特許第5942880号(P5942880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5942880
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】光コネクタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/40 20060101AFI20160616BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   G02B6/40
   G02B6/44 331
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-26685(P2013-26685)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-157182(P2014-157182A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】檜山 智一
(72)【発明者】
【氏名】小島 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−266826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/40
G02B 6/36
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長孔形状の断面を有する挿入孔の内部に複数のコアが同一のピッチで配列された光コネクタであって、
前記挿入孔が形成されたフェルールと、
前記コアの周囲にクラッドと被覆層とが順に形成された複数本の光ファイバと、
を備え、
前記挿入孔は、短軸の長さが前記コアのピッチと同一であると共に長軸の長さが前記コアのピッチに前記複数のコアの数を乗じて得た数と同一であり、
前記複数本の光ファイバは、前記被覆層の外径が前記コアのピッチよりも大きく形成されており、端末が前記被覆層で被覆された状態で前記挿入孔に挿入され、
前記被覆層は、前記クラッドの周囲に形成されたプライマリ層と、前記プライマリ層の周囲に形成されたセカンダリ層と、を有すると共に、前記プライマリ層は、ヤング率が前記セカンダリ層のヤング率よりも大きく、かつ前記プライマリ層と前記セカンダリ層は、ヤング率が820MPa以上890MPa以下であることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記クラッドと前記プライマリ層との界面は、密着性が前記プライマリ層と前記セカンダリ層との界面の密着性よりも高い請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記プライマリ層は、層厚が前記セカンダリ層の層厚と同一である請求項1または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
長孔形状の断面を有する挿入孔の内部に複数のコアが同一のピッチで配列された光コネクタの製造方法であって、
短軸の長さが前記コアのピッチと同一であると共に長軸の長さが前記コアのピッチに前記複数のコアの数を乗じて得た数と同一である前記挿入孔をフェルールに形成し、
前記コアの周囲にクラッドと、プライマリ層と前記プライマリ層の周囲に形成されたセカンダリ層とからなる被覆層とが順に形成され、前記被覆層の外径が前記コアのピッチよりも大きいと共に、前記プライマリ層は、ヤング率が前記セカンダリ層のヤング率よりも大きく、かつ前記プライマリ層と前記セカンダリ層は、ヤング率が820MPa以上890MPa以下である複数本の光ファイバを形成し、
前記複数本の光ファイバの端末を前記被覆層で被覆された状態で前記挿入孔に挿入し、
前記フェルールに挿入された前記複数本の光ファイバの入出射端面と前記フェルールの先端面とを共に研磨することを特徴とする光コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端末がコネクタ化されてなる光コネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機器内又は機器間の光伝送技術として、光インターコネクション方式の光伝送が注目されている。光インターコネクション方式における光素子間の光伝送には、例えば、クラッドの周囲に被覆層としてヤング率が10MPa以下の低ヤング率層やヤング率が100MPa以上の高ヤング率層が被覆された光ファイバが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この光ファイバは、光素子との光接続のために、端末がコネクタ化された状態で使用されている。
