(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基とケイ素原子に結合した水素原子との付加反応によって形成された架橋構造を有するシリコーンエラストマー粒子であって、前記粒子中に酸化防止剤を含有すること、および前記粒子の表面あるいは中にノニオン性界面活性剤を有することを特徴とするシリコーンエラストマー粒子。
酸化防止剤が、トコフェロール、p−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、テトラジブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、及びエトキシキンから選択される1以上である、請求項3記載のシリコーンエラストマー粒子。
一分子中にケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる(但し、一価脂肪族不飽和基と水素原子の少なくとも一方は、前記分子中に少なくとも3個存在する)液状シリコーン混合物に酸化防止剤を溶解し、次いで水とノニオン性界面活性剤とを添加し撹拌してエマルジョンとした後、白金族金属系触媒存在下で前記液状シリコーン混合物を硬化してシリコーンエラストマー粒子を得る工程を含む、請求項6または8に記載の水分散液の製造方法。
一分子中にケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる(但し、一価脂肪族不飽和基と水素原子の少なくとも一方は、前記分子中に少なくとも3個存在する)液状シリコーン混合物と、水と、ノニオン性界面活性剤とを撹拌してエマルジョンとし、該エマルジョンに上記混合物に可溶であり且つ非水溶性である酸化防止剤を添加し撹拌した後、白金族金属系触媒存在下で前記液状シリコーン混合物を硬化してシリコーンエラストマー粒子を得る工程を含む、請求項6または8に記載の水分散液の製造方法。
ケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基とケイ素原子に結合した水素原子との付加反応によって形成された架橋構造を有するシリコーンエラストマー粒子と、ノニオン性界面活性剤と、水とを含む水分散液に、液状シリコーンに可溶であり且つ非水溶性である酸化防止剤を添加し撹拌して前記酸化防止剤をシリコーンエラストマー粒子中に含浸させる工程を含む、請求項6または8に記載の水分散液の製造方法。
請求項10〜12のいずれか1項記載の製造方法により得られた水分散液から水を除去することにより請求項1〜5または7のいずれか1項記載のシリコーンエラストマー粒子を製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】
[シリコーンエラストマー粒子]
本発明においてシリコーンエラストマー粒子の形状は特に限定されないが、球状が好ましい。ここで「球状」とは、粒子の形状が、真球であるだけでなく、最長軸の長さ/最短軸の長さ(アスペクト比)が平均して、通常、1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.6であり、更には、1〜1.4の範囲にある変形した球であってもよいことを意味する。後記のように、液状シリコーンを界面活性剤を用いて水に乳化分散させた後架橋する方法によって製造する場合、得られる粒子の形状は球状となる。該シリコーンエラストマー粒子の形状は、水分散液の場合は粒子の粒径がおよそ1μm以上であれば光学顕微鏡にて観察することにより確認することができる。また、水を除去すれば、1μm以下の粒径であっても、電子顕微鏡にて観察することにより形状を確認することができる。
【0014】
本発明においてシリコーンエラストマー粒子の粒径は特に限定されないが、体積平均粒径が0.1〜100μmの範囲であるものが好ましく、より好ましくは0.2〜40μmである。体積平均粒径が上記下限値未満であると、なめらかさや光拡散性の効果を化粧料に十分付与することができない。また、体積平均粒径が上記上限値より大きいと、なめらかさが低下し、またざらつき感が出る場合があり、光拡散性も低下する。なお、体積平均粒径は、シリコーンエラストマーの粒径に合わせ、1μm以上は電気抵抗法にて、1μm未満はレーザー回折/散乱法にて測定される。
【0015】
シリコーンエラストマー粒子は、べたつきがないことが好ましく、そのゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で、5〜90の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜80の範囲である。ゴム硬度が上記下限値未満であるとなめらかさが低下するおそれがあり、また上記上限値を超えると、柔らかな感触が乏しくなるおそれがある。
【0016】
上記シリコーンエラストマー粒子は、式−(R
12SiO
2/2)
n−で示される線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化物から成るものであるのがよい。ここで、式中のR
1は、置換又は非置換の、炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、nは5〜5,000の正の整数である。
【0017】
上記R
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
【0018】
前記シリコーンエラストマー粒子は、硬化性液状シリコーンを硬化することにより得られるものであり、架橋構造(即ち、三次元網状構造)を有する。硬化性液状シリコーンを硬化してシリコーンエラストマー粒子を得る方法は従来公知の方法に従えばよい。例えば、白金族金属系触媒存在下で、ケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基、例えば、ビニルシリル基(≡SiCH=CH
