【実施例1】
【0018】
図7は、本発明の半導体後工程組立装置の一実施形態のダイボンダを上から見た概念図である。ダイボンダ510は、大別してウェハ供給部51と、ワーク供給・搬送部52と、ダイボンディング部53とを有する。
ワーク供給・搬送部52は、搬入部520と、スタックローダ521と、フレームフィーダ522と、搬出部523とを有する。搬入部520からスタックローダ521によりフレームフィーダ522に供給された被実装部材(基板)は、フレームフィーダ522上の2箇所の処理位置を介して搬出部523のマガジンに搬送され、収納される。
【0019】
ダイボンディング部53は、プリフォーム部531とボンディングヘッド部532とを有する。プリフォーム部531はフレームフィーダ522により搬送されてきた基板にダイ接着剤を塗布する。ボンディングヘッド部532は、ピックアップ装置512からダイをピックアップして上昇し、ダイを平行移動してフレームフィーダ522上のボンディングポイントまで移動させる。そして、ボンディングヘッド部532はダイを下降させダイ接着剤が塗布された基板上にボンディングする。なお、ウェハにダイアタッチフィルムが貼り付けられている場合には、プリフォーム部531でワークにダイ接着剤を塗布しない。
ダイ認識カメラ591は、ウェハからダイをピックアップする前に、マッピングデータに基づく位置に相対的に移動(実際には、ウェハを保持するウェハリングが、XY方向に移動する)し、当該ピックアップ対象のダイを撮像し、制御部535に出力する。そして、制御部535は、パターン認識により、当該ダイの正確な位置を検出し、上記マッピングデータに基づく位置との差分だけ、突上げユニット(図示しない)とピックアップ装置512の位置を補正(実際には、ウェハを保持するウェハリングが、XY方向に移動する)し、ダイをピックアップさせる。
【0020】
ウェハ供給部51は、ウェハカセットリフタ511とピックアップ装置512とを有する。ウェハカセットリフタ511は、ウェハリングが充填されたウェハカセット(図示せず)を有し、順次ウェハリングをピックアップ装置512に供給する。
また、制御部535は、ダイボンダ510のダイのピックアップ及びダイマウントに係る動作を統括制御する。
なお、
図7には図示していないが、ダイボンダ510は、さらに、駆動機構、認識処理部、及びモニタを備え、制御部535と他の機器とはインタフェースを介して通信している。また、制御部535は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、メモリとして、RAM536及びROM(Read Only Memory)537を接続した構成を備える。
【0021】
次に、
図8に基づき、ダイボンダ510の制御ブロック図について説明する。CPU(制御部)535は、前記RAM536に記憶されたデータに基づき、前記ROM537に格納されたプログラムに従い、ダイのピックアップ及びダイマウントに係る動作について、インタフェース538及び駆動回路539を介して各駆動源530を統括制御する。また、CPU535は、前記RAM536に記憶されたデータに基づき、前記ROM537に格納されたプログラムに従い、ダイのピックアップ及びダイマウントに係る動作について、インタフェース538を介して、モニタ551及び552、並びに認識処理装置534、ダイ認識カメラ591及びその他認識カメラ59を統括制御する。
尚、ROM537の替わりにハードディスクを用い、このハードディスクからRAM536に読み出されたプログラムに従い、CPU535が各駆動源530を統括制御するようにしても良い。
【0022】
前記RAM536には、ウェハに存在する個々のダイについて、良品であるか不良品であるかの情報がマッピングデータとして登録され(書き込まれ)ている。さらに、前記RAM536には、当該ウェハのピックアップ開始点位置情報が登録されている。なお、複数のピックアップ開始点位置情報及び複数のマッピングデータが登録されている場合には、ユーザが操作部560を操作することにより、操作部560を介して所望のピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータを選択する。