【0004】
図3に示すように、光ファイバ31(図では複数本の光ファイバ31がテープ状に纏められてテープ状光ファイバ32とされている)の端末をコネクタ化してなる光コネクタ30は、光ファイバ31の端末が光ファイバ接続部品であるフェルール33に固定されて形成される。
【0005】
フェルール33には、クラッドの外径と同等の内径を有する挿入孔34が形成されており、この挿入孔34に被覆層が除去されてクラッドが露出された光ファイバ31の端末が挿入されると共に接着剤を用いて固定される。
【0006】
また、フェルール33の先端面35は、光ファイバ31の端末が接合された後でコアやクラッドの光入出射端面と共に研磨される。
【0007】
この光コネクタ30では、フェルール33にクラッドの外径と同等の内径を有する挿入孔34が高精度で形成されていることから、光ファイバ31のコアが挿入孔34の内部の定位置に固定される。
【0008】
そのため、光コネクタ30は製品の再現性が高く、光コネクタ30によれば、光ファイバ31と光素子とを光接続する際に、光ファイバ31の光軸と光素子の光軸とを高精度に一致させることができ、接続損失の少ない光接続が行える。
【0009】
しかしながら、光コネクタ30では、取り扱う光ファイバ31の本数が増えると、光ファイバ31の本数に応じて複数の挿入孔34を形成する必要があるため、フェルール33の加工に掛かるコストが嵩むという課題がある。
【0010】
この課題を解決するためには、図4に示すように、長孔形状の断面を有する挿入孔41が形成されたフェルール42を用いて光コネクタ40を製造することが考えられる。
【0011】
この光コネクタ40では、挿入孔41を一つだけ形成すれば足りるため、フェルール42の加工に掛かるコストを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−198506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
挿入孔41の大きさは、挿入孔41に光ファイバ31の端末が挿入されたときに全ての光ファイバ31のコア43が同一のピッチPで配列されるような大きさに加工されるのが理想であるが(図4(a)参照)、実際には、挿入孔41に光ファイバ31が挿入されたときにクラッド44の表面を損傷しないように必要以上の大きさに加工されることが多い。
【0014】
この場合、挿入孔41に挿入された光ファイバ31のコア43が様々なピッチP0〜Pnで配列されることになるため(図4(b)参照)、製品の再現性が悪く、光コネクタ40を用いて光ファイバ31と光素子とを光接続する際に、光ファイバ31の光軸と光素子の光軸とを高精度に一致させることができず、接続損失が大きくなってしまうという課題が生じる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、長孔形状の断面を有する挿入孔が形成されたフェルールを用いた場合であっても、複数本の光ファイバのコアを略同一のピッチで配列することが可能な光コネクタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために創案された本発明は、長孔形状の断面を有する挿入孔の内部に複数のコアが同一のピッチで配列された光コネクタであって、前記挿入孔が形成されたフェルールと、前記コアの周囲にクラッドと被覆層とが順に形成された複数本の光ファイバと、を備え、前記挿入孔は、短軸の長さが前記コアのピッチと同一であると共に長軸の長さが前記コアのピッチに前記複数のコアの数を乗じて得た数と同一であり、前記複数本の光ファイバは、前記被覆層の外径が前記コアのピッチよりも大きく形成されており、端末が前記被覆層で被覆された状態で前記挿入孔に挿入された光コネクタである。
【0017】
前記被覆層は、前記クラッドの周囲に形成されたプライマリ層と、前記プライマリ層の周囲に形成されたセカンダリ層と、を有すると良い。
【0018】
前記プライマリ層と前記セカンダリ層は、ヤング率が820MPa以上890MPa以下であると良い。
【0019】
前記プライマリ層は、ヤング率が前記セカンダリ層のヤング率よりも大きいと良い。
