(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書においては、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシ又はメタクリロイルオキシを意味する。
<重合体>
本発明の重合体は特に限定されないが、好ましくは、ロット間のバラツキが問題になりやすい半導体リソグラフィー用重合体である。また半導体リソグラフィー用重合体のうちでもロット間バラツキの低減に対する要求が厳しいレジスト用重合体であることが特に好ましい。
半導体リソグラフィー用重合体は、極性基を有する構成単位(a)を有することが好ましく、レジスト用重合体は、該構成単位(a)のほかに、酸脱離性基を有する構成単位(b)を有することが好ましい。
半導体リソグラフィー用重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的には1,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましい。
【0014】
[構成単位(a)]
本発明における重合体は、極性基を有する構成単位(a)を有することが好ましい。
「極性基」とは、極性を持つ官能基又は極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法におけるレジスト組成物に用いられる重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに後述の親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
【0015】
(ラクトン骨格を有する構成単位・単量体)
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族又は芳香族の炭素環又は複素環が縮合していてもよい。
重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、感度及び解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0016】
ラクトン骨格を有する単量体としては、基板等への密着性に優れる点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
【0017】
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−3−オン、9−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−3−オン等が挙げられる。また、類似構造を持つ単量体として、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等も挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
(親水性基を有する構成単位・単量体)
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF
3)
2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基及びアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法におけるレジスト組成物に用いられる重合体は、親水性基としてヒドロキシ基又はシアノ基を有することが好ましい。
重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0019】
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリ酸エステル;単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体;環式炭化水素基を有する単量体(例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル等。)が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有するもの;が挙げられる。
【0020】
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−又は3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。基板等に対する密着性の点から、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−又は3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
[構成単位(b)]
重合体は、レジスト用途に用いる場合は上述した極性基を有する構成単位(a)以外に酸脱離性基を有する構成単位(b)を有することが好ましく、この他に、必要に応じて公知の構成単位を有していてもよい。
「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部又は全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
レジスト組成物において、酸脱離性基を有する構成単位を有する重合体は、酸成分と反応してアルカリ性溶液に可溶となり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。
酸脱離性基を有する構成単位の割合は、感度及び解像度の点から、重合体を構成する全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0022】
酸脱離性基を有する単量体は、酸脱離性基及び重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、又は、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を表す。)が直接又は連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0023】
特に、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト組成物を製造する場合には、酸脱離性基を有する単量体の好ましい例として、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、イソプロピルアダマンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
<重合体の製造方法>
本発明の重合体の製造方法の好ましい実施形態を説明する。
本実施形態の重合体の製造方法は、反応容器内に溶媒(以下、重合溶媒ともいう。)、単量体及び重合開始剤を供給して、該反応容器内の液(反応液)中で単量体を重合反応させる重合工程と、前記重合反応を停止させる反応停止工程を有する。
