特許第5941707号(P5941707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5941707ダイボンディング方法及びそれを用いたダイボンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941707
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ダイボンディング方法及びそれを用いたダイボンダ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
   H01L21/52 F
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-51545(P2012-51545)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-187372(P2013-187372A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】降矢 国夫
(72)【発明者】
【氏名】井出 桐人
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−197225(JP,A)
【文献】 特開2012−222054(JP,A)
【文献】 特開2007−329266(JP,A)
【文献】 特開2004−128009(JP,A)
【文献】 特開平05−121466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハからダイをピックアップし、被搭載物にダイボンディングするダイボンディング方法において、
前記ウェハについてダイのピックアップを開始するピックアップ開始点位置情報をメモリに登録または選択するピックアップ開始点位置情報選択ステップと、
前記ウェハのマッピングデータをメモリに登録または選択するマッピングデータ選択ステップと、
前記登録または選択されたマッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出すダイ開始番号読み出しステップと、
前記読み出したダイの番号に基づいて、ピックアップ開始点位置情報を読み出すピックアップ開始点位置ステップと、
前記読み出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、突き上げユニット及びピックアップ装置をピックアップ開始位置に移動する移動ステップを備え、
ダイボンディングを開始することを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項2】
ウェハからダイをピックアップし、被搭載物にダイボンディングするダイボンディング方法において、
前記ウェハについてダイのピックアップを開始するピックアップ開始点位置情報をメモリに登録または選択するピックアップ開始点位置情報選択ステップと、
前記ウェハのマッピングデータをメモリに登録または選択するマッピングデータ選択ステップと、
前記登録または選択されたマッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出すダイ開始番号読み出しステップと、
前記読み出したダイの番号に基づいてダイシングフィルムの収縮状況を計算する近似式を求め、該近似式に基づいてピックアップ開始点位置情報を算出するピックアップ開始点算出ステップと、
前記算出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、突き上げユニット及びピックアップ装置をピックアップ開始位置に移動する移動ステップを備え、
ダイボンディングを開始することを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のダイボンディング方法において、前記ピックアップ開始点位置情報をあらかじめウェハの機種ごとに作成することを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のダイボンディング方法において、前記マッピングデータから良品であるか不良品であるかの情報を読み出して、ダイボンディング時に不良品のダイをピックアップして廃棄することを特徴とするダイボンディング方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかのダイボンディング方法によってボンディングすることを特徴とするダイボンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンディング技術及び半導体製造装置の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置の組立工程においては、ウェハプロセスで複数の半導体装置が一括形成されたウェハを個々の半導体装置(ダイ)に分割して個別にリードフレーム等の被搭載物にボンディングして封止(パッケージング)する等の組立工程がある。
