特許第5944224号(P5944224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日鉄住金エレクトロデバイス株式会社の特許一覧

特許5944224電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法
<>
  • 特許5944224-電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法 図000002
  • 特許5944224-電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法 図000003
  • 特許5944224-電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法 図000004
  • 特許5944224-電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法 図000005
  • 特許5944224-電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944224
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20160621BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   H01L23/02 C
   H01L23/08 C
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-111277(P2012-111277)
(22)【出願日】2012年5月15日
(65)【公開番号】特開2013-239555(P2013-239555A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】江藤 健太郎
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−127180(JP,A)
【文献】 特開2001−237332(JP,A)
【文献】 特開2007−048798(JP,A)
【文献】 特開平11−260949(JP,A)
【文献】 特開2004−288737(JP,A)
【文献】 特開平09−139439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L 23/00−23/04
H01L 23/06−23/10
H01L 23/16−23/26
H01L 41/00−41/47
H03B 5/30−5/42
H03H 3/007−3/06
H03H 9/00−9/135
H03H 9/15−9/24
H03H 9/30−9/40
H03H 9/46−9/62
H03H 9/66
H03H 9/70
H03H 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品素子を載置するための底板となるセラミック基体と、前記電子部品素子を囲繞するための前記セラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体、及び該セラミック枠体の上面のメタライズパターンにろう付け接合して設ける金属枠体と、で形成されるキャビティ部に前記電子部品素子を収容し、前記金属枠体に金属製蓋体を溶接して前記電子部品素子を気密に封止するための電子部品素子収納用パッケージにおいて、
前記メタライズパターンは、前記セラミック枠体の外周部の全周にわたって形成される第1〜第3のメタライズパターンからなり、
前記第2のメタライズパターンは、前記セラミック枠体内に埋設されるとともに、平坦な前記セラミック枠体の前記上面の一部をなし、
前記第1のメタライズパターンは、前記セラミック枠体内において前記第2のメタライズパターンの下層側に配され、かつ、鉛直下方に向かって突状をなし、かつ、その外縁が前記第2のメタライズパターンの外縁と略一致するように配され、
前記第3のメタライズパターンは、前記第2のメタライズパターン上でかつ前記第1のメタライズパターンの内周側に配されるとともに、鉛直上方に向かって突状をなすことを特徴とする電子部品素子収納用パッケージ。
【請求項2】
電子部品素子を載置するための底板となるセラミック基体と、前記電子部品素子を囲繞するための前記セラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体、及び該セラミック枠体の上面のメタライズパターンにろう付け接合して設ける金属枠体と、で形成されるキャビティ部に前記電子部品素子を収容し、前記金属枠体に金属製蓋体を溶接して前記電子部品素子を気密に封止するための個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から前記分割溝で分割させて前記個片体に形成する電子部品素子収納用パッケージの製造方法において、
前記集合体基板用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記セラミック枠体用の最上層となる前記セラミックグリーンシートのそれぞれの前記個片体用の上面外周部となる部位の全周にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機で前記セラミックグリーンシートを加熱しながら加圧して、前記セラミックグリーンシート内に前記第1のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、前記第1のメタライズ印刷パターンの上面を平坦面とする工程と、
前記セラミックグリーンシートのそれぞれの前記個片体用の前記第1のメタライズ印刷パターンを設けた前記セラミック枠体の上面となる部位に前記スクリーン印刷機を用いて前記メタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなる前記プレス機で他の前記セラミック枠体用の前記セラミックグリーンシート、及び前記セラミック基体用の前記セラミックグリーンシートを重ね合わせて加熱しながら加圧して、前記セラミック枠体用の最上層となる前記セラミックグリーンシート内に前記第1のメタライズ印刷パターンも含めて第2のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、前記第2のメタライズ印刷パターン上面を平坦面とする積層体を形成する工程と、
前記積層体の両主面のそれぞれに前記分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後、前記積層体のそれぞれの前記個片体用の前記第2のメタライズ印刷パターンの上面の前記第1のメタライズパターンより内周部側の部位に前記スクリーン印刷機を用いて前記メタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンを形成し、前記積層体の上面に前記第1、第2、第3のメタライズ印刷パターンからなるメタライズ印刷パターンを形成する工程と、
前記積層体を焼成して集合体基板とした後、該集合体基板のそれぞれの前記個片体用の前記セラミック基体の外周部に一体的に設ける前記セラミック枠体の上面の第1、第2、第3のメタライズパターンからなる前記メタライズパターンの上面にNiめっき被膜を設け、該Niめっき被膜との間にろう材を介して前記金属枠体をろう付け接合する工程を有することを特徴とする電子部品素子収納用パッケージの製造方法。
【請求項3】
電子部品素子を載置するための底板となるセラミック基体と、前記電子部品素子を囲繞するための前記セラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体、及び該セラミック枠体の上面のメタライズパターンにろう付け接合して設ける金属枠体と、で形成されるキャビティ部に前記電子部品素子を収容し、前記金属枠体に金属製蓋体を溶接して前記電子部品素子を気密に封止するための個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から前記分割溝で分割させて前記個片体に形成する電子部品素子収納用パッケージの製造方法において、
前記集合体基板用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
前記セラミック枠体用の最上層となる前記セラミックグリーンシートのそれぞれの前記個片体用の上面外周部となる部位の全周にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機で他の前記セラミック枠体用の前記セラミックグリーンシート、及び前記セラミック基体用の前記セラミックグリーンシートを重ね合わせて加熱しながら加圧して、前記セラミックグリーンシート内に前記第1のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、前記第1のメタライズ印刷パターンの上面を平坦面とする工程と、