CPU535は、ウェハからダイをピックアップする度に、マッピングデータに当該情報を読み出したダイに関して、ピックアップした情報を書き込み、次のダイの情報を読み出し、不良品の場合にはスキップして、次のダイの情報を読み出す。読み出した情報から、当該ダイが良品である場合には、位置情報及び位置ずれ情報から、ウェハリングを移動し、突上げユニット及びピックアップ装置512を当該ダイの位置に移動させ、ピックアップ動作を開始させる。
ユーザは、操作部560を操作して、操作部560は、インタフェース538を介して、ユーザの操作に基づいた操作信号をCPU535に出力する。CPU535は、入力された操作信号に基づいて、RAM536、ROM537、及び、インタフェース538を介して、ダイボンダ510内の各機器を操作する。
【0023】
図3は、本発明のジャム検出ユニットの一実施例の動作原理を、説明するための図である。
図3(a)は、ダイボンダの搬出部の一部を、上から見た図である。
図3(b)、
図3(a)のA−A断面を、側面から拡大して見た図である。31はピエゾフィルム、32は押し駒、33はスライド部である。また、ピエゾフィルム31、押し駒部32、スライド部33は、搬送用レール2上にある基板1をマガジン3に押し出すためのプッシャーを構成している。
【0024】
図3に示すように、スライド部33は、図示しない駆動機構によって、ピエゾフィルム31が基板1を押し出す高さに下降して、矢印15の方向(X(+)方向)に移動する。このスライド部33の移動によって、押し駒32及びピエゾフィルム31にX(+)方向に力が伝達される。この力によって、ピエゾフィルム31に接触している基板1は、搬送用レール2に沿って矢印14の方向(X(+)方向)に移動して、マガジン3に収納される。スライド部33、押し駒32、及びピエゾフィルム31は、基板1をマガジン3に収納すると、再び、次の実装された基板を押し出す位置に戻る。
【0025】
ピエゾフィルム31は、そのほぼ全面に導電性の膜を設けて2つの電極部を形成している。ピエゾフィルム31は、スライド部33が矢印15の方向に駆動されると、矢印14の反対方向に曲がりながら、基板1を矢印14の方向に押す。
この曲がりによって、ピエゾフィルム31は、基板1から加えられる荷重に応じた電圧が発生し、ピエゾフィルム31の2つの電極から、この発生した電圧(電位差)が、荷重判定部に出力される。荷重判定部は、後述する処理を行い、所定の荷重(検出レベル)以上であるか否かを判定し、所定の荷重以上の場合には、所定以上の荷重値を検出したことを示すジャム検出信号を半導体後工程組立装置の制御部535に出力する。なお、
図3では、これらの配線もまた図示していない。
制御部535は、ピエゾフィルム31からジャム検出信号を受信した場合には、ピエゾフィルム31にジャムが発生するほどの荷重が加えられたとして、スライド部33を駆動する図示しない駆動機構を停止する制御信号を生成して、当該駆動機構に出力する。この結果、当該駆動機構が停止して、スライド部33、押し駒32、及びピエゾフィルム31の矢印14及び矢印15の方向への移動を停止する。
【0026】
図4は、本発明のジャム検出ユニットのピエゾフィルム31から出力される電圧から、所定の荷重以上であるか否かを判定する荷重判定部の一実施例を示す図である。400は荷重判定部、41はピエゾフィルム、42は増幅器、43は検出レベル値出力部、44はコンパレータである。
図4において、ピエゾフィルム41は、基板1を押すことによって、その反作用による荷重を受け、荷重の大きさに応じた電圧を増幅器42に出力する。増幅器42は、入力された電圧値を所定の増幅率で増幅して、当該増幅信号をコンパレータ44の(+)入力端子に出力する。一方、検出レベル値出力部43には、ユーザによって定められた基準の検出レベル値が設定されており、検出レベル値出力部43は、当該設定された検出レベル値をコンパレータ44の(−)入力端子に出力する。
コンパレータ44は、(+)入力端子と(−)入力端子の信号レベル値を比較し、(+)入力端子から入力されたレベル値(ピエゾフィルム41の荷重)が、(−)入力端子から入力されたレベル値(検出レベル値)より大きければ、Highレベルの信号(ジャム検出信号)を制御部535に出力する。また、(+)入力端子から入力されたレベル値が(−)入力端子から入力されたレベル値より大きくなければ、Lowレベルの信号を制御部535に出力する。