【0003】
個々のダイをリードフレーム等にボンディングするダイボンディング技術として、ウェハを分割した状態でダイが配列された粘着テープ上から個々のダイをコレット等でピックアップして、中間ステージで位置決めした後に、リードフレーム等にマウントする方式がある。また他の方式として、粘着テープ上からピックアップされた個々のダイを直接的にリードフレーム等のボンディング対象物にマウントするダイレクトピックアップ方式が知られている。
上述のいずれの方式においても、粘着テープ状に配列されたウェハから、当該ウェハを構成するダイを、個々にピックアップして中間ステージを介して、或いは、直接、ボンディング対象物にマウントする。
【0004】
次に、図1及び図2を用いてピックアップ装置の構成を説明する。
図1は、ダイボンダにおけるピックアップ装置の外観斜視図を示す図である。図2は、ピックアップ装置12の主要部を示す概略断面図である。図1図2に示すように、ピックアップ装置12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイ(チップ)4が接着されたダイシングフィルム16を水平に位置決めする支持リング17と、支持リング17の内側に配置されダイ4を上方に突上げるための突上げユニット50とを有する。突上げユニット50は、図示しない駆動機構によって、上下方向に移動するようになっており、水平方向にはピックアップ装置12が移動するようになっている。
【0005】
ピックアップ装置12は、ダイ4の突上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を矢印方向に所定の距離だけ下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングフィルム16が引き伸ばされダイ4の間隔が広がる。これにより、突上げユニット50によってウェハ40の下方からダイ4を突上げる時のダイ4のピックアップ性を向上させている。なお、ウェハ40及びダイ4の薄型化に伴い接着剤は液状からフィルム状となり、ウェハ40とダイシングフィルム16との間にダイアタッチフィルム18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルム18を有するウェハ40では、ダイシングはウェハとダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。従って、ダイピックアップ時の剥離工程では、ウェハ40とダイアタッチフィルム18をダイシングフィルム16から剥離する。
上述のように、ウェハ40は、裏面にダイアタッチフィルム18及びダイシングフィルム16を張り付けられ、ダイシングによって個々のダイ4に分割されて、ウェハリング14に取り付けられる。その際には、ダイシングフィルム16がウェハリング14によって外側に引っ張られ、隣り合うダイ4の間隔が拡大されて取り付けられる。
【0006】
ウェハ40に全てのダイ4が存在する場合には、図3に示すように、ダイボンダは、ウェハ40の上段(または下段)の行(または列)の端のダイ41から、順番に矢印のように、ダイ4をピックアップし、最後のダイ42までピックアップする。なお、その際、ダイボンダは、あらかじめ、ウェハ40毎に登録されているマッピングデータに基づいて、不良のダイ43をスキップし、ピックアップしない。
また、ウェハリング14によって引っ張られているダイシングフィルム16は、ダイ4がピックアップされことによって収縮し、ダイが無い部分のテンションが小さくなる。この結果、ダイ4がウェハ40からピックアップされるに従って、ダイ4は、ダイシングフィルム16のテンションが大きい方向(即ち、ダイ4がまだ存在する方向)に位置がずれる。
【0007】
図3のように、新規のウェハ40の場合には、ピックアップ開始のダイ41の位置ずれが小さく、ダイを認識するためのダイ認識カメラで位置補正可能である(特許文献1参照。)。しかし、図4に示すように、再度使用するウェハ(再使用のウェハ)40cの場合には、ピックアップ開始のダイがマッピングデータに基づいたピックアップ開始点のダイ48となる。この場合には、ダイ48は、ダイが取り除かれたダイシングフィルム16のテンションが小さいと、位置ずれが大きくなり、異なるダイをピックアップ開始のダイとしてしまう。この結果、マッピングデータでは不良品または等級が異なるダイをピックアップする恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−329266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来のダイボンダにおいては、新規のウェハか再使用のウェハであるかの情報が、ダイの良否、等級、及び位置データと共に、保存されている。特に、再使用のウェハの場合には、ピックアップを開始するダイの位置がどこにあるかは、重要な情報である。ダイボンダは、このマッピングデータに基づいて、当該ウェハ中のダイをピックアップして、ダイボンディングを行う。即ち、ダイボンダの制御部は、マッピングデータに基づきピックアップ作業を開始するように、ダイボンダ及びそのピックアップ装置を制御する。
