(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して一実施形態を説明する。尚、添付図面は、構造の概略を説明するためのものであり、実際の大きさ、比率を表していない。
図1に示すように、半導体装置10(半導体パッケージ)は、配線基板11と、その配線基板11の一主面(上面)に搭載された半導体チップ12とを有している。配線基板11は、コア基板21を有している。コア基板21は、例えば補強材であるガラスクロス(ガラス織布)にエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させた、いわゆるガラスエポキシ基板である。
【0009】
コア基板21には、所定位置に上面と下面との間を貫通する複数の貫通孔22が形成されている。貫通孔22内には、コア基板21の上面と下面との間を貫通する貫通電極23が形成されている。貫通電極23の材料は、例えば銅(Cu)である。
【0010】
コア基板21の上面には、配線パターン41,絶縁層31,配線パターン42,絶縁層32,配線パターン43,絶縁層33,配線パターン44がこの順番で積層されている。コア基板21の下面には、配線パターン61,絶縁層51,配線パターン62,絶縁層52,配線パターン63がこの順番で積層されている。従って、本実施形態の配線基板11において、コア基板21の上方の絶縁層及び配線パターンの層数と、コア基板21の下方の絶縁層及び配線パターンの層数は互いに異なる。絶縁層31〜33及び絶縁層51,52の材料は、例えばエポキシ系の絶縁樹脂である。配線パターン41〜44及び配線パターン61〜63の材料は、例えば銅である。
【0011】
配線パターン42は、絶縁層31の上面と下面との間を貫通するビア45aにより配線パターン41と電気的に接続されている。同様に、配線パターン43はビア45bにより配線パターン42と電気的に接続され、配線パターン44はビア45cにより配線パターン43と電気的に接続されている。最外層の絶縁層33及び配線パターン44の表面は、ソルダレジスト等の保護膜71により被覆されている。保護膜71には、所定位置に開口71aが形成され、開口71aから配線パターン44が半導体チップ12に接続される電極44aとして露出している。電極44aには、半導体チップ12のバンプ12aがフリップチップ接合されている。
【0012】
半導体チップ12と配線基板11の保護膜71との間には、アンダーフィル樹脂13が充填されている。このアンダーフィル樹脂13は、電極44aとバンプ12aとの接続強度を向上させる。また、アンダーフィル樹脂13は、配線パターン44の腐食等を抑制し、配線基板11と半導体チップ12との接続の信頼性の低下を防ぐ。アンダーフィル樹脂13の材料は、例えばエポキシ樹脂である。
【0013】
コア基板21の下方側においては、配線パターン62は、絶縁層51の上面と下面との間を貫通するビア65aにより配線パターン61と電気的に接続されている。同様に、配線パターン63は、ビア65bにより配線パターン62と電気的に接続されている。絶縁層52の表面には、絶縁膜53aが形成されている。絶縁膜53aは、配線パターン63間、配線パターン63と絶縁層52の端部との間を覆うように形成されている。絶縁膜53aの膜厚は、配線パターン63の厚みと等しい。絶縁膜53aの表面は、配線パターン63の表面と面一となっている。絶縁膜53aの材料は、例えばエポキシ系の絶縁樹脂である。絶縁膜53a及び配線パターン63の表面は、ソルダレジスト等の保護膜72により被覆されている。保護膜72には、所定位置に開口72aが形成され、開口72aから配線パターン63が外部接続用パッド63aとして露出している。半導体装置10は、外部接続用パッド63aがバンプ(はんだボール等)を介して実装基板(図示略)に実装される。
【0014】
(作用)
