(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記白色顔料が、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン又は酸化ジルコニウムの粒子、及びその他の材料の無機中空粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の粒子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射用熱硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(光反射用熱硬化性樹脂組成物)
本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(D)白色顔料を含有する。樹脂組成物は、(A)成分のエポキシ樹脂として、後述のフッ素化エポキシ樹脂((A1)成分)を含有する。以下、各成分について説明する。
【0020】
((A)成分;エポキシ樹脂)
光反射用熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A1)成分のフッ素化エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂である。
【化2】
【0021】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは0〜40の数を示す。
【0022】
一般式(1)において、nは0〜40であるが、好ましくは0〜20の範囲である。nが40を超えると分子量が大きくなるため粘度及び軟化温度が上昇し、取り扱い性が低下する傾向がある。このnの値はエポキシ樹脂の製造時におけるビスフェノール化合物に対するエピハロヒドリンのモル比で制御することができるが、式(1)のフッ素化エポキシ樹脂は、nが0の成分を10モル%以上含むことが好ましい。nが0の成分が10モル%より低い場合は粘度や軟化温度が上昇し、取り扱い性(例えば、他の成分との混合の容易さ)が低下する傾向がある。nの平均値は好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。
【0023】
一般式(1)で示されるフッ素化エポキシ樹脂のエポキシ当量は224〜2000であることが好ましい。エポキシ当量が2000を超えると軟化温度が上昇し、取り扱い性(例えば、他の成分との混合の容易さ)が低下する傾向がある。
【0024】
一般式(1)で示されるフッ素化エポキシ樹脂は、下記一般式(2)で示されるビスフェノール化合物とエピハロヒドリンとの付加・閉環反応をアルカリ金属水酸化物等の塩基の存在下で行うことにより得ることができる。
【0026】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。
【0027】
一般式(1)で示されるフッ素化エポキシ樹脂の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンから得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0028】
このようなエポキシ樹脂の製造原料となる一般式(2)で示されるビスフェノール化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらの中でR1、R2、R3及びR4が水素原子である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが原料入手の容易さの点で特に好ましい。
【0029】
エポキシ樹脂の製造原料としての一般式(2)で示されるビスフェノール化合物は、当該ビスフェノール化合物濃度が50質量%となるようにケトン系溶媒に溶解し、光路長が1cmの石英セルを使用して分光光度計で測定した、波長400nmの光の光線透過率(以下「光線透過率(50)」と称す場合がある。)が80%以上であると、得られる光反射用熱硬化性樹脂組成物の色相が良くなるため好ましい。色相が良くなるとは具体的には得られた光反射用熱硬化性樹脂組成物の光学反射率が高くなるという意味であり、これを用いた光半導体装置の光出力を向上させることができる。
【0030】
光線透過率(50)は、より具体的には、当該ビスフェノール化合物の濃度が50質量%(ただし、この濃度は高精度に50質量%である必要はなく、49.5〜50.5質量%程度の濃度範囲なら構わない)となるように、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の1種又は2種以上からなるケトン系溶媒へ溶解し、光路長が1cmの石英セルにこのビスフェノール化合物溶液を入れ、分光光度計装置を用いて400nmの波長で光線透過率を測定することにより求められる。
【0031】
ビスフェノール化合物の光線透過率(50)は高い程好ましく、特に85%以上であることが好ましい。光線透過率(50)の上限については特に制限はないが、通常95%以下である。
【0032】
一般式(2)で示されるビスフェノール化合物の光線透過率(50)が80%以上となるように色相を改善する方法としては、水溶性の有機溶媒と水(好ましくは純水)との混合溶媒中で再結晶化させて、不純物を除去し、色相を改善する方法や、還元剤、吸着剤を用いて脱色する方法が挙げられる。
【0033】