しかし、マッピングデータに基づいて、ピックアップ開始位置のダイの位置に、突上げユニットとピックアップツールを相対的に移動し、ピックアップしようとしても、上述のように、ダイシングフィルムのテンションの影響によって、正しく突上げユニットとピックアップツールが一致しない問題があった。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、特に再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置補正して、正確にダイをピックアップ可能なダイボンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明のダイボンディング方法は、ウェハからダイをピックアップし、被搭載物にダイボンディングするダイボンディング方法において、前記ウェハについてダイのピックアップを開始するピックアップ開始点位置情報をメモリに登録または選択するピックアップ開始点位置情報選択ステップと、前記ウェハのマッピングデータをメモリに登録または選択するマッピングデータ選択ステップと、前記登録または選択されたマッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出すダイ開始番号読み出しステップと、前記読み出したダイの番号に基づいて、ピックアップ開始点位置情報を読み出すピックアップ開始点位置ステップと、前記読み出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、突き上げユニット及びピックアップ装置をピックアップ開始位置に移動する移動ステップを備え、ダイボンディングを開始することを本発明の第1の特徴とする。
【0011】
また、本発明のダイボンディング方法は、上記の目的を達成するために、ウェハからダイをピックアップし、被搭載物にダイボンディングするダイボンディング方法において、前記ウェハについてダイのピックアップを開始するピックアップ開始点位置情報をメモリに登録または選択するピックアップ開始点位置情報選択ステップと、前記ウェハのマッピングデータをメモリに登録または選択するマッピングデータ選択ステップと、前記登録または選択されたマッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出すダイ開始番号読み出しステップと、
前記読み出したダイの番号に基づいて、ピックアップ開始点位置情報を算出するピックアップ開始点算出ステップと、前記算出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、突き上げユニット及びピックアップ装置をピックアップ開始位置に移動する移動ステップを備え、ダイボンディングを開始することを本発明の第2の特徴とする。
【0012】
上記本発明の第1の特徴または第2の特徴のダイボンディング方法において、前記ピックアップ開始点位置情報をあらかじめウェハの機種ごとに作成することを本発明の第3の特徴とする。
【0013】
上記本発明の第1の特徴乃至第3のいずれかの特徴のダイボンディング方法において、ダイボンディング時に不良品のダイをピックアップして廃棄することを本発明の第4の特徴とする。
【0014】
上記本発明の第1の特徴乃至第4のいずれかの特徴のダイボンディング方法によってボンディングすることを本発明の第5の特徴とするダイボンダ。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特に再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置を決定することができるため、正確にダイをピックアップ可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ピックアップ装置の外観斜視図を示す図である。
図2】ピックアップ装置の主要部を示す概略断面図である。
図3】ピックアップするダイの順番を模式的に示す図である。
図4】ピックアップするダイの順番を模式的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態であるダイボンダを上から見た概念図である。
図6】本発明のダイボンダの一実施例の制御装置の構成を示すブロック図である。
図7】本発明のダイボンディング方法における、ピックアップ開始点位置情報をあらかじめ作成する一実施例を説明するための図である。
図8】本発明のダイボンディング方法における、ピックアップ開始点位置情報をあらかじめ作成する一実施例の手順を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明のダイボンディング方法によって、CPU35が実行するダイボンディングの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。
