(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部は互いに接合され、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部が当接する当接部に前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部の相対位置ずれを防止する位置ずれ防止機構を有することを特徴とする請求項2記載のリング状シールド部材。
前記矩形の載置面の各角部にはそれぞれ平面による面取り処理が施され、各前記角部における面取り面と、一の前記構成部品の一端の端面及び隣接する他の前記構成部品の他端の側面の接合部とで構成される三角柱状の隙間を埋める三角柱状の隙間嵌合部材を、前記構成部品とは別に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリング状シールド部材。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)をはじめとするFPD(Flat Panel Display)の製造工程において、ガラス基板等の各種基板に対してプラズマ処理を施す基板処理装置が知られている。
【0003】
このような基板処理装置は、処理室(以下、「チャンバ」という。)内で基板を載置する基板載置台と、該基板載置台と処理空間を隔てて対向するように配置された上部電極とを有し、基板載置台にプラズマ生成用の高周波電力(RF)が供給されて該基板載置台が下部電極として機能し、チャンバ内の処理空間に導入された処理ガスからプラズマが生成され、生成されたプラズマを用いて基板載置台に載置された基板に対して所定のプラズマ処理が施される。
【0004】
通常、基板載置台の基板載置面は矩形を呈し、その外周部には、プラズマのフォーカス性の向上及び電気的絶縁性を確保するために、リング状シールド部材としてのシールドリングが配置されている。シールドリングは、アルミナ(Al
2O
3)等の絶縁性のセラミックスで構成されており、基板載置台の基材にボルトによって固定される。シールドリングは、矩形の基板載置面を囲む矩形の環状体であり、また、近年の産業界の要請等に伴って処理基板が大型化しているため、一体成形が困難であり、通常、複数の構成部材の組合せによって形成されている。
【0005】
図13は、従来のシールドリングの構成を示す平面図である。
【0006】
図13において、下部電極(基板載置台)100における矩形の基板載置面106の周囲を囲むようにシールドリング105が配置されている。シールドリング105は、平面図上略L字状の4つのリング構成部品101〜104の組合せ体である。各リング構成部品101〜104は、それぞれL字状の角部の近傍と、該角部に連設された長尺部の先端部近傍の2カ所にボルト孔107を有し、各リング構成部品101〜104は、ボルト孔107に装着された固定ボルトによって下部電極100の基板載置面106の周囲を構成するフランジ部に固定されている。
【0007】
ところで、シールドリング105は、処理目的に応じて加熱される下部電極100からの伝熱、及びプラズマの連続照射等によって加熱され、熱膨張する。このとき、隣接するリング構成部品相互の当接面において、一方のリング構成部品が他方のリング構成部品を図中白抜き矢印で示す方向に押す。このとき、他方のリング構成部品はボルト孔107と固定ボルト(図示しない)とのクリアランス分だけ、図中白抜き矢印で示す方向に変位するので、シールドリング105と下部電極100との間に隙間が生じることがある。
【0008】
シールドリング105と下部電極100との間に隙間が生じると、この隙間にプラズマが進入し、例えば、下部電極100のセラミックス溶射が削られて基材が露出し、下部電極100における異常放電(アーキング)又は腐食(エロージョン)が発生する原因となる。
【0009】
上述したシールドリング105と下部電極100との間の隙間の発生を防止するために、隣接するリング構成部品を引きつけるように付勢する付勢部材を設けたリング構成部品や、各リング構成部品101〜104を下部電極100の中心部に向かって付勢する付勢部材を設けたシールドリングが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、シールドリング105を構成する各リング構成部品101〜104に対して特定の方向に働く作用力を付与するための付勢部材を組み込むことは、必ずしも容易ではない。一方、熱膨張による変形、移動を防止するために、各リング構成部品101〜104を下部電極100の基材に固定する固定ボルトの締結力を大きくすると、下部電極100の基材への締結時又は熱膨張時において各リング構成部品101〜104が破損し易くなるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、リング状シールド部材の構成部品と基板載置台との間の隙間の発生を防止するとともに、構成部品の破損を防止することができるリング状シールド部
材及びリング状シールド部材を備えた基板載置台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載のリング状シールド部
材は、矩形の基板にプラズマ処理を施す基板処理装置の処理室内で前記基板を載置する基板載置台の矩形の載置面の周囲を囲むように設けられ、
且つ複数の構成部品の組合せ体からなるリング状シールド部
材であって、