ビスフェノール化合物の再結晶に用いることのできる有機溶媒としては、水と相溶し得るものであれば特に制限はなく、アセトン、メチルエチルケトン、テトラハイドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、アセトニトリル、水溶性のアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の1価のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0034】
これらの有機溶媒の中で水溶性のアルコール類が、ビスフェノール化合物の純度が効果的に向上するという点で特に好ましく、再結晶に用いる有機溶媒と水の混合溶媒の混合比率は、有機溶媒5〜50質量%、水50〜95質量%とするのが好ましい。
【0035】
ビスフェノール化合物の再結晶は、通常の方法で行うことができ、例として、ビスフェノール化合物1質量部に対し、有機溶媒と純水の混合溶媒1〜50質量部を添加し、該混合溶媒の沸点近くまで温度を上げて均一な溶液とし、その後室温付近まで冷却させて、再びビスフェノール化合物の結晶を析出させる方法が挙げられる。
【0036】
還元剤又は吸着剤を用いてビスフェノール化合物を脱色する方法は、通常はビスフェノール化合物を溶媒等に溶解させた溶液と還元剤又は吸着剤を接触させ、還元剤によるキノン類の還元、吸着剤による不純物の吸着除去を行わせることにより行うことができる。
【0037】
ここで用いる還元剤の例としては、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドラジンヒドラート、アスコルビン酸、亜ニチアン酸ナトリウム、水素化ホウ酸ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、ポリメチルヒドロシロキサン、塩化第二スズ、三塩化チタン等のキノン類を還元し得る還元剤の1種又は2種以上が挙げられる。
【0038】
吸着剤としては、例えば、活性白土、活性炭、酸化マグネシウム、シリカゲル、アルミナ、シリカアルミナ等から選ばれる1種又は2種以上が使用できる。
【0039】
還元剤による処理と吸着剤による処理とを併用してもよく、その場合には還元剤による処理を行った後吸着剤による処理を行ってもよく、逆に吸着剤による処理を行った後、還元剤による処理を行ってもよい。
【0040】
還元剤、吸着剤による脱色処理を行う際、通常ビスフェノール化合物をエピクロルヒドリン及びアルコール系溶媒を用い、ビスフェノール化合物は通常10〜40質量%程度の濃度に溶解させて脱色処理に供される。脱色処理後にビスフェノール化合物を単離せず、続いてエポキシ化反応を行うことが好ましい。
【0041】
還元剤による脱色処理を行う場合、上述のようなビスフェノール化合物溶液に前述の還元剤を、ビスフェノール化合物に対して0.1〜5質量%程度添加して20〜50℃の温度で0.2〜3時間程度撹拌することによりキノン類を還元除去する。
【0042】
吸着剤による脱色処理を行う場合は、前述の吸着剤を充填したカラムにビスフェノール化合物溶液を通すか、ビスフェノール化合物溶液に吸着剤を添加して攪拌混合し、その後固液分離する。
【0043】
このような脱色処理や前述の再結晶を行うことにより、光線透過率(50)が80%以上のビスフェノール化合物を得ることができる。
【0044】
前述の脱色処理は、製造されたエポキシ樹脂に対して行うこともできる。この場合、エポキシ樹脂を溶解可能な有機溶媒の1種又は2種以上の溶媒に10〜50質量%程度の濃度に溶解させた溶液に対して前述のビスフェノール化合物に対すると同様の脱色処理を施せばよい。このような脱色処理を行うことにより、或いは、前述の再結晶や脱色処理で光線透過率(50)80%以上としたビスフェノール化合物を用いてエポキシ樹脂を製造することにより、光線透過率(80)80%以上の(A)成分のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0045】
(A)成分として用いられるエポキシ樹脂は、硬化剤と互いに相溶であることが好ましい。エポキシ樹脂について「硬化剤と互いに相溶」とは、エポキシ樹脂がその他の硬化剤と親和性を示し、均一な溶液または混合物として存在することを意味する。より具体的には、例えば、エポキシ樹脂と、硬化剤とを1/1の重量比で混合し、それら成分を120℃にて完全に溶解し、引き続き攪拌を行って得られる混合液について、30分にわたり静置した後に混合液の一部を取り出して目視した場合、成分間の分離がない透明な液体として確認できる状態を意味する。このような状態を、本明細書では「互いに相溶」と称し、成分が分離し不透明な液体となる場合を「互いに不溶」と称す。なお、互いに相溶ではあるが、溶解するまでに長い時間が必要であるようなエポキシ樹脂および硬化剤の組み合わせは、長時間にわたる加熱、すなわち、より多くの熱エネルギーを必要とすることから、生産性やコストの面で不利となる。そのため、短時間で相溶する組み合わせが好ましい。
【0046】
更に上記混合操作において、エポキシ樹脂および硬化剤の硬化反応物であるゲル等が析出する場合があるが、このような析出物による白濁がない混合物が得られるように適宜、温度や攪拌方法等混合条件を選択することが好ましい。また、高粘度の材料を選択すると、攪拌により気泡を巻き込んでしまい、得られた混合物は微小な気泡が原因となって、外観上、白濁しているように観察される場合がある。その際には、公知の減圧脱泡法により気泡を取り除いた後の混合物の透明性を判定することが好ましい。なお、「白濁」とは、電磁波の可視光領域における散乱がないことを示す。より具体的には、光のレイリー散乱、ミー散乱、回折散乱現象を生じるような、散乱中心を有する微粒子や微小な気泡が存在しないことを示す。
【0047】