図10】本発明のダイボンディング方法によって、CPU35が実行するダイボンディングの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態について、図面等を用いて説明する。
なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
また、各図の説明において、同一の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、重複を避け、できるだけ説明を省略する。
【実施例1】
【0018】
図5は、本発明の一実施形態のダイボンダを上から見た概念図である。ダイボンダ10は、大別してウェハ供給部1と、ワーク供給・搬送部2と、ダイボンディング部3とを有する。
ワーク供給・搬送部2は、スタックローダ21と、フレームフィーダ22と、アンローダ23とを有する。スタックローダ21によりフレームフィーダ22に供給されたワーク(リードフレーム、基板等)は、フレームフィーダ22上の2箇所の処理位置を介してアンローダ23に搬送される。
【0019】
ダイボンディング部3は、プリフォーム部31とボンディングヘッド部32とを有する。プリフォーム部31はフレームフィーダ22により搬送されてきたワーク(基板)にダイ接着剤を塗布する。ボンディングヘッド部32は、ピックアップ装置12からダイをピックアップして上昇し、ダイ4を平行移動してフレームフィーダ22上のボンディングポイントまで移動させる。そして、ボンディングヘッド部32はダイ4を下降させダイ接着剤が塗布されたワーク(例えば、基板)上にボンディングする。なお、ウェハ40にダイアタッチフィルム18が貼り付けられている場合には、プリフォーム部31でワークにダイ接着剤を塗布しない。
ダイ認識カメラ91は、ウェハ40からダイ4をピックアップする前に、マッピングデータに基づく位置に相対的に移動(実際には、ウェハ40を保持するウェハリング14が、XY方向に移動する)し、当該ピックアップ対象のダイ4を撮像し、制御部35に出力する。そして、制御部35は、パターン認識により、当該ダイ4の正確な位置を検出し、上記マッピングデータに基づく位置との差分だけ、突上げユニット50(図2参照)とピックアップ装置12の位置を補正(実際には、ウェハ40を保持するウェハリング14が、XY方向に移動する)し、ダイ4をピックアップさせる。
【0020】
ウェハ供給部1は、ウェハカセットリフタ11とピックアップ装置12とを有する。ウェハカセットリフタ11は、ウェハリング14が充填されたウェハカセット(図示せず)を有し、順次ウェハリング14をピックアップ装置12に供給する。
また、制御部35は、ダイボンダ10のダイのピックアップ及びダイマウントに係る動作を統括制御する。
なお、図1には図示していないが、ダイボンダ10は、さらに、駆動機構、認識処理部、及びモニタを備え、制御部35と他の機器とはインタフェースを介して通信している。また、制御部35は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、メモリとして、RAM36及びROM(Read Only Memory)37を接続した構成を備える。
【0021】
次に、図6に基づき、ダイボンダ10の制御ブロック図について説明する。CPU35は、前記RAM36に記憶されたデータに基づき、前記ROM37に格納されたプログラムに従い、ダイ4のピックアップ及びダイマウントに係る動作について、インタフェース38及び駆動回路39を介して各駆動部30を統括制御する。また、CPU35は、前記RAM36に記憶されたデータに基づき、前記ROM37に格納されたプログラムに従い、ダイ4のピックアップ及びダイマウントに係る動作について、インタフェース38を介して、モニタ51及び52、並びに認識処理部34、ダイ認識カメラ91及びその他認識カメラ9を統括制御する。
尚、ROM37の替わりにハードディスクを用い、このハードディスクからRAM36に読み出されたプログラムに従い、CPU35が各駆動部30を統括制御するようにしても良い。
【0022】
前記RAM36には、ウェハ40に存在する個々のダイ4について、良品であるか不良品であるかの情報がマッピングデータとして登録され(書き込まれ)ている。さらに、前記RAM36には、当該ウェハ40のピックアップ開始点位置情報が登録されている。なお、複数のピックアップ開始点位置情報及び複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部60を操作することにより、操作部60を介して所望のピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータを選択する。
CPU35は、ウェハ40からダイ4をピックアップする度に、マッピングデータに当該情報を読み出したダイに関して、ピックアップした情報を書き込み、次のダイの情報を読み出し、不良品の場合にはスキップして、次のダイの情報を読み出す。読み出した情報から、当該ダイが良品である場合には、位置情報及び位置ずれ情報からウェハリング14を移動し、突上げユニット50及びピックアップ装置12を当該ダイの位置に移動させ、ピックアップ動作を開始させる。