【0020】
前記クラッドと前記プライマリ層との界面は、密着性が前記プライマリ層と前記セカンダリ層との界面の密着性よりも高いと良い。
【0021】
前記プライマリ層は、層厚が前記セカンダリ層の層厚と同一であると良い。
【0022】
また、本発明は、長孔形状の断面を有する挿入孔の内部に複数のコアが同一のピッチで配列された光コネクタの製造方法であって、短軸の長さが前記コアのピッチと同一であると共に長軸の長さが前記コアのピッチに前記複数のコアの数を乗じて得た数と同一である前記挿入孔をフェルールに形成し、前記コアの周囲にクラッドと被覆層とが順に形成されると共に前記被覆層の外径が前記コアのピッチよりも大きい複数本の光ファイバを形成し、前記複数本の光ファイバの端末を前記被覆層で被覆された状態で前記挿入孔に挿入する光コネクタの製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、長孔形状の断面を有する挿入孔が形成されたフェルールを用いた場合であっても、複数本の光ファイバのコアを略同一のピッチで配列することが可能な光コネクタ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る光コネクタを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は一部拡大図である。
図2】挿入孔に挿入されたときの光ファイバを示す断面図であり、(a)は挿入時に受ける応力を示す図、(b)は不適切な構造を示す図、(c)は適切な構造を示す図である。
図3】従来技術に係る光コネクタを示す斜視図である。
図4】従来技術に係る光コネクタを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は理想の配列状態を示す図、(c)は現実の配列状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0026】
図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る光コネクタ10は、長孔形状の断面を有する挿入孔11の内部に複数のコア12が同一のピッチPで配列されたものであり、挿入孔11が形成されたフェルール13と、コア12の周囲にクラッド14と被覆層15とが順に形成された複数本の光ファイバ16と、を備え、挿入孔11は、短軸の長さLSがコア12のピッチPと同一であると共に長軸の長さLLがコア12のピッチPに複数のコア12の数を乗じて得た数と同一であり、複数本の光ファイバ16は、被覆層15の外径がコア12のピッチPよりも大きく形成されており、端末が被覆層15で被覆された状態で挿入孔11に挿入されたことを特徴とする。
【0027】
ここで、複数のコア12が同一のピッチPで配列されるとは、全てのコア12が完全に同一のピッチPで配列される場合の他、殆ど同一のピッチPで配列される場合も含むものとする。
【0028】
挿入孔11は、例えば、コア12のピッチPを250μm、複数のコア12の数を12本とした場合には、短軸の長さLSが250μm、長軸の長さLLが3000μm(=250μm×12)とされる。
【0029】
フェルール13は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アルミニウム、亜鉛、ステンレス、又は真鍮からなる。
【0030】
複数本の光ファイバ16は、取り扱い性を向上させる観点から、テープ状に纏められてテープ状光ファイバ17とされることが好ましい。
【0031】
複数本の光ファイバ16は、端末が被覆層15で被覆された状態で挿入孔11に挿入されるため、図2(a)に示すように、挿入孔11に挿入された複数本の光ファイバ16の被覆層15には、隣接する被覆層15と挿入孔11とによって略均等な応力F1が加わると共に被覆層15をクラッド14から剥離させる応力F2が加わる。これら応力F1、F2によって被覆層15の断面は角を丸めた四角形状に変形し、その状態で複数本の光ファイバ16が挿入孔11に配置される。
【0032】
被覆層15は、クラッド14の周囲に形成されたプライマリ層18と、プライマリ層18の周囲に形成されたセカンダリ層19と、を有することが好ましい。
【0033】
これらプライマリ層18とセカンダリ層19は、例えば、アクリル系樹脂等の紫外線硬化型樹脂により形成される。
【0034】
