特許第5941715号(P5941715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5941715ダイピックアップ装置及びダイピックアップ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941715
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ダイピックアップ装置及びダイピックアップ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20160616BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20160616BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H01L21/68 F
   H01L21/68 E
   H01L21/52 F
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-61416(P2012-61416)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-197225(P2013-197225A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】灘本 啓祐
【審査官】 西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−067988(JP,A)
【文献】 特開2007−227953(JP,A)
【文献】 特開2008−066452(JP,A)
【文献】 特開平03−012937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/52
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハの位置合わせマークを撮像するダイ認識カメラと、前記ダイ認識カメラが撮像した画像を画像処理して、前記位置合わせマークを認識し、認識した前記位置合わせマークの位置に基づいてウェハの交換直後にウェハテーブルにセットされた前記ウェハの位置を補正し、前記補正した位置に基づいて前記ダイのピックアップを開始する位置を求める認識処理装置とを備え、前記ウェハテーブル上の前記交換直後のウェハのダイをピックアップするピックアップ装置において、
前記認識処理装置は、さらに前記交換直後のウェハ上のウェハIDマークを認識し、認識した前記ウェハIDマークの位置とマッピングデータとの位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量が所定値未満であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点からダイのピックアップを開始し、前記算出した位置ずれ量が所定値以上であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点の位置を前記位置ずれ量をもとに補正し、前記補正したピックアップ開始点からダイのピックアップを開始することを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項2】
ウェハの位置合わせマークを撮像し、撮像した前記画像を画像処理して、前記位置合わせマークを認識し、認識した前記位置合わせマークの位置に基づいてウェハの交換直後にウェハテーブルにセットされた前記ウェハの位置を補正し、前記補正した位置に基づいて前記ダイのピックアップを開始する位置を求め、前記ウェハテーブル上の前記交換直後のウェハのダイをピックアップするピックアップ方法において、
前記交換直後のウェハ上のウェハIDマークを認識し、認識した前記ウェハIDマークの位置とマッピングデータとの位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量が所定値未満であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点からダイのピックアップを開始し、前記算出した位置ずれ量が所定値以上であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点の位置を前記位置ずれ量をもとに補正し、前記補正したピックアップ開始点からダイのピックアップを開始することを特徴とするダイピックアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイピックアップ装置に関わり、特にダイをピックアップする場合の位置決めに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダやテーピング装置等の半導体製造装置において使用するダイピックアップ装置では、ウェハシートの裏面から突き上げピン等によりダイを突き上げてウェハシートからダイを剥離し易くして、真空吸着ノズルによりピックアップする。