本実施形態の配線基板11は、コア基板21の上方の絶縁層31〜33の層数が下方の絶縁層51,52の層数より多くなっている。このような構成では、製造時の硬化収縮により体積が変化する絶縁層31〜33及び絶縁層51,52を異なる層数にして配線基板11の反りを調整することができる。また、配線基板11は、上部の配線パターン41〜44の層数が下部の配線パターン61〜63の層数より多くなっている。例えば、配線パターン41〜44は、半導体チップ12のバンプ12aの数及びピッチに応じて細くパターニングされている。一方で、配線パターン61〜63は、実装基板に対する信号の伝送や、電位が接地レベルとなるグランドプレーンや接地電位に対して所定電位が与えられるパワープレーンを設けるために形成されている。グランドプレーン及びパワープレーンは、コア基板21の主面に広がるようにパターニング(ベタ状にパターニング)されている。つまり、配線密度が異なる上方の配線パターン41〜44と下方の配線パターン61〜63を異なる層数にして配線基板11の反りを調整することができる。そして、配線基板11は、コア基板21より上側の配線パターン41〜44及び絶縁層31〜33と、コア基板21より下側の配線パターン61〜63及び絶縁層51,52の層数が、配線基板11の反りが半導体チップ12に応じた形状となるように設定されている。従って、配線基板11の反りを半導体チップ12に合わせることで配線基板11の電極44aと半導体チップ12のバンプ12aとの接続性が高くなる。なお、配線パターン及び絶縁層の層数は、層数を変更した配線基板11の反りを計測した結果、又はシミュレーション結果等に基づいて設定する。
【0015】
次に、配線基板11の製造方法について説明する。
図1に示す配線基板11の製造方法では、
図2(a)に示すコア基板21を用いる。コア基板21は、例えばガラスエポキシ基板に貫通孔22を形成し、貫通孔22内に貫通電極23を形成する。貫通電極23は、例えば電解めっき法により形成する。また、コア基板21の各面に貫通電極23の両端にそれぞれ接続された配線パターン41,61を形成する。配線パターン41,61は、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法により形成する。
【0016】
次いで、
図2(b)に示すように、コア基板21の各面に絶縁層31,51を形成する。例えば樹脂フィルムで両主面をラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら熱処理を施して硬化させることにより、絶縁層31,51を形成する。絶縁層31,51の厚さは、例えば20〜30μm(マイクロメートル)である。
【0017】
次いで、
図2(c)に示すように、配線パターン41の上面の一部が露出されるように、絶縁層31の所定箇所にそれぞれビアホール31aを形成する。同様に、配線パターン61の下面の一部が露出されるように絶縁層51の所定箇所にビアホール51aを形成する。ビアホール31a,51aは、例えばレーザ加工によって形成する。ビアホール31a,51aの形成後に、デスミア処理を行ってビアホール31a,51aの底部に露出する配線パターン41の上面に付着した絶縁層31の樹脂残渣(樹脂スミア)を除去する。デスミア処理は、例えば過マンガン酸溶液により、樹脂残渣を溶解除去(エッチング)する。
【0018】
次いで、
図2(d)に示すように、ビアホール31a内のビア45aと絶縁層31上面の配線パターン42を形成する。同様に、ビアホール51a内のビア65aと、絶縁層51下面の配線パターン62を形成する。配線パターン42及びビア45aは、例えばセミアディティブ法により形成する。配線パターン42,62の厚さは、例えば10〜15μmである。
【0019】
次いで、
図3(a)に示すように、
図2(b)〜
図2(d)と同様な工程により配線パターン42の上に絶縁層32及び配線パターン43を形成する。同様に、配線パターン62の下に絶縁層52及び配線パターン63を形成する。
【0020】
次いで、
図3(b)に示すように、配線パターン43及び絶縁層32上面を被覆するように絶縁層33を形成する。また、配線パターン63及び絶縁層52下面を被覆するように絶縁層53を形成する。この絶縁層53は、厚さが絶縁層33に比べて薄く形成されている。また、絶縁層53の配線パターン63の上に形成された部分の厚さは、例えば5〜6μmである。
【0021】
次いで、
図3(c)に示すように、配線パターン43の上面の一部が露出されるように、絶縁層33の所定箇所にビアホール33aを形成してデスミア処理を行う。このデスミア処理において、ビアホール33aの底部に露出する配線パターン43の上面に付着した絶縁層33の樹脂残渣を除去するとともに、絶縁層53の下部分を除去する。デスミア処理では、絶縁層33,53が例えば表面から5〜6μmの厚さだけ除去される。絶縁層53は、配線パターン63の表面より下方(外側)に形成された部分の厚さが、このデスミア処理により除去される厚さとなるように設定されている。デスミア処理により、
