(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(メタ)アクリル化合物(D)が、脂肪族多官能(メタ)アクリレート及びイソシアヌレート骨格を有する多官能(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上である請求項4記載の紫外線硬化型粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、水酸基を有する鎖伸長剤(a1−1)及びその他のポリオールを含む、水酸基当量が400g/eq.以下であるポリオール組成物(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、イソシアネート基又は水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を反応して得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)、光重合開始剤(B)、及び、有機溶剤(C)を必須成分として含有するものである。
【0016】
前記水酸基を有する鎖伸長剤(a1−1)は、段差追従性及びカッティング性に優れる粘着フィルムを得る上で必須の成分であり、数平均分子量が50〜350の範囲のものである。なお、前記鎖伸長剤(a1−1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件で測定した値を示す。
【0017】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0018】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0019】
前記鎖伸長剤(a1−1)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3’−ジメチロールへプタン、ネオペンチルグリコール、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)へプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の脂肪族鎖伸長剤;1,2−シクロブタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素添加ビスフェノ−ルA、1,3−アダマンタンジオール等の脂環構造を有する鎖伸長剤などの鎖伸長剤を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記鎖伸長剤(a1−1)としては、優れた段差追従性を維持しながら粘着フィルムのカッティング性をより一層向上できる点から、脂環構造を有するものを用いることが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いることがより好ましい。
【0020】
前記鎖伸長剤(a1−1)の使用量としては、段差追従性及びカッティング性の点から、ポリオール組成物(a1)中0.5〜40質量%の範囲であることが好ましく、3〜30質量%の範囲がより好ましい。
【0021】
前記その他のポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール(a1−2)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ダイマージオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、柔軟性及び耐湿熱白化性をより一層向上できる点から、ポリエーテルポリオール(a1−2)を用いることが好ましい。
【0022】
前記ポリエーテルポリオール(a1−2)としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレンポリオール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記ポリエーテルポリオール(a1−2)を用いる場合の使用量としては、柔軟性及び耐湿熱白化性の点から、ポリオール組成物(a1)中10〜99.5質量%の範囲であることが好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましい。
【0024】
前記その他のポリオールの数平均分子量としては、段差追従性、カッティング性、粘着物性及び機械的強度の点から、400〜7,000の範囲であることが好ましく、700〜4,000の範囲がより好ましい。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、前記鎖伸長剤(a1−1)の数平均分子量と同様に測定した値を示す。
【0025】
前記ポリオール組成物(a1)の水酸基当量としては、優れた段差追従性とカッティング性とを両立するうえで、400g/eq.以下であることが必須である。前記ポリオール組成物(a1)の水酸基当量の値を低く設定することは、通常粘着フィルムを硬くする手法であるためカッティング性が向上することは予測されたものの、段差追従性にも優れる粘着フィルムが得られたことは予想外の事項であった。前記ポリオール組成物(a1)の水酸基当量としては、優れた段差追従性を維持しつつ、更にカッティング性及び粘着物性を向上できる点から、50〜390g/eq.の範囲であることが好ましく、200〜380g/eq.の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオール組成物(a1)の水酸基当量は、前記水酸基を有する鎖伸長剤(a1−1)を含む全てのポリオールの仕込量を、それぞれの鎖伸長剤及びポリオールの当量の合計値で除した値を示す。
【0026】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カッティング性及び粘着物性をより一層向上できる点から、脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びジイソシアナートメチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0027】
前記イソシアネート基又は水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)中に(メタ)アクリロイル基を導入する目的で用いるものである。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを示し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを示し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを示す。
【0028】
また、前記化合物(a3)として用いることができるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、原料入手の容易性の点から、 2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることが好ましく、紫外線硬化性の点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0029】
