【実施例】
【0030】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0031】
(実施例1)
予めカーボンダイスに0.5mm厚のTi箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後6時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1600°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0032】
このHP後、1750°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.0%であり、平均粒径は15.1μm、炭素の含有量は5wtppm、酸素含有量は40wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0033】
【表1】
【0034】
(実施例2)
予めカーボンダイスに0.5mm厚のTi箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後4時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1570°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0035】
このHP後、1850°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.0%であり、平均粒径は32.1μm、炭素の含有量は3wtppm、酸素含有量は60wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0036】
(実施例3)
予めカーボンダイスに0.5mm厚のTi箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後4時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1570°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0037】
このHP後、1570°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.0%であり、平均粒径は39.7μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は50wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0038】
(実施例4)
予めカーボンダイスに0.5mm厚のTi箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1570°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0039】
このHP後、1600°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.2%であり、平均粒径は26.9μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は30wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0040】
(実施例5)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のTa箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1570°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0041】
このHP後、1570°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.0%であり、平均粒径は27.9μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は40wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0042】
(実施例6)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のTa箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1570°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0043】
このHP後、1850°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.3%であり、平均粒径は212.3μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は60wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0044】
(実施例7)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のTa箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1800°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0045】
このHP後、1570°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.0%であり、平均粒径は30.8μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は10wtppm未満であった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0046】
(実施例8)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のTa箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1800°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0047】
このHP後、1850°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.1%であり、平均粒径は173.0μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は30wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0048】
(実施例9)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のZr箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1650°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0049】
このHP後、1700°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.2%であり、平均粒径は29.3μm、炭素の含有量は1wtppm未満、酸素含有量は40wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果は、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
【0050】
(比較例1)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のカーボンシートを配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記カーボンシートで包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1800°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0051】
このHP後、1850°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.2%であり、平均粒径は22.5μm、炭素の含有量は30wtppm、酸素含有量は20wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果、炭素含有量が高く、本願発明の条件を満たしていなかった。
【0052】
(比較例2)
予めカーボンダイスに0.5mm厚のTi箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1400°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0053】
このHP後、1570°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は99.0%であり、平均粒径は69.7μm、炭素の含有量は10wtppm、酸素含有量は610wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果、炭素含有量が高く、本願発明の条件を満たしていなかった。
【0054】
(比較例3)
予めカーボンダイスに0.5mm厚のTi箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1500°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0055】
このHP後、1570°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は94.0%であり、平均粒径は12.1μm、炭素の含有量は5wtppm、酸素含有量は220wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果、相対密度が低く、本願発明の条件を満たしていなかった。
【0056】
(比較例4)
予めカーボンダイスに0.2mm厚のMo箔を配置し、このダイスの中に、純度99.999%、平均粒径1.0μmのタングステン粉末を充填し、これを前記金属箔で包んだ。
次に、上パンチと下パンチで密閉した後、ダイスに210kgf/cm
2の圧力を付加し、外部加熱により1200°Cで加熱後2時間保持し、ホットプレスした。最高温度は1570°C×2時間である。ホットプレスの形状は、φ(直径)456mm×10mmt(厚)である。
【0057】
このHP後、1600°Cで5時間、HIP処理を実施した。得られたタングステン焼結体の相対密度は91.2%であり、平均粒径は19.3μm、炭素の含有量は5wtppm、酸素含有量は240wtppmであった。この結果を、表1に示す。これらの結果、相対密度が低く、本願発明の条件を満たしていなかった。
【0058】
実施例4及び比較例1で作製したタングステン焼結体ターゲットを用いて、シリコン基板上にスパッタリングによりタングステン膜を形成し、膜の比抵抗を測定した。FIB装置で、膜厚が約1000Åとなるように成膜した膜の膜厚を測定しデポレートを計算した。又、別途、膜厚が5000Åの膜のシート抵抗を測定した。
これらの値より膜の比抵抗を求めた。この結果、実施例4の比抵抗は12.02μΩ・cmとなり、比較例1の12.38μΩ・cmと比べて、3%低減したことを確認した。なお、タングステン膜の比抵抗を下げることは非常に難しいのであるが、その意味で3%の低下は、大きな効果があると言える。