(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944669
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】センサ閾値決定回路
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
G01D5/12 N
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-7869(P2012-7869)
(22)【出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-148411(P2013-148411A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】坂元 誠志
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−26959(JP,A)
【文献】
特開2008−249452(JP,A)
【文献】
米国特許第6456063(US,B1)
【文献】
特開2001−108480(JP,A)
【文献】
米国特許第6208176(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 − 5/62
G01D 3/028− 3/036
H03K 3/00− 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを駆動するためのセンサ駆動電流を検出するセンサ駆動電流検出手段と、
前記センサ駆動電流検出手段から検出された前記センサ駆動電流を所定倍したバイアス電流を出力するセンサバイアス電流出力手段と、
前記センサの出力インピーダンスを所定のインピーダンスに変換するインピーダンス変換手段と、
前記センサから出力されたセンサ出力電圧を比較して、前記センサ出力電圧をディジタル値として出力する電圧比較手段と、
を備え、
変換後の出力インピーダンスに対して、前記バイアス電流を流すことによって、前記ディジタル値として出力するための閾値電圧を決定するセンサ閾値決定回路であって、
前記出力インピーダンス変換手段は、
前記センサ出力電圧を所定のゲインで増幅するための出力電圧増幅回路と、
前記出力電圧増幅回路によって増幅されたセンサ出力電圧を基準にして、前記閾値電圧を決定するためのインピーダンス変換用抵抗素子と、
を有し、
前記インピーダンス変換用抵抗素子は、拡散抵抗を含むことを特徴とするセンサ閾値決定回路。
【請求項2】
センサを駆動するためのセンサ駆動電流を検出するセンサ駆動電流検出手段と、
前記センサ駆動電流検出手段から検出された前記センサ駆動電流を所定倍したバイアス電流を出力するセンサバイアス電流出力手段と、
前記センサの出力インピーダンスを所定のインピーダンスに変換するインピーダンス変換手段と、
前記センサから出力されたセンサ出力電圧を比較して、前記センサ出力電圧をディジタル値として出力する電圧比較手段と、
を備え、
変換後の出力インピーダンスに対して、前記バイアス電流を流すことによって、前記ディジタル値として出力するための閾値電圧を決定するセンサ閾値決定回路であって、
前記センサ駆動電流検出手段は、前記センサ駆動電流を検出するための駆動電流検出用抵抗素子を有し、
前記駆動電流検出用抵抗素子は、拡散抵抗を含むことを特徴とするセンサ閾値決定回路。
【請求項3】
前記インピーダンス変換用抵抗素子および前記駆動電流検出用抵抗素子は、
POLY抵抗と前記拡散抵抗とから構成されることを特徴とする請求項2記載のセンサ閾値決定回路。
【請求項4】
前記センサは、2つの入力端子と、2つの出力端子を有する4端子型のセンサであり、
前記インピーダンス変換手段は、前記4端子型のセンサの出力端子に接続され、前記4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスの少なくとも一方を所定のインピーダンスに変換し、
前記電圧比較手段の比較結果に基づいて、前記インピーダンス変換手段から出力された2つの出力インピーダンスのうちのいずれか一方に対して前記バイアス電流を流すように、当該バイアス電流の流れを切り替えるバイアス電流切り替え手段を備えることを特徴とする請求項3記載のセンサ閾値決定回路。
【請求項5】
前記インピーダンス変換手段は、前記4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスの両方を所定のインピーダンスに変換することを特徴とする請求項4記載のセンサ閾値決定回路。
【請求項6】
前記バイアス電流切り替え手段は、前記電圧比較手段の比較結果に基づいて、変換後の2つの出力インピーダンスのうちのいずれか一方に対して前記バイアス電流を流すように、前記バイアス電流の流れを切り替えることを特徴とする請求項5記載のセンサ閾値決定回路。
【請求項7】
前記インピーダンス変換手段は、前記4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスのいずれか一方を所定のインピーダンスに変換することを特徴とする請求項4記載のセンサ閾値決定回路。
【請求項8】
前記センサバイアス電流出力手段は、前記センサ駆動電流を所定倍した前記バイアス電流を出力するための駆動電流増幅回路と、バイアス電流出力用抵抗素子と、スイッチング素子とを有し、
前記センサ駆動電流検出手段と、前記センサバイアス電流出力手段とから電流ミラー回路を構成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセンサ閾値決定回路。
【請求項9】
前記センサは、ホール素子、磁気抵抗素子、歪みセンサ、圧力センサ、温度センサ、又は加速度センサのいずれかのセンサであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のセンサ閾値決定回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ閾値決定回路に関し、特にセンサの外部入力に対して、センサの抵抗に依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル値を出力するセンサ閾値決定回路に関する。
【背景技術】
【0002】
各種センサの出力をディジタル化するための必要な閾値を決めるセンサ閾値決定回路がある。まず、
図7を参照して、従来のセンサ閾値決定回路100の回路構成を説明する。
