(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941713
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20160616BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20160616BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R1/06 D
G01R31/28 K
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-57203(P2012-57203)
(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公開番号】特開2013-191736(P2013-191736A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩史
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/126279(WO,A1)
【文献】
特開2004−140241(JP,A)
【文献】
特開2008−134169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 1/06 − 1/073
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、
前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、
前記プローブカードの前記フレームとの当接面に形成され、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、
を有し、
前記プローブカードにおける前記複数のプローブは、前記ウエハに形成された複数の半導体デバイスに対応する複数のプローブ群に区分けされ、
前記スペーサは、前記複数のプローブ群相互の隙間に設けられていることを特徴とするウエハ検査用インターフェース。
【請求項2】
前記スペーサは、前記プローブカードにおける前記ウエハに対向する面の平滑度を確保するためのスペーサであることを特徴とする請求項1記載のウエハ検査用インターフェース。
【請求項3】
前記プローブカードにおける前記ウエハに対向する面は、該プローブカードにおける前記ウエハに対向する面に形成された複数のプローブの先端部によって形成される面であることを特徴とする請求項2記載のウエハ検査用インターフェース。
【請求項4】
前記複数のプローブ群は碁盤目状に配列されており、前記スペーサは前記碁盤目状に配列された前記複数のプローブ群相互間の格子状の隙間の角部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウエハ検査用インターフェース。
【請求項5】
前記スペーサは、平面視で十字状を呈していることを特徴とする請求項4記載のウエハ検査用インターフェース。
【請求項6】
前記スペーサは、前記プローブカードにおける基板と熱膨張率が同じ又は近似した低膨張率材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のウエハ検査用インターフェース。
【請求項7】
前記平滑度は、算術平均粗さRaが、Ra≦30μmであることを特徴とする請求項2記載のウエハ検査用インターフェース。
【請求項8】
基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、
前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、
前記プローブカードの前記フレームとの当接面に形成され、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、
を有し、
前記スペーサは、前記プローブカードにおける基板と熱膨張率が同じ又は近似した低膨張率材で形成されていることを特徴とするウエハ検査用インターフェース。
【請求項9】
ウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する検査室と、該検査室への前記ウエハの搬出入を行う搬送機構とを備えるウエハ検査装置において、
前記検査室はウエハ検査用インターフェースを有し、
該ウエハ検査用インターフェースは、
基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、
前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、
前記プローブカードの前記フレームとの当接面に設けられ、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、
を有し、
前記プローブカードにおける前記複数のプローブは、前記ウエハに形成された複数の半導体デバイスに対応する複数のプローブ群に区分けされ、
前記スペーサは、前記複数のプローブ群相互の隙間に設けられていることを特徴とするウエハ検査装置。
【請求項10】
ウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する検査室と、該検査室への前記ウエハの搬出入を行う搬送機構とを備えるウエハ検査装置において、
前記検査室はウエハ検査用インターフェースを有し、
該ウエハ検査用インターフェースは、
基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、
前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、
前記プローブカードの前記フレームとの当接面に設けられ、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、
を有し、
前記スペーサは、前記プローブカードにおける基板と熱膨張率が同じ又は近似した低膨張率材で形成されていることを特徴とするウエハ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードを備えるウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ検査装置として、例えば、ウエハに形成された複数の半導体デバイスについて電気的特性検査を行うプローブ装置やバーンイン検査装置が知られている。
【0003】
図9は、従来のプローブ装置の概略構成を示す断面図、
図10は、
図9のプローブ装置におけるポゴフレーム(ポゴリング)を示す断面図である。
【0004】
図9において、プローブ装置100は、ウエハWを搬送する搬送領域を形成するローダ室101と、ウエハWに形成された複数の半導体デバイスの電気的特性検査を行う検査室102とを備え、ローダ室101及び検査室102内の各種の機器を制御装置によって制御して半導体デバイスの電気的特性検査を行うように構成されている。検査室102は、ローダ室101から搬入されたウエハWを載置し、X、Y、Z及びθ方向に移動する載置台106と、載置台106の上方に配置されたポゴフレーム109と、ポゴフレーム109に支持されたプローブカード108と、載置台106と協働してプローブカード108に設けられた複数のプローブ(検査針)とウエハWに形成された複数の半導体デバイスの各電極とのアライメント(位置合わせ)を行うアライメント機構110とを備える。アライメント機構110と載置台106との協働によってウエハWとプローブカード108のアライメントが行われてプローブカード108の各プローブとウエハWの各電極とがそれぞれ当接し、ウエハWに形成された複数の半導体デバイスについて半導体デバイスごとに電気的特性検査が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図10において、ポゴフレーム109は、変換リング112に支持されており、変換リング112を介してプローブ装置100の上部プレートに装着されている。ポゴフレーム109は、中央に厚さ方向に貫通する開口部109Aを有し、開口部109Aの周りのリング部109Bには、多数のポゴピン109Cが厚さ方向に貫通するように配置されている。ポゴピン109Cはポゴフレーム109の下方に設けられたプローブカード108の外周縁部に設けられた接続端子108Aと当接し、プローブカード108の下面中央部に設けられたプローブ108Bと、図示省略された検査装置とを電気的に接続する。プローブ108Bは、その下方に配置されるウエハWに設けられた一の半導体デバイスの対応する電極と当接する。
【0006】
ところで、従来のプローブ装置においては、ウエハに形成された複数の半導体デバイスについて半導体デバイス毎にプローブカードに形成されたプローブとの当接及び電気的特性の検査が繰り返されていた。従って、ウエハと当接するプローブカードの当接面は狭く、該当接面における表面の平滑度が問題となることはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−140241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明が対象とするウエハ検査装置は、ウエハに形成された全ての半導体デバイスの全電極に、プローブカードに形成された全プローブをそれぞれ一括して当接させて全ての半導体デバイスについて一度に電気的特性検査を行う一括接触型装置である。このために、ウエハに形成された複数の半導体デバイスと当接するプローブカードの当接面が従来装置に比べて大幅に拡大し、プローブカードにおけるウエハ当接面の平滑度を維持することが困難となった。
【0009】
本発明の課題は、ウエハに形成された複数の半導体デバイスの複数の電極について複数のプローブをそれぞれ一括して当接させるプローブカードにおけるウエハ対向面の平滑度を所定範囲に保持することができるウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、
本発明のウエハ検査用インターフェースは、基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、前記プローブカードの前記フレームとの当接面に形成され、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、を有
