2002): 192-201
【非特許文献9】I. Savelieva et al., Europace. 5 Suppl 1 (2004): S5-S19
【非特許文献10】T. Matsuda et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 298 (2001): 249-2569
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このNCXを阻害することができるいくつかの化合物は、すでに、例えば、特許文献1〜7中に記載されている。しかしながら、このNCXを阻害し、そして言及した疾患状態の処置における医薬としての使用に適切である、更なる化合物のニーズが依然として存在する。式Iの化合物がナトリウム・カルシウム交換輸送体(NCX)、殊にナトリウム・カルシウム交換輸送体サブタイプ1(NCX1)の優れた阻害剤であり、そしてこうした使用に好都合な特性プロフィールを有していることを今般見出した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち、この発明の対象(subject)は、式Iの化合物の任意の立体異性体形態及び任意の比率の立体異性体形態の混合物を含む、式I:
【化2】
[式中、
Arは、フェニル及び5員又は6員の単環式芳香族へテロ環から成る系列から選択され、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており、上記において、該へテロ環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の、同一又は相異なる環へテロ原子を含み、そして環炭素原子を介して結合しており;
【0017】
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル、Het1、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−、フェニル−O−、Het1−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から選択され、
そしてAr中の隣接する環炭素原子に結合する二つの基R1は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環(mono-unsubstituted ring)を形成することができ、該5員〜7員のモノ不飽和の環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該5員〜7員のモノ不飽和の環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−、R5−N(R6)−CH2−、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル、フェニル、Het1及びHet2から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、
【0018】
又は、
基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式若しくは二環式の飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環を形成し、該4員〜10員の、単環式若しくは二環式の飽和又は部分的に不飽和のへテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該4員〜10員の、単環式若しくは二環式の飽和又は部分的に不飽和のへテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されており;
R7は、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニル、Het2及びHet3から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い、同一又は相異なる置換基R10によって置換されており、そしてフェニル及びHet3は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択され;
R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択され;
【0019】
R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から選択され、そしてR7中の隣接する環炭素原子に結合している二つの置換基R13は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環を形成することができ、該5員〜7員のモノ不飽和の環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される、0、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含み、そして該5員〜7員のモノ不飽和の環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2、3又は4個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い、同一又は相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル−(C1−C4)−アルキル−及びHet1−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル−(C1−C4)−アルキル−及びHet1−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
【0020】
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該4員〜7員の単環式飽和へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該4員〜7員の単環式飽和へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R19は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル−(C1−C4)−アルキル−及びHet1−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R18−O−C(O)−N(R17)−、NC−、R18−C(O)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択され;
【0021】
Het1は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員又は6員の単環式芳香族へテロ環であり、該5員又は6員の単環式芳香族へテロ環は、非置換であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
Het2は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和であるか、又は部分的に不飽和であるヘテロ環であり;
Het3は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員〜10員の、単環式又は二環式の芳香族へテロ環であり;
nは、0、1及び2から成る系列から選択され、上記において、数nは、すべて、互いに独立しており;
上記において、別途明記しない限り、フェニル基は、すべて、非置換であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び−O−(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
上記において、シクロアルキル及びビシクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル又はビシクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ又はそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい]
の化合物、並びにその製薬学的に許容される塩である。
【0022】
基R2及びR3が存在する、式Iの化合物及び各式において特定の環原子に結合していないすべての他の化合物中の基R2及びR3は、特定の炭素原子を対象としていないR2及びR3から出ている結合によって示されているように、空いている結合部位を有している式Iで示されているチアゾール環系の任意の二つの炭素原子、すなわち、チアゾール環系の環の4位と5位の環の位置の炭素原子に結合することができる。基R2及びR3の一方は、チアゾール環系の環の4位の炭素原子と結合し、そして基R2及びR3の他方は、チアゾール環系の環の5位の炭素原子と結合する。こうしたことに沿って、このことは、本明細書中に言及されている化合物の他の基にも適用され、例えば、式III及びIVの化合物中の基Yのように、その結合位置はそれらの式中で固定されていない。
【0023】
【化3】
【0024】
同様に、基R4が存在し、基R4が水素とは異なる式Iの化合物及びすべての他の化合物中の基R4は、クロマン環の特定の炭素原子を対象としていないR4から出ている結合によって示されているように、空いている結合部位を有している式Iで示されているクロマン環系の任意の炭素原子、すなわち、クロマン環系の環の2、3、4、5、7及び8位の環の位置の炭素原子に結合することができる。水素とは異なる基R4によって占有されていないクロマン環系の環の2、3、4、5、7及び8位の環の位置の炭素原子の空いているすべての結合部位には、水素原子が存在している。すなわち、式Iの化合物中に水素とは異なる基R4が存在していない場合には、クロマン環系の環の2、5、7及び8位の環の位置の炭素原子は、一つの水素原子を持ち、そしてクロマン環系の環の3及び4位の環の位置の炭素原子は、二つの水素原子を持つ。置換基R4が存在し、すなわち、水素とは異なるR4に相当する原子又は基が存在する場合には、一つ又はそれより多い前記水素原子は置換基R4によって置き換えられる。
【0025】
例えば、基、置換基又は数のような構造エレメントが式Iの化合物中で数回生じるうる場合には、それらはすべて、互いに独立しており、そしてそれぞれの場合に任意の指示されている意味を有することができ、そしてそれぞれの場合に、任意の他のこうしたエレメントと同一であるか、又は異なることができる。例えば、ジアルキルアミノ基では、このアルキル基は同一でも、又は異なっていてもよい。
【0026】
アルキル基、すなわち、飽和炭化水素残基は、直線(直鎖)であっても、分岐鎖であってもよい。これはまた、こうした基が置換されているか、又は別の基の一部である場合にも適用される[例えば、アルキル−O−基(アルキルオキシ基、アルコキシ基)、又はHO−置換アルキル基(HO−アルキル−、ヒドロキシアルキル基)]。それぞれの定義次第であるが、アルキル基の炭素原子の数は、1、2、3、4、5若しくは6、又は1、2、3若しくは4、又は1、2若しくは3、又は1若しくは2、又は1でありうる。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルを含むプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル及びtert−ブチルを含むブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル及びtert−ペンチルを含むペンチル、並びにn−ヘキシル、3,3−ジメチルブチル及びイソヘキシルを含むヘキシルがある。アルキル−O−基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシがある。アルキル−S(O)n−の例には、メチルスルファニル−(CH3−S−)、メタンスルフィニル−(CH3−S(O)−)、メタンスルホニル(CH3−S(O)2−)、エチルスルファニル−(CH3−CH2−S−)、エタンスルフィニル−(CH3−CH2−S(O)−)、エタンスルホニル(CH3−CH2−S(O)2−)、1−メチルエチルスルファニル−((CH32CH−S−)、1−メチルエタンスルフィニル−((CH32CH−S(O)−)、1−メチルエタンスルホニル((CH32CH−S(O)2−)がある。本発明の一実施態様では、数nは、0及び2から成る系列から選択され、上記において、数nは、すべて、互いに独立しており、そして同一であっても、相異なっていてもよい。別の実施態様では、存在する任意の数nは、それとは別に存在する場合のその意味とは独立して、0である。別の実施態様では、存在する任意の数nは、それとは別に存在する場合のその意味とは独立して、2である。
【0027】
置換アルキル基は、それぞれの化合物は、十分に安定であり、そして医薬活性化合物として適切であるということを条件として、任意の位置で置換されていてもよい。式Iの特定の基および化合物が十分に安定であり、医薬活性化合物として適切であるという前提条件は、式Iの化合物中のすべての基の定義に関して通例、適用される。置換アルキル基、具体的にHO−(C1−C4)−アルキル基の例としては、例えば、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、1−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル又は2−ヒドロキシ−1−メチルプロピルを挙げることができる。任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよいアルキル基とは、フッ素置換基によって置換されていないか[換言すれば、フッ素置換基を持っていない]、又は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは11個のフッ素置換基、又は1、2、3、4又は5個のフッ素置換基、又は1、2若しくは3個のフッ素置換基によって置換されていてもよく、前記のフッ素置換基は任意の部位に位置していてもよい。例えば、フルオロ置換アルキル基では、一つ若しくはそれより多いメチル基は、それぞれ、3個のフッ素置換基を持っていてもよく、そしてトリフルオロメチル基として存在することができ、及び/又は一つ若しくはそれより多いメチレン基(CH2)は、それぞれ、2個のフッ素置換基を持っていてもよく、そしてジフルオロメチレン基として存在することができる。フッ素による基の置換に関する説明はまた、基が更に他の置換基を担持する場合及び/又は別の基の一部である場合[例えば、アルキル−O−基]にも適用される。フルオロ置換アルキル基の例には、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル及びヘプタフルオロイソプロピルがある。フルオロ置換アルキル−O−基の例には、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ及び3,3,3−トリフルオロプロポキシがある。フルオロ置換アルキル−S(O)n−基の例には、トリフルオロメチルスルファニル−(CF3−S−)、トリフルオロメタンスルフィニル−(CF3−S(O)−)及びトリフルオロメタンスルホニル(CF3−S(O)2−)がある。一般的に一つ若しくはそれより多いフッ素置換基を含むことができる、アルキル基であってもよい式Iの化合物中のすべての基又は置換基に関して、基又は置換基の定義中に含まれうるフッ素置換アルキルを含む基又は置換基の例としては、基CF3(トリフルオロメチル)、又はCF3−O−若しくはCF3−S−などのそれぞれの基を挙げることができる。
【0028】
アルキル基に関する上記の説明は、式Iの化合物中の基の定義において、二つの隣接する基に結合する、又は二つの基に結合する、そして置換アルキル基のアルキル部分の場合のように、二価のアルキル基(アルカンジイル基)として見なされうる、アルキル基に同様に適用される。すなわち、こうした基はまた、直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、隣接する基への結合は任意の部位に位置することができ、そして同じ炭素原子からでも、異なった炭素原子からでも出発してもよく、そしてそれらは非置換であっても、又は任意の他の置換基とは独立して、フッ素置換基によって置換されていてもよい。こうした二価のアルキル基の例には、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32−、−CH(CH3)−CH2−、−CH2−CH(CH3)−、−C(CH32−CH2−、−CH2−C(CH32−がある。1、2、3、4、5又は6個のフッ素置換基を含みうるフルオロ−置換アルカンジイル基の例には、例えば、−CHF−、−CF2−、−CF2−CH2−、−CH2−CF2−、−CF2−CF2−、−CF(CH3)−、−C(CF32−、−C(CH32−CF2−、−CF2−C(CH32−がある。
【0029】
(C3−C7)−シクロアルキル基内の環炭素原子の数は、3、4、5、6又は7個でありうる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルがある。(C6−C10)−ビシクロアルキル基中の環炭素原子の数は、6、7、8、9又は10でありうる。ビシクロアルキル基の二つの環は、一つ、二つ又はそれより多い環炭素原子を共有することができ、そして縮合されていてもよいし、又は架橋二環(bridged bicycle)又はスピロ環を形成していてもよい。ビシクロアルキルの例には、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル及びビシクロ[4.4.0]デシルがある。ビシクロアルキル基は、任意の環炭素原子を介して結合することができる。任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多い(C1−C4)−アルキル置換基によって置換されていてもよいシクロアルキル及びビシクロアルキル基は、アルキル置換基によって置換されることはないか[すなわち、アルキル置換基を持っていない]、又は、例えば、1、2、3又は4個の同一又は相異なる(C1−C4)−アルキル置換基によって[例えば、メチル基によって]置換されていてもよく、この場合、該置換基は、任意の部位に位置することができる。こうしたアルキル−置換シクロアルキル基及びビシクロアルキル基の例には、1−メチルシクロプロピル、2,2−ジメチルシクロプロピル、1−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−イソプロピルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシル、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル及び1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルがある。任意の他の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されうるシクロアルキル基及びビシクロアルキル基は、フッ素置換基によって置換されていないか[換言すれば、フッ素置換基を持っていない]、又は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは11個のフッ素置換基、又は1、2、3、4、5若しくは6個のフッ素置換基、又は1、2若しくは3個のフッ素置換基によって置換されていてもよい。このフッ素置換基は、シクロアルキル基又はビシクロアルキル基の任意の部位に位置することができ、そしてまた、アルキル置換基中に位置することができる。フルオロ−置換シクロアルキル基及びビシクロアルキル基の例には、1−フルオロシクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、3,3−ジフルオロシクロブチル、1−フルオロシクロヘキシル、4,4−ジフルオロシクロヘキシル、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロヘキシル、1−フルオロビシクロ[2.2.2]オクチル及び1,4−ジフルオロビシクロ[2.2.2]オクチルがある。シクロアルキル基はまた、フッ素及びアルキルによって同時に置換されていてもよい。基(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−の例には、シクロプロピルメチル−、シクロブチルメチル−、シクロペンチルメチル−、シクロヘキシルメチル−、シクロヘプチルメチル−、1−シクロプロピルエチル−、2−シクロプロピルエチル−、1−シクロブチルエチル−、2−シクロブチルエチル−、1−シクロペンチルエチル−、2−シクロペンチルエチル−、1−シクロヘキシルエチル−、2−シクロヘキシルエチル−、1−シクロヘプチルエチル−、2−シクロヘプチルエチル−がある。本発明の一実施態様では、任意の一つ若しくはそれより多いこうした基が存在する場合の(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−基は、任意の他の存在とは独立して、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C2)−アルキル−基であり、別の実施態様では、(C3−C7)−シクロアルキル−CH2−基である。基(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、そしてすべての他の基においても同様であるが、末端のハイフンは、この基を介して遊離結合(free bond)が結合することを示し、すなわち、サブグループから構成される基がそのサブグループを介して結合することを示す。
【0030】
Ar及びR14に相当するフェニル基を含む、置換フェニル基では、その置換基は任意の部位に位置することができる。一置換フェニル基では、この置換基は、2の位置、3の位置又は4の位置に位置することができる。二置換フェニル基では、各置換基は、2及び3の位置、2及び4の位置、2及び5の位置、2及び6の位置、3及び4の位置、又は3及び5の位置に位置することができる。三置換フェニル基では、各置換基は、2、3及び4の位置、2、3及び5の位置、2、3及び6の位置、2、4及び5の位置、2、4及び6の位置、又は3、4及び5の位置に位置することができる。フェニル基が4個の置換基を担持する場合には、そのいくつかはフッ素原子でありえ、例えば、各置換基は、2、3、4及び5の位置、2、3、4及び6の位置、又は2、3、5及び6の位置に位置することができる。ある多置換のフェニル基又は他の多置換フェニル基が異なった置換基を持つ場合には、置換基は、それぞれ、任意の適切な位置に位置することができ、そしてこの発明は、位置異性体をすべて含む。置換フェニル基中の置換基の数は、1、2、3、4又は5でありうる。本発明の一実施態様では、置換フェニル基中の置換基の数は、一つ若しくはそれより多い置換基を持つことができる他の置換された基中の置換基の数のように、1、2、3又は4であり、別の実施態様では1、2又は3であり、別の実施態様では1又は2であり、別の実施態様では1であり、この場合、こうした置換された基に存在する置換基の数は、他に存在する置換基の数とは独立している。
【0031】
基Het1、Het2及びHet3、Ar及びR14に相当するヘテロ環、並びに、それらを担持する原子又は原子(複数)と一緒になって二つのグループ(two group)によって形成される環(rings formed by two group together with the atom or atoms carrying them)のような式Iの化合物中に存在しうるその他のヘテロ環式環を含むヘテロ環基(heterocyclic groups)では、このヘテロ環員(heteroring members)は、任意の組み合わせで存在することができ、そして任意の適切な環の位置に位置することができるが、但しその結果生じる基および式Iの化合物は医薬活性化合物として適切であり、かつ十分に安定であることを条件とする。本発明の一実施態様では、式Iの化合物のいずれかのへテロ環式環中の二つの酸素原子は、隣接した環の位置に存在することはできない。本発明の別の実施態様では、酸素原子及び硫黄原子から成る系列から選択される二つのヘテロ環員は、式Iの化合物のいずれかのヘテロ環式環中で隣接した環の位置に存在することはできない。本発明の別の実施態様では、水素原子又は置換基のような環外基(exocyclic group)を担持する窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から成る系列から選択される二つのヘテロ環員は、式Iの化合物のいずれかのヘテロ環式環中で隣接した環の位置に存在することはできない。芳香族へテロ環式環では、環は芳香族である[すなわち、これは6個の非局在化π電子の環状系を含んでいる]という前提条件によって、ヘテロ環員の選択は制限される。単環式芳香族へテロ環は、5員又は6員の環であり、そして5員環の場合には、酸素、硫黄及び窒素から成る系列から選択される一つの環へテロ原子を含み、上記において、この環窒素は、水素原子又は置換基のような環外基、及び所望により、更に一つ若しくはそれより多い環窒素原子を持っており、そして6員環の場合には、環へテロ原子として一つ若しくはそれより多い窒素原子を含むが、しかし環へテロ原子として酸素原子及び硫黄原子は含まない。基の定義において別途明記しない限り、ヘテロ環基は、任意の適切な環原子[すなわち、環炭素原子及び環窒素原子を含んで、水素原子又は置換基を担持する任意の環原子]を介して結合することができる。本発明の一実施態様では、式Iの化合物中に存在する任意のヘテロ環基は、そのいずれの存在においても、適用できれば、環炭素原子を介して、そして別の実施態様では、環窒素原子を介して、その他の存在とは独立して、そして他の任意のヘテロ環基とは独立して結合している。置換されたヘテロ環基では、その置換基は任意の位置に位置することができる。
【0032】
式Iの化合物のヘテロ環基中に存在しうる環へテロ原子の数、
環の数[すなわち、ヘテロ環基が単環式及び/又は二環式でありうるかどうか]、
存在しうる環員の数、
並びに飽和の程度{すなわち、ヘテロ環基が飽和していて、環内に二重結合を含まないか否か、又は、ヘテロ環基が部分的に不飽和であり、環内に一つ若しくは複数(例えば、一つ又は二つ)の二重結合を含むかどうか、しかしヘテロ環基が芳香族ではないか否か、又は、それが芳香族であるかどうか[すなわち、5員の単環式芳香族ヘテロ環の場合には環内に2個の二重結合を含み、6員の単環式芳香族ヘテロ環の場合には環内に3個の二重結合を含み、9員の二環式芳香族ヘテロ環の場合には環内に4個の二重結合を含み、そして10員の芳香族ヘテロ環の場合には環内に5個の二重結合を含む]}、
が式Iの化合物中の個々の基の定義において特定される。二環式へテロ環基中の二つの環は、一つ、二つ又はそれより多い環原子を共有していてもよく、そして縮合していてもよく、又は架橋二環又はスピロ環を形成していてもよい。ヘテロ環式環系の例としては[このヘテロ環式環系から式Iの化合物中のヘテロ環基が誘導され、そして一つ若しくはそれより多いヘテロ環式環系のいずれかから、式Iの化合物中のいずれかのヘテロ環基が本発明の一つの実施態様中で選択されるが、環系は基の定義によって構成されることを条件とする]、オキセタン、チエタン、アゼチジン、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキソラン、イソオキサゾール([1,2]オキサゾール)、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾール([1,3]オキサゾール)、オキサゾリン、オキサゾリジン、イソチアゾール([1,2]チアゾール)、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、チアゾール([1,3]チアゾール)、チアゾリン、チアゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、[1,2,3]トリアゾール、[1,2,4]トリアゾール、[1,2,4]オキサジアゾール、[1,3,4]オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、[1,2,4]チアジアゾール、1H−テトラゾール、ピラン、テトラヒドロピラン、チオピラン、テトラヒドロチオピラン、2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキシン(dioxine)、1,4−ジオキサン、ピリジン、1,2,5,6−テトラヒドロピリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、[1,2,4]トリアジン、オキセパン、チエパン、アゼパン、[1,3]ジアゼパン、[1,4]ジアゼパン、[1,4]オキサゼパン、[1,4]チアゼパン(thiazepanel)、アゾカン(azocane)、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール、2−アザスピロ[4.4]ノナン、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール、イミダゾ[2,1−b]チアゾール、6,7−ジヒドロ−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン(ベンゾ[b]チオフェン)、1H−インドール、2,3−ジヒドロ−1H−インドール、オクタヒドロインドール、2H−イソインドール、オクタヒドロイソインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール(benzthiazole)、1H−ベンゾイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン、クロマン、イソクロマン、チオクロマン、ベンゾ[1,4]ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、2−アザスピロ[4.5]デカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、キノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン、イソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン及び[1,8]ナフチリジンが挙げられうるが、こうしたものは、すべて、非置換であってもよいし、式Iの化合物のそれぞれの基の定義中に特定されている任意の適切な位置で置換されていてもよく、上記において、先例(example)としてのみ知られているものからの所与の不飽和度、並びにそれぞれ個々の基において、それと比較してより高い若しくはより低い飽和度、又は水素化度、又は不飽和度を有する環系もまた、この基の定義中に特定化されるものとして存在してもよい。
【0033】
