特許第5943544号(P5943544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5943544積層デバイスの製造方法及び積層デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5943544
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】積層デバイスの製造方法及び積層デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20160621BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20160621BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20160621BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L25/08 Z
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-283281(P2010-283281)
(22)【出願日】2010年12月20日
(65)【公開番号】特開2012-134231(P2012-134231A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100125519
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 憲二
(72)【発明者】
【氏名】児玉 祥一
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】前田 展秀
(72)【発明者】
【氏名】川合 章仁
【審査官】 今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−245290(JP,A)
【文献】 特開2010−225701(JP,A)
【文献】 特開2010−153645(JP,A)
【文献】 特開2010−093199(JP,A)
【文献】 特開2009−194249(JP,A)
【文献】 特開2007−287802(JP,A)
【文献】 特開2007−273782(JP,A)
【文献】 特開2007−019454(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/077739(WO,A1)
【文献】 特表2005−532674(JP,A)
【文献】 特開2004−342862(JP,A)
【文献】 特開2003−273317(JP,A)
【文献】 特開2001−127240(JP,A)
【文献】 特開2001−015683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/304
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体デバイスが積層された積層デバイスの製造方法であって、
表面に設定された交差する複数の第1ストリートで区画される各領域に第1半導体デバイスが形成された半導体デバイスウエーハを準備する半導体デバイスウエーハ準備ステップと、
該半導体デバイスウエーハの該第1ストリートに対応する交差する複数の第2ストリートで区画される表面の各領域にチップ搭載領域が形成されたサポート基板を準備するサポート基板準備ステップと、
表面に第2半導体デバイスが形成された複数の半導体デバイスチップの該表面側を該半導体デバイスウエーハの該各第1半導体デバイスに対応する該サポート基板上の該チップ搭載領域に配設するとともに、該サポート基板上に配設した該複数の半導体デバイスチップの裏面側に樹脂を充填して仮ウエーハを形成する仮ウエーハ形成ステップと、
該仮ウエーハの該樹脂を充填した側を研削して該半導体デバイスチップを所定の厚みへと薄化する仮ウエーハ薄化ステップと、
該仮ウエーハ薄化ステップで薄化された該複数の半導体デバイスチップの裏面側を該半導体デバイスウエーハの該表面に対面させるとともに、該仮ウエーハの該複数の半導体デバイスチップと該半導体デバイスウエーハの該複数の第1半導体デバイスとを対応させて貼り合わせ、複数の第1半導体デバイスと複数の第2半導体デバイスがそれぞれ積層された複数の積層デバイスを形成するように貼り合わせ貼り合わせウエーハを形成する貼り合わせウエーハ形成ステップと、
該貼り合わせウエーハから該サポート基板を除去して該半導体デバイスチップの該第2半導体デバイスを露出させるサポート基板除去ステップと、
該第2半導体デバイスが露出した該半導体デバイスチップの該表面側から該半導体デバイスチップに貫通電極を形成して、該半導体デバイスチップの該第2半導体デバイスと該半導体デバイスウエーハの該第1半導体デバイスとを接続する貫通電極形成ステップと、
該貫通電極形成ステップを実施した後、該貼り合わせウエーハを該第1ストリートに沿って個々の積層デバイスへと分割する分割ステップと、