上記フッ素化エポキシ樹脂は、結合エネルギーの高い結合を有するとともに、フッ素化された主骨格が疎水性を示し、光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化成型物表面の表面自由エネルギーを低下させる性質を有する。このような性質から、トランスファー成形時に樹脂組成物が成形金型へ張り付くことを抑制することが可能となる。そして、このような化合物と上記(B)〜(D)成分とを組み合わせることにより、高温環境下での酸化劣化による着色を抑制しつつ、高温で金型を用いる成形加工を行って十分な光反射率を有する成形体を製造する場合であっても、金型成形時に成形金型との離型性を十分確保することができ、高い光反射率、耐熱着色性及び成形加工性のすべてを高度に満足させることができる。
【0048】
上記フッ素化エポキシ樹脂の融点又は軟化点が、0〜150℃であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましい。フッ素化エポキシ樹脂の融点又は軟化点が0℃未満であると、光反射用硬化性樹脂組成物における白色顔料の分散性が低下する傾向にあり、トランスファー成形などのように金型を用いて成形する場合に樹脂バリが発生しやすくなる。このような樹脂バリが発生すると、これが光半導体搭載用基板上の汚染物として残存し、その後の工程において光半導体素子を搭載したときに十分な接続強度が得られず、不良の原因となる可能性がある。フッ素化エポキシ樹脂の融点又は軟化点が150℃よりも大きい場合には、硬化性樹脂組成物の溶融粘度が増加し、溶融させて流動状態として成形するときの加工特性が低下する傾向にある。
【0049】
上記フッ素化エポキシ樹脂の150℃における溶融粘度が1.0〜1000mPa・sであることが好ましい。この溶融粘度が1.0mPa・sよりも小さい場合には、光反射用硬化性樹脂組成物における白色顔料の分散性が低下する傾向にあり、トランスファー成形などのように金型を用いて成形する場合に樹脂バリが発生しやすくなる。このような樹脂バリが発生すると、これが光半導体搭載用基板上の汚染物として残存し、その後の工程において光半導体素子を搭載したときに十分な接続強度が得られず、不良の原因となるおそれがある。一方、上記の溶融粘度が1000mPa・sよりも大きい場合には、硬化性樹脂組成物の溶融粘度が増加し、溶融させて流動状態として成形するときの加工特性が低下する傾向にある。
【0050】
本明細書において、「150℃における溶融粘度」、「軟化点(融点)」および「数平均分子量(Mn)」はそれぞれ以下の測定方法により求められる。「150℃における溶融粘度」は、Reseach Equipment(London)LTD.製のICIコーンプレート型粘度計を用いて測定される。「軟化点(融点)」は、化合物をホットプレート上で加熱し、性状の変化を目視で確認する方法により得られる。「数平均分子量(Mn)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法に従って標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値を指し、より具体的には、GPC測定装置としてポンプ(株式会社日立製作所製、L−6200型)、カラム(TSKgel−G5000HXL及びTSKgel−G2000HXL、いずれも東ソー株式会社製、商品名)及び検出器(株式会社日立製作所製、L−3300RI型)を使用し、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、温度30℃、流量1.0ml/minの条件で測定される。
【0051】
熱硬化性樹脂組成物における上記フッ素化エポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の硬化後に固形分となる成分全量基準で、0.1〜20質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
【0052】
光反射用熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として、(A1)のフッ素化エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(A2)を更に含有することができる。この場合、高温環境下における光学反射率の低下を抑制する観点から、エポキシ樹脂(A2)の含有量は、一般式(1)で示されるフッ素化エポキシ樹脂(A1)100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましい。エポキシ樹脂(A2)を200質量部よりも多く用いる場合、(A1)のフッ素化エポキシ樹脂による耐熱性向上の効果が小さくなる可能性がある。
【0053】
エポキシ樹脂(A2)としては、エポキシ樹脂成形材料として一般に公知のものを使用することができ、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などをはじめとするフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換ビスフェノールなどのジグリシジルエーテル;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;及び脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
エポキシ樹脂(A2)は、無色又は例えば淡黄色の比較的着色していないものが好ましい。そのようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。
