(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコーン高分子化合物原料総量に対しイソシアヌル酸骨格含有化合物を0.1〜10.0質量%添加することを特徴とする請求項4記載のシリコーン骨格含有高分子化合物の製造方法。
膜厚10〜100μmの光硬化性樹脂層が、支持フィルム及び保護フィルムで挟まれた構造を有する光硬化性ドライフィルムであり、光硬化性樹脂層の形成に用いられる光硬化性樹脂組成物が上記請求項6記載の樹脂組成物からなることを特徴とする光硬化性ドライフィルム。
開口幅が10〜100μmであり、かつ、深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有する基板に請求項8記載の光硬化性ドライフィルムによって形成された光硬化性樹脂組成物の硬化物層が積層されてなる積層体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、微細パターンを形成することができ、CuやAlのような金属配線、電極を施された基板上、あるいはSiNのような基板上で直面する剥がれの問題を解決できるネガ型レジスト材料に好適に用いられるシリコーン骨格含有高分子化合物及びその製造方法、該高分子化合物を含む樹脂組成物、該樹脂組成物からなる化学増幅ネガ型レジスト材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記樹脂組成物を用いた光硬化性ドライフィルム及びその製造方法、この光硬化性ドライフィルムを用いて形成される積層体を提供することを他の目的とする。
更に、本発明は、上記ネガ型レジスト材料をスピンコートすることによって簡便に基板上に塗布して微細なパターンを形成するパターン形成方法、及び上記光硬化性ドライフィルムを使用し、凹凸を持つ基板上であっても、幅広い膜厚に亘るレジスト層を形成し、微細なパターンを形成することができるパターン形成方法、並びに上記パターン形成方法によって得られたパターンを低温で後硬化して得られる硬化皮膜を用いた、配線、回路、基板等の電気・電子部品保護用皮膜を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、
(A)分子中に架橋基又は架橋反応が生じる反応点を有するシリコーン骨格を含む樹脂であって、イソシアヌル酸骨格を分子中又は末端基に結合してなり、重量平均分子量が3,000〜500,000であるシリコーン骨格含有高分子化合物、特に下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜500,000のシリコーン骨格含有高分子化合物、
【化1】
(式中、R
1〜R
4は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜8の1価炭化水素基を示す。mは1〜100の整数である。a、b、c、dは0又は正数、e、fは正数であり、かつ、a、b、c、dは同時に0になることがない。但し、a+b+c+d+e+f=1である。更に、Xは一般式(2)で示される2価の有機基、Yは一般式(3)で示される2価の有機基、及びWは一般式(4−1)で示される2価の有機基及び/又は一般式(4−2)で示される1価の有機基である。)
【化2】
(式中、Zは
【化3】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R
5及びR
6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1、2のいずれかである。)
【化4】
(式中、Vは
【化5】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R
7及びR
8はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1、2のいずれかである。)
【化6】
(式中、T
1、T
2は同一でも異なっていてもよく、
【化7】
のいずれかより選ばれる1価の基であり、R
9は炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、R
10は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、又は−(CH
2)
sOH(s=0〜3)で示される基である。)
(B)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、又は多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤、
(C)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(D)溶剤
を含有してなる樹脂組成物からなる化学増幅ネガ型レジスト材料が微細なパターンを形成可能で、CuやAlのような金属配線、電極、基板上、もしくはSiNのような基板上で直面する剥がれの問題を大幅に改善できることを見出した。
更に、上記パターン形成方法により得られる硬化皮膜が、電気・電子部品保護用皮膜として優れることを知見し、本発明をなすに至った。
【0016】
従って、本発明は、下記の事項を提供する。
〔1〕
分子中に架橋基又は架橋反応が生じる反応点を有するシリコーン骨格を含む樹脂であって、下記一般式(4−1)’で示される2価の有機基及び/又は下記一般式(4−2)’で示される1価の有機基であるイソシアヌル酸骨格を分子中又は末端基に結合してなり、重量平均分子量が3,000〜500,000であることを特徴とするシリコーン骨格含有高分子化合物。
【化8】
(式中、T
1'、T
2'は同一でも異なっていてもよく、
【化9】
のいずれかより選ばれる1価の基であり、R
9'は炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、R
10'は炭素数1〜4のアルコキシ基である。)
〔2〕
分子中に架橋基又は架橋反応が生じる反応点を有するシリコーン骨格を含む樹脂であって、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、イソシアヌル酸骨格を分子中又は末端基に結合してなり、重量平均分子量が3,000〜500,000であることを特徴とするシリコーン骨格含有高分子化合物。
【化10】
(式中、R
1〜R
4は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜8の1価炭化水素基を示す。mは1〜100の整数である。a、b、c、dは0又は正数、e、fは正数であり、かつ、a、b、c、dは同時に0になることがない。但し、a+b+c+d+e+f=1である。更に、Xは一般式(2)で示される2価の有機基、Yは一般式(3)で示される2価の有機基、及びWは一般式(4−1)で示される2価の有機基及び/又は一般式(4−2)で示される1価の有機基である。)
【化11】
(式中、Zは
【化12】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R
5及びR
6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1、2のいずれかである。)
【化13】
(式中、Vは
【化14】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R
7及びR
8はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1、2のいずれかである。)
【化15】
(式中、T
1、T
2は同一でも異なっていてもよく、
【化16】
のいずれかより選ばれる1価の基であり、R
9は炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、R
10は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、又は−(CH
2)
sOH(s=0〜3)で示される基である。)
〔3〕
上記式(4−1)及び(4−2)において、T
1又はT
2が下記式であることを特徴とする〔2〕に記載のシリコーン骨格含有高分子化合物。
【化17】
〔4〕
下記式(5)で示されるハイドロジェンシルフェニレン
【化18】
及び下記一般式(6)で示されるジヒドロオルガノシロキサン
【化19】
(式中、R
3、R
4及びmは、上記と同じである。)
と、下記一般式(7)で示されるジアリル基を有するエポキシ基含有化合物
【化20】
(式中、V、R
7、R
8、p、hは、上記と同じである。)
及び/又は下記一般式(8)で示されるジアリル基を有するフェノール化合物
【化21】
(式中、Z、R
5、R
6、n、kは、上記と同じである。)
と、下記一般式(9)で示されるジアリル基及び/又は下記一般式(10)で示されるアリル基を有するイソシアヌル酸骨格含有化合物
【化22】
(式中、T
1、T
2は、上記と同じである。)
とを、触媒の存在下に重合反応を行うことを特徴とする〔2〕記載のシリコーン骨格含有高分子化合物の製造方法。
〔5〕
シリコーン高分子化合物原料総量に対しイソシアヌル酸骨格含有化合物を0.1〜10.0質量%添加することを特徴とする〔4〕記載のシリコーン骨格含有高分子化合物の製造方法。
〔6〕
(A)〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のシリコーン骨格含有高分子化合物、
(B)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、又は多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤、
(C)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(D)溶剤
を含有してなる樹脂組成物。
〔7〕
〔6〕に記載の樹脂組成物からなる化学増幅ネガ型レジスト材料。
〔8〕
膜厚10〜100μmの光硬化性樹脂層が、支持フィルム及び保護フィルムで挟まれた構造を有する光硬化性ドライフィルムであり、光硬化性樹脂層の形成に用いられる光硬化性樹脂組成物が上記〔6〕記載の樹脂組成物からなることを特徴とする光硬化性ドライフィルム。
〔9〕
(1)〔7〕記載の化学増幅ネガ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長190〜500nmの高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、
(3)加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
〔10〕
更に、現像後、(4)現像によりパターン形成された皮膜を、温度100〜250℃において後硬化する工程
を含む〔9〕記載のパターン形成方法。
〔11〕
開口幅が10〜100μmであり、かつ、深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有する基板に〔8〕記載の光硬化性ドライフィルムによって形成された光硬化性樹脂組成物の硬化物層が積層されてなる積層体。
〔12〕
(i)〔6〕記載の樹脂組成物を支持フィルム上に塗布する工程、