図7に示すセンサ閾値決定回路100は、4端子型センサ120と、センサ駆動電流検出回路130と、センサバイアス電流出力回路140と、バイアス電流切り替え回路150と、電圧比較器160とを有して構成される。4端子型センサ120の出力端子にセンサバイアス電流出力回路140で発生したバイアス電流IBを流す。これにより、4端子型センサ120の出力インピーダンスであるセンサ出力インピーダンスROUTとバイアス電流IBとの積であるROUT×IBの電圧ドロップが得られる。センサ閾値決定回路100は、この電圧ドロップを利用して、4端子型センサ120に入力されるセンサ外部入力BINに対して、ヒステリシス特性を持たせたディジタル出力を得るための回路である。
【0003】
4端子型センサ120は、2つのセンサ入力端子と、2つのセンサ出力端子VP,VNを有する4端子型のセンサ、又は当該4端子型のセンサと等価な回路構成のセンサであって、ホール素子、磁気抵抗素子、歪みセンサ、圧力センサ、温度センサ、又は加速度センサ等である。4端子型センサ120は、センサ抵抗R1〜R4を有し、抵抗R1,R2を流れる電流I1と、センサ抵抗R3、R4を流れる電流I2との2つの出力の変位に基づいて、例えば永久磁石やコイル等から発生する磁束密度の絶対値を検出したり、磁気抵抗や歪み等を検出したりする。
【0004】
センサ駆動電流検出回路130は、センサ駆動電圧VCCが印加される駆動電流検出用抵抗RSを有し、4端子型センサ120を駆動するためのセンサ駆動電流Iを検出する。
センサバイアス電流出力回路140は、センサ駆動電流Iを増幅するための演算増幅器141、増幅動作を行うためのスイッチング切り替えを行うPMOSトランジスタ142、及びセンサ駆動電圧VCCが印加されたバイアス電流出力用抵抗RBとを有して構成される。
【0005】
駆動電流検出用抵抗RSを用いてセンサ駆動電流Iを検出し、そのセンサ駆動電流Iを駆動電流検出用抵抗RSとバイアス電流出力用抵抗RBと演算増幅器141の組み合わせで決まるK対1の比で増幅した電流を出力する電流ミラー回路が構成され、センサ駆動電流Iの所定(1/K=RS/RB)倍のセンサバイアス電流IBを発生させている。
演算増幅器141のプラス入力端子は、センサ駆動電流検出回路130のセンサ駆動電圧VCCが印加された駆動電流検出用抵抗RSと、4端子型センサ120の入力端子との間に接続される。演算増幅器141のマイナス入力端子は、PMOSトランジスタ142のソースとバイアス電流出力用抵抗RBとの間に接続される。演算増幅器141の出力端子は、PMOSトランジスタ142のゲートに接続される。PMOSトランジスタ142のドレインは、バイアス電流切り替え回路150のスイッチSW1,SW2を介して4端子型センサ120の出力端子に接続される。そして、発生されたバイアス電流IBは、PMOSトランジスタ142のドレインからバイアス電流切り替え回路150に出力される。
【0006】
バイアス電流切り替え回路150は、電圧比較器160の出力状態(「High」レベル又は「Low」レベル)に応じて、センサバイアス電流出力回路140で発生させたセンサ駆動電流Iの1/K倍のバイアス電流IBを吐き出す(正の方向で流す)、又は引き込む(負の方向で流す)ように動作を切り替える。
電圧比較器160は、プラス入力端子がセンサ出力端子VPに接続され、マイナス入力端子がセンサ出力端子VNに接続される。また、出力端子がスイッチSW1のゲートと、インバータ151を介してスイッチSW2のゲートとに接続される。そして、4端子型センサ120から出力される2つの出力電圧を比較することで、4端子型センサ120の出力電圧をディジタル値Doutとして出力する。
【0007】
従来のセンサ閾値決定回路100では、駆動電流検出用抵抗RSを用いてセンサ駆動電流Iを検出し、そのセンサ駆動電流Iを駆動電流検出用抵抗RSとバイアス電流出力用抵抗RBと演算増幅器141の組み合わせで決まるK対1の比で増幅した電流を出力する電流ミラー回路が構成され、センサ駆動電流Iの1/Kのセンサバイアス電流IBを発生させている。
【0008】
ここで、
図8を参照して、バイアス電流IBによりヒステリシスを持たせることができるということを説明する。
図8は、バイアス電流切り替え回路150のスイッチSW2が導通し、スイッチSW1が開放したときのセンサ閾値決定回路100と等価な回路であるセンサ閾値決定回路100´の回路構成を示す回路図ある。
まず、説明しやすくするため、センサ駆動電流Iを検出する駆動電流検出用抵抗RSの抵抗値が、4端子型センサ120のセンサ抵抗R1〜R4の合成抵抗であるセンサ抵抗Rの抵抗値に比べて非常に小さい値であるとして考える。それにより、4端子型センサ120の駆動端子電圧VCC2は、センサ駆動電圧VCCに等しくなる。後で導かれる結果から、センサの出力電圧をディジタル値Doutとして出力するための閾値電圧は、センサ駆動電圧VCCに依存しないことが分かるので、一般的にはセンサ駆動電流Iを検出するための駆動電流検出用抵抗RSの抵抗値は、任意の値であって構わない。
【0009】
また、バイアス電流IBが4端子型センサ120の出力端子に流れ込んでいる場合を考えるが、逆にバイアス電流IBは4端子型センサ120の出力端子から流れ出る方向であっても構わない。スイッチSW1が導通し、スイッチSW2が開放したときの状態は、以下の説明においてセンサ抵抗R1,R2とセンサ抵抗R3、R4とを入れ替え、4端子型センサ120の出力端子の電圧であるセンサ出力端子VPの電圧とセンサ出力端子VNの電圧とを入れ替えて考えれば良い。
【0010】
図8に示すように、電流I1,I2を定めると、次の式(1a)〜(1c)が成り立つ。
I1=(VCC−VP)/R1 ……(1a)
I2=VCC/(R3+R4) ……(1b)
VP/R2=I1+IB ……(1c)
これをVPについて解くと、
VP=(VCC/R1+IB)/(1/R1+1/R2) ……(2)
となる。電圧比較器160は、センサ出力端子VPの電圧=センサ出力端子VNの電圧となるときスイッチング動作するので、次の式(3)が成り立つ。
(VCC/R1+IB)/(1/R1+1/R2)
=R4×VCC/(R3+R4) ……(3)
【0011】
ここで、4端子型センサ120は、外部から印加されるセンサ入力BINに応じて、センサ抵抗R1〜R4がバランスを崩し、R1=R4=R+ΔR、R2=R3=R−ΔR、又はR1=R4=R−ΔR、R2=R3=R+ΔRとなり、センサ出力電圧VH=センサ出力端子VPの電圧−センサ出力端子VNの電圧を発生させると考えることができる。センサ出力電圧VHは、例えば、ホールセンサであれば、センサ外部入力BINによって発生するホール起電力である。これより、R1=R4=R+ΔR、R2=R3=R−ΔRとし、上式(3)に代入すると、