2)を有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子、即ち、ヒドロシリル基(≡SiH)を有するオルガノ(ポリ)シロキサンとを付加反応させて製造する方法が使用できる。
【0019】
前記シリコーンエラストマー粒子は、例えば、平均式R
2aR
3bSiO
(4−a−b)/2で示され一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、平均式R
4cH
dSiO
(4−c−d)/2で示され一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(以下、SiH基という)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる液状シリコーン混合物から製造することができる。または、前記シリコーンエラストマー粒子は、平均式R
2aR
3bSiO
(4−a−b)/2で示され一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも3個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、平均式R
4cH
dSiO
(4−c−d)/2で示され一分子中にSiH基を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる液状シリコーン混合物から製造することができる。前記液状シリコーン混合物において、1価オレフィン性不飽和基を有するオルガノ(ポリ)シロキサンとオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンの配合量は、1価オレフィン性不飽和基1個に対しSiH基が0.5〜2個となるような量であるのがよい。
【0020】
上記式中のR
2は、脂肪族不飽和基を除く、置換又は非置換の炭素数1〜30の1価炭化水素基であり、R
3は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基である。a、bは、0<a<3、0<b≦3、及び0.1≦a+b≦3を満たす正数であり、好ましくは0<a≦2.295、0.005≦b≦2.3、及び0.5≦a+b≦2.3を満たす正数である。R
4は、脂肪族不飽和基を除く、置換又は非置換の炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。c、dは0<c<3、0<d≦3、及び0.1≦c+d≦3を満たす正数であり、好ましくは0<c≦2.295、0.005≦d≦2.3、及び0.5≦c+d≦2.3を満たす正数である。
【0021】
上記R
2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられるが、工業的には全R
2基中の50モル%以上がメチル基であることが好ましい。
【0022】
上記R
3としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、工業的にはビニル基であることが好ましい。
【0023】
上記R
4としては、R
2と同じものが例示される。
【0024】
上記オルガノ(ポリ)シロキサン及びオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンは、25℃における動粘度100,000mm
2/s以下を有することが好ましく、より好ましくは10,000mm
2/s以下である。動粘度が上記上限値を超えると、後記の製造方法において、分布の狭い粒子を得ることが難しくなる。また、上記オルガノ(ポリ)シロキサン及びオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンの構造は、直鎖状、環状、分岐状いずれであっても良いが、特に直鎖状が好ましい。なお、本発明において動粘度はオストワルド粘度計による測定値である。
【0025】
上記液状シリコーン混合物においては、オルガノ(ポリ)シロキサンに結合している1価オレフィン性不飽和基と、オルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンに結合している−SiH基の少なくとも一方が、その分子中に少なくとも3個存在することが好ましい。どちらかが分子中に少なくとも3個存在しないと、得られるエラストマー硬化物はべたつきのあるものとなる。
【0026】
白金族金属系触媒は、ヒドロシリル化反応に用いられる公知又は周知の触媒を使用すればよい。例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H
2PtCl
4・kH
2O、H
2PtCl
6・kH
2O、NaHPtCl
6・kH
2O、KHPtCl
6・kH
2O、Na
2PtCl
6・kH
2O、K
2PtCl
4・kH
2O、PtCl
4・kH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・kH
2O(但し、式中、kは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。
【0027】
白金族金属系触媒の配合量は、ヒドロシリル化反応を促進するための有効量でよい。触媒の量を多くしすぎると、後記するノニオン性界面活性剤のポリエーテル部分の酸化を抑制できなくなり、臭気が発生する恐れがあるため好ましくない。特には、液状シリコーン混合物の合計質量に対する触媒中の白金族金属の質量換算量が、0.1〜100ppm程度、好ましくは0.5〜50ppm程度、更に好ましくは1〜30ppm程度となる量であるのがよい。
【0028】
