(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発光装置では、ホルダ(20)がベース(11)から突出しており、発光ユニット(30)の熱引きが悪いため、装置の駆動に伴って、光出力の低下や、構成部品の熱伸縮による光軸ずれが発生しやすい問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、光源ユニットの光軸を高精度に調整できると共に、光源の放熱性に優れる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る光源装置は、凹部と該凹部に設けられた穴を有するベース部材と、光源と該光源から光が入射される光学部品を保持し、前記凹部に挿入され、前記穴の開口端上で摺動可能な曲面を有する光源保持部材と、を備え、前記ベース部材は、前記凹部と穴の対を複数有し、隣り合う2つの穴の前記開口端は互いに前後方向に変位して設けられており、
前記光源保持部材
を複数
備え、前記複数の
光源保持部材は各々前記凹部に挿入され且つ前記ベース部材の内部に収容されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光源装置は、以下のように構成されてもよい。
前記光源保持部材は、該光源保持部材における前記曲面に近い側に、前記光源を保持していることが好ましい。
前記光源保持部材は、前記凹部内に充填された充填材を介して前記凹部の内面と接続されていることが好ましい
。
前記光源保持部材を複数備える光源装置であって、前記ベース部材は前記凹部と穴の対を複数有し、前記穴の向きは該穴が設けられた凹部の向きと略同じであって、前記凹部の少なくとも2つは、互いに異なる向きに設けられており、前記光源保持部材は各々前記凹部に挿入され且つ前記ベース部材の内部に収容されていることが好ましい。
前記凹部の少なくとも2つは、該凹部の開口が互いに向かい合う方向に向けられていることが好ましい。
前記光源は半導体レーザ素子を含み、前記光学部品はコリメータレンズであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光軸を高精度に調整可能で且つ放熱性の高い光源ユニットの固定構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する光源装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。また、以下、光源装置の主として光が出射される側を前方、その反対側を後方として説明する。
【0012】
<実施の形態1>
図1(a)は、実施の形態1に係る光源装置の概略斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)におけるA−A断面を示す概略断面図である。
図1に示す例の光源装置100は、ベース部材10と、光源20と該光源から光が入射される光学部品25を保持する光源保持部材31を含む光源ユニット30と、を備えている。ベース部材10は、凹部11と、その凹部に設けられた穴15と、を有する。光源保持部材31は、凹部11に挿入され、ベース部材の穴15の開口端上で摺動可能な曲面35を有する。そして、光源保持部材31は、ベース部材10の内部に収容されている。なお、本明細書において、光源保持部材31の「向き」は、保持する光源20の光軸で定義されるものとし、凹部11及び穴15の「向き」は、その中心軸で定義されるものとする。
【0013】
より詳細には、光源装置100は、光源ユニット30を複数備えている。ベース部材10は、前面側に設けられた凹部11と、その凹部の底面から該ベース部材の後面(背面)に貫通した穴15と、の対を複数有するブロック状の部材である。光源ユニット30は、半導体レーザ装置である光源20と、その光源20の前方に位置するコリメータレンズである光学部品25と、これらを保持する筒状の光源保持部材31と、で構成されている。また、光源保持部材31は、その後方端部の外面に曲面35を有する。そして、光源保持部材31は各々、凹部11に挿入され且つベース部材10の内部に収容されており、曲面35が穴15の開口端に当接した状態で、固定されている。
【0014】
このように構成された光源装置100は、光源ユニット30の光軸すなわち光源保持部材31の向きを調整する際、凹部11内で光源保持部材31を治具により支持しやすく、光源保持部材31の向きを調整しやすい。また、光源保持部材31からベース部材10に熱を伝導させやすく、光源20及び光学部品25の放熱性の高い構成を取りやすい。さらに、光源保持部材31がベース部材10の内部に収容されるため、小型の光源装置とすることができる。