(VCC/(R+ΔR)+IB)/(1/(R+ΔR)+1/(R−ΔR))
=(R+ΔR)×VCC/(R−ΔR+R+ΔR) ……(4)
となる。上式(4)が成り立つΔR/Rを求めると、
ΔR/R=VCC/(R×IB)×(SQRT(1+(R×IB/VCC)
2)−1)
≒VCC/(R×IB)×(1+(R×IB/VCC)
2/2−1)
=R×IB/(2×VCC) ……(5)
となる。4端子型センサ120のセンサ出力電圧VHは、通常数百μVから数十mVの出力範囲である。また、4端子型センサ120の駆動電圧VCCは、1Vから5V程度である。また、R×IBは、大きくても数十mVである。よって、上式(5)のR×IB/VCCの項は、1よりも十分に小さい値である。以上説明したように、4端子型センサ120の電流I1,I2とバイアス電流IBとから、閾値電圧を決めることができる。
【0012】
次に、4端子型センサ120の出力インピーダンスROUTとバイアス電流IBの積(IB×ROUT)の電圧ドロップを利用して、閾値電圧を決める流れについて説明する。4端子型センサ120の出力端末の電圧VPから見た4端子型センサ120の出力インピーダンスROUTは、センサ抵抗R1とセンサ抵抗R2との並列接続により次式(6)で与えられる。
ROUT=R1×R2/(R1+R2) ……(6)
ここで、R1=R+ΔR、R2=R−ΔRとすると、
ROUT=(R+ΔR)×(R−ΔR)/(R+ΔR+R−ΔR)
=(R/2)×(1−(ΔR/R)
2) ……(7)
となる。ΔR/Rは、普通0.1以下と考えて良いので、2次の項を無視すると、
ROUT=R/2 ……(8)
となる。センサ出力インピーダンスROUTとバイアス電流IBの積は、R×IB/2となる。センサ出力電圧VHは、センサ出力端子VNの電圧とセンサ出力端子VPの電圧との差分電圧であるので、次式(9)のようになる。
【0013】
VH=VCC×R4/(R3+R4)−VCC×R2/(R1+R2) ……(9)
前述と同じく、R1=R4=R+ΔR、R2=R3=R−ΔRとすると、
VH=VCC×(R+ΔR)/(R−ΔR+R+ΔR)−VCC×
(R−ΔR)/(R+ΔR+R−ΔR)=VCC×ΔR/R ……(10)
となる。電圧比較器160は、センサ出力端子VPの電圧=センサ出力端子VNの電圧となるときスイッチするので、次の式(11)が成り立つ。
VCC×ΔR/R=R×IB/2 ……(11)
従って、
ΔR/R=R×IB/(2×VCC) ……(12)
となる。上式(5)及び(12)で示されるように、4端子型センサ120の電流I1,I2とバイアス電流IBとから考えた場合であっても、あるいは、センサ出力インピーダンスROUTとバイアス電流IBの積から考えた場合においても同じ結果が得られた。
【0014】
これまでの説明においては、考えやすくするためにセンサの抵抗がR1=R4=R+ΔR、R2=R3=R−ΔRであると仮定したが、センサ抵抗R1〜R4にバランスの崩れが無いままでも一般性を失わない。また、4端子型センサ120が、抵抗値が変化せずに内部に電圧を発生するようなホール素子等であっても、センサ出力インピーダンスROUTとバイアス電流IBとの積により閾値電圧を決めるという考え方を、そのまま適用することできる。
【0015】
ここで、上式(5)及び(12)におけるセンサバイアス電流IBは、センサ電圧VCCとセンサ抵抗Rとによって決まるセンサ駆動電流Iを1/K倍とした電流である。そこで、上式(5)のバイアス電流IBに、VCC/R/Kを代入すると、
ΔR/R=R×VCC/R/K/(2×VCC)
=1/(2×K) ……(13)
のようになる。上記式(13)において、重要なことは、閾値電圧が定数Kにのみ依存し変化するということである。上記の定数Kは、抵抗比あるいはトランジスタのミラー比により与えられるものである。よって、定数Kが決定されれば、閾値電圧はひとつの値に決まり、ばらつきや経時変化が無いことを意味する。
【0016】
また、温度変動による閾値電圧の変化についても着目する。センサ外部入力BINに対し、閾値電圧の温度変動を一定にするためには定数Kにセンサ抵抗Rの温度特性と同等の特性を持たせる必要がある。
電圧比較器160によって比較される電圧は、4端子型センサ120のセンサ出力電圧VHと、上式(11)により得られた閾値電圧(R×IB/2)とである。センサ出力電圧VHはホール起電力であるので、ホール定数をRH、センサ厚みをtとすると、一般的にホール起電力はRH/t×I×BINのように定義される。このホール起電力は、RH/tとセンサ駆動電流Iによって決まることが分かる。つまり、
RH/t×I×BIN=R×IB/2
BIN=R×IB/(2×(RH/t×I)) ……(14)
となる。ここで、バイアス電流IBは、センサ駆動電流Iの1/K倍の電流であるので、
BIN=R×I/K/(2×(RH/t×I))
=R/(2×K×(RH/t)) ……(15)
【0017】
上式(15)からも、センサ外部入力BINは、ホール定数RHやセンサ厚みt、センサ抵抗Rの温度特性による影響を受けることが分かる。ここで、RH/tは、ホール素子を製造するプロセスで温度特性が決まる。このRH/tは温度の変動に対する変動が小さい場合が多いが、一方でセンサ抵抗Rは温度の変動に対する変動が非常に大きい場合が多い。このため、RH/tの温度特性を無視すると、センサ抵抗Rの温度特性を考慮した定数Kを設定することで、温度の変動によらずセンサ外部入力BINを一定にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2001−108480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記のように、センサ外部入力BINがセンサ抵抗Rに依存するということは、センサ抵抗R、バイアス電流出力用抵抗RBの各素子同士でマッチングがとれていないと、センサ外部入力BINの絶対値のばらつきや、温度特性による変動が発生することを意味する。従って、
図7における駆動電流検出用抵抗RSにあっては、温度特性の無いものや、外付けの抵抗を選択し、バイアス電流出力用抵抗RBにあっては、センサ抵抗Rと同一のものを使用する必要があった。
【0020】