【0055】
硬化剤((B)成分)としては、上記ポリオルガノシロキサン骨格と2つ以上のエポキシ基とを有する化合物(A1)と反応して硬化物が得られるものであればよく、具体例として、酸無水物硬化剤、イソシアヌル酸誘導体、フェノール系硬化剤などが挙げられる。成形性および硬化物の機械特性の観点から、硬化剤は、その分子量が100〜400程度のものが好ましい。また、硬化剤は、無色又は例えば淡黄色の比較的着色していないものが好ましい。
【0056】
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0057】
イソシアヌル酸誘導体としては、例えば、1,3,5−トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0058】
フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノールなどのフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレンなどのナフトール類と、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどのアルデヒド基を有する化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる、ノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルとから合成されるフェノール・アラルキル樹脂;ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂などのアラルキル型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンとの共重合によって合成される、ジシクロベンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂などのジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;および、これら2種以上を共重合して得られるフェノール樹脂などが挙げられる。
【0059】
上記の硬化剤は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0060】
上記の硬化剤の中では、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、又は1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートなどを用いることが好ましい。これらは、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0061】
光反射用熱硬化性樹脂組成物における硬化剤の含有量は、(A)エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、当該エポキシ基と反応可能な(B)硬化剤中の活性基(酸無水物基や水酸基)が0.5〜1.2当量となるような割合であることが好ましく、0.6〜1.0当量となるような割合であることがより好ましい。上記活性基が0.5当量未満の場合には、光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化速度が遅くなるとともに、得られる硬化物のガラス転移温度が低くなり、充分な弾性率が得られない場合がある。一方、上記活性基が1.2当量を超える場合には、硬化後の強度が低下する場合がある。
【0062】
硬化触媒((C)成分)としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン類;2−エチル−4メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフェニルボレートなどのリン化合物;4級アンモニウム塩;有機金属塩類及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これら硬化触媒の中では、3級アミン類、イミダゾール類、又はリン化合物を用いることが好ましい。
【0063】
光反射用熱硬化性樹脂組成物における硬化触媒の含有量は、(A)エポキシ樹脂の全量を基準として、0.01〜8.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましい。硬化触媒の含有量が、0.01質量%未満では、十分な硬化促進効果を得られない場合があり、硬化触媒の含有量が8.0質量%を超えると、得られる硬化物(成形体など)に変色が見られる場合がある。
【0064】
白色顔料((D)成分)としては、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン又は酸化ジルコニウムの粒子、及びこれら以外の材料から形成された無機中空粒子が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。熱伝導性、及び光反射特性の観点からは、アルミナ粒子を用いることが好ましい。
【0065】
無機中空粒子は、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、又はシラスの粒子であってもよい。
【0066】
白色顔料の中心粒径は、0.1μm〜50μmの範囲にあることが好ましい。この中心粒径が0.1μm未満であると粒子が凝集しやすく分散性が低下する傾向があり、50μmを超えると硬化物の光反射特性が十分に得られにくくなる傾向がある。
【0067】