各前記構成部品は、前記矩形の載置面の一辺に沿って配置される絶縁性の長尺体からなり、該長尺体の長手方向に関する一端に設けられて前記構成部品の全方位の移動を規制する第1の移動規制部と、前記第1の移動規制部から前記長手方向に離間し
、且つ前記長尺体の長手方向に関する他端に設けられて前記構成部品の前記長手方向以外の移動を規制する第2の移動規制部とを備え、前記第1の移動規制部は、前記基板載置台に対して移動不能に設けられた第1のガイドと、該第1のガイドが遊合される凹部である第1のガイド穴とを有し、前記第1のガイドの各側面と前記第1のガイド穴の各側面との隙間は、前記構成部品の全方位の移動を規制するように小さく設定され、前記第2の移動規制部は、前記基板載置台に対して移動不能に設けられた第2のガイドと、該第2のガイドが遊合される凹部である第2のガイド穴とを有し、前記第2のガイド穴の前記長手方向に関する長さは、前記第2のガイドの前記長手方向に関する長さよりも大きく設定され
、一の前記構成部品の前記第1の移動規制部が設けられる一端の端面が、隣接する他の前記構成部品の前記第2の移動規制部が設けられる他端の側面に当接し、前記一の前記構成部品の前記第2の移動規制部が設けられる他端の側面が、前記隣接する他の前記構成部品とは異なる隣接する別の前記構成部品の前記第1の移動規制部が設けられる一端の端面に当接するように、各前記構成部品が組み合わせられることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載のリング状シールド部
材は、請求項1記載のリング状シールド部
材において、前記長尺体は、前記長手方向に沿って第1の長尺部及び第2の長尺部に分割され、前記第1の移動規制部は前記第1の長尺部の前記長手方向に関する一端に設けられ、前記第2の移動規制部は前記第2の長尺部に設けられ、前記第1の長尺部の前記長手方向に関する他端は、前記第2の長尺部の前記長手方向に関する一端と当接することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載のリング状シールド部
材は、請求項2記載のリング状シールド部
材において、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部は互いに接合され、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部が当接する当接部に前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部の相対位置ずれを防止する位置ずれ防止機構を有することを特徴とする。
【0017】
請求項
4記載のリング状シールド部材は、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のリング状シールド部材において、前記矩形の載置面の各角部にはそれぞれ平面による面取り処理が施され、各前記角部における面取り面と、一の前記構成部品の一端の端面及び隣接する他の前記構成部品の他端の側面の接合部とで構成される三角柱状の隙間を埋める三角柱状の隙間嵌合部材を、前記構成部品とは別に備えることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項
5記載の基板載置台は、請求項
1乃至4のいずれか1項に記載のリング状シールド部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1のガイド及び第1のガイド穴を有する第1の移動規制部によって構成部品の全方位の移動が規制され、第2のガイド及び第2のガイド穴を有する第2の移動規制部によって構成部品の長手方向以外の移動が規制されるので、リング状シールド部材の構成部品は第1の移動規制部を起点として長尺体の長手方向へ変形、移動することができ、もって、熱膨張による内部応力が高まることがない。これにより、構成部品の破損を防止することができる。
【0020】
また、一の構成部品の長手方向に関する一端の端面が、隣接する他の構成部品の長手方向に関する他端の側面に当接し、一の構成部品の他端の側面が、隣接する他の構成部品とは異なる隣接する別の構成部品の長手方向に関する一端の端面に当接するように、構成部品が組み合わせられているので、一の構成部品の他端の端面が隣接する別の構成部品と当接することがなく、一の構成部品が熱膨張によって一端に設けられた第1の移動規制部を起点として長尺体の長手方向へ変形、移動する際、一の構成部品の他端の端面が隣接する別の構成部品を押すことがない。
【0021】
また、一の構成部品の他端の端面が隣接する別の構成部品と当接することがないのは、一の構成部品と隣接する他の構成部品との位置関係においても同様であり、一の構成部品の一端の端面が隣接する他の構成部品によって押されることがない。
【0022】
これにより、隣接する別の構成部品は一の構成部品の長手方向へ移動することがなく、一の構成部品は隣接する他の構成部品の長手方向に移動することがない。その結果、リング状シールド部材の構成部品と基板載置台との間の隙間の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態に係るリング状シールド部材が適用される基板載置台を備えた基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】本実施の形態に係るシールドリングの構成を概略的に示す図であり、
図2(A)は平面図であり、
図2(B)は