ピックアップするときには、対象のダイの位置に突き上げピン及び真空吸着ノズルを移動するために、ウェハテーブル上のダイの位置を正確に認識する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−79257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイボンダやテーピング装置等の半導体製造装置において使用するダイピックアップ装置では、ウェハ交換直後には、ダイ認識カメラでウェハを撮像し、画像処理により位置合わせマークを認識する。そして、認識された位置合わせマークの位置に基づいてウェハ交換直後にウェハテーブルにセットされたウェハの位置を補正し、補正した位置に基づいてダイのピックアップを開始する位置を求める。
しかし、交換後のウェハがウェハテーブル上にセットされた場合には、ダイをウェハシートから剥離し易いように、ウェハシートは、外周側に伸長される。このため、ダイとダイの間隔がウェハをセットする度に異なっている。
ウェハの交換直後には、交換後のウェハのマップデータと照合して、ダイのピックアップの開始位置を認識し、認識したウェハシート上の位置からダイボンディングを開始する。もし、ウェハテーブル上のダイの正しい位置が認識できていない場合には、不良のダイをダイボンディングしてしまう恐れがある。即ち、不良品を生産する恐れがある。
本発明の目的は、交換直後のウェハの正確にダイ位置を認識可能なダイピックアップ装置及びダイピックアップ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のダイピックアップ装置は、ウェハの位置合わせマークを撮像するダイ認識カメラと、前記ダイ認識カメラが撮像した画像を画像処理して、前記位置合わせマークを認識し、認識した前記位置合わせマークの位置に基づいてウェハの交換直後にウェハテーブルにセットされた前記ウェハの位置を補正し、前記補正した位置に基づいて前記ダイのピックアップを開始する位置を求める認識処理装置とを備え、前記ウェハテーブル上の前記交換直後のウェハのダイをピックアップするピックアップ装置において、前記認識処理装置は、さらに前記交換直後のウェハ上のウェハIDマークを認識し、認識した前記ウェハIDマークの位置とマッピングデータとの位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量が所定値未満であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点からダイのピックアップを開始することを第1の特徴とする。
【0006】
上記本発明の第1の特徴のダイピックアップ装置において、前記認識処理装置は、さらに、前記算出した位置ずれ量が所定値以上であれば、ダイのピックアップを停止することを本発明の第2の特徴とする。
【0007】
上記本発明の第1の特徴のダイピックアップ装置において、前記認識処理装置は、前記算出した位置ずれ量が所定値以上であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点の位置を前記位置ずれ量をもとに補正し、前記補正したピックアップ開始点からダイのピックアップを開始することを本発明の第3の特徴とする。
【0008】
また、上記の目的を達成するため、本発明のダイピックアップ方法は、ウェハの位置合わせマークを撮像し、撮像した前記画像を画像処理して、前記位置合わせマークを認識し、認識した前記位置合わせマークの位置に基づいてウェハの交換直後にウェハテーブルにセットされた前記ウェハの位置を補正し、前記補正した位置に基づいて前記ダイのピックアップを開始する位置を求め、前記ウェハテーブル上の前記交換直後のウェハのダイをピックアップするピックアップ方法において、前記交換直後のウェハ上のウェハIDマークを認識し、認識した前記ウェハIDマークの位置とマッピングデータとの位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量が所定値未満であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点からダイのピックアップを開始することを本発明の第4の特徴とする。
【0009】
上記本発明の第4の特徴のダイピックアップ方法において、さらに、前記算出した位置ずれ量が所定値以上であれば、ダイのピックアップを停止することを本発明の第5の特徴とする。
【0010】
上記本発明の第4の特徴のダイピックアップ方法において、前記算出した位置ずれ量が所定値以上であれば、前記マッピングデータから前記交換直後のウェハのピックアップ開始点の位置を前記位置ずれ量をもとに補正し、前記補正したピックアップ開始点からダイのピックアップを開始することを本発明の第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、交換直後の位置合わせを正確に行うことができるため、ウェハの正確にダイ位置を認識できる。さらに、位置合わせ不良を検出できるため、不良品を生産することが抑制できるため、歩留まりが向上し、かつ生産コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のダイピックアップ装置の一実施例としてのテーピング装置の平面図である。