し、前記プローブカードにおける前記複数のプローブは、前記ウエハに形成された複数の半導体デバイスに対応する複数のプローブ群に区分けされ、前記スペーサは、前記複数のプローブ群相互の隙間に設けられていることを特徴とす
る。
上記課題を解決するために、本発明のウエハ検査用インターフェースは、基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、前記プローブカードの前記フレームとの当接面に形成され、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、を有し、前記スペーサは、前記プローブカードにおける基板と熱膨張率が同じ又は近似した低膨張率材で形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために、
本発明のウエハ検査装置は、ウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する検査室と、該検査室への前記ウエハの搬出入を行う搬送機構とを備えるウエハ検査装置において、前記検査室はウエハ検査用インターフェースを有し、該ウエハ検査用インターフェースは、基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、前記プローブカードの前記フレームとの当接面に設けられ、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、を有
し、前記プローブカードにおける前記複数のプローブは、前記ウエハに形成された複数の半導体デバイスに対応する複数のプローブ群に区分けされ、前記スペーサは、前記複数のプローブ群相互の隙間に設けられていることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明のウエハ検査装置は、ウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する検査室と、該検査室への前記ウエハの搬出入を行う搬送機構とを備えるウエハ検査装置において、前記検査室はウエハ検査用インターフェースを有し、該ウエハ検査用インターフェースは、基板と、該基板のウエハに対向する面に該ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電極に対応して設けられた複数のプローブとを備えたプローブカードと、前記プローブカードの前記ウエハに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカードを支持するフレームと、前記プローブカードの前記フレームとの当接面に設けられ、該プローブカードの厚さを調整するスペーサと、を有し、前記スペーサは、前記プローブカードにおける基板と熱膨張率が同じ又は近似した低膨張率材で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プローブカードのフレームとの当接面に、プローブカードの厚さを調整するスペーサを設けたので、ウエハに形成された複数の半導体デバイスの複数の電極について複数のプローブをそれぞれ一括して当接させるプローブカードにおけるウエハ対向面の平滑度を所定範囲に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1におけるウエハ検査装置のII−II線に沿う断面図である。
【
図3】
図2における検査室が有するウエハ検査用インターフェースの構成を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図3におけるプローブカードを示す図であって、
図4(A)はポゴフレームとの当接面を示す平面図、
図4(B)はウエハとの当接面を示す平面図である。
【
図6】
図3のウエハ検査用インターフェースの部分拡大断面図である。
【
図7】
図6のウエハ検査用インターフェースを用いたウエハにおける各半導体デバイスの電気的特性検査の工程図である。
【
図8】
図6のウエハ検査用インターフェースを用いたウエハにおける各半導体デバイスの電気的特性検査の工程図である。
【
図9】従来のプローブ装置の概略構成を示す断面図である。
【
図10】
図9におけるポゴフレームを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の外観を示す斜視図である。
【0023】
このウエハ検査装置10は、ウエハに形成された全半導体デバイスの全電極に対してプローブカードの全プローブをそれぞれ一括して当接させて一度に電気的特性検査を行う一括接触型の検査装置であって、共用できる装置についてはできるだけ共用するという概念の下、開発されたものである。従って、装置の小型化を図るために、検査室以外の別の場所でウエハのアライメントが行われる。
【0024】
図1において、ウエハ検査装置10は、当該ウエハ検査装置10の背面においてウエハの搬出入を行う搬出入領域S10と、該搬出入領域S10に対向して正面に設けられた検査領域S40と、搬出入領域S10と検査領域S40との間に設けられた搬送領域S30とから主として構成されている。
【0025】