図2(A)におけるII-II線に沿う断面図である。
【
図3】
図1におけるサセプタの基板載置面に配置される隙間嵌合部材の斜視図である。
【
図4】
図2におけるリング構成部品の全方位移動規制部の構成を概略的に示す図であり、
図4(A)はリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図4(B)はリング構成部品の長手方向に関する断面図であり、
図4(C)は
図4(A)における線IV-IVに沿う断面図である。
【
図5】
図2におけるリング構成部品の一方向移動許容部の構成を概略的に示す図であり、
図5(A)はリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図5(B)はリング構成部品の長手方向に関する断面図であり、
図5(C)は
図5(A)における線V-Vに沿う断面図である。
【
図6】
図2におけるリング構成部品の締結部の構成を概略的に示す図であり、
図6(A)はリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図6(B)はリング構成部品の長手方向に関する断面図であり、
図6(C)は
図6(A)における線VI-VIに沿う断面図である。
【
図7】
図2のシールドリングの各リング構成部品が熱膨張した状態を示す平面図である。
【
図8】
図1におけるサセプタが熱膨張した状態を示す平面図である。
【
図9】
図1におけるサセプタに基板が載置された状態を示す平面図である。
【
図10】
図2の本実施の形態に係るシールドリングの第1の変形例の構成を概略的に示す図であり、
図10(A)は第1の変形例の平面図であり、
図10(B)は第1の変形例における全方位移動規制部のリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図10(C)は第1の変形例における全方位移動規制部のリング構成部品の長手方向に関する断面図であり、
図10(D)は第1の変形例における一方向移動許容部のリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図10(E)は第1の変形例における一方向移動許容部のリング構成部品の長手方向に関する断面図である。
【
図11】
図2の本実施の形態に係るシールドリングの第2の変形例の構成を概略的に示す平面図である。
【
図12】
図11における第1の長尺部材及び第2の長尺部材の連結部を示す図であり、
図12(A)は連結部の拡大平面図であり、
図12(B)は連結部の拡大縦断面図であり、
図12(C)は
図12(A)における線XII-XIIに沿う断面図である。
【
図13】従来のシールドリングの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係るリング状シールド部材が適用される基板載置台を備えた基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。この基板処理装置は、例えば、液晶表示装置(LCD)製造用のガラス基板に所定のプラズマ処理を施す。
【0026】
図1において、基板処理装置10は、例えば1辺が数mの矩形のガラス基板(以下、単に「基板」という。)Gを収容する処理室(チャンバ)11を有し、該チャンバ11内部の図中下方には基板Gを載置する基板載置台(サセプタ)12が配置されている。サセプタ12は、例えば、表面がアルマイト処理されたアルミニウムやステンレス等からなる基材13で構成されており、基材13は絶縁部材14を介してチャンバ11の底部に支持されている。基材13は断面凸型を呈しており、上部平面は基板Gを載置する基板載置面13aである。基板載置面13aはセラミックス溶射で覆われており、基材13が剥き出しとなるのを防止する。
【0027】
基材13には、基板載置面13aの周囲を囲むようにリング状シールド部材としてのシールドリング15が設けられており、シールドリング15は、例えば、アルミナ等の絶縁性セラミックスで構成された長尺体であるリング構成部品41〜44(後述)の組合せ体からなる。
【0028】
基材13の上部は静電電極板16を内蔵し、静電チャックとして機能する。静電電極板16には直流電源17が接続されており、静電電極板16に正の直流電圧が印加されると、基板載置面13aに載置された基板Gにおける静電電極板16側の面(以下、「裏面」という。)には負電位が発生し、これによって静電電極板16及び基板Gの裏面の間に電位差が生じ、該電位差に起因するクーロン力又はジョンソン・ラーベック力により、基板Gが基板載置面13aに吸着保持される。
【0029】
基材13の内部には、基材13及び基板載置面13aに載置された基板Gの温度を調節するための冷媒流路からなる温度調節機構(図示しない)が設けられている。この温度調節機構には、例えば、冷却水やガルデン(登録商標)等の冷媒が循環供給され、該冷媒によって冷却された基材13は基板Gを冷却する。
【0030】
基材13の周囲には、該基材13の側面を覆うサイドリング状シールド部材としての絶縁リング18が配置されている。絶縁リング18は絶縁性のセラミックス、例えばアルミナで構成されている。
【0031】
チャンバ11の底壁、絶縁部材14及び基材13を貫通する貫通孔に、昇降ピン21が昇降可能に挿通されている。昇降ピン21は基板載置面13aに載置される基板Gの搬入及び搬出時に作動するものであり、基板Gをチャンバ11内に搬入する際又はチャンバ11から搬出する場合には、サセプタ12の上方の搬送位置まで上昇し、それ以外の場合には基板載置面13a内に埋設状態で収容されている。