図2】本発明のダイピックアップ装置の一実施例としてのテーピング装置の側面図である。
図3】本発明のダイピックアップ装置の一実施例としてのテーピング装置の制御ブロック図である。
図4】本発明のダイピックアップ装置の一実施例としてのテーピング装置の制御動作を説明するためのフローチャートである。
図5】ウェハテーブル上にセットされたウェハの一例を示す図である。
図6】本発明のダイピックアップ装置の一実施例としてのテーピング装置の制御動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態について、図面等を用いて説明する。
なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
また、各図の説明において、同一の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、重複を避け、できるだけ説明を省略する。
【0014】
以下、本発明のダイピックアップ装置としてテーピング装置に適用する実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明のダイピックアップ装置を、ダイボンダ等の半導体製造装置に適用することが可能であることはもちろんのことである。
先ず、図1及び図2のテーピング装置の平面図及び左側面図に基づき、テーピング装置について説明する。1はテーピング装置本体、2はテープ供給リール、3はテープ、3Aはテープ供給リール2に巻装されたテープ本体、3Bはテープ本体3Aの収納溝、3Cはカバーテープ、4は搬送レール、5は巻き取りリール、6はカバーテープ供給リール、7は部品検査機構、7Aは部品検査機構7のマーク認識カメラ、7Bは部品検査機構7の検査部、8はテープ圧着機構、9は認識カメラ、10は部品装填装置、11はYテーブル、11AはY軸駆動モータ、12はXテーブル、12AはX軸駆動モータ、13は枠体、14は枠体13の水平板、15はインデックスユニット、16は認識カメラ、17はダイ認識カメラ、18は上下軸駆動モータ、19はθ軸駆動モータ、20は回転盤、21は装着ヘッド、22は吸着装填ノズル、24はYテーブル、24AはY軸駆動モータ、25はXテーブル、25AはX軸駆動モータ、26は支持テーブル、27はウェハテーブル、28はシート、29は突き上げピン、30はθ軸駆動モータ、31と32は歯車、33はベアリング、34は認識処理装置、35はCPU、Dはダイである。
【0015】
図1及び図2において、テープ供給リール2は、テーピング装置本体1に立設されたピンに回転可能に係止される。当該テープ供給リール2に巻装されたテープ本体(キャリアテープ)3Aの先端は、当該テープ本体3Aに図示しないプーリにより適度なテンションを与えられ、搬送レール4を介して巻き取りリール5に固定されている。
【0016】
そして、テープ本体3Aは、図示しない回転駆動系による当該巻き取りリール5の回転に合わせて、順次所定量搬送されて(巻き取りリール5に巻き取られて)いく。テープ本体3Aが順次搬送されていく間に、テープ本体3Aの収納溝3B内には、ダイDが挿入され、さらに所定位置まで搬送されて収納溝3B上面の開口部をカバーテープ供給リール6から供給されるカバーテープ3Cで被覆した後、前記巻き取りリール5に巻き取られていく。
尚、上述したようにテープ本体3Aと、これに設けられた収納溝3Bと、その上面に圧着されるカバーテープ(トップテープ)3Cとで、テープ3が形成されるが、前記テープ本体3Aは、ボトムテープと間隔子とで形成される。
【0017】
そして、部品装填装置10によるテープ本体3Aの収納溝3B内へダイDが挿入された後、部品検査機構7によりこのダイDが検査され、そしてテープ圧着機構8によりテープ本体3Aとカバーテープ3Cとが圧着され、前記巻き取りリール5に巻き取られることとなる。
【0018】
次に、前記部品装填装置10について、説明する。
先ず、Y軸駆動モータ11AによりY方向に移動可能なYテーブル11の上には、X軸駆動モータ12AによりX方向に移動可能なXテーブル12が設けられ、該Xテーブル12の上に枠体13が固定されている。そして、前記枠体13の水平板14の中央部には、インデックスユニット15が設けられ、また前後部には、対向して認識カメラ16及びダイ認識カメラ17が設けられている。
【0019】
また、前記水平板14の下面には、図示しない駆動モータにより、前記インデックスユニット15を介して間欠回転(90度間隔で)する回転盤20が設けられ、該回転盤20には複数個、例えば90度間隔で4個配設された各装着ヘッド21に吸着装填ノズル22が配設されている。
尚、前記吸着装填ノズル22は、上下軸駆動モータ18により、装着ヘッド21が上下動可能に構成されると共に、θ軸駆動モータ19により垂直線回りに回転可能である。