を具備したことを特徴とする積層デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体デバイスが積層された積層デバイスの製造方法及び該製造方法により製造された積層デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウエーハの表面にストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画された各領域にICやLSI等のデバイスが形成される。そして、分割予定ラインに沿って半導体ウエーハをチップに分割することで、個々の半導体デバイスが製造される。このようにして製造された半導体デバイスは各種電気機器に広く利用されている。
【0003】
近年、電気機器の小型化・薄型化に伴い半導体デバイスパッケージも小型化・薄型化が要求され、実装の高密度化が要求されている。複数の半導体デバイスを一つのパッケージに集積する手法の一つに複数の半導体デバイスチップを縦方向に積層して実装する三次元実装がある。
【0004】
従来の三次元実装では、ワイヤボンディングを用いて半導体デバイスチップ間、或いは半導体デバイスチップとインターポーザとを接続していた。ワイヤボンディングによる接続では、その配線長分インダクタンス等が大きくなるので高速での信号のやり取りには向かないという問題があるとともに、ワイヤが半導体デバイスチップ等に触れないようにチップを積層する必要があるため小型化が難しい等の問題がある。
【0005】
近年、新たな三次元実装技術として、ワイヤの代わりにSi貫通電極(Through−Silicon Via:TSV)を用いた実装技術が注目されている。TSV技術を用いると、配線長がワイヤより短いため配線抵抗やインダクタンスが大幅に低減でき、消費電力も大幅に低減できるというメリットがある。
【0006】
一方、半導体デバイスチップの積層方法としては次のような積層技術が開発されつつある。第1の積層方法は、複数の半導体ウエーハ同士を積層し、積層した半導体ウエーハを貫く貫通電極を形成してウエーハ同士を接続する積層方法である(Wafer on Wafer:WOW)。
【0007】
第2の積層方法は、個片化した半導体デバイスチップを半導体ウエーハ上にバンプ等を介してマウントする方法である(Chip on Wafer:COW)。これらの積層方法で積層したウエーハを分割することで、個々の積層デバイスチップが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−261232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
殆どの半導体ウエーハには、良品デバイスと幾つかの不良デバイスが混在しているため、複数の半導体ウエーハ同士を積層し、積層した半導体ウエーハを貫く貫通電極を形成して半導体ウエーハ同士を接続するWOW技術では歩留まりが悪いという問題がある。
【0010】
一方、個片化した半導体デバイスチップを半導体ウエーハ上にバンプ等を介してマウントするCOW技術では、半導体ウエーハ上に半導体デバイスチップをマウントするので、薄化した半導体デバイスチップでは、ハンドリング時に半導体デバイスチップを破損させる恐れがあるという問題が生じる。
【0011】
また、バンプやワイヤを介して接続された積層デバイスチップは、強度を上げる目的や湿度や温度に対する耐性を向上させる目的で液状硬化樹脂(アンダーフィル)で封止されるが、バンプ間ピッチが狭い場合には、液状硬化樹脂を注入するのが難しいという問題がある。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、歩留まりを悪化させることなく、また半導体デバイスチップを破損させる恐れのない薄型の積層デバイスを製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、複数の半導体デバイスが積層された積層デバイスの製造方法であって、表面に設定された交差する複数の第1ストリートで区画される各領域に第1半導体デバイスが形成された半導体デバイスウエーハを準備する半導体デバイスウエーハ準備ステップと、該半導体デバイスウエーハの該第1ストリートに対応する交差する複数の第2ストリートで区画される表面の各領域にチップ搭載領域が形成されたサポート基板を準備するサポート基板準備ステップと、表面に第2半導体デバイスが形成された複数の半導体デバイスチップの該表面側を該半導体デバイスウエーハの該各第1半導体デバイスに対応する該サポート基板上のチップ搭載領域に配設するとともに、該サポート基板上に配設した該複数の半導体デバイスチップの裏面側に樹脂を充填して仮ウエーハを形成する仮ウエーハ形成ステップと、該仮ウエーハの該樹脂を充填した側を研削して該半導体デバイスチップを所定の厚みへと薄化する仮ウエーハ薄化ステップと、該仮ウエーハ薄化ステップで薄化された該複数の半導体デバイスチップの裏面側を該半導体デバイスウエーハの該表面に対面させるとともに、該仮ウエーハの該複数の半導体デバイスチップと該半導体デバイスウエーハの該複数の第1半導体デバイスとを対応させて貼り合わせ、複数の第1半導体デバイスと複数の第2半導体デバイスがそれぞれ積層された複数の積層デバイスを形成するように貼り合わせ貼り合わせウエーハを形成する貼り合わせウエーハ形成ステップと、該貼り合わせウエーハから該サポート基板を除去して該半導体デバイスチップの該第2半導体デバイスを露出させるサポート基板除去ステップと、該第2半導体デバイスが露出した該半導体デバイスチップの該表面側から該半導体デバイスチップに貫通電極を形成して、該半導体デバイスチップの該第2半導体デバイスと該半導体デバイスウエーハの該第1半導体デバイスとを接続する貫通電極形成ステップと、該貫通電極形成ステップを実施した後、該貼り合わせウエーハを該第1ストリートに沿って個々の積層デバイスへと分割する分割ステップと、を具備したことを特徴とする積層デバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層デバイスの製造方法によると、複数の半導体デバイスチップをサポート基板上に配設して少なくとも半導体デバイスチップ間に樹脂を充填した後、半導体デバイスチップを研削により薄化するため、ハンドリング中に半導体デバイスチップが破損することを防止できる。
【0015】
また、良品半導体デバイスチップのみを選択してサポート基板上に配設して貼り合わせウエーハを形成できるため、歩留まりを悪化させることがない。更に、従来に比べてチップ厚を薄くできるので、積層デバイスチップ全体の厚みを薄く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】半導体デバイスウエーハの表面側斜視図である。
図2】一実施形態に係るサポート基板の表面側斜視図である。
図3】半導体デバイスウエーハの各半導体デバイスに対応してサポート基板上に半導体デバイスチップを搭載する様子を示す説明図である。
図4】半導体デバイスウエーハの各半導体デバイスに対応してサポート基板上に2個の半導体デバイスチップを搭載する様子を示す説明図である。
図5】サポート基板上に搭載された複数の半導体デバイスチップを樹脂封止した状態の仮ウエーハの一部断面側面図である。
図6】半導体デバイスウエーハの各半導体デバイスに対応してサポート基板上に2個の半導体デバイスが搭載された状態の各半導体デバイスチップを樹脂封止した状態の仮ウエーハの一部断面側面図である。
図7】サポート基板上に搭載された半導体デバイスチップ間に樹脂を充填した状態の仮ウエーハの一部断面側面図である。
図8図8(A)はサポート基板上に環状の第1ダムを形成するダム形成ステップの説明図、図8(B)はサポート基板上に第2ダムを形成するダム形成ステップの説明図である。
図9】仮ウエーハ薄化ステップを示す研削装置の要部斜視図である。
図10】仮ウエーハ薄化ステップを実施後の仮ウエーハの一部断面側面図である。
図11】貼り合わせウエーハ形成ステップを示す一部断面側面図である。
図12】貼り合わせウエーハの一部断面側面図である。
図13】サポート基板除去ステップを示す一部断面側面図である。
図14図14(A)は貼り合わせウエーハの半導体デバイスチップ上にレジストを塗布した状態の一部断面側面図、図14(B)は貼り合わせウエーハの各半導体デバイスチップにスルーホールを形成した状態の一部断面側面図である。
図15図15(A)はレジストを除去後各スルーホール内に銅を充填した状態の一部断面側面図、図15(B)は表面上の銅を研磨により除去した状態の一部断面側面図である。
図16】半導体デバイスウエーハの裏面研削工程を実施後の貼り合わせウエーハの断面図である。
図17】貼り合わせウエーハ分割ステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、シリコンウエーハから形成された半導体デバイスウエーハ2の表面側斜視図が示されている。半導体デバイスウエーハ2の表面2aには、格子状に形成された複数の分割予定ライン(ストリート)4によって区画された各領域にIC、LSI等の半導体デバイス6(第1半導体デバイス)が形成されている。2bは半導体デバイスウエーハ2の裏面、8はシリコンウエーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチである。
【0018】
図2を参照すると、一実施形態のサポート基板12の表面側斜視図が示されている。好ましくは、サポート基板12はシリコンウエーハから形成され、図1に示した半導体デバイスウエーハ2と同一サイズを有している。
【0019】
サポート基板12の表面12aには半導体デバイスウエーハ2のストリート4に対応して複数のストリート14が格子状に形成されており、ストリート14によって区画された各領域にチップ搭載領域16が形成されている。12bはサポート基板12の裏面、18は半導体デバイスウエーハ2のノッチ8に対応したノッチである。
【0020】
図2に示したサポート基板はシリコンウエーハ12から形成されているが、サポート基板はこれに限定されるものではなく、透明なガラス等から形成してもよい。サポート基板をガラスから形成する場合には、サポート基板を半導体デバイスウエーハ2上に搭載すると半導体デバイスウエーハ2の半導体デバイス6を透かして見ることができるので、サポート基板上にストリート14及びチップ搭載領域16を形成する必要はない。また、サポート基板12の表面12a上に目盛を形成することにより、チップ搭載領域16を目盛により決定することができる。
【0021】
図1に示す半導体デバイスウエーハ2及び図2に示すサポート基板12を準備した後、本発明の積層デバイスチップの製造方法では、まずサポート基板12上に複数の半導体デバイスチップ20を搭載して仮ウエーハを形成する仮ウエーハ形成ステップを実施する。