図3(d)に示すように配線パターン63の表面が露出するとともに、配線パターン63を形成した部分を除く絶縁層52の下面を覆うように絶縁膜53aが形成される。
【0022】
次いで、
図3(e)に示すように、ビアホール33a内を含む絶縁層33及び配線パターン43の上面を被覆するようにシード層81を形成する。シード層81は、例えば無電解めっき(例えば、銅)により形成する。同様に、配線パターン63及び絶縁膜53aの
下面を被覆するようにシード層82を形成する。シード層82は、下方の表面全体を覆うように形成される。
【0023】
次いで、
図4(a)に示すように、配線パターン44(
図1参照)及びビア45cに対応した開口83aを有するレジスト層83をシード層81上に形成する。レジスト層83は、例えばドライフィルムレジスト(DFR)の貼着で形成する。レジスト層83は、例えばフォトリソグラフィ法によりパターニングする。同様に、シード層82の下面全体にレジスト層84を形成する。
【0024】
次いで、
図4(b)に示すように、上方のシード層81を給電層として電解めっき(例えば、電解銅めっき)により、ビアホール33a内にビア45cを形成するとともに、絶縁層33の上に配線パターン44を形成する。このとき、コア基板21より下方のシード層82の表面はレジスト層84により覆われているため、シード層82は電解めっきが付着しない。
【0025】
次いで、
図4(c)に示すように、レジスト層83,84を除去する。
次いで、
図4(d)に示すように、シード層81,82をエッチングにより除去する。
次いで、
図4(e)に示すように、絶縁層33及び配線パターン44の上側に、配線パターン44の一部が電極44aとして露出するように開口71aを有する保護膜71を形成する。同様に、絶縁膜53a及び配線パターン63の下側に、配線パターン63の一部が外部接続用パッド63aとして露出するように開口72aを有する保護膜72を形成する。保護膜71,72は、例えばエポキシ樹脂系等の感光性樹脂のソルダレジストフィルムをラミネートし、このレジストを所要の形状にパターニングすることにより形成する。以上の製造工程により、
図1に示す配線基板11を製造することができる。
【0026】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)配線基板11において、コア基板21の上方(第1主面側)には3層の絶縁層31〜33が形成され、コア基板21の下方(第2主面側)には2層の絶縁層51,52が形成されている。絶縁層52の表面には、配線パターン63と、配線パターン63間及び配線パターン63と端部間を覆う絶縁膜53aが形成されている。コア基板21の上方における配線密度は、コア基板21の下方における配線密度より低い。コア基板21の上方に形成された3層の絶縁層31〜33と、コア基板21の下方に形成された2層の絶縁層51,52は、製造時の硬化収縮により体積が変化する。このように、コア基板21の上方の絶縁層の総数と、コア基板21の下方の絶縁層の総数を、互いに異なるようにすることで、配線基板11の反りを調整することができる。従って、配線基板11に接続する半導体チップ12に応じて、配線基板11の反りを調整することで、半導体チップ12の端子と配線基板11の電極44aの接続性を高めることができる。
【0027】
(2)配線基板11の製造工程において、絶縁層33に形成したビアホール33aに対するデスミア処理において、配線パターン63の
下面が露出する厚さまで絶縁層53の層全体を除去することで絶縁膜53aを形成する。これにより、絶縁層33を形成する工程において、絶縁層33と対応する絶縁層53を一度形成した後に絶縁膜53aを残して除去できる。つまり、コア基板21の上下の各絶縁層31〜33,51〜53を同一工程で形成しながらも、製造後に異なる層数の絶縁層を有する配線基板11が形成できる。その結果、多くの工程を追加することなく、配線基板11を容易に形成することができる。
【0028】
(3)配線基板11の製造工程において、
図3(e)に示すように、ビアホール33aを含む絶縁層33(第1絶縁層)上面のシード層81(第1シード層)と、配線パターン63及び絶縁膜53aの下面のシード層82(第2シード層)を形成する。次いで、
図4(a)に示すように、シード層81の上面にビア45c及び配線パターン44に応じた開口83aを有するレジスト層83を形成し、シード層82の下面を被覆するようにレジスト層84を形成する。次いで、