被覆層15が一層構造である場合には、複数本の光ファイバ16が挿入孔11に挿入されるときに加わる応力F1、F2によって被覆層15の全体が変形し、その変形がクラッド14と被覆層15との界面で剥離を生じさせることがある。
【0035】
クラッド14と被覆層15との界面で剥離が生じると、図2(b)に示すように、後工程でフェルール13の先端面21を研磨する際に、剥離によって形成された隙間22によってコア12やクラッド14が動いたり、その隙間22に研磨材が進入したりしてコア12やクラッド14の光入出射端面が損傷し、光学特性が劣化する虞がある。
【0036】
これに対して、被覆層15がプライマリ層18とセカンダリ層19との二層構造である場合には、図2(c)に示すように、複数本の光ファイバ16が挿入孔11に挿入されるときに加わる応力F1、F2によって主にセカンダリ層19が変形し、セカンダリ層19で応力F1、F2を吸収することができるため、クラッド14とプライマリ層18との界面まで応力F1、F2が伝達されにくくなる。
【0037】
そのため、クラッド14とプライマリ層18との界面で剥離が生じにくくなり、先端面21を研磨する際にコア12やクラッド14の光入出射端面が損傷することを防止することができる。
【0038】
このような理由から、被覆層15は、クラッド14の周囲に形成されたプライマリ層18と、プライマリ層18の周囲に形成されたセカンダリ層19と、を有することが好ましい。
【0039】
なお、プライマリ層18とセカンダリ層19との界面にも隙間22が全く無いことが理想であるが、プライマリ層18とセカンダリ層19との界面に隙間22が形成されたとしても、クラッド14とプライマリ層18との界面に隙間22が形成された場合に比べて光学特性に与える影響が小さいため、プライマリ層18とセカンダリ層19との界面にある程度の隙間22が形成されても構わない。
【0040】
また、被覆層15を三層構造やそれ以上の層構造に形成することで、よりクラッド14とプライマリ層18との界面に応力F1、F2が伝達され難くなるが、層構造の層数を増加させると被覆層15の形成に工数や時間が掛かるようになるため、層構造の層数をあまり多くし過ぎるとコスト高になる点に留意する必要がある。
【0041】
更に、プライマリ層18とセカンダリ層19は、ヤング率が820MPa以上890MPa以下であることが好ましい。
【0042】
プライマリ層18とセカンダリ層19のヤング率を820MPa以上890MPa以下とするのは、プライマリ層18とセカンダリ層19のヤング率が820MPa未満であると、クラッド14のヤング率とプライマリ層18とセカンダリ層19のヤング率との差が大きくなり、クラッド14とプライマリ層18との界面で剥離が生じ易くなるからである。
【0043】
また、プライマリ層18とセカンダリ層19のヤング率が890MPaを超えると、プライマリ層18とセカンダリ層19が殆ど変形しなくなるため、コア12やクラッド14に応力F1、F2が伝達され易くなり、コア12やクラッド14に損傷を与える虞があるからである。
【0044】
ここで、ヤング率は、JIS K7113に準拠した方法により測定することができる。
【0045】
なお、クラッド14とプライマリ層18との界面、及びプライマリ層18とセカンダリ層19との界面の両方に隙間22を生じさせないようにするためには、従来通りプライマリ層18のヤング率を10MPa以下程度としてセカンダリ層19の変形に対する追従性を向上させることが考えられる。
【0046】
しかし、プライマリ層18のヤング率が10MPa以下程度であると、先端面21を研磨する際に、プライマリ層18が変形・損傷し、コア12やクラッド14が動いて光入出射端面を損傷する虞があるため好ましくない。
【0047】
また、プライマリ層18は、ヤング率がセカンダリ層19のヤング率よりも大きいことが好ましい。
【0048】
プライマリ層18のヤング率をセカンダリ層19のヤング率よりも大きくするのは、プライマリ層18のヤング率がセカンダリ層19のヤング率よりも小さいと、プライマリ層18よりもセカンダリ層19が変形し難い分、複数本の光ファイバ16が挿入孔11に挿入されるときに加わる応力F1、F2によってプライマリ層18が大きく変形し、クラッド14とプライマリ層18との界面で剥離が生じ易くなるからである。
【0049】
つまり、複数本の光ファイバ16が挿入孔11に挿入されるときに加わる応力F1、F2を主にセカンダリ層19の変形によって吸収させることで、クラッド14とプライマリ層18との界面での剥離の発生を抑制することが可能となる。