(ii)上記樹脂組成物を乾燥させて、上記支持フィルム上に光硬化性樹脂層を形成する工程、
(iii)更に、上記光硬化性樹脂層上に保護フィルムを貼り合わせる工程
を含む光硬化性ドライフィルムの製造方法。
〔13〕
(i)〔8〕記載の光硬化性ドライフィルムから保護フィルムを剥離することにより露出した光硬化性樹脂層を基板に密着させ、皮膜を形成させる工程、
(ii)上記支持フィルムを介してもしくは上記支持フィルムを剥離した状態で、フォトマスクを介して波長190〜500nmの光で露光する工程、
(iii)露光後の加熱処理を行う工程、
(iv)現像液にて現像する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
〔14〕
更に、現像後、(v)現像によりパターン形成された皮膜を、温度100〜250℃において後硬化する工程
を含む〔13〕記載のパターン形成方法。
〔15〕
基板が、開口幅が10〜100μmであり、かつ、深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有する基板である〔13〕又は〔14〕記載のパターン形成方法
。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、CuやAlのような金属配線、電極、基板上、もしくはSiNのような基板上で直面する剥がれの問題を飛躍的に改善でき、幅広い波長領域において微細なパターンの形成が可能で、かつチップの高密度化、高集積化に伴い、再配線技術におけるパターンの微細化が可能であって、電気・電子部品保護用皮膜に有用な化学増幅ネガ型レジスト材料、光硬化性ドライフィルム、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
シリコーン骨格含有高分子化合物
本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物は、分子中に架橋基又は架橋反応が生じる反応点を有するシリコーン骨格を含む樹脂であって、イソシアヌル酸骨格を分子中又は末端基に結合してなり、重量平均分子量が3,000〜500,000であるものである。
【0020】
この場合、イソシアヌル酸骨格が一般式(4−1)で示される2価の有機基及び/又は一般式(4−2)で示される1価の有機基であることが好ましい。
【化23】
(式中、T
1、T
2は同一でも異なっていてもよく、
【化24】
のいずれかより選ばれる1価の基であり、R
9は炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、R
10は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、又は−(CH
2)
sOH(s=0〜3)で示される基である。)
【0021】
具体的には、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものが挙げられる。
【化25】
【0022】
式中、R
1〜R
4は同一でも異なってもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜6の1価炭化水素基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0023】
また、後述する架橋剤及び光酸発生剤との相溶性及び光硬化性の観点から、mは1〜100の整数、好ましくは1〜80の整数である。また、基板に対する密着性、電気特性、信頼性の観点から、a、b、c、dは0又は正数、e、fは正数であり、かつ、a、b、c、dは同時に0になることがない。この場合、好ましくは0≦a≦0.8、より好ましくは0.2≦a<0.8、特に好ましくは0.2≦a≦0.7であり、好ましくは0≦b<1.0、より好ましくは0.1≦b<0.8、特に好ましくは0.1≦b≦0.5であり、好ましくは0≦c≦0.5、特に好ましくは0≦c≦0.4であり、好ましくは0≦d≦0.3、特に好ましくは0≦d≦0.2であり、好ましくは0<e≦0.3、特に好ましくは0<e≦0.2であり、好ましくは0<f≦0.3、特に好ましくは0<f≦0.2である。但し、a+b+c+d+e+f=1である。
上記a、b、c、d、e、fについては、特に
i.0.2≦a<0.8、0.1≦b<0.8で、c、dがそれぞれ0、0<e≦0.3、0<f≦0.3、
ii.0.2≦a≦0.7、0.1≦b≦0.5、0<c≦0.4、0<d≦0.2、0<e≦0.2、0<f≦0.2
であるものが好適である。
【0024】
更に、Xは一般式(2)で示される2価の有機基、Yは一般式(3)で示される2価の有機基、及びWは一般式(4−1)で示される2価の有機基及び/又は一般式(4−2)で示される1価の有機基である。
【化26】
(式中、Zは
【化27】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R
5及びR
6はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1、2のいずれかである。)
R
5及びR
6の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
【化28】
(式中、Vは
【化29】
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R
7及びR
8はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1、2のいずれかである。)
R
7及びR
8の具体例としては、R
5又はR
6と同様なものが挙げられる。
【0026】
【化30】
(式中、T
1、T
2は同一でも異なっていてもよく、
【化31】
のいずれかより選ばれる1価の基であり、R
9は炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、R
10は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、又は−(CH
2)
sOH(但し、sは0、1、2又は3である)で示される基である。)
R
9の具体例としては、R
5又はR
6と同様なものが挙げられ、R
10の具体例としてはR
5又はR
6と同様なもの、ヒドロキシ基、メチロール基、ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
T
1、T
2は上記の中でも下記の置換基が好ましい。
【化32】
【0027】
本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物の重量平均分子量は、これを用いた光硬化性樹脂組成物の相溶性及び光硬化性、並びに、上記光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の機械的特性の観点から、3,000〜500,000、好ましくは5,000〜300,000である。なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
【0028】
本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物は、一般式(1)の組成になるように原料である下記式(5)のハイドロジェンシルフェニレン(1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン)
【化33】
で示されるハイドロジェンシルフェニレン及び下記一般式(6)で示されるジヒドロオルガノシロキサン
【化34】
(式中、R
3、R
4及びmは、上記と同じである。)
と、下記一般式(7)で示されるジアリル基を有する特定のエポキシ基含有化合物
【化35】
(式中、V、R
7、R
8、p、hは、上記と同じである。)
及び/又は下記一般式(8)で示されるジアリル基を有する特定のフェノール化合物、
【化36】
(式中、Z、R
5、R
6、n、kは、上記と同じである。)
更に、下記一般式(9)で示されるジアリル基及び/又は下記一般式(10)で示されるモノアリル基を有するイソシアヌル酸骨格含有化合物
【化37】
(式中、T
1、T
2は、上記と同じである。)
とを使用し、またシリコーン高分子化合物原料総量に対しイソシアヌル酸骨格含有化合物を0.1〜10.0質量%添加することで、触媒の存在下に所謂「ハイドロシリレーション」重合反応を行うことにより、製造することができる。なお、式(7)のエポキシ基含有化合物と式(8)のフェノール化合物は組み合わせて用いることが好ましい。
また、イソシアヌル酸骨格含有化合物として上記式(4−1)、(4−2)のうちモノアリル置換イソシアヌル酸骨格含有化合物(10)を用いる際は、含有組成物の中で最も最後に系内に加え重合反応を行うことが好ましい。
【0029】
なお、本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物の重量平均分子量は、上記式(7)で示されるジアリル基を有する特定のエポキシ基含有化合物と上記式(8)で示されるジアリル基を有する特定のフェノール化合物と上記式(9)で示されるジアリル基又は上記式(10)で示されるモノアリル基を有する特定のイソシアヌル酸骨格含有化合物のアリル基総数、及び上記式(5)で示されるハイドロジェンシルフェニレンと上記式(6)で示されるジヒドロオルガノシロキサンのヒドロシリル基総数との比(アリル基総数/ヒドロシリル基総数)を調整することにより、容易に制御することが可能である。あるいは、上記ジアリル基を有する特定のエポキシ基含有化合物及びジアリル基を有する特定のフェノール化合物及び(ジ)アリル基を有する特定のイソシアヌル酸骨格含有化合物、並びにハイドロジェンシルフェニレン及びジヒドロオルガノシロキサンの重合時に、例えば、o−アリルフェノールのようなモノアリル化合物、又は、トリエチルヒドロシランのようなモノヒドロシランやモノヒドロシロキサンを分子量調整剤として使用することにより、上記重量平均分子量は容易に制御することが可能である。
【0030】
上記重合反応において、触媒としては、例えば白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H
2PtCl
4・xH
2O、H
2PtCl
6・xH
2O、NaHPtCl
6・xH
2O、KHPtCl
6・xH
2O、Na
2PtCl
6・xH
2O、K
2PtCl
4・xH
2O、PtCl
4・xH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・xH
2O(式中、xは0〜6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書、米国特許第3,775,452号明細書);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(所謂ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特にビニル基含有環状シロキサン)との錯体等が挙げられる。
【0031】
その使用量は触媒量であり、通常、白金族金属として反応重合物の総質量に対して0.001〜0.1質量%であることが好ましい。
【0032】