本発明において、重合反応が開始してから重合反応を停止させる操作(停止操作)が開始されるまでの期間を重合反応期間という。
本実施形態における重合工程は、重合溶媒の存在下に重合開始剤を使用して、単量体をラジカル重合させる溶液重合法である。
【0025】
溶液重合法において、単量体及び重合開始剤の反応容器への供給は、連続供給であってもよく、滴下供給であってもよい。製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性の良い重合体が得られやすい点から、単量体及び重合開始剤を含む滴下溶液を反応容器内に滴下する、滴下重合法が好ましい。
【0026】
重合溶媒としては、例えば、下記のものが挙げられる。
エーテル類:鎖状エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」と記す。)等。)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と記す。)等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
重合開始剤としては、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。該重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等。)、有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等。)等が挙げられる。
【0028】
本実施形態の製造方法においては、予め、反応容器内に、重合溶媒の少なくとも一部及び/又は単量体の少なくとも一部を仕込んでおくことができる。
重合溶媒は、その一部を予め反応容器内に入れ、残りは滴下溶液の溶媒として反応容器内に供給することが好ましい。
単量体を予め反応容器内に仕込む場合は、重合反応に用いる全単量体のうちの一部を反応容器内に入れ、残りは滴下溶液に含有させて反応容器内に供給することが好ましい。
予め反応容器内に、重合溶媒のみを入れておいてもよく、単量体のみを入れておいてもよく、これらの混合物を入れておいてもよい。
【0029】
重合反応は、反応容器内に予め仕込んだ液(重合溶媒及び/又は単量体)を所定の重合温度まで加熱し、単量体の存在下に、重合開始剤を供給することにより、重合反応が開始される。
反応容器内に重合開始剤が供給された時点から重合反応の終了操作が開始された時点までが重合反応期間となる。重合反応の終了操作とは、ラジカル重合反応の停止、又は成長反応速度の低下を引き起こす操作を意味し、具体的には反応容器内の温度を低下させる操作、重合禁止剤や酸素といったラジカル反応の阻害剤を反応容器内へ供給する操作を挙げることができる。
【0030】
滴下重合法において、単量体を滴下する方法は、単量体のみで滴下してもよく、単量体を重合溶媒に溶解させた単量体溶液として滴下してもよい。
重合開始剤は、単量体に直接に溶解させたて滴下してもよく、単量体溶液に溶解させて滴下してもよく、重合溶媒のみに溶解させて滴下してもよい。
単量体及び重合開始剤を、同じ貯槽内で混合した後、反応容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から反応容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から反応容器に供給する直前で混合し、反応容器中に滴下してもよい。
単量体及び重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、単量体又は重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
【0031】
[単量体供給工程]
単量体供給工程の開始時点は、重合反応期間の開始時点以降に、最初に反応容器内に単量体が供給された時点である。単量体供給工程の終了時点は、重合反応に用いられる全単量体を反応容器内に供給し終えた時点である。
重合反応期間において、反応容器内への重合開始剤の供給を開始すると同時に単量体の供給を開始することが好ましい。
反応容器内に全単量体を供給し終えた直後に重合反応を停止させてもよいが、反応容器内に全単量体を供給した後、反応容器内の反応液を予め設定された重合温度に保って重合反応を進行させる熟成工程を行うことが好ましい。
【0032】
反応容器への単量体の供給は、下記(i)又は(ii)の方法で行うことが好ましい。
(i)予め反応容器内に、単量体を第1の組成で含有する第1の溶液を仕込んでおき、反応容器内を所定の重合温度まで加熱した後、反応容器内に、単量体を目標組成で含有する第2の溶液を滴下する方法。
目標組成とは、得ようとする重合体における単量体単位の組成(単位:モル%)を意味する。
予め反応容器内に仕込んでおく第1の溶液の第1の組成においては、各単量体の重合反応による消費速度に応じて、消費速度が相対的に遅い単量体の組成比(モル分率)を目標組成におけるモル分率よりも大きくすることが好ましい。本方法によれば、特に重合初期に生成される重合体における単量体組成及び連鎖構造のバラツキが低減されやすい。
本明細書において、単量体を目標組成で含有する第2の溶液を滴下する工程を主工程という。
【0033】
(ii)予め反応容器内に、単量体を上記第1の組成で含有する第1の溶液を仕込んでおき、反応容器内を所定の重合温度まで加熱した後、反応容器内に、単量体を目標組成で含有する第2の溶液を滴下し(主工程)、第2の溶液の滴下が終了した後に、単量体を第3の組成で含有する第3の溶液の1種以上を滴下する(後工程という)方法。
主工程の後に滴下する第3の溶液の第3の組成においては、各単量体の重合反応による消費速度に応じて、消費速度が相対的に遅い単量体の組成比(モル分率)を目標組成におけるモル分率よりも小さくする(ゼロでもよい)ことが好ましい。
本方法において、反応容器内に第3の溶液を滴下したときに、該反応容器内に重合開始剤が存在していることが必要である。したがって、後工程においても反応容器内に重合開始剤を供給することが好ましい。
本方法によれば、特に重合初期及び後期に生成される重合体における単量体組成及び連鎖構造のばらつきが低減されやすい。
【0034】
本発明において、単量体供給工程の開始から終了までの単量体供給期間は、重合反応期間の70%以上であることが好ましい。重合反応期間の70%以上にわたって単量体を供給することにより、得られる重合体の分子量のロット間バラツキを効果的に抑制することができる。該ロット間における分子量のバラツキがより抑制されやすい点で、単量体供給期間は、重合反応期間の75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。該単量体供給期間の重合反応期間に対する割合は100%でもよいが、単量体の反応率が高くなり、良好な生産性が得られやすい点で95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
【0035】