【0032】
基板載置面13aには、不図示の複数の伝熱ガス供給孔が開口している。複数の伝熱ガス供給孔は伝熱ガスとして、例えばヘリウム(He)ガスを基板載置面13a及び基板Gの裏面の間隙に供給する。基板載置面13a及び基板Gの裏面の間隙に供給されたヘリウムガスは基板Gの熱をサセプタ12に効果的に伝達する。
【0033】
サセプタ12の基材13には、高周波電力を供給するための高周波電源23が整合器24を介して接続されている。高周波電源23からは、例えば13.56MHzの高周波電力が基材13へ供給され、サセプタ12は下部電極として機能する。整合器24は、サセプタ12からの高周波電力の反射を低減して高周波電力のサセプタ12への供給効率を最大にする。
【0034】
基板処理装置10では、チャンバ11の内側壁とサセプタ12の側面とによって側方排気路26が形成される。この側方排気路26は排気管27を介して排気装置28に接続されている。排気装置28としてのTMP(Turbo Molecular Pump)、DP(Dry Pump)やMBP(Mechanical Booster Pump)(ともに図示しない)はチャンバ11内を真空引きして減圧する。具体的には、DP若しくはMBPはチャンバ11内を大気圧から中真空状態(例えば、1.3×10Pa(0.1Torr)以下)まで減圧し、TMPはDP又はMBPと協働してチャンバ11内を中真空状態より低い圧力である高真空状態(例えば、1.3×10
−3Pa(1.0×10
−5Torr)以下)まで減圧する。なお、チャンバ11内の圧力はAPCバルブ(図示しない)によって制御される。
【0035】
チャンバ11の天井部分には、サセプタ12と対向するようにシャワーヘッド30が配置されている。シャワーヘッド30は内部空間31を有するとともに、サセプタ12との間の処理空間Sに処理ガスを吐出する複数のガス孔32を有する。シャワーヘッド30は接地されており、下部電極として機能するサセプタ12と共に一対の平行平板電極を構成する。
【0036】
また、シャワーヘッド30は、ガス供給管36を介して処理ガス供給源39に接続されている。ガス供給管36には、開閉バルブ37及びマスフローコントローラ38が設けられている。また、処理チャンバ11の側壁には基板搬入出口34が設けられており、この基板搬入出口34はゲートバルブ35によって開閉可能となっている。そして、このゲートバルブ35を介して処理対象である基板Gが搬出入される。
【0037】
基板処理装置10では、処理ガス供給源39から処理ガス導入管36を介して処理ガスが供給される。供給された処理ガスは、シャワーヘッド30の内部空間31及びガス孔32を介してチャンバ11の処理空間Sへ導入され、該導入された処理ガスは、高周波電源23からサセプタ12を介して処理空間Sへ印加されるプラズマ生成用の高周波電力によって励起されてプラズマとなる。プラズマ中のイオンは、基板Gに向かって引きこまれ、基板Gに対して所定のプラズマ処理を施す。
【0038】
基板処理装置10の各構成部品の動作は、基板処理装置10が備える制御部(図示しない)のCPUがプラズマエッチング処理に対応するプログラムに応じて制御する。
【0039】
図2は、本実施の形態に係るシールドリングの構成を概略的に示す図であり、
図2(A)は平面図であり、
図2(B)は
図2(A)におけるII-II線に沿う断面図である。
【0040】
図2(A)において、シールドリング15は、下部電極として機能するサセプタ12の矩形の基板載置面13aの周囲を囲むように配置されており、矩形の基板載置面13aの対向する2つの短辺に沿ってそれぞれ配置された直方体状の長尺体からなるリング構成部品41、42と、対向する2つの長辺に沿ってそれぞれ配置された直方体状の長尺体からなるリング構成部品43、44との組合せ体で構成されている。
【0041】
各リング構成部品41〜44は、長尺体の長手方向(以下、単に「長手方向」という。)に関する一端(以下、「固定端」という。)41a〜44aに設けられる全方位移動規制部45(第1の移動規制部)と、該全方位移動規制部45から長手方向に離間して設けられる一方向移動許容部46(第2の移動規制部)と、長手方向に沿って設けられる2つの締結部47とを有する。一方向移動許容部46及び締結部47ともに全方位移動規制部45から長手方向に離間して設けられれば、特に、設置位置に関して制限はないが、各リング構成部品41〜44を確実に長手方向に移動させる観点からは、一方向移動許容部46はできるだけ全方位移動規制部45から離して設けるのが好ましく、例えば、長尺体の長手方向に関する他端(以下、「自由端」という。)41b〜44bに設けてもよい。
【0042】
シールドリング15では、リング構成部品41の固定端41aの端面は、隣接する他のリング構成部品43の自由端43bの側面に当接し、自由端41bの側面が、隣接する別のリング構成部品44の固定端44aの端面に当接するように、リング構成部品41が配置されている。一方、自由端41bの端面はリング構成部品44の固定端44aに当接することがない。本実施の形態では、各リング構成部品42〜44もそれぞれ隣接する他のリング構成部品44,42,41との位置関係においてリング構成部品41と同様に配置されており、リング構成部品42及び44は、それぞれ基板載置面13aの中心点に関してリング構成部品41及び43と点対象となるように配置されている。