光反射用熱硬化性樹脂組成物における白色顔料の含有量は、樹脂組成物全量を基準として10〜85体積%の範囲であることが好ましい。白色顔料の含有量が10体積%未満であると、硬化物の光反射特性が十分に得られにくくなる傾向があり、85体積%を超えると、熱硬化性樹脂組成物の成形性が低下して、光半導体素子搭載用基板などの作製が困難となる可能性がある。
【0068】
光反射用熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外に、無機充填剤、酸化防止剤、離型剤、分散剤、イオン捕捉剤などの各種添加剤を更に含有することができる。
【0069】
無機充填剤としては、例えば、溶融球状シリカ、破砕状シリカ、シリカ、酸化アンチモン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。無機充填剤の中心粒径は、白色顔料とのパッキング効率を向上させる観点から、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。光反射用熱硬化性樹脂組成物における無機充填剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の硬化後に固形分となる成分全量を基準として、5〜75体積%の範囲であることが好ましい。
【0070】
光反射用熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤等が添加されていてもよい。この場合、(A1)成分などの樹脂成分と、白色顔料や無機充填剤などの無機成分との界面接着性を向上させることができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としては、一般にエポキシシラン系、アミノシラン系、カチオニックシラン系、ビニルシラン系、アクリルシラン系、メルカプトシラン系及びこれらの複合系等、公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の使用量は、白色顔料に対する表面被覆量を考慮して適宜調整することが好ましいが、硬化性を向上させる観点から、熱硬化性樹脂組成物全量を基準として5質量%以下とすることが好ましい。白色顔料や無機充填剤などが予め上記カップリング剤で処理されていてもよい。
【0071】
光反射用熱硬化性樹脂組成物は、その用途から、硬化後の、波長350〜800nmにおける光反射率が、80%以上となることが好ましい。この光反射率が80%未満である場合、光半導体装置の輝度向上に十分に寄与できない傾向がある。光反射用熱硬化性樹脂組成物は、上記光反射率が90%以上となるものであることが好ましい。また、光半導体装置の輝度を向上させる点で、硬化後の、波長460nmにおける光反射率が、80%以上となることが好ましく、90%以上となることがより好ましい。
【0072】
耐熱着色性を良好にする観点から、硬化後の成形物が、150℃の環境下に500時間晒す耐熱性試験の後でも、波長350〜800nmにおいて80%以上の光反射率を保持することが好ましい。より好ましくは、上述の耐熱性試験後の測定時に、波長460nmにおける光反射率が85%以上となることがより好ましく、90%以上となることがさらに好ましい。このような熱硬化性樹脂組成物の光反射特性は、樹脂組成物を構成する各種成分の配合量を適切に調整することによって実現することができ、より具体的には、無色の熱硬化樹脂成分と高屈折率の白色顔料を高充填することで達成できる。
【0073】
光反射用熱硬化性樹脂組成物は、先に例示した各種成分を均一に分散混合することによって調製することができ、混合手段や条件などは特に制限されない。調製方法としては、例えば、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー、らいかい機、自転と公転を組み合わせた攪拌混合機などの装置を用いて各種成分を混練し、次いで得られた混練物を冷却及び粉砕する方法が挙げられる。混練形式についても特に限定されないが、溶融混練とすることが好ましい。溶融混練時の条件は、使用する各種成分の種類や配合量によって適宜決定すればよく、特に制限はないが、例えば、15〜100℃の温度範囲で5〜40分間にわたって実施することが好ましく、20〜100℃の温度範囲で10〜30分間にわたって実施することがより好ましい。溶融混練の温度が15℃未満であると、各種成分を十分に溶融混練することが困難であり、分散性が低下する傾向がある。一方、溶融混練を100℃よりも高温で実施すると、樹脂組成物の高分子量化が進行し、基板などの成形品を成形する前に樹脂組成物が硬化してしまう恐れがある。また、溶融混練の時間が1分未満であると、基板などの成形時に金型から樹脂が染み出し、バリが発生しやすい傾向があり、40分よりも長いと、樹脂組成物の高分子化が進行し、成形前に樹脂組成物が硬化してしまう恐れがある。
【0074】
光反射用熱硬化性樹脂組成物を調製する際、(B)硬化剤として使用する化合物を、(A)エポキシ樹脂の一部又は全部と予備混合することが好ましい。このような予備混合を実施することによって、硬化剤のベース樹脂に対する分散性をさらに高めることができる。その結果、硬化剤の分散不具合に起因する金型及びパッケージ汚れの発生をより効果的に抑制することが可能となる。
【0075】
(A)エポキシ樹脂の全量と(B)硬化剤として使用する化合物との間で予備混合を実施しても差し支えないが、(A)エポキシ樹脂の一部との予備混合であっても十分な効果が得られる。その場合、予備混合に用いる(A)エポキシ樹脂の量は、成分全量の10〜50質量%とすることが好ましい。
【0076】