前記セラミックグリーンシートのそれぞれの前記個片体用の前記第1のメタライズ印刷パターンを設けた前記セラミック枠体の上面となる部位に前記スクリーン印刷機を用いて前記メタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなる前記プレス機で前記セラミックグリーンシート内に前記第1のメタライズ印刷パターンも含めて第2のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、前記第2のメタライズ印刷パターン上面を平坦面とする積層体を形成する工程と、
前記積層体の両主面のそれぞれに前記分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後、前記積層体のそれぞれの前記個片体用の前記第2のメタライズ印刷パターンの上面の前記第1のメタライズパターンより内周部側の部位に前記スクリーン印刷機を用いて前記メタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンを形成し、前記積層体の上面に前記第1、第2、第3のメタライズ印刷パターンからなるメタライズ印刷パターンを形成する工程と、
前記積層体を焼成して集合体基板とした後、該集合体基板のそれぞれの前記個片体用の前記セラミック基体の外周部に一体的に設ける前記セラミック枠体の上面の第1、第2、第3のメタライズパターンからなる前記メタライズパターンの上面にNiめっき被膜を設け、該Niめっき被膜との間にろう材を介して前記金属枠体をろう付け接合する工程を有することを特徴とする電子部品素子収納用パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化された電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法に係り、より詳細には、セラミック基体の上面と、セラミック枠体及び金属枠体の内周壁面とで形成されるキャビティ部に、半導体素子や、圧電振動片等の電子部品素子が搭載され、金属製蓋体が接合されて電子部品素子が気密に封止されるための電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や、圧電振動片等の電子部品素子を収納させるための電子部品素子収納用パッケージは、電子部品素子を搭載させた装置、例えば、携帯電話や、パソコン等の小型化、高信頼性化等の要求に伴い、ますます小型化、高信頼性化等への対応が求められている。これに対応するために、電子部品素子収納用パッケージには、気密信頼性の高いアルミナ(Al)や、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミック製からなるセラミック基体と、セラミック枠体を一体化させ、更にセラミック枠体の上面に金属枠体をろう付け接合させて構成されるパッケージが用いられている。
【0003】
この電子部品素子収納用パッケージは、通常、平板状のセラミック基体の下面に、タングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属からなるメタライズパターンと、その上面にNi及びAuめっきからなるめっき被膜が形成された外部接続端子パッドを備えている。また、電子部品素子収納用パッケージは、セラミック基体の上面に、上記と同様の高融点金属からなるメタライズパターンと、その上面に上記と同様のめっき被膜が形成された電子部品素子接続用パッドを備えている。更に、電子部品素子収納用パッケージは、額縁状のセラミック枠体の上面に、上記と同様のメタライズパターンとその上面にNiめっき被膜が形成された金属枠体接合用パッドを備えている。そして、電子部品素子収納用パッケージは、セラミック枠体上面の金属枠体接合用パッドとの間にAgCuろうを介してろう付け接合するセラミックと熱膨張係数が近似するKV(Fe−Ni−Co系合金、商品名「Kover(コバール)」)や、42アロイ(Fe−Ni系合金)等からなる金属枠体を備えている。なお、上記のメタライズパターンは、通常、スクリーン印刷等の厚膜法で形成しているので、メタライズパターンのパターン端部のメタライズ厚みが薄くなっている。
【0004】
上記の電子部品素子収納用パッケージには、セラミック基体の上面と、セラミック枠体及び金属枠体の内周側壁面とで形成されるキャビティ部の電子部品素子接続用パッドに、電子部品素子が搭載された後、金属枠体に、KVや、42アロイ等からなる金属製蓋体がシーム溶接されるようになっている。そして、金属製蓋体が接合された電子部品素子収納用パッケージは、外部接続端子パッドでボード基板等に半田付け接合させるようになっている。
【0005】
上記のような、従来の電子部品素子収納用パッケージは、パッケージの小型化に伴い、セラミック枠体の枠幅が小さくなり、そこに金属枠体をろう付け接合するための領域が小さくなり、強固にろう付け接合させるためのろう溜まり量が少なくなるので、金属枠体のろう付け接合強度が低くなって金属枠体がセラミック枠体から剥がれるという問題を抱えている。
【0006】
そこで、従来の電子部品素子収納用パッケージには、金属枠体のろう付け接合強度を向上させることができるろう付け用メタライズパターンとして、セラミックパッケージの封止構造という発明の名称のもとに、ろう付け用メタライズパターンの形成領域を部分的に盛り上がらせる凸部を厚膜法で形成することで、ろう付け用メタライズパターンとシールリング(金属枠体)とを接合するろう材のろう材溜まりを拡大させた封止構造のものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、上記のような電子部品素子収納用パッケージにおいては、厚膜法によってパターン端部のメタライズ厚みが薄くなっている上に、金属枠体に金属製蓋体をシーム溶接するときに、金属製蓋体及び金属枠体の外周部を介してセラミック枠体の外周部のメタライズパターンに熱応力が集中して作用するようになっているので、厚みが薄くなったメタライズパターンに熱応力を吸収させるさせることができなくなっている。従って、上記のような電子部品素子収納用パッケージでは、セラミック枠体外周部のメタライズパターンがセラミック枠体から剥離するような場合があり、キャビティ部内の気密信頼性を確保できなくなるという問題があった。
【0008】
この問題を解決できるとして、従来の電子部品素子収納用パッケージには、絶縁基体(セラミック基体)の表面に設けたメタライズ金属層(メタライズパターン)に金属枠体をろう付けすると共に、金属枠体に金属製蓋体を取着し、内部に半導体素子を気密に収容するようになした半導体素子収納用パッケージであって、メタライズ金属層の厚みを25μm以上としたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。これによると、この電子部品素子収納用パッケージでは、容器の気密封止の信頼性を高いものとなし、内部に収容する半導体集積回路素子を長期間にわたり正常、且つ安定に作動させることができる電子部品素子収納用パッケージを提供することができるとしている。
【0009】
また、従来の電子部品素子収納用パッケージには、セラミック枠体外周部のメタライズパターンがセラミック枠体から剥離しない電子部品素子を収容する電子部品素子収納用パッケージとして、電子部品素子用パッケージという発明の名称のもとに、底部となる板部材(セラミック基体)と、板部材に一体的に設けられ、電子部品素子を収容するための収容空間(キャビティ部)を有し、胴部となる枠部材(セラミック枠体)と、枠部材の反板部材側の端部に設けられる第1のメタライズパターン、ならびに第1のメタライズパターンの反枠部材側の外縁部に設けられる第2のメタライズパターンを有するメタライズ層と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2889519号公報
【特許文献2】特開平5−166958号公報
【特許文献3】特開2001−127180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述したような従来の電子部品素子収納用パッケージ及びその製造方法は、次のような問題がある。
(1)特開平5−166958号公報で開示されるような電子部品素子収納用パッケージは、例え、メタライズ金属層の厚みを25μm以上と厚くしたとしても、スクリーン印刷法等の厚膜法ではパターン端部のメタライズ厚みが薄くなっているので、金属枠体に金属製蓋体をシーム溶接するときの熱応力を厚みが薄くなったメタライズパターンに吸収させるさせることができなく、セラミック枠体外周部のメタライズパターンがセラミック枠体から剥離するような場合があり、キャビティ部内の気密信頼性を確保できなくなっている。また、このメタライズ金属層は、セラミック枠体内に押し込まれて設けられていなく、セラミック枠体に対するアンカー効果がなくてセラミック枠体との接合強度が低いので、金属枠体に金属製蓋体をシーム溶接するときの熱応力に対抗できなくなく、セラミック枠体のメタライズパターンがセラミック枠体から剥離するような場合があり、キャビティ部内の気密信頼性を確保できなくなっている。