言及のごとく、このヘテロ環基は、任意の適切な環原子を介して結合することができる。例えば、とりわけ、例えば、オキセタン及びチエタン環は、2及び3の位置を介して、アゼチジン環は1、2及び3の位置を介して、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン環、及びテトラヒドロチオフェンは、2及び3の位置を介して、ピロール環及びピロリジン環は、1、2、及び3の位置を介して、イソオキサゾール環及びイソチアゾール環は、3、4及び5の位置を介して、ピラゾール環は、1、3、4及び5の位置を介して、オキサゾール環及びチアゾール環は、2、4及び5の位置を介して、イミダゾール環及びイミダゾリジン環は、1、2、4及び5の位置を介して、1H−テトラゾール環は、1及び3の位置を介して、テトラヒドロピラン及びテトラヒドロチオピラン環は、2、3及び4の位置を介して、1,4−ジオキサン環は、2の位置を介して、ピリジン環は、2,3及び4の位置を介して、ピペリジン環は、1、2、3及び4の位置を介して、モルホリン環及びチオモルホリン環は、2、3及び4の位置を介して、ピペラジン環は、1及び2の位置を介して、ピリミジン環は、2、4及び5の位置を介して、ピラジン環は、2の位置を介して、アゼパン環は、1、2、3及び4の位置を介して、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン環は、3及び6の位置を介して、オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール及びオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール環は、1の位置を介して、2−アザスピロ[4.4]ノナン環は、2の位置を介して、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン環は、7の位置を介して、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール環は、1及び5の位置を介して、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール環は、3の位置を介して、イミダゾ[2,1−b]チアゾール環は、2、5及び6の位置を介して、6,7−ジヒドロ−5H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジンは、3の位置を介して、ベンゾフラン環及びベンゾチオフェン環は、2、3、4、5、6及び7の位置を介して、1H−インドール環、2,3−ジヒドロ−1H−インドール及びオクタヒドロインドール環は、1、2、3、4、5、6及び7の位置を介して、ベンゾ[1,3]ジオキソール環は、4、5、6及び7の位置を介して、ベンゾオキサゾール環及びベンゾチアゾール環は、2、4、5、6及び7の位置を介して、1H−ベンゾイミダゾール環は、1、2、4、5、6及び7の位置を介して、イミダゾ[1,2−a]ピリジン環は、2及び3の位置を介して、[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン環は、3の位置を介して、ベンゾ[1,4]ジオキサン環は、5、6、7及び8の位置を介して、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン環は、3の位置を介して、キノリン環は、2、3、4、5、6、7及び8の位置を介して、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環は、1、5、6、7及び8の位置を介して、5,6,7,8−テトラヒドロキノリンは、2、3及び4の位置を介して、イソキノリン環は、1、3、4、5、6、7及び8の位置を介して、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン環は、2、5、6、7及び8の位置を介して、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン環は、1、3、4及び5の位置を介して、2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン環は、2及び7の位置を介して、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン環は、2及び8の位置を介して、結合されうる[上記において、この結果生じるヘテロ環基の残基は、すべて、非置換であってもよいし、式Iの化合物のそれぞれの基の定義中で明記されている任意の適切な位置で置換されていてもよい]。
【0034】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。本発明の一実施態様では、そのいずれの存在でも、ハロゲンは、フッ素、塩素、又は臭素であり、別の実施態様ではフッ素又は塩素であり、別の実施態様ではフッ素であり、別の実施態様では塩素である[上記において、ハロゲンが存在する場合は、すべて、互いに独立している]。
【0035】
オキソ基、すなわち、二重に結合した酸素原子は、炭素原子に結合する場合には、親系(parent system)の炭素原子上の二つの水素原子と置き換えられる。従って、CH2基がオキソによって置換されている場合、それはカルボニル基(C(O),C=O)になる。オキソ基はまた、飽和、及び一部不飽和のヘテロ環中の環硫黄原子上のように、硫黄原子上で生じることができ、その場合、通例、環硫黄原子に加えて、また、S(O)基((S(=O))及びS(O)2基(S(=O)2)がヘテロ環員として存在することができる。オキソ基は、フェニル基中などの芳香族環中の炭素原子上の置換基として生じることはできない。
【0036】
この発明は、式Iの化合物のすべての立体異性体形態、例えば、すべてのエナンチオマー及びシス/トランス異性体を含むジアステレオマーを含んでなる。同様に、本発明は、二つ又はそれより多い立体異性体形態のすべての比率の混合物、例えば、シス/トランス異性体を含むエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を含む。式Iの化合物中に含まれる不斉中心、例えば、クロマン環系の2の位置又は非置換又は置換アルキル基中の炭素原子によって、すべて、互いに独立してS立体配置(configuration)又はR立体配置を有することが可能である。本発明は、鏡像異性的に純粋な形態及び本質的に鏡像異性的に純粋な形態、例えば、二つのエナンチオマーのモル比が98:2、又は99:1、又はそれを超えるエナンチオマー類(左旋性及び右旋性対掌体の両方)、並びにそれらのラセミ体、すなわち、モル比が1:1である二つのエナンチオマーの混合物の形態のエナンチオマー類、並びにあらゆる比率の二つのエナンチオマーの混合物の形態のエナンチオマー類に関する。本発明は、同様に、純粋及び本質的に純粋なジアステレオマーの形態のジアステレオマー類、並びに二つ又はそれより多いジアステレオマーのあらゆる比率の混合物の形態のジアステレオマー類に関する。本発明はまた、純粋な形態及び本質的に純粋な形態[例えば、シス/トランス異性体のモル比が98:2、又は99:1又はそれを超える]、並びにあらゆる比率のシス異性体及びトランス異性体の混合物の形態での式Iの化合物のシス/トランス異性体をすべて含んでなる。シス/トランス異性は、置換された環内で生じうる。個々の立体異性体の製造は、必要に応じて、通例となっている方法に従って混合物を分割することによって行なうことができ、例えば、クロマトグラフィー又は結晶化により、又は合成において立体化学に均一な出発物質を用いることにより、又は立体選択的反応による。所望により、立体異性体の分離の前に、誘導体化を行なうことができる。立体異性体の混合物の分離は、合成の過程において式Iの化合物のステージ、又は、中間体のステージで行なうことができる。例えば、不斉中心を含んでいる式Iの化合物の場合には、個々のエナンチオマーは、式Iの化合物のラセミ体を製造し、そしてそれを標準的な手順に従ってキラル相を高圧液体クロマトグラフィーによってエナンチオマーに分割するか、又はその合成の過程でいずれかの中間体のラセミ体をそうしたクロマトグラフィー又は光学的に活性なアミン又は酸を用いてその塩の結晶化によって分割し、そして中間体のエナンチオマーを式Iの最終化合物の鏡像異性体形態に変換するか、又は合成の過程でエナンチオ選択的反応をおこなうことによって製造することができる。本発明はまた、式Iの化合物の互変異性体形態をすべて含んでなる。
【0037】
式Iの化合物が、一つ若しくはそれより多い酸基、又は例えば、塩基へテロ環基である塩基基を含んでなる場合には、対応する生理学的に又は毒物学的に許容される塩、殊に製薬学的に許容される塩もまた本発明中に含まれる。すなわち、式Iの化合物は、酸基で脱プロトン化し、そして例えば、アルカリ金属塩[例えば、ナトリウム又はカリウム塩]、又はアンモニウム塩、例えば、アンモニアとの塩、又は有機アミン又はアミノ酸との塩として使用することができる。少なくとも一つの塩基基を含んでいる式Iの化合物もまた、その酸付加塩の形態で製造し、使用することができ、例えば、塩酸との塩などの無機酸及び有機酸との製薬学的に許容される塩の形態であり、従って、例えば、塩酸塩の形態で存在することができる。塩は、通例、式Iの酸及び塩基化合物から、通例となっている手順に従って溶媒又は希釈剤中で酸又は塩基と反応させることによって製造することができる。式Iの化合物が分子中に酸及び塩基基を同時に含んでいる場合には、本発明はまた、言及した塩形態に加えて内部塩(ベタイン類、両性イオン類)を含む。この発明はまた、低い生理学的許容性のために、医薬としての使用に直接的には適切ではないが、化学反応、又は生理学的に許容される塩の製造のための中間体として[例えば、陰イオン交換又は陽イオン交換を用いて]適切である式Iの化合物のすべての塩を含んでなる。
【0038】
本発明の一実施態様では、基Arに相当する芳香族へテロ環は、窒素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでなる。別の実施態様では、Arに相当する芳香族へテロ環は、窒素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる5員のヘテロ環であり、別の実施態様では、硫黄原子である1個の環へテロ原子を含んでいる5員のヘテロ環であるか、又は窒素原子である1又は2個の環へテロ原子を含んでいる6員のヘテロ環である。別の実施態様では、Arに相当する芳香族へテロ環は、チオフェン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン及びピラジンから成る系列から、別の実施態様では、チオフェン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン及びピラジンから成る系列から、別の実施態様では、チオフェン、ピリジン、ピリミジン及びピラジンから成る系列から、別の実施態様では、チオフェン、ピリジン及びピラジンから成る系列から、別の実施態様では、ピリジン及びピラジンから成る系列から、別の実施態様では、チオフェン及びピリジンから選択され、別の実施態様では、それはチオフェンであり、そして別の実施態様では、それはピリジンであり、これらのヘテロ環は、すべて、非置換であるか、又は指示されているとおり置換されている。本発明の一実施態様では、Arは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されているフェニルであり、別の実施態様では、Arは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されている5員又は6員の芳香族ヘテロ環である。本発明の一実施態様では、基Ar中に存在することができる置換基R1の数は、1、2又は3であり、別の実施態様では、それは1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。
【0039】
Ar中の隣接する環炭素原子に結合している二つの置換基R1によって、それらを担持する炭素原子と一緒になって形成されうるモノ不飽和の環中に存在する二重結合は、芳香族環Ar中の前記の二つの隣接する環炭素の間に存在し、これは環Arと二つの基R1によって形成される環に共通しており、そして縮合環の命名規約によって双方の環中に存在する二重結合と見なされる。Ar中の隣接する炭素原子に結合する二つの基R1が、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環を形成する場合は、他の表現では、3〜5個の原子の鎖を含む二価の残基を共に形成している二つの基R1と見なすことができ、3〜5個の原子の0、1又は2個は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される同一又は相異なるへテロ原子であり、Ar中の二つの隣接する環炭素原子と結合しているその末端の原子は、1〜3個の原子によって互いに離れている。本発明の一実施態様では、Ar中の隣接する環炭素原子と結合している二つの基R1がその任意の一つ若しくは複数から選択される、こうした二価の残基の例には、残基−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−、−O−CH2−CH2−、−CH2−CH2−O−、−O−CH2−O−、−O−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−CH2−O−、−NH−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−NH−、−S−CH2−CH2−NH−及び−NH−CH2−CH2−S−があり、これは、すべて、炭素原子及び窒素原子上でフッ素及び(C1−C4)−アルキル[例えば、フッ素及びメチル]から成る系列から選択される置換基によって置換されていてもよく、従って、また、例えば、二価の残基−O−CF2−O−、−O−C(CH32−O−、−N(CH3)−CH2−CH2−O−、−O−CH2−CH2−N(CH3)−、−S−CH2−CH2−N(CH3)−及び−N(CH3)−CH2−CH2−S−として存在してもよい。本発明の一実施態様では、Ar中の隣接する環炭素原子に、それらを担持する炭素原子と一緒になって結合する二つの基R1によって形成されていてもよい環は、5員又は6員、別の実施態様では、5員、別の実施態様では6員の環である。本発明の一実施態様では、Ar中の隣接する環炭素原子に、それらを担持する炭素原子と一緒になって結合する二つの基R1によって形成される環中に存在することができる、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される置換基の数は、1、2又は3であり、別の実施態様では、1又は2であり、別の実施態様では1である。本発明の一実施態様では、Ar中の隣接する環炭素原子に、それらを担持する炭素原子と一緒になって結合する二つの基R1によって形成される環中に存在することができる置換基は、フッ素置換基であり、そして別の実施態様では、それらは(C1−C4)−アルキル置換基、例えば、メチル置換基であり、そして別の実施態様では、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される環窒素原子に結合するそうした環中の置換基である。
【0040】
本発明の一実施態様では、R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、ハロゲンから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から選択され、そしてすべてのこうした実施態様では、Ar中の隣接する炭素原子に結合している二つの基R1は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環を形成していてもよく、該5員〜7員のモノ不飽和の環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該5員〜7員のモノ不飽和の環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されている。別の実施態様では、R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル、Het1、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−、フェニル−O−、Het1−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では,ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では,ハロゲン、(C1−C6)−アルキル及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、ハロゲンから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル(C1−C4)−アルキル−、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から選択される。一実施態様では、例えば、Arに相当するピロール、ピラゾール又はイミダゾール環の場合のように、Ar中の環窒素原子に結合している置換基R1は、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、フェニル及びHet1から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択される。
【0041】
本発明の一実施態様では、R1に相当するか、又はR1に相当する基(C1−C6)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−中に存在している(C1−C6)−アルキル基は、(C1−C4)−アルキル基、別の実施態様では、(C1−C3)−アルキル基、別の実施態様では、(C1−C2)−アルキル基、別の実施態様では、メチル基である。本発明の一実施態様では、R1に相当するか、又はR1中に存在している(C3−C7)−シクロアルキル基は、(C3−C6)−シクロアルキル基、別の実施態様では、(C3−C4)−シクロアルキル基、別の実施態様では、シクロプロピル基である。
【0042】
本発明の一実施態様では、Arがその任意の一つ若しくは複数から選択される、随意的な置換基であるR1を含んでいる、基Arの例には、フェニル[すなわち、非置換フェニル]、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピラジン−2−イル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、4−クロロ−フェニル、2−メチル−フェニル(o−トリル)、3−メチル−フェニル(m−トリル)、4−メチル−フェニル(p−トリル)、2−エチル−フェニル、3−エチル−フェニル、4−エチル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−エトキシ−フェニル、3−エトキシ−フェニル、4−エトキシ−フェニル、2−プロポキシ−フェニル、3−プロポキシ−フェニル、4−プロポキシ−フェニル、2−イソプロポキシ−フェニル、3−イソプロポキシ−フェニル、4−イソプロポキシ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、2,4−ジフルオロ−フェニル、2,5−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、3,5−ジフルオロ−フェニル、2,3−ジクロロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,6−ジクロロ−フェニル、3,4−ジクロロ−フェニル、3,5−ジクロロ−フェニル、2−クロロ−3−フルオロ−フェニル、2−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2−クロロ−5−フルオロ−フェニル、2−クロロ−6−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3−クロロ−5−フルオロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル、4−クロロ−3−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、2,3−ジメチル−フェニル、2,4−ジメチル−フェニル、2,5−ジメチル−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,4−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、2−フルオロ−3−メチル−フェニル、2−フルオロ−4−メチル−フェニル、2−フルオロ−5−メチル−フェニル、2−フルオロ−6−メチル−フェニル、3−フルオロ−2−メチル−フェニル、3−フルオロ−4−メチル−フェニル、3−フルオロ−5−メチル−フェニル、4−フルオロ−2−メチル−フェニル、4−フルオロ−3−メチル−フェニル、5−フルオロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−3−メチル−フェニル、2−クロロ−4−メチル−フェニル、2−クロロ−5−メチル−フェニル、2−クロロ−6−メチル−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、3−クロロ−4−メチル−フェニル、3−クロロ−5−メチル−フェニル、4−クロロ−2−メチル−フェニル、4−クロロ−3−メチル−フェニル、5−クロロ−2−メチル−フェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−5−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル、3−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル、3−フルオロ−5−メトキシ−フェニル、4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、4−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、2−メトキシ−3−メチル−フェニル、2−メトキシ−4−メチル−フェニル、2−メトキシ−5−メチル−フェニル、2−メトキシ−6−メチル−フェニル、3−メトキシ−2−メチル−フェニル、3−メトキシ−4−メチル−フェニル、3−メトキシ−5−メチル−フェニル、4−メトキシ−2−メチル−フェニル、4−メトキシ−3−メチル−フェニル、5−メトキシ−2−メチル−フェニル、3−フルオロ−チオフェン−2−イル、4−フルオロ−チオフェン−2−イル、5−フルオロ−チオフェン−2−イル、2−フルオロ−チオフェン−3−イル、4−フルオロ−チオフェン−3−イル、5−フルオロ−チオフェン−3−イル、3−クロロ−チオフェン−2−イル、4−クロロ−チオフェン−2−イル、5−クロロ−チオフェン−2−イル、2−クロロ−チオフェン−3−イル、4−クロロ−チオフェン−3−イル、5−クロロ−チオフェン−3−イル、3−メチル−チオフェン−2−イル、4−メチル−チオフェン−2−イル、5−メチル−チオフェン−2−イル、2−メチル−チオフェン−3−イル、4−メチル−チオフェン−3−イル、5−メチル−チオフェン−3−イル、3−フルオロ−ピリジン−2−イル、4−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル、6−フルオロ−ピリジン−2−イル、2−フルオロ−ピリジン−3−イル、4−フルオロ−ピリジン−3−イル、5−フルオロ−ピリジン−3−イル、6−フルオロ−ピリジン−3−イル、2−フルオロ−ピリジン−4−イル、3−フルオロ−ピリジン−4−イル、3−クロロ−ピリジン−2−イル、4−クロロ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−ピリジン−2−イル、6−クロロ−ピリジン−2−イル、2−クロロ−ピリジン−3−イル、4−クロロ−ピリジン−3−イル、5−クロロ−ピリジン−3−イル、6−クロロ−ピリジン−3−イル、2−クロロ−ピリジン−4−イル、3−クロロ−ピリジン−4−イル、3−メチル−ピリジン−2−イル、4−メチル−ピリジン−2−イル、5−メチル−ピリジン−2−イル、6−メチル−ピリジン−2−イル、2−メチル−ピリジン−3−イル、4−メチル−ピリジン−3−イル、5−メチル−ピリジン−3−イル、6−メチル−ピリジン−3−イル、2−メチル−ピリジン−4−イル、3−メチル−ピリジン−4−イル、3−メトキシ−ピリジン−2−イル、4−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−メトキシ−ピリジン−2−イル、6−メトキシ−ピリジン−2−イル、2−メトキシ−ピリジン−3−イル、4−メトキシ−ピリジン−3−イル、5−メトキシ−ピリジン−3−イル、6−メトキシ−ピリジン−3−イル、2−メトキシ−ピリジン−4−イル、3−メトキシ−ピリジン−4−イルがある。
【0043】
本発明の一実施態様では、基R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から、別の実施態様では、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択される。本発明の別の実施態様では、基R2は、基R5−N(R6)−C(O)−であり、そしてそれぞれの化合物は、式Iaの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、基R5−N(R6)−CH2−であり、そしてそれぞれの化合物は、式Ibの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、基R7−C(O)−NH−CH2−であり、そしてそれぞれの化合物は式Icの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、基R7−S(O)2−NH−CH2−であり、そしてそれぞれの化合物は、式Idの化合物として指定されている。
【0044】
【化4】
【0045】
式Ia、Ib、Ic及びIdの化合物中の基Ar、R3、R4、R5、R6及びR7は、式Iの化合物中の定義と同様である。
【0046】
本発明の一実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置5に結合しており、そして基R3は、チアゾール環系の位置4に結合しており、そしてそれぞれの化合物は、式Ieの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R3は、チアゾール環系の環の位置5に結合しており、そして基R2は、チアゾール環系の位置4に結合しており、そしてそれぞれの化合物は、式Ifの化合物として指定されている。
【0047】
【化5】
【0048】
式Ie、及びIfの化合物中の基Ar、R2、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様である。
【0049】
本発明の一実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置5に結合しており、そして基R3は、チアゾール環系の位置4に結合しており、そして基R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から、そして別の実施態様では、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択される。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置4に結合しており、そして基R3は、チアゾール環系の位置5に結合しており、そして基R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から、そして別の実施態様では、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択される。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そして基R5−N(R6)−C(O)−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Igの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そして基R5−N(R6)−CH2−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Ihの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そして基R7−C(O)−NH−CH2−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Ijの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そして基R7−S(O)2−NH−CH2−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Ikの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そして基R5−N(R6)−C(O)−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Imの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そして基R5−N(R6)−CH2−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Inの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そして基R7−C(O)−NH−CH2−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Ioの化合物として指定されている。本発明の別の実施態様では、基R2は、チアゾール環系の環の位置4に結合し、そして基R7−S(O)2−NH−CH2−であり、そして基R3は、チアゾール環系の環の位置5に結合し、そしてそれぞれの化合物は、式Ipの化合物として指定されている。
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
式Ig、Ih、Ij、Ik、Im、In、Io及びIpの化合物中の基Ar、R3、R4、R5、R6及びR7は、式Iの化合物中の定義と同様である。
【0053】
本発明の一実施態様では、基R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びハロゲンから成る系列から、別の実施態様では、水素、フッ素及び塩素から成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では、R3は水素である。本発明の一実施態様では、R3に相当するか、又はR3中に存在する(C1−C4)−アルキル基は、(C1−C2)−アルキルであり、別の実施態様では、それはメチルであり、上記において、メチル基を含むアルキル基はまた、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよく、そして例えば、通例、アルキル基に適用されるように、トリフルオロメチル基が存在してもよい。
【0054】
上述したごとく、クロマン環の空いている結合部位、すなわち、環内の結合、又は基Arとの結合によって占拠されていないクロマン環系の2、3、4、5、7及び8の位置の結合部位には、水素原子、又は基R4に相当するハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される置換基が存在することができる。本発明の一実施態様では、クロマン環系の2の位置での空いている結合部位、すなわち、基Arを担持する環炭素原子の空いている結合部位には、水素原子が存在し、そしてクロマン環系の3、4、5、7及び8の位置の空いている結合部位には、水素原子又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される置換基が存在する。本発明の別の実施態様では、クロマン環系の2、3及び4の位置の空いている結合部位には、水素原子が存在し、そしてクロマン環系の5、7及び8の位置の空いている結合部位には、水素原子又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される置換基が存在する。本発明の別の実施態様では、クロマン環系の2及び5の位置の空いている結合部位には、水素原子が存在し、そしてクロマン環系の3、4、7及び8の位置の空いている結合部位には、水素原子又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される置換基が存在する。本発明の別の実施態様では、クロマン環系の2、5、7及び8の位置の空いている結合部位には、水素原子が存在し、そしてクロマン環系の3及び4の位置の空いている結合部位には、水素原子又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される置換基が存在する。一実施態様では、水素と異なる基R4の数、すなわち、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から選択される置換基R4の数は、3であり、別の実施態様では、それは2であり、別の実施態様では、それは1であり、そして別の実施態様では、それは0であり、すなわち、後者の実施態様では、水素と異なる基R4は、クロマン環系には全く存在しておらず、そして水素原子が、すべての空いている結合部位に存在する。一実施態様では、R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり、別の実施態様では、R4は、水素であるか、又はフッ素、塩素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基である。一実施態様では、クロマン環系の2、3及び4の位置の空いている結合部位中のR4は、水素であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり、別の実施態様では、クロマン環系の2、3及び4の位置の空いている結合部位中のR4は、水素、又は(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり、そしてクロマン環系の5、7及び8の位置の空いている結合部位中のR4は、水素であるか、又はハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり、別の実施態様では、クロマン環系の5、7及び8の位置の空いている結合部位中のR4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり、別の実施態様では、クロマン環系の5、7及び8の位置の空いている結合部位中のR4は、水素、又はハロゲンから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基である。本発明の一実施態様では、R4に相当するか、又はR4中に存在する(C1−C4)−アルキル基は、(C1−C2)−アルキルであり、別の実施態様では、それはメチルである。