上記重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。
上記重合条件として、触媒が失活せず、かつ、短時間で重合の完結が可能という観点から、重合温度は、例えば40〜150℃、特に60〜120℃が好ましい。
重合時間は、重合物の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5〜100時間、特に0.5〜30時間で終了するのが好ましい。このようにして重合反応を終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、イソシアヌル酸骨格を分子中又は末端基に有する本発明の式(1)で示されるシリコーン骨格含有高分子化合物を得ることができる。
【0033】
なお、シリコーン骨格含有高分子化合物の重量平均分子量が低下すると、上記シリコーン骨格含有高分子化合物の粘度は低下する。そのため、上記シリコーン骨格含有高分子化合物を用いた化学増幅ネガ型レジスト材料を用いて形成した樹脂層の粘性率も低下する。また、シリコーン骨格含有高分子化合物の分子内において、直鎖状ポリシロキサンを含む分子ユニットの割合[一般式(1)のb及びd及びf]が増加すると、相対的にシルフェニレン等の芳香族化合物を含む分子ユニットの割合[一般式(1)のa及びc及びe]が減少し、上記シリコーン骨格含有高分子化合物の粘度は低下する。そのため、上記シリコーン骨格含有高分子化合物を用いた化学増幅ネガ型レジスト材料を用いて形成した樹脂層の粘性率も低下する。
更に、シリコーン骨格含有高分子化合物の分子内において、直鎖状ポリシロキサンの分子鎖長が増加すると、即ち、一般式(1)のmの値が増加すると、上記シリコーン骨格含有高分子化合物の粘度は低下する。そのため、上記シリコーン骨格含有高分子化合物を用いた化学増幅ネガ型レジスト材料を用いて形成した樹脂層の粘性率も低下する。
【0034】
樹脂組成物及び化学増幅ネガ型レジスト材料
本発明の樹脂組成物は、
(A)上記シリコーン骨格含有高分子化合物、
(B)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、又は多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤、
(C)波長190〜500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、
(D)溶剤
を含有してなる。また、本発明の化学増幅ネガ型レジスト材料は、この樹脂組成物からなるものである。
【0035】
ここで、(B)架橋剤としては、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、例えばホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物、又はホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物が挙げられる。
【0037】
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物の調製は、例えば、まず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルムアルデヒドでメチロール化して変性、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性して、下記一般式(11)で示される変性メラミンとする。なお、上記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1〜4のアルコールが好ましい。
【0038】
【化38】
(式中、R
11は同一でも異なってもよく、メチロール基、炭素数1〜4のアルコキシ基を含むアルコキシメチル基又は水素原子であるが、少なくとも1つはメチロール基又は上記アルコキシメチル基である。)
上記R
11としては、例えば、メチロール基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等のアルコキシメチル基及び水素原子等が挙げられる。
【0039】
上記一般式(11)の変性メラミンとして、具体的にはトリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等が挙げられる。
次いで、一般式(11)の変性メラミン又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)を、常法に従って、ホルムアルデヒドと所望の分子量になるまで付加縮合重合させて、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物が得られる。
【0040】
また、上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物の調製は、例えば公知の方法に従って、所望の分子量の尿素縮合物をホルムアルデヒドでメチロール化して変性し、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性する。
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物の具体例としては、例えば、メトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。
なお、これら変性メラミン縮合物及び変性尿素縮合物の1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0041】
次いで、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物としては、例えば(2−ヒドロキシ−5−メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール、2,2’,6,6’−テトラメトキシメチルビスフェノールA等が挙げられる。
これらフェノール化合物の1種又は2種以上を、架橋剤として使用することができる。
なお、上記架橋剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
一方、多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物としては、ビスフェノールA、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの水酸基を塩基存在下、エピクロロヒドリンと反応することで得られる1,1’−ジグリシドキシビスフェノールA、トリス(4−グリシドキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−グリシドキシフェニル)エタン等を挙げることができる。
これら多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物の1種又は2種を、架橋剤として使用することができる。
【0043】
上記架橋剤としては、上述したシリコーン骨格含有高分子化合物と硬化反応を起こし、パターンの形成を容易になし得るための成分であると共に、硬化物の強度を更に上げる成分である。そのような架橋剤の重量平均分子量は、光硬化性及び耐熱性の観点から、150〜10,000、特に200〜3,000のものが好ましい。
【0044】
上記架橋剤の配合量は、光硬化性及び後硬化を経た電気・電子部品保護用皮膜としての信頼性の観点から、上記シリコーン骨格含有高分子化合物100質量部に対して0.5〜50質量部、特に1〜30質量部が好ましい。
【0045】
(C)光酸発生剤としては、190〜500nmの波長の光照射により酸を発生し、これが硬化触媒となるものを用いることができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は光酸発生剤との相溶性に優れるため、様々な種類の光酸発生剤を使用することができる。上記光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イル−スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0046】
上記オニウム塩としては、例えば、下記一般式(12)で示される化合物が挙げられる。
(R
12)
jM
+K
- (12)
(式中、R
12は置換基を有してもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、M
+はヨードニウム又はスルホニウムを表し、K
-は非求核性対向イオンを表し、jは2又は3を表す。)
【0047】
上記R
12において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、2−オキソシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基;o−、m−又はp−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m−又はp−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0048】
K
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート;トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート;メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート等が挙げられる。
【0049】
ジアゾメタン誘導体としては、下記一般式(13)で示される化合物が挙げられる。
【化39】
(式中、R
13は同一でも異なってもよく、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基もしくはハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。)
【0050】
上記R
13において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基;o−、m−又はp−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m−又はp−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基等が挙げられる。ハロゲン化アリール基としては、例えば、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0051】