搬出入領域S10は、複数の載置機構に対向して複数の単位搬出入領域に仕切られており、検査領域S40も複数の検査室に対応して複数の単位検査領域に仕切られている。すなわち、搬出入領域S10及び検査領域S40は、それぞれマンション風に複数の部屋に仕切られており、その間の搬送領域S30をウエハ搬送機構(後述する
図2参照)が移動してウエハを搬送する。
【0026】
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
【0027】
図2において、搬出入領域S10には載置機構として、例えば複数のフープFの受け入れ機構が設けられている。また、搬出入領域S10の図中左端にはアライメント室12を有するアライメント領域S20が形成されており、右端には針跡検査装置17を有する針跡検査領域S50が設けられている。また、搬送領域S30にはウエハ搬送機構13が設けられており、検査領域S40には複数の検査室14が設けられている。
【0028】
ウエハ搬送機構13は、例えば、基台上に設けられた回転体と、回転体上でそれぞれ個別に一方向に往復移動する上下二枚のアームと、基台及びアームを昇降させる昇降機構と、これらを搬送領域S30に沿って往復移動させる移動機構とを備えており、上側のアーム13Aの先端にはウエハWを載置して搬送するピック13Bが設けられている(後述する
図3参照)。
【0029】
ウエハ検査装置10では、ウエハ搬送機構13がフープFから未検査のウエハWを受け取ってアライメント室12へ搬送し、該アライメント室12は、ウエハ搬送機構13のピック13Bに対するウエハWのアライメントを行い、ウエハ搬送機構13がアライメント後のウエハWを所定の検査室14へ搬入する。検査室14は、後述するウエハ検査用インターフェース18を有し、該ウエハ検査用インターフェース18は、ウエハWに形成された複数の半導体デバイスの電気的特性検査を行う。
【0030】
さらに、ウエハ搬送機構13は検査済みのウエハWを所定の検査室14から搬出入領域S10の一端に位置する針跡検査領域S50内に設けられた針跡検査装置17へ受け渡し、針跡検査装置17は検査済みのウエハWにおける各半導体デバイスの電極における針跡(プローブ25の接触痕)の検査を行い、その後、ウエハ搬送機構13が検査後のウエハWを搬出入領域S10のフープFへ搬入する。
【0031】
この場合、ウエハ搬送機構13は、例えば第1のフープFから搬出した第1のウエハWを第1の検査室14内に搬入するが、第1の検査室14内で第1のウエハWに形成された半導体デバイスの電気的特性検査が行われている間に、第2のフープFから搬出した第2のウエハWを第2の検査室14内に搬入することができる。また、ウエハ搬送機構13は、第1の検査室14内で第1のウエハWに形成された半導体デバイスの電気的特性検査が行われている間に、第3の検査室から検査後の第3のウエハWを搬出して第3のフープFに搬入することもできる。すなわち、ウエハ搬送機構13は、複数のフープF及び複数の検査室14間で順次ウエハWの搬出入を行い、複数の検査室14は、各検査室14において、順次複数のウエハWについて該ウエハWに形成された半導体デバイスの電気的特性検査を行う。
【0032】
図3は、
図2における検査室が有するウエハ検査用インターフェースの構成を概略的に示す断面図である。
【0033】
図3において、ウエハ検査用インターフェース18は、検査室14内の天井部に配された板状部材からなるヘッドプレート19と、該ヘッドプレート19の下面を構成するフレーム(以下、「ポゴフレーム」という。)40と、該ポゴフレーム40の下面に当接するように配置されたプローブカード20とを有する。プローブカード20は、基板20aと、該基板20aのウエハWと対向する面に形成された複数のプローブ25とから主として構成されている。プローブカード20のポゴフレーム40との当接面には、プローブカード20の厚さを調整するスペーサ(以下。「シム」という。)51が多数配置されている。ウエハ検査用インターフェース18は、またプローブカード20の外周を支持してポゴフレーム40に固定する固定リング21と、検査室14内の底部から立設されて
図3中上下方向に移動する棒状のリフター22と、該リフター22の頂部に設置された台状のチャックトップ23とを有する。チャックトップ23は断面凸状を呈し、中央部において図中上方へ突出する凸部23Aと、該凸部23Aを囲んで凸部23Aよりも一段低く形成された段差部23Bとを有し、凸部23Aの上部平面はウエハWの載置面23Cとなっている。
【0034】
図4は、
図3におけるプローブカード20を示す図であって、
図4(A)はポゴフレーム40との当接面を示す平面図、
図4(B)はウエハWとの当接面を示す平面図である。
【0035】
図4(A)、(B)において、プローブカード20は、例えばセラミック製であって、径が330mmφの円形板状体を呈し、その厚さは、例えば2.9mmである。中央部の当接領域52には、例えば、一辺が10mmの正方形のプローブ領域53が規則的に多数配列されており、各プローブ領域53には、ウエハWに形成された複数の半導体デバイスにおける各半導体デバイスの複数の電極にそれぞれ対応する一群のプローブ25が設けられている。一群のプローブ25によって一の半導体デバイスの複数の電極に対応する一のプローブ群が形成されている。
【0036】