【0022】
この仮ウエーハ形成ステップでは、図3に示すように、表面に半導体デバイス22(第2半導体デバイス)が形成された複数の半導体デバイスチップ20の表面20a側を、半導体デバイスウエーハ2の各半導体デバイス6に対応する該サポート基板12上のチップ搭載領域16上に配設して剥離可能な接着剤で接着する。
【0023】
この時、図2に示すサポート基板12を利用すると、サポート基板12の各チップ搭載領域16は図1に示す半導体デバイスウエーハ2の各デバイス6に対応した位置に形成されているため、半導体デバイス22が形成された複数の半導体デバイスチップ20の表面20a側をサポート基板12のチップ搭載領域16上に載置し、剥離可能な接着剤で各半導体デバイスチップ20をサポート基板12に接着すればよい。
【0024】
図3に示した実施形態では、半導体デバイスウエーハ2の半導体デバイス6に対応するサポート基板12のチップ搭載領域16上にただ一つの半導体デバイスチップ20を搭載しているが、図4に示すように、複数個の、例えば2個の半導体デバイスチップ24,28をその表面側に形成された半導体デバイス(第2半導体デバイス)26,30を下にしてサポート基板12のチップ搭載領域16上に搭載してもよい。
【0025】
この時、サポート基板12を半導体デバイスウエーハ2に対面させた際、半導体デバイスチップ24,28が半導体デバイスウエーハ2の半導体デバイス6に対して所望の配置になるよう搭載する。
【0026】
サポート基板12の各チップ搭載領域16上に半導体デバイスチップ20を搭載したならば、図5に示すように、各半導体デバイスチップ20をエポキシ樹脂等の樹脂32で封止して、仮ウエーハ34を形成する。図4に示す実施形態の場合も、図6に示すように、各半導体デバイスチップ24,28をエポキシ樹脂等の樹脂32で封止して仮ウエーハ34Aを形成する。
【0027】
図5及び図6に示した仮ウエーハ34,34Aでは、全ての半導体デバイスチップ20又は全ての半導体デバイスチップ24及び28を樹脂32で封止しているが、図7に示すように、樹脂32で半導体デバイスチップ20を完全には封止せずに、隣接する半導体デバイスチップ20間に樹脂32を充填するようにして仮ウエーハ34´を形成するようにしてもよい。
【0028】
この場合には、各半導体デバイスチップ20の裏面20b側は樹脂32から露出している。この時、半導体デバイスチップ20又は24及び28を後の研削ステップで研削して薄化した厚みと少なくとも同厚みにまで樹脂32を充填するのが好ましい。
【0029】
封止材として注入する樹脂の流動性が高い場合には、仮ウエーハの外周縁に半導体デバイスチップ20を囲繞する図8(A)に示すような環状ダム36、又は図8(B)に示すようなダム38を形成してから、サポート基板12上に液状樹脂を供給するのが好ましい。好ましくは、ダム36,38は封止材となる樹脂32と同一材料で形成する。
【0030】
上述した仮ウエーハ34を形成した後、仮ウエーハ34の封止樹脂32側を研削して半導体デバイスチップ20の裏面20bを露出させるとともに、半導体デバイスチップ20を所定の厚みへと薄化する仮ウエーハ薄化ステップを実施する。
【0031】
図7に示す実施形態の場合には、この仮ウエーハ薄化ステップでは、仮ウエーハ34´の樹脂32を充填した側を研削して半導体デバイスチップ20を所定の厚みへと薄化する。
【0032】
この仮ウエーハ薄化ステップについて、図9を参照して更に詳細に説明する。図9に示すように、仮ウエーハ34のサポート基板12側を研削装置のチャックテーブル40で吸引保持し、封止樹脂32を露出させる。
【0033】
研削装置の研削ユニット42は、図示しないモータにより回転駆動されるスピンドル44を有しており、スピンドル44の先端にはホイールマウント46が固定されている。このホイールマウント46には、環状基台48の自由端部にダイアモンド砥粒をビトリファイドボンド等で固めた複数の研削砥石50が固着されて構成されている研削ホイール52が、ねじ54で着脱可能に装着されている。
【0034】
この仮ウエーハ薄化ステップでは、チャックテーブル40を矢印a方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール52をチャックテーブル40と同一方向に、即ち矢印b方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、図示しない研削ユニット送り機構を駆動して研削砥石50を仮ウエーハ34の封止樹脂32に接触させる。
【0035】
そして、研削ホイール52を所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りして、仮ウエーハ34の研削を実施する。この研削を実行すると、最初は封止樹脂32のみの研削であるが、途中から封止樹脂32とともに半導体デバイスチップ20の裏面20bが同時に研削される。
【0036】
図示しない接触式又は非接触式の厚み測定ゲージにより半導体デバイスチップ20の厚みを測定しながら半導体デバイスチップ20を所望の厚み、例えば10μmに仕上げる。仮ウエーハ薄化ステップ実施後の仮ウエーハ34の一部断面側面図が図10に示されている。
【0037】