前記化合物(a3)として用いることができる水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、原料入手の容易性、紫外線硬化性及び粘着物性の点から、水酸基を有するアクリル酸(メタ)アルキルエステルを用いることが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いることがより好ましい。
【0030】
前記化合物(a3)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合のウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを仕込み、反応させることによって水酸基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、イソシアネート基を有する前記(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等を用いることができる。前記反応はいずれにおいても、例えば、20〜120℃の温度条件下で、30分〜24時間行うことが好ましい。
【0031】
前記化合物(a3)として水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合の前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)とを反応系中に仕込んだ後に、前記ポリイソシアネート(a2)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法や、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを反応させることによってイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、水酸基を有する前記(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等を用いることができる。前記反応はいずれにおいても、例えば、20〜120℃の温度条件下で、30分〜24時間行うことが好ましい。
【0032】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造は、後述する有機溶剤(C)の存在下で行っても良い。
【0033】
前記化合物(a3)として水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合における、前記ポリオール組成物(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)との反応は、前記ポリオール組成物(a1)が有する水酸基と前記(メタ)アクリル化合物(a3)が有する水酸基との合計量と、ポリイソシアネート(a2)の有するイソシアネート基とのモル比[イソシアネート基/水酸基の合計量]=0.75〜1の範囲で行うことが、得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)の分子量を制御する上で好ましく、0.79〜0.995の範囲であることがより好ましい。また、前記当量割合が1を超える場合で反応させても良いが、その場合、ウレタン(メタ)アクリレート(A)のイソシアネート基を失活させることを目的として、メタノールなどのアルコールを用いることが好ましい。
【0034】
また、前記化合物(a3)としてイソシアネートを有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合における、前記ポリオール組成物(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)との反応は、前記ポリオール組成物(a1)が有する水酸基と、ポリイソシアネート(a2)及び(メタ)アクリル化合物(a3)の有するイソシアネート基の合計との当量割合[イソシアネート基の合計量/水酸基]=0.75〜1の範囲で行うことが、得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)の分子量を制御する上で好ましく、0.79〜0.995の範囲であることがより好ましい。また、前記当量割合が1を超える場合で反応させても良いが、その場合、ウレタン(メタ)アクリレート(A)のイソシアネート基を失活させることを目的として、メタノールなどのアルコールを用いることが好ましい。
【0035】
また、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を製造する際には、必要に応じて重合禁止剤、ウレタン化触媒等を用いてもよい。
【0036】
前記重合禁止剤としては、例えば、3,5−ビスターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、パラターシャリーブチルカテコールメトキシフェノール、2,6−ジターシャリーブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン等を用いることができる。これらの重合禁止剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩;ジブチルチンラウレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物などを用いることができる。これらのウレタン化触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、光照射や加熱によってラジカル重合を進行させる(メタ)アクリロイル基を有するものである。前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の(メタ)アクリロイル基当量としては、カッティング性、粘着物性及び段差追従性をより一層向上できる点から、1,000〜50,000g/eq.の範囲であることが好ましく、3,000〜50,000g/eq.の範囲がより好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイル基当量は、前記ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)と(メタ)アクリル化合物(a3)との合計質量を、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)中に存在する(メタ)アクリル基の当量で除した値を示す。
【0039】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)中のウレタン結合の質量割合としては、カッティング性、粘着物性及び段差追従性をより一層向上できる点から、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の全量中4〜20質量%の範囲であることが好ましく、5〜15質量%の範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)のウレタン結合量は、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)との合計質量に対する、前記原料中に占めるウレタン結合構造の質量割合を示す。