本発明において、重合反応期間の終了時における反応容器内の反応液の質量に対して、該反応容器内に供給された単量体の合計質量が40質量%以下である。具体的には、反応容器に供給される全原料(少なくとも重合溶媒、単量体、重合開始剤を含む)のうち、単量体の合計量が40質量%以下となるように、重合溶媒の使用量を設定する。
重合反応期間の終了時の反応液に対する、該反応液に供給された単量体の合計の割合が40質量%以下であると、重合系の急激な変化が抑制され、分子量が一定である重合体が長期間にわたって安定的に生成されやすいため、分子量のロット間バラツキが小さくなりやすい。該単量体の合計の割合は30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下がより好ましい。該単量体の合計の割合の下限値は特に限定されないが、製造効率の点では5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
また、重合反応期間中は、反応容器内の反応液の質量に対して、それまでに反応容器内に供給された単量体の合計質量が40質量%を超えない(40質量%以下である)ことが好ましい。
前記(ii)の方法において、単量体を目標組成で含有する第2の溶液を滴下する主工程は、単量体供給期間の40〜100%が好ましく、50〜90%がより好ましい。
【0036】
前記(i)又は(ii)の方法において、重合反応開始前に予め反応容器内に供給される液における単量体含有量は、2〜16質量%が好ましく、3〜15.5質量%がより好ましく、4〜15質量%がさらに好ましい。この範囲であると、重合初期の重合発熱が大きくなく、かつ重合初期に生成する重合体の分子量と重合反応終了時の重量平均分子量との差を小さくしやすい。
重合反応開始以降に反応容器に供給される液の合計における単量体含有量は15〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましく、25〜40質量%がさらに好ましい。この範囲であると、単量体溶液供給中の重合発熱と単量体溶液供給による冷却とのバランスが良好で、温度制御が容易である。
【0037】
[重合開始剤の供給速度]
重合開始剤を反応容器内に供給する期間は、重合反応の開始から単量体供給期間の終了まででもよく、単量体供給期間の終了前に重合開始剤の供給を終了してもよい。単量体供給期間の終了時まで重合開始剤の供給を行うことが好ましい。
【0038】
重合開始剤の供給速度は一定でもよく、経時的に変化してもよい。反応容器内のモノマーモル濃度に対する、反応容器内で開始剤から発生するラジカルのモル濃度の割合の経時変化が、重合初期から後期にかけて小さくなるように開始剤の供給速度を制御すると、該重合初期から後期にかけて、各瞬間に生成する重合体の分子量の経時的バラツキが小さくなり、好ましい。
例えば、反応容器への単量体の供給を上記(i)又は(ii)の方法で行う場合、重合開始剤の滴下開始から前記主工程の終了までの期間(基準時間ということもある。)の3〜20%が経過する以前の初期段階において、主工程で使用される重合開始剤の全供給量の15〜90%を供給し、その後は該初期段階よりも低速で重合開始剤を供給することが好ましい。
該初期段階は、前記基準時間の4〜17.5%が好ましく、5〜15%がより好ましい。該初期段階における重合開始剤の供給量は、主工程で使用される重合開始剤の全供給量の17.5〜70質量%がより好ましく、20〜65質量%がさらに好ましい。
【0039】
[重量平均分子量の偏差値Z]
本発明において、重合反応が開始してから(t−1)時間後〜t時間後(tは1〜nの整数)の間にそれぞれ生成する重合体の重量平均分子量x
tの標準偏差Zが、重合反応終了時の重量平均分子量yの10%以下である。
重量平均分子量yは、反応停止後の反応容器内の反応液をサンプリングし、サンプル中の重合体の分子量をゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により求める。
標準偏差Zは、下記式(1)で求められる値である。
【0041】
本発明において、重合率(単位:モル%)とは、重合反応に用いられる単量体の合計に対する、重合によって消費された単量体のモル分率をいう。
重合によって消費された単量体の量は、測定時までに反応容器内に供給した単量体量と、測定時に反応液中に残存する未反応の単量体との差を測定することによって得られる。
すなわち、反応容器内から反応液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーにより未反応の単量体の含有量を単量体ごとに測定し、これらの合計値を求める。測定時までに供給された単量体の合計量から、残存している単量体の合計量を引くことで、該測定時までに重合によって消費された単量体量が得られる。この値を用いて、重合反応に用いられる単量体の合計、すなわち重合反応の終了までに反応容器に供給される全単量体量に対する、測定時までに重合によって消費された単量体量割合(モル%)を、該測定時における重合率として求める。
【0042】
式(1)において、nは、重合反応の開始時から、重合率(モル%)が90モル%に至るまでの時間であり、1以上の整数である。すなわち、重合反応が開始してから1時間ごとに重合率を測定し、n時間後(nは1以上の整数)に重合率が90モル%未満で、(n+1)時間後の重合率が90モル%以上となるときのnを求める。nは重合反応期間の時間数より大きくなることはない。例えば、重合反応期間が7時間であるとき、nは7以下である。
具体的には、重合反応の開始直後を0時間とし、その後1時間ごとに反応液をサンプリングして測定を行う。本明細書において重合反応の開始直後とは、重合開始剤の供給を開始してから0〜60秒後を意味する。
【0043】
式(1)において、重量平均分子量x
tは、重合反応が開始してから(t−1)時間後〜t時間後(tは1〜nの整数)の1時間の間にそれぞれ生成する重合体の重量平均分子量(x
1、x
2、x
3…x
n)である。式(1)においてx
aは、x
1〜x
nの平均値である。重量平均分子量x
tは、以下の方法で求める。
【0044】
(重量平均分子量x
tの求め方)
反応容器内の反応液を、重合反応の開始から1時間毎にサンプリングし、サンプル中の重合体の分子量をゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定する。これにより、各測定時におけるGPCによる溶出曲線を得る。該溶出曲線は、溶出時間と信号強度(重量基準の存在量と相関する)の関数として得られるので、標準ポリスチレンによる検量線Iを用いて、分子量と、重合体の重量基準の存在量(信号強度)との関係を表す曲線(重合体重量の分子量に対する関数F)に変換する。また、このとき関数Fを表す曲線とベースラインBで囲まれた範囲の面積が1となるように規格化する。
図1は関数Fの例である。関数Fは
図1中の、ピークスタート(図中符号Psで示す。)からピークエンド(図中符号Peで示す。)までの間の範囲で表される曲線を意味する。すなわち、検量線Iによって変換された溶出曲線(例えば
図1)にベースラインBを引き、分子量の小さい側での関数Fを表す曲線とベースラインBとの交点をPs、分子量の大きい側での関数Fを表す曲線とベースラインとの交点をPeとする。
