(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回路形成用の第一の金属層、絶縁層及び第二の金属層がこの順に積層された配線板材料における前記第二の金属層に、耐熱性セパレータ付き粘着剤層を積層する、または粘着剤層を積層した後に耐熱性セパレータを積層する粘着剤層積層工程と、
前記粘着剤層積層工程の後で、前記回路形成用の第一の金属層から回路を形成して金属回路層を作製し、配線板材料から配線板とする工程と、
前記金属回路層上に半導体部品を実装する半導体部品実装工程と、
前記耐熱性セパレータを剥離して、前記粘着剤層上に筐体を貼付する貼付工程と、
を含む電子部品の製造方法。
金属回路、絶縁層及び第二の金属層がこの順に積層された配線板における前記第二の金属層に、耐熱性セパレータ付き粘着剤層を積層する、または粘着剤層を積層した後に耐熱性セパレータを積層する粘着剤層積層工程と、
前記金属回路層上に半導体部品を実装する半導体部品実装工程と、
前記耐熱性セパレータを剥離して、前記粘着剤層上に筐体を貼付する貼付工程と、
を含む電子部品の製造方法。
前記貼付工程において、前記配線板に付された前記粘着剤層と前記筐体とを対向させ、前記配線板の長尺方向の一方の端部を前記筐体に付け、もう一方の他端部は前記筐体から離し、前記他端部を徐々に前記筐体に近づけながら、前記一方の端部から前記他端部に向けて加圧し、前記粘着剤層と前記筐体とを貼付する請求項1または請求項2に記載の電子部品の製造方法。
前記耐熱性セパレータが、基材としてアルミニウム箔及び銅箔から選択される少なくとも1種の金属箔を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0020】
なお、本発明における配線板材料30とは、
図1に示すように、回路形成用の第一の金属層10、絶縁層12、及び第二の金属層14がこの順に積層された積層体をいう。また配線板31とは、
図2に示すように、金属回路層11、絶縁層12、及び第二の金属層14がこの順に積層された積層体をいう。金属回路層11は、第一の金属層10から回路が形成されたものである。さらに回路基板32とは、
図3に示すように、半導体部品40、金属回路層11、絶縁層12、及び第二の金属層14がこの順に積層された積層体をいう。
【0021】
<電子部品の製造方法>
本発明の電子部品の製造方法は、回路形成用の第一の金属層、絶縁層及び第二の金属層がこの順に積層された配線板材料、又は前記第一の金属層から回路が形成された金属回路層、絶縁層及び第二の金属層がこの順に積層された配線板、における前記第二の金属層に、耐熱性セパレータ付き粘着剤層を積層する、または粘着剤層を積層した後に耐熱性セパレータを積層する粘着剤層積層工程と、前記粘着剤層積層工程において、配線板材料を用いた場合には、前記粘着剤層積層工程の後で、前記回路形成用の第一の金属層から回路を形成して金属回路層を作製し、配線板材料から配線板とする工程と、前記金属回路層上に半導体部品を実装する半導体部品実装工程と、前記耐熱性セパレータを前記粘着剤層との界面で剥離して、前記粘着剤層上に筐体を貼付する貼付工程と、をこの順に含む。この一連の製造工程の一例を
図4に示す。
なお、耐熱性セパレータ付き粘着剤層とは、耐熱性セパレータに粘着剤層を予め積層させたものをいい、この場合の耐熱性セパレータを基材とも称する。本発明では、耐熱性セパレータ付き粘着剤層を用いても、耐熱性セパレータと粘着剤層とを別々に準備して用いてもよい。
【0022】
本発明の電子部品の製造方法では、半導体部品の実装前に、配線板材料30又は配線板31に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18を積層させる、または配線板材料30又は配線板31に粘着剤層16を積層してから耐熱性セパレータ22を積層させる。そのため、半導体部品実装前の平坦な配線板材料30又は配線板31に粘着剤層16を積層させることができる。この結果、粘着剤層16を積層する際に、(1)配線板材料30又は配線板31の変形を抑えることができ、また(2)ラミネータ等の装置を用いることができる。ラミネータ等の装置を用いると、充分に加圧しながら粘着剤層16を貼り付けることができるため、配線板材料30又は配線板31における第二の金属層14と粘着剤層16の間に気泡が巻き込まれるのが抑えられる。また、粘着剤層18と配線板31が充分に固定されているため、互いの積層位置がずれるのが抑えられる。また、位置合わせを手作業等で慎重に行いながら積層しなくともよく、作業性が向上する。
【0023】
以上から、本発明の電子部品の製造方法では、半導体部品40の実装に先立って配線板材料30又は配線板31に粘着剤層16が設けられることで、配線板材料30又は配線板31における第二の金属層14と粘着剤層16の密着性に優れ、配線板31(更には回路基板32)と筐体70との熱伝導性により優れた電子部品を作業性よく製造することができる。
【0024】
更に、本発明の電子部品の製造方法では耐熱性セパレータ22を用いるため、配線板材料30又は配線板31の取り扱い性に優れる。なお、本発明では、耐熱性セパレータ22が耐熱性を有することから、リフロー処理などの加熱によって金属回路層11上に半導体部品40を実装する際の配線板31の変形を抑制することができる。
また、配線板材料30又は配線板31が第二の金属層14を有することで熱伝導性に優れる配線板31を構成できる。また第二の金属層14が耐熱性セパレータ22で被覆されていることで、配線板31に半導体部品40を実装する際に第二の金属層14が酸化等されることを抑制し、熱伝導性が低下することを抑制できる。
【0025】
以下では、上記の本発明の電子部品の製造方法について、図を参照しながら、従来の製造方法と比較する。
【0026】
まず、従来の電子部品の製造方法について、
図12を参照しながら説明する。
従来の電子部品の製造方法では、
図12(A)に示すように、まず、配線板31に半導体部品40が実装された回路基板32を準備する。図示しないが、配線板31は、半導体部品40が設けられた側から順に、金属回路層、絶縁層及び第二の金属層がこの順に積層されている。回路基板32では、半導体部品40が実装されているため、この半導体部品40が突出して設置されている。
そして、
図12(B)に示すように、回路基板32の半導体部品40側を下向きとし、配線板31の第二の金属層側を上向きとして台50の上に配置させ、次いで、
図12(C)に示すように、第二の金属層にセパレータ付き粘着剤層19を積層させる。セパレータ付き粘着剤層19は、粘着剤層16およびセパレータ23が積層されている。
【0027】
上記手順によりセパレータ付き粘着剤層19を積層させているため、
図12(D)に示すように、第二の金属層が金属箔である場合には、セパレータ付き粘着剤層19を積層するための応力(
図12(D)では指60による応力)により、配線板31が変形する場合があった。また、セパレータ付き粘着剤層19を積層するための応力によって、半導体部品40、あるいは半導体部品40と配線板31の接続部が損傷する場合があった。
【0028】
そのため、従来の方法では、低い応力によってセパレータ付き粘着剤層19を積層させることがあり、部分的に粘着剤層16が密着されていないことがあった。半導体部品40の熱は粘着剤層16を経由して筐体に逃がされるため、粘着剤層16の第二の金属層に対する接触面積が減少した場合は、放熱性も低下する。つまり、粘着剤層16と回路基板32の密着不良により、放熱性が低下する場合があった。また、指60などによって押圧を微調整しながら慎重に積層させる必要があるため、作業性が低くなる。