具体的には、光酸発生剤として、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩;ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロへキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロへキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体;ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロへキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロへキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体;α−(ベンゼンスルホニウムオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル等のオキシムスルホネート誘導体;2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体;ジフェニルジスルホン、ジシクロへキシルジスルホン等のジスルホン誘導体;p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体;1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体;フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート、n−トリフルオロメチルスルホニルオキシナフチルイミド等のイミド−イル−スルホネート誘導体;(5−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)−アセトニトリル等のイミノスルホネート、2−メチル−2[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−1−プロパン等が挙げられる。これらの中でも、イミド−イル−スルホネート類、イミノスルホネート類、オキシムスルホネート類等が好適に用いられる。
上記光酸発生剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0052】
上記光酸発生剤の配合量は、光酸発生剤自身の光吸収及び厚膜での光硬化性の観点から、シリコーン骨格含有高分子化合物100質量部に対して0.05〜20質量部、特に0.2〜5質量部が好ましい。
【0053】
(D)溶剤としては、上述したシリコーン骨格含有高分子化合物、架橋剤及び光酸発生剤が溶解可能であるものを用いることができる。
例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。特に、光酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はそれらの混合溶剤が好ましい。
【0054】
上記溶剤の配合量は、光硬化性樹脂組成物の相溶性、粘度及び塗布性の観点から、上述したシリコーン骨格含有高分子化合物、架橋剤及び光酸発生剤の配合量の合計100質量部に対して50〜2,000質量部、特に100〜l,000質量部が好ましい。
【0055】
更に、本発明では必要に応じて、塩基性化合物を(E)成分として添加することができる。上記塩基性化合物としては、光酸発生剤より発生する酸が光硬化性樹脂層を拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。そして、上記塩基性化合物の配合により、解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターン形状等を改善することができる。
【0056】
上記塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体、更に、下記一般式(14)で示される化合物等が挙げられる。
N(α)
q(β)
3-q (14)
【0057】
式中、q=1、2又は3である。側鎖αは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(15)〜(17)で示されるいずれかの置換基である。側鎖βは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル結合もしくはヒドロキシ基を含んでもよい。また、側鎖α同士が結合して環を形成してもよい。
【化40】
【0058】
ここで、R
300、R
302、R
305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R
301、R
304は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。R
303は単結合又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R
306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0059】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0060】
第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0061】
第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0062】
混成アミン類としては、例えば、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0063】
芳香族アミン類及び複素環アミン類としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グア
ノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0064】
カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が例示される。
【0065】
スルホニル基を有する含窒素化合物としては、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示される。
【0066】
ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0067】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0068】
上記一般式(14)で示される化合物としては、トリス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが例示できるが、これらに制限されない。
上記塩基性化合物は1種又は2種以上を用いることができる。
【0069】
上記塩基性化合物の配合量は、感度の観点から、上記シリコーン骨格含有高分子化合物100質量部に対して0〜3質量部、特に0.01〜1質量部が好ましい。
【0070】
その他、本発明において、光硬化性樹脂層を形成する際に用いられる光硬化性樹脂組成物には、上記各成分の他に、更に添加成分を配合してもよい。上記添加成分としては、例えば塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤及び光酸発生剤等の光吸収効率を向上させるために慣用されている吸光剤が挙げられる。
【0071】
上記界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、例えばフッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。
これらは、市販されているものを用いることができ、例えば、フロラード「FC−4430」(住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」及び「S−145」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−4031」及び「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(DIC(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、フロラード「FC−4430」(住友スリーエム(株)製)及び「X−70−093」(信越化学工業(株)製)である。
【0072】
上記吸光剤としては、例えばジアリールスルホキシド、ジアリールスルホン、9,10−ジメチルアントラセン、9−フルオレノン等が挙げられる。
【0073】
本発明の化学増幅型レジスト材料において、その調製は通常の方法で行われる。上述した各成分を撹拌混合し、その後フィルター等により濾過することにより、上記化学増幅ネガ型レジスト材料を調製できる。
【0074】
光硬化性ドライフィルム
本発明の光硬化性ドライフィルムは、光硬化性樹脂層が支持フィルム及び保護フィルムで挟まれた構造を有し、上記光硬化性樹脂層が上記樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物)から形成されたものである。
【0075】
更に、本発明の光硬化性ドライフィルムが有する構造について説明すると、光硬化性ドライフィルムは、光硬化性樹脂層が支持フィルム及び保護フィルムに挟まれた構造を有する。そして、上記光硬化性樹脂層としては、電気・電子部品保護用皮膜の形成に適当な上記樹脂組成物により形成されたものであって、幅広い膜厚及び波長領域において微細なパターン形成が可能であり、低温の後硬化により可撓性、耐熱性、電気特性、密着性、信頼性及び薬品耐性に優れる。
【0076】
本発明において、光硬化性ドライフィルムは固体であり、光硬化性樹脂層は、揮発による気泡が上記光硬化性樹脂層の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。そして、半導体素子の小型化・薄型化・多層化が進み、本発明が適用範囲の一つとする層間絶縁層は薄くなる傾向にあるが、凹凸のある基板上での平坦性と段差被覆性を考慮すると、適切な膜厚範囲は存在する。従って、上記光硬化性樹脂層の膜厚は、その平坦性及び段差被覆性の観点から、10〜100μmであり、好ましくは10〜70μm、特に好ましくは10〜50μmである。
【0077】
また、上記光硬化性樹脂層は良好な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていくことができる。
【0078】
従って、本発明の光硬化性ドライフィルムは、凹凸を持つ基板に密着させる際に、光硬化性樹脂層が上記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、上記光硬化性樹脂層の主成分が上記シリコーン骨格含有高分子化合物であることにより、低い表面張力が特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、上記光硬化性樹脂層を真空環境下で上記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
【0079】
ここで、本発明の光硬化性ドライフィルムにおいて、光硬化性樹脂層を形成する際に用いられる光硬化性樹脂組成物の調製は、上述の化学増幅ネガ型レジスト材料の調製と同様に、各成分を撹拌混合し、その後フィルター等により濾過することにより、光硬化性樹脂組成物を調製することができる。
【0080】