【0015】
図1に示す例の光源装置100において、光源保持部材31は、その後方端部の外面に曲面35を有しており、光源20を後方側に保持している。光源保持部材31は、曲面35においてベース部材10と当接し、また曲面35に近い側が、ベース部材10への接着剤や溶接による固定や充填材40の充填などによって、ベース部材10と物理的に接続されやすい。このため、光源保持部材31が該光源ユニットにおける曲面35に近い側に光源20を保持していることで、光源20から発生する熱をベース部材10に効率良く伝導させやすく、光源20の放熱性を高めやすい。
【0016】
図1に示す例の光源装置100において、光源保持部材31の外面とベース部材の凹部11の内面との間には、充填材40が充填されている。このように、光源保持部材31は、ベース部材の凹部11内に充填された充填材40を介して凹部11の内面と接続されていることが好ましい。これにより、光源保持部材31からベース部材10に熱を伝導させやすく、光源20及び光学部品25の放熱性を高めることができる。
【0017】
図1に示す例の光源装置100において、ベース部材の凹部11及び穴15の前面視形状(以降、後面側に設けられる場合は後面視形状)は円形状である。凹部11の前面視形状は、光源保持部材31を挿入可能であれば、円形状のほか、矩形状、多角形状、これらの角が丸みを帯びた形状など、任意の形状であってよい。凹部11の深さは、光源保持部材31の全体をベース部材10の内部に収容可能であれば、特に限定されない。凹部11の側面は、前面に対して略垂直であってもよいし、開口側つまり外側の径が大きくなる傾斜面若しくは凹面であってもよい。凹部11の側面が、このような傾斜面若しくは凹面であれば、充填材40を凹部11内に充填しやすい。凹部11の底面は、平面であってもよいし、凹面であってもよい。穴15の前面視形状は、矩形状、多角形状、これらの角が丸みを帯びた形状などでもよいが、円形状であることが好ましい。穴15の前面視形状が円形状であれば、開口端の全周で光源保持部材の曲面35と当接しやすく、光源保持部材31の向きを精度良く調整しやすい、
【0018】
図1に示す例の光源装置100において、光源20はLD素子を含み、光学部品25はコリメータレンズである。LD素子は指向性の高い発光が可能であり、コリメータレンズはその光を平行光化でき、周囲の部材(例えば凹部11や穴15の内面)による遮光を抑制することができるため、光源ユニット30の光軸に平行な方向の設置位置を選択しやすい。一方で、LD素子は発光素子の中でも発熱量が比較的大きく、このような光源ユニット30は、LD素子とコリメータレンズの高精度の位置調整及び高い放熱性が要求されるため、本発明が特に効果を奏する。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る光源装置における光源保持部材の向きの調整方法の一例を説明する概略断面図である。
図2に示すように、まず、光源ユニット30をベース部材の凹部11に挿入し、その曲面35をベース部材の穴15の開口端に当接させ、光源保持部材31の曲面35が設けられた側とは反対側の外面を向き調整具50で押圧して支持する。その後、向き調整具50を押し引きすれば、光源保持部材の曲面35を穴15の開口端上で摺動させ、光源保持部材31の向きを調整することができる。このとき、光源20を給電により発光させ、光強度分布、スポット径、干渉縞などを観測しながら、光源保持部材31の向きを調整してもよい。なお、向き調整具50は、1つでもよいが、複数(特に光源保持部材31の中心軸の周りに等配することが好ましい)あることで光源保持部材31を安定して支持しやすく、光源保持部材31の向きを調整しやすい。また、向き調整具50を複数若しくは複数組備える治具を使用すれば、複数の光源保持部材31の向きを同時に調整することもできる。そして、光源保持部材31の向きの調整を終えた後、接着剤やレーザ溶接などにより、光源保持部材31をベース部材10に固定する。
【0020】
ここで、
図2に示すように、光源保持部材の曲面35は、穴15の開口端上で滑らかに摺動するように、凸曲面であることが好ましい。特に、光源ユニットの曲面35は、光源20の発光点、例えば発光素子(特にその発光面若しくは発光点)を略中心とする球面の一部を構成する曲面であることがより好ましい。このようにすれば、光源20の発光点を中心として、曲面35を穴15の開口端上で摺動させることができ、光源20の発光点の変位を抑制して、光源保持部材31の向きを高精度に調整することができる。
【0021】
また、