【0029】
また、低い応力によってセパレータ付き粘着剤層19を積層させるため、更には指60などによって手動で積層させるため、気泡を巻き込んだ状態で粘着剤層16が積層される場合があり、この気泡による空気層が形成されることで、放熱性がさらに低下する場合があった。一方で、粘着剤層16に気泡を巻き込まないように積層を慎重に行うと、この積層の速度が低下し、作業性が低下する場合があった。
【0030】
また、回路基板32にセパレータ付き粘着剤層19を手80で位置合わせして積層するため、
図12(E)のように、セパレータ付き粘着剤層19が回路基板32からずれて積層されることがあった。なお、
図12(E)は、回路基板32上に耐熱性セパレータ付き粘着剤層19を設けた部品実装配線板積層体を、セパレータ23側から観察したときの平面図である。
図12(E)の部品実装配線板積層体のようにずれて積層されると、粘着剤層16の回路基板32との接触面積が減少し、放熱性も低下する。つまり、粘着剤層16と回路基板32の位置ずれにより、放熱性は低下する。
なお、粘着剤層16の位置ずれや粘着剤層16の気泡巻き込み等は、粘着剤層16の除去及び再積層が必要となるため、作業性がさらに低下することがあった。
【0031】
これに対し、本発明では、
図5(A)に示すように、半導体部品の実装工程の前に、配線板材料30又は配線板31に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18を積層するか、あるいは配線板材料30又は配線板31に粘着剤層16を積層した後に耐熱性セパレータ22を積層する。そのため、第二の金属層として金属箔を用いた配線板材料30又は配線板31であっても、セパレータ付き粘着剤層19、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を積層するための応力によって、配線板材料30又は配線板31が変形するのが抑制される。
【0032】
また、半導体部品40の実装工程の前に、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を配線板材料30又は配線板31に積層するため、
図5(B)に示すように、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22は、ラミネータロール等のラミネータ装置を用いて積層することができる。ラミネータ装置を用いれば、リールなどに巻き付けた形態の耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22をラミネータ装置の一部に固定することができる。これにより
図5(C)に示すように、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22と配線板材料30又は配線板31との位置ずれ(特に幅方向のずれ)が抑制できる。なお
図5(C)は、配線板材料30又は配線板31上に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を設けた積層体を、耐熱性セパレータ側22から観察したときの平面図である。
【0033】
このように、従来の方法では、セパレータ付き粘着剤層19、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ23の積層が、半導体部品40が実装された回路基板32に行われるため、突出した半導体部品40の存在によって回路基板32の固定が困難であることに比べて、本発明では、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22が平坦な配線板材料30又は配線板31に積層されるため、配線板材料30又は配線板31の固定が容易となっている。そのため、ラミネータ装置によって、配線板材料30又は配線板31の幅方向の位置固定と、積層箇所の幅方向の位置固定と、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22の幅方向の位置固定が実現され、位置ずれが抑制できる。
【0034】
このようにして、
図6(A)に示すような、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を積層した配線板材料30又は配線板31を得ることができる。配線板材料30に、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を積層した場合には、その後で、配線板材料30における第一の金属層10を回路形成し、金属回路層11とする。さらに、金属回路層11に半導体部品40を実装することで、
図6(B)に示すような、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を備えた回路基板(部品実装配線板積層体)を得ることができる。
【0035】
さらに、この耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を備えた回路基板(部品実装配線板積層体)から耐熱性セパレータ22を剥離し、露出した粘着剤層16を筐体70に貼りつけることで、
図6(C)に示すような電子部品が得られる。
【0036】
また、
図7は、配線板材料30上に粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を設けた配線板材料積層体を、耐熱性セパレータ22側から観察したときの平面図である。
図7に示すような配線板材料30へ粘着剤層16を積層する場合は、その後、粘着剤層16は配線板材料30とともに外形加工されるため、粘着剤層16と配線板材料30との位置ずれは発生せず、それに付随した放熱性低下等の問題も発生しない。さらに、配線板材料30は外形加工された配線板31に比べて面積が大きいため、個片化された配線板31への積層に比べて、積層工程数を少なくすることができる。
以下では、本発明の電子部品の製造方法に用いる部材を説明する。
【0037】
(配線板材料)
図1に示すように、配線板材料30は、回路形成用の第一の金属層10と、絶縁層12と、及び第二の金属層14とがこの順に積層され、必要に応じてその他の層をさらに含んで構成される。
【0038】
本発明における第一の金属層10は回路を形成可能な金属からなるものであれば特に制限はないが、一般的には金属箔を用いて構成される。
金属箔としては、銅、アルミ、鉄、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロム、モリブデン又はこれらの合金の箔が好適に用いられる。これらの中でも銅箔が好ましい。
第一の金属層10の厚みは回路を形成可能である限り特に制限されない。例えば、熱伝導性、加工性及び軽量化の観点から、平均厚みは5μm〜500μmであることが好ましく、30μm〜200μmであることがより好ましい。
【0039】
金属箔の絶縁層12と接する面には、絶縁層12との接着力を高めるために、化学的粗化、コロナ放電、サンディング及びめっきや、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等によって機械的又は化学的な処理が施されていてもよい。