(2)特開2001−127180号公報で開示されるような電子部品素子収納用パッケージは、メタライズパターンが第1のメタライズパターン、ならびに第1のメタライズパターンの上に第2のメタライズパターンを設け、これらを一度にセラミック枠体内に押し込まれて設けられているので、セラミック枠体に対するセラミック枠体外周部のメタライズパターンのアンカー効果が小さく、セラミック枠体との接合強度が低いので、金属枠体に金属製蓋体をシーム溶接するときの熱応力に対抗できなく、セラミック枠体のメタライズパターンがセラミック枠体の外周部から剥離するような場合があり、キャビティ部内の気密信頼性を確保できなくなっている。
(3)特開平5−166958号公報や、特開2001−127180号公報で開示されるような電子部品素子収納用パッケージは、パッケージの小型化に伴うセラミック枠体の枠幅の狭小化による金属枠体のろう付け接合領域の狭小化に対するろう付け接合強度を維持するためのろう溜まり量確保の方策がなく、金属枠体がセラミック枠体から剥がれるという問題を抱えている。
(4)特許第2889519号公報で開示されるような電子部品素子収納用パッケージを作製する場合の製造方法は、個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から分割溝で分割させて個片体に形成してる。しかしながら、分割溝は、焼成前の大型のセラミックグリーンシートの積層体に切り刃で押圧して押圧溝として形成しているので、平板上に載置される積層体の凸部のメタライズ印刷パターンによって、積層体の上面の平坦性が低下し、そこに形成される押圧溝の深さにバラツキが発生し、焼成後の分割溝での正常な分割ができないという問題を抱えている。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、セラミック枠体と金属枠体とのろう付け接合、及び金属製蓋体の金属枠体へのシーム溶接接合における気密信頼性の高いセラミック枠体のメタライズパターンを備える電子部品素子収納用パッケージ、及びこれを集合体基板から作製するための分割溝の分割性に優れる電子部品素子収納用パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的に沿う本発明に係る電子部品素子収納用パッケージは、電子部品素子を載置するための底板となるセラミック基体と、電子部品素子を囲繞するためのセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体、及びセラミック枠体の上面のメタライズパターンにろう付け接合して設ける金属枠体と、で形成されるキャビティ部に電子部品素子を収容し、金属枠体に金属製蓋体を溶接して電子部品素子を気密に封止するための電子部品素子収納用パッケージにおいて、メタライズパターンは、セラミック枠体の外周部の全周にわたって形成される第1〜第3のメタライズパターンからなり、第2のメタライズパターンは、セラミック枠体内に埋設されるとともに、平坦なセラミック枠体の上面の一部をなし、第1のメタライズパターンは、セラミック枠体内において第2のメタライズパターンの下層側に配され、かつ、鉛直下方に向かって突状をなし、かつ、その外縁が第2のメタライズパターンの外縁と略一致するように配され、第3のメタライズパターンは、第2のメタライズパターン上でかつ第1のメタライズパターンの内周側に配されるとともに、鉛直上方に向かって突状をなすことを特徴とするものである。
【0014】
前記目的に沿う本発明に係る電子部品素子収納用パッケージの製造方法は、電子部品素子を載置するための底板となるセラミック基体と、電子部品素子を囲繞するためのセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体、及びセラミック枠体の上面のメタライズパターンにろう付け接合して設ける金属枠体と、で形成されるキャビティ部に電子部品素子を収容し、金属枠体に金属製蓋体を溶接して電子部品素子を気密に封止するための個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から分割溝で分割させて個片体に形成する電子部品素子収納用パッケージの製造方法において、集合体基板用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備する工程と、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の上面外周部となる部位の全周にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機でセラミックグリーンシートを加熱しながら加圧して、セラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第1のメタライズ印刷パターンの上面を平坦面とする工程と、セラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の第1のメタライズ印刷パターンを設けたセラミック枠体の上面となる部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機で他のセラミック枠体用のセラミックグリーンシート、及びセラミック基体用のセラミックグリーンシートを重ね合わせて加熱しながら加圧して、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンも含めて第2のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第2のメタライズ印刷パターン上面を平坦面とする積層体を形成する工程と、積層体の両主面のそれぞれに分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後、積層体のそれぞれの個片体用の第2のメタライズ印刷パターンの上面の第1のメタライズパターンより内周部側の部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンを形成し、積層体の上面に第1、第2、第3のメタライズ印刷パターンからなるメタライズ印刷パターンを形成する工程と、積層体を焼成して集合体基板とした後、集合体基板のそれぞれの個片体用のセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体の上面の第1、第2、第3のメタライズパターンからなるメタライズパターンの上面にNiめっき被膜を設け、Niめっき被膜との間にろう材を介して金属枠体をろう付け接合する工程を有する。
【0015】
前記目的に沿う本発明に係る電子部品素子収納用パッケージの他の製造方法は、電子部品素子を載置するための底板となるセラミック基体と、電子部品素子を囲繞するためのセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体、及びセラミック枠体の上面のメタライズパターンにろう付け接合して設ける金属枠体と、で形成されるキャビティ部に電子部品素子を収容し、金属枠体に金属製蓋体を溶接して電子部品素子を気密に封止するための個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から分割溝で分割させて個片体に形成する電子部品素子収納用パッケージの製造方法において、集合体基板用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備する工程と、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の上面外周部となる部位の全周にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機で他のセラミック枠体用のセラミックグリーンシート、及びセラミック基体用のセラミックグリーンシートを重ね合わせて加熱しながら加圧して、セラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第1のメタライズ印刷パターンの上面を平坦面とする工程と、セラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の第1のメタライズ印刷パターンを設けたセラミック枠体の上面となる部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機でセラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンも含めて第2のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第2のメタライズ印刷パターン上面を平坦面とする積層体を形成する工程と、積層体の両主面のそれぞれに分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後、積層体のそれぞれの個片体用の第2のメタライズ印刷パターンの上面の第1のメタライズパターンより内周部側の部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンを形成し、積層体の上面に第1、第2、第3のメタライズ印刷パターンからなるメタライズ印刷パターンを形成する工程と、積層体を焼成して集合体基板とした後、集合体基板のそれぞれの個片体用のセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体の上面の第1、第2、第3のメタライズパターンからなるメタライズパターンの上面にNiめっき被膜を設け、Niめっき被膜との間にろう材を介して金属枠体をろう付け接合する工程を有する。