オペレータは、操作部60を操作して、操作部60は、インタフェース38を介して、オペレータの操作に基づいた操作信号をCPU35に出力する。CPU35は、入力された操作信号に基づいて、RAM36、ROM37、及び、インタフェース38を介して、ダイボンダ10内の各機器を操作する。
【0023】
本発明のダイボンダは、あらかじめ再使用のウェハについて、ダイを順番にピックアップした場合の、次のダイの位置を画像処理によって検出し、ウェハの機種毎にピックアップ開始点位置情報として、メモリ(例えば、RAM36)に登録する。登録されるウェハの機種毎のダイの位置は、ピックアップを開始するダイの位置であり、新規のウェハのピックアップの位置から順番にピックアップし、次にピックアップするダイの位置を、ダイ認識カメラで撮像し、撮像した画像から正確な位置を決定して、メモリに登録していくものである。
【0024】
以下、図3図7及び図8を用いて、本発明のダイボンディング方法において、ウェハの機種毎のピックアップ開始点位置情報をあらかじめ自動的に作成する一実施例を説明する。図7は、本発明のダイボンディング方法における、ピックアップ開始点位置情報をあらかじめ作成する一実施例を説明するための図である。また、図8は、本発明のダイボンディング方法における、ピックアップ開始点位置情報をあらかじめ作成する一実施例の手順を説明するためのフローチャートである。
図3及び図7では図示していないが、これらのウェハ40、40a〜40cは、新規ウェハ或いは再使用のウェハに関わらず、ウェハリング14にセットされて使用され、ダイボンダ10において、ピックアップ装置12に搬入されて使用される。その場合には、ピックアップ装置12は、搬入されたウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を所定の距離だけ下降させる。この結果、ダイシングフィルム16が引き伸ばされダイ4の間隔が広がる。これにより、突上げユニット50によってウェハ40の下方からダイの4を突上げる時のダイ4のピックアップ性が向上する。即ち、ウェハ40を保持するダイシングフィルム16は、ピックアップ装置12に搬入される都度、引き伸ばされる。
【0025】
まず、図3に示すように、ダイボンダに、ピックアップ開始点位置情報を作成する機種であって、全てのダイが存在するウェハ(新規ウェハ)をセットする。以下の制御は、CPU(制御部)35がダイボンダ10の各機器を制御して実行する。
ステップS801では、当該ウェハのマッピングデータをRAM36から読み出す。なお、複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部60を操作することにより、操作部60を介して所望のマッピングデータを選択する。
ステップS802では、nを1とする(n=1)。
ステップS803では、読み出したマッピングデータから1番目の位置のダイの位置に突上げユニット50とピックアップ装置12を移動する。
ステップS804では、ダイ認識カメラ91がマッピングデータから読み出した位置を撮像し、撮像された画像を画像処理して、ダイに形成されている位置合わせマークの位置を検出することによって、突上げユニット50とピックアップ装置12の位置補正を行う。
ステップS805では、1番目の位置のダイ41をピックアップする。
【0026】
ステップS806では、nに1を加える(n=n+1)。
次に、ステップS807では、図7(a)に示すように、読み出したマッピングデータからn番目の位置のダイの位置に、ウェハリング14を移動させることによって、突上げユニット50とピックアップ装置12を移動する(n=2の場合には、ダイ46に移動する)。
ステップS808では、ステップS804と同様に、ダイ認識カメラ91がマッピングデータから読み出した位置を撮像し、撮像された画像を画像処理して、位置合わせマークの位置を検出することによって、突上げユニット50とピックアップ装置12の位置補正を行う。
ステップS809では、n番目のダイの位置をピックアップ開始点位置情報としてメモリに登録する(書き込む)。
ステップS810では、n番目のダイがウェハの最後のダイ42であるか否かを判定する。最後のダイ42であれば、処理を終了する。また、n番目のダイがウェハの最後のダイ42でなければ、ステップS811の処理に進む。
ステップS811では、n番目のダイをピックアップして、ステップS806の処理に戻る。
【0027】
本処理を所定回数繰り返し、代表値(中央値、平均値等)をn番目のそれぞれのダイのピックアップ開始点位置情報とするようにしても良い。
また、このようなピックアップ開始点位置情報の取得は、例えば、新規ウェハを用いて、実際にダイボンディングを行う過程で、ダイ認識カメラによる位置補正のデータを使用するようにしても良い。その場合には、不良品のダイをスキップすることになるが、スキップしたダイの位置を前後のダイまたは周囲のダイの位置から補間するようにしても良い。また、不良品のダイに対してもダイ認識カメラで撮像して、位置を検出するようにしても良い。