第一の金属層10は絶縁層12の全面に設けられていても、一部の領域にのみ設けられていてもよい。
【0040】
本発明における第二の金属層14は、絶縁層12の第一の金属層10が設けられた面とは反対側の面(以下、「裏面」ともいう)に設けられる。配線板材料30が第二の金属層14を有することで熱伝導性と加工性に優れる配線板31を構成できる。
第二の金属層14は一般的には金属箔を用いて構成される。第二の金属箔としては、第一の金属層10における金属箔と同様のものを挙げることができ、銅箔が好適に用いられる。なお、加工性や軽量化の観点からは、アルミニウムが好適に用いられる。
【0041】
第二の金属層14の厚みは特に制限されないが、剛性の観点から平均厚みは17μm〜2mmであることが好ましく、流通性の観点から35μm〜1.5mmであることがより好ましく、軽量化の観点から35μm〜1mmであることがさらに好ましい。また、熱伝導性、加工性及び軽量化の観点から、50μm〜500μmであることが好ましく、70μm〜200μmであることがより好ましい。
【0042】
第二の金属層14を構成する金属箔の絶縁層12と接する面には、絶縁層12との接着力を高めるために、化学的粗化、コロナ放電、サンディング及びめっきや、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等によって機械的又は化学的な処理が施されていてもよい。
第二の金属層14は絶縁層12の全面に設けられていても、一部の領域にのみ設けられていてもよいが、熱伝導性と加工性の観点から、絶縁層12の全面に設けられていることが好ましい。
【0043】
本発明における絶縁層12は、絶縁性の樹脂シートから構成されることが好ましい。絶縁層12を構成する樹脂は特に制限されない。樹脂としては例えば、ポリイミド、ポリエステル等の高分子量樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0044】
前記樹脂のなかでも、機械特性や電気特性の観点から、少なくとも1種がポリイミド樹脂またはポリイミド前駆体であることが好ましい。ポリイミド前駆体であるポリアミック酸は製造過程でポリイミドに変換される。
【0045】
また、前記ポリイミド前駆体を含む樹脂組成物として、エポキシ化合物、アクリル化合物、ジイソシアネート化合物、フェノール化合物等の硬化成分、フィラー、粒子、色材、レベリング剤、カップリング剤等の添加成分を任意に混合することも可能である。
【0046】
前記フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカなどが挙げられるが、中でも、アルミナであることが好ましい。
【0047】
これらの硬化成分および添加成分の含有量は、ポリイミド樹脂使用の効果である機械特性や電気特性を低下させない観点から、ポリイミド樹脂の含有量よりも少なくすることが好ましい。
【0048】
絶縁層12の厚みは特に制限されない。例えば、放熱性の観点から平均厚みは3μm〜200μmとすることができ、3μm〜150μmであることが好ましく、5μm〜130μmであることがより好ましく、9μm〜110μmであることがさらに好ましく、9μm〜40μmであることがさらに好ましい。
【0049】
絶縁層12内の積層数は特に制限されず、1層でもよく、2層以上の多層構造でもよい。例えば、2層の構造では、1層目が高い絶縁破壊電圧を示す層であり、2層目は高い接着力を示す層である等、求める機能が異なってもよい。
【0050】
配線板材料30の厚みは特に制限されないが、熱伝導性と軽量化の観点から、平均厚さが50μm以上700μm以下であることが好ましく、25μm以上600μm以下であることがより好ましく、50μm以上500μm以下であることがさらに好ましく、55μm以上440μm以下であることがさらに好ましく、70μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。
尚、配線板材料30の平均厚さは、5点の厚さを測定しその算術平均値として与えられる。
【0051】
配線板材料30として具体的には、従来の芳香族ポリイミドのような非熱可塑性ポリイミドのフィルムを高分子絶縁フィルムとして用いた金属箔付フレキシブル基板、ポリイミドフィルム上に銅などの金属を蒸着やスパッタで成膜した配線板材料、熱成形可能な液晶ポリマーを使用した配線板材料などを挙げることができる。特に、耐熱性に優れる点で、特開2007−273829号公報、WO2007/049502号パンフレット、特開2007−168123号公報等に記載されているエポキシ樹脂やアクリル樹脂等を用いた接着剤を用いないフレキシブル基板又はフレキシブルプリント配線板を好ましく用いることができる。
【0052】
(配線板)
図2に示すように、配線板31は、金属回路層11と、絶縁層12と、及び第二の金属層14とがこの順に積層され、必要に応じてその他の層をさらに含んで構成される。
【0053】
本発明における金属回路層11は、回路形成用の第一の金属層10から回路を形成して得ることができる。第一の金属層10に回路を形成する工程は、配線板材料の金属層を回路加工するのに通常用いられる方法から適宜選択して行うことができる。例えば、印刷、フォトレジストフィルム等を使用して、第一の金属層10上に回路形成用のレジストを所望の形状に形成する工程と、第一の金属層10のレジストが形成されていない領域を、腐食性の液でエッチングして除去する工程とを含む方法で回路を形成することができる。
【0054】
本発明においては、第二の金属層14が耐熱性セパレータ22で保護されるため、第二の金属層14がエッチングによってダメージを受けることなく、第一の金属層10に回路を形成することができる。特に、第一の金属層10及び第二の金属層14の厚みを薄くすること(例えば、30μm以上100μm以下)により、耐熱性セパレータ22を備えた配線板材料30の外周部に保護材を使用する必要がなくなり、より容易に回路加工ができる。
その他の構成は、配線板材料30と同様であるため説明を省略する。
【0055】
なお、配線板31は、半導体部品40、配線用コネクタ等を搭載するためのパッド部を除き、ソルダーレジストが表面に形成されていることが望ましい。配線板31は回路形成及びソルダーレジスト形成の後に、回路基板32として使用するためのサイズに、あるいはそのサイズの配線板31がいくつか繋がったサイズに外形加工されることが好ましい。それらの外形加工された配線板31に半導体部品40を実装し、回路基板32が得られる。また、半導体部品40が実装された後に回路基板32が外形加工されてもよい。
【0056】
なお、本発明では、配線板31に半導体部品40を実装するに先立ち、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を配線板材料30又は配線板31に積層する。
【0057】
(耐熱性セパレータ)
耐熱性セパレータ22において、耐熱性とは250℃の雰囲気下で1分間熱処理した後の収縮率が、長さ基準で3%以下であることを意味する。具体的には、以下のようにして収縮率が算出される。