【発明の効果】
【0016】
上記の電子部品素子収納用パッケージは、セラミック基体と、セラミック枠体、及び金属枠体と、で形成されるキャビティ部に電子部品素子を収容し、金属枠体に金属製蓋体を溶接して電子部品素子を気密に封止するための電子部品素子収納用パッケージにおいて、メタライズパターンは、セラミック枠体の上面外周部の全周にセラミック枠体内に押し込まれて設けられる上面を平坦面とする第1のメタライズパターンと、セラミック枠体及び第1のメタライズパターンの上面にセラミック枠体内に第1のメタライズパターンも含めて押し込まれて設けられる上面全面を平坦面とする第2のメタライズパターンと、第2のメタライズパターンの上面の第1のメタライズパターンより内周部側の部位に部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズパターンを備えるので、セラミック枠体の上面外周部の全周に押し込まれて設けられた第1のメタライズパターン、更にその上面を含めてセラミック枠体の上面に押し込まれて設けられた第2のメタライズパターンによって、第1のメタライズパターンが第2のメタライズパターンより更に深く押し込まれセラミック枠体に強固に接合するアンカーにできると共に、セラミック枠体の外周部のメタライズパターンの厚みを厚くでき、金属枠体に金属製蓋体を溶接接合するときに、アンカー効果で熱応力に対抗できると共に、外周部の厚いメタライズ厚みで熱応力を吸収でき、メタライズパターンのセラミック枠体からの剥離のない電子部品素子収納用パッケージを提供することができる。また、上記の電子部品素子収納用パッケージは、第2のメタライズパターンの上面平坦面の第1のメタライズパターンより内周部側の部位に部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズパターンによって、セラミック枠体の第2のメタライズパターンの上面平坦面との間にろう材を介して金属枠体をろう付け接合するための大きな隙間を確保でき、この隙間をろう材溜まりとして金属枠体をセラミック枠体に強固に接合させる電子部品素子収納用パッケージを提供することができる。
【0017】
上記の電子部品素子収納用パッケージの製造方法は、セラミック基体と、セラミック枠体、及び金属枠体と、で形成されるキャビティ部に電子部品素子を収容し、金属枠体に金属製蓋体を溶接して電子部品素子を気密に封止するための個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から分割溝で分割させて個片体に形成する電子部品素子収納用パッケージの製造方法において、集合体基板用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備する工程と、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の上面外周部となる部位の全周にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機でセラミックグリーンシートを加熱しながら加圧して、セラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第1のメタライズ印刷パターンの上面を平坦面とする工程と、セラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の第1のメタライズ印刷パターンを設けたセラミック枠体の上面となる部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機で他のセラミック枠体用のセラミックグリーンシート、及びセラミック基体用のセラミックグリーンシートを重ね合わせて加熱しながら加圧して、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンも含めて第2のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第2のメタライズ印刷パターン上面を平坦面とする積層体を形成する工程と、積層体の両主面のそれぞれに分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後、積層体のそれぞれの個片体用の第2のメタライズ印刷パターンの上面の第1のメタライズパターンより内周部側の部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンを形成し、積層体の上面に第1、第2、第3のメタライズ印刷パターンからなるメタライズ印刷パターンを形成する工程と、積層体を焼成して集合体基板とした後、集合体基板のそれぞれの個片体用のセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体の上面の第1、第2、第3のメタライズパターンからなるメタライズパターンの上面にNiめっき被膜を設け、Niめっき被膜との間にろう材を介して金属枠体をろう付け接合する工程を有するので、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンを押し込み、更にその上から第2のメタライズ印刷パターンを押し込むことで、第1のメタライズ印刷パターンがセラミックグリーンシート内に深く押し込まれ、セラミック枠体の外周部のメタライズ厚みを厚くできると共に、第1のメタライズパターンのアンカー効果を高めることができ、金属製蓋体接合時の熱応力に対抗及び熱応力の吸収ができる電子部品素子収納用パッケージの製造方法を提供することができる。また、第3のメタライズ印刷パターンは、積層体に分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後に形成しているので、押圧溝形成時には、凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンの存在がなく、凸部による積層体の押圧溝の深さバラツキの発生を回避でき、良好な分割性が確保できる分割溝を備える電子部品素子収納用パッケージの製造方法を提供することができる。
【0018】
上記の電子部品素子収納用パッケージの他の製造方法は、セラミック基体と、セラミック枠体、及び金属枠体と、で形成されるキャビティ部に電子部品素子を収容し、金属枠体に金属製蓋体を溶接して電子部品素子を気密に封止するための個片体の電子部品素子収納用パッケージが分割溝を介して複数個配列する大型の集合体基板から分割溝で分割させて個片体に形成する電子部品素子収納用パッケージの製造方法において、集合体基板用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備する工程と、セラミック枠体用の最上層となるセラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の上面外周部となる部位の全周にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機で他のセラミック枠体用のセラミックグリーンシート、及びセラミック基体用のセラミックグリーンシートを重ね合わせて加熱しながら加圧して、セラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第1のメタライズ印刷パターンの上面を平坦面とする工程と、セラミックグリーンシートのそれぞれの個片体用の第1のメタライズ印刷パターンを設けたセラミック枠体の上面となる部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターンを形成した後、上、下金型が平板からなるプレス機でセラミックグリーンシート内に第1のメタライズ印刷パターンも含めて第2のメタライズ印刷パターンを押し込むと共に、第2のメタライズ印刷パターン上面を平坦面とする積層体を形成する工程と、積層体の両主面のそれぞれに分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後、積層体のそれぞれの個片体用の第2のメタライズ印刷パターンの上面の第1のメタライズパターンより内周部側の部位にスクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンを形成し、積層体の上面に第1、第2、第3のメタライズ印刷パターンからなるメタライズ印刷パターンを形成する工程と、積層体を焼成して集合体基板とした後、集合体基板のそれぞれの個片体用のセラミック基体の外周部に一体的に設けるセラミック枠体の上面の第1、第2、第3のメタライズパターンからなるメタライズパターンの上面にNiめっき被膜を設け、Niめっき被膜との間にろう材を介して金属枠体をろう付け接合する工程を有するので、第1のメタライズ印刷パターンをセラミックグリーンシート内に深く押し込み、更にその上から第2のメタライズ印刷パターンを押し込むことで、第1のメタライズ印刷パターンがセラミックグリーンシート内に深く押し込まれ、セラミック枠体の外周部のメタライズ厚みを厚くできると共に、第1のメタライズパターンのアンカー効果を高めることができ、金属製蓋体接合時の熱応力に対抗及び熱応力の吸収ができる電子部品素子収納用パッケージの製造方法を提供することができる。また、第3のメタライズ印刷パターンは、積層体に分割溝用の押圧溝を切り刃で押圧して形成した後に形成しているので、押圧溝形成時には、凸部からなる第3のメタライズ印刷パターンの存在がなく、凸部による積層体の押圧溝の深さバラツキの発生を回避でき、良好な分割性が確保できる分割溝を備える電子部品素子収納用パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る電子部品素子収納用パッケージの断面図、平面図である。