仮ウエーハ薄化ステップ実施後、図11に示すように、仮ウエーハ薄化ステップで薄化された半導体デバイスチップ20の裏面20b側を半導体デバイスウエーハ2の表面2aに対面させるとともに、仮ウエーハ34の半導体デバイスチップ20と半導体デバイスウエーハ2の半導体デバイス6とを対応させて接着剤で貼り合わせ、貼り合わせウエーハ56を形成する。
【0038】
図12は、半導体デバイスウエーハ2の各半導体デバイス6に対応して仮ウエーハ34Aの2個の半導体デバイスチップ24,28が貼り合わされた貼り合わせウエーハ56Aの一部断面側面図を示している。
【0039】
次いで、図13に示すように、貼り合わせウエーハ56からサポート基板12を除去して、半導体デバイスチップ20の半導体デバイス22を露出させて、積層デバイスウエーハ57を形成する。
【0040】
次いで、半導体デバイス22が露出した半導体デバイスチップ20の表面側から半導体デバイスチップ20に貫通電極を形成して、半導体デバイスチップ20の半導体デバイス22と半導体デバイスウエーハ2の半導体デバイス6とを接続する貫通電極形成ステップを実施する。
【0041】
この貫通電極形成ステップを、図14及び図15を参照して説明する。まず図14(A)に示すように、スピンコート法等により積層デバイスウエーハ57の半導体デバイス22上にレジスト58を塗布する。
【0042】
レジスト58を塗布後、レジスト58をパターンに従って露光して貫通電極形成用マスクを形成する。この貫通電極形成用マスクを介してドライエッチングを施すと、図14(B)に示すように、各半導体デバイスチップ20を貫通する複数のスルーホール60が形成される。
【0043】
ドライエッチングに代わり、レーザビームの照射により各半導体デバイスチップ20を貫通するスルーホール60を形成するようにしてもよい。次いで、各スルーホール60内に図示しない絶縁膜とバリアメタルを形成する。
【0044】
次いで、レジスト58を除去してから、図15(A)に示すように、各スルーホール60内に銅62を充填する。次いで、化学的機械研磨(CMP)で銅62を研磨して平坦化すると、図15(B)に示すように、半導体デバイスチップ20の半導体デバイス22と半導体デバイスウエーハ2の半導体デバイス6とを接続する貫通電極63が形成される。
【0045】
貫通電極63を形成後、半導体デバイスウエーハ2の裏面2bを研削する裏面研削ステップを実施するのが好ましいが、この裏面研削ステップは必ずしも必須ではない。裏面研削ステップを実施する場合には、半導体デバイスウエーハ2の裏面2bの研磨を行い研削歪を除去するのが好ましい。
【0046】
この裏面研削ステップを実施するには、図16に示すように、積層デバイスウエーハ57の半導体デバイス22側に半導体デバイス22を保護するための保護テープ64を貼着するのが好ましい。
【0047】
次いで、裏面研削された保護テープ付き積層デバイスウエーハ57をダイシングテープTに貼着し、ダイシングテープTの外周部を環状フレームFに貼着する。これにより、積層デバイスウエーハ57はダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された状態となり、この状態で切削装置に投入される。
【0048】
切削装置では、よく知られた切削すべきストリート4を検出するアライメントを実施後、切削ブレード68で第1の方向に伸長するストリート4を順々に切削し、次いで切削装置のチャックテーブルを90度回転してから、第1の方向に直交する第2の方向に伸長するストリート4を順々に切削して、積層デバイスウエーハ57を個々の積層デバイスチップに分割する。
【0049】
この分割ステップは、切削ブレード68による切削に限定されるものではなく、従来公知のレーザビームを照射するアブレーション加工によるフルカット、又はアブレーション加工によるハーフカット後ブレーキング装置を使用する割断、或いは積層デバイスウエーハ57内に改質層を形成した後、ブレーキング装置を使用する割断等で積層デバイスウエーハ57を個々の積層デバイスチップに分割するようにしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、2個のデバイス6及び20を積層した積層デバイスチップを製造しているが、本発明の積層デバイスチップの製造方法では3個以上のデバイスを積層した積層デバイスチップを同様に製造することができる。
【0051】
この場合には、図10に示す仮ウエーハ34を次々と形成していき、図13に示した積層デバイスウエーハ57上に仮ウエーハ34の半導体デバイスチップ20側を接着した後、サポート基板12を剥離する。次いで、図14及び図15に示す貫通電極形成ステップを実施する。
【符号の説明】
【0052】
2 半導体デバイスウエーハ
4 ストリート(分割予定ライン)
6 デバイス
12 サポート基板
14 ストリート
16 チップ搭載領域
20 半導体デバイスチップ
22 半導体デバイス
24,28 半導体デバイスチップ
32 封止樹脂
34 仮ウエーハ
36,38 ダム
56,56A 貼り合わせウエーハ
57 積層デバイスウエーハ
58 レジスト
60 スルーホール
63 貫通電極
68 切削ブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図17