しかしながら、この場合、駆動電流を流す方向や素子の配置による制約を受けてしまうという問題があった。また、センサ抵抗Rは、素子の形状や素子を配置場所が予め決まっていることが特に多いため、このような抵抗素子同士のマッチングを考慮したレイアウトに限りがあるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記の課題に鑑み、センサの外部入力に対して、センサの抵抗に依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル値を出力することのできるセンサ閾値決定回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係るセンサ閾値決定回路は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、センサを駆動するためのセンサ駆動電流を検出するセンサ駆動電流検出手段と、前記センサ駆動電流検出手段から検出された前記センサ駆動電流を所定倍したバイアス電流を出力するセンサバイアス電流出力手段と、前記センサの出力インピーダンスを所定のインピーダンスに変換するインピーダンス変換手段と、前記センサから出力されたセンサ出力電圧を比較して、前記センサ出力電圧をディジタル値として出力する電圧比較手段と、を備え、変換後の出力インピーダンスに対して、前記バイアス電流を流すことによって、前記ディジタル値として出力するための閾値電圧を決定するセンサ閾値決定回路であって、前記出力インピーダンス変換手段は、前記センサ出力電圧を所定のゲインで増幅するための出力電圧増幅回路と、前記出力電圧増幅回路によって増幅されたセンサ出力電圧を基準にして、前記閾値電圧を決定するためのインピーダンス変換用抵抗素子と、を有し、前記インピーダンス変換用抵抗素子は、拡散抵抗を含むことを特徴とする。
【0022】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、インピーダンス変換手段がセンサの出力インピーダンスを変換する。そして、変換後の出力インピーダンスに対して、バイアス電流を流すことで、変換後の出力インピーダンスとバイアス電流との積の電圧ドロップを利用して、閾値電圧を決定する。
さらに、上記のインピーダンス変換手段のインピーダンス変換用抵抗素子が、拡散抵抗を含んで構成されている。このため、磁気感度の温度特性に対して、フラットな磁気感度を持たせることができるようになる。
【0023】
これらにより、センサへの外部入力に対して、センサの抵抗に依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル出力を得ることが可能となる。
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、センサを駆動するためのセンサ駆動電流を検出するセンサ駆動電流検出手段と、前記センサ駆動電流検出手段から検出された前記センサ駆動電流を所定倍したバイアス電流を出力するセンサバイアス電流出力手段と、前記センサの出力インピーダンスを所定のインピーダンスに変換するインピーダンス変換手段と、前記センサから出力されたセンサ出力電圧を比較して、前記センサ出力電圧をディジタル値として出力する電圧比較手段と、を備え、変換後の出力インピーダンスに対して、前記バイアス電流を流すことによって、前記ディジタル値として出力するための閾値電圧を決定するセンサ閾値決定回路であって、前記センサ駆動電流検出手段は、前記センサ駆動電流を検出するための駆動電流検出用抵抗素子を有し、前記駆動電流検出用抵抗素子は、拡散抵抗を含むことを特徴とする。
【0024】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、インピーダンス変換手段がセンサの出力インピーダンスを変換する。そして、変換後の出力インピーダンスに対して、バイアス電流を流すことで、変換後の出力インピーダンスとバイアス電流との積の電圧ドロップを利用して、閾値電圧を決定する。
さらに、上記のセンサ駆動電流検出手段の駆動電流検出用抵抗素子が、拡散抵抗を含んで構成されている。このため、磁気感度の温度特性に対して、フラットな磁気感度を持たせることができるようになる。
【0025】
これらにより、センサへの外部入力に対して、センサの抵抗に依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル出力を得ることが可能となる。
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記インピーダンス変換用抵抗素子および前記駆動電流検出用抵抗素子は、POLY抵抗と前記拡散抵抗とから構成されることを特徴とする。
【0026】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、インピーダンス変換用抵抗素子および駆動電流検出用抵抗素子の部分に、例えば、N+POLY抵抗のみならず、拡散抵抗を合わせて用いる。これにより、拡散抵抗によるインピーダンス変換用抵抗素子および駆動電流検出用抵抗素子による温度特性を、N+POLY抵抗のみを用いたときの温度特性よりも大きくすることが可能となる。
【0027】
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記センサは、2つの入力端子と、2つの出力端子を有する4端子型のセンサであり、前記インピーダンス変換手段は、前記4端子型のセンサの出力端子に接続され、前記4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスの少なくとも一方を所定のインピーダンスに変換し、前記電圧比較手段の比較結果に基づいて、前記インピーダンス変換手段から出力された2つの出力インピーダンスのうちのいずれか一方に対して前記バイアス電流を流すように、当該バイアス電流の流れを切り替えるバイアス電流切り替え手段を備えることを特徴とする。
【0028】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、インピーダンス変換手段が、4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスの少なくとも一方を所定のインピーダンスに変換した後で、バイアス電流切り替え手段によって、変換された出力インピーダンスだけにバイアス電流を流すことが可能となる。
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記インピーダンス変換手段は、前記4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスの両方を所定のインピーダンスに変換することを特徴とする。