図2】(A)〜(E)はそれぞれ同電子部品素子収納用パッケージの製造方法の断面視する一部説明図である。
図3】(A)〜(D)はそれぞれ同電子部品素子収納用パッケージの製造方法の断面視する一部説明図である。
図4】(A)〜(E)はそれぞれ同電子部品素子収納用パッケージの他の製造方法の断面視する一部説明図である。
図5】(A)〜(D)はそれぞれ同電子部品素子収納用パッケージの他の製造方法の断面視する一部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施するための形態について説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る電子部品素子収納用パッケージ10は、電子部品素子11を載置するための、底板となる1又は複数層からなる四角形平板状のセラミック基体12を備えている。また、電子部品素子収納用パッケージ10は、電子部品素子11を囲繞するための、セラミック基体12の外周部上面に一体的に設ける1又は複数層からなる四角形額縁状のセラミック枠体13、及びこのセラミック枠体13の上面に設けられるメタライズパターン14にろう材15でろう付け接合して設ける四角形額縁状の金属枠体16を備えている。そして、電子部品素子収納用パッケージ10は、セラミック基体12の上面を底部とし、セラミック枠体13及び金属枠体16の内周壁面で形成されるキャビティ部17に電子部品素子11を収容し、金属枠体16に金属製蓋体18をシーム溶接して電子部品素子11を気密に封止するために用いられている。
【0021】
なお、この電子部品素子収納用パッケージ10は、セラミック基体12や、セラミック枠体13のセラミック基材に、アルミナ(Al)や、窒化アルミニウム(AlN)等があり、特に材料が限定されるものではない。また、電子部品素子収納用パッケージ10は、メタライズパターン14に、通常、セラミック基材と同時焼成が可能なタングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属を用いている。更に、電子部品素子収納用パッケージ10は、金属枠体16や、金属製蓋体18に、セラミック基材と熱膨張係数が近似するKV(Fe−Ni−Co系合金、商品名「Kover(コバール)」)や、42アロイ(Fe−Ni系合金)等を用いている。更には、電子部品素子収納用パッケージ10は、ろう付け接合のためのろう材に、AgCuろうを用いている。
【0022】
この電子部品素子収納用パッケージ10には、セラミック基体12に、図示しないが、下面に外部接続端子パッドや、上面に電子部品素子接続用パッドや、これらを電気的に導通状態とするための導体配線パターンが設けられている。そして、電子部品素子接続用パッドには、電子部品素子11、例えば、圧電振動片がセラミック枠体13、及び金属枠体16の内周壁面で囲繞されるようにして導電性樹脂接着剤等で接合されるようになっている。また、電子部品素子収納用パッケージ10には、セラミック基体12と、セラミック枠体13の接合体の外周角部に切り欠き部19が設けられている。
【0023】
上記の電子部品素子収納用パッケージ10は、セラミック枠体13の上面に設けられるメタライズパターン14がセラミック枠体13の上面外周部の全周に、セラミック枠体13内に押し込まれて設けられる上面を平坦面とする第1のメタライズパターン14aを備えている。メタライズパターン14は、スクリーン印刷機を用いて、メタライスペーストで所望するパターンの印刷を行って形成しているが、スクリーン印刷した断面視するパターン形状は、通常、境界部のメタライズ厚みが中央部に比べて薄くなっている。第1のメタライズパターン14aは、幅寸法を小さくして、第1のメタライズパターン14aの上面にスクリーン印刷で設ける後述する第2のメタライズパターン14bの境界部のメタライズ厚みを補なって、更に境界部のメタライズ厚みを厚くできるように設けられている。この第1のメタライズパターン14aは、特に、その幅寸法を限定するものではないが、外縁側の境界部が後述する第2のメタライズパターン14bの外縁側の境界部とが略一致する部位になるように、セラミック枠体13の外側外周部の上面を取り巻くように設けられている。そして、第1のメタライズパターン14aは、メタライスペーストで所望するパターンを印刷し、乾燥させた後、押圧してセラミック枠体13内に押し込まれるようにして設けられている。
【0024】
なお、第1のメタライズパターン14aは、特に、そのメタライズ厚みを限定するものではないが、通常、8〜40μm、好ましくは、10〜30μmとするのがよい。第1のメタライズパターン14aは、メタライズ厚みが8μmを下まわる場合には、セラミック枠体13に強固に接合するアンカー効果が小さく、セラミック枠体13の外周部のメタライズパターン14の厚みが薄くなって、金属枠体16に金属製蓋体18をシーム溶接接合するときに、アンカー効果がなく熱応力に対抗できないと共に、外周部のメタライズパターン14で熱応力が吸収できなく、メタライズパターン14のセラミック枠体13からの剥離が発生するようになる。一方、第1のメタライズパターン14aは、メタライズ厚みが40μmを超える場合には、この厚みをスクリーン印刷で確保するのに複数回の重ね合わせ印刷が必要となり、パターン精度が低下すると共に、電子部品素子収納用パッケージ10のコストアップとなっている。
【0025】
上記の電子部品素子収納用パッケージ10は、セラミック枠体13の上面に設けられるメタライズパターン14がセラミック枠体13及び第1のメタライズパターン14aの上面にセラミック枠体13内に第1のメタライズパターン14aも含めて押し込まれて設けられる上面全面を平坦面とする第2のメタライズパターン14bを備えている。第2のメタライズパターン14bは、既にセラミック枠体13に押し込まれた第1のメタライズパターン14aの上面から押し込まれて形成されているので、第1のメタライズパターン14aが第2のメタライズパターン14bに押されて更にセラミック枠体13押し込まれたようになっている。第2のメタライズパターン14bの外縁側の境界部のメタライズ厚みは、第1のメタライズパターン14aの厚みも含めて厚くなっており、金属枠体16に金属製蓋体18をシーム溶接接合するときに、アンカー効果の作用が十分に発揮でき熱応力に対抗できるようになると共に、外周部のメタライズパターン14で熱応力を吸収でき、メタライズパターン14のセラミック枠体13からの剥離の発生を防止することができる。なお、この第2のメタライズパターン14bは、特に、そのメタライズ厚みを限定するものではないが、上記の第1のメタライズパターン14aと同様なメタライズ厚みで構成されている。
【0026】
上記の電子部品素子収納用パッケージ10は、セラミック枠体13の上面に設けられるメタライズパターン14が全面を平坦面とする第2のメタライズパターン14bの上面に、第1のメタライズパターン14aが設けられている位置より内周部側の部位に、上方に部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズパターン14cを備えている。第3のメタライズパターン14cは、上面全面を平坦面とする第2のメタライズパターン14bの上に部分的に盛り上がるように形成されているので、金属枠体16が第3のメタライズパターン14cの凸部の頂部に接しながら、第2のメタライズパターン14bとの間にろう材15のろう材溜まりを形成するようにしてろう付け接合させることで、金属枠体16をセラミック枠体13のメタライズパターン14に強固に接合させることができる。なお、この第3のメタライズパターン14cは、特に、そのメタライズ厚みを限定するものではないが、上記の第1、第2のメタライズパターン14a、14bと同様なメタライズ厚みで構成されている。
【0027】