図4(A)において、当接領域52内に規則的に多数配列されたプローブ領域53相互間には格子状の隙間が形成されており、該格子状の隙間の角部に、それぞれ平面視で十字状のシム51が配置されている。
【0037】
図5は、
図4におけるシム51の斜視図である。
【0038】
図5において、シム51は、平面視で十字状を呈している。シム51の長さaは、例えば15〜20mm、厚さbは、例えば150〜250μmである。シム51は、熱膨張率がプローブカード20の基板20aと同じ又は近似した材料、例えばインバーなどの低熱膨張材料で形成されている。これによって、熱膨張又は熱収縮した場合であっても基板20aとシム51との間に歪みが生じることはない。熱膨張率が近似しているとは、例えば、ウエハWに形成された半導体デバイスの電気的特性検査を行う検査温度の変更に伴って雰囲気温度が変化しても、2つの部材の当接面において歪みが生じない程度に2つの部材の熱膨張率の差が小さいことをいう。
【0039】
ここで、プローブカード20における基板20aの表面平滑度は、例えば、算術平均粗さRaが、Ra=50〜100μm程度である。従って、基板20aを表面平滑度が高いポゴフレーム40に当接させると、ポゴフレーム40との当接面は平らになるが、当接面と逆側の面は平らにならない。また、基板20aのウエハWとの対向面に、複数のプローブ25を植え付けてプローブカード20を形成した際における基板20aのポゴフレーム40との当接面からプローブ25の先端部までの長さであるプローブカード20の厚さは、プローブ25の長さのばらつきと、基板20aの厚さのばらつきとの相乗作用によって大きくばらつくことになる。
【0040】
ところが、本発明が対象とするブレード装置においては、プローブカード20におけるウエハWに対向する面の平滑度として、例えば、算術平均粗さRa≦30μmが要求される。
【0041】
そこで、本発明者は、プローブカード20におけるウエハWと対向する面の平滑度に対する要求を達成すべく、プローブカード20における規則的に多数配列されたプローブ領域53相互間の格子状の隙間の各角部に、
図5の十字状のシム51をそれぞれ配置し、これによってプローブカード20の厚さを均等させ、もって、ウエハ対向面に要求される平滑度を確保した。
【0042】
なお、プローブカード20におけるウエハWに対向する面とは、プローブカード20におけるウエハWに対向する面に形成された複数のプローブ25の先端部によって形成される面をいう。
【0043】
プローブカード20へのシム51の貼り付けは、以下のように行われる。
【0044】
ます、プローブカード20における規則的に多数配列されたプローブ領域53相互間の格子状の隙間の角部(以下、「シム貼着位置」という。)の全てにおいてプローブカード20の厚さを測定する。次いで、例えば、厚さが10μmずつ変化する複数のシム51を用意し、各シム貼着位置にどの厚さのシム51を貼着することによってプローブカード20の厚さが均等になるかを求め、求めた所定厚さのシム51をそれぞれ対応するシム貼着位置に貼着する。これによって、プローブカード20の厚さが均等になり、該プローブカード20におけるウエハWに対向する面の算術平均粗さRa≦30μmを達成することができる。シム51のプローブカード20への貼着は、例えば、熱硬化性接着剤によって行われる。
【0045】
図6は、
図3のウエハ検査用インターフェースの部分拡大断面図である。
【0046】
図6において、プローブカード20のポゴフレーム40との当接面に所定厚さのシム51が多数貼着されている。すなわち、ウエハ検査用インターフェース18は、基板20aと、該基板20aのウエハWに対向する面に設けられた複数のプローブ25を備えたプローブカード20と、ウエハWを挟んでプローブカード20に対向して配置された台状のチャックトップ23と、プローブカード20のウエハWに対向する面とは逆側の面に当接して該プローブカード20を支持するポゴフレーム40とから主として構成されている。
【0047】
プローブカード20のポゴフレーム40との当接面のシム貼着位置には、それぞれシム51が貼着されている。これによって、プローブカード20における厚さのばらつきが是正され、プローブカード20におけるウエハWに対向する面の平滑度が所定範囲に保持される。
【0048】
また、プローブカード20における当接領域52を囲むように形成された固定リング21は、プローブカード20をポゴフレーム40に固定する。なお、プローブカード20とウエハWとの間には内側空間28が形成され、チャックトップ23と固定リング21との間には、内側空間28を包含する外側空間27が形成されている。内側空間28及び外側空間27は、それぞれシール部材26及び24によってシールされている(
図3参照)。
【0049】
以下に、このような構成のウエハ検査用インターフェースを備えたウエハ検査装置によるウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性検査について説明する。
【0050】
図7及び
図8は、
図6のウエハ検査用インターフェースを備えたウエハ検査装置によるウエハに形成された半導体デバイスの電気的特性検査の工程図である。
【0051】