【0029】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、インピーダンス変換手段が、4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスの両方を所定のインピーダンスに変換することが可能となる。
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記バイアス電流切り替え手段は、前記電圧比較手段の比較結果に基づいて、変換後の2つの出力インピーダンスのうちのいずれか一方に対して前記バイアス電流を流すように、前記バイアス電流の流れを切り替えることを特徴とする。
【0030】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、バイアス電流切り替え手段が、増幅されたセンサ駆動電流を、バイアス電流切り替え手段の出力からインピーダンス変換手段の2つのうちの出力のいずれかに切り替えて流す。これにより、上述したようにセンサへの外部入力に対して、センサの抵抗に依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル値を出力することが可能となる。
【0031】
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記インピーダンス変換手段は、前記4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスのいずれか一方を所定のインピーダンスに変換することを特徴とする。
上記のセンサ閾値決定回路によれば、インピーダンス変換手段が、4端子型のセンサの2つの出力インピーダンスのいずれか一方を所定のインピーダンスに変換することが可能となる。
【0032】
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記センサバイアス電流出力手段は、前記センサ駆動電流を所定倍した前記バイアス電流を出力するための駆動電流増幅回路と、バイアス電流出力用抵抗素子と、スイッチング素子とを有し、前記センサ駆動電流検出手段と、前記センサバイアス電流出力手段とから電流ミラー回路を構成することを特徴とする。
【0033】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、ミラー回路において、変換後の出力インピーダンスに流すためのバイアス電流を生成することが可能となる。
本発明の一態様であるセンサ閾値決定回路は、前記センサは、ホール素子、磁気抵抗素子、歪みセンサ、圧力センサ、温度センサ、又は加速度センサのいずれかのセンサであることを特徴とする。
【0034】
上記のセンサ閾値決定回路によれば、ホール素子、磁気抵抗素子、歪みセンサ等のセンサの種類を問わず、各種センサに用いることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、センサの外部入力に対し、センサの抵抗に依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル値を出力することができる。このため、センサの抵抗同士のマッチングを考慮する必要が無い。よって、センサを内蔵したIC(Integrated Circuit)を製造する際に、駆動電流を流す方向や素子の配置等による制約が緩和され、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係るセンサ閾値決定回路10の基本回路構成を示す回路図である。
【
図2】バイアス電流切り替え回路150のスイッチSW1が導通し、スイッチSW2が開放したときのセンサ閾値決定回路10と等価な回路であるセンサ閾値決定回路10´の回路構成を示す回路図である。
【
図3】一般的なセンサ閾値決定回路の磁気感度BOP,BOPnoiseの温度特性を示すグラフである。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20の構成を示す回路図である。
【
図5】第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20の磁気感度BOP´,BOPnoise´の温度特性を示すグラフである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路30の構成を示す回路図である。
【
図7】従来のセンサ閾値決定回路100の回路構成を示す回路図である。
【
図8】バイアス電流切り替え回路150のスイッチSW2が導通し、スイッチSW1が開放したときのセンサ閾値決定回路100と等価な回路であるセンサ閾値決定回路100´の回路構成を示す回路図ある。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等の構成要素は同一符号によって示す。
[各実施形態に係るセンサ閾値決定回路の基本回路構成]
まずは、
図1を参照して、本発明の第1及び第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路の基本回路として、センサ閾値決定回路10の回路構成を説明する。
図1に示すセンサ閾値決定回路10は、
図7に示したセンサ閾値決定回路10を構成する各部に加えて、インピーダンス変換回路170をさらに有して構成される。
インピーダンス変換回路170は、演算増幅器171,172と、抵抗RG1,RG2、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2とを有して構成される。
演算増幅器171は、4端子型センサ120の出力電圧の一方を所定のゲインで増幅するためのものであり、プラス入力端子にセンサ出力端子VPが接続される。また、マイナス入力端子に、抵抗RG1とRG2との間のノードが接続される。この演算増幅器171は、抵抗RG1と抵抗RG2とで、端子VNXの電圧を基準として信号を増幅する非反転増幅回路を構成する。
【0038】
演算増幅器172は、4端子型センサ120の出力電圧の一方を所定のゲインで増幅するためのものであり、プラス入力端子にセンサ出力端子VNが入力される。また、マイナス入力端子に、抵抗RG1と端子VNXとの間のノードが接続される。この演算増幅器172は、入力電圧をそのまま出力するボルテージフォロア(ユニティーゲインバッファ)を構成する。よって、ゲインは1である。
【0039】