重合開始からt時間後における関数F及び重合率Cをそれぞれ関数F
t、重合率C
tとすると、(t−1)時間後からt時間後までの1時間の間に生成した重合体についての関数Fは、F
t×C
t−F
t−1×C
t−1で与えられる。こうして得られる、各測定時から次の測定時までの1時間の間に生成した重合体についての関数Fを用いて、該1時間の間に生成した重合体の重量平均分子量x
tを求める。
例えば、重合開始から1時間後、2時間後における関数F及び重合率Cを、それぞれ関数F
1、F
2、重合率C
1と、C
2とする。例えば
図2に示すように、C
1=20モル%、C
2=40モル%であるとき、1時間後から2時間後までの1時間の間に生成した重合体の、重合体重量の分子量に対する関数Fは、F
1×C
1(図中符号f1で表す)とF
2×C
2(図中符号f2で表す)の差分(F=f2−f1)として得られる。この関数F(=f2−f1)より、1時間後から2時間後までの1時間の間に生成した重合体の重量平均分子量x
2が得られる。
【0045】
このようにして、重合率(モル%)が90モル%に達する直前のn時間後までの、1時間毎の重量平均分子量x
1、x
2、…x
nを求め、上記式(1)により、これらの標準偏差Zの値を求める。
該標準偏差Zは、重合反応が開始してから、重合率が90%に達する直前の測定時間(n)までの平均分子量のばらつきの大きさを反映する値である。
該標準偏差Zの値が、重合反応終了時の重量平均分子量yの10%以下であると、重合反応中の各瞬間に生成する重合体の分子量の経時的バラツキが良好に低減される。
また該標準偏差Zの値が、重合反応終了時の重量平均分子量yの10%以下であると、同じ製造条件で目的の重合体を繰り返し製造する際の、ロット間における分子量のばらつきが良好に低減される。
【0046】
したがって、同じ製造条件で目的の重合体を繰り返し製造する重合体の製造方法において、製造条件を決定するに当たり、重合体を製造条件Wで製造して、上記式(1)で表される標準偏差Z及び重合反応終了時の重量平均分子量yを測定し、標準偏差Zの値が重量平均分子量yの10%以下であるか否かで、該製造条件Wの適否を評価することができる。標準偏差Zの値が重量平均分子量yの10%以下であれば、製造条件Wは、同じ製造条件で目的の重合体を繰り返し製造するときの、ロット間における分子量のばらつきが良好に抑えられた重合体を得るのに、適切な製造条件として採用できる。
該標準偏差Zが重量平均分子量yの10%を超える場合は、製造条件を変更して、再度重合体の製造を行い、標準偏差Zの値が重量平均分子量yの10%以下であるか否かで、該製造条件の適否を評価する。このとき変更する製造条件は、開始剤の供給方法、単量体の供給方法、重合反応期間の終了時の反応液に対する該反応液に供給された単量体の合計の割合、又はこれらの組み合わせが好ましい。
例えば、単量体供給時間を長くする、重合開始剤の供給方法を、重合の初期段階において主工程で使用される重合開始剤の全供給量の一部を供給し、その後は該初期段階よりも低速で重合開始剤を供給する方法に変更する、重合反応期間の終了時の反応液に対する該反応液に供給された単量体の合計の割合を減少させる、又はこれらを組み合わせることによって、該yに対するZの割合を低下させることができる。
【0047】
このようにして「標準偏差Zが重量平均分子量yの10%以下」を満たす製造条件を予め決定し、これと同じ製造条件で目的の重合体を繰り返し製造することが好ましい。予め決定された製造条件と同じ条件で重合体を製造する際は、標準偏差Zを求めるための操作は行わなくてよい。かかる製造条件を用いることにより、後述の実施例に示されるように、製造再現性が向上し、平均分子量のロット間差が非常に小さい重合体を繰り返し製造することができる。
【0048】
重合工程において、所定量の単量体及び重合開始剤を供給し、所定の時間、重合反応させた後、反応停止操作を行い、重合反応を停止させ、重合体溶液を得る。
得られた重合体溶液は、必要に応じて精製を行う。例えば、1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、PGME、乳酸エチル等の希釈溶媒で適当な溶液粘度に希釈した後、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、ヘキサン、ヘプタン、ジイソプロピルエーテル、又はそれらの混合溶媒等の貧溶媒中に滴下し、重合体を析出させる。この工程は再沈殿工程と呼ばれ、重合体溶液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等を取り除くために非常に有効である。未反応単量体は、そのまま残存しているとレジスト組成物として用いた場合に感度が低下するため、できるだけ取り除くことが好ましい。重合体中の不純物としての単量体含有量は2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましく、0.29質量%以下が特に好ましく、0.25質量%以下が最も好ましい。
【0049】
貧溶媒としては、製造する重合体が溶解せずに析出する溶媒であればよく、公知のものを使用できるが、半導体リソグラフィー用重合体に用いられる未反応の単量体、重合開始剤等を効率的に取り除くことができる点で、メタノール、イソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、ヘプタン、水、又はそれらの混合溶媒が好ましい。
使用する貧溶媒の量は残存する未反応単量体をより低減できるため、重合体溶液と同質量以上用いることができ、3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましく、6倍以上が特に好ましい。
【0050】
その後、析出物をろ別し、湿粉を得る。
また、湿粉を再び貧溶媒に分散させて重合体分散液を得た後、重合体をろ別する操作を繰り返すこともできる。この工程は、リスラリ工程と呼ばれ、重合体湿粉中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等をより低減させるために非常に有効である。
重合体を高い生産性を維持したまま取得できる点ではリスラリ工程を行わず、再沈殿工程のみで重合体を精製することが好ましい。
【0051】
得られた湿粉は、十分に乾燥して、乾燥粉末状の重合体を得ることができる。
また、ろ別した後、乾燥せずに湿粉のまま適当な溶媒に溶解させてリソグラフィー用組成物として用いてもよく、濃縮して低沸点化合物を除去してからリソグラフィー用組成物として用いてもよい。その際、保存安定剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
また、乾燥させた後に適当な溶媒に溶解させ、さらに濃縮して低沸点化合物を除去してからリソグラフィー用組成物として用いてもよい。その際、保存安定剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
【0052】
<レジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物の製造方法は、本発明の製造方法でレジスト用重合体を製造し、得られたレジスト用重合体と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ということもある。)を混合する工程を有するレジスト組成物の製造方法である。好ましくは該重合体と、光酸発生剤とをレジスト溶媒に溶解させてレジスト組成物を製造する。
レジスト用重合体を製造する際は、単量体として、上述した構成単位(a)を導く単量体(極性基を有する単量体)及び上述した構成単位(b)を導く単量体(酸脱離性基を有する単量体)を用いることが好ましい
得られるレジスト組成物は、本発明の製造方法で得られるレジスト用重合体と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物とを含有する、化学増幅型レジスト組成物である。
【0053】
[レジスト溶媒]
レジスト溶媒としては、前記重合溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
[活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)]
光酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として公知のものを適宜選択して用いることができる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
レジスト組成物における光酸発生剤の含有量は、重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
【0054】
[含窒素化合物]
化学増幅型レジスト組成物は、含窒素化合物を含んでいてもよい。含窒素化合物を含むことにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。つまり、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなり、また、レジスト膜に光を照射し、ついでベーク(PEB)した後、次の現像処理までの間に数時間放置されることが半導体素子の量産ラインではあるが、そのような放置(経時)したときにレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
【0055】
含窒素化合物としては、アミンが好ましく、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンがより好ましい。
含窒素化合物の量は、重合体100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
【0056】
[有機カルボン酸、リンのオキソ酸又はその誘導体]
化学増幅型レジスト組成物は、有機カルボン酸、リンのオキソ酸又はその誘導体(以下、これらをまとめて酸化合物と記す。)を含んでいてもよい。酸化合物を含むことにより、含窒素化合物の配合による感度劣化を抑えることができ、また、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。
【0057】
有機カルボン酸としては、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
リンのオキソ酸又はその誘導体としては、リン酸又はその誘導体、ホスホン酸又はその誘導体、ホスフィン酸又はその誘導体等が挙げられる。
酸化合物の量は、重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0058】
[添加剤]
レジスト組成物は、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これら添加剤の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
【0059】
<微細パターンが形成された基板の製造方法>
本発明の、微細パターンが形成された基板の製造方法は、本発明の製造方法でレジスト組成物を製造する工程と、得られたレジスト組成物を、基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程を有する。
以下、該基板の製造方法の一例について説明する。
【0060】
まず、所望の微細パターンを形成しようとするシリコンウエハー等の被加工基板の表面(被加工面)に、レジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、該レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
【0061】
次いで、レジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光を照射して潜像を形成する(露光)。照射光としては、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、EUVエキシマレーザーが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。また、電子線を照射してもよい。
また、該レジスト膜と露光装置の最終レンズとの間に、純水、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリアルキルアミン等の高屈折率液体を介在させた状態で光を照射する液浸露光を行ってもよい。
【0062】
露光後、適宜熱処理(露光後ベーク、PEB)し、レジスト膜にアルカリ現像液を接触させ、露光部分を現像液に溶解させ、除去する(現像)。アルカリ現像液としては、公知のものを用いることができる。
現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
【0063】
レジストパターンが形成された基板は、適宜熱処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。
エッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、パターンが形成された基板が得られる。
【0064】
本発明の製造方法によれば、重合体重合工程において経時的に生成する重合体の平均分子量のばらつきが低減される。また同条件で重合体を繰り返し製造する際の製造再現性が向上し、ロット間における分子量のばらつきが、従来には無い高度なレベルで小さく抑えられた重合体が得られる。
本発明により得られるレジスト組成物は、該レジスト組成物に含まれる半導体リソグラフィー用重合体の分子量バラツキが小さいため、感度及び現像コントラスト等のレジスト性能の安定性に優れる。