さらに、上記各位置データをもとに、ピックアップする度に、ダイシングフィルムの収縮状況を計算する近似式を求め、当該近似式をメモリに登録し、登録された近似式に基づいて、次のダイの位置を算出し、算出した位置に、ウェハを移動させることによって、正確なピックアップ位置を常に維持することも可能である。
【0028】
次に、図7を用いて、本発明のダイボンダのピックアップ動作の一実施例を説明する。本実施例では、上述したように、あらかじめ作成したピックアップ開始点位置情報を使用して、位置補正してダイボンディングを開始するものである。
まず、図7(a)〜図7(c)においては、CPU35には、オペレータの操作によって、操作部60から、セットされたウェハのマッピングデータが入力される。この結果、CPU35は、セットされたウェハのピックアップ開始点がどの位置(何番目のダイ)であるかを認識することができる。なお、従来のマッピングデータに比して、個々のダイの位置情報は必要なく、ピックアップするダイの順番(何番目にピックアップされるか)の情報、及び、当該ダイが良品か不良品であるかが分かる情報であっても良い。
図7(a)では、ウェハ40aのピックアップ開始点は、ウェハ40aのマッピングデータから2番目のダイ(ダイ46)であることが判明するので、CPU35は、2番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出したピックアップ開始点位置情報から取得して、ダイボンディングを開始し、ダイ42まで矢印のようにピックアップを実行する。
図7(b)では、ウェハ40bのピックアップ開始点は、ウェハ40bのマッピングデータから3番目のダイ(ダイ48)であることが判明するので、CPU35は、3番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出したピックアップ開始点位置情報から取得して、ダイボンディングを開始し、ダイ42まで矢印のようにピックアップを実行する。
図7(c)では、ウェハ40cのピックアップ開始点は、ウェハ40cのマッピングデータから62番目のダイ(ダイ47)であることが判明するので、CPU35は、62番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出したピックアップ開始点位置情報から取得して、ダイボンディングを開始し、ダイ42まで矢印のようにピックアップを実行する。
【0029】
図9は、本発明のダイボンディング方法によって、CPU35が実行するダイボンディングの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。CPU35には、オペレータの操作によって、操作部60から、セットされたウェハのマッピングデータが入力される。この結果、CPU35は、セットされたウェハのピックアップ開始点がどの位置(何番目のダイ)であるかを認識することができる。なお、従来のマッピングデータに比して、個々のダイの位置情報は必要なく、ピックアップするダイの順番(何番目にピックアップされるか)の情報、及び、当該ダイが良品か不良品であるかが分かる情報であっても良い。
ステップS901では、セットされたウェハ40について、オペレータの操作により入力されたピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータをダイボンダのメモリ(例えば、RAM36)に書き込む。なお、複数のピックアップ開始点位置情報及び複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部60を操作することにより、操作部60を介して所望のピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータを選択する。
ステップS902では、マッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出す。
ステップS903では、ステップS902で読み出したダイの番号に基づくピックアップ開始点位置情報を読み出す。
ステップS904では、ステップS903で読み出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、ウェハリング14をX方向及びY方向に駆動することにより、突き上げユニット50及びピックアップ装置12をピックアップ開始位置に移動させる。
以降、ステップS905では、従来通りのダイボンディングを行う。
【0030】
上記実施例によれば、特に再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置を決定することができるため、正確にダイをピックアップ可能となる。
【実施例2】
【0031】
本実施例においても、実施例1のダイボンダ10、制御装置、マッピングデータ、及びピックアップ開始点位置情報を使用する。