長さ10cm×10cm、厚さ20μm〜100μmのシート状に加工した評価用の樹脂シートを用意する。評価用の樹脂シートについて25℃で対角線の長さを測定する。次いで250℃の雰囲気下で1分間熱処理した後、室温で放冷した評価用の樹脂シートについて25℃で対角線の長さを測定し、熱処理後の対角線の長さを熱処理前の対角線の長さで除して収縮率を算出する。
【0058】
耐熱性セパレータ22の材質としては特に制限はないが、はんだリフロー工程で著しい変形や変質が起こらない耐熱性があるものが好ましい。具体的には例えば、紙、不織布、金属箔等を挙げることができる。中でも、耐熱性の観点から、紙、又は金属箔が好ましく、耐酸性、耐アルカリ性及び耐水性の観点から、金属箔であることがより好ましい。
【0059】
前記金属箔は、アルミニウム箔および銅箔から選ばれる少なくとも1種の金属箔であることがより好ましい。
【0060】
耐熱性セパレータ22の厚みは特に制限されないが、加工性や取り扱い性の観点から平均厚みは5μm〜200μmであることが好ましく、9μm〜110μmであることがより好ましく、17μm〜80μmであることがさらに好ましく、20μm〜60μmであることがさらに好ましい。耐熱性セパレータ22の平均厚みが5μm以上の場合には取扱性に優れ、200μm以下の場合には加工性や副資材のコストの点で優れる。
【0061】
[粘着剤層]
本発明で使用する粘着剤層16は、回路基板32を筐体70に固定できるものであれば特に制限はないが、膜厚が均一な点で両面粘着テープの形態で使用されることが好ましい。このような両面テープは粘着剤だけで形成されていてよく、また粘着剤層16が基材を含んで形成されたものでもよい。熱抵抗が低い観点から粘着剤層16は基材を含まないことが好ましい。粘着剤層16は粘着剤の少なくとも1種を含んで構成される。
【0062】
粘着剤は、例えば、高分子量成分、タッキファイヤ及び必要に応じてその他添加物を含んで構成される。粘着剤を構成する高分子量成分として具体的には、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ブタジエンゴム、アクリルゴム、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、それらの混合物等が挙げられる。
【0063】
これらの中でも、耐熱性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、架橋剤により架橋された粘着剤が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種とこれらと共重合可能な不飽和モノマーを材料として構成される。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびそれらの混合物を意味する。
【0064】
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、スチレン等を挙げることができる。
【0065】
接着力を高める観点から好ましくは粘着剤層16中に(メタ)アクリル酸エステル共重合体を70体積%以上含むことが望ましく、80体積%以上含むことがより好ましく、90体積%以上含むことがさらに好ましい。70体積%以上の場合は、粘着力が充分となる。
【0066】
本発明に好適に用いられる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、接着力を高める観点から好ましくは20万〜150万であり、より好ましくは30万〜120万であり、さらに好ましくは40万〜100万であり、さらに好ましくは40万〜80万である。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が20万以上であると、通常の架橋剤配合量を添加した場合にも、粘着剤の凝集力が十分に得られ、良好な粘着特性が得られる。また重量平均分子量が150万以下であると良好な粘着特性が得られる。
尚、アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
【0067】
アクリル酸エステル共重合体の官能基は、接着力の向上に有効な官能基であれば制限はなく、カルボキシ基、水酸基、エポキシ基、ニトリル基などが挙げられる。なかでも、接着力の耐熱性が高いことから、カルボキシ基、水酸基またはエポキシ基を有することが好ましく、カルボキシ基を有することがより好ましい。カルボキシ基、水酸基またはエポキシ基を有することは部品実装時などの高温加熱におけるアクリル酸エステル共重合体の接着力の低下を抑制できる点で好ましい。
【0068】
また、柔軟性を損なわない範囲で架橋構造を含ませることが、長期間の密着保持性と膜強度の点で好ましい。アクリル酸エステル共重合体の前記官能基と結合する官能基を2個以上有する架橋剤をアクリル酸エステル共重合体と反応させてもよい。例えば、−OH基等の極性基を有するアクリル酸エステル共重合体に、複数のイソシアネート基やエポキシ基等の前記極性基と結合する官能基を持つ化合物を反応させることで、アクリル酸エステル共重合体に架橋構造を含ませることができる。架橋剤としては特に制限されない。例えば、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、金属キレートなどが挙げられる。
【0069】
前記架橋剤の含有量としては例えば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に対して0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.02質量%〜5質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることがさらに好ましく、2質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。架橋剤量が0.01%以上の場合は、長期間の密着保持性に優れる。また、架橋剤量が10%以下の場合は、良好な粘着特性が得られる。
【0070】
粘着剤層16の膜厚は特に制限されない。例えば100μm以下とすることができる。熱伝導性の観点から、1μm〜100μmであることが好ましく、3μm〜80μmであることがより好ましく、5μm〜70μmであることがさらに好ましい。
粘着剤層16の膜厚が1μm以上の場合、十分な粘着性が得られる傾向があり、回路加工時のエッチング工程で第二の金属層14を適切に保護することが可能である。また100μm以下であると、良好な熱伝導性が得られる傾向があり、さらに生産性に優れる。
【0071】
粘着剤層16の熱抵抗は特に制限されないが、放熱性の観点から6℃・cm
2/W以下であることが好ましく、高放熱性の観点から4℃・cm
2/W以下であることがより好ましく、高温駆動素子への適用の観点から3℃・cm
2/W以下であることがさらに好ましい。粘着剤層16の熱抵抗が6℃・cm
2/W以下の場合は、半導体部品40の温度低下が十分となる。
【0072】
なお、本発明において熱抵抗は以下のように測定される。10mmφの2枚の金属円板に粘着剤層16を挟んだ試料において、レーザーフラッシュ法やXeフラッシュ法により粘着剤層16の熱伝導率を測定し、次いで、粘着剤層16の厚み[mm]に10を乗算し、熱伝導率[W/mK]で除算することで、粘着剤層16の熱抵抗[℃・cm
2/W]を評価することができる。
【0073】