予備混合の方法は、特に制限されるものではなく、(B)硬化剤として使用する化合物を(A)エポキシ樹脂中に分散させることが可能であればよい。例えば、室温〜220℃の温度条件下で、0.5〜20時間にわたって両成分を攪拌する方法等が挙げられる。分散性及び効率性の観点からは、100〜200℃、より好ましくは150〜170℃の温度条件下、攪拌時間を1〜10時間、より好ましくは3〜6時間とすることが好ましい。ここで行う予備加熱混合は、例えば、(A)エポキシ樹脂100質量部、及び(B)硬化剤120質量部を耐熱ガラス製の容器に秤量し、この混合容器をシリコーンオイルや水などの流体を媒体とするヒーターを用いて、35℃〜180℃の温度範囲で加熱するなどの方法が挙げられる。加熱方法としては上記の方法に限定されるものではなく、熱電対、電磁波照射など公知の方法を用いることができ、さらに溶解を促進するために超音波などを照射してもよい。
【0077】
(光半導体素子搭載用基板)
本実施形態に係る光半導体素子搭載用基板は、底面及び壁面から構成される凹部を有する。凹部の底面が光半導体素子搭載部(光半導体素子搭載領域)であり、凹部の壁面、すなわち凹部の内周側面の少なくとも一部が上述の実施形態に係る光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
【0078】
図1は、光半導体素子搭載用基板の一実施形態を示す斜視図である。光半導体素子搭載用基板110は、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105(第1の接続端子および第2の接続端子)と、金属配線105(第1の接続端子および第2の接続端子)間に設けられた絶縁性樹脂成形体103’と、リフレクター103とを備え、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105及び樹脂成形体103’とリフレクター103とから形成された凹部200を有している。この凹部200の底面は、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105及び絶縁性樹脂成形体103’から構成され、凹部200の壁面はリフレクター103から構成される。リフレクター103及び絶縁性樹脂成形体103’が、上述の実施形態に係る光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる成形体である。
【0079】
光半導体素子搭載用基板の製造方法は特に限定されないが、例えば、光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いたトランスファー成形により製造することができる。
図2は、光半導体素子搭載用基板を製造する工程の一実施形態を示す概略図である。光半導体素子搭載用基板は、例えば、金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線105を形成し、電気めっきによりNi/Agめっき104を施す工程(
図2(a))、次いで、該金属配線105を所定形状の金型151に配置し、金型151の樹脂注入口150から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、所定の条件でトランスファー成形する工程(
図2(b))、そして、金型151を外す工程(
図2(c))を経て製造することができる。このようにして、光半導体素子搭載用基板には、光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるリフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200が形成される。また、凹部の底面は、第1の接続端子となる金属配線105及び第2の接続端子となる金属配線105と、これらの間に設けられ光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁性樹脂成形体103’とから構成される。なお、上記トランスファー成形の条件としては、金型温度170〜200℃、より好ましくは170〜190℃、成形圧力0.5〜20MPa、より好ましくは2〜8MPaで、60〜120秒間、アフターキュア温度120℃〜180℃で1〜3時間が好ましい。
【0080】
(光半導体装置)
本実施形態に係る光半導体装置は、上記光半導体素子搭載用基板と、当該光半導体素子搭載用基板に搭載された光半導体素子とを有する。より具体的な例として、上記光半導体素子搭載用基板と、光半導体素子搭載用基板の凹部内に設けられた光半導体素子と、凹部を充填して光半導体素子を封止する蛍光体含有封止樹脂部とを備える光半導体装置が挙げられる。
【0081】
図3は、光半導体素子搭載用基板110に光半導体素子100を搭載した状態の一実施形態を示す斜視図である。
図3に示すように、光半導体素子100は、光半導体素子搭載用基板110の光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置に搭載され、金属配線105とボンディングワイヤ102により電気的に接続される。
図4及び5は、光半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
図4及び5に示すように、光半導体装置は、光半導体素子搭載用基板110と、光半導体素子搭載用基板110の凹部200内の所定位置に設けられた光半導体素子100と、凹部200を充填して光半導体素子を封止する蛍光体106を含む透明封止樹脂101からなる封止樹脂部とを備えており、光半導体素子100とNi/Agめっき104が形成された金属配線105とがボンディングワイヤ102又ははんだバンプ107により電気的に接続されている。