【0040】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量としては、カッティング性、粘着物性及び段差追従性をより一層向上できる点から、5,000〜500,000の範囲であることが好ましく、15,000〜300,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量は、前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0041】
前記光重合開始剤(B)は、光照射や加熱等によってラジカルを発生し、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)のラジカル重合を開始させるものである。
【0042】
前記光重合開始剤(B)としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物;4,4’−ジメチルアミノチオキサントン(別名=ミネラーズケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート(「バイアキュア55」)、2−エチルアンスラキノン等のアンスラキノン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルオパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記光重合開始剤(B)としては、粘着物性及び紫外線硬化性をより一層向上できる点から、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドからなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤を用いることが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。
【0044】
前記光重合開始剤(B)の使用量としては、紫外線硬化性をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.2〜15質量部の範囲がより好ましい。
【0045】
前記有機溶剤(C)としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン、3−ペンタノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記有機溶剤(C)の使用量としては、乾燥性及び塗工性をより一層向上できる点から、紫外線硬化型粘着剤組成物中70質量%以下であることが好ましく、5〜60質量%の範囲がより好ましい。
【0047】
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)、前記光重合開始剤(B)及び前記有機溶剤(C)を必須成分として含有するが、耐湿熱白化性をより一層向上できる点から、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物(D)を含有することが好ましい。
【0048】
前記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル化合物(D)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1、10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)ジ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族多官能(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート骨格を有する多官能(メタ)アクリレートなどを用いることができる。これらの(メタ)アクリル化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)との優れた硬化性により一層向上した耐湿熱白化性が得られる点から、脂肪族多官能(メタ)アクリレート及びイソシアヌレート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート骨格を有する多官能(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及び、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートからなる群より選ばれる1種以上の(メタ)アクリル化合物を用いることがより好ましい。なお、前記「多官能」とは、(メタ)アクリロイル基を好ましくは2〜8個の範囲、より好ましくは2〜6個の範囲で有することを示す。
【0049】
前記(メタ)アクリル化合物(D)の含有量としては、耐湿熱白化性をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、5〜20質量部の範囲がより好ましい。
【0050】
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)、前記光重合開始剤(B)及び前記有機溶剤(C)を必須成分とし、好ましくは前記(メタ)アクリル化合物(D)を含有するものであるが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0051】
前記その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤(E)、光安定剤(F)、防錆剤、シランカップリング剤、チキソ性付与剤、増感剤、重合禁止剤、レベリング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、難燃剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物が高い耐湿熱黄変性を要求される用途に使用される場合には、酸化防止剤(E)及び光安定剤(F)を含有することが好ましい。
【0052】
前記酸化防止剤(E)としては、熱劣化で発生するラジカルの捕捉するヒンダードフェノール化合物(一次酸化防止剤)、及び、熱劣化で発生する過酸化物を分解するリン化合物、イオウ化合物(二次酸化防止剤)等を用いることができる。
【0053】
前記ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C
7−C
9側鎖アルキルエステル、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス[2−〔3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