粘着剤層16のピール強度は特に制限されないが、空気中で260℃2分間熱処理した後の粘着剤層16のピール強度が、熱処理前の粘着剤層16のピール強度に比べて30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0074】
粘着剤層16は配線板31とともに半導体部品40実装のために加熱(リフロー時)されるため、粘着剤層16のピール強度は加熱による減少が小さいことが好ましい。実装前に、耐熱性セパレータ22が一部でも配線板31から剥離すると、粘着剤層16は空気中で実装時の熱に曝され、粘着剤層16の粘着力はより低下しやすくなる。そのため、粘着力の高温耐久性が高い粘着剤層16が望ましい。
【0075】
粘着剤層16のピール強度は以下の方法で測定される。
支持用金属層として100mm×25mm、105μm厚の銅箔に、粘着剤層16を貼り付け、さらに、粘着剤層16の上に、1mm厚のアルミ基板(A5052)を、ゴムロールを用いて50Nの応力にて貼り付けて剥離用サンプルを作製する。
剥離用サンプル作製後に室温で72時間放置した後に、引張試験機(テンシロン万能試験機RTA−100、オリエンテック社製)により、測定温度25℃、剥離角度90°、剥離速度0.2m/minでピール強度を測定する。
高温加熱後のピール強度は、上記剥離用サンプルの作製において、粘着剤層16を空気中に露出させた状態で260℃のホットプレートに2分間のせた後、室温にて放冷し、その後、アルミ基板を貼り付ける以外は、上記方法と同様にして測定される。
【0076】
粘着剤は、さらに粘着付与樹脂、老化防止剤、充填剤、難燃剤など各種添加剤や、有機フィラーや無機フィラーなどを含んでいてもよい。
粘着剤に含まれる無機フィラーの体積比率は特に制限はないが、20体積%以下であることが好ましく、15体積%以下であることがより好ましく、10体積%以下であることがさらに好ましく、5体積%以下がさらに好ましい。粘着剤層16の粘着力は、空気中の実装温度での加熱により低下しやすいため、粘着力に寄与しない無機フィラーの含有量は高すぎないことが好ましく、また、20体積%以下の場合は実装温度での加熱により粘着剤層16の粘着力の低下が抑えられる。
【0077】
(耐熱性セパレータ付き粘着剤層)
本発明における耐熱性セパレータ付き粘着剤層18は、耐熱性セパレータ22と粘着剤層16とを含んで構成される。耐熱性セパレータ付き粘着剤層18は、更に、耐熱性セパレータ22の一方の面又は両面に耐熱性や耐薬品性を有する樹脂層20を有していてもよい。耐熱性セパレータ付き粘着剤層18が樹脂層20を含む場合、耐熱性セパレータ22における粘着剤層16に対向する面とは反対側の面上に樹脂層20を少なくとも有することが好ましく、耐熱性セパレータ22の両面に樹脂層20を有することがより好ましい。
【0078】
耐熱性セパレータ22上に粘着剤層16を設ける工程としては、粘着剤層16の形成に通常用いられる方法を特に制限なく適用することができる。例えば、耐熱性セパレータ22上に粘着剤を含む粘着剤層用組成物を塗布又はラミネートする方法等を挙げることができる。また、別の基材上に粘着剤層16を形成した後、形成された粘着剤層16を耐熱性セパレータ22上に転写してもよい。別の基材としては、例えば離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムなどが使用される。
【0079】
耐熱性セパレータ22の粘着剤層16に対向する面は、粘着剤層16に対する剥離性を有していることが好ましい。これにより粘着剤層16から耐熱性セパレータ22を剥離することが容易となり、回路基板32を筐体70に貼付する工程をより効率的に実施することができる。
耐熱性セパレータ22の粘着剤層16に対向する面に剥離性を付与する方法は特に制限されない。例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤、フッ素樹脂等の離型剤、あるいはそれら離型剤を含有する樹脂等の離型剤で表面処理する方法を挙げることができる。
【0080】
本発明における耐熱性セパレータ付き粘着剤層18は、耐熱性に加えて耐薬品性を有することが望ましい。耐薬品性を有することで、配線板材料30における第一の金属層10から回路を形成するのに使用される酸性やアルカリ性の薬品に対する耐性が高まる。そこで、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18は、耐熱性セパレータ22および粘着剤層16に加えて、耐酸性と耐アルカリ性を有する樹脂層20を有していてもよい。樹脂層20を形成する方法は特に制限されない。
【0081】
耐熱性と耐薬品性を有する樹脂として具体的には、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、及びポリアミド樹脂等を挙げることができる。中でも低収縮性の観点から、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミドから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0082】
ポリイミド樹脂としては、耐熱性樹脂として通常用いられるポリイミド樹脂から適宜選択して用いることができる。またエポキシ樹脂としては、耐熱性樹脂として通常用いられるエポキシ樹脂から適宜選択して用いることができる。
【0083】
樹脂層20の平均厚みは、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐水性及び加工性の観点から、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜7μmであることがより好ましい。
【0084】
耐熱性セパレータ付き粘着剤層18が、耐熱性セパレータ22と粘着剤層16と樹脂層20とから構成される場合、該樹脂層20は、少なくとも基材22の粘着剤層16に対向する面とは反対側の面上に設けられていればよく、耐熱性セパレータ22の両面に樹脂層20が設けられていてもよい。
【0085】
[粘着剤層積層工程]
本発明における粘着剤層積層工程では、前記配線板材料30又は前記配線板31における第二の金属層14に、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18を積層する。または、前記配線板材料30又は前記配線板31における第二の金属層14に、粘着剤層16を積層し、その後に耐熱性セパレータ22を積層する。半導体部品40の実装に先立って、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22が積層されることで、保護フィルム等の貼付・剥離工程を設ける必要がなく生産性が向上する。またリフロー処理時に第二の金属層14が耐熱性セパレータ22で保護されているため、第二の金属層14の熱抵抗の上昇を抑制でき、優れた放熱性を達成することができる。
【0086】
図8に、配線板材料30に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を積層した配線板材料積層体90の断面図例を示す。また、
図9に、配線板31に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18、又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を積層した配線板積層体92の断面図例を示す。なお、