図1,2に示す例の光源装置100において、ベース部材の穴15の開口端は、角張ったエッジとなっている。このような開口端は、フライス等により単に穴15を掘穿したり、凹部11及び穴15を金型により成型したり、することにより形成することができる。このように、ベース部材の穴15の開口端が角張ったエッジであれば、光源保持部材の曲面35を穴15の開口端と最も線状に当接させやすく、光源保持部材31の向きを高精度に調整することができる。
【0022】
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る光源装置の概略断面図である。
図3に示す例の光源装置200は、光源ユニット30を複数備えている。ベース部材10は、前面側に設けられた凹部11と、その凹部の底面から該ベース部材の後面(背面)に貫通した穴15と、の対を複数有するブロック状の部材である。光源ユニット30は、半導体レーザ装置である光源20と、その光源20の前方に位置するコリメータレンズである光学部品25と、これらを保持する筒状の光源保持部材31と、で構成されている。また、光源保持部材31は、その後方端部の外面に曲面35を有する。そして、光源保持部材31は各々、凹部11に挿入され且つベース部材10の内部に収容されており、曲面35が穴15の開口端に当接した状態で、固定されている。また、光源保持部材31の外面とベース部材の凹部11の内面との間には、充填材40が充填されている。
【0023】
図3に示す例の光源装置200において、ベース部材10は凹部11と穴15の対を複数有し、隣り合う2つの穴15の開口端は互いに前後方向(例えば光源ユニット30の光軸に略平行な方向)に変位して設けられている。これにより、隣り合う2つの光源保持部材31が、互いに前後方向に変位して設けられる。このようにすれば、各光源保持部材31からベース部材10に伝導する熱を分散させやすいため、光源20及び光学部品25の放熱性を高めやすい。隣り合う2つの穴15の開口端の前後方向の変位量すなわち距離は、例えば隣り合う光源ユニット30における光源20同士若しくはその光源保持部材31同士が前後方向に完全に隔離するように設定することができる。
【0024】
図3に示す例の光源装置200において、ベース部材の穴15の開口端は、傾斜した平面となっている。このような開口端は、フライス等により穴15の縁に面取りを施したり、凹部11及び穴15を金型により成型したり、することにより形成することができる。このように、ベース部材の穴15の開口端が傾斜した平面であれば、光源保持部材の曲面35を穴15の開口端と線状に当接させやすく、光源保持部材31の向きを精度良く調整しやすい。このほか、ベース部材の穴15の開口端は、光源保持部材の凸の曲面35に沿うように湾曲する凹面であってもよい。
【0025】
<実施の形態3>
図4は、実施の形態3に係る光源装置の概略断面図である。
図4に示す例の光源装置300は、光源ユニット30を複数備えている。ベース部材10は、前面側又は後面(背面)側に設けられた凹部11と、その凹部の底面から該ベース部材の反対側の面に貫通した穴15と、の対を複数有するブロック状の部材である。光源ユニット30は、半導体レーザ装置である光源20と、その光源20の前方に位置するコリメータレンズである光学部品25と、これらを保持する筒状の光源保持部材31と、で構成されている。また、光源保持部材31は、その後方端部又は前方端部の外面に曲面35を有する。そして、光源保持部材31は各々、凹部11に挿入され且つベース部材10の内部に収容されており、曲面35が穴15の開口端に当接した状態で、固定されている。また、光源保持部材31の外面とベース部材の凹部11の内面との間には、充填材40が充填されている。
【0026】
図4に示す例の光源装置300において、ベース部材10は凹部11と穴15の対を複数有し、凹部11は該ベース部材10の前面側と後面側に各々設けられている。これにより、光源ユニット30を、前方と後方の両方から凹部11に挿入することができる。このようにすれば、ベース部材10内における光源ユニット30の側方(横方向)の配置間隔を小さくしやすく、小型で且つ放熱性の比較的高い光源装置とすることができる。なお、ベース部材10の後方から挿入される光源保持部材の曲面35は、光源保持部材31の前方端部の外面に設けられている。この場合も、上述の方法と同様にして、光源保持部材31の向きを調整することができる。
【0027】
<実施の形態4>
図5は、実施の形態4に係る光源装置の概略断面図である。