制御部535は、入力されたHigh信号(ジャム検出信号)に基づいて、スライド部5を駆動する図示しない駆動機構を停止する制御信号を生成して、当該駆動機構に出力する。この結果、当該駆動機構が停止して、スライド部33、押し駒32、及びピエゾフィルム31の矢印14及び矢印15の方向への移動が停止する。
【0027】
実施例1によれば、引張バネによる荷重検出よりも小さな検出レベルで荷重を検出できるため、基板1を搬送するときのジャムの検出を、従来に比べて小さなレベル値の時に、且つ迅速に検出可能となる。また、引張バネ、バネポスト、アジャストダイアル等が不要となり、コストが低減可能となる。
また、停止時、例えば、図示しない発報装置が作動して、ユーザに停止を連絡する。この結果、ユーザは、半導体後工程組立装置が停止したことを認識し、速やかに停止の原因を取り除き、生産を再開することができる。
【実施例3】
【0029】
図3と
図6によって、本発明の第3の実施例について説明する。
図6は、本発明のジャム検出ユニットの荷重判定部の一実施例を示す図である。600は荷重判定部、66は切替部、67は信号生成部である。
図6において、切替部66は、制御部535から受信した切替信号に基づいて、ピエゾフィルム41と接続する端子aを、増幅器42と接続する端子bと接続する(切替信号B)か、または、信号生成部67と接続する端子cと接続する(切替信号C)かの切替えを行う。切替部66が端子aと端子bを接続している場合には、実施例1または実施例2と同じ動作を行うので、説明を省略する。
例えば、制御部535は、ピエゾフィルム31からジャム検出信号を受信した場合には、ピエゾフィルム31にジャムが発生するほどの荷重が加えられたとして、スライド部33を駆動する図示しない駆動機構を停止する制御信号を生成して、当該駆動機構に出力する。この結果、当該駆動機構が停止して、スライド部33、押し駒32、及びピエゾフィルム31の矢印14及び矢印15の方向への移動を停止する。さらに、制御部535は、切替部66に端子aと端子cを接続する切替信号Cを出力する。
切替部66は、制御部535から受信した切替信号Cに基づいて、ピエゾフィルム41と接続する端子aを端子cと接続する。
【0030】
信号生成部67は、所定の周波数の交流電圧信号を生成している。従って、信号生成部67は、切替部66が端子aを端子cと接続している場合には、生成した交流電圧信号をピエゾフィルム41に出力する。
ピエゾフィルム41は、入力された交流信号の電圧値と周波数に基づいて、X(+)及びX(−)方向に振動する(音波を発生する)。この振動は、接触している基板1に伝達される。
基板1は、伝達された振動を受けて振動し、ジャム発生の原因を解消する。
なお、このとき、交流電圧の周波数及び電圧レベルを所定の範囲で可変(スィープ)するようにしても良い。
また、信号生成部67は、制御部535から入力された制御信号に基づいて、信号を生成するようにしても良い。
【0031】
ピエゾフィルム41を振動させてから所定時間経過後、制御部535は、切替信号Bを切替部66に出力する。切替部66は、制御部535から受信した切替信号Bに基づいて、ピエゾフィルム41と接続する端子aを端子bと接続する。
この結果、ピエゾフィルム41には、交流電圧信号が印加されないので振動が停止する。そして、ピエゾフィルム41は、また、荷重の大きさに応じた電圧を増幅器42に出力し、実施例1または実施例2と同じ動作を行う。制御部535は、ジャム検出信号をまた受信した場合には、切替部66に切替信号Cを出力して、ピエゾフィルム41を振動させる。その後、切替信号Bを切替部66に出力して、かつ駆動機構を再度駆動してピエゾフィルム41の荷重が基準の検出レベル値以上かどうかを確認する。以上の動作を所定回数実行し、まだジャム検出信号を受信する場合には、アラームを出力してユーザに知らせる。また、制御部535は、ジャム検出信号を受信しなければ、そのままダイボンディング等、部品実装を継続して実行する。
【0032】
実施例3によれば、実施例1または実施例2の効果に加え、ジャム発生の原因を解消することができる。このため、搬送を停止する必要がなくなるので、生産が停止することなく、タクトタイムを短縮することができる。
また、ピエゾフィルムは、フィルム状で薄いので、軽くかつ柔らかである。このため、固有振動数を持ちにくいので、ジャムを解消するための振動数を任意に可変することができる。