まず、ウエハ搬送機構13がアライメント後のウエハWを検査室14内へ搬入し、ピック13Bに対してアライメントが行われたウエハWをプローブカード20と対向させる。このとき、ウエハ搬送機構13はアーム13Aを微小に移動させて、ピック13Bとプローブカード20とのアライメントを行う(
図7(A))。これにより、ウエハWとプローブカード20とのアライメントが行われる。
【0052】
次いで、ウエハ搬送機構13がピック13Bをプローブカード20へ向けて移動させてウエハWをプローブカード20へ当接させる。このとき、既にウエハWとプローブカード20とのアライメントが行われているので、プローブカード20の各プローブ25がウエハWに形成された各半導体デバイスの各電極とそれぞれ正確に当接する(
図7(B))。このとき、プローブカード20のポゴフレーム40との当接面に複数のシム51が配置され、プローブカード20の厚さが均等に調整されているので、プローブカード20におけるウエハWと対向する面の平滑度が所定範囲、例えば算術平均粗さRaが、Ra≦30μmに保持される。従って、プローブカード20のプローブ25とウエハWに形成された半導体デバイスの各電極とが正確に接触する。
【0053】
次いで、プローブカード20とウエハWとの間に形成された内側空間28を減圧してウエハWをプローブカード20へ引き寄せて仮止めし、その後、ピック13BはウエハWから離れてウエハ搬送機構13によって検査室14から退出する(
図7(C))。
【0054】
次いで、チャックトップ23を支持するリフター22がチャックトップ23を上方へ移動させてチャックトップ23を固定リング21へ当接させる。このとき、チャックトップ23の凸部23Aは段差部23Bから上方へ突出しているので、該凸部23Aの上部平面であるウエハ載置面23Cはプローブカード20へ仮止めされたウエハWへ当接し、結果としてウエハWがウエハ載置面23C上に位置することになる(
図8(A))。
【0055】
次いで、チャックトップ23が固定リング21へ当接されて、チャックトップ23と固定リング21との間に形成された外側空間27を減圧してチャックトップ23を固定リング21へ引き寄せ、チャックトップ23が固定リング21によって間接的に固定される。
このとき、固定リング21へ引き寄せられたチャックトップ23はウエハ載置面23C上に位置するウエハWをプローブカード20へ押しつけるが、チャックトップ23はウエハWよりも高い剛性を有するので、ウエハWをプローブカード20へ均一に押しつけることができる。その後、リフター22は図中下方へ移動してチャックトップ23から離れる(
図8(B))。
【0056】
次いで、プローブカード20の各プローブ25から所定値の電流が各半導体デバイスの各電極へ流されて各半導体デバイスの電気的特性検査が一括して行われ、その後、本検査を終了する。
【0057】
本実施の形態によれば、プローブカード20のポゴフレーム40との当接面に、プローブカード20の厚さを調整するシム51を設けたので、ウエハWに形成された複数の半導体デバイスの複数の電極について複数のプローブをそれぞれ一括して当接させるプローブカードの厚さが均等になり、ウエハ対向面の平滑度を確保することができる。また、これによって、プローブカード20に形成された各プローブ25をウエハWに形成された複数の半導体デバイスの各電極に正確に当接させることができ、もって、ウエハに形成された半導体デバイスについて適正な電気的特性検査を行うことができる。
【0058】
本実施の形態によれば、シム51の形状を平面視で十字状としたので、シム貼着位置であるプローブカード20に形成された複数のプローブ群相互間の格子状の隙間の角部の形状に適合し易いと共に、該シム51は、例えば作業者の手や治具によってつまみ易くなっているため、シム51をプローブカード20の基板20aに貼り付ける際のハンドリングが容易となって作業性が向上する。また、プローブカードのシム貼着位置となるあらゆる箇所においてシム51を貼着し易くなるので、厚さ調整が容易となってウエハWに対向する面の平滑度を保持し易くなる。さらにまた、シム51は、例えば断面円形のシムに比べて所定の平面積を有するので、局所的な応力の集中を防止して、プローブカード20の局所的な変形を抑制することができる。これによって、基板20aに形成されるプローブ25の局所的な傾きを防止することもできる。
【0059】
本実施の形態において、プローブカード20の当接領域52の周辺部近傍のシムとして、平面視でL字状のシムを用いることが好ましい。これによって、当接領域52の全面に亘って均等にシムを貼着することができ、プローブカード20におけるウエハWに対向する面の平滑度を確保し易くなる。なお、本実施の形態において、平面視で十字状のシム51に代えて円柱又は角柱のシムを適用することもできる。
【0060】
本実施の形態おいては、プローブカード20の各プローブ25をそれぞれ対応するウエハWの全半導体デバイスにおける全電極に対して一括して当接させて一度に電気的特性検査を行うことができるので、半導体デバイスの生産性が向上する。
【0061】
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
W ウエハ
14 検査室
18 ウエハ検査用インターフェース
20 プローブカード
20a 基板
23 チャックトップ
25 プローブ
40 ポゴフレーム
51 シム(スペーサ)