【0043】
図2(B)において、サセプタ12の基材13は断面凸状を呈しており、該断面凸状体の上部平面が基板載置面13aとなり、段差部表面がフランジ部13bとなる。
【0044】
また、基板載置面13aの各角部にはそれぞれ平面による面取り処理が施され、これにより、例えば、基板載置面13aの一の角部における面取り面と、リング構成部品41の固定端41aの端面及び隣接するリング構成部品43の自由端43bの側面の接合部との間には三角柱状の隙間が形成され、該隙間には、
図3に示すような、断面が直角三角形を呈する三角柱状の隙間嵌合部材48が遊合されている。基板載置面13aの残りの各角部にも同様の三角柱状の隙間が形成され、各隙間にも隙間嵌合部材48が遊合されている。
【0045】
図4は、
図2におけるリング構成部品の全方位移動規制部の構成を概略的に示す図であり、
図4(A)は長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図4(B)は長手方向に関する断面図であり、
図4(C)は
図4(A)における線IV-IVに沿う断面図である。
【0046】
図4(A)〜
図4(C)において、全方位移動規制部45は、例えば、リング構成部品41を
図4(A)、
図4(B)中の上方から切削して形成された円形の座ぐり面45aと、該座ぐり面45aの中心においてリング構成部品41を厚み方向に貫通する、円柱状空間からなるカラー穴45b(第1のカラー穴)と、該カラー穴45bに遊合される円筒状のカラー45c(第1のカラー)と、該カラー45cの内部へ挿入されるとともに、カラー45cをフランジ部13bへ向けて押圧するボルト45d(第1のボルト)とを有する。リング構成部品42〜44の全方位移動規制部45も同様の構成を有する。
【0047】
全方位移動規制部45では、
図4(C)に示すように、カラー穴45bがカラー45cの中心軸に垂直な面に関して円形の断面を有し、カラー45cの側面とカラー穴45bの側面との隙間は全方位に亘ってほぼ一定値に設定される。本実施の形態では、カラー45cの側面とカラー穴45bの側面との隙間は、リング構成部品41の全方位の移動を規制するように小さく設定される。具体的には、当該隙間は、例えば、0.01〜0.2mm(直径方向の両側の合計で0.02〜0.4mm)に設定されるため、リング構成部品41は全方位移動規制部45の近傍にて殆ど移動することができない。
【0048】
図5は、
図2におけるリング構成部品の一方向移動許容部の構成を概略的に示す図であり、
図5(A)は長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図5(B)は長手方向に関する断面図であり、
図5(C)は
図5(A)における線V-Vに沿う断面図である。
【0049】
図5(A)〜
図5(C)において、一方向移動許容部46は、例えば、リング構成部品41を
図5(A)、
図5(B)中の上方から切削して形成された円形の座ぐり面46aと、該座ぐり面46aの中心においてリング構成部品41を厚み方向に貫通するカラー穴46b(第2のカラー穴)と、該カラー穴46bに遊合される円筒状のカラー46c(第2のカラー)と、該カラー46cの内部へ挿入されるとともに、カラー46cをフランジ部13bへ向けて押圧するボルト46d(第2のボルト)とを有する。リング構成部品42〜44の一方向移動許容部46も同様の構成を有する。
【0050】
一方向移動許容部46では、
図5(C)に示すように、カラー穴46bがカラー46cの中心軸に垂直な面に関して長円形の断面を有し、該長円形の断面の長径は長手方向に沿うため、長手方向に関するカラー46cの側面とカラー穴46bの側面との間に比較的大きな隙間、例えば、ボルト46dを挟んだ両側の隙間を均等にした場合における片側で、例えば、1.5〜2.5mmの隙間が生じ、これにより、カラー穴46bが設けられたリング構成部品41はカラー46cに対して長手方向に沿って相対的に移動可能となる。一方、長手方向に対して垂直な方向(以下、単に「垂直方向」という。)に関し、カラー46cの側面とカラー穴46bの側面との隙間は、リング構成部品41の垂直方向への移動を規制するように小さく設定される。具体的には、当該隙間は、全方位移動規制部45における隙間と同様に、片側で、例えば、0.01〜0.2mmに設定されるため、リング構成部品41は一方向移動許容部46の近傍にて垂直方向に関して殆ど移動することができない。すなわち、リング構成部品41は一方向移動許容部46の近傍にて長手方向のみに沿って移動可能となる。ここで、「長円形」とは、両端が半円となる矩形や楕円形、並びにこれらに類似した長径と短径を有する図形を意味する。以下においても同様とする。
【0051】
以上より、本実施の形態では、リング構成部品41が熱膨張する場合、リング構成部品41が全方位移動規制部45を起点として長手方向に移動する。リング構成部品42〜44も同様に全方位移動規制部45を起点として長手方向に移動する。
【0052】
また、全方位移動規制部45及び一方向移動許容部46では、各ボルト45d,46dは、
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、カラー45c,46cに当接しても、座ぐり面45a,46aに当接することはない。したがって、ボルト45d,46dの締結力がリング構成部品41〜44に作用することがない。
【0053】
図6は、
図2におけるリング構成部品の締結部47の構成を概略的に示す図であり、