抵抗RG1は、演算増幅器171のマイナス入力端子と、演算増幅器172のマイナス入力端子との間に接続される。また、抵抗RG2は、演算増幅器171のマイナス入力端子と、演算増幅器171の端子VPXとの間に接続される。
インピーダンス変換用抵抗RSUM1は、演算増幅器172の出力端子とつながる端子VNXと、電圧比較器160のマイナス入力端子とつながる端子VSUMNとの間に接続される。また、インピーダンス変換用抵抗RSUM2は演算増幅器171とつながる端子VPXと、電圧比較器160のプラス入力端子とつながる端子VSUMPとの間に接続される。
【0040】
インピーダンス変換回路170は、演算増幅器172によるボルテージフォロアの回路構成と、演算増幅器171と抵抗RG1と抵抗RG2とによる非反転増幅回路の構成とを組み合わせたものである。なお、インピーダンス変換回路170の構成としては、演算増幅器171と抵抗RG1と抵抗RG2とから非反転増幅回路を構成とする必要は無く、抵抗RG1,RG2を無くして、演算増幅器171も演算増幅器172と同様にボルテージフォロアの構成としても良い。この構成の場合、インピーダンス変換回路170のゲインは1となる。
【0041】
センサ閾値決定回路10においても、
図7に示したセンサ閾値決定回路100と同様に、センサ駆動電流検出回路130とセンサバイアス電流出力回路140とで電流ミラー回路が構成されている。電流ミラー回路は、センサ駆動電流Iを所定(1/K=RS/RB)倍したセンサバイアス電流IBを出力する。そして、インピーダンス変換回路170のインピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2にバイアス電流IBを流し、センサ閾値電圧Vx=IB×RSUM1、及びセンサ閾値電圧Vy=IB×RSUM2を発生させる。センサ外部入力BINにより4端子センサ120に発生させた起電力VHをインピーダンス変換回路170にてゲインA(=1+RG2/RG1)倍にて増幅した電圧A×VHとセンサ閾値電圧Vx及びVyとを電圧比較器160にて比較する。これにより、センサ外部入力BINに対し、センサ抵抗Rやセンサ駆動電圧、センサ駆動電流に依存しないヒステリシス特性を持ったディジタル出力を得ることができる。
【0042】
第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路10の特徴点は、バイアス電流IBによりヒステリシスを持たせるために、センサ駆動電流検出回路130とセンサバイアス電流出力回路140により生成したセンサ駆動電流IBを、スイッチSW1が導通し、スイッチSW2が開放した際に、インピーダンス変換回路170のインピーダンス変換用抵抗RSUM1に吐き出す。これにより、インピーダンス変換回路170のインピーダンス変換用抵抗RSUM1の両端に端子VNXの電圧を基準としてセンサ閾値電圧Vx=IB×RSUM1を発生させている点である。本実施形態の説明においては、バイアス電流IBをインピーダンス変換用抵抗RSUM1に吐き出す場合を考えるが、逆に、バイアス電流IBをインピーダンス変換用抵抗RSUM1から引き込む場合であっても構わない。
【0043】
ここで、
図2を参照して、バイアス電流IBとインピーダンス変換回路170とにより、ヒステリシスを持たせることができるということを説明する。
図2は、バイアス電流切り替え回路150のスイッチSW1が導通し、スイッチSW2が開放したときのセンサ閾値決定回路10と等価な回路であるセンサ閾値決定回路10´の回路構成を示す回路図である。
【0044】
インピーダンス変換回路170は、センサ出力端子VPの電圧とセンサ出力端子VNの電圧との差分電圧VHを、端子VPXと端子VNXとの間に、端子VNXの電圧を基準としてゲインA倍にて増幅するための機能を有する。同時に、各々の演算増幅器171,172の出力インピーダンスが小さいという特徴を有している。各々の演算増幅器の出力インピーダンスが小さいために、バイアス電流IBを吐き出す際に見える出力インピーダンスはインピーダンス変換用抵抗RSUM1のみとなる。従って、バイアス電流IBを吐き出す際に見える出力インピーダンスは、4端子型センサ120の出力インピーダンスR/2からRSUM1に変換されたことになる。
【0045】
次に、スイッチSW1が開放し、スイッチSW2が導通したときの出力インピーダンスは同様にインピーダンス変換用抵抗RSUM2となる。この場合は、端子VPXの電圧を基準として、インピーダンス変換用抵抗RSUM2にセンサ閾値電圧Vx=IB×RSUM2が発生することになる。スイッチSW2が導通し、スイッチSW1が開放したときの状態は、以下の説明におけるインピーダンス変換用抵抗RSUM1とインピーダンス変換用抵抗RSUM2とを置き換えて考えれば良い。
【0046】
バイアス電流IBを、駆動電流検出用抵抗RS、バイアス電流出力用抵抗RB及びセンサ駆動電流Iを用いて改めて表すと、
IB=I×RS/RB……(16)
となる。ここで、上式(16)を用いてセンサ閾値電圧Vxを求めると、
Vx=I×RS/RB×RSUM1……(17)
となる。電圧比較器160により判定する電圧は、4端子型センサ120に磁気入力した際に得られるセンサ出力端子VPとセンサ出力端子VNとの間に発生するセンサ出力電圧VHをインピーダンス変換回路170によりゲインA倍した電圧と、上式(17)により得られたセンサ閾値電圧Vxである。センサ外部入力BINをA×VHとVxから求める。
A×(RH/t)×I×BIN=I×RS/RB×RSUM1
BIN=1/(A×(RH/t)×(RB/RSUM1)×(1/RS))……(18)
【0047】
上式(18)からも分かるように、センサ外部入力BINはセンサ抵抗Rに依存しなくなる。これは、センサ抵抗Rと他の抵抗とのマッチングを考慮する必要が無いことを意味する。ここで、ゲインAは、抵抗RG1と抵抗RG2とによって決まるため、任意の素子を選択すれば良い。また、バイアス電流出力用抵抗RBや、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2についても同様である。さらに、駆動電流検出用抵抗RSについては、温度特性の小さい抵抗や外付け抵抗を使用すれば良い。このように、本来マッチングが必要な素子同士の形状や素子配置場所を任意に決めることができる。
【0048】
ところで、一般的に上式(18)のRH/tは、定電流感度SI(μV/mA/mT)として現すことができる。
RH/t=SIとして(18)に代入すると、
BIN=1/((A×SI)×(RB/RSUM1)×(1/RS))……(19)
ここで、センサ外部入力BINに対して、ICの出力が変化するときの磁束密度をBOPとすると、BIN=BOPが成り立つので、