前記リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィット、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキスブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリブチルフェノールのホスファイト等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記イオウ化合物としては、例えば、ジドデシル−3,3’−チオプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウジリルチオジチオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス−メチレン−3−ラウリルチオプロピオネートメタン、ジステアリル−3,3’−メチル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、β−ラウリルチオプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロチオネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0056】
これらの中でも、粘着力及び耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、リン化合物を用いることが好ましく、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィット及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトからなる群より選ばれる1種以上の酸化防止剤を用いることがより好ましく、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィットを用いることがより好ましい。
【0057】
前記酸化防止剤(E)を用いる場合の使用量としては、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0058】
前記光安定剤(F)は、光劣化で発生するラジカルを捕捉するものであり、例えば、チオール化合物、チオエーテル化合物、ヒンダードアミン化合物等のラジカル捕捉剤;ベンゾフェノン化合物、ベンゾエート化合物等の紫外線吸収剤などを用いることができる。これらの光安定剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、ヒンダードアミン化合物を用いることが好ましい。
【0059】
前記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、シクロヘキサンと過酸化N−ブチル2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物等のアミノエーテル基を有するヒンダードアミン化合物;N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等のN−アセチル系ヒンダードアミン化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)=デカンジオアート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、プロバンジオイックアシッド[{4−メトキシフェニル}メチレン]−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステルのN−アルキルヒンダードアミン化合物等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記光安定剤(F)を用いる場合の使用量としては、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0061】
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度としては、塗工性及び作業性の点から、500〜30,000mPa・sの範囲であることが好ましく、1,000〜20,000mPa・sの範囲がより好ましい。なお、前記粘度は、25℃でB型粘度計にて測定した値を示す。
【0062】
次に、本発明の粘着フィルムの製造方法について説明する。
【0063】
前記粘着フィルムは、前記紫外線硬化型粘着剤組成物中の有機溶剤(C)を乾燥する工程、及び、紫外線を照射して組成物を硬化させる工程を経ることにより得られる。
【0064】
また、前記粘着フィルムの製造方法としては、段差追従性に優れる粘着フィルムが得られる点から、前記紫外線硬化型粘着剤組成物を基材に塗工した後に、有機溶剤(C)を乾燥して紫外線硬化型粘着フィルムを得、次いで、該紫外線硬化型粘着フィルムの粘着層を基材に貼り付け、その後紫外線照射することにより粘着フィルムを得る方法を使用することが好ましい。この方法によれば、紫外線硬化前の前記紫外線硬化型粘着フィルムに対して、その後に貼り付けられる基材として印刷段差等の段差を有するものを使用した場合に、該段差部分に空隙を残さずに前記紫外線硬化型粘着フィルムを貼り付けることができるため、段差追従性に優れる粘着フィルムを得ることができる。
【0065】
なお、本発明においては、有機溶剤乾燥後、紫外線硬化前の状態を「紫外線硬化型粘着フィルム」といい、紫外線硬化後の状態を「粘着フィルム」という。
【0066】
前記基材としては、例えば、プラスチック基材、フレキシブルプリント基材、ガラス基材、これらの基材に離型処理を施した基材やITO(酸化インジウム錫)を蒸着した基材等を用いることができる。なお、粘着層の両面にはそれぞれ同一の基材を用いても別々の基材を用いてもよい。
【0067】
前記プラスチック基材としては、例えば、アクリル樹脂、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、TAC(トリアセチルセルロース)等を原料として得られるプラスチックフィルム、反射防止フィルム、防汚フィルム、タッチパネルを構成する透明導電膜のフィルム等を用いることができる。
【0068】
前記紫外線硬化型粘着剤組成物を前記基材に塗工する方法としては、例えば、アプリケーター、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等を使用して塗布する方法が挙げられる。前記塗工後は、得られた積層体を乾燥機等に入れ、温度50〜130℃の範囲で、1〜30分乾燥させることにより有機溶剤(C)を乾燥させることにより、紫外線硬化前の紫外線硬化型粘着フィルムが得られる。
【0069】
前記紫外線硬化型粘着フィルムとしては、段差追従性をより一層向上できる点から、60℃における貯蔵弾性率が、周波数1Hzで測定した場合に3×10
5Pa未満であることが好ましく、1×10
3以上3×10
5Pa未満であることが好ましい。なお、前記紫外線硬化型粘着フィルムの貯蔵弾性率の測定方法は実施例にて記載する。
【0070】
また、前記紫外線硬化型粘着フィルムとしては、更にカッティング性及び段差追従性をより一層向上できる点から、30℃における貯蔵弾性率が、周波数1Hzで測定した場合に5×10
4Pa以上であることが好ましく、5×10
4〜5×10
6Paの範囲がより好ましい。
【0071】
前記紫外線硬化型粘着フィルムとしては、更にカッティング性及び段差追従性をより一層向上できる点から、80℃における貯蔵弾性率が、周波数1Hzで測定した場合に1×10