本発明のシリコーンエラストマー粒子は、その粒子中に酸化防止剤を含有することを特徴とする。該酸化防止剤は、後述するノニオン性界面活性剤に直接的に働きかけ、その酸化を抑制することができる。特に、上記のヒドロシリル化反応で得られたシリコーンエラストマー粒子はその粒子中に白金族金属系触媒を含有しているため、ノニオン性界面活性剤のポリエーテル部分が酸化されやすい。本発明のシリコーンエラストマー粒子は、ノニオン性界面活性剤のポリエーテル部分が酸化されるのを抑制し、それによって経時での臭気の発生を抑制する働きがある。特に、本発明において酸化防止剤はシリコーンエラストマー粒子中に含まれる為、化粧料に配合しても酸化防止剤の濃度が低下することはなく、ノニオン性界面活性剤の酸化を効果的に抑制することができる。一方、水溶性の酸化防止剤を水分散液に添加してノニオン性界面活性剤の酸化を抑制する方法では、水性の化粧料に配合した場合、酸化防止剤の濃度が低下してしまい、ノニオン性界面活性剤の酸化を十分に抑制することができない。
【0029】
本発明において酸化防止剤は液状シリコーンに溶解するものが好ましい。これにより、後述する製造方法にて、シリコーンエラストマー粒子中に酸化防止剤を良好に含浸させることができる。さらに特には、本発明の酸化防止剤は非水溶性であるものが好ましい。酸化防止剤が非水溶性であることにより、後記の製造方法において、酸化防止剤をシリコーンエラストマー粒子中に効率的に取り込むことができる。酸化防止剤が水溶性であると配合した全量をシリコーンエラストマー粒子中に取り込むことができず、非効率となるため好ましくない。
【0030】
酸化防止剤はノニオン性界面活性剤の酸化を防止することができるものであればよいが、特には化粧料用の原材料として認可されているものが好ましい。例えば、トコフェロール、p−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、テトラジブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、エトキシキン等が挙げられる。
【0031】
また、本発明のシリコーンエラストマー粒子は、その粒子表面に後述するノニオン性界面活性剤を有していてもよい。また、本発明のシリコーンエラストマー粒子はその粒子中にノニオン性界面活性剤を含有してもよい。
【0032】
上記の通り、シリコーンエラストマー粒子中に含まれる酸化防止剤は、ノニオン性界面活性剤に直接的に働きかけて、その酸化を抑制する。従って、シリコーンエラストマー粒子中に含まれる酸化防止剤の配合量は、その粒子表面に付着している及び/又はその粒子中に含まれるノニオン性界面活性剤の酸化を抑制できる有効量、及び/又は、後述する水分散液中及び/又は化粧料中に存在しているノニオン性界面活性剤の酸化を抑制できる有効量であればよい。特にはシリコーンエラストマー粒子中に10〜2000ppmで含まれることが好ましく、より好ましくは50〜1000ppmである。また、シリコーンエラストマー粒子中に含まれる白金族金属系触媒中の白金族金属の量に対して、質量換算で、同量〜200倍、好ましくは5〜100倍としてもよい。
【0033】
また、本発明のシリコーンエラストマー粒子は、その粒子中に、シリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末等を含有していてもよい。その配合量は従来公知のシリコーンエラストマー粒子に従い適宜選択すればよい。
【0034】
[シリコーンエラストマー粒子の水分散液]
本発明はさらに、上記シリコーンエラストマー粒子、ノニオン性界面活性剤、及び水を含有する水分散液を提供する。本発明のノニオン性界面活性剤は、水分散液におけるシリコーンエラストマー粒子の分散剤として機能する一方、液状シリコーンの乳化剤としても機能する。
【0035】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0036】
ノニオン性界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。2種以上を併用する場合には、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のポリエーテルを含有しないノニオン性界面活性剤も併用してもよい。
【0037】
水分散液中のシリコーンエラストマー粒子の量は、水分散液の全質量に対して5〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。シリコーンエラストマー粒子の量が上記下限値より少ないと、シリコーンエラストマー粒子あたりの生産性が低くなるし、また化粧料に添加する量が増加するために非効率であり好ましくない。また、シリコーンエラストマー粒子の量が上記上限値より多いと、水分散液の粘度が高くなり取り扱いが困難となる。
【0038】
水分散液中のノニオン性界面活性剤の量は、水分散液の全質量に対して0.01〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%である。ノニオン性界面活性剤の量が上記下限値より少ないと、製造段階において液状シリコーンの乳化が困難となる。また、ノニオン性界面活性剤の量を上記上限値より多くしても、粒径を小さくできることはなく、またシリコーンエラストマー粒子の分散性能を高くできることもない。それどころか、ノニオン性界面活性剤の酸化に起因する臭気の発生が増加する恐れがあるため好ましくない。
【0039】
シリコーンエラストマー粒子の水分散液には、粒子の分散性を向上させる目的等で、ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、すなわち、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は両イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0040】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N−アシルタウリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ジアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0041】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩等が挙げられる。