図6(A)は長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図6(B)は長手方向に関する断面図であり、
図6(C)は
図6(A)における線VI-VIに沿う断面図である。
【0054】
図6(A)〜
図6(C)において、締結部47は、例えば、リング構成部品41を
図6(A)、
図6(B)中の上方から切削して形成された円形の座ぐり面47aと、該座ぐり面47aの中心においてリング構成部品41を厚み方向に貫通する、長円形柱状若しくは円柱状の空間からなるボルト穴47bと、該ボルト穴47bの内部へ挿入されるとともに、座ぐり面47aをフランジ部13bへ向けて押圧するボルト47cとを有する。締結部47では、ボルト47cが座ぐり面47aをフランジ部13bへ向けて押圧するので、リング構成部品41がサセプタ12の基材13へ締結される。なお、リング構成部品42〜44の締結部47も同様の構成を有する。
【0055】
締結部47では、
図6(C)に示すように、ボルト穴47bがボルト47cの中心軸に垂直な面に関して長円形の断面を有し、リング構成部品41の長手方向に対して、隙間を有している。 本実施の形態では、ボルト47cの側面とボルト穴47bの側面との隙間は、長手方向に関して比較的大きく設定されており、具体的には、当該隙間は、ボルト47cを挟んだ両側の隙間を均等にした場合における片側で、例えば、3mmに設定されるため、リング構成部品41は締結部47の近傍にて自由に移動することができる。
【0056】
図7は、
図2のシールドリングの各リング構成部品が熱膨張した状態を示す平面図である。
【0057】
上述したように、熱膨張によってシールドリング15のリング構成部材41〜44は全方位移動規制部45を起点として長手方向(図中白抜き矢印で示す方向)に移動するが、シールドリング15では、リング構成部品41の自由端41bの端面は、リング構成部品44の固定端44aに当接することがなく解放されており、同様に、リング構成部品42の自由端42bの端面は、リング構成部品43の固定端43aに当接することがなく解放されており、リング構成部品43の自由端43bの端面は、リング構成部品41の固定端41aに当接することがなく解放されており、リング構成部品44の自由端44bの端面は、リング構成部品42の固定端42aに当接することがなく解放されているため、
図7に示すように、各リング構成部品41〜44は他のリング構成部品を押すことがない。
【0058】
図8は、
図1におけるサセプタが熱膨張した状態を示す平面図である。
【0059】
図8において、シールドリング15の各リング構成部品41〜44が基板載置面13aの各辺に一対一で当接するように配置されているので、サセプタ12が図中白抜き矢印の方向に熱膨張した際、各リング構成部品41〜44は対応する基板載置面13aの一辺のみから押圧力を受ける。したがって、各リング構成部品41〜44は対応する基板載置面13aの一辺の移動と同方向に移動することができ、もって、各リング構成部品41〜44と、対応する基板載置面13aの一辺との間に隙間が発生しない。
【0060】
なお、サセプタ12の熱膨張に伴い、各リング構成部品間、例えば当接していた固定端41aの端面と自由端43bの側面との間に隙間が生じることがあるが(不図示)、当該当接部においてラビリンス構造を採用することによって基材13が露出しないようにすることができる。ラビリンス構造は、例えば、当接部において固定端41a及び自由端43bのそれぞれに段差を設けこの段差を組合わせることで構成することができる。
【0061】
図9は、
図1におけるサセプタに基板が載置された状態を示す平面図である。
【0062】
サセプタ12では、基板載置面13aに基板Gが載置された際、
図9に示すように、基板載置面13aに対して基板Gがずれて当該基板Gの角部における切り欠きであるオリエンテーションフラット49が、基板載置面13aの角部を覆わないことがあるが、サセプタ12の基板載置面13aにおける各角部には隙間嵌合部材48が配置されているため、基板載置面13aが露出することがなく、隙間嵌合部材48が露出するのみである。これにより、プラズマによって基板載置面13aのセラミックス溶射が削られることがなく、もって、サセプタ12における異常放電又は腐食が発生するのを防止することができる。
【0063】
また、サセプタ12では、基板載置面13aの全ての角部に隙間嵌合部材48が配置されるので、プラズマ処理の内容に応じて基板Gの向きを変えた場合であっても、オリエンテーションフラット49の位置に対応していずれかの隙間嵌合部材48が存在する。これにより、基板載置面13aのセラミックス溶射が削られるのを確実に防止することができる。仮に隙間嵌合部材48がプラズマによって消耗しても、隙間嵌合部材48は容易に交換することができるので、サセプタ12のプラズマ耐性を容易に維持することができる。
【0064】
本発明の実施の形態に係るリング状シールド部材としてのシールドリング15によれば、シールドリング15の各リング構成部品41〜44を構成する長尺体が締結部47によってサセプタ12へ締結されるが、全方位移動規制部45によって各リング構成部品41〜44の全方位の移動が規制され、一方向移動許容部46によって各リング構成部品41〜44の長手方向以外の移動が規制されるので、各リング構成部品41〜44の変形、移動を防止するために締結部47の締結力を大きくする必要がない。また、各リング構成部品41〜44は全方位移動規制部45を起点として長手方向へ変形、移動することができるので、熱膨張による内部応力が高まることがない。これにより、各リング構成部品41〜44の破損を防止することができる。