【0082】
図6もまた、光半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
図6に示す光半導体装置では、リフレクター303が形成されたリード304上の所定位置にダイボンド材306を介してLED素子300が配置され、LED素子300とリード304とがボンディングワイヤ301により電気的に接続され、蛍光体305を含む透明封止樹脂302によりLED体素子300が封止されている。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、本発明の光反射用熱硬化性樹脂組成物は光反射コート剤として用いることができる。この実施形態として、銅張積層板、光半導体素子搭載用基板及び光半導体素子について説明する。
【0084】
本実施形態に係る銅張積層板は、上述した光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成された光反射樹脂層と、該白色樹脂層上に積層された銅箔と、を備える。
【0085】
図7は、銅張積層板の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
図7に示すように、銅張積層板400は、基材401と、該基材401上に積層された白色樹脂層402と、該白色樹脂層402上に積層された銅箔403と、を備えている。ここで、白色樹脂層402は、上述した光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されている。
【0086】
基材401としては、銅張積層板に用いられる基材を特に制限なく用いることができるが、例えば、エポキシ樹脂積層板等の樹脂積層板、光半導体搭載用基板などが挙げられる。
【0087】
銅張積層板400は、例えば、樹脂組成物を基材401表面に塗布し、銅箔403を重ね、加熱加圧硬化して上記樹脂組成物からなる白色樹脂層402を形成することにより作製することができる。
【0088】
樹脂組成物の基板401への塗布方法としては、例えば、印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布方法を用いることができる。このとき、光反射用熱硬化性樹脂組成物には、塗布が容易となるように溶媒を含有させることができる。なお、溶媒を用いる場合、上述した各成分の配合割合で樹脂組成物全量を基準としたものについては、溶媒を除いたものを全量として設定することが好ましい。
【0089】
加熱加圧の条件としては、特に限定されないが、例えば、130〜180℃、0.5〜4MPa、30〜600分間の条件で加熱加圧を行うことが好ましい。
【0090】
上記銅張積層板を使用し、LED実装用等の光学部材用のプリント配線板を作製することができる。なお、
図7に示した銅張積層板400は、基材401の片面に白色樹脂層402及び銅箔403を積層したものであるが、銅張積層板は、基材401の両面に白色樹脂層402及び銅箔403をそれぞれ積層したものであってもよい。また、銅張積層板は、基材401を用いることなく、白色樹脂層402及び銅箔403のみで構成されていてもよい。この場合、白色樹脂層402が基材としての役割をはたすこととなる。この場合、例えば、ガラスクロス等に樹脂組成物を含浸させ、硬化させたものを白色樹脂層402とすることができる。
【0091】
図8は、銅張積層板を用いて作製された光半導体装置の一例を示す模式断面図である。
図8に示すように、光半導体装置500は、光半導体素子410と、該光半導体素子410が封止されるように設けられた透明な封止樹脂404とを備える表面実装型の発光ダイオードである。光半導体装置500において、半導体素子410は、接着層408を介して銅箔403に接着されており、ワイヤー409により銅箔403と電気的に接続されている。
【0092】
更に、光半導体素子搭載用基板の他の実施形態として、上述した光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いて、基材上の複数の導体部材(接続端子)間に形成された白色樹脂層を備える光半導体素子搭載用基板が挙げられる。また、光半導体装置の他の実施形態は、上記の光半導体素子搭載用基板に光半導体素子を搭載してなるものである。
【0093】
図9は、光半導体装置の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
図9に示すように、光半導体装置600は、基材601と、該該基材601の表面に形成された複数の導体部材602と、複数の導体部材(接続端子)602間に形成された、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物からなる白色樹脂層603と、を備える光半導体素子搭載用基板に、光半導体素子610が搭載され、該光半導体素子610が封止されるように透明な封止樹脂604が設けられた、表面実装型の発光ダイオードである。光半導体装置600において、光半導体素子610は、接着層608を介して導体部材602に接着されており、ワイヤー609により導体部材602と電気的に接続されている。
【0094】
基材601としては、光半導体素子搭載用基板に用いられる基材を特に制限なく用いることができるが、例えば、エポキシ樹脂積層板等の樹脂積層板などが挙げられる。
【0095】
導体部材602は、接続端子として機能するものであり、例えば、銅箔をフォトエッチングする方法等、公知の方法により形成することができる。