図5に示す例の光源装置400は、光源ユニット30を複数備えている。ベース部材10は、前面側に設けられた凹部11と、その凹部の底面に設けられた非貫通の穴15と、の対を複数有するブロック状の部材である。光源ユニット30は、LEDである光源20と、その光源20の前方に位置する蛍光体板である光学部品25と、これらを保持する箱状の光源保持部材31と、で構成されている。また、光源保持部材31は、その後方端部の外面に曲面35を有する。そして、光源保持部材31は各々、凹部11に挿入され且つベース部材10の内部に収容されており、曲面35が穴15の開口端に当接した状態で、固定されている。また、光源保持部材31の外面とベース部材の凹部11の内面との間には、充填材40が充填されている。
【0028】
図5に示す例の光源装置400において、ベース部材10は凹部11と穴15の対を複数有し、各凹部11は互いに異なる向きに設けられている。また、穴15の向きは該穴が設けられた凹部11の向きと略同じである。これにより、その穴15の開口端に曲面35を当接させ、向きが調整された各光源保持部材31もまた、互いに異なる向きに設けられている。したがって、各光源保持部材31からベース部材10に伝導する熱を分散させたり特定箇所に集中させたりして、好適な放熱手段を選択することができる。特に図示する例では、凹部11は、該凹部の開口が互いに向かい合う方向に向けられている。これにより、光源保持部材31は、各光源ユニット30から出射される光が前方に集められる方向に向けられている。このようにすれば、各光源保持部材31からベース部材10に伝導する熱を分散させやすいため、光源20及び光学部品25の放熱性を高めやすい。このほか、逆に、凹部11は、該凹部の開口が互いに離れる方向に向けられてもよい。これにより、光源保持部材31は、各光源ユニット30から出射される光が前方に拡散する方向に向けられてもよい。その場合は、各光源保持部材31からベース部材10に伝導する熱をベース部材10の中央部に集めやすい。したがって、例えば、ベース部材10の中央部を周縁部より熱伝導性の高い材料で構成したり、該中央部を充填材で被覆したり、該中央部に水冷式構造を設けたり、することで、光源保持部材31から効率良く放熱させることができる。なお、図示する例では、全ての凹部11が互いに異なる向きに設けられているが、互いに向きが異なる凹部11は少なくとも2つでよい。また、凹部15と穴15が略同じ向きで設けられることにより、光源ユニット30から出射される光が凹部15の内面で遮られるのを抑制しやすい。
【0029】
図5に示す例の光源装置400において、穴15は非貫通である。穴15は、凹部11内において、光源保持部材の曲面35を当接させる開口端を提供するために設けられる。したがって、貫通穴、非貫通穴のどちらでもよい。上述のように、穴15が貫通穴の場合には、光源20と電気的に接続する導線などを引き出したり、光源20からの光を取り出したり、する窓部として機能させることができる。一方、本実施の形態のように、穴15が非貫通穴の場合には、その穴15に充填材40又は充填材40とは異なる放熱部材を充填することができる。また、穴15の開口の少なくとも一部、好ましくは略全ては、光源保持部材31や充填材40により閉じられる。したがって、非貫通の穴15は、熱媒体となる気体や液体(好ましくは液体)の流路として機能させることもできる。
【0030】
また、光源20や光源保持部材31は、その側面に加え、それらの前面又は後面を充填材40により被覆されてもよい。これにより、光源20及び光学部品25の放熱性をより高めることができる。特に、光源20や光源保持部材31の側面及び/又は後面を被覆する充填材40は、放熱性に優れるものが好ましく、また遮光性、特に光反射性を有するものでもよい。一方、光源保持部材31の前面を被覆する充填材40は、光源20からの光を効率良く装置外部に取り出すために、透光性を有するものが好ましい。また、光源保持部材31は、このような充填材40によって封止されてもよい。さらに、充填材40又は非貫通の穴15に充填される放熱部材は、光源保持部材31をベース部材10に固定する接着剤として機能させてもよい。したがって、充填材40は、被覆する光源保持部材31の外面の部位に応じて、構成材料の異なる複数の部位で構成されてもよい。
【0031】
さらに、光源ユニット30の熱源は主として光源20であるが、光源ユニット30の光学特性は、光源20と光学部品25の両方に依存するため、光学部品25の放熱性を高めることも重要である。特に、本例のように、光学部品25が光源20からの光を吸収して発光する蛍光物質を含む場合、光学部品25の発熱量は、蛍光物質を含まない場合に比べて著しく増大する。したがって、充填材40は、光学部品25の側方まで至るように充填されていることが好ましく、更には透光性を有して光学部品25の上面を被覆してもよい。