【0042】
両イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0043】
また、シリコーンエラストマー粒子の水分散液には、粒子の分散性を向上させる目的等で、水溶性高分子を含んでいてもよい。水溶性高分子は、特に限定されず、非イオン性水溶性高分子、アニオン性水溶性高分子、カチオン性水溶性高分子、および両イオン性水溶性高分子が挙げられる。
【0044】
非イオン性水溶性高分子としては、例えば、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体、アクリルアミドの重合体、ビニルピロリドンの重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ポリエチレングリコール、イソプロピルアクリルアミドの重合体、メチルビニルエーテルの重合体、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、キタンサンガム等が挙げられる。
【0045】
アニオン性水溶性高分子としては、例えば、アクリル酸ナトリウムの重合体、アクリル酸ナトリウムとマレイン酸ナトリウムとの共重合体、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドの共重合体、スチレンスルホン酸ナトリウムの重合体、ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムとスチレンとの共重合体、ナフタレンスルホン酸ナトリウムの重合体、カルボキシメチルデンプン、リン酸デンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0046】
カチオン性水溶性高分子としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体、ビニルイミダゾリンの重合体、メチルビニルイミダゾリウムクロライドの重合体、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体、エピクロルヒドリン/ジメチルアミン重合体、エチレンイミンの重合体、エチレンイミンの重合体の4級化物、アリルアミン塩酸塩の重合体、ポリリジン、カチオンデンプン、カチオン化セルロース、キトサン、及びこれらに非イオン性基やアニオン性基を持つモノマーを共重合する等したこれらの誘導体等が挙げられる。
【0047】
両イオン性水溶性高分子としては、例えば、アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドの共重合体、メタアクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸とアクリルアミドの共重合体、アクリルアミドの重合体のホフマン分解物等が挙げられる。
【0048】
上記水分散液は、さらに防菌防腐剤や抗菌剤を含んでいてもよい。防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0049】
[シリコーンエラストマー粒子及び水分散液の製造方法]
本発明はさらに、シリコーンエラストマー粒子及び水分散液の製造方法を提供する。本発明において、酸化防止剤をシリコーンエラストマー粒子中に包含させる方法としては、例えば、液状シリコーンに予め液状シリコーンに可溶である酸化防止剤を分散または溶解させておき、その後硬化させることにより酸化防止剤を含有したシリコーンエラストマー粒子とする方法が挙げられる。または、液状シリコーンのエマルジョン中に酸化防止剤を添加した後、エマルジョンを攪拌して液状シリコーンに酸化防止剤を溶解し、その後液状シリコーンを硬化して酸化防止剤を含有したシリコーンエラストマー粒子とする方法が挙げられる。当該方法で使用する酸化防止剤は液状シリコーンに可溶であり且つ非水溶性である必要がある。または、シリコーンエラストマー粒子の水分散液中に酸化防止剤を添加した後、該水分散液を攪拌することで、シリコーンエラストマー粒子中に酸化防止剤を含浸させる方法が挙げられる。当該方法においても使用する酸化防止剤は液状シリコーンに可溶であり且つ非水溶性である必要がある。非水溶性の酸化防止剤を使用することにより、水分散液の水中やシリコーンエラストマー粒子の表面に酸化防止剤が残ることはほとんどなく、配合した酸化防止剤のほぼ全量をシリコーンエラストマー粒子中に取り込むことができる。尚、水分散液の水中やシリコーンエラストマー粒子の表面に酸化防止剤が残っていたとしても、そのまま化粧料に配合することができる。酸化防止剤は溶媒に溶解して添加してもよく、また、水に対する分散性が悪い場合には、界面活性剤に溶解した状態でエマルジョンに添加してもよい。特には、本発明の酸化防止剤を予め液状シリコーン混合物に分散または溶解させておく方法が簡便で好ましい。
【0050】
上記第一の製造方法の態様は、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる液状シリコーン混合物(但し、一価脂肪族不飽和基と水素原子の少なくとも一方は、前記分子中に少なくとも3個存在する)に酸化防止剤を溶解し、次いで水とノニオン性界面活性剤とを添加し、撹拌してエマルジョンとした後、白金族金属系触媒存在下で前記液状シリコーンを硬化してシリコーンエラストマー粒子を得る工程を含む製造方法である。
【0051】