図4(b)に示すように、ビアホール33a内のビア45cと配線パターン44を形成する。一方、コア基板21の下方に形成されたシード層82の下面全体はレジスト層84により覆われているため、電解めっきが形成されない。これにより、配線基板11は、上方の配線パターン41〜44の層数が下方の配線パターン61〜63の層数より多くなる。従来の配線基板は、コア基板の上下面に積層する配線層(配線パターン)と絶縁層を同数としている。このため、微細な配線の引き回しを必要としないコア基板の下方に形成される配線パターン及びビアは、上下の配線パターンを接続するために形成されることが多い。従って、シード層82の下面全体をレジスト層84により覆うことで、工程の変更を少なくして配線層を減らすことができる。また、配線層が少なくなることで、配線基板11の厚みを従来と比べて薄くすることができる。
【0029】
尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、
図3(c),
図3(d)に示すように、配線パターン63を覆う絶縁層53全体を下面側から所定厚さ除去した後に配線パターン44及びビア45cを形成している。しかし、配線パターン44及びビア45cを形成した後に絶縁層53の一部を除去して絶縁膜53aとしてもよい。例えば、
図3(c)に示す工程の後に、
図5(a)に示すように、絶縁層33のビアホール33a内のビア45cと、絶縁層33上面の配線パターン44を形成する。次いで、
図5(b)に示すように、配線パターン63の下面に形成された絶縁層53を薄くして絶縁膜53aを形成する。絶縁膜53aの形成は、例えば絶縁層53の下面側から研磨又はエッチングして形成する。エッチング処理は、例えば過マンガン酸溶液によりエッチングする。次いで、
図5(c)に示すように、保護膜71,72を形成し、配線基板11を形成する。このような製造方法においても接続不良が低減可能な配線基板11を製造することができる。
【0030】
・上記実施形態において、配線パターン41〜44,61〜63とは別に配線密度を調整するためのダミーパターンを設けた構成としてもよい。
図6に示す配線基板11aは、絶縁層33の上面にダミーパターン91が、絶縁層52の
下面にダミーパターン92が形成されている。ダミーパターン91,92は、例えば配線パターン44,63と同一工程で、例えばセミアディティブ法により形成することができる。このような構成では、ダミーパターン91,92により配線基板11aの配線密度を調整して基板の反りを所望の形状にすることができる。なお、ダミーパターン91,92は、コア基板21の上方及び下方のどちらか一方側のみに形成してもよい。また、最外層に限らず内層に形成してもよい。また、コア基板21の上下の一方側に複数層形成してもよい。
【0031】
・上記実施形態において、絶縁層31〜33,51,52の少なくとも1つの層を補強材入り絶縁層で構成してもよい。例えば
図7に示す配線基板11bの絶縁層31,51は、補強材入りの絶縁層であって、その他の絶縁層32〜33,52よりも機械的強度(剛性や硬度等)が高い絶縁層である。この絶縁層31,51の材料としては、例えば熱硬化性樹脂に対し、補強材を入れた絶縁性樹脂を用いることができる。具体的には、絶縁層31,51の材料としては、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布に、エポキシ系やポリイミド系の熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることができる。これにより、機械的強度を高めた絶縁層31,51を用いることで、配線基板11bの反りを所望の形状に調整することができる。
【0032】
・絶縁層31〜33,51,52の材料は、エポキシ系樹脂に限定されず、例えばポリイミド系樹脂などその他の材料を用いてもよい。
・配線パターン41〜44,61〜63の材料は、銅に限定されず、金等の他の金属や合金を用いてもよい。
【0033】
・配線パターン41〜44,61〜63の形成は、サブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いてもよい。
・シード層81,82の形成は、無電解めっき法に限定されず、例えばスパッタ法などその他の方法を用いて形成してもよい。
【0034】
・保護膜71,72の形成は、例えば液状のソルダレジストを塗布し、このレジストを所要の形状にパターニングすることにより形成してもよい。
・上記実施形態において、コア基板21の構造及び材質は特に限定されない