【0032】
<実施の形態5>
図6は、実施の形態5に係る光源装置の概略斜視図である。
図6に示す例の光源装置500は、実施の形態1と同様に、複数の光源ユニット30を備え、ベース部材10は凹部11と穴15の対を複数有し、光源保持部材31は各々ベース部材の凹部11に挿入され且つベース部材10の内部に収容されている。そして、本例において、2つの凹部11は互いに略垂直な向きに設けられている。また、穴15の向きは該穴が設けられた凹部11の向きと略同じである。これにより、その穴15の開口端に曲面35を当接させ、向きが調整された各光源保持部材31もまた、互いに略垂直な向きに設けられている。このようにすれば、各光源保持部材31を離して配置しやすく、各光源保持部材31から効果的に放熱させやすい。また、各光源保持部材31の向きを調整する治具を設置しやすく、光源保持部材31の向きを調整しやすい。さらに、図示する例では、互いに略垂直に設けられた2つの光源ユニット30の前方に、偏光ビームスプリッタが設けられており、各光源ユニット30から出射された光は、その偏光ビームスプリッタにより合波されて出射される。これにより、小型で高輝度ながら放熱性の比較的高い光源装置とすることができる。このようなことは、凹部11と穴15が略同じ向きであり、凹部11の少なくとも2つが略平行に向かい合って、つまり互いに略180度の角度をなす向きに設けられる場合にも適用可能である。また、光源20の発光波長が異なる場合には、ダイクロイックプリズム又はダイクロイックミラーなどにより合波することができる。
【0033】
なお、上述の各実施の形態に係る光源装置は、光源ユニット30を複数備えるものであるが、本発明は、1つの光源ユニットを備える光源装置にも適用することできる。また、上述の各実施の形態に係る光源装置において、曲面35は、光源保持部材31に設けられているが、光源ユニットの外郭を構成する他の部材に設けられてもよい。さらに、上述の各実施の形態に係る光源装置において、光源保持部材の曲面35は、光源保持部材の前方端部、後方端部のどちらかに設けられているが、光源保持部材が側方に突出した突出部を有し、その突出部に設けられてもよい。さらに、上述の各実施の形態に係る光源装置において、1つの凹部11に1つの穴15が設けられているが、1つの凹部11に複数の穴15が設けられてもよい。
【0034】
以下、本発明の光源装置の各構成要素について説明する。
【0035】
(ベース部材)
ベース部材10は、光源ユニット30(上述の実施の形態では光源保持部材31)が固定される部材である。ベース部材10は、種々の形状を有するものでよく、ブロック状、板状、箱状、筒状、L字状、T字状などが挙げられる。ベース部材10は、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼(オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系)、鉄鋼材料(機械構造用炭素鋼、一般構造用圧延鋼)、スーパーインバー、コバールなどを用いることができる。特に、放熱性や固定精度の観点から、アルミニウム合金若しくは銅合金が好ましい。このほか、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS、ASA、PBTなどの樹脂材料を用いることができ、これらの樹脂材料に後述の充填材と同様の粒子が添加されたものを用いてもよい。また、ベース部材10の外面に、複数のフィンが形成されてもよいし、別途ヒートシンクが接着されてもよい。
【0036】
(光源ユニット)
光源ユニット30は、少なくとも、光源20と、光学部品25と、これらを保持する光源保持部材31と、により構成される。
【0037】
(光源)
光源20は、LD素子やLED素子、若しくは有機EL(Electro-Luminescence)素子などの発光素子、又はこのような発光素子がステム、リードフレーム、パッケージ、配線基板などに実装された発光装置のほか、ハロゲンランプ等のランプ光源などを用いることができる。特に、紫外光や短波長の可視光を発光可能な窒化物半導体(主として、一般式In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される)を用いた発光素子は、高精度、高分解能の光学系に好適な光源であるが、そのような高い性能を実現するために高精度の光学調整が必要であり、またその固定精度も重要であるため、本発明が特に効果を奏する。また、光源20を複数備える光源装置の場合、光源20の発光波長は、互いに略同じであってもよいし、例えば赤、緑、青など互いに異なっていてもよい。