図8及び
図9では、樹脂層20を備えているが、樹脂層20の設置は任意である。
【0087】
配線板材料30または配線板31における第二の金属層14と粘着剤層16とが接するように、配線板材料30または配線板31上に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18を積層する工程、並びに配線板材料30または配線板31上に粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22をそれぞれ積層する工程としては、通常に用いられる積層方法を特に制限なく適用することができる。例えば、プレス、ラミネート方法が挙げられ、連続的に製造でき、効率が良好な観点から、ラミネート方法が好ましい。
プレス、ラミネート方法は当該技術分野で通常行なわれる方法から適宜選択して行うことができる。例えば、ラミネート方法としては、シリコーンゴム被覆ロールを備えたラミネータを用いて、20℃〜50℃という条件で行うことができる。
【0088】
配線板材料30または配線板31上に耐熱性セパレータ付き粘着剤層18を積層する工程の具体的な方法としては、配線板材料30または配線板31における第二の金属層14と耐熱性セパレータ付き粘着剤層18における粘着剤層16とを対向させ、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18の長尺方向の一方の端部を第二の金属層14に付け、もう一方の他端部は第二の金属層14から離し、前記他端部を徐々に第二の金属層14に近づけながら、前記一方の端部から前記他端部に向けて加圧し、配線板材料30または配線板31と耐熱性セパレータ付き粘着剤層18とを貼付する方法が挙げられる。
【0089】
また、配線板材料30または配線板31上に粘着剤層16を積層する工程、この粘着剤層16上に耐熱性セパレータ22を積層する工程についても、上記に挙げた具体的な方法を適用することができる。詳細には、配線板材料30または配線板31における第二の金属層14と粘着剤層16とを対向させ、粘着剤層16の長尺方向の一方の端部を第二の金属層14に付け、もう一方の他端部は第二の金属層14から離し、前記他端部を徐々に第二の金属層14に近づけながら、前記一方の端部から前記他端部に向けて加圧し、配線板材料30または配線板31と粘着剤層16とを貼付する方法が挙げられる。そして、この粘着層16と耐熱性セパレータ22とを対向させ、耐熱性セパレータ22の長尺方向の一方の端部を粘着剤層16に付け、もう一方の他端部は粘着剤層16から離し、前記他端部を徐々に粘着剤層16に近づけながら、前記一方の端部から前記他端部に向けて加圧し、粘着剤層16と耐熱性セパレータ22とを貼付する方法が挙げられる。
【0090】
配線板材料30又は配線板31に粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を積層することで、配線板材料30又は配線板31の厚みをかせぐことができる。これにより配線板材料30又は配線板31の取り扱い性に優れ、配線板材料30又は配線板31の厚みをより薄くすることができ、熱伝導性がより向上する。また、配線板材料30に積層した場合には、その後に行う外形加工が行いやすくなる。これは例えば、セパレータがスティフナ(補強材)として機能するためと考えることができる。さらに第二の金属層14が耐熱性セパレータ22で被覆されているため、通常用いられるエッチング処理によって第一の金属層10に回路形成することができ、生産性が向上する。
【0091】
またセパレータが耐熱性を有することから、リフロー処理によって金属回路層11上に半導体部品40等を実装する際の配線板31の変形を抑制することができる。
さらに半導体部品40等の実装に先立って粘着剤層16が設けられることで、第二の金属層14と粘着剤層16の密着性に優れ、回路基板32と筐体70との熱伝導性により優れた電子部品を生産性よく製造することができる。
【0092】
また配線板材料30又は配線板31が回路形成用の第一の金属層10に加えて、第二の金属層14を有することで熱伝導性に優れる配線板31を構成できる。また第二の金属層14が耐熱性セパレータ22で被覆されていることで、半導体部品40が実装された回路基板32を製造する際に第二の金属層14が酸化等されることを抑制し、熱伝導性が低下することを抑制できる。
【0093】
[半導体部品実装工程]
半導体部品実装工程では、金属回路層11上に半導体部品40を実装する。
図10に、半導体部品実装工程により得られる部品実装配線板積層体100の断面図例を示す。
【0094】
半導体部品40は、例えばLED素子、コンデンサ、インダクタンス、抵抗体、半導体、LEDチップなどである。半導体部品40は、半導体素子と、半導体素子及び外部を電気的に接続する端子と、半導体素子を密封し保持する封止材とから構成される。前記端子としては、特に制限されず、例えば、銅などの導体や、はんだ等が用いられる。前記封止材としては、特に制限されず、エポキシ樹脂等が用いられる。なお、半導体部品40は、特開2007−110113号公報等に記載の方法等に準じて得ることができる。なお、配線板31上には、半導体部品40とともにコネクタ44が搭載されてもよい。
【0095】
金属回路層11上にリフロー処理によって半導体部品40を実装する工程においては、例えば、必要に応じて、ソルダーレジストを回路面に形成する工程や、耐熱性セパレータ付き粘着剤層18又は粘着剤層16及び耐熱性セパレータ22を備えた配線板材料30を必要な大きさに外形加工する工程を実施した後、半導体部品40を金属回路層11上に配置し、リフロー処理によって半導体部品40を金属回路層11上に実装する。このとき半導体部品40以外のその他の部品を同時に実装してもよい。リフロー処理は通常用いられる条件で行われる。
【0096】
半導体部品40の実装方法は、通常用いられる方法から適宜選択することができる。例えば、金属回路層上に設けられた金属ペーストやはんだなどの導電性接続材料42を介して実装される方法が用いられる。
【0097】
金属ペーストを介して半導体部品40を搭載する方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従うことができる。例えば、フリップチップ接続して搭載する方法等が挙げられ、具体的には、特開2004−039736号公報に記載の方法等に準じることができる。なお、搭載工程の条件については、特に限定されず、搭載しようとする半導体部品40の種類により異なり、公知の方法に準じることができる。
【0098】
半導体部品40をはんだにより接続する場合は、はんだを溶融させるためにリフロー炉を通すなどして、配線板31及び耐熱性セパレータ22も高温に曝される。しかしながら、本発明においては、耐熱性セパレータ22が耐熱性を有することから、リフロー処理によって、260℃程度にまで加熱されても、第二の金属層14の熱抵抗が上昇することを効果的に抑制することができる。
【0099】
[貼付工程]
貼付工程では、金属回路層11上に半導体部品40が実装された後、耐熱性セパレータ22を粘着剤層16との界面で剥離して、粘着剤層16を露出させ、この粘着剤層16の面上に筐体70を貼付し、電子部品が製造される。
図11に、電子部品の断面図例を示す。