【0055】
本発明の一実施態様では、R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C6−C10)−ビシクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択され、上記において、すべてのこうした実施態様では、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、又は、基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式若しくは二環式の、飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R5及びR6
を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そしてそれは非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されている。本発明の別の実施態様では、R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C6−C10)−ビシクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では水素、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択され、上記において、すべてのこうした実施態様では、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されている。
【0056】
本発明の一実施態様では、基R5及びR6の一方は、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びメチルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では水素であり、そして基R5及びR6の他方は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C6−C10)−ビシクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択され、上記において、すべてのこうした実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル、(C1−C4)−アルキル及びメチルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、又は、基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式若しくは二環式の、飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該へテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されている。本発明の別の実施態様では、基R5及びR6の一方は、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びメチルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では水素であり、そして基R5及びR6の他方は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C6−C10)−ビシクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、水素、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択され、上記において、すべてのこうした実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル、(C1−C4)−アルキル及びメチルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6
−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されている。
【0057】
本発明の一実施態様では、基R5及びR6の一方は、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びメチルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では水素であり、そして基R5及びR6の他方は、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C6−C10)−ビシクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択され、上記において、すべてのこうした実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル、(C1−C4)−アルキル及びメチルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されているか、又は、基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式若しくは二環式の、飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環を形成し、該へテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そしてそれは非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されている。本発明の別の実施態様では、基R5及びR6の一方は、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びメチルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では水素であり、そして基R5及びR6の他方は、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C6−C10)−ビシクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から選択され、上記において、すべてのこうした実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル、(C1−C4)−アルキル及びメチルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されている。
【0058】
本発明の一実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル基は、(C1−C4)−アルキル基であり、別の実施態様では、(C1−C3)−アルキル基であり、別の実施態様では、(C1−C2)−アルキル基であり、別の実施態様では、ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル及びメチルから成る系列から選択される[例えば、メチル、エチル及びプロピルから成る系列から選択される]任意の一つ若しくはそれより多い基であり、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い、例えば、1、2若しくは3個の、又は1若しくは2個の、又は1個の、同一又は相異なる置換基R10によって置換されており、この場合、置換基は、任意の位置[例えば、R5又はR6に相当するエチル基の1の位置及び/又は2の位置、又はR5又はR6に相当するプロピル基の1の位置及び/又は2の位置及び/又は3の位置]に存在することができる。
【0059】
本発明の一実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル基中に、場合により、存在していることもある同一又は相異なる置換基R10の数は、1、2、3又は4であり、別の実施態様では、それは1、2又は3であり、別の実施態様では、それは1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル基中に、任意の異なる置換基R10に加えて、場合により、存在していることもある置換基R10に相当する基R14の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1であり、別の実施態様では、それは0(zero)である[すなわち、この後者の実施態様の場合には、R10は定義の通りであるが、R14ではない]。一実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル基中に、任意の別の置換基R10に加えて、場合により、存在していることもある置換基R10に相当するオキソ基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、R5又はR6に相当する(C1−C6)−アルキル基中に、任意の別の置換基R10に加えて、場合により、存在していることもある置換基R10に相当するR16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択される基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。
【0060】
本発明の一実施態様では、R5又はR6に相当する(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2基中に、場合により、存在していることもある同一又は相異なる置換基R11の数は、互いに独立して、1、2、3又は4であり、別の実施態様では、それは1、2又は3であり、別の実施態様では、それは、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、R5又はR6に相当する(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2基中に任意の異なる置換基R11に加えて、場合により、存在していることもある置換基R11に相当する基R14の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1であり、別の実施態様では、それは0である。一実施態様では、R5又はR6に相当する(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2基中に、任意の異なる置換基R11に加えて、場合により、存在していることもある置換基R11に相当するオキソ基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、R5又はR6に相当する(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2基中に、任意の異なる置換基R11に加えて、場合により、存在していることもある置換基R11に相当するR19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択される基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。
【0061】
基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって、基R5及びR6によって形成されうる単環式又は二環式へテロ環は[従って該へテロ環は環窒素原子を介して結合している]、4員、5員、6員、7員、8員、9員又は10員でありうる。本発明の一実施態様では、このヘテロ環は、5員〜10員であり、別の実施態様では、それは5員〜8員であり、別の実施態様では、それは5員又は6員である。本発明の一実施態様では、基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって基R5及びR6によって形成される単環式へテロ環は、4員、5員、6員又は7員であり、そして基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって基R5及びR6によって形成される二環式へテロ環は、6員、7員、8員、9員又は10員である。一実施態様では、基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって基R5及びR6によって形成されるへテロ環は、単環式であり、別の実施態様では、それは二環式である。基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって基R5及びR6によって形成される二環式へテロ環基中の二つの環は、縮合していてもよいし、架橋二環又はスピロ環を形成していてもよい。一実施態様では、基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって、基R5及びR6によって形成されるへテロ環は、飽和しているか、又は環内に一つの二重結合を含んでおり、別の実施態様では、それは飽和している。一実施態様では、場合により、基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって基R5及びR6によって形成されるヘテロ環中に存在することもある更なる環ヘテロ原子は、窒素及び酸素から成る系列から選択され、別の実施態様では、それは窒素原子であり、そして別の実施態様では、それは酸素原子である。ヘテロ環基の例は、本発明の一実施態様では、ヘテロ環基の例の、基R5及びR6を担持する窒素原子と一緒になって基R5及びR6によって形成される任意の一つ若しくはそれより多いヘテロ環基から選択され、次の式の基である。
【0062】
【化8】
【0063】
[式中、記号
【化9】
と交差している線は、基がそれを介して結合する遊離結合(free bond)を示す。こうした式中に示されており、そして特定の原子を対象としていない置換基R12から出ている結合は、場合により、こうしたヘテロ環基が、任意の位置に存在することができる一つ若しくはそれより多い、同一又は相異なる置換基R12によって置換されていることもあるということを示す]。
【0064】
本発明の一実施態様では、R5及びR6によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環中に、場合により、存在していることもある同一または相異なる置換基R12の数は、1、2、3又は4であり、別の実施態様では、それは1、2又は3であり、別の実施態様では、それは1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、異なる任意の置換基R12に加えてR5及びR6によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環中に、場合により、存在していることもある置換基R12に相当する基R14の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1であり、別の実施態様では、それは0である。一実施態様では、異なる任意の置換基R12に加えてR5及びR6によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環中に、場合により、存在していることもある置換基R12に相当するオキソ基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、異なる任意の置換基R12に加えてR5及びR6によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環中に、場合により、存在していることもある置換基R12に相当するR19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択される基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。
【0065】
本発明の一実施態様では、R7は、そのいずれの存在においても、別に存在している場合とは独立して、(C1−C6)−アルキル、フェニル、Het2及びHet3から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル、Het2及びHet3から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル及びHet2から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキル及びHet3から成る系列から、別の実施態様では、フェニル及びHet3から成る系列から選択され、そして別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルであり、そして別の実施態様では、フェニルであり、そして別の実施態様では、Het2であり、そして別の実施態様では、Het3であり、上記において、基(C1−C6)−アルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして基フェニル及びHet3は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されている。
【0066】
本発明の一実施態様では、R7に相当する(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2基中に、場合により、存在していることもある同一又は相異なる置換基R10の数は、互いに独立して、1、2又は3であり、別の実施態様では、それは1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、別の任意の置換基R10のほかにR7に相当する(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2基中に、場合により、存在していることもある置換基R10に相当する基R14の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1であり、別の実施態様では、それは0である。一実施態様では、別の任意の置換基R10のほかにR7に相当する(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2基中に、場合により、存在していることもある置換基R10に相当するオキソ基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、別の任意の置換基R10のほかにR7に相当する(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及びHet2基中に、場合により、存在していることもある置換基R10に相当するR16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択される基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。本発明の一実施態様では、R7に相当するフェニル及びHet3基中に、場合により、存在していることもある同一又は相異なる置換基R13の数は、互いに独立して、1、2又は3であり、別の実施態様では、それは1又は2であり、別の実施態様では、それは1であり、別の実施態様では、それは0である。
【0067】
本発明の一実施態様では、R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様ではフッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、(C1−C6)−アルキル−S(O)n−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から、別の実施態様では、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、R14、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、R14、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、R14、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、R14、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、R14、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−及び(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−及び(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、R14、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−及び(HO)2P(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−及び(HO)2P(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、HO−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−及び(HO)2P(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、HO−、HO−S(O)2−O−及び(HO)2P(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、HO−及び(HO)2P(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、R14、HO−及び(HO)2P(O)−O−から成る系列から、別の実施態様では、R14及びHO−から成る系列から選択され、そして別の実施態様ではR10はHO−であり、そして別の実施態様では、R10はR14であり、上記において、一つより多い置換基R10が存在している場合には、この置換基R10は、互いに独立して、こうした任意の実施態様中での定義と同様である。
【0068】
本発明の一実施態様では、R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では,(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、フッ素及びオキソから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、HO−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、HO−、R16−N(R17)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、HO−、R16−N(R17)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され、上記において、一つより多い置換基R11又はR12が存在する場合には、この置換基R11及びR12は、互いに独立して、こうした任意の実施態様中での定義と同様である。一実施態様では、環窒素原子に結合する置換基R11及びR12[このことは、基Het2、又はR5及びR6を担持する窒素原子と一緒になってR5及びR6によって形成されうる環の場合に起こりうる]は、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−及びR14から成る系列から[上記において、R14は、環炭素原子を介して結合する]、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される。
【0069】
Ar中の隣接する環炭素原子に結合する二つの置換基R1によって、それらを担持する炭素原子と一緒になって、形成しうる環に関して、上記に与えられている説明は、R7中の隣接する環炭素原子に結合する二つの置換基R13によって形成しうる環に同様に適用される。すなわち、R7中の隣接する環炭素原子に結合する二つの置換基R13によって形成しうる環は、モノ不飽和(mono-unsaturated)であり、その理由は、これは縮合して芳香族式環、すなわち、フェニル環またはR7に相当する基Het3になるからであり、そしてそうした二つの基R13が、それらを担持する炭素原子と一緒になって環を形成することは、別の表現では、3〜5個の原子の鎖を含み、そのうち0、1又は2個は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される、同一又は相異なるヘテロ原子である二価の残基を共に形成することと見なすことができる。二つの基R1を担持する環炭素原子と共に二つの基R1によって形成しうる環に関して、上記に与えられた前記二価の残基の例は、二つの置換基R13を担持する環炭素原子と一緒になって二つの置換基R13によって形成しうる環に同様に適用される。本発明の一実施態様では、二つの基R13を担持する炭素原子と一緒になってR7中の隣接する環炭素原子に結合する二つの基R13によって形成しうる環は、5員又は6員であり、別の実施態様では、5員であり、別の実施態様では、6員環である。本発明の一実施態様では、二つの基R13を担持する炭素原子と一緒になってR7中の隣接する環炭素原子に結合する二つの基R13によって形成される環中に存在しうる、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される置換基の数は、1、2又は3であり、別の実施態様では、1又は2であり、別の実施態様では1である。本発明の一実施態様では、二つの基R13を担持する炭素原子と一緒になってR7中の隣接する環炭素原子に結合する二つの基R13によって形成される環中に存在しうる置換基は、フッ素置換基であり、そして別の実施態様では、それらは(C1−C4)−アルキル置換基、例えば、メチル置換基であり、そして別の実施態様では、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される環窒素原子に結合するそうした環の置換基である。一実施態様では、二つの置換基R13を担持する炭素原子と一緒になってR7中の隣接する環炭素原子に結合する二つの置換基R13によって形成される環は、1又は2個の、別の実施態様では2個の、同一又は相異なる環へテロ原子を含み、上記において、一実施態様では、この環へテロ原子は、窒素及び硫黄から成る系列から選択され、そして別の実施態様では1個の環窒素、そして1個の環硫黄原子がこうした環中に存在する。
【0070】
本発明の一実施態様では、R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され、そしてR7中の隣接する環炭素原子に結合している二つの置換基R13は、それらを担持する炭素原子と一緒になって、5員〜7員のモノ不飽和の環を形成することができ、該5員〜7員のモノ不飽和の環は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される、0、1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含み、そして該5員〜7員のモノ不飽和の環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されている。別の実施態様では、R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及び(C1−C4)−アルキル−O−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される。
【0071】
単環式又は二環式基R14は、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員又は10員でありうる。本発明の一実施態様では、単環式基R14は、3員、4員、5員、6員又は7員であり、そして二環式基R14は、6員、7員、8員、9員又は10員である。本発明の一実施態様では、R14は、単環式であり、別の実施態様では、それは二環式である。二環式基R14中の二つの環は、縮合していてもよいし、又は架橋二環又はスピロ環を形成していてもよい。この単環式又は二環式環R14は、飽和していてもよいし[すなわち、環系内にいかなる二重結合を含まない]、又は部分的に不飽和であってもよいし[すなわち、環系内に一つ若しくはそれより多い二重結合を含み、例えば、1個、2個、3個若しくは4個の二重結合、又は1個、2個若しくは3個の二重結合、又は1個若しくは2個の二重結合、又は1個の二重結合をもってもよいが、完全に芳香族ではなく、すなわち、これは単環式の場合には6個の非局在化π電子の環状系を含んでおらず、又は二環式の場合には10個の非局在化π電子の環状系を含んでいない]、又はそれは芳香族であってもよい。環内に存在しうる二重結合の数は、環系の種類、及び環の大きさに左右される。部分的に不飽和の環R14はまた、二つの環の一方が芳香族であり、そして他方が芳香族でない二環式環系を含む。この環R14は、炭素環式[すなわち、0(zero)個の環へテロ原子を含む]であってもよいし、又はヘテロ環式であってもよく、すなわち、1、2、3又は4個の同一又は相異なる環へテロ原子を含む。一実施態様では、R14中に存在する環へテロ原子の数は、0、1、2又は3であり、別の実施態様では、0、1又は2であり、別の実施態様では、0又は1である。本発明の一実施態様では、R14は、そのいずれの存在においても、それが別に存在する場合とは独立して、炭素環式環であり、そして別の実施態様では、それはヘテロ環式環である。二環式環R14では、環へテロ原子は、二つの環の一方又は双方の環内に任意の適切な位置で存在することができる。架橋そして縮合の二環式環では、環窒素原子はまた、橋頭位(bridgehead positions)そして縮合位(fusion positions)に存在することができる。本発明の一実施態様では、3員環のR14は、炭素環式環[特に、シクロプロパン環であり、すなわち、この場合、基R14はシクロプロピル基である]である。一実施態様では、R14中に存在する環へテロ原子は、窒素及び酸素から成る系列から、別の実施態様では、窒素及び硫黄から成る系列から選択され、そして別の実施態様では、それらは窒素原子である。別の実施態様では、R14は、定義と同様であるが、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い、同一又は相異なる(C1−C4)−アルキル置換基によって置換されているピラゾリル基ではない。R14は、空いている結合部位を有している任意の環炭素原子及び任意の環窒素原子を介して結合することができる。二環式の基R14では、それを介してR14が結合している環原子は、飽和している環、部分的に不飽和である環、又は芳香族環中に存在することができる。本発明の一実施態様では、R14は、いずれの存在においても、それが別に存在する場合とは独立して、環炭素原子を介して、別の実施態様では、環窒素原子を介して結合している。
【0072】