上記第二の製造方法の態様は、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノ(ポリ)シロキサンと、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェン(ポリ)シロキサンとからなる液状シリコーン混合物(但し、一価脂肪族不飽和基と水素原子の少なくとも一方は、前記分子中に少なくとも3個存在する)と、水と、ノニオン性界面活性剤とを撹拌してエマルジョンとし、該エマルジョンに上記混合物に可溶であり且つ非水溶性である酸化防止剤を添加し撹拌した後、白金族金属系触媒存在下で前記液状シリコーンを硬化してシリコーンエラストマー粒子を得る工程を含む製造方法である。
【0052】
上記第三の製造方法の態様は、例えば、ケイ素原子に結合した一価脂肪族不飽和基とケイ素原子に結合した水素原子との付加反応によって形成された架橋構造を有するシリコーンエラストマー粒子と、ノニオン性界面活性剤と、水とを含む水分散液に、液状シリコーンに可溶であり且つ非水溶性である酸化防止剤を添加し撹拌して、前記酸化防止剤をシリコーンエラストマー粒子中に含浸させる工程を含む製造方法である。該方法において、シリコーンエラストマー粒子は、従来公知の方法に従い製造すればよい。
【0053】
シリコーンエラストマー粒子中に、シリコーンオイル、オルガノシラン、無機系粉末、有機系粉末等を含有させる場合には、予め液状シリコーン混合物に添加しておけばよい。
【0054】
乳化は、一般的な乳化分散機を用いて行えればよい。該乳化分散機としては、例えば、ホモディスパー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモミキサー等の高速回転剪断型攪拌機、ホモジナイザー等の高圧噴射式乳化分散機、コロイドミル、超音波乳化機等が挙げられる。
【0055】
白金族金属系触媒は上述したものを使用すればよい。また、白金族金属系触媒は、上述した通り、液状シリコーン混合物のエマルジョンに添加してもよいし、予め液状シリコーン混合物に溶解させておいてもよい。白金族金属系触媒をエマルジョンに添加する場合には、溶媒に溶解して添加してもよい。また、水に対する分散性が悪い場合には、白金族金属系触媒を界面活性剤に溶解した状態で添加してもよい。使用する界面活性剤は上述したものが挙げられ、特にノニオン性界面活性剤が好ましい。白金族金属系触媒を予め液状シリコーン混合物に溶解させておく場合には、乳化工程が終了するまでの間に硬化反応が起こらないように、例えば5℃以下の低温に冷却しておくのがよい。液状シリコーン混合物の付加硬化反応は、常温で行ってもよいが、反応が完結しない場合には、100℃未満の加熱下で行ってもよい。
【0056】
本発明のシリコーンエラストマー粒子は、上記方法により得られた水分散液から水を除去することにより製造することができる。水は揮発により除去すればよく、常圧下又は減圧下に加熱することにより行うことができる。これにより、不揮発性のノニオン性界面活性剤はシリコーンエラストマー粒子の表面に付着して残る。又、得られるシリコーン粒子中に界面活性剤が含まれる場合もある。尚、表面に付着しているノニオン性界面活性剤を除去して使用することもできる。具体的には、分散液を加熱下で静置して水分を除去する方法、分散液を加熱下で撹拌流動させながら水分を除去する方法、スプレードライヤーのように熱風気流中に分散液を噴霧、分散させる方法、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。なお、この操作の前処理として、遠心分離、デカンテーション等の方法で分散液を濃縮してもよい。また、分散液に塩やアルコール等を添加し分散状態を破壊させた上で、濾過分離、遠心分離、デカンテーション等の方法で濃縮してもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中、動粘度はオストワルド粘度計により25℃において測定した値であり、濃度及び含有率を表す「%」は「質量%」を示す。
【0058】
[実施例1]
シリコーンエラストマー粒子の水分散液
(i)下記式(1)で示される、動粘度が130mm
2/sのメチルビニルポリシロキサン457g、
【化1】
下記式(2)で示される、動粘度が30mm
2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン43g(上記式(1)で示される化合物中のオレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が1.17個となる量)、
【化2】
およびトコフェロール0.10gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。
【0059】
(ii)次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)6gと水40gを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められ、更に、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水497gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。このエマルジョンを錨型攪拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、15〜20℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)43g、安息香酸ナトリウム5g、およびクエン酸1gを添加し、同温度で10分間攪拌し、水分散液を得た。上記工程(i)にて、配合したトコフェロールの全量がシリコーン混合物に溶解している為、工程(ii)で得られた水分散液中のシリコーンエラストマー粒子はその粒子中に、工程(i)で配合したトコフェロールの全量を含むものである。
【0060】
上記で得られた水分散液中に含まれるシリコーンエラストマー粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンエラストマー粒子の体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、3μmであった。