【0020】
また、前記Xテーブル12の上には、後述するウェハテーブル(ウェハテーブル)27の移動手段としての、Y軸駆動モータ24AによりY方向に移動可能なYテーブル24が設けられ、さらに、該Yテーブル24の上には、同じくウェハテーブル27の移動手段としての、X軸駆動モータ25AによりX方向に移動可能なXテーブル25が設けられている。
そして、該Xテーブル25上には、支持テーブル26を介して、鉛直方向を軸として所定回転範囲でθ回転可能なウェハテーブル27が設けられている。また、該供給テーブル27上には、シート28に貼付されたウェハが、ダイシングされて個々のダイDに分割された状態で固定されている。このダイDは、突き上げピン29により裏面よりから突き上げられながら、取出されるものである。
【0021】
なお、θ軸駆動モータ30の駆動軸の周囲に形成された歯車31は、前記ウェハテーブル27の下部周囲に形成された歯車32に、噛み合うように設けられている。両歯車31、32は、このθ軸駆動モータ30の駆動による前記駆動軸の回転により回転して、ベアリング33を介して、前記ウェハテーブル27を例えば90度、180度、270度回転させる。
【0022】
図1におけるダイ認識カメラ17の下方は、ダイピックアップステーションである。この図1の状態、即ち回転盤20の回転中に、ウェハテーブル27上の取出すべきダイD及びその次に取出すべきダイDをダイ認識カメラ17で撮像する。そして、認識処理装置34(図3参照)で当該ダイDの位置を認識し、移動してくる吸着装填ノズル22の直下方位置に位置するよう前記Yテーブル24及びXテーブル25を移動させ、このダイピックアップステーションでウェハテーブル27上のダイDを下降した前記吸着装填ノズル22が吸着して取出す構成である。
【0023】
次に、インデックスユニット15を介する回転盤20の90度回転に合わせて次の認識ステーションに搬送され、さらにその次の部品挿入ステーションに搬送される。
この認識ステーションに配置された認識カメラ9は、前記吸着装填ノズル22に吸着保持されているダイDを撮像する。認識処理装置34は、周知の画像処理技術により、撮像された画像から、吸着姿勢、外観の形状、バンプの大きさや位置等を認識する。この場合、外観の形状(欠け等)、バンプの大きさや位置が異常であれば廃棄される。
【0024】
吸着装填ノズル22に吸着保持されているダイDは、次に、インデックスユニット15を介する回転盤20の90度回転に合わせて次の部品挿入ステーションに搬送される。この搬送中において、認識カメラ16が、搬送レール4上のテープ本体3Aの3個の収納溝3Bを撮像する。即ち、最左の収納溝3B内にダイDが挿入されたか否かの有無確認のためと、ひとつおいて最右の収納溝3B内には挿入されていない(空である)ことの確認、及び当該最右の収納溝3Bの位置認識のために3個の収納溝3Bを同時に撮像する。
【0025】
従って、認識カメラ16が撮像した画像を基に、認識処理装置34は、当該最右の収納溝3Bの位置を認識処理する。制御装置であるCPU35は、その結果に基づいて、前記Yテーブル11のY軸駆動モータ11A、Xテーブル12のX軸駆動モータ12A、及び前記θ軸駆動モータ19を補正制御する。そして、真中の収納溝3B内の適正位置に下降する吸着装填ノズル22によりダイDが挿入される。
即ち、この部品挿入ステーションでは、吸着装填ノズル22に吸着されたダイDを収納溝3B内に、回転盤20のXY方向の補正移動及び吸着装填ノズル22のθ方向の補正移動により、適正な位置に挿入装填することができる。なお、この間、搬送レール4上のテープ本体3Aの収納溝3Bは、下方で待機している。
【0026】
そして、この挿入装填後に、巻き取りリール5の回転に合わせて順次テープ本体3Aが所定量搬送されて(巻き取りリール5に巻き取られて)いく。その間に、部品検査機構7が前記テープ本体3Aの収納溝3B内に挿入された状態のチップ部品に対して部品検査(例えば、電気特性検査等)を行う。そして、テープ圧着機構8は、ダイDの検査が終了したテープ本体3Aとカバーテープ3Cとを圧着させて、テーピングが完了する。
【0027】
前記部品検査機構7は、マーク認識カメラ7Aと検査部7Bとで構成されている。マーク認識カメラ7Aは、収納溝3B内に挿入された状態のダイDを、照明装置で照明した状態で撮像する。認識処理装置34は、撮像された画像を基に、当該収納溝3B内のダイDに付された機種番号等のマークを認識する。検査部7Bは、下面にプローブ針を備え、平面方向に移動可能であると共に上下動機構(図示せず)により上下動可能で、下降することにより前記収納溝3B内に挿入されたダイDにプローブ針を接触させて、例えば電気特性などを検査する。
【0028】
尚、認識処理装置34は、最左の収納溝3B内にダイDが挿入されたか否かの有無確認のため、認識カメラ16の撮像に基づいて、認識処理を実行する。その結果、CPU35は、挿入されていないと判断された場合には、当該テーピング装置を停止するように制御する。また、CPU35は、最右の収納溝3B内に既にダイDが挿入されていると判断された場合にも、当該テーピング装置を停止するように制御する。