本発明の光硬化性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一でも複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムでもよい。材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムがあるが、適度の可撓性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらのフィルムについては、コロナ処理や剥離剤が塗布されたような各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡績(株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1−A3、PET38×1−V8、PET38×1−X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0081】
本発明の光硬化性ドライフィルムにおいて使用される保護フィルムは、上述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可撓性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF−8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)が挙げられる。
【0082】
上記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、光硬化性ドライフィルム製造の安定性及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10〜100μm、特に好ましくは25〜50μmである。
【0083】
次に、本発明における光硬化性ドライフィルムの製造方法について説明する。上記光硬化性ドライフィルムの製造装置は、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。上記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
【0084】
支持フィルムを上記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、上記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、上記支持フィルム上に光硬化性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度と所定の時間で熱風循環オーブンを通過させ、上記支持フィルム上で乾燥させた光硬化性樹脂層を上記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムと共に、所定の圧力でラミネートロールを通過させて上記支持フィルム上の上記光硬化性樹脂層と貼り合わせた後、上記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって製造される。この場合、上記温度としては25〜150℃が好ましく、上記時間としては1〜100分間が好ましく、上記圧力としては0.01〜5MPaが好ましい。
【0085】
パターン形成方法
まず、上述した化学増幅ネガ型レジスト材料を用いた場合のパターン形成方法について説明する。
本発明のネガ型レジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えばシリコンウエハーあるいはSiO
2基板、SiN基板等の基板、又はこれらの基板に銅配線などのパターンが形成されている基板にスピンコーティング等の公知の手法で塗布し、80〜130℃、50〜600秒間程度の条件でプリベークし、厚さ1〜50μm、好ましくは1〜30μm、更に好ましくは5〜20μmのレジスト膜を形成する。次いで、目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、i線、g線等の波長190〜500nmの高エネルギー線を露光量1〜5,000mJ/cm
2程度、好ましくは100〜2,000mJ/cm
2程度となるように照射する。次に必要に応じ、ホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜120℃、1〜5分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)してもよい。このように露光することで、露光部分が架橋して現像液である下記溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。
【0086】
その後、現像液にて現像する。上記現像液は、本発明の化学増幅ネガ型レジスト材料を調製した際に用いた上述の溶剤を使用することができる。例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類、更には、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール等が好ましい。現像は、通常の方法、例えばパターンが形成された基板を上記現像液に浸漬すること等により行うことができる。その後、必要に応じて洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する光硬化性樹脂層の皮膜が得られる。なお、パターンを形成する必要のない場合、例えば単なる均一皮膜を形成したい場合は、上記フォトマスクを使用しない以外は上記パターン形成方法で述べた内容と同様の方法で行えばよい。
【0087】
また、得られたパターンをオーブンやホットプレートを用いて、温度100〜250℃、好ましくは150〜220℃、更に好ましくは170〜190℃で後硬化することができる。後硬化温度が100〜250℃であれば、光硬化性樹脂組成物の皮膜の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性や強度、更に電気特性の観点から好ましい。そして、後硬化時間は10分間〜10時間とすることができる。
【0088】
このようにして得られた硬化皮膜は、可撓性、基板との密着性、耐熱性、電気特性、機械的強度及びソルダーフラックス液に対する薬品耐性に優れ、それを保護用皮膜とした半導体素子の信頼性にも優れ、特に温度サイクル試験の際のクラック発生を防止でき、電気・電子部品、半導体素子等の保護用皮膜として好適に用いられる。
【0089】
更に、本発明における光硬化性ドライフィルムのパターン形成方法について説明する。本発明の光硬化性ドライフィルムから保護フィルムを剥離し、光硬化性樹脂層を基板に密着させ、露光し、露光後加熱処理(ポストエクスポジュアーベーク(PEB))を行い、現像し、更に、必要に応じて後硬化してパターンを形成し、最終目的の電気・電子部品保護用皮膜が得られる。
【0090】
まず、光硬化性ドライフィルムを、フィルム貼り付け装置を用いて基板に密着させる。上記基板としては、例えばシリコンウエハー、TSV用シリコンウエハー、プラスチック、セラミック及び各種金属製回路基板等があり、特に開口幅が10〜100μmかつ深さが10〜120μmである溝や孔を有する基板が挙げられる。上記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。上記光硬化性ドライフィルムを上記フィルム貼り付け装置に取り付け、上記光硬化性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した上記光硬化性樹脂層を、所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で上記基板に密着させる。なお、上記温度としては60〜120℃が好ましく、上記圧力としては0〜5.0MPaが好ましく、上記真空度としては50〜500Paが好ましい。上記密着後、公知のリソグラフィー技術を用いてパターンの形成を行うことができる。ここで、上記光硬化性樹脂層の光硬化反応を効率的に行うため又は光硬化性樹脂層と基板との密着性を向上させるため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行ってもよい。プリベークは、例えば40〜140℃で1分間〜1時間程度行うことができる。次いで、支持フィルムを介して、もしくは上記支持フィルムを剥離した状態で、フォトマスクを介して波長190〜500nmの光で露光して、硬化させる。上記フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は上記波長190〜500nmの光を遮蔽するものが好ましく、例えばクロム等が好適に用いられるがこれに限定されるものではない。上記波長190〜500nmの光としては、例えば放射線発生装置により発生させた種々の波長の光、例えば、g線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられる。そして、上記波長は好ましくは248〜436nmである。露光量は、例えば10〜3,000mJ/cm
2が好ましい。このように露光することで、露光部分が架橋して現像液である下記溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。
【0091】
更に、現像感度を高めるために、露光後加熱処理(PEB)を行う。上記露光後の加熱処理は、例えば40〜140℃で0.5〜10分間とすることができる。
【0092】
その後、現像液にて現像する。上記現像液は、本発明の光硬化性ドライフィルムにおいて光硬化性樹脂層の形成に用いられる光硬化性樹脂組成物の溶剤を使用することができる。例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類、更には、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール等が好ましい。現像は、通常の方法、例えばパターンが形成された基板を上記現像液に浸漬すること等により行うことができる。その後、必要に応じて洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する光硬化性樹脂層の皮膜が得られる。なお、パターンを形成する必要のない場合、例えば単なる均一皮膜を形成したい場合は、上記フォトマスクを使用しない以外は上記パターン形成方法で述べた内容と同様の方法で行えばよい。
【0093】
また、得られたパターンをオーブンやホットプレートを用いて、温度100〜250℃、好ましくは150〜220℃、更に好ましくは170〜190℃で後硬化することができる。後硬化温度が100〜250℃であれば、光硬化性樹脂組成物の皮膜の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性や強度、更に電気特性の観点から好ましい。そして、後硬化時間は10分間〜10時間とすることができる。
【0094】
このようにして得られた硬化皮膜もまた、可撓性、基板との密着性、耐熱性、電気特性、機械的強度及びソルダーフラックス液に対する薬品耐性に優れ、それを保護用皮膜とした半導体素子の信頼性にも優れ、特に温度サイクル試験の際のクラック発生を防止でき、電気・電子部品、半導体素子等の保護用皮膜として好適に用いられる。
【0095】
