【実施例1】
【0018】
図5は、本発明の一実施形態のダイボンダを上から見た概念図である。ダイボンダ10は、大別してウェハ供給部1と、ワーク供給・搬送部2と、ダイボンディング部3とを有する。
ワーク供給・搬送部2は、スタックローダ21と、フレームフィーダ22と、アンローダ23とを有する。スタックローダ21によりフレームフィーダ22に供給されたワーク(リードフレーム、基板等)は、フレームフィーダ22上の2箇所の処理位置を介してアンローダ23に搬送される。
【0019】
ダイボンディング部3は、プリフォーム部31とボンディングヘッド部32とを有する。プリフォーム部31はフレームフィーダ22により搬送されてきたワーク(基板)にダイ接着剤を塗布する。ボンディングヘッド部32は、ピックアップ装置12からダイをピックアップして上昇し、ダイ4を平行移動してフレームフィーダ22上のボンディングポイントまで移動させる。そして、ボンディングヘッド部32はダイ4を下降させダイ接着剤が塗布されたワーク(例えば、基板)上にボンディングする。なお、ウェハ40にダイアタッチフィルム18が貼り付けられている場合には、プリフォーム部31でワークにダイ接着剤を塗布しない。
ダイ認識カメラ91は、ウェハ40からダイ4をピックアップする前に、マッピングデータに基づく位置に相対的に移動(実際には、ウェハ40を保持するウェハリング14が、XY方向に移動する)し、当該ピックアップ対象のダイ4を撮像し、制御部35に出力する。そして、制御部35は、パターン認識により、当該ダイ4の正確な位置を検出し、上記マッピングデータに基づく位置との差分だけ、突上げユニット50(
図2参照)とピックアップ装置12の位置を補正(実際には、ウェハ40を保持するウェハリング14が、XY方向に移動する)し、ダイ4をピックアップさせる。
【0020】
ウェハ供給部1は、ウェハカセットリフタ11とピックアップ装置12とを有する。ウェハカセットリフタ11は、ウェハリング14が充填されたウェハカセット(図示せず)を有し、順次ウェハリング14をピックアップ装置12に供給する。
また、制御部35は、ダイボンダ10のダイのピックアップ及びダイマウントに係る動作を統括制御する。
なお、
図1には図示していないが、ダイボンダ10は、さらに、駆動機構、認識処理部、及びモニタを備え、制御部35と他の機器とはインタフェースを介して通信している。また、制御部35は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、メモリとして、RAM36及びROM(Read Only Memory)37を接続した構成を備える。
【0021】
次に、
図6に基づき、ダイボンダ10の制御ブロック図について説明する。CPU35は、前記RAM36に記憶されたデータに基づき、前記ROM37に格納されたプログラムに従い、ダイ4のピックアップ及びダイマウントに係る動作について、インタフェース38及び駆動回路39を介して各駆動部30を統括制御する。また、CPU35は、前記RAM36に記憶されたデータに基づき、前記ROM37に格納されたプログラムに従い、ダイ4のピックアップ及びダイマウントに係る動作について、インタフェース38を介して、モニタ51及び52、並びに認識処理部34、ダイ認識カメラ91及びその他認識カメラ9を統括制御する。
尚、ROM37の替わりにハードディスクを用い、このハードディスクからRAM36に読み出されたプログラムに従い、CPU35が各駆動部30を統括制御するようにしても良い。
【0022】
前記RAM36には、ウェハ40に存在する個々のダイ4について、良品であるか不良品であるかの情報がマッピングデータとして登録され(書き込まれ)ている。さらに、前記RAM36には、当該ウェハ40のピックアップ開始点位置情報が登録されている。なお、複数のピックアップ開始点位置情報及び複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部60を操作することにより、操作部60を介して所望のピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータを選択する。
CPU35は、ウェハ40からダイ4をピックアップする度に、マッピングデータに当該情報を読み出したダイに関して、ピックアップした情報を書き込み、次のダイの情報を読み出し、不良品の場合にはスキップして、次のダイの情報を読み出す。読み出した情報から、当該ダイが良品である場合には、位置情報及び位置ずれ情報からウェハリング14を移動し、突上げユニット50及びピックアップ装置12を当該ダイの位置に移動させ、ピックアップ動作を開始させる。
オペレータは、操作部60を操作して、操作部60は、インタフェース38を介して、オペレータの操作に基づいた操作信号をCPU35に出力する。CPU35は、入力された操作信号に基づいて、RAM36、ROM37、及び、インタフェース38を介して、ダイボンダ10内の各機器を操作する。
【0023】
本発明のダイボンダは、あらかじめ再使用のウェハについて、ダイを順番にピックアップした場合の、次のダイの位置を画像処理によって検出し、ウェハの機種毎にピックアップ開始点位置情報として、メモリ(例えば、RAM36)に登録する。登録されるウェハの機種毎のダイの位置は、ピックアップを開始するダイの位置であり、新規のウェハのピックアップの位置から順番にピックアップし、次にピックアップするダイの位置を、ダイ認識カメラで撮像し、撮像した画像から正確な位置を決定して、メモリに登録していくものである。
【0024】
以下、
図3、
図7及び
図8を用いて、本発明のダイボンディング方法において、ウェハの機種毎のピックアップ開始点位置情報をあらかじめ自動的に作成する一実施例を説明する。