次いで、図2(A)〜(E)、図3(A)〜(D)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法を説明する。この電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、個片体の電子部品素子収納用パッケージ10が分割溝21(図3(C)参照)を介して複数個配列する大型の集合体基板20(図3(C)参照)から分割溝21で分割させて個片体に形成されるようになっている。この電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法で作製される電子部品素子収納用パッケージ10は、電子部品素子11を載置するための底板となるセラミック基体12と、電子部品素子11を囲繞するためのセラミック基体12の外周部に一体的に設けるセラミック枠体13、及びこのセラミック枠体13の上面のメタライズパターン14にろう材15を介して加熱し、ろう付け接合して設ける金属枠体16と、で形成されるキャビティ部17に電子部品素子11を収容し、金属枠体16に金属製蓋体18をシーム溶接して電子部品素子11を気密に封止するために用いられている。
【0028】
図2(A)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、個片体の電子部品素子収納用パッケージ10が複数個配列する集合体基板20として形成するためのそれぞれ所望の厚みからなる複数枚のセラミックグリーンシート22を準備する工程を有している。このセラミックグリーンシート22は、セラミック基材を、特に、限定するものではないが、アルミナや、窒化アルミニウム等を用いることができる。セラミックグリーンシート22は、例えば、セラミック基材にアルミナを用いる場合には、先ず、酸化アルミニウム粉末にマグネシア、シリカ、カルシア等の焼結助剤を適当量加えた粉末に、ジオクチフタレート等の可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダー、及びトルエン、キシレン、アルコール類等の溶剤を加え、十分に混練しながら脱泡し、粘度2000〜40000cpsのスラリーを作製し、ドクターブレード法等によって所望の厚みのシート状にした後、乾燥させて形成している。そして、更に、セラミックグリーンシート22は、集合体基板20を形成するための所望の大きさの矩形状に切断して使用されるようになっている。
【0029】
次いで、図2(B)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、セラミック枠体13の上面のメタライズパターン14用のメタライズ印刷パターン23(図3(B)参照)を形成するために、1又は複数枚からなるセラミック枠体13用の最上層となるセラミックグリーンシート22aを用いている。そして、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、このセラミックグリーンシート22aに、それぞれの個片体用の上面外周部となる部位を取り巻くように全周にわたって、スクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターン23aを形成している。なお、このメタライズペーストには、セラミック基材にアルミナや、窒化アルミニウム等を用いる場合において、セラミック基材と還元性雰囲気中の高温で同時焼成が可能なタングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属を用いている。
【0030】
更に、図2(C)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、上記の第1のメタライズ印刷パターン23aがスクリーン印刷機で形成され、第1のメタライズ印刷パターン23aが乾燥された後、対向する面が平板の上、下金型からなるプレス機で、セラミックグリーンシート22aを加熱しながら加圧して、セラミックグリーンシート22a内に第1のメタライズ印刷パターン23aを押し込むと共に、第1のメタライズ印刷パターン23aの上面を平坦面とする工程を有している。通常、セラミックグリーンシート22には、可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダーが含まれているので、乾燥されて形状が形成された第1のメタライズ印刷パターン23aを、加熱して軟化したセラミックグリーンシート22a内に容易に押し込むことができると共に、上、下金型が平板からなるので、第1のメタライズ印刷パターン23aの上面を容易に平坦面にすることができるようになっている。
【0031】
次いで、図2(D)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、セラミックグリーンシート22aのそれぞれの個片体用の第1のメタライズ印刷パターン23aを設けたセラミック枠体13の上面となる部位に、上記と同様なスクリーン印刷機を用いて上記と同じメタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターン23bを形成している。この第2のメタライズ印刷パターン23bは、外周縁側端部が第1のメタライズ印刷パターン23aの外周縁側端部と略一致して重なるように設けられている。
【0032】
更に、図2(E)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、上記の第2のメタライズ印刷パターン23bがスクリーン印刷機で形成され、第2のメタライズ印刷パターン23bが乾燥された後、対向する面が平板の上、下金型からなる上記と同様のプレス機で、他のセラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22b、及びセラミック基体12用のセラミックグリーンシート22cを重ね合わせて加熱しながら加圧して、セラミック枠体13用の最上層となるセラミックグリーンシート22a内に第1のメタライズ印刷パターン23aも含めて第2のメタライズ印刷パターン23bを押し込むと共に、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面を平坦面とする積層体24を形成する工程を有している。通常、セラミックグリーンシート22には、可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダーが含まれているので、乾燥されて形状が形成された第1のメタライズ印刷パターン23aを乾燥されて形状が形成された第2のメタライズ印刷パターン23bで押圧しながら第1、第2のメタライズ印刷パターン23a、23bを、加熱して軟化したセラミック枠体13用の最上層となるセラミックグリーンシート22a内に第1、第2のメタライズ印刷パターン23a、23bの形状を維持させた状態で容易に押し込むことができると共に、上、下金型が平板からなるので、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面を容易に平坦面にする積層体24を形成できるようになっている。
【0033】
なお、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、セラミックグリーンシート22aを含め他のセラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22bに、キャビティ部17用となる打ち抜き貫通孔25の形成が必要である。電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、この打ち抜き貫通孔25を、第1のメタライズ印刷パターン23a及び第2のメタライズ印刷パターン23bを形成する前に予め打ち抜きプレスや、パンチングマシーン等を用いて形成しておいてよい。あるいは、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、第1のメタライズ印刷パターン23a及び第2のメタライズ印刷パターン23bを形成した後に打ち抜きプレスや、パンチングマシーン等を用いて形成してもよい。また、図示しないが、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、積層体24が形成される前のそれぞれのセラミックグリーンシート22a、22b、22cに上、下層の導体配線の電気的導通を形成するためのビア導体形成用の貫通孔や、切り欠き部19を形成するための貫通孔等を予め打ち抜きプレスや、パンチングマシーン等を用いて形成し、それぞれのセラミックグリーンシート22a、22b、22cにビア導体を形成したり、セラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22bを除く、それぞれのセラミックグリーンシート22b、22cに導体配線用のメタライズ印刷パターンを形成している。更に、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、セラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22a、22bに、セラミックグリーンシート22bが存在しない場合もある。そして、セラミックグリーンシート22bが存在する場合には、セラミックグリーンシート22bは、1又は複数枚で構成されている。また、セラミック基体12用のセラミックグリーンシート22cは、1又は複数枚で構成されている。