【0100】
耐熱性セパレータ22を粘着剤層16との界面で剥離する方法及び粘着剤層16上に筐体70を貼付する方法は、特に制限されず通常行なわれる方法から適宜選択することができる。
粘着剤層16上に筐体70を貼付する方法は、粘着剤層16と筐体70とを接触させ、実装された半導体部品40以外の領域に圧力を加える方法であることが好ましい。加える圧力は特に制限されず粘着剤層16の構成に応じて適宜選択される。
【0101】
粘着剤層16上に筐体70を貼付する具体的な方法としては、例えば、配線板31に付された粘着剤層16と筐体70とを対向させ、配線板31の長尺方向の一方の端部を筐体70に付け、もう一方の他端部は筐体70から離し、前記他端部を徐々に筐体70に近づけながら、前記一方の端部から前記他端部に向けて加圧し、粘着剤層16と筐体70とを貼付する方法が挙げられる。
【0102】
従来の電子部品の製造方法においては、一般に、両面に金属層を有する配線板材料の片面に保護フィルムを配置して回路加工した後、保護フィルムを剥離する。次いでリフロー処理により半導体素子を実装した後、半導体素子の実装面とは反対側に粘着剤層とセパレータを積層する。次いでセパレータを剥離して粘着剤層上に筐体を貼付する。
このように積層、剥離の工程が、本発明の電子部品の製造方法よりも多くなるため、工程が煩雑になる。また従来の方法では、リフロー処理時に第二の金属層が酸化し、熱抵抗が悪化する場合があるが、本発明においてはリフロー処理時においても第二の金属層14が保護されているため、熱抵抗の上昇を抑制することができる。
【実施例】
【0103】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0104】
<実施例1>
回路形成用の第一の金属層として35μm厚の銅箔、15μm厚の絶縁層12、第二の金属層として105μm厚の銅箔がこの順に積層されてなる配線板材料(日立化成工業社製、HT−9000IMC)における105μm厚の銅箔面に、耐熱性セパレータ付き両面粘着テープ(耐熱性セパレータ:片面に5μmのエポキシ樹脂層が設けられた耐熱性樹脂被覆アルミ箔、厚み35μm、エポキシ樹脂の収縮率0.1%;粘着剤層:アクリル系粘着剤、厚さ50μm)の耐熱性セパレータと反対面のセパレータを剥離した後、ホットロールラミネータを用いて、温度25℃の条件で貼り付けて、配線板材料積層体を得た。
【0105】
尚、セパレータを構成する耐熱性樹脂の収縮率は以下のようにして測定した。厚さ50μmの耐熱性樹脂からなる耐熱性樹脂フィルムを10cm×10cmに切断して対角線の長さを25℃で測定した。次いで250℃のオーブン中に1分間熱処理した後、室温で放冷した。熱処理後の耐熱性樹脂フィルムについて対角線の長さを測定し、これを熱処理前の対角線の長さで除して収縮率を算出した。
【0106】
得られた配線板材料積層体を用いて、35μm厚の銅箔面上にエッチングレジストを設けた後、銅箔を塩化鉄水溶液中で腐食、溶解して、回路加工した。その後、ソルダーレジストを所定箇所に印刷して、150℃で2時間硬化処理した。その後、幅5mm、長さ400mmに外形加工して、回路が形成された面とは反対側の面上に粘着剤層とセパレータとが積層された配線板を得た。
【0107】
得られた配線板の回路上に、LEDチップ及びコネクタを配置した後、リフロー処理(温度265℃)によってLEDチップ及びコネクタをはんだで実装した。
その後、セパレータを剥離し、露出した粘着剤層をアルミ筐体(大きさ10mm×430mm×2mm)に貼付して半導体装置を得た。尚、貼付時にはLEDチップ及びコネクタが実装されていない基板部分に圧力を加えて固定した。
得られた半導体装置の通電時のLEDチップの表面温度を測定したところ、80℃であった。
【0108】
<実施例2>
実施例1において、耐熱性セパレータとして片面に5μmのポリイミド樹脂層(ポリイミド樹脂の収縮率0.1%)が設けられた耐熱性樹脂被覆アルミ箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体装置を得た。
得られた半導体装置の通電時のLEDチップの表面温度を測定したところ、80℃であった。
【0109】
<実施例3>
<耐熱性樹脂層を有する銅セパレータの作製>
35μm厚の銅箔、15μm厚のポリイミド層が積層されてなる配線板材料(日立化成工業社製、MCF−5000IS)を150℃で1時間焼成した。次いで、配線板材料の銅箔面にフッ素含有珪素化合物を固形分濃度0.2質量%含有したフッ素含有珪素化合物の処理液(住友スリーエム社製、EGC−1720)を塗布し、室温で6時間乾燥させた。その後、前記配線板材料を100℃で1時間熱処理し、アセトンを浸したキムワイプ(登録商標)で銅箔面をこすることで、耐熱性樹脂層を有する銅セパレータを作製した。
【0110】
<配線板の作製>
回路形成用の第一の金属層として35μm厚の銅箔、10μm厚の絶縁層12、第二の金属層として105μm厚の銅箔がこの順に積層されてなる配線板材料(日立化成工業社製、HT−9000IMC)の回路形成用の第一の金属層にエッチングレジストを設けた後、塩化第二鉄水溶液中で銅を溶解することで回路加工し、金属回路層とした。その後、金属回路層面上の所定箇所にソルダーレジストを印刷し、120℃90分間の熱処理により硬化した。次いで、6mm幅、100mm長に外形加工し、配線板を製造した。
【0111】
<耐熱性セパレータ付き粘着剤層の積層>
配線板と同形の両面粘着テープ(日立化成工業社製、ヒタレックスDA−3050、50μm)を準備した。配線板の第二の金属層を上向きにし、この両面粘着テープの一方の面の離型PETフィルムを剥がして、上記配線板の第二の金属層に貼り付けることで粘着剤層を積層した。
なお、粘着剤層の熱伝導率は0.2W/mK、熱抵抗は2.5℃・cm
2/Wであった。粘着剤層の熱伝導率および熱抵抗の測定は、下記の方法により行った。
【0112】
次いで、前記配線板に粘着させた粘着剤層からもう一枚の離型PETフィルムを剥離した後に、粘着剤層上に上記銅セパレータを積層し、配線板積層体を得た。このとき、銅セパレータの長尺方向の一方の端部を配線板に付け、他方の他端部を配線板から離した状態で、他端部を徐々に配線板に近づけながら、銅セパレータの一方の端部から他端部に向けてゴムロールで加圧して粘着した。
【0113】
<粘着剤層の熱伝導率と熱抵抗の評価>
まず、粘着剤層の熱伝導率をレーザーフラッシュ法にて評価した。キセノンフラッシュアナライザー(NETZSCH社製NanoflashLFA447)を用いて、粘着剤層を0.6MPaで挟んだ2枚の銅板(1mm厚)にキセノンフラッシュ光を照射し、裏面銅板の温度の時間依存性を測定し、3層モデルを解析することで粘着剤層の熱伝導率[W/mK]を評価した。
【0114】
次いで、熱抵抗を計算式(熱抵抗[℃・cm
2/W]=10×粘着剤層の厚み[mm]/熱伝導率[W/mK])から評価した。ここで粘着剤層の厚みは、前記熱伝導シートを0.6MPaで挟んだ2枚の銅板の厚みから、銅板の厚みを差し引いた値とした。
【0115】
<部品実装>
配線板積層体の金属回路層に複数のはんだ(千住金属工業社製、ECO SOLDER PASTE Lead Free、M705、Sn−3.0Ag−0.5Cu、溶融温度220℃)、LED部品(Philips Lumileds Lighting社製、LXML−PWC1−0080、4.6mm長×3.2mm幅×2.1mm高)、コネクタ等を載せ、リフロー処理(最大260℃)することで、片面実装した部品実装配線板積層体が良好に得られた。