なお、本発明においては、上記のように形成することで得られる、開口幅が10〜100μmであり、かつ、深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有する基板に上記光硬化性ドライフィルムによって形成された光硬化性樹脂組成物の硬化物層が積層されてなる積層体、及び上記パターン形成方法により得られた硬化皮膜からなる電気・電子部品保護用皮膜をも提供する。
【実施例】
【0096】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、下記の例において部は質量部を示す。
【0097】
I.光硬化性樹脂組成物の調製
下記合成例において使用する化合物(M−1)〜(M−11)の化学構造式を示した。
【化41】
(Meはメチル基を示す。)
【0098】
[合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に化合物(M−1)118gをトルエン700gに溶解後、化合物(M−2)50.3g、化合物(M−3)353.2g、化合物(M−4)2.3g、化合物(M−6)1.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、化合物(M−5)40.4gを25分間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、65〜67℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン637.5gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水285gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを975g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−1)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、同じくGPCを用い、化合物(M−6)のピークの消失により化合物(M−6)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)において原料のモル比換算により、a=0.395,b=0.263,c=0.198,d=0.132,e=0.007,f=0.005であった。
【0099】
[合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に化合物(M−1)100gをトルエン700gに溶解後、化合物(M−2)82.9g、化合物(M−3)321.8g、化合物(M−4)2.6g、化合物(M−6)1.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.7gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.7gを投入し、化合物(M−5)53.0gを25分間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、65〜67℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン650gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水285gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを875g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−2)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、化合物(M−6)のピークの消失により化合物(M−6)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.341,b=0.161,c=0.332,d=0.156,e=0.007,f=0.003であった。
【0100】
[合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した10Lフラスコ内に化合物(M−1)400gをトルエン2,900gに溶解後、化合物(M−2)340.1g、化合物(M−3)943.5g、化合物(M−4)10.9g、化合物(M−6)3.9gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)3.8gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)3.8gを投入し、化合物(M−5)232.7gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、67〜70℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン2,940gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水1,315gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを3,500g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−3)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量50,000であり、化合物(M−6)のピークの消失により化合物(M−6)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.371,b=0.131,c=0.361,d=0.127,e=0.007,f=0.003であった。
【0101】
[合成例4]
[合成例1]において化合物(M−6)を化合物(M−7)1.1gに代え、同様の処方で合成したシクロペンタノンを主溶剤とする固形分濃度65〜70質量%のシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−4)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、化合物(M−7)のピークの消失により化合物(M−7)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.395,b=0.263,c=0.198,d=0.132,e=0.007,f=0.005であった。
【0102】
[合成例5]
[合成例1]において化合物(M−6)を化合物(M−8)1.1gに代え、同様の処方で合成した固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−5)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、化合物(M−8)のピークの消失により化合物(M−8)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.395,b=0.263,c=0.198,d=0.132,e=0.007,f=0.005であった。
【0103】
[合成例6]
[合成例1]において化合物(M−6)を化合物(M−9)1.1gに代え、同様の処方で合成したシクロペンタノンを主溶剤とする固形分濃度65〜70質量%のシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−6)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、化合物(M−9)のピークの消失により化合物(M−9)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.395,b=0.263,c=0.198,d=0.132,e=0.007,f=0.005であった。
【0104】
[合成例7]
[合成例1]において化合物(M−6)を化合物(M−10)1.1gに代え、同様の処方で合成したシクロペンタノンを主溶剤とする固形分濃度65〜70質量%のシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−7)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、化合物(M−10)のピークの消失により化合物(M−10)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.395,b=0.263,c=0.198,d=0.132,e=0.007,f=0.005であった。
【0105】
[合成例8]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に化合物(M−1)118gをトルエン700gに溶解後、化合物(M−2)50.3g、化合物(M−3)353.2g、化合物(M−4)2.3gを加え60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、化合物(M−5)40.4gを25分間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、65〜67℃まで上昇した。滴下終了後、化合物(M−11)1.1gを加え、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン637.5gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水285gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを975g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−8)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量45,000であり、化合物(M−11)のピークの消失により化合物(M−11)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.395,b=0.263,c=0.198,d=0.132,e=0.007,f=0.005であった。
【0106】
[合成例9]
[合成例1]において化合物(M−6)を2.2gに増やし、同様の処方で合成したシクロペンタノンを主溶剤とする固形分濃度65〜70質量%のシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−9)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、化合物(M−6)のピークの消失により化合物(M−6)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)においてa=0.391,b=0.260,c=0.196,d=0.130,e=0.014,f=0.009であった。
【0107】