R14の定義によって含まれる環式基の種類には、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、フェニル基、ナフタレン−1−イル基及びナフタレン−2−イル基を含むナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル基などの部分的に水素化されたナフチル基、基Het1及びHet3のような単環式及び二環式芳香族ヘテロ環基、そして基Het2のような飽和及び部分的に不飽和の単環式及び二環式ヘテロ環基がある。こうした基に関して上記及び下記に与えられている説明は、通例、ヘテロ環基に関して上記に与えられている説明でもそうであるように、R14に相当するそうした基に同様に適用される。本発明の一実施態様では、基R14が任意の一つ若しくはそれより多い基から選択される基の例は、次の式の基である。
【0073】
【化10】
【0074】
【化11】
【0075】
[式中、記号
【化12】
と交差している線は、基がそれを介して結合する遊離結合を示す。こうした式中に示されており、そして特定の原子を対象としていない置換基R20から出ている結合は、場合により、こうした基が、任意の位置に存在することができる一つ若しくはそれより多い、同一又は相異なる置換基R20によって置換されていることもあるということを示す]。
【0076】
本発明の一実施態様では、場合により、基R14中に存在していることもある同一または相異なる置換基R20の数は、1、2、3又は4であり、別の実施態様では、それは1、2又は3であり、別の実施態様では、それは1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、任意の別の置換基R20に加えてR14中に、場合により、存在していることもある置換基R20に相当するオキソ基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。一実施態様では、任意の別の置換基R20に加えてR14中に、場合により、存在していることもある置換基R20に相当するR16−N(R17)−C(O)−、R19−O−C(O)−及びR16−N(R17)−S(O)2−から成る系列から選択される基の数は、1又は2であり、別の実施態様では、それは1である。
【0077】
本発明の一実施態様では、R15は、そのいずれかの存在においても、それが別に存在する場合とは独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では、R15はメチルである。
【0078】
本発明の一実施態様では、R16及びR17は、そのいずれかの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、そして互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びメチルから成る系列から選択されるか、又は、基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって4員〜7員の単環式の飽和ヘテロ環を形成し、該4員〜7員の単環式の飽和へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該4員〜7員の単環式の飽和へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換される。別の実施態様では、R16及びR17は、そのいずれの存在においても、それが別に存在する場合とは独立して、そして互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及びメチルから成る系列から選択される。
【0079】
基R16及びR17によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成される単環式ヘテロ環、すなわち、そのヘテロ環が環窒素原子を介して結合している単環式ヘテロ環は、4員、5員、6員又は7員でありうる。本発明の一実施態様では、基R16及びR17によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環は、5員又は6員であり、別の実施態様では、それは6員である。一実施態様では、基R16及びR17によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成される環中に、場合により、存在していることもある更なる環へテロ原子は、窒素及び酸素から成る系列から選択され、別の実施態様では、それは窒素原子であり、そして別の実施態様では、それは酸素原子である。本発明の一実施態様では、基R16及びR17によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環中に存在しうるフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される置換基の数は、1、2又は3であり、別の実施態様では1又は2であり、別の実施態様では1である。本発明の一実施態様では、基R16及びR17によって、それらを担持する窒素原子と一緒になって形成される環中に存在しうる置換基は、フッ素置換基、及び別の実施態様では、それらは(C1−C4)−アルキル置換基、例えば、メチル置換基であり、そして別の実施態様では、環窒素原子に結合するそうした環における置換基は、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される。本発明の一実施態様では、基R16及びR17によってそれらを担持する窒素原子と一緒になって形成されるヘテロ環基がその任意の一つ若しくは複数から選択される、ヘテロ環基の例には、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、及び4−メチルピペラジン−1−イルがある。
【0080】
本発明の一実施態様では、R18は、そのいずれかの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では、R18はメチルである。
【0081】
本発明の一実施態様では、R19は、そのいずれの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C6)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、水素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され、そして別の実施態様では、R19は水素である。
【0082】
本発明の一実施態様では、R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R18−O−C(O)−N(R17)−、NC−、R18−C(O)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R18−O−C(O)−N(R17)−及びNC−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から、別の実施態様では、(C1−C4)−アルキル及びオキソから成る系列から選択され、上記において、一つより多い置換基R20が存在する場合には、置換基R20は、互いに独立して、こうした実施態様のいずれか中の定義と同様である。
【0083】
本発明の一実施態様では、芳香族基Het1は、そのいずれの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される、一つの環へテロ原子を含み、そして更に環窒素原子である環へテロ原子を含む5員のヘテロ環であるか、又はそれは一つ又は二つの環窒素原子を含む6員のヘテロ環であり、別の実施態様ではHet1は、芳香族ヘテロ環であるピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン及びピラジンから成る系列から、別の実施態様では、ピラゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン及びピリミジンから成る系列から、別の実施態様では、ピラゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール及びピリジンから成る系列から選択され、該環は、すべて、非置換であるか、又は指示されているように置換されている。一実施態様では、基Het1は、環炭素原子を介して結合している。一実施態様では、場合により、基Het1中に存在していることもある置換基の数は、1、2又は3であり、別の実施態様では、1又は2であり、別の実施態様では1である。一実施態様では、場合により、Het1中に存在していることもある置換基は、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される。一実施態様では、環窒素原子[例えば、ピロール、ピラゾール又はイミダゾール環中]に結合している置換基は、(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される。
【0084】
ヘテロ環基Het2は、4員、5員、6員、7員、8員、9員又は10員でありうる。本発明の一実施態様では、単環式の基Het2は、4員、5員、6員又は7員であり、そして二環式の基Het2は、6員、7員、8員、9員又は10員である。本発明の一実施態様では、Het2は、そのいずれの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、単環式であり、そして別の実施態様では、それは二環式である。二環式の基Het2中の二つの環は、縮合していてもよいし、又は架橋二環又はスピロ環を形成していてもよい。一実施態様では、基Het2は、飽和しているか、又は環内に一つの二重結合を含んでおり、別の実施態様では、それは飽和している。一実施態様では、場合により、基Het2中に存在することもある、更なる環へテロ原子は、窒素及び酸素から成る系列から選択され、別の実施態様では、それは窒素原子であり、そして別の実施態様では、それは酸素原子である。Het2は、空いている結合部位を有する、任意の環炭素原子及び任意の環窒素原子を介して結合することができる。本発明の一実施態様では、Het2は、そのいずれの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、環炭素原子を介して、別の実施態様では、環窒素原子を介して結合する。本発明の一実施態様では、Het2が任意の一つ若しくはそれより多い基から選択されるヘテロ環基の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル及び3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンがあり、これらは一実施態様では、環炭素原子を介して結合し、そして例えば、残基、アゼチジン−2−イル、アゼチジン−3−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル及び3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−イルがある。
【0085】
本発明の一実施態様では、芳香族基Het3は、5員又は6員の単環式のヘテロ環であるか、又は8員、9員又は10員の二環式のヘテロ環であり、別の実施態様では、5員又は6員の単環式のヘテロ環であるか、又は9員又は10員の二環式のヘテロ環である。Het3に相当する二環式のヘテロ環では、この環へテロ原子は、環の一つ又は環の双方に存在することができる。一実施態様では、Het3中の環へテロ原子の一つは、環窒素原子であり、そして更なる環へテロ原子は存在しないか、又は窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される第二の環へテロ原子が存在する。一実施態様では、Het3は、芳香族ヘテロ環、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール(benzthiazole)、キノリン及びイソキノリンから成る系列から、別の実施態様では、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール及びベンゾチアゾールから成る系列から、別の実施態様では、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ベンゾイミダゾール及びベンゾチアゾールから成る系列から、別の実施態様では、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン及びベンゾチアゾールから成る系列から選択される。
【0086】
本発明の一実施態様では、フェニル基中の置換基は、式Iの化合物中のそのいずれの存在においても、それとは別に存在する場合とは独立して、別途明記されない限り、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される。一実施態様では、別途明記されない限り、フェニル基中の置換基の数は、1、2又は3であり、別の実施態様では、1又は2であり、別の実施態様では1である。
【0087】
本発明の一実施態様では、式Iの化合物中のクロマン環系の位置2のキラル炭素原子は、式Iqの化合物中の波型の楔によって示されているように、一様な立体配置で(in uniforom configuration)、R立体配置(R configuration)又はS立体配置(S configuration)のどちらかで存在しているか、又は本質的に存在している[例えば、二つの立体異性体のモル比は、98:2、又は99:1、又はそれを超えている]。本発明の別の実施態様では、式Iの化合物中のクロマン環系の位置2のキラル炭素原子は、式Ir中で描写されている立体配置で存在しているか、又は本質的に存在しており[例えば、二つの立体異性体のモル比は、98:2、又は99:1、又はそれを超えている]、すなわち、式Iのそれぞれの化合物において、基Arが、式Ir及びIsで描写されているように立体配置されているクロマン環系によって形成されていると想定されうる平面の上に位置しているが、基R4が、すべて水素である場合にはその立体配置はR立体配置である。本発明の別の実施態様では、式Iの化合物中のクロマン環系の位置2のキラル炭素原子は、式Is中で描写されている立体配置で存在しているか、又は本質的に存在しているおり[例えば、二つの立体異性体のモル比は、98:2、又は99:1、又はそれを超えている]、すなわち、式Iのそれぞれの化合物において、基Arが、式Ir及びIs中で描写されているように立体配置されているクロマン環系によって形成されていると想定されうる平面の下に位置しているが、R4が、すべて水素である場合にはその立体配置はS立体配置である。
【0088】
【化13】
【0089】
式Iq、Ir及びIsの化合物中の基Ar、R2、R3及びR4は、式Iの化合物中での定義と同様である。
【0090】
本発明の対象は、式Iのすべての化合物であり、該式Iのすべての化合物について、基、残基、置換基及び数などの任意の一つ若しくはそれより多い構造要素が、あらゆる特定化された実施態様又は要素の定義中での定義と同様であり、又は要素の例として本明細書中で言及されている一つ若しくはそれより多い特定の意味を有しており、化合物又は要素及び/又は特定化された実施態様及び/又は要素の特定の意味の一つ若しくはそれより多い定義のすべての組み合わせがこの発明の対象である。また、式Iのすべてのこうした化合物に関して、それらのすべての立体異性体形態及びすべての比率の立体異性体形態の混合物、及びその製薬学的に許容される塩がこの発明の対象である。
【0091】
あらゆる構造的要素に関して本発明の特定化された実施態様又はそうした要素の定義中で定義されている本発明の化合物の例として、式Iの化合物が言及されうるが、式Iにおいて、
Arは、フェニル、チオフェニル、ピリジニル及びピラジニルから成る系列から選択され、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−O−、(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−O−及び(C1−C6)−アルキル−S(O)n−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−、R5−N(R6)−CH2−、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキル、(C6−C10)−ビシクロアルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており、
【0092】
又は、
基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和ヘテロ環を形成し、該4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和へテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和へテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されており;
R7は、(C1−C6)−アルキル、Het2及びHet3から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキル及びHet2は、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そしてHet3は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され;
R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、R19−O−C(O)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され;
R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から選択され;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2又は3個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
【0093】
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって5員〜6員の単環式の飽和ヘテロ環を形成し、該5員〜6員の単環式の飽和へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該5員〜6員の単環式の飽和へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R19は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から選択され;
Het2は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、4員〜10員の、単環式又は二環式の、飽和、又は部分的に不飽和のヘテロ環であり;
Het3は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員〜10員の単環式又は二環式の芳香族ヘテロ環であり;
nは、0、1及び2から成る系列から選択され、上記において、数nは、すべて、互いに独立しており;
上記において、シクロアルキル及びビシクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル又はビシクロアルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の他の置換基とは独立して、一つ又はそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい;
それらの任意の立体異性体形態又は任意の比率での立体異性体形態の混合物を含む化合物、並びにその製薬学的に許容される塩が言及されうる。
【0094】
別のそうした例として、式Iの化合物が言及されうるが、式Iにおいて、
Arは、フェニル、チオフェニル、ピリジニル及びピラジニルから成る系列から選択され、これらは、すべて、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−、R5−N(R6)−CH2−、R7−C(O)−NH−CH2−及びR7−S(O)2−NH−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
R5及びR6は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており;
【0095】
又は
基R5及びR6は、それらを担持する窒素原子と一緒になって4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和のヘテロ環を形成し、該4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和のへテロ環は、R5及びR6を担持する窒素原子のほかに、更に窒素及び酸素から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該4員〜10員の、単環式又は二環式の飽和のへテロ環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R12によって置換されており;
R7は、(C1−C6)−アルキル及びHet3から成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そしてHet3は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R13によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−、R18−C(O)−N(R17)−、R16−N(R17)−C(O)−及びR19−O−C(O)−から成る系列から選択され;
R11及びR12は、互いに独立して、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R13は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−及びR16−N(R17)−から成る系列から選択され;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2又は3個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
【0096】
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該5員〜6員の単環式飽和へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該5員〜6員の単環式飽和へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R19は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から選択され;
Het3は、窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される1又は2個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでいる、5員〜10員の単環式又は二環式の芳香族ヘテロ環であり;
上記において、シクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル基上に存在することができる任意の別の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の別の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい;
それらの任意の立体異性体形態又は任意の比率での立体異性体形態の混合物を含む化合物、並びにその製薬学的に許容される塩が言及されうる。
【0097】
別のそうした例として、式Ie:
【化14】
[式中、
Arは、フェニルであり、このフェニルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
【0098】
基R5及びR6の一方は、水素であり、そして基R5及びR6の他方は、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており;
R10は、R14、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R11は、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R14は、3員〜10員の、単環式又は二環式環であり、該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、飽和であるか、部分的に不飽和であるか、又は芳香族であり、そして窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0、1、2又は3個の同一又は相異なる環へテロ原子を含んでおり、そして該3員〜10員の、単環式又は二環式環は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R20によって置換されており;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
【0099】
又は、
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該5員〜6員の単環式飽和へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該5員〜6員の単環式飽和へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
R20は、ハロゲン、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、(C3−C7)−シクロアルキル、HO−、オキソ、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びNC−から成る系列から選択され;
上記において、シクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル基上に存在することができる任意の別の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の別の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい]
の化合物である、式Iの化合物が言及することができ、それらの任意の立体異性体形態又は任意の比率での立体異性体形態の混合物を含む化合物、並びにその製薬学的に許容される塩が言及されうる。
【0100】
別のそうした例として、式Ie:
【化15】
[式中、
Arは、フェニルであり、該フェニルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R1によって置換されており;
R1は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、HO−及び(C1−C6)−アルキル−O−から成る系列から選択され;
R2は、R5−N(R6)−C(O)−及びR5−N(R6)−CH2−から成る系列から選択され;
R3は、水素、ハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択され;
R4は、水素であるか、又はハロゲン及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基であり;
【0101】
基R5及びR6の一方は、水素であり、そして基R5及びR6の他方は、(C1−C6)−アルキル及び(C3−C7)−シクロアルキルから成る系列から選択され、上記において、(C1−C6)−アルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R10によって置換されており、そして(C3−C7)−シクロアルキルは、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基R11によって置換されており;
R10は、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、R15−C(O)−O−、R15−NH−C(O)−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R11は、(C1−C4)−アルキル、HO−(C1−C4)−アルキル−、R16−N(R17)−(C1−C4)−アルキル−、フッ素、HO−、(C1−C6)−アルキル−O−、HO−S(O)2−O−、(HO)2P(O)−O−、R16−N(R17)−及びR18−C(O)−N(R17)−から成る系列から選択され;
R15及びR18は、互いに独立して、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され;
R16及びR17は、互いに独立して、水素、(C1−C6)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル及び(C3−C7)−シクロアルキル−(C1−C4)−アルキル−から成る系列から選択され、
【0102】
又は
基R16及びR17は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、5員〜6員の単環式飽和ヘテロ環を形成し、該5員〜6員の単環式飽和へテロ環は、R16及びR17を担持する窒素原子のほかに、更に窒素、酸素及び硫黄から成る系列から選択される0又は1個の環へテロ原子を含んでおり、そして該5員〜6員の単環式飽和へテロ環は、非置換であるか、又はフッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される、一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる置換基によって置換されており;
上記において、シクロアルキル基は、すべて、シクロアルキル基上に存在することができる任意の別の置換基とは独立して、フッ素及び(C1−C4)−アルキルから成る系列から選択される一つ若しくはそれより多い同一の置換基によって置換されていてもよく;
上記において、アルキル基は、すべて、アルキル基上に存在することができる任意の別の置換基とは独立して、一つ若しくはそれより多いフッ素置換基によって置換されていてもよい]
の化合物である、式Iの化合物、それらの任意の立体異性体形態又は任意の比率での立体異性体形態の混合物を含み、並びにその製薬学的に許容される塩が言及しうる。
【0103】
本発明の対象はまた、本明細書中に開示されている式Iの任意の特定の化合物から選択される式Iの化合物であるか、又は本明細書中に開示されている式Iの特定の化合物のうちのいずれか一つであり、それらが遊離の化合物として及び/又は特定の塩、又はその製薬学的に許容される塩として開示されているかどうかには無関係であり、上記において、任意の立体異性体形態、又は立体異性体形態の任意の比率での混合物の式Iの化合物が、本発明の対象である。例えば、本発明の対象は、以下から成る系列から選択される式Iの化合物である:
【0104】
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エチル]−アミド、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸シクロプロピルアミド、
2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−N−[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アセトアミド、
イソオキサゾール−5−カルボン酸[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
4−メチル−2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(イソオキサゾール−5−イルメチル)−アミド、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
リン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−クロロ−ピリジン−4−イルメチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)−アミド、