したがって本発明の基板の製造方法によれば、本発明にかかるレジスト組成物を用いることによって、高精度の微細なレジストパターンを安定して形成できる。また、高感度のレジスト組成物の使用が要求される、波長250nm以下の露光光を用いるフォトリソグラフィー又は電子線リソグラフィー、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を使用するリソグラフィーによる、パターン形成にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り「質量部」を示す。測定方法及び評価方法は以下の方法を用いた。
【0066】
<分子量の測定方法>
重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、下記の条件(GPC条件)でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
[GPC条件]
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
試料(重合体の場合):重合体の約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
試料(反応液の場合):サンプリングした反応液の約30mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1mL/分、
注入量:0.1mL、
検出器:示差屈折計。
【0067】
検量線I:標準ポリスチレンの約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いて、上記の条件で分離カラムに注入し、溶出時間と分子量の関係を求めた。標準ポリスチレンは、下記の東ソー社製の標準ポリスチレン(いずれも商品名)を用いた。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
【0068】
<単量体の定量方法>
反応液中に残存する未反応の単量体量は次の方法で求めた。
反応容器内の反応液を0.5g採取し、これをアセトニトリルで希釈し、メスフラスコを用いて全量を50mLとした。この希釈液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、東ソー社製、高速液体クロマトグラフHPLC−8020(製品名)を用いて、該希釈液中の未反応の単量体量を、単量体ごとに求めた。
【0069】
この測定において、分離カラムはジーエルサイエンス社製、Inertsil ODS−2(商品名)を1本使用し、移動相は水/アセトニトリルのグラジエント系、流量0.8mL/min、検出器は東ソー社製、紫外・可視吸光光度計UV−8020(商品名)、検出波長220nm、測定温度40℃、注入量4μLで測定した。なお、分離カラムであるInertsil ODS−2(商品名)は、シリカゲル粒径5μm、カラム内径4.6mm×カラム長さ450mmのものを使用した。移動相のグラジエント条件は、A液を水、B液をアセトニトリルとし、下記の通りとした。また、未反応単量体量を定量するために、濃度の異なる3種類の各単量体溶液を標準液として用いた。
【0070】
測定時間0〜3分:A液/B液=90体積%/10体積%。
測定時間3〜24分:A液/B液=90体積%/10体積%から、50体積%/50体積%まで。
測定時間24〜36.5分:A液/B液=50体積%/50体積%から、0体積%/1
00体積%まで。
測定時間36.5〜44分:A液/B液=0体積%/100体積%。
【0071】
<レジスト組成物の感度の評価>
レジスト組成物を6インチシリコンウエハー上に回転塗布し、ホットプレート上で120℃、60秒間のプリベーク(PAB)を行い、厚さ300nmのレジスト膜を形成した。ArFエキシマレーザー露光装置(リソテックジャパン社製、製品名:VUVES−4500)を用い、露光量を変えながら10mm×10mmの面積の18ショットを露光した。次いで110℃、60秒間のポストベーク(PEB)を行った後、レジスト現像アナライザー(リソテックジャパン社製、製品名:RDA−806)を用い、23.5℃にて2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で65秒間現像した。各露光量のレジスト膜それぞれについて、現像中のレジスト膜厚の経時変化を測定した。
得られたデータを基に、露光量(mJ/cm
2)の対数と、初期膜厚に対する60秒間現像した時点での残存膜厚率(以下、残膜率という)(%)をプロットした曲線(以下、露光量−残膜率曲線という)を作成し、Eth感度(残膜率0%とするための必要露光量であり、感度を表す。)を以下の通り求めた。
Eth感度:露光量−残膜率曲線が残膜率0%と交わる露光量(mJ/cm
2)
このEthの値は感度を表し、この値が小さいほど、感度が高いことを示す。
【0072】
<重量平均分子量のロット間差>
各例において、同一の条件で重合体を5回合成し、それぞれ得られた重合体の重量平均分子量を測定した。測定数5の標準偏差を求め、重量平均分子量のロット間差とした。該ロット間差の値が小さいほど、重合反応の再現性に優れ、重量平均分子量のロット間バラツキが小さいことを示す。
【0073】
以下の例で用いた単量体は下記式(m−1)で表される単量体(m−1)、下記式(m−2)で表される単量体(m−2)、及び下記式(m−3)で表される単量体(m−3)である。
【0074】
【化1】
【0075】
<実施例1>
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記の混合物S1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記の混合物T1と重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、T1を4時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにT1の供給終了直後より、下記混合物Uのうちの80質量%(U1)を1時間かけて滴下し、残りの20質量%(U2)を1時間かけて滴下し、さらに80℃の温度を1時間保持した(熟成工程)。T1の滴下開始から1時間毎に反応液をサンプリングし、7時間後に室温まで冷却して反応を停止させた。
サンプリングした反応液から、上述の方法で、重合反応工程における(t−1)時間後〜t時間後の1時間の間に生成する重合体のMw(x
t)、重合反応終了時のMw(y)、重合率、重合率が90%に達する直前の測定時間(n)、及び上記式(1)で表される標準偏差(Z)、及びyに対するZの割合を求めたところ、表1に示す値となった(以下、同様)。
滴下時間と熟成工程の時間の合計が重合反応期間であり、滴下時間が単量体供給期間である。これらの値から重合反応期間中の単量体供給期間の割合を求めた。結果を表1に示す(以下、同様)。
重合反応期間の終了時における反応液の質量は、予め反応容器に仕込んだ液(本例では重合溶媒及び単量体)の質量、ならびに滴下により供給した単量体、重合開始剤、及び重合溶媒の質量を合計した値として求め、該反応液の質量に対する供給された単量体の合計量の割合を算出した。結果を表1に示す(以下、同様)。
【0076】
(S1)
単量体m−1を3.99部(31.3モル%)、