【0096】
光半導体素子搭載用基板は、光反射用熱硬化性樹脂組成物を基材601上の複数の導体部材602間に塗布し、加熱硬化して上記光反射用熱硬化性樹脂組成物からなる白色樹脂層603を形成することにより作製することができる。
【0097】
光反射用熱硬化性樹脂組成物の基板601への塗布方法としては、例えば、印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布方法を用いることができる。このとき、光反射用熱硬化性樹脂組成物には、塗布が容易となるように溶媒を含有させることができる。なお、溶媒を用いる場合、上述した各成分の配合割合で樹脂組成物全量を基準としたものについては、溶媒を除いたものを全量として設定することが好ましい。
【0098】
光反射用熱硬化性樹脂組成物の塗膜を加熱硬化する際の加熱条件としては、特に限定されないが、例えば、130〜180℃、30〜600分間の条件で加熱を行うことが好ましい。
【0099】
その後、導体部材602表面に余分に付着した樹脂成分は、バフ研磨等により除去し、導体部材602からなる回路を露出させ、光半導体素子搭載用基板とする。
【0100】
また、白色樹脂層603と導体部材602との密着性を確保するために、導体部材602に対して酸化還元処理やCZ処理(メック株式会社製)等の粗化処理を行なうことも好ましい。
【実施例】
【0101】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0102】
<光反射用熱硬化性樹脂組成物の調製>
(実施例1〜8及び比較例1〜5)
実施例1〜8及び比較例1〜5については、表1及び表2に示す配合割合(質量部)に従って、各成分を配合し、ミキサーによって十分に混練分散した後、ミキシングロールにより135℃で15分溶融混練することによって混練物を得た。次に、得られた混練物を冷却し、それらを粉砕することによって、白色固体状の光反射用熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
【0103】
なお、各表に示した各原料の配合量の単位は全て質量部であり、「−」の記載部分は該当する原料の配合がないことを意味している。
【0104】
表1及び2中、*1〜11の詳細は以下のとおりである。*1〜6の、エポキシ当量、軟化点(融点)、及び数平均分子量については表1及び2中に示す。
【0105】
*1:式(1)で表されるフッ素化エポキシ樹脂(フッ素化エポキシ樹脂1、R
1、R
2、R
3及びR
4が水素原子、n=0〜10、エポキシ当量238)
*2:式(1)で表されるフッ素化エポキシ樹脂(フッ素化エポキシ樹脂2、R
1、R
2、R
3及びR
4が水素原子、n=0〜10、エポキシ当量417)
*3:式(1)で表されるフッ素化エポキシ樹脂(フッ素化エポキシ樹脂3、R
1、R
2、R
3及びR
4が水素原子、n=0〜10、エポキシ当量484)
【0106】
【化4】
【0107】
*4:トリスグリシジルイソシアヌレート(日産化学社製、商品名:TEPIC−S)
*5:水素化ビスフェノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:YX8040)
*6:式(1)のフッ素化エポキシ樹脂とは異なるビスフェノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:1001)
*7:ヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製、商品名:HH)
*8:テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチエート(日本化学工業社製、商品名:PX−4ET)
*9:溶融シリカ(電気化学工業社製、商品名:FB−950)
*10:溶融シリカ(アドマテックス社製、商品名:SO−25R)
*11:酸化チタン(石原産業社製、商品名:CR63)
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
<光反射用熱硬化性樹脂組成物の評価>
実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた光反射用熱硬化性樹脂組成物を、成形金型温度180℃、成型圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件でトランスファー成形した後、150℃で2時間の後硬化を行って、厚み1.0mmの試験片を作製した。得られた試験片を用い、下記の方法にしたがって初期および熱処理後の光反射率の測定を行った。
【0111】
(光反射率の測定)
[初期]
上記で得られた試験片について、積分球型分光光度計CM600d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、波長460nmにおける光反射率を測定した。
【0112】
[熱処理後]
上記で得られた試験片を一定温度のオーブン中に入れ、表に示す条件での熱処理をそれぞれ施した。各熱処理後の試験片について、上記と同様にして光反射率を測定した。
【0113】
表1に示すように、実施例1〜8の樹脂組成物によれば、トランスファー成形によって光反射率が十分に高い成形体が得られ、成形体の熱処理後の反射率低下、即ち着色を高度に抑制できることが確認された。また実施例8のようにフッ素化エポキシ樹脂の含有量が増加するほど、熱処理後の反射率低下が抑制されていることがわかる。
【0114】
(吸水率の測定)
上記で得られた試験片を、85℃、相対湿度85%の環境下で230時間処理し、処理後の吸水率を測定した。