1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド、
2−((R)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、及び
[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−ピリジン−4−イルメチル−アミン、
又はこうした化合物のいずれか一つ、及びその製薬学的に許容される塩であり、ここで、特定の立体異性体形態がそれぞれの化合物中の任意の炭素原子に関して明記されていない場合であっても、任意の立体異性体形態、又は任意の比率の立体異性体形態の混合物が含まれる式Iの化合物が本発明の対象である。
【0105】
本発明の別の対象は、以下から成る系列から選択される式Iの化合物である:
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)−エチル]−アミド、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸シクロプロピルアミド、
2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−N−[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アセトアミド、
イソオキサゾール−5−カルボン酸[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
4−メチル−2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(イソオキサゾール−5−イルメチル)−アミド、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
リン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル)−アミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸プロピルアミド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−クロロ−ピリジン−4−イルメチル)−アミド、
2−((R)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、及び
[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−ピリジン−4−イルメチル−アミン、
又はこうした化合物のいずれか一つ、及びその製薬学的に許容される塩であり、ここで、特定の立体異性体形態がそれぞれの化合物中の任意の炭素原子に関して明記されていない場合であっても、任意の立体異性体形態又は任意の比率の立体異性体形態の混合物が含まれる式Iの化合物が本発明の対象である。
【0106】
本発明の一実施態様では、式Iの化合物はケミカルアブストラクトシステムの命名法に従って命名されている次の化合物群の一つではないことを条件として、式Iの化合物は、その一般的な定義で、又はいずれかのより特定の定義で、又は実施態様で、上記の通り定義されている:
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[1−(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)エチル]−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
1H−ピラゾール−4−スルホンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1,3,5−トリメチル−、
1H−ピラゾール−4−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1,5−ジメチル−,
1H−ピラゾール−4−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1,3,5−トリメチル−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)エチル]−,
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1−エチル−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチル]−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチル]−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチル]−、
1H−ピラゾール−4−スルホンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1,5−ジメチル−、
1H−ピラゾール−4−スルホンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−メチル−、
1H−ピラゾール−3−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−エチル−、
1H−ピラゾール−1−アセトアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−、
1H−ピラゾール−1−アセトアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−3−メチル−、
1H−ピラゾール−5−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−エチル−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[3−(1H−ピラゾール−1−イル)プロピル]−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)エチル]−、
1H−ピラゾール−4−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−エチル−、
5−チアゾールカルボキサミド,N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−[[2−(3−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−、
5−チアゾールカルボキサミド,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
1H−ピラゾール−1−プロパンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−、
1H−ピラゾール−4−スルホンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−5−メチル−1−(1−メチルエチル)−、
5−チアゾールカルボキサミド,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
5−チアゾールカルボキサミド,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[1−(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)エチル]−、
5−チアゾールカルボキサミド,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[1−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)エチル]−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
1H−ピラゾール−4−スルホンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−エチル−、
1H−ピラゾール−5−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1,3−ジメチル−、
5−チアゾールメタンアミン,2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−N−[2−(1H−ピラゾール−1−イル)エチル]−、
1H−ピラゾール−5−スルホンアミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−メチル−、
1H−ピラゾール−5−カルボキサミド,N−[[2−[(3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)オキシ]−5−チアゾリル]メチル]−1−メチル−、
5−チアゾールカルボキサミド,N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−[[(2R)−2−(3−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−、
5−チアゾールカルボキサミド,N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−[[(2S)−2−(3−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−、
5−チアゾールカルボキサミド,2−[[(2R)−3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、及び
5−チアゾールカルボキサミド,2−[[(2S)−3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
上記において、除外される化合物では、フェニル基又は3−フルオロフェニル基を担持する、クロマン環の2の位置の炭素原子は、別途明記しない限り、ラセミ体化合物の形態をとって存在し、そして別の実施態様では、除外される化合物は、遊離化合物として[すなわち、酸との付加塩の形ではない]、及びそれらの2,2,2−トリフルオロアセタート[すなわち、トリフルオロ酢酸とのそれらの酸付加塩]の形で除外される。
【0107】
本発明の別の実施態様では、この式Iの化合物は、同時に、基Arは非置換のフェニル基であり、基R3及びR4は水素であり、基R5及びR6の一方は、水素であり、基R5及びR6の他方は、R40−(C1−C4)−アルキル−であり、そしてR7は、R40であるか、又はR40−(C1−C4)−アルキル−[上記において、R40は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる(C1−C4)−アルキル置換基によって置換されているピラゾリルである]であり、かつ基Arを担持するクロマン環の2の位置の炭素原子は、ラセミ化合物の形態をとって存在している化合物ではないことを条件とし、並びに式Iの化合物はケミカルアブストラクトシステムの命名法に従って命名されている次の化合物群の一つではないことを条件として、式Iの化合物は、その一般的な定義で、又はいずれかのより特定の定義で、又は実施態様で上記の通り定義されている:
5−チアゾールカルボキサミド,N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−[[2−(3−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−、
5−チアゾールカルボキサミド,N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−[[(2R)−2−(3−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−、
5−チアゾールカルボキサミド,N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−[[(2S)−2−(3−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−、
5−チアゾールカルボキサミド,2−[[(2R)−3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、及び
5−チアゾールカルボキサミド,2−[[(2S)−3,4−ジヒドロ−2−フェニル−2H−1−ベンゾピラン−6−イル]オキシ]−N−[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−、
そして別の実施態様では、除外される化合物は、遊離化合物として[すなわち、酸との付加塩の形ではない]、及びそれらの2,2,2−トリフルオロアセタートの形[すなわち、トリフルオロ酢酸とのそれらの酸付加塩]で除外される。
【0108】
本発明の別の実施態様では、、この式Iの化合物は、同時に、基Arは、非置換のフェニル又は3−フルオロフェニルであり、基R3及びR4は水素であり、基R5及びR6の一方は、水素であり、基R5及びR6の他方は、R40−(C1−C4)−アルキル−であり、そしてR7は、R40であるか、又はR40−(C1−C4)−アルキル−[上記において、R40は、非置換であるか、又は一つ若しくはそれより多い同一若しくは相異なる(C1−C4)−アルキル置換基によって置換されているピラゾリルである]である化合物ではないことを条件として、式Iの化合物は、その一般的な定義で、又はいずれかのより特定の定義で、又は実施態様で、上記の通り定義されており、そして別の実施態様では、除外される化合物は、遊離化合物として[すなわち、酸との付加塩の形ではない]、及びそれらの2,2,2−トリフルオロアセタートの形[すなわち、トリフルオロ酢酸とのそれらの酸付加塩]で除外される。
【0109】
この発明の別の対象は、下記に概説される式Iの化合物の製造方法であり、それによって式Iの化合物及び合成の過程で生じる中間体が得られる。例えば、かかるプロセスの一つは、式IIのクロマン−6−オールと式IIIの2−クロロ−チアゾールから式Iの化合物を形成することに関連しており、そしてチアゾール環をクロマン環と結合させて式IVの化合物を生じさせること、そして引き続いて基Yを式Iの最終化合物中のチアゾール環に結合している基R2に変換することを含む。
【0110】
【化16】
【0111】
式II、III及びIVの化合物中の基Ar、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。式III及びIVの化合物中の、その後式Iの化合物中の基R2に変換する式IIIと式IVの化合物中の基Yは、R50−O−C(O)−、H−C(O)−及びNC−[上記において、R50は(C1−C4)−アルキルである]から成る系列から選択される。式IIとIIIの化合物の反応は、通例、塩基、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩のような塩基性アルカリ金属塩の存在下で、不活性溶媒、特に非プロトン性溶媒中、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン又は1,2−ジメトキシエタン(DME)などのエーテル、又はジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリジン−2−オン(NMP)などのアミド中、約20℃〜約100℃、特に約40℃〜約60℃の温度で行なわれる。本発明の一実施態様では、R50は、(C1−C2)−アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、別の実施態様では、それはtert−ブチルである。
【0112】
基Yが基R50−O−C(O)−である式IVの化合物、これは式IVaの化合物として指定されており、特にR50が(C1−C2)−アルキルである式IVaの化合物は、エステルのアミノ分解の場合の標準的な条件下、例えば、トルエンのような炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンのような塩素化炭化水素、又はTHF、ジオキサン又はDMEのようなエーテルなどの溶媒中、約20℃〜約120℃の温度で、式Vのアミンと反応させ、R2が基R5−N(R6)−C(O)−である式Iの化合物[すなわち、式Iaの化合物]を生じさせることができる。
【0113】
【化17】
【0114】
式IVの化合物はまた、好都合な方法で式Iaの化合物に変換することができ、その手段は、最初に式IVaの化合物を式VIのそれぞれのカルボン酸又はその塩に変換させ、そしてカルボン酸からアミドを形成する場合の標準的な条件下で、式VIの化合物又はその塩を式Vのアミンと反応させることによる。式IVa、V及びVIの化合物中の基Ar、R3、R4、R5及びR6は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。
【0115】
式IVaの化合物は、酸又は塩基と処理することによって式VIの化合物に変換することができ、例えば、THF、ジオキサン又はDMEようなエーテル、又はメタノール若しくはエタノールなどのアルコール、又は溶媒の混合物、特に水溶性溶媒又は溶媒の混合物のような溶媒中、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物で処理することによるか、又はジクロロメタンのような塩素化炭化水素、エーテル又はアルコールなどの溶媒中、約20℃〜約100℃の温度で、塩酸又はトリフルオロ酢酸で処理し[特にtert−ブチルエステルの場合]、引き続いて式IVaのエステルが、塩基の存在下で加水分解し、式VIの遊離のカルボン酸が製造される場合には、酸性化のような標準的な後処理手順を行なうが、上記において、詳細な条件は、通常のごとく特定の場合の細目に左右されるが、当技術分野の当業者によって容易に選択される。式Vの化合物との反応の場合には、式VIの化合物中のカルボン酸基HO−C(O)−は、通例、従来から用いられているアミドカップリング試薬によってインサイチュで活性化されるか、又はインサイチュで調製又は単離することができる反応性カルボン酸誘導体に変換される。例えば、式VIの化合物は、例えば、チオニルクロリド、五塩化りん又は塩化オキサリルで処理することによって酸ハロゲン化物に変換するか、又はクロロギ酸エチル又はクロロギ酸イソブチルのようなクロロギ酸アルキルで処理すると、混合無水物(mixed anhydride)を生じさせることができる。通例使用することができるカップリング試薬には、プロパンホスホン酸無水物(propanephosphonic anhydride)、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなN,N’−カルボニルジアゾール類、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDC)のようなカルボジイミド、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBT)又は1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)のような添加剤とカルボジイミド、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)又はO−(シアノ(エトキシカルボニル)メチレンアミノ)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TOTU)のようなウロニウムベースカップリング試薬、及び(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)又はブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBroP)のようなホスホニウムベースカップリング試薬がある。式VIの活性化化合物又は式VIの化合物の反応性誘導体の反応は、通例、不活性溶媒、例えば、トルエンのような炭化水素、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素、THF、ジオキサン又はDMEのようなエーテル、酢酸エチル又は酢酸ブチルのようなエステル、アセトニトリルのようなニトリル、DMF又はNMPのようなアミド、又は水、又は溶媒の混合物中で、約−10℃〜約100℃の温度、特に約0℃〜約60℃の温度で行なわれる。この反応は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンのような第三級アミン又はピリジンのような塩基、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム塩のようなアルカリ金属水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩などの無機塩基の存在下で行なうのが有利である。
【0116】
式IVbの化合物として指定されている、基Yが基H−C(O)−[すなわち、アルデヒド基又はホルミル基]である式IVの化合物は、式Vのアミン、特に基R5及びR6の少なくとも一つが水素とは異なるアミンと反応させ、還元的アミノ化反応で、R2が基R5−N(R6)−CH2−[すなわち、式Ibの化合物]である式Iの化合物を生じさせることができる。
【0117】
【化18】
【0118】
式IVbの化合物中の基Ar、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。この還元的アミノ化は、還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウム、又はナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの錯体ボロヒドリドで行なうことができ、該ボロヒドリドは、THF、ジオキサン又はDMEようなエーテル、メタノール又はエタノールのようなアルコール、又は酢酸のような酸又は溶媒の混合物などの溶媒中で、約0℃〜約70℃の温度でポリマーに結合した(polymer-bound)形で使用することも有利である。
【0119】
式IVcの化合物として指定されている、基Yが基NC−[すなわち、ニトリル基又はシアノ基]である式IVの化合物は、式Itのアミノメチル化合物に還元し、次いでこれを式VIIの化合物でアシル化し、そして式VIIIの化合物でスルホニル化(sulfonylated)すると、それぞれ、R2が基R7−C(O)−NH−CH2−と基R7−S(O)2−NH−CH2−である式Iの化合物、すなわち、式Ic及びIdの化合物を更に生じせしめることができる。
【0120】
【化19】
【0121】
式It、IVc、VII及びVIIIの化合物中の基Ar、R3、R4及びR7は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。式VII及びVIIIの化合物中の基X1及びX2は、求核置換可能な脱離基(nucleophilically substitutable leaving
groups)、特に塩素であり、この後者の場合には式VII及びVIIIの化合物は、カルボン酸クロリド及びスルホン酸クロリドである。式Itの化合物との反応の場合に、この基X1及びX2はまた、ヒドロキシ基であってもよく、その場合には、式VII及びVIIIの化合物は、カルボン酸及びスルホン酸であり、これは通例、従来から使用されているアミドカップリング試薬によってインサイチュで活性化されるか、又はX1又はX2が塩素である化合物のような反応性カルボン酸誘導体に変換される。式VIの化合物が式Vの化合物と反応し、カルボキサミドが生じることに関して、上記に与えられている活性剤及び反応条件に関する説明は、式VII及び式VIIIの化合物が式Itの化合物と反応し、カルボキサミド及びスルホンアミドが生じることに同様に適用される。式IVcの化合物中のニトリル基を、式Itの化合物中のアミノメチル基に還元するには、当技術分野の当業者に知られている様々な還元試薬、例えば、錯体金属ヒドリド又はボラン(boranes)を用いるか、又は水素化触媒、例えば、ラニーニッケルの存在下で、THF、ジオキサン又はDMEようなエーテル、メタノール又はエタノールのようなアルコール、又は水又は溶媒の混合物などの溶媒中、約0℃〜約80℃の温度で、接触水素化(catalytic hydrogenation)によって行なうことができるが、詳細な条件は選択される還元剤及び特定の場合の細目に左右される。
【0122】
式IV及びItの化合物はまた。他の合成ストラテジーに従って、更に式Iの化合物に変換することができる。例えば、基R5及びR6の一方が水素であり、そして他方がタイプR14−CH2−の基のような置換メチル基である、式Ibの化合物を製造しなければならない場合には、式Itの化合物及び式R14−C(O)−Hのアルデヒドの還元的アミノ化を、式IVb及びVの化合物の反応の場合に記載された上記の方法で行なうことができる。式Ib、Ic及びIdの化合物はまた、式IVaの化合物又は式IVbの化合物を、基Yがヒドロキシメチル基HO−CH2−であるそれぞれの化合物に還元し、ヒドロキシ基を塩素又は臭素又はメタンスルホニルオキシのようなスルホニルオキシ基などの求核置換可能な脱離基に変換し、そして得られたアルキル化剤を、それぞれ、式Vのアミン、式R7−C(O)−NH2のアミド又はその塩、又は式R7−S(O)2−NH2のスルホンアミド又はその塩と反応させることによって得ることができ、上記において、式R7−C(O)−NH2及び式R7−S(O)2−NH2の化合物では、基R7は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。更に、式IVa、IVb、IVc及びVIの化合物は、互いに変換することができる。特定の場合、式IIの化合物をYがR50−O−C(O)−又はH−C(O)−又はNC−のいずれかである、式IIIの化合物と反応させることがより好都合である場合には、この得られる式IVの化合物又は、その後に得られる式VIの化合物は、標準的な方法によって、Yが別の意味を有している式IVの化合物に変換することができる。例えば、式IVaのカルボン酸エステル又は式IVcのニトリルは、式IVbのアルデヒドに還元することができるか、又は式IVa又は式VIの化合物は、カルボキサミドに変換することができ、そして後者は脱水して式IVcのニトリルにすることができ、又は式IVbのアルデヒドは、酸化して式VIのカルボン酸にすることができ、又は式IVcのニトリルは、加水分解して式VIのカルボン酸にすることができる。
【0123】
更に式Iの化合物を得る場合、官能基の様々な変換を、上記の記載と同様に得られた式Iの化合物、又は式Iの化合物の合成における中間体、又は出発化合物を用いて標準的な条件下で行なうことができる。例えば、ヒドロキシ基は、カルボン酸をアミンと反応させる場合に、上記の記載と同様な方法で、カルボン酸又はその反応性誘導体と反応させ、カルボン酸エステルを生ぜしめることができる。ヒドロキシ基のエーテル化は、例えば、炭酸カリウム又は炭酸セシウムであるアルカリ金属炭酸塩のような塩基の存在下で、例えば、DMF又はNMPのようなアミド、又はアセトン若しくはブタン−2−オンのようなケトンのような不活性溶媒中でそれぞれのハロゲン化合物、例えば、ブロミド又はヨージドを用いてアルキル化するか、又はトリフェニルホスフィン又はトリブチルホスフィンのようなホスフィン及びジエチルアゾジカルボキシラート又はジイソプロピルアゾジカルボキシラートのようなアゾジカルボン酸誘導体の存在下で、光延反応の条件のもとでそれぞれのアルコールを用いてアルキル化することによって行なうことができる。イソシアネートとの反応によって、ヒドロキシ基は、N−置換カルバミン酸エステルに変換することができる。適切なハロゲン化剤で処理することによって、ヒドロキシ基は、ハロゲン化物に変換することができる。ピリジンの存在下で三酸化硫黄と処理することによって、ヒドロキシ基は、硫酸モノエステルに変換することができる。式(イソプロピル)2N−P(O−R55)2[式中、R55は、例えば、ベンジル、アリル又はtert−ブチルである]のジベンジル N,N−ジイソプロピル−ホスホラミダイト、ジアリル N,N−ジイソプロピル−ホスホラミダイト又はジ−tert−ブチル N,N−ジイソプロピル−ホスホラミダイトのような適切なホスホラミダイトと、テトラゾールの存在下で処理し、そしてその後、酸化[例えば、3−クロロ−過安息香酸のような過酸(peracid)を用いて]することによって、ヒドロキシ基は、それぞれ、そのリン酸エステル ジベンジルエステル(phosphoric acid ester dibenzyl ester)、リン酸エステル ジアリルエステル(phosphoric acid ester diallyl ester)及びリン酸エステル ジ−tert−ブチルエステル(phosphoric acid ester di-tert-butyl ester)に変換することができ、ジベンジルエステルの場合にはパラジウム触媒の存在下、接触水素化によって、ジアリルエステルの場合にはパラジウムによって触媒される求核置換によって、そしてジ−tert−ブチルエステルの場合にはトリフルオロ酢酸のような酸と処理することによって、これは切断されて、ヒドロキシ基のリン酸モノエステル、すなわち、ヒドロキシ基の酸素原子に結合している基(HO)2P(O)−を含んでいる化合物にすることができる。クロロギ酸クロロメチル及び続いてリン酸銀ジベンジル(silver dibenzylphosphate)と処理することによって、ヒドロキシ基は、炭酸エステル ジベンジルオキシホスフォリルオキシメチルエステル(carbonic acid ester dibenzyloxyphosphoryloxymethyl ester)に変換され、パラジウム触媒の存在下で接触水素化によって(WO 2010/039474参照)、これは切断されて、ヒドロキシ基の炭酸エステル ホスフォノオキシメチルエステル(carbonic acid ester phosphonooxymethyl ester)、すなわち、ヒドロキシ基の酸素原子に結合している基(HO)2P(O)−O−CH2−O−C(O)−を含む化合物にすることができる。ハロゲン原子は、置換反応で様々な基と取り替えることができ、該反応はまた遷移金属触媒反応でありうる。アミノ基は、アルキル化[例えば、ハロゲン化合物を用いる反応、又はカルボニル化合物の還元的アミノ化による]、アシル化又はスルホニル化(sulfonylation)[例えば、酸クロリド若しくは酸無水物のような活性化されたカルボン酸又はカルボン酸誘導体との反応による]の場合の標準的条件下で修飾(modified)することができる。カルボン酸エステル基は、酸性又は塩基性条件のもとで加水分解し、カルボン酸を生じさせることができる。カルボン酸基は、活性化し、又は上記で概説されている反応性誘導体に変換し、そしてアルコール又はアミン又はアンモニアと反応し、エステル又はアミドを生じさせることができる。第一級アミドは、脱水し、ニトリルを生じさせることができる。アルキル−S−基中又はヘテロ環式環中の硫黄原子は、過酸化水素のような過酸化物又は過酸を用いて酸化し、スルホキシド部分(S(O))又はスルホン部分(S(O)2)を生じさせることができる。カルボン酸基、カルボン酸エステル基及びケトン基は、例えば、リチウムアルミニウムヒドリド、リチウムボロヒドリド又はナトリウムボロヒドリドのような錯体ヒドリドを用いて還元してアルコールにすることができる。ヒドロキシ基は、例えば、クロロクロム酸ピリジニウム又はデス・マーチン・ペルヨージナン試薬によって酸化してオキソ基にすることができる。式Iの化合物の製造におけるすべてのこうした反応は、それ自体知られており、そして標準的な文献、例えば、Houben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Thieme; 又は Organic Reactions, John Wiley & Sons; 又はR. C. Larock, Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2. ed. (1999), John Wiley & Sons, 及びこの中に引用されている参考文献中に述べられている手順に従って、又は準じて、当技術分野の当業者が精通している方法で行なうことができる。
【0124】
上記に述べられている式IVの化合物の合成において使用されている式IIのクロマン−6−オールは、種々のプロセスによって得ることができる。それらの一つでは、ベンゼン環中でヒドロキシ基及び基G1によって置換され、そしてさらにベンゼン環およびアセチル基中で置換基R4によって置換されうる式IXのアセトフェノンは、塩基の存在下で式Xのアルデヒドと縮合され(condensed)、式XIIのクロマン−4−オン及び/又は式XIのカルコンを生じさせ、そして得られた式XIのカルコンは、次いで環化され、式XIIのクロマン−4−オンになる。