【0065】
また、一のリング構成部品41(42、43又は44)の固定端41a(42a、43a又は44a)の端面が、隣接する他のリング構成部品43(44、42又は41)の自由端43b(44b、42b又は41b)の側面に当接し、一のリング構成部品41(42、43又は44)の自由端41b(42b、43b又は44b)の側面が、隣接する別のリング構成部品44(43、41又は42)の固定端44a(43a、41a又は42a)の端面に当接するように、各リング構成部品41〜44が組み合わせられているので、一のリング構成部品41(42、43又は44)の自由端41b(42b、43b又は44b)の端面が隣接する別のリング構成部品44(43、41又は42)と当接することがなく、一のリング構成部品41(42、43又は44)が熱膨張によって固定端に設けられた全方位移動規制部45を起点として長手方向へ変形、移動する際、一のリング構成部品41(42、43又は44)の自由端41b(42b、43b又は44b)の端面が別のリング構成部品44(43、41又は42)を押すことがない。これにより、別のリング構成部品44(43、41又は42)は一のリング構成部品41(42、43又は44)の長手方向へ移動することがなく、その結果、シールドリング15の各リング構成部品41〜44とサセプタ12との間の隙間の発生を防止することができる。
【0066】
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0067】
例えば、上述したシールドリング15では、各リング構成部品41〜44の移動を規制するためにカラー45c,46cが用いられたが、移動を規制するための部材はカラーに限られない。
【0068】
図10は、
図2の本実施の形態に係るシールドリングの第1の変形例の構成を概略的に示す図であり、
図10(A)は第1の変形例の平面図であり、
図10(B)は第1の変形例における全方位移動規制部のリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図10(C)は第1の変形例における全方位移動規制部のリング構成部品の長手方向に関する断面図であり、
図10(D)は第1の変形例における一方向移動許容部のリング構成部品の長手方向に対して垂直な方向に関する断面図であり、
図10(E)は第1の変形例における一方向移動許容部のリング構成部品の長手方向に関する断面図である。
【0069】
図10(A)において、シールドリング50は、矩形の基板載置面13aの各辺に沿って配置された直方体状の長尺体からなる各リング構成部品51〜54の組合せ体で構成されている。
【0070】
各リング構成部品51〜54は、固定端51a〜54aに設けられる全方位移動規制部55(第1の移動規制部)と、該全方位移動規制部55から長手方向に離間して設けられる一方向移動許容部56(第2の移動規制部)と、長手方向に沿って設けられる2つの締結部47とを有する。
【0071】
図10(B)及び
図10(C)において、全方位移動規制部55は、フランジ部13bに一部が埋設されてサセプタ12に対して移動不能に設けられた直方体状のガイド55a(第1のガイド)と、例えば、リング構成部品51におけるフランジ部13bとの接触面に設けられ、ガイド55aが遊合される直方体状の凹部であるガイド穴55b(第1のガイド穴)とを有する。リング構成部品52〜54の全方位移動規制部55も同様の構成を有する。
【0072】
全方位移動規制部55では、ガイド55aの側面とガイド穴55bの側面との隙間は全方位に亘ってほぼ一定値に設定される。本実施の形態では、ガイド55aの側面とガイド穴55bの側面との隙間は、リング構成部品51の全方位の移動を規制するように小さく設定される。具体的には、当該隙間は、第1の実施の形態における全方位移動規制部45と同様に、例えば、0.01〜0.2mm(例えば、リング構成部品の長手方向に関するガイド55aの両側の合計で0.02〜0.4mm)に設定されるため、リング構成部品51は全方位移動規制部55の近傍にて殆ど移動することができない。
【0073】
図10(D)及び
図10(E)において、一方向移動許容部56は、フランジ部13bに一部が埋設されてサセプタ12に対して移動不能に設けられた直方体状のガイド56a(第2のガイド)と、例えば、リング構成部品51におけるフランジ部13bとの接触面に設けられ、ガイド56aが遊合される直方体状の凹部であるガイド穴56b(第2のガイド穴)とを有する。リング構成部品52〜54の一方向移動許容部56も同様の構成を有する。
【0074】
一方向移動許容部56では、
図10(E)に示すように、ガイド穴56bの長手方向に関する長さは、ガイド56aの長手方向に関する長さよりも大きく設定されるので、長手方向に関するガイド56aの側面とガイド穴56bの側面との間に比較的大きな隙間、例えば、第1の実施の形態における一方向移動許容部46と同様に、ガイド55aを挟んだ長手方向に関する両側の隙間を均等にした場合における片側で1.5〜2.5mmの隙間が生じ、これにより、ガイド穴56bが設けられたリング構成部品51はガイド56aに対して長手方向に沿って相対的に移動可能となる。一方、垂直方向に関し、ガイド56aの側面とガイド穴56bの側面との隙間は、リング構成部品51の垂直方向への移動を規制するように小さく設定される。具体的には、当該隙間は、例えば、全方位移動規制部55と同様に、例えば、0.01〜0.2mm(例えば、垂直方向に関するガイド55aの両側の合計で0.02〜0.4mm)に設定されるため、リング構成部品51は一方向移動許容部56の近傍にて垂直方向に関して殆ど移動することができない。すなわち、リング構成部品51は一方向移動許容部56の近傍にて長手方向のみに沿って移動可能となる。