BOP=1/((A×SI)×(RB/RSUM1)×(1/RS))……(20)
となる。このとき、BOPをICの磁気感度とも呼ぶ。
【0049】
続いて、
図1に示したセンサ閾値決定回路10を用いて、IC内部で使用する各抵抗を、
RB :N+POLY抵抗
RSUM1:N+POLY抵抗
RS :N+POLY抵抗
と選んだ場合のセンサ閾値決定回路10の温度特性について説明する。なお、上記のN+POLY抵抗とは、例えばポリシリコン膜を抵抗として用いたN型のPOLY抵抗を意味する。
【0050】
ここで、N+POLY抵抗の温度特性をXppmとする。なお、定電流感度SIの温度特性は、N+PLOY抵抗と同等と考えて良い。
上記の(20)の式に各抵抗の温度特性を代入することで、磁気感度BOPの温度特性がキャンセルされるため、温度特性が無い磁気感度BOPを得ることができる。しかしながら、IC内部は、熱ノイズの影響を受けることが知られている。各抵抗の熱ノイズをVnとすると、各抵抗の熱ノイズVnを一般的に以下の式(21)のように表すことができる。
【0051】
Vn=√(4×κ×T×R) κ:ボルツマン定数、T:温度、R:抵抗値……(21)
また、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseは、
Bnoise=Vn×Anoise Anoise:回路内のノイズ定数……(22)
となる。そして、上記の温度特性が無い磁気感度BOPには、熱ノイズ分による磁気感度Bnoise分が加算される。このため、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseを含む磁気感度BOPnoiseを、以下の式(23)のように表すことができる。
BOPnoise=BOP+Bnoise……(23)
【0052】
図3は、一般的なセンサ閾値決定回路の磁気感度BOP,BOPnoiseの温度特性を示すグラフである。
図3中の破線で示すBOPは、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseが加算されていないときの磁気感度である。また、
図3中の実線で示すBOPnoiseは、磁気感度BOPに対して、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseが加算されているときの磁気感度である。なお、グラフの横軸は温度の変化を示し、縦軸は磁気感度を示している。
【0053】
図3を参照すると分かるように、磁気感度BOPnoiseは、高温になるのに伴って、熱ノイズの影響がより顕著になる。高温になるのに伴って、熱ノイズの影響がより顕著になるのは、上記の(21)式中の熱ノイズVnが、√Tに依存していることが理由である。なお、このとき、磁気感度BOPの符号が正の場合には、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseの符号は負になる。一方で、磁気感度BOPの符号が負の場合には、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseの符号は正となる。
【0054】
そして、IC製品の要求仕様では、多くの場合、磁気感度BOPnoiseの温度特性がフラットな磁気感度を有していることが求められる。このため、本実施形態に係るセンサ閾値決定回路10においては、磁気感度の温度特性に対して、フラットな磁気感度を持たせることができるようにするために、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2の部分が拡散抵抗を含んで構成されている。この回路を、第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20として、この後詳細に説明する。また、これとは別の方法として、駆動電流検出用抵抗RSの部分に拡散抵抗を含んで構成することもできる。この回路を、第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路30として、この後詳細に説明する。
【0055】
[第1実施形態]
[センサ閾値決定回路20の回路構成]
では、具体的に、
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20の回路構成を説明する。
図4に示すセンサ閾値決定回路20は、
図1に示したセンサ閾値決定回路10を構成する各部のうち、インピーダンス変換回路170のインピーダンス変換用抵抗RSUM1=RSUM1´+RDIF1とし、さらにインピーダンス変換用抵抗RSUM2=RSUM2´+RDIF2として構成される。このRSUM1´,RSUM2´は、上述したようにN+POLY抵抗である。また、RDIF1,RDIF2は、拡散層を抵抗として用いた拡散抵抗である。つまり、第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20においては、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2が、拡散抵抗を含んで構成されている。
【0056】
この拡散抵抗の温度特性は、一般的にN+POLY抵抗の3倍の温度特性を持っている。従って、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2の部分に、N+POLY抵抗RSUM1´,RSUM2´のみならず、拡散抵抗RDIF1,RDIF2を合わせて用いることで、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2による温度特性をXppmよりも大きくすることができる。
【0057】
このインピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2による温度特性は、N+POLY抵抗RSUM1´,RSUM2´の抵抗値と、拡散抵抗RDIF1,RDIF2の抵抗値との比で、任意に決めることができる。従って、これらの各抵抗の抵抗値を決定する際には、N+POLY抵抗RSUM1´,RSUM2´と拡散抵抗RDIF1,RDIF2との合成抵抗値が、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2の合成抵抗値と等しくなるように選ぶと良い。
【0058】
[センサ閾値決定回路20の磁気感度BOP´,BOPnoise´の温度特性]
ここで、