【0125】
【化20】
【0126】
式IX、X、XI及びXIIの化合物中の基Ar及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。式IX、XI及びXIIの化合物中の基G1は、ヒドロキシ基又は臭素である。式IX及びXの化合物の反応を、塩基として水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の存在下で、メタノール又はエタノールのようなアルコールなどの溶媒中、約30℃〜約70℃の温度で行なう場合、得られる生成物は、式XIのカルコンである。酢酸アンモニウムのような弱酸の塩の存在下で、例えば、酢酸のような溶媒中、約100℃〜約120℃の温度で式IX及びXの化合物の反応を行なう場合、得られる生成物は、式XIのカルコン及び式XIIのクロマン−4−オンの混合物である。式XIの化合物及び式XI及びXIIの化合物の混合物は、環化反応中で使用し、式XIIの化合物を生じさせることができ、これは出発物質を、メタノール又はエタノールのようなアルコールなどの溶媒中、約60℃〜約100℃の温度で、塩酸のような酸で、又はエチルジイソプロピルアミン及びフッ化カリウムのようなアミンで処理することによって行なうことができる。
【0127】
次いで式XIIの化合物の環の4の位置のオキソ基を、還元してCH2基とし、有利には、式XIIIの4−ヒドロキシ−クロマン誘導体を介して段階的に式XIVの化合物を生じさせる。
【0128】
【化21】
【0129】
式XIII及びXIVの化合物中の基Ar及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。式XIII及びXIVの化合物中の基G1は、ヒドロキシ基又は臭素である。式XIIの化合物を式XIIIの化合物に還元することは、ケトンをアルコールに還元する場合の標準的な条件のもと、例えば、THF又はジオキサンのようなエーテルなどの溶媒中、約30℃〜約80℃の温度で、還元剤としての錯体ヒドリド、又はボラン−テトラヒドロフラン錯体などのボラン誘導体によって行なうことができる。式XIIIの化合物を式XIVの化合物に還元することは、例えば、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素などの溶媒中、約0℃〜約40℃の温度で、トリエチルシランのようなトリアルキルシランなどのシラン還元剤とトリフルオロ酢酸のような酸で処理することにより行なうことができる。式XIIIの化合物及びその前駆体化合物中の基G1がヒドロキシ基である場合には、得られる式XIVの化合物は、すでに式IIの化合物である。得られた式XIVの化合物中の基G1が臭素である場合には、それは式XIVの化合物をブチルリチウムなどの有機リチウム化合物を用いてメタレーション(metalation)し、そしてホウ酸トリイソプロピル(triisopropyl borate)などのホウ酸トリアルキルで処理し[ヘプタン又はシクロヘキサンのような炭化水素、又はTHF又はジオキサンのようなエーテルなどの溶媒中、約−80℃〜約0℃の温度で]、引き続いて、例えば、水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で過酸化水素により酸化的切断(oxidative cleavage)させることによってヒドロキシ基に変換することができる。
【0130】
式IIのクロマン−6−オールの製造の更なるプロセスは、式XVの3−ヒドロキシプロピル−置換ベンゼン誘導体の環化を伴い、これはベンゼン環中で二つの適切な基G2及びG3によって置換されており、そして更にベンゼン環およびプロピル基中で置換基R4によって置換され、次いで基G3が式IIの化合物中に存在するヒドロキシ基に変換される式XVIのクロマン誘導体を生じさせることができる。
【0131】
【化22】
【0132】
式XV及びXVIの化合物中の基Ar及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。式XVの化合物中の基G2は、ヒドロキシ基、又は求核置換可能な脱離基、例えば、フッ素でありうる。式XV及びXVIの化合物中の基G3は、臭素又は例えば、メトキシなどの(C1−C4)−アルキル−O−でありうる。G3が臭素である場合、式XVIの化合物中の基G3の式IIの化合物中のヒドロキシ基への変換は、式XIVの化合物の式IIの化合物への変換の場合に、上記に述べられているように行なうことができる。G3が(C1−C4)−アルキル−O−である場合、ヒドロキシ基への変換は、エーテル切断(ether cleavage)の場合の標準的な手順に従って行なうことができ、例えば、メトキシ基の場合、約−20℃〜約10℃の温度でジクロロメタンのような塩素化炭化水素中の三臭化ホウ素で処理することによる。基G2がヒドロキシ基である場合には、式XVの化合物の式XVIの化合物への環化は、光延反応の条件のもと、THF又はジオキサンのような溶媒中、約0℃〜約30℃の温度で、トリフェニルホスフィン又はトリブチルホスフィンのようなホスフィンとジエチルアゾジカルボキシラート又はジイソプロピルアゾジカルボキシラートのようなアゾジカルボン酸誘導体で処理することによって好都合に行なうことができる。式XVの化合物中のG2を担持するベンゼン環が、求核芳香族置換を受けやすく、そしてG2がフッ素のような脱離基である場合には、この環化は、プロピル基の3の位置のヒドロキシ基の求核性を高める塩基[例えば、アルカリ金属アミド又は水素化ナトリウムのようなアルカリ金属ヒドリド]で式XVの化合物を処理する[THF又はジオキサンのようなエーテル又はDMF若しくはNMPのようなアミドなどの不活性溶媒中、約−20℃〜約100℃の温度で]ことによって行なうことができる。
【0133】
式XVの化合物の環化によって、クロマン環系の位置2のキラル炭素原子がR立体配置又はS立体配置で存在する式XVI及びIIの化合物、及び最終的に式Iの化合物の個々の立体異性体形態もまた、好都合に製造することができる。他の方法、例えば、最終化合物の式I又は合成の任意の段階での立体異性体の混合物のキラル相のクロマトグラフィーによる分割によって得られうるこうした個々の立体異性体の合成の場合、式XVの3−ヒドロキシプロピル−置換ベンゼンの個々の立体異性体形態、すなわち、式XVaの化合物が使用される。選択される環化反応及び条件に左右されるが、この環化によって、キラル炭素原子の立体配置の保持又は反転が進められ、式XVIの化合物の個々の立体異性体形態を生じさせることができ[すなわち、式XVIaの化合物]、これは式II及びIの個々の立体異性体形態化合物と更に反応することができる。式XVa及びXVIaの化合物では、基Ar、R4、G2及びG3は、それぞれ、式XV及びXVIの化合物中の定義と同様であり、そしてキラル炭素原子の描写がR立体配置又はS立体配置で存在しているか、又は本質的に存在しており、これは波型の楔によって示されている。
【0134】
【化23】
【0135】
従って、この発明の一つの実施態様は、式Iの化合物の製造方法であって、
【化24】
【0136】
その方法は、式XVの化合物を式XVIの化合物に環化することと、式XVIの化合物を式IIの化合物に変換することと、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させ、式IVの化合物を生ぜしめることと、そして式IVの化合物を式Iの化合物に変換することを含んでなり、上記において、式II、III、IV、XV及びXVIの化合物中の基Ar、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができ、式XVの化合物中の基G2は、ヒドロキシ基又は求核置換可能な脱離基、例えば、フッ素であり、式XV及びXVIの化合物中の基G3は、臭素又は(C1−C4)−アルキル−O−であり、そして式III及びIVの化合物中の基Yは、R50−O−C(O)−、H−C(O)−又はNC−[上記において、R50は(C1−C4)−アルキルである]である。
【0137】
この発明の別の実施態様は、式II、IV、XV及びXVIの化合物中の基Arを担持するキラル炭素原子が、一様な立体配置、R立体配置、又はS立体配置のいずれかで存在するか、又は本質的に存在する、上記に述べられている方法に関しており、すなわち、式Iqの化合物の製造方法に関しており、
【0138】
【化25】
【0139】
その方法は、式XVaの化合物を式XVIaの化合物に環化することと、式XVIaの化合物を式IIaの化合物に変換することと、式IIaの化合物を式IIIの化合物と反応させ、式IVdの化合物を生ぜしめることと、そして式IVdの化合物を式Iqの化合物に変換することを含んでなり、上記において、式Iq、IIa、III、IVd、XVa及びXVIaの化合物中の基Ar、R2、R3及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができ、式XVaの化合物中の基G2は、ヒドロキシ基又は求核置換可能な脱離基、例えば、フッ素であり、式XVa及びXVIaの化合物中の基G3は、臭素又は(C1−C4)−アルキル−O−であり、そして式III及びIVdの化合物中の基Yは、R50−O−C(O)−、H−C(O)−又はNC−[上記において、R50は(C1−C4)−アルキルである]であり、上記において、式Iq、IIa、IVd、XVa及びXVIaの化合物中の基Arを担持するキラル炭素原子は、均一な立体配置、R立体配置、又はS立体配置のいずれかで存在するか、又は本質的に存在する、前記方法に関する。
【0140】
上記で述べられている式XVI及びXVIaの化合物になる環化反応中で使用されている、式XVaの立体異性体形態を含む式XVの化合物は、文献中で述べられている様々なプロセスに従って、又はそれらのプロセスに準じて得ることができる。例えば、式XVIIの3−オキソ−プロピオン酸エステルは、式XVIIIのベンジルハライドを用いてアルキル化し、式XIXの3−オキソ−プロピル−置換ベンゼン誘導体を生ぜしめることができ、上記において、その後そのケトン基は、アルコール基に還元されて、式XVの化合物が生じる。
【0141】
【化26】
【0142】
式XVII、XVIII及びXIXの化合物中の基Ar及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。このプロセスに従って式XVの化合物を製造する際には、式XVIII及びXIXの化合物中の基G2は、特に求核置換可能な脱離基、例えば、フッ素であり、そして式XVIII及びXIXの化合物中の基G3は、特に臭素である。式XVIIの化合物中の基R51は、(C1−C4)−アルキル、例えば、メチル又はエチルである。式XVIIIの化合物中の基X3は、求核置換可能な脱離基、例えば、塩素又は臭素である。式XIXの化合物を生じせしめる式XVII及びXVIIIの化合物の反応は、THF、ジオキサン又はDMEのようなエーテルなどの不活性溶媒中、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属ヒドリド[例えば、水素化ナトリウム]などの塩基の存在下で、約0℃〜約50℃の温度で行なわれる。得られるベンジル化された3−オキソ−プロピオン酸エステルを酸、例えば、ジオキサンのようなエーテル、又は酢酸のような酸、又は溶媒の混合物などの水溶性溶媒中の塩酸で、約60℃〜約120℃の温度で処理することによって、エステル部分は、その後ケン化され(saponified)、脱炭酸(decarboxylated)されて、式XIXのケトンが生じる。式XIXの化合物中のケトン部分を式XVの化合物に還元する場合には、様々な還元剤を使用することができ、例えば、エーテル又はアルコールのような溶媒中のナトリウムボロヒドリド又はリチウムボロヒドリドなどの錯体金属ヒドリドを使用することができる。不斉還元反応では、THF又はジオキサンのようなエーテルなどの不活性溶媒中、約−40℃〜約30℃の温度で、キラル還元剤、例えば、B−クロロ−ジイソピノカンフェイルボランのようなα−ピネン−ベース有機ボラン(alpha-pinene-based organoborane)などのキラル錯体金属ヒドリド又はキラルボラン(chiral borane)の鏡像異性体形態[これは通例、それぞれ、(−)−Ipc2BCl又は(−)−DipCl、及び(+)−Ipc2BCl又は(+)−DipClという形に省略されている]を用いることによって、好都合に個々の式XVの化合物の立体異性体形態、すなわち、式XVaの化合物を得ることができ、これは環化されて、上記に述べられている式XVIの化合物の鏡像異性体形態、すなわち式XVIaの化合物になりうる。
【0143】
式XVの化合物を製造する別のプロセスでは、式XXのインダン−1−オンをラクトン部分をアルデヒド部分に還元することができる環拡大(ring enlargement)に処して、式XXIのクロマン−2−オンを生じさせ、これは式XXIIの環状ヘミアセタールの形で存在し、そしてそれは式XXIIIの適切な有機金属化合物と反応させることができる。
【0144】
【化27】
【0145】
式XX、XXI、XXII及びXXIIIの化合物中の基Ar及びR4は、式Iの化合物中の定義と同様であり、そして更に官能基は保護された形か、又はその後最終の基に変換する前駆体基の形で存在することができる。このプロセスに従って式XVの化合物を製造する際は、式XX、XXI及びXXIIの化合物中の基G3は、特に、(C1−C4)−アルキル−O−基である。式XXIIIの化合物中の基Mは、金属又は金属等価物、例えば、リチウムである。式XXの化合物を式XXIの化合物に変換することは、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素のような溶媒中、約−10℃〜約30℃の温度で、3−クロロ−過安息香酸のような過酸と処理することによって行なうことができる。式XXIの化合物中のラクトン部分を式XXIIの化合物中のマスクされたアルデヒド部分(masked aldehyde moiety)に還元する場合には、錯体金属還元剤、例えば、水素化ジイソブチルアルミニウムを、シクロヘキサン又はトルエンのような炭化水素、又はジクロロメタンのような塩素化炭化水素、又はTHF又はジオキサンのようなエーテル、又は溶媒の混合物などの溶媒中、約−80℃〜約30℃の温度で使用することができる。それに続く工程の場合では、式XXIIIの化合物は、通例、適切なそれぞれのベンゼン又は芳香族ヘテロ環又はハロゲン−置換ベンゼン又はハロゲン−置換芳香族ヘテロ環から、メタレーションによって、例えば、ブチルリチウムのような有機リチウム化合物、又はリチウムジイソプロピルアミド又はリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジドのようなリチウムアミドを用いてインサイチュで製造し、そして式XXIIの化合物と、ヘプタン又はシクロヘキサンのような炭化水素、又はTHFのようなエーテル、又は溶媒の混合物などの不活性溶媒中、約−80℃〜約30℃の温度で、反応させる。
【0146】
既に示されているように、一時的に官能基を保護するか、又はそれらを前駆体基の形で最初に存在させ、そしてその後それらを脱保護するか、又はそれらを所望の基に変換することが、式Iの化合物の製造の過程で行なわれるすべての反応において有利であり、又は必要でありうる。適切な合成ストラテジー及びそれぞれの場合の適切である保護基及び前駆体基は、当技術分野の当業者に知られており、そして例えば、P. G. M. Wuts and T. W. Greene, Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, 4. ed. (2007), John Wiley & Sons中に見出すことができる。言及できる保護基の例には、ベンジル保護基、例えば、ヒドロキシ化合物のベンジルエーテル及びカルボン酸のベンジルエステルがあり、ベンジル基は、上記からパラジウム触媒の存在下で接触水素化によって除去することができる;tert−ブチル保護基、例えば、カルボン酸のtert−ブチルエステル、tert−ブチル基は、上記からトリフルオロ酢酸で処理することによって除去することができる;アシル保護基、例えば、ヒドロキシ化合物及びアミノ化合物のエステル及びアミドがあり、上記は、この場合も酸又は塩基加水分解によって切断することができる;又はアルコキシカルボニル保護基があり、例えば、アミノ化合物のtert−ブトキシカルボニル誘導体、上記は、この場合もトリフルオロ酢酸で処理することによって切断することができる。言及できる前駆体の例は、ハロゲン原子、これは多くの他の基によって置き換えられることができ、又はニトロ基、これは例えば、接触水素化によって、ジアゾ化及び数多くの基に変換することができるアミノ基に変換することができる。
【0147】
上記に概説されている手順において使用される出発物質は、商業的に入手可能であるか、又は文献に述べられている手順に従って、又はその手順に準じて製造することができる。式IIIの2−クロロ−チアゾール誘導体を製造する手順は、例えば、米国特許第4168380号、WO 01/17995、又は例えば、I. Sawhney et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 (1990), 329-331に記載されている。
【0148】
通例のことであり、式Iの化合物の合成の過程で行なわれるすべての反応に適用されることであるが、溶媒、塩基又は酸、温度、添加の順序、モル比及び他のパラメータを含む具体的な製造プロセスに適用される条件の適切な詳細は、出発化合物及び標的化合物並びに特定の場合の他の特殊性を考慮してごく普通に当業者によって選択される。また当業者に知られているように、式Iのすべての化合物及びそれらの中間体の製造に、本明細書中で述べられているすべてのプロセスが同じように適切であるというわけではなく、また順応がなされなければならない。式Iの化合物のすべての製造法方法において、反応混合物の後処理及び生成物の精製は、当業者に知られている従来から行なわれている方法にしたがって行なわれ、それには、例えば、反応混合物の水を用いるクエンチング(quenching)、若干のpHの調節、沈殿、抽出、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留及びクロマトグラフィーが含まれる。また、生成物のキャラクタリゼーションは、NMR、IR及びマススペクトロスコピーなどの従来から行われている方法が使用される。
【0149】
この発明の別の対象は、式II、III、IV、IVa、IVb、IVc、IVd、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVa、XVI、XVIa、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII及びXXIII[上記において、基Ar、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R50、R51、G1、G2、G3、M、X1、X2、X3及びYは、上記の定義と同様である]の化合物を含む式Iの化合物の合成中に生じる新規な出発化合物及び中間体であり、それらのすべての立体異性体形態又は任意の比率の立体異性体形態の混合物を含み、そしてそれらの塩、そして合成中間体又は出発化合物としてのそれらの使用である。すべての一般的な説明、実施態様の明細及び式Iの化合物に関して上記に付与されている数及び基の定義は、前記中間体及び出発化合物に同様に適用される。本発明の対象は、特に本明細書中で述べられている新規な特定の出発化合物及び中間体である。それらが遊離化合物及び/又は特定の塩として述べられているか否かとは無関係に、それらは遊離化合物の形、及びそれらの塩の形の双方で、そして特定の塩が記載されている場合には、加えてこの特定の塩の形で本発明の対象である。
【0150】
式Iの化合物は、ナトリウム・カルシウム交換輸送体(NCX)、殊にナトリウム・カルシウム交換輸送体のサブタイプ1(NCX1)を阻害し、このことは下記に述べられている薬理学的試験及び当技術分野の当業者に知られている他の薬理学的試験、例えば、心臓機能に対する作用がエクスビボ又はインビボで判定することができる動物モデル中で示すことができる。それ故、式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩は、価値のある製薬学的活性化合物である。式Iの化合物及びそれらの製薬学的に活性な塩は、例えば、急性及び慢性うっ血性心不全を含む心不全、収縮期心不全、拡張期心不全、駆出率が保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction)及び糖尿病性心不全、心房細動を含む心不整脈、脳卒中(stroke)、アルツハイマー病を含む認知症、高血圧、心虚血、腎不全、血行動態ショックを含むショック(shock including hemodynamic shock)、心原性ショック及び敗血症性ショック、加齢性障害(aged-related disorder)、及びNCX関連障害によって二次的に引き起こされる疾患(diseases which are caused secondarily by an NCX-related damage)の処置に使用することができる。この疾患の処置は、有機体の現存する病変若しくは機能不全又は除去、緩和若しくは治癒を目的とした現存する症状の治療、並びに、それらの発症の防止若しくは抑制又は発症した場合の軽減を目的として、有機体の病変若しくは機能不全又はそれにかかりやすく、そしてかかる予防又は防止を必要としているヒト又は動物の症状の予防又は防止の双方を意味するものとして理解されなければならない。例えば、彼らの病歴のために心不整脈にかかりやすい患者では、予防的又は防止的医学的処置によって、不整脈の発現若しくは再発を防止することができるか、又はその程度及び続発症を減少させることができる。疾患の処置は、急性の場合及び慢性の場合の双方に生じうる。式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩は更に、心臓、脳及び腎臓の灌流の改善を達成するために様々な障害、並びに細胞内カルシウムホメオスタシスが妨げられているか、又はNCXが所望しない様態で活性化されるか、又はNCXの阻害が患者の状態を改善するために医師によって意図されている障害に一般に使用することができ、こうした場合、式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩はまた、NCXのほんの少しの部分的阻害のみが意図されている場合にも使用することができる[例えば、低用量の使用によって]。
【0151】
それ故、式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩は、動物、とりわけ哺乳類、特にヒトに、それ自体医薬又は薬剤として、互いに混合して、又は医薬組成物の形で使用することができる。この発明の対象はまた、医薬として使用するための式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩である。この発明の対象はまた、所望の使用のための有効な用量の活性成分としての少なくとも一つの式Iの化合物及び/又はその製薬学的に許容される塩、及び製薬学的に許容される担体、すなわち、一つ若しくはそれより多い製薬学的に無毒の、又は無害のビヒクル及び/又は賦形剤、及び所望により一つ若しくはそれより多い他の医薬活性化合物を含んでなる医薬組成物及び薬剤である。この発明の対象はまた、抗不整脈剤として使用するための式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩である。この発明の対象はまた、任意の一つの言及されている疾患、例えば、心不全、心不整脈、脳卒中、認知症、高血圧、心虚血、腎不全、ショック、加齢性障害又はNCX関連障害によって二次的に引き起こされる疾患の処置[上記において、疾患の処置は、上記に言及されているそれらの治療及び予防を含む]を含む、上記又は下記に言及されている疾患の処置に使用する、又はNCXの阻害剤として使用するための式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩である。この発明の対象はまた、任意の一つの言及されている疾患、例えば、心不全、心不整脈、脳卒中、認知症、高血圧、心虚血、腎不全、ショック、加齢性障害又はNCX関連障害によって二次的に引き起こされる疾患の処置を含む、上記又は下記に言及されている疾患を処置する薬剤[上記において、疾患の処置は、上記に言及されているそれらの治療及び予防を含む]、又はNCXを阻害する薬剤を製造するための式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩の使用である。この発明の対象はまた、任意の一つの言及されている疾患、例えば、心不全、心不整脈、脳卒中、認知症、高血圧、心虚血、腎不全、ショック、加齢性障害又はNCX関連障害によって二次的に引き起こされる疾患の処置を含む、上記又は下記に言及されている疾患を処置する方法[上記において、疾患の処置は、上記に言及されているそれらの治療及び予防を含む]、及びNCXを阻害する方法であって、その方法は、有効な量の少なくとも一つの式Iの化合物及び/又はその製薬学的に許容される塩を、それを必要としているヒト又は動物に投与することを含んでなる、上記の方法である。式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩、並びにそれらを含む医薬組成物及び薬剤は、経腸的に[例えば、経口又は直腸投与によって]、非経口的に[例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下注入又は点滴によって]、又は局所的、経皮的(percutaneous)、経皮的(transcutaneous)、経鼻的、咽頭又は吸入投与などの別型式の投与によって投与することができるが、投与の好ましい形態は特定の場合の詳細に左右される。式Iの化合物及びそれらの製薬学的に許容される塩はまた、他の医薬活性化合物と組み合わせて使用することができる。
【0152】
本発明による医薬組成物及び薬剤は、通例、式Iの化合物若しくは化合物(複数)又はその製薬学的に許容される塩を、約0.5〜約90%(重量)含み、そして式I及び/又はその製薬学的に許容される塩の活性成分の量は、通例、投与量単位当たり、約0.1mg〜約1g、特に約0.2mg〜約500mg、例えば、約1mg〜約300mgである。医薬組成物の種類及び特定の場合の他の細目次第であるが、その量は指示されている量から逸脱しうる。医薬組成物及び薬剤の製造は、それ自体公知であり、当技術分野の当業者によく知られている方法で行なうことができる。このため、式Iの化合物及び/又はそれらの製薬学的に許容される塩を、一つ若しくはそれより多い固体又は液体のビヒクル及び/又は賦形剤と一緒に、所望の場合にはまた、一つ若しくはそれより多い他の医薬活性化合物と組み合わせて混合し、その後、ヒトの医薬又は獣医用医薬に使用することができる投与量及び投与に適切な形態にする。
【0153】
また、希釈剤、又は溶媒、又は増量剤及び賦形剤と見なされうるビヒクルとしては、式Iの化合物と望ましくない様態で反応しない適切な有機及び無機物質を使用することができる。医薬組成物及び薬剤に包含することができる賦形剤又は添加剤の種類の例としては、滑沢剤、保存剤、ゲル形成剤、増粘剤、安定剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、消泡剤、塩、緩衝物質、着色剤、香味剤及び抗酸化剤を挙げることができる。ビヒクル及び賦形剤の例には、水、生理食塩水、ヒマワリ油などの植物油、魚肝油などの動物油、ろう状物質、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ポリオール、ポリエチレングリコールなどのアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、グルコースなどの炭水化物、乳糖又はとうもろこし澱粉のような澱粉、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムなどのその塩、タルク、ラノリン、ワセリン(petroleum jelly)、又はその混合物、例えば、水とアルコール類の混合物などの水又は生理食塩水と一つ若しくはそれより多い有機溶媒の混合物がある。
【0154】
経口及び直腸使用の場合には、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、顆粒剤、ハード及びソフトゼラチンカプセル、坐薬、油性、アルコール又は水溶性溶液を含む溶液、又は点滴剤、更に懸濁液又はエマルションなどの医薬形態が使用できる。例えば、注射・注入(injection)又は点滴(infusion)による非経口的使用の場合には、溶液、例えば、水溶液などの医薬形態を使用することができる。局所的使用の場合には、軟膏、クリーム、ペースト、ローション、ゲル、スプレー、泡状物質、エアロゾル、溶液又は粉末などの医薬形態を使用することができる。例えば、エアロゾル及びスプレーなどの医薬製剤は、エタノール若しくは水、又はこうした溶媒の混合物などの製薬学的に許容される溶媒中の活性成分の溶液、懸濁液又はエマルションを含むことができる。また、製剤は、界面活性剤、乳化剤及び安定剤、並びに推進剤ガスなどの他の医薬賦形剤を含むことができる。こうした医薬形態は、通例、活性成分を約0.1〜約10%、特に約0.3〜約3%(重量)の濃度で含む。
【0155】
通例のことであるが、式Iの化合物の投与量及び投与頻度は、具体的な場合の状況によって左右され、そして従来から行なわれている基準及び手順に従って医師によって調節される。例えば、これは、投与される式Iの化合物、及びその効力及び作用持続時間により、個々の症候群の性質及び重篤度により、処置されるヒトまたは動物の性、年齢、体重及び個々の応答により、処置が緊急であるか、又は長期にわたるものか、又は予防的であるか否かにより、又は更に医薬活性化合物が式Iの化合物のほかに投与されているか否かにより左右される。通例、約75kgの体重の成人への投与の場合には、1日当たり、体重1kg当たり約0.1mg〜約100mg、特に1日当たり、体重1kg当たり約1mg〜約10mg(それぞれの場合、体重1kg当たりのmg)が十分な量である。1日の投与量は、単回投与の形であってもよいし、又はいくつかの別々の投与量に分割して投与してもよい[例えば、2、3又は4回の別々の投与]。この投与はまた、継続して行なうことができ、例えば、継続的注入又は点滴による。特定の場合には、個々の挙動次第であるが、指示された投与量から上方か、又は下方に逸脱することが必要でありうる。
【0156】
更にヒト用医薬及び獣医用医薬中の医薬活性化合物として、式Iの化合物はまた、NCXの阻害が意図されている場合に、生化学研究の一助として、又は科学的ツールとして、又は診断目的のために[例えば、生体サンプルのインビトロ診断において]、使用することができる。式Iの化合物及びそれらの塩はまた、更なる医薬活性物質を製造する場合の中間体として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0157】
〔実施例〕
次の実施例は本発明を説明する。
【0158】
塩基性基を含む実施例化合物を逆相(RP)カラム物質・分取高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製する場合は、従来から行なわれているように、溶離剤はトリフルオロ酢酸を含んでいる水とアセトニトリルのグラジエント混合物であり、それらは蒸発又は凍結乾燥条件などの後処理の詳細次第であるが、トリフルオロ酢酸との酸付加塩の形で一部が得られた。実施例化合物の名前及び構造式には、これらの含有されているトリフルオロ酢酸は明示されていない。
【0159】
製造された化合物は、通例、分光分析データ及びクロマトグラフィーデータ、特に、質量分析(MS)及びHPLC保持時間(Rt;分単位)によってキャラクタライズされた[これらは、収集した分析HPLC/MSキャラクタリゼーション(LC/MS)、及び/又は核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって得られた]。特段明示しない限り、1H−NMRスペクトルは、500MHzで、溶媒として(298K)D6−DMSOで記録された。NMRキャラクタリゼ−ションでは、プリントアウト上で決定されるピークの化学シフト δ(ppm単位)、水素原子の数(H)及び多重度(s:一重線,d:二重線,dd:二重の二重線(double doublet),t:三重線,m:多重線;br:ブロード)が与えれらる。MSキャラクタリゼーションでは、通例、使用されるイオン化方法に応じて形成された、分子イオンピーク[M]、例えば、[M+]、又はイオン[M+1]、例えば、[(M+1)+]、すなわち、プロトン化された分子イオン[(M+H)+]([MH+])、又はイオン[M−1]、例えば、[(M−1)-]、すなわち、脱プロトン化された分子イオン[(M−H)-]などの関連イオンのピークの質量数(m/z)が与えられる。一般的には、イオン化方法は、エレクトロスプレーイオン化(ESI+)であった。HPLC検出の場合のUV波長は、通例、220nmであった。使用されたLC/MS方法の詳細は次の通りである。“ACN”は、アセトニトリルを意味し、“TFA”は、トリフルオロ酢酸を意味し、そして“FA”は、ギ酸を意味する。