得られた部品実装配線板積層体における粘着剤層から銅セパレータは容易に剥離できた。これは銅セパレータが耐熱性を有しており、リフロー炉の搬送器に溶融接着しなかったためである。
【0116】
<実施例4>
回路形成用の第一の金属層として35μm厚の銅箔、100μm厚の絶縁層、第二の金属層として1mm厚のアルミニウム板がこの順に積層されてなる配線板材料(日立化成工業社製、HT−5100M)を用いた以外は、実施例3と同様に配線板の作製、セパレータ付き粘着剤層の積層、部品実装を行うことで、部品実装配線板積層体が良好に得られた。
得られた部品実装配線板積層体における粘着剤層から銅セパレータは容易に剥離できた。
【0117】
<実施例5>
<耐熱性樹脂層を有するアルミセパレータの作製>
エポキシ樹脂(リファインテック社製、エポマウント主剤27−771、100部とエポマウント硬化剤27−772、9部の混合物)を35μm厚のアルミ箔に塗布した。エポキシ樹脂を塗布したアルミ箔を室温(25℃)で24時間放置した後、150℃で1時間焼成し、5μmのエポキシ樹脂層と35μmのアルミ箔が積層されてなる積層物を得た。
【0118】
次いで、この積層物のアルミ箔面にフッ素含有珪素化合物を固形分濃度0.2質量%含有したフッ素含有珪素化合物の処理液(住友スリーエム社製、EGC−1720)を塗布し、室温(25℃)で6時間乾燥させた。その後、前記配線板材料を100℃で1時間熱処理し、アセトンを浸したキムワイプ(登録商標)でアルミ箔面をこすることで、耐熱性樹脂層を有するアルミセパレータを作製した。
【0119】
また、耐熱性樹脂層の収縮率を測定するためのサンプルは以下のように作製した。同様にして得た35μm厚のアルミ箔、50μm厚のエポキシ樹脂層が積層されてなる積層物からアルミ箔をエッチングにより除去し、50μmのエポキシ樹脂フィルムを得た。10cm×10cmに切断したエポキシ樹脂フィルムの対角線の長さを25℃で測定した。このエポキシ樹脂フィルムの収縮率を上記と同様の方法により求めた。エポキシ樹脂フィルムの収縮率は1.7%だった。
【0120】
<セパレータ付き粘着剤層の積層>
回路形成用の第一の金属層として35μm厚の銅箔、10μm厚の絶縁層、第二の金属層として105μm厚の銅箔がこの順に積層されてなる配線板材料(日立化成工業社製、HT−9000IMC)の第二の金属層に、配線板材料と同形の両面粘着テープ(日立化成工業社製、ヒタレックスDA−3050、50μm)を貼り付けることで粘着剤層を積層した。なお、粘着剤層の熱伝導率は0.2W/mK、熱抵抗は2.5℃・cm
2/Wであった。
次いで、両面粘着テープのPET離型フィルムを剥離して粘着剤層を露出させ、ここに耐熱性樹脂層を有するアルミセパレータを積層した。
【0121】
<配線板の作製>
配線板材料に粘着剤層、耐熱性樹脂層を有するアルミセパレータをこの順に積層させた配線板材料積層体の回路形成用の第一の金属層にエッチングレジストを設けた後、塩化第二鉄水溶液中で銅を溶解することで回路加工し、金属回路層11とした。その後、金属回路層面上の所定箇所にソルダーレジストを印刷し、120℃90分間の熱処理により硬化した。次いで、6mm幅、100mm長に外形加工し、配線板積層体を製造した。
【0122】
<部品実装>
実施例3と同様にして部品実装を行うことで、部品実装配線板積層体が良好に得られた。得られた部品実装配線板積層体における粘着剤層からセパレータは容易に剥離できた。
【0123】
<比較例1>
回路形成用の第一の金属層として35μm厚の銅箔、15μm厚の絶縁層12、第二の金属層として105μm厚の銅箔がこの順に積層されてなる配線板材料(日立化成工業社製、HT−9000IMC)の105μm厚の銅箔面に、保護フィルム(片面に粘着剤層(厚さ50μm)が設けられた非耐熱性のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm、収縮率20%)を貼り付けて、配線板形成用積層体を得た。
【0124】
その後、35μm厚の銅箔面上にエッチングレジストを設けた後、銅箔を塩化鉄水溶液中で腐食、溶解して、回路加工した。その後、ソルダーレジストを所定箇所に印刷して、150℃で2時間硬化処理した。保護フィルムを剥離した後、幅5mm、長さ400mmに外形加工して、配線板を得た。
【0125】
得られた配線板の回路上に、LEDチップ及びコネクタを配置した後、リフロー処理によってLEDチップ及びコネクタを半田で実装した。
その後、両面セパレータ付き粘着テープ(セパレータ:ポリエチレンテレフタレートフィルム;粘着剤層:アクリル系粘着剤、厚さ50μm)の片面のセパレータを剥離した後、LEDチップが実装された配線板の実装面とは反対側の面上に粘着テープを貼り付けた。粘着テープは、LEDチップが実装されていない基板部分に圧力を加えて貼り付けたため、配線板の銅箔面と粘着テープの間に部分的に空隙が生じた。
次いで粘着テープのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層をアルミ筐体に貼付して半導体装置を得た。尚、筐体への貼付時にはLEDチップ及びコネクタが実装されていない基板部分に圧力を加えて固定した。
得られた半導体装置の通電時のLEDチップの表面温度を測定したところ、88℃であった。
【0126】
<比較例2>
まず、実施例3と同様に配線板の作製まで行った。次いで、配線板の第二の金属層を上向きにし、第二の金属層に配線板と同形の両面粘着テープ(日立化成工業社製、ヒタレックスDA−3050)を貼り付けることで粘着剤層を積層した。しかし、セパレータにはPET離型フィルムをそのまま使用した。
【0127】
次いで、実施例3と同様に部品実装を行った。その結果、PETセパレータが収縮、溶融し、リフロー炉の搬送ラインからセパレータがはずせなかった。また、PETセパレータの収縮にともない配線板が変形し、LED部品がパッド部からずれていた。その結果、良好な回路基板積層体は得られなかった。
【0128】
[比較例3]
まず、実施例3と同様に配線板の作製を行い、次いで実施例3と同様に部品実装を行った。次に、実施例3と同様に耐熱性セパレータ付き粘着剤層の積層を行った。その際、セパレータ付き粘着剤層を指で強く加圧し、素早く配線板に積層した。その結果、セパレータ付き粘着剤層を積層させる時の応力により、
図12(D)に示すように配線板が変形した。
【0129】
[比較例4]
まず、実施例3と同様に配線板の作製を行い、次いで実施例3と同様に部品実装を行った。次に、実施例3と同様に耐熱性セパレータ付き粘着剤層の積層を行った。その際、セパレータ付き粘着剤層を指で弱く加圧し、素早く配線板に積層した。その結果、粘着剤層と配線板の間に気泡が巻き込まれた。
【0130】
[比較例5]
まず、実施例3と同様に配線板の作製を行い、次いで実施例3と同様に部品実装を行った。次に、実施例3と同様に耐熱性セパレータ付き粘着剤層の積層を行った。その際、セパレータ付き粘着剤層を指で弱く加圧し、ゆっくりと配線板に積層した。その結果、
図12(E)のように、積層したセパレータ付き粘着剤層が回路基板からずれた。
【0131】
以上の結果から、本発明の電子部品の製造方法によれば、熱伝導性に優れる電子部品を、効率よく製造できることが分かる。