図7は、本発明のダイボンディング方法における、ピックアップ開始点位置情報をあらかじめ作成する一実施例を説明するための図である。また、
図8は、本発明のダイボンディング方法における、ピックアップ開始点位置情報をあらかじめ作成する一実施例の手順を説明するためのフローチャートである。
図3及び
図7では図示していないが、これらのウェハ40、40a〜40cは、新規ウェハ或いは再使用のウェハに関わらず、ウェハリング14にセットされて使用され、ダイボンダ10において、ピックアップ装置12に搬入されて使用される。その場合には、ピックアップ装置12は、搬入されたウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を所定の距離だけ下降させる。この結果、ダイシングフィルム16が引き伸ばされダイ4の間隔が広がる。これにより、突上げユニット50によってウェハ40の下方からダイの4を突上げる時のダイ4のピックアップ性が向上する。即ち、ウェハ40を保持するダイシングフィルム16は、ピックアップ装置12に搬入される都度、引き伸ばされる。
【0025】
まず、
図3に示すように、ダイボンダに、ピックアップ開始点位置情報を作成する機種であって、全てのダイが存在するウェハ(新規ウェハ)をセットする。以下の制御は、CPU(制御部)35がダイボンダ10の各機器を制御して実行する。
ステップS801では、当該ウェハのマッピングデータをRAM36から読み出す。なお、複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部60を操作することにより、操作部60を介して所望のマッピングデータを選択する。
ステップS802では、nを1とする(n=1)。
ステップS803では、読み出したマッピングデータから1番目の位置のダイの位置に突上げユニット50とピックアップ装置12を移動する。
ステップS804では、ダイ認識カメラ91がマッピングデータから読み出した位置を撮像し、撮像された画像を画像処理して、ダイに形成されている位置合わせマークの位置を検出することによって、突上げユニット50とピックアップ装置12の位置補正を行う。
ステップS805では、1番目の位置のダイ41をピックアップする。
【0026】
ステップS806では、nに1を加える(n=n+1)。
次に、ステップS807では、
図7(a)に示すように、読み出したマッピングデータからn番目の位置のダイの位置に、ウェハリング14を移動させることによって、突上げユニット50とピックアップ装置12を移動する(n=2の場合には、ダイ46に移動する)。
ステップS808では、ステップS804と同様に、ダイ認識カメラ91がマッピングデータから読み出した位置を撮像し、撮像された画像を画像処理して、位置合わせマークの位置を検出することによって、突上げユニット50とピックアップ装置12の位置補正を行う。
ステップS809では、n番目のダイの位置をピックアップ開始点位置情報としてメモリに登録する(書き込む)。
ステップS810では、n番目のダイがウェハの最後のダイ42であるか否かを判定する。最後のダイ42であれば、処理を終了する。また、n番目のダイがウェハの最後のダイ42でなければ、ステップS811の処理に進む。
ステップS811では、n番目のダイをピックアップして、ステップS806の処理に戻る。
【0027】
本処理を所定回数繰り返し、代表値(中央値、平均値等)をn番目のそれぞれのダイのピックアップ開始点位置情報とするようにしても良い。
また、このようなピックアップ開始点位置情報の取得は、例えば、新規ウェハを用いて、実際にダイボンディングを行う過程で、ダイ認識カメラによる位置補正のデータを使用するようにしても良い。その場合には、不良品のダイをスキップすることになるが、スキップしたダイの位置を前後のダイまたは周囲のダイの位置から補間するようにしても良い。また、不良品のダイに対してもダイ認識カメラで撮像して、位置を検出するようにしても良い。
さらに、上記各位置データをもとに、ピックアップする度に、ダイシングフィルムの収縮状況を計算する近似式を求め、当該近似式をメモリに登録し、登録された近似式に基づいて、次のダイの位置を算出し、算出した位置に、ウェハを移動させることによって、正確なピックアップ位置を常に維持することも可能である。
【0028】
次に、
図7を用いて、本発明のダイボンダのピックアップ動作の一実施例を説明する。本実施例では、上述したように、あらかじめ作成したピックアップ開始点位置情報を使用して、位置補正してダイボンディングを開始するものである。
まず、
図7(a)〜
図7(c)においては、CPU35には、オペレータの操作によって、操作部60から、セットされたウェハのマッピングデータが入力される。この結果、CPU35は、セットされたウェハのピックアップ開始点がどの位置(何番目のダイ)であるかを認識することができる。なお、従来のマッピングデータに比して、個々のダイの位置情報は必要なく、ピックアップするダイの順番(何番目にピックアップされるか)の情報、及び、当該ダイが良品か不良品であるかが分かる情報であっても良い。
図7(a)では、ウェハ40aのピックアップ開始点は、ウェハ40aのマッピングデータから2番目のダイ(ダイ46)であることが判明するので、CPU35は、2番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出したピックアップ開始点位置情報から取得して、ダイボンディングを開始し、ダイ42まで矢印のようにピックアップを実行する。
図7(b)では、ウェハ40bのピックアップ開始点は、ウェハ40bのマッピングデータから3番目のダイ(ダイ48)であることが判明するので、CPU35は、3番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出したピックアップ開始点位置情報から取得して、ダイボンディングを開始し、ダイ42まで矢印のようにピックアップを実行する。