【0160】
方法A
カラム:Waters XBridge C18,3.5μm,3×100mm;温度:55℃;溶離剤A:水+0.05%TFA(トリフルオロ酢酸);溶離剤B:ACN(アセトニトリル)+0.05%TFA;流速:1ml/分;グラジエント:5%B〜95%B(5分)。
【0161】
方法B
カラム:Waters XBridge C18,2.5μm,4.6×50mm;温度:50℃;溶離剤A:水+0.05%TFA;溶離剤B:ACN+0.05%TFA;流速:1.7ml/分;グラジエント:5%B(0.2分),次いで95%B(2.2分),次いで95%B(1.1分),次いで5%B(0.1分),次いで5%B(0.9分)。
【0162】
方法C
カラム:Atlantis T3 C18,3μm,3×100mm;温度:55℃;溶離剤A:水+0.05%TFA;溶離剤B:ACN+0.05%TFA;流速:1ml/分;グラジエント:5%B〜95%B(5分)。
【0163】
方法D
カラム:Acquity BEH C18,1.7μm,2.1×50mm;温度:40℃;溶離剤A:水+0.05%TFA;溶離剤B:ACN+0.035%TFA;流速:1.0ml/分;グラジエント:2%B〜100%B(1.6分),次いで100%B(0.5分),次いで2%Bまで(0.4分),次いで2%B(0.5分)。
【0164】
方法E
カラム:Merck Chromolith FastGrad RP-18e,1.6μm,2×50mm;温度:50℃;溶離剤A:水+0.05%TFA;溶離剤B:ACN+0.05%TFA;流速:2.0ml/分;グラジエント:2%B(0.2分),次いで98%Bまで(2.2分),次いで98%B(0.8分),次いで2%Bまで(0.1分),次いで2%B(0.7分)。
【0165】
方法F
カラム:Kromasil C18,3.5μm,2×50mm;温度:40℃;溶離剤A;5mM酢酸アンモニウム水溶液+3%ACN;溶離剤B:ACN;流速:0.8ml/分;グラジエント:0%B〜100%B(5.5.分),100%B(1.5分),次いで0%Bまで(0.1分),次いで0%B(2.9分)。
【0166】
方法G
カラム:YMC-Pack Jsphere H80,4μM,2.1×33mm;温度:室温;溶離剤A:水+0.05%TFA;溶離剤B:ACN+0.05%TFA;流速:1ml/分;グラジエント:2%B(1.0分),次いで95%Bまで(4分),次いで95%B(1.25分)。
【0167】
方法H
カラム:Waters UPLC BEH C18,1.7μm,2.1×50mm;温度:55℃;溶離剤A:水+0.1%FA;溶離剤B:ACN+0.08%FA;流速:0.9ml/分;グラジエント:5%B〜95%B(1.1分),次いで95%B(0.6分),次いで5%Bまで(0.1分),次いで5%B(0.2分)。
【0168】
方法I
カラム:Waters BEH C18,1.7μm,2.1×50mm;温度:50℃;溶離剤A:水+0.1%FA;溶離剤B:ACN+0.1%FA;グラジエント:5%B〜6%B(0.05分),次いで100%Bまで(2.45分)。
【0169】
方法J
カラム:Waters XBridge C18,2.5μm,4.6×50mm;温度:45℃;溶離剤A:水+0.1%FA;溶離剤B:ACN+0.1%FA;流速:1.3ml/分;グラジエント:3%B〜60%B(3.5分),次いで98%Bまで(0.5分),次いで98%B(1分),次いで3%Bまで(0.2分),次いで3%B(1.3分)。
【0170】
方法K
カラム:Waters UPLC BEH C18 2,1.7μm,1×50mm;温度:55℃;溶離剤A
:水+0.05%FA;溶離剤B:ACN+0.035%FA;流速:0.9ml/分;グラジエント:5%B〜95%B(1.1分),次いで95%B(0.6分),次いで5%Bまで(0.1分),次いで5%B(0.2分)。
【0171】
方法L
カラム:YMC-Pack Jsphere H80,4μm,2.1×33mm;温度:室温;溶離剤A:水+0.05%TFA;流速:1ml/分;溶離剤B:メタノール+0.05%TFA;グラジエント:2%B(1分),次いで95%Bまで(4分),次いで95%B(1.25分)。
【0172】
方法M
カラム:Acquity BEH C18,1.7μm,2.1×50mm;温度:40℃;溶離剤A:水+0.05%FA;溶離剤B:ACN+0.035%FA;流速:1.0ml/分;グラジエント:2%B〜100%B(1.6分),次いで100%B(0.5分),次いで2%Bまで(0.4分),次いで2%B(0.5分)。
【0173】
方法N
カラム:Waters UPLC BEH C18,1.7μm,2.1×50mm;温度:55℃;溶離剤A:水+0.05%FA;溶離剤B:ACN+0.035%FA;流速:0.9ml/分;グラジエント:5%B〜95%B(1.1分),次いで95%B(0.6分),次いで5%Bまで(0.2分);次いで5%B(0.1分)。
【0174】
方法O
カラム:Waters BEH Shield RP18,1.7μm,2.1×50mm;温度:50℃;溶離剤A:水+0.1%FA;溶離剤B:ACN+0.1%FA;流速:0.8ml/分;グラジエント:5%B〜6%B(0.05分),次いで100%Bまで(2.45分)。
【0175】
例示的合成実施例
実施例A
(E)−1−(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)−3−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−プロペノン及び2−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オン
【化28】
2,5−ジヒドロキシ−アセトフェノン(3.4g,22.4mmol)、5−フルオロ−ピリジン−3−カルバルデヒド(3.1g,24.6mmol,1.1当量)及び酢酸アンモニウム(2.2g,29.1mmol,1.3当量)を、酢酸(100%,70ml)中に懸濁し、そして8時間加熱・還流した。この溶液を室温に達せしめた。この結果生じた懸濁液の量を、減圧下で煮詰めて半分の量にした。この混合物を氷水上に注ぎ、そして炭酸ナトリウムを用いて慎重に中和した。この水層を酢酸エチルで洗浄し、そして残存する沈殿物をろ過した。固体の(E)−1−(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)−3−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−プロペノン(2.4g,42%)が褐色の固体として得られ、そして更に精製することはせずに、環化反応に用いた。この残存する水溶液を酢酸エチルで抽出し、そして有機層を集め、これを硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去し、そしてこの結果生じた固体をほんの少しのジクロロメタンでダイジェスト(digested)した。2−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オンが褐色の固体として得られ(2.3g,39%)、そしてこれは更に精製することはせず次の工程で用いた。
【0176】
(E)−1−(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)−3−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−プロペノン(2.4g,9.3mmol)を、メタノール(55ml)中に懸濁し、そしてフッ化カリウム(2.7g,46.3mmol,5当量)及びジイソプロピルエチルアミン(1.2g,9.3mmol,1当量)を加えた。この混合物を8時間加熱・還流し、その後室温に達せしめた。この溶媒を減圧下で除去した。この結果生じた残留物を水に懸濁し、そして酢酸エチルで洗浄した。この混合物をろ過すると、層分離した。この有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で除去し、そしてこの結果生じた固体をほんの少しのジクロロメタンでダイジェストした。2−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オンが褐色の固体として得られ(2.1g,88%)、これは更に精製することはせず次の工程で用いた。
【0177】
記載された手順に従って、また次のクロマノンを合成した:
2−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オン、
6−ヒドロキシ−2−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−クロマン−4−オン、
6−ヒドロキシ−3−メチル−2−フェニル−クロマン−4−オン、
2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オン、
6−ヒドロキシ−3−メチル−2−フェニル−クロマン−4−オン。
【0178】
実施例B
(E)−1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−3−o−トリル−プロペノン及び6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン−4−オン
【化29】
室温で、エタノール(100ml)中のo−トリルアルデヒド(4.1g,33.7mmol,1.1当量)及び5−ブロモ−2−ヒドロキシ−アセトフェノン(6.9g,32.1mmol)の溶液に、粉末状水酸化カリウム(5.2g,93mmol,5当量)を加え、そしてこの懸濁液を50℃で3時間で撹拌すると、その間に赤色溶液が形成した。この溶液を室温に達せしめ、そして氷上に注いだ。この水溶性混合物を水溶性塩酸を用いてpH<7に調節した。この結果生じた黄色懸濁液を、黄色固体が形成されるまで撹拌し、そしてこの沈殿物をろ過し、水で洗浄し、そして乾燥した。この黄色の(E)−1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−3−o−トリル−プロペノン(9.6g,94%)は、更に精製することはせずに環化反応で用いた。
【0179】
エタノール(130ml)中の(E)−1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル)−3−o−トリル−プロペノン(9.6g,30.3mmol)の溶液に、水溶性濃塩酸(concentrated aqueous hydrochloric acid)(1.5ml)を加えた。この溶液を5時間加熱・還流した。その後この溶液を室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去した。この結果生じた赤色の6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン−4−オン(9.5g,100%)は、更に精製することはせずに次の工程で用いた。
【0180】
記載された手順に従って、また次のクロマノンを合成した:
2−(3−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オン、
6−ブロモ−2−(3−イソプロポキシ−フェニル)−クロマン−4−オン、
6−ブロモ−2−(2−エチル−フェニル)−クロマン−4−オン、
6−ヒドロキシ−2−チオフェン−3−イル−クロマン−4−オン、
2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−クロマン−4−オン、
6−ブロモ−2−(2,6−ジメチル−フェニル)−クロマン−4−オン、
6−ヒドロキシ−2−(4−メタンスルホニル−フェニル)−クロマン−4−オン、
6−ブロモ−2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−4−オン、
6−ヒドロキシ−2−ピリジン−3−イル−クロマン−4−オン。
【0181】
実施例C
6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン−4−オール及び6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン
【化30】
室温で、テトラヒドロフラン(100ml)中の6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン−4−オン(11.0g,34.7mmol)の溶液に、ボランテトラヒドロフラン付加物の溶液(1M(テトラヒドロフラン中),86.7ml,2.5当量)を滴下した。この溶液を1時間加熱・還流し、室温に冷却し、そして氷水及び1N水溶性塩酸の混合物に慎重に加えた。この水層をジクロロメタンで抽出し、そして有機層を集め、これを水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去した。6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン−4−オールが、黄色油状物として得られ(11.1g,100%)、これは更に精製することはせずにクロマンへの還元において用いた。
【0182】
0℃で、ジクロロメタン(130ml)中の6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン−4−オール(11.9g,37.3mmol)の溶液に、トリエチルシラン(29.6g,255mmol,6.8当量)及びトリフルオロ酢酸(75ml,27当量)を加えた。この溶液を室温で2.5時間撹拌した。この溶媒を減圧下で除去し、そしてこの残留物を水と酢酸エチルの間で分離した。この水層を酢酸エチルで抽出し、そして有機層を集め、これを水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製した(シリカゲル;酢酸エチル/ヘプタン グラジエント)。6−ブロモ−2−o−トリル−クロマンを淡黄色油状物として得た(7.10g,63%)。
【0183】
記載された手順に従って、また次のクロマン誘導体を合成した:
2−(3−フルオロ−フェニル)−クロマン−6−オール、
6−ブロモ−2−(3−イソプロポキシ−フェニル)−クロマン、
6−ブロモ−2−(2−エチル−フェニル)−クロマン、
2−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−オール、
2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−クロマン−6−オール、
6−ブロモ−2−(2,6−ジメチル−フェニル)−クロマン、
6−ブロモ−2−(4−メタンスルホニル−フェニル)−クロマン、
6−ブロモ−2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン、
2−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−オール、
2−ピリジン−3−イル−クロマン−6−オール、
2−チオフェン−3−イル−クロマン−6−オール、
2−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−オール、
7−メチル−2−o−トリル−クロマン−6−オール、
2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−クロマン−6−オール、
3−メチル−2−フェニル−クロマン−6−オール。
【0184】
実施例D
(S)−6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン
【化31】
【0185】
a)3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−1−o−トリル−プロパン−1−オン
水素化ナトリウム(60%(油状物中),2.1g,52mmol)及びメチル 3−オキソ−3−o−トリルプロパノアート(10g,52mmol)を、テトラヒドロフラン中に懸濁し、そして4−ブロモ−2−(ブロモメチル)−1−フルオロ−ベンゼン(15.3g,57mmol)を加えた。完全に変換した後、この混合物を、氷及び飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、そしてn−ヘプタンで抽出した。有機層を集め、これを飽和塩化アンモニウム溶液、水及び塩水で一回洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発・乾固した。得られた黄色油状物を25mlの酢酸、25mlの濃塩酸及び20mlの1,4−ジオキサンに溶解し、そしてLC/MSが出発物質の消費を示すまで還流下で4時間加熱した。50mlの水及び100mlのtert−ブチルメチルエーテルを加え、そしてこの生成物を抽出した。有機層を集め、これを飽和塩化アンモニウム溶液、水及び塩水で一回洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発・乾固した。この残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘプタン/酢酸エチル グラジエント)によって精製すると、11.2gの3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−1−o−トリル−プロパン−1−オンが無色油状物として生じた。
【0186】
b)(S)−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−1−o−トリル−プロパン−1−オール
3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−1−o−トリル−プロパン−1−オン(14g,43.6mmol)を、20mlの乾燥テトラヒドロフランで希釈し、そして温度を−30℃〜−25℃に維持しながら、100mlの乾燥テトラヒドロフラン中の(−)−B−クロロ−ジイソピノカンフェイル−ボラン((−)−DipCl,27.96g,87.2mmol)の溶液に滴下した。6時間後、LC/MSは出発物質の完全な変換を示した。冷却した混合物を、10mlのメタノール及び10gの炭酸水素ナトリウムでクエンチし、そして室温に達せしめた。この溶媒を真空中で除去し、そして得られた黄色油状物を、200mlの酢酸エチル及び飽和塩化アンモニウム溶液に溶解した。相分離し、そしてこの有機層を50mlの塩水で一回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発させると、45gの黄色油状物が生じた。この油状物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘプタン/酢酸エチル グラジエント)によって精製すると、11.2gの(S)−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−1−o−トリル−プロパン−1−オールが無色油状物として生じた。エナンチオマーの比率(HPLC;カラム:Chiralcel OJ-H,250×4.6mm;溶離剤 ヘプタン/酢酸エチル/メタノール 20:1:1):(S):(R)=99.4:0.6。
【0187】
c)(S)−6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン
3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−1−o−トリル−プロパン−1−オール(10.5g)を、10mlの乾燥N−メチルピロリジン−2−オンに溶解し、そしてこの溶液を60℃で20mlの乾燥N−メチルピロリジン−2−オン中の水素化ナトリウム(60%(油状物中),1.56g,39mmol)の懸濁液に滴下した。添加が完全に行なわれた後、この混合物を60℃で撹拌し、12時間後には出発物質の完全な消費に達した。次いでこの混合物を氷及び飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、そしてn−ヘプタンで抽出した。有機層を集め、これを飽和塩化アンモニウム溶液、水及び塩水で一回洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして蒸発させると、12gの透明な油状物が生じた。この油状物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘプタン/酢酸エチル グラジエント)によって精製すると、7.7gの(S)−6−ブロモ−2−o−トリル−クロマンが無色油状物として生じた。
【0188】
実施例E
2−o−トリル−クロマン−6−オール
【化33】
−78℃で、テトラヒドロフラン(3ml)中の6−ブロモ−2−o−トリル−クロマン(1g,3.3mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(2.2M(シクロヘキサン中),1.8ml,1.2当量)をゆっくり加え、そしてこの混合物を、30分間、−78℃に維持した。トリイソプロピルボラート(triisopropyl borate)(1.9g,2.3ml,9.9mmol,3当量)を加え、撹拌を同じ温度で1時間継続した。この冷却した溶液を、エタノール(1.1ml)、水(3.0ml)及び水溶性水酸化ナトリウム(8M,1.6ml)の溶液中に注いだ。この溶液に、過酸化水素(水溶性35%,0.9ml,3.1当量)をゆっくり温度を<30℃に維持しながら加えた。撹拌を15分間、室温で継続し、この懸濁液を0℃に冷却し、そして水溶性塩酸を用いてpH<7に調節した。この結果生じた溶液に、亜硫酸ナトリウム飽和水溶液(4ml)を加え、そしてこの水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、これを硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;酢酸エチル/ヘプタン グラジエント)によって精製すると、2−o−トリル−クロマン−6−オールが淡黄色固体として得られた(480mg,60%)。
【0189】
記載された手順に従って、また次のクロマノールを合成した:
2−(3−イソプロポキシ−フェニル)−クロマン−6−オール、
2−(2−エチル−フェニル)−クロマン−6−オール、
(S)−2−o−トリル−クロマン−6−オール、
2−(4−メタンスルホニル−フェニル)−クロマン−6−オール、
2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−オール、
2−(2,6−ジメチル−フェニル)−クロマン−6−オール。
【0190】
実施例F
2−ピラジン−2−イル−クロマン−6−オール
【化33】
【0191】
a)6−メトキシ−クロマン−2−オン
氷浴中で冷却された240mlのジクロロメタン中の5−メトキシ−インダン−1−オン(4.2g,25.9mmol)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(4.35g,51.8mmol)を加えた。3−クロロ−過安息香酸(11.61g,51.8mmol)を少しずつ加え、そしてこの反応混合物を、0℃で2時間撹拌、そして室温で終夜撹拌した。この沈殿物をろ別し、ジクロロメタンで洗浄した。このろ液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させると、6−メトキシ−クロマン−2−オン(3.68g,80%)が橙色油状物として得られ、これは更に精製することはせずに用いた。
【0192】
b)6−メトキシ−クロマン−2−オール
300mlのジクロロメタン中の6−メトキシ−クロマン−2−オン(3.66g,20.53mmol)の溶液を、−70℃に冷却し、そして水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液(1M溶液40ml(トルエン中),40mmol)を滴下した。この溶液を−70℃で2時間撹拌し、次いで酢酸エチル(10ml)を加えた。15分間撹拌した後、200mlの飽和ロッシェル塩溶液を滴下し、そしてこの混合物を室温に暖めた。200mlの酢酸エチルを加え、そしてこの混合物を激しく2時間撹拌し、次いでデカントした。この有機層を、水及び塩水で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル(シクロヘキサン中))によって精製すると、2.90gの白色結晶が得られた(78%)。
【0193】
c)2−(3−ヒドロキシ−3−ピラジン−2−イル−プロピル)−4−メトキシ−フェノール
200mlの無水テトラヒドロフラン中の2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン(8.5ml,50.4mmol)の溶液を、−30℃に冷却し、n−ブチルリチウム(2.5M溶液20ml(ヘキサン中),50mmol)を滴下し、そしてこの混合物を、0℃で30分間撹拌した。−70℃で冷却後、50mlの無水テトラヒドロフラン中のピラジン(4.0g,49.9mmol)の溶液を滴下した。−70℃で10分後、6−メトキシ−クロマン−2−オール(1.8g,10.0mmol)を加え、撹拌を−70℃で1.5時間継続した。この反応混合物を、20mlの水でクエンチし、そして塩酸をpH5〜6に達するまで加えた。酢酸エチルで抽出した後、この有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮した。得られた粗橙色の油状物(960mg)は、更に精製することはせずに用いた。
【0194】
d)2−(6−メトキシ−クロマン−2−イル)−ピラジン
ジエチルアゾジカルボキシラート(Diethyl azodicarboxylate)(0.87ml,5.53mmol)を、20mlのテトラヒドロフラン中の2−(3−ヒドロキシ−3−ピラジン−2−イル−プロピル)−4−メトキシ−フェノール(960mg,3.69mmol)とトリフェニルホスフィン(1.45g,5.53mmol)の混合物に室温で滴下した。20℃で1時間撹拌後、この反応混合物を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル(シクロヘキサン中))によって精製した。2−(6−メトキシ−クロマン−2−イル)−ピラジンが、白色結晶として得られた(665mg,74%)。
【0195】
e)2−ピラジン−2−イル−クロマン−6−オール
50mlの無水ジクロロメタン中の2−(6−メトキシ−クロマン−2−イル)−ピラジン(663mg,2.74mmol)の溶液を−10℃に冷却し、そして三臭化ホウ素溶液(1M溶液9.6ml(ジクロロメタン中)、9.6mmol)を滴下した。0℃で1時間撹拌後、1mlの三臭化ホウ素溶液を加え、そしてこの反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。この反応混合物を水をゆっくり加えてクエンチし、そして10分後、炭酸水素ナトリウム溶液の添加によって中和した。デカントし、ジクロロメタンで抽出した後、この有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(メタノール(ジクロロメタン中))処理後、2−ピラジン−2−イル−クロマン−6−オールが黄色粉末として得られた(625mg,100%)。
【0196】
実施例G
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル
【化34】
ジメチルホルムアミド(30ml)中の2−o−トリル−クロマン−6−オール(2.5g,10.4mmol)、メチル 2−クロロ−チアゾール−5−カルボキシラート(1.9g,10.6mmol,1.02当量)及び炭酸カリウム(1.9g,1.3当量)の懸濁液を、50℃で10時間撹拌した。この懸濁液を室温に冷却し、そして水で希釈した。この水層を酢酸エチルで抽出し、そして有機層を集め、これを水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてろ過し、そしてこの溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;酢酸エチル/ヘプタン グラジエント)によって精製した。生成物が淡黄色固体として得られた(3.87g,98%)。
【0197】
記載された手順に従って、また次の2−(クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール誘導体を合成した:
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
4−クロロ−2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニトリル、
4−メチル−2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルバルデヒド、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボニトリル、
2−[2−(4−メタンスルホニル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
4−メチル−2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(2−ピリジン−3−イル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(2−エチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(2−チオフェン−3−イル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(2,6−ジメチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(2−ピラジン−2−イル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニトリル、
2−[2−(3−イソプロポキシ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−((S)−2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−4−カルボン酸メチルエステル、
2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−[2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(7−メチル−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル、
2−(3−メチル−2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル。
【0198】
実施例H
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸
【化35】
室温で、テトラヒドロフラン(5.5ml)及びメタノール(1.0ml)中の2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル(300mg,0.8mmol)の溶液に、水(1.0ml)中の水酸化リチウム(18.9mg,1.0当量)の溶液を加え、この混合物を3時間撹拌した。この溶媒を減圧下で除去し、そしてこの結果生じた残留物は、水に溶解し、そして凍結乾燥した。この得られた白色の2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸リチウム塩(収率100%)は、更に精製することはせずに、2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸アミドの形成の際に用いた。遊離の酸の製造の場合には、粗リチウム塩を水に溶解し、そしてこの結果生じた溶液を、水溶性塩酸を用いて酸性にした。この結果生じた懸濁液を、ろ過し、そしてこの沈殿物を水で洗浄した。得られた2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸を減圧下で乾燥した。これは、リチウム塩の場合に述べられているが、更に精製することはせずに次の工程で用いることができる。