単量体m−2を7.68部(52.4モル%)、
単量体m−3を2.88部(16.3モル%)、
乳酸エチルを99.3部。
(T1)
単量体m−1を24.03部(40モル%)、
単量体m−2を27.71部(40モル%)、
単量体m−3を16.68部(20モル%)、
乳酸エチルを101.8部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.690部(S1及びT1における単量体の合計量に対して0.7モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを2.0部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを1.280部(S1及びT1における単量体の合計量に対して1.3モル%)。
(U)
単量体m−1を1.09部(67.6モル%)、
単量体m−3を0.73部(32.4モル%)、
乳酸エチルを34.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.054部(Uにおける単量体の合計量に対して2.5モル%)。
【0077】
[重合体の精製]
反応時間7時間が経過した後に、室温まで冷却して反応を停止させ、フラスコ内の重合体溶液を、約10倍量のメタノール及び水の混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)に撹拌しながら滴下し、白色の析出物(重合体P1)の沈殿を得た。沈殿を濾別し、再度、前記と同じ量のメタノール及び水の混合溶媒(メタノール/水=90/10容量比)へ投入し、撹拌しながら沈殿の洗浄を行った。そして、洗浄後の沈殿を濾別し、重合体湿粉160gを得た。この重合体湿粉のうち10gを減圧下40℃で約40時間乾燥した。得られた重合体P1についてMwを求めた。結果を表2に示す(以下、同様)。
[レジスト組成物の製造]
上記重合体湿粉の残りを、PGMEAの880gへ投入し、完全に溶解させて重合体溶液とした後、孔径0.04μmのナイロン製フィルター(日本ポール社製、P−NYLON N66FILTER0.04M(商品名))へ通液して、重合体溶液を濾過した。
得られた重合体溶液を減圧下で加熱してメタノール及び水を留去し、さらにPGMEAを留去し、重合体の濃度が25質量%の重合体P1溶液を得た。この際、最高到達真空度は0.7kPa、最高溶液温度は65℃、留去時間は8時間であった。
【0078】
得られた重合体P1溶液の400部と、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレートの2部と、溶媒であるPGMEAとを、重合体濃度が12.5質量%になるように混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物を得た。得られたレジスト組成物について上記の方法で感度を評価した。結果を表2に示す(以下、同様)。
【0079】
[重量平均分子量のロット間差]
本例(製造1−1)と同一の条件でさらに重合体を4回合成した(製造1−2〜1−5)。ただし表1に示す各項目の測定は行わなかった。各回で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)を測定した。測定数5の標準偏差を求め、重量平均分子量のロット間差とした。結果を表2に示す(以下、同様)。該ロット間差の値が小さいほど、重合反応の再現性に優れ、重量平均分子量のロット間バラツキが小さいことを示す。
各回で得られた重合体をそれぞれ用い、同一の条件でレジスト組成物を調製し、感度(Eth)を評価した。結果を表2に示す(以下、同様)。
【0080】
<実施例2>
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記の混合物S1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記の混合物T1と重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、T1を6時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにT1の供給終了直後より80℃の温度を1時間保持した(熟成工程)。T1の滴下開始から1時間毎に重合反応液をサンプリングし、7時間後に室温まで冷却して反応を停止させた。サンプリングした反応液から、表1に示す項目の値を求めた。
【0081】
(S1)
単量体m−1を6.53部(31.3モル%)、
単量体m−2を11.76部(52.4モル%)、
単量体m−3を4.84部(16.3モル%)、
乳酸エチルを170.4部、
PGMEAを139.4部。
(T1)
単量体m−1を73.44部(40モル%)、
単量体m−2を84.67部(40モル%)、
単量体m−3を50.98部(20モル%)、
乳酸エチルを232.4部、
PGMEAを199.7部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを4.633部(S1及びT1における単量体の合計量に対して0.7モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを11.7部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを1.158部(S1及びT1における単量体の合計量に対して1.3モル%)。
[重合体の精製]
実施例1と同様にして、重合体を精製し、評価した評価結果を表2に示す。
【0082】
<実施例3>
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記の混合物S1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記の混合物T1と重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、T1を5時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにT1の供給終了直後より、下記混合物Uを30分かけて滴下し、さらに80℃の温度を1時間30分保持した(熟成工程)。T1の滴下開始から1時間毎に重合反応液をサンプリングし、7時間後に室温まで冷却して反応を停止させた。サンプリングした反応液から、表1に示す項目の値を求めた。
【0083】
(S1)
単量体m−1を2.07部(18.8モル%)、
単量体m−2を9.15部(71.9モル%)、
単量体m−3を1.44部(9.4モル%)、
乳酸エチルを92.7部、
PGMEAを39.7部。
(T1)
単量体m−1を42.84部(40モル%)、
単量体m−2を49.39部(40モル%)、
単量体m−3を29.74部(20モル%)、
乳酸エチルを100.9部、