[合成例10]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に化合物(M−1)118gをトルエン700gに溶解後、化合物(M−2)50.3g、化合物(M−3)477.3g、化合物(M−4)3.1g、化合物(M−6)35gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、化合物(M−5)54.5gを30分間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、65〜67℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン637.5gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水285gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを975g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−10)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、同じくGPCを用い、化合物(M−6)のピークの消失により化合物(M−6)がポリマー中に組み込まれたことを確認した。また式(1)において原料のモル比換算により、a=0.292,b=0.195,c=0.146,d=0.098,e=0.161,f=0.108であった。
【0108】
[比較合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に化合物(M−1)118gをトルエン700gに溶解後、化合物(M−2)50.3g、化合物(M−3)353.2g、化合物(M−4)2.3gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.8gを投入し、化合物(M−5)40.4gを25分間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、65〜67℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン637.5gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水285gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを975g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−11)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、式(1)においてa=0.400,b=0.266,c=0.200,d=0.134であった。
【0109】
[比較合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した2Lフラスコ内に化合物(M−1)100gをトルエン700gに溶解後、化合物(M−2)82.9g、化合物(M−3)321.8g、化合物(M−4)2.6gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.7gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)0.7gを投入し、化合物(M−5)53.0gを25分間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、65〜67℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン650gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水285gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを875g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−12)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000であり、式(1)においてa=0.345,b=0.162,c=0.335,d=0.158であった。
【0110】
[比較合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した10Lフラスコ内に化合物(M−1)400gをトルエン2,900gに溶解後、化合物(M−2)340.1g、化合物(M−3)943.5g、化合物(M−4)10.9gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)3.8gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温したのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)3.8gを投入し、化合物(M−5)232.7gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、67〜70℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン2,940gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られたシリコーン骨格含有高分子化合物溶液に純水1,315gを加え、撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、シリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを3,500g添加した後、固形分濃度65〜70質量%のシクロペンタノン溶液となるよう減圧濃縮し、シクロペンタノンを主溶剤とするシリコーン骨格含有高分子化合物溶液(A−13)を得た。このシリコーン骨格含有高分子化合物溶液中のシリコーン骨格含有高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量50,000であり、式(1)においてa=0.375,b=0.132,c=0.365,d=0.128であった。
【0111】
[実施例及び比較例]
上記合成例1〜10で合成した樹脂の溶液を使用して、表1に記載した組成(( )内質量部)で、架橋剤、光酸発生剤、アミン化合物を配合し、追加する溶媒としてシクロペンタノンを配合して、固形分濃度45質量%のレジスト材料を調製した。その後、撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製0.5μmフィルターで精密濾過を行って組成物1〜12のレジスト材料を得た。
【0112】
また、比較例として、同じように上記比較合成例1〜3で合成した樹脂の溶液と酸発生剤を配合し、撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製0.5μmフィルターで精密濾過を行って組成物13〜15のレジスト材料を得た。比較例の組成も表1に記載する。
【0113】
【表1】
【0114】
なお、表1に記載した光酸発生剤(PAG−1)、架橋剤(XL−1、XL−2)、塩基性化合物(AMINE−1)は、以下の通りである。
【化42】
【0115】
II.露光、パターン形成
上記レジスト材料をシリコン基板上へ5mLディスペンスした後に基板を回転することによって、基板上へレジスト材料を塗布することができる。即ち、スピンコート法である。回転速度を調整することで容易に基板上のレジスト膜の膜厚を調整することが可能である。上記レジスト材料をシリコン基板上へ膜厚20μmとなるように塗布した。
【0116】
基板上へ上記レジスト材料をディスペンス、スピンコートした後に、ホットプレート上100℃、2分間のプリベークを施した。そして次に、ズースマイクロテック(株)製のマスクアライナー(製品名:MA−8)を使い、縦横1:1配列の20μmのホールが形成できるマスクを装着して、ブロードバンド光の露光を施した。次いで、上記基板を110℃で2分間露光後、加熱(PEB)して冷却した。その後、イソプロピルアルコール(IPA)を用いて1分間パドル現像を3回行い、パターニングを行った。次いで、得られた基板上パターンをオーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。
同様に、シリコン基板に換えて、SiN基板上、Cu基板上でパターニングを行った。
【0117】
次に、得られたホールパターンの形状が観察できるように、各基板を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてホールパターン形状を観察した。ホールの口径がマスク寸法20μmと同じサイズにホールパターンの口径が仕上がる最適露光量(365nm光換算の露光量)を表2に示した。
【0118】
【表2】
【0119】
表2に示すように、本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物を用いない組成のパターニングを試みた場合、SiN基板、Cu基板上で著しいパターンの剥がれが観察され、パターニングは不可能であった。従って、本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物を用いることで、レジスト材料を用いたパターンもしくはフィルムと基板の密着性が改善することは明白である。
【0120】
III.光硬化性ドライフィルムの作製
次に、光硬化性ドライフィルム用として、上記と同じように合成例1〜10で合成した樹脂の溶液を使用して、再び表1に記載した組成(( )内質量部)で架橋剤、光酸発生剤、更にアミン化合物を配合し(上記と異なり溶媒としてシクロペンタノンは配合しない)、その後、撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製1.0μmフィルターで精密濾過を行って光硬化性樹脂組成物を得た。
また、比較例として、同じように上記比較合成例1〜3で合成した樹脂の溶液と酸発生剤を配合し、撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製1.0μmフィルターで精密濾過を行って光硬化性樹脂組成物を得た。
【0121】
フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いて、表1に示した光硬化性樹脂組成物1〜15を支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を5分間で通過させることにより、支持フィルム上に光硬化性樹脂層を形成した。更に、上記光硬化性樹脂層の上から、保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ50μm)を、ラミネートロールを用いて圧力1MPaにて貼り合わせて、光硬化性ドライフィルムを作製した。
なお、上記光硬化性樹脂層の膜厚は50μmである。フィルムの例を表3に実施例と比較例としてまとめて示す。
【0122】
IV.露光、パターン形成