【0199】
記載された手順に従って、また次の2−(クロマン−6−イルオキシ)−チアゾールカルボン酸を遊離の酸又はそのリチウム塩の形で合成した:
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
4−クロロ−2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
4−メチル−2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−4−トリフルオロメチル−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(4−メタンスルホニル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
4−メチル−2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−(2−ピリジン−3−イル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(5−フルオロ−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸
2−[2−(2−エチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−(2−チオフェン−3−イル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(2,6−ジメチル−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−(2−ピラジン−2−イル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(3−イソプロポキシ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−((S)−2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−4−カルボン酸、
2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−[2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−クロマン−6−イルオキシ]−チアゾール−5−カルボン酸、
2−(7−メチル−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸、
2−(3−メチル−2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸。
【0200】
実施例J
2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド
【化36】
ジメチルホルムアミド(2ml)中の2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸・リチウム塩(100mg,0.27mmol)の溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(72mg,0.38mmol,1.4当量)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(51mg,0.38mmol,1.4当量)及びN−メチルモルホリン(68mg,0.67mmol,2.5当量)を加え、この混合物を室温で15分間撹拌した。エタノールアミン(25mg,0.40mmol,1.5当量)を加え、そして撹拌を16時間継続した。この混合物を、水で希釈し、そしてこの水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、これを炭酸ナトリウムの希釈水溶液及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そしてこの溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/メタノール グラジエント)によって精製した。所望の化合物が白色粉末として得られた(43mg,39%)。
【0201】
実施例K
[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]アミン
【化37】
テトラヒドロフラン(100ml)中の2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニトリル(2.3g,6.6mmol)の溶液に、ラニーニッケル(およそ500mg)の水溶性懸濁液を加え、そしてこの結果生じた懸濁液を、水素雰囲気(大気圧)のもとで、45℃で1時間激しく撹拌した(TLCでコントロール)。この懸濁液を、セライト・プラグを通してろ過し、そしてこのフィルターケーキ(filter cake)を酢酸エチルで洗浄した。この有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そしてろ過し、この溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/メタノール グラジエント)によって精製した。[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]アミンが、淡黄色油状物として得られた(834mg,36%)。
【0202】
実施例L
イソオキサゾール−5−カルボン酸[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド
【化38】
DMF(2ml)中の[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]アミン(150mg,0.43mmol)の溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(114mg,0.60mmol,1.4当量)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(81mg,0.60mmol,1.4当量)及びN−メチルモルホリン(107mg,1.07mmol,2.5当量)及びイソオキサゾール−5−カルボン酸(72mg,0.64mmol,1.5当量)を加えた。この混合物を16時間撹拌し、次いで水で希釈し、そしてこの水層を、酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、これを炭酸ナトリウムの希釈水溶液及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そしてこの溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/メタノール グラジエント)によって精製した。イソオキサゾール−5−カルボン酸[2−(2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミドが、白色固体として得られた(112mg,59%)。
【0203】
実施例M
[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−ピリジン−4−イルメチル−アミン
【化39】
0℃で、テトラヒドロフラン(3ml)及び酢酸(0.5ml)中の2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルバルデヒド(54mg,0.13mmol)及びピリジン−4−イル−メチルアミン(17mg,0.16mmol,1.2当量)の懸濁液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(ポリマーに結合,2.19mM/g,137mg,0.30mmol,2.3当量)を加え、そしてこの混合物を40℃で16時間撹拌した。この反応混合物をろ過し、揮発性成分を減圧下で除去し、そして残存する残留物を逆相HPLC(水/アセトニトリル グラジエント(+0.1%トリフルオロ酢酸))によって精製すると、30mg(42%)の[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−ピリジン−4−イルメチル−アミンがそのトリフルオロ酢酸との塩の形で生じた。
【0204】
実施例N
1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミド
【化40】
33mgの1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸クロリド(0.16mmol,1.2当量)を、反応管に充填し(weighted)、そして乾燥テトラヒドロフラン(1ml)に溶解した。乾燥テトラヒドロフラン(3ml)中の44mgの[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]アミン(0.13mmol)及び30mgのトリエチルアミン(0.3mmol,2.3当量)を加え、この管をアルゴンでフラッシュし、スクリューキャップ(screw cap)でふさぎ、そして40℃で終夜振とうした。0.5mlテトラヒドロフラン中の0.008mlのトリス−(2−アミノエチル)アミンを加え、この混合物を室温で2時間振とうし、次いで蒸発させた。この残留物を2mlのジメチルホルムアミド/トリフルオロ酢酸(19:1)の混合物に溶解し、ろ過し、そして分取逆相HPLC精製(水/アセトニトリル グラジエント(+0.1%トリフルオロ酢酸))に処した。1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[2−(2−フェニル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−イルメチル]−アミドが白色固体として得られた(42mg,63%)。
【0205】
実施例O
リン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル・二ナトリウム塩
【化41】
【0206】
a)リン酸 ジベンジルエステル 2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチルエステル
0℃で、ジクロロメタン(14ml)及びアセトニトリル(14ml)中の2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド(1g,2.44mmol)及びテトラゾール(222mg,3.17mmol,1.3当量)の懸濁液に、ジベンジル−N,N−ジイソプロピルホスホラミダイト(phophoramidite)(1.01g,2.92mmol,1.2当量)を加え、そしてこの混合物を、0℃で70分間撹拌した。この結果生じた溶液に、3−クロロ−過安息香酸(65%,776mg,2.92mmol,1.2当量)を一回(in one portion)で加え、そして0℃で激しい撹拌を10分間継続した。この混合物を、ジクロロメタンで希釈し、そしてこの有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、引き続いて飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。有機層を集め、これを硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去した。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル)によって精製した。リン酸 ジベンジルエステル 2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチルエステルが無色油状物として得られた(1.30g,80%)。
【0207】
b)リン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル・二ナトリウム塩
リン酸 ジベンジルエステル 2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチルエステル(1.3g,1.95mmol)を、メタノール(40ml)中に溶解し、そしてパラジウム炭(palladium on charcoal)を加えた(10%Pd,54%水,1.3g)。この懸濁液を水素雰囲気下で激しく撹拌した。この混合物をろ過し、フィルターケーキをメタノールでリンスした。このろ液を減圧下で蒸発させ、そしてこの結果生じた粗生成物を分取逆相HPLC精製(水/アセトニトリル グラジエント(+0.1%トリフルオロ酢酸))に処した。この得られたリン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステルは、水中に懸濁し、そして2当量の0.5N水溶性水酸化ナトリウム溶液を添加することによって二ナトリウム塩に変換される。この得られた水溶液を凍結乾燥すると、リン酸 モノ−(2−{[2−((S)−2−o−トリル−クロマン−6−イルオキシ)−チアゾール−5−カルボニル]−アミノ}−エチル)エステル・二ナトリウム塩が白色固体として生じた(460mg,44%)。
【0208】
合成実施例において上記に述べられている手順に準じて、表1に列挙されている式Iの実施例化合物が製造された。表1では、“実施例番号(Ex.no)”は、実施例化合物の番号を意味し;“LC/MS”は、実施例化合物のHPLC及びMSのキャラクタリゼーションに用いられる、上記に述べられているLC/MS方法を意味し;“MS”は、親化合物[すなわち、遊離の酸又は塩基]の塩の場合、質量スペクトルにおけるM+1のような分子イオン又は関連イオンのピークの質量数(原子質量単位(amu)で)を意味する;“Rt”は、HPLCの保持時間(分単位)を意味し;そして“NCX1rv IC50”は、下記に述べられている、Ca2+の細胞への流入(リバースモード:reverse mode)の有無のアッセイにおいて決定されるリバースモードにおけるNCX1の阻害のIC50値を意味する(μM(マイクロモル/リットル)単位)。
【0209】
【表1】
【0210】
【表2】
【0211】
【表3】
【0212】
【表4】
【0213】
【表5】
【0214】
【表6】
【0215】
【表7】
【0216】
【表8】
【0217】
【表9】
【0218】
【表10】
【0219】
【表11】
【0220】
【表12】
【0221】
【表13】
【0222】
【表14】
【0223】
【表15】
【0224】
【表16】
【0225】
【表17】
【0226】
【表18】
【0227】
【表19】
【0228】
【表20】
【0229】
【表21】
【0230】
【表22】
【0231】
【表23】
【0232】
【表24】
【0233】
【表25】
【0234】
【表26】
【0235】
【表27】
【0236】
【表28】
【0237】
【表29】
【0238】
【表30】
【0239】
【表31】
【0240】
【表32】
【0241】
【表33】
【0242】
実施例化合物の例示的NMRデータ
実施例2
1H-NMR (400 MHz): δ (ppm) = 9.29 (t, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.30-7.50 (m, 5H), 7.20
(m, 1H), 7.15 (dd, 1H), 6.95 (d, 1H), 5.18 (dd, 1H), 4.60 (d, 2H), 4.05 (t, 2H), 2.90-3.07 (m, 3H), 2.71-2.81 (m, 1H), 2.62-2.70 (m, 2H), 2.15-2.25 (m, 1H), 1.95-2.07 (m, 1H)。
【0243】
実施例14
1H-NMR: δ (ppm) = 8.72 (t, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.30-7.48 (m, 5H), 7.27 (s, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.14 (dd, 1H), 6.93 (d, 1H), 5.17 (dd, 1H), 4.19 (d, 2H), 3.69 (s,
3H), 2.95-3.07 (m, 1H), 2.72-2.80 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.15-2.22 (m, 1H), 1.95-2.07 (m, 1H)。
【0244】
実施例39
1H-NMR: δ (ppm) = 9.20 (t, 1H), 8.86 (d, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.39-7.50 (m, 5H), 7.30-7.38 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.15 (dd, 1H), 6.93 (d, 1H), 5.15 (dd, 1H), 4.48 (d, 2H), 2.95-3.07 (m, 1H), 2.72-2.82 (m, 1H), 2.15-2.22 (m, 1H), 1.95-2.07 (m, 1H).
【0245】
実施例125
1H-NMR: δ (ppm) = 7.90 (t, 1H), 7.30-7.50 (m, 5H), 7.10 (s, 1H), 7.07-7.00 (m, 2H), 6.93 (d, 1H), 5.15 (dd, 1H), 4.05 (m, 2H), 3.65 (s, 3H), 2.95-3.07 (m, 1H),
2.73-2.82 (m, 1H), 2.33 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.15-2.25 (m, 1H), 1.95-2.08 (m,
1H)。
【0246】
実施例134
1H-NMR: δ (ppm) = 9.60-9.25 (br s, 2H), 8.70-8.60 (m, 2H), 7.52-7.30 (m, 8H), 7.15 (s, 1H), 7.15-7.08 (m, 1H), 6.93 (d, 1H), 5.15 (dd, 1H), 4.38 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 3.05-2.95 (m, 1H), 2.80-2.70 (m, 1H), 2.23-2.15 (m, 1H), 2.05-1.95 (m, 1H)。
【0247】
実施例321
1H-NMR: δ (ppm) = 8.49 (t, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.30-7.50 (m, 5H), 7.18 (m, 1H), 7.13 (dd, 1H), 6.93 (d, 1H), 5.18 (dd, 1H), 3.10-3.20 (m, 2H), 2.95-3.07 (m, 1H)
, 2.72-2.80 (m, 1H), 2.15-2.22 (m, 1H), 1.97-2.07 (m, 1H), 1.45-1.55 (m, 2H), 0.87 (t, 3H)。
【0248】
実施例326
1H-NMR: δ (ppm) = 8.52 (t, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.19-7.28 (m, 4H), 7.13 (m, 1H), 6.91 (d, 1H), 5.29 (d, 1H), 4.75 (t, 1H), 3.45-3.50 (m, 2H), 3.22-3.30 (m, 2H), 3.03-3.10 (m, 1H), 2.80-2.86 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.12-2.20 (m, 1H), 1.89-1.99 (m, 1H)。
【0249】
実施例329
1H-NMR: δ (ppm) = 9.6 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 7.35-7.48 (m, 1H), 7.00-7.30 (m, 7H), 6.82-6.95 (m, 1H), 5.20-5.33 (m, 1H), 4.40-4.55 (m, 2H), 2.95-3.10 (m, 1H), 2.70-2.86 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.10-2.20 (m, 1H), 1.85-2.00 (m, 1H)。
【0250】
実施例345
1H-NMR (400 MHz, D2O): δ (ppm) = 7.73 (s, 1H), 7.41-7.49 (m, 1H), 7.20-7.30 (m,
3H), 7.10-7.13 (m, 1H), 7.02-7.08 (m, 1H), 6.87 (d, 1H), 5.33 (dd, 1H), 3.77-3.85 (m, 2H), 3.40-3.48 (m, 2H), 2.95-3.07 (m, 1H), 2.75-2.85 (m, 1H), 2.30 (s, 3H), 2.10-2.20 (m, 1H), 1.97-2.10 (m, 1H)。
【0251】
薬理学的実施例
A)NCX1阻害活性を判定するアッセイ方法
ナトリウム/カルシウム交換輸送体NCX1は、細胞膜を介してカルシウムイオン及びナトリウムイオンを輸送することができる。この輸送は、2つの方向へのCa2+及びNa+の交換であり、それは膜電位及びイオン勾配に依存している。“フォワードモード(forward mode)”又は“カルシウムエクスポートモード(calcium export mode)”と命名されている第一の方向では、Ca2+は、細胞外に輸送され、Na+は、細胞内に輸送される。“リバースモード(reverse mode)”又は“カルシウムインポートモード(calcium import mode)”と命名されている他方の方向では、この輸送方向はその逆である。本発明の化合物のNCX1に対する作用は、ヒトNCX1を安定に発現するCHO細胞中で判定される(gene symbol SLC8A1;WO 2009/115238参照)。このアッセイは、FLIPRデバイス(Fluorimetric Imaging Plate Reader, Molecular Devices)によって検出されるカルシウム感受性蛍光色素を用いて細胞内Ca2+濃度をモニタリングすることに基づいている。
【0252】
アッセイ技術−リバースモード
このアッセイは、カルシウム感受性色素Fluo-4を用いて細胞内Ca2+濃度をモニタリングすることに基づいている。NCX1を発現するCHO細胞に、細胞内でエステラーゼ活性によって切断され、荷電種の遊離Fluo-4が生じる、アセトキシメチルエステル Fluo-4 AM(Invitrogen, F14202)を使用して色素をロードする。試験化合物を用いてプレインキュベーション段階の後、グラミシジン(Sigma, G5002)を加えた。グラミシジンは、細胞内Na+イオンの増加を仲介するNa+イオンのイオノフォアである。その結果、細胞内Na+イオンは、細胞外Ca2+イオンと交換する(Ca2+流入、リバースモード)。Ca2+イオンの細胞内上昇は、520nmの波長でFluo-4の蛍光をFLIPRデバイスにより測定することによって検出された。
【0253】
簡潔に述べれば、リバースモード輸送アッセイの場合には、ウェル当たり18000の細胞を96ウェルマイクロクロプレート(Corning COSTAR 3904)中に播種し、そして培養培地(1X Nut Mix F12 (Ham) (Gibco, 21765-029);10%(v/v) ウシ胎児血清(PAA Gold, A15-649); 450μg/ml ジェネティシン(Gibco, 10131-027))中で終夜インキュベートした。ウェルあたり全体量100μl培地を用いた。FLIPRアッセイを準備する場合は、この培養培地をプレートから除去し、そしてアッセイバッファー(133.8mM NaCl(Sigma, S5886); 4.7mM KCl(Sigma, P3911);1.25mM MgCl2(Merck, 1.05833.0250); 3.5mM CaCl2(Merck, 1.02083.0250); 5mM グルコース(Sigma, G7021); 10mM ヘペス(Hepes)(Sigma, H4034); 0.01%(v/v) プルロニックF−127(5%, Sigma, P2443); 2.5mM プロベネシド(Maybridge, SB00915EB); pH 7.4))中の100μlの色素溶液(2μM Fluo-4 AM;0.02%(v/v) プルロニックF−127(20%, Invitrogen、 P3000MP);0.1%(v/v) ウシアルブミン溶液(30%(v/v), Sigma, A9205)を各ウェルに加えた。このプレートを室温で、80分間暗所でインキュベートした。インキュベーション段階の後、この色素溶液を除去し、そしてウェルを100μlのアッセイバッファーで洗浄した。次いで、アッセイバッファー中の、80μlの異なる濃度の試験化合物の溶液をウェル中に加えた。このプレートを16℃で45分間インキュベートした。その間、アッセイバッファー(4℃)中のグラミシジンの60μMの溶液を調製し、そして96ウェルマイクロプレートのウェル(96ウェルマイクロプレート、ポリプロピレン、U字型(Greiner Bio-One, 650201))中に4℃で測定がスタートするまで保存した。蛍光モニタリングを2秒の測定間隔で、240の測点で行なった。5番目の測点の後、40μlのグラミシジン溶液をアッセイプレートの各ウェルに加えると、20μMの最終のグラミシジン濃度になった。IC50値を決定する場合には、最小蛍光値は、すべての測点の場合の最大蛍光値から差し引いた。試験化合物によってもたらされた細胞へのCa2+流入(リバースモード)のパーセント阻害によるIC50値の算出は、Biost@t Speed 2.0で行なわれた。本発明の化合物で得られた結果が表1に与えられている。
【0254】
アッセイ技術−フォワードモード
このアッセイは、BD(Becton, Dickinson and Company)からのカルシウムインジケーター色素 51-9000177BKa(BD, 640177)付きのPBXカルシウムアッセイキットを用いて細胞内Ca2+濃度をモニタリングすることに基づいている。NCX1を発現するCHO細胞に色素をロードし、そして試験化合物を用いてプレインキュベーション段階の後、イオノマイシン(Ionomycin)(Calbiochem, 407950)を加えた。イオノマイシンは、細胞内Ca2+イオンの増加を仲介するCa2+イオンのイオノフォアである。その結果、細胞内Ca2+イオンは、細胞外Na+イオンと交換する(Ca2+流出、フォワードモード)。細胞内Ca2+イオンの減少は、520nmの波長でカルシウムインジケーター色素の蛍光をFLIPRデバイスにより測定することによって検出された。
【0255】
簡潔に述べれば、リバースモードと同様に、ファワードモード輸送アッセイの場合には、ウェルあたり18000の細胞を96ウェルマイクロプレート(Corning COSTAR 3904)中に播種し、培養培地(上記参照)中で終夜インキュベートした。ウェルあたり全体量100μl培地を用いた。FLIPRアッセイを準備する場合は、この培養培地をプレートから除去し、そして100μlのアッセイバッファー(133.8mM NaCl(Sigma, S5886); 4.7mM KCl(Sigma, P3911); 1.25mM MgCl2(Merck, 1.05833.0250); 3.5mM CaCl2(Merck, 1.02083.0250); 5mM グルコース(Sigma, G7021); 10mM ヘペス(Hepes)(Sigma, H4034); pH 7.4))を洗浄工程で各ウェルに加えた。アッセイバッファーを除去し、異なる濃度のアッセイバッファー中の100μlの試験化合物の溶液をウェル中に加えた。更に100μlの色素溶液(0.09%(v/v) カルシウムインジケーター色素(calcium indicator dye),9.1%(v/v) シグナルエンハンサー(signal enhancer)(PBXカルシウムアッセイキットから);アッセイバッファー中)を各ウェルに加えた。このプレートを室温で、60分間暗所でインキュベートした。その間、アッセイバッファー(更に0.05%のウシ胎児血清(上記参照)を含む;4℃)中のイオノマイシンの10μMの溶液を調製し、そして96ウェルマイクロプレートのウェル(96ウェルマイクロプレート、ポリプロピレン、U字型(Greiner Bio-One, 650201))中に保存した。蛍光モニタリングを2秒の測定間隔で、60の測点で行なった。5番目の測点の後、50μlのイオノマイシン溶液をアッセイプレートの各ウェルに加えると、2μMの最終のイオノマイシン濃度となった。IC50値を決定する場合には、最小蛍光値は、15〜55番目の測点の場合の最大蛍光値から差し引いた。試験化合物によってもたらされた細胞からのCa2+流出(フォワードモード)のパーセント阻害によるIC50値の算出は、Biost@t Speed 2.0で行なわれた。本発明の化合物を用いて得られた結果は、表2に与えられている。表2中の“NCX1fw IC50”は、フォワードモードにおけるNCX1の阻害のIC50値を意味する(μM(マイクロモル/リットル)単位)。
【0256】
【表34】
【0257】
B)心臓収縮力に対する作用を決定するインビボ方法
体重340〜370gの成熟雄性スプラーグドーリーラット(Adult male Sprague-Dawley rats)(Harlan Winkelmann, Borchen, Germany)をペントバルビタール(100mg/kg 腹腔内(i.p.))を用いて麻酔し、そして酸素(40%)と室内気(60%)の混合物を用い、1回換気量1ml/100g、60呼吸/分でベンチレートした。体温は加熱灯を用いて36.5±0.3℃に維持し、そして直腸サーモセンサー(rectal thermo sensor)でモニタリングした。全身血圧を左頸動脈でDCブリッジ増幅器(DC-bridge-amplifier)(PLUGSYS/ADC Type 663; Harvard Apparatus GmbH, March-Hugstetten, Germany)に結合している圧力トランスデューサー(Combitrans; B. Braun Melsungen AG, Melsungen, Germany)を用いて測定した。心電図を心拍数モジュール(Heart-Rate-Module)(PLUGSYS/HRM Type 669; Harvard Apparatus GmbH, March-Hugstetten, Germany)に結合している皮下に置かれている電極を介してリードII(lead II)として測定した。マイクロチップカテーテル(2 French, SPR-320; Millar Instruments, Houston, TX, USA)を、右頸動脈を介して左心室に入れ、そして左心室内圧(LVP)及び拡張終期圧(EDP)を連続的に測定した。血行動態データの登録を、アナログ・デジタル・コンバーターを介してパーソナル・コンピューターによってNotocordソフトウェア(HEM version 3.5)を用いて行なった。左心室収縮力(dp/dt max)及び弛緩(dp/dt min)をLVPシグナルから計算した。試験化合物を静脈投与した場合は、左頸静脈(jugular vein)を準備し、PP-50カテーテルを挿入した。試験化合物を静脈ボーラス注入法又は注入ポンプによる静脈内点滴(intravenous infusion)によって投与した(Unita; B. Braun Melsungen AG, Melsungen, Germany)。試験化合物をグリコフロール(75%)とクレモホール(25%)の混合物に溶解し、更にこの溶液を蒸留水で希釈した(1:4)。通例の実験では、試験化合物のいくつかの投与量が、投与量を増加してその後投与された。コントロール(溶媒が投与された)に対する薬物の実験で得られたデータの統計的有意性を、二元配置分散分析試験(2-sided ANOVA test)(program Everstat)を用いて評価した。実施例化合物による左心室の収縮力の増加(パーセント増)が、溶媒を投与したコントロール実験と比較して、表3に与えられている。
【0258】
【表35】