図7(c)では、ウェハ40cのピックアップ開始点は、ウェハ40cのマッピングデータから62番目のダイ(ダイ47)であることが判明するので、CPU35は、62番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出したピックアップ開始点位置情報から取得して、ダイボンディングを開始し、ダイ42まで矢印のようにピックアップを実行する。
【0029】
図9は、本発明のダイボンディング方法によって、CPU35が実行するダイボンディングの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。CPU35には、オペレータの操作によって、操作部60から、セットされたウェハのマッピングデータが入力される。この結果、CPU35は、セットされたウェハのピックアップ開始点がどの位置(何番目のダイ)であるかを認識することができる。なお、従来のマッピングデータに比して、個々のダイの位置情報は必要なく、ピックアップするダイの順番(何番目にピックアップされるか)の情報、及び、当該ダイが良品か不良品であるかが分かる情報であっても良い。
ステップS901では、セットされたウェハ40について、オペレータの操作により入力されたピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータをダイボンダのメモリ(例えば、RAM36)に書き込む。なお、複数のピックアップ開始点位置情報及び複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部60を操作することにより、操作部60を介して所望のピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータを選択する。
ステップS902では、マッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出す。
ステップS903では、ステップS902で読み出したダイの番号に基づくピックアップ開始点位置情報を読み出す。
ステップS904では、ステップS903で読み出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、ウェハリング14をX方向及びY方向に駆動することにより、突き上げユニット50及びピックアップ装置12をピックアップ開始位置に移動させる。
以降、ステップS905では、従来通りのダイボンディングを行う。
【0030】
上記実施例によれば、特に再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置を決定することができるため、正確にダイをピックアップ可能となる。
【実施例2】
【0031】
本実施例においても、実施例1のダイボンダ10、制御装置、マッピングデータ、及びピックアップ開始点位置情報を使用する。
本実施例では、CPU35は、n番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出すのではなく、ダイシングフィルムの収縮状況を計算する近似式を求め、当該近似式をメモリに登録していた場合には、n番目のダイであることから登録された近似式に基づいて、次のダイの位置を算出し、算出した位置に、ウェハを移動させることによって、正確なピックアップ位置を取得して、ダイボンディングを開始する。
【0032】
図10は、本発明のダイボンディング方法によって、CPU35が実行するダイボンディングの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。CPU35には、オペレータの操作によって、操作部60から、セットされたウェハのマッピングデータが入力される。この結果、CPU35は、セットされたウェハのピックアップ開始点がどの位置(何番目のダイ)であるかを認識することができる。なお、従来のマッピングデータに比して、個々のダイの位置情報は必要なく、ピックアップするダイの順番(何番目にピックアップされるか)の情報、及び、当該ダイが良品か不良品であるかが分かる情報であっても良い。
さらに、本実施例では、実施例1とは異なり、ピックアップ開始点位置情報には、個々のダイの位置情報が登録されておらず、新規ウェハで最初にピックアップするダイを1番目のダイとして、以後続けてピックアップするダイの順番を示す番号を変数とする近似式が登録されている。この近似式は、シミュレーションによって求めても良いし、実施例1で取得したピックアップ開始位置情を基に近似式を決定するようにしても良い。
【0033】
ステップS901の動作は、実施例1と同様であるので説明しない。
ステップS902では、マッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出す。
ステップS1003では、ステップS901で読み出したダイの番号を変数として、近似式からピックアップ開始点位置情報を算出する。
ステップS904では、ステップS1003で算出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、ウェハリング14をX方向及びY方向に駆動することにより、突き上げユニット50及びピックアップ装置12をピックアップ開始位置に移動させる。
以降、ステップS905では、従来通りのダイボンディングを行う。
【0034】
上記実施例によれば、特に再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置を決定することができるため、正確にダイをピックアップ可能となる。