次に、表3にまとめたように、実施例、比較例に挙げた上記光硬化性樹脂組成物を用いた光硬化性ドライフィルムのそれぞれを、その保護フィルムを剥離し、(株)タカトリ製の真空ラミネーター(製品名:TEAM−100RF)を用いて、真空チャンバー内を真空度100Paに設定し、温度条件100℃において支持フィルム上の光硬化性樹脂層をシリコン基板に密着させた。常圧に戻した後、上記基板を25℃に冷却して上記真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。
次に支持フィルムを剥離後、ホットプレート上100℃、5分間のプリベークを施した。そして次に、ズースマイクロテック(株)製のマスクアライナー(製品名:MA−8)を使い、縦横1:1配列の40μmのホールが形成できるマスクを装着して、ブロードバンド光の露光を施した。次いで、上記基板を130℃で5分間露光後、加熱(PEB)して冷却した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて5分間スプレー現像を行い、パターニングを行った。次いで、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。
同様に、シリコン基板に換えて、SiN基板上、Cu基板上へ上記のように作製した光硬化性ドライフィルムをラミネートした後に、パターニングを行った。
【0123】
次に、得られたホールパターンの形状が観察できるように、各基板を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてホールパターン形状を観察した。ホールの口径がマスク寸法40μmと同じサイズにホールパターンの口径が仕上がる最適露光量(365nm光換算の露光量)を表3に示した。
【0124】
【表3】
【0125】
表3に示すように、本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物を用いない組成の光硬化性ドライフィルムにおいても、そのパターンもしくはフィルムは、SiN基板、Cu基板上で著しい剥がれを観察し、パターニングは不可能であった。従って、本発明のシリコーン骨格含有高分子化合物を用いることで、光硬化性ドライフィルムもまた、パターンもしくはフィルムと基板の密着性が改善することは明白である。
【0126】
V.埋め込み性能
開口径が10〜100μm(10μm刻み)及び深さが10〜120μm(10μm刻み)の円形孔がそれぞれ200個形成された、6インチシリコンウエハーを用意した。上記表3の中の実施例13、14及び15の光硬化性ドライフィルムについて、その保護フィルムを剥離し、(株)タカトリ製の真空ラミネーター(製品名:TEAM−100RF)を用いて、真空チャンバー内を真空度100Paに設定し、温度条件100℃において支持フィルム上の光硬化性樹脂層を上記基板に密着させた。常圧に戻した後、上記基板を25℃に冷却して上記真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。
次に支持フィルムを剥離後、ホットプレート上100℃、5分間のプリベークを施した。そして次に、ズースマイクロテック(株)製のマスクアライナー(製品名:MA−8)を使って、表3記載の露光量(波長365nm)でブロードバンド光を上記基板に照射した。次いで、上記基板を110℃で5分間露光後、加熱(PEB)して冷却した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて5分間スプレー現像を行った。次いで、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。そして、得られた基板をダイシングして円形孔の断面を出し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて上記円形孔の断面を観察し、欠陥の有無を評価した。その結果を表4に示す。
表4に示す通り、すべて欠陥なく充填されており、電気・電子部品保護用皮膜としての埋め込み性能は良好であると判断できる。
【0127】
【表4】
【0128】
VI.電気特性(絶縁破壊強さ)
上記表3の中の実施例13、14及び15の膜厚50μmの光硬化性ドライフィルムについて、その保護フィルムを剥離し、支持フィルム上の光硬化性樹脂層を、100℃の温度条件で、JIS K 6249に規定される基板に密着させた。そして、上記基板を室温に冷却して、支持フィルムを剥離した。次に支持フィルムを剥離後、ホットプレート上100℃、5分間のプリベークを施した。更に、上記マスクアライナーを使って、露光量1,000mJ/cm
2(波長365nm)であるブロードバンド光を、石英製フォトマスクを介して、上記基板に照射した。次いで、上記基板を110℃で5分間PEBを施し、冷却した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて5分間スプレー現像を行った。次いで、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化し、絶縁破壊強さ測定用の基板を作製した。そして、JIS K 6249に規定される測定方法に準じて、絶縁破壊強さを測定した。その結果を表5に示す。
表5に示す通り、電気・電子部品保護用皮膜としての電気特性はすべて良好であった。
【0129】
VII.密着性
上記表3の中の実施例13、14及び15の膜厚50μmの光硬化性ドライフィルムについて、その保護フィルムを剥離し、上記真空ラミネーターを用いて、真空チャンバー内を真空度100Paに設定し、100℃の温度条件で支持フィルム上の光硬化性樹脂層を無処理の6インチシリコンウエハーに密着させた。常圧に戻した後、上記基板を25℃に冷却して上記真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に支持フィルムを剥離後、ホットプレート上100℃、5分間のプリベークを施した。更に、上記マスクアライナーを使って、露光量1,000mJ/cm
2(波長365nm)であるブロードバンド光を、石英製フォトマスクを介して、上記基板に照射した。次いで、上記基板を110℃で5分間PEBを施し、冷却した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて5分間スプレー現像を行った。次いで、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化し、直径300μm、高さ50μmのポストパターン硬化皮膜を得た。上記ポストパターン硬化皮膜を、イギリスDage製ボンドテスター(製品名:Dage series 4000−PXY)を用いて、基板からのパターン硬化皮膜剥離時にかかる抵抗力により、初期の密着性を評価した。測定条件は、測定スピード50.0μm/sec及び測定高さ3.0μmであった。
図1は密着性測定方法を示す説明図である。なお、図中1はシリコン(Si)基板、2はポストパターン硬化皮膜、3はボンドテスターの測定治具であり、4は測定治具の移動方向を示す。得られた数値は15点測定の平均値であり、数値が高いほどポストパターン硬化皮膜の基板に対する密着性が高い。
更に、基板上のポストパターン硬化皮膜にソルダーフラックス液を塗布し、220℃で30秒間加熱し、冷却後純水で洗浄し、室温で2時間乾燥したポストパターン硬化皮膜について、上記ボンドテスターを用いて、上記基板からのパターン剥離時にかかる抵抗力により、初期と同様に劣化後の密着性を評価した。
なお、3種類の光硬化性ドライフィルムについて、初期の数値を比較することにより密着性を評価し、初期から劣化後へ数値が低下する挙動をそれぞれ比較することにより、密着性と共にソルダーフラックス液に対する薬品耐性も評価した。その結果を表5に示す。
表5に示す通り、電気・電子部品保護用皮膜としての密着性は良好であった。
【0130】
VIII.クラック耐性
上記表3の中の実施例13、14及び15の膜厚50μmの光硬化性ドライフィルムについて、その保護フィルムを剥離し、上記真空ラミネーターを用いて、真空チャンバー内を真空度100Paに設定し、100℃の温度条件で支持フィルム上の光硬化性樹脂層を、上記埋め込み性能に用いた基板に密着させた。常圧に戻した後、上記基板を25℃に冷却して上記真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。
次に支持フィルムを剥離後、ホットプレート上100℃、5分間のプリベークを施した。そして次に、上記マスクアライナーを使って、露光量1,000mJ/cm
2(波長365nm)であるブロードバンド光を、石英製フォトマスクを介して、上記基板に照射した。次いで、上記基板を110℃で5分間PEBを施し、冷却した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて5分間スプレー現像を行った。次いで、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。
この硬化皮膜が形成された基板を、−55〜+150℃を1サイクルとする温度サイクル試験機に投入し、上記硬化皮膜中のクラック発生の有無について1,000サイクルまで調査した。その結果を表5に示す。
表5に示す通り、電気・電子部品保護用皮膜としてのクラック耐性は良好であった。
【0131】
IX.剥離液耐性
上記表3の中の実施例13、14及び15の膜厚50μmの光硬化性ドライフィルムについて、その保護フィルムを剥離し、上記真空ラミネーターを用いて、真空チャンバー内を真空度100Paに設定し、100℃の温度条件で支持フィルム上の光硬化性樹脂層を無処理の6インチシリコンウエハーに密着させた。常圧に戻した後、上記基板を25℃に冷却して上記真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。
次に支持フィルムを剥離後、ホットプレート上100℃、5分間のプリベークを施した。そして次に、上記マスクアライナーを使って、露光量1,000mJ/cm
2(波長365nm)であるブロードバンド光を、石英製フォトマスクを介して、上記基板に照射した。次いで、上記基板を110℃で5分間PEBを施し、冷却した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて5分間スプレー現像を行った。次いで、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化し、15mm×15mmの正方形パターン硬化皮膜を得た。
そして、上記基板をNMP(N−メチルピロリドン)中に室温で1時間浸漬した後、膜厚変化、外観を調査し、剥離液耐性を評価した。その結果を表5に示す。
表5に示す通り、電気・電子部品保護用皮膜としての剥離液耐性はすべて良好であった。
【0132】
【表5】
【0133】
本発明によれば、光硬化性ドライフィルムを用いて形成したホールパターンやスペースパターンがネガティブテーパー(逆テーパー)形状、もしくは上部の形状が極端に張り出したようなオーバーハング形状を観察する一般的なネガ型レジスト材料の特徴を改善し、幅広い膜厚に対応することが可能でかつ幅広い波長領域において微細なパターンの形成が可能であって、チップの高密度化、高集積化に伴い再配線技術におけるパターンの微細化が可能であって、電気・電子部品保護用皮膜に有用な化学増幅ネガ型レジスト材料及び光硬化性ドライフィルムの提供ができる。