PGMEAを49.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを3.069部(S1及びT1における単量体の合計量に対して1.92モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを14.6部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.767部(S1及びT1における単量体の合計量に対して0.48モル%)。
(U)
単量体m−1を0.33部(66.7モル%)、
単量体m−3を0.23部(33.3モル%)、
乳酸エチルを12.6部、
PMGEAを5.4部
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.016部(Uにおける単量体の計量に対して2.4モル%)。
[重合体の精製]
実施例1と同様にして、重合体を精製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0084】
<比較例4>
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗1個、及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチル193.6部を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、滴下漏斗より下記の混合物T1の滴下を開始し、4時間かけてフラスコ内に滴下した。さらにT1の供給終了直後より80℃の温度を3時間保持した(熟成工程)。T1の滴下開始から1時間毎に重合反応液をサンプリングし、7時間後に室温まで冷却して反応を停止させた。サンプリングした反応液から、表1に示す項目の値を求めた。
【0085】
(T1)
単量体m−1を81.60部(40モル%)、
単量体m−2を94.08部(40モル%)、
単量体m−3を56.64部(20モル%)、
乳酸エチルを348.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを6.900部(S1及びT1における単量体の合計量に対して2.5モル%)。
乳酸エチルを12.6部、
PMGEAを5.4部
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.016部(Uにおける単量体の合計量に対して2.4モル%)。
[重合体の精製]
実施例1と同様にして、重合体を精製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0086】
<比較例5>
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記の混合物S1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記の混合物T1と重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、T1を4時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにT1の供給終了直後より80℃の温度を3時間保持した(熟成工程)。T1の滴下開始から1時間毎に重合反応液をサンプリングし、7時間後に室温まで冷却して反応を停止させた。サンプリングした反応液から、表1に示す項目の値を求めた。
【0087】
(S1)
単量体m−1を2.72部(39.0モル%)、
単量体m−2を4.90部(41.3モル%)、
単量体m−3を2.02部(19.7モル%)、
乳酸エチルを79.0部
(T1)
単量体m−1を23.80部(40モル%)、
単量体m−2を27.44部(40モル%)、
単量体m−3を16.52部(20モル%)、
乳酸エチルを101.6部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.643部(S1及びT1における単量体の合計量に対して0.7モル%)。
(重合開始剤溶液)
乳酸エチルを3.6部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを1.196部(S1及びT1における単量体の合計量に対して1.3モル%)。
[重合体の精製]
実施例1と同様にして、重合体を精製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0088】
<比較例6>
窒素導入口、撹拌機、コンデンサー、滴下漏斗2個、及び温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、下記の混合物S1を入れた。フラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を撹拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、別個の滴下漏斗より下記のT1と重合開始剤溶液の供給を同時に開始し、混合物T1を3時間かけて、重合開始剤溶液を20分かけてフラスコ内に滴下した。さらにT1の供給終了直後より80℃の温度を4時間保持した(熟成工程)。T1の滴下開始から1時間毎に重合反応液をサンプリングし、7時間後に室温まで冷却して反応を停止させた。サンプリングした反応液から、表1に示す項目の値を求めた。
【0089】
(S1)
単量体m−1を6.97部(34.2モル%)、
単量体m−2を11.47部(48.8モル%)、
単量体m−3を4.80部(17.0モル%)、
PGMEAを149.8部。
(T1)
単量体m−1を73.44部(40モル%)、
単量体m−2を84.67部(40モル%)、
単量体m−3を50.98部(20モル%)、
PGMEAを149.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを3.864部(S1及びT1における単量体の合計量に対して1.4モル%)。
(重合開始剤溶液)
PGMEAを21.5部、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを7.175部(S1及びT1における単量体の合計量に対して2.6モル%)。
[重合体の精製]
実施例1と同様にして、重合体を精製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
表1、2の結果に示されるように、実施例1〜3は、重合反応期間中の1時間の間に生成される重合体のMwのばらつきが小さく、重合反応終了時の重量平均分子量yに対する標準偏差Zの割合が10%以下であった。該実施例1〜3は、同条件で繰り返し重合体を製造したときの、ロット間の重合平均分子量(Mw)のバラツキが小さく、製造再現性に優れていた。
これに対して比較例4〜6は、重合反応期間中の1時間の間に生成される重合体のMwのばらつきが大きく、重合反応終了時の重量平均分子量yに対する標準偏差Zの割合が10%を超え、重合平均分子量(Mw)のロット間差が大きい。特に、重合反応終了時の反応液に対して供給された単量体の質量割合が40質量%を超える比較例6においては、重合反応期間中のMwのばらつきが特に大きく、ロット間のバラツキも大きかった。