【0050】
また、クラッド14とプライマリ層18との界面は、密着性がプライマリ層18とセカンダリ層19との界面の密着性よりも高いことが好ましい。
【0051】
クラッド14とプライマリ層18との界面の密着性をプライマリ層18とセカンダリ層19との界面の密着性よりも高くするのは、複数本の光ファイバ16に剥離が生じるような大きな応力F1、F2が加わった場合であっても、プライマリ層18とセカンダリ層19との界面で剥離を生じさせて応力F1、F2を吸収することにより、クラッド14とプライマリ層18との界面で剥離を生じさせないようにするためである。
【0052】
クラッド14とプライマリ層18との界面の密着性をプライマリ層18とセカンダリ層19との界面の密着性よりも高くするためには、シランカップリング剤を含有する紫外線硬化型樹脂によってセカンダリ層19を形成し、セカンダリ層19の滑り性を向上させ、プライマリ層18とセカンダリ層19との界面の密着性を低下させても良いし、シリコンを含有する紫外線硬化型樹脂によってプライマリ層18を形成し、クラッド14とプライマリ層18との界面の密着性を向上させても良い。
【0053】
また、プライマリ層18は、層厚がセカンダリ層19の層厚と同一であることが好ましい。
【0054】
クラッド14の周囲に被覆層15を形成するときに一度に形成する層厚が厚くなるほどコア12に偏芯が生じやすくなることから、一度に形成する層厚は薄い方が良い。
【0055】
プライマリ層18の層厚をセカンダリ層19の層厚と同一とすることで、一度に形成する層厚を最も薄くできることから、プライマリ層18は、層厚がセカンダリ層19の層厚と同一であることが好ましい。
【0056】
この光コネクタ10は、短軸の長さLSがコア12のピッチPと同一であると共に長軸の長さLLがコア12のピッチPに複数のコア12の数を乗じて得た数と同一である挿入孔11をフェルール13に形成し、コア12の周囲にクラッド14と被覆層15とが順に形成されると共に被覆層15の外径がコア12のピッチPよりも大きい複数本の光ファイバ16を形成し、複数本の光ファイバ16の端末を被覆層15で被覆された状態で挿入孔11に挿入することにより製造することができる。
【0057】
これまで説明してきた光コネクタ10では、挿入孔11は、短軸の長さLSがコア12のピッチPと同一であると共に長軸の長さLLがコア12のピッチPに複数のコア12の数を乗じて得た数と同一であり、複数本の光ファイバ16は、被覆層15の外径がコア12のピッチPよりも大きく形成されており、端末が被覆層15で被覆された状態で挿入孔11に挿入されているため、被覆層15には隣接する被覆層15と挿入孔11とによって略均等な応力が加わり、被覆層15が略均等に押し潰されてコア12が挿入孔11の内部の定位置に固定される。
【0058】
よって、光コネクタ10によれば、長孔形状の断面を有する挿入孔11が形成されたフェルール13を用いた場合であっても、複数本の光ファイバ16のコア12を略同一のピッチPで配列することが可能となる。
【0059】
その結果、製品の再現性を向上させることができ、また光コネクタ10を用いて光ファイバ16と光素子とを光接続する際に、光ファイバ16の光軸と光素子の光軸とを高精度に一致させることが可能となり、接続損失を低減することができる。
【0060】
更に、光コネクタ10では、光ファイバ16の端末は、被覆層15を除去すること無く挿入孔11に挿入されることから、従来のように被覆層15を除去してクラッド14を露出させるという作業を行う必要が無く、従来に比べて作業性を向上させることができ、光コネクタ10の低コスト化を図ることが可能となる。また、クラッド14を露出させる作業や挿入孔11にクラッド14が直接的に接触することに起因してクラッド14に損傷を与えるようなことが無くなる。
【0061】
更に、光コネクタ10によれば、挿入孔11の内部で複数本の光ファイバ16が略同一のピッチPで配列されるため、多数のフェルール13を並べた状態においても、複数本の光ファイバ16が同一のピッチPで配列され、多芯光接続を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
10 光コネクタ
11 挿入孔
12 コア
13 フェルール
14 クラッド
15 被覆層
16 光ファイバ
17 テープ状光ファイバ
18 プライマリ層
19 セカンダリ層
21 先端面
22 隙間
S 短軸の長さ
L 長軸の長さ
図1
図2
図3
図4