本実施例では、CPU35は、n番目のダイのピックアップ開始位置をRAM36から読み出すのではなく、ダイシングフィルムの収縮状況を計算する近似式を求め、当該近似式をメモリに登録していた場合には、n番目のダイであることから登録された近似式に基づいて、次のダイの位置を算出し、算出した位置に、ウェハを移動させることによって、正確なピックアップ位置を取得して、ダイボンディングを開始する。
【0032】
図10は、本発明のダイボンディング方法によって、CPU35が実行するダイボンディングの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。CPU35には、オペレータの操作によって、操作部60から、セットされたウェハのマッピングデータが入力される。この結果、CPU35は、セットされたウェハのピックアップ開始点がどの位置(何番目のダイ)であるかを認識することができる。なお、従来のマッピングデータに比して、個々のダイの位置情報は必要なく、ピックアップするダイの順番(何番目にピックアップされるか)の情報、及び、当該ダイが良品か不良品であるかが分かる情報であっても良い。
さらに、本実施例では、実施例1とは異なり、ピックアップ開始点位置情報には、個々のダイの位置情報が登録されておらず、新規ウェハで最初にピックアップするダイを1番目のダイとして、以後続けてピックアップするダイの順番を示す番号を変数とする近似式が登録されている。この近似式は、シミュレーションによって求めても良いし、実施例1で取得したピックアップ開始位置情を基に近似式を決定するようにしても良い。
【0033】
ステップS901の動作は、実施例1と同様であるので説明しない。
ステップS902では、マッピングデータから、ピックアップを開始すべきダイの番号を読み出す。
ステップS1003では、ステップS901で読み出したダイの番号を変数として、近似式からピックアップ開始点位置情報を算出する。
ステップS904では、ステップS1003で算出したピックアップ開始点位置情報に基づいて、ウェハリング14をX方向及びY方向に駆動することにより、突き上げユニット50及びピックアップ装置12をピックアップ開始位置に移動させる。
以降、ステップS905では、従来通りのダイボンディングを行う。
【0034】
上記実施例によれば、特に再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置を決定することができるため、正確にダイをピックアップ可能となる。
【実施例3】
【0035】
図7(c)のウェハ40cでは、ピックアップ開始点のダイ48の前に不良のダイ43がスキップされて残っている。ウェハの種類や残された状態によっては、残された不良品のダイによって、ダイシングフィルム16の収縮状態が変わり、あらかじめ作成したピックアップ開始点位置情報から大きく位置ずれることが考えられる。
そこで、本発明の別の実施例では、以下の(1)〜(3)の3つの方法のいずれかを実行することで、このような位置ずれの発生を回避する。
なお、本実施例の適用に当たっては、実施例1または実施例2で使用したダイボンダ10、制御装置、マッピングデータ、及びピックアップ開始点位置情報を用いる。
【0036】
(1)ダイボンダがダイボンディング作業を実行中に、不良品のダイをピックアップする位置になった場合に、ピックアップして所定の廃棄場所に不良品のダイを廃棄してから、次のダイの位置に移動してピックアップ及びマウント動作を実行する。
(2)ダイボンダがダイボンディング作業を開始する前に、不良品のダイをピックアップして所定の廃棄場所に廃棄してから、ピックアップ及びマウント動作を開始する。
(3)ダイボンダがダイボンディング作業を開始する前に不良品としてピックアップ開始位置より前に存在する(残っている)不良品のダイの数が、所定の数以上である場合には、不良品のダイをピックアップして所定の廃棄場所に廃棄してから、ピックアップ及びマウント動作を開始する。
【0037】
上述の実施例のダイボンディング方法によれば、再使用のウェハにおいて、ピックアップ開始位置のダイの位置の情報を的確に把握して位置補正して、正確にダイをピックアップ可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1:ウェハ供給部、 2:ワーク供給・搬送部、 3:ダイボンディング部、 4:ダイ、 10:ダイボンダ、 11:ウェハカセットリフタ、 12:ピックアップ装置、 14:ウェハリング、 15:エキスパンドリング、 16:ダイシングフィルム、 17:支持リング、 21:スタックローダ、 22:フレームフィーダ、 23:アンローダ、 30:駆動部、 31:プリフォーム部、 32:ボンディングヘッド部、 34:認識処理部、 35:CPU、 36:RAM、37:ROM、 38:インタフェース、 39:駆動回路、 40、40a、40b、40c:ウェハ、 41、42、46、48:ダイ、 43:不良のダイ、 50:突上げユニット、 51、52:表示部、 60:操作部、 91:ダイ認識カメラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10