図5を参照して、第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20の磁気感度BOP´,BOPnoise´の温度特性を説明する。
図5は、第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20の磁気感度BOP´,BOPnoise´の温度特性を示すグラフである。
図5中の破線で示すBOP´は、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseが加算されていないときの磁気感度である。また、
図5中の実線で示すBOPnoise´は、磁気感度BOP´に対して、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseが加算されているときの磁気感度である。なお、グラフの横軸は温度の変化を示し、縦軸は磁気感度を示している。
【0059】
上述した通り、センサ閾値決定回路20は、RSUM1=RSUM1´+RDIF1、RSUM2=RSUM1´+RDIF2のように構成されている。ここで、拡散抵抗RDIF1,RDIF2による温度特性の上昇分をαppmとする。すると、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2による温度特性は、Xppm+αppmだけ上昇する。
【0060】
従って、上式(20)から磁気感度BOP´の温度特性は、
図5に示すように、低温側より高温側で大きくなる。さらに、磁気感度BOP´の温度特性に対して、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseが加算される。これにより、磁気感度BOPnoise´の温度特性に対して、磁気感度BOPnoiseよりもフラットな磁気感度を持たせることができるようになる。
【0061】
このように、インピーダンス変換回路170のインピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2に、N+POLY抵抗RSUM1´,RSUM2´のみならず、拡散抵抗RDIF1,RDIF2を合わせて使用することで、磁気感度BOP´の温度特性を調整することができるようになる。このため、第1実施形態に係るセンサ閾値決定回路20においては、磁気感度BOPnoise´の温度特性に対して、磁気感度BOPnoiseよりもフラットな磁気感度を持たせることができる。
【0062】
[第2実施形態]
[センサ閾値決定回路30の回路構成]
また、別の方法として、
図6を参照して、第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路30の回路構成を説明する。
図6に示すセンサ閾値決定回路30は、
図1に示したセンサ閾値決定回路10を構成する各部のうち、駆動電流検出用抵抗RS=RS´+RDIF3として構成される。このRS´は、上述したようにN+POLY抵抗である。また、RDIF3は、拡散抵抗である。つまり、第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路30においては、駆動電流検出用抵抗RSが、拡散抵抗RDIF3を含んで構成されている。
【0063】
このため、この第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路30においても、
図5に示したセンサ閾値決定回路20の磁気感度BOP´,BOPnoise´の温度特性と同様の温度特性が得られる。
上述した通り、センサ閾値決定回路30は、RS=RS´+RDIF3のように構成されている。そこで、上記のαppmを、拡散抵抗RDIF1,RDIF2による温度特性の上昇分とするのではなく、拡散抵抗RDIF3による温度特性の上昇分とする。すると、駆動電流検出用抵抗RSによる温度特性は、インピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2による温度特性と同様に、Xppm+αppmだけ上昇することになる。
【0064】
従って、上式(20)から磁気感度BOP´の温度特性は、低温側より高温側で大きくなる。さらに、磁気感度BOP´の温度特性に対して、熱ノイズ分による磁気感度Bnoiseが加算される。これにより、磁気感度BOPnoise´の温度特性に対して、磁気感度BOPnoiseよりもフラットな磁気感度を持たせることができるようになる。
このように、センサ駆動電流検出回路130の駆動電流検出用抵抗RSに、N+POLY抵抗RS´のみならず、拡散抵抗RDIF3を使用することでも、インピーダンス変換回路170のインピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2に、拡散抵抗RDIF1,RDIF2を使用したときと同様に、磁気感度BOP´の温度特性を調整することができるようになる。このため、第2実施形態に係るセンサ閾値決定回路30においても、磁気感度BOPnoise´の温度特性に対して、磁気感度BOPnoiseよりもフラットな磁気感度を持たせることができる。
【0065】
[各実施形態の説明のまとめ]
各実施形態に係るセンサ閾値決定回路においては、インピーダンス変換回路170の出力インピーダンスRSUM1,RSUM2とセンサバイアス電流±IBとの積である電圧ドロップを用いることで、端子VPX又はVNXの電圧を基準電位にしてセンサ閾値電圧Vxを発生させている。
【0066】
さらに、各実施形態に係るセンサ閾値決定回路においては、上記のインピーダンス変換用抵抗RSUM1,RSUM2の部分が、拡散抵抗RDIF1,RDIF2を含んで構成されている。又は、駆動電流検出用抵抗RSの部分が、拡散抵抗RDIF3を含んで構成されている。このため、磁気感度の温度特性に対して、フラットな磁気感度を持たせることができる。
これらにより、各実施形態に係るセンサ閾値決定回路においては、センサ外部入力BINに対して、センサ抵抗Rに依存しないヒステリシス特性を持たせたディジタル出力することができる。
【符号の説明】
【0067】
10,20,30 センサ閾値決定回路
110 センサ駆動電圧源
120 4端子型センサ
130 センサ駆動検出回路
140 センサバイアス電流出力回路
150 バイアス電流切り替え回路
160 電圧比較器
170 インピーダンス変換回路
171,172 演算増幅器
RG1,RG2 抵抗
RSUM1,RSUM2,RSUM1´,RSUM2´ インピーダンス変換用抵抗(N+POLY抵抗)
RS,RS´ 駆動電流検出用抵抗(N+POLY抵抗)
RDIF1〜RDIF3 拡散抵抗