2〜5×10
5Paの範囲であることが好ましい。
【0072】
得られた紫外線硬化型粘着フィルムを前記基材に貼り付けた後は、両者を圧着させ、必要に応じてオートクレーブ処理を施してもよい。
【0073】
その後、紫外線照射することにより粘着フィルムが得られるが、前記紫外線照射する方法としては、例えば、キセノンランプ、キセノン−水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等の公知の紫外線光照射装置を用いる方法が挙げられる。
【0074】
前記紫外線の照射量としては、好ましくは0.05〜5J/cm
2、より好ましくは0.1〜3J/cm
2、特に好ましくは0.3〜1.5J/cm
2の範囲であることがよい。なお、紫外線の照射量は、GSユアサ株式会社製UVチェッカー「UVR−N1」を用いて300〜390nmの波長域において測定した値を基準とする。
【0075】
以上の方法にして得られる粘着フィルムの厚さとしては、使用される用途に応じて適宜決定されるが、概ね10〜500μmの範囲であることが好ましい。
【0076】
また、前記粘着フィルムとしては、カッティング性をより一層向上できる点から、30℃における貯蔵弾性率が、周波数1Hzで測定した場合に1×10
4Pa以上であることが好ましく、1×10
4〜5×10
7Paの範囲がより好ましい。なお、前記粘着フィルムの貯蔵弾性率の測定方法は実施例にて記載する。
【0077】
また、前記粘着フィルムとしては、段差追従性をより一層向上できる点から、80℃における貯蔵弾性率が、周波数1Hzで測定した場合に1×10
4Pa以上であることが好ましく、1×10
4〜1×10
7Paの範囲がより好ましい。
【0078】
また、前記粘着フィルムとしては、段差追従性をより一層向上できる点から、100℃における貯蔵弾性率が、周波数1Hzで測定した場合に1×10
4Pa以上であることが好ましく、1×10
4〜1×10
6Paの範囲がより好ましい。
【0079】
以上、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物を用いて得られる粘着フィルムは、裁断しても糊残りがなく、カッティング性に優れるものである。また、前記特定の製造方法を使用した場合には、更に段差追従性に優れる粘着フィルムを得ることができる。
【0080】
従って、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、光学部材に使用される粘着剤として好適に使用することができ、特に、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL、パソコン、携帯電話等のIT関連製品の製造に好適に使用することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0082】
[合成例1]
<ウレタンアクリレート(A−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PPG1000」と略記する。)を61.64質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する。)28.57質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で3時間ホールドし、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)を9.41質量部添加し、80℃で12時間ホールドした。全ての水酸基が消失していることを確認後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」と略記する。)0.39質量部添加し、80℃で5時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(A−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(A−1)は、アクリロイル基の当量が30,000g/eq.(有効数字2桁に四捨五入。2−ヒドロキシエチルアクリレートの分子量は116.1とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が99,000であった。また、ポリオール組成物の水酸基当量は、280g/eq.であった。
【0083】
[合成例2]
<ウレタンアクリレート(A−2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PPG1000を70.86質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを28.78質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で3時間ホールドし、CHDMを4.97質量部添加し、80℃で12時間ホールドした。全ての水酸基が消失していることを確認後、HEAを0.39質量部添加し、80℃で5時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(A−2)を得た。得られたウレタンアクリレート(A−2)は、アクリロイル基の当量が31,000g/eq.、重量平均分子量が100,000であった。また、ポリオール組成物の水酸基当量は、360g/eq.であった。
【0084】
[合成例3]
<ウレタンアクリレート(A−3)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PPG1000を56.46質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを30.94質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で3時間ホールドし、CHDMを11.44質量部添加し、80℃で12時間ホールドした。全ての水酸基が消失していることを確認後、HEAを1.16質量部添加し、80℃で5時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(A−3)を得た。得られたウレタンアクリレート(A−3)は、アクリロイル基の当量が10,000g/eq.、重量平均分子量が24,300であった。また、ポリオール組成物の水酸基当量は、250g/eq.であった。
【0085】
[合成例4]
<ウレタンアクリレート(A−4)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PPG1000を43.33質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを42.49質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で3時間ホールドし、1,4−ブタンジオール(以下、「BG」と略記する。)を13.02質量部添加し、80℃で12時間ホールドした。全ての水酸基が消失していることを確認後、HEAを1.16質量部添加し、80℃で5時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(A−4)を得た。得られたウレタンアクリレート(A−4)は、アクリロイル基の当量が10,000g/eq.、重量平均分子量が26,700であった。また、ポリオール組成物の水酸基当量は、150g/eq.であった。