【0038】
(光学部品)
光学部品25には、レンズ、ミラー、プリズム、光学フィルタ、拡散板などの光学素子のほか、これらの光学素子や透光性部材に蛍光物質を配合した波長変換部材、若しくはレーザロッドや波長変換用の非線形光学結晶などの光学結晶、若しくは光ファイバなどを、単体で若しくは組み合わせて用いることができる。なお、蛍光物質は、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)などを用いることができる。
【0039】
(光源保持部材)
光源保持部材31は、各種のホルダを用いることができる。光源保持部材31が光源20と光学部品25を保持することで、光源20と光学部品25の相対的な位置関係を維持しやすい。光源保持部材31は、筒状、箱状、ブロック状、板状など種々の形状を有してよいが、内部に光源20と光学部品25を保持し、光学部品25への入射光を光軸方向に透過させて出射可能な筒状若しくは箱状が好ましい。また、光源保持部材31の外面の断面形状は、ベース部材10と当接する曲面35を形成しやすい円形状であることが好ましい。なお、光源保持部材31への光源20及び光学部品25の固定は、その内面に光源20や光学部品25の位置決めをするための突起を設け、該突起に光源20や光学部品25を当接させ、接着剤の塗布などにより行うことができる。光源保持部材31は、前述のベース部材10と同様の材料を用いて構成することができる。
【0040】
(充填材)
充填材40は、光源ユニット30(主として光源保持部材31)に接して設けられ、光源ユニット30からベース部材10若しくは外気への熱伝導を促進する部材である。充填材40は、充填する際には流動性を有するものが好ましく、充填された後は流動性を有するものでも、ゲル化若しくは固化したものでもよい。充填材40の一例としては、シリコングリス等の熱伝導性グリスが挙げられる。より具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの母材中に、銀、銅、アルミニウムなどの金属、若しくは酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、グラファイトなどの無機物、の粒子を添加したものを用いることができる。また、非貫通の穴15に充填される放熱部材にも、これと同様のものを用いてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0042】
<実施例1>
実施例1の光源装置は、
図1に示す例の構造を有する、レーザ加工機用の光源である。ベース部材10は、直径7mmの円形開口で深さ10mmの凹部11と、その凹部の底面に設けられた直径6.3mmの円筒状の貫通穴15と、の対を4つ(2×2)有する、アルミニウム合金製のブロック状の部材である。なお、隣り合う凹部の中心間距離は10mmである。また、このベース部材10は、凹部11の前方に、前面視で全ての凹部11を包含する大きさの第2の光学部品(例えば集光用のレンズなど)を固定可能になっている。
【0043】
光源ユニット30は、光源20、光学部品25、及びこれらを保持する光源保持部材31で構成されている。光源保持部材31は、アルミニウム合金製の円筒状のホルダである。光源20は、発光中心波長455nm、定格出力1Wの窒化物半導体レーザ素子が銅合金製の直径5.6mmのステムに実装された半導体レーザ装置である。光学部品25は、NAが約0.6のBK7製のコリメータレンズである。この光源20と光学部品25は、光源保持部材31の内部に接着剤で固定されている。また、光源保持部材31は、光源20の発光点を略中心とする球面の一部となるように設計された曲面35を、その後方端部の外面に有している。
【0044】
そして、光源保持部材31は各々、ベース部材の凹部11に挿入され且つベース部材10の内部に収容されており、曲面35が穴15の開口端に当接した状態で、その向きが調整され、接着剤によりベース部材10に固定されている。また、ベース部材の凹部11の内面と光源保持部材31の外面との隙間には、シリコングリスである充填材40が充填されている。なお、光源保持部材31の向きを調整する治具は、ベース部材10の凹部11が設けられた面に螺子等で一時的に固定可能であり、光源保持部材31の前面を押圧可能なプランジャ(先端にボールやピンが付いたばねを内蔵した螺子)等の向き調整具50を備えた平板などを使用すれば良い。
【0045】
以上のように構成された本実施例1の光源装置は、光源20及び光学部品25の放熱性に優れ、高精度に調整された光軸やビーム平行度、光出力を安定して維持することができる。