【0029】
次に、図3に基づき、テーピング装置の制御ブロック図について説明する。36は記憶装置としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)、37はROM(リ−ド・オンリー・メモリ)、38はインターフェース、39は駆動回路、40は操作部、41は数字をキーインするための操作部40のテンキー、42は操作部40のカーソルキー、43はモードの設定等をするための操作部40のSETキー、44はテーピング装置を教示モードにするための操作部40の教示キー、45はテーピング装置を自動運転モードにするための操作部40の自動キー、46はテーピング装置を手動運転モードにするための操作部40の手動キー、47は操作部40の始動キー、48は操作部40の作動キー、49は操作部40の停止キーである。
【0030】
図3において、CPU35は、テーピング装置のチップ部品の取出し(ダイピックアップ装置の動作を含む)及び装填に係る動作を統括制御する制御装置である。そして、CPU35は、前記RAM36に記憶されたデータに基づき、前記ROM37に格納されたプログラムに従い、前記テーピング装置のチップ部品の取出し及び装填に係る動作についてインターフェース38及び駆動回路39を介して各駆動源を統括制御する。尚、ROM37の代わりにハードディスクを用い、このハードディスクからRAM36に読み込まれたプログラムに従い、CPU35が各駆動源を統括制御するようにしても良い。
【0031】
認識処理装置34は、前記各認識カメラ16、17により撮像された画像を取り込むが、50はその取り込まれた画像を表示するCRTで、51は教示の際の編集画面を表示するCRTで、52はマウス、53は装置に異常があった場合に音や光等によって警報を出力するアラーム出力部である。
【0032】
ここで、ウェハテーブル27上のウェハを作業者が交換後の動作について説明する。
先ず、ウェハの交換後に教示キー44を押圧する。RAM36には、設定した開始位置、即ちウェハテーブル27のウェハの中心位置が格納されている。従って、この押圧により、CPU35は、Y軸駆動モータ24A及びX軸駆動モータ25Aを制御して、Yテーブル24及びXテーブル25を移動させてダイ認識カメラ17の下方にウェハテーブル27のウェハの中心を位置させる。そして、CPU35は、ダイ認識カメラ17によって、ウェハの中心を撮像させる。認識処理装置34は、この撮像した画像を取り込む。そして、CPU35は、この画像をCRT50に表示させ、認識処理装置34に認識処理をさせる。
【0033】
前記RAM36には、ウェハに存在する個々のダイDについて、良品であるか不良品であるかの情報がマッピングデータとして登録され(書き込まれ)ている。さらに、前記RAM36には、当該ウェハのピックアップ開始点位置情報が登録されている。なお、複数のピックアップ開始点位置情報及び複数のマッピングデータが登録されている場合には、オペレータが操作部40を操作することにより、操作部40を介して所望のピックアップ開始点位置情報及びマッピングデータを選択する。
CPU35は、ウェハからダイDをピックアップする度に、マッピングデータに当該情報を読み出したダイに関して、ピックアップした情報を書き込む。書き込み後、次のダイの情報を読み出し、不良品の場合にはスキップして、次のダイの情報を読み出す。読み出した情報から、当該ダイが良品である場合には、位置情報及び位置ずれ情報からウェハテーブル27、突き上げピン29、及び装着ヘッド21を当該ダイのピックアップ位置に移動し、ピックアップ動作を開始する。
オペレータは、操作部40を操作して、インターフェース38を介して、オペレータの操作に基づいた操作信号をCPU35に出力する。CPU35は、入力された操作信号に基づいて、RAM36、ROM37、及び、インターフェース38を介して、テーピング装置(ダイピックアップ装置)内の各機器を操作する。
【0034】
本発明のダイピックアップ装置及びダイピックアップ方法は、交換後のウェハについて、ダイDを順番にピックアップする場合において、当該ウェハのダイピックアップ開始点の位置を正確に求めるものである。以下、図4図5によって、本発明のダイピックアップ装置及びダイピックアップ方法の一実施例について説明する。図4は、本発明のダイピックアップ方法の一実施例の動作手順を説明するためのフローチャートである。また、図5は、ウェハテーブル27上にセットされたウェハを示す図である。55はウェハ、56−1は第1のアライメント点、56−2は第2のアライメント点、56−3は第3のアライメント点、57−1、57−2、57−3はダイD、59はウェハIDマークである。
ウェハIDマークとは、ウェハの表面に、当該製品ID、ロット番号、ウェハ番号等を、レーザなどで刻み込んで作られた、各ウェハを識別するために、ウェハ毎に作成されるマークである。このウェハIDマークは、例えば、Semiconductor Equipment and Materials International標準に準拠した2次元コード(データマトリクスコード)である。
【0035】