【0034】
次いで、図3(A)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面を平坦面にする積層体24の両主面のそれぞれに、分割溝21用の押圧溝26を切り刃で押圧してV字溝状に形成している。この押圧溝26は、平板からなる上、下金型で両主面が平坦面となった積層体24に形成されるので、深さバラツキの少ない溝深さにすることができる。
【0035】
そして、図3(B)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、積層体24に押圧溝26を形成した後、積層体24のそれぞれの個片体用の第2のメタライズ印刷パターン23bの上面にスクリーン印刷機を用いて、メタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターン23cを形成し、積層体24の上面に第1、第2、第3のメタライズ印刷パターン23a、23b、23cからなるメタライズ印刷パターン23を形成する工程を有している。第3のメタライズ印刷パターン23cは、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面にあって、第1のメタライズ印刷パターン23aの位置より内周部側の部位に、第1のメタライズ印刷パターン23aや、第2のメタライズ印刷パターン23bを形成したときと同様のスクリーン印刷機を用いて、第1のメタライズ印刷パターン23aや、第2のメタライズ印刷パターン23bの場合と同じメタライズペーストで形成され、上面が平坦面の第2のメタライズ印刷パターン23bから上方に突出させるように設けられている。また、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法で形成される第3のメタライズ印刷パターン23cは、特に、その形状を限定するものではなく、平面視して、連続あるいは断続する直線状や、蛇行状であってよい。
【0036】
次いで、図3(C)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、積層体24のセラミックグリーンシート22を構成するセラミック基材と、メタライズペーストを構成する高融点金属を還元性雰囲気中の高温で同時焼成して、分割溝21を備えた集合体基板20を形成している。なお、集合体基板20は、積層体24が焼成されることで、約27%ぐらい収縮されるようになっている。
【0037】
そして、図3(D)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、集合体基板20のそれぞれ個片体の電子部品素子収納用パッケージ10用のセラミック基体12外周部に一体的に設けるセラミック枠体13上面の第1、第2、第3のメタライズパターン14a、14b、14cからなるメタライズパターン14上面にNiや、NiCoからなるNiめっき被膜を設けている。更に、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、集合体基板20のそれぞれ個片体の電子部品素子収納用パッケージ10用のセラミック枠体13上面のメタライズパターン14上面に形成されたNiめっき被膜との間にAgCuろう等のろう材15を介して金属枠体16を載置し、加熱して金属枠体16をろう付け接合する工程を有している。なお、それぞれの電子部品素子収納用パッケージ10に電子部品素子11を実装する場合には、集合体基板20状態の電子部品素子収納用パッケージ10を分割溝21で分割して個々の電子部品素子収納用パッケージ10にした後に、電子部品素子11を実装している。あるいは、それぞれの電子部品素子収納用パッケージ10に電子部品素子11を実装する場合には、集合体基板20状態のそれぞれの電子部品素子収納用パッケージ10に電子部品素子11を実装した後に、分割溝21で分割する場合もある。
【0038】
次いで、図4(A)〜(E)、図5(A)〜(D)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法を説明する。この電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、個片体の電子部品素子収納用パッケージ10が分割溝21(図5(C)参照)を介して複数個配列する大型の集合体基板20(図5(C)参照)から分割溝21で分割させて個片体に形成されるようになっている。この電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法で作製される電子部品素子収納用パッケージ10は、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法で作製される電子部品素子収納用パッケージ10と同様に、電子部品素子11を載置するための底板となるセラミック基体12と、電子部品素子11を囲繞するためのセラミック基体12の外周部に一体的に設けるセラミック枠体13、及びこのセラミック枠体13の上面のメタライズパターン14にろう材15を介して加熱し、ろう付け接合して設ける金属枠体16と、で形成されるキャビティ部17に電子部品素子11を収容し、金属枠体16に金属製蓋体18をシーム溶接して電子部品素子11を気密に封止するために用いられている。
【0039】
図4(A)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、個片体の電子部品素子収納用パッケージ10が複数個配列するを集合体基板20として形成するためのそれぞれ所望の厚みからなる複数枚のセラミックグリーンシート22を準備する工程を有している。そして、このセラミックグリーンシート22には、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法で用いられるセラミックグリーンシート22と同様なものが用いられている。
【0040】
次いで、図4(B)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、セラミック枠体13の上面のメタライズパターン14用のメタライズ印刷パターン23(図5(B)参照)を形成するために、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、1又は複数枚からなるセラミック枠体13用の最上層となるセラミックグリーンシート22aを用いている。そして、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、このセラミックグリーンシート22aに、それぞれの個片体用の上面外周部となる部位を取り巻くように全周にわたって、スクリーン印刷機を用いてメタライズペーストで第1のメタライズ印刷パターン23aを形成している。なお、このメタライズペーストには、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、セラミック基材にアルミナや、窒化アルミニウム等を用いる場合において、セラミック基材と還元性雰囲気中の高温で同時焼成が可能なタングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属を用いている。
【0041】
更に、図4(C)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、上記の第1のメタライズ印刷パターン23aがセラミックグリーンシート22aにスクリーン印刷機で形成され、第1のメタライズ印刷パターン23aが乾燥された後、セラミックグリーンシート22a、他のセラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22b、及びセラミック基体12用のセラミックグリーンシート22cを所定の順番に位置精度よく重ね合わせている。そして、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、対向する面が平板の上、下金型からなるプレス機で、重ね合わせたセラミックグリーンシート22a、セラミックグリーンシート22b、及びセラミックグリーンシート22cを加熱しながら加圧して、重ね合わせ体27を形成し、この重ね合わせ体27内に第1のメタライズ印刷パターン23aを押し込むと共に、第1のメタライズ印刷パターン23aの上面を平坦面とする工程を有している。通常、セラミックグリーンシート22には、可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダーが含まれているので、乾燥されて形状が形成された第1のメタライズ印刷パターン23aを、加熱して軟化した重ね合わせ体27内に容易に押し込むことができると共に、上、下金型が平板からなるので、第1のメタライズ印刷パターン23aの上面を容易に平坦面にすることができるようになっている。
【0042】