【0061】
上記で得られた水分散液中に含まれるシリコーンエラストマー粒子のゴム硬度を以下のように測定した。上記式(1)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(2)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、トコフェロール、および塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を上記の配合割合で混合し、厚みが10mmになるようアルミシャーレに流し込んだ。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、トコフェロールを含有したシリコーンエラストマーを得た。シリコーンエラストマーのゴム硬度を、デュロメータA硬度計で測定したところ、43であった。
【0062】
上記で得られた水分散液を1Lのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、無臭であった。
【0063】
[実施例2]
シリコーンエラストマー粒子
(i)下記式(3)で示される、動粘度が600mm
2/sのメチルビニルポリシロキサン500g、
上記式(2)で示される、動粘度が30mm
2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン2g(上記式(3)で示される化合物中のオレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が1.13個となる配合量)、およびトコフェロール0.10gを容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。
【0064】
(ii)次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.2gと水100gを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められ、更に、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水396gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。このエマルジョンを錨型攪拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、20〜25℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌して水分散液を得た。上記工程(i)にて、配合したトコフェロールの全量がシリコーンに溶解している為、工程(ii)で得られた水分散液中のシリコーンエラストマー粒子はその粒子中に、工程(i)で配合したトコフェロールの全量を含むものである。
【0065】
上記で得られた水分散液中のシリコーンエラストマー粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンエラストマー粒子の体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、12μmであった。
【0066】
上記で得られた水分散液から、スプレードライヤー(日本ビュッヒ(株)製、型式:B−290、設定:入口温度=150℃、出口温度=約80℃、水分散液供給量=200g/hr)を用いて水分を揮発除去して、トコフェロールを含有したシリコーンエラストマー粒子を得た。尚、使用したポリオキシエチレンラウリルエーテルは、揮発性でないため、配合した量がそのままシリコーンエラストマー粒子の表面に付着していることになる。該シリコーンエラストマー粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0067】
上記で得られたシリコーンエラストマー粒子のゴム硬度を以下のように測定した。
上記式(3)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(2)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、トコフェロール、および塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)を上記の配合割合で混合し、厚みが10mmになるようアルミシャーレに流し込んだ。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱し、トコフェロールを含有したシリコーンエラストマーを得た。シリコーンエラストマーのゴム硬度を、デュロメータA硬度計で測定したところ、28であった。
【0068】
上記で得られたシリコーンエラストマー粒子を2Lのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、無臭であった。さらに、該シリコーンエラストマー粒子を常温にて1ヶ月保管した後に官能により臭いの有無を確認したところ、無臭であった。
【0069】
[実施例3]
ファンデーション
実施例1で得られた水分散液及び下記に示す成分を下記に示す量で配合してファンデーションを調製した。
(成分) 重量(g)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 225.0
2.ジメチルポリシロキサン(粘度:6mm
2/s) 75.0
3.ポリエーテル変性シリコーン
(注1) 17.5
4.オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩変性モンモリロナイト 7.5
5.アミノ酸(N−アシルグルタミン酸)処理酸化鉄 12.5
6.トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン
(注2)処理酸化チタン 37.5
7.実施例1で得られた水分散液 45.0
8.ジプロピレングリコール 25.0
9.パラオキシ安息香酸メチルエステル 1.5
10.水 53.5
(注1)ポリエーテル変性シリコーン:KF−6017(信越化学工業(株)製)
(注2)トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン:KF−9909(信越化学工業(株)製)
【0070】
ファンデーションの調製
先ず、上記成分1〜4を混合し、さらに該混合物に成分5〜6を添加して均一に混合した。別の容器に成分7〜11を投入し混合した。上記成分1〜6の混合物に、ホモミキサー攪拌下、上記成分7〜11の混合物を添加し乳化して、ファンデーションを得た。
【0071】
ファンデーションの評価
上記で得られたファンデーションを500mLのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、無臭であった。
【0072】
[比較例1]
トコフェロールを配合しない他は、実施例1と同様にしてシリコーンエラストマー粒子を含む水分散液を調製した。得られた水分散液中のシリコーンエラストマー粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンエラストマー粒子の体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、3μmであった。
【0073】
得られた水分散液を1Lのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、臭気が認められた。
【0074】
[比較例2]
トコフェロールを配合しない他は、実施例2と同様にしてシリコーンエラストマー粒子を含む水分散液を得た。得られた水分散液中のシリコーンエラストマー粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンエラストマー粒子の体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、12μmであった。
【0075】
次いで、上記で得られた水分散液を、実施例2と同じ条件にて、スプレードライヤーを使用して水分を揮発除去して、シリコーンエラストマー粒子を得た。使用したポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)は、揮発性でないため、配合した量がそのままシリコーンエラストマー粒子の表面に付着していることになる。得られたシリコーンエラストマー粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0076】
上記で得られたシリコーンエラストマー粒子を2Lのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、無臭であった。さらに、常温にて1ヶ月保管後に官能により臭いの有無を確認したところ、臭気が認められた。
【0077】
[比較例3]
ファンデーション
実施例1で得られた水分散液の代わりに比較例1で得られた水分散液を使用した他は、実施例3と同様にしてファンデーションを調製した。得られたファンデーションを500mLのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、臭気が認められた。
【0078】
[比較例4]
ファンデーション
上記式(1)で示される、動粘度が130mm
2/sのメチルビニルポリシロキサン457g、および上記式(2)で示される、動粘度が30mm
2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン43g(上記式(1)で示される化合物中のオレフィン性不飽和基1個に対しヒドロシリル基が1.17個となる配合量)を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)6gと水40gを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められ、更に、15分間撹拌を継続した。次いで、2,000rpmで撹拌しながら、水497gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。このエマルジョンを錨型攪拌翼による撹拌装置の付いた容量1リットルのガラスフラスコに移し、15〜20℃に温調した後、撹拌下に塩化白金酸−オレフィン錯体のイソドデカン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1gの混合溶解物を添加し、同温度で12時間撹拌した。
【0079】
次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)43g、安息香酸ナトリウム5g、クエン酸1gおよび、アスコルビン酸0.10gを添加し、同温度で10分間攪拌し、水中にアスコルビン酸を含有した水分散液を得た。アスコルビン酸は水溶性でありシリコーンに溶解しない。従って、比較例4で得られた水分散液中に含まれるシリコーンエラストマー粒子はその粒子中にアスコルビン酸(酸化防止剤)を含有せず、水中にアスコルビン酸(酸化防止剤)を含有するものである。
【0080】
得られた水分散液中のシリコーンエラストマー粒子の形状を光学顕微鏡にて観察したところ、球状であった。また、該シリコーンエラストマー粒子の体積平均粒径を電気抵抗法粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定したところ、3μmであった。
【0081】
実施例1で得られた水分散液の代わりに比較例4で得た水分散液を使用した他は、実施例3と同様にしてファンデーションを調製した。得られたファンデーションを500mLのポリ瓶に移し、1日後に官能により臭いの有無を確認したところ、臭気が認められた。