図4のフローチャートは、CPU35が、各機器を制御して実行する。オペレータがウェハテーブルのウェハを交換後、ダイピックアップ装置は、以下のステップを実行する。
ステップS41では、RAM36から交換後のウェハ55のマッピングデータを読み出す。
ステップS42では、ウェハテーブルをウェハ中心位置に移動する。
なお、ステップS41とS42を同時に実行しても良いし、ステップS42を先に実行しても良い。
【0036】
ステップS43では、ダイ認識カメラ17がウェハ55を撮像する。認識処理装置34は、撮像された画像を画像処理し、ウェハ55の第1のアライメント点56−1、第2のアライメント点56−2、第3のアライメント点56−3の少なくとも2点の位置を認識し、複数のアライメント点の位置によって認識した位置とRAM36から読み出したマッピングデータに基づいて、交換後のウェハ55の位置座標(原点位置△X、△Y、及び回転方向の傾きθ)を補正する。
ステップS44では、ステップS43で認識して補正された位置座標に基づいて、RAM36から読み出したマッピングデータに基づいて、ウェハIDマークの位置を算出する。そして、ウェハIDマークの位置を画像処理によって認識し、認識したウェハIDマークの位置と、算出したウェハIDマークの位置のずれ量を算出する。
なお、ウェハIDマークの位置の認識をステップS43で、アライメント点の位置認識と同時に実行しても良い。
【0037】
ステップS45では、ずれ量が所定値以上であればステップS50に分岐し、所定値未満であれば、当該ウェハのピックアップ開始点から順にピックアップを開始する。
ステップS50では、位置合わせ不良として、ピックアップ装置の動作を停止して警報をアラーム出力部53から出力し、オペレータからの指示を待つ。
オペレータは、例えば、手動で交換後のウェハの位置合わせをして、ダイピックアップ装置の動作を開始する。
【0038】
上記実施例によれば、位置合わせマークによるウェハの位置合わせに加え、さらにウェハIDマークの位置を認識することにより、位置合わせの確認を行うため、交換後のウェハの位置合わせを正確に行うことができる。さらに、位置合わせ不良を検出できるため、不良品を生産することが抑制できるため、歩留まりが向上し、かつ生産コストを低減することができる。
【0039】
図6は、本発明のダイピックアップ装置の他の実施例として、テーピング装置の制御動作を説明するためのフローチャートである。
図6のフローチャートの動作は、図4の実施例のステップ50の処理の代わりにステップS60の処理を用いるものである。
即ち、ステップS60では、ステップS44で算出したウェハIDマークの位置のずれ量をもとに、当該ウェハのピックアップ開始点を補正し、補正したピックアップ開始点から順にピックアップを開始する。
【0040】
上記実施例によれば、位置合わせマークによるウェハの位置合わせに加え、さらにウェハIDマークの位置を認識することにより、位置合わせの確認を行うため、交換後のウェハの位置合わせを正確に行うことができる。さらに、位置合わせ不良を検出できるため、不良品を生産することが抑制できるため、歩留まりが向上し、かつ生産コストを低減することができる。またさらに、位置合わせが大きくずれた場合には、位置ずれを補正してダイのピックアップを開始できるため、生産を停止することが少なくなり、装置の稼働率が向上する。
【符号の説明】
【0041】
1:テーピング装置本体、 2:テープ供給リール、 3:テープ、 3A:テープ本体、 3B:収納溝、 3C:カバーテープ、 4:搬送レール、 5:巻き取りリール、 6:カバーテープ供給リール、 7:部品検査機構、 7A:マーク認識カメラ、 7B:検査部、 8:テープ圧着機構、 9:認識カメラ、 10:部品装填装置、 11:Yテーブル、11A:Y軸駆動モータ、 12:Xテーブル、 12A:X軸駆動モータ、 13:枠体、 14:水平板、 15:インデックスユニット、 16:認識カメラ、 17:ダイ認識カメラ、 18:上下軸駆動モータ、 19:θ軸駆動モータ、 20:回転盤、 21:装着ヘッド、 22:吸着装填ノズル、 24:Yテーブル、 24A:Y軸駆動モータ、 25:Xテーブル、 25A:X軸駆動モータ、 26:支持テーブル、 27:ウェハテーブル、 28:シート、 29:突き上げピン、 30:θ軸駆動モータ、 31、32:歯車、 33:ベアリング、 34:認識処理装置、 35:CPU、 36:RAM、 37:ROM、 38:インターフェース、 39:駆動回路、 40:操作部、 41;テンキー、42:カーソルキー、 43:SETキー、 44:教示キー、 45:自動キー、 46:手動キー、 47:始動キー、 48:作動キー、 49:停止キー、 50、51:CRT、 52:マウス、 53:アラーム出力部、 55:ウェハ、 56−1:第1のアライメント点、 56−2:第2のアライメント点、 56−3:第3のアライメント点、 57−1、57−2、57−3:ダイ、 59:ウェハIDマーク、 D:ダイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6