なお、電子部品素子収納用パッケージ10には、セラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22が、最上層のセラミックグリーンシート22aのみで構成されている場合があり、セラミックグリーンシート22bが存在しないこともある。そして、セラミックグリーンシート22bが存在する場合には、セラミックグリーンシート22bは、1又は複数枚で構成されている。また、セラミック基体12用のセラミックグリーンシート22cは、1又は複数枚で構成されている。
【0043】
電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、セラミックグリーンシート22aを含め他のセラミック枠体13用のセラミックグリーンシート22bに、キャビティ部17用となる打ち抜き貫通孔25の形成が必要である。電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、この打ち抜き貫通孔25を、第1のメタライズ印刷パターン23aを形成する前に予め打ち抜きプレスや、パンチングマシーン等を用いて形成しておいてもよく、あるいは、第1のメタライズ印刷パターン23aを形成した後に打ち抜きプレスや、パンチングマシーン等を用いて形成してもよい。また、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、重ね合わせ体27が形成される前のそれぞれのセラミックグリーンシート22a、22b,22cに上、下層の導体配線の電気的導通を形成するためのビア導体形成用の貫通孔や、切り欠き部19を形成するための貫通孔等を打ち抜きプレスや、パンチングマシーン等を用いて形成し、それぞれのセラミックグリーンシート22a、22b,22cにビア導体を形成したり、セラミック枠体13用の最上層となるセラミックグリーンシート22aを除く、それぞれのセラミックグリーンシート22b、22cに導体配線用のメタライズ印刷パターンを形成している。
【0044】
次いで、図4(D)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、重ね合わせ体27のセラミックグリーンシート22aのそれぞれの個片体用の第1のメタライズ印刷パターン23aを設けたセラミック枠体13の上面となる部位に、上記と同様なスクリーン印刷機を用いて上記と同じメタライズペーストで第2のメタライズ印刷パターン23bを形成している。この第2のメタライズ印刷パターン23bは、外周縁側端部が第1のメタライズ印刷パターン23aの外周縁側端部と略一致して重なるように設けられている。
【0045】
更に、図4(E)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、上記の第2のメタライズ印刷パターン23bがスクリーン印刷機で形成され、第2のメタライズ印刷パターン23bが乾燥された後、対向する面が平板の上、下金型からなる上記と同様のプレス機で、重ね合わせ体27内に第1のメタライズ印刷パターン23aも含めて第2のメタライズ印刷パターン23bを押し込むと共に、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面を平坦面とする積層体24を形成する工程を有している。通常、セラミックグリーンシート22には、可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダーが含まれているので、乾燥されて形状が形成された第1のメタライズ印刷パターン23aを乾燥されて形状が形成された第2のメタライズ印刷パターン23bで押圧しながら第1、第2のメタライズ印刷パターン23a、22bを、加熱して軟化したセラミックグリーンシート22a、セラミックグリーンシート22b、及びセラミックグリーンシート22cからなる重ね合わせ体27内に第1、第2のメタライズ印刷パターン23a、22bの形状を維持させた状態で容易に押し込むことができると共に、上、下金型が平板からなるので、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面を容易に平坦面にする積層体24を形成できるようになっている。
【0046】
次いで、図5(A)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、第2のメタライズ印刷パターン23bの上面を平坦面にする積層体24の両主面のそれぞれに、分割溝21用の押圧溝26を切り刃で押圧してV字溝状に形成している。この押圧溝26は、平板からなる上、下金型で両主面が平坦面となった積層体24に形成されるので、深さバラツキの少ない溝深さにすることができる。
【0047】
そして、図5(B)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、積層体24に押圧溝26を形成した後、積層体24のそれぞれの個片体用の第2のメタライズ印刷パターン23b上面にスクリーン印刷機を用いて、メタライズペーストで部分的に盛り上がる凸部からなる第3のメタライズ印刷パターン23cを形成し、積層体24の上面に第1、第2、第3のメタライズ印刷パターン23a、23b、23cからなるメタライズ印刷パターン23を形成する工程を有している。電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、第3のメタライズ印刷パターン23cが第2のメタライズ印刷パターン23bの上面にあって、第1のメタライズ印刷パターン23aの位置より内周部側の部位に、第1のメタライズ印刷パターン23aや、第2のメタライズ印刷パターン23bを形成したときと同様のスクリーン印刷機を用いて、第1のメタライズ印刷パターン23aや、第2のメタライズ印刷パターン23bの場合と同じメタライズペーストで形成され、上面が平坦面の第2のメタライズ印刷パターン23bから上方に突出させるように設けられている。また、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法で形成される第3のメタライズ印刷パターン23cは、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法で形成される第3のメタライズ印刷パターン23cと同様に、特に、その形状を限定するものではなく、平面視して、連続あるいは断続する直線状や、蛇行状であってよい。
【0048】
次いで、図5(C)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、積層体24のセラミックグリーンシート22を構成するセラミック基材と、メタライズペーストを構成する高融点金属を還元性雰囲気中の高温で同時焼成して、分割溝21を備えた集合体基板20を形成している。なお、集合体基板20は、積層体24が焼成されることで、約27%ぐらい収縮されるようになっている。
【0049】
そして、図5(D)に示すように、電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、集合体基板20のそれぞれ個片体の電子部品素子収納用パッケージ10用のセラミック基体12外周部に一体的に設けるセラミック枠体13上面の第1、第2、第3のメタライズパターン14a、14b、14cからなるメタライズパターン14上面にNiや、NiCoからなるNiめっき被膜を設けている。更に、電子部品素子収納用パッケージ10の他の製造方法では、前記の電子部品素子収納用パッケージ10の製造方法の場合と同様に、集合体基板20のそれぞれ個片体の電子部品素子収納用パッケージ10用のセラミック枠体13上面のメタライズパターン14上面に形成されたNiめっき被膜との間にAgCuろう等のろう材15を介して金属枠体16を載置し、加熱して金属枠体16をろう付け接合する工程を有している。なお、それぞれの電子部品素子収納用パッケージ10に電子部品素子11を実装する場合には、集合体基板20状態の電子部品素子収納用パッケージ10を分割溝21で分割して個々の電子部品素子収納用パッケージ10にした後に、電子部品素子11を実装している。あるいは、集合体基板20状態のそれぞれの電子部品素子収納用パッケージ10に電子部品素子11を実装した後に、分割溝21で分割する場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の電子部品素子収納用パッケージには、半導体素子や、圧電振動片等の電子部品素子を実装させて、小型で、高信頼性が要求される、例えば、携帯電話や、ノートブック型のパソコン等の電子装置に組み込まれて用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
10:電子部品素子用パッケージ、11:電子部品素子、12:セラミック基体、13:セラミック枠体、14:メタライズパターン、14a:第1のメタライズパターン、14b:第2のメタライズパターン、14c:第3のメタライズパターン、15:ろう材、16:金属枠体、17:キャビティ部、18:金属製蓋体、19:切り欠き部、20:集合体基板、21:分割溝、22、22a、22b、22c:セラミックグリーンシート、23:メタライズ印刷パターン、23a:第1のメタライズ印刷パターン、23b:第2のメタライズ印刷パターン、23c:第3のメタライズ印刷パターン、24:積層体、25:打ち抜き貫通孔、26:押圧溝、27:重ね合わせ体
図1
図2
図3
図4
図5