【0075】
以上より、第1の変形例では、リング構成部品51が熱膨張する場合、リング構成部品51が全方位移動規制部55を起点として長手方向に移動する。リング構成部品52〜54も同様に全方位移動規制部55を起点として長手方向に移動する。
【0076】
上述したシールドリング15では、各リング構成部品41〜44が1つの長尺体から構成されたが、各リング構成部品は複数の長尺体で構成されてもよい。
【0077】
図11は、
図2の本実施の形態に係るシールドリングの第2の変形例の構成を概略的に示す平面図である。
【0078】
図11において、シールドリング57は、矩形の基板載置面13aの各辺に沿って配置された直方体状の長尺体からなる各リング構成部品58〜61の組合せ体で構成されている。
【0079】
各リング構成部品58〜61は、長手方向に沿って第1の長尺部材58a〜61a(第1の長尺部)及び第2の長尺部材58b〜61b(第2の長尺部)に分割され、例えば、リング構成部品58において、全方位移動規制部45は第1の長尺部材58aの長手方向に関する一端(固定端)58aaに設けられ、一方向移動許容部46は第2の長尺部材58bに設けられ、第1の長尺部材58aの長手方向に関する他端(当接端)58abは、第2の長尺部材58bの長手方向に関する一端(当接端)58baと当接し、第1の長尺部材58a及び第2の長尺部材58bはそれぞれ2つ以上の締結部47を備える。さらに、
図12(A)〜
図12(C)に示すように、第1の長尺部材58aと第2の長尺部材58bは互いの連結部においてボルト等の締結手段62により互いに締結されており、また、連結部には相互の相対位置ずれを防止するためにピン穴63に嵌合される位置決めピン64(位置ずれ防止機構)が配される。なお、締結手段62はボルトに限られず連結部を上下の面から挟持するようなものであってもよく、また、位置決めピン64のみで第1の長尺部材58a及び第2の長尺部材58bの締結及び相対位置ずれの防止が実現できるのであれば締結手段を設けなくてもよい。これにより、リング構成部品を分割された長尺部材で構成しても、リング構成部品を一体部材で構成した場合(第1の実施の形態)と同様の効果を得ることができる。各リング構成部品59〜61も、リング構成部品58と同様の構成を有する。
【0080】
シールドリング57では、第1の長尺部材58aの固定端58aaの端面は、隣接する第2の長尺部材60bの長手方向に関する他端(自由端)60bbの側面に当接し、第2の長尺部材58bの自由端58bbの側面が、隣接する第1の長尺部材61aの固定端61aaの端面に当接するように、リング構成部品58が配置されている。一方、第2の長尺部材58bの自由端58bbの端面は第1の長尺部材61aの固定端61aaに当接することがない。本実施の形態では、各リング構成部品59〜61もリング構成部品58と同様に配置されており、リング構成部品59及び61は、それぞれ基板載置面13aの中心点に関してリング構成部品58及び60と点対象となるように配置されている。
【0081】
シールドリング57では、例えば、リング構成部品58が熱膨張する場合、第1の長尺部材58aは熱膨張に起因して移動し、第2の長尺部材58bは熱膨張及び第1の長尺部材58aの移動に起因して移動するが、第1の長尺部材58aは全方位移動規制部45を起点として長手方向に移動し、第2の長尺部材58bは一方向移動許容部46によって移動方向を規制されて長手方向に移動する。リング構成部品59〜61でも同様に、第1の長尺部材59a〜61aが全方位移動規制部45を起点として長手方向に移動し、第2の長尺部材59b〜61bが一方向移動許容部46によって移動方向を規制されて長手方向に移動する。これにより、第1の長尺部材58a〜61a及び第1の長尺部材58a〜61aにおいて熱膨張による内部応力が高まるのを防止することができる。
【0082】
また、シールドリング57では、第2の長尺部材58b(59b、60b又は61b)の自由端58bb(59bb、60bb又は61bb)の端面は第1の長尺部材61a(60a、58a又は59a)の固定端61aa(60aa、58aa又は59aa)に当接することがない。これにより、別のリング構成部品61(60、58又は59)は一のリング構成部品58(59、60又は61)の長手方向へ移動することがなく、その結果、シールドリング57の各リング構成部品58〜61とサセプタ12との間の隙間の発生を防止することができる。
【0083】
さらに、シールドリング57では、各リング構成部品58〜61が第1の長尺部材58a〜61a及び第2の長尺部材58b〜61bに分割されるため、作業者が取り扱い部材の大きさが不必要に大きくなるのを防止して作業性が悪化するのを防止することができるとともに、大型世代のFPD製造装置、例えば第7世代のFPD基板より大きい基板を扱う装置については一体成形によるシールド部材の製作が困難であるが、本発明をシールド部材に適用することで、従来までの小型のFPD製造装置に用いられた一体成形によるシールド部材が奏する効果と同様の効果を得ることができる。