【0086】
[比較合成例1]
<ウレタンアクリレート(A’−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;2,000、以下「PPG2000」と略記する。)を37.03質量部、ポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量;650、以下、「PTMG650」と略記する。)を30.3質量部、ポリエチレングリコール(数平均分子量;400、以下、「PEG400」と略記する。)を11.88質量部、HEAを0.55質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを20.23質量部添加した。その後80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(A’−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(A’−1)は、アクリロイル基の当量が21,000g/eq.、重量平均分子量が27,000であった。また、ポリオール組成物の水酸基当量は、423g/eq.であった。
【0087】
[実施例1]
<紫外線硬化型粘着剤組成物の調製>
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた反応容器を容器内温度80℃に温め、前記ウレタンアクリレート(A−1)100質量部、酢酸エチル122質量部を入れ均一になるまで撹拌した。その後、室温まで冷却し、撹拌下でペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM−305」、以下、「(D−1)」と略記する。)10質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド(以下、「(B−1)」と略記する。)を0.3質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルを0.5質量部、トリフェニルフォスフィン0.5質量部を順次添加し、均一になるまで撹拌した。その後、200メッシュ金網で濾過し、紫外線硬化型粘着剤組成物を得た。
【0088】
[実施例2〜4、比較例1]
用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)、(メタ)アクリル化合物(D)の種類及び/又は量を表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物を得た。
【0089】
[紫外線硬化型粘着フィルムの作製方法]
表面に離型処理された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(離型PET50)の表面に、有機溶剤乾燥後の膜厚が100μmとなるように実施例及び比較例で得られた紫外線硬化型粘着剤脂組成物を塗布し、80℃乾燥機中で5分間乾燥させて紫外線硬化型粘着フィルムを得た。
【0090】
[カッティング性の評価方法]
前記紫外線硬化型粘着フィルムを更に離型PET50に貼り合せた。次いで、UV−A領域の波長の積算光量が1J/cm
2となるように紫外線照射し、粘着フィルムを有する積層体を得た。得られた積層体を裁断機により裁断し、裁断機の刃への糊残りの有無を目視にて観察した。なお、糊残りが確認されなかった場合は「T」、糊残りが確認された場合は「F」と評価した。
【0091】
[段差追従性の評価方法]
前記紫外線硬化型粘着フィルムを、厚さ100μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(PET100)に貼り合せ、片面にPET100が貼り合わされた粘着フィルムを作製した。これを縦50mm、横40mmに裁断したものを試験片とした。これとは別に、PET50から縦40mm、横30mm、幅5mmの枠を裁断した。この厚さ50μmの枠をガラス板上に置き、その上から前記試験片を2kgロール×2往復して、PET100と試験片とで前記厚さ50μmの枠を挟むように貼り付けた。これを、50℃、0.5MPaの条件下で20分間オートフレーブ処理した。その後、ガラス板側からガラス板投下後のUV−A領域の波長の積算光量が1J/cm
2となるように紫外線照射し、粘着フィルムを有する積層体を得た。得られた積層体を80℃雰囲気下で24時間放置し、厚さ50μmの枠の内側部分を目視にて観察し、50μmの段差に対する追従性を以下のように評価した。
「A」:段差からの浮きがなく、気泡の混入なし。
「B」:段差からの浮きがないが、気泡の混入が一部確認される。
「C」:気泡の混入が目立つ。
【0092】
[紫外線硬化型粘着フィルム(紫外線照射前)の貯蔵弾性率の測定方法]
前記紫外線硬化型粘着フィルムの粘着層を遮光下にて厚さ1mmになるまで重ね合わせて試験片とした。得られた試験片をARES粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、昇温速度2℃/分、測定周波数1Hz、温度範囲;0〜100℃、歪み;0.5%の条件にて測定した。
【0093】
[粘着フィルム(紫外線照射後)の貯蔵弾性率の測定方法]
前記[カッティング性の評価方法]にて得られた粘着フィルムを厚さ1mmになるまで重ね合わせて試験片とした。得られた試験片をARES粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、昇温速度2℃/分、測定周波数1Hz、温度範囲;0〜100℃、歪み;0.5%の条件にて測定した。
【0094】
[耐湿熱白化性の評価方法]
前記紫外線硬化型粘着フィルムを、厚さ100μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(PET100)に貼り合せ、片面にPET100が貼り合わされた粘着フィルムを作製した。これを縦50mm、横40mmに裁断し、離型PET50を剥がし、ガラス板に貼り付けたものを試験片とした。得られた試験片のガラス板側からガラス板透過後のUV−A領域の波長の積算光量が1J/cm
2となるように紫外線照射し、粘着フィルムを有する積層体を得た。これを日本電飾工業株式会社製濁度計「NDH5000」を用いてヘイズ(ヘイズ1)を測定した後、85℃、湿度85%の雰囲気下で100時間放置し、23℃、湿度50%の雰囲気下で取出した。取出し後、10分以内に粘着フィルムのヘイズ(ヘイズ2)を日本電飾工業株式会社製濁度計「NDH5000」を用いて、JISK7361−1−1997に準じて測定した。なお、前記ヘイズ1とヘイズ2との差が0.5%以下である場合には「A」、0.5%を超えて1%未満である場合には「B」、1%を超える場合には「C」と評価した。
【0095】
【表1】
【0096】
本発明の粘着フィルムは、カッティング性,耐湿熱白化性及び段差追従性に優れることが分かった。
【0097】
一方、比較例1は、ポリオールの水酸基当量が本発明で規定する範囲を超